JP2018020530A - 成形性および安定性良好な成形シートの製造方法および、それを用いた加飾品の製造方法 - Google Patents

成形性および安定性良好な成形シートの製造方法および、それを用いた加飾品の製造方法 Download PDF

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Akiko Hirano
亜希子 平野
幸男 加藤
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幸男 加藤
一徳 梅田
Kazunori Umeda
一徳 梅田
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Abstract

【課題】樹脂シートを真空成形加工して成形シートを製造する方法において、該成形シートのシワやたわみを抑制でき、且つ、十分に金型に追随し、成形性に優れる成形シートの製造方法、及び加飾品の製造方法を提供する。【解決手段】樹脂シートを真空成形加工して成形シートを製造する方法であって、金型温度40℃〜100℃の金型上における該樹脂シートの真空吸引工程、及び真空吸引を継続したまま加熱する工程を有するとともに、該樹脂シートは、10Hzで測定した貯蔵弾性率(E’)が500MPaとなる温度が、前記金型温度+100℃以下の温度領域に存在するものである、成形シートの製造方法、及びこれを用いる加飾品の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、成形性および安定性良好な成形シートの製造方法および、それを用いた加飾品の製造方法に関する。
従来より、自動車内装部品や、携帯電話やパソコンの筐体など通信機器部品表面を加飾する方法として、シートを用いた成形同時加飾法がある。この方法は、基材や加飾層などから構成されるシートを射出成形用の金型内に入れて、型閉め後、成形樹脂を金型内に射出し、樹脂成形品の表面にシートを一体化密着させて加飾品を得るものである。
上記成形同時加飾法においては、通常、成形樹脂を射出する前に、射出成形用の金型内にて、シートを、キャビティに沿うようにあらかじめ立体加工を施すことが一般的である。
上記立体加工の方法としては、一般的に、シートを射出成形用のキャビティ前面にセットした後に、シートとキャビティとの間の空気を吸引することでシートをキャビティに沿わせるという、真空成形加工法が用いられる。また、このシートとしては、成形性や耐熱性の観点から、一般的にポリエチレンテレフタレート系のシートが用いられることが多い。
ここで、キャビティが複雑な形状であったり、キャビティ内のコーナー部のカーブが急であったりすると、ポリエチレンテレフタレート系のシートは一般的に剛性が高いため、真空成形のみではキャビティに良好に追随しにくい。そこで、キャビティ形状にシートを良好に追随させるために、真空吸引する前に加熱板等を挿入し、シートを加熱して軟化させることが一般的である(特許文献1)。
特開2002−010343号
ここで、射出成形機の構造上、一般的にシートは垂直に設置されて加熱される。しかしながら、上記特許文献1に記載の方法では、シートが加熱により軟化されると、重力によりシートがたわみ、安定して良好に成形できないという懸念があった。また、加熱してシートを軟化させる際、熱によりシートにシワが入るため、良好に成形しにくいという課題があった。
そこで、シート加熱時の安定性に優れた、成形性のよい真空加工方法が求められていた。
本発明者達は、鋭意検討の結果、加熱前に樹脂シートを真空吸引するとともに、樹脂シートとして特定の貯蔵弾性率を有する樹脂シートを用いることで、このようなシワやたわみを抑制できることを発見した。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[3]に関する。
[1]樹脂シートを真空成形加工して成形シートを製造する方法であって、金型温度40℃〜100℃の金型上における該樹脂シートの真空吸引工程、及び真空吸引を継続したまま加熱する工程を有するとともに、該樹脂シートは、10Hzで測定した貯蔵弾性率(E’)が500MPaとなる温度が、前記金型温度+100℃以下の温度領域に存在するものであることを特徴とする成形シートの製造方法。
[2]前記樹脂シートは、ジカルボン酸として少なくともテレフタル酸を、ジオールとして少なくともブタンジオールを用いたポリエステル系重縮合体を含む基材層を1層以上有するシートを用いる上記[1]に記載の成形シートの製造方法。
[3]前記樹脂シートを、上記[1]または[2]に記載の製造方法で真空成形加工し成形シートを製造した後、型締めして溶融樹脂を型内に注入し、樹脂表面に成形シートを密着させる加飾品の製造方法。
本発明の成形シートの製造方法は、樹脂シートの加熱前に該樹脂シートの真空成形を開始し、その後、加熱するため、真空圧によってシートが保持され、加熱によるシートのたわみやシワを抑制できる。また、樹脂シートとして、金型温度+100℃程度においても軟化する特定のシートを用いるため、真空吸引を継続したまま樹脂シートを加熱する製法において、吸引によりシートの熱が奪われ、シート表面温度が金型温度+100℃程度までしか温度が上昇しない場合でも、十分に金型に追随し、良好な成形ができる。すなわち、本発明によれば、加熱時の安定性に優れ、成形性のよい成形シートの製造方法および、それを用いた加飾品の製造方法を提供することができ、その工業的価値は高い。
実施例1で用いた樹脂シート(PBT系シート1)の貯蔵弾性率(E')の測定結果を示す図である。 比較例2で用いた樹脂シート(PET系シート1)の貯蔵弾性率(E')の測定結果を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態の例に限定されるものではない。
(成形シートの製造方法)
本発明の成形シートは、樹脂シートをクランプ部材により金型の凹部表面にセットした後に、後述する「真空吸引工程」及び、「加熱工程」を経て、金型凹部(以降、「キャビティ形成面」と記す場合もある)に沿うよう立体形状に加工することにより、成形する。
成形シートの製造における金型温度は、40℃〜100℃程度である。この温度範囲であれば、成形した加飾品を、金型から容易に取り出すことができる。取り出しの容易性から、金型温度は40℃〜80℃の範囲であることがより好ましい。
<本発明の真空吸引工程>
本発明の真空吸引工程は、成形金型における凹部と樹脂シートとの間の空間を密閉して、真空吸引孔から排気して空間内の気圧を下げることにより、樹脂シートを凹部に沿うように引き伸ばす工程である。この際の空間内の気圧は、1気圧(=101.3kPa)未満であればよく、必ずしも真空圧でなくても、減圧条件であれば良い。好ましくは、空間内の気圧が、50kPa以下での減圧条件であることがよく、10kPa以下であればより好ましく、5kPa以下であればさらに好ましい。なお、この気圧は、金型形状や使用する真空ポンプの排気流量などによって決定される。
本発明においては、加熱前に樹脂シートの真空吸引を開始し、その後樹脂シートを加熱するため、真空圧(あるいは減圧)によってシートが保持され、加熱による樹脂シートのたわみやシワを抑制できる。
また、後述するように、特定の貯蔵弾性率を有する樹脂シートを用いることにより、真空吸引を継続したまま樹脂シートを加熱する製法において、真空吸引によりシートの熱が奪われ、シート表面温度が金型温度+100℃程度までしか温度が上昇しない場合でも、十分に金型に追随し、良好な成形ができる。すなわち、本発明においては、樹脂シートの真空吸引を停止した後に加熱するのみならず、真空吸引を継続したまま加熱することもできるため、成形サイクルを短縮でき、生産性を向上させることができる。
<樹脂シートの真空加熱工程>
本発明において、樹脂シートの加熱工程は、熱風発生機、ニクロム線を耐熱マイカ板で絶縁し、ステンレス、ボンデ鋼板などで外周を被覆強固したプレートヒーター、遠赤外線ヒーター等が挙げられる。中でも、加熱ムラが小さく、距離が離れた物体も加熱しやすいといったことから、遠赤外線ヒーターが好ましい。 本発明において、樹脂シートの加熱温度は、樹脂シートの表面温度が金型温度+100℃以内まで上昇すれば特に規定はされないが、ヒーターの表面温度は、100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。また、樹脂シートの熱劣化を防ぐ観点から、400℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましい。
<樹脂シートの物性規定>
本発明において、樹脂シートは、10Hzで測定した貯蔵弾性率(E’)が500MPaとなる温度が、前記金型温度+100℃以下の温度領域に存在するものを用いる。これにより、真空吸引によりシートの熱が奪われ、シート表面温度が金型温度+100℃程度までしか温度が上昇しない場合でも、十分に金型に追随し、良好な成形ができる。つまり、真空吸引と同時に加熱すると、吸引によりシートの熱が奪われ温度が上がりにくくなるが、該樹脂シートを用いることにより、金型温度+100℃程度の温度範囲でもシートが十分に軟化し、真空吸引を止めずに樹脂シートを良好に成形することができる。そのため、本発明に用いられる樹脂シートは、金型温度+100℃以下の温度範囲で、貯蔵弾性率(E’)が300MPa 以下となる温度があればより好ましい。また、耐熱性の観点から、金型温度+100℃以下の温度範囲で、100MPa以上であることが好ましい。なお、さらに好ましくは金型温度+50℃以下の温度範囲で、貯蔵弾性率(E’)が上記範囲になることが好ましい。
金型温度での貯蔵弾性率(E’)は、特に規定しないが、シートのハンドリング性の観点から、200MPa以上であることがこのましく、500MPa以上であることがより好ましい。貯蔵弾性率(E’)とは、粘弾性を表現する物理量の1つであり、その測定方法は、粘弾性測定装置等を用いて、たとえば、振動周波数10Hz、ひずみ0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmで、任意の温度範囲にて測定するものである。
樹脂シートの貯蔵弾性率を上記範囲とするためには、後述する組成の基材層を含む樹脂シートを用いる他、樹脂シートの基材層にエラストマーを添加する、樹脂シートの基材層の製膜時における冷却条件を調整することにより結晶性を調整する、延伸条件を調整するなどの方法がある。
エラストマーとしては、ポリオレフィン系エラストマーや、ポリエステル系エラストマーが挙げられる。中でも、後述するポリエステル系樹脂への相溶性の観点から、ポリエステル系エラストマーが好ましい。このポリエステル系エラストマーとしては、三菱化学製の商品名プリマロイ等が挙げられる。
冷却条件は、樹脂シートの貯蔵弾性率を低下させるためには、基材層の結晶化を抑制するために、たとえば製膜時のキャスト温度を、基材層に含まれる樹脂のガラス転移温度より低くするなどして急冷すればよく、また、樹脂シートの貯蔵弾性率を増加させるためには、基材層の結晶化を促進するために、たとえば製膜時のキャスト温度を、基材層に含まれる樹脂のガラス転移温度以上にするなどして徐冷すればよい。
延伸条件は、樹脂シートの貯蔵弾性率を低下させるためには、延伸倍率を低くすればよく、樹脂シートの貯蔵弾性率を増加させるためには、延伸倍率を増加させればよい。ここで、上記の貯蔵弾性率を達成するためには、樹脂シート中の基材層は無延伸であることが好ましい。ここで、無延伸であるとは、製膜した基材層に関して、延伸処理を行わないことである。
<加飾シートとしての有用性>
本発明の樹脂シートは、上述の物性とすることにより、真空吸引を継続したまま樹脂シートを加熱する製法において、吸引によりシートの熱が奪われ、シート表面温度が金型温度+100℃程度までしか温度が上昇しない場合でも、十分に金型に追随し、良好な成形ができる。したがって、金型のコーナー部のRが5mm以下といった、急なカーブ形状を有する金型を用いた加飾に用いることができる。とくに、金型のコーナー部のRが3mm以下といった、さらに急なカーブ形状を有する金型を用いた加飾にも使用することができる。
<樹脂シート>
本発明に用いられる樹脂シートは、上記の貯蔵弾性率(E’)であれば、いずれも使用可能である。本発明に用いられる樹脂シートは、後述する組成の基材層のみの構成であっても、基材層に後述する機能層を積層した、基材層/機能層の構成であってもよいが、着色やハードコート性、反射性などの機能を付与しやすいことから、基材層/機能層の積層構成とすることがより好ましい。
[基材層]
本発明に用いられる樹脂シートは、上記の貯蔵弾性率(E’)であれば、いずれも使用可能であるが、熱可塑性樹脂により構成される基材層を有することが好ましく、該熱可塑性樹脂として、樹脂シートの柔軟性や成形性の観点から、ポリオレフィン系樹脂、またはポリエステル系樹脂を含む基材層を有することが好ましい。特に、耐熱性の観点や、加飾品における表面接着性の観点から、ポリエステル系樹脂であることが好ましい。本発明に用いられる樹脂シートを上記の貯蔵弾性率(E’)とする1つの方法として、ポリエステル系樹脂のなかでも、ジカルボン酸として少なくともテレフタル酸を含み、ジオールとして少なくともブタンジオールを用いたポリエステル系重縮合体(以降、「PBT系樹脂」と記すこともある)を用いることが好ましい。
基材層中のPBT系樹脂の含有量は、上記貯蔵弾性率(E’)を実現できれば特に規定はされないが、PBT系樹脂を50wt%以上含有することが好ましく、80wt%以上含有することがより好ましい。
また、上記PBT系樹脂は、シートの柔軟化のため、ジカルボン酸として、テレフタル酸以外にイソフタル酸や水添ダイマー酸を、ジオールとしてブタンジオール以外にポリテトラメチレンエーテルグリコールを含有していてもよい。 基材層の作成方法は特に規定されないが、押出法による製膜が一般的である。 基材層は、上述したPBT系樹脂以外に、ポリエステル系エラストマー等の樹脂や顔料、加工助剤等を含んでいてもよい。
基材層は、それ自体が積層構成であっても、単層構成であってもよい。積層構成の例としては、PBT系樹脂層/PBT系樹脂+顔料層/PBT系樹脂層、PBT系樹脂の含有量が異なる層の積層などが挙げられる。
樹脂シート中の、基材層の層比率は、上記貯蔵弾性率E’を達成できれば特に規定しないが、シート全体の層厚みに対して、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。100%であってもよい。
[機能層]
本発明に用いられる樹脂シートは、上記の貯蔵弾性率(E’)であれば、いずれも使用可能であるが、前記基材層を有し、さらに、離形層、着色層、ハードコート層、AR層、AG層、接着層及び耐熱層等から選ばれる少なくとも1つの機能層を有することが好ましい。これら機能層のうち1種のみが基材層上に積層されていてもよいし、2種以上が積層されていてもよい。
これらの層の形成方法は、特に規定はされないが、コーティング等の公知の方法により前述した基材層上に形成することができる。これにより、着色やハードコート性、反射性などの機能を付与しやすいことから、基材層/機能層の積層構成とすることがより好ましい。
また、本発明の樹脂シートを用いて加飾品を製造する場合においては、該樹脂シートをインモールド成形用の転写シートとして用いる場合、本発明の樹脂シートは、上述したその機能層として少なくとも離形層を含む積層構成となる。加飾品を製造する場合であっても、インサート成形法とする場合は、該シートが、上述した機能層を含まない構成であっても構わない。
本発明に用いられる樹脂シートの積層構成は、PBT系樹脂を含む層のみ、PBT系樹脂を含む層/着色層/接着層、PBT系樹脂を含む層/着色層/ハードコート層/接着層等が挙げられる。これによれば、樹脂シートを真空成形した後、型締めして溶融樹脂を型内に注入し、樹脂表面にシートを密着させるインサート成形を行うことができる。また、PBT系樹脂を含む層/離形層/着色層/接着層や、PBT系樹脂を含む層/離形層/着色層/ハードコート層/接着層、PBT系樹脂を含む層/離形層/ハードコート層/接着層等、機能層として少なくとも1層の離形層を挿入した層構成であれば、シートを真空成形した後、型締めして溶融樹脂を型内に注入し、樹脂表面にハードコート層や着色層を転写させるインモールド成形を行うことができる。
本発明に用いる樹脂シートの好ましい厚みは、金型追随性やコストの観点から、総厚みで200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましい。また、ハンドリング性や強度の観点から、総厚みで10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましい。また、樹脂シートが積層構成の場合は、金型追随性やコストの観点から、基材層の膜厚は180μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。また、ハンドリング性や強度の観点から、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。また、機能層の各厚みは、金型追随性やコストの観点から、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。また、十分な機能性付与の観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。
なかでも、前記機能層のうち、離形層は、成形性やコストの観点から、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。また、離形性の観点から、1μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましい。
また、なかでも、前記機能層のうち、ハードコート層は、成形性やコストの観点から、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。また、表面硬度の観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。
また、なかでも、前記機能層のうち、着色層は、成形性やコストの観点から、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。また、良好に着色する観点から、1μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましい。
また、なかでも、前記機能層のうち、接着層は、成形性やコストの観点から、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。また、接着性の観点から、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。
また、前記機能層の合計厚みは、同様の観点から、80μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。また、十分な機能性付与の観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。
本発明の加飾シートに、これら機能層を形成する方法は、特に規定はされないが、コーティングにより形成されることが一般的である。
また、機能層の合計厚みは、金型追随性やコストの観点から、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。また、十分な機能性付与の観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。
<加飾品の製造方法>
本発明において、加飾品の製造方法は、樹脂シートを真空成形加工して成形シートを作製後、金型を閉じて金型内に溶融樹脂を注入して、樹脂表面に成形シートを一体化させるインサート法や、樹脂シートを真空成形加工して成形シートを作製後、金型を閉じて金型内に溶融樹脂を注入して、樹脂表面に成形シートの一部の層のみを転写させるインモールド法などが挙げられる。
なお、上記のインサート法やインモールド法においては、樹脂シートを真空成形加工して成形シートを作製する金型に、真空成形加工後、そのまま溶融樹脂を注入することにより、成形同時加飾品を製造することができる。この場合、同一金型内で連続して成形シートの製造と加飾品の製造を行うことができるため、生産効率が高く好ましい。一方、あらかじめ別の金型を用いて、樹脂シートを真空成形加工して成形シートを作製しておき、これを射出成形用の金型にはめ込んだのち、金型を閉じて金型内に溶融樹脂を注入してもよい。
<射出樹脂>
本発明の加飾品の製造において用いられる射出樹脂は、熱可塑性樹脂であれば、制限なく用いられる。特には、成形性や、樹脂シートとの融点差が小さいという観点から、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及びABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂)などが好ましく用いられる。なかでも、ポリプロピレン系樹脂は、他の樹脂に比較して融点が低いため、樹脂シートの基材層として上述のPBT系樹脂を用いた場合、機能層として耐熱層を設けなくとも、射出時における樹脂シートの溶融を防ぐことができ好ましい。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これらの実施例及び比較例により本発明は制限を受けるものではない。なお、以下において、シートの製造時の流れ方向(引取方向)をMD、その直角方向をTDと記載する。
[評価方法]
種々の物性等の測定及び評価は次のようにして行った。
<貯蔵弾性率(E’)>
実施例及び比較例で用いた各樹脂シートについて、アイティ計測(株)製の粘弾性測定装置、商品名「粘弾性スペクトロメーターDVA−200」を用いて、試料(縦方向4mm、横方向60mm)を振動周波数10Hz、ひずみ0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmでTDについて25℃から250℃まで測定して測定した。また、実施例1で用いた樹脂シート(PBT系シート1)の貯蔵弾性率(E')の測定結果を図1に、比較例2で用いた樹脂シート(PET系シート1)の貯蔵弾性率(E')の測定結果を図2に示した。
<ヒーター温度>
ヒーター表面温度を、接触式温度計にて測定した。
<フィルム温度>
ヒーターによる加熱時のフィルムの表面温度を、接触式温度計にて測定した。
<加熱時の安定性の評価>
加熱時のシートのシワやタルミの有無から、以下のように評価した。
○:シワやタルミ無し
×:シワやタルミが発生した
<真空成形性の評価>
縦100mm×横100mm×深さ5mmで、コーナー部のRが1.8mmであり、成形品の厚みが2mmとなる金型を用いて、キャビティ上に樹脂シートをセットして真空吸引と加熱を全て行ったあとの、キャビティ表面積に対する、樹脂シートとキャビティの密着面積の割合から、以下のように判断した。なお、真空吸引には排気流量50L/分の真空ポンプを用いた。
なお、キャビティ表面積は、射出成形用の金型の凹部表面、すなわちキャビティ表面の、射出された樹脂と接触する部分の面積を、金型図面より計測して算出した。また、樹脂シートとキャビティの密着面積は、樹脂シートがキャビティ表面の、射出された樹脂と接触する部分に接触した面積を、定規をあてて測定して計算し求めた。これらより、「樹脂シートとキャビティの密着面積」/「キャビティ表面積」×100(%)として計算した。
○:接触面積の割合が80%以上
×:接触面積の割合が80%未満
<射出成形性の評価>
射出成形後のシートの状態から、以下のように判断した。
○:破れ、シワ、ネッキング等なし
×:破れ、シワ、ネッキング等あり
以下に、実施例・比較例で用いた樹脂シートである、PBT系シート1及びPET系シート1を示す。
<PBT系シート1>
テレフタル酸とブタンジオールの重縮合体からなる厚み100μmの押出製膜シート(上述の方法で測定した、10Hzで測定した貯蔵弾性率(E’)が500MPaとなる温度が60℃)を使用した。
<PET系シート1>
テレフタル酸とエチレングリコールの重縮合体からなる厚み50μmの押出製膜シート(上述の方法で測定した、10Hzで測定した貯蔵弾性率(E’)が500MPaとなる温度が170℃)を使用した。
[実施例1]
50℃に調温した金型のキャビティ上に、樹脂シートとしてPBT系シート1をセットし、真空吸引によりシートをキャビティに密着させたあと、真空吸引したまま、表面温度220℃の赤外線プレートヒーターにて加熱し、シートの表面温度を80℃に加熱して、成形シート1を得た。この加熱により、シートは良好にキャビティ形状に追随した。その後、型締めしてPP樹脂を射出して、加飾品1を得た。なお、加飾品1は成形シートの製造と同一金型内で連続して射出を行い、成形同時加飾品とした。各評価結果を表1に示す。
[実施例2]
ヒーターの表面温度およびシートの表面温度を表のように変更した以外は、実施例1と同様にして成形を行い、成形シート2を得た。さらに、実施例1と同様に型締めと射出を行い、加飾品2を得た。各評価結果を表1に示す。
[実施例3]
樹脂シートとして、PBT系シート1を基材層とし、さらに機能層として、離形層(厚み2μm)、ハードコート層(厚み5μm)、着色層(厚み2μm)、接着層(厚み1μm)をこの順で、機能層の総膜厚が10μmとなるようにコーティングにより積層したものを用いた以外は、実施例2と同様にして成形を行い、成形シート3を得た。これを転写シートとして用いて、また、射出樹脂としてポリカーボネートを用いた以外は、実施例2と同様に型締めと射出を行い、加飾品3を得た。各評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、樹脂シートであるPBT系シート1を加熱してから真空吸引を行った以外は、実施例1と同様にして成形を行い、成形シート4及び加飾品4を得た。各評価結果を表1に示す。
[比較例2]
樹脂シートとして、PBT系シート1に代えPET系シート1を用いて、シートの表面温度を100℃に加熱した以外は、実施例2と同様にして成形を行い、成形シート5及び加飾品5を得た。各評価結果を表1に示す。なお、ヒーターの温度や位置を調整しても、シート温度をこれより高温にすることはできなかった。
Figure 2018020530
比較例1は、真空吸引を行う前に加熱したため、加熱時に樹脂シートにシワやタルミが発生した。また、真空吸引すると金型への密着は良好にするものの、加熱時に樹脂シートに入ったシワが起因と思われる成形シートの外観不良が射出成形時に発生した。比較例2では、10Hzで測定した貯蔵弾性率(E’)が500MPaとなる温度が高いため、真空吸引後に加熱してもフィルムが十分に軟化せず、真空成形で金型に追随できなかった。

Claims (3)

  1. 樹脂シートを真空成形加工して成形シートを製造する方法であって、
    金型温度40℃〜100℃の金型上における該樹脂シートの真空吸引工程、及び真空吸引を継続したまま加熱する工程を有するとともに、
    該樹脂シートは、10Hzで測定した貯蔵弾性率(E’)が500MPaとなる温度が、前記金型温度+100℃以下の温度領域に存在するものであることを特徴とする成形シートの製造方法。
  2. 前記樹脂シートは、ジカルボン酸として少なくともテレフタル酸を、ジオールとして少なくともブタンジオールを用いたポリエステル系重縮合体を含む基材層を1層以上有するシートを用いる請求項1に記載の成形シートの製造方法。
  3. 前記樹脂シートを、請求項1または2のいずれか1項に記載の製造方法で真空成形加工し成形シートを製造した後、型締めして溶融樹脂を型内に注入し、樹脂表面に成形シートを密着させることを特徴とする加飾品の製造方法。
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