本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、外針から内針を安定して引き抜くことができる、新規な構造の留置針組立体を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
本発明の第1の態様は、外針ハブを基端側に有する外針に対して、内針ハブを基端側に有する内針が挿通されていると共に、該内針には長さ方向に移動可能に針先プロテクタ部材が装着された留置針組立体において、前記針先プロテクタ部材の前記外針ハブに対する基端側への移動を規制する規制部と、外部に露出する指置部と、該外針ハブの基端側開口部に挿入されて該指置部とは径方向反対側に位置する該外針ハブの周壁部の内周面に沿って先端側に延びる挿入部とが、一体的に設けられていることを特徴とするものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、外針ハブとは別体とされた指置部が設けられていることから、当該指置部に手指を載置することで、内針の引抜時において、外針ハブを患者の皮膚に安定して位置決めすることができる。また、一般に、本態様の留置針組立体を使用する場合には、留置針組立体において指置部が設けられている側を周方向上側として、当該指置部に対して上方から手指が載置される。したがって、指置部とは径方向反対側に位置する挿入部は周方向下側に位置することとなり、指置部および挿入部を介して手指から及ぼされる押圧力が、外針ハブの周壁部の下側部分に直接的に作用する。これにより、外針ハブを皮膚に位置決め固定するための外力が及ぼされる箇所を従来より皮膚に近い位置とすることができて、手指からの押圧力を効率的に患者の皮膚および外針ハブに及ぼすことができる。この結果、外針ハブが、不用意なぐらつきを抑えられて患者の皮膚に安定して固定的に位置決めされることとなり、外針からの内針の引抜操作も容易に行なうことが可能になる。
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係る留置針組立体において、前記規制部と前記指置部と前記挿入部とが前記針先プロテクタ部材に設けられていると共に、該指置部が該針先プロテクタ部材の外周側に設けられているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、針先プロテクタ部材には、外針ハブに対する基端側への移動を規制する規制部が設けられている。一方、外針ハブの周壁部の内周面に沿って内方(先端側)に延びる挿入部が設けられていることから、当該挿入部と外針ハブとを係合させることも可能となる。そして、かかる挿入部が外針ハブに対して係合される場合には、これら規制部と挿入部とにより、針先プロテクタ部材と外針ハブとが周方向の複数箇所で係合される。それ故、外針ハブの押出操作時などに内針を相対的に引抜方向へ変位させた際にも、針先プロテクタ部材と外針ハブとの係合が意図せず解除されるおそれが低減され得て、内針の針先の露出が効果的に防止され得る。
本発明の第3の態様は、前記第1又は第2の態様に係る留置針組立体において、前記外針ハブの基端側開口部の外周面には雄ねじ部が形成されていると共に、該雄ねじ部の外周側に汚染防止部が設けられており、該汚染防止部と前記指置部とが一体的に設けられているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、外針ハブの基端側開口部の外周面には雄ねじ部が形成されていることから、外針の留置後に、外針ハブに対してルアーロックタイプの外部流路などを接続することが可能となる。特に、かかる雄ねじ部の外周側に汚染防止部が設けられていることから、外針ハブの押出操作時などに施術者が雄ねじ部に接触して雄ねじ部に細菌などが付着することなどが効果的に防止され得る。それ故、外針ハブへの外部流路などの接続時に、外針ハブから患者の血管中に細菌が混入するなどのおそれが効果的に低減され得る。また、指置部と汚染防止部が一体的に設けられていることから、指置部に載置される手指が汚染防止部以外に接触することが効果的に回避されて、雄ねじ部に細菌などが付着することなどが一層効果的に防止され得る。
本発明の第4の態様は、前記第3の態様に係る留置針組立体において、前記指置部が前記雄ねじ部の外周側に位置して、該指置部により前記汚染防止部が構成されているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、指置部により汚染防止部が構成されていることから、指置部および汚染防止部が必要以上に大きくなることが回避されて、留置針組立体の取扱性が向上され得る。また、汚染防止部を、例えば周方向下側(患者の皮膚側)に設けなくすることもできて、留置針組立体の穿刺時に、汚染防止部が患者の皮膚に接触して患者が痛みを感じたり穿刺操作に悪影響を及ぼすおそれも回避され得る。
本発明の第5の態様は、前記第3又は第4の態様に係る留置針組立体において、前記指置部が前記外針ハブの前記雄ねじ部よりも先端側にまで延びているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、指置部が外針ハブの雄ねじ部よりも先端側にまで延びていることから、施術者が雄ねじ部に接触するおそれが一層低減されて、患者の血管中に細菌などが混入することがより効果的に防止され得る。
本発明の第6の態様は、前記第1〜第5の何れかの態様に係る留置針組立体において、前記指置部の先端側に連続して外周側へ突出する指先押圧部が形成されているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、指置部の先端側に連続して指先押圧部が形成されていることから、施術者が指置部に載置した手指に対して先端側に力を加えて指先押圧部を押圧することで、操作力を外針ハブに伝達させることができて、外針および外針ハブを安定して押し出すことができる。特に、留置針組立体の把持と外針ハブの押出操作を片方の手で行うことができることから、施術者の負担が軽減され得る。
さらに、外針ハブに、外周側に突出する指先押圧部が設けられないことから、患者の皮膚に外針ハブをテーピング固定する際に、指先押圧部が患者の皮膚に当接して患者が苦痛を感じるなどのおそれも軽減され得る。
本発明の第7の態様は、前記第6の態様に係る留置針組立体において、前記外針ハブの基端側開口部の外周面には雄ねじ部が形成されていると共に、該雄ねじ部よりも先端側に位置して前記指先押圧部が設けられているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、指先押圧部が、外針ハブの基端側開口部の外周面に形成される雄ねじ部よりも先端側に設けられていることから、指置部が形成されるためのスペースを大きく確保することができて、施術者が指置部に手指を安定して載置することができる。
本発明の第8の態様は、前記第6又は第7の態様に係る留置針組立体において、前記針先プロテクタ部材は、前記内針の先端を覆うプロテクタ本体と、該プロテクタ本体を保持するリテーナとを含んで構成されており、該リテーナに対して前記指置部および前記指先押圧部が形成されていると共に、該リテーナには、該指置部および該指先押圧部に対して前記内針を挟んだ径方向反対側に位置して前記挿入部が形成されているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、針先プロテクタ部材がプロテクタ本体とリテーナとを含んで構成されており、当該リテーナに対して指置部、指先押圧部および挿入部が形成されることから、プロテクタ本体の構造を簡単なものとすることができる。特に、プロテクタ本体とリテーナとが別体で形成されることから、プロテクタ本体とリテーナとの材質を相互に異ならせることができて、例えば内針の先端を覆うプロテクタ本体を金属などで形成する一方、複雑な形状のリテーナを合成樹脂などで形成することも可能となる。
本発明の第9の態様は、前記第6〜第8の何れかの態様に係る留置針組立体において、前記指置部および前記指先押圧部が、前記外針ハブに対して周方向に回転不能とされているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、指置部および指先押圧部が、外針ハブに対して周方向に回転不能とされていることから、指置部に手指を載置しつつ指先押圧部を押し込んで外針ハブを押し出す際に、指置部および指先押圧部が外針ハブに対して回転することが防止されて、操作力が外針ハブに安定して伝達され得る。
本発明の第10の態様は、前記第9の態様に係る留置針組立体において、前記指置部又は前記指先押圧部の内周面と前記外針ハブの外周面との間には、相互の係合作用で周方向に位置決めする周方向位置決め用の係合部が設けられているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、指置部および指先押圧部と外針ハブとの周方向の位置決めが、指置部または指先押圧部の内周面と外針ハブの外周面との間に設けられた周方向位置決め用の係合部により安定して実現され得る。
本発明の第11の態様は、前記第6〜第10の何れかの態様に係る留置針組立体において、前記指置部又は前記指先押圧部の内周面と前記外針ハブの外周面との間には、相互の係合作用で長さ方向に位置決めする長さ方向位置決め用の係合部が設けられているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、指置部および指先押圧部と外針ハブとが長さ方向で位置決めされることから、指置部および指先押圧部と外針ハブとが長さ方向で意図せず相対変位することが防止される。それ故、指先押圧部に対して先端側に外力を及ぼして指先押圧部を長さ方向に押し出すことで、外針ハブに対して押込方向の操作力を安定して及ぼすことができる。
本発明の第12の態様は、前記第1〜第11の何れかの態様に係る留置針組立体において、前記外針ハブの基端側開口部の外周面には雄ねじ部が形成されており、該雄ねじ部の外周側に前記指置部が設けられている一方、該指置部の内周面には内周側に突出する下方突出部が設けられて、該下方突出部により前記規制部が構成されていると共に、該下方突出部の基端側面が長さ方向に対して傾斜しているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、指置部の内周面に設けられた下方突出部により規制部が構成されていることから、内針を引き抜く以前の初期状態では、下方突出部により針先プロテクタ部材の外針ハブに対する基端側への移動が規制されて、針先プロテクタ部材と外針ハブとが相互に連結されている。そして、外針から内針を引き抜くことで、針先プロテクタ部材と外針ハブとの連結が解除され得る。その際、下方突出部の基端側面が長さ方向に対して傾斜していることから、当該基端側面によって針先プロテクタ部材の移動がガイドされて、針先プロテクタ部材が外針ハブとの連結を解除する方向に安定して移動することができる。
本発明の第13の態様は、前記第1〜第12の何れかの態様に係る留置針組立体において、前記針先プロテクタ部材は、前記内針の先端を覆うプロテクタ本体と、該プロテクタ本体を保持するリテーナとを含んで構成されており、該リテーナには、該プロテクタ本体の外周を囲む周壁部が設けられており、該周壁部が前記内針ハブに対して周方向に位置決めされて挿し入れられている一方、該周壁部から先端側に突出して前記挿入部が形成されているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、針先プロテクタ部材がプロテクタ本体とリテーナとを含んで構成されており、当該リテーナには、プロテクタ本体における外周を囲む周壁部が設けられていることから、例えばリテーナの周壁部に対してプロテクタ本体を挿入することで、針先プロテクタ部材が容易に構成され得る。特に、周壁部が内針ハブに対して周方向で位置決めされることから、内針および内針ハブに対して針先プロテクタ部材が回転してしまうことが効果的に防止され得る。
本発明の第14の態様は、前記第1〜第13の何れかの態様に係る留置針組立体において、前記針先プロテクタ部材は、前記内針の先端を覆うプロテクタ本体と、該プロテクタ本体を保持するリテーナとを含んで構成されており、該リテーナに対して前記挿入部が形成されていると共に、該挿入部の外周面が前記外針ハブの内周面に沿って周方向に広がる円弧状面とされているものである。
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、挿入部の外周面が外針ハブの内周面に対応する円弧状面とされていることから、例えば挿入部の外周面と外針ハブの内周面とをより確実に係合させることができて、意図せず針先プロテクタ部材と外針ハブとの係合が解除されるおそれが一層低減され得るだけでなく、外針ハブ内部が挿入部によって傷つけられるといった事態が防止され得る。
本発明に従う構造とされた留置針組立体によれば、患者への穿刺状態において外針ハブを患者の皮膚に対してより安定して固定的に位置決めすることができ、内針の外針からの引抜操作も容易に且つ安定して行なうことが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1〜4には、本発明の1実施形態としての留置針組立体10が示されている。この留置針組立体10は、内針ユニット12と外針ユニット14を含んで構成されている。すなわち、内針ユニット12は、先端に針先16を有する内針18と、内針18の基端側に設けられた内針ハブ20とを備えており、さらに、内針18に対して長さ方向で移動可能に外挿された針先プロテクタ部材22が装着されている。一方、外針ユニット14は、外針24と、外針24の基端側に設けられた外針ハブ26とを備えており、かかる外針ユニット14に対して内針ユニット12の内針18が基端側から挿通されることで、留置針組立体10が構成されている。そして、留置針組立体10の穿刺後に外針ユニット14から内針18が引き抜かれることにより、外針ユニット14が患者の皮膚に留置される一方、針先プロテクタ部材22が内針18の先端側に移動して内針18の針先16が保護されるようになっている。なお、以下の説明において、長さ方向とは内針18および外針24の針軸方向となる図2中の左右方向をいう。また、先端側とは内針18の針先16側である図2中の左側をいう一方、基端側とは使用者が操作する側である図2中の右側をいう。さらに、上方向および下方向とは、それぞれ図2中の上方向および下方向をいう。
より詳細には、内針ユニット12における内針18は、鋭利な形状とされた針先16を有する中空針であり、例えばステンレス鋼、アルミニウム、チタンまたはそれらの合金などの公知の材料から形成されている。すなわち、内針18の針先16には、軸方向に対して傾斜する方向に広がる刃面27が形成されており、これにより、内針18が患者の皮膚などに容易に穿刺されるようになっている。なお、本実施形態では、かかる刃面27が上方を向くようになっている。また、内針18の先端部分には、僅かに外径寸法が大きくされた大径部28が形成されており、本実施形態では径方向1方向の両側(図2中の上下方向両側)に一対の大径部28,28が形成されている。なお、内針18は中実針であってもよい。
さらに、内針18の基端側に設けられた内針ハブ20は、ポリプロピレン等の硬質の合成樹脂材料で形成されており、全体として長手の略円筒形状とされている。かかる内針ハブ20の長さ方向中間部分における内周面には、内周側に突出する環状の中間壁部30が設けられており、当該中間壁部30の内周縁部からは、基端側に向かって筒状部32が突出形成されている。この筒状部32に対して内針18の基端が挿通されて、必要に応じて接着などの処理が施されることにより内針18の基端が筒状部32に固着されており、これによって、内針18の基端が内針ハブ20に固定支持されている。
また、内針ハブ20の基端側開口部には、略筒状とされたキャップ部材34の先端部分が圧入されて固着されている。このキャップ部材34の内部には、液体は通過不能とされるが気体は通過することのできるフィルタ36が設けられている。なお、かかる内針ハブ20やキャップ部材34を透明な材質により形成することで、留置針組立体10の穿刺時において、逆血(フラッシュバック)が容易に確認され得る。
さらに、内針ハブ20における中間壁部30より先端側は、内径寸法が大きくされたカバー筒部38とされている。これにより、カバー筒部38の内周側には先端側に開口する収容空所40が形成されている。かかる収容空所40は、幅寸法(図2中の紙面手前奥方向寸法)よりも上下方向寸法の方が大きくされた縦長の形状とされており、本実施形態では、略矩形状とされている。なお、カバー筒部38の先端において、周上の一部(図2中の上部)には、切欠状の窓部42が形成されている。
一方、外針ユニット14において、外針24はチューブ形状とされており、適度な可撓性を有する材料、例えばエチレン―テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリウレタン、ポリエーテルナイロン樹脂等の各種の軟質樹脂により形成されている。なお、外針24の先端部分の外周面は、先細となるテーパ状外周面44とされており、生体への穿刺抵抗が軽減されている。また、外針24の先端部分の周壁に貫通孔を設けることで、外針24に対する流体の流通効率の向上を図ることも可能である。
さらに、外針24の基端側に設けられた外針ハブ26は、ポリプロピレン等の硬質の合成樹脂材料で形成されており、全体として長さ方向に延びる周壁部46を有する略円筒形状とされている。かかる外針ハブ26の先端には、カシメピン48が内挿されており、外針ハブ26の周壁部46とカシメピン48との間で外針24の基端を挟み込んで、必要に応じて接着などの処理が施されることにより、外針24の基端が外針ハブ26に固定支持されている。なお、かかるカシメピン48よりも基端側では、外針ハブ26の内周面49および外周面50のそれぞれが、先端側から基端側に向かって次第に内径寸法および外径寸法が大きくなるテーパ面とされている。
また、外針ハブ26の外周面50における基端側開口部52には、外周側に突出する雄ねじ部54が形成されている。かかる雄ねじ部54が形成されることで、外針ユニット14が患者の皮膚に留置された後に、例えば外針ハブ26の基端側開口部52に対してルアーロックタイプのシリンジ等が接続され得るようになっている。なお、雄ねじ部54には、周上の一部(図2中の上部)において切欠状の凹溝部56が形成されており、当該凹溝部56が外周側に開口して長さ方向に延びている。本実施形態では、凹溝部56が略矩形断面を有しており、長さ方向の全長に亘って略一定の溝幅寸法とされている。
更にまた、外針ハブ26の内径は、挿通される内針18の外径よりも大きくされており、外針ハブ26の内部には止血弁機構58が収容されている。この止血弁機構58の構造は何等限定されるものではないが、本実施形態では、止血弁本体60と押し子62と押し子ガイド64とから構成されている。
止血弁本体60は中央にスリット66(図8参照)が形成されたディスク弁とされており、弾性を有するゴム弾性体やエラストマーにより形成されている。なお、本実施形態の止血弁本体60は、基端面の外周端から基端側に突出する筒状支持部68が設けられているとともに、当該基端面における筒状支持部68よりも内周側には、基端側に開口する環状凹部70が形成されている。
また、押し子62は全体として略筒状とされており、内径寸法が内針18の外径寸法より大きくされている。一方、押し子62の長さ方向中間部分における外周面には、外径寸法が小さくされた環状凹溝72が、軸方向で所定寸法をもって形成されている。
さらに、押し子ガイド64は全体として略筒状とされており、基端には、内周側に突出する環状突部74が形成されている。なお、本実施形態の押し子ガイド64の先端面には、先端側に突出する先端筒部76が形成されている。
かかる止血弁本体60が、外針ハブ26の内部に径方向(例えば図2中の上下方向)で圧縮状態とされて収容配置されているとともに、止血弁本体60の基端側に押し子62と押し子ガイド64が位置しており、押し子ガイド64が、押し子62と外針ハブ26との径方向間に配置されている。また、押し子ガイド64の環状突部74が押し子62の環状凹溝72に嵌め入れられており、押し子62が押し子ガイド64に対して長さ方向に摺動して移動可能とされている。さらに、本実施形態では、止血弁本体60の基端面に設けられた環状凹部70に、押し子ガイド64の先端筒部76が挿入されており、環状凹部70の底面と先端筒部76の先端面とが相互に当接している。
そして、図1などに示される初期状態では、内針18が止血弁本体60に挿通されている一方、後述するように、留置針組立体10の穿刺後、内針18を基端側に引き抜くことで止血弁本体60のスリット66が閉塞するようになっている。また、外針ユニット14が患者の皮膚に留置された後に、外針ハブ26の基端側開口部52からシリンジなどの雄ルアーが挿入されることにより、雄ルアーの先端が押し子62を先端方向に押し込み、止血弁本体60のスリット66を開放させるようになっている。これにより、外針24の内部と外針ハブ26の内部(押し子62の内部)とシリンジの内部とが連通されて、例えばシリンジ内の薬液などが外針ユニット14を通じて患者の血管内に注入されるようになっている。なお、薬液の注入後や注入の中断時において、外針ユニット14からシリンジを抜き取ることにより、止血弁本体60の弾性復元作用により押し子62が初期位置まで押し戻されるとともに、スリット66が速やかに閉鎖されるようになっている。
また、内針ユニット12において、内針18には針先プロテクタ部材22が外挿装着されている。この針先プロテクタ部材22は、内針18の引抜時において、内針18の針先16を覆って保護するプロテクタ本体78と、当該プロテクタ本体78を保持するリテーナ80とを含んで構成されている。
プロテクタ本体78は、例えばステンレス鋼などの薄肉の金属板に対して複数回プレス加工などを施して折り曲げた形状とされている。すなわち、プロテクタ本体78の基端には、上下方向に広がる略矩形状の基端壁部82が設けられており、当該基端壁部82の中央には板厚方向で貫通する貫通孔84が形成されている。なお、当該貫通孔84の内径寸法は、内針18の大径部28,28以外の部分の外径寸法より大きくされているとともに、大径部28,28における最大外径寸法よりも小さくされている。
また、基端壁部82の上下両端部には、それぞれ先端側に延び出す上方壁部86および下方壁部88が形成されている。この上方壁部86は、下方壁部88よりも先端側まで延び出すアーム状とされており、上方壁部86の先端には、内周側に屈曲する屈曲部90が設けられている。一方、下方壁部88の先端は基端側に折り返されており、当該折返部分が、プロテクタ本体78とリテーナ80との組付時においてプロテクタ本体78からリテーナ80が抜け出すことを防止する抜止部92とされている。
さらに、上方壁部86と下方壁部88とが上下方向で対向する部分において、プロテクタ本体78の幅方向(図3中の紙面手前奥方向)両側には、上方壁部86から連続して延びて、且つ長さ方向に延びる一対の側方壁部94,94が設けられている。そして、一方(本実施形態では、図3中の紙面奥側)の側方壁部94の先端は折り曲げられて、長さ方向と直交する方向(紙面直交方向)に広がる縦壁部96が形成されている。かかる縦壁部96の中央には、板厚方向で貫通する貫通孔98が形成されている。なお、当該貫通孔98の内径寸法は、内針18の大径部28,28における最大外径寸法よりも大きくされている。
なお、上方壁部86における下方壁部88よりも先端側に延びる部分において、プロテクタ本体78の幅方向両側には、上方壁部86から連続して延びる一対の側方壁部100,100が設けられている。これら側方壁部100,100により、後述する内針18の針先16保護時には、内針18の先端側だけでなく幅方向両側も保護されるようになっている。
一方、リテーナ80は、全体として長さ方向に延びる略矩形筒状とされており、例えば硬質の合成樹脂により形成される。すなわち、それぞれ長さ方向に延びる上壁部102と下壁部104と一対の側壁部106,106とから構成される周壁部108を備えている。当該周壁部108を構成する側壁部106,106は、下壁部104よりも先端側まで延び出しており、下壁部104よりも先端側には、両側壁部106,106の下端を相互に連結する連結部110が形成されている。なお、当該連結部110と下壁部104との長さ方向間には所定寸法の隙間112が形成されている。また、連結部110の外周面(下面)114は、外針ハブ26の内周面49に沿って周方向に広がる円弧状面とされている。更にまた、連結部110の内周面(上面)には、内周側に開口して長さ方向に延びる溝状凹所115が形成されている。
さらに、周壁部108を構成する上壁部102の上方には、留置針組立体10を把持する際や外針ハブ26を押し出す際に施術者が手指を載置するための指置部116が形成されている。
すなわち、指置部116は略矩形板形状とされており、所定の長さ寸法および幅寸法を有している。なお、操作性を考慮すると、指置部116の長さ寸法(軸方向寸法)は1〜20mm、幅寸法は5〜10mmであることが好ましい。
そして、指置部116の幅方向両端と側壁部106,106の先端における上端部(上壁部102の先端における幅方向両端部)とが、一対の接続部118,118により相互に接続されている。
また、かかる指置部116よりも先端側には、後述する外針ハブ26の押出操作時に施術者が外針ハブ26を指先で押し出すための指先押圧部120が設けられている。この指先押圧部120は、外周側に突出する略板形状とされており、本実施形態では、針先プロテクタ部材22のリテーナ80において、指置部116から先端側に連続して一体的に形成されている。すなわち、指置部116の先端(指先押圧部120の基端)には、先端になるにつれて上方に湾曲する(長さ方向に対する傾斜角度が大きくなる)湾曲部分122が形成されており、指置部116と指先押圧部120とが滑らかに連続している。なお、本実施形態では、指先押圧部120が、長さ方向に対して略直交する方向(上下方向)に突出している。
一方、これら指置部116および指先押圧部120の内周面(下面)における幅方向中央部分には、長さ方向に延びる係合突部124が形成されている。この係合突部124は、略一定の幅方向寸法をもって指置部116および指先押圧部120の長さ方向略全長に亘って延びており、すなわち指置部116の幅方向両側に設けられた接続部118,118の間を延びている。また、係合突部124の下端面は長さ方向に対して略平行に延びており、すなわち係合突部124の上下寸法が先端側に向かって次第に大きくなるようにされている。なお、かかる係合突部124の幅方向寸法は、外針ハブ26の雄ねじ部54に設けられた凹溝部56の溝幅寸法よりも小さくされている。
さらに、指置部116の内周面には、下方に突出して幅方向(図3中の紙面手前奥方向)に延びる下方突出部としての係合突起126が形成されている。この係合突起126は、所定の突出寸法(上下方向寸法)と幅方向寸法を有しており、接続部118,118に対して所定の離隔距離をもって先端側に形成されている。なお、本実施形態では、係合突起126の幅方向寸法が係合突部124の幅方向寸法より大きくされており、外針ハブ26の雄ねじ部54に設けられた凹溝部56の溝幅寸法よりも大きくされている。また、係合突起126が略三角形断面をもって形成されており、即ち係合突起126の先端側面128が、下方になるにつれて次第に基端側に傾斜する(長さ方向に対して傾斜する)傾斜面とされている一方、基端側面130が、下方になるにつれて次第に先端側に傾斜する(長さ方向に対して傾斜する)傾斜面とされている。そして、係合突起126の突出先端が、係合突部124の下端面よりも下方まで突出している。
かかる構造とされたプロテクタ本体78とリテーナ80とが相互に組み付けられることで針先プロテクタ部材22が構成されている。すなわち、例えばプロテクタ本体78における下方壁部88の先端が折り曲げられることなく真っ直ぐとされた状態で、リテーナ80の周壁部108における基端側開口部からプロテクタ本体78が挿入される。その際、プロテクタ本体78の下方壁部88と側方壁部94,94との上下方向間にリテーナ80の下壁部104が挿入されて、その後下方壁部88の先端を、下壁部104と連結部110との軸方向間の隙間112において、基端側に折り返して抜止部92を形成することで、プロテクタ本体78とリテーナ80とが相互に組み付けられる。かかる組付状態では、プロテクタ本体78の基端部分が、下方壁部88を除いて、外周側からリテーナ80の周壁部108により囲まれている。すなわち、プロテクタ本体78が外周側からリテーナ80により囲まれて針先プロテクタ部材22が構成されていることから、リテーナ80の外周側に位置する指置部116および指先押圧部120が、針先プロテクタ部材22の外周側に位置している。
また、かかる組付状態では、リテーナ80の下壁部104が、プロテクタ本体78の抜止部92と基端壁部82との長さ方向間で位置決めされるとともに、下方壁部88と側方壁部94,94との上下方向間で位置決めされる。さらに、プロテクタ本体78の幅方向両端部(側方壁部94,94)がリテーナ80の側壁部106,106に当接することで、プロテクタ本体78がリテーナ80に対して幅方向で位置決めされる。これらのことから、プロテクタ本体78とリテーナ80との組付状態では、それぞれが相対変位することなく安定して組み付けられる。
かかる針先プロテクタ部材22が内針18に外挿されて、内針18の基端が内針ハブ20に固定されることで内針ユニット12が構成されている。すなわち、内針18の大径部28,28より基端側が、プロテクタ本体78における基端壁部82における貫通孔84と縦壁部96における貫通孔98に挿通される。
なお、プロテクタ本体78は、内針18が挿通されていない単体の状態では、上方壁部86の先端部分が下方に傾斜しており、長さ方向の投影において、上方壁部86の先端に設けられた屈曲部90が貫通孔84および貫通孔98と重なるように位置している(図8参照)。かかるプロテクタ本体78に対して内針18が挿通されることで、内針18の先端部分が外周側(上方)へ弾性変形せしめられて、屈曲部90の先端が内針18の外周面に当接するようになっている。すなわち、プロテクタ本体78に対して内針18が挿通された状態では、上方壁部86の先端部分(屈曲部90)に対して、常時内周側(下方)へ向かう付勢力が及ぼされており、屈曲部90の先端と内針18の外周面とが相互に当接することで、上方壁部86の先端部分(屈曲部90)における内周側への変形が制限されるようになっている。
以上の如き構造とされた内針ユニット12と外針ユニット14とが相互に組み付けられることで、留置針組立体10が構成されている。すなわち、針先プロテクタ部材22の基端部分(リテーナ80)が内針ハブ20の先端に設けられた収容空所40に収容されるとともに、内針18の針先16が外針ユニット14を貫通して外針24よりも先端側に位置している。なお、本実施形態では、内針ハブ20の収容空所40およびリテーナ80の周壁部108がそれぞれ略矩形状とされていることから、内針ハブ20と針先プロテクタ部材22との相対回転が防止され得る。
かかる内針ユニット12と外針ユニット14との組付状態では、リテーナ80の上壁部02および側壁部106,106から上方に突出する接続部118,118が、内針ハブ20におけるカバー筒部38の上方に設けられた窓部42に対して周方向で位置合わせされている。それ故、接続部118,118が窓部42を通じて内針ハブ20の外周側に突出しているとともに、接続部118,118に接続された指置部116および指先押圧部120が留置針組立体10の外周面に露出している。なお、このように、接続部118,118が窓部42を通じて外周側に突出することによっても、内針ハブ20と針先プロテクタ部材22との相対回転が防止され得る。
そして、指置部116および指先押圧部120は、内針ハブ20の先端部分から外針ハブ26の基端部分に跨って延びており、本実施形態では、指置部116が外針ハブ26の基端側開口部52に設けられた雄ねじ部54の外周側に位置して、且つ雄ねじ部54よりも先端側にまで延びているとともに、指先押圧部120が雄ねじ部54よりも先端側に位置している。すなわち、本実施形態では、雄ねじ部54の外周側に位置して、雄ねじ部54への接触などを阻止する汚染防止部が、指置部116によって構成されており、かかる汚染防止部(指置部)116が設けられることで、雄ねじ部54における細菌の付着などが効果的に防止され得る。
上記の如き組付状態では、指置部116と指先押圧部120の内周面に設けられた、長さ方向に延びる係合突部124と、外針ハブ26の外周面50に設けられた雄ねじ部54の凹溝部56とが周方向で位置決めされて、係合突部124が凹溝部56に入り込んでいる。これにより、係合突部124と雄ねじ部54とが相互に当接することで、針先プロテクタ部材22(内針ユニット12)と外針ハブ26(外針ユニット14)との相対回転が防止されて、周方向で位置決めされている。したがって、本実施形態では、これら係合突部124と雄ねじ部54とにより、相互の係合作用で周方向に位置決めする周方向位置決め用の係合部が構成されている。
また、かかる組付状態では、指置部116の内周面に設けられた接続部118,118と係合突起126との長さ方向間に、外針ハブ26の外周面50に設けられた雄ねじ部54が入り込んでいる。これにより、雄ねじ部54と係合突起126とが相互に当接することで、針先プロテクタ部材22(内針ユニット12)が、外針ハブ26(外針ユニット14)に対して基端側に変位することが阻止される。すなわち、本実施形態では、雄ねじ部54と係合突起126とにより、針先プロテクタ部材22の外針ハブ26に対する基端側への移動を規制する規制部が構成されている。
それに加えて、雄ねじ部54と、接続部118,118および係合突起126とが相互に当接することで、針先プロテクタ部材22(内針ユニット12)と外針ハブ26(外針ユニット14)との長さ方向での相対変位が防止されて、長さ方向で位置決めされている。したがって、本実施形態では、これら接続部118,118と係合突起126と雄ねじ部54とにより、相互の係合作用で長さ方向に位置決めする長さ方向位置決め用の係合部が構成されている。
さらに、かかる内針ユニット12と外針ユニット14との組付状態では、上記のように、指置部116および指先押圧部120が、外針ハブ26の雄ねじ部54に対して外側から係合している一方、針先プロテクタ部材22におけるプロテクタ本体78の上方壁部86の先端部分、およびリテーナ80の下方において先端側に延び出す連結部110が、外針ハブ26の基端側開口部52から内方(先端側)に挿入されるようになっている。すなわち、針先プロテクタ部材22における指置部116に対して内針18を挟んで径方向反対側(下方)に位置する部分(リテーナ80の下方)から延び出して、外針ハブ26の内方に挿入される挿入部が、連結部110によって構成されている。そして、かかる連結部110が、外針ハブ26の周壁部46の下方における内周面49に沿って外針ハブ26の内方に延びており、特に、本実施形態では、連結部110の外周面114が、外針ハブ26における下方の内周面49に当接している。なお、挿入部(連結部)110の外周面114は円弧状面であることが好ましいが、何等限定されるものではない。すなわち、例えば挿入部の外周面に複数の突起を設けて、当該突起と外針ハブ26における下方の内周面49とが当接するようにしてもよい。
したがって、本実施形態では、規制部(係合突起)126と指置部116と挿入部(連結部)110とが、同一の部材(リテーナ80)に設けられて、一体的に形成されている。また、本発明において限定される構造ではないが、本実施形態では外針ハブ26の内方に挿入される挿入部(連結部)110が指置部116と同一の部品(リテーナ80)に形成されていることから、指置部116に大きな力が作用した場合でも、外針ハブ26と針先プロテクタ部材22との係合が解除されて内針18の針先16が意図せず露出してしまうことがより確実に防止され得る。
なお、かかる組付状態において、プロテクタ本体78の上方壁部86と外針ハブ26における上方の内周面49とは、相互に当接していてもよいが、本実施形態では、僅かな離隔距離をもって径方向(上下方向)で対向している。かかるプロテクタ本体78の上方壁部86と外針ハブ26における上方の内周面49との離隔距離は、指置部116の内周面に設けられた係合突起126が雄ねじ部54を乗り越えるために必要な上下方向寸法より小さくされており、プロテクタ本体78の上方壁部86と外針ハブ26における上方の内周面49とが相互に当接することで、外針ハブ26(外針ユニット14)からの針先プロテクタ部材22(内針ユニット12)の抜出しが防止されている。
かかる構造とされた留置針組立体10は、施術者が内針ハブ20を把持しつつ指置部116に手指(例えば人差指)を載置した状態で、外針24および内針18の先端部分が患者の血管に経皮的に穿刺される。そして、逆血(フラッシュバック)を確認した後、施術者が指置部116に載置している手指で指先押圧部120を穿刺方向前方へ押圧することにより、内針18に案内されて外針24が患者の血管に穿刺される。かかる状態において、図5〜9に示されるように、外針ユニット14から内針18を引き抜くことで、内針18の針先16が針先プロテクタ部材22で保護されつつ、外針ハブ26と針先プロテクタ部材22との係合が解除されて、外針ユニット14から内針ユニット12が取り外されるようになっている。
すなわち、内針18を基端側に引き抜いて、プロテクタ本体78における上方壁部86の屈曲部90と内針18の外周面との係合が解除されることで、付勢力に従い上方壁部86の先端部分(屈曲部90)は、図6,9における白矢印の方向(内周側、即ち下方)に変位する。なお、下方に変位した上方壁部86の先端部分(屈曲部90および側方壁部100,100)は、連結部110の内周面に設けられた溝状凹所115に入り込むようになっている。これにより、図7,8に示されるように、内針18における針先16の周囲が、上方壁部86の先端部分(屈曲部90および側方壁部100,100)および連結部110により覆われて保護されるようになっている。
そして、上記のように、上方壁部86の先端部分が下方に変位することで、上方壁部86と外針ハブ26の内周面49との間に隙間が発生する。この隙間の大きさは、指置部116の内周面に設けられた係合突起126が雄ねじ部54を乗り越えるために必要な上下方向寸法よりも大きくされており、外針ハブ26に対して針先プロテクタ部材22(指置部116および指先押圧部120)を上方(外周側)に変位させることで、長さ方向位置決め用の係合部(雄ねじ部54ならびに接続部118,118および係合突起126)による長さ方向の位置決めが解除されて、外針ハブ26(外針ユニット14)から針先プロテクタ部材22(内針ユニット12)を取り外すことができるようになっている。なお、係合突起126の基端側面130が、下方になるにつれて次第に先端側に傾斜する(軸方向に対して傾斜する)傾斜面とされていることから、外針ハブ26に対して内針ユニット12(針先プロテクタ部材22)を基端側に水平に引き抜くことで、雄ねじ部54と基端側面130とが当接して、当該基端側面130により針先プロテクタ部材22の外針ハブ26に対する上方への変位がガイドされるようになっている。
上記の如き構造とされた留置針組立体10では、外針ハブ26と連結する針先プロテクタ部材22の外周側には指置部116が設けられていることから、留置針組立体10の穿刺後に指置部116を手指で押さえることで、外針ハブ26ひいては外針24を患者の皮膚に安定して固定することができる。加えて、外針ハブ26の雄ねじ部54と針先プロテクタ部材22のリテーナ80に設けられた指置部116とが周方向の一方(上方)で係合しているとともに、リテーナ80に設けられた挿入部(連結部110)と外針ハブ26の内周面49とが周方向の他方(下方)で係合している。すなわち、外針ハブ26と針先プロテクタ部材22とが周上の複数箇所で係合していることから、指先押圧部120に操作力を及ぼして外針ユニット14を穿刺方向前方に押し出す際に、外針ハブ26と針先プロテクタ部材22とをより確実に係合させた状態で押し出すことができる。これにより、外針ユニット14の押出操作時に、意図せず外針ハブ26と針先プロテクタ部材22との係合が解除されて内針18の針先16が保護されていない状態で露出してしまうことが効果的に防止され得る。
特に、本実施形態では、挿入部(連結部110)の外周面114が、外針ハブ26の内周面49に対応した円弧状面とされていることから、挿入部(連結部110)と外針ハブ26の内周面49との係合が安定して実現され得る。また、挿入部(連結部110)の外周面114により、外針ハブ26の内周面49が損傷するおそれも効果的に低減され得る。特に、かかる挿入部(連結部110)が合成樹脂製とされていることから、外針ハブ26の内周面49が損傷するおそれが一層効果的に低減され得る。
さらに、係合突起126の基端側面130が傾斜面とされていることから、外針ユニット14から内針ユニット12を引き抜くに際して、針先プロテクタ部材22を外針ハブ26との連結が解除される方向にガイドすることができて、内針ユニット12を水平に引き抜くことができる。これにより、内針18の引抜動作時において、内針ユニット12や外針ユニット14のぶれを小さく抑えることができる。
また、指先押圧部120が、針先プロテクタ部材22のリテーナ80に設けられていることから、外針ハブ26の外周面50に、外周側に大きく突出する突部などが設けられることが回避される。それ故、外針ユニット14を患者の血管に留置して外針ハブ26をテーピング固定するときなどに、患者の皮膚に指先押圧部が強く押し当たり患者が痛みを感じるおそれが回避され得る。
さらに、指置部116と指先押圧部120とが一体的に形成されていることから、施術者が指置部116に載置した手指で穿刺方向前方に操作力を及ぼすことにより、外針ユニット14を押し出す操作を行うことができる。
特に、施術者の手指が載置される指置部116が汚染防止部を構成して、外針ハブ26の雄ねじ部54よりも先端側まで延びていることから、施術者の手指が雄ねじ部54に接触して、外針ハブ26の基端側開口部52にシリンジなどを接続する際に細菌などが混入するおそれが低減され得る。そして、このように、汚染防止部が指置部116により構成されることで、汚染防止部が必要以上に大きく形成されることも回避され得る。
また、指先押圧部120も雄ねじ部54よりも先端側に位置していることから、指置部の大きさを十分に確保することができて、施術者による外針ユニット14の押出操作が、良好な操作感をもって行われ得る。
さらに、指先押圧部120の基端側には、基端側に向かって長さ方向に対する傾斜角度が次第に小さくされた湾曲部分122が設けられて、指先押圧部120と指置部116とが滑らかに接続されていることから、施術者の手指が良好なフィット感をもって載置され得る。それ故、施術者からの操作力を安定して外針ユニット14に伝達させることができる。
また、針先プロテクタ部材22が、それぞれ別部材とされたプロテクタ本体78とリテーナ80とによって形成されていることから、例えば内針18の針先16を直接覆うプロテクタ本体78を金属により形成して、複雑な形状であるリテーナ80を合成樹脂で形成することなども可能となる。
特に、リテーナ80に設けられる接続部118,118および係合突起126ならびに係合突部124により、リテーナ80が外針ハブ26に対して長さ方向および周方向で位置決めされる。それ故、外針ユニット14の押出操作時に、外針ハブ26に対して針先プロテクタ部材22が回転したり長さ方向で変位したりすることがなく、指先押圧部120(針先プロテクタ部材22)から及ぼされる操作力を安定して外針ユニット14に伝達することができる。
更にまた、本実施形態では、内針ハブ20における収容空所40の形状が略矩形状とされているとともに、リテーナ80の基端部分の形状も略矩形状とされている。それ故、リテーナ80の周壁部108が、収容空所40の周壁であるカバー筒部38に当接することで、内針ハブ20と針先プロテクタ部材22との相対回転が防止される。それに加えて、カバー筒部38に設けられた窓部42を通じてリテーナ80の接続部118,118が突出することでも、内針ハブ20と針先プロテクタ部材22との相対回転が防止され得る。かかる内針ハブ20と針先プロテクタ部材22との相対回転防止機構の少なくとも一つが採用されることで、内針ハブ20と針先プロテクタ部材22との相対回転が防止されて、例えば内針18の針先16に設けられる刃面27を上方に向けた状態で留置針組立体10を穿刺することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良などを加えた態様で実施可能である。
たとえば、前記実施形態では、規制部(係合突起)126と指置部116と挿入部(連結部)110とが、同一の部材(リテーナ80)に一体成形されることによって一体的に形成されていたが、かかる態様に限定されるものではない。すなわち、規制部と指置部と挿入部のうちの1つまたは2つは他のものとは別体として形成されて、必要に応じて接着や溶着、係止などの各種固定構造をもって相互に組み付けられることで一体的に設けられていてもよい。
また、前記実施形態では、指置部116と指先押圧部120とが一体的に形成されていたが、指置部と指先押圧部とは、相互に独立して形成されてもよい。なお、指先押圧部は、指置部より先端側にあることが好適であり、例えば外針ハブに設けられてもよい。尤も、指先押圧部は、本発明において必須なものではない。
さらに、前記実施形態では、内針18を引き抜く以前の初期状態では、指置部116の内周面に設けられた規制部としての係合突起126が外針ハブ26の雄ねじ部54に対して係止されるとともに、かかる係止が内針18の引抜きに伴い解除されるようになっていたが、かかる態様に限定されるものではない。すなわち、例えば外針ハブの雄ねじ部に対して係止されて、且つかかる係止が内針の引抜きに伴い解除されるような係止部(規制部)を指置部とは別に設けてもよい。
更にまた、前記実施形態では、長さ方向に延びる係合突部124が、指置部116および指先押圧部120の内周面において長さ方向の略全長に亘って延びていたが、指置部と指先押圧部の何れか一方の内周面においてのみ延びていてもよい。また、前記実施形態では、幅方向に延びる係合突起126が、指置部116の内周面に設けられていたが、指先押圧部の内周面に設けられてもよい。尤も、これら係合突部や係合突起は、本発明において必須なものではない。
また、前記実施形態では、汚染防止部が指置部116によって構成されていたが、例えば汚染防止部と指置部とは別体として形成されて、相互に組み付けられるなどして一体的に設けられるようになっていてもよい。あるいは、汚染防止部は指置部とは独立して形成されてもよく、例えば周方向の全周に亘って連続して延びる筒状の汚染防止部が設けられてもよい。尤も、かかる汚染防止部は、本発明において必須なものではない。
さらに、前記実施形態では、針先プロテクタ部材22が、金属製のプロテクタ本体78と合成樹脂製のリテーナ80により構成されていたが、プロテクタ本体およびリテーナの材質は何等限定されるものではない。すなわち、プロテクタ本体が合成樹脂製とされる一方、リテーナが金属製とされてもよいし、またはプロテクタ本体とリテーナの両方が金属製または合成樹脂製とされてもよい。尤も、針先プロテクタ部材は、プロテクタ本体とリテーナにより構成される必要はなく、金属や合成樹脂により一体的に形成されてもよい。