JP2018021099A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光学濃度の高い画像を記録することが可能なインクジェット用の水性インク、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】インクジェット用の水性インクであり、顔料の粒子表面が修飾された自己分散顔料である第1のカーボンブラック及び第2のカーボンブラックを含有し、第1のカーボンブラックのDBP吸油量と、第2のカーボンブラックのDBP吸油量との差が、10mL/100g以上である水性インク、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法の提供による。【選択図】なし

Description

本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録装置は技術の進化により記録速度が飛躍的に高まり、レーザー記録装置の代替としてビジネス文書の印刷の分野にも徐々に導入が進みつつある。インクジェット記録装置で普通紙などの記録媒体に画像を記録する際に用いるテキスト用インクにおいては、光学濃度の高さや文字品位の良さを考慮して、従来から主に自己分散カーボンブラックを含有する水性インクが用いられてきた。テキスト用インクに求められる特性として、記録される画像のさらなる光学濃度の向上が要求されている。
インクジェット用の水性インクを用いて記録される画像の光学濃度を向上させるべく、従来からインクに各種の添加剤を配合する検討がなされている。例えば、特定の表面修飾型の自己分散カーボンブラックと、ホウ酸類及びN−ヒドロキシ環状イミド化合物とを含有するインクジェット記録用の水性インクが提案されている(特許文献1)。
特開2013−075961号公報
本発明者らは、特許文献1で提案された水性インクで記録した画像の光学濃度について検討した。その結果、画像の光学濃度はある程度向上するものの、そのレベルは未だ不十分であり、さらなる改良の余地があることがわかった。
したがって、本発明の目的は、光学濃度の高い画像を記録することが可能なインクジェット用の水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、インクジェット用の水性インクであって、顔料の粒子表面が修飾された自己分散顔料である第1のカーボンブラック及び第2のカーボンブラックを含有し、前記第1のカーボンブラックのDBP吸油量と、前記第2のカーボンブラックのDBP吸油量との差が、10mL/100g以上であることを特徴とする水性インクが提供される。
本発明によれば、光学濃度の高い画像を記録することが可能なインクジェット用の水性インクを提供することができる。また、本発明によれば、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、水性インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。また、物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値とする。
本発明者らは、顔料の粒子表面が修飾された自己分散顔料を構成するカーボンブラックについて検討を行った。その結果、2種のカーボンブラックのDBP吸油量の差が10mL/100g以上となるように組み合わせたインクを用いると、それらを単独で含有するインクを用いた場合に比べて、記録される画像の光学濃度が向上することを見出した。また、2種のカーボンブラックのDBP吸油量の差が30mL/100g以上であると、画像の光学濃度をさらに向上させることができることもわかった。このような効果が得られる理由について、本発明者らは以下のように推測している。
DBP吸油量の値は、カーボンブラックのストラクチャーの発達具合と相関がある。具体的には、DBP吸油量の値が大きいほどストラクチャーが発達しており、嵩高い構造を有する(高ストラクチャーである)カーボンブラックであることを意味する。相対的に高ストラクチャーなカーボンブラックと低ストラクチャーなカーボンブラックとを組み合わせてインクに含有させることで、それぞれ単独で用いたインクと比較して、顔料同士がより密に会合して凝集性が高まると考えられる。そして、記録媒体上に付与された水性インク中の水分の蒸発によりカーボンブラックが直ちに凝集して記録媒体上に残りやすくなり、画像の光学濃度が向上すると考えられる。以下、本発明においては、便宜上、2種のカーボンブラックを「第1のカーボンブラック」及び「第2のカーボンブラック」と記載する。
<水性インク>
本発明の水性インクは、顔料の粒子表面が修飾された自己分散顔料である第1のカーボンブラック及び第2のカーボンブラックを含有する。そして、第1のカーボンブラックのDBP吸油量と、第2のカーボンブラックのDBP吸油量との差が、10mL/100g以上である。以下、本発明のインクを構成する各成分やインクの物性について詳細に説明する。
(自己分散顔料)
第1のカーボンブラック及び第2のカーボンブラックは、いずれも顔料の粒子表面が修飾された自己分散顔料である。より具体的には、第1のカーボンブラック及び第2のカーボンブラックは、いずれも、顔料(カーボンブラック)の粒子表面に直接又は他の原子団を介してアニオン性基が結合したものである。
〔官能基〕
顔料の粒子表面に結合した官能基は、アニオン性基、又は他の原子団とアニオン性基とが結合した基である。アニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などを挙げることができる。これらのアニオン性基は塩を形成していてもよい。アニオン性基が塩を形成している場合、アニオン性基のプロトンの少なくとも1つがカチオンに置換されている。カチオンとしては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオンなどを挙げることができる。アルカリ金属イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのイオンを挙げることができる。有機アンモニウムイオンとしては、モノ乃至トリアルキルアミンなどの脂肪族アミン;モノ乃至トリアルカノールアミンなどの脂肪族アルコールアミンのカチオンを挙げることができる。
他の原子団としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ビフェニル基などのアリーレン基;ピリジレン基、イミダゾリレン基、ピラゾリレン基、ピリジニレン基、チエニレン基、チアゾリレン基などのヘテロアリーレン基;カルボニル基;カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、リン酸エステル基、ホスホン酸エステル基などのエステル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。顔料の粒子表面にアニオン性基が直接結合した自己分散顔料よりも、顔料の粒子表面に他の原子団を介してアニオン性基が結合した自己分散顔料を用いることが好ましい。顔料の粒子表面は様々な状態にあるため、粒子表面に直接結合したアニオン性基も多様な性質を持つことになり、酸化されやすい状態のアニオン性基が生成し、自己分散顔料そのものが酸化されやすくなる場合がある。このため、顔料の粒子表面に他の原子団を介してアニオン性基が結合した自己分散顔料を用いることが好ましい。
〔カーボンブラック種と物性値〕
自己分散顔料の原料となるカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどを用いることができる。これらのカーボンブラックから任意に選択した2種を組み合わせて用いることができる。
第1のカーボンブラックのDBP吸油量と、第2のカーボンブラックのDBP吸油量との差は、10mL/100g以上、好ましくは30mL/100g以上である。DBP吸油量は、JIS K6221又はASTM D 2414に準拠した方法により測定することができる。これらの方法は、100gのカーボンブラックにフタル酸ジブチルを撹拌下で滴下し、トルクが最大となった時点でのフタル酸ジブチルの添加量を測定する方法である。
BET法により測定される第1のカーボンブラック及び第2のカーボンブラックの比表面積は、それぞれ100m2/g以上600m2/g以下であることが好ましい。カーボンブラックの比表面積は、JIS K6217又はASTM D6556に準拠したBET法により測定することができる。これらの方法は、脱気したカーボンブラックを液体窒素に浸漬し、平衡に至った際のカーボンブラックの粒子表面に吸着している窒素量を測定する方法である。
第1のカーボンブラック及び第2のカーボンブラックの一次粒子径は、それぞれ10nm以上40nm以下であることが好ましい。カーボンブラックは、通常、複数の一次粒子がブドウの房のように立体的に連なった状態で存在する。一次粒子径とは、1つの粒子を形成する最小単位のカーボンブラック(一次粒子)の粒子径を意味する。カーボンブラックの一次粒子径は、透過型又は走査型の電子顕微鏡により、顔料粒子を形成する最小単位のカーボンブラックの粒子径を100点程度観察して測定し、その算術平均値として求めることができる。
第1のカーボンブラック及び第2のカーボンブラックの平均粒子径は、それぞれ50nm以上200nm以下であることが好ましい。平均粒子径とは、通常存在する形態のカーボンブラックの粒子径を意味する。本発明においては、体積基準の粒子径分布の50%累積値[D50(nm)]として、動的光散乱方式の粒度分布測定装置などを用いて測定することができる。インクジェット用のインクとしての吐出特性を高いレベルで得るためには、カーボンブラックの平均粒子径(D50)が60nm以上120nm以下であることが好ましい。また、カーボンブラックのD90(体積基準の粒子径分布の90%累積値)は、100nm以上300nm以下であることが好ましい。
〔含有量〕
インク中の第1のカーボンブラック及び第2のカーボンブラックの合計含有量に占める、第1のカーボンブラック及び第2のカーボンブラックのいずれか一方の含有量の割合は、質量比率で、0.10%以上99.90%以下であることが好ましい。また、インク中の自己分散顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上15.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上10.00質量%以下であることがさらに好ましい。
〔自己分散顔料の製造方法〕
自己分散顔料の製造方法としては、特定のアニオン性基を有する化合物を処理剤として用いて、顔料(カーボンブラック)を化学的に処理する方法を挙げることができる。特定のアニオン性基を有する化合物としては、例えば、ジアゾニウム塩、ジアゼン化合物、置換トリアジン化合物、及び下記一般式(1)〜(3)で表される化合物などを挙げることができる。
Figure 2018021099
(前記一般式(1)中、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基、カルボン酸エステル基、又は−S(=O)2−R4を表し、R1、R2、及びR3がすべてが同時に水素原子となることはない。R4は、ヒドロキシ基、又は脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基を表す。A1は、カルボン酸基;スルホン酸基;リン酸基;ホスホン酸基;又は脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性基が置換した基を表す)
Figure 2018021099
(前記一般式(2)中、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アシル基、カルボン酸エステル基、アリールオキシ基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、又はホスホン酸基を表し、R5及びR6が同時に水素原子となることはない。R7は、水素原子、脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基、又はカルボン酸エステル基を表す。A2は、カルボン酸基;スルホン酸基;リン酸基;ホスホン酸基;又は脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性基が置換した基を表す)
Figure 2018021099
(前記一般式(3)中、R8は、シアノ基;又はエステル基、エーテル基、チオエーテル基、ケトン基、及びスルホニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基と、脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基と、が結合した原子団を表し、A3は、脂肪族基及び芳香族基の少なくとも一方を有する基に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性基が置換した基を表す)
(塩)
本発明の水性インクには、画像品位の向上のため、カチオンとアニオンが結合して構成される塩を含有させることができる。カチオンは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、及び有機アンモニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。アニオンは、Cl-、Br-、I-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、NO2 -、NO3 -、SO4 2-、CO3 2-、HCO3 -、HCOO-、(COO-2、COOH(COO-)、CH3COO-、C24(COO-2、C65COO-、C64(COO-2、PO4 3-、HPO4 2-、及びH2PO4 -からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどを挙げることができる。有機アンモニウムイオンとしては、メチルアミン、エチルアミンなどの炭素数1以上3以下のアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの炭素数1以上4以下のアルカノールアミン類;などのカチオンを挙げることができる。
カチオンとアニオンが結合して構成される塩としては、1価のカチオンを(M2+として表すと、(M2)Cl、(M2)Br、(M2)I、(M2)ClO、(M2)ClO2、(M2)ClO3、(M2)ClO4、(M2)NO2、(M2)NO3、(M22SO4、(M22CO3、(M2)HCO3、HCOO(M2)、(COO(M2))2、COOH(COO(M2))、CH3COO(M2)、C24(COO(M2))2、C65COO(M2)、C64(COO(M2))2、(M23PO4、(M22HPO4、(M2)H2PO4を挙げることができる。なかでも、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸アンモニウム、クエン酸三ナトリウム、フタル酸カリウム、フタル酸アンモニウムなどが好ましい。
インク中の塩の濃度(mmol/kg)は、インク全質量を基準として、2.00mmol/kg以上100.00mmol/kg以下であることが好ましく、5.00mmol/kg以上20.00mmol/kg以下であることがさらに好ましい。上記の塩以外にも、アミノ酸類、タウリン、ベタイン化合物などの分子内塩を用いてもよい。
(水性媒体)
本発明の水性インクは、通常、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.00質量%以上95.00質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に限定はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、5.00質量%以上90.00質量%以下であることが好ましく、10.00質量%以上50.00質量%以下であることがさらに好ましい。
(その他の添加剤)
本発明の水性インクには、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、蒸発促進剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性などの界面活性剤を挙げることができる。インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上5.00質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以上2.00質量%以下であることがさらに好ましい。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコール系化合物などのノニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤の疎水性基は、自己分散顔料の粒子表面に吸着しやすい。このため、インク中における自己分散顔料の分散状態をより安定に保つことができる。界面活性剤のなかでも、ノニオン性界面活性剤はイオン性基を有しないため、自己分散顔料の官能基と相互作用を起こしにくい一方で、顔料の粒子表面には吸着しやすいからである。
(インクの物性)
本発明の水性インクは、インクジェット方式に適用するインクである。したがって、その物性値を適切に制御することが好ましい。具体的には、25℃におけるインクの表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上60mN/m以下であることがさらに好ましい。なかでも、30mN/m以上50mN/m以下であることが好ましく、30mN/m以上40mN/m以下であることが特に好ましい。また、25℃におけるインクの粘度は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることがさらに好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることが特に好ましい。25℃におけるインクのpHは、5.0以上10.0以下であることが好ましく、6.0以上8.5以下であることがさらに好ましい。pHが上記の範囲内にあると、自己分散顔料の分散安定性が向上し、保存安定性に優れたインクとすることができる。
(反応液)
本発明の水性インクは、反応液と併用することもできる。反応液は、インクと接触することにより自己分散顔料を凝集させるものであり、反応剤を含有する。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分や、有機酸などを挙げることができる。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Sr2+、及びBa2+などの2価の金属イオン;Al3+、Fe3+、Cr3+、及びY3+などの3価の金属イオンを挙げることができる。反応液に多価金属イオンを含有させるためには、多価金属イオンとアニオンとが結合して構成される多価金属塩(水和物であってもよい)を用いることができる。アニオンとしては、例えば、Cl-、Br-、I-、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、NO2 -、NO3 -、SO4 2-、CO3 2-、HCO3 -、PO4 3-、HPO4 2-、及びH2PO4 -などの無機アニオン;HCOO-、(COO-2、COOH(COO-)、CH3COO-、C24(COO-2、C65COO-、C64(COO-2及びCH3SO3 -などの有機アニオンを挙げることができる。反応剤として多価金属イオンを用いる場合、反応液中の多価金属塩換算の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
カチオン性樹脂としては、例えば、1乃至3級アミンの構造を有する樹脂、4級アンモニウム塩の構造を有する樹脂などを挙げることができる。具体的には、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチレンイミン、グアニジンなどの構造を有する樹脂などを挙げることができる。反応液における溶解性を高めるために、カチオン性樹脂と酸性化合物とを併用したり、カチオン性樹脂の4級化処理を施したりすることもできる。反応剤としてカチオン性樹脂を用いる場合、反応液中のカチオン性樹脂の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
有機酸を含有する反応液は、酸性領域(pH7.0未満、好ましくはpH2.0乃至5.0)に緩衝能を有することによって、インク中の自己分散顔料のアニオン性基を酸型にして凝集させるものである。有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などのモノカルボン酸及びその塩;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ピロメリット酸などのジカルボン酸、及びその塩や水素塩;クエン酸、トリメリット酸などのトリカルボン酸、及びその塩や水素塩;オキシコハク酸、DL−リンゴ酸、酒石酸などのヒドロキシカルボン酸及びその塩を挙げることができる。塩を形成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属イオン;アンモニウムイオン;有機アンモニウムイオンなどを挙げることができる。反応液中の有機酸の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上40.00質量%以下であることが好ましい。
反応液中の反応剤以外の成分としては、水性インクに用いることができるものとして先に挙げた、水、水溶性有機溶剤、その他の添加剤などと同様のものを用いることができる。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明の水性インクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明の水性インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
使用したカーボンブラックの特性(DBP吸油量)を表1に示す。
Figure 2018021099
(顔料分散液1)
5.5gの水に5.0gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.6gの4−アミノフタル酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃のイオン交換水9.0gに1.8gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、撹拌下でCB1を6g加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。さらに、塩酸で処理した後、水酸化カリウム水溶液を用いて中和し、適量のイオン交換水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液1を得た。
(顔料分散液2)
5.5gの水に5.0gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.6gの4−アミノフタル酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃のイオン交換水9.0gに1.8gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、撹拌下でCB2を6g加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。さらに、塩酸で処理した後、水酸化カリウム水溶液を用いて中和し、適量のイオン交換水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液2を得た。
(顔料分散液3)
5.5gの水に5.0gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.6gの4−アミノフタル酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃のイオン交換水9.0gに1.8gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、撹拌下でCB3を6g加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。さらに、塩酸で処理した後、水酸化カリウム水溶液を用いて中和し、適量のイオン交換水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液3を得た。
(顔料分散液4)
5.5gの水に5.0gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.6gの4−アミノフタル酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃のイオン交換水9.0gに1.8gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、撹拌下でCB4を6g加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。さらに、塩酸で処理した後、水酸化カリウム水溶液を用いて中和し、適量のイオン交換水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液4を得た。
(顔料分散液5)
5.5gの水に5.0gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.6gの4−アミノフタル酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃のイオン交換水9.0gに1.8gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、撹拌下でCB5を6g加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。さらに、塩酸で処理した後、水酸化カリウム水溶液を用いて中和し、適量のイオン交換水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液5を得た。
(顔料分散液6)
5.5gの水に5.0gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.6gの4−アミノフタル酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃のイオン交換水9.0gに1.8gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、撹拌下でCB6を6g加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。さらに、塩酸で処理した後、水酸化カリウム水溶液を用いて中和し、適量のイオン交換水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液6を得た。
(顔料分散液7)
5.5gの水に5.0gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.6gの4−アミノフタル酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃のイオン交換水9.0gに1.8gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、撹拌下でCB7を6g加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。さらに、塩酸で処理した後、水酸化カリウム水溶液を用いて中和し、適量のイオン交換水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液7を得た。
(顔料分散液8)
5.5gの水に5.0gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.6gの4−アミノフタル酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃のイオン交換水9.0gに1.8gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、撹拌下でCB8を6g加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。さらに、塩酸で処理した後、水酸化カリウム水溶液を用いて中和し、適量のイオン交換水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液8を得た。
(顔料分散液9)
5.5gの水に5.0gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.6gの4−アミノフタル酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃のイオン交換水9.0gに1.8gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、撹拌下でCB9を6g加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。さらに、塩酸で処理した後、水酸化カリウム水溶液を用いて中和し、適量のイオン交換水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液9を得た。
(顔料分散液10)
5.5gの水に5.0gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.6gの4−アミノフタル酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃のイオン交換水9.0gに1.8gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、撹拌下でCB10を6g加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。さらに、塩酸で処理した後、水酸化カリウム水溶液を用いて中和し、適量のイオン交換水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液10を得た。
(顔料分散液11)
CB1を28.0g、イオン交換水175g、処理剤1.0mmol/g(顔料)を、容量400mLのベッセル(アイメックス製)に入れて混合した。処理剤としては、4−(2−tert−ブトキシカルボニルヒドラジノ)フタル酸(住化テクノサービス製、一般式(1)におけるR1が水素原子、R2がカルボン酸−tert−ブチルエステル基、R3が水素原子、A1が3,4−ジカルボキシフェニル基である化合物)を用いた。8mol/Lの水酸化カリウム水溶液を入れて液体のpHを3に調整し、温度25℃、回転数2,000rpmで12時間撹拌した。その後、8mol/Lの水酸化カリウム水溶液を入れて液体のpHを10に調整して分散液を得た。限外ろ過装置(商品名「RP−2100」、アイラ製、フィルター:ペンシル型モジュール「SAP−0013」、旭化成ケミカルズ製)を用いて分散液から不純物を除去して精製した。精製は、限外ろ過装置で分散液を20mLまで濃縮(ろ液180mLを分取)した後、イオン交換水180mLを添加して分散液を希釈する操作を4回繰り返し、ろ液の電気伝導度が50μS/cm以下となったのを確認することにより行った。限外ろ過して自己分散顔料の含有量を調整した後、回転数5,000rpmで30分間遠心分離して粗大粒子を除去し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液11を得た。
(顔料分散液12)
CB6を28.0g、イオン交換水175g、処理剤1.0mmol/g(顔料)を、容量400mLのベッセル(アイメックス製)に入れて混合した。処理剤としては、4−(2−tert−ブトキシカルボニルヒドラジノ)フタル酸(住化テクノサービス製、一般式(1)におけるR1が水素原子、R2がカルボン酸−tert−ブチルエステル基、R3が水素原子、A1が3,4−ジカルボキシフェニル基である化合物)を用いた。8mol/Lの水酸化カリウム水溶液を入れて液体のpHを3に調整し、温度25℃、回転数2,000rpmで12時間撹拌した。その後、8mol/Lの水酸化カリウム水溶液を入れて液体のpHを10に調整して分散液を得た。限外ろ過装置(商品名「RP−2100」、アイラ製、フィルター:ペンシル型モジュール「SAP−0013」、旭化成ケミカルズ製)を用いて分散液から不純物を除去して精製した。精製は、限外ろ過装置で分散液を20mLまで濃縮(ろ液180mLを分取)した後、イオン交換水180mLを添加して分散液を希釈する操作を4回繰り返し、ろ液の電気伝導度が50μS/cm以下となったのを確認することにより行った。限外ろ過して自己分散顔料の含有量を調整した後、回転数5,000rpmで30分間遠心分離して粗大粒子を除去し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液12を得た。
(顔料分散液13)
CB7を28.0g、イオン交換水175g、処理剤1.0mmol/g(顔料)を、容量400mLのベッセル(アイメックス製)に入れて混合した。処理剤としては、4−(2−tert−ブトキシカルボニルヒドラジノ)フタル酸(住化テクノサービス製、一般式(1)におけるR1が水素原子、R2がカルボン酸−tert−ブチルエステル基、R3が水素原子、A1が3,4−ジカルボキシフェニル基である化合物)を用いた。8mol/Lの水酸化カリウム水溶液を入れて液体のpHを3に調整し、温度25℃、回転数2,000rpmで12時間撹拌した。その後、8mol/Lの水酸化カリウム水溶液を入れて液体のpHを10に調整して分散液を得た。限外ろ過装置(商品名「RP−2100」、アイラ製、フィルター:ペンシル型モジュール「SAP−0013」、旭化成ケミカルズ製)を用いて分散液から不純物を除去して精製した。精製は、限外ろ過装置で分散液を20mLまで濃縮(ろ液180mLを分取)した後、イオン交換水180mLを添加して分散液を希釈する操作を4回繰り返し、ろ液の電気伝導度が50μS/cm以下となったのを確認することにより行った。限外ろ過して自己分散顔料の含有量を調整した後、回転数5,000rpmで30分間遠心分離して粗大粒子を除去し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液13を得た。
(顔料分散液14)
原料として4−アミノフタル酸(東京化成工業製)、及び4−アミノフタル酸に対して2倍量(モル比)のp−ベンゼンスルホニルクロリド(東京化成工業製)を用意した。これらを用いて、国際公開第2001/002351号の記載に準じて、4−(1,2−ビスフェニルスルホニルヒドラジノ)フタル酸(一般式(1)におけるR1が水素原子、R2及びR3がフェニルスルホニル基、A1が3,4−ジカルボキシフェニル基である化合物)を得た。そして、処理剤を4−(1,2−ビスフェニルスルホニルヒドラジノ)フタル酸に変更したこと以外は顔料分散液11の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液14を得た。
(顔料分散液15)
原料として4−アミノフタル酸(東京化成工業製)、及び4−アミノフタル酸に対して2倍量(モル比)のp−ベンゼンスルホニルクロリド(東京化成工業製)を用意した。これらを用いて、国際公開第2001/002351号の記載に準じて、4−(1,2−ビスフェニルスルホニルヒドラジノ)フタル酸(一般式(1)におけるR1が水素原子、R2及びR3がフェニルスルホニル基、A1が3,4−ジカルボキシフェニル基である化合物)を得た。そして、処理剤を4−(1,2−ビスフェニルスルホニルヒドラジノ)フタル酸に変更したこと以外は顔料分散液12の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液15を得た。
(顔料分散液16)
原料として4−アミノフタル酸(東京化成工業製)、及び4−アミノフタル酸に対して2倍量(モル比)のp−ベンゼンスルホニルクロリド(東京化成工業製)を用意した。これらを用いて、国際公開第2001/002351号の記載に準じて、4−(1,2−ビスフェニルスルホニルヒドラジノ)フタル酸(一般式(1)におけるR1が水素原子、R2及びR3がフェニルスルホニル基、A1が3,4−ジカルボキシフェニル基である化合物)を得た。そして、処理剤を4−(1,2−ビスフェニルスルホニルヒドラジノ)フタル酸に変更したこと以外は顔料分散液13の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液16を得た。
(顔料分散液17)
処理剤をアセトン=3,4−ジカルボキシフェニルヒドラゾン(WDB機能化学製、一般式(2)におけるR5及びR6がメチル基、R7が水素原子、A2が3,4−ジカルボキシフェニル基である化合物)に変更したこと以外は顔料分散液11の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液17を得た。
(顔料分散液18)
処理剤をアセトン=3,4−ジカルボキシフェニルヒドラゾン(WDB機能化学製、一般式(2)におけるR5及びR6がメチル基、R7が水素原子、A2が3,4−ジカルボキシフェニル基である化合物)に変更したこと以外は顔料分散液12の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液18を得た。
(顔料分散液19)
処理剤をアセトン=3,4−ジカルボキシフェニルヒドラゾン(WDB機能化学製、一般式(2)におけるR5及びR6がメチル基、R7が水素原子、A2が3,4−ジカルボキシフェニル基である化合物)に変更したこと以外は顔料分散液13の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液19を得た。
(顔料分散液20)
処理剤を4−(フェニルスルホニルアゾ)フタル酸(WDB機能化学製、一般式(3)におけるR8がフェニルスルホニル基、A3が3,4−ジカルボキシフェニル基である化合物)に変更したこと以外は、顔料分散液11の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液20を得た。
(顔料分散液21)
処理剤を4−(フェニルスルホニルアゾ)フタル酸(WDB機能化学製、一般式(3)におけるR8がフェニルスルホニル基、A3が3,4−ジカルボキシフェニル基である化合物)に変更したこと以外は、顔料分散液12の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液21を得た。
(顔料分散液22)
処理剤を4−(フェニルスルホニルアゾ)フタル酸(WDB機能化学製、一般式(3)におけるR8がフェニルスルホニル基、A3が3,4−ジカルボキシフェニル基である化合物)に変更したこと以外は、顔料分散液13の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液22を得た。
(顔料分散液23)
5.5gの水に5.0gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.6gの4−アミノフタル酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃のイオン交換水9.0gに1.8gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、撹拌下でカーボンブラック2種(CB1を5.994gと、CB7を0.006g)を加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。さらに、塩酸で処理した後、水酸化カリウム水溶液を用いて中和し、適量のイオン交換水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液23を得た。
(顔料分散液24)
5.5gの水に5.0gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.6gの4−アミノフタル酸を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに、5℃のイオン交換水9.0gに1.8gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、撹拌下でカーボンブラック2種(CB5を5.994gと、CB8を0.006g)を加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(標準用ろ紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた。さらに、塩酸で処理した後、水酸化カリウム水溶液を用いて中和し、適量のイオン交換水を添加して顔料の含有量を調整し、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液24を得た。
(顔料分散液25)
カーボンブラックを、CB1を5.994gと、CB7を0.006gに変更したこと以外は顔料分散液11の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液25を得た。
(顔料分散液26)
カーボンブラックを、CB5を5.994gと、CB8を0.006gに変更したこと以外は顔料分散液11の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液26を得た。
(顔料分散液27)
カーボンブラックを、CB1を5.994gと、CB7を0.006gに変更したこと以外は顔料分散液14の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液27を得た。
(顔料分散液28)
カーボンブラックを、CB5を5.994gと、CB8を0.006gに変更したこと以外は顔料分散液14の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液28を得た。
(顔料分散液29)
カーボンブラックを、CB1を5.994gと、CB7を0.006gに変更したこと以外は顔料分散液17の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液29を得た。
(顔料分散液30)
カーボンブラックを、CB5を5.994gと、CB8を0.006gに変更したこと以外は顔料分散液17の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液30を得た。
(顔料分散液31)
カーボンブラックを、CB1を5.994gと、CB7を0.006gに変更したこと以外は顔料分散液20の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液31を得た。
(顔料分散液32)
カーボンブラックを、CB5を5.994gと、CB8を0.006gに変更したこと以外は顔料分散液20の調製と同様にして、顔料の含有量が15.0%である顔料分散液32を得た。
<インクの調製>
下記の各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのメンブレンフィルター(商品名「HDCIIフィルター」、ポール製)で加圧ろ過して各インクを調製した。「アセチレノールE100」(商品名、川研ファインケミカル製)はノニオン性界面活性剤である。
・表2に示す種類の顔料分散液:表2に示す使用量(%)
・2−ピロリドン:2.000%
・1,2−ヘキサンジオール:1.000%
・グリセリン:12.000%
・トリエチレングリコール:9.000%
・アセチレノールE100:0.150%
・イオン交換水:成分の合計が100.000%となる残量
<評価>
調製した各インクを充填したインクカートリッジを、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP2700」、キヤノン製)にセットした。上記のインクジェット記録装置では、解像度が600dpi×600dpiであり、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たりの質量が25ng±10%であるインク滴を1滴付与する条件を記録デューティが100%であると定義する。以下試験条件と評価基準を示す。
(光学濃度)
上記のインクジェット記録装置を使用し、温度23℃、相対湿度55%の環境で、記録デューティが100%であるベタ画像を記録媒体(普通紙、商品名「GF500」、キヤノン製)に記録し、光学濃度を測定した。次いで、各インクで記録した画像の光学濃度の増加率を下記式(1)より算出し、以下に示す評価基準にしたがって画像の光学濃度を評価した。結果を表2に示す。
A:光学濃度の増加率が0.02以上であった。
B:光学濃度の増加率が0.01以上0.02未満であった。
C:光学濃度の増加率が0.01未満であった。
Figure 2018021099
D:第1のカーボンブラック及び第2のカーボンブラックを併用したインクで記録した画像の光学濃度
1:第1のカーボンブラックのみを用いたインクで記録した画像の光学濃度
2:第2のカーボンブラックのみを用いたインクで記録した画像の光学濃度
1:第1のカーボンブラックの割合
2:第2のカーボンブラックの割合
Figure 2018021099

Claims (5)

  1. インクジェット用の水性インクであって、
    顔料の粒子表面が修飾された自己分散顔料である第1のカーボンブラック及び第2のカーボンブラックを含有し、
    前記第1のカーボンブラックのDBP吸油量と、前記第2のカーボンブラックのDBP吸油量との差が、10mL/100g以上であることを特徴とする水性インク。
  2. 前記第1のカーボンブラックのDBP吸油量と、前記第2のカーボンブラックのDBP吸油量との差が、30mL/100g以上である請求項1に記載の水性インク。
  3. 前記第1のカーボンブラック及び前記第2のカーボンブラックの合計含有量に占める、前記第1のカーボンブラック及び前記第2のカーボンブラックのいずれか一方の含有量の割合が、質量比率で、0.10%以上99.90%以下である請求項1又は2に記載の水性インク。
  4. インクと、前記インクを収容する収容部と、を備えるインクジェット用のインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  5. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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