JP2018021412A - リング式ネット用のリング、それを連結して形成されるリング式ネット、及びそれを用いた落石防護柵 - Google Patents

リング式ネット用のリング、それを連結して形成されるリング式ネット、及びそれを用いた落石防護柵 Download PDF

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Abstract

【課題】リング式ネットで吸収可能なエネルギの量を増大させ変形量の抑制を図ることができるリング式ネット用のリング、それを連結して形成されるリング式ネット、及びそれを用いた落石防護柵を提供することにある。【解決手段】防護用のリング式ネットを構成するリング10であって、所定の引っ張り強度を有する素線11によって形成されたリング10において、リング10は、略同じ周長の略円形状の素線11が複数重ねられた多重素線リングであって、かつ、複数個所にて結束されて構成されており、結束は、結束された各素線11が所定の摩擦抵抗に抗して移動可能な状態でなされており、結束箇所の相互間における各素線長さは、それぞれ異なる長さに設定されている。【選択図】図1

Description

本発明は、リング式ネット用のリング、それを連結して形成されるリング式ネット、及びそれを用いた落石防護柵に関する。
山岳等の斜面の下方の地域においては土砂崩れや落石等の危険性、危険物や危険な装置を格納する施設においては飛来物等による災害の危険性を考慮する必要がある。そのような災害を防止するために、防護柵の使用がなされている。例えば、特許文献1、2や3には、落石用の防護柵が開示され、リング式ネットを用いた例が開示されている。
図7は、上記の特許文献3に開示されているリング式ネットを用いた落石防護柵の一例であり、図示したように、山岳等の斜面の所要箇所に複数の支柱16を、それぞれ基礎26を築いて立設し、各支柱16の上部位置間に、ネットの上縁部を保持するための上側保持ロープ18を架け渡している。同様に、各支柱16の下部位置間にもネットの下縁部を保持するための下側保持ロープ20を架け渡している。この上側及び下側の保持ロープ18、20間に、落石等を受け止めるためのリング式ネット22が設置されている。
上述の各支柱16は、下部位置に設けられたヒンジ部によって谷側に傾斜可能になっており、この傾斜を所定の範囲内に規制するための控えロープ28が、山側斜面の所定箇所に設置されたアンカー36と各支柱16の上端との間に懸架されている。両端にある支柱16の側方にも、山側斜面の所定箇所に設置されたアンカー36と両端にある支柱16の間に側部ロープ30が展張されている。
図8は、上記のリング式ネットの1つのリング(同図(A))と、このリングを組み合わせたリング式ネット(同図(B))の一例を示す。リング24は、金属製のワイヤ25を卷回にして、円周上を等分割した3箇所で結束具12を用いて結束されている。ワイヤ25は隙間なくほぼ密着した状態になっている。
リング式ネット22は、図8(B)に示した様に、各リング24がそれぞれ内周側で接触する状態で、すなわち、互いにリング内に挿通された関係で連結されている。
また、図7に示した保持ロープ18、20、控えロープ28及び側部ロープ30には、それぞれブレーキ装置32が設けられている。図9は、ブレーキ装置の概略斜視図である。ブレーキ装置32は、ループ管38と緊締部材40とから成っており、ループ管38には保持ロープ18、20、控えロープ28の中途部分が挿通されている。ループ管38の両端部は並列して重ね合わされており、この重畳部は緊締部材、例えば圧縮スリーブ40によって締固されている。保持ロープ18、20及び控えロープ28に落石よる衝撃力が波及し、これらのロープに異常な張力が発生すると、ループ管38の径を縮小する方向に力が働き、ループ管38の両端部はロープに沿って互いに反対方向へ向かう力を受ける。ロープに加わった力が圧縮スリーブ40により締固箇所におけるループ管38同士及びループ管38と圧縮スリーブ40との間の摩擦力を越えると、相互間に滑りが生じ衝撃による運動エネルギが吸収される。
落石が防護柵のリング式ネット22に当たると、ネット22が変形することにより、落石のエネルギが一部吸収される。落石のエネルギが更に大きな場合には、円形のリング24は、最終的に略四角形になるまでに変形する。更に、上部及び下部の支持ロープ18、20及び控えロープ28においてもこれらに落石のエネルギが伝達され、ブレーキ装置32が作動し、その分、各支柱16は谷側に倒れエネルギが吸収される。図10は、その様子を示したものである。リング式ネット22が落石200により大きく変形し、ブレーキ装置が作動し、支柱16が谷側に傾斜していることがわかる。
特許第5479677号公報 特許第4916968号公報 特許第3131566号公報
上述したように、従来のリング式ネット22を用いた落石防護柵41においては、落石がリング式ネット22に当たるとリング24がそれぞれ変形すると共にブレーキ装置32が作動して落石のエネルギを吸収する構成になっている。すなわち、落石のエネルギは、リング式ネット22とブレーキ装置32とに分散されて吸収される。リング式ネット22のリング24は、リング24を構成するワイヤ25が互いに隙間なく揃って巻かれており、落石等を受けて落石等の落下方向に伸び最終的に円形から略四角形に変形する過程でエネルギを吸収する。このエネルギ吸収においては、リング式ネット22がリング24のズレ等によって伸び始めて伸長し、その後、各リング24が円形から略四角形に変形する過程で大きなエネルギの吸収がなされる。したがって、このリング24の円形から略四角形への変形が始まる前までの過程ではエネルギの吸収量は僅かである。また、落石後の防護柵の復元補修の観点からは、リング式ネット22で吸収されるエネルギ量を増大させてブレーキ装置32の作動量をできるだけ少なくすることが望ましい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、リング式ネットで吸収可能なエネルギの量を増大させ変形量の抑制を図ることができるリング式ネット用のリング、それを連結して形成されるリング式ネット、及びそれを用いた落石防護柵を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載のリングは、
防護用のリング式ネットを構成するリングであって、所定の引っ張り強度を有する素線によって形成されたリングにおいて、
前記リングは、ほぼ同じ周長の略円形状の素線が複数重ねられた多重素線リングであり、かつ、複数個所にて結束されて構成されており、該結束は、結束された各素線が所定の摩擦抵抗に抗して移動可能な状態でなされており、前記結束箇所の相互間の前記各素線長さは、それぞれ異なる長さに設定されたことを特徴とする。
この構成によれば、リングを構成する多重素線は、それぞれの素線がほぼ同じ周長を有する一方で、結束箇所の相互間の長さは異なる構成とされている。したがって、例えば、本発明のリングによって形成されたリング式ネットに落石等の衝撃が加わると、多重素線リングとして構成された各リングにその衝撃エネルギが伝達される。このとき、各リングには張力が働き、リングを構成する略円形状の素線は、結束箇所の相互間においてそれぞれ異なる長さに設定されているので、各素線は、結束箇所間の長さが同じになる状態までずれ移動しようとする。このずれ移動は、結束箇所において所定の摩擦抵抗に抗してなされる。したがって、落石等の衝撃によって生じるリング式ネットの変形作用において、すなわち、最終的に各リングが略四角形に変形する前段階又はその変形過程において、上述の各リングにおけるずれ移動によるブレーキ作用が発揮される。これにより、従来と同じ径のリングで構成されたリング式ネットであっても、衝撃よって最終変形状態となるまでの過程において落石等のエネルギを吸収する量はより大きなものとなり、リング式ネットの変形量を可及的に抑制することができる。
請求項2に記載のリングは、請求項1に記載のリングにおいて、前記多重素線リングは、前記素線を複数回巻回したもので構成されていることを特徴とする。この構成により、迅速な多重素線リングの製造、さらには当該リングを用いたリング式ネットの製造がより容易なものとなる。
請求項3に記載のリングは、請求項1に記載のリングにおいて、前記多重素線リングは、複数の円形状素線を重ねて構成されていることを特徴とする。この構成では、各リングを互いに挿通させた状態でのリング式ネットの形成はできないが、リング自体の製造はより簡単に行うことが可能である。
請求項4に記載のリングは、請求項1から3の何れか1項に記載のリングにおいて、前記素線は表面に凹凸が形成されていることを特徴とする。この構成により、前記所定の摩擦抵抗は、前記凹凸の大きさ・形状・数によって調整することが可能となる。したがって、素線の結束箇所での摩擦抵抗はより大きなものが確保され、また、その抵抗の大小の調整も簡単かつ精密に行うことが可能となる。
請求項5に記載のリングは、請求項1から4の何れか1項に記載のリングにおいて、前記素線は表面に塗装がなされていることを特徴とする。この構成により、前記所定の摩擦抵抗は、前記塗装の材料の物性によって調整することが可能となる。したがって、リング自体の形態を変えることなく簡単に摩擦抵抗を調整することが可能となる。
請求項6に記載のリングは、請求項1から5の何れか1項に記載のリングにおいて、前記素線を結束する結束具の素材は、前記素線の硬度又は強度より低い材料のものから選択されることを特徴とする。この構成により、前記所定の摩擦抵抗は、前記結束具の素材の硬度又は強度により簡単かつ精密に調整することが可能となる。
上記目的を達成するため、請求項7に記載のリング式ネットは、請求項1、2、4から6の何れか1項に記載のリングが連結されて形成されたリング式ネットにおいて、前記リングの連結は、各リングがそれぞれ内周側で接触する状態でなされていることを特徴とする。この構成により、リング式ネットの衝撃に対する変形過程におけるエネルギ吸収作用が各リングのブレーキ作用によって全体として大きく増大する。したがって、リング式ネットを用いた設備の防護機能が向上する。
請求項8に記載のリング式ネットは、請求項1から6の何れか1項に記載のリングが連結されて形成されたリング式ネットにおいて、前記リングの連結は、隣接するリング同士を繋ぐ結合具を用いて行われていることを特徴とする。この構成により、予め各リングを形成し、その後に各リングの結合作業を行うことにより、各リングのブレーキ作用が増大したリング式ネットの製作を行うことが可能となる。
上記目的を達成するため、請求項9に記載の落石防護柵は、
請求項7又は8に記載のリング式ネットを用いた落石防護柵であって、
斜面に所要の長さ範囲に亘って所定の間隔で配置されて地山に固定された複数の支柱からなる支柱列と、前記支柱列の各支柱の上部位置間に張架されたネット保持用の上側保持ロープと、前記支柱列の各支柱の下部位置間に張架されたネット保持用の下側保持ロープと、を有し、前記リング式ネットは、前記上側保持ロープによって上辺が、前記下側保持ロープによって下辺がそれぞれ保持された状態で設置されていることを特徴とする。
この構成により、従来よりも大きなエネルギ吸収量を確保したリング式ネットを用いることで、落石防護柵の全体としての落石受け止め機能がより向上する。したがって、柵全体に付加されるブレーキ装置の設置量を減らすことや、それらブレーキ装置のための伸び量を減少させることができ、落石防護柵の全体の構成作業が容易なものとなる。
請求項10に記載の落石防護柵は、請求項9に記載の落石防護柵において、
前記複数の支柱のうち少なくとも2つの支柱の間に、該少なくとも2つの支柱の一方の支柱から他方の支柱にかけて前記リング式ネットの上辺と下辺の間の高さ位置で張架された一又は複数の補強ロープを有することを特徴とする。
この構成により、落石等の衝撃を受けた初期段階では、最初に補強ロープが落石等のエネルギを分散・吸収する。したがって、ブレーキ作用の増大したリング式ネットは、補強ロープにより吸収された残りのエネルギを吸収することとなり両者の相乗効果によって変形量をより小さく抑制することができると共に、リング式ネットを効果的に用いることが可能となる。
本発明によれば、リング式ネット用のリングに力が加えられたときのブレーキ作用が付加され、それらリングを用いて形成されたリング式ネットや落石防護柵の全体としてのエネルギの吸収作用が大幅に増加する。これにより、リング式ネットや落石防護柵による防護機能が向上し、危険領域の安全性の確保がより的確になされる。
本発明の防護用のリングに係り、リングの概略説明図である。 本発明の防護用のリングに係り、リングを構成する素線の他の一例を示す概略説明図である。ただし、図2(A)は、素線の表面に凹凸を形成したもの、図2(B)は、素線の表面に細径の素線を巻き付けたものを示す。 図1に示すリングを連結したリング式ネットの概略正面図を示す。ただし、図3(A)は内周結合法によるもの、図3(B)は外周面結合によるものについて示す。 図1のリング式ネットが衝撃を受けて変形して行く様子を示す。同図(A)は、変形前の概略正面図、同図(B)は、リングがブレーキ効果を発揮した様子を示す概略正面図、同図(C)は、リングが更に衝撃を受け円形から四角形に変形した様子を示す概略正面図である。 リング式ネットのリングの変形量とエネルギ吸収量との関係を示す。 本発明のリング式ネット用を用いた落石防護柵の概略斜視図である。 従来のリング式ネットを用いた落石防護柵の概略正面図である。 従来のリング式ネットのリングの一例に係り、同図(A)はリングの概略正面図、同図(B)はそれを連結したリング式ネットの概略正面図を示す。 図7に示す落石防護柵に用いられるブレーキ装置の概略斜視図を示す。 図7の落石防護柵のブレーキ装置が作動した様子を示す説明図である。
本発明の実施の形態を、以下図面を参照しながら詳述する。図1は、防護用のリング式ネットを形成するリングの概略正面図について示す。
リング10は、金属製の素線11を4周に亘り巻回して形成されており、円周上の等間隔の3箇所で結束具12により結束されている。それぞれの巻回素線の周長はほぼ同じ長さに設定されているが、結束具12間では図示しているように、長さが短くリング10の内側へ出ている素線11と、長さが余ってリング10の外側に飛び出している素線11とが存在している。この結束具12間での素線11の長さの違いを定量的に示すと、従来の密に巻かれた場合と比較して、約0〜15%だけ長くなっている箇所と約0から15%だけ短くなっている箇所が存在している。好ましくは、素線11の結束具12間での長さの違いは0〜10%程度である。
結束具12での各素線11の結束は、所定の摩擦力で各素線11が移動可能な状態でなされている。金属製の素線11の引張強度、結束箇所における所定の摩擦抵抗は、リング式ネット14が受ける落石等の全エネルギを想定して決定される。本実施の形態では、素線11は鋼線線材の鋼線ワイヤであり、素線径は直径3mm〜4mm、引張強度は800N/mm2以上である。また、リング11の直径は15cm〜50cm程度の大きさである。結束具12は、アルミニウムで構成された所謂Cクリープ(C型止輪)又はO型止輪であり、素線11の硬度又は強度より低い材質である。素線11は、その他、軟鋼線材の鉄線ワイヤを用いても良い。結束具12構成する素材としては鋼鉄でも良い。
リング10が落石等のエネルギを受けると、結束された各素線11が結束箇所で所定の摩擦抵抗に抗して移動し、結束箇所の相互間の各素線11の長さが揃うようになり、この過程でエネルギの吸収作用が増加する。この摩擦抵抗には、素線11と素線11との間の摩擦抵抗と、素線11と結束具12との2種類の摩擦抵抗がある。素線11と素線11との摩擦抵抗は、後述のように素線の表面に凹凸等を施して調整することが可能であり、素線11と結束具12との摩擦抵抗は、上記と同様に素線11の表面に凹凸等を施すこと、また結束具12の素材の硬度、強度等により調整可能である。
図2は、本発明のリングを構成するために使用する素線の他の実施例の一例に付いて示す。図2(A)は、素線11の表面に凹部11aと凸部11bを形成したものである。この凹凸の数、大きさ、形状等により、素線11と素線11、及び素線11と結束具12との間の所定の摩擦抵抗を精密に調整することが可能である。図2(B)は、鋼線ワイヤ11−1の上に細径のワイヤ11−2を巻き付けたものである。ワイヤ11−2を巻き付けることにより、鋼線ワイヤ11−1の表面上に凹凸が形成され、これにより上記の摩擦抵抗を調整することが可能である。
本実施の形態では、上述したように結束具12の硬度又は強度は、素線11より低いものを用いている。すなわち、このように構成することにより、素線11に落石等の衝突エネルギが印加され、結束具12で結束されている箇所で移動しようとするときに、素線11が移動し易くなり、リング10の初期変形時のブレーキ作用を高めることができる。
素線11と結束具12との引張強度が略同一の場合は、素線11に塗料を塗布することにより、塗料の材料の物性、例えば粘度等により素線11と素線11、及び素線11と結束具12との間の摩擦抵抗を調整することが可能である。また、素線11に樹脂を被せて摩擦抵抗を調整するようにしても良い。塗料や樹脂を施すことにより素線11の防食効果も向上する。なお、防食のためには、その他亜鉛メッキ、又は亜鉛とアルミニウムのメッキを施しても良い。
図3(A)は、図1(A)のリング10を、それぞれ内周側で接触する状態で連結したリング式ネットの一部を示す。内周結合法であり、通常のネットの製造方法であり、容易にネットを形成することができる。一方、図3(B)は、各リング10を、結合具13を用いて、それぞれ外周側で接触又は対向する状態で連結したリング式ネットの一部を示す。これは、外周面結合法であり、結合具12として、例えば、図示のようにシャックル13を用いることができる。外周面結合の利点は、例えば、リング式ネット14の補修や拡張が容易であり、補修したリング式ネットにおいても増大したブレーキ作用を発揮することができる。
図4は、リング式ネット22が落石を受け変形して行く様子を説明したものである。同図(A)は変形前である。リング式ネット14が落石を受けると、リング10を構成する各素線11に力が加わる。そして、各素線11は、結束箇所の相互間においてそれぞれ異なる長さに設定されているので、力を受けることで結束箇所にて移動しようとする。最終的には、結束箇所の相互間における各素線長さが揃うこととなる。同図(B)はこの状態を示したものである。
すなわち、本発明のリング10によって形成されたリング式ネット14に落石等が衝突すると、各リング10にその衝突エネルギが伝達される。このとき、各リング10には張力が働き、リング10を構成する略円形状の素線11は、結束箇所の相互間においてそれぞれ異なる長さに設定されているので、各素線11は、結束箇所において所定の摩擦抵抗に抗して、結束箇所間の長さが同じになる状態までずれ移動する。したがって、リング式ネット14の初期の変形段階において、上述の各リング10におけるずれ移動によるブレーキ作用が発揮されるので、リング式ネット14が衝撃よって最終変形の略四角形となるまでの過程において、落石等の衝突エネルギの吸収が効果的に行われる。
図4(C)は、リング10が衝撃よって円形から最終変形の略四角形となり、ブレーキ装置が作動する直前の様子を示す。実際上は、図4(B)の変形と図4(C)の変形は略同時進行で行われる。円形から最終変形の略四角形となった段階では、その段階に至るまでのリング式ネット14における積算のエネルギ吸収量は大きい。
図5は、リングの変形量とエネルギ吸収量の関係を示した図である。横軸リングの変形量、縦軸はエネルギ吸収量(反力)である。従来のリング24では、背景技術で説明したように、初期変形段階では変形が少なく円形から略四角形になる段階で急激にエネルギを吸収する。一方、本願発明のリング10では、初期変形段階から各素線11の移動によりエネルギの吸収が行われてブレーキ作用が働く。したがって、ブレーキ装置が作動するA点に至るまでに、従来のリング24と比較して、本発明のリング10は大きなエネルギを吸収することができる。すなわち、リング変形量に対する積算のエネルギ吸収量は、従来のリング24に比べて本発明のリング10の方が大きい。したがって、これまで従来のリング式ネット22用いた落石防護柵においてはブレーキ装置が作動する規模の落石エネルギであっても、本発明のリング式ネット22の変形はより小さく抑制される。この抑制によって、リング式ネット22の設置領域に存在する施設等へのリング式ネット22の変形による不都合の発生が回避される。更に、災害後のリング式ネット22の再設定作業がより容易になる。
図6は、本発明の実施の形態の一例に係る落石防護柵15を示す概略斜視図である。図示のように、複数設置される支柱16−1〜16−nは、斜面のほぼ等しい高さ位置に所要の長さ範囲に亘って所定間隔をおいて地山に固定されている。支柱16−1〜nは、地山に固設された土台42にヒンジ部34を介して取り付けられており、ヒンジ部34によって支柱16は少なくとも谷側(山側とは反対側)へ傾動することにより傾斜可能な状態とされている。一般に支柱16−1〜nの高さは約2m〜5mで、設置間隔は約5m〜10mであり、それらサイズや支柱列の長さは斜面の規模や状況によって適宜選択される。
支柱列には、上側保持ロープ18及び下側保持ロープ20が、アンカー36−1、36−2、44−1、44−2を用いて横架されており、この上側保持ロープ18と下側保持ロープ20の間に図3(A)で示したリング式ネット14が、複数の支柱16−1〜nによって支持されることにより張設されている。
本実施の形態では、上側保持ロープ18、下側保持ロープ20、控えロープ28、及び支持ロープ46には、ブレーキ装置32が設けられている。更に、支柱16−1から支柱16−nにかけて、リング式ネット14の上辺と下辺の間の高さ位置で張架された補強ロープ48と、落石による負荷が加えられたときに補強ロープ48の所定範囲の伸びを許容するブレーキ装置50とが設けられている。
図示のように、補強ロープ48は、支柱列の複数の支柱16−1〜nのうち両端の2本の支柱16−1、16−n間に3本、その一方の支柱16−1から他方の支柱16−nにかけて横架されている。補強ロープ48は、剛性を有するワイヤ等を使用することができ、例えば引張強度が500〜2000N/mm2、直径1〜4cmのものが好適である。補強ロープ48は、リング式ネット14の1つのリング10を山側(裏側)から谷側(表側)に通した後、今度は他のリング10を谷側(表側)から山側(裏側)へ通して、いわゆる縫うように横架され、補強ロープ48の張架位置が維持されている。
本実施の形態の落石防護柵15によれば、落石衝突直後において、ブレーキ作用の増大したリング式ネット14と補強ロープ48とにより落石の衝突エネルギが分散・吸収される。補強ロープ48は、落石を受けて直ぐに変形が始まり、ブレーキ装置50が作動し、落石等のエネルギ吸収が行われると同時に、リング式ネット14にも落石のエネルギが伝わり、落石の衝突エネルギが吸収される。したがって、落石防護柵41全体のエネルギ吸収量(抵抗力)は、落石衝突直後から直ちに増え、その後落石停止まで上昇していくので、従来よりも早い段階で積算抵抗力が落石を捕捉するのに足りる量に達することが可能である。
したがって、補強ロープ48とリング式ネット14の相乗効果により、リング式ネット14の変形量が抑制され、災害後のリング式ネット14の再設定作業がより容易になる。また、変形量の抑制によって、リング式ネット14の設置領域に存在する施設等へのリング式ネット14の変形による不都合の発生が回避される。すなわち、保護対象である山岳等の斜面の下方の地域に位置する家屋や道路等に、これまで以上に近接して落石防護柵を設置することが可能となる。
以上のように、本実施の形態の防護用のリング式ネットを構成するリング、及びそれを組み合わせて形成されるリング式ネット、並びにそれを用いた落石防護柵によれば、初期変形段階からリングで吸収できる落石等の衝撃エネルギを増大することができる。したがって、これまでブレーキ装置が作動する落石規模であっても、本実施の形態に落石防護柵では、リング式ネットの変形量が少なく、ブレーキ装置が作動せずに済むことが可能であり、その後の防護柵のメンテナンスが容易となる。
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、リング式ネットを構成するリングは、鋼線ワイヤを4回卷回し、3箇所で結束したものを示したがこれに限らない。
10、24 リング
11、25 素線
12 結束具
14、22 リング式ネット
15、41 落石防護柵
16 支柱
18 上側保持ロープ
20 下側保持ロープ
26 基礎
28 控えロープ
30 側部ロープ
32、50 ブレーキ装置
34 ヒンジ部
36、44 アンカー
38 ループ管
40 緊締部材
42 土台
46 支持ロープ
48 補強ロープ

Claims (10)

  1. 防護用のリング式ネットを構成するリングであって、所定の引っ張り強度を有する素線によって形成されたリングにおいて、
    前記リングは、
    ほぼ同じ周長の略円形状の素線が複数重ねられた多重素線リングであり、かつ、複数個所にて結束されて構成されており、
    該結束は、結束された各素線が所定の摩擦抵抗に抗して移動可能な状態でなされており、
    前記結束箇所の相互間の前記各素線長さは、それぞれ異なる長さに設定されたことを特徴とするリング。
  2. 前記多重素線リングは、前記素線を複数回巻回したもので構成されていることを特徴とする請求項1に記載のリング。
  3. 前記多重素線リングは、複数の円形状素線を重ねて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のリング。
  4. 前記素線は表面に凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のリング。
  5. 前記素線は表面に塗装がなされていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のリング。
  6. 前記素線を結束する結束具の素材は、前記素線の硬度又は強度より低い材料のものから選択されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のリング。
  7. 請求項1、2、4から6の何れか1項に記載のリングが連結されて形成されたリング式ネットにおいて、
    前記リングの連結は、各リングがそれぞれ内周側で接触する状態でなされていることを特徴とするリング式ネット。
  8. 請求項1から6の何れか1項に記載のリングが連結されて形成されたリング式ネットにおいて、
    前記リングの連結は、隣接するリング同士を繋ぐ結合具を用いて行われていることを特徴とするリング式ネット。
  9. 請求項7又は8に記載のリング式ネットを用いた落石防護柵であって、
    斜面に所要の長さ範囲に亘って所定の間隔で配置されて地山に固定された複数の支柱からなる支柱列と、
    前記支柱列の各支柱の上部位置間に張架されたネット保持用の上側保持ロープと、
    前記支柱列の各支柱の下部位置間に張架されたネット保持用の下側保持ロープと、を有し、
    前記リング式ネットは、
    前記上側保持ロープによって上辺が、前記下側保持ロープによって下辺がそれぞれ保持された状態で設置されていることを特徴とする落石防護柵。
  10. 前記複数の支柱のうち少なくとも2つの支柱の間に、該少なくとも2つの支柱の一方の支柱から他方の支柱にかけて前記リング式ネットの上辺と下辺の間の高さ位置で張架された一又は複数の補強ロープを有することを特徴とする請求項9に記載の落石防護柵。
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