[第1実施例]
図1は、この発明の一実施例である画像形成装置10の全体を正面から見た概略構成図である。
図1を参照して、第1実施例の画像形成装置10は、カラープリンタであって、電子写真方式によって用紙(記録媒体)に多色または単色の画像を形成する。ただし、画像形成装置10は、モノクロプリンタであってもよい。また、画像形成装置10は、プリンタに限定される必要はなく、コピー機またはファクシミリ或いはこれらの機能を備えた複合機であってもよい。
先ず、画像形成装置10の基本構成について概略的に説明する。図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成部100を備える。画像形成部100は、感光体ドラム12、現像装置14、帯電器16、クリーニングユニット18、露光装置20、中間転写ベルトユニット22、2次転写ローラ24および定着ユニット26等のコンポーネントを備え、給紙トレイ28から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ30に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、外部コンピュータから入力される画像データが利用される。ただし、画像形成装置10がスキャナ機能を備える場合には、外部から入力される画像データのみならず、スキャナによって原稿から読み取った画像データを利用することもできる。
上述の各コンポーネントは、画像形成装置10の筐体10a内に収容される。また、画像形成装置10の筐体10a内には、CPU110およびRAM114等(図2参照)を含む制御部が設けられる。CPU110は、画像形成装置10の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置10に種々の動作を実行させる。
ここで、画像形成部100(画像形成装置10)において扱われる画像データは、ブラック(BK)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、感光体ドラム12、現像装置14、帯電器16およびクリーニングユニット18のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。4つの画像ステーションは、中間転写ベルト36の表面の走行方向(周回移動方向)に沿って1列に並んで配置され、中間転写ベルト36の走行方向における下流側から、つまり2次転写ローラ24に近い側から、ブラック用、マゼンタ用、シアン用およびイエロー用の順に配置される。ただし、各色の配置順は、適宜変更可能である。
各画像ステーションにおいて、感光体ドラム12の回転方向回り(図1では時計回り)に、帯電器16、現像装置14およびクリーニングユニット18がこの順序で配置される。現像装置14は、現像ローラ14aの回転軸が感光体ドラム12の回転軸と平行に並ぶように配置される。また、帯電器16は、自身の回転軸が感光体ドラム12の回転軸と平行に並ぶように配置される。さらに、クリーニングユニット18は、クリーニングブレード(図示せず)の長手方向が感光体ドラム12の回転軸方向と一致するように配置される。
感光体ドラム12は、導電性を有する基体の表面に感光層(光導電層)が形成された像担持体であって、図示しない駆動部によって軸線回りに回転可能とされる。基体は、円筒状、円柱状、薄膜シート状などの種々の形状を採ることができる。感光層は、光を照射されることで導電性を示す材料によって形成される。第1実施例の感光体ドラム12としては、アルミニウムで形成された円筒状の基体と、この基体の外周面上に形成される、アモルファスシリコン(a−Si)、セレン(Se)、または有機光半導体(OPC)からなる感光層とを含むものが用いられる。
現像装置14は、感光体ドラム12の表面に形成された静電潜像をトナーによって顕像化する(トナー像を形成する)ものである。この現像装置14には、トナー供給パイプ34を介して、トナーカートリッジ32が接続される。
トナーカートリッジ32は、未使用のトナーおよびキャリアを貯蔵する容器であって、現像装置14の上方に設けられて、現像装置14にトナーを供給(補給)すると共にキャリアを補給する。図示は省略するが、このトナーカートリッジ32には、トナーおよびキャリアを排出するための排出口が形成される。また、トナーカートリッジ32の内部には、搬送部材として機能するオーガスクリュが設けられ、このオーガスクリュによってトナーおよびキャリアが排出口まで搬送される。
トナー供給パイプ34は、トナーカートリッジ32の排出口と現像装置14に形成されるトナー補給口とを連結する。
帯電器16は、感光体ドラム12の表面を所定の極性および電位に帯電させる装置である。帯電器16としては、ブラシ型帯電装置、ローラ型帯電装置、コロナ放電装置、イオン発生装置などを用いることができる。
クリーニングユニット18は、感光体ドラム12から中間転写ベルト36にトナー像が転写された後に、感光体ドラム12の表面に残存するトナーを除去すると共に回収し、感光体ドラム12の表面を清浄化する。クリーニングユニット18は、たとえば、トナーを掻き取るための板状部材であるクリーニングブレードと、掻き取ったトナーを回収するための回収容器とを備える。
露光装置20は、現像装置14の下方に設けられる。露光装置20は、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成され、帯電された感光体ドラム12の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム12の表面に形成する。
中間転写ベルトユニット22は、中間転写ベルト36、駆動ローラ38、従動ローラ40および4つの中間転写ローラ(1次転写ローラ)42等を備え、感光体ドラム12の上方に配置される。
中間転写ベルト36は、可撓性を有する無端状のベルトであって、カーボンブラック等の導電性材料を適宜配合した合成樹脂またはゴム等によって形成される。中間転写ベルト36は、駆動ローラ38および従動ローラ40等の複数のローラによって張架され、その表面(外周面)が感光体ドラム12の表面に当接するように配置される。そして、中間転写ベルト36は、駆動ローラ38の回転駆動に伴い、所定方向(図1では反時計回り)に回転(周回移動)する。
駆動ローラ38は、図示しない駆動部によってその軸線回りに回転可能に設けられる。従動ローラ40は、中間転写ベルト36の周回移動に伴って回転すると共に、中間転写ベルト36に一定の張力を与えて中間転写ベルト36の弛みを防止する。
中間転写ローラ42は、中間転写ベルト36を挟んで各感光体ドラム12と対向する位置のそれぞれに配置され、中間転写ベルト36の内周面と圧接されて中間転写ベルト36の周回移動に伴い回転する。図示は省略するが、この中間転写ローラ42には、転写バイアスを印加する転写電源が接続される。画像形成時には、感光体ドラム12の表面に形成されたトナー像を構成するトナーの帯電極性とは逆極性の電圧が中間転写ローラ42に印加される。これによって、感光体ドラム12と中間転写ベルト36との間に転写電界が形成され、この転写電界の作用によって、感光体ドラム12に形成されたトナー像が中間転写ベルト36の外周面に転写される。たとえば、カラー画像を形成する場合には、各感光体ドラム12に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト36に順次重ねて転写(1次転写)されて、中間転写ベルト36の外周面に多色のトナー像が形成される。
また、中間転写ベルト36を挟んで駆動ローラ38と対向する位置には、2次転写ローラ24が配置される。2次転写ローラ24には、図示しない転写電源が接続され、画像形成時には、この転写電源によって2次転写ローラ24に電圧(2次転写電圧)が印加される。そして、電圧が印加された2次転写ローラ24によって形成される転写電界の作用により、中間転写ベルト36と2次転写ローラ24との間の転写ニップ域を用紙が通過する間に、中間転写ベルト36の外周面に形成されたトナー像が用紙に転写(2次転写)される。その後、中間転写ベルト36の表面に残存したトナーは、図示しない転写ベルトクリーニングユニットによって除去および回収される。
定着ユニット26は、ヒートローラおよび加圧ローラ等を備え、2次転写ローラ24の上方に配置される。ヒートローラは、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラと加圧ローラとの間の定着ニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
また、画像形成装置10の筐体10a内には、給紙トレイ28に載置された用紙を2次転写ローラ24および定着ユニット26を経由させて排紙トレイ30に送るための用紙搬送路が形成される。この用紙搬送路には、搬送ローラ44,46,48およびレジストローラ50等の用紙搬送手段が適宜配置される。
画像形成時には、給紙トレイ28に載置された用紙が図示しないピックアップローラによって1枚ずつ用紙搬送路に導かれ、搬送ローラ44によってレジストローラ50まで搬送される。そして、レジストローラ50によって、用紙の先端と中間転写ベルト36上のトナー像の先端とが整合するタイミングで2次転写ローラ24に用紙が搬送され、用紙上にトナー像が転写される。その後、定着ユニット26を通過することによって用紙上の未定着トナーが熱で溶融して固着され、搬送ローラ46,48を経て排紙トレイ30上に用紙が排出される。
第1実施例の画像形成装置10では、現像装置14が備える現像槽(現像ハウジング)内に、黒、シアン、マゼンタまたはイエローのトナーおよびキャリアからなる現像剤(二成分現像剤)が収容される。キャリアは、鉄粉またはフェライトのような磁性材料である。この二成分現像剤を用いる場合には、たとえばトリクル現像方式の現像装置14を用いることが考えられるが、これに限定される必要はない。
図2は図1に示す画像形成装置10の電気的な構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、画像形成装置10はCPU110を含み、CPU110には、バス112を介して、トナー濃度検出センサ60、トナー補給制御部62、トナー付着量検出センサ70、画像形成部100、RAM114およびHDD116などが接続される。また、図示は省略するが、画像形成装置10には、上述した各コンポーネントも含まれ、バス112を介してCPU110に接続される。
CPU110は、画像形成装置10の全体的な制御を司り、上述した画像形成装置10の各コンポーネントの動作を統括的に制御する。
RAM114は、CPU110のワーク領域およびバッファ領域として使用される。HDD116は、後述するテーブルデータ304aなどを記憶する画像形成装置10の主記憶装置である。
トナー濃度検出センサ60は、図示は省略するが、現像装置14における現像ハウジング内の底部に設けられ、当該現像ハウジング内のトナー濃度(T/D:Tはトナーであり、Dは現像剤である)を検出(算出)するためのセンサである。この第1実施例では、トナー濃度検出センサ60としては、透磁率センサが用いられる。
透磁率は、現像剤中の磁性材料の割合によって変化する。具体的には、現像剤中の磁性材料(キャリア)と非磁性材料(トナー)との混合比すなわち磁性材料の相対濃度が変化すると、透磁率が変化し、変化した透磁率に応じてトナー濃度検出センサ60の出力値(出力電圧)が変化する。非磁性材料であるトナーの濃度が高くなると、現像剤の透磁率は低下する。また、トナーの濃度が低くなると、現像剤の透磁率は上昇する。たとえば、トナー濃度検出センサ60の出力電圧は、現像剤の透磁率が低下するにつれて低下し、現像剤の透磁率が上昇するにつれて上昇する。つまり、トナー濃度検出センサ60の出力電圧は、トナーの濃度が高くなるにつれて低下し、トナーの濃度が低くなるにつれて上昇する。
また、トナー濃度検出センサ60(透磁率センサ)の出力は、トナー濃度検出センサ60への制御電圧を調整することにより、所定の変動範囲内で変化される。したがって、通常、トナー濃度検出センサ60の感度を最も高くするために、初期現像剤が現像ハウジング内に投入された場合、または、初期現像剤が現像ハウジング内に収容されている場合におけるトナー濃度検出センサ60の出力電圧が変動範囲の中央値になるように、制御電圧は調整される。つまり、トナー濃度検出センサ60の出力電圧が校正され、トナー濃度を制御する場合の濃度の高さ(大きさ)を判断するための基準値(基準の出力電圧の電圧値)が変動範囲の中央値に設定される。このときの制御電圧に対応する電圧値が制御電圧の基準値であり、中央値に設定された基準値が基準値の初期値である。
ただし、初期現像剤は、画像形成装置10によって良好な画像が形成されるようにトナー濃度が調整された初期の現像剤を意味する。
トナー補給制御部62は、トナーカートリッジ32のオーガスクリュを回転させるモータを駆動制御するためのモータドライバである。
トナー濃度検出センサ60の出力電圧が校正された後では、トナー濃度検出センサ60の出力電圧に基づいて、トナー濃度が制御される。つまり、画像形成装置10(CPU110)は、トナー濃度検出センサ60の出力電圧が中央値に一致するように、トナーカートリッジ32から現像ハウジング内に新しいトナーを補給したり、現像ハウジング内のトナーを消費したりする。たとえば、トナー濃度検出センサ60の出力電圧が基準値よりも低い場合は、トナー濃度を高くするために現像ハウジング内にトナーが補給される。また、トナー濃度検出センサ60の出力電圧が基準値よりも高い場合は、トナーの補給が停止されたり、現像ハウジング内のトナーが強制的に消費されたりする。
たとえば、新しいトナーが補給される場合には、CPU110の指示に従って、トナー補給制御部62がモータを駆動し、トナーカートリッジ32に設けられるオーガスクリュが回転される。すると、オーガスクリュによってトナーカートリッジ32のハウジング内のトナーが排出口まで搬送され、排出口から排出されたトナーが現像ハウジング内にトナーが補給される。上述したように、トナーカートリッジ32のハウジングに設けられる排出口と、現像ハウジングに設けられる補給口とはトナー供給パイプ34で連結されている。
また、現像ハウジング内のトナーが消費される場合には、トナー濃度検出センサ60の出力電圧が基準値と一致するまで、現像ハウジングへのトナーの補給が停止される(トナーが補給されない)。現像ハウジングへのトナーの補給が停止されると、画像形成処理が行われる度に、トナーが消費され、トナー濃度が次第に低下する。ただし、トナー濃度が、比較的高い場合には、つまり、トナー濃度検出センサ60の出力電圧が所定の閾値よりも大きい場合には、現像ハウジング内のトナーを強制的に消費するための処理が実行される。トナーを強制的に消費する場合には、ベタ画像を印刷するためのトナー像(たとえば、黒ベタのトナー像)が感光体ドラム12上に形成され、このトナー像が中間転写ベルト36に転写された後に、用紙には転写されず、転写ベルトクリーニングユニットによって除去および回収される。
なお、この第1実施例では、複数の現像装置14が設けられたタンデム式の画像形成装置であるため、中間転写ベルト36に転写されたベタ画像のトナー像を転写ベルトクリーニングユニットで除去および回収するようにしてある。ただし、ベタ画像のトナー像は、中間転写ベルト36に転写されずに、クリーニングユニット18によって除去および回収されてもよい。
トナー付着量検出センサ70は、像担持体(感光体ドラム12または中間転写ベルト36)に近接して配置され、像担持体上のトナー像のトナー付着量を検出するためのセンサである。以下、第1実施例では、トナー付着量検出センサ70が中間転写ベルト36に近接して配置される場合を例に挙げて説明する。
図3はトナー付着量検出センサ70の概略を示す拡大断面図である。図3に示すように、トナー付着量検出センサ70は、筐体70a内に、半導体レーザ72、集光用レンズ74、フォトセンサ(受光素子)76を備える。半導体レーザ72は、中間転写ベルト36の表面に向かってレーザ光を照射する。集光用レンズ74は、この半導体レーザ72から出射された光を中間転写ベルト36上に絞り込む。フォトセンサ76は、レーザ光が中間転写ベルト36上のトナー像で反射した反射光を受光してその光量に応じた電気信号を出力する。
フォトセンサ76の受光量は、中間転写ベルト36上に形成されたトナー像のトナー付着量に相関するので、受光量に応じて出力される電気信号の電流値または電圧値と、トナー付着量との相関性を予め相関式またはテーブルデータとして取得しておくことで、中間転写ベルト36の表面に形成されたトナー像のトナー付着量(画像濃度)を測定することができる。
このトナー付着量検出センサ70の出力は、主にプロセスコントロールに用いられる。プロセスコントロールとは、画像形成装置10が設置された環境、現像剤の経時的な材質変化などに対応するように、帯電電位、露光量、現像電位など各種の現像プロセス条件を調整し、常に一定の画質が得られるようにする制御を意味する。
このプロセスコントロールを行うにあたって、中間転写ベルト36に、濃度補正用の基準トナー像(トナーパッチ)80が形成される。プロセスコントロールでは、中間転写ベルト36に形成されたトナーパッチ80におけるトナーの付着量(トナーパッチ80の画像濃度)がトナー付着量検出センサ70の出力に応じて検出される。そして、トナー付着量検出センサ70で検出された中間転写ベルト36上のトナーの付着量に応じて、現像プロセス条件が調整される。
なお、第1実施例では、トナーパッチ80は、中間転写ベルト36の表面の走行方向(副走査方向)に沿って搬送される。つまり、トナーパッチ80の搬送方向は、副走査方向である。
また、トナー付着量検出センサ70が感光体ドラム12に近接して配置される場合には、感光体ドラム12上に形成されたトナーパッチ80におけるトナーの付着量に応じて現像プロセス条件が調整される。この場合、感光体ドラム12の回転方向(副走査方向)がトナーパッチの搬送方向である。
以上のように、第1実施例の画像形成装置10では、トナー濃度検出センサ60の出力電圧(出力値)に応じて、この出力電圧が変動範囲の基準値と一致するように、現像ハウジング内のトナー濃度を調節するためのトナー濃度制御が行われる。
しかしながら、現像剤の経時的な材質変化や帯電量の変化などによって現像剤のかさ密度が変化し、これに伴って現像剤の見掛けの透磁率も変化してしまう。このため、トナー濃度検出センサ60の出力が変化し、トナー濃度を適切に制御することができない。トナー濃度が適切に制御されない場合には、トナー濃度が許容範囲から逸脱する場合がある。たとえば、トナー濃度が高すぎる場合には、画像かぶりが生じ、トナー濃度が低すぎる場合には形成された画像が薄くなる。つまり、出力画像の画質に不具合が発生するという問題がある。
このため、第1実施例の画像形成装置10では、トナー付着量検出センサ70の検出結果に応じて、トナー濃度検出センサ60の制御電圧を補正することにより、見掛けの透磁率の変化に基づくトナー濃度検出センサ60の出力の変化を補正するようにしてある。
図4は第1実施例におけるトナーパッチ80の一例を示す図解図である。図4に示すように、トナーパッチ80は、矩形(長方形)形状に形成される。また、トナーパッチ80は、トナー像(トナーパッチ80を含む)の搬送方向(副走査方向に相当)の長さが、トナー像の搬送方向(副走査方向)に垂直な方向(主走査方向に相当)の長さよりも長い。ただし、主走査方向におけるトナーパッチ80の長さは、トナー付着量検出センサ70の主走査方向における検出範囲の大きさ(長さ)を含むように設定される。
また、トナーパッチ80は、第1部分802と第2部分804とを含み、第1部分802と第2部分804とは連続して設けられる(連結される)。この第1実施例では、第1部分802および第2部分804の副走査方向の長さは、現像ローラ14aの一周分の長さLに相当する。第1実施例では、第1部分802は、現像ローラ14aの一周目に現像される部分であり、第2部分804は、現像ローラ14aの二周目に現像される部分である。このため、トナーパッチ80の搬送方向の先端の形状は、トナーパッチ80の搬送方向に垂直な方向に平行に形成される。
上記のように、トナーパッチ80を第1部分802と第2部分804で構成するのは、第1部分802のトナーの付着量と、第2部分804のトナーの付着量との比率(以下、「付着量比」という)に応じて、制御電圧を補正するためである。
第1実施例では、トナーパッチ80を中間転写ベルト36に形成する際に発生するゴースト現象(現像メモリ)の特性を利用し、第1部分802と第2部分804とのトナーの付着量比に応じて制御電圧が補正される。ゴースト現象とは、像担持体表面における現像濃度に差を生じる現象を意味する。
たとえば、ゴースト現象が発生すると、第2部分804の現像濃度に対して、第1部分802の現像濃度が高くなったり低くなったりする。つまり、第1部分802において、設定された画像濃度よりも、画像が濃くなったり薄くなったりする。このことは、現像ハウジング内のトナー濃度に起因している。ここで、現像濃度が高い(画像が濃い)ということは、トナーの付着量が多いということであり、現像濃度が低い(画像が薄い)ということは、トナーの付着量が少ないということである。
ただし、現像ローラ14aの二周目以降では現像されるトナーの量が調整されるため、ゴースト現象が解消され、トナーパッチ80における第2部分804では、予め設定された画像濃度になる。
このように、第1部分802のトナーの付着量はトナー濃度に応じて変化するのに対し、第2部分804のトナーの付着量はトナー濃度による影響を受けないので、第1部分802と、第2部分804との付着量比は、トナー濃度に応じて変化すると考えられる。
このゴースト現象の発生レベルとトナー濃度との関係を定量化するための実験を行った。この実験の結果を図5に示す。
この実験では、ゴースト現象発生レベルを目視によって9段階で評価した。ただし、ゴースト現象が発生しない場合、つまり、第1部分802における画像の濃さと、第2部分804における画像の濃さがほぼ同じである場合を「0」とした。また、第1部分802における画像の濃さが第2部分804における画像の濃さよりも濃い場合を4段階に分け、最も濃い場合を「4」とした。さらに、第1部分802における画像の濃さが第2部分804における画像の濃さよりも薄い場合を4段階に分け、最も薄い場合を「−4」とした。
ただし、第1部分802における画像の濃さが第2部分804における画像の濃さよりも濃い場合の許容範囲を「1」までとし、第1部分802における画像の濃さが第2部分804における画像の濃さよりも薄い場合の許容範囲を「−1」までとした。つまり、ゴースト現象発生レベルの許容範囲は、「1」〜「−1」である。
図5を参照して分かるように、実験結果によれば、トナー濃度が5%を超えると、第1部分802における画像の濃さが第2部分804における画像の濃さよりも大きくなる。特に、トナー濃度が6%を超えると、ゴースト現象発生レベルが「1」を上回る。つまり、トナー濃度が6%を超えると、ゴースト現象発生レベルは許容範囲から外れてしまう。したがって、トナー濃度が5%を超えた場合には、トナー濃度を低くすることが望ましいと考えられる。
一方、トナー濃度が5%を下回ると、第1部分802における画像の濃さが第2部分804における画像の濃さよりも小さくなる。特に、トナー濃度が4.5%を下回ると、ゴースト現象発生レベルが「−1」を下回る。つまり、トナー濃度が4.5%を下回ると、ゴースト現象発生レベルは許容範囲から外れてしまう。したがって、トナー濃度が5%を下回った場合、トナー濃度を高くすることが望ましいと考えられる。
以上の図5に示す実験結果によれば、第1部分802における画像の濃さは、トナー濃度に応じて変化することがわかる。また、第1部分802と第2部分804との付着量比は、トナー濃度に応じて変化することがわかる。
次に、第1部分802におけるトナーの付着量に対する、第1部分802と第2部分804との付着量比の関係を定量化するための実験を行った。この実験の結果を図6に示す。
ただし、図6に示す第1部分802と第2部分804との付着量比Rは、第2部分804におけるトナーの付着量に対する第1部分802におけるトナーの付着量に対する比である。つまり、付着量比Rは、第2部分804におけるトナーの付着量を第1部分802におけるトナーの付着量で割った値である。上述したように、第2部分804におけるトナーの付着量はトナー濃度による影響を受けないので、第1部分802と第2部分804との付着量比Rは、第1部分802におけるトナーの付着量によって変化する。
図6に示すように、第1部分802におけるトナーの付着量が0.25よりも多い場合、第1部分802と第2部分804との付着量比Rは「1」よりも小さくなる。つまり、第1部分802におけるトナーの付着量が第2部分804におけるトナーの付着量よりも多くなる。この場合、第1部分802におけるトナーの付着量は、予め設定された付着量よりも多いと考えられるので、図5で示したゴースト現象発生レベルは「0」以上である可能性が高い。つまり、付着量比Rが「1」よりも小さくなる場合、トナー濃度が高いと考えられる。したがって、第1部分802と第2部分804との付着量比Rが「1」よりも小さい場合、トナー濃度を低くすることが望ましいと考えられる。
また、第1部分802におけるトナーの付着量が0.25よりも少ない場合、第1部分802と第2部分804との付着量比Rは「1」よりも大きくなる。つまり、第1部分802におけるトナーの付着量が第2部分804におけるトナーの付着量よりも少なくなる。この場合、第1部分802におけるトナーの付着量は、予め設定された付着量よりも少ないと考えられるので、図5で示したゴースト現象発生レベルは「0」以下である可能性が高い。つまり、付着量比Rが「1」よりも大きくなる場合、トナー濃度が低いと考えられる。したがって、第1部分802と第2部分804との付着量比Rが「1」よりも大きい場合、トナー濃度を高くすることが望ましいと考えられる。
以下、図6で示した第1部分802と第2部分804との付着量比Rに応じて、制御電圧を補正する方法を説明する。後述するように、制御電圧が補正されると、基準値が中央値から変動され、変動された基準値に基づいてトナー濃度が制御される。
図7は第1部分802と第2部分804との付着量比Rに応じて制御電圧を補正するための補正値を示すテーブルである。
ただし、制御電圧の電圧値(0〜10V)は0〜255の数値(8ビットのデータ)で表現され、図7に示す補正値は0〜255で表現された制御電圧を補正するための数値である。なお、制御電圧の電圧値を0〜255(8ビット)の数値で表現した場合、1カウントは約0.039V(10(V)/256)に相当する。
補正値が「0」よりも大きい場合(付着量比Rに基づくトナー濃度が低い場合)には、制御電圧は、補正値に対応する電圧の分だけ上昇される。この場合、基準値が中央値よりも大きく設定される。したがって、トナーを補給する動作が実行されている場合には、トナーの補給量が増加される。また、トナーを消費する動作が実行されている場合には、トナーを補給する動作に切り替えられたり、トナーの消費量が低減されたりする。たとえば、補正値が「10(“00001010”)」の場合には、制御電圧は約0.39V上昇される。
また、補正値が「0」よりも小さい場合(付着量比Rに基づくトナー濃度が高い場合)には、制御電圧は、補正値に対応する電圧の分だけ低下される。この場合、基準値が中央値よりも小さく設定される。したがって、トナーを補給する動作が実行されている場合には、トナーの補給が停止されたり、トナーを消費する動作に切り替えられたり、トナーの補給量が低減されたりする。また、トナーを消費する動作が実行されている場合には、トナーの消費量が増加される。
なお、当然のことではあるが、補正値が「0」である場合には、制御電圧は補正(変化)されないため、基準値も変動しない。
上記のように、制御電圧が補正され、基準値が変動されるが、補正値で制御電圧の電圧値が補正された場合に、基準値が変動範囲の中央値から変化される量は予め取得されており、制御電圧が補正されると、補正後の制御電圧に応じて基準値が変動(変更)される。
図7に示すように、第1部分802と第2部分804との付着量比Rが「1.1」以上であれば、補正値は、「0」よりも大きい値に設定される。具体的には、第1部分802と第2部分804との付着量比Rが「1.2」以上の場合には、補正値は「10」である(第1補正値)。また、付着量比Rが「1.1」以上であって「1.2」未満の場合には、補正値は「5」である(第2補正値)。このように、付着量比Rが「1.1」以上の場合(付着量比Rに基づくトナー濃度が低い場合)、第1実施例では、付着量比Rに応じた補正値(第1補正値または第2補正値)で制御電圧が上昇される。
また、第1部分802と第2部分804との付着量比Rが「0.9」未満であれば、補正値は、「0」よりも小さい値(マイナス側)に設定される。具体的には、付着量比Rが「0.9」未満であって「0.8」以上の場合には、補正値は「−5」である(第3補正値)。また、付着量比Rが「0.8」未満であって「0.6」以上の場合には、補正値は「−10」である(第4補正値)。さらに、付着量比Rが「0.6」未満の場合には、補正値は「−15」である(第5補正値)。このように、付着量比Rが「0.9」未満の場合(付着量比Rに基づくトナー濃度が高い場合)、第1実施例では、付着量比Rに応じ応じた補正値(第3補正値、第4補正値または第5補正値)で制御電圧が低下される。
ただし、付着量比Rが「0.9」以上であって「1.1」未満の場合には、補正値は「0」である。
画像形成装置10の上記のような動作は、CPU110がRAM114に記憶された画像形成装置10の制御プログラムを実行することによって実現される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
図8は図2に示すRAM114のメモリマップ300の一例を示す図解図である。図8に示すように、RAM114は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。RAM114のプログラム記憶領域302には、上述したように、制御プログラムが記憶される。制御プログラムは、画像形成プログラム302a、濃度検出プログラム302b、トナーパッチ形成プログラム302c、付着量検出プログラム302d、制御電圧設定プログラム302e、補正プログラム302fおよびトナー濃度調節プログラム302gを含む。
画像形成プログラム302aは、外部コンピュータから入力される画像データ等に基づいて、画像形成装置10の各コンポーネントを制御して、用紙に多色または単色の画像を形成するためのプログラムである。
濃度検出プログラム302bは、トナー濃度検出センサ60の出力電圧に応じて、現像ハウジング内のトナー濃度を検出(算出)するためのプログラムである。ただし、
トナーパッチ形成プログラム302cは、現像装置14および露光装置20を制御して、感光体ドラム12および中間転写ベルト36に、濃度補正用のトナーパッチ80を形成するためのプログラムである。
付着量検出プログラム302dは、トナー付着量検出センサ70の出力に応じて、中間転写ベルト36上のトナーパッチ80におけるナー付着量を検出するためのプログラムである。ただし、第1実施例の付着量検出プログラム302dは、第1部分802におけるトナー付着量と、第2部分804におけるトナー付着量とをそれぞれ検出する。
制御電圧設定プログラム302eは、現像ハウジングに初期現像剤が投入されたとき、または、初期現像剤が現像ハウジングに収容された現像装置14が装着されたときに、トナー濃度検出センサ60の出力電圧が変動範囲の中央値と一致するように制御電圧を設定するためのプログラムである。つまり、トナー濃度を制御するための基準値が変動範囲の中央値に設定される。
補正プログラム302fは、付着量検出プログラム302dに従って検出される第1部分802におけるトナー付着量と、第2部分804におけるトナー付着量との付着量比Rに応じて、制御電圧設定プログラム302eによって設定される基準制御電圧を補正するためのプログラムである。
トナー濃度調節プログラム302gは、トナー濃度検出センサ60の出力電圧が基準値に一致するように、画像形成部100を制御して、トナーを補給する動作を実行させたり、トナーを補給する動作を停止させたり、トナーを強制的に消費する動作を実行させたりするためのプログラムである。
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、画像形成装置10で実行可能な各種の機能を選択および実行するためのプログラムなども記憶される。
また、RAM114のデータ記憶領域304には、テーブルデータ304a、基準値データ304bおよび制御電圧データ304cなどが記憶される。
テーブルデータ304aは、たとえば図7に示す制御電圧の補正値のテーブルについてのデータであり、必要に応じて、HDD116からRAM114に読み込まれる。
基準値データ304bは、トナー濃度を制御するための基準値についての数値である。ただし、制御電圧設定プログラム302eに従って制御電圧が設定されたときのトナー濃度検出センサ60の出力電圧が基準値として設定され、制御電圧が補正されると、それに応じて基準値が変動される。基準値が変動されると、基準値データ304bは更新される。
制御電圧データ304cは、トナー濃度検出センサ60(透磁率センサ)の出力を調整するための制御電圧の電圧値についての数値データである。制御電圧は、制御電圧設定プログラム302eに従って設定され、補正プログラム302fに従って補正される。制御電圧が補正されると、制御電圧データ304cは更新される。
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、制御プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたり、制御プログラムの実行に必要なタイマ(カウンタ)やレジスタが設けられたりする。
図9および図10は図1に示す画像形成装置10のCPU110のトナー濃度制御処理の一例を示すフロー図である。このトナー濃度制御処理は、用紙に画像を形成するための画像形成処理とは別のタイミングで実行される。たとえば、トナー濃度制御処理は、画像形成処理が実行されないときであって、1つの印刷ジョブが完了したとき、前回トナー濃度制御処理が行われてから所定時間が経過したとき、または、前回トナー濃度制御処理が行われてから画像形成装置10で画像形成した枚数が所定の枚数を超えたときなどのタイミングで実行される。ただし、印刷ジョブとは、コピージョブまたはプリントジョブなど、用紙に画像形成して出力するジョブを言う。
図9に示すように、CPU110は、トナー濃度制御処理を開始すると、ステップS1で、画像形成部100を制御して、中間転写ベルト36にトナーパッチ80を形成する。図示は省略するが、トナー濃度制御処理を開始したときに、CPU110は、基準値データ304bおよび制御電圧データ304cをリセットする。つまり、基準値および制御電圧がそれぞれ初期値に設定される。
次のステップS3では、トナー付着量検出センサ70の出力に基づいて、第1部分802のトナー付着量を検出し、ステップS5では、トナー付着量検出センサ70の出力に基づいて、第2部分804のトナー付着量を検出する。
続いて、ステップS7では、ステップS3で検出した第1部分802のトナー付着量と、ステップS5で検出した第2部分804のトナー付着量との付着量比Rを算出して、ステップS9に進む。ただし、ステップS7で算出される付着量比Rは、上述したように、第2部分804のトナー付着量を第1部分802のトナー付着量で割った値である。そして、ステップS9で、付着量比Rが「1.2」以上かどうかを判断する。
ステップS9で“YES”であれば、つまり、付着量比Rが「1.2」以上の場合は、ステップS11で、テーブルデータ304aから第1補正値(ここでは「10」)を取得し、ステップS13で、制御電圧を第1補正値で補正して、後述するステップS15に進む。ただし、CPU110は、ステップS13で、補正された制御電圧をトナー濃度検出センサ60に印加するとともに、補正された制御電圧に対応する制御電圧データ304cをRAM114に記憶する。以下、制御電圧を補正する場合について同じである。
一方、ステップS9で“NO”であれば、つまり、付着量比Rが「1.2」未満の場合は、ステップS21で、付着量比Rが「1.1」以上であるかどうかを判断する。ステップS21で“YES”であれば、つまり、付着量比Rが「1.1」以上であって「1.2」未満の場合は、ステップS23で、テーブルデータ304aから第2補正値(ここでは、「5」)を取得し、ステップS25で、制御電圧を第2補正値で補正して、ステップS15に進む。
一方、ステップS21で“NO”であれば、つまり、付着量比Rが「1.1」未満である場合は、図10に示すように、ステップS27で、付着量比Rが「0.9」以上であるかどうかを判断する。ステップS27で“YES”であれば、つまり付着量比Rが「0.9」以上であって「1.1」未満である場合は、制御電圧を補正せずに、ステップS17に進む。
一方、ステップS27で“NO”であれば、つまり、付着量比Rが「0.9」未満である場合は、ステップS29で、付着量比Rが「0.8」以上であるかどうかを判断する。
ステップS29で“YES”であれば、つまり、付着量比Rが「0.8」以上であって「0.9」未満の場合は、ステップS31で、テーブルデータ304aから第3補正値(ここでは、「−0.5」)を取得し、ステップS33で制御電圧を第3補正値で補正して、ステップS15に進む。
一方、ステップS29で“NO”であれば、つまり、付着量比Rが「0.8」未満である場合は、ステップS35で、付着量比Rが「0.6」以上であるかどうかを判断する。ステップS35で“YES”であれば、つまり、付着量比Rが「0.6」以上であって「0.8」未満の場合は、ステップS37で、テーブルデータ304aから第4補正値(ここでは、「−10」)を取得し、ステップS37で制御電圧を第4補正値で補正して、ステップS15に進む。
一方、ステップS35で“NO”であれば、つまり、付着量比Rが「0.6」未満であれば、ステップS41で、テーブルデータ304aから第5補正値(ここでは、「−15」)を取得し、ステップS43で制御電圧を第5補正値で補正して、ステップS15に進む。
ステップS15では、補正された制御電圧に応じて基準値を変更する。つまり、CPU110は、基準値データ304bを更新する。次のステップS17では、トナー濃度検出センサ60の出力を検出し、ステップS19で、上述したように、ステップS17で検出したトナー濃度検出センサ60の出力を基準値に一致させるように、トナー濃度を制御して、トナー濃度制御処理を終了する。
この第1実施例によれば、トナーパッチ80における現像ローラ14aの一周目の部分(第1部分802)の付着量と、当該トナーパッチ80における当該現像ローラ14aの二周目の部分(第2部分804)の付着量との付着量比に応じて、制御電圧を補正し、トナー濃度を制御するための基準値を変動させるので、見掛けの透磁率の変化に基づくトナー濃度検出センサ60の出力の変化を補正することができる。したがって、現像ハウジング内におけるトナー濃度を適切に制御することができる。
また、第1実施例では、図7のテーブルに示すように、付着量比Rに応じて、6段階に分けて補正値を設定するようにしたが、これに限定される必要は無い。たとえば、付着量比Rに応じて、7段階以上に分けて補正値を設定しても良いし、5段階以下に分けて補正値を設定しても良い。また、付着量比Rに基づいた数式によって補正値が算出されるようにしても良い。
さらに、第1実施例では、トナーパッチ80が現像ローラ14aの一周目の部分(第1部分802)および現像ローラ14aの二周目の部分(第2部分804)が連結(隣接)して形成されるようにしたが、これに限定される必要は無い。たとえば、トナーパッチ80が現像ローラ14aの一周目の部分(第1部分802)と現像ローラ14aの二周目の部分(第2部分804)とが離れて形成されていても良い。
また、トナーパッチ80の副走査方向の長さは、現像ローラ14aの一周以上二周以下の長さに設定されれば良い。したがって、トナーパッチ80は、副走査方向において、少なくとも一周目における現像ローラ14aの一周分の長さLの一部を有するとともに、二周目における現像ローラ14aの一周分の長さLの一部を有するように形成されれば良い。また、トナーパッチ80の形状は矩形形状に限定される必要は無い。
[第2実施例]
第2実施例の画像形成装置10は、トナーパッチ80の形状が異なる以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
図11は第2実施例におけるトナーパッチ80の形状の一例を示す図解図である。図12(A)〜(D)は第2実施例におけるトナーパッチ80の形状の他の例を示す図解図である。
図11、図12(A)〜(D)に示すように、第2実施例では、トナーパッチ80の形状が第1実施例で示したトナーパッチ80の形状と異なる。
このため、トナーパッチ80の搬送方向(副走査方向)の先端縁802aの一部が、当該トナーパッチ80の搬送方向の下流側(トナーパッチ80の先端側)に突出するように形成される。ただし、第2実施例では、トナーパッチ80の先端縁802aから現像ローラ14aの一周分の長さLの範囲が第1部分802であり、トナーパッチ80の第1部分802以外の部分が、第2部分804である。
トナーパッチ80の先端の形状を変形させた例として、トナーパッチ80の先端において、主走査方向における一方の端部が他方の端部よりもトナーパッチ80の搬送方向の下流側に突出される構成が考えられる。
図11に示す例では、トナーパッチ80は、2本の半径(線分)と円弧で囲まれた扇形形状に形成される。図11に示す例では、2本の半径がなす角度は90°である。また、扇形を構成する2本の半径(線分)のうち、一方の半径は主走査方向と平行な方向に延び、他方の半径は副走査方向と平行な方向に延びるように、トナーパッチ80は配置される。したがって、トナーパッチ80の先端縁802a(円弧)は、トナーパッチ80の搬送方向の下流端における主走査方向の一方端と、トナーパッチ80の搬送方向の上流端における主走査方向の他方端を結ぶ。このため、トナーパッチ80の搬送方向の下流側では、主走査方向の他方端側が一方端側よりも当該搬送方向の下流側に向けて突出する。
また、図示は省略するが、トナーパッチ80は、三角形形状に形成されても良い。この場合、たとえば、図11に示した扇形形状のトナーパッチ80において、曲線に代えて、2本の半径(線分)の間が直線で結ばれる。
なお、図示は省略するが、扇形形状または三角形形状のトナーパッチ80は、図11で示した場合において、トナーパッチ80の搬送方向に平行な直線に対して線対称に反転させてもよい。
また、図12(A)〜(D)に示す例では、第1実施例に示したトナーパッチ80において、先端の形状が変形される。第2実施例では、トナーパッチ80の先端は、このトナーパッチ80の搬送方向(副走査方向)における下流側の端部である。また、トナーパッチ80の先端の形状が変形されると、トナーパッチ80の先端縁802aがトナーパッチ80の搬送方向に垂直な方向(主走査方向)に対して平行でない。
たとえば、図12(A)および図12(B)に示すトナーパッチ80の例では、トナーパッチ80の搬送方向の下流端側において、主走査方向の中央部が、主走査方向の両端部よりもトナーパッチ80の先端側に突出される。つまり、トナーパッチ80の先端縁802aの中央部が両端部よりもトナーパッチ80の搬送方向の下流側に突出している。
図12(A)に示す例では、トナーパッチ80は、長方形の一方の短辺において半円を合成した形状、または、横長のトラック形状(長円形状)を、横方向の中央部分で二つに分割した場合の一方の形状に形成される。この場合、トナーパッチ80は、円弧部分がトナーパッチ80の搬送方向の下流側に配置される。したがって、トナーパッチ80の先端縁802aは、トナーパッチ80の搬送方向の下流側に突出するように湾曲する。
図12(B)に示す例では、トナーパッチ80は、長方形の一方の短辺において三角形を合成した形状、または、長方形の一方の短辺において二つの角部を斜めに切り取った形状に形成される。この場合、トナーパッチ80は、三角形の頂角、または、二つの角部を斜めに切り取って形成された角部がトナーパッチ80の搬送方向の下流側に配置される。
また、図12(C)および図12(D)に示すトナーパッチ80の例では、トナーパッチの搬送方向の下流端側において、主走査方向の両端部が、主走査方向の中央部よりもトナーパッチ80の先端側に突出される。つまり、トナーパッチ80の先端縁802aの両端部が中央部よりもトナーパッチ80の搬送方向の下流側に突出している。
図12(C)に示す例では、トナーパッチ80は、長方形の一方の短辺において半円(円弧)の形状を切り取った形状に形成される。この場合、トナーパッチ80は、半円状に切り取った部分がトナーパッチ80の搬送方向の下流側に配置される。
図12(D)に示す例では、トナーパッチ80は、長方形の一方の短辺において二つの直角三角形を合成した形状、または、長方形の一方の短辺において頂角がトナーパッチ80の搬送方向の上流側に向く三角形の形状を切り取って形成した形状に形成される。この場合、トナーパッチ80は、二つの三角形の頂角がそれぞれトナーパッチ80の搬送方向の下流側を向くように配置される。ただし、二つの直角三角形は、それぞれの直角の角に対向する斜辺が対向するとともに、それぞれの頂角に対向する対辺が長方形に連結される。
なお、第2実施例では、第1実施例で示したトナー濃度制御処理のステップS5で生成されるトナーパッチ80の形状が異なるだけである。
この第2実施例によれば、トナーパッチ80の搬送方向の先端縁802aの一部が、当該トナーパッチ80の先端側に突出する。このため、先端縁802aのうち突出した部分に最初にトナーが供給される。このようにすれば、先端縁802aが主走査方向に平行である場合(先端縁802aの全体に同時にトナーが供給される場合)よりも最初にトナーが供給される範囲が狭いので、第1部分802の濃淡差が出やすくなる。したがって、第1部分802のトナーの付着量と、第2部分804のトナーの付着量との付着量比が変化し易くなり、適切に付着量比Rを算出することができる。これによって、現像ハウジング内におけるトナー濃度を適切に制御することができる。
なお、図11、図12(A)〜(D)に示すトナーパッチ80の形状は一例であり、先端縁802aの一部が、トナーパッチ80の先端側に突出する形状であれば、適宜変更することが可能である。
たとえば、図11、図12(A)〜(D)に示す例では、トナーパッチ80の搬送方向の後端が、主走査方向に対して平行に形成される構成を示しているが、これらに限定される必要は無い。トナーパッチ80の搬送方向の後端が、トナーパッチ80の搬送方向の先端のように主走査方向に対して変形されていても良い。
[第3実施例]
第3実施例の画像形成装置10は、画像形成装置10の使用状況についての情報に応じて、制御電圧を補正する補正値を変更する以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
簡単に説明すると、第3実施例では、画像形成装置10の使用状況についての情報に応じて、補正制御における補正値の基礎となる基礎補正値を設定する。この基礎補正値は、図7に示す制御電圧の補正値に加算される。つまり、画像形成装置10の使用状況についての情報に応じて、制御電圧の補正値をさらに基礎補正値で補正して、制御電圧を補正する補正値を変更する。
ただし、第3実施例で用いられる画像形成装置10の使用状況についての情報には、画像形成装置10の設置場所の温度および湿度、前回の印刷ジョブが終了してからの放置時間(以下、単に「放置時間」という)、画像形成装置10が印刷した積算枚数(以下、単に「積算枚数」という)、現像ローラ14aの走行距離および画像形成装置10における平均印字率(以下、単に「印字率」という)等の情報が含まれる。
また、第3実施例の画像形成装置10は、上述した画像形成装置10の使用状況についての各情報を取得するための、温度センサ、湿度センサ、タイマ等を備える。温度センサは、画像形成装置10の設置場所の温度(℃)を検出するために用いられる。湿度センサは、画像形成装置10の設置場所の湿度(%)を検出するために用いられる。タイマは、前回の印刷ジョブが終了してからの放置時間を測定するために用いられる。
さらに、画像形成装置10が印刷した積算枚数、現像ローラ14aの走行距離および画像形成装置10における印字率は、画像形成処理における画像形成装置の動作に応じて取得される。取得または検出された各情報は、HDD116に記憶される。
図13は、第3実施例における画像形成装置の使用環境レベルを判定するためのテーブルである。図13に示すように、温度(℃)および湿度(%)に応じて「1」〜「8」までの8段階の使用環境レベルが設定される。ただし、温度が高ければ使用環境レベルが高くなり、温度が低ければ使用環境レベルが低くなる傾向にある。また、湿度が高ければ使用環境レベルが高くなり、湿度が低ければ使用環境レベルが低くなる傾向にある。
たとえば、画像形成装置10の設置場所の温度が22℃であって、湿度が65%の場合、使用環境レベルは「5」である。
次に、放置時間、積算枚数、および印字率に応じて設定される12種類のテーブルから該当する条件のテーブルが選択される。そして、選択されたテーブルに従って、基礎補正値が判定される。
ただし、この第3実施例では、放置時間が長いかどうかは、前回の印刷ジョブが終了してから60分以上であれば放置時間が長いと判断され、前回の印刷ジョブが終了してから60分未満であれば放置時間が短いと判断される。また、積算枚数が多いかどうかは、積算枚数が1000枚以上であれば積算枚数が多いと判断され、積算枚数が1000枚未満であれば積算枚数が少ないと判断される。さらに、画像形成装置10における印字率は、低印字率、中印字率および高印字率の3段階に判断される。画像形成装置10における印字率が6%未満であれば低印字率と判断され、画像形成装置10における印字率が6%以上21%未満であれば中印字率と判断され、画像形成装置10における印字率が21%以上であれば高印字率と判断される。
図14〜図16には、基礎補正値を判定するためのテーブルの傾向を説明するために、12種類のテーブルのうち、6種類のテーブルを示す。図14は、放置時間が短く、かつ積算の印字率が低い場合の基礎補正値を判定するためのテーブルである。図15は、放置時間が短く、かつ印字率が高い場合の基礎補正値を判定するためのテーブルである。図16は、放置時間が長く、かつ印字率が低い場合の基礎補正値を判定するためのテーブルである。また、図14〜図16のそれぞれの(A)は、積算枚数が1000枚未満の場合のテーブルを示し、図14〜図16のそれぞれの(B)は、積算枚数が1000枚以上の場合のテーブルを示す。
図14〜図16に示すように、いずれのテーブルにおいても、使用環境レベルと、現像ローラ14aの走行距離とに応じて基礎補正値が設定される。ただし、現像ローラ14aの走行距離は、7km毎に段階が分けられる。
また、いずれのテーブルにおいても、使用環境レベルが高ければ、基礎補正値が小さくなり、使用環境レベルが低ければ、基礎補正値が大きくなる傾向にある。さらに、現像ローラ14aの走行距離が長ければ、基礎補正値の絶対値が大きくなり、現像ローラ14aの走行距離が短ければ、基礎補正値の絶対値が小さくなる傾向にある。さらにまた、積算枚数が多ければ、基礎補正値の絶対値が大きくなり、積算枚数が少なければ、基礎補正値の絶対値が小さくなる傾向にある。
図14と図15とは、ともに放置時間が短い場合であり、印字率が異なる場合のテーブルを示す。図14と図15とを比較してわかるように、印字率が高ければ、使用環境レベルが「1」〜「3」の場合(低温または/および低湿の場合)において基礎補正値が小さくなる傾向にある。つまり、印字率が低ければ、使用環境レベルが「1」〜「3」の場合に基礎補正値が大きくなる傾向にある。ただし、使用環境レベルが「4」〜「8」の場合(高温または/および高湿の場合)には、印字率が変わっても基礎補正値が変わらない。
図14と図16とは、ともに印字率が低い場合であり、放置時間が異なる場合のテーブルを示す。図14と図16とを比較してわかるように、放置時間が長ければ、使用環境レベルが「1」〜「2」の場合(低温または/および低湿の場合)において基礎補正値が大きくなり、使用環境レベルが「5」〜「8」の場合(高温または/および高湿の場合)において基礎補正値が小さくなる傾向にある。ただし、使用環境レベルが「4」の場合には、放置時間が変わっても基礎補正値が変わらない。
たとえば、放置時間が60分未満、積算枚数が1000枚未満、印字率が6%未満の条件であれば、図14(A)のテーブルを使用する。そして、現像ローラ14aの走行距離が35kmであって、使用環境レベルが「3」であれば、基礎補正値は「1」である。ここで、たとえば付着量比Rが「1.2」以上の場合には、図7に示すテーブルによって示される補正値は「10」である。この場合には、補正値「10」に基礎補正値「1」を加算し、補正値は「11」となる。
以下、フロー図を用いて、第3実施例におけるトナー濃度制御処理について説明するが、第1実施例で説明したトナー濃度制御処理と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
図17〜図19は第3実施例における画像形成装置10のCPU110のトナー濃度制御処理の一例の一部を示すフロー図である。ただし、図18および図19は、第1実施例に示したステップS1〜S43の処理と略同じであり、重複する内容については説明を省略する。
図17に示すように、画像形成装置10のCPU110は、トナー濃度制御処理を開始すると、ステップS51で画像形成装置10の設置場所の温度を検出し、ステップS53で、画像形成装置10の設置場所の湿度を検出し、ステップS55に進む。
ただし、ステップS51では、温度センサの出力に応じて画像形成装置10の設置場所の温度を検出し、ステップS53では、湿度センサの出力に応じて画像形成装置10の設置場所の湿度を検出する。図示は省略するが、第3実施例においても、CPU110は、トナー濃度制御処理を開始したときに、基準値データ304bおよび制御電圧データ304cをリセットする。
ステップS55では、ステップS51で検出した温度と、ステップS53で検出した湿度とに応じて、図13で示したテーブルを参照して使用環境レベルを判定し、ステップS57に進む。
続くステップS57で、放置時間を検出し、ステップS59で、印字率を読出し、ステップS61で、積算枚数を読出して、ステップS63に進む。放置時間は、タイマの出力に応じて検出される。印字率および積算枚数は、HDD116から読み出される。
ステップS63では、基礎補正値を設定するためのテーブルを選択する。ここでは、放置時間が長いかどうか、積算枚数が多いかどうか、および画像形成装置10における印字率が高いかどうかに応じて設定される12種類のテーブルから該当する条件のテーブルを選択する。
続くステップS65で、現像ローラの走行距離を読出して、ステップS67に進む。そして、ステップS67で、ステップS63で設定されたテーブルに従って、ステップS55で判定された使用環境レベルと、ステップS65で読み出された現像ローラの走行距離とに応じた基礎補正値を取得し、図18に示すステップS1に進む。
図18に示すように、第3実施例では、ステップS11で、テーブルデータ304aから第1補正値を取得すると、ステップS13aで、制御電圧を第1補正値と基礎補正値で補正して、ステップS15に進む。ただし、CPU110は、ステップS13aで、第1補正値と基礎補正値で補正された制御電圧をトナー濃度検出センサ60に印加するとともに、補正された制御電圧に対応する制御電圧データ304cをRAM114に記憶する。以下、制御電圧を補正するステップS25a、図19に示すステップS33a、ステップS39aおよびステップS43aにおいても同じである。
また、図19に示すように、第3実施例では、ステップS27で“YES”であれば、つまり付着量比Rに応じて制御電圧が補正されない場合は、ステップS81に進む。ステップS81では、制御電圧を基礎補正値で補正して、ステップS15に進む。このように、付着量比Rに応じて制御電圧が補正されない場合であっても、制御電圧が基礎補正値で補正される場合がある。ただし、ステップS67で取得した基礎補正値が“0”の場合には、ステップS81では、制御電圧が補正されない。この場合、制御電圧が補正されないため、基準値も変更されないので、ステップS15で基準値が補正されずにステップS17に進む。このように基準値が補正されない場合には、ステップS19で、ステップS17で検出したトナー濃度検出センサ60の出力を初期値の基準値に一致させるように、トナー濃度が制御される。
この第3実施例によれば、画像形成装置10の使用状況に応じて制御電圧を補正することができ、現像ハウジング内におけるトナー濃度を適切に制御することができる。
なお、第3実施例で示した変形は、第2実施例の画像形成装置10にも適用することができる。
また、第1部分802のトナー付着量に関わらず、第2部分804のトナーの付着量に応じて、プロセスコントロールを行うようにしても良い。上述したように、プロセスコントロールでは、トナー付着量検出センサ70で検出された中間転写ベルト36上のトナーの付着量に応じて、現像プロセス条件が調整される。
具体的には、現像バイアス補正またはトナー濃度補正が実行され、像担持体(感光体ドラム12または中間転写ベルト36)上に形成されるトナー像の画像濃度(トナー画像濃度)が制御される。
プロセスコントロールでは、感光体ドラム12の表面に、現像バイアス電圧を連続的に変化させることによって、トナー濃度(トナー付着量)が連続的に変化する複数のトナーパッチ80を形成する。このとき、それぞれのトナーパッチの現像プロセス条件(現像バイアス電圧値または/およびトナー濃度)はRAM114のデータ記憶領域304に記憶される。
感光体ドラム12の表面に形成されたそれぞれのトナーパッチ80のトナー付着量は、トナー付着量検出センサ70の出力に応じて検出される。CPU110は、それぞれのトナーパッチ80のトナー付着量の検出結果と、予め設定される基準トナー濃度に対応するトナー付着量(基準トナー付着量)とを比較し、基準トナー付着量に最もトナー付着量が近いトナーパッチ80を判定(選択)する。続いて、CPU110は、選択されたトナーパッチ80の形成に適用された現像バイアス電圧値を読み出し、読み出した現像バイアス電圧値と、基準トナー濃度における現像バイアス電圧値との差を現像バイアス補正値として設定する。
画像形成時には、選択されたトナーパッチ80の形成に適用された現像バイアス電圧値を現像バイアス補正値で補正した電圧値に応じた現像バイアス電圧を用いて、トナー像が形成される。このようにすれば、基準トナー付着量と同等のトナー付着量を有するトナー像が安定的に形成される。つまり、トナー画像濃度が安定する。
たとえば、トナー画像濃度が低い場合、プロセスコントロールで、トナー画像濃度を上昇させる制御が行われる。トナー画像濃度が低い場合、基準トナー濃度における現像バイアス電圧値よりも現像バイアス電圧値が低くなるので、現像バイアス電圧値を上げるように現像バイアス補正値が設定される。このため、現像バイアス電圧値は上昇される。ただし、トナー画像濃度が低い場合、トナー濃度が低いことも考えられるので、トナー濃度を上げる制御が行われる。この場合、検出されるトナー濃度が低くなるように、トナー濃度検出センサ60の制御電圧が補正される。また、上述した付着量比Rに基づくトナー濃度が低い場合と同様の制御が行われ、トナー濃度検出センサ60の制御電圧が上昇される。
また、トナー画像濃度が高い場合、トナー画像濃度を低下させる制御が行われる。トナー画像濃度が高い場合、基準トナー濃度における現像バイアス電圧値よりも現像バイアス電圧値が高くなるので、現像バイアス電圧値を下げるように現像バイアス補正値が設定される。このため、現像バイアス電圧値は低下される。また、トナー濃度を下げる制御が行われる場合がある。この場合、検出されるトナー濃度が高くなるように、トナー濃度検出センサ60の制御電圧が補正される。また、上述した付着量比Rに基づくトナー濃度が高い場合と同様の制御が行われ、トナー濃度検出センサ60の制御電圧が低下される。
このプロセスコントロールでは、第1部分802のトナー付着量が用いられずに、第2部分804のトナーの付着量が用いられる。上述したように、現像ローラ14aの二周目以降ではゴースト現象が解消される。このため、ゴースト現象が解消された第2部分804のトナーの付着量が用いられることによって、プロセスコントロールにおいてゴースト現象の影響を受けることが無い。したがって、適切にトナー画像濃度を制御することができる。
さらに、上述の実施例で挙げた具体的な数値、画面構成等は一例であり、実際の製品に応じて変更することが可能である。さらに、上述の実施例で示したフロー図の各ステップは、同じ結果が得られるのであれば、処理される順番は適宜変更することが可能である。