前記特許文献1に記載されている機械式駐車設備の制御システムでは、予約された時刻に、指定された車両が入出庫スペースに到着するよう、機械式駐車設備が事前に出庫動作を行う。また、予約を行った利用者が操作盤を操作することによって、入出庫口の開閉扉が開いて、入出庫スペースの車両を出庫することが可能になる。前記の制御システムは、指定された車両が予約時刻に入出庫スペースに到着した後、所定の待ち時間(例えば3分)の間に操作盤が操作されないときには、出庫の予約がキャンセルされたとみなして、入出庫スペースに搬送した車両を、格納スペースに返却するよう構成されている。
ここで、携帯電話やPCを用いた出庫の予約は、いつでも、どこからでも出庫の予約をすることができるため、利便性が高い。しかしながら、携帯電話やPCを用いた出庫の予約は、どこから予約を行ったかを把握することが難しい。直ぐに出庫をしたいときに、携帯電話やPCを用いて出庫の予約をしても、その予約を行った場所が、機械式駐車設備から遠く離れていて、操作盤の前に到着するまでに時間を要する場合は、所定の待ち時間が経過するまでに操作盤を操作することができず、予約がキャンセルされてしまう恐れがある。
例えば高層マンション等の集合住宅に対応して、集合住宅の住人用として設けられた機械式駐車設備を考える。高層階の住人が、1階まで降りて機械式駐車設備に到着するまでの時間は、低層階の住人が、1階まで降りて機械式駐車設備に到着するまでの時間よりも大幅に長くなる場合がある。高層階の住人が、直ぐに出庫をしたいときに、自宅から携帯電話やPCを用いて出庫の予約をしても、車両が入出庫スペースに搬送された後、所定の待ち時間が経過するまでに、操作盤の前に到着することができない場合がある。
そこで、所定の待ち時間を、一律に長く設定すると、高層階の住人は待ち時間が経過するまでに操作盤の前に到着することができるようになるが、車両の出庫や入庫をしたい、他の利用者は、長い時間、待たなければならなくなり、利便性が低下する。
尚、前述した不都合は、集合住宅に対応して設けられた機械式駐車設備に限ったものではない。例えばオフィスビル、商業ビル、ホテル等の各種の施設に対応して設けられた機械式駐車設備においても、同様の不都合が起こることが想定される。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、利用者が車両の出庫を遠隔で指示することが可能に構成された機械式駐車設備の制御システムにおいて、出庫をスムースにすることにある。
具体的に、ここに開示する技術は、機械式駐車設備の制御システムに係る。この制御システムは、入出庫口を通じて車両の入出庫を行うよう構成された機械式駐車設備と、前記機械式駐車設備に対応して設けられた建物における所定の複数の位置のそれぞれに設置されかつ、前記機械式駐車設備から前記車両を出庫しようとする利用者が出庫指示操作をするよう構成された、複数の情報盤と、前記情報盤において前記出庫指示操作が行われたことを受けて、前記機械式駐車設備から前記車両を出庫するための出庫動作を行うよう構成された制御装置と、を備える。
前記利用者は、前記複数の情報盤の内の、いずれかの前記情報盤を操作することによって前記車両の出庫を指示し、前記制御装置は、前記出庫指示操作が行われたときに、前記出庫指示操作が行われた前記情報盤の位置から前記入出庫口に到着するまでに前記利用者が通る経路に関する情報に基づき、前記経路の長さに応じて前記出庫動作を変更する。
この構成によると、機械式駐車設備に対応して設けられた建物には、複数の情報盤が設置されている。利用者は、いずれかの情報盤を操作することによって、機械式駐車設備に入庫中の車両の出庫を、遠隔で指示することが可能である。
利用者が情報盤を操作することを受けて、制御装置は、機械式駐車設備から車両を出庫するための出庫動作を行う。
制御装置は、出庫指示操作が行われた情報盤の位置から入出庫口に到着するまでに利用者が通る経路に関する情報に基づき、経路の長さに応じて出庫動作を変更する。
例えば、利用者が建物における高層階に設置された情報盤を操作したときには、利用者は、その高層階の情報盤の位置からエレベーターホールまで移動をし、エレベーターを利用して1階に降りた後、建物のエントランスを出て、機械式駐車設備の入出庫口に到着するといった経路を通る。これに対し、利用者が1階に設置された情報盤を操作したときには、利用者は、情報盤の位置からエントランスを経て、機械式駐車設備の入出庫口に到着するといった経路を通る。
情報盤は、建物の所定の位置に設置されているため、携帯電話やPC等の持ち運びが可能な機器とは異なり、情報盤から入出庫口に到着するまでの経路の長さを把握することが可能である。
経路が長いときには、利用者が入出庫口に到着するまでに、比較的長い時間を要する場合がある。ここで、情報盤の位置から機械式駐車設備の入出庫口までの直線距離が短いとき(特に地図上での直線距離が短い)でも、建物の高層階に情報盤が設置されているのであれば、その情報盤の位置から機械式駐車設備の入出庫口に到着するまでに利用者が通る経路は長い場合がある。また、地図上の位置が同じであっても、情報盤の設置階数が異なると、情報盤の位置から機械式駐車設備の入出庫口までの経路は相違する。
前記の構成では、制御装置は、出庫指示操作が行われた情報盤の位置から入出庫口に到着するまでに利用者が通る経路に関する情報に基づき、経路の長さに応じて出庫動作を変更する。利用者が入出庫口に到着するまでに要する時間を考慮して、出庫動作を行うため、利用者は、車両の出庫をスムースに行うことができるようになり、利便性が向上する。
前記利用者は、前記情報盤を操作することによって、前記車両を今すぐ出庫するための第1種の出庫指示と、前記車両を、指定した日時に出庫するための第2種の出庫指示と、を選択し、前記制御装置は、前記第1種の出庫指示に係る前記出庫指示操作が行われたときに、前記経路の長さに応じて前記出庫動作を変更する、としてもよい。
第2種の出庫指示は、日時を指定した出庫指示であるため、利用者は、通常は、指定した日時に遅れることなく、機械式駐車設備の入出庫口に到着することが可能である。
第1種の出庫指示は、情報盤を操作してすぐに、出庫をする指示であるため、当該情報盤の位置から機械式駐車設備の入出庫口までの経路の長さが長いときには、利用者が入出庫口に到着するまでに、比較的長い時間を要する場合がある。その一方で、情報盤の位置から機械式駐車設備の入出庫口までの経路の長さが短いときには、利用者が入出庫口に到着するまでに、それほど長い時間は要しない。
従って、制御装置は、第1種の出庫指示に係る出庫指示操作が行われたときに、前記経路の長さに応じて出庫動作を変更する。このことによって、利用者が入出庫口に到着するまでに要する時間が考慮され、利用者は、車両の出庫をスムースに行うことができるようになる。
前記制御装置は、前記第1種の出庫指示に係る前記出庫指示操作が行われたときに、前記機械式駐車設備の前記出庫動作と共に、前記建物のエレベーターシステムに対し、前記出庫指示操作が行われた前記情報盤の設置階に、かごを到着させる指示を行う、としてもよい。
前述の通り、第1種の出庫指示は、情報盤を操作してすぐに出庫をする指示である。利用者は、情報盤の操作をした後、機械式駐車設備の入出庫口に移動をする。制御装置が、エレベーターシステムに、出庫指示操作が行われた情報盤の設置階に、かごを到着させる指示を行うと、利用者はエレベーターホールに到着してから、かごを呼ばなくても、かごが当該階に到着する、又は、到着している。利用者は、スムースに機械式駐車設備の入出庫口に移動することができる。
前記制御装置は、前記経路の長さと、前記かごが前記設置階に到着するまでの時間とに応じて前記出庫動作を変更する、としてもよい。
経路の長さに加えて、エレベーターのかごが、情報盤の設置階に到着するまでの時間を考慮することによって、利用者が入出庫口に到着するまでに要する時間を、より正確に把握することができる。利用者が入出庫口に到着するタイミングにあわせて、出庫動作が行われる。
前記制御装置は、前記経路の長さが長いときには、前記経路の長さが短いときよりも、前記出庫動作を開始するタイミングを遅らせる、としてもよい。
利用者が入出庫口に到着するまでに要する時間が長くなるときには、出庫動作を開始するタイミングを遅らせる。機械式駐車設備は、適切なタイミングで、車両の出庫が可能な状態にすることができる。利用者は、車両の出庫が可能な状態になったときには、入出庫口に到着することができる。利用者は、スムースに車両を出庫させることができる。
また、出庫動作の開始タイミングを遅らせている間に、他の利用者の出庫動作又は入庫動作を行うことも可能になり、他の利用者の利便性も向上する。例えば、駐車設備の操作盤を直接操作して入庫または出庫操作を行う利用者や、経路の長い利用者の第1種の出庫操作より後で同操作を行った経路の短い利用者などに、先行して利用させることができる。
前記機械式駐車設備の制御システムは、前記機械式駐車設備の前記入出庫口に設置されかつ、前記利用者が認証操作をするよう構成された操作盤をさらに備え、前記制御装置は、前記情報盤において前記出庫指示操作が行われたことを受けて前記車両を入出庫スペースに搬送した後、前記操作盤の認証操作に伴う認証信号を受けたときに、前記入出庫口の開閉扉を開けると共に、前記車両を前記入出庫スペースに搬送した後、前記操作盤の認証操作に伴う認証信号を受けないまま、所定の待ち時間が経過したときには、出庫をキャンセルし、前記制御装置はまた、前記経路の長さが長いときには、前記経路の長さが短いときよりも、前記待ち時間を長くする、としてもよい。
利用者が入出庫口に到着するまでに要する時間が長くなるときには、待ち時間が長くなる。利用者は、入出庫口に到着するまでに長い時間を要したとしても、待ち時間が経過するまでに、入出庫口に到着することが可能になる。利用者は、出庫がキャンセルされてしまうことが防止され、スムースに車両を出庫させることができる。
また、待ち時間を一律に長くするのではなく、経路の長さが長いときに限って待ち時間を長くし、経路の長さが短いときには、待ち時間を長くしない。そのため、他の利用者が長時間、待たされてしまう事態を少なくすることが可能になる。
前記利用者は、前記機械式駐車設備に入庫している前記車両に対応付けられた暗証番号を、前記情報盤に入力し、前記制御装置は、前記暗証番号の情報と、当該情報盤の位置に関する情報とを取得する、としてもよい。
こうすることで、制御装置は、暗証番号の情報に基づいて、機械式駐車設備から出庫させる車両を特定することが可能になる。また、制御装置は、情報盤の位置に関する情報に基づいて、情報盤の位置から機械式駐車設備の入出庫口までの経路の長さを特定することが可能になる。情報盤の位置に関する情報は、具体的には、情報盤を特定する情報とすればよい。複数の情報盤それぞれを特定する情報と、その情報盤の設置位置の情報とを対応付けておくことにより、制御装置は、情報盤の位置から機械式駐車設備の入出庫口までの経路の長さを特定することが可能になる。
また、暗証番号を情報盤に入力することによって、例えば子供のいたずら等を未然に防止することができる。
さらに、暗証番号を情報盤に入力することによって利用者を特定することができるから、利用者は、複数の情報盤の、どの操作盤を操作しても、自分の車の出庫を指示することが可能になる。
前記建物は、集合住宅であり、前記情報盤は、前記集合住宅の各住居に設置されている、としてもよい。
前記各住居に設置されている前記情報盤と、前記機械式駐車設備に入庫している前記車両とは対応付けられており、前記制御装置は、当該情報盤を特定する情報を取得する、としてもよい。
こうすることで、利用者、つまり、集合住宅の住人は、自宅に設置されている情報盤を操作して出庫を指示することだけで、自分の車の出庫を行うことが可能になる。利用者の利便性が向上する。
前記機械式駐車設備の制御システムは、前記機械式駐車設備に入庫する前記車両と、住居とを対応付けたデータベースをさらに備え、前記制御装置は、前記機械式駐車設備に前記車両が入庫したときに、前記データベースの情報に基づいて、入庫した前記車両に対応する住居の前記情報盤に対し、前記車両の入庫を知らせる入庫報知信号を出力する、としてもよい。
この構成において、情報盤は、入庫報知信号を受けて、車両が入庫した旨を表示する等してもよい。こうすることで、自宅に居る人は、例えば家族が帰ってきたことを事前に、知ることができる。
以上説明したように、前記の機械式駐車設備の制御システムによると、出庫指示操作が行われた情報盤の位置から入出庫口に到着するまでに利用者が通る経路の長さに応じて、機械式駐車設備の出庫動作を変更することで、利用者が入出庫口に到着するまでに要する時間を考慮して、出庫動作を行うことができる。利用者は、車両の出庫をスムースに行うことができるようになり、利便性を向上させることができる。
以下、機械式駐車設備の制御システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の説明は、機械式駐車設備の制御システムの一例である。図1は、ここに開示する制御システムが適用された機械式駐車設備2と、それに対応する建物とを示している。この建物は、この例では、マンション等の集合住宅3である。この集合住宅3はまた、高層階から1階に降りるまでに、ある程度の時間を要するような、いわゆる高層マンションである。但し、集合住宅3の形態については、特に制限はない。
機械式駐車設備2は、集合住宅3の住人が所有している自動車を保管するよう構成されている。ここでは、機械式駐車設備2の構成の詳細は、図示しないが、機械式駐車設備2の構成は、様々な構成を採用することが可能である。一例として、機械式駐車設備2は、いわゆるパレット式の駐車設備としてもよい。パレット式の駐車設備は、車両を載せるパレットと、パレットを移動する搬送機構21(図2参照)とを備えている。搬送機構21は、車両を載せたパレット、又は、車両を載せていない空のパレットを、機械式駐車設備2内の、複数の格納スペースと、入出庫口22が設けられた入出庫スペースとの間で搬送をするよう構成されている。搬送機構は、車両の入庫時には、空のパレットを入出庫スペースに搬送すると共に、その空のパレットに車両が載った後、当該パレットを、所定の格納スペースに搬送して、そこに格納する。また、出庫時には、出庫対象の車両が載ったパレットを、格納スペースから入出庫スペースに搬送する。
入出庫口22には、図1に示すように、開閉扉23が取り付けられている。開閉扉23が開いて、車両の入庫及び出庫が可能になる。開閉扉23は、通常時は、入出庫口22を閉じている。
図2は、機械式駐車設備の制御システム1の構成を示している。制御システム1は、制御装置11と、データベース12と、操作盤24と、前述した機械式駐車設備2と、情報盤41、42〜4nと、を備えている。
機械式駐車設備2は、前述したように、パレットを搬送する搬送機構21と、開閉扉23とを備えている。機械式駐車設備2と制御装置11とは、有線又は無線により互いに接続されている。
操作盤24は、図1に示すように、機械式駐車設備2の入出庫口22の近傍に設置されている。操作盤24は、機械式駐車設備2の利用者が、車両の入庫時、又は、車両の出庫時に操作をするよう構成されている。操作盤24は、有線又は無線を介して、制御装置11に接続されている。
操作盤24は、利用者に対して各種の情報を表示する表示部241と、利用者が操作を行う操作部242とを備えている。表示部241及び操作部242は、例えばタッチパネル式のフラットパネルディスプレイとして、一体に構成をしてもよい。また、タッチパネル式のフラットパネルディスプレイに代えて、又は、タッチパネル式のフラットパネルディスプレイと共に、操作部242として、ハードウエアにより構成された操作ボタン等を備えてもよい。
データベース12は、機械式駐車設備2の利用者に関する情報を予め記憶している。図3は、データベース12の構成の一例を示している。データベース12は、利用者として予め登録されている契約者番号と、契約者を認証するための暗証番号と、該契約者が機械式駐車設備2に入庫する車の車種情報とを対応付けて記憶している。ここで、車種情報とは、車の全高が相対的に低いノーマルルーフ車であるか、全高が相対的に高いハイルーフ車であるかを示す情報である。この車種情報は、機械式駐車設備2の格納スペースが、ノーマルルーフ車とハイルーフ車とで相違することに対応する。
図例ではまた、データベース12に、車両が機械式駐車設備2に入庫しているか、出庫しているかを示す入出庫状態も記憶している。入庫しているときには、当該車が載せられているパレット番号も記憶されている。
制御装置11は、利用者が操作盤24を操作することにより操作盤24が出力する指示信号に基づき、データベース12を参照しながら、機械駐車設備2の搬送機構21及び開閉扉23を制御する。つまり、制御装置11が、機械式駐車設備2の搬送機構21及び開閉扉23に対して制御信号を出力することによって、搬送機構21は、指定されたパレットを、指定されたスペースに搬送する。また、開閉扉23は、指定されたタイミングで、入出庫口22を開閉する。
具体的に、車両の入庫時には、利用者は、操作盤24の操作部242を操作することにより、予め設定されている暗証番号を入力する。制御装置11は、操作盤24からの入庫指示信号に基づき、データベース12を参照して認証を行うと共に、空きパレットを、機械式駐車設備2の入出庫スペースに搬送するよう、搬送機構21を制御する。また、制御装置11は、空きパレットが入出庫スペースに到着した後に、入出庫口22を開けるよう、開閉扉23を制御する。入出庫スペースの空きパレットに車両を載せた後、利用者が、操作盤24の操作部242の操作を行えば、操作盤24からの指令信号に基づき、制御装置11は、開閉扉23を閉めると共に、搬送機構21によって、車両が載ったパレットを、所定の格納スペースに搬送させる。
また、車両の出庫時にも、利用者は、操作盤24の操作部242を操作することにより、予め設定されている暗証番号を入力する。制御装置11は、操作盤24からの出庫指示信号に基づき、データベース12を参照して認証を行うと共に、データベース12の情報に基づいて、指定された暗証番号に対応する車両が載ったパレットを、搬送機構21によって、入出庫スペースに搬送させる。車両が入出庫スペースに搬送されれば、制御装置11は、入出庫口22を開けるよう、開閉扉23を制御する。
情報盤41、42〜4nは、集合住宅3の各住居に設置されている。この機械式駐車設備の制御システム1には、複数の情報盤41、42〜4nが含まれる。以下、複数の情報盤41、42〜4nを総称する場合は、情報盤に符号「4」を付す。
情報盤4は、機械式駐車設備2の出庫指示を、遠隔で行うことが可能に構成されている。利用者は、自宅に設置されている情報盤4を操作することによって、機械式駐車設備2から今すぐ車両を出庫する指示(つまり、呼び登録に相当する第1種の出庫指示)、及び、指定した日時に、機械式駐車設備2から車両を出庫する指示(つまり、出庫予約に相当する第2種の出庫指示)を行うことが可能である。
情報盤4は、操作盤24と同様に、表示部401と、操作部402とを備えている。表示部401及び操作部402は、例えばタッチパネル式のフラットパネルディスプレイとして、一体に構成をしてもよい。また、タッチパネル式のフラットパネルディスプレイに代えて、又は、タッチパネル式のフラットパネルディスプレイと共に、操作部402として、ハードウエアによって構成された操作ボタン等を備えてもよい。
情報盤4は、機械式駐車設備2の出庫を指示するための専用装置として、各住居に設置してもよい。情報盤4はまた、各種の情報等を表示する情報端末として各住居に設置されている装置を利用して、構成してもよい。例えば、集合住宅3のエントランス31の施錠及び解錠を遠隔で行うよう構成されたインターホン装置に、機械式駐車設備2の出庫指示を可能にする機能を付加することによって、情報盤4を構成してもよい。
各情報盤41〜4nと制御装置11とは、有線又は無線を介して、互いに接続されている。各情報盤41〜4nと制御装置11とは、例えばインターネット網を利用して、互いに接続してもよい。複数の情報盤41〜4nはそれぞれ、他の情報盤4と区別するための、固有のID情報を有している。
各情報盤41〜4nは、ブラウザ機能を有しており、各情報盤41〜4nの表示部401に表示される、後述の画面の表示制御や、画面において利用者が操作することに伴う出庫指示の処理制御は、制御装置11が行う。尚、各情報盤41〜4nの表示部401に表示される画面において、利用者が操作することを受けて、制御装置11が各種の情報を取得することを、以下の説明では、便宜上、各情報盤41〜4nから制御装置11に「信号を出力する」と表現する。
尚、各情報盤41〜4nと制御装置11とは、クライアントサーバーシステムとして構成することに限定されない。各情報盤41〜4nが独立して、画面の表示制御や、制御装置11に対する指示信号の出力制御を行うようにしてもよい。
各情報盤41〜4nは、利用者が操作をすることによって、制御装置11に対し出庫指示信号を出力する。出庫指示信号には、後述するように、利用者が入力した暗証番号の情報と、出庫指示信号を出力した情報盤4のID情報とが含まれる。出庫指示信号を受けた制御装置11は、当該出庫指示信号が、どの情報盤4が出力した出庫指示信号であるかを、判別することが可能である。制御装置11は、詳細は後述するが、情報盤4からの出庫指示信号に従って、機械式駐車設備2を制御する。
図4〜図6は、情報盤4の表示部401に表示される画面D1〜D13の遷移の一例を示している。次に、これら図4〜図6を参照しながら、情報盤4を用いた出庫指示の設定手順について、説明をする。尚、図4〜図6に示す画面D1〜D13の構成やデザインは、一例である。
図4のD1は、初期画面を示している。初期画面D1には、「お知らせ」「現況確認」及び「出庫予約(新規・変更・取消)」の3つの操作ボタンを含んでいる。「お知らせ」ボタンを選択操作したときには、お知らせ画面D2が表示部401に表示される。お知らせ画面D2には、各種のお知らせが表示される。お知らせ画面D2の「戻る」ボタンを選択操作したときには、初期画面D1に戻る。
初期画面D1の「現況確認」ボタンを選択操作したときには、現況確認画面D3が表示部401に表示される。現況確認画面D3には、機械式駐車設備2の現在状況、具体的には、機械式駐車設備2の状態として、利用可能か利用不可能かの情報、及び、機械式駐車設備2の入出庫の待ち台数が表示される。現況確認画面D3の「戻る」ボタンを選択操作したときには、初期画面D1に戻る。
初期画面D1の「出庫予約(新規・変更・取消)」ボタンを選択操作したときには、暗証番号入力画面D4が表示部401に表示される。暗証番号入力画面D4には、暗証番号の入力欄と、テンキーボタンとが含まれている。利用者は、暗証番号入力画面D4のテンキーボタンを選択操作することによって暗証番号を入力し、「次へ」ボタンを選択操作する。暗証番号が間違っていた場合、つまり、データベース12に暗証番号が登録されていないときには、その旨を案内する案内画面D5が表示部401に表示される。案内画面D5の「確認」ボタンを選択操作することによって、暗証番号入力画面D4に戻る。利用者は、暗証番号を再入力する。
暗証番号入力画面D4の「次へ」ボタンを選択操作したときに、暗証番号が正しかった場合には、図5の新規予約画面D6、又は、図6の予約変更・取消画面D11が、表示部401に表示される。尚、暗証番号入力画面D4の「戻る」ボタンを選択操作したときには、初期画面D1に戻る。
新規予約画面D6は、出庫予約(つまり、出庫の指示)が行われていないときに、新たな出庫予約を行うための画面である。出庫予約には、前述したように、今すぐ車両を出庫する「今すぐ出庫モード」と、出庫する日時を指定して出庫の予約をする「出庫予約モード」と、2種類が用意されている。新規予約画面D6には、「今すぐ出庫モード」のための「今すぐ出庫」ボタンと、「出庫予約モード」のための、「本日」ボタンと、月日を指定する複数の「月日」ボタン(図例では、3/2〜3/7)とが含まれている。尚、新規予約画面D6の「中止」ボタンを選択操作したときには、初期画面D1に戻る。
新規予約画面D6の「本日」ボタン、又は、いずれかの「月日」ボタンを選択操作したときには、出庫する時間帯を選択するための画面D7が、表示部401に表示される。当該画面D7には「0時」から「23時」までの複数のボタンが表示されている。利用者は、画面D7の複数の「時」ボタンの中から、所望の「時」ボタンを選択操作する。この画面D7では、例えば現在時刻が既に過ぎているため、選択することができない「時」ボタンは、選択操作できないように構成されている。また、選択することができない「時」ボタンは、選択することができる「時」ボタンとは、表示態様が異なっている。図5では、一例として、選択することができない「時」ボタンにバツ印を付している。表示態様の変更は、図例の形態に限らない。表示態様を変更することによって、選択することができる「時」ボタンが、利用者にとってわかりやすくなる。
画面D7において所望の「時」ボタンを選択操作すれば、出庫する時間帯を選択するための画面D8が、表示部401に表示される。尚、画面D7において「戻る」ボタンを選択操作すれば、画面D6に戻り、「中止」ボタンを選択操作したときには、初期画面D1に戻る。
画面D8は、出庫する「分」を選択する画面であり、この画面D8には、「0分」から「59分」までの複数のボタンが表示されている。利用者は、画面D8の複数の「分」ボタンの中から、所望の「分」ボタンを選択操作する。この画面D8でも、例えば現在時刻が既に経過しているため、選択することができない「分」ボタンは、選択操作ができないように構成されている。また、既に、他の利用者の出庫が予約されているため、選択をすることができない「分」ボタンも、選択操作ができないように構成されている。
尚、後述の通り、当該情報盤4から機械式駐車設備2の入出庫口22に到着するまでの経路の長さに応じて、画面D8では、利用者が入出庫口22に到着することができない時刻を予約することができないよう、構成してもよい。つまり、画面D8において、現在時刻が経過してない「分」であっても、選択することができないようにしてもよい。こうすることで、利用者が、出庫に間に合わない予約を行ってしまうことを未然に防止することができる。
画面D8において所望の「分」ボタンを選択操作すれば、予約内容を確認する確認画面D9が、表示部401に表示される。尚、画面D8において「戻る」ボタンを選択操作すれば、画面D7に戻り、「中止」ボタンを選択操作したときには、初期画面D1に戻る。
確認画面D9には、画面D6〜D8において指定をした出庫予約日時が示される。確認画面D9には、「上記日時で予約する」ボタンが含まれており、利用者がこのボタンを選択操作することによって、予約完了画面D10が、表示部401に表示される。確認画面D9の「戻る」ボタンを選択操作すると、画面D8に戻り、「中止」ボタンを選択操作すると、初期画面D1に戻る。
予約完了画面D10には、予約内容が表示されると共に、「確認」ボタンが含まれている。利用者が、内容を確認した上で、「確認」ボタンを選択操作すれば、初期画面D1に戻る。こうして、出庫予約が完了する。
予約変更・取消画面D11は、出庫予約(つまり、出庫の指示)が既に行われているときに、その出庫予約の変更、又は、取消を行うための画面である。出庫予約が既に行われている場合は、暗証番号入力画面D4で「次へ」ボタンを操作すると、自動的にこの画面に遷移する。
予約変更・取消画面D11には、現在の予約内容と、「予約変更」ボタン、及び「予約取消」ボタンが含まれている。利用者が、「予約変更」ボタンを選択操作したときには、現在の予約がキャンセルされ、図5の新規予約画面D6が、表示部401に表示される。利用者は、前述したように、画面D6〜D10において、新たな出庫予約を設定することが可能である。尚、上記の予約のキャンセルは、確認画面D9において「上記日程で予約する」ボタンを操作したときに行うようにしてもよい。
予約変更・取消画面D11の「確認」ボタンを選択操作したときには、初期画面D1に戻る。
利用者が、予約変更・取消画面D11の「予約取消」ボタンを選択操作したときには、取消確認画面D12が、表示部401に表示される。取消確認画面D12には、「はい」と「いいえ」との2つのボタンが含まれている。この内、「はい」ボタンを選択操作したときには、予約が取り消されると共に、取消完了画面D13が、表示部401に表示される。取消完了画面D13の「確認」ボタンを選択操作することによって、初期画面D1に戻る。
一方、取消確認画面D12の「いいえ」ボタンを選択操作したときには、予約変更・取消画面D11に戻る。
以上のようにして、「出庫予約モード」において、出庫日時の設定、変更、取消が行われる。情報盤4は、出庫指示信号を、制御装置11に出力する。出庫指示信号には、利用者を特定するための暗証番号の情報と、出庫指示信号を出力する情報盤4を特定するためのID情報と、出庫日時に関する情報と、が含まれる。
また、新規予約画面D6の「今すぐ出庫」ボタンを選択したしたときにも、情報盤4は、出庫指示信号を、制御装置11に出力する。この出庫指示信号には、利用者を特定するための暗証番号の情報と、出庫指示信号を出力する情報盤4を特定するためのID情報と、出庫日時に関する情報(つまり、今すぐであること)と、が含まれる。尚、「今すぐ出庫」ボタンは、既に出庫予約を行っている場合は、予約を取り消さない限り、選択することができないように構成してもよい。また、既に出庫予約を行っている状態で、「今すぐ出庫」ボタンを選択した場合は、予約を自動的に取り消すようにしてもよい。
制御装置11は、情報盤4が出力した出庫指示信号を受けたときには、データベース12を参照した上で、出庫に関する情報を、出庫予約テーブルに登録する。図7は、出庫予約テーブル5の構成を例示している。出庫予約テーブル5は、出庫の順番と、出庫時刻(つまり、車両を載せたパレットを、機械式駐車設備2の入出庫スペースに搬送する時刻)と、暗証番号とデータベース12とによって特定される契約者番号と、出庫対象の車の車種と、搬送するパレットと、ID情報によって特定される指示元の情報盤4の情報が、互いに対応付けられている。
ここで、指示元の情報盤4の情報として、図7に示す出庫予約テーブル5には、当該情報盤4が設置されている階が、高層階であるか、低層階であるかの情報が登録されている。具体的には、集合住宅3を、高層階、中層階、低層階の3つに区分けし、指示元の情報盤4が設置されている階が、高層階、中層階、低層階のいずれに該当するかの情報を、登録している。図示は省略するが、各情報盤4の設置階数に関する情報が予め記憶されており、制御装置11は、出庫指示信号に含まれる情報盤4のID情報に基づいて、指示元の情報盤4の設置階数を判定し、出庫予約テーブル5に登録する。
尚、出庫予約テーブル5の出庫時刻は、「出庫予約モード」では、指定された出庫日時となる。また、「今すぐ出庫モード」では、出庫予約テーブル5の出庫時刻は、「今すぐ」となる。尚、「今すぐ」という情報に代えて、「今すぐ出庫モード」で出庫指示信号を出力した時刻と、指示元の情報盤4の設置階の情報及び既に登録されている出庫予約等とに基づいて、予め遅延させた出庫時刻を設定し、これを出庫予約テーブル5に登録するようにしてもよい。この場合、後述のフローチャート(図8)のステップS82及びS84を省略した処理となる。
制御装置11は、出庫予約テーブル5に登録されている順番に従って、出庫動作を順次行う。尚、図7に示す出庫予約テーブル5には、情報盤4が出力した出庫指示信号に基づく出庫情報のみが登録されているが、利用者が、入出庫口22に設置されている操作盤24を操作することにより、操作盤24から出力された出庫指示信号に基づく出庫情報も、出庫予約テーブル5に登録される(つまり、いわゆる呼び登録に相当する)。制御装置11は、操作盤24から出力された出庫指示信号を受けたときには、出庫予約テーブル5の適宜の順番に、当該出庫指示信号に基づく出庫情報を登録する。
次に、図8に示すフローチャートを参照しながら、制御装置11が実行する出庫制御について説明をする。尚、ここでは、情報盤4から出力された出庫指示信号に基づく出庫制御についてのみ説明をする。
スタート後のステップS81では、制御装置11は、出庫予約テーブル5に出庫予約があるか否か、正確には、現在時刻で行うべき出庫予約があるか否かを判定する。この出庫予約は、「出庫予約モード」で指定された出庫予約、及び、「今すぐ出庫モード」で指定された出庫予約を含む。現在時刻で行うべき出庫予約がないときには、ステップS81を繰り返す。現在時刻で行うべき出庫予約があるときには、ステップS82に移行する。
ステップS82では、制御装置11は、当該出庫予約が、「今すぐ出庫モード」で指定された出庫予約であるか否かを判定する。「今すぐ出庫モード」で指定された出庫予約でないときには、ステップS83に移行する。「今すぐ出庫モード」で指定された出庫予約であるときにはステップS84に移行する。
ステップS83で、制御装置11は、出庫予約テーブル5の登録内容に従い、指定されたパレットを機械式駐車設備2の入出庫スペースに搬送するよう搬送機構21を制御する。
これに対し、ステップS84では、制御装置11は、出庫指示信号を出力した情報盤4の位置から入出庫口22に到着するまでの経路の長さに基づいて、呼び動作を遅延させる。すなわち、出庫予約テーブル5の登録内容に基づき、出庫指示信号を出力した情報盤4の位置が高層階であるときには、当該出庫指示を操作した利用者が、機械式駐車設備2の入出庫口22に到着するまでに、長い時間を要するとして、出庫動作を、所定時間t1だけ遅延させる。また、出庫指示信号を出力した情報盤4の位置が中層階であるときには、出庫動作を、所定時間t2(<t1)だけ遅延させる。さらに、出庫指示信号を出力した情報盤4の位置が低層階であるときには、当該出庫指示を操作した利用者が、機械式駐車設備2の入出庫口22に到着するまでに、長い時間は要しないとして、出庫動作を遅延させないか、所定時間t3(<t2)だけ遅延させる。制御装置11は、ステップS84で、所定時間だけ遅延した後(又は、遅延せずに)、ステップS83に移行し、出庫動作を行う。指定された車両は、入出庫スペースに搬送される。
ステップS83に続くステップS85で、制御装置11は、利用者が、操作盤24において暗証番号を入力したか否かを判定する。暗証番号の入力があったときには、制御装置11は、データベース12及び出庫予約テーブル5に基づき認証を行い、認証が成功すれば、ステップS86において、開閉扉23を開ける。利用者は、入出庫スペースに到着している車を、出庫させることができる。詳しくは、ステップS83の出庫動作に対応する出庫予約の契約者番号に該当する暗証番号と一致した場合に、開閉扉23が開かれる。
一方、ステップS85で、暗証番号を入力がないときには、フローは、ステップS87に移行する。制御装置11は、出庫指示信号を出力した情報盤4の位置から入出庫口22に到着するまでの経路の長さに応じて設定された待ち時間が経過したか否かを判定する。
待ち時間は、車両を載せたパレットが入出庫スペースに到着した後の待ち時間である。この待ち時間も、出庫予約テーブル5の登録内容に基づき設定される。具体的に、出庫指示信号を出力した情報盤4の位置が高層階であるときには、当該出庫指示を操作した利用者が、機械式駐車設備2の入出庫口22に到着するまでに、長い時間を要するとして、待ち時間を長くする(Δt1)。また、出庫指示信号を出力した情報盤4の位置が低層階であるときには、当該出庫指示を操作した利用者が、機械式駐車設備2の入出庫口22に到着するまでに、長い時間は要しないとして、待ち時間を短くする(Δt3)。さらに、出庫指示信号を出力した情報盤4の位置が中層階であるときには、待ち時間を中程度にする(Δt2、Δt3<Δt2<Δt1)。
ステップS87において、設定した待ち時間が経過していないときには、ステップS85に戻り、暗証番号が入力されることを待つ。一方、ステップS87において、暗証番号が入力されることなく、設定した待ち時間が経過したときには、フローは、ステップS88に移行する。ステップS88では、出庫がキャンセルされたとみなして、制御装置11は、入出庫スペースに搬送したパレットを、元の格納スペースに返却する。
以上説明したように、集合住宅3の各住居に設置された情報盤4から、「今すぐ出庫モード」で車両の出庫を指示したときには、当該情報盤4から入出庫口22に到着するまでの経路、つまり、自宅を出て、当該階のエレベーターホールまで移動し、エレベーターを利用して1階に降りた後、建物のエントランスを出て、機械式駐車設備の入出庫口に到着する、といった経路の長さに応じて、制御装置11は、出庫動作の開始タイミングを遅延させる。具体的に、情報盤4が高層階に設置されていて経路が長いときには、出庫動作の開始タイミングの遅延が長く、情報盤4が低層階に設置されていて経路が長いときには、出庫動作の開始タイミングの遅延がなく又は短く、情報盤4が中層階に設置されていて経路が中程度のときには、出庫動作の開始タイミングの遅延が中程度に設定される。
利用者が入出庫口22に到着するまでに要する時間が考慮されることで、いずれの階に居住する利用者も、車両が入出庫スペースに到着するタイミングから大幅に遅れて入出庫口22に到着してしまうことが回避される。利用者は、車両の出庫をスムースに行うことができるようになり、利便性が向上する。
尚、前述したように、出庫動作の開始タイミングを遅延させるのではなく、予め遅延させた出庫時刻を設定し、これを出庫予約テーブル5に登録することも、出庫動作の開始タイミングを遅延させることと等価であり、利用者は、車両の出庫をスムースに行うことができるようになり、利便性が向上する。
ここで、出庫動作の開始を遅延させているときに、他の利用者の入庫動作や出庫動作が可能なときには、他の利用者の入庫や出庫を割り込ませてもよい。例えば、操作盤を24直接操作して入庫または出庫操作を行う利用者や、経路の長い利用者の今すぐ出庫指示より後で、同じ今すぐ出庫指示を行った経路の短い利用者等に、先行して利用させることができる。こうすることで、利用者の待ち時間を短縮することが可能になり、利便性が向上する。
また、情報盤4から入出庫口22に到着するまでの経路の長さに応じて、制御装置11は、待ち時間を変更する。具体的に、情報盤4が高層階に設置されていて経路の長さが長いときには、待ち時間を長くし、情報盤4が低層階に設置されていて経路の長さが短いときには、待ち時間を短くし、情報盤4が中層階に設置されていて経路の長さが中程度のときには、待ち時間を中程度に設定する。このことにより、いずれの階に居住する利用者も、待ち時間が経過する前に、確実に入出庫口22に到着することが可能になる。利用者は、スムースに車両を出庫させることができる。
尚、待ち時間は、「今すぐ出庫モード」に限らず、「出庫予約モード」においても変更される(図8のステップS87)。「出庫予約モード」では、待ち時間の変更を行わないようにしてもよい。また、「今すぐ出庫モード」では、ステップS84において出庫動作の開始を遅延することから、待ち時間の変更を行わないようにしてよい。
この制御システムでは、各住居に設置されている情報盤4を利用して出庫の指示を行う。携帯電話やPCを利用した遠隔出庫指示は、携帯電話やPCを所有していない利用者は行うことができないが、情報盤4は、集合住宅3の各住居に設置されているため、集合住宅3の住人であれば誰でも、遠隔で出庫を指示することが可能である。機械式駐車設備2の利用者の不公平感が軽減する。
前記の制御システムでは、出庫指示を行うときに、利用者は、情報盤4に暗証番号を入力する。情報盤4は、各住居に設置されているものの、例えば子供のいたずらを未然に防止することが可能になる。
また、情報盤4に暗証番号を入力するため、利用者は、自宅に設置された情報盤4に限らず、他の情報盤4に、自身の暗証番号を入力することによって、自分の車の出庫を指示することが可能である。例えば、集合住宅3における他の住居に伺ったときに、当該住居に設置されている情報盤4を利用して、自分の車の出庫を指示する、といった利用形態が考えられる。この場合も、今すぐ出庫モードでは、当該情報盤4の設置位置からの経路の長さに応じて、出庫動作の開始が遅延されたり、待ち時間の長さが変更されたりする。そのため、利用者は、どの情報盤4を利用しても常に、自分の車をスムースに出庫することが可能になる。
尚、前記の構成では、集合住宅3における各住居に情報盤4を設置しているが、各住居の情報盤4に代えて、又は、各住居の情報盤4に加えて、集合住宅3の共用スペース(例えば各階のエレベーターホール等)に、情報盤4を設置するようにしてもよい。共用スペースに設置された情報盤4を利用する場合も、暗証番号を入力することによって、制御装置11は、出庫対象の車を特定することが出来る。
尚、自宅に設置された情報盤4に、自身の暗証番号を、予め登録可能に構成してもよい。こうすることで、自宅に設置された情報盤4を用いて出庫指示をするときには、暗証番号の入力を省略することが可能になる。利用者の利便性を向上させることが可能になる。
尚、前記の構成では、集合住宅を、高層階、中層階及び低層階の3つに分け、情報盤4から入出庫口22に到着するまでの経路の長さを、3つに区分しているが、区分けの数は、3つに限るものではなく、2つに分けてもよいし、4つ以上に分けてもよい。また、情報盤4から入出庫口22に到着するまでの経路の長さを、集合住宅3の階毎に設定してもよい。
また、同じ階でも、エレベーターホールから各住居までの距離が相違することを考慮して、集合住宅の階だけでなく、エレベーターホールから各住居までの距離に応じて、情報盤4から入出庫口22に到着するまでの経路の長さを設定してもよい。エレベーターホールから各住居までの距離を考慮する場合は、上層階であってもエレベーターホールに近い住居に設置された情報盤4と、下層階であってもエレベーターホールに近い住居に設置された情報盤4とで、入出庫口22に到着するまでの経路の長さが逆転することも起こり得る。
また、データベース12に、各契約者と、自宅に設置された情報盤4のID情報とを対応付けて記憶してもよい。この構成では、機械式駐車設備2に車両が入庫したときに、制御装置11は、データベース12の情報に基づいて、入庫した車両に対応する住居の情報盤4に対し、車両の入庫を知らせる入庫報知信号を出力してもよい。情報盤4は、入庫報知信号を受けて、車両が入庫した旨を表示する等すればよい。こうすることで、自宅に居る人は、例えば家族が帰ってきたことを事前に、知ることができる。利用者の利便性が向上する。
また、図2に一点鎖線で示すように、機械式駐車設備の制御システム1にエレベーターシステム6を含めるようにしてもよい。つまり、制御装置11は、エレベーターシステム6に対してかごの搬送指令を出力可能に構成してもよい。
例えば、制御装置11は、いずれかの情報盤4から、「今すぐ出庫」ボタンが選択されたことに伴う出庫指示信号を受けたときには、エレベーターシステム6に対し、当該情報盤4の設置階にかごを到着させる指示を出力する。出庫を指示した利用者が、自宅を出て当該階のエレベーターホールに到着すると、かごの呼びを行わなくても、かごが到着する、又は、かごが既に到着している。利用者は、エレベーターを利用して、スムースに入出庫口まで移動することが可能になる。
エレベーターシステム6を含む制御システム1では、制御装置11は、出庫指示信号を出力した情報盤4の位置から入出庫口22に到着するまでの経路の長さと、エレベーターのかごが、情報盤4の設置階に到着するまでの時間とに応じて、出庫動作を変更するようにしてもよい。また、このエレベーターのかごが到着するまでの時間は、情報盤4の設置階に応じてあらかじめ設定された平均的な時間としてもよいし、エレベーターシステム6がその稼働状況に基づいて出力するようにしてもよい。利用者が入出庫口22に到着するまでに要する時間を、より正確に把握することができ、制御システム1は、利用者が入出庫口22に到着するタイミングにあわせて、出庫動作を行うことができる。
ここに開示する技術は、集合住宅3に対応する機械式駐車設備の制御システムに限定されない。例えばオフィスビル、商業ビル、ホテル等の各種の施設に対応して設けられた機械式駐車設備においても、前記同様の制御システムを適用することが可能である。