JP2015072460A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】現像器におけるトナーとキャリアとの割合が所定範囲内に制限されたとしてもベタ濃度の安定性を維持できるようにする。
【解決手段】画像形成手段は変換手段で変換された画像データに基づき像担持体上に静電潜像を形成し、現像部でトナーを用いて現像する。補給制御手段は現像部のトナー濃度に基づいて現像部のトナー濃度が目標濃度となるように現像部に補給されるトナーの量を制御する。第1決定手段は第1測定用画像の測定結果に基づいて目標濃度を決定する。補正手段は第2測定用画像の測定結果と補正条件とに基づいて変換条件を補正する。第2決定手段は第1決定手段により決定された目標濃度に基づいて補正条件を決定する。
【選択図】図3

Description

本発明は、電子写真方式や静電記録方式などを利用した複写機やプリンタなどの画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、非磁性トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤が収容された現像ユニットを備える。画像形成装置は、現像ユニットに収容されたトナーを用いて画像を形成する。この画像形成装置は、現像ユニットに収容された現像剤の合計重量に対するトナーの重量の比率(以降、T/D比と称す。)を目標比率に制御することによって、画像形成装置により形成される画像の濃度を目標濃度に制御する。この制御をATR(Automatic Toner Replenishment)制御と称す。
特許文献1には、現像ユニットに収容された現像剤のT/D比を目標比率に制御するため、測定用画像の測定結果に基づいて現像ユニットに補給されるトナーの量を制御する画像形成装置が記載されている。
特開2004−271834号公報
また、画像形成装置は、面積階調法を用いて画像の階調を表現する。たとえば、画像形成装置は、予め決められたプロセス条件を用いて形成された測定用画像を検知し、検知結果に基づいて、画像データを変換するための変換条件を生成する階調補正制御が実行される。
ATR制御によってT/D比が調整されるが、T/D比が上限値よりも高くなってしまうとトナー飛散が発生しやすくなる。これは、画像形成装置の内部がトナーで汚れてしまったり、かぶりとして画像が汚れたりしてしまう原因となる。一方で、T/D比が下限値よりも低くなってしまうとキャリア付着が発生する。キャリア付着とはキャリアがトナーとともに現像されてしまう現象のことである。キャリア付着が発生すると、斑点状の画像不良が発生する可能性がある。そのため、T/D比はこの上限値と下限値とを超えないように調整される。この上限値と下限値とをT/D比リミッタと呼ぶことにする。
しかし、T/D比を上限値に制限した場合、トナーの帯電量が過度に増大することを抑制できない可能性がある。一方で、T/D比を下限値に制限した場合、トナーの帯電量を目標量となるまで増加できない可能性がある。このようにATR制御ではT/D比リミッタを超えてT/D比を補正することができないので、トナーの帯電量を目標量に制御できなくなり、その結果、ベタ濃度の安定性が低下する可能性がある。たとえば、出力画像の濃度と目標濃度との差が増加してしまう可能性がある。
そこで、本発明は、現像器におけるトナーとキャリアとの割合が所定範囲内に制限されたとしてもベタ濃度の安定性を維持できるようにすることを目的とする。
本発明は、トナーとキャリアとを含む現像剤を用いて画像をシート上に形成する画像形成装置であって、
現像器におけるトナーとキャリアの割合に応じてトナー容器から前記現像器への補給量を制御する補給量制御手段と、
像担持体上に形成される第1トナー像の濃度値に応じて前記割合の目標値を決定する目標値決定手段と、
前記像担持体上に形成される第2トナー像の濃度値をフィードバックして露光量およびディザパターンの割り当ての少なくとも一方を含む像形成条件を制御する制御手段と、
前記目標値が所定範囲内であれば前記像形成条件に対するフィードバック率を第1の値に設定し、前記目標値が所定範囲を逸脱していれば前記像形成条件に対するフィードバック率を前記第1の値よりも大きな第2の値に設定するフィードバック率設定手段と
を有することを特徴とする画像形成装置を提供する。
本発明によれば、トナーとキャリアとの割合が所定範囲内に制限されたとしてもベタ濃度の安定性を維持できるようになる。
画像形成装置の概略断面図 画像処理に関与する機能を示すブロック図 画像形成条件の制御に関与する機能を示すブロック図 レーザーパワー設定値の一例を示す図 基準チャートの一例を示す図 レーザーパワー設定値と濃度値との関係を示す図 階調補正チャートの一例を示す図 階調チャートの一例を示す図 濃度信号の信号値と濃度値との関係を示す図 ATRチャートの一例を示す図 図11Aは多階調制御を示すフローチャート、図11BはターゲットT/D比の決定工程を示すフローチャート トナー補給量の制御を示すフローチャート ターゲットT/D比の決定工程を示すフローチャート 多階調制御を示すフローチャート ターゲットT/D比の決定工程を示すフローチャート
[画像形成装置の全体構成]
図1は、画像形成装置100の概略断面図である。画像形成装置100は、電子写真方式を用いてシート(記録用紙、OHTシート、布、樹脂等)に多色画像を形成することのできる複写機であり、プリンタ部10とリーダ部20とを有している。
プリンタ部10は、トナー像を形成する像形成手段として、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部(ステーション)を有している。各画像形成部の構成は、使用するトナーの色を除いて同じである。プリンタ制御部40は、リーダ部20から出力された画像信号に基づきレーザードライバ41、高圧ドライバ42、および、4つの画像形成部を制御する。
画像形成部には、像担持体として円筒型の感光体である感光ドラム1が設けられている。感光ドラム1は矢印R1の方向に回転する。感光ドラム1の表面は、帯電手段としての帯電ローラ2によって一様の電位に帯電する。高圧ドライバ42は帯電ローラ2に所定の帯電電圧を供給する。露光手段としてのレーザービームスキャナ3は、レーザードライバ41によって光量を制御されながら光ビームを感光ドラム1の表面に照射し、静電潜像を形成する。現像手段としての現像器4は、高圧ドライバ42から所定の現像電圧を供給され、トナーを静電潜像に付着させて、トナー像(可視像)へ現像する。本実施例の現像器4は、現像剤として非磁性樹脂トナー粒子(トナー)と、磁性キャリア粒子(キャリア)とを有した2成分現像剤を収容している。現像器4は、感光ドラム1に対向して配置された現像剤担持体としての現像スリーブ44を有する。そして、この現像スリーブ44上に担持された現像剤から感光ドラム1にトナーを供給することにより、感光ドラム1上の静電潜像がトナー像へと現像される。トナー像は、一次転写ローラ6によって中間転写ベルト51に一次転写される。中間転写ベルト51は像担持体および中間転写体として機能する。一次転写されずに残ったトナーはクリーニング手段としてのクリーニング装置7によって感光ドラム1の表面から除去される。中間転写ベルト51に形成されたトナー像は、二次転写ローラ対(内ローラ71と外ローラ72)によってシートに二次転写される。シートに二次転写されたトナー像は定着装置80によってシート上に定着する。
リーダ部20は、いわゆるイメージスキャナである。原稿台22に置かれた原稿21に対して光源23が照明光を照射する。原稿21からの反射光はレンズなどの光学系24を介してCCDセンサ25上に結像する。CCDセンサ25は、原稿21からの反射光に応じた画像信号を出力するイメージセンサである。とりわけ、トナー像からの反射光の強度はトナー像の反射濃度(輝度値)を示している。光源23、光学系24およびCCDセンサ25で構成される読み取り部は、図1に示された矢印Aの方向(副走査方向)に移動することで、原稿21の全体をスキャンする。入力画像処理部26は、CCDセンサ25からのアナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換して画像データを生成する。画像データは、反射濃度(輝度値)の集合である。入力画像処理部26は、RGBの輝度値からなる画像データをYMCKの濃度値からなる画像データに変換してプリンタ制御部40へ出力する。
図2は、画像処理に関与する機能を示すブロック図である。入力画像処理部26は、シートに形成されたパターン画像の反射濃度(輝度値)を濃度値に変換する輝度濃度変換部201を有している。プリンタ制御部40は、CPU210、ROM220およびRAM230を有している。CPU210はROMに記憶されたプログラムを実行することによって画像処理に関する各種の機能を実現する。なお、CPU210とともにまたはCPU210に代えてASIC(特定の用途向け集積回路)やDSP(デジタルシグナルプロセッサ)などが使用されてもよい。
CPU210は、像形成パラメータの1つであるレーザーパワー(露光量)をレーザードライバ41に設定する設定手段として機能する。たとえば、CPU210は、パターンデータまたは他の制御データに基づき、一段階からn段階までのn個のレーザーパワーをレーザードライバ41に順次設定する。レーザードライバ41は、指定されたレーザーパワーに応じた光ビームが出力されるようレーザービームスキャナ3を制御する。これによりそれぞれ画像濃度の異なるトナー像の元になる静電潜像が感光ドラム1の表面に形成される。
出力画像処理部211は、輝度濃度変換部201から入力された画像信号としての濃度データに画像処理(ガンマ補正など)を実行する。たとえば、出力画像処理部211は、意図した色で正しく画像を出力するようにイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色成分の混合量を決定する。ガンマ補正部212は、所望の階調性を保持するためのガンマルックアップテーブル(GLUT)を用いて画像エンジンのガンマ特性を補正する。GLUTは画像データを変換する変換条件の一例である。ガンマ補正部212は変換条件を用いて画像データを変換する変換手段の一例である。ディザ処理部213は中間調についてディザ処理を行う。たとえば、ディザ処理部213は入力された濃度値に対応するディザパターンを選択し、選択したディザパターンを用いてディザ処理を実行する。このように、ディザ処理部213はルックアップテーブルにより変換された濃度信号に応じてディザパターンを選択してディザ処理を実行するディザ処理手段として機能する。
CPU210は、感光ドラム1の所定の帯電電位を高圧ドライバ42に設定する。高圧ドライバ42は指定された帯電電位となるような帯電電圧を帯電ローラ2に印加する。CPU210は、所定の現像電位を高圧ドライバ42に設定する。高圧ドライバ42は指定された現像電位となるような現像電圧を現像器4の現像スリーブ44に印加する。
[ベタ濃度の制御]
図3は画像形成条件の制御に関与する機能を示すブロック図である。ベタ濃度制御部301は、基準チャートをシートに形成してリーダ部20で読み取ることでベタ濃度を所望の濃度に制御する制御手段である。
ベタ濃度制御部301は、高圧ドライバ42を制御して、感光ドラム1の表面電位が所定の暗部電位となるように表面を帯電させるとともに現像器4の現像スリーブ44にも所定の現像電圧を印加する。たとえばドラム暗部電位は−700[V]であり、現像電位のDC成分は−600[V]である。この状態で、ベタ濃度制御部301は、A3サイズの範囲内でレーザーパワー(露光量)を複数段階にわたって変化させて、複数のパターン画像を形成する。図4は、レーザーパワーを7段階にわたり変化させるときにベタ濃度制御部301がレーザードライバ41に出力する設定値の一例を示している。この例では、レーザーパワー設定値は9bitで表現される。つまり、レーザーパワーの最大設定値は511であり、他の7つの設定値は160、192、224、256、288、320、352となる。図5は、この設定値を用いて形成された基準チャート500を示している。図5が示すように、基準チャート500は、レーザーパワー(露光量)に応じて濃度が異なる7つのパターン画像を有している。
リーダ部20は、原稿台22に載置された基準チャート500を読み取って各パターン画像の輝度値を検知する。入力画像処理部26は輝度値を濃度値に変換してプリンタ制御部40の出力画像処理部211に送信する。
7つのパターン画像の各濃度値は、プリンタ部10がそれぞれのパターン画像を形成する際に使用したレーザーパワーの設定値に対応付けて記憶される。図6は、各パターン画像の濃度値とレーザーパワーの設定値との関係を示したデータである。ベタ濃度制御部301は、各パターン画像の濃度値(測定値)と目標濃度値とを比較し、目標濃度値を超える測定値を探索する。たとえば、ベタ濃度制御部301は、最も低い設定値から最も高い設定値に向かって順番に、設定値に対応した測定値と目標濃度値とを比較して行く。そして、ベタ濃度制御部301は、目標濃度値を超える測定値に対応したレーザーパワーの設定値をLPhighとし、LPhighよりも一段階低いレーザーパワーの設定値をLPlowとする。このとき、ベタ濃度制御部301は、設定値LPlowに対応した測定濃度値と、設定値LPhighに対応した測定濃度値との2点間で線形補間を行うことで、目標濃度値に対応したレーザーパワーの設定値LPsetを算出する。図6に示すように、目標濃度値はたとえば1.7とする。なお、目標濃度値はこの値に限定されない。
また、全ての測定濃度値が目標濃度値よりも低い場合、ベタ濃度制御部301は、最も測定濃度値が高いレーザーパワー設定値をLPhighとし、レーザーパワー設定値LPhighよりも一段階低いレーザーパワー設定値をLPlowとする。そして、ベタ濃度制御部301は、レーザーパワー設定値LPhighに対応する測定濃度値と、レーザーパワー設定値LPlowに対応する測定濃度値とを外挿(線形補間)し、目標濃度値に対応したレーザーパワー設定値LPsetを算出する。なお、全ての測定濃度値が目標濃度値よりも高い場合、ベタ濃度制御部301は、最も測定濃度値が低いレーザーパワー設定値をLPlowとし、レーザーパワー設定値LPlowよりも一段階高いレーザーパワー設定値をLPhighとする。そして、ベタ濃度制御部301は、レーザーパワー設定値LPhighに対応する測定濃度値と、レーザーパワー設定値LPlowに対応する測定濃度値とを外挿(線形補間)し、目標濃度値に対応したレーザーパワー設定値LPsetを算出する。
[階調補正(PascalLUTの補正)]
レーザーパワーの設定値LPsetが決定されると、PascalLUT補正部302が階調補正を実行する。階調補正が実施されると、ガンマルックアップテーブル(GLUT)が生成される。つまり、プリンタ部10に形成された画像の階調が目標階調となるように補正される。図3に示したように、ガンマ補正部212が使用するGLUT303は2つのルックアップテーブルを乗算することで得られるγLUTである。PascalLUT304は、PascalLUT補正部302によって補正されるルックアップテーブルであり、ベタ濃度が補正されたときに更新される。PreGLUT305は、画像形成動作中に多階調制御部306によって補正されるルックアップテーブルであり、PascalLUT304と比較して頻繁に補正される。PascalLUT304は長期的な階調変動を補正するものであり、PreGLUT305は短期的な階調変動を補正するものである。なお、多階調制御部306は、画像形成手段に第2測定用画像(例:パターン画像)を像担持体上に形成させ、測定手段に第2測定用画像を測定させ、第2測定用画像の測定結果と補正条件(例:フィードバック率)とに基づいて変換条件を補正する補正手段の一例である。
図7は、階調補正を行う際にシートSに形成される階調補正チャート700の一例を示す図である。PascalLUT補正部302は、所定のドラム電位を高圧ドライバ42に設定するとともに、レーザーパワーの設定値LPsetをレーザードライバ41に設定する。プリンタ部10は、設定されたプロセス条件を用いて階調補正チャート700を作像する。階調補正チャート700は、ブラックトナーで作成されたそれぞれ濃度が異なる10個のパターン画像を含む。各パターン画像は、濃度値に応じたディザパターンでディザ処理部213によりディザ処理された画像である。ディザパターンとは、網点の配置方法を意味し、つまり網点の粗密、及び、網点の大きさを意味する。以下では、PascalLUT補正部302が出力画像処理部211、ガンマ補正部212およびディザ処理部213を制御して階調補正チャート700を作成させる。
出力画像処理部211は、入力画像処理部26から入力された濃度情報を8bitの分解能で取り扱うものと仮定する。よって、ベタ濃度は16進数にてFFで表現される。ここでは、10段階の濃度情報を示す信号値であるFF、E0、C0、A0、90、80、60、40、20、10のそれぞれに対応した10段階のディザパターンが用意されている。つまり、10段階のディザパターンはそれぞれFF、E0、C0、A0、90、80、60、40、20、10の信号値によって特定される。このように出力画像処理部211は入力された10段階の濃度情報に対応した信号値をガンマ補正部212に出力する。ガンマ補正部212は、GLUT303を参照して入力された濃度信号を変換してディザ処理部213に出力する。なお、リーダ部20を用いて階調補正が実施される場合に、GLUT303は濃度情報に対応した信号値(入力信号)を補正せずに濃度信号(出力信号)としてディザ処理部213に出力する構成であってもよい。ディザ処理部213は、変換された濃度信号に対応したディザパターンを選択してディザ処理を実行する。プリンタ部は、ディザ処理された画像データ(測定用画像データ)に基づいてシートSに階調補正チャート700を形成する。
ユーザーが階調補正チャート700をリーダ部20の原稿台22に載置し、操作部(不図示)から階調補正チャート700の読み取りを指示した場合、リーダ部20は、階調補正チャート700の輝度値を測定する。そして、入力画像処理部26は、輝度濃度変換部201を用いて階調補正チャート700の輝度値を濃度値に変換し、プリンタ制御部40に濃度値を出力する。PascalLUT補正部302は、各パターン画像の濃度値がターゲット濃度値になるようにPascalLUT304を作成してRAM230に保持する。
リーダ部20を用いて階調補正が実施された後、GLUT303、PascalLUT304、及び、PreGLUT305に基づいてGLUT303が更新される。このとき、PascalLUT補正部302は、PreGLUT305が入力信号を補正せずに出力信号に変換するように、PreGLUT305の補正係数を1に設定する。なお、階調補正するためにガンマ補正部212がGLUT303に基づいて濃度信号を変換しない場合には、PascalLUT304、及び、PreGLUT305に基づいてGLUT303が生成される。
なお、プリンタ部10により形成される画像の濃度は、環境条件(温度、湿度)や印刷ページ数によっても変化するので、定期的にGLUT303を補正する必要がある。しかしながら、PascalLUT304を補正するためには階調補正チャート700を印刷する必要があるので、シートを消費してしまったり、ユーザーが階調補正チャート700を原稿台22に設置する手間がかかってしまったりする。そこで、画像形成装置100は、階調補正チャート700を用いずにPreGLUT305を補正し、PascalLUT304とPreGLUT305とに基づいてGLUT303を更新する。これによって、画像形成装置100は、ユーザーが階調補正チャート700を原稿台22に設置する手間を低減させると共に、画像濃度を適正な濃度に維持できる。
[PreGLUTの補正]
多階調制御部306が、作像動作中にPreGLUT305を補正する濃度補正(多階調制御)を図11Aに基づいて説明する。多階調制御部306は、プリンタ部10に、中間転写ベルト51上に階調が異なる複数のパターン画像を形成させ、パターンセンサ317に、パターン画像の濃度を検知させ、パターン画像の検知結果に基づいてPreGLUT305を補正する制御である。なお、パターンセンサ317は画像形成ステーションにより像担持体上に形成された測定用画像を測定する測定手段の一例である。CPU210は、PreGLUT305に基づいてGLUT303を更新する。このように、多階調制御部306は、中間転写ベルト51上に形成される第2トナー像の濃度値をフィードバックして像形成条件(例:ディザパターンの割り当て)を制御する制御手段として機能する。
S1101で、多階調制御部306は、階調が異なる複数のパターン画像(階調チャート800)が中間転写ベルト51上に形成されるようプリンタ部10を制御する。たとえば、多階調制御部306は、ガンマ補正部212を制御し、直前の作像時にRAM230に保持されたGLUT303に基づいて、予め決められた5段階の信号値(512、320、256、192、128)を補正する。多階調制御部306は、ディザ処理部213を制御し、ガンマ補正部212により補正された信号値に対応するディザパターンを選択してディザ処理を実行する。図8に示すように、5つのパターン画像を含む階調チャート800が中間転写ベルト51上に形成される。
S1102で、多階調制御部306は、中間転写ベルト51近傍に配設されたパターンセンサ317を用いて階調チャート800の各パターン画像の濃度を測定する。パターンセンサ317は階調チャート800に含まれる各パターンの読取結果を示す信号を出力する。パターンセンサ317は、たとえば、発光部および受光部を有する光学センサである。多階調制御部306は、予め記憶された変換テーブルを用いて、パターンセンサ317からの出力信号を濃度値Dmに変換する。
S1103で、多階調制御部306は、ルックアップテーブルであるPreGLUT305を補正する。たとえば、多階調制御部306は、検知した濃度値DmとGLUT303から想定されるターゲット濃度値Dtを比較する。図9が示すように、多階調制御部306は、信号値(512、320、256、192、128)の各々に対応した濃度値Dmと、GLUT303から想定される信号値(512、320、256、192、128)の各々に対応した濃度値Dtとの差が所定値よりも大きい場合には、PreGLUT305を補正する。たとえば、多階調制御部306は、信号値に対応した濃度値Dmと、GLUT303から想定される信号値に対応したターゲット濃度値Dtとの差分dΔを算出し、差分dΔが閾値thを超えているかどうかを判定する。差分dΔが閾値thを超えていれば、多階調制御部306は、差分dΔがゼロまたは閾値th以下となるようにPreGLUT305を補正する。このように、多階調制御部306は、パターンセンサ317により取得された濃度値が目標濃度値より低い場合にトナー像の濃度が増加するようにPreGLUT305を補正する。たとえば、多階調制御部306は、取得された濃度値が目標濃度値より低い場合にトナー像の濃度が増加するように濃度信号に対して割り当てられるディザパターンを変更する。また、多階調制御部306は、パターンセンサ317により取得された濃度値が目標濃度値より高い場合にトナー像の濃度が低下するようにPreGLUT305を補正する。たとえば、多階調制御部306は、取得された濃度値が目標濃度値より高い場合にトナー像の濃度が低下するように濃度信号に対して割り当てられるディザパターンを変更する。
なお、多階調制御部306は、濃度信号の信号値としてFFを用いて作成したベタ部についての濃度値Dmが所望の目標濃度値Dtを超えているかどうかを判定してもよい。濃度値Dmが所望の目標濃度値Dtを超えている場合に、多階調制御部306は、ベタ部に適用されるディザパターンを、より低い濃度値に適用されるディザパターンに置き換えるようPreGLUT305を補正してもよい。これをLUT切りと呼ぶ。一方で、信号値FFに対応した濃度値Dmが所望の目標濃度値Dtに満たない場合に、ベタ部(信号値FF)に適用されるディザパターンをより高い濃度の画像を形成できるディザパターンに置き換えるようにPreGLUT305が補正されてもよい。信号値としてFF(ベタ部)から0(ベタ白部)までの間の信号値によって形成される中間調領域(ハーフトーン部)についても、多階調制御部306は、ディザパターンの再配置を行う。多階調制御部306は、信号値が320、256、192、128といった4つのレベルのハーフトーン部の濃度値Dmの目標濃度値Dtに対するずれ量を算出する。さらに、多階調制御部306は、ずれ量がゼロとなるようにPreGLUT305を補正する。
多階調制御部306は、PreGLUT305を補正することで、補正されたPreGLUT305とPascalLUT304とに基づいてGLUT303を更新する。なお、多階調制御部306は、画像形成枚数をカウントし、カウント値が所定枚数(例:82枚)に到達すると、多階調制御を実行する。階調チャート800は、先行するシートSに対応した画像の後端から後続のシートSに対応した画像の先端までの中間転写ベルト51上の空き領域(紙間)に形成されてもよい。つまり、中間転写ベルト51上において、nページ目の画像とn+1ページ目の画像との間の画像が形成されていない領域に階調チャート800が形成される。また、シートSに対する画像の形成が完了した後に実行される中間転写ベルト51の後回転時に階調チャート800が作成されてもよい。画像形成枚数のカウント値は、現像器4や画像形成装置100に装着されるカートリッジが交換されたときに0に設定される。カートリッジとは、帯電ローラ、クリーニングブレードおよび感光ドラムを一体型した手段である。
[ATR制御]
●ターゲット濃度値Dtの決定
次に、プリンタ制御部40のCPU210が実行するATR制御について説明する。ターゲット濃度値Dtの設定処理は、画像形成装置100の設置時に、新品の現像器およびカートリッジを用いて実行される。T/D比決定部307は、プリンタ部10を制御し、図10に示したATRチャート1000を中間転写ベルト51上に形成させる。T/D比決定部307は、パターンセンサ317を用いてATRチャート1000の濃度を検知する。T/D比決定部307は、検知した濃度をATRチャート1000のターゲット濃度値DtとしてROM220に保持する。
本実施例において、ATRチャート1000は、2400dpiの解像度を有し、2dotの横万線と1dotのスペースが交互に繰り返すラインパターンである。ディザ処理部213はディザパターンとしてベタ部(FF)相当となる横万線を採用してもよい。これは、現像スリーブ44の回転に伴うかきとりなど、現像性の劣化に起因した現象に感度が高いディザパターンだからである。なお、レーザーパワー設定値としては512レベルのうちの中心値である256が採用される。
●ターゲットT/D比の決定
図11Bを用いてターゲットT/D比の決定方法について説明する。T/D比は、上述したように、現像器に収容された現像剤の合計重量に対するトナーの重量の比率である。ターゲットT/D比は、現像器4におけるトナーとキャリアの割合の目標値であり、所定の時間間隔ごとに更新される。S1111で、T/D比決定部307は、プリンタ部10を制御してATRチャート1000を中間転写ベルト51上に形成する。S1112で、T/D比決定部307は、パターンセンサ317を用いてATRチャート1000に含まれる各パターン画像(図10)の濃度を検知する。S1113で、T/D比決定部307は、ATRチャート1000から得られた濃度値に基づいてターゲットT/D比を決定する。たとえば、T/D比決定部307は、検知された濃度値(測定値)とROM220に保持されているターゲット濃度値Dtgtとを比較する。ATRチャート1000の濃度値Datrがターゲット濃度値Dtgtより低ければ、トナー帯電量が下がっているために現像性が低下していると考えられる。そこで、T/D比決定部307は、現像器4内のT/D比を下げてトナー帯電量を上げるようにターゲットT/D比を補正する。一方で、ATRチャート1000の濃度値Datrがターゲット濃度値Dtgtより高ければ、トナー帯電量が上がっていると考えられる。そこで、T/D比決定部307は、現像器4内のT/D比を上げてトナー帯電量を下げるようにターゲットT/D比を補正する。補正されたT/D比はRAM230に格納される。ターゲットT/D比はトナーの補給量を調整するために補給制御部308によって使用される。このように、T/D比決定部307は、中間転写ベルト51上に形成される第1トナー像(ATRチャート1000)の濃度値に応じてT/D比の目標値を決定する目標値決定手段として機能する。つまり、T/D比決定部307は、画像形成手段に第1測定用画像を形成させ、測定手段に第1測定用画像を測定させ、第1測定用画像の測定結果に基づいて目標濃度を決定する第1決定手段の一例である。
●トナー補給量の制御
図12を用いてトナー補給量の制御について説明する。なお、補給制御部308は、現像器4におけるトナーとキャリアの割合(T/D比)に応じてトナー容器330から現像器4のトナー攪拌部331へのトナー補給量を制御する補給量制御手段として機能する。
S1201で、補給制御部308は、濃度センサ311によって現像剤のT/D比を測定する。濃度センサ311は現像部のトナー濃度を検知する検知手段の一例である。たとえば、補給制御部308は、インダクセンサなどの濃度センサ311によって現像剤の透磁率を検知し、透磁率を現像器4内の現像剤のT/D比に換算する。このように濃度センサ311は現像器4に収容された現像剤に対するトナーの割合(トナー濃度)を検知する検知手段として機能する。また、濃度センサ311は現像部における現像剤の透磁率を検知する透磁率検知手段であってもよい。また、補給制御部308は、検知手段の検知結果に基づいて現像部のトナー濃度が目標濃度となるように、現像部に補給されるトナーの量を制御する補給制御手段の一例である。
S1202で、補給制御部308は、濃度センサ311により検知されたT/D比とT/D比決定部307により決定されたターゲットT/D比とを比較し、T/D比がターゲットT/D比よりも低いか否かを判定する。現像剤のT/D比がターゲットT/D比を下回っていれば、S1205に進む。S1205で、補給制御部308は、トナー補給部310のトナー補給量を増加する。
S1202で現像剤のT/D比がターゲットT/D比を下回っていないと判定されると、S1203に進む。S1203で、補給制御部308は、現像剤のT/D比がターゲットT/D比よりも高いかどうかを判定する。現像剤のT/D比がターゲットT/D比を超えていれば、キャリアに対してトナーが多いといえるため、S1204に進む。現像剤のT/D比がターゲットT/D比を超えていなければ、本処理を終了する。
S1204で、補給制御部308は、トナー補給部310のトナー補給量を低減する。トナー補給部310はトナー容器330から現像器4のトナー攪拌部331へトナーを補給する機構である。これにより、現像器4内のT/D比をターゲットT/D比に補正することができ、所望の帯電量に調整されたトナーを用いて画像形成を行うことができる。ここでは、透磁率をT/D比に換算しているが、透磁率をそのまま使用してもよい。この場合、ターゲットT/D比はターゲット透磁率に換算して使用される。トナー攪拌部331は、現像器4に収容されたトナーとキャリアとを攪拌する撹拌部として機能する。
●T/D比リミッタ
本実施例において、T/D比決定部307は、予め定められたT/D比リミッタを超えないようにターゲットT/D比を補正する。つまり、ターゲットT/D比は、ある上限値を超えず、かつ、ある下限値を下回らないように補正される。
本実施例において、上限値を9%に設定している。ターゲットT/D比が上限値を超えると、トナー飛散やかぶりなどに起因した画像の汚れが発生しうる。一方で下限値は6%に設定されている。ターゲットT/D比が下限値を下回ると、ゴーストやキャリア付着などの画像不良が発生しうる。
このようにターゲットT/D比をT/D比リミッタによって制限することで、トナー飛散やかぶり、ゴーストを低減することができる。しかし、ターゲットT/D比を制限することで副作用も生じうる。つまり、トナーの帯電量を適正に維持できなくなることがある。
そこで、本実施例では、T/D比リミッタによってターゲットT/D比を十分に補正できない場合に、フィードバック率決定部309がPreGLUT305のフィードバック率を変更する。なお、フィードバック率決定部309は第1決定手段により決定された目標濃度に基づいて補正条件を決定する第2決定手段の一例である。PreGLUT305は、信号値に対する濃度値DmとGLUT303から想定される濃度値Dtとの差分dΔが閾値以下となるように、画像データを変換する変換条件に相当する。差分dΔがフィードバック量となる。フィードバック率は、フィードバック量の内、PreGLUT305が更新された後に形成される画像の濃度を目標濃度値に対してどの程度の割合を補正するかを示す補正量である。たとえば、ターゲットT/D比が上限値から下限値までの範囲内に存在する場合のフィードバック率(第1補正条件)は5%である。一方、ターゲットT/D比が上限値から下限値までの範囲を逸脱している場合のフィードバック率(第2補正条件)は10%である。このように、第2補正条件に基づいて補正された変換条件が所定の入力値を補正する補正量は、第1補正条件に基づいて補正された変換条件が所定の入力値を補正する補正量よりも大きくなる。フィードバック率決定部309は、このような大小関係が成立するようにフィードバック率を決定する。フィードバック率決定部309はターゲットT/D比が所定範囲内であればフィードバック率を第1の値に設定し、ターゲットT/D比が所定範囲を逸脱していれば(所定範囲外)フィードバック率を第1の値よりも大きな第2の値に設定するフィードバック率設定手段として機能する。また、フィードバック率決定部309は、ターゲットT/D比が所定範囲を逸脱していればディザパターンの割り当てを司るルックアップテーブルに対するフィードバック率を第1の値よりも大きな第2の値に設定してもよい。
多階調制御は所定枚数の作像が行われると自動的に行われる。たとえば、多階調制御は画像形成ページ数が82ページ毎に実行される。よって、多階調制御は、比較的高頻度で実施される制御である。このため、たとえば、連続して複数の画像を形成する場合、フィードバック率を過度に上げてしまうと、多階調制御が実施される前に形成された画像の濃度と、多階調制御が実施された後に形成された画像の濃度との差が増大してしまう。つまり、頻繁に実行される多階調制御によってPreGLUT305が過度に変更された場合、画像の色味が過度に補正されてしまう。
一方、ターゲットT/D比がT/D比リミッタに固定されてしまい、現像器4のT/D比を十分に補正できない場合、トナーの帯電量が安定しなくなり、出力画像の濃度変動が大きくなっている可能性がある。フィードバック率決定部309は、この場合のフィードバック率を、ターゲットT/D比が上限値から下限値までの範囲内に存在する場合のフィードバック率と比較して相対的に大きく設定する。これにより、多階調制御の実行時にPreGLUT305をより大きく補正することが可能となり、トナーの帯電量が所望の帯電量に制御できない場合であっても画像の色味のずれを適切に補正できる。
ターゲットT/D比がT/D比リミッタに固定されて可変制御できない状況では、特にベタ濃度が不安定となりやすい。しかし、上述したようにフィードバック率を決定することで、ベタ濃度についても安定化させることができる。つまり、フィードバック率決定部309はターゲットT/D比を可変制御できない場合のフィードバック率を、ターゲットT/D比を可変制御できる場合のフィードバック率よりも大きく設定する。これにより、PreGLUT305が適切に補正されるため、ベタ濃度のみならず全濃度域で濃度ずれに対する補正を確実に実行することが可能となる。ひいては、印刷されるページ内での印刷面積比率など、画像形成装置100の使用条件に依存せずに、長期にわたって安定して画像形成を行うことが可能となる。
図13を用いてフィードバック率の修正工程を含むターゲットT/D比の決定方法について説明する。このフローチャートは、図11Bに示したS1113を詳細に示している。
S1301で、T/D比決定部307は、ATRチャート1000から測定された濃度値とターゲット濃度値とを比較し、測定された濃度値がターゲット濃度値よりも高いかどうかを判定する。測定された濃度値がターゲット濃度値よりも高い場合にはS1302に進む。
S1302で、T/D比決定部307は、補給制御部308に設定されているターゲットT/D比を1段階下げる。T/D比決定部307は、たとえば、ターゲットT/D比を1%低下させる。このように、T/D比決定部307は、パターンセンサ317により取得された濃度値(測定結果)が目標濃度値(目標結果)より低い場合に目標値を低下させる調整手段として機能する。S1303で、T/D比決定部307は、ターゲットT/D比が下限値未満かどうかを判定する。ターゲットT/D比が下限値未満であれば、S1304に進む。S1304で、T/D比決定部307は、ターゲットT/D比を下限値に修正する(ターゲットT/D比に下限値が代入される)。このようにT/D比決定部307は、ATRチャート1000の濃度値に応じて決定されたターゲットT/D比が所定範囲のうち下限値を下回る場合にターゲットT/D比を下限値に修正する設定手段として機能する。S1305で、フィードバック率決定部309は、フィードバック率を修正する。S1305において、フィードバック率決定部309は、上述したように、フィードバック率が相対的に増加される(例:5%−>10%)。
また、S1301で測定された濃度値がターゲット濃度値よりも低くないと判定されると、S1311に進む。S1311で、T/D比決定部307は、ATRチャート1000から測定された濃度値とターゲット濃度値とを比較し、測定された濃度値がターゲット濃度値よりも低いか否かを判定する。測定された濃度値がターゲット濃度値よりも低い場合にはS1312に進む。
S1312で、T/D比決定部307は、補給制御部308に設定されているターゲットT/D比を1段階上げる。T/D比決定部307は、たとえば、ターゲットT/D比を1%増加させる。このように、T/D比決定部307は、パターンセンサ317により検知された濃度値が目標濃度値より高い場合に目標値を増加させる調整手段として機能する。S1313で、T/D比決定部307は、ターゲットT/D比が上限値を超えているかどうかを判定する。ターゲットT/D比が上限値を超えていれば、S1314に進む。S1314で、T/D比決定部307は、ターゲットT/D比を上限値に修正する(ターゲットT/D比に上限値が代入される)。このように、T/D比決定部307は、ATRチャート1000の濃度値に応じて決定されたターゲットT/D比が所定範囲のうち上限値を超える場合にターゲットT/D比を上限値に修正する設定手段として機能する。S1315で、フィードバック率決定部309は、フィードバック率を修正する。S1315において、フィードバック率決定部309は、上述したように、フィードバック率が相対的に増加される(例:5%−>10%)。
以上説明したように本実施例の画像形成装置100は、現像器4のT/D比に応じてトナー容器330から現像器4へ補給すべきトナーの補給量を制御する。画像形成装置100は、中間転写ベルト51上に形成されたATRチャート1000の濃度値に応じてターゲットT/D比を決定する。さらに、画像形成装置100は、中間転写ベルト51上に形成された階調チャート800の濃度値をフィードバックして変換条件を制御する。とりわけ、画像形成装置100は、ターゲットT/D比が所定範囲内であれば変換条件を補正する補正条件を第1の補正条件に設定し、ターゲットT/D比が所定範囲を逸脱していれば変換条件を補正する補正条件を第1の補正条件よりも、所定の信号値に対する補正量が大きな第2の補正条件に設定する。これにより、トナーとキャリアとの割合が所定範囲内に制限されたとしてもベタ濃度の安定性を維持できる。画像形成装置100は、パターンセンサ317により取得された濃度値が目標濃度値より低い場合にトナー像の濃度が増加するように変換条件を補正し、パターンセンサ317により取得された濃度値が目標濃度値より高い場合にトナー像の濃度が低下するように変換条件を補正する。変換条件は、たとえば、ディザパターンの割り当てを司るルックアップテーブルであるPreGLUT305である。なお、画像形成装置100は、パターンセンサ317により取得された濃度値が目標濃度値より低い場合にトナー像の濃度が増加するように濃度信号に対して割り当てられるディザパターンを変更する。また、画像形成装置100は、パターンセンサ317により取得された濃度値が目標濃度値より高い場合にトナー像の濃度が低下するように濃度信号に対して割り当てられるディザパターンを変更する。
画像形成装置100は、ATRチャート1000の濃度値に応じて決定されたターゲットT/D比が上限値を超える場合にターゲットT/D比を上限値に修正することで、トナー飛散やかぶりなどを抑制できる。
画像形成装置100は、ATRチャート1000の濃度値に応じて決定されたターゲットT/D比が下限値を下回る場合にターゲットT/D比を下限値に修正することで、ゴーストやキャリア付着などを抑制できる。
画像形成装置100は、パターンセンサ317により取得された濃度値が目標濃度値より高い場合にターゲットT/D比を低下させ、パターンセンサ317により取得された濃度値が目標濃度値より低い場合にターゲットT/D比を増加する。これにより、現像器4の現像剤のT/D比が適正に制御される。
本実施例において、現像剤のT/D比を、現像剤の混合状態での透磁率として検知するためにインダクセンサを用いて検知を行っているが、本発明におけるT/D比の検知方法としては、これに限定されるものではない。つまり、T/D比に相関のある他の物理量を検知するセンサが使用されてもよい。
(実施例2)
実施例1では、多階調制御においてベタ濃度がターゲット濃度からずれているときには濃度信号に対するディザパターンの割り当てを変更する(つまり、レーザーの露光時間を変更する)ことで対処していた(S1103)。一方、実施例2では、多階調制御においてベタ濃度がターゲット濃度からずれているときにはレーザーパワーを可変制御することで対処する。
図14は実施例2の多階調制御を示しており、S1103がS1401に置換されている。S1401で、多階調制御部306は、ルックアップテーブルを補正する。ただし、測定されたベタ濃度がターゲット濃度に対して所定値以上高い場合、ベタ濃度制御部301は、レーザーパワー設定値を1段階低下させる。測定されたベタ濃度がターゲット濃度に対して所定値以上低い場合、ベタ濃度制御部301は、レーザーパワー設定値を1段階増加する。1段階とは、図4に示した7段階における1レベルである。実施例2においてレーザーパワーは7レベルに制御可能な構成としたが、レーザーパワーの制御可能なレベルは適宜決定すればよい。レーザーパワー設定値の分解能が9ビットであれば、ベタ濃度制御部301は、0ないし511までの範囲内で1レベルずつレーザーパワー設定値を変更してもよい。なお、ベタ濃度以外の中間調については上述したPreGLUT305に対するフィードバック率を用いて補正が実行される。
実施例1で説明したように、測定されたベタ濃度がターゲット濃度に対して高い場合に濃度を下げるようにPreGLUT305を補正する(ディザパターンを変更すればよい。)つまり、所定のレーザーパワーを用いて形成される画像の濃度が所望の濃度よりも高い場合、露光時間を短くすればよい。しかし、露光時間が短縮された場合、文字や細線にジャギーが生じ、画像品位を落とす可能性がある。そこで、ベタ濃度制御部301は、レーザーパワー設定値を変更することで、露光時間の過度な短縮を抑制できる。
一方で、測定されたベタ濃度がターゲット濃度に対して低い場合には濃度を上げるようにPreGLUT305を補正する(ディザパターンを変更すればよい。)このように、露光時間の短縮量を少なくすることで補正が可能ではあるものの、露光時間の短縮量を下限まで低下させてしまった状態では、ベタ濃度を補正することができない。よって、レーザーパワー設定値を変更する制御とディザパターンの変更制御とを併用してもよい。
●ATR制御におけるターゲットT/D比の補正
実施例2では、ATR制御においてT/D比リミッタによってターゲットT/D比を補正できない場合に、ベタ濃度制御部301がレーザーパワー設定値の変更幅を増加させてもよい。図15は実施例2のターゲットT/D比の決定方法を示している。たとえば、測定されたベタ濃度がターゲット濃度に対して所定値以上低い場合、S1501でベタ濃度制御部301は、レーザーパワー設定値の変更幅を増加し、レーザーパワー設定値を2段階増加する。一方、測定されたベタ濃度がターゲット濃度に対して所定値以上高い場合、S1502でベタ濃度制御部301は、レーザーパワー設定値の変更幅を増加し、レーザーパワー設定値を2段階低下せる。このようにベタ濃度制御部301は、レーザーパワー設定値の変更幅を増加する増加部を有している。変更幅を増加はフィードバック率決定部309が担当してもよい。よって、ベタ濃度制御部301やフィードバック率決定部309は、ターゲットT/D比が上限値から下限値までの範囲を逸脱していれば像形成条件の1つである露光量の変更幅を増加する決定手段として機能する。
上述したように、ターゲットT/D比がT/D比リミッタに設定されておりこれ以上補正できない状況では、トナーの帯電量が安定せず、エンジン濃度変動が大きくなっている可能性がある。このようにトナーの帯電量が安定しない状況では、特にベタ濃度が不安定になってしまう。よって、画像形成装置100は、ターゲットT/D比が所定範囲を逸脱していれば像形成条件の1つである露光量の変更幅を増加する。つまり、PreGLUT305の補正に加え、レーザーパワー設定値の変更幅をより大きくすることで、色味を安定化させることが可能となる。
100…画像形成装置、10…プリンタ部、20…リーダ部、303…GLUT、311…トナーセンサ、308…補給制御部、317…パターンセンサ

Claims (13)

  1. 変換条件を用いて画像データを変換する変換手段と、
    前記変換手段により変換された前記画像データに基づき像担持体上に画像を形成する画像形成手段であって、前記変換手段により変換された前記画像データに基づき形成された静電潜像を、トナーを用いて現像する現像部を有する、画像形成手段と、
    前記現像部のトナー濃度を検知する検知手段と、
    前記検知手段の検知結果に基づいて前記現像部のトナー濃度が目標濃度となるように、前記現像部に補給されるトナーの量を制御する補給制御手段と、
    前記画像形成手段により前記像担持体に形成された測定用画像を測定する測定手段と、
    前記画像形成手段に、第1測定用画像を形成させ、前記測定手段に、前記第1測定用画像を測定させ、前記第1測定用画像の測定結果に基づいて前記目標濃度を決定する第1決定手段と、
    前記画像形成手段に、第2測定用画像を形成させ、前記測定手段に、前記第2測定用画像を測定させ、前記第2測定用画像の測定結果と補正条件とに基づいて前記変換条件を補正する補正手段と、
    前記第1決定手段により決定された前記目標濃度に基づいて前記補正条件を決定する第2決定手段と
    を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記第2決定手段は、前記第1決定手段により決定された前記目標濃度が所定範囲内の場合に、前記補正条件として第1補正条件を決定し、前記第1決定手段により決定された前記目標濃度が所定範囲外の場合に、前記補正条件として前記第1補正条件と異なる第2補正条件を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記第2補正条件に基づいて補正された変換条件が所定の入力値を補正する補正量は、前記第1補正条件に基づいて補正された変換条件が前記所定の入力値を補正する補正量よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記変換条件は、ディザパターンの割り当てを司るルックアップテーブルであり、
    前記補正条件は、前記ルックアップテーブルに対するフィードバック率であり、
    前記第2決定手段は、前記目標濃度が所定範囲内であれば前記フィードバック率を第1の値に決定し、前記目標濃度が所定範囲を逸脱していれば前記フィードバック率を前記第1の値よりも大きな第2の値に設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記第2決定手段は、前記目標濃度が所定範囲を逸脱していれば前記画像形成手段の露光量の変更幅を増加することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  6. 前記第1決定手段は、前記第1測定用画像の濃度値に応じて決定された前記目標濃度が所定範囲のうち上限値を超える場合に前記目標濃度を前記上限値に修正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  7. 前記第1決定手段は、前記第1測定用画像の測定結果に応じて決定された前記目標濃度が所定範囲のうち下限値を下回る場合に前記目標濃度を前記下限値に修正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  8. 前記第1決定手段は、前記測定手段の測定結果が目標結果より低い場合に前記目標濃度を低下させ、前記測定手段の測定結果が前記目標結果より高い場合に前記目標濃度を増加することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  9. 前記補正手段は、前記測定手段の測定結果が目標結果より低い場合にトナー像の濃度が増加するように前記変換条件を補正し、前記測定手段の測定結果が目標結果より高い場合にトナー像の濃度が低下するように前記変換条件を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  10. 前記変換手段は、
    濃度信号を変換するルックアップテーブルと、
    前記ルックアップテーブルにより変換された濃度信号に応じてディザパターンを選択してディザ処理を実行するディザ処理手段とを有し、
    前記補正手段は、前記測定手段の測定結果が目標結果より低い場合にトナー像の濃度が増加するように濃度信号に対して割り当てられるディザパターンを変更し、前記測定手段の測定結果が前記目標結果より高い場合にトナー像の濃度が低下するように濃度信号に対して割り当てられるディザパターンを変更することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 前記検知手段は、前記現像部における現像剤の透磁率を検知する透磁率検知手段を有し、
    前記補給制御手段は前記透磁率検知手段により検知された前記透磁率を換算して前記トナー濃度を求めることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  12. 前記ディザパターンの割り当てを司るルックアップテーブルは、2つのルックアップテーブルを掛け合わせて構成されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  13. 前記検知手段は、トナーとキャリアとを含む現像剤の合計重量に対する当該トナーの重量の比率を前記トナー濃度として検知することを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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