実施の形態1
以下、本発明に係るHMT構造の一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2に、それぞれ、本実施の形態に係るHMT構造1がトランスミッション500に装着された状態の展開断面図及び分解展開断面図を示す。
また、図3に、図2におけるIII-III線に沿った前記HMT構造1の断面図を示す。
図1及び図2に示すように、前記HMT構造800は、独立設置可能なHSTユニット1及び遊星ユニット100を有している。
前記HSTユニット10は、基準となる回転動力を入力するポンプ軸20と、前記ポンプ軸20に相対回転不能に支持された油圧ポンプ25と、前記油圧ポンプ25に流体接続されて前記油圧ポンプ25によって油圧的に回転駆動される油圧モータ35と、前記油圧モータ35を相対回転不能に支持するモータ軸30と、前記油圧ポンプ25及び前記油圧モータ35の少なくとも一方の容積を変更させて、前記ポンプ軸20に入力される入力回転速度に対する、前記モータ軸30から出力される出力回転速度の割合(即ち、HSTによる変速比)を無段変化させる容積変更部材40と、HSTハウジング50とを有している。
本実施の形態においては、前記HSTユニット10は、前記容積変更部材40として、前記油圧ポンプ25の容積を変更するポンプ側可動斜板40(P)及び前記油圧モータ35の容積を変更するモータ側可動斜板40(M)を有している。
前記HSTハウジング50は、前記油圧ポンプ25、油圧モータ35及び容積変更部材40を収容すると共に、外部から回転動力が入力可能な状態で前記ポンプ軸20を軸線回り回転自在に支持し且つ外部へ回転動力を出力可能な状態で前記モータ軸30を軸線回り回転自在に支持している。
本実施の形態においては、図1及び図2に示すように、前記ポンプ軸20及び前記モータ軸30は、基準方向に沿って互いに対して平行で且つ軸線方向同一側が外方へ延在するように前記HSTハウジング50に支持されている。
詳しくは、前記HSTハウジング50は、基準方向一方側及び他方側に位置し、両者の間に前記油圧ポンプ25、前記油圧モータ35及び前記容積変更部材40を収容するHST空間50Sを画するHST側第1及び第2端壁50(1)、50(2)と、前記HST側第1及び第2端壁50(1)、50(2)の周縁を連結するように基準方向に延びるHST側周壁55とを有している。
図2に示すように、前記ポンプ軸20及び前記モータ軸30は、基準方向に沿い且つ基準方向他方側が前記HST側第2端壁50(2)に形成されたポンプ軸開口51(P)及びモータ軸開口51(M)を介して外方へ延在された状態で、前記HST側第1及び第2端壁50(1)、50(2)によって軸線回り回転自在に支持されている。
本実施の形態においては、前記HSTハウジング50は、HSTハウジング本体60と、前記HSTハウジング本体60に着脱自在に装着されるポートブロック70とを有している。
前記HSTハウジング本体60は、前記ポンプ軸開口51(P)及び前記モータ軸開口51(M)が形成される端壁61と、前記端壁61の周縁から基準方向に沿って延びる周壁65とを有し、前記周壁65の前記端壁61とは反対側は、前記油圧ポンプ25及び前記油圧モータ35が挿通可能な開口とされている。
前記ポートブロック70は、前記開口を閉塞するように前記HSTハウジング本体60に着脱自在に連結されている。
前記ポートブロック70には、前記油圧ポンプ25及び前記油圧モータ35を流体接続する一対の作動油路(図示せず)が形成される。
斯かる構成においては、前記ポートブロック70及び前記HSTハウジング本体60の前記端壁61が、それぞれ、前記HST側第1及び第2端壁50(1)、50(2)を形成する。
なお、本実施の形態においては、図1及び図2に示すように、前記HSTユニット10は、さらに、前記油圧ポンプ25及び前記油圧モータ35によって形成される閉回路に作動油を補給する為のチャージポンプユニット80を有している。
詳しくは、前記ポンプ軸20は、基準方向一方側が前記HST側第1端壁50(1)(本実施の形態においては前記ポートブロック70)から外方へ延在されている。
前記チャージポンプユニット80は、前記ポンプ軸20の外方延在部に支持されたチャージポンプ本体81と、前記チャージポンプ本体81を囲繞するように前記HST側第2端壁50(2)に装着されたチャージポンプケース83とを有している。
前記遊星ユニット100は、遊星ギヤ機構101と、前記遊星ギヤ機構101を収容する遊星ハウジング200とを有している。
図4に、前記遊星ギヤ機構101の拡大断面図を示す。
又、図5に、図4におけるV-V線に沿った断面図を、図6に、図5におけるVI-VI線に沿った断面図を示す。
図4等に示すように、前記遊星歯車機構101は、サンギヤ110と、前記サンギヤ110と噛合する遊星ギヤ120と、前記遊星ギヤ120と噛合するインターナルギヤ130と、前記遊星ギヤ120を軸線回り回転自在に支持し且つ前記遊星ギヤ120の前記サンギヤ110回りの公転に連動して前記サンギヤ110の軸線回りに回転するキャリヤ150とを有している。
前記遊星歯車機構101においては、前記サンギヤ110、前記キャリヤ150及び前記インターナルギヤ130の遊星3要素のうちの一要素が可変入力要素として作用し、他の一要素が定入力要素として作用し、残りの一要素が合成回転動力出力要素として作用する。
本実施の形態においては、前記サンギヤ110が前記モータ軸30から可変回転動力を入力する可変入力要素として作用し、前記インターナルギヤ130が前記駆動源から作動的に定速回転動力を入力する定速入力要素として作用し、前記キャリヤ150が合成回転動力を出力する合成回転動力出力要素として作用する。
図4に示すように、本実施の形態においては、前記キャリヤ150は、前記遊星ギヤ120を軸線回り回転自在に支持するキャリヤピン160と、前記遊星ギヤ120の前記サンギヤ110回りの公転と共に前記サンギヤ110の軸線回りに回転するように前記キャリヤピン160の軸線方向一方側の第1端部162(1)及び軸線方向他方側の第2端部162(2)をそれぞれ支持する第1及び第2キャリヤ本体170(1)、170(2)とを有している。
前記第1キャリヤ本体170(1)には、前記キャリヤピン160の第1端部162(1)が挿入される第1支持孔172(1)と、前記キャリヤピン160の第1端部162(1)が前記第1支持孔172(1)に挿入された状態で前記キャリヤピン160における軸線方向一方側を向く第1当接面165(1)に係合する第1停止面175(1)とが設けられている。
一方、前記第2キャリヤ本体170(2)には、前記キャリヤピン160の第2端部162(2)が挿入される第2支持孔172(2)と、前記キャリヤピン160の第2端部162(2)が前記第2支持孔172(2)に挿入された状態で前記キャリヤピン160における軸線方向他方側を向く第2当接面165(2)に係合する第2停止面175(2)とが設けられている。
前記第1及び第2キャリヤ本体170(1)、170(2)は、前記第1端部162(1)が前記第1支持孔172(1)に係入され且つ前記第1当接面165(1)が前記第1停止面175(1)に係合され、前記第2端部162(2)が前記第2支持孔172(2)に係入され且つ前記第2当接面165(2)が前記第2停止面175(2)に係合された状態で、締結部材178を介して互いに対して分離可能に連結されている。
斯かる構成の前記遊星歯車機構101によれば、前記キャリヤピン160及び当該キャリヤピン160の抜け止め構造に掛かる負荷を有効に軽減して、耐久性を向上させることができる。
即ち、従来の遊星歯車機構においては、キャリヤピンは、軸線方向一方側がキャリヤギヤ等のキャリヤ本体に形成された支持孔に挿入支持された状態で軸線方向他方側において遊星ギヤを支持する片持ち支持状態とされている。
かかる従来構成においては、前記キャリヤピン自体に大きな負荷が掛かる。
また、従来の遊星歯車機構においては、前記キャリヤピンの前記支持孔からの抜け出し防止は、前記キャリヤピンに着脱自在に装着される抜け止めピンによって行われるのが一般的であり、前記抜け止めピンには剪断方向に大きな負荷が掛かる。
これに対し、本実施の形態においては、前記キャリヤピン160は、第1及び第2端部162(1)、162(2)がそれぞれ前記第1キャリヤ本体170(1)の第1支持孔172(1)及び前記第2キャリヤ本体170(2)の第2支持孔172(2)に挿入された両持ち支持状態において、前記第1及び第2端部162(1)、162(2)の間の中間部で前記遊星ギヤ120を支持している。
従って、前記キャリヤピン160に掛かる負荷を有効に軽減することができる。
また、本実施の形態においては、前記第1当接面165(1)が前記第1停止面175(1)に当接することで前記キャリヤピン160の軸線方向一方側への抜け止めが防止され、且つ、前記第2当接面165(2)が前記第2停止面175(2)に当接することで前記キャリヤピン160の軸線方向他方側への抜け止めが防止される。
従って、前記抜け止めピン等の特定部材に過度の負荷を掛けることなく、前記キャリヤピン160の抜け止めを行うことができる。
図7に、前記遊星歯車機構101の分解断面図を示す。
本実施の形態においては、図7に示すように、前記第1支持孔172(1)は、前記第2キャリヤ本体170(2)に近接する軸線方向内端側が前記第2キャリヤ本体170(2)との対向面170a(1)に開口し且つ前記第2キャリヤ本体170(2)とは反対側の軸線方向外端側が前記第1キャリヤ本体170(1)の軸線方向厚み内で終焉する孔部173(1)と、前記孔部173(1)の軸線方向外端側から径方向内方へ延びる底面174(1)とを有している。
同様に、前記第2支持孔172(2)は、前記第1キャリヤ本体170(1)に近接する軸線方向内端側が前記第1キャリヤ本体170(1)との対向面170a(2)に開口し且つ前記第1キャリヤ本体170(1)とは反対側の軸線方向外端側が前記第2キャリヤ本体170(2)の軸線方向厚み内で終焉する孔部173(2)と、前記孔部173(2)の軸線方向外端側から径方向内方へ延びる底面174(2)とを有している。
前記キャリヤピン160の第1端部162(1)は、軸線方向一方側の端面164(1)が前記第1支持孔172(1)の底面174(1)に当接されるように、前記第1支持孔172(1)の孔部173(1)に挿入されており、前記キャリヤピン160の第2端部162(2)は、軸線方向他方側の端面164(2)が前記第2支持孔172(2)の底面174(2)に当接されるように、前記第2支持孔172(2)の孔部173(2)に挿入されている。
即ち、本実施の形態においては、前記キャリヤピン160の軸線方向一方側及び他方側の端面164(1)、164(2)が、それぞれ、前記第1及び第2当接面165(1)、165(2)として作用し、前記第1及び第2支持孔172(1)、172(2)の底面174(1)、174(2)が、それぞれ、前記第1及び第2停止面175(1)、175(2)として作用している。
前記遊星歯車機構101には下記潤滑油供給構造が設けられている。
図4〜図7に示すように、前記第1キャリヤ本体170(1)には、前記第1支持孔172(1)の底面174(1)の径方向内端から軸線方向外端側へ延びて前記第1キャリヤ本体170(1)の前記第2キャリヤ本体170(2)とは反対側の裏面170b(1)に開口する第1油孔176(1)が設けられている。
同様に、前記第2キャリヤ本体170(2)には、前記第2支持孔172(2)の底面174(2)の径方向内端から軸線方向外端側へ延びて前記第2キャリヤ本体170(2)の前記第1キャリヤ本体170(1)とは反対側の裏面170b(2)に開口する第2油孔176(2)が設けられている。
前記第1及び第2油孔176(1)、176(2)を設けることにより、前記ハウジング200のうち前記遊星歯車機構101を収容する部分に貯留される貯留油を、前記キャリヤピン160の第1及び第2端部162(1)、162(2)へ有効に導くことができる。
さらに、前記遊星歯車機構101においては、前記キャリヤピン160に、前記第1油孔176(1)に臨むように軸線方向一方側の端面164(1)に開き且つ前記第2油孔176(2)に臨むように軸線方向他方側の端面164(2)に開くと共に、外周面のうち前記遊星ギヤ120を支持する領域にも開く潤滑油孔166が設けられている。
前記潤滑油孔166を設けることにより、前記遊星歯車機構101の全体へ潤滑油を有効に導くことができる。
さらに、前記遊星歯車機構101においては、前記遊星歯車機構101の全体への潤滑油の供給をより円滑に行う為に、下記構成が採用されている。
即ち、図4〜図7に示すように、前記潤滑油孔166は、軸線方向一方側及び他方側の端面164(1)、164(2)に開く軸線方向孔166aと、前記軸線方向孔166aに連通された状態で一端側及び他端側が外周面に開く径方向孔166bとを含んでいる。
そして、前記キャリヤピン160は、前記径方向孔166bが前記サンギア110の回転中心を基準とする径方向Rに沿った姿勢で保持されるように、前記第1及び第2キャリヤ本体170(1)、170(2)の少なくとも一方に軸線回り回転不能に固定されている。
本実施の形態においては、図4〜図7に示すように、前記キャリヤピン160には回り止めピン168が径方向に貫通して設けられており、前記第1キャリヤ本体170(1)の内表面(前記第2キャリヤ本体170(2)との対向面170a(1))に形成された保持溝171に前記回り止めピン168が係入されることで、前記径方向孔166bが前記遊星歯車機構の径方向Rに沿った状態で前記キャリヤピン160の軸線回りの自転が防止されている。
斯かる構成を備えることにより、前記キャリヤ150の回転動作時に、前記軸線方向孔166aに導入された潤滑油を、前記径方向孔166bを介して前記遊星歯車機構101の全体に径方向に沿って円滑に拡散させることができる。
なお、前述の通り、前記キャリヤピン160のスラスト方向への抜け止めは、前記第1当接面165(1)及び前記第1停止面175(1)の係合、並びに、前記第2当接面165(2)及び前記第2停止面175(2)の係合によって行われる為、前記回り止めピン168には、前記キャリヤピン160の抜け止めを行う程の強度は要求されず、前記キャリヤピン160の軸線回りの自転を防止できる程度の強度のみで十分とされる。
前記遊星歯車機構101を収容する前記遊星ハウジング200には、駆動源からの回転動力を入力する定速入力部250と、前記定速入力部250の回転動力を外部へ出力する定速出力部260と、前記モータ軸30からの回転動力を可変入力要素に伝達する可変入力部270と、前記定速入力部250の回転動力を定速入力要素に作動伝達する定速伝動部330と、合成回転動力を外部へ出力する合成出力部280とが設けられている。
前記遊星ハウジング200は、ミッションケース510等の所定取付箇所に着脱可能に連結されるように構成されており、前記定速入力部250は、前記遊星ハウジング200が前記所定取付箇所へ装着された状態において、駆動源からの回転動力を入力可能とされている。
本実施の形態においては、前記遊星ハウジング200は、基準方向一方側及び他方側に位置し、両者の間に前記遊星歯車機構101を収容する遊星空間200Sを画する遊星側第1及び第2端壁200(1)、200(2)と、前記遊星側第1及び第2端壁200(1)、200(2)の周縁を連結するように基準方向に延びる遊星側周壁205とを有している。
前記遊星ハウジング200は、前記遊星側第2端壁200(2)の外表面の一部が前記ミッションケース510の外表面に当接された状態で前記ミッションケース510に着脱可能に連結される。
本実施の形態においては、図1及び図2に示すように、前記遊星ハウジング200は、互いに対して分離可能に連結される遊星側第1及び第2蓋部材210、220を有している。
前記遊星側第1蓋部材210は、第1端壁211と、前記第1端壁211の周縁から基準方向に沿って延びる第1周壁215とを有している。
前記遊星側第2蓋部材220は、第2端壁221と、前記第2端壁221の周縁から基準方向に沿って延びる第2周壁225とを有している。
前記遊星側第1及び第2蓋部材210、220は、前記第1及び第2周壁221、225の端面が当接された状態で着脱可能に連結されている。
斯かる構成において、前記第1及び第2端壁211、221が前記遊星側第1及び第2端壁200(1)、200(2)を形成し、前記第1及び第2周壁215、225が前記遊星側周壁205を形成している。
本実施の形態においては、前記遊星側第2端壁200(2)を形成する前記第1端壁211のうち前記ミッションケース510とは当接しない領域に定速入力部開口255が設けられており、前記定速入力部250は、前記定速入力部開口255を介して前記駆動源からの回転動力を取り入れるように構成されている。
本実施の形態においては、前記定速入力部250は、一端部が前記定速入力部開口255を介して前記遊星側第2端壁200(2)から外方へ延在された状態で前記定速入力部開口255に軸受部材256を介して軸線回り回転自在に支持された入力軸251を有している。
前記入力軸251は、外方延在部の外表面にスプラインが設けられている。
本実施の形態においては、図1に示すように、前記ミッションケース510の車輌幅方向一方側に装着されており、図示しない駆動源からの回転動力は、前記ミッションケース510の車輌幅方向他方側に伝達されている。
従って、前記駆動源から前記入力軸251への動力伝達は、前記入力軸251と同軸上に配置された駆動軸320であって、一端側が前記入力軸251に軸線回り相対回転に連結され且つ他端側が前記ミッションケース510の車輌幅方向他方側へ延びる駆動軸320を介して、行われるようになっている。
前記駆動軸320は、前記ミッションケース510に連結される軸ケース515に軸線回り回転自在に内挿支持されており、一端側は前記軸ケース515の外方において入力プーリを支持し、且つ、他端側は第1カップリング320aを介して前記入力軸310に連結されている。
前記定速出力部260は、一端部が前記定速入力部250に作動連結され且つ他端部が前記HSTハウジング50の前記遊星ハウジング200への連結時に前記ポンプ軸20に作動連結されるように構成されている。
本実施の形態においては、前記定速出力部260は、前記定速入力部250を形成する前記入力軸251と同軸上に配置された筒状連結部材261を有している。
詳しくは、前記定速入力部250を形成する前記入力軸261の他端部(前記駆動源に作動連結される端部とは反対側の端部)にもスプラインが設けられており、前記筒状連結部材261は、内周面に前記入力軸251の他端部がスプライン連結されるスプラインを有している。
斯かる構成により、前記筒状連結部材261は、一端側において前記入力軸251に連結される。
さらに、前記筒状連結部材261は、他端側において前記ポンプ軸20に連結されるようになっている。
詳しくは、前記HSTハウジング50は、前記HST側第2端壁50(2)が前記遊星側第1端壁200(1)に当接された状態で、前記遊星ハウジング200に着脱自在に連結される。
前記遊星側第1端壁200(1)には、前記定速出力部260へのアクセスを可能とする定速出力部開口265が設けられている。
前記ポンプ軸20の外方延在部の外表面には、前記定速出力部260を形成する前記筒状連結部材261の他端側にスプライン連結されるスプラインが設けられている。
斯かる構成により、前記HSTハウジング50の前記遊星ハウジング200に対する着脱に応じて、前記ポンプ軸20が前記定速出力部260に連結及び連結解除されるようになっている。
前記可変入力部270は、前記HSTハウジング50の前記遊星ハウジング200への連結時に、前記モータ軸30の可変動力を可変入力要素に伝達するように構成されている。
前述の通り、本実施の形態においては、前記サンギヤ110が可変入力要素として作用する。
従って、前記可変入力部270は、前記モータ軸30の可変動力を前記サンギヤ110に伝達するように構成されている。
詳しくは、前記可変入力部270は、前記サンギヤ110に対し軸線回り相対回転不能とされたスプラインを有している。
本実施の形態においては、前記サンギヤ110には径方向中央に軸線孔110a(図4参照)が設けられており、前記軸線孔110aの内周面に前記スプラインが形成されている。
さらに、前記遊星側第1端壁200(1)には、前記可変入力部270と同軸上に可変入力部開口275が設けられており、且つ、前記モータ軸30の外方延在部の外周面には前記可変入力部270にスプライン連結されるスプラインが設けられている。
斯かる構成により、前記HSTハウジング50の前記遊星ハウジング200に対する着脱に応じて、前記モータ軸30が前記可変入力部270に連結及び連結解除されるようになっている。
前記定速伝動部330は、前記定速入力部250の回転動力を前記遊星歯車機構101の前記定速入力要素に作動伝達する。
本実施の形態においては、前記インターナルギヤ130が前記定速入力要素として作用する。
従って、前記定速伝動部330は、前記定速入力部250の回転動力を前記インターナルギヤ130に作動伝達する。
詳しくは、前記定速伝動部330は、前記定速入力部250を形成する前記入力軸251に相対回転不能に支持された第1入力伝動ギヤ335aと、前記第1入力伝動ギヤ335a及び前記インターナルギヤ130に噛合するように中間軸336に支持された第2入力伝動ギヤ335bとを有している。
前記合成出力部280は、前記遊星歯車機構101の合成回転動力出力要素の回転動力を、所定の駆動部材に作動伝達するように構成されている。
本実施の形態においては、前述の通り、前記キャリヤ150が合成回転動力出力要素として作用する。
従って、前記合成出力部280は、前記キャリヤ150の回転動力を所定駆動部材に向けて出力する。
詳しくは、前記合成出力部280は、一端部が前記キャリヤ150に作動連結され且つ他端部が前記遊星側第2端壁200(2)に形成された合成出力部開口285を介して所定駆動部材に向けて回転動力を出力可能とされている。
本実施の形態においては、前記遊星ハウジング200が前記ミッションケース510に装着された際に、前記合成出力部280が前記ミッションケース510内に収容された副変速機構530に合成回転動力を伝達するようになっている。
即ち、図2に示すように、前記遊星側第2端壁200(2)のうち前記所定取付箇所となる前記ミッションケース510の外表面に当接される領域に、前記合成出力部開口285が形成されている。
本実施の形態においては、前記合成出力部280は、一端部が前記キャリヤ150に作動連結され且つ他端部が前記合成出力部開口285を介して外方へ延在された合成出力軸281を有している。
前記合成出力軸281の外方延在部の外周面にはスプラインが設けられており、前記ミッションケース510には前記合成出力軸281の外方延在部がスプライン連結される筒状連結部材(第2カップリング)530aが配置されている。
斯かる構成により、前記合成出力部280は、前記遊星ハウジング200の前記所定取付箇所(本実施の形態においては前記ミッションケース510)に対する着脱に応じて、所定駆動部材に対し連結及び連結解除される。
本実施の形態においては、前記合成出力部280は、出力要素として作用する前記キャリヤ150に出力側伝動部370を介して作動連結された状態で、前記遊星歯車機構101の軸線位置から径方向に変位配置されている。
前記出力側伝動部370は、前記キャリヤ150と同軸上において前記キャリヤ150に軸線回り相対回転不能に連結される出力側伝動軸371と、前記出力側伝動軸371に相対回転不能に支持された出力側第1伝動ギヤ373と、前記出力側第1伝動ギヤ373に噛合された状態で前記合成出力軸281に相対回転不能に支持された出力側第2伝動ギヤ375とを有している。
本実施の形態においては、前記出力要素から前記合成出力軸281へは回転動力が増速伝達されるように、前記出力側第2伝動ギヤ375が前記出力側第1伝動ギヤ373より小径とされている。
前記出力側伝動軸371は、前記キャリヤ150にスプライン連結を介して着脱自在に連結されている。
詳しくは、図4に示すように、前記第2キャリヤ本体170(2)は、前記遊星ギヤ機構101の軸線を基準にして径方向に延び、前記キャリヤピン160の第2端部162(2)を支持する径方向延在部180(2)と、前記径方向延在部180(2)の径方向内端部から軸線方向に延びる中空の筒部185(2)とを有している。
前記筒部185(2)の内周面にはスプラインが形成されており、前記出力側伝動軸371の連結端部には外周面に前記スプラインに噛合するスプラインが形成されている。
本実施の形態においては、図1及び図2に示すように、前記遊星側第1蓋部材210の前記遊星側第1蓋部材220との接合面上に位置するように、前記遊星側第1蓋部材210には支持壁230が設けられており、前記第2キャリヤ本体170(2)の筒部185(2)は前記支持壁230に軸受部材231を介して支持されている。
前記出力側伝動軸371は、一端側が前記第2キャリヤ本体170(2)の筒部185(2)に内挿され且つ他端側が前記第2蓋部材250に支持されている。
なお、前記第1キャリヤ本体170(1)も、前記遊星ギヤ機構101の軸線を基準にして径方向に延び、前記キャリヤピン160の第1端部162(1)を支持する径方向延在部180(1)と、前記径方向延在部180(1)の径方向内端部から軸線方向に延びる中空の筒部185(1)とを有している。
前記第1キャリヤ本体170(1)の前記径方向延在部180(1)は、径方向中央に前記筒部185(1)の軸線孔に連通された中央開口を有しており、前記モータ軸30が前記筒部185(1)の軸線孔及び前記径方向延在部180(1)の中央開口を貫通して、前記第1キャリヤ本体170(1)より軸線方向他方側へ到達されている。
そして、前記モータ軸30の軸線方向他方側が前記可変入力部270を形成するスプラインを介して前記サンギヤ110に連結されている。
図2等に示すように、前記合成出力部開口285に配設されて前記合成出力軸281を支持する軸受部材286はシール機能付きとされており、前記軸受部材286によって前記合成出力開口285は液密に閉塞されている。
また、前記定速入力部開口255はシール部材257によって液密に閉塞されている。
さらに、前記定速出力部開口265は、前記HSTハウジング50の前記遊星ハウジング200への連結状態において、前記ポンプ軸開口51(P)に配設されたシール部材53(P)によって、液密に閉塞されている。
同様に、前記可変入力部開口275は、前記HSTハウジング50の前記遊星ハウジング200への連結状態において、前記モータ軸開口51(M)に配設されたシール部材53(M)によって、液密に閉塞されている。
斯かる構成により、前記遊星空間200Sは外部に対して液密に区画されており、油を貯留可能とされている。
なお、図3における符号206は前記遊星空間200Sに貯留された油の油面である。
本実施の形態に係るHMT構造によれば、前記HSTユニット10及び前記遊星ユニット100を車輌に実際に装着させること無く、前記HSTユニット10及び前記遊星ユニット100を連結させるだけで、HMTの組み付け作業及び調整作業を行うことができる。
即ち、HST及び遊星歯車機構を含むHMTにおいては、遊星歯車機構におけるサンギヤ、キャリヤ及びインターナルギヤを含む3要素のうちの第1要素に定速回転動力を入力させ且つ前記3要素のうちの第2要素にHSTから出力される無段可変回転動力を入力させ、前記3要素のうちの第3要素から合成回転動力が出力される。
従って、HSTの容積変更部材の操作量と遊星歯車機構の第3要素から出力される合成回転動力の回転速度とが所望の関係となるように、HST及び遊星歯車機構を正確に組み付け且つ出力調整を厳格に行う必要がある。
この点に関し、従来のHMTにおいては、遊星歯車機構は副変速機構を収容するミッションケース内に収容される一方で、HSTは前記遊星歯車機構とは分離された状態で前記ミッションケースの外壁面に連結されている。
斯かる従来構成においては、前記遊星歯車機構をミッションケース内に組み込み、さらに、前記HSTをミッションケースに装着させてからでないと、HMTの調整作業を行うことができず、調整作業を含む組立作業効率が悪いという問題がある。
これに対し、本実施の形態に係るHMT構造によれば、前記HSTユニット10及び前記遊星ユニット100を連結させるだけでHMTの組み付け作業及び調整作業を行うことができ、これらの作業効率を向上させることができる。
また、HSTの出力操作によって、前記遊星歯車機構101の合成回転動力が正逆切換可能とされる仕様においては、前記調整作業をより厳密に行う必要が有り、本実施の形態に係るHMT構造の前記効果、即ち、HMTの組立作業及び調整作業を、実際に車輌に組み付けること無く行えるという効果は、特に有効となる。
なお、本実施の形態においては、下記構成によって、HST出力操作による前記遊星歯車機構101の合成回転動力の正逆切換が可能とされている。
即ち、本実施の形態においては、前述の通り、前記HSTユニット10は、前記容積変更部材40として、前記ポンプ側可動斜板40(P)及び前記モータ側可動斜板40(M)を有している。
前記ポンプ側可動斜板40(P)は、ポンプ側揺動軸線回りに、前記モータ軸30を逆転方向最高速状態で回転させる逆転方向最大傾転位置から、前記モータ軸30の回転を停止させる中立位置を挟んで、前記モータ軸30を正転方向最高速状態で回転させる正転方向最大傾転位置の間で傾転されるように構成されている。
前記モータ側可動斜板40(M)は、モータ側揺動軸線回りに、第1傾転位置と前記第1傾転位置より中立側に設定された第2傾転位置との間で傾転され得るように構成されている。
斯かる構成において、前記ポンプ側可動斜板40(P)の正転方向最大傾転位置及び逆転方向最大傾転位置、前記モータ側可動斜板40(M)の前記第1及び第2傾転位置、並びに、前記遊星歯車機構101のギヤ比は、前記モータ側可動斜板40(M)を第1傾転位置に保持した状態での前記ポンプ側可動斜板40(P)の逆転方向最大傾転位置から正転方向最大傾転位置までの傾転に応じて、前記遊星歯車機構101から出力される合成回転動力の回転速度がゼロから正転方向最高速まで無段階に変速し、且つ、前記ポンプ側可動斜板40(P)を逆転方向最大傾転位置に保持した状態での前記モータ側可動斜板40(M)の第1傾転位置から第2傾転位置までの傾転に応じて、前記遊星歯車機構101の合成回転動力の回転速度がゼロから逆転方向最高速まで無段階に変速するように、設定されており、これにより、前記遊星歯車機構101の合成回転動力が逆転方向最高速と正転方向最高速との間で回転方向切換可能且つ無段変速可能となっている。
この構成においては、前記ポンプ側可動斜板40(P)が中立位置に位置されて前記HST10の出力(前記モータ軸30の回転速度)がゼロの場合においても、前記遊星歯車機構101の合成回転動力は前進方向所定回転速度を有することになり、且つ、前記ポンプ側可動斜板40(P)が逆転方向最大傾転位置で、前記モータ側可動斜板40(M)が第1傾転位置に位置されて前記HST10が所定出力状態の場合に、前記遊星歯車機構101の合成回転動力がゼロとなって車輌停止状態となる。
従って、HMTの組み付け作業及び調整作業をより厳格に行う必要が有り、このような仕様においては、本実施の形態に係るHMT構造は特に有用となる。
なお、このように、本実施の形態に係る前記HMT構造は、出力回転動力の回転方向を正逆切換可能とされている為、前記HMT構造が適用される前記トランスミッション500には、前後進切換機構を備える必要は無い。
図2等に示すように、前記トランスミッション500は、ミッションケース510と、前記ミッションケース510内に収容された前記副変速機構530及び差動伝達機構550とを有している。
前記副変速機構530は、前記筒状連結部材(第2カップリング)530aを介して前記合成出力部280から伝達される回転動力を多段変速する。
詳しくは、前記副変速機構530は、前記筒状連結部材(第2カップリング)530aを介して前記合成出力部280に作動連結される副変速駆動軸531と、副変速従動軸533と、前記副変速駆動軸531及び前記副変速従動軸533に支持された複数の副変速ギヤ列535(1)、535(2)と、前記複数の副変速ギヤ列535(1)、535(2)を選択的に動力伝達状態とさせる副変速シフター537とを有している。
即ち、本実施の形態においては、前記副変速駆動軸531が、前記合成出力部280から前記筒状連結部材(第2カップリング)530aを介して回転動力を入力するトランスミッション入力軸505として作用している。
前記差動伝達機構550は、前記副変速機構530からの回転動力を左右一対の駆動車軸580a、580bに差動伝達する。
前記トランスミッション500は、さらに、前記副変速機構530の従動軸に選択的に制動力を付加し得る駐車ブレーキ機構560と、前記左右一対の駆動車軸580a、580bのそれぞれに対して個別に選択的に制動力を付加し得る左右一対の走行ブレーキ機構570a、570bとを有している。
実施の形態2
以下、本発明に係るHMT構造の他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図8及び図9に、それぞれ、本実施の形態に係るHMT構造2がトランスミッション500に装着された状態の展開断面図及び分解展開断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
本実施の形態に係るHMT構造2は、前記遊星ユニット100が遊星ユニット100Bに変更されている点において、前記実施の形態1に係るHMT構造1と相違している。
前記遊星ユニット100Bは、前記定速伝動部330が定速伝動部430に変更されている点、及び、前記出力側伝動部370が削除されている点において、前記遊星ユニット100と相違している。
図8及び図9に示すように、前記定速伝動部430は、前記定速入力部250を形成する前記入力軸251に相対回転不能に支持され且つ定速入力要素として作用する前記インターナルギヤ130に噛合された入力伝動ギヤ435を有している。
図示の形態においては、前記入力伝動ギヤ435は前記入力軸251に一体形成されている。
図8及び図9に示すように、本実施の形態においては、前記合成出力部280を形成する前記合成出力軸281は、軸線方向一端側が前記第2キャリヤ本体170(2)の筒部185(2)にスプライン連結され且つ軸線方向他端側が前記遊星側第2端壁200(2)から外方へ延在されている。
即ち、本実施の形態においては、前記合成出力部開口285は、前記遊星歯車機構101と同軸上に位置するように前記遊星側第2端壁200(2)に形成されている。
前記実施の形態1及び2においては、前記定速入力部250を形成する前記入力軸251及び前記合成出力部280を形成する前記合成出力軸281の連結端部を前記遊星ハウジング200(前記遊星側第2端壁200(2))から外方へ延在させた構成としているが、これに代えて、前記入力軸251及び/又は前記合成出力軸281の連結端部を前記遊星ハウジング200(前記遊星側第2端壁200(2))の端面より内側に配置される雌スプラインを備えたカップリング構造とすることも可能である。
同様に、前記ポンプ軸20及び/又は前記モータ軸30の連結端部を前記HSTハウジング50(前記HST側第2端壁50(2))の端面より内側に配置される雌スプラインを備えたカップリング構造とすることも可能である。
前記実施の形態1及び2においては、前記HSTハウジング本体60の前記端壁61が、前記遊星ハウジング200に当接され且つ前記ポンプ軸20及び前記モータ軸30が突出される前記HST側第2端壁50(2)を形成しているが、当然ながら、本発明は斯かる形態に限定されるものではなく、前記ポートブロック70が前記HST側第2端壁50(2)を形成するように構成することも可能である。
図10に、前記ポートブロック70が前記HST側第2端壁50(2)を形成するように変形された、前記実施の形態2の変形例に係るHMT構造2’の分解展開断面図を示す。
なお、図10中、前記実施の形態1及び2におけると同一部材には同一符号を付している。
なお、前記実施の形態1及び2においては、前記駆動軸320は前記ミッションケース510に連結される前記軸ケース515に収容されているが、前記駆動軸320をミッションケース511に収容させることも可能である。
図11に、前記HSTユニット10及び前記遊星ユニット100Bが、前記駆動軸320を収容するミッションケース511を備えたトランスミッション501に連結された状態の展開断面図を示す。
また、図12に、図11の分解展開断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1及び2におけると同一部材には同一符号を付している。
図11及び図12に示す変形例においては、前記トランスミッション501のミッションケース511には、前記駆動源から回転動力を作動的に入力する前記駆動軸320と、前記トランスミッション入力軸505と、前記遊星ユニット100Bのハウジング200の前記ミッションケース511への連結によって前記駆動軸320を前記入力軸251に連結させる前記第1カップリング320aと、前記ハウジング200の前記ミッションケース511への連結によって前記合成出力軸281を前記トランスミッション入力軸505に連結させる第2カップリング530aとが設けられている。
図11及び図12に示す前記変形例においては、前記遊星ユニット100Bのハウジング200及び前記ミッションケース511の当接部に、前記駆動軸320及び前記入力軸251と同軸上に配置された第1凹凸係合構造と、前記合成出力軸281及び前記トランスミッション入力軸505と同軸上に配置された第2凹凸係合構造とが設けられており、これにより、前記ハウジング200を前記ミッションケース511に連結させる際において、前記駆動軸320及び前記入力軸251の位置合わせ、並びに、前記合成出力軸281及び前記トランスミッション入力軸505の位置合わせを確実に行えるようになっている。
図13(a)に、図11及び図12に示す変形例における前記ハウジング200及び前記ミッションケース511の当接部分近傍の拡大分解図を示す。
図13(a)に示すように、前記変形例においては、前記遊星ユニット100Bのハウジング200には、前記ミッションケース511に対する当接面に、前記入力軸251と同軸上において前記ミッションケース511の側へ突出した第1凸部291aと、前記合成出力軸281と同軸上において前記ミッションケース511の側へ突出した第2凸部292aとが設けられている。
一方、前記ミッションケース511には、前記遊星ユニット2のハウジング200に対する当接面に、前記第1凸部291aが係入可能で、前記第1凸部291aと共に前記第1凹凸係合構造を形成する第1凹部291bと、前記第2凸部292aが係入可能で、前記第2凸部292aと共に前記第2凹凸係合構造を形成する第2凹部292bとが設けられている。
前記変形例においては、前記第1及び第2凸部291a、292aは、それぞれ、前記ハウジング200に着脱自在に装着される第1及び第2凸部形成部材272、273によって形成されている。
なお、前記変形例においては、前記第1及び第2凸部形成部材272、273は、それぞれ、前記定速入力部開口255に配設された前記シール部材257及び前記合成出力部開口285に配設されたシール部材263の抜け止めとしても作用している。
このように、前記遊星ユニット100Bのハウジング200及び前記ミッションケース511の当接部に前記第1及び第2凹凸係合構造を設けることにより、前記ハウジング200を前記ミッションケース511に連結させた際に、前記駆動軸320及び前記入力軸251の位置合わせ、並びに、前記合成出力軸281及び前記トランスミッション入力軸505の位置合わせを確実に行うことができる。
なお、図13(a)中の符号296、297はシールリングである。
図11及び図12に示す変形例においては、前記第1及び第2凹凸係合構造における第1及び第2凸部291a、292aを前記遊星ユニット100Bのハウジング200に設け、第1及び第2凹部291b、292bを前記ミッションケース511に設けたが、本発明は斯かる形態に限定されるものではない。
即ち、図13(b)に示すように、前記ミッションケース511における前記ハウジング200との当接面に第1及び第2凸部291a、292aを設け、前記ハウジング200に第1及び第2凹部291b、292bを設けることも可能である。
図13(b)に示す例においては、前記ミッションケース511における前記ハウジング200との当接面に第1及び第2凸部形成部材272B、273Bが装着されており、前記第1及び第2凸部形成部材272B、273Bがそれぞれ前記第1及び第2凸部291a、292aを形成している。
前記第1及び第2凸部形成部材272B、273Bは、前記ハウジング200及び前記ミッションケース511を連結させた状態において、前記シール部材257、287の抜け止めを行うように構成されている。
なお、図13(b)中の符号276、277は、前記第1及び第2凸部形成部材272B、273Bを前記ミッションケース511に対して位置合わせする為の位置決めピンである。
また、前記第1及び第2凸部291a、292aの一方を前記ハウジング200に設けると共に、対応する凹部を前記ミッションケース511に設け、且つ、前記第1及び第2凸部291a、292aの他方を前記ミッションケース511に設けると共に、対応する凹部を前記ハウジング200に設けることも可能である。
図13(c)に、前記第1凸部形成部材272を前記ハウジング200に装着することによって前記第1凸部291aを前記ハウジング200に設けると共に、対応する第1凹部291bを前記ミッションケース511に設け、且つ、前記第2凸部形成部材273Bを前記ミッションケース511に装着することによって前記第2凸部292aを前記ミッションケース511に設けると共に、対応する第2凹部292bを前記ハウジング200に設けた変形構成を示す。
図13(b)及び(c)に示す構成においても、前記遊星ユニット100Bのハウジング200を前記ミッションケース511に連結させた際に、前記駆動軸320及び前記入力軸2510の位置合わせ、並びに、前記合成出力軸281及び前記トランスミッション入力軸505の位置合わせを確実に行うことができる。
なお、図11及び図12並びに図13(a)〜(c)においては、前記実施の形態2における前記遊星ユニット100Bを前記トランスミッション501に連結させているが、当然ながら、前記実施の形態1における前記遊星ユニット100を前記トランスミッション501に連結させることも可能である。
また、前記実施の形態1及び2並びに図11及び図12に示す形態においては、前記第1カップリング320aは前記軸ケース515又は前記ミッションケース511に設けられ、前記第2カップリング530aは前記ミッションケース510、511に設けられているが、前記第1カップリング320a及び前記第2カップリング530aの一方又は双方を前記ハウジング200に設けることも可能である。