JP2018022620A - 試料収容セル及びその製造方法 - Google Patents

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佑美 吉井
Yumi Yoshii
佑美 吉井
貴正 高野
Takamasa Takano
貴正 高野
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Abstract

【課題】利便性を高めた試料を収容するセルを提供する。【解決手段】試料収容セル100は、第1開口部111を有する第1層110と、前記第1層110に対向して配置され、第1開口部111に対向する位置に電子線透過部を有する第2層150と、第1層110と第2層150との間に配置され、第1層110に接する第1薄膜120と、第1薄膜120に接して配置される中間層130と、第1層110又は第2層150に配置された液体注入口141、143とを備え、第1薄膜110は、第1開口部111を塞ぎ、電子線に対して透過性を有し、中間層130は、液体注入口141、143の端部から所定の距離にわたって拡がり、第1薄膜120と電子線透過部の間の観察空間MSと液体注入口141、143とを接続する流路空間FPを備える。【選択図】図3

Description

本開示の実施形態は観察対象の試料を収容するセル及びその製造方法に関する。
電子顕微鏡を用いた試料の観察は、一般的には、観察対象の試料が真空等の特殊な空間に曝される。一方、近年では、メカノバイオロジー(Mechanobiology)と呼ばれる技術分野において、生体細胞、生体組織等をそのまま観察したいという要求がある。しかしながら、電子顕微鏡での観察の際に試料を真空中に曝すと、細胞等は、液体成分が揮発していくことで変質し、また測定環境の汚染につながってしまう。これを防ぐために、様々な方法が開発されている。
例えば、試料を急速凍結して薄い氷の中に閉じ込め、冷凍状態で観察する技術がある。しかしながら、冷凍状態で観察する技術は、容易に観察用の試料を作製することができず、また、試料作成用の装置が非常に特殊であり高価なものであった。
さらに、液体中に試料を保持したまま観察することで、さらに試料を直接的に観察するための技術が、特許文献1に開示されている。この技術では、観察用のセルを構成する薄膜間に試料を含む液体を配置しつつ、試料が配置される空間をセルの外部空間と遮断する。電子線は、薄膜を透過して薄膜間の試料に到達するようになっている。
特開2007−165271号公報
特許文献1に開示されたセルのうち、注入口から試料を含む液体を注入する方式のセルにおいては、観察孔の大きさが小さい。そのため、観察孔に観察対象となる試料が到達しているか、電子顕微鏡による測定前に確認することが困難であった。また、試料を座体に配置した後に蓋体を被せ、座体と蓋体とを接着剤で接合する方式のセルについても特許文献1に開示されている。このようなセルでは、接合に高度な技術がユーザに求められ、座体と蓋体との接合がうまくいかずに内部の液体が漏れ出したり、座体と蓋体とのギャップ制御が困難であったりする場合があった。これらの複数の問題の少なくとも1つが生じる結果、試料を収容したセルが電子顕微鏡による観察に用いることができない状態であることも多くなり、ユーザの利便性を損ねていた。
本開示の実施形態の目的の一つは、試料を収容するセルの利便性を高めることにある。
本開示の一実施形態によると、第1開口部を有する第1層と、前記第1層に対向して配置され、前記第1開口部に対向する位置に電子線透過部を有する第2層と、前記第1層と前記第2層との間に配置され、前記第1層に接する第1薄膜と、前記第1薄膜に接して配置される中間層と、前記第1層又は前記第2層に配置された液体注入口と、を備え、前記第1薄膜は、前記第1開口部を塞ぎ、電子線に対して透過性を有し、前記中間層は、前記液体注入口の端部から所定の距離にわたって拡がり、前記第1薄膜と前記電子線透過部の間の観察空間と当該液体注入口とを接続する流路空間を備える試料収容セルを提供する。これによれば、試料を収容するセルの利便性を高めることができる。
前記中間層に接して配置される第2薄膜をさらに備え、前記第2層は、前記第1開口部に対向する位置に第2開口部を有し、前記第2薄膜は、前記第2開口部を塞ぎ、前記液体注入口に対応する位置で開口し、電子線に対して透過性を有し、前記電子線透過部は、前記第2開口部と前記第2薄膜とにより構成されてもよい。これによれば、試料収容セルを容易に製造することができる。
前記液体注入口が前記第1層に配置されもよい。これによれば、電子線の入射角のマージンが確保できる。また、空気より軽いガス中のウイルスなどを検出する際に注入しやすい。観察しながら試料を入れ替えることも可能である。
前記第1層は、シリコンであり、前記第2層は、シリコン薄膜であり、前記第1薄膜および前記第2薄膜は、窒化ケイ素であり、前記中間層は、酸化ケイ素であってもよい。これによれば、試料収容セルを容易に製造することができる。
前記第1層は、シリコンであり、前記第2層は、シリコン薄膜であり、前記第1薄膜および前記第2薄膜は、酸化ケイ素であり、前記中間層は、窒化ケイ素であってもよい。これによれば、試料収容セルを容易に製造することができる。
前記第1層は、シリコンであり、前記第2層は、シリコン薄膜であり、前記第1薄膜および前記第2薄膜は、アモルファスシリコンであり、前記中間層は、窒化ケイ素又は酸化ケイ素であってもよい。これによれば、試料収容セルを容易に製造することができる。
前記第1層は、シリコンであり、前記第2層は、シリコン薄膜であり、前記第1薄膜および前記第2薄膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素又はアモルファスシリコンであり、前記中間層は、金属であってもよい。これによれば、試料収容セルを容易に製造することができる。
前記第1開口部及び前記第2開口部がテーパ状の構造を有してもよい。これによれば、電子線の入射角のマージンが確保できる。
前記液体注入口の側面がスキャロップ形状を有してもよい。これによれば、封止材による封止性能を向上させることができる。
前記第1開口部及び前記第2開口部が曲線テーパ状の構造を有してもよい。これによれば、電子線の入射角のマージンが確保できる。
前記第1開口部及び前記第2開口部が段付きテーパ状の構造を有してもよい。これによれば、電子線の入射角のマージンが確保できる。また、第1開口部が段付きテーパ状の構造を有することにより、測定装置に取付けるガイドとすることができる。
前記第1層および前記第2層は、表面が(100)面、(110)面又は(111)面であってもよい。これによれば、試料収容セルを容易に製造することができる。
本開示の一実施形態によると、第1層上に、第1薄膜、中間層及び第2層を順次積層し、前記第2層の第1領域及び第2領域をエッチングし、前記第2領域の前記第2層を貫通させ、前記第2領域に対応する前記中間層の領域を露出させて、前記中間層に接続する液体注入口を形成し、前記第1領域に対応する領域の前記第1層をエッチングし、前記第1薄膜を露出させて、前記第1層に第1開口部を形成し、前記液体注入口を介して第1エッチング液を前記中間層に供給して当該中間層をエッチングし、前記第2層の前記第1領域に電子線透過部を形成し、前記第1薄膜と前記電子線透過部との間の観察空間、及び当該観察空間と前記液体注入口とを接続する流路空間を形成する試料収容セルの製造方法を提供する。これによれば、試料を収容するセルの利便性を高めることができる。
前記中間層上に第2薄膜をさらに積層し、前記第2層の前記第1領域及び前記第2領域をエッチングして貫通させて、前記第1領域に前記第2薄膜を露出する第2開口部を形成し、前記第2領域に対応する前記第2薄膜をエッチングして前記中間層の領域を露出させて、前記中間層に接続する液体注入口を形成し、前記液体注入口を介して第1エッチング液を前記中間層に供給して当該中間層をエッチングして、前記第2層の前記第1領域に電子線透過部を形成してもよい。これによれば、試料収容セルを容易に製造することができる。
本開示の一実施形態によると、第1層上に、第1薄膜、中間層、第2薄膜及び第2層を順次積層し、前記第2層の第1領域をエッチングして、前記第2薄膜を露出させ、前記第1領域に対応する前記第1層の領域及び前記第1層の第2領域をエッチングして、前記第1薄膜を露出させ、前記第1領域に第1開口部を形成し、前記第2領域に対応する前記第2薄膜をエッチングして前記中間層の領域を露出させて、前記中間層に接続する液体注入口を形成し、前記液体注入口を介して第1エッチング液を前記中間層に供給して当該中間層をエッチングし、前記第2層の前記第1領域に電子線透過部を形成し、前記第1薄膜と前記電子線透過部との間の観察空間、及び当該観察空間と前記液体注入口とを接続する流路空間を形成する試料収容セルの製造方法を提供する。これによれば、試料を収容するセルの利便性を高めることができる。
前記第1層および前記第2層をエッチングして前記第1薄膜および前記第2薄膜を露出させ、個片化される前記試料収容セルの端部に沿って、前記中間層に到達しない分離溝を形成してもよい。これによれば、工程負荷をほとんど増加させずに、試料収容セルの個片化を容易にすることができる。
前記第1層および前記第2層は、第2エッチング液又は第1エッチングガスを用いてエッチングし、前記第1層および前記第2層は、前記第2エッチング液又は第1エッチングガスよりも前記1エッチング液に対して耐性を有し、前記中間層は、前記第1エッチング液よりも前記第2エッチング液又は第1エッチングガスに対して耐性を有してもよい。これによれば、試料収容セルを容易に製造することができる。
前記第1層及び前記第2層は、第2エッチング液又は第1エッチングガスを用いてエッチングし、前記第1薄膜及び前記第2薄膜は、第2エッチングガスを用いてエッチングし、前記第1層および前記第2層は、前記第2エッチング液及び第1エッチングガスよりも前記第1エッチング液及び前記第2エッチングガスに対して耐性を有し、前記第1薄膜及び前記第2薄膜は、前記第2エッチングガスよりも前記第1エッチング液、前記第2エッチング液及び第1エッチングガスに対して耐性を有し、前記中間層は、前記第1エッチング液よりも前記第2エッチング液、前記第1エッチングガス及び前記第2エッチングガスに対して耐性を有してもよい。これによれば、試料収容セルを容易に製造することができる。
本開示によると、試料を収容するセルの利便性を高めることができる。
本開示の第1実施形態における試料収容セル100の外観を示す図である。 本開示の第1実施形態における試料収容セル100を第1層側から見た平面図である。 本開示の第1実施形態における試料収容セル100の断面構成(図1、2における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。 本開示の第1実施形態における試料収容セル100へ試料含有液体を注入する方法を説明する図である。 本開示の第1実施形態における試料収容セル100を封止するための樹脂を形成する方法を説明する図である。 本開示の第1実施形態における試料注入装置の試料注入処理を説明する図である。 本開示の第1実施形態における試料注入装置のセル封止処理を説明する図である。 本開示の第1実施形態における試料収容セル100の製造工程を説明する図である。 図8に続く試料収容セル100の製造工程を説明する図である。 図9に続く試料収容セル100の製造工程を説明する図である。 図10に続く試料収容セル100の製造工程を説明する図である。 本開示の第2実施形態における試料収容セル200の断面構成(図1、2における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。 本開示の第2実施形態における試料収容セル200の変形例の断面構成(図1、2における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。 本開示の第3実施形態における試料収容セル300の断面構成(図1、2における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。 本開示の第4実施形態における試料収容セル400の断面構成(図1、2における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。 本開示の第4実施形態における試料収容セル400の製造工程を説明する図である。 図16に続く試料収容セル400の製造工程を説明する図である。 図17に続く試料収容セル400の製造工程を説明する図である。 本開示の第5実施形態における試料収容セル500の断面構成(図1、2における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。 本開示の第5実施形態における試料収容セル500の製造工程を説明する図である。 図20に続く試料収容セル500の製造工程を説明する図である。 本開示の第6実施形態における試料収容セル600の断面構成(図1、2における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。 本開示の第6実施形態における試料収容セル600の製造工程を説明する図である。 図23に続く試料収容セル600の製造工程を説明する図である。 本開示の第1実施形態における複数の試料収容セルを分離する方法を説明する図である。 本開示の第7実施形態における試料収容セルを封止する方法を説明する図である。 本開示の第8実施形態における試料収容セル700の流路空間FPの形状を説明する図である。
<第1実施形態>
以下、本開示の一実施形態に係る試料収容セルについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率(各構成間の比率、縦横高さ方向の比率等)は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
[試料収容セルの構成]
図1は、本開示の第1実施形態における試料収容セル100の外観を示す図である。試料収容セル100は、第1層110、第1薄膜120、中間層130、第2薄膜140および第2層150により形成されている。第2層150は第1層110に対向して配置され、第1薄膜120は第1層110と第2層150との間に、第1層110に接して配置され、中間層130は第1薄膜120に接して配置され、第2薄膜140は中間層130に接して配置される。また、第1層110の第1薄膜120が配置される面とは反対側の面に酸化膜160が配置されてもよい。
第1層110はシリコン(支持層、支持基板)で構成され、数百μm(この例では300μm)の膜厚を有する。また、第1層110にはシリコンに替えて、単結晶サファイア(Al2O3);炭化ケイ素(SiC);窒化ガリウム(GaN);タングステン、モリブデン、銅、ステンレス等の金属;石英ガラス、硬質ガラス;アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、AIN、SiC、BN等のセラミクス;SrTiO3、LaAlO3、MgO、TiO2、Al2O3、SiO2、LiNbO3(SLN)、LiTaO3(SLT)等の酸化物単結晶、及び、MgF2、CaF2、BaF2、LiF等のフッ化物単結晶等の各種単結晶類から選択される材料を用いることもできる。
第2層150は、例えば、アモルファスシリコンやポリシリコン等のシリコン薄膜で構成され、1μm以上100μm以下(この例では5μm)の膜厚を有する。また、第2層150にはシリコン薄膜に替えて、単結晶サファイア(Al2O3);炭化ケイ素(SiC);窒化ガリウム(GaN);タングステン、モリブデン、銅、ステンレス等の金属;石英ガラス、硬質ガラス;アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、AIN、SiC、BN等のセラミクス;SrTiO3、LaAlO3、MgO、TiO2、Al2O3、SiO2、LiNbO3(SLN)、LiTaO3(SLT)等の酸化物単結晶、及び、MgF2、CaF2、BaF2、LiF等のフッ化物単結晶等の各種単結晶類から選択される材料を用いることもできる。
中間層130は酸化ケイ素、窒化ケイ素または金属材料で構成され、数百nm(この例では200nm)の膜厚を有する。中間層130には、銅、銀、金、錫、アルミニウム、アルミニウムとネオジウムの合金、アルミニウムとケイ素の合金、アルミニウムとケイ素と銅の合金、ニッケル+金、ニッケル+パラジウム金、ベリリウム銅、ニッケル、タングステン、ベリリウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、白金、パラジウム、クロム、タンタル、タリウム、チタン、モリブデン等から選択される金属材料を用いることができる。中間層130は、これらの金属材料をめっき又はスパッタ法により堆積して形成することができる。中間層130を部分的に除去することで、第1薄膜120と第2薄膜140との間に空間(流路空間FPおよび観察空間MS)を形成する。
試料収容セル100は、電子顕微鏡の観察対象となる試料を液体に含ませた状態で、この内部空間に収容するセルである。以下、試料を含む液体を、試料含有液体と表現する場合がある。試料収容セル100の大きさは、1辺が0.5mm〜3mm程度の正方形または長方形であり、この例では一辺が概ね1.0mmである。
第1層110および第2層150には、それぞれ開口部が形成されている。この例では、第1層110に比べて薄い第2層150に、開口部151、液体注入口141、143が配置されている。第1層110には、開口部111(図2,3参照)が配置されている。続いて、試料収容セル100の内部構造を含めた詳細な構造について、図2、図3を用いて説明する。
図2は、本開示の第1実施形態における試料収容セル100を第2層150側から見た平面図である。図3は、本開示の第1実施形態における試料収容セル100の断面構成(図1、2における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。なお、図3は、各断面線に対応する端面図を示している。以下の断面構成を示す模式図についても、それぞれ端面図として示している。
開口部151の中間層130側の開口は、第2層150に接して中間層130側に配置された第2薄膜140により塞がれている。これにより、開口部151と第2薄膜140とは電子線透過部を構成する。一方、液体注入口141または143に対応する位置では、第2薄膜140は開口している。また、開口部111の中間層130側の開口は、第1層110に接して中間層130側に配置された第1薄膜120により塞がれている。
開口部151を塞いでいる部分の第2薄膜140と、開口部111を塞いでいる部分の第1薄膜120とは対向している。第1薄膜120および第2薄膜140は、電子線に対して透過性を有する膜である。開口部151を塞いでいる部分の第1薄膜120と、開口部111を塞いでいる部分の第1薄膜120とによって挟まれた領域を観察空間MSという。観察空間MSは、測定対象となる試料が配置され、電子線が通過する。
第1薄膜120および第2薄膜140は中間層130の材料に応じて、例えば、シリコン(アモルファスシリコン、ポリシリコン、シリコン)、酸化ケイ素または窒化ケイ素で形成される。すなわち、中間層130として窒化ケイ素を選択する場合、第1薄膜120および第2薄膜140はシリコン(アモルファスシリコン、ポリシリコン、シリコン)または酸化ケイ素を選択することができる。また、中間層130として酸化ケイ素を選択する場合、第1薄膜120および第2薄膜140は窒化ケイ素を選択することができる。さらに、中間層130として金属材料を選択する場合、第1薄膜120および第2薄膜140はシリコン(アモルファスシリコン、ポリシリコン、シリコン)、酸化ケイ素または窒化ケイ素を選択することができる。
第1薄膜120および第2薄膜140の膜厚は、10nm以上200nm以下、望ましくは、15nm以上50nm以下であり、この例では、20nmである。第1薄膜120と第2薄膜140とは同じ膜厚であってもよいし、異なる膜厚であってもよい。第1薄膜120および第2薄膜140は、10nmより薄くなると強度がなくなり破損するおそれがある。一方、200nmよりも厚くなると、電子線が透過しなくなる。したがって、第1薄膜120および第2薄膜140は、破損しない程度の膜の強度を得ながらも、できるだけ薄くすることが望ましい。
第1薄膜120と第2薄膜140との距離は、中間層130の膜厚に対応する。そのため、この例では、上述した通り、200nmとなる。この距離は、試料すなわち観察対象物(例えば細胞)の大きさに依存して設定されることが望ましく、観察対象物よりも大きくする必要がある。一方、第1薄膜120と第2薄膜140との距離が観察対象物に対して大きすぎると、観察対象物が重なって個々の観察対象物の観察結果が得られにくくなったり、電子線が透過しにくくなったりする。すなわち、第1薄膜120と第2薄膜140との距離を、電子線が通過できない程度の距離以上にする必要はない。
開口部151と開口部111とは対向して配置され、第2層150側から見た場合に、中間層130側において、ほぼ同じ大きさで開口するように設計されている。開口部151および開口部111の開口(中間層130側)の形状は、この例では、50μm×50μmの正方形である。なお、この開口の形状は、5μm×50μm等の長方形であってもよい。
液体注入口141、143の開口の形状は、開口部151と比べて大きく、この例では、中間層130側の開口の大きさは、100μm×100μmの正方形である。この開口の形状についても正方形でなく長方形であってもよい。説明に用いた各図では、構造をわかりやすくする表現するために、各構成間の比率等を調整して示している。
なお、これらの開口部151、液体注入口141、143の開口の形状は、四角形以外の多角形であってもよいし、円形、楕円形等、曲線で囲まれた形状であってもよいし、直線と曲線とで囲まれた形状であってもよい。ただし、第1層110および第2層150のエッチングを結晶異方性エッチングで行う場合には、開口の形状は四角形であることが望ましい。また、液体注入口141の形状と液体注入口143の形状とが異なっていてもよい。例えば、試料含有液体が注入される側の開口部が大きくてもよい。
開口部151、111は、その内壁が、第1薄膜120および第2薄膜140が拡がる平面(基板表面)に対して傾き(テーパ形状)を持って形成されている。液体注入口141、143についても、その内壁がその基板表面に対して傾きを持って形成されている。後述するように、(100)面が表面になっている単結晶シリコンである第1層110を用い、TMAH(Tetramethylammonium hydroxide)水溶液等のエッチング液で結晶異方性エッチングを施すようにすれば、(111)面が開口部の側面に現れるため、テーパ形状の制御が容易になる。また、第2層150が同様の結晶方位を有する単結晶シリコンの場合には、同様にテーパ形状の制御が可能である。なお、第1層110及び第2層150の表面が(110)面又は(111)面であってもよい。また、第1層110及び第2層150に面方位がなくてもよい。
なお、開口部内において傾きの程度が一定でなく変化していてもよい。すなわち、開口部151、液体注入口141、143は中間層130側の開口面積が外部空間190側の開口面積よりも小さい。また、開口部111は中間層130側の開口面積が外部空間190側の開口面積よりも小さい。開口部151、111の内壁がテーパ形状であると、電子線の入射角のマージンを確保することができる。
第1薄膜120と第2薄膜140との間には、中間層130によって囲まれた空間が形成されている。この空間は、上記の観察空間MSおよび流路空間FPを含み、液体注入口141の開口端部から拡がった第1範囲、および液体注入口143の開口端部から拡がった第2範囲を含んでいる。それぞれの開口端部から空間端部までは、ほぼ等距離(この例では、約150μm)に拡がっている。第1範囲と第2範囲とは一部において重複している。この例では、重複した部分に観察空間MSが配置されている。
流路空間FPは、観察空間MSと外部空間190とを接続するための空間である。この例では、流路空間FPは、少なくとも2つの開口部を介して外部空間190と接続し、この例では液体注入口141、143を介して外部空間190に接続する。一方の開口部が試料含有液体を注入するための開口であり、他方が流路空間FPの空気を外部空間190に押し出すための排気口として機能する。
以上が、試料収容セル100の構成についての説明である。試料収容セル100は、開口部151と開口部111とがテーパ状の構造を有するため、電子線の入射角のマージンを確保することができる。続いて、試料収容セル100に試料含有液体を配置して、電子顕微鏡にて観察できる状態にするための処理(観察セル作製処理)について説明する。
[観察セル作製処理]
図4は、本開示の第1実施形態における試料収容セル100へ試料含有液体を注入する方法を説明する図である。試料含有液体910は、流路空間FPに液体注入口141から注入されると、流路空間FPを移動して観察空間MSに至り、さらには、液体注入口143まで到達する。なお、液体注入口141ではなく液体注入口143に試料含有液体910が注入されてもよいが、以下の説明では、液体注入口141に試料含有液体910が注入される液体注入口であるものとして説明する。この場合には、液体注入口143は、試料含有液体910が注入されるときに、流路空間FPの気体を排出する排出口として機能する。
図5は、本開示の第1実施形態における試料収容セル100を封止するための樹脂を形成する方法を説明する図である。試料含有液体910が流路空間FPおよび観察空間MSに充填された後、液体注入口141、143を封止材931、933で塞ぐことで、流路空間FPおよび観察空間MSは、外部空間190と分離される。封止材931、933は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂であり、UV硬化型の樹脂であってもよいし、2液混合型硬化樹脂(例えば、2液常温硬化タイプまたは1液低温硬化タイプ)であってもよい。UV硬化型の場合には、液体注入口141、143を塞ぐように硬化前の樹脂を形成し、UV照射によって硬化させて封止材931、933が形成される。なお、封止材931、933によって外部空間190と分離された内部空間には気泡が含まれないようにしてもよいし、硬化前の樹脂と試料含有液体910とが混合しないように、少なくとも樹脂が硬化するまでは互いに離れた状態(試料含有液体と封止材との間に気泡が存在する状態)にしてもよい。
観察空間MSに配置された試料含有液体910は、外部空間190と離隔されているため、電子顕微鏡による観察が行われる際に、試料収容セル100が真空環境に曝されても、試料含有液体910が揮発してしまうことを防ぎ、液体の状態を保持することができる。また、観察空間MSは、電子線に対して透過性を有する数十nm程度の第1薄膜120および第2薄膜140に囲まれている。観察空間MSの高さ(第1薄膜120および第2薄膜140との距離)、すなわち試料含有液体910の厚さは、電子線に対して透過性を有する程度の大きさである。
したがって、電子顕微鏡で用いられる電子線(図5における電子線EB)は、開口部151を通って、第2薄膜140、試料含有液体910および第1薄膜120を通過し、さらに開口部11を通過することができる。電子線EBの方向は図5に示す方向とは逆であってもよい。
図4における試料注入処理、および図5におけるセル封止処理については、手動処理であっても、自動処理であってもよい。手動処理の場合には、マイクロマニピュレータに取り付けたガラスキャピラリの先端と液体注入口141、143との位置関係を、実体顕微鏡を用いて確認し、ガラスキャピラリに接続されたインジェクタを用いて試料含有液体910を注入したり、封止材931、933を注入したりすればよい。
また、自動処理の場合には、試料注入処理およびセル封止処理を自動的に実行して観察セルを作成する装置を用いればよい。
[観察セル作製装置]
図6は、本開示の第1実施形態における観察セル作製装置の試料注入処理を説明する図である。観察セル作製装置800は、試料注入器810、UV照射器860およびステージ888を備える。ステージ888には、チップ台825、カップ台835、845、試料台850が取り付けられている。チップ台825は、チップ820を収容する。チップ820は、試料含有液体910を吸い取るためのノズルを有するピペットチップである。カップ台835は、試料含有液体910を保持する試料カップ830を収容する。カップ台845は、封止材となる硬化前樹脂930を保持する試料カップ840を収容する。試料台850は、試料収容セル100を設置する。また、ステージ888には、チップ820を廃棄するための廃棄口870が配置されている。
試料注入器810に対して、ステージ888は水平方向(図6における左右方向、以下、X方向という)に移動可能である。また、試料注入器810は、水平方向であってステージ888の移動方向とは垂直な方向(図6における奥行き方向、以下、Y方向という)と、鉛直方向(図6における上下方向、以下、Z方向という)とに移動可能である。したがって、試料注入器810とステージ888とでX、Y、Z方向で相対的に移動可能になっている。なお、ステージ888上の試料台850については、別途Y方向にも移動可能であってもよい。
試料注入器810は、チップ取付部811、支持部813、制御部815およびチップ取り外し部817を備える。チップ取付部811は、先端にチップ820が差し込まれて取り付けられる部分である。支持部813は、装置天井に対してY方向、Z方向に移動させるように試料注入器810を支持する。制御部815は、チップ取付部811に取り付けられたチップ820に試料カップ内の液体を吸い込んで保持したり、チップ820に保持された液体を排出したりするための制御を行う。チップ取り外し部817は、下方に移動することによって、チップ820を下方に押し出してチップ取付部811から取り外す。
UV照射器860は、硬化前樹脂930を硬化させるためのUV光を照射する装置である。UV光の照射範囲は、試料台850に設置された試料収容セル100全体を含んでいてもよいし、液体注入口141、143に対応する部分にスポットで照射するようにしてもよい。液体注入口141、143に対応する部分にスポットで照射するようにすれば、試料へのUV光の影響を抑えることができる。
図6(a)は、試料収容セル1がセル保管庫等から運ばれて、観察セル作製装置800の試料台850に設置された状態を示している。続いて、ステージ888と試料注入器810とを移動させ、以下に示す順に処理を実行する。まず、チップ取付部811にチップ820を取り付ける(図6(b))。その後、試料注入器810は、試料カップ830内の試料含有液体910を吸い上げてチップ820内に保持する(図6(c))。試料含有液体910を保持するチップ820を試料収容セル100の液体注入口141上に移動させて、チップ820内の試料含有液体910を排出して液体注入口141から試料収容セル100内部に注入する(図6(d))。
なお、チップ820を試料収容セル100の液体注入口141上に移動させる際には、例えば、試料注入器810は、カメラ等の撮像部を用いて試料収容セル100の形状を画像認識し、さらには液体注入口141の位置を認識し、液体注入口141の位置にチップ820を移動させる。続いて、観察セル作製装置800の封止処理について説明する。
図7は、本開示の第1実施形態における観察セル作製装置のセル封止処理を説明する図である。試料注入器810は、試料カップ840内の硬化前樹脂930を吸い上げてチップ820内に保持する(図7(a))。硬化前樹脂930を保持するチップ820を試料収容セル100の液体注入口141上に移動させて、チップ820内の硬化前樹脂930を排出して液体注入口141に滴下し(図7(d))、続いて、液体注入口143に滴下する(図7(e))。なお、液体注入口143への滴下前に、再度チップ820内に硬化前樹脂930を吸い上げておいてもよい。硬化前樹脂930が、UV硬化型ではなく、上述した2液常温硬化タイプまたは1液低温硬化タイプであっても同様であり、この場合には、後述するUV光の照射は不要である。
続いて、試料台850をUV照射器860の下方に移動させ、試料収容セル1にUV照射器860からのUV光を照射する。この照射によって、試料収容セル100の液体注入口141、143に滴下された硬化前樹脂930を硬化させる。このとき、試料含有液体910に細胞や生体由来の試料が含まれる場合は、UV光を試料収容セル1の液体注入口141、143に滴下された硬化前樹脂930のみに照射することが好ましい。これによって、試料収容セル100の内部空間に試料含有液体910が外部空間190と離隔された状態で収容される。また、試料注入器810は、チップ取り外し部817によって、チップ820をチップ取付部811から取り外して廃棄口870に廃棄する。UV光の照射中にチップ820の廃棄が実施されてもよい。
その後、試料含有液体910を収容した試料収容セル100が回収され、新たな試料収容セル100が試料台850に設置される(図6(a))。なお、チップ820は、試料収容セル100毎に交換するプロセスを説明したが、液体注入口141に滴下する硬化前樹脂930を吸い上げる前にチップ820を交換してもよい。
以上が、観察セル作製装置800による試料注入処理およびセル封止処理についての説明である。続いて、試料収容セル100の製造方法について図8〜図10を用いて説明する。
[試料収容セルの製造方法]
試料収容セル100は、上述したように、シリコン基板110上に各層を積層した基材を用いて製造される。そして、第1薄膜120と第2薄膜140との間に形成された中間層130の一部をエッチングすることによって、第1薄膜120と第2薄膜140の間に、流路空間FPおよび観察空間MSを形成する。以下、具体的に、試料収容セル100の製造方法を説明する。
図8は、本開示の第1実施形態における試料収容セル100の製造工程を説明する図である。図9は、図8に続く試料収容セル100の製造工程を説明する図である。図10は、図9に続く試料収容セル100の製造工程を説明する図である。いずれの図も、図3に対応する断面構造を示している。まず、図8(a)に示すように、第1層110を準備する。
第1層110上に、第1薄膜120を形成する(図8(b))。第1薄膜120は中間層130の材料に応じて、例えば、アモルファスシリコン、酸化ケイ素または窒化ケイ素で形成される。第1薄膜120は、例えば、真空蒸着法や、化学気相成長(CVD)法等のMEMSの分野で用いられる公知の方法で形成することができる。また、酸化ケイ素はシリコンの熱酸化により形成することもできる。
第1薄膜120上に、中間層130を形成する(図8(c))。中間層130は酸化ケイ素、窒化ケイ素または金属材料で形成することができる。中間層130には、銅、銀、金、錫、アルミニウム、アルミニウムとネオジウムの合金、アルミニウムとケイ素の合金、アルミニウムとケイ素と銅の合金、ニッケルニッケル+金、ニッケル+パラジウム金、ベリリウム銅、ニッケル、タングステン、ベリリウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、白金、パラジウム、クロム、タンタル、タリウム、チタン、モリブデン等から選択される金属材料を用いることができる。中間層130は、例えば、真空蒸着法や、化学気相成長(CVD)法、スパッタリング法等のMEMSの分野で用いられる公知の方法で形成することができる。
中間層130上に、第2薄膜140を形成する(図8(d))。第2薄膜140は、第1薄膜120と同様の材料を用いて、同様の形成方法により形成することができるため、詳細な説明は省略する。
第2薄膜140上に、第2層150を形成する(図8(e))。第2層150は、例えば、アモルファスシリコンやポリシリコン等のシリコン薄膜で形成することができる。また、第2層150にはシリコン薄膜に替えて、単結晶サファイア(Al2O3);炭化ケイ素(SiC);窒化ガリウム(GaN);タングステン、モリブデン、銅、ステンレス等の金属;石英ガラス、硬質ガラス;アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、AIN、SiC、BN等のセラミクス;SrTiO3、LaAlO3、MgO、TiO2、Al2O3、SiO2、LiNbO3(SLN)、LiTaO3(SLT)等の酸化物単結晶、及び、MgF2、CaF2、BaF2、LiF等のフッ化物単結晶等の各種単結晶類から選択される材料を用いることもできる。第2層150、例えば、真空蒸着法や、化学気相成長(CVD)法、スパッタリング法等のMEMSの分野で用いられる公知の方法で形成することができる。
一実施形態においては、第1層110および第2層150は、第2エッチング液又は第1エッチングガスを用いてエッチングする。第1層110および第2層150は、第2エッチング液又は第1エッチングガスよりも第1エッチング液に対して耐性を有する。中間層130は、第1エッチング液よりも第2エッチング液又は第1エッチングガスに対して耐性を有する。
また、一実施形態においては、第1層110及び第2層150は、第2エッチング液又は第1エッチングガスを用いてエッチングする。第1薄膜120及び第2薄膜140は、第2エッチングガスを用いてエッチングする。第1層110および第2層150は、第2エッチング液及び第1エッチングガスよりも第1エッチング液及び第2エッチングガスに対して耐性を有することが好ましい。第1薄膜120及び第2薄膜140は、前記第2エッチングガスよりも第1エッチング液、第2エッチング液及び第1エッチングガスに対して耐性を有しことが好ましい。また、中間層130は、第1エッチング液よりも前記第2エッチング液、第1エッチングガス及び第2エッチングガスに対して耐性を有することが好ましい。
図9(a)に示すように、第2層150の上面に、マスク層155を形成する。マスク層155は、後述するシリコンに対するエッチング液(この例では水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液又は水酸化カリウム(KOH)水溶液)に対して耐性(エッチングレートが低い)を有する膜が望ましく、例えば、シリコン窒化膜である。マスク層155の膜厚は、例えば、50nm以上2μm以下である。
これらの膜は、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)などの蒸着処理等によって形成されればよい。また、マスク層155がシリコン窒化膜でなく酸化ケイ素膜であれば、第2層150を熱酸化することで表面に形成された熱酸化膜を用いてもよい。以下に形成される様々な膜についても、同様である。
フォトリソグラフィ技術を用いて、マスク層155の一部をエッチングする。エッチングされる領域は、開口部151、液体注入口141、143に対応する領域である。マスク層155のエッチングには、RIE(Reactive Ion Etching)が用いられる。このとき、第2層150についても一部エッチング(オーバーエッチング)してもよい。なお、膜のエッチングのためには、ドライエッチングおよびウエットエッチングのいずれも適用可能であり、特に明示しない限り以下の説明においても同様である。
次に、マスク層155をエッチングマスクとして、第2層150をエッチングして第2薄膜140を露出させる(図9(b))。このエッチングは、結晶異方性エッチングであり、エッチング液としてTMAH水溶液やKOH水溶液が用いられる。第2薄膜140がエッチングストッパとなって、第2層150がエッチングされる。この例では、エッチング液としてTMAH水溶液やKOH水溶液を用いることにより、第2層150がテーパ状にエッチングされる。これにより、開口部151、152及び153が形成される。その後、第2層150からマスク層155を剥離する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、開口部151及び第2層150を覆うようにレジスト層157を形成する(図9(c))。なお、レジスト層157は、RIEで用いるSF6等のエッチングガスに対して耐性を有することが望ましい。しかし、完全な耐性を有することは困難であるため、後述するSF6等を用いたエッチングにおいて減少する膜厚分を考慮して、予め厚膜化しておいてもよい。
次に、RIEを用いて、第2薄膜140の一部をエッチングする(図9(d))。第2薄膜140は、少なくとも、開口部151に形成された部分を残し、かつ、開口部152、153から中間層130の少なくとも一部が露出するようにエッチングされる。この工程により、第2層150側のパターンの形成が終了する。その後、第2層150からレジスト層157を剥離する。
次に、第1層110の第2薄膜140が形成されている面とは反対側の面に酸化膜160を形成する(図10(a))。酸化膜160は、例えば、プラズマCVDにより形成することができ、その膜厚は、例えば、50nm以上10μmであるが、これに限定されない。酸化膜160上にマスク層165を形成し、RIEを用いて、酸化膜160をエッチングする(図10(b))。エッチングされる領域は、開口部111に対応する領域である。その後、酸化膜160からマスク層165を剥離する。
そして、酸化膜160をエッチングマスクとして、第1層110をエッチングする(図10(c))。このエッチングは、第2層150のエッチングと同様に、結晶異方性エッチングであり、エッチング液としてTMAH水溶液やKOH水溶液が用いられる。この例では、第1層110(シリコン)の表面が(100)面であり、開口部111の側面が、エッチングレートの遅い(111)面に沿って形成される。また、第1薄膜120がエッチングストッパとなる。なお、第2層150に比べて、第1層110は、エッチングされる層厚が大きい。したがって、図10(b)においてマスク層165がエッチングされる領域は、図9(a)において開口部151の位置に対応してマスク層155がエッチングされた領域よりも大きくなる。
次に、液体注入口141、143を介して中間層130にエッチング液を供給することによって、中間層130をエッチングする(図11)。本実施形態において、等方性のエッチングにより中間層130がエッチングされる。エッチング液は、この例では、BHFである。このエッチングは、等方性エッチングであるため、エッチング時間の経過とともに、液体注入口141、143の開口端部から拡がるように中間層130がエッチングされていく。一方、第1薄膜120と第2薄膜140とは、BHFに対して耐性を有しているため、ほとんどエッチングされない。そのため、第1薄膜120と第2薄膜140との間に空間が形成されていく。
そして、液体注入口141、143の双方から拡がった空間が接続され、かつ、第1薄膜120と第2薄膜140とが対向する領域(観察空間MS)が形成された後に、エッチングを終了する。これによって、第1薄膜120と第2薄膜140との間に流路空間FPおよび観察空間MSが形成される。なお、中間層130のエッチングの際には、エッチング液中に気泡が発生する場合がある。このような場合には、脱気処理をしつつ、エッチング処理を実行すればよい。観察空間MSが形成されることにより、開口部151と第2薄膜140とは電子線透過部を形成する。
上述した試料収容セル100は、各図において1つのセルとして説明したが、実際の製造工程においては、一基板上に複数の試料収容セル100が同時に形成されている。そのため、それぞれの試料収容セル100を個片化するための処理が行われる。この処理は、ダイシング等により切断するものであってもよいが、この例では、別の方法により個片化を実現する。
(実施例1)
上述した第1実施形態の試料収容セル100について、具体的な実施例を示して、さらに説明する。実施例1の試料収容セルとして、例えば、第1層110としてシリコン基板、第1薄膜120として窒化ケイ素、中間層130として酸化ケイ素、第2薄膜140として窒化ケイ素および第2層150としてアモルファスシリコン又はポリシリコンを選択することができる。
実施例1においては、第1層110及び第2層150は、エッチング液としてTMAH水溶液やKOH水溶液を用いる異方性エッチングによりエッチングしてもよく、また、RIE(Reactive Ion Etching)やDRIE(Deep Reactive Ion Etching)によりエッチングしてもよい。第1層110は、TMAH水溶液やKOH水溶液を用いる異方性エッチングやDRIEによりエッチングすることができる。また、第2層150は、RIEやDRIEによりエッチングすることができる。
実施例1においては、フッ酸を用いた等方性エッチングにより、中間層130をエッチングすることができる。このように、実施例1の試料収容セルを製造することができる。
(実施例2)
実施例2の試料収容セルとして、例えば、第1層110としてシリコン基板、第1薄膜120として酸化ケイ素、中間層130として窒化ケイ素、第2薄膜140として酸化ケイ素および第2層150としてアモルファスシリコン又はポリシリコンを選択することができる。
実施例2においては、第1層110及び第2層150は、エッチング液としてTMAH水溶液やKOH水溶液を用いる異方性エッチングによりエッチングしてもよく、また、RIE(Reactive Ion Etching)やDRIE(Deep Reactive Ion Etching)によりエッチングしてもよい。第1層110は、TMAH水溶液やKOH水溶液を用いる異方性エッチングやDRIEによりエッチングすることができる。また、第2層150は、RIEやDRIEによりエッチングすることができる。
実施例2においては、熱リン酸を用いた等方性エッチングにより、中間層130をエッチングすることができる。このように、実施例2の試料収容セルを製造することができる。
(実施例3)
実施例3の試料収容セルとして、例えば、第1層110としてシリコン基板、第1薄膜120としてアモルファスシリコン又はポリシリコン、中間層130として窒化ケイ素、第2薄膜140としてアモルファスシリコン又はポリシリコンおよび第2層150としてアモルファスシリコン又はポリシリコンを選択することができる。
実施例3においては、第1層110及び第2層150は、エッチング液としてTMAH水溶液やKOH水溶液を用いる異方性エッチングによりエッチングしてもよく、また、RIE(Reactive Ion Etching)やDRIE(Deep Reactive Ion Etching)によりエッチングしてもよい。第1層110は、TMAH水溶液やKOH水溶液を用いる異方性エッチングやDRIEによりエッチングすることができる。また、第2層150は、RIEやDRIEによりエッチングすることができる。
実施例3においては、熱リン酸を用いた等方性エッチングにより、中間層130をエッチングすることができる。このように、実施例3の試料収容セルを製造することができる。
(実施例4)
実施例4の試料収容セルとして、例えば、第1層110としてシリコン基板、第1薄膜120としてアモルファスシリコン又はポリシリコン、中間層130として酸化ケイ素、第2薄膜140としてアモルファスシリコン又はポリシリコンおよび第2層150としてアモルファスシリコン又はポリシリコンを選択することができる。
実施例4においては、第1層110及び第2層150は、エッチング液としてTMAH水溶液やKOH水溶液を用いる異方性エッチングによりエッチングしてもよく、また、RIE(Reactive Ion Etching)やDRIE(Deep Reactive Ion Etching)によりエッチングしてもよい。第1層110は、TMAH水溶液やKOH水溶液を用いる異方性エッチングやDRIEによりエッチングすることができる。また、第2層150は、RIEやDRIEによりエッチングすることができる。
実施例4においては、フッ酸を用いた等方性エッチングにより、中間層130をエッチングすることができる。このように、実施例4の試料収容セルを製造することができる。
(実施例5)
実施例5の試料収容セルとして、例えば、第1層110としてシリコン基板、第1薄膜120として窒化ケイ素、中間層130として金属材料、第2薄膜140として窒化ケイ素および第2層150としてアモルファスシリコン又はポリシリコンを選択することができる。なお、中間層130に用いる金属材料は、上述した材料から選択することができるため、詳細な説明は省略する。
実施例5においては、第1層110及び第2層150は、エッチング液としてTMAH水溶液やKOH水溶液を用いる異方性エッチングによりエッチングしてもよく、また、RIE(Reactive Ion Etching)やDRIE(Deep Reactive Ion Etching)によりエッチングしてもよい。第1層110は、TMAH水溶液やKOH水溶液を用いる異方性エッチングやDRIEによりエッチングすることができる。また、第2層150は、RIEやDRIEによりエッチングすることができる。
実施例5においては、中間層130として用いた金属材料に応じた公知のエッチング液を選択することにより、中間層130をエッチングすることができる。このように、実施例5の試料収容セルを製造することができる。
(実施例6)
実施例6の試料収容セルとして、例えば、第1層110としてシリコン基板、第1薄膜120として酸化ケイ素、中間層130として金属材料、第2薄膜140として酸化ケイ素および第2層150としてアモルファスシリコン又はポリシリコンを選択することができる。なお、中間層130に用いる金属材料は、上述した材料から選択することができるため、詳細な説明は省略する。
実施例6においては、第1層110及び第2層150は、エッチング液としてTMAH水溶液やKOH水溶液を用いる異方性エッチングによりエッチングしてもよく、また、RIE(Reactive Ion Etching)やDRIE(Deep Reactive Ion Etching)によりエッチングしてもよい。第1層110は、TMAH水溶液やKOH水溶液を用いる異方性エッチングやDRIEによりエッチングすることができる。また、第2層150は、RIEやDRIEによりエッチングすることができる。
実施例6においては、中間層130として用いた金属材料に応じた公知のエッチング液を選択することにより、中間層130をエッチングすることができる。このように、実施例6の試料収容セルを製造することができる。
(実施例7)
実施例7の試料収容セルとして、例えば、第1層110としてシリコン基板、第1薄膜120としてアモルファスシリコン又はポリシリコン、中間層130として金属材料、第2薄膜140としてアモルファスシリコン又はポリシリコンおよび第2層150としてアモルファスシリコン又はポリシリコンを選択することができる。なお、中間層130に用いる金属材料は、上述した材料から選択することができるため、詳細な説明は省略する。
実施例7においては、第1層110及び第2層150は、エッチング液としてTMAH水溶液やKOH水溶液を用いる異方性エッチングによりエッチングしてもよく、また、RIE(Reactive Ion Etching)やDRIE(Deep Reactive Ion Etching)によりエッチングしてもよい。第1層110は、TMAH水溶液やKOH水溶液を用いる異方性エッチングやDRIEによりエッチングすることができる。また、第2層150は、RIEやDRIEによりエッチングすることができる。
実施例7においては、中間層130として用いた金属材料に応じた公知のエッチング液を選択することにより、中間層130をエッチングすることができる。このように、実施例7の試料収容セルを製造することができる。
(実施例8)
実施例8の試料収容セルとして、例えば、第1層110と第2層150は、シリコンに替えて、単結晶サファイア(Al2O3);炭化ケイ素(SiC);窒化ガリウム(GaN);タングステン、モリブデン、銅、ステンレス等の金属;石英ガラス、硬質ガラス;アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、AIN、SiC、BN等のセラミクス;SrTiO3、LaAlO3、MgO、TiO2、Al2O3、SiO2、LiNbO3(SLN)、LiTaO3(SLT)等の酸化物単結晶、及び、MgF2、CaF2、BaF2、LiF等のフッ化物単結晶等の各種単結晶類から選択される材料を用いて形成することができる。
また、実施例8の試料収容セルとして、第1薄膜120と第2薄膜140には、中間層130のエッチング液に耐性があり、中間層130との選択比が大きい材料を選択することができる。中間層130には、中間層130のエッチング液に耐性がなく、第1薄膜120及び第2薄膜140との選択比が大きい材料を選択することができる。
実施例8においては、第1層110及び第2層150は、選択した材料に応じたエッチング液を用いた異方性エッチングやRIEやDRIEによりエッチングすることができる。
実施例8においては、中間層のエッチング速度が速く、第1薄膜及び第2薄膜にはエッチング速度が遅い液およびガスにより、中間層130をエッチングすることができる。このように、実施例8の試料収容セルを製造することができる。
<第2実施形態>
図12は、本開示の第2実施形態における試料収容セル200の断面構成(図1、2における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。試料収容セル200は、第1層210、第1薄膜220、中間層230、第2薄膜240および第2層250により形成されている。第2層250は第1層210に対向して配置され、第1薄膜220は第1層210と第2層250との間に、第1層210に接して配置され、中間層230は第1薄膜220に接して配置され、第2薄膜240は中間層230に接して配置される。また、第1層210の第1薄膜220が配置される面とは反対側の面に酸化膜260が配置されてもよい。
開口部251の中間層230側の開口は、第2層250に接して中間層230側に配置された第2薄膜240により塞がれている。これにより、開口部251と第2薄膜240とは電子線透過部を構成する。一方、液体注入口241または243に対応する位置では、第2薄膜240は開口している。また、開口部211の中間層230側の開口は、第1層210に接して中間層230側に配置された第1薄膜220により塞がれている。
開口部251を塞いでいる部分の第2薄膜240と、開口部211を塞いでいる部分の第1薄膜220とは対向している。第1薄膜220および第2薄膜240は、電子線に対して透過性を有する膜である。開口部251を塞いでいる部分の第1薄膜220と、開口部211を塞いでいる部分の第1薄膜220とによって挟まれた領域を観察空間MSという。観察空間MSは、測定対象となる試料が配置され、電子線が通過する。
試料収容セル200においては、開口部251、液体注入口241、243及び開口部211は、テーパ状の構造を有していない点で、第1実施形態の試料収容セル100とは異なる。なお、開口部251、液体注入口241、243及び開口部211は、各層及び膜をRIEやDRIEによりエッチングすることにより形成することができる。第1層210、第1薄膜220、中間層230、第2薄膜240および第2層250に用いる材料は、上述した第1実施形態の試料収容セル100と同様であるため、詳細な説明は省略する。
試料収容セル200は、開口部251及び開口部211においてテーパ状の構造をなくすことにより、必用な電子線のみを使用することができる。
また、図13は、本開示の第2実施形態における試料収容セル200Aの変形例の断面構成(図1、2における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。試料収容セル200Aは、第1層210a、第1薄膜220、中間層230、第2薄膜240および第2層250aにより形成されている。第2層250aは第1層210aに対向して配置され、第1薄膜220は第1層210aと第2層250aとの間に、第1層210aに接して配置され、中間層230は第1薄膜220に接して配置され、第2薄膜240は中間層230に接して配置される。また、第1層210aの第1薄膜220が配置される面とは反対側の面に酸化膜260が配置されてもよい。
試料収容セル200Aは、開口部251a、液体注入口241a及び243aが配置された第2層250aの側面と、開口部211aが配置された第1層210aの側面とがスキャロップ形状を有する点で、試料収容セル200とは異なる。他の構成は、試料収容セル200と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図13に示したように、試料収容セル200Aにおいては、液体注入口241a及び243aが配置された第1層210aの側面がスキャロップ形状を有するため、封止材931で液体注入口241a及び243aを封止した際にアンカー効果により封止材931が外れにくくなり、封止性能を向上させることができる。
なお、開口部251a、液体注入口241a、243a及び開口部211aは、各層及び膜をDRIEによりエッチングすることにより形成することができる。第1層210a、第1薄膜220、中間層230、第2薄膜240および第2層250aに用いる材料は、上述した第1実施形態の試料収容セル100と同様であるため、詳細な説明は省略する。
<第3実施形態>
図14は、本開示の第3実施形態における試料収容セル300の断面構成(図1、2における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。試料収容セル300は、第1層310、第1薄膜320、中間層330、第2薄膜340および第2層350により形成されている。第2層350は第1層310に対向して配置され、第1薄膜320は第1層310と第2層350との間に、第1層310に接して配置され、中間層330は第1薄膜320に接して配置され、第2薄膜340は中間層330に接して配置される。また、第1層310の第1薄膜320が配置される面とは反対側の面に酸化膜360が配置されてもよい。
開口部351の中間層330側の開口は、第2層350に接して中間層330側に配置された第2薄膜340により塞がれている。これにより、開口部351と第2薄膜340とは電子線透過部を構成する。一方、液体注入口341または343に対応する位置では、第2薄膜340は開口している。また、開口部311の中間層330側の開口は、第1層310に接して中間層330側に配置された第1薄膜320により塞がれている。
開口部351を塞いでいる部分の第2薄膜340と、開口部311を塞いでいる部分の第1薄膜320とは対向している。第1薄膜320および第2薄膜340は、電子線に対して透過性を有する膜である。開口部351を塞いでいる部分の第1薄膜320と、開口部311を塞いでいる部分の第1薄膜320とによって挟まれた領域を観察空間MSという。観察空間MSは、測定対象となる試料が配置され、電子線が通過する。
試料収容セル300においては、開口部351、液体注入口341、343及び開口部311は、曲線テーパ状の構造を有している点で、他の実施形態の試料収容セルとは異なる。本開示において、曲線テーパ状の構造とは、図14の試料収容セル300の積層方向の断面(図1、2における断面線A−A’の断面構造)において、中間層330側から第1層310の中間層330とは反対側の面、中間層330側から第2層350の中間層330とは反対側の面に向かって、開口面積が広がるテーパ状の構造であって、開口部のテーパ状の壁面が開口に向かって凹状の曲面を有する構造である。
なお、開口部351、液体注入口341、343及び開口部311は、各層及び膜をフッ酸、酢酸、硝酸混合液を用いたウエットエッチング、SF6を用いたドライエッチングによりエッチングすることにより形成することができる。第1層310、第1薄膜320、中間層330、第2薄膜340および第2層350に用いる材料は、上述した第1実施形態の試料収容セル100と同様であるため、詳細な説明は省略する。
試料収容セル300は、開口部351及び開口部311において曲線テーパ状の構造を有することにより、電子線の入射角のマージンを確保することができる。
<第4実施形態>
図15は、本開示の第4実施形態における試料収容セル400の断面構成(図1、2における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。試料収容セル400は、第1層410、第1薄膜420、中間層430、第2薄膜440および第2層450により形成されている。第2層450は第1層410に対向して配置され、第1薄膜420は第1層410と第2層450との間に、第1層410に接して配置され、中間層430は第1薄膜420に接して配置され、第2薄膜440は中間層430に接して配置される。また、第1層410の第1薄膜420が配置される面とは反対側の面に酸化膜460が配置されてもよい。
開口部451の中間層430側の開口は、第2層450に接して中間層430側に配置された第2薄膜440により塞がれている。これにより、開口部451と第2薄膜440とは電子線透過部を構成する。一方、液体注入口441または443に対応する位置では、第2薄膜440は開口している。また、開口部411の中間層430側の開口は、第1層410に接して中間層430側に配置された第1薄膜420により塞がれている。
開口部451を塞いでいる部分の第2薄膜440と、開口部411を塞いでいる部分の第1薄膜420とは対向している。第1薄膜420および第2薄膜440は、電子線に対して透過性を有する膜である。開口部451を塞いでいる部分の第1薄膜420と、開口部411を塞いでいる部分の第1薄膜420とによって挟まれた領域を観察空間MSという。観察空間MSは、測定対象となる試料が配置され、電子線が通過する。
試料収容セル400においては、開口部451、液体注入口441、443及び開口部411は、段付きテーパ状の構造を有している点で、他の実施形態の試料収容セルとは異なる。本開示において、段付きテーパ状の構造とは、図15の試料収容セル400の積層方向の断面(図1、2における断面線A−A’の断面構造)において、中間層430側から第1層410の中間層430とは反対側の面、中間層430側から第2層450の中間層430とは反対側の面に向かって、開口面積が広がるテーパ状の構造であって、開口部のテーパ状の壁面が開口に向かって階段状の形状を有する構造である。
なお、開口部451、液体注入口441、443及び開口部411は、DRIEによりエッチングすることにより形成することができる。第1層410、第1薄膜420、中間層430、第2薄膜440および第2層450に用いる材料は、上述した第1実施形態の試料収容セル100と同様であるため、詳細な説明は省略する。
試料収容セル400は、開口部451及び開口部411において段付きテーパ状の構造を有することにより、電子線の入射角のマージンを確保することができる。また、開口部411を測定装置に取付ける時にガイドとして用いることができる。
[試料収容セル400の製造方法]
試料収容セル400は、上述した第1の実施形態と同様に、第1層410上に、第1薄膜420、中間層430、第2薄膜440および第2層450を積層した基材を用いて製造される。第1層410上に、第1薄膜420、中間層430、第2薄膜440および第2層450を積層する方法は、第1の実施形態の試料収容セル100の製造方法において説明したため、詳細な説明は省略する。
図16は、本開示の第4実施形態における試料収容セル400の製造工程を説明する図である。図17は、図16に続く試料収容セル400の製造工程を説明する図である。図18は、図17に続く試料収容セル400の製造工程を説明する図である。いずれの図も、図3に対応する断面構造を示している。
まず、図16(a)に示すように、第2層450の上面に、マスク層455を形成する。マスク層455は、後述するシリコンに対するDRIEに用いるエッチングガスに対して耐性(エッチングレートが低い)を有する膜が望ましい。マスク層455の膜厚は、例えば、50nm以上2μm以下である。
これらの膜は、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)などの蒸着処理等によって形成されればよい。また、マスク層455が酸化ケイ素膜であれば、第2層450を熱酸化することで表面に形成された熱酸化膜を用いてもよい。マスク層455は無機膜に限定されず、フォトレジストにより形成してもよい。以下に形成される様々な膜についても、同様である。
フォトリソグラフィ技術を用いて、マスク層455の一部をエッチングする。エッチングされる領域は、開口部451、液体注入口441、443に対応する領域である。マスク層455のエッチングには、RIEが用いられる。このとき、第2層450についても一部エッチング(オーバーエッチング)してもよい。また、フォトレジストを用いて、公知のフォトリソグラフィによりマスク層455を形成してもよい。
次に、マスク層455をエッチングマスクとして、第2層450をDRIEにより所定の領域をエッチングして、段付きテーパ状の構造の1段目を形成する。その後、マスク層455を剥離して、エッチングした第2層450を露出させる(図16(b))。
次に、開口部452、453に対応する領域を開口したマスク層457を第2層450上に形成する。マスク層457をエッチングマスクとして、第2層450をRIEにより所定の領域をエッチングして、段付きテーパ状の構造の2段目を形成するとともに、第2薄膜440を露出させる(図16(b))。第2薄膜440がエッチングストッパとなって、第2層450がエッチングされる。これにより、開口部452、453が形成される。その後、第2層450からマスク層457を剥離する。
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、開口部451及び第2層450を覆うようにマスク層459を形成する(図16(d))。なお、マスク層459は、DRIEに用いるエッチングガスに対して耐性を有することが望ましい。しかし、完全な耐性を有することは困難であるため、後述するRIEに用いるエッチングガスにおいて減少する膜厚分を考慮して、予め厚膜化しておいてもよい。
次に、RIEを用いて、第2薄膜440の一部をエッチングする。第2薄膜440は、少なくとも、開口部451に形成された部分を残し、かつ、開口部452、453から中間層430の少なくとも一部が露出するようにエッチングされる。この工程により、第2層450側のパターンの形成が終了する。その後、第2層450からマスク層459を剥離する(図17(a))。
次に、第1層410の第1薄膜420が形成されている面とは反対側の面にマスク層465を形成する(図17(b))。RIEを用いて、第1層410をエッチングする(図17(c))。このエッチングは、第2層450のエッチングと同様に、DRIEが用いられる。これにより、段付きテーパ状の構造の1段目を形成する。
次に、第1層410の開口部411を配置する領域を開口したマスク層467を第1層410上に形成する(図18(a))。マスク層467をエッチングマスクとして、第1層410をDRIEにより所定の領域をエッチングして、段付きテーパ状の構造の2段目を形成するとともに、第1薄膜420を露出させる(図18(b))。第1薄膜420がエッチングストッパとなって、第1層410がエッチングされる。これにより、開口部411が形成される。その後、第1層410からマスク層467を剥離する。
液体注入口441、443を介して中間層430をエッチングする工程は、第1実施形態と同様に、等方性のエッチングにより形成することができるため、詳細な説明は省略する。
上述した試料収容セル400は、各図において1つのセルとして説明したが、実際の製造工程においては、一基板上に複数の試料収容セル400が同時に形成されている。そのため、それぞれの試料収容セル400を個片化するための処理が行われる。
<第5実施形態>
図19は、本開示の第5実施形態における試料収容セル500の断面構成(図1、2における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。試料収容セル500は、第1層510、第1薄膜520、中間層530、第2薄膜540および第2層550により形成されている。第2層550は第1層510に対向して配置され、第1薄膜520は第1層510と第2層550との間に、第1層510に接して配置され、中間層530は第1薄膜520に接して配置され、第2薄膜540は中間層530に接して配置される。また、第1層510の第1薄膜520が配置される面とは反対側の面に酸化膜560が配置されてもよい。
開口部551の中間層530側の開口は、第2層550に接して中間層530側に配置された第2薄膜540により塞がれている。これにより、開口部551と第2薄膜540とは電子線透過部を構成する。また、開口部511の中間層530側の開口は、第1層510に接して中間層530側に配置された第1薄膜520により塞がれている。一方、液体注入口521または523に対応する位置では、第1層510は開口している。
開口部551を塞いでいる部分の第2薄膜540と、開口部511を塞いでいる部分の第1薄膜520とは対向している。第1薄膜520および第2薄膜540は、電子線に対して透過性を有する膜である。開口部551を塞いでいる部分の第2薄膜540と、開口部511を塞いでいる部分の第1薄膜520とによって挟まれた領域を観察空間MSという。観察空間MSは、測定対象となる試料が配置され、電子線が通過する。
試料収容セル500においては、液体注入口521、523が開口部511側に配置される構造を有している点で、他の実施形態の試料収容セルとは異なる。なお、開口部551、開口部511及び液体注入口521、523は、第1実施形態と同様に、異方性エッチングにより形成することができる。また、試料収容セル500は、第2実施形態と同様に、DRIEによりエッチングすることにより形成することもできる。第1層510、第1薄膜520、中間層530、第2薄膜540および第2層550に用いる材料は、上述した第1実施形態の試料収容セル100と同様であるため、詳細な説明は省略する。
試料収容セル500は、液体注入口521、523を開口部511側に配置することにより、電子線の入射角のマージンを確保することができる。また、空気より軽いガス中のウイルスなどを検出する際に注入しやすい利点もある。さらに、測定装置に配置して、観察しながら液体注入口521、523から試料を入れ替えることも可能である。
[試料収容セル500の製造方法]
試料収容セル500は、上述した第1の実施形態と同様に、第1層510上に、第1薄膜520、中間層530、第2薄膜540および第2層550を積層した基材を用いて製造される。第1層510上に、第1薄膜520、中間層530、第2薄膜540および第2層550を積層する方法は、第1の実施形態の試料収容セル100の製造方法において説明したため、詳細な説明は省略する。
図20は、本開示の第5実施形態における試料収容セル500の製造工程を説明する図である。図21は、図20に続く試料収容セル500の製造工程を説明する図である。いずれの図も、図3に対応する断面構造を示している。図20及び図21においては、第1実施形態と同様に、異方性エッチングにより形成する方法について説明する。なお、試料収容セル500は、第2実施形態と同様に、DRIEによりエッチングすることにより形成することもできる。
まず、図20(a)に示すように、第2層550の上面に、マスク層555を形成する。マスク層555は、後述するシリコンに対するエッチング液(この例では水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液又は水酸化カリウム(KOH)水溶液)に対して耐性(エッチングレートが低い)を有する膜が望ましく、例えば、シリコン窒化膜である。マスク層555の膜厚は、例えば、50nm以上2μm以下である。
これらの膜は、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)などの蒸着処理等によって形成されればよい。また、マスク層555が酸化ケイ素膜であれば、第2層550を熱酸化することで表面に形成された熱酸化膜を用いてもよい。以下に形成される様々な膜についても、同様である。
フォトリソグラフィ技術を用いて、マスク層555の一部をエッチングする。エッチングされる領域は、開口部551に対応する領域である。マスク層555のエッチングには、RIEが用いられる。このとき、第2層550についても一部エッチング(オーバーエッチング)してもよい。なお、膜のエッチングのためには、ドライエッチングおよびウエットエッチングのいずれも適用可能であり、特に明示しない限り以下の説明においても同様である。
次に、マスク層555をエッチングマスクとして、第2層550をエッチングして、第2薄膜540を露出させる。第2薄膜540がエッチングストッパとなって、第2層550がエッチングされる。この例では、エッチング液としてTMAH水溶液やKOH水溶液を用いることにより、第2層550がテーパ状にエッチングされる。これにより、開口部551が形成される。その後、第2層550からマスク層555を剥離する。
次に、第1層510の第1薄膜520が形成されている面とは反対側の面に酸化膜560を形成する(図20(b))。酸化膜560は、例えば、プラズマCVDにより形成することができ、その膜厚は、例えば、50nm以上10μmであるが、これに限定されない。酸化膜560上にマスク層565を形成する。酸化膜560をエッチングマスクとして、RIEを用いて、酸化膜560をエッチングする(図20(d))。エッチングされる領域は、開口部511、512、513に対応する領域である。その後、酸化膜560からマスク層565を剥離する。
そして、酸化膜560をエッチングマスクとして、第1層510をエッチングする(図21(a))。このエッチングは、第2層550のエッチングと同様に、このエッチングは、結晶異方性エッチングであり、エッチング液としてTMAH水溶液やKOH水溶液が用いられる。これにより、第1薄膜520を露出する開口部511、512、513が形成される。
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、開口部511及び酸化膜560を覆うようにマスク層567を形成する(図21(b))。なお、マスク層567は、RIEに用いるエッチングガスに対して耐性を有することが望ましい。しかし、完全な耐性を有することは困難であるため、後述するRIEに用いるエッチングガスにおいて減少する膜厚分を考慮して、予め厚膜化しておいてもよい。
次に、RIEを用いて、第1薄膜520の一部をエッチングする。第1薄膜520は、少なくとも、開口部511に形成された部分を残し、かつ、開口部512、513から中間層530の少なくとも一部が露出するようにエッチングされる(図21(c))。この工程により、第1薄膜520側のパターンの形成が終了する。その後、第1薄膜520及び酸化膜560からマスク層567を剥離する。
液体注入口521、523を介して中間層530をエッチングする工程は、第1実施形態と同様に、等方性のエッチングにより形成することができるため、詳細な説明は省略する。
上述した試料収容セル500は、各図において1つのセルとして説明したが、実際の製造工程においては、一基板上に複数の試料収容セル500が同時に形成されている。そのため、それぞれの試料収容セル500を個片化するための処理が行われる。
<第6実施形態>
図22は、本開示の第6実施形態における試料収容セル600の断面構成(図1、2における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。試料収容セル600は、第1層610、第1薄膜620、中間層630および第2層650により形成されている。第2層650は第1層610に対向して配置され、第1薄膜620は第1層610と第2層650との間に、第1層610に接して配置され、中間層630は第1薄膜620に接して配置される。また、第1層610の第1薄膜620が配置される面とは反対側の面に酸化膜660が配置されてもよい。
試料収容セル600においては、電子線透過部651が第2層650のみで構成されている点で、他の実施形態の試料収容セルとは異なる。試料収容セル600においては、第2薄膜は配置されず、電子線透過部651は第2層650の中間層630側の薄肉部で構成される。一方、液体注入口652または653に対応する位置では、第2層650は開口している。また、開口部611の中間層630側の開口は、第1層610に接して中間層630側に配置された第1薄膜620により塞がれている。
電子線透過部651と、開口部611を塞いでいる部分の第1薄膜620とは対向している。第1薄膜620は、電子線に対して透過性を有する膜である。また、電子線透過部651では、第2層650が薄肉化されているため、電子線に対して透過性を有する。電子線透過部651と、開口部611を塞いでいる部分の第1薄膜620とによって挟まれた領域を観察空間MSという。観察空間MSは、測定対象となる試料が配置され、電子線が通過する。
本開示において、テーパ状の構造とは、図22の試料収容セル600の積層方向の断面(図1、2における断面線A−A’の断面構造)において、中間層630側から第1層610の中間層630とは反対側の面、中間層630側から第2層650の中間層630とは反対側の面に向かって、開口面積が広がる形状を有する構造である。
なお、電子線透過部651、液体注入口652、653及び開口部611は、エッチング液としてTMAH水溶液やKOH水溶液を用いる結晶異方性エッチングにより形成することができる。第1層610、第1薄膜620、中間層630および第2層650に用いる材料は、上述した第1実施形態の試料収容セル100と同様であるため、詳細な説明は省略する。
試料収容セル600は、電子線透過部651を第2層650で一体形成することにより、製造プロセスを簡素化することができる。
[試料収容セル600の製造方法]
試料収容セル600は、第1層610上に、第1薄膜620、中間層630および第2層650を積層した基材を用いて製造される。なお、第1層610上に、第1薄膜620、中間層630および第2層650を積層する方法は、第1の実施形態の試料収容セル100の製造方法と同様に行うことができるため、詳細な説明は省略する。
図23は、本開示の第6実施形態における試料収容セル600の製造工程を説明する図である。図24は、図23に続く試料収容セル600の製造工程を説明する図である。いずれの図も、図3に対応する断面構造を示している。
まず、図23(a)に示すように、第2層650の上面に、マスク層655を形成する。マスク層655は、後述するシリコンに対するエッチング液(この例では水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液又は水酸化カリウム(KOH)水溶液)に対して耐性(エッチングレートが低い)を有する膜が望ましく、例えば、シリコン窒化膜である。マスク層555の膜厚は、例えば、50nm以上2μm以下である。
これらの膜は、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)などの蒸着処理等によって形成されればよい。また、マスク層655が酸化ケイ素膜であれば、第2層650を熱酸化することで表面に形成された熱酸化膜を用いてもよい。以下に形成される様々な膜についても、同様である。
フォトリソグラフィ技術を用いて、マスク層655の一部をエッチングする。エッチングされる領域は、電子線透過部651、液体注入口652、653に対応する領域である。マスク層655のエッチングには、RIEが用いられる。このとき、第2層550についても一部エッチング(オーバーエッチング)してもよい。
次に、マスク層655をエッチングマスクとして、第2層650をエッチング液としてTMAH水溶液やKOH水溶液を用いる結晶異方性エッチングにより所定の領域をエッチングして、第2層650に薄肉部を形成する。その後、マスク層655を剥離して、エッチングした第2層650を露出させる(図23(b))。
次に、液体注入口652、653に対応する領域を開口したマスク層657を第2層650上に形成する(図23(c))。マスク層657をエッチングマスクとして、第2層650をRIEやDRIEにより所定の領域をエッチングして、中間層630を露出させる(図23(d))。中間層630がエッチングストッパとなって、第2層650がエッチングされる。これにより、液体注入口652、653が形成される。その後、第2層650からマスク層657を剥離する。
次に、第1層610の第1薄膜620が形成されている面とは反対側の面に酸化膜660を形成する(図24(a))。酸化膜660は、例えば、プラズマCVDにより形成することができ、その膜厚は、例えば、50nm以上10μmであるが、これに限定されない。酸化膜660上にマスク層665を形成し、RIEを用いて、酸化膜660をエッチングする(図23(b))。エッチングされる領域は、開口部611に対応する領域である。その後、酸化膜660からマスク層665を剥離する。
そして、酸化膜660をエッチングマスクとして、第1層610をエッチングする(図24(c))。このエッチングは、第2層650のエッチングと同様に、エッチング液としてTMAH水溶液やKOH水溶液を用いる結晶異方性エッチングが用いられる。第1薄膜620がエッチングストッパとなって、第1層610がエッチングされる。これにより、開口部611が形成される。
液体注入口652、653を介して中間層630をエッチングする工程は、第1実施形態と同様に、等方性のエッチングにより形成することができるため、詳細な説明は省略する。
上述した試料収容セル600は、各図において1つのセルとして説明したが、実際の製造工程においては、一基板上に複数の試料収容セル600が同時に形成されている。そのため、それぞれの試料収容セル600を個片化するための処理が行われる。
図25は、本開示の第1実施形態における複数の試料収容セルを分離する方法を説明する図である。図25(a)は、試料収容セル1が個片化される前の基板の一部を第1層110側から見た平面図である。図25(b)は、分断溝部分の断面構成(図25(a)における断面線B−B’の断面構造)を示す模式図である。なお、図25(a)においては、試料収容セル1が3×3で配置された例を示しているが、これは基板全体の一部を抽出して例示したものである。
各試料収容セル1の間には、分断溝SL1が形成されている。この例では、分断溝SL1は、第1層110側に設けられている。第2層150側にも分断溝SL2が分断溝SL1に対向した位置に設けられている。分断溝SL1、SL2はいずれも、中間層130に到達してもよい。
この分断溝SL1は、図9(b)に示す開口部151、152、153を形成する際に、一緒に形成される。このエッチングは、結晶異方性エッチングであり、マスク層155が狭い幅のスリット状に形成されることで、分断溝SL1が中間層130に到達しないようにすることができる。例えば、分断溝SL1の深さを3μm程度とする場合には、マスク層155のスリットを4μm程度の幅にしておけばよい。
同様に、分断溝SL2は、図10(c)に示す開口部111を形成する際に、一緒に形成される。このエッチングは、結晶異方性エッチングであり、酸化膜160が狭い幅のスリット状に形成されることで、分断溝SL2が中間層130に到達しないようにすることができる。例えば、分断溝SL2の深さを200μm程度とする場合には、酸化膜160のスリットを300μm程度の幅にしておけばよい。
分断溝SL1、SL2が中間層130に到達していないため、図11に示す中間層130のエッチングの際に、分断溝SL1、SL2から中間層130がエッチングされないようにすることができる。そして、試料収容セル100に軽い衝撃を与えることにより、分断溝SL1、SL2において容易に、隣接する試料収容セル100と分離することができる。
なお、上述した製造方法における各構成の材料、エッチング方法等の各種条件については一例であって、様々な条件に設定可能である。また、本実施形態の複数の試料収容セルを分離する方法は、上述した第2実施形態〜第6実施形態にも適用することができる。
上述した各実施形態に係る試料収容セルは、シリコン基板に各層を積層した機材を用いており、2つの基板を接合する必要がなく、内部に形成された空間に注入された試料含有液体が漏れることはほとんどない。また、第1薄膜と第2薄膜との距離は中間層の厚さによって決まるため、精度のよいギャップ制御が可能である。また、このように、本開示の各実施形態に係る試料収容セルによれば、利便性を高めることができる。
<第7実施形態>
第1実施形態においては、流路空間FPおよび観察空間MSを外部空間190と分離するために、液体注入口である開口部141、143を封止材931、932によって塞いでいた。第7実施形態では、これを蓋板で塞ぐ例を説明する。
図26は、本開示の第7実施形態における試料収容セルを封止する方法を説明する図である。この例では、蓋板960によって開口部141、143を塞ぐようになっている。蓋板960は、例えば、ガラスである。蓋板960と第1層110との間には、図26に示すように接着剤950が形成されていてもよい。蓋板960は、開口部141、143を塞ぐ程度の大きさ(例えば、開口部より200μm程度大きい正方形)であればよいが、封止する工程の容易性を考慮して、より大きくした形状であってもよいし、正方形以外の形状であってもよい。
なお、本実施形態の試料収容セルを封止する方法は、上述した第2実施形態〜第6実施形態にも適用することができる。
<第8実施形態>
第8実施形態では、外部空間190と流路空間FPとを接続する開口部が3つ以上である場合について説明する。
図27は、本開示の第8実施形態における試料収容セル700の流路空間FPの形状を説明する図である。この例では、第1実施形態で説明した開口部741、743の他に、これらと同様な形状の開口部747が形成されている。このように、外部空間190と流路空間FPとを接続する開口部の数は2つに限らず、さらに多くてもよい。このようにすると、例えば、開口部751と開口部747とを離すことができ、試料含有液体910の注入が容易になる。ただし、この場合には、電子顕微鏡による観察前に、開口部751以外の開口部を封止しておく必要がある。
この場合、開口部741、743は、開口部747よりも開口部が小さくてもよい。すなわち、試料含有液体910を注入するための開口部を大きくしておき、流路空間FPを形成する際のエッチング液導入のための開口部は小さくしてもよい。
なお、本実施形態の開口部が3つ以上である形態は、上述した第2実施形態〜第6実施形態にも適用することができる。
<その他の実施形態>
[表面処理]
試料収容セル100の外面(特に、第1層110の外面)については、親油(疎水)処理を施してもよい。このようにすると、試料含有液体910が水分系のものであれば、注入の際に外側にこぼれた試料含有液体910をセル表面から取り除くことが容易になる。また、封止材がアルコール系(油系)であれば、開口部内に浸入しにくくなり、試料含有液体との接触を避けて混合しないようにすることもできる。試料含有液体910がアルコール系(油系)であれば、試料収容セル100の外面に、逆の処理、すなわち親水処理を施してもよい。
例えば、親水処理であれば、酸化膜で覆う処理であればよく、フッ素および酸素によるプラズマ処理で形成してもよいし、酸素含有雰囲気下での熱処理で形成してもよい。また、シリコン基板表面に形成された自然酸化膜を親水表面としてもよい。一方、親油(疎水)処理であれば、フッ素および窒素によるプラズマ処理によりシリコン基板表面にフッ化物を形成してもよいし、HMDS(ヘキサメチルジシロキサン)処理によってシリコン基板表面にメチル基を形成してもよい。
なお、本実施形態の表面処理は、上述した第2実施形態〜第6実施形態にも適用することができる。
[チャージアップ防止]
電子顕微鏡による観察時において、試料収容セルのチャージアップを防止するために、数nmのカーボン等の導電膜をセル外面(第1層110、第2層150、第1薄膜120および第2薄膜140の表面の少なくとも一部)に配置しておいてもよい。
なお、本実施形態のチャージアップ防止は、上述した第2実施形態〜第6実施形態にも適用することができる。
100…試料収容セル、110…第1層、120…第1薄膜、130…中間層、140…第2薄膜、150…第2層、111,151…開口部、141,143…液体注入口、155,157,165…マスク層、190…外部空間、200…試料収容セル、210…第1層、220…第1薄膜、230…中間層、240…第2薄膜、250…第2層、211,251…開口部、241,243…液体注入口、300…試料収容セル、310…第1層、320…第1薄膜、330…中間層、340…第2薄膜、350…第2層、311,351…開口部、341,343…液体注入口、400…試料収容セル、410…第1層、420…第1薄膜、430…中間層、440…第2薄膜、450…第2層、411,451,452,453…開口部、441,443…液体注入口、455,457,459,465,467…マスク層、500…試料収容セル、510…第1層、520…第1薄膜、521,523…液体注入口、530…中間層、540…第2薄膜、550…第2層、511,512,513,521,523…開口部、555,560,465,467…マスク層、600…試料収容セル、610…第1層、620…第1薄膜、630…中間層、650…第2層、611,651,652,653…開口部、655,657,660,665…マスク層、700…試料収容セル、750…第2層、751…開口部、741,743,747…液体注入口800…観察セル作製装置、810…試料注入器、811…チップ取付部、813…支持部、815…制御部、817…チップ取り外し部、820…チップ、825…チップ台、830,840…試料カップ、835,845…カップ台、850…試料台、860…UV照射器、870…廃棄口、888…ステージ、910…試料含有液体、930…硬化前樹脂、931,933…封止材、950…接着剤、960…蓋板、

Claims (18)

  1. 第1開口部を有する第1層と、
    前記第1層に対向して配置され、前記第1開口部に対向する位置に電子線透過部を有する第2層と、
    前記第1層と前記第2層との間に配置され、前記第1層に接する第1薄膜と、
    前記第1薄膜に接して配置される中間層と、
    前記第1層又は前記第2層に配置された液体注入口と、を備え、
    前記第1薄膜は、前記第1開口部を塞ぎ、電子線に対して透過性を有し、
    前記中間層は、前記液体注入口の端部から所定の距離にわたって拡がり、前記第1薄膜と前記電子線透過部の間の観察空間と当該液体注入口とを接続する流路空間を備える試料収容セル。
  2. 前記中間層に接して配置される第2薄膜をさらに備え、
    前記第2層は、前記第1開口部に対向する位置に第2開口部を有し、
    前記第2薄膜は、前記第2開口部を塞ぎ、前記液体注入口に対応する位置で開口し、電子線に対して透過性を有し、
    前記電子線透過部は、前記第2開口部と前記第2薄膜とにより構成される請求項1に記載の試料収容セル。
  3. 前記液体注入口が前記第1層に配置される請求項2に記載の試料収容セル。
  4. 前記第1層は、シリコンであり、
    前記第2層は、シリコン薄膜であり、
    前記第1薄膜および前記第2薄膜は、窒化ケイ素であり、
    前記中間層は、酸化ケイ素である請求項2に記載の試料収容セル。
  5. 前記第1層は、シリコンであり、
    前記第2層は、シリコン薄膜であり、
    前記第1薄膜および前記第2薄膜は、酸化ケイ素であり、
    前記中間層は、窒化ケイ素である請求項2に記載の試料収容セル。
  6. 前記第1層は、シリコンであり、
    前記第2層は、シリコン薄膜であり、
    前記第1薄膜および前記第2薄膜は、アモルファスシリコンであり、
    前記中間層は、窒化ケイ素又は酸化ケイ素である請求項2に記載の試料収容セル。
  7. 前記第1層は、シリコンであり、
    前記第2層は、シリコン薄膜であり、
    前記第1薄膜および前記第2薄膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素又はアモルファスシリコンであり、
    前記中間層は、金属である請求項2に記載の試料収容セル。
  8. 前記第1開口部及び前記第2開口部がテーパ状の構造を有する請求項2に記載の試料収容セル。
  9. 前記液体注入口の側面がスキャロップ形状を有する請求項2に記載の試料収容セル。
  10. 前記第1開口部及び前記第2開口部が曲線テーパ状の構造を有する請求項2に記載の試料収容セル。
  11. 前記第1開口部及び前記第2開口部が段付きテーパ状の構造を有する請求項2に記載の試料収容セル。
  12. 前記第1層および前記第2層は、表面が(100)面、(110)面又は(111)面である請求項2乃至11の何れか一に記載の試料収容セル。
  13. 第1層上に、第1薄膜、中間層及び第2層を順次積層し、
    前記第2層の第1領域及び第2領域をエッチングし、前記第2領域の前記第2層を貫通させ、
    前記第2領域に対応する前記中間層の領域を露出させて、前記中間層に接続する液体注入口を形成し、
    前記第1領域に対応する領域の前記第1層をエッチングし、前記第1薄膜を露出させて、前記第1層に第1開口部を形成し、
    前記液体注入口を介して第1エッチング液を前記中間層に供給して当該中間層をエッチングし、前記第2層の前記第1領域に電子線透過部を形成し、前記第1薄膜と前記電子線透過部との間の観察空間、及び当該観察空間と前記液体注入口とを接続する流路空間を形成する試料収容セルの製造方法。
  14. 前記中間層上に第2薄膜をさらに積層し、
    前記第2層の前記第1領域及び前記第2領域をエッチングして貫通させて、前記第1領域に前記第2薄膜を露出する第2開口部を形成し、
    前記第2領域に対応する前記第2薄膜をエッチングして前記中間層の領域を露出させて、前記中間層に接続する液体注入口を形成し、
    前記液体注入口を介して第1エッチング液を前記中間層に供給して当該中間層をエッチングして、前記第2層の前記第1領域に電子線透過部を形成する請求項13に記載の試料収容セルの製造方法。
  15. 第1層上に、第1薄膜、中間層、第2薄膜及び第2層を順次積層し、
    前記第2層の第1領域をエッチングして、前記第2薄膜を露出させ、
    前記第1領域に対応する前記第1層の領域及び前記第1層の第2領域をエッチングして、前記第1薄膜を露出させ、
    前記第1領域に第1開口部を形成し、前記第2領域に対応する前記第2薄膜をエッチングして前記中間層の領域を露出させて、前記中間層に接続する液体注入口を形成し、
    前記液体注入口を介して第1エッチング液を前記中間層に供給して当該中間層をエッチングし、前記第2層の前記第1領域に電子線透過部を形成し、前記第1薄膜と前記電子線透過部との間の観察空間、及び当該観察空間と前記液体注入口とを接続する流路空間を形成する試料収容セルの製造方法。
  16. 前記第1層および前記第2層をエッチングして前記第1薄膜および前記第2薄膜を露出させ、個片化される前記試料収容セルの端部に沿って、前記中間層に到達しない分断溝を形成する請求項14又は15に記載の試料収容セルの製造方法。
  17. 前記第1層および前記第2層は、第2エッチング液又は第1エッチングガスを用いてエッチングし、
    前記第1層および前記第2層は、前記第2エッチング液又は第1エッチングガスよりも前記第1エッチング液に対して耐性を有し、
    前記中間層は、前記第1エッチング液よりも前記第2エッチング液又は第1エッチングガスに対して耐性を有する請求項14乃至16の何れか一に記載の試料収容セルの製造方法。
  18. 前記第1層及び前記第2層は、第2エッチング液又は第1エッチングガスを用いてエッチングし、
    前記第1薄膜及び前記第2薄膜は、第2エッチングガスを用いてエッチングし、
    前記第1層および前記第2層は、前記第2エッチング液及び第1エッチングガスよりも前記1エッチング液及び前記第2エッチングガスに対して耐性を有し、
    前記第1薄膜及び前記第2薄膜は、前記第2エッチングガスよりも前記第1エッチング液、前記第2エッチング液及び第1エッチングガスに対して耐性を有し、
    前記中間層は、前記第1エッチング液よりも前記第2エッチング液、前記第1エッチングガス及び前記第2エッチングガスに対して耐性を有する請求項15又は16に記載の試料収容セルの製造方法。
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