JP5900814B2 - インモールドラベルの製造方法及びラベル付き容器の製造方法 - Google Patents
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そして、ラベルを貼着する方法の一つに、インサート材として、所謂、インモールドラベルを予め金型内にセットし、成形品の成形と同時にこの成形品の表面にインモールドで貼着するインモールド成形法がある。
例えば、特許文献1には、インモールドラベル及びラベル付きブロー成形品及びその製造方法に関する発明が記載されている。
このラベル111は、ポリプロピレン(以下、PPと略記する場合がある。)樹脂製の無延伸のキャストフィルム(以下、CPPフィルムと略記する場合がある。)からなる透明な基材層113の裏面側にグラビア印刷による印刷層114を積層し、アンカーコート(以下、ACと略記する場合がある。)剤を塗布してAC層115を積層し、さらに低密度ポリエチレン(以下、LDPEと略記する場合がある。)樹脂製の接着層112を押出ラミネート法により積層した層構成を有し、ポリエチレン(以下、PEと略記する場合がある。)樹脂製の容器本体の周壁にインモールド成形法により貼着される。
また、この種のラベルでは、エンボス加工等により接着面を凹凸にするかラベル全体を貫通する多数の小孔を設け、インモールド成形中でのエア溜まりの発生を抑えることができ、十分な接着性が得られ、また良好な外観を得ることができる。
しかし、PE系樹脂を押出ラミネートする用途に比べ、PP系等、PE系とは異種の樹脂を押出ラミネートする用途が殆ど無く、PE系以外の樹脂の押出ラミネートを実施しようとすれば生産性を無視して、押出ラミネートする樹脂をPE系樹脂から他の樹脂に変更するか、多額の費用をかけて専用機を設置するかしなければならず、極めて実現性に乏しかった。
但し、ドライラミネート法により基材層に接着層となる接着フィルムを積層する際には、基材層となるフィルムをある程度の厚みにしないとドライラミネート時のテンションの調整が困難となり、ラベルにカールが発生する。
一方で、基材層や接着フィルムの厚さを厚くしてラベルのトータルの厚さが大きくなると、ラベルの貼着領域ではそれ以外の領域に比較して、胴部の周壁の収縮が異なり、特に容器の周壁が薄肉の場合、ラベルの端部近傍で周壁が顕著に変形してしまうと云う問題がある。
このため、接着層をドライラミネート法で積層するラベルでは、ラベルの製造法に由来する制約から、ラベルのカールと、貼着に起因する容器の変形を共に防ぐことが困難であり、実用化したとしても生産性が低くコストが高くなってしまう、と云う問題がある。
また、感熱性接着剤を塗布する方法によると接着層を厚くできないので、接着力が不足し、また、エンボスの深さを十分に大きくすることができないため、エア溜まりが発生する。
上記課題を解決するための手段に係る本発明のインモールドラベルの製造方法についての主たる構成は、
合成樹脂フィルム製の接着層の表面側に印刷層、アンカーコート層の順に積層し、さらに押出ラミネート法による低密度ポリエチレン樹脂製の保護層を積層した層構成を有し、
合成樹脂フィルムがポリプロピレン樹脂キャストフィルムである、と云うものである。
ラベルはこのPE系以外のフィルムの表面側にグラビア印刷等により印刷層を形成し、その後、印刷層の上からAC層を積層し、次いで、AC層の上から押出ラミネート法によりLDPE樹脂製の保護層を積層することにより製造される。
ここで、接着層を形成するフィルムに印刷する場合には印刷面をコロナ処理しておくことが好ましい。
また通常AC剤の塗布と押出ラミネートは連続した工程で実施され、AC層は保護層を押出ラミネートする直前に形成する。
また、容器本体に貼着されたラベル表面に埃等が付着しにくくするため、また、ホルダー内に重ねて整列されたラベルの表面とラベル裏面とが静電気により付着するのを防ぐために、保護層を形成するLDPE樹脂に帯電防止剤を練り込んでも良いし、または、保護層表面に帯電防止剤を塗布しても良い。
合成樹脂製の容器本体の胴部の周壁にインモールド成形法によりブロー成形と同時にインモールドラベルを貼着した容器において、
容器本体はポリプロピレン系樹脂製であり、
インモールドラベルは、容器本体と同系でこの容器本体の胴部の周壁に直接熱融着可能なポリプロピレン樹脂キャストフィルム製の接着層の表面側に印刷層、アンカーコート層の順に積層し、さらに押出ラミネート法による低密度ポリエチレン樹脂製の保護層を積層した層構成を有する、と云うものである。
また、PE系樹脂以外の容器本体を形成する合成樹脂としては、上記したPP系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂に代表されるポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂等がある。
また、接着層を形成するフィルムとしては、上記した容器本体を形成する合成樹脂に合せて、同系等の樹脂からなるフィルムを選択することができる。
1)ラベルの製造工程あるいは加工工程の生産性
2)ラベルのカール性
3)インモールド成形において、ラベルを所定のホルダー内に整列させて、連続的かつ一枚毎に確実に金型内に供給する工程に係る生産性
4)高温の溶融樹脂が流動変形しながらラベルに接触することによるラベルでの皺の発生や、エア溜まりの発生
5)金型内での樹脂の冷却固化そして成形後の収縮に伴う容器の変形
6)ラベルの容器表面への接着性
7)ラベルの端部と容器本体との境界部に形成される断面視V字型のノッチ状の溝に起因する落下衝撃による容器の割れ
8)ラベルの外観(光沢、透明性等)
市販される適宜の厚さの合成樹脂フィルムの表面側にグラビア印刷等の印刷により印刷層を形成、その後、印刷層の上からAC層を積層し、次いで、AC層の上から従来から一般的に使用されているPE系樹脂の押出ラミネート装置とその製造工程を利用して保護層となるLDPE樹脂層を積層することにより、高い生産性で、また新たに多額の費用をかけて専用機を設置する必要もなく、低コストで製造することができる。
このため、トータルでのラベルの厚さを大きくしすぎない範囲で、CPPフィルム製の接着層を厚くしてラベル全体の強度や剛性を保持するための基材層としての機能を発揮させることができる。
そして、たとえばCPPフィルム製の接着層がPP樹脂製の周壁に溶融状態で、インモールド成形中に作用する圧力下で、強固に接着固定される。
なお、上記したエア溜まりの発生を抑制するための手段として、エンボス加工の他にもラベルに小さな孔を多数、貫通形成し、この孔からエアを逃がす方法がある。
また、上記構成で、AC層は印刷層と保護層、あるいは接着層と保護層の接着性を十分に発揮させる機能を有する層であり、有機チタネート系、有機イソシアネート系、ポリエチレンイミン系等の接着剤を主成分とするアンカーコート剤を塗布して形成される。
本発明のラベルは、市販される適宜の厚さの合成樹脂フィルムの表面側にグラビア印刷等の印刷により印刷層を形成、その後、印刷層の上からAC層を積層し、次いで、AC層の上から従来から一般的に使用されているPE系樹脂の押出ラミネート装置とその製造工程を利用して保護層となるLDPE樹脂層を積層することにより、高い生産性で、また新たに多額の費用をかけて専用機を設置する必要もなく、低コストで製造することができる。
その結果、インモールド成形法の特徴を損なうことなく生かしながら、PE系樹脂以外の容器本体の表面に強固に接着し、容器に変形のない良好な外観のラベル付き薄肉容器を提供することができる。
図1、2は本発明の容器の一実施例を示すものであり、図1は正面図、図2は図1中のA−A線に沿って示す平断面図である。
また、図3は本発明のラベルの一実施例であり、図1のラベル付き容器に使用されているラベル11の層構成を示す断面図で、(a)はAC層、保護層を積層する前の層構成、(b)はAC層15、保護層16を積層し、その後、接着層12の接着面側にエンボス加工を行なった後の層構成を示す。
胴部2の正面と背面には、矩形状のラベル11が、インモールド成形法により容器本体1のブロー成形と同時に貼着されている。
このラベル11は表面側から順に、保護層16/AC層15/グラビア印刷層14/接着層12と云う層構成を有する(図3(b)参照)。
接着層12はCPPフィルム製で層厚は0.05mm、AC層15は有機チタネート系の接着剤を主成分とするアンカーコート剤を塗布して形成したもの、また保護層16はLDPE樹脂を押出ラミネート法により積層したもので層厚は0.01mmであり、ラベル11全体の平均厚さは0.065mmとしている。
また、接着層12の容器本体1の周壁2wに接する裏面側にはエンボス加工による凹凸が形成されている。
なお、接着層12にエンボス加工を施したラベル11では、図3(b)中、tで示した寸法をラベル11の厚さとしている。
1)接着層12となる適宜に選択した厚さのCPPフィルムを用意する。
2)CPPフィルムの片面をコロナ処理し、このコロナ処理面を表面側とし、この表面側にグラビア印刷により印刷層14を積層する。
3)印刷層14の上から、連続工程でアンカーコート剤を塗布してAC層15を積層すると共に次いでAC層上に押出ラミネート法によりLDPE樹脂を積層し保護層16を形成する。
4)上記積層フィルムの裏面側、すなわち接着層12の裏面側をエンボス加工し凹凸を形成する。
5)ダイカットロールで1枚1枚、所定の形状に打ち抜いてラベル11を作製する。
この状態で、ブローエアを吹き込むとパリソン22は膨張し(図5中の矢印方向参照)キャビティの形状に賦形され(図5中の2点鎖線の状態参照)、容器本体1が成形されるが、この成形と同時に予め型面に減圧吸気路24により固定配設しておいたラベル11は胴部の周壁2wに一体化された状態に貼着される。
また、この凹凸により、皺の発生の主たる要因である高温のパリソンの接触によるラベルの収縮挙動を緩和することができ、皺の発生を効果的に抑制することができる。
さらに、この凹凸がホルダー内に重ねて整列されたラベルの表面とラベル裏面との接触面積を小さくするため、ラベルの金型への自動供給においてラベルを一枚毎に、確実にホルダーから取り出し、金型内に供給することができる。
なお、図6の表中、ラベルLの層構成は(保護層/AC層/印刷層/接着層)で、ラベルLc1〜Lc4の層構成は(基材層/印刷層/AC層 or DL層/接着層)の層構成が示されている。
また、この表中、ラベルの層構成の記載で使用している略号は次のようである。
・CPP;PP樹脂製キャストフィルム
・押出LDPE;押出ラミネート法により積層した低密ポリエチレン樹脂層
・AC;アンカーコート層
・DL;ドライラミネート層
また層構成中、( )内の数値はマイクロメートル単位で示す層厚である。
また、ラベルLc4に使用される合成紙はユポ・コーポレーション社製のユポIDS80である。
また、落下衝撃試験の試験方法は、容器に規定量の水を充填し、5℃に調整した恒温槽内に24時間放置後、取り出し、直ちに1mの高さから正立状態、横倒状態の順に落下させる。これを1サイクルとし、10サイクル落下させ、容器が破損しなければ異常なしとする。
なお、表に示されるように、これらラベルLとラベルLc1〜ラベルLc4は何れも接着層にエンボス加工が施されたものである。
(1)実施例のラベルL
1)ラベルLの層構成は前述した通りで、接着層12のエンボス加工前の層厚は0.05mmであり、印刷し、アンカーコート剤を塗布し、押出ラミネート法によりLDPE樹脂を積層し、エンボス加工をした状態でのラベルLの厚さは0.065mmで、接着層12が基材層としての機能も発揮する層構成である。
2)ラベルLにカールの発生はなく、またエンボス加工による凹凸形状の作用効果も相俟って、金型内にスムーズに供給することができた。
3)ラベルLの厚さが厚すぎることもなく、図2に見られるように容器本体1の周壁2wの変形は見られず、また、ラベルの端部11e(図2参照)と周壁2wとの境界部に形成される断面視V字型のノッチ状の溝深さ小さくでき、この溝に起因する落下衝撃による容器の割れは見られなかった。
4)接着層12のエンボス加工前の層厚は0.05mmで、エンボス加工による凹凸の深さを十分にとることができ、エア溜りの発生はなく、接着層12が容器本体1と同種の合成樹脂製であること、さらにはインモールド成形法による作用効果が相俟って強固な接着性が達成されている。
1)ラベルLc1は、CPPフィルム製の基材の裏面側に印刷層、AC層を積層し、さらに押出しラミネート法によりLDPE樹脂製の接着層を積層した層構成を有する。
2)接着層12が容器本体1と異種の合成樹脂製であることから、インモールド成形法によってもラベル11の接着ができなかった。このため容器の変形や、落下衝撃については評価をできなかった。
1)ラベルLc2はCPPフィルム製の基材層の裏面側に印刷層を積層し、CPPフィルム製の接着層をドライラミネート法により積層した層構成を有する。
2)基材層となるCPPフィルムが0.03mm程度と薄肉であるため、接着層のドライラミネート時のテンションの調整が困難で、ラベルにカールが発生した。 このため、インモールド成形時、ラベルをホッパー内に整列した状態で入れることができず、ラベルを装置で自動的に金型へ供給することができなかった。
1)ラベルLc3は、ラベルLc2に比較して、ドライラミネート時のテンションの調整が安定してできるように、基材層の層厚を0.05mmと厚くした層構成を有するものである。
2)基材層を厚くしたことによりドライラミネート時のテンションンの調整が安定して実施することができカールの発生はなかったが、一方で、ラベルのトータルの厚さが0.08mm以上と厚くなりすぎて、図4に示されるように容器本体1の周壁2wに変形が発生し、また落下衝撃試験ではラベルの端部と容器本体1との境界部に形成される断面視V字型のノッチ状の溝に起因する割れが発生した。
上記したラベルLc2とLc3の検討結果から分かるように、接着層をドライラミネート法で積層するラベルでは、ラベルの製造法に由来する制約からラベルの貼着に起因する容器の変形と、ラベルのカールを共に効果的に防ぐことは困難であると云える。
1)ラベルLc4は、PP系の樹脂を主たる構成材料とした合成紙を使用したものであり、接着層として予めヒートシール性樹脂層が形成され、エンボス加工が施されている。
2)ラベルの厚さが0.08mmと厚く、この場合も図4に示されるように容器本体1の周壁2wに変形が発生し、また落下衝撃試験では割れが発生した。
上記実施例ではPP樹脂製の容器本体とCPPフィルム製の接着層を有するラベルを組み合せた例を説明したが、容器本体はPP樹脂の他にもプロピレンを主成分とした共重合樹脂製や、PP樹脂を主成分としたブレンド樹脂製等、PP系樹脂の中から適宜選択した樹脂製とすることができ、また容器本体を、PP系樹脂製の外層を有する積層タイプのものとすることもできる。
また、上記実施例では容器本体をダイレクトブロー成形方法によるものとしたが、二軸延伸ブロー成形方法によるものとすることもできる。
さらに本発明のラベルはブロー成形法に限定されることなく、射出成形法、熱成形法等の他のインモールド成形法に適用することができる。
2 ;胴部
2w;胴壁
11;ラベル
11e;(ラベルの)端部
12;接着層
14;印刷層
15;アンカーコート(AC)層
16;保護層
21;ダイス
22;パリソン
23;ブロー割型
24;減圧吸気路
111;ラベル
112;接着層
113;基材層
114;印刷層
115;アンカーコート(AC)層
Claims (4)
- 合成樹脂フィルム製の接着層(12)の表面側に印刷層(14)、アンカーコート層(15)の順に積層し、さらに押出ラミネート法による低密度ポリエチレン樹脂製の保護層(16)を積層した層構成を有し、前記合成樹脂フィルムがポリプロピレン樹脂キャストフィルムであることを特徴とするインモールドラベルの製造方法。
- 接着層(12)の裏面側にエンボス加工による凹凸を有する請求項1記載のインモールドラベルの製造方法。
- 合成樹脂製の容器本体(1)の胴部(2)の周壁(2w)にインモールド成形法によりブロー成形と同時にインモールドラベル(11)を貼着した容器の製造方法であって、
前記容器本体(1)はポリプロピレン系樹脂製であり、前記インモールドラベル(11)は、前記容器本体(1)と同系で該容器本体(1)の胴部(2)の周壁(2w)に直接熱融着可能なポリプロピレン樹脂キャストフィルム製の接着層(12)の表面側に印刷層(14)、アンカーコート層(15)の順に積層し、さらに押出ラミネート法による低密度ポリエチレン樹脂製の保護層(16)を積層した層構成を有するものとしたインモールドラベル付き容器の製造方法。 - 容器本体(1)の周壁(2w)の平均肉厚を0.8mm以下とした請求項3記載のインモールドラベル付き容器の製造方法。
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