JP2017224507A - 試料収容セルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】利便性の高い試料収容セルを歩留まり良く製造すること。【解決手段】本開示の実施形態における試料収容セルの製造方法は、第1基板の第1領域に不純物を注入し、第2基板の第2領域に不純物を注入し、第1基板上又は第2基板上の少なくとも一方に中間層を形成し、第1基板および第2基板を接合し、第1基板の一部領域を、第1エッチング液を用いてエッチングし、第1領域内に有底の第1開口部、および中間層を露出する第2開口部および第3開口部を含む少なくとも2つの開口部を形成し、第2基板の一部領域を、第1エッチング液を用いてエッチングし、第2領域内に有底の第4開口部を形成し、第2開口部および第3開口部を介して第2エッチング液を中間層に供給して中間層をエッチングし、観察空間、および流路空間を形成することを含む。【選択図】図3

Description

本開示は観察対象の試料(Object)を収容するセルの製造方法に関する。
電子顕微鏡を用いた試料の観察は、一般的には、観察対象の試料が真空等の特殊な空間に曝される。一方、近年では、メカノバイオロジー(Mechanobiology)と呼ばれる技術分野において、生体細胞、生体組織等をそのまま観察したいという要求がある。しかしながら、電子顕微鏡での観察の際に試料を真空中に曝すと、細胞等は、液体成分が揮発していくことで変質し、また測定環境の汚染につながってしまう。これを防ぐために、様々な方法が開発されている。
例えば、試料を急速凍結して薄い氷の中に閉じ込め、冷凍状態で観察する技術がある。しかしながら、冷凍状態で観察する技術は、容易に観察用の試料を作製することができず、また、試料作成用の装置が非常に特殊であり高価なものである。
さらに、液体中に試料を保持したまま観察することで、さらに試料を直接的に観察するための技術が、特許文献1に開示されている。この技術では、観察用のセルを構成する薄膜間に試料を含む液体を配置しつつ、試料が配置される空間をセルの外部空間と遮断する。電子線は、薄膜を透過して薄膜間の試料に到達するようになっている。
特開2007−165271号公報
また、特許文献1に開示されたセルのうち、注入口から試料を含む液体を注入する方式のセルにおいては、観察孔の大きさが小さい。そのため、観察孔に観察対象となる試料が到達しているか、電子顕微鏡による測定前に確認することが困難であった。また、試料を座体に配置した後に蓋体を被せ、座体と蓋体とを接着剤で接合する方式のセルについても特許文献1に開示されている。このようなセルでは、接合に高度な技術がユーザに求められ、座体と蓋体との接合がうまくいかずに内部の液体が漏れ出したり、座体と蓋体とのギャップ制御が困難であったりする場合があった。これらの複数の問題の少なくとも1つが生じる結果、試料を収容したセルが電子顕微鏡による観察に用いることができない状態であることも多くなり、ユーザの利便性を損ねていた。
また、観察用のセルの製造において、観察用のセルを構成する薄膜が破損し易いという課題がある。例えば、薄膜が破損されて穴が開いてしまうと、電子顕微鏡観察に必要な高真空条件下において、観察空間が密封されずに液体試料が蒸発してしまう危険性がある。その場合、試料収容セルとして機能しないばかりか、電子顕微鏡の故障にも繋がる場合がある。
本開示の目的の一つは、利便性の高い試料収容セルを歩留まり良く製造することにある。
本開示の一実施形態によると、第1面および前記第1面とは反対の第2面を有する第1基板の第1領域に、前記第1面から不純物を注入し、第3面および前記第3面とは反対の第4面を有する第2基板の第2領域に、前記第3面から前記不純物を注入し、前記第1基板の前記第1面上又は前記第2基板の前記第3面上の少なくとも一方に中間層を形成し、前記第1基板の前記第1面側および前記第2基板の前記第3面側が対向し、前記第1領域および前記第2領域の少なくとも一部が重畳するように前記第1基板および前記第2基板を接合し、前記第1基板の一部領域を、第1エッチング液を用いて前記第2面側からエッチングし、前記第1領域内に有底の第1開口部、および前記中間層を露出する第2開口部および第3開口部を含む少なくとも2つの開口部を形成し、前記第2基板の一部領域を、前記第1エッチング液を用いて前記第4面側からエッチングし、前記第2領域内に有底の第4開口部を形成し、前記第2開口部および前記第3開口部を介して第2エッチング液を前記中間層に供給して前記中間層をエッチングし、前記第1開口部と前記第4開口部との間に位置する観察空間、および前記観察空間と前記第2開口部および前記第3開口部とを接続する流路空間を形成することを含み、前記第1基板および前記第2基板に前記不純物が注入された領域は、それぞれ前記第1基板および前記第2基板よりも、前記第1エッチング液に対する耐性が高いことを特徴とする試料収容セルの製造方法を提供する。
これによれば、有底の第1開口部および第4開口部を形成すると共に第1薄膜および第2薄膜を形成した後は、第1薄膜および第2薄膜が外部空間に露出される表面側において何らかの加工を行う必要が無い。よって、第1薄膜および第2薄膜が形成された後に、それらが破損される危険性を低減させることができる。
前記第1基板および前記第2基板は、単結晶シリコン基板であってもよい。これによれば、不純物の濃度によって、第1エッチング液に対する単結晶シリコンのエッチングレートを制御することができるため、第1薄膜および第2薄膜を容易に形成することができる。
前記不純物は、ホウ素を含んでもよい。これによれば、ホウ素の濃度によって、第1エッチング液に対する単結晶シリコンのエッチングレートを制御することができるため、第1薄膜および第2薄膜を容易に形成することができる。
前記第1エッチング液は、エチレンジアミンおよびピロカテコールを含んでもよい。これによれば、ホウ素の濃度によって、エチレンジアミンおよびピロカテコールを含む第1エッチング液に対する単結晶シリコンのエッチングレートを制御することができるため、第1薄膜および第2薄膜を容易に形成することができる。
前記接合した後に、前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方を薄化してもよい。これによれば、第1乃至第4開口部を容易に形成することができる。
前記中間層は、酸化シリコン層であってもよい。これによれば、容易に観察空間を形成することができる。
本開示によると、利便性の高い試料収容セルを歩留まり良く製造することができる。
本開示の第1実施形態における試料収容セルの外観を示す図である。 本開示の第1実施形態における試料収容セルを第1基板側から見た平面図である。 本開示の第1実施形態における試料収容セルの断面構成(図1、2における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。 本開示の第1実施形態における試料収容セルへ試料含有液体を注入する方法を説明する図である。 本開示の第1実施形態における試料収容セルを封止するための樹脂を形成する方法を説明する図である。 本開示の第1実施形態における試料注入装置の試料注入処理を説明する図である。 本開示の第1実施形態における試料注入装置のセル封止処理を説明する図である。 本開示の第1実施形態における試料収容セルの製造工程を説明する図である。 図8に続く試料収容セルの製造工程を説明する図である。 図9に続く試料収容セルの製造工程を説明する図である。 本開示の第1実施形態における複数の試料収容セルを分離する方法を説明する図である。 本開示の第2実施形態における試料収容セルを封止する方法を説明する図である。 本開示の第3実施形態における試料収容セルの流路空間FPの形状を説明する図である。 単結晶シリコン中のホウ素濃度と、各種エッチング液に対するエッチングレートの関係を示す図である。
<第1実施形態>
以下、本開示の一実施形態に係る試料収容セルについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率(各構成間の比率、縦横高さ方向の比率等)は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
[試料収容セルの構成]
図1は、本開示の第1実施形態における試料収容セルの外観を示す図である。試料収容セル1は、第1基板10、第2基板20およびこれらに挟まれた中間層30により形成されている。第1基板10はシリコンであり、この例では150μmの膜厚を有する。第2基板20はシリコンであり、この例では150μmの膜厚を有する。中間層30は酸化シリコンであり、この例では100nmの膜厚を有する。中間層30を部分的に除去することで、第1基板10と第2基板20との間に空間(流路空間FPおよび観察空間MS)を形成する。
試料収容セル1は、電子顕微鏡の観察対象となる試料を液体に含ませた状態で、この内部空間に収容するセルである。以下、試料を含む液体を、試料含有液体と表現する場合がある。試料収容セル1の大きさは、1辺が0.5mm〜3mm程度の正方形または長方形であり、この例では一辺が概ね1.0mmである。
第1基板10および第2基板20には、それぞれ開口部が形成されている。この例では、第1基板10に、第1開口部110、第2開口部120および第3開口部130が配置されている。第2基板20には、第4開口部140(図3参照)が配置されている。続いて、試料収容セル1の内部構造を含めた詳細な構造について、図2および図3を用いて説明する。
図2は、本開示の第1実施形態における試料収容セルを第1基板側から見た平面図である。図3は、本開示の第1実施形態における試料収容セルの断面構成(図1、2における断面線A−A’の断面構造)を示す模式図である。なお、図3は、各断面線に対応する端面図を示している。以下の断面構成を示す模式図についても、それぞれ端面図として示している。
第1開口部110の中間層30(第2基板20)側の開口は、第1薄膜150により塞がれている。この例では、第1薄膜150は、第1基板10の中間層30側において、第1開口部110の少なくとも周縁部と接触した状態で、開口を塞いでいる。
第4開口部140の中間層30(第1基板10)側の開口は、第2薄膜250により塞がれている。この例では、第2薄膜250は、第2基板20の中間層30側において、第4開口部140の少なくとも周縁部と接触した状態で、開口を塞いでいる。
第1開口部110を塞いでいる部分の第1薄膜150と、第4開口部140を塞いでいる部分の第2薄膜250とは対向している。第1薄膜150および第2薄膜250は、電子線に対して透過性を有する膜である。第1開口部110を塞いでいる部分の第1薄膜150と、開口部210を塞いでいる部分の第2薄膜250とによって挟まれた領域を観察空間MSという。観察空間MSは、測定対象となる試料が配置され、電子線が通過する。
第1薄膜150および第2薄膜250は、シリコンに不純物が注入された薄膜である。不純物としては、例えばホウ素(B)であり、濃度としては、1020cm-3程度かそれ以上である。第1薄膜150および第2薄膜250の膜厚は、5nm以上100nm以下、あるいは10nm以上100nm以下、あるいは5nm以上25nm以下、あるいは10nm以上25nm以下、あるいは5nm以上10nm以下、あるいは25nm以上100nm以下であり、この例では、20nmである。第1薄膜150と第2薄膜250とは同じ膜厚であってもよいし、異なる膜厚であってもよい。第1薄膜150および第2薄膜250は、5nmより薄くなると強度がなくなり破損するおそれがある。一方、100nmよりも厚くなると、電子線が透過しなくなる。したがって、第1薄膜150および第2薄膜250は、破損しない程度の膜の強度を得ながらも、できるだけ薄くすることが望ましい。
第1薄膜150と第2薄膜250との距離は、中間層30の膜厚に対応する。そのため、この例では、上述した通り、100nmとなる。この距離は、試料すなわち観察対象物(例えば細胞)の大きさに依存して設定されることが望ましく、観察対象物よりも大きくする必要がある。一方、第1薄膜150と第2薄膜250との距離が観察対象物に対して大きすぎると、観察対象物が重なって個々の観察対象物の観察結果が得られにくくなったり、電子線が透過しにくくなったりする。すなわち、第1薄膜150と第2薄膜250との距離を、電子線が通過できない程度の距離以上にすべきではない。
第1開口部110と第4開口部140とは対向して配置され、第1基板10側から見た場合に、中間層30側において、ほぼ同じ大きさで開口するように設計されている。第1開口部110および第4開口部140の開口(中間層30側)の形状は、この例では、50μm×50μmの正方形である。なお、この開口の形状は、5μm×50μm等の長方形であってもよい。
第2開口部120および第3開口部130の開口の形状は、第1開口部110と比べて大きく、この例では、中間層30側の開口の大きさは、100μm×100μmの正方形である。この開口の形状についても正方形でなく長方形であってもよい。説明に用いた各図では、構造をわかりやすくする表現するために、各構成間の比率等を調整して示している。
なお、これらの第1開口部110、第2開口部120および第3開口部130の開口の形状は、四角形以外の多角形であってもよいし、円形、楕円形等、曲線で囲まれた形状であってもよいし、直線と曲線とで囲まれた形状であってもよい。ただし、第1基板10および第2基板20のエッチングを結晶異方性エッチングで行う場合には、開口の形状は四角形であることが望ましい。また、第2開口部120の形状と第3開口部130の形状とが異なっていてもよい。例えば、試料含有液体が注入される側の開口部が大きくてもよい。
第1開口部110および第4開口部140は、その内壁が、第1薄膜150および第2薄膜250が拡がる平面(基板表面)に対して傾き(テーパ形状)を持って形成されている。第2開口部120および第3開口部130についても、その内壁がその基板表面に対して傾きを持って形成されている。後述するように、{100}面が表面になっている単結晶シリコンである第1基板10および第2基板20を用い、エチレンジアミンおよびピロカテコール(EDP)水溶液等のエッチング液で結晶異方性エッチングを施すようにすれば、{111}面が開口部の側面に現れるため、テーパ形状の制御が容易になる。
なお、開口部内において傾きの程度が一定でなく変化していてもよい。すなわち、第1開口部110、第2開口部120および第3開口部130は中間層30(第2基板20)側の開口面積が外部空間1000側の開口面積よりも小さい。また、第4開口部140は中間層30(第1基板10)側の開口面積が外部空間1000側の開口面積よりも小さい。第1開口部110および第4開口部140の内壁がテーパ形状であると、電子線の入射角のマージンを確保することができる。
第1基板10と第2基板20との間には、中間層30によって囲まれた空間が形成されている。この空間は、上記の観察空間MSおよび流路空間FPを含み、第2開口部120の開口端部から拡がった第1範囲、および第3開口部130の開口端部から拡がった第2範囲を含んでいる。それぞれの開口端部から空間端部までは、ほぼ等距離(この例では、約150μm)に拡がっている。第1範囲と第2範囲とは一部において重複している。この例では、重複した部分に観察空間MSが配置されている。
流路空間FPは、観察空間MSと外部空間1000とを接続するための空間である。この例では、流路空間FPは、少なくとも2つの開口部を介して外部空間1000と接続し、この例では第2開口部120および第3開口部130を介して外部空間1000に接続する。一方の開口部が試料含有液体を注入するための開口であり、他方が流路空間FPの空気を外部空間1000に押し出すための排気口として機能する。
以上が、試料収容セル1の構成についての説明である。続いて、試料収容セル1に試料含有液体を配置して、電子顕微鏡にて観察できる状態にするための処理(観察セル作製処理)について説明する。
[観察セル作製処理]
図4は、本開示の第1実施形態における試料収容セルへ試料含有液体を注入する方法を説明する図である。試料含有液体700は、流路空間FPに第2開口部120から注入されると、流路空間FPを移動して観察空間MSに至り、さらには、第3開口部130まで到達する。なお、第2開口部120ではなく第3開口部130に試料含有液体700が注入されてもよいが、以下の説明では、第2開口部120に試料含有液体700が注入される液体注入口であるものとして説明する。この場合には、第3開口部130は、試料含有液体700が注入されるときに、流路空間FPの気体を排出する排出口として機能する。
図5は、本開示の第1実施形態における試料収容セルを封止するための樹脂を形成する方法を説明する図である。試料含有液体700が流路空間FPおよび観察空間MSに充填された後、第2開口部120および第3開口部130を、封止材320、330で塞ぐことで、流路空間FPおよび観察空間MSは、外部空間1000と分離される。封止材320、330は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂であり、UV硬化型の樹脂であってもよいし、2液混合型硬化樹脂(例えば、2液常温硬化タイプまたは1液低温硬化タイプ)であってもよい。UV硬化型の場合には、第2開口部120および第3開口部130を塞ぐように硬化前の樹脂を形成し、UV照射によって硬化させて封止材320、330が形成される。なお、封止材320、330によって外部空間1000と分離された内部空間には気泡が含まれないようにしてもよいし、硬化前の樹脂と試料含有液体700とが混合しないように、少なくとも樹脂が硬化するまでは互いに離れた状態(試料含有液体と封止材との間に気泡が存在する状態)にしてもよい。
観察空間MSに配置された試料含有液体700は、外部空間1000と離隔されているため、電子顕微鏡による観察が行われる際に、試料収容セル1が真空環境に曝されても、試料含有液体700が揮発してしまうことを防ぎ、液体の状態を保持することができる。また、観察空間MSは、電子線に対して透過性を有する数十nm程度の第1薄膜150および第2薄膜250に囲まれている。観察空間MSの高さ(第1薄膜150および第2薄膜250との距離)、すなわち試料含有液体700の厚さは、電子線に対して透過性を有する程度の大きさである。
したがって、電子顕微鏡で用いられる電子線(図5における電子線EB)は、第1開口部110を通って、第1薄膜150、試料含有液体700および第2薄膜250を通過し、さらに第4開口部140を通過することができる。電子線EBの方向は図5に示す方向とは逆であってもよい。
図4における試料注入処理、および図5におけるセル封止処理については、手動処理であっても、自動処理であってもよい。手動処理の場合には、マイクロマニピュレータに取り付けたガラスキャピラリの先端と第2開口部120および第3開口部130との位置関係を、実体顕微鏡を用いて確認し、ガラスキャピラリに接続されたインジェクタを用いて試料含有液体700を注入したり、封止材320、330を注入したりすればよい。
また、自動処理の場合には、試料注入処理およびセル封止処理を自動的に実行して観察セルを作成する装置を用いればよい。
[観察セル作製装置]
図6は、本開示の第1実施形態における観察セル作製装置の試料注入処理を説明する図である。観察セル作製装置800は、試料注入器810、UV照射器860およびステージ888を備える。ステージ888には、チップ台825、カップ台835、845、試料台850が取り付けられている。チップ台825は、チップ820を収容する。チップ820は、試料含有液体700を吸い取るためのノズルを有するピペットチップである。カップ台835は、試料含有液体700を保持する試料カップ830を収容する。カップ台845は、封止材となる硬化前樹脂300を保持する試料カップ840を収容する。試料台850は、試料収容セル1を設置する。また、ステージ888には、チップ820を廃棄するための廃棄口870が配置されている。
試料注入器810に対して、ステージ888は水平方向(図6における左右方向、以下、X方向という)に移動可能である。また、試料注入器810は、水平方向であってステージ888の移動方向とは垂直な方向(図6における奥行き方向、以下、Y方向という)と、鉛直方向(図6における上下方向、以下、Z方向という)とに移動可能である。したがって、試料注入器810とステージ888とでX、Y、Z方向で相対的に移動可能になっている。なお、ステージ888上の試料台850については、別途Y方向にも移動可能であってもよい。
試料注入器810は、チップ取付部811、支持部813、制御部815およびチップ取り外し部817を備える。チップ取付部811は、先端にチップ820が差し込まれて取り付けられる部分である。支持部813は、装置天井に対してY方向、Z方向に移動させるように試料注入器810を支持する。制御部815は、チップ取付部811に取り付けられたチップ820に試料カップ内の液体を吸い込んで保持したり、チップ820に保持された液体を排出したりするための制御を行う。チップ取り外し部817は、下方に移動することによって、チップ820を下方に押し出してチップ取付部811から取り外す。
UV照射器860は、硬化前樹脂300を硬化させるためのUV光を照射する装置である。UV光の照射範囲は、試料台850に設置された試料収容セル1全体を含んでいてもよいし、第2開口部120および第3開口部130に対応する部分にスポットで照射するようにしてもよい。第2開口部120および第3開口部130に対応する部分にスポットで照射するようにすれば、試料へのUV光の影響を抑えることができる。
図6(a)は、試料収容セル1がセル保管庫等から運ばれて、観察セル作製装置800の試料台850に設置された状態を示している。続いて、ステージ888と試料注入器810とを移動させ、以下に示す順に処理を実行する。まず、チップ取付部811にチップ820を取り付ける(図6(b))。その後、試料注入器810は、試料カップ830内の試料含有液体700を吸い上げてチップ820内に保持する(図6(c))。試料含有液体700を保持するチップ820を試料収容セル1の第2開口部120上に移動させて、チップ820内の試料含有液体700を排出して第2開口部120から試料収容セル1内部に注入する(図6(d))。
なお、チップ820を試料収容セル1の第2開口部120上に移動させる際には、例えば、試料注入器810は、カメラ等の撮像部を用いて試料収容セル1の形状を画像認識し、さらには第2開口部120の位置を認識し、第2開口部120の位置にチップ820を移動させる。続いて、観察セル作製装置800の封止処理について説明する。
図7は、本開示の第1実施形態における観察セル作製装置のセル封止処理を説明する図である。試料注入器810は、試料カップ840内の硬化前樹脂300を吸い上げてチップ820内に保持する(図7(a))。硬化前樹脂300を保持するチップ820を試料収容セル1の第2開口部120上に移動させて、チップ820内の硬化前樹脂300を排出して第2開口部120に滴下し(図7(d))、続いて、第3開口部130に滴下する(図7(e))。なお、第3開口部130への滴下前に、再度チップ820内に硬化前樹脂300を吸い上げておいてもよい。硬化前樹脂300が、UV硬化型ではなく、上述した2液常温硬化タイプまたは1液低温硬化タイプであっても同様であり、この場合には、後述するUV光の照射は不要である。
続いて、試料台850をUV照射器860の下方に移動させ、試料収容セル1にUV照射器860からのUV光を照射する。この照射によって、試料収容セル1の第2開口部120および第3開口部130に滴下された硬化前樹脂300を硬化させる。これによって、試料収容セル1の内部空間に試料含有液体700が外部空間1000と離隔された状態で収容される。また、試料注入器810は、チップ取り外し部817によって、チップ820をチップ取付部811から取り外して廃棄口870に廃棄する。UV光の照射中にチップ820の廃棄が実施されてもよい。
その後、試料含有液体700を収容した試料収容セル1が回収され、新たな試料収容セル1が試料台850に設置される(図6(a))。なお、チップ820は、試料収容セル1毎に交換するプロセスを説明したが、第2開口部120に滴下する硬化前樹脂300を吸い上げる前にチップ820を交換してもよい。
以上が、観察セル作製装置800による試料注入処理およびセル封止処理についての説明である。続いて、試料収容セル1の製造方法について図8〜図10を用いて説明する。
[試料収容セルの製造方法]
図8は、本開示の第1実施形態における試料収容セルの製造工程を説明する図である。図9は、図8に続く試料収容セルの製造工程を説明する図である。図10は、9に続く試料収容セルの製造工程を説明する図である。いずれの図も、図3に対応する断面構造を示している。
まず、図8(a)に示すように、第1基板10を用意する。第1基板は、第1面10aおよび第1面とは反対の第2面10bを有する。この例では、第1基板10は、単結晶シリコン基板である。第1基板10の厚さとしては、例えば600μm〜750μm程度の標準的な厚さであってよいが、この例では725μmである。また、第1基板10としての単結晶シリコン基板の極性は、n型であってもp型であってもよい。ただし、第1基板10がp型であり、ホウ素(B)を含む場合は、その濃度が1019cm-3以下であることが好ましい。
さらに、図示はしないが、第2基板20を用意する。第2基板20は、第1基板10と同じ基板であってもよく、この例では、両者は同じ基板である。第2基板20は、第3面20aおよび第3面とは反対の第4面20bを有する。
次に、図8(b)に示すように、第1基板10の第1領域に、イオン注入法によって第1面10aから不純物を注入する。不純物としては、ホウ素(B)を含む。第1領域は、前述の第1薄膜150が形成される領域であり、イオン注入の際にはフォトレジストをマスクとして第1領域に不純物を注入する。さらに、図示はしないが、第2基板20にも同様の処理を行う。つまり、第2基板20の第2領域に、イオン注入法によって第3面20aから不純物を注入する。第2領域は、前述の第2薄膜250が形成される領域である。この例では、第1基板10の第1面10a内の第1領域と、第2基板20の第3面20a内の第2領域とのレイアウトは等しい。
第1基板10に不純物が注入された領域は、前述の第1薄膜150となる。この例では、前述のとおり、第1薄膜150の膜厚は20nmであり、第1薄膜150内の不純物としてのホウ素濃度は、1020cm-3以上である。このため、ホウ素(B)は、第1基板10の第1面10aから20nmの深さまで、1020cm-3以上の濃度で注入されることが好ましい。このような条件を用いる根拠の詳細は後述する。
次に、中間層30となる層を形成する。中間層30を形成するには、第1基板10の第1面10a上又は第2基板20の第3面上20aの少なくとも一方に中間層30を形成する。つまり、第1基板10の第1面10a上又は第2基板20の第3面20a上のいずれかのみに中間層30を形成してもよい。第1基板10の第1面10a上に形成された中間層31と、第2基板20の第3面20a上に形成された中間層32との膜厚の和が、中間層30の所望の膜厚であればよい。この例では、所望の中間層30の膜厚は100nmであり、第1基板10の第1面10aおよび第2基板20の第3面20aの各々に50nmの中間層を形成する。図8(c)は、第1基板10の第1面10aに50nmの中間層31を形成した状態を示している。
次に、図9(a)に示すように、第1基板10および第2基板20を接合する。このとき、第1基板10の第1面10a側および第2基板20の第3面20a側が対向するように第1基板10および第2基板20を接合する。さらに、第1領域および第2領域の少なくとも一部が重畳するように第1基板10および第2基板20を接合する。この例では、第1領域および第2領域が一致して重畳するように第1基板および第2基板が接合されている。第1基板10および第2基板20は、例えば表面活性化接合法により接合することができる。
第1基板10および第2基板20を接合した後に、第1基板10および第2基板20の少なくとも一方の厚さを調整してもよい。この例では、第1基板10および第2基板20を共に150μmに薄化する(図9(b))。薄化する方法としては、切削加工および研磨加工を用いることができる。
次に、図9(c)に示すように、第1基板10の第2面10bおよび第2基板20の第4面20bに、それぞれマスク層155、255を形成する。マスク層155、255は、後述するシリコンに対する第1エッチング液に対して耐性(エッチングレートが低い)を有する膜が望ましく、例えば、窒化シリコン膜である。マスク層155、255の膜厚は、例えば、50nm以上2μm以下である。
これらの膜は、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)などの蒸着処理等によって形成されればよい。また、マスク層155、255が窒化シリコン膜でなく酸化シリコン膜であれば、第1基板10および第2基板20を熱酸化することで表面に形成された熱酸化膜を用いてもよい。但し、熱酸化膜を用いる場合は、第1薄膜150及び第2薄膜250にイオン注入された不純物が拡散してしまう恐れがあるため、CVD、PVDなどの蒸着処理が望ましい。以下に形成される様々な膜についても、同様である。
フォトリソグラフィ技術を用いて、マスク層155の一部をエッチングする(図10(a))。エッチングされる領域は、第1開口部110、第2開口部120および第3開口部130に対応する領域である。マスク層155のエッチングには、RIE(Reactive Ion Etching)が用いられる。このとき、第1基板10についても一部エッチング(オーバーエッチング)してもよい。なお、膜のエッチングのためには、ドライエッチングおよびウエットエッチングのいずれも適用可能であり、特に明示しない限り以下の説明においても同様である。
次に、第1基板10に、第1開口部110、第2開口部120および第3開口部130を形成する。第1開口部110は、第1領域内に配置され、有底である。第2開口部120および第3開口部130は、この工程において、中間層30を露出する。中間層30を露出する開口部は、第2開口部120および第3開口部130のみならず、これらを含む少なくとも2つの開口部を形成すればよい。マスク層を介して、第1基板の一部領域を、第1エッチング液を用いて第2面側からエッチングする。
同様に、第2基板20に、第4開口部140を形成する。第4開口部は、第2領域内に配置され、有底である。マスク層を介して、第2基板の一部領域を、第1エッチング液を用いて第4面側からエッチングする。この例では、図10(b)に示すように、第1開口部110、第2開口部120、第3開口部130および第4開口部140を同時に形成する。
この第1開口部110、第2開口部120、第3開口部130および第4開口部140を形成する工程条件としては、第1基板10および第2基板20に不純物が注入された領域は、それぞれ第1基板10および第2基板20よりも、第1エッチング液に対する耐性が高い。換言すると、第1基板10に不純物が注入された領域の第1エッチング液に対するエッチングレートは、第1基板10に対するエッチングレートよりも小さい。
このような条件によれば、第1基板10のエッチングにおいて、有底の第1開口部110および中間層30を露出する第2開口部120および第3開口部130を同時に形成することができる。また、第2基板20のエッチングにおいて、有底の第4開口部140を形成することができる。
前述のように、この例では、不純物としてホウ素(B)を用いる。これに対して用いることができる第1エッング液としては、図14(Scott D. Collins, "Etch Stop Techniques for Micromachining", J. Electrochem. Soc., vol.144, No.6, pp.2242−2262, 1997から引用)に示すように、例えば、エチレンジアミンおよびピロカテコールの混合水溶液(EDP)、および水酸化カリウム(KOH)が知られている。
この例では、第1エッチング液は、EDPである。EDPの場合は、単結晶シリコン基板中のホウ素濃度が1019cm-3から1020cm-3に増えると、エッチングレートが3桁以上小さくなる。よって、前述のような第1開口部110、第2開口部120、第3開口部130および第4開口部140を形成する際に、エッチング時間に関して十分なマージンを確保することができる。
また、これらのエッチングは、結晶異方性エッチングである。この例では、第1基板10および第2基板(シリコン)の表面が{100}面であり、第1開口部、第2開口部、第3開口部および第4開口部の側面が、エッチングレートの遅い{111}面に沿って形成される。また、第1薄膜150と第2薄膜250と中間層30とがエッチングストッパとなる。
次に、観察空間MS、および流路空間FPを形成する。観察空間は、第1開口部110と第4開口部140との間に位置する。流路空間は、観察空間MSと第2開口部120および第3開口部130とを接続する。
観察空間MS、および流路空間FPを形成する方法としては、第2開口部120および第3開口部130を介して第2エッチング液を中間層30に供給する。これによって中間層30をエッチングする。エッチング液は、この例では、緩衝フッ酸水溶液(BHF)である。このエッチングは、等方性エッチングであるため、エッチング時間の経過とともに、第2開口部120および第3開口部130の開口端部から拡がるように中間層30がエッチングされていく。一方、第1基板10と第2基板20とは、BHFに対して耐性を有しているため、ほとんどエッチングされない。そのため、第1基板10と第2基板20との間に空間が形成されていく。
そして、第2開口部120および第3開口部130の双方から拡がった空間が接続され、かつ、第1薄膜150と第2薄膜250とが対向する領域(観察空間MS)が形成された後に、エッチングを終了する。これによって、第1基板10と第2基板20との間に流路空間FPおよび観察空間MSが形成される。なお、中間層30のエッチングの際には、エッチング液中に気泡が発生する場合がある。このような場合には、脱気処理をしつつ、エッチング処理を実行すればよい。
上述した試料収容セル1は、各図において1つのセルとして説明したが、実際の製造工程においては、一基板上に複数の試料収容セル1が同時に形成されている。そのため、それぞれの試料収容セル1を個片化するための処理が行われる。この処理は、ダイシング等により切断するものであってもよいが、この例では、別の方法により個片化を実現する。
図11は、本開示の第1実施形態における複数の試料収容セルを分離する方法を説明する図である。図11(a)は、試料収容セル1が個片化される前の基板の一部を第1基板10側から見た平面図である。図11(b)は、分断溝部分の断面構成(図11における断面線B−B’の断面構造)を示す模式図である。なお、図11においては、試料収容セル1が3×3で配置された例を示しているが、これは基板全体の一部を抽出して例示したものである。
各試料収容セル1の間には、分断溝SL1とSL2が形成されている。この例では、分断溝SL1は、第1基板10側に設けられている。第2基板20側にも分断溝SL2が分断溝SL1に対向した位置に設けられている。分断溝SL1、SL2はいずれも、中間層30には到達していない。尚、分断溝は第1基板10または第2基板20だけに設けてもよい。
これらの分断溝SL1、SL2は、図10(b)に示す第1開口部110、第2開口部120、第3開口部130および第4開口部140を形成する際に、一緒に形成される。このエッチングは、結晶異方性エッチングであり、マスク層155、255が狭い幅のスリット状に形成されることで、分断溝SL1、SL2が中間層30に到達しないようにすることができる。例えば、分断溝SL1、SL2の深さを3μm程度とする場合には、マスク層155、255のスリットを4μm程度の幅にしておけばよい。
分断溝SL1、SL2が中間層30に到達していないため、図10(c)に示す中間層30のエッチングの際に、分断溝SL1、SL2から中間層30がエッチングされないようにすることができる。そして、試料収容セル1に軽い衝撃や曲げの力を与えることにより、分断溝SL1、SL2において容易に、隣接する試料収容セル1と分離することができる。
なお、上述した製造方法における各構成の材料、エッチング方法等の各種条件については一例であって、様々な条件に設定可能である。以上が試料収容セル1の製造方法についての説明である。
上述した一実施形態に係る試料収容セル1は、第1基板10と第2基板20との距離は中間層30の厚さによって決まるため、精度のよいギャップ制御が可能である。また、このように、試料収容セル1によれば、利便性を高めることができる。
また、上述した一実施形態に係る試料収容セルの製造方法によれば、有底の第1開口部110および第4開口部140を形成すると共に第1薄膜150および第2薄膜250を形成した後は、第1薄膜150および第2薄膜250が外部空間に露出される表面側において何らかの加工を行う必要が無い。つまり、第1薄膜150および第2薄膜250が外部空間に露出される表面に、例えば、何らかの膜を成膜したり、それをエッチングしたりする工程を必要としない。よって、第1薄膜150および第2薄膜250が形成された後、それらが破損される危険性が低減する。例えば、第1薄膜150および第2薄膜250が破損されて穴が開いてしまうと、電子顕微鏡観察に必要な高真空条件下において、液体試料が観察空間に密閉されずに蒸発してしまう危険性がある。その場合、試料収容セルとして機能しないばかりか、電子顕微鏡の故障にも繋がる場合がある。
<第2実施形態>
第1実施形態においては、流路空間FPおよび観察空間MSを外部空間1000と分離するために、第2開口部120および第3開口部130を封止材320、330によって塞いでいた。第2実施形態では、これを蓋板で塞ぐ例を説明する。
図12は、本開示の第2実施形態における試料収容セル2を封止する方法を説明する図である。この例では、蓋板370によって第2開口部120および第3開口部130を塞ぐようになっている。蓋板370は、例えば、ガラスである。蓋板370と第1基板10との間には、図12に示すように接着剤360が形成されていてもよい。蓋板370は、開口部120、130を塞ぐ程度の大きさ(例えば、開口部より200μm程度大きい正方形)であればよいが、封止する工程の容易性を考慮して、より大きくした形状であってもよいし、正方形以外の形状であってもよい。
<第3実施形態>
第3実施形態では、外部空間1000と流路空間FPとを接続する開口部が3つ以上である場合について説明する。
図13は、本開示の第3実施形態における試料収容セル3の流路空間FPの形状を説明する図である。この例では、第1実施形態で説明した第2開口部120および第3開口部130の他に、これらと同様な形状の第5開口部151が形成されている。このように、外部空間1000と流路空間FPとを接続する開口部の数は2つに限らず、さらに多くてもよい。このようにすると、例えば、第5開口部151と第1開口部110とを離すことができ、試料含有液体700の注入が容易になる。ただし、この場合には、電子顕微鏡による観察前に、第1開口部110以外の開口部を封止しておく必要がある。
この場合、第2開口部120および第3開口部130は、第5開口部151よりも開口部が小さくてもよい。すなわち、試料含有液体700を注入するための開口部を大きくしておき、流路空間FPを形成する際のエッチング液導入のための開口部は小さくしてもよい。
<その他の実施形態>
[表面処理]
試料収容セルの外面(特に、第1基板10の外面)については、親油(疎水)処理を施してもよい。このようにすると、試料含有液体700が水分系のものであれば、注入の際に外側にこぼれた試料含有液体700をセル表面から取り除くことが容易になる。また、封止材がアルコール系(油系)であれば、開口部内に浸入しにくくなり、試料含有液体との接触を避けて混合しないようにすることもできる。試料含有液体700がアルコール系(油系)であれば、試料収容セル1の外面に、逆の処理、すなわち親水処理を施してもよい。
例えば、親水処理であれば、酸化膜で覆う処理であればよく、フッ素および酸素によるプラズマ処理で形成してもよいし、酸素含有雰囲気下での熱処理で形成してもよい。また、シリコン基板表面に形成された自然酸化膜を親水表面としてもよい。一方、親油(疎水)処理であれば、フッ素および窒素によるプラズマ処理によりシリコン基板表面にフッ化物を形成してもよいし、HMDS(ヘキサメチルジシロキサン)処理によってシリコン基板表面にメチル基を形成してもよい。
1…試料収容セル、10…第1基板、20…第2基板、30,31,32…中間層、110,120,130,140,151…開口部、150…第1薄膜、155,255…マスク層、250…第2薄膜、300…硬化前樹脂、320,330…封止材、360…接着剤、370…蓋板、700…試料含有液体、800…観察セル作製装置、810…試料注入器、811…チップ取付部、813…支持部、815…制御部、817…チップ取り外し部、820…チップ、825…チップ台、830,840…試料カップ、835,845…カップ台、850…試料台、860…UV照射器、870…廃棄口、888…ステージ、1000…外部空間

Claims (6)

  1. 第1面および前記第1面とは反対の第2面を有する第1基板の第1領域に、前記第1面から不純物を注入し、
    第3面および前記第3面とは反対の第4面を有する第2基板の第2領域に、前記第3面から前記不純物を注入し、
    前記第1基板の前記第1面上又は前記第2基板の前記第3面上の少なくとも一方に中間層を形成し、
    前記第1基板の前記第1面側および前記第2基板の前記第3面側が対向し、前記第1領域および前記第2領域の少なくとも一部が重畳するように前記第1基板および前記第2基板を接合し、
    前記第1基板の一部領域を、第1エッチング液を用いて前記第2面側からエッチングし、前記第1領域内に有底の第1開口部、および前記中間層を露出する第2開口部および第3開口部を含む少なくとも2つの開口部を形成し、
    前記第2基板の一部領域を、前記第1エッチング液を用いて前記第4面側からエッチングし、前記第2領域内に有底の第4開口部を形成し、
    前記第2開口部および前記第3開口部を介して第2エッチング液を前記中間層に供給して前記中間層をエッチングし、前記第1開口部と前記第4開口部との間に位置する観察空間、および前記観察空間と前記第2開口部および前記第3開口部とを接続する流路空間を形成することを含み、
    前記第1基板および前記第2基板に前記不純物が注入された領域は、それぞれ前記第1基板および前記第2基板よりも、前記第1エッチング液に対する耐性が高いことを特徴とする試料収容セルの製造方法。
  2. 前記第1基板および前記第2基板は、単結晶シリコン基板であることを特徴とする請求項1に記載の試料収容セルの製造方法。
  3. 前記不純物は、ホウ素を含むことを特徴とする請求項2に記載の試料収容セルの製造方法。
  4. 前記第1エッチング液は、エチレンジアミンおよびピロカテコールを含むことを特徴とする請求項3に記載の試料収容セルの製造方法。
  5. 前記接合した後に、前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方を薄化することを更に含む請求項1に記載の試料収容セルの製造方法。
  6. 前記中間層は、酸化シリコン層である請求項1に記載の試料収容セルの製造方法。
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