JP2018021248A - 圧粉成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】かじりの発生を抑制することができる圧粉成形体の製造方法を提供する。【解決手段】上下方向に貫通する貫通穴1Aを有し、上下いずれかの方向に移動可能な外型1と、上型2と、下型3と、を備える金型100を用いて、貫通穴1Aに下型3を嵌入し、充填領域を形成する充填領域形成工程と、金属粉末Pを充填領域に充填する充填工程と、貫通穴1Aに上型2を嵌入し、金属粉末Pを圧縮して、圧粉成形体Bを形成する圧縮工程と、圧粉成形体Bを金型100から取り出す取出工程と、を備える圧粉成形体Bの製造方法であって、取出工程において、外型1は、圧粉成形体Bに対して相対的に、上下方向に移動し、取出工程において外型1を移動させる方向における外型1の後端側の部位の径方向の剛性が、取出工程において外型1を移動させる方向における外型1の前端側の部位の径方向の剛性よりも小さい。【選択図】図2
Description
本発明は、圧粉成形体の製造方法に関する。
金型内に金属等の粉末を充填して圧縮することにより圧粉成形体を得るプレス機が開発されている。例えば、特許文献1には、上下方向に貫通する貫通穴を備え、上下何れかの方向に移動可能な外型と、当該貫通穴に嵌入可能な上型と、当該貫通穴に嵌入可能な下型と、を備える金型が記載されている。そして、外型の貫通穴に下型を嵌入した後、当該貫通穴に金属粉末を充填し、上型を当該貫通穴に嵌入することによって圧粉成形体を得る方法が記載されている。
特許文献1に記載されているような金型から圧粉成形体を取り出す際、圧粉成形体と外型との間で摩擦が生じ、圧粉成形体の側面にかじりが生じてしまう可能性がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、かじりの発生を抑制することができる圧粉成形体の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る圧粉成形体の製造方法は、上下方向に貫通する貫通穴を有し、上下いずれかの方向に移動可能な外型と、上型と、下型と、を備える金型を用いる。そして、当該圧粉成形体の製造方法は、前記貫通穴に前記下型を嵌入し、充填領域を形成する充填領域形成工程と、金属粉末を前記充填領域に充填する充填工程と、前記貫通穴に前記上型を嵌入し、前記金属粉末を圧縮して、圧粉成形体を形成する圧縮工程と、前記圧粉成形体を前記金型から取り出す取出工程と、を備える。また、前記取出工程において、前記外型は、前記圧粉成形体に対して相対的に、上下方向に移動する。そして、前記取出工程において前記外型を移動させる方向における前記外型の後端側の部位の径方向の剛性が、前記取出工程において前記外型を移動させる方向における前記外型の前端側の部位の径方向の剛性よりも小さい。
本発明に係る圧粉成形体の製造方法によれば、取出工程において最も長い間、圧粉成形体と接触する後端側の部位の径方向剛性が、取出工程において最も短い間、圧粉成形体と接触する前端側の部位の径方向の剛性より小さいため、取出工程において当該後端側の部位の側面と圧粉成形体の側面との間の接触応力を低減させることができる。これにより、かじりの発生を抑制することができる圧粉成形体の製造方法を提供することができる。
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態1に係る金型100を示す断面図である。図1に示すように、金型100は、外型1、上型2、下型3を備える。外型1、上型2、下型3は、それぞれ、図示しない制御装置及び図示しない駆動装置によって上下方向に移動可能に設けられている。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態1に係る金型100を示す断面図である。図1に示すように、金型100は、外型1、上型2、下型3を備える。外型1、上型2、下型3は、それぞれ、図示しない制御装置及び図示しない駆動装置によって上下方向に移動可能に設けられている。
外型1は、略筒状の形状を有している。また、外型1は、上下方向に貫通する貫通穴1Aを備える。また、外型1は、後述する取出工程において当該外型1を移動させる方向における外型1の後端側の部位の径方向の剛性が、当該取出工程において当該外型1を移動させる方向における外型1の前端側の部位の径方向の剛性よりも小さくなるように、形成されている。
具体的には、本実施の形態1において、後述する取出工程における外型1を移動させる方向は、上側から下側に向かう方向である。そして、本実施の形態1にかかる外型1の上端側の部位の径方向の剛性は、外型1の下端側の部位の径方向の剛性よりも小さい。より具体的には、外型1の上端側には、外型1の外径が上側に行くほど徐々に小さくなるように切り欠かれた切り欠き部1Bが形成されている。このように、外型1の上端側において、外型1の肉厚が上側に行くほど徐々に薄くすることにより、外型1の上端側の部位の径方向の剛性を、外型1の下端側の部位の径方向の剛性よりも小さくしている。
また、外型1の上端側の部分において径方向の剛性を外型1の下端側の部分の径方向の剛性よりも小さくする範囲は、外型1の上端から後述する圧縮工程を経て成形完了した圧粉成形体の上端面に相当する位置までである。換言すれば、外型1の切り欠き部1Bは、外型1の上端から、成形完了した圧粉成形体の上端面に相当する位置までの範囲に設けられている。
上型2は、上端側にフランジを備える略円柱状の形状を有する。下型3は、下端側にフランジを備える略円柱状の形状を有する。また、上型2及び下型3の当該円柱の径は、外型1の貫通穴1Aに嵌入可能な径となっている。
次に、図2を参照しながら、本発明の実施の形態1に係る圧粉成形体の製造方法について説明する。
まず、図2に示すように、外型1、上型2、下型3を、それぞれの原位置に位置するように移動させておく。具体的には、上型2は、外型1の上方に配置されており、上型2の軸は貫通穴1Aの軸AXと一致している。下型3は、下型3の上端面と外型1の上端面とが同じ高さとなるように、貫通穴1Aに嵌入されている。
まず、図2に示すように、外型1、上型2、下型3を、それぞれの原位置に位置するように移動させておく。具体的には、上型2は、外型1の上方に配置されており、上型2の軸は貫通穴1Aの軸AXと一致している。下型3は、下型3の上端面と外型1の上端面とが同じ高さとなるように、貫通穴1Aに嵌入されている。
次に、図2に示すように、下型3を原位置から上方に充填時位置まで移動させることにより、充填領域(キャビティ)を形成する(充填領域形成工程)。充填領域は、後述する充填工程において、金属粉末Pを充填する領域である。下型3の充填時位置への移動が完了すると、外型1の貫通穴1Aの内壁面と下型3の上端面とが所定の空間を囲むことにより、充填領域が形成される。
次に、金属粉末Pをキャビティに充填する(充填工程)。具体的には、金属粉末Pは、圧粉成形体Bを形成するための焼結用材料等からなる粉末である。また、キャビティ内における金属粉末Pの深さが必要な充填深さ以上になるまで、金属粉末Pをキャビティに充填する。必要な充填深さがキャビティの深さと同じである場合、必要に応じて、金属粉末Pを摺り切り、金属粉末Pの上端面を外型1の上端面に揃える。
次に、図2に示すように、上型2を下方に移動させて貫通穴1Aに嵌入させることにより、金属粉末Pを圧縮する(圧縮工程)。これにより、圧粉成形体Bが形成される。この際、外型1と圧粉成形体Bとの間に接触応力が発生し、外型1と外型1の貫通穴1Aは径方向外側に向かって膨張する。図2において、外型1と貫通穴1Aとが膨張する前のサイズを二点鎖線で示す。
次に、図2に示すように、外型1を圧粉成形体Bに対して相対的に上下方向に移動させて、圧粉成形体Bを金型100から取り出す(取出工程)。具体的には、本実施の形態1では、外型1を下方に移動させるとともに、上型2を上方に移動させて、圧粉成形体Bを金型100から取り出す。
より具体的には、図2に示す取出工程の初期(取出初期)において、外型1の上端面と圧粉成形体Bの上端面とが同じ高さになるまで外型1は下方に移動する。すなわち、取出工程の初期において、圧粉成形体Bの上端は外型1の上端面より低い位置にあるため、圧粉成形体Bと外型1との接触面積は、圧縮工程における圧粉成形体Bと外型1との接触面積から変化しない。そのため、取出工程の初期における外型1と圧粉成形体Bとの間に発生する接触応力(図2において、当該接触応力の向きを外型1の径方向に向かう矢印で示す。)の大きさも圧縮工程における外型1と圧粉成形体Bとの間に発生する接触応力から変化しない。
次に、図2に示す取出工程の中期(取出中期)において、外型1が下方に移動するにつれて、圧粉成形体Bの上端が外型1の上端面より高くなる。そのため、圧粉成形体Bと外型1との接触面積は、圧縮工程における圧粉成形体Bと外型1との接触面積より小さくなる。これにより、取出工程の中期における外型1と圧粉成形体Bとの間に発生する接触応力の大きさは圧縮工程における外型1と圧粉成形体Bとの間に発生する接触応力より大きくなる。そのため、外型1と貫通穴1Aとは、圧縮工程の前のサイズとなるように収縮しようとする。外型1と貫通穴1Aとが収縮すると、圧粉成形体Bは、上端から下端に向かうにつれて幅が狭くなるように変形してしまう。
しかし、本実施の形態1では、外型1の上端側の部位の径方向の剛性は、外型1の下端側の部位の径方向の剛性よりも小さくなっている。そのため、取出工程において最も長い間、外型1と接触する圧粉成形体Bの下端側の部位にかかる接触応力は低減される。これにより、圧粉成形体Bが変形するのを防ぐことができる。
次に、図2に示す取出工程の後期(取出後期)において、外型1がさらに下方に移動すると、圧粉成形体Bと外型1との接触面積は、圧縮工程における圧粉成形体Bと外型1との接触面積に比べてさらに小さくなる。そのため、取出工程の後期における外型1と圧粉成形体Bとの間に発生する接触応力の大きさは、圧縮工程における外型1と圧粉成形体Bとの間に発生する接触応力に比べてさらに大きくなる。そのため、外型1と貫通穴1Aとはさらに収縮しようとする。そして、外型1と貫通穴1Aとの収縮に伴って、圧粉成形体Bの下端側の部位にかじりが発生してしまう。
しかし、上述したように、外型1の上端側の部位の径方向の剛性は、外型1の下端側の部位の径方向の剛性よりも小さくなっている。そのため、圧粉成形体Bの上端側の部位において発生する接触応力は低減される。これにより、圧粉成形体Bの下端側の部位にかじりが発生するのを防ぐことができる。
以上に説明した実施の形態1に係る圧粉成形体Bの製造方法によれば、取出工程において最も長い間、圧粉成形体Bと接触する外型1の上端側の部位(取出工程において当該外型1を移動させる方向における外型1の後端側の部位)の径方向剛性が、取出工程において最も短い間、圧粉成形体Bと接触する外型1の下端側の部位(取出工程において当該外型1を移動させる方向における外型1の前端側の部位)の径方向の剛性より小さいため、取出工程において当該上端側の部位の側面と圧粉成形体Bの側面との間の接触応力を低減させることができる。これにより、かじりの発生を抑制することができる圧粉成形体Bの製造方法を提供することができる。
より具体的には、図3に示す従来の圧粉成形体Bの製造方法では、取出工程の中期及び後期において、圧粉成形体Bと外型301との接触面積は、圧縮工程における圧粉成形体Bと外型301との接触面積より小さくなり、取出工程の中期及び後期における外型301と圧粉成形体Bとの間に発生する接触応力の大きさは圧縮工程における外型301と圧粉成形体Bとの間に発生する接触応力より大きくなる。これにより、外型301と外型301の貫通穴とは、圧縮工程の前のサイズとなるように収縮する。そして、外型301と貫通穴とが収縮することにより、圧粉成形体Bが変形したり、圧粉成形体Bの下端側の部位にかじりが発生したりしてしまう。
しかし、本実施の形態1に係る圧粉成形体Bの製造方法では、外型1の上端側の部位の径方向の剛性は、外型1の下端側の部位の径方向の剛性よりも小さくなっている。そのため、取出工程において最も長い間、外型1と接触する圧粉成形体Bの下端側の部位にかかる接触応力は低減される。これにより、圧粉成形体Bが変形したり、圧粉成形体Bの下端側の部位にかじりが発生したりするのを防ぐことができる。
具体的には、外型1の上端側には、外型1の外径が上側に行くほど徐々に小さくなるように切り欠かれた切り欠き部1Bが形成されている。このように、外型1の上端側において、外型1の肉厚が上側に行くほど徐々に薄くすることにより、外型1の上端側の部位の径方向の剛性を、外型1の下端側の部位の径方向の剛性よりも小さくしている。これにより、比較的容易に、下端側の部位の径方向の剛性よりも上端側の部位の径方向の剛性が小さい外型1を製造することができる。
また、従来では、取出工程の後期におけるかじりの発生を防止するため、金属粉末Pに潤滑剤を多めに0.8wt%程度添加している。しかし、潤滑剤の添加量が増えると、圧粉成形体Bの高密度化が阻害されてしまう。本実施の形態1に係る金型100では、取出工程における圧粉成形体Bの変形やかじりの発生を低減することができるため、金属粉末Pに潤滑剤を添加する量を、例えば、0.3wt%以下程度に減らすことができる。これにより、圧粉成形体Bの変形やかじりの発生を低減しながら、圧粉成形体Bの高密度化を実現することができる。
また、外型1の上端側の部分(取出工程において当該外型1を移動させる方向における外型1の後端側の部分)の径方向の剛性を、外型1の下端側の部分(取出工程において当該外型1を移動させる方向における外型1の前端側の部分)の径方向の剛性よりも小さくする範囲は、外型1の上端から後述する圧縮工程を経て成形完了した圧粉成形体の上端面に相当する位置までである。換言すれば、外型1の切り欠き部1Bは、外型1の上端から、成形完了した圧粉成形体Bの上端面に相当する位置までの範囲に設けられている。成形完了した圧粉成形体の上端面より下の位置まで剛性を下げると、成形完了時に型に過大な力が掛かり、型が破損する恐れがある。そのため、力が掛かりやすい圧粉成形体が存在する範囲を避ける必要がある。
実施の形態2
次に、図4を参照して、実施の形態2に係る圧粉成形体Bの製造方法について説明する。図4は、本発明の実施の形態2に係る金型200を示す断面図である。図4に示すように、実施の形態2に係る圧粉成形体Bの製造方法において外型10の構成のみが、実施の形態1に係る圧粉成形体の製造方法における外型1と異なる。そのため、同一の構成については同一の符号を用いるとともに、その説明を省略する。
次に、図4を参照して、実施の形態2に係る圧粉成形体Bの製造方法について説明する。図4は、本発明の実施の形態2に係る金型200を示す断面図である。図4に示すように、実施の形態2に係る圧粉成形体Bの製造方法において外型10の構成のみが、実施の形態1に係る圧粉成形体の製造方法における外型1と異なる。そのため、同一の構成については同一の符号を用いるとともに、その説明を省略する。
図4に示すように、外型10は、筒状の形状を有している。また、外型10は、上下方向に貫通する貫通穴10Aを備える。また、外型10は、後述する取出工程において当該外型1を移動させる方向における外型1の後端側の部位10Bの径方向の剛性が、当該取出工程において当該外型10を移動させる方向における外型10の前端側の部位10Cの径方向の剛性よりも小さくなるように、形成されている。
具体的には、本実施の形態2において、後述する取出工程における外型10を移動させる方向は、上側から下側に向かう方向である。そして、本実施の形態2にかかる外型10の上端側の部位10Bの径方向の剛性は、外型10の下端側の部位10Cの径方向の剛性よりも小さい。より具体的には、外型10の上端側の部位10Bは、外型10の下端側の部位10Cよりも、剛性の小さい材料によって形成されている。これにより、外型10の上端側の部位10Bの径方向の剛性を、外型10の下端側の部位10Cの径方向の剛性よりも小さくしている。剛性の小さい材料としては、合金工具鋼であるSKD11、SKD61等が挙げられる。また、剛性の大きい材料としては、超硬合金であるV60、V50、V40等が挙げられる。
また、外型10の上端側の部分10Bにおいて径方向の剛性を外型10の下端側の部分10Cの径方向の剛性よりも小さくする範囲は、外型10の上端から圧縮工程を経て成形完了した圧粉成形体Bの上端面に相当する位置までである。
以上に説明した実施の形態2に係る圧粉成形体Bの製造方法によれば、実施の形態1に係る圧粉成形体Bの製造方法と同様の効果が得られることは勿論である。
実施例1.
次に、図5を参照しながら、本発明の実施例1について説明する。図5は、実施例1に係る金型100及び当該金型100を用いて成形された圧粉成形体Bを示す断面図である。
次に、図5を参照しながら、本発明の実施例1について説明する。図5は、実施例1に係る金型100及び当該金型100を用いて成形された圧粉成形体Bを示す断面図である。
図5に示すように、外型1は、略筒状の形状を有している。また、外型1は、上下方向に貫通する貫通穴1Aを備える。また、外型1の内壁と外壁との間の幅は120mmである。また、外型1の内壁から径方向に20mm離れた位置から外壁までの範囲に、切り欠き部1Bが設けられている。また、切り欠き部1Bは、外型1の外径が上側に行くほど徐々に小さくなるように、設けられている。また、外型1の外壁における切り欠き部1Bの外型1の上端面からの深さは、8.5mmである。換言すれば、外型1の上端から下端に向かって8.5mmまでの部分の剛性は、外型1のその他の部分の剛性よりも小さくなっている。また、圧粉成形体Bの上面は、外型1の上面から下端に向かって8.5mmの位置と同じか、当該位置よりも下側に位置している。
比較例1.
次に、図6を参照しながら、比較例1について説明する。図6は、比較例1に係る金型300及び当該金型300を用いて形成された圧粉成形体Bを示す断面図である。
次に、図6を参照しながら、比較例1について説明する。図6は、比較例1に係る金型300及び当該金型300を用いて形成された圧粉成形体Bを示す断面図である。
図6に示すように、外型301は、筒状の形状を有している。また、外型301は、上下方向に貫通する貫通穴301Aを備える。また、外型301の内壁と外壁との間の幅は120mmである。
図7は、実施例1及び比較例1に係る外型1、301と圧粉成形体Bの下部との間にかかる接触応力を示すグラフである。CAE(Computer Aided Engineering)解析を用いて、実施例1及び比較例1に係る外型1、301と圧粉成形体Bとの間にかかる接触応力を確認した。図7に示すように、実施例1では、比較例1に比べて、圧縮工程の完了時から取出工程の終了時までの全ての期間において、外型1と圧粉成形体Bの下部との間にかかる接触応力を低減することができることが分かった。
特に、図7に示すように、取出工程の後期において、実施例1の外型1と圧粉成形体Bとの間にかかる接触応力が、比較例1の外型301と圧粉成形体Bとの間にかかる接触応力よりも大幅に低減することができていることが分かった。具体的には、実施例1において、取出工程の初期から後期に向かうにつれて、外型1と圧粉成形体Bとの間にかかる接触応力が増加する増加量が、比較例1において、取出工程の初期から後期に向かうにつれて、外型301と圧粉成形体Bとの間にかかる接触応力が増加する増加量の約3分の1程度に低減されていることが分かった。
次に、図8を参照しながら、本発明の実施の形態1に係る金型100の一例について説明する。図8に示す金型100は、断面形状が3回対称である圧粉成形体Bを製造するための金型である。図8の上側に、当該金型100の外型1の上面図を示し、図8の下側に、図8の上側のVIII−VIII矢視方向の当該金型100の断面図を示す。
図8に示すように、外型1の貫通穴1Aは上面視略円形であり、略等間隔に3つの突起部1Dを備える。突起部1Dは、外型1の径方向内側に向かって内壁から突出している。また、外型1の内壁面は、突起部1Dよりも細かく凹凸した凹凸面となっている。図8に示す金型100は、例えば、クラッチハブの基材となる圧粉成形体Bを形成するための金型である。
外型1は、図8に示すように、貫通穴1Aから径方向外側に向かって所定距離の範囲で平坦部1Eを備える。平坦部1Eの外縁の上面視の形状は、貫通穴1Aの上面視の略円形形状と略相似となっている。すなわち、平坦部1Eの上面視の形状は、貫通穴1Aを囲む円周形状の帯状である。そして、外型1は、平坦部1Eの径方向外側に切り欠き部1Bを備えている。なお、切り欠き部1Bは、外型1の上端から、成形完了した圧粉成形体Bの上端面に相当する位置までの範囲に設けられている。
次に、図9を参照しながら、本発明の実施の形態1に係る金型100の他の一例について説明する。図9に示す金型100は、断面形状が線対称である圧粉成形体Bを製造するための金型である。図9の上側に、当該金型100の外型1の上面図を示し、図9の下側に、図9の上側のVIII−VIII矢視方向の当該金型100の断面図を示す。
図9に示すように、外型1の貫通穴1Aは、上面視において、外型1の中心を通る図9の左右に延びる対称軸に対して対称な形状である。図9に示す金型100は、例えば、今ロッドの基材となる圧粉成形体Bを形成するための金型である。
外型1は、図9に示すように、貫通穴1Aから径方向外側に向かって所定距離の範囲で平坦部1Eを備える。平坦部1Eの外縁の上面視の形状は、貫通穴1Aの上面視の形状と略相似となっている。すなわち、平坦部1Eの上面視の形状は、貫通穴1Aを囲む帯状である。そして、外型1は、平坦部1Eの径方向外側に切り欠き部1Bを備えている。なお、切り欠き部1Bは、外型1の上端から、成形完了した圧粉成形体Bの上端面に相当する位置までの範囲に設けられている。
図8、図9に示すように、成形する圧粉成形体Bの形状に合わせて、外型1に切り欠き部1Bを設けることにより、様々な形状の圧粉成形体Bを成形することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
1、10、301 外型
1A、10A、301A 貫通穴
1B 切り欠き部
1D 突起部
1E 平坦部
10B 外型の上端側の部位
10C 外型の下端側の部位
2、302 上型
3、303 下型
100、200、300 金型
P 金属粉末
B 圧粉成形体
AX 貫通穴の軸
1A、10A、301A 貫通穴
1B 切り欠き部
1D 突起部
1E 平坦部
10B 外型の上端側の部位
10C 外型の下端側の部位
2、302 上型
3、303 下型
100、200、300 金型
P 金属粉末
B 圧粉成形体
AX 貫通穴の軸
Claims (1)
- 上下方向に貫通する貫通穴を有し、上下いずれかの方向に移動可能な外型と、上型と、下型と、を備える金型を用いて、
前記貫通穴に前記下型を嵌入し、充填領域を形成する充填領域形成工程と、
金属粉末を前記充填領域に充填する充填工程と、
前記貫通穴に前記上型を嵌入し、前記金属粉末を圧縮して、圧粉成形体を形成する圧縮工程と、
前記圧粉成形体を前記金型から取り出す取出工程と、を備える圧粉成形体の製造方法であって、
前記取出工程において、前記外型は、前記圧粉成形体に対して相対的に、上下方向に移動し、
前記取出工程において前記外型を移動させる方向における前記外型の後端側の部位の径方向の剛性が、前記取出工程において前記外型を移動させる方向における前記外型の前端側の部位の径方向の剛性よりも小さい、圧粉成形体の製造方法。
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