JP2018018947A - レーザ部品及びレーザ光発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザ素子の温度を制御することに比べ、波長の変動が容易に抑制できるレーザ部品などを提供する。【解決手段】レーザ部品Cは、互いに異なる出射波長を含むように配列された複数のレーザダイオードLDと、レーザダイオードLDを配列に沿ってオン状態に移行可能な状態に切り替えつつ、予め定められた波長に対応する出射波長のレーザ素子をオン状態にし、オン状態を維持するように駆動する駆動部101とを備える。【選択図】図5

Description

本発明は、レーザ部品及びレーザ光発生装置に関する。
特許文献1には、非線形光学結晶を利用して短波長レーザ光を発生させる、励起光学系とレーザ共振系とからなる固体レーザ装置において、上記励起光学系の光源として半導体レーザを用い、そして上記レーザ共振系には;入射面側の端面とその後面側の端面とにそれぞれ光学膜を設けてなる固体レーザ結晶と、平行な各端面にそれぞれ光学膜を設けてなる非線形光学結晶と、該非線形光学結晶側の端面が凹面成形されていると共に各端面にはそれぞれ光学膜を設けてなる主共振器出力ミラーと、の順次配列に係る主共振器と、コリメートレンズと、そして、各端面にそれぞれ光学膜を設けてなる光路変向用波長選択ミラーと、波長選択用複屈折フィルターと、入射側の端面に光学膜を設けてなる副共振器出力ミラーと、の順次配列にかかる副共振器、とを配置した波長可変型青色レーザ装置が記載されている。
特許文献2には、上に位相シフト材料層を有する基板を設ける工程と、該位相シフト材料層をレジスト材料でコーティングする工程と、電子ビームまたはイオンビームリソグラフィを用いて該レジスト材料をパターニングし、サブミクロンピッチのマスクグレーティングパターンを規定する工程と、露光された位相シフト材料をエッチングして、基板材料を露出するステップと、該レジスト材料を除去して、該マスクグレーティングパターンに従った、露出された基板材料の領域と交互になる位相シフト材料の領域を現す工程と、を包含する、特定の波長の光とともに使用される位相マスクを形成する方法が記載されている。
特許文献3には、a)光子のインコヒーレント発生源によってポンプされる多層薄膜構造と、b)前記多層薄膜構造に近接し、前記有機レーザキャビティデバイスのキャビティ長を変化させるマイクロ電子加工ミラーアセンブリと、を備える有機レーザキャビティデバイスから放出される光波長を機械的に可変するシステムが記載されている。
特開平07−154021号公報 特表2001−517866公報 特開2004−140371号公報
ところで、例えば、光ファイバを用いた長距離の光通信においては、光ファイバ毎に、それぞれに信号が乗せられた複数の波長の光が重畳されて伝送されている。すなわち、送信側において、波長の異なる複数のレーザ素子から出射される複数の光のそれぞれに信号を乗せた後、複数の波長の異なる光がマルチプレックサ(多重化器)により重畳される。そして、重畳された光がファイバで伝送されたのち、受信側において、デマルチプレックス(分配器)により分配される。このような光通信においては、レーザ素子が出射する光の波長が例えば温度などにより変動すると、正しく信号が伝送されなくなってしまうため、レーザ素子の温度を制御することが行われている。
本発明は、レーザ素子の温度を制御することに比べ、波長の変動が容易に抑制できるレーザ部品などを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、互いに異なる出射波長を含むように配列された複数のレーザ素子と、前記レーザ素子を配列に沿ってオン状態に移行可能な状態に切り替えつつ、予め定められた波長に対応する出射波長のレーザ素子をオン状態にし、当該オン状態を維持するように駆動する駆動部とを備えるレーザ部品である。
請求項2に記載の発明は、複数の前記レーザ素子は、配列の方向に沿って、出射波長が長くなるように、又は、出射波長が短くなるように配列されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ部品である。
請求項3に記載の発明は、前記駆動部は、複数の前記レーザ素子が配列された方向と当該方向の逆方向とで、当該レーザ素子をオン状態に移行可能な状態に切り替えられることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ部品である。
請求項4に記載の発明は、前記レーザ素子は、レベル“m(mは1以上の整数)”のオン状態とレベル“0”にみなされるオン状態とレベル“0”のオフ状態とを有し、前記駆動部は、複数の前記レーザ素子が複数の組に分けられ、ある組に含まれるレーザ素子がレベル“m”のオン状態である間に、他の組に含まれるレーザ素子がレベル“0”のオン状態とするように組毎にオン状態に移行可能な状態を順に転送する複数の転送路を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレーザ部品である。
請求項5に記載の発明は、前記駆動部は、複数の前記レーザ素子のそれぞれと、トンネル接合層又は金属的な導電性を有するIII−V族化合物層を介して積層され、オン状態になることによって、当該レーザ素子をオン状態に移行可能な状態に制御する複数の設定サイリスタを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレーザ部品である。
請求項6に記載の発明は、互いに異なる出射波長を含むように配列された複数のレーザ素子と、当該レーザ素子を配列に沿ってオン状態に移行可能な状態に切り替えつつ、予め定められた波長に対応する出射波長のレーザ素子をオン状態にし、当該オン状態を維持するように駆動する駆動部と、を備えるレーザ部品と、前記レーザ部品の環境温度を検知する温度検知手段と、前記レーザ部品における前記駆動部に、オン状態に移行可能な状態を複数の前記レーザ素子の配列に沿って切り替えるように転送させる転送信号と、オン状態に移行可能な状態の当該レーザ素子をオン状態にする点灯信号と、を供給するとともに、前記温度検知手段により検知された環境温度に基づいて、オン状態にするレーザ素子を切り替えて前記予め定められた波長の光を出力するように制御する制御手段とを備えるレーザ光発生装置である。
請求項1の発明によれば、レーザ素子の温度を制御することに比べ、波長の変動が容易に抑制できる。
請求項2の発明によれば、出射波長が長くなる又は短くなるように配列されていない場合に比べ、波長のずれの修正が容易にできる。
請求項3の発明によれば、配列された方向と逆方向とに切り替えて設定されない場合に比べ、波長のずれの修正がさらに容易にできる。
請求項4の発明によれば、レベル“0”にみなされるオン状態を有しない場合に比べ、オン状態とするレーザ素子を高速に切り替えできる。
請求項5の発明によれば、トンネル接合層又は金属的な導電性を有するIII−V族化合物層を介して積層しない場合に比べ、駆動電圧が低減できる。
請求項6の発明によれば、レーザ素子の温度を制御することに比べ、波長の変動が容易に抑制できる。
光通信の概要を説明する図である。 第1の実施の形態に係る波長の光を出射するレーザ部品を説明する図である。 レーザ光発生部の構成と、レーザダイオードの出射する波長λの環境温度Tによる変化とを説明する図である。(a)は、レーザ光発生部の構成、(b)は、レーザダイオードの出射する波長の環境温度による変化である。 レーザ部品が出力する光の波長を説明する図である。(a)は、基準の環境温度での状態、(b)は、基準の環境温度より上がった環境温度での状態、(c)は、環境温度が上がったことにより出射させるレーザダイオードを切り替えた状態である。 第1の実施の形態に係るレーザ部品の等価回路図及び信号出力部を説明する図である。 第1の実施の形態に係るレーザ部品の平面レイアウト図及び断面図の一例である。(a)は、レーザ部品の平面レイアウト図、(b)は、(a)のVIB−VIB線での断面図である。 設定サイリスタとレーザダイオードとが積層されたアイランドを詳細に説明する図である。(a)は、拡大断面図、(b)は、(a)のVIIB−VIIB線での断面図、(c)は、(a)のVIIC−VIIC線での断面図である。 レーザダイオードの構造を説明する図である。(a)は、分布フィードバック分布帰還型(DFB)レーザ、(b)は、分布反射型(DBR)レーザ、(c)は、ファブリペロー型(FP)レーザである。 レーザダイオードの出射波長と回折格子の間隔との関係を説明する図である。 設定サイリスタとレーザダイオードとの積層構造をさらに説明する図である。(a)は、設定サイリスタとレーザダイオードとの積層構造における模式的なエネルギーバンド図、(b)は、トンネル接合層の逆バイアス状態におけるエネルギーバンド図、(c)は、トンネル接合層の電流電圧特性を示す。 レーザ光発生部の動作を説明するタイミングチャートである。 レーザ部品の製造方法を説明する図である。(a)は、半導体積層体形成工程、(b)は、nオーミック電極形成工程、(c)は、トンネル接合層出しエッチング工程、(d)は、電流狭窄層における電流阻止部形成工程、(e)は、pゲート層出しエッチング工程、(f)は、pオーミック電極及び裏面電極形成工程である。 金属的導電性III−V族化合物層を構成する材料を説明する図である。(a)は、InNの組成比xに対するInNAsのバンドギャップ、(b)は、InNの組成比xに対するInNSbのバンドギャップ、(c)は、VI族元素及びIII−V族化合物の格子定数をバンドギャップに対して示す図である。 複数のレーザ部品を用いたレーザ光発生部を説明する図である。 第2の実施の形態に係るレーザ部品の等価回路図及びレーザ部品を駆動する信号などを供給する信号出力部を説明する図である。 第2の実施の形態に係るレーザ光発生部の動作を説明するタイミングチャートである。 レーザダイオードの光強度の時間変化を示す図である。 レーザダイオードの光強度を説明する図である。(a)は、電流に対する光強度を示す図、(b)は、時間に対する光強度の変化を示す図である。 レーザ部品の等価回路図及びレーザ部品を駆動する信号などを供給する信号出力部を説明する図である。 第3の実施の形態に係るレーザ光発生部の動作を説明するタイミングチャートである。 第4の実施の形態に係るレーザ部品の等価回路図及びレーザ部品を駆動する信号などを出力する信号出力部を説明する図である。 第4の実施の形態に係るレーザ光発生部の動作を説明するタイミングチャートである。 第5の実施の形態に係るレーザ部品の等価回路図及びレーザ部品を駆動する信号などを出力する信号出力部を説明する図である。 第6の実施の形態に係るレーザ部品の回路構成及びレーザ部品を駆動する信号などを出力する信号出力部を説明する等価回路図である。 第6の実施の形態に係るレーザ光発生部の動作を説明するタイミングチャートである。 第6の実施の形態に係るレーザ光発生部において、レーザ部品のレーザダイオードの番号を逆順に切り替える場合のタイミングチャートである。 第7の実施の形態に係るレーザ部品における設定サイリスタと垂直共振器面発光レーザとが積層されたアイランドを詳細に説明する図である。 第8の実施の形態に係るレーザ部品における設定サイリスタとレーザダイオードとが積層されたアイランドを詳細に説明する図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
なお、以下では、アルミニウムをAlとするなど、元素記号を用いて表記する。
[第1の実施の形態]
(光通信の概要)
図1は、光通信の概要を説明する図である。
光通信では、光を伝播する光ファイバ1、送信側において複数の波長Λ1〜Λ10(区別しない場合は波長Λと表記する。)の光を重畳する多重化部2、受信側において複数の波長Λ1〜Λ10の光に分割する分割部3が用いられる。なお、多重化部2は、マルチプレクサ(Multiplexer)と呼ばれることがあり、分割部3は、デマルチプレクサ(Demultiplexer)と呼ばれることがある。
図1では、波長は、波長Λ1〜Λ10の10個としたが、他の個数(例えば100など)であってもよい。
それぞれの波長Λの光には、信号(Signal)が乗せられている。なお、光源には、波長Λの光を出射するレーザ(後述するレーザ部品C)が用いられる。
多重化部2は、複数の波長の光を重畳して、一つの光にする。すなわち、光が、波長多重される。
光ファイバ1は、例えば石英ガラスで構成されたシングルモードファイバ(Single Mode Fiber)であって、波長多重された光を伝送する。このような光ファイバ1は、波長Λが1200nmから1700nmまでにおいて、複数のバンド(バンドC、S、L、U、Oなど)が設定されている。
分割部3は、波長多重された光を、波長Λ毎に分割する。
波長多重された光による光通信においては、波長Λが変動しないことが求められる。しかし、半導体素子であるレーザ(半導体レーザ)は、環境温度が変化すると出射(発振)する光の波長が変化する。後述するように、環境温度(レーザの温度)が上がると波長が長くなり、環境温度が下がると波長が短くなる。そこで、1個の半導体レーザに1つの波長Λを割り当てる場合、その半導体レーザの波長Λが変動しないようにする。例えば、半導体レーザとペルチェ素子とを組み合わせて、半導体レーザを予め定められた環境温度に制御する。これにより、半導体レーザにおける波長Λの変動が抑制されていた。
このため、送信側における装置が大型化するとともに、消費電力が大きいために運用コストが高かった。
そこで、第1の実施の形態に係るレーザ部品Cは、互いに異なる出射波長を含む複数のレーザ素子を備え、予め定められた波長の光を出射するレーザ素子をオン状態にして、あるレーザ素子により出射させた光の波長が予め定められた波長からずれた(シフトした)場合に、予め定められた波長の光を出射する他のレーザ素子に切り替えることで、レーザ部品Cから出力される光の波長の変動を抑制している。
図2は、第1の実施の形態に係る波長Λ(図においては、波長Λ2)の光を出射するレーザ部品Cを説明する図である。なお、図2は、レーザ部品Cに加え、光ファイバ1、多重化部2、合波部4、光増幅部5を表記している。なお、合波部4は、カップラ(Coupler)と呼ばれることがある。
ここでは、レーザ部品Cは、図1に示した光通信で用いられる一つの波長Λ2を出射すとして説明する。すなわち、図1に示した光通信を行うためには、用いる波長Λの数(図1では10個)と同数のレーザ部品Cを用いることになる。
レーザ部品Cは、環境温度Tが基準の環境温度T(例えば25℃)である場合に、例えば、それぞれが波長λ1〜λ135(区別しない場合は、波長λと表記する。)の光を出射(発振)するレーザダイオードLD1〜LD135(区別しない場合は、レーザダイオードLDと表記する。)を備えている。レーザダイオードLD1〜LD135は、配列されて、発光素子(レーザ素子)アレイ(発光部102)を構成している。そして、後述する制御部10によって、予め定められた波長λ(図2では、波長λ3)の光を出射するように制御されている。すなわち、基準の環境温度Tにおいては、波長λ3と波長Λ2とが対応している。なお、後述するように、波長λ3と波長Λ2とが対応するとは、完全に一致する場合の他、波長Λ2として設定される波長チャネルch(後述するように波長Λ2に対しては、波長チャネルch2)内において、波長λ3が許容される範囲内に含まれる場合を含む。
合波部4は、レーザ部品Cが出射した光を、光増幅部5に導く。一般に、合波部4は、複数のレーザ素子が出射する全て又は一部のレーザ光を光ファイバ1に導くものをいうことが多い。しかし、図2に示すように、合波部4は、複数のレーザダイオードLDが同時に出射したとした場合に光増幅部5にそれぞれの出射光を導くように構成されているので、例え一つの波長の光の場合であっても、「合波部」と表記する。
合波部4は、例えば、多モード光干渉導波路(MMI:Multi Mode Interference)、回折格子(グレーティング)、アレイ導波路回折格子(アレイ導波路グレーティング)(AWG:Arrayed Waveguide Grating)などである。
なお、前述のマルチプレクサ2は、合波部4と同様の構成を有している。
光増幅部5は、合波部4を経由した光を増幅して、マルチプレクサ2に伝送する。光増幅部5は、半導体光増幅器SOA(Semiconductor Optical Amplifier)や電界吸収型変調器(EA:Electroabsorption)などである。
多重化部2及び光ファイバ1については、既に説明した。
図2では、レーザ部品Cが波長Λ2(=波長λ3)の光を出力するとしたので、多重化部2には、波長Λ2以外の波長Λ1及び波長Λ3〜Λ10の光が入射する。図示していないが、波長Λ1及び波長Λ3〜Λ10の光は、それぞれに設けられたレーザ部品Cから、それぞれに設けられた合波部4及び光増幅部5を介して、多重化部2に入射する。
なお、光増幅部5は、多重化部2と光ファイバ1との間に設けてもよい。光ファイバ1に入射する光の強度が大きく、増幅することを要しない場合には、光増幅部5は、設けなくともよい。
図3は、レーザ光発生部6の構成と、レーザダイオードLDの出射する波長λの環境温度Tによる変化とを説明する図である。図3(a)は、レーザ光発生部6の構成、図3(b)は、レーザダイオードLDの出射する波長λの環境温度Tによる変化である。
図3(a)に示すように、レーザ光発生部6は、レーザ部品Cと制御部10と温度検知部材20とを備えている。ここで、レーザ光発生部6は、レーザ光発生装置の一例であり、制御部10は、制御手段の一例であり、温度検知部材20は、温度検知手段の一例である。
制御部10は、演算部11、信号出力部12、温度検出部13を備えている。演算部11は、演算処理を実行する中央演算装置(CPUなど)を含んで構成されている。そして、演算部11は、信号出力部12及び温度検出部13と接続されている。信号出力部12は、演算部11に加えて、レーザ部品Cに接続され、演算部11の演算結果に基づいて、レーザ部品Cを駆動する信号を生成して、レーザ部品Cに出力(送信)する。温度検出部13は、演算部11に加えて、温度検知部材20に接続され、温度検知部材20が検知した環境温度Tを信号に変換して、演算部11に送信する。
すなわち、信号出力部12は、温度検知部材20が検知した環境温度Tに基づいた信号を生成して、レーザ部品Cに出力(送信)する。
温度検知部材20は、レーザ部品Cに接触又は近傍するように設けられ、レーザ部品Cの環境温度Tを測定するものであればよく、例えば熱電対やサーミスタなどである。
光ファイバ1のように石英ガラスで構成された光ファイバ(石英ガラス系の光ファイバ)では、1530〜1565nmの波長範囲がCバンドと呼ばれ、広く使用されている。一例として、0℃から85℃の環境温度Tの範囲において、波長間隔Δλを0.3nmとして、この波長範囲をカバーすることを考える。なお、図3(b)に示すように、レーザダイオードLDの出射(発振)する波長は、環境温度Tが上がると長くなり、環境温度Tが下がると短くなる。
この場合、図3(b)に示すように、Δλが0.3nmの135個のレーザダイオードLDを用いることで、この1530〜1565nmの波長範囲がカバーされることが分かる。ここで、レーザダイオードLD1が最も短い波長λの光を出射し、レーザダイオードLD135が最も長い波長λの光を出射するとする。
すなわち、レーザダイオードLD1が85℃における1530nmの波長を出射し、レーザダイオードLD135が0℃における1565nmの波長を出射すればよい。
そして、基準の環境温度Tを25℃とし、この温度において、レーザダイオードLDの出射する光の波長λは、レーザダイオードLD1〜LD135は、それぞれ波長λ1〜λ135を出射するとする。つまり、レーザダイオードLD1〜LD135は、出射する光の波長が順に長くなるように配列されているとする。なお、逆に配列されていてもよい。
次に、レーザ部品Cの動作の概要を説明する。
図4は、レーザ部品Cが出力する光の波長λを説明する図である。図4(a)は、基準の環境温度Tでの状態、図4(b)は、基準の環境温度Tより上がった環境温度Tでの状態、図4(c)は、環境温度Tが上がったことにより出射させるレーザダイオードLDを切り替えた状態である。
図4(a)、(b)、(c)の横軸は、図1に示した波長Λである。なお、波長Λは、予め定められた許容範囲を有している。その許容範囲を波長チャネルchと表記する。なお、レーザダイオードLDの出射波長λが、許容範囲内にあっても、許容範囲の端部にずれた場合には、さらにずれて許容範囲外になるおそれがある。よって、レーザダイオードLDの出射波長λ波長チャネルch(許容範囲)の端部にずれた場合には、レーザダイオードLDを切り替えることがよい。以下では、このような状態を説明する。
図1の例では、波長チャネルch1〜ch10(区別しない場合は、波長チャネルchと表記する。)があることになる。
そして、レーザ部品Cは、波長Λ2、つまり、波長チャネルch2の光を出力するように指定されている(求められている)とする。
図4(a)に示すように、基準の環境温度Tにおいて、レーザダイオードLD10の出射する波長λ10が、波長チャネルch2の中央部にあるとする。レーザダイオードLD10の前後のレーザダイオードLD9、LD11は、出射しうる波長λ9、λ11が波長λ10の前後にある。他のレーザダイオードLDの出射しうる波長λは、波長λ10から離れたところにある。
よって、制御部10は、レーザ部品CにおけるレーザダイオードLD10をオン状態にして、レーザダイオードLD10から波長λ10の光を出射させる。しかし、レーザダイオードLD10を除く他のレーザダイオードLDはオフ状態とし、光を出射させない。
次に、図4(b)に示すように、環境温度Tが基準の環境温度Tから上がることで、レーザダイオードLD10の出射する光が波長λ′10にずれて、波長チャネルch2の長波長側の端部に近づいたとする。このとき、レーザダイオードLD9、LD11も、環境温度Tが上がることで、出射しうる光は、波長λ9、λ11から波長λ′9、λ′11にずれる。しかし、レーザダイオードLD9の出射しうる光の波長λ′9は、波長チャネルch2の中央部に位置する。
そこで、図4(c)に示すように、レーザダイオードLD10をオン状態からオフ状態に移行させるとともに、レーザダイオードLD9をオフ状態からオン状態にする。このようにすることで、環境温度Tが変化しても、レーザ部品Cは、波長チャネルch2の光を出力し続けられる。
なお、図4(a)、(b)、(c)では、環境温度Tが基準の環境温度Tより上がった場合を説明したが、環境温度Tが基準の環境温度Tより下がって、レーザダイオードLD11の出射する光の波長λ″11が、波長チャネルch2の中央部に位置するようになれば、レーザダイオードLD10の代わりに、レーザダイオードLD11をオン状態にすればよい。
すなわち、レーザダイオードLD1〜LD135を順次切り替えることで、環境温度Tが0℃〜85℃の間において、波長チャネルch2(波長Λ2)に含まれる光を出力しうる。
他の波長チャネルchにおいても同様である。
以上説明したように、第1の実施の形態に係るレーザ部品Cは、レーザダイオードLDをペルチェ素子などにより環境温度Tを予め定められた値に制御することなく、指定された波長チャネルch(波長Λ)の光を出力する。つまり、レーザ部品Cは、出射する波長λが異なる複数のレーザダイオードLDを備えることで、環境温度Tの変化に対応してオン状態にするレーザダイオードLDを切り替え、予め定められた波長チャネルch(波長Λ)の光を出力し続けられる。
なお、レーザダイオードLDの出射する光の波長の環境温度Tに対する変化は、予め分かっている。よって、演算部11は、温度検知部材20によって検知された環境温度Tに基づいて、波長チャネルch(波長Λ)の光を出力しうるレーザダイオードLDを演算によって求める。そして、信号出力部12は、演算結果に基づいてレーザ部品CにそのレーザダイオードLDをオン状態にする信号を出力(送信)する。
(レーザ光発生部6)
ここでは、レーザ光発生部6におけるレーザ部品Cと制御部10の信号出力部12とを説明する。
図5は、第1の実施の形態に係るレーザ部品Cの等価回路図及び信号出力部12を説明する図である。
(信号出力部12)
信号出力部12は、レーザ部品Cに、転送信号φ1、φ2(区別しない場合は、転送信号φと表記する。)を送信する転送信号発生部120を備える。
また、信号出力部12は、レーザ部品Cに、点灯信号φIを送信する点灯信号発生部140を備える。
さらに、信号出力部12は、レーザ部品Cに電位の基準となる基準電位Vsubを供給する基準電位供給部160、レーザ部品Cを駆動するための電源電位Vgkを供給する電源電位供給部170を備える。
(レーザ部品C)
レーザ部品Cは、レーザダイオードLD1〜LD135で構成される発光素子(レーザ素子)アレイによる発光部102を備えている。ここでは、レーザダイオードLD1〜LD135は、基準の環境温度Tにおいて、それぞれ異なる波長(出射波長、発振波長)λ1〜λ135の光を出射する。そして、波長λ1〜λ135のそれぞれの間隔Δλは、例えばΔλ=0.3nmなど、一定であるとする。そして、波長λ1〜λ135は、図3(b)に示したように長くなる方向であるとする。なお、波長λ1〜λ135は、短くなる方向であってもよい。
なお、波長λ1〜λ135は、すべて異なっていなくてもよい。複数の異なる波長が含まれていればよい。また、Δλは、一定でなくともよい。
また、レーザダイオードLD1〜LD135の出射する波長λ1〜λ135は、短くなる方向又は長くなる方向に配列されている場合であっても、レーザダイオードLD毎に異なってもよく、2個、3個など複数個毎に異なってもよい。
ここでは、レーザダイオードLDの配列に沿って、出射する波長が長くなる、又は、出射する波長が短くなるとは、1個の場合ばかりでなく、複数個毎に出射する波長が異なる場合を含む。
そして、レーザ部品Cは、設定サイリスタS1〜S135(区別しない場合は、設定サイリスタSと表記する。)を備える。レーザダイオードLD1〜LD135及び設定サイリスタS1〜S135は、同じ番号のレーザダイオードLDと設定サイリスタSとが電気的に直列接続されている。
なお、後述する図6(b)に示すように、基板80上に列状に配列された設定サイリスタS上にレーザダイオードLDが積層されている。
そして、レーザ部品Cは、レーザダイオードLD1〜LD135、設定サイリスタS1〜S135と同様に列状に配列された転送サイリスタT1〜T135(区別しない場合は、転送サイリスタTと表記する。)を備える。
なお、ここでは転送素子の一例として転送サイリスタTを用いて説明するが、順にオン状態になる素子であれば他の回路素子であってもよく、例えば、シフトレジスタや複数のトランジスタを組み合わせた回路素子を用いてもよい。
また、レーザ部品Cは、転送サイリスタT1〜T135をそれぞれ番号順に2つをペアにして、それぞれのペアの間に結合ダイオードD1〜D134(区別しない場合は、結合ダイオードDと表記する。)を備える。
さらに、レーザ部品Cは、電源線抵抗Rg1〜Rg135(区別しない場合は、電源線抵抗Rgと表記する。)を備える。
また、レーザ部品Cは、1個のスタートダイオードSDを備える。そして、後述する転送信号φ1が送信される転送信号線72−1と転送信号φ2が送信される転送信号線72−2とに過剰な電流が流れるのを防止するために設けられた電流制限抵抗R1、R2を備える。
ここでは、設定サイリスタS1〜S135、転送サイリスタT1〜T135、電源線抵抗Rg1〜Rg135、結合ダイオードD1〜D134、スタートダイオードSD、電流制限抵抗R1、R2により駆動部101が構成される。
発光部102のレーザダイオードLD1〜LD135、駆動部101の設定サイリスタS1〜S135、転送サイリスタT1〜T135は、図5中において、左側から番号順に配列されている。さらに、結合ダイオードD1〜D134、電源線抵抗Rg1〜Rg135も、図中左側から番号順に配列されている。
そして、図5において上から、駆動部101、発光部102の順に並べられている。
第1の実施の形態では、発光部102におけるレーザダイオードLD、駆動部101における設定サイリスタS、転送サイリスタT、電源線抵抗Rgはそれぞれ135個とした。なお、結合ダイオードDの数は、転送サイリスタTの数より1少ない134個である。
レーザダイオードLDなどの数は、上記に限らず、予め定められた個数とすればよい。そして、転送サイリスタTの数は、レーザダイオードLDの数より多くてもよい。
上記のレーザダイオードLDは、アノード端子(アノード)及びカソード端子(カソード)を備える2端子の半導体素子、サイリスタ(設定サイリスタS、転送サイリスタT)は、アノード端子(アノード)、ゲート端子(ゲート)及びカソード端子(カソード)の3端子を有する半導体素子、結合ダイオードD及びスタートダイオードSDは、アノード端子(アノード)及びカソード端子(カソード)を備える2端子の半導体素子である。
なお、後述するように、レーザダイオードLD、サイリスタ(設定サイリスタS、転送サイリスタT)、結合ダイオードD及びスタートダイオードSDは、電極として構成されたアノード端子、ゲート端子、カソード端子を必ずしも備えない場合がある。よって、以下では、端子を略して( )内で表記する場合がある。
では次に、レーザ部品Cにおける各素子の電気的な接続について説明する。
転送サイリスタT、設定サイリスタSのそれぞれのアノードは、レーザ部品Cの基板80に接続される(アノードコモン)。
そして、これらのアノードは、基板80の裏面に設けられたVsub端子である裏面電極91(後述の図6(b)参照)を介して、信号出力部12の基準電位供給部160から基準電位Vsubが供給される。
なお、この接続はp型の基板80を用いた際の構成であり、n型の基板を用いる場合は極性が逆となり、不純物を添加していないイントリンシック(i)型の基板を用いる場合には、基板80の駆動部101及び発光部102が設けられる側に、基準電位Vsubを供給する端子が設けられる。
転送サイリスタTの配列に沿って、奇数番号の転送サイリスタT1、T3、…のカソードは、転送信号線72−1に接続されている。そして、転送信号線72−1は、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている。このφ1端子には、信号出力部12の転送信号発生部120から転送信号φ1が送信される。
一方、転送サイリスタTの配列に沿って、偶数番号の転送サイリスタT2、T4、…のカソードは、転送信号線72−2に接続されている。そして、転送信号線72−2は、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている。このφ2端子には、信号出力部12の転送信号発生部120から転送信号φ2が送信される。
レーザダイオードLD1〜LD135のカソードは、点灯信号線75に接続されている。点灯信号線75は、φI端子に接続されている。φI端子には、信号出力部12の点灯信号発生部140から点灯信号φIが送信される。点灯信号φIは、レーザダイオードLD1〜LD135に点灯のための電流を供給する。
転送サイリスタT1〜T135のそれぞれのゲートGt1〜Gt135(区別しない場合は、ゲートGtと表記する。)は、同じ番号の設定サイリスタS1〜S135のゲートGs1〜Gs135(区別しない場合は、ゲートGsと表記する。)に、1対1で接続されている。よって、ゲートGt1〜Gt135とゲートGs1〜Gs135とは、同じ番号のものが電気的に同電位になっている。よって、例えばゲートGt1(ゲートGs1)と表記して、電位が同じであることを示す。
転送サイリスタT1〜T135のそれぞれのゲートGt1〜Gt135を番号順に2個ずつペアとしたゲートGt間に、結合ダイオードD1〜D134がそれぞれ接続されている。すなわち、結合ダイオードD1〜D134はそれぞれがゲートGt1〜Gt135のそれぞれの間に挟まれるように直列接続されている。そして、結合ダイオードD1の向きは、ゲートGt1からゲートGt2に向かって電流が流れる方向に接続されている。他の結合ダイオードD2〜D134についても同様である。
転送サイリスタTのゲートGt(ゲートGs)は、転送サイリスタTのそれぞれに対応して設けられた電源線抵抗Rgを介して、電源線71に接続されている。電源線71はVgk端子に接続されている。Vgk端子は、信号出力部12の電源電位供給部170から電源電位Vgkが供給される。
そして、転送サイリスタT1のゲートGt1は、スタートダイオードSDのカソード端子に接続されている。一方、スタートダイオードSDのアノードは、転送信号線72−2に接続されている。
図6は、第1の実施の形態に係るレーザ部品Cの平面レイアウト図及び断面図の一例である。図6(a)は、レーザ部品Cの平面レイアウト図、図6(b)は、図6(a)のVIB−VIB線での断面図である。
図6(a)では、レーザダイオードLD1〜LD4、設定サイリスタS1〜S4、転送サイリスタT1〜T4を中心とした部分を示している。基板80の裏面に設けられたVsub端子(裏面電極91)は、基板80の外に引き出して示している。
図6(a)のIVB−IVB線での断面図である図6(b)では、図中下よりレーザダイオードLD1/設定サイリスタS1、転送サイリスタT1、結合ダイオードD1及び電源線抵抗Rg1が示されている。なお、レーザダイオードLD1と設定サイリスタS1とは積層されている。
そして、図6(a)、(b)の図中には、主要な素子や端子を名前により表記している。
まず、レーザ部品Cの断面構造を、図6(b)により説明する。
p型の基板80(基板80)上に、p型のアノード層81(pアノード層81)、n型のゲート層82(nゲート層82)、p型のゲート層83(pゲート層83)及びn型のカソード層84(nカソード層84)が順に設けられている。なお、以下では、( )内の表記を用いる。他の場合も同様とする。
そして、nカソード層84上に、トンネル接合(トンネルダイオード)層85が設けられている。
さらに、トンネル接合層85上に、p型のアノード層86(pアノード層86)、発光層87、n型のカソード層88(nカソード層88)が設けられている。
pアノード層81、nゲート層82、pゲート層83、nカソード層84、トンネル接合層85、pアノード層86、発光層87、nカソード層88は、それぞれが半導体層であって、エピタキシャル成長により順に積層される。そして、相互に分離された複数のアイランド(島)(後述するアイランド301、302、303、…)になるように、アイランド間の半導体層がエッチング(メサエッチング)により除去されている。なお、pアノード層81は、分離されていても、されていなくともよい。図6(b)では、pアノード層81は、厚さ方向に一部が分離されている。また、pアノード層81が基板80を兼ねてもよい。
そして、レーザ部品Cには、図6(b)に示すように、これらのアイランドの表面及び側面を覆うように設けられた透光性の絶縁材料で構成された保護層90が設けられている。そして、これらのアイランドと電源線71、転送信号線72−1、72−2、点灯信号線75などの配線とが、保護層90に設けられたスルーホール(図6(a)では○で示す。)を介して接続されている。以下の説明では、保護層90及びスルーホールについての説明を省略する。
また、図6(b)に示すように、基板80の裏面にはVsub端子となる裏面電極91が設けられている。
pアノード層81、nゲート層82、pゲート層83及びnカソード層84を用いて、設定サイリスタS、転送サイリスタT、結合ダイオードD、電源線抵抗Rgなど(図6(b)においては、設定サイリスタS1、転送サイリスタT1、結合ダイオードD1、電源線抵抗Rg1)が構成されている。
ここでは、pアノード層81、nゲート層82、pゲート層83、nカソード層84の表記は、設定サイリスタS及び転送サイリスタTを構成する場合の機能(働き)に対応させている。すなわち、pアノード層81はアノード、nゲート層82及びpゲート層83はゲート、nカソード層84はカソードとして働く。結合ダイオードD、電源線抵抗Rgを構成する場合には、後述するように異なる機能(働き)を有する。
pアノード層86、発光層87、nカソード層88により、レーザダイオードLD(図6(b)においては、レーザダイオードLD1)が構成されている。
そして、pアノード層86、nカソード層88の表記も同様であって、レーザダイオードLDを構成する場合の機能(働き)に対応させている。すなわち、pアノード層86はアノード、nカソード層88はカソードとして働く。なお、pアノード層86及びnカソード層88は、レーザダイオードLDのクラッド層として機能する。よって、pアノード層86及びnカソード層88は、それぞれpアノード(クラッド)層86及びnカソード(クラッド)層88と表記することがある。
そして、レーザダイオードLDは、基板80の表面に沿った方向に光を出射する(図6(a)の白抜き矢印)。そして、レーザダイオードLD1、LD2、LD3、…は、それぞれが異なる波長λ1、λ2、λ3、…の光を出射する。
なお、光が出射する側は、pアノード層86に含まれる電流狭窄層86bの電流阻止部βを除くように劈開された面となっている。
以下に説明するように、複数のアイランドは、pアノード層81、nゲート層82、pゲート層83、nカソード層84、トンネル接合層85、pアノード層86、発光層87、nカソード層88の複数の層の内、一部の層を備えないものを含む。例えば、アイランド302は、トンネル接合層85の一部又は全部、pアノード層86、発光層87、nカソード層88を備えない。
また、複数のアイランドは、層の一部を備えていないものを含む。例えば、アイランド302は、pアノード層81、nゲート層82、pゲート層83、nカソード層84を備えるが、nカソード層84は、一部のみを備える。
次に、レーザ部品Cの平面レイアウトを、図6(a)により説明する。
アイランド301には、設定サイリスタS1及びレーザダイオードLD1が設けられている。アイランド302には、転送サイリスタT1、結合ダイオードD1が設けられている。アイランド303には、電源線抵抗Rg1が設けられている。アイランド304には、スタートダイオードSDが設けられている。アイランド305には電流制限抵抗R1が、アイランド306には電流制限抵抗R2が設けられている。
そして、レーザ部品Cには、アイランド301、302、303と同様なアイランドが、並列して複数形成されている。これらのアイランドには、設定サイリスタS2、S3、S4、…、レーザダイオードLD2、LD3、LD4、…、転送サイリスタT2、T3、T4、…、結合ダイオードD2、D3、D4、…等が、アイランド301、302、303と同様に設けられている。
ここで、図6(a)、(b)により、アイランド301〜306について詳細に説明する。
図6(a)に示すように、アイランド301には、設定サイリスタS1及びレーザダイオードLD1が設けられている。
設定サイリスタS1は、pアノード層81、nゲート層82、pゲート層83、nカソード層84から構成されている。そして、nカソード層88、発光層87、pアノード層86、トンネル接合層85、nカソード層84を除去して露出させたpゲート層83上に設けられたp型のオーミック電極331(pオーミック電極331)をゲートGs1の電極(ゲート端子Gs1と表記することがある。)とする。
一方、レーザダイオードLD1は、pアノード層86、発光層87、nカソード層88で構成されている。レーザダイオードLD1は、設定サイリスタS1のnカソード層84上に、トンネル接合層85を介して積み重ねられている。そして、nカソード層88(領域311)上に設けられたn型のオーミック電極321(nオーミック電極321)をカソード端子とする。
なお、pアノード層86には、電流狭窄層86b(後述する図9参照)が含まれている。電流狭窄層86bは、レーザダイオードLDに流れる電流を、レーザダイオードLDの中央部に制限するために設けられている。すなわち、レーザダイオードLDの周辺部は、メサエッチングに起因して欠陥が多い。このため、非発光再結合が起こりやすい。そこで、レーザダイオードLDの中央部が電流の流れやすい電流通過部αとなり、周辺部が電流の流れにくい電流阻止部βとなるように、電流狭窄層86bが設けられている。図6(a)のレーザダイオードLD1に示すように、破線の内側が電流通過部α、破線の外側が電流阻止部βである。
なお、電流狭窄層86bについては、後述する。
電流狭窄層86bを設けると非発光再結合に消費される電力が抑制されるので、低消費電力化及び光取り出し効率が向上する。なお、光取り出し効率とは、供給する電力当たりに取り出すことができる光量である。
アイランド302には、転送サイリスタT1、結合ダイオードD1が設けられている。
転送サイリスタT1は、pアノード層81、nゲート層82、pゲート層83、nカソード層84から構成される。つまり、nカソード層88、発光層87、pアノード層86、トンネル接合層85を除去して露出させたnカソード層84(領域313)上に設けられたnオーミック電極323をカソード端子とする。なお、トンネル接合層85のn++層85aを除去せず、トンネル接合層85のn++層85a上にnオーミック電極323を設けてもよい。さらに、nカソード層84を除去して露出させたpゲート層83上に設けられたpオーミック電極332をゲートGt1の端子(ゲート端子Gt1と表記することがある。)とする。
同じく、アイランド302に設けられた結合ダイオードD1は、pゲート層83、nカソード層84から構成される。つまり、nカソード層88、発光層87、pアノード層86、トンネル接合層85を除去して露出させたnカソード層84(領域314)上に設けられたnオーミック電極324をカソード端子とする。なお、トンネル接合層85のn++層85aを除去せず、トンネル接合層85のn++層85a上にnオーミック電極324を設けてもよい。さらに、nカソード層84を除去して露出させたpゲート層83上に設けられたpオーミック電極332をアノード端子とする。ここでは、結合ダイオードD1のアノード端子は、ゲートGt1(ゲート端子Gt1)と同じである。
アイランド303に設けられた電源線抵抗Rg1は、pゲート層83で構成される。電源線抵抗Rg1は、nカソード層88、発光層87、pアノード層86、トンネル接合層85、nカソード層84を除去して露出させたpゲート層83上に設けられたpオーミック電極333とpオーミック電極334との間のpゲート層83を抵抗として設けられている。
アイランド304に設けられたスタートダイオードSDは、pゲート層83、nカソード層84から構成される。つまり、nカソード層88、発光層87、pアノード層86、トンネル接合層85を除去して露出させたnカソード層84(領域315)上に設けられたnオーミック電極325をカソード端子とする。なお、トンネル接合層85のn++層85aを除去せず、トンネル接合層85のn++層85a上にnオーミック電極325を設けてもよい。さらに、nカソード層84を除去して露出させたpゲート層83上に設けられたpオーミック電極335をアノード端子とする。
アイランド305に設けられた電流制限抵抗R1、アイランド306に設けられた電流制限抵抗R2は、アイランド303に設けられた電源線抵抗Rg1と同様に設けられ、それぞれが2個のpオーミック電極(符号なし)間のpゲート層83を抵抗とする。
図6(a)において、各素子間の接続関係を説明する。
点灯信号線75は、幹部75aと複数の枝部75bとを備える。幹部75aはレーザダイオードLDの列方向に延びるように設けられている。枝部75bは幹部75aから枝分かれして、アイランド301に設けられたレーザダイオードLD1のカソード端子であるnオーミック電極321と接続されている。他のレーザダイオードLDのカソード端子も同様である。
点灯信号線75は、レーザダイオードLD1側に設けられたφI端子に接続されている。
転送信号線72−1は、アイランド302に設けられた転送サイリスタT1のカソード端子であるnオーミック電極323に接続されている。転送信号線72には、アイランド302と同様なアイランドに設けられた、他の奇数番号の転送サイリスタTのカソード端子が接続されている。転送信号線72は、アイランド305に設けられた電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている。
一方、転送信号線72−2は、符号を付さないアイランドに設けられた偶数番号の転送サイリスタTのカソード端子であるnオーミック電極(符号なし)に接続されている。転送信号線72−2は、アイランド306に設けられた電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている。
電源線71は、アイランド303に設けられた電源線抵抗Rg1の一方の端子であるpオーミック電極334に接続されている。他の電源線抵抗Rgの一方の端子も電源線71に接続されている。電源線71は、Vgk端子に接続されている。
そして、アイランド301に設けられたレーザダイオードLD1のpオーミック電極331(ゲート端子Gs1)は、アイランド302のpオーミック電極332(ゲート端子Gt1)に接続配線76で接続されている。
そして、pオーミック電極332(ゲート端子Gt1)は、アイランド303のpオーミック電極333(電源線抵抗Rg1の他方の端子)に接続配線77で接続されている。
アイランド302に設けられたnオーミック電極324(結合ダイオードD1のカソード端子)は、隣接する転送サイリスタT2のゲート端子Gt2であるp型オーミック電極(符号なし)に接続配線79で接続されている。
ここでは説明を省略するが、他のレーザダイオードLD、設定サイリスタS、転送サイリスタT、結合ダイオードD等についても同様である。
アイランド302のpオーミック電極332(ゲート端子Gt1)は、アイランド304に設けられたnオーミック電極325(スタートダイオードSDのカソード端子)に接続配線78で接続されている。pオーミック電極335(スタートダイオードSDのアノード端子)は、転送信号線72−2に接続されている。
なお、上記の接続及び構成は、p型の基板80を用いた際のものであり、n型の基板を用いる場合は、極性が逆となる。また、i型の基板を用いる場合は、基板の駆動部101及び発光部102が設けられる側に、基準電位Vsubを供給する電源ライン200aと接続される端子が設けられる。そして、接続及び構成は、p型の基板を用いる場合、n型の基板を用いる場合のどちらかと同様になる。
(設定サイリスタSとレーザダイオードLDとの積層構造)
図7は、設定サイリスタSとレーザダイオードLDとが積層されたアイランド301を詳細に説明する図である。図7(a)は、拡大断面図、図7(b)は、図7(a)のVIIB−VIIB線での断面図、図7(c)は、図7(a)のVIIC−VIIC線での断面図である。なお、保護層90を省略している。以下同様である。また、図7(a)は、図6に示したアイランド301の断面図であるが、図6(a)の−y方向から見た断面図である。この状態ではpオーミック電極331が見えなくなるため、pオーミック電極331の部分は、図6(a)の−x方向から見た図とした。以下同様である。そして、図7(b)及び(c)は、y方向の断面図である。
前述したように、設定サイリスタS上にトンネル接合層85を介してレーザダイオードLDが積層されている。すなわち、設定サイリスタSとレーザダイオードLDとは電気的に直列接続されている。
設定サイリスタSは、pアノード層81、nゲート層82、pゲート層83、nカソード層84から構成されている。すなわち、pnpnの4層構造である。
トンネル接合層85は、n型の不純物(ドーパント)を高濃度に添加(ドープ)したn++層85aと、p型の不純物を高濃度に添加したp++層85bとで構成されている。
レーザダイオードLDは、pアノード層86、発光層87、nカソード層88で構成されている。
発光層87は、井戸(ウエル)層と障壁(バリア)層とが交互に積層された量子井戸構造である。また、発光層87は、不純物を添加していないイントリンシック(i)層であってもよい。また、発光層87は、量子井戸構造以外であってもよく、例えば、量子線(量子ワイヤ)や量子箱(量子ドット)であってもよい。
そして、pアノード層86は、積層された下側pアノード層86aと電流狭窄層86bと上側pアノード層86cで構成されている。電流狭窄層86bは、電流通過部αと電流阻止部βとで構成されている。図6(a)で示したように、電流通過部αは、レーザダイオードLDの中央部に、電流阻止部βは、レーザダイオードLDの周辺部に設けられている。
さらに、nカソード層88は、下部nカソード層88aと上部回折格子層(回折格子層)88bとから構成されている。上部回折格子層88bは、予め定められた間隔で回折格子(縞状の凹凸)に加工された部分で下部nカソード層88aと連続している。すなわち、一旦積層されたnカソード層88の表面を縞状に加工し、回折格子に加工した部分を上部回折格子層88b、加工されていない部分を下部nカソード層88aとしている。上部回折格子層88bに設けられた回折格子の間隔によりレーザダイオードLDが出射する(発振する)波長が設定される。
なお、回折格子層を設ける位置としては、上記の位置に限定されない。例えば、発光層87の一部を回折格子層としてもよいし、pアノード層86内の下側pアノード層86aまたは上側pアノード層86cの一部を回折格子層としてもよい。
そして、図7(c)に示すように、上部回折格子層88b上に設けられたnオーミック電極321の下の発光層87の領域(発光領域)から光が出射する。
図8は、レーザダイオードLDの構造を説明する図である。図8(a)は、分布フィードバック分布帰還型(DFB:Distributed Feedback)レーザ、図8(b)は、分布反射型(DBR:Distributed Bragg Reflector)レーザ、図8(c)は、ファブリペロー型(FP:Fabry Perot)レーザである。
図8(a)のDFBレーザは、図7(a)、(b)、(c)に示したレーザ部品Cと同様に、nオーミック電極321の下の発光領域上に回折格子が設けられている。DBFレーザでは、回折格子によって出射する波長(出射波長)が選択され、一つの波長の光が出射する。図8(b)のDBRレーザは、nオーミック電極321の下の発光領域の外に回折格子が設けられている。このDBRレーザでも、回折格子によって出射する波長(出射波長)が選択され、一つの波長の光が出射する。これに対して、図8(c)のFPレーザは、結晶の劈開などで形成した反射面間などに光を閉じ込めることでレーザ発振させる。回折格子を設けていないため、複数の波長の光が出射する。
第1の実施の形態のレーザ部品Cには、DFBレーザ又はDBRレーザを用いるのがよい。なお、図7(a)、(b)、(c)に示すレーザダイオードLDは、DFBレーザである。
図9は、レーザダイオードLDの出射波長と回折格子の間隔との関係を説明する図である。
レーザダイオードLD1、LD2、LD3、…の順に、上部回折格子層88bの回折格子の間隔を広げていくことにより、出射される波長λ1、λ2、λ3、…が順に長くなる。
<トンネル接合層85>
図10は、設定サイリスタSとレーザダイオードLDとの積層構造をさらに説明する図である。図10(a)は、設定サイリスタSとレーザダイオードLDとの積層構造における模式的なエネルギーバンド図、図10(b)は、トンネル接合層85の逆バイアス状態におけるエネルギーバンド図、図10(c)は、トンネル接合層85の電流電圧特性を示す。
図10(a)のエネルギーバンド図に示すように、図7(a)のnオーミック電極321と裏面電極91との間に、レーザダイオードLD及び設定サイリスタSが順バイアスになるように電圧を印加すると、トンネル接合層85のn++層85aとp++層85bとの間が逆バイアスになる。
トンネル接合層85(トンネル接合)は、n型の不純物を高濃度に添加したn++層85aと、p型の不純物を高濃度に添加したp++層85bとの接合である。このため、空乏領域の幅が狭く、順バイアスされると、n++層85a側の伝導帯(コンダクションバンド)からp++層85b側の価電子帯(バレンスバンド)に電子がトンネルする。この際、負性抵抗特性が表れる。
一方、図10(b)に示すように、トンネル接合層85(トンネル接合)は、逆バイアス(−V)されると、p++層85b側の価電子帯(バレンスバンド)の電位Evが、n++層85a側の伝導帯(コンダクションバンド)の電位Ecより上になる。そして、p++層85bの価電子帯(バレンスバンド)から、n++層85a側の伝導帯(コンダクションバンド)に電子がトンネルする。そして、逆バイアス電圧(−V)が増加するほど、電子がトンネルしやすくなる。すなわち、図10(c)に示すように、トンネル接合層85(トンネル接合)は、逆バイアスにおいて、電流が流れやすい。
よって、図10(a)に示すように、設定サイリスタSがターンオンすると、トンネル接合層85が逆バイアスであっても、設定サイリスタSとレーザダイオードLDとの間で電流が流れる。これにより、レーザダイオードLDが発光(点灯)する。
ここでは、設定サイリスタSは、接続された転送サイリスタTがターンオンしてオン状態になると、オン状態への移行が可能な状態になる。そして、点灯信号φIが後述する「Lo」になると、設定サイリスタSがターンオンしてオン状態になるとともに、レーザダイオードLDを点灯させる(点灯を設定する)。よって、本明細書では、「設定サイリスタ」と表記する。
<サイリスタ>
次に、サイリスタ(転送サイリスタT、設定サイリスタS)の基本的な動作を説明する。サイリスタは、前述したように、アノード端子(アノード)、カソード端子(カソード)、ゲート端子(ゲート)の3端子を有する半導体素子であって、例えば、GaAs、GaAlAs、AlAsなどによるp型の半導体層(pアノード層81、pゲート層83)、n型の半導体層(nゲート層82、nカソード層84)を基板80上に積層して構成されている。つまり、サイリスタは、pnpn構造を成している。ここでは、p型の半導体層とn型の半導体層とで構成されるpn接合の順方向電位(拡散電位)Vdを一例として1.5Vとして説明する。
以下では、一例として、Vsub端子である裏面電極91(図6、図7(a)参照)に供給される基準電位Vsubをハイレベルの電位(以下では「H」と表記する。)として0V、Vgk端子に供給される電源電位Vgkをローレベルの電位(以下では「L」と表記する。)として−3.3Vとして説明する。
サイリスタのアノードは、裏面電極91に供給される基準電位Vsub(「H」(0V))である。
アノードとカソードとの間に電流が流れていないオフ状態のサイリスタは、しきい電圧より低い電位(絶対値が大きい負の電位)がカソードに印加されるとオン状態に移行(ターンオン)する。ここで、サイリスタのしきい電圧は、ゲートの電位からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値である。
オン状態になると、サイリスタのゲートは、アノードの電位に近い電位になる。ここでは、アノードを基準電位Vsub(「H」(0V))に設定しているので、ゲートは、0V(「H」)になるとする。また、オン状態のサイリスタのカソードは、アノードの電位からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた電位に近い電位となる。ここでは、アノードを基準電位Vsub(「H」(0V))に設定しているので、オン状態のサイリスタのカソードは、−1.5Vに近い電位(絶対値が1.5Vより大きい負の電位)となる。なお、カソードの電位は、オン状態のサイリスタに電流を供給する電源との関係で設定される。
オン状態のサイリスタは、カソードが、オン状態を維持するために必要な電位(上記の−1.5Vに近い電位)より高い電位(絶対値が小さい負の電位、0V又は正の電位)になると、オフ状態に移行(ターンオフ)する。
一方、オン状態のサイリスタのカソードに、オン状態を維持するために必要な電位より低い電位(絶対値が大きい負の電位)が継続的に印加され、オン状態を維持しうる電流(維持電流)が供給されると、サイリスタはオン状態を維持する。
設定サイリスタSは、レーザダイオードLDと積層され、電気的に直列接続されている。よって、設定サイリスタSのカソード(nカソード層84)に印加される電圧は、点灯信号φIの電位が設定サイリスタSとレーザダイオードLDとで分圧された電圧となる。ここでは、レーザダイオードLDに印加される電圧は、仮に−1.7Vであるとして説明する。そして、設定サイリスタSがオフ状態である場合、設定サイリスタSに−3.3Vが印加されるとして説明する。すなわち、レーザダイオードLDを点灯させる際に印加される点灯信号φI(「Lo」)は、−5Vであるとする。
なお、出射波長や光量によってレーザダイオードLDに印加する電圧を変えることとなるが、その際は点灯信号φIの電圧(「Lo」)を調整すればよい。
なお、サイリスタは、GaAsなどの半導体で構成されるので、オン状態において、nゲート層82とpゲート層83との間で発光することがある。なお、サイリスタが出射する光の量は、カソードの面積及びカソードとアノードとの間に流す電流によって決まる。よって、サイリスタからの発光を利用しない場合、例えば、転送サイリスタTでは、カソードの面積を小さくしたり、電極(転送サイリスタT1のnオーミック電極323)などで遮光したりすることにより、不要な光を抑制するようにしてもよい。
(レーザ光発生部6の動作)
次に、レーザ光発生部6の動作について説明する。
<タイミングチャート>
図11は、レーザ光発生部6の動作を説明するタイミングチャートである。
図11では、レーザ部品CのレーザダイオードLD1〜LD5の5個のレーザダイオードLDの点灯(発光)を制御(点灯制御と表記する。)する部分のタイミングチャートを示している。なお、図11では、説明を簡単にするために、環境温度Tが基準の環境温度Tにあるとき、レーザダイオードLD2を点灯させるとする。すなわち、レーザダイオードLD2の出射する波長λ2が、レーザ部品Cが属する波長Λの波長チャネルchの中央部にあるとする。
よって、レーザダイオードLD1及びレーザダイオードLD3、LD4、LD5は点灯させない。
ここで、環境温度Tが下がって、環境温度Tになったとする(T<T)。すると、レーザダイオードLD1〜LD5の波長λ1〜λ5は、それぞれがより短い波長λ″1〜λ″5にずれる(移行する)。そして、図4(b)とは逆であるが、レーザダイオードLD2の波長λ″2が波長チャネルchの短波長側の端部にずれる(シフトする)。一方、レーザダイオードLD3の波長λ″3が波長チャネルchの中央部に入る(シフトする)。そこで、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD2からレーザダイオードLD3に切り替える。
逆に、環境温度Tが上がって、環境温度Tになったとする(T>T)。すると、レーザダイオードLD1〜LD5の波長λ1〜λ5は、それぞれがより長い波長λ′1〜λ′5にずれる(シフトする)。そして、図4(b)で説明したのと同様に、レーザダイオードLD2の波長λ′2が波長チャネルchの長波長側の端部にずれる(シフトする)。一方、レーザダイオードLD1の波長λ′1が波長チャネルchの中央部にずれる(シフトする)。そこで、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD2からレーザダイオードLD1に切り替える。
なお、上記では、図4(b)、(c)の符号と合わせるように、環境温度Tが上がった場合に、波長λ′になるとし、環境温度Tが下がった場合に、波長λ″になるとした。
以下では、詳細に点灯させるレーザダイオードLDを切り替える方法を説明する。
図11において、時刻aから時刻nへとアルファベット順に時刻が経過するとする。時刻gと時刻hの間に時刻A、時刻kと時刻lの間に時刻B、時刻cと時刻dの間に時刻Cを設けている。なお、タイミングチャートにおける時刻a、b、c、…は、タイミングチャート毎に異なるとする。
レーザダイオードLD1は、期間U(1)において、レーザダイオードLD2は、期間U(2)において、レーザダイオードLD3は、期間U(3)において、レーザダイオードLD4は、期間U(4)において点灯可能な状態(オン状態に移行可能な状態)になる。ここでは、点灯可能な状態(オン状態に移行可能な状態)にされることを、「点灯制御」されると表記することがある。以下、同様にして番号が5以上のレーザダイオードLDが点灯制御される。
ここでは、期間U(1)、U(2)、U(3)、…は同じ長さの期間とし、それぞれを区別しないときは期間Uと呼ぶ。
信号出力部12の転送信号発生部120からレーザ部品Cのφ1端子(図5、6参照)に送信される転送信号φ1及びφ2端子(図5、6参照)に送信される転送信号φ2は、「H」(0V)と「L」(−3.3V)との2つの電位を有する信号である。そして、転送信号φ1及び転送信号φ2は、連続する2つの期間U(例えば、期間U(1)と期間U(2))を単位として波形が繰り返される。
以下では、「H」(0V)及び「L」(−3.3V)を、「H」及び「L」と省略する場合がある。
転送信号φ1は、期間U(1)の開始時刻bで「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行し、時刻fで「L」から「H」に移行する。そして、期間U(2)の終了時刻iにおいて、「H」から「L」に移行する。
転送信号φ2は、期間U(1)の開始時刻bにおいて「H」(0V)であって、時刻eで「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。そして、期間U(2)の終了時刻iにおいて「L」から「H」に移行する。
転送信号φ1と転送信号φ2とを比較すると、転送信号φ2は、転送信号φ1を時間軸上で期間U後ろにずらしたものに当たる。一方、転送信号φ2は、期間U(1)において、破線で示す波形及び期間U(2)での波形が、期間U(3)以降において繰り返す。転送信号φ2の期間U(1)の波形が期間U(3)以降と異なるのは、期間U(1)はレーザ光発生部6が動作を開始する期間であるためである。
転送信号φ1と転送信号φ2との一組の転送信号は、後述するように、転送サイリスタTのオン状態を番号順に伝播させることにより、オン状態の転送サイリスタTと同じ番号のレーザダイオードLDを、点灯制御の対象として指定(選択)する。指定(選択)するとは、レーザダイオードLDが、点灯可能な状態(オン状態に移行可能な状態)になることである。
次に、信号出力部12の点灯信号発生部140からレーザ部品CのφI端子に送信される点灯信号φIについて説明する。点灯信号φIは、「H」(0V)と「Lo」(−5V)との2つの電位を有する信号である。
ここでは、レーザ部品CのレーザダイオードLD1に対する点灯制御の期間U(2)において、点灯信号φIを説明する。点灯信号φIは、期間U(2)の開始時刻eにおいて「H」(0V)であって、時刻gで「H」(0V)から「Lo」(−5V)に移行する。そして、時刻hで「Lo」から「H」に移行し、時刻iにおいて「H」を維持する。なお、点灯信号φIは、他の時刻において、「H」である。
図5を参照しつつ、図11に示したタイミングチャートにしたがって、レーザ部品Cの動作を説明する。以下では、レーザダイオードLD1、LD2を点灯制御する期間U(1)、U(2)について説明する。なお、レーザダイオードLD2が点灯させたいレーザダイオードである。
(時刻a)
時刻aにおいて、信号出力部12の基準電位供給部160は、基準電位Vsubを「H」(0V)に設定する。電源電位供給部170は、電源電位Vgkを「L」(−3.3V)に設定する。すると、レーザ部品CのVsub端子は「H」になる。同様に、レーザ光発生部6のVgk端子は「L」になる。これにより、レーザ部品Cの裏面電極91が「H」になり、レーザ部品Cの電源線71が「L」になる(図5参照)。
そして、信号出力部12の転送信号発生部120は転送信号φ1、転送信号φ2をそれぞれ「H」(0V)に設定する。これにより、レーザ部品Cのφ1端子及びφ2端子が「H」になる。電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている転送信号線72−1の電位も「H」になり、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている転送信号線72−2も「H」になる。
さらに、信号出力部12の点灯信号発生部140は、点灯信号φIを「H」(0V)に設定する。これにより、レーザ部品CのφI端子が、電流制限抵抗RIを介して「H」になり、φI端子に接続された点灯信号線75も「H」(0V)になる。
転送サイリスタT、設定サイリスタSのアノード端子は裏面電極91に接続されているので、「H」に設定される。
奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…のそれぞれのカソードは、転送信号線72−1に接続され、「H」(0V)に設定される。偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のそれぞれのカソードは、転送信号線72−2に接続され、「H」に設定される。よって、転送サイリスタTは、アノード及びカソードがともに「H」であるためオフ状態にある。
レーザダイオードLDのカソード端子は、「H」(0V)の点灯信号線75に接続されている。すなわち、レーザダイオードLDと設定サイリスタSとは、トンネル接合層85を介して、直列接続されている。レーザダイオードLDのカソードは「H」、設定サイリスタSのアノードは「H」であるので、レーザダイオードLD及び設定サイリスタSは、オフ状態にある。
ゲートGt1は、前述したように、スタートダイオードSDのカソードに接続されている。ゲートGt1は、電源線抵抗Rg1を介して、電源電位Vgk(「L」(−3.3V))の電源線71に接続されている。そして、スタートダイオードSDのアノード端子は転送信号線72−2に接続され、電流制限抵抗R2を介して、「H」(0V)のφ2端子に接続されている。よって、スタートダイオードSDは順バイアスであり、スタートダイオードSDのカソード(ゲートGt1)は、スタートダイオードSDのアノードの電位(「H」(0V))からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値(−1.5V)になる。また、ゲートGt1が−1.5Vになると、結合ダイオードD1は、アノード(ゲートGt1)が−1.5Vで、カソードが電源線抵抗Rg2を介して電源線71(「L」(−3.3V))に接続されているので、順バイアスになる。よって、ゲートGt2の電位は、ゲートGt1の電位(−1.5V)からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−3Vになる。しかし、3以上の番号のゲートGtには、スタートダイオードSDのアノードが「H」(0V)であることの影響は及ばず、これらのゲートGtの電位は、電源線71の電位である「L」(−3.3V)になっている。
なお、ゲートGtはゲートGsであるので、ゲートGsの電位は、ゲートGtの電位と同じである。よって、転送サイリスタT、設定サイリスタSのしきい電圧は、ゲートGt、Gsの電位からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値となる。すなわち、転送サイリスタT1、設定サイリスタS1のしきい電圧は−3V、転送サイリスタT2、設定サイリスタS2のしきい電圧は−4.5V、番号が3以上の転送サイリスタT、設定サイリスタSのしきい電圧は−4.8Vとなっている。
(時刻b)
図11に示す時刻bにおいて、転送信号φ1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。これによりレーザ部品Cは、動作を開始する。
転送信号φ1が「H」から「L」に移行すると、φ1端子及び電流制限抵抗R1を介して、転送信号線72−1の電位が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。すると、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT1がターンオンする。しかし、転送信号線72−1にカソード端子が接続された、番号が3以上の奇数番号の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vであるのでターンオンできない。一方、偶数番号の転送サイリスタTは、転送信号φ2が「H」(0V)であって、転送信号線72−2が「H」(0V)であるのでターンオンできない。
転送サイリスタT1がターンオンすることで、転送信号線72−1の電位は、アノードの電位(「H」(0V))からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。
転送サイリスタT1がターンオンすると、ゲートGt1/Gs1の電位は、転送サイリスタT1のアノードの電位である「H」(0V)になる。そして、ゲートGt2(ゲートGs2)の電位が−1.5V、ゲートGt3(ゲートGs3)の電位が−3V、番号が4以上のゲートGt(ゲートGl)の電位が「L」になる。
これにより、設定サイリスタS1のしきい電圧が−1.5V、転送サイリスタT2、設定サイリスタS2のしきい電圧が−3V、転送サイリスタT3、設定サイリスタS3のしきい電圧が−4.5V、番号が4以上の転送サイリスタT、設定サイリスタSのしきい電圧が−4.8Vになる。
しかし、転送信号線72−1は、オン状態の転送サイリスタT1により−1.5Vに近い電位になっているので、オフ状態の奇数番号の転送サイリスタTはターンオンしない。転送信号線72−2は、「H」(0V)であるので、偶数番号の転送サイリスタTはターンオンしない。点灯信号線75は「H」(0V)であるので、いずれのレーザダイオードLDも点灯しない。
時刻bの直後(ここでは、時刻bにおける信号の電位の変化によってサイリスタなどの変化が生じた後、定常状態になったときをいう。)において、転送サイリスタT1がオン状態にあって、他の転送サイリスタT、設定サイリスタS、レーザダイオードLDはオフ状態にある。
(時刻c)
時刻cは、レーザダイオードLD1をオフ状態からオン状態に移行させて点灯させるタイミングである。しかし、レーザダイオードLD1は点灯させないので、時刻cにおいて、点灯信号φIは「H」(0V)である。よって、レーザダイオードLD1及び設定サイリスタS1はオフ状態を維持する。
時刻cの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にあって、レーザダイオードLD1、設定サイリスタS1はオフ状態である。
(時刻d)
時刻dは、レーザダイオードLD1がオン状態であった場合に、オフ状態に移行させて消灯させるタイミングである。しかし、レーザダイオードLD1は点灯させないので、時刻cから時刻dまでにおいて、点灯信号φIは「H」(0V)である。よって、レーザダイオードLD1、設定サイリスタS1はオフ状態を維持する。
時刻cの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にあって、レーザダイオードLD1、設定サイリスタS1はオフ状態である。
(時刻e)
時刻eにおいて、転送信号φ2が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。ここで、レーザダイオードLD1を点灯制御する期間U(1)が終了し、レーザダイオードLD2を点灯制御する期間U(2)が開始する。
転送信号φ2が「H」から「L」に移行すると、φ2端子を介して転送信号線72−2の電位が「H」から「L」に移行する。前述したように、転送サイリスタT2は、しきい電圧が−3Vになっているので、ターンオンする。これにより、ゲート端子Gt2(ゲート端子Gs2)の電位が「H」(0V)、ゲートGt3(ゲートGs3)の電位が−1.5V、ゲートGt4(ゲートGs4)の電位が−3Vになる。そして、番号が5以上のゲートGt(ゲートGs)の電位が「L」(−3.3V)になる。
これにより、設定サイリスタS2のしきい電圧が−1.5V、転送サイリスタT3、設定サイリスタS3のしきい電圧が−3V、転送サイリスタT4、設定サイリスタS4のしきい電圧が−4.5V、番号が5以上の転送サイリスタT、設定サイリスタSのしきい電圧が−4.8Vになる。
時刻eの直後において、転送サイリスタT1、T2がオン状態にある。
(時刻f)
時刻fにおいて、転送信号φ1が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
転送信号φ1が「L」から「H」に移行すると、φ1端子を介して転送信号線72−1の電位が「L」から「H」に移行する。すると、オン状態の転送サイリスタT1は、アノードとカソードとがともに「H」になって、ターンオフする。すると、ゲートGt1(ゲートGs1)の電位は、電源線抵抗Rg1を介して、電源線71の電源電位Vgk(「L」(−3.3V))に向かって変化する。これにより、結合ダイオードD1が電流の流れない方向に電位が加えられた状態(逆バイアス)になる。よって、ゲートGt2(ゲートGs2)が「H」(0V)である影響は、ゲートGt1(ゲートGs1)には及ばなくなる。すなわち、逆バイアスの結合ダイオードDで接続されたゲートGtを有する転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vになって、「L」(−3.3V)の転送信号φ1又は転送信号φ2ではターンオンしなくなる。
時刻fの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にある。
(時刻g)
時刻gにおいて、点灯信号φIが「H」(0V)から「Lo」(−5V)に移行する。
点灯信号φIが「H」から「Lo」に移行すると、電流制限抵抗RI及びφI端子を介して、点灯信号線75が「H」(0V)から「Lo」(−5V)に移行する。すると、レーザダイオードLDに印加される電圧1.7Vを足した−3.3Vが設定サイリスタS2に印加され、しきい電圧が−1.5Vである設定サイリスタS2がターンオンして、レーザダイオードLD2がオン(点灯)状態になる。これにより、点灯信号線75の電位が−3.2Vに近い電位(絶対値が3.2Vより大きい負の電位)になる。なお、設定サイリスタS3はしきい電圧が−3Vであるが、設定サイリスタS3に印加される電圧は、レーザダイオードLDに印加される電圧1.7Vを−3.2Vに足した−1.5Vになるので、設定サイリスタS3はターンオンしない。
(時刻A)
時刻Aでは、転送サイリスタT2、設定サイリスタS2がオン状態にあって、レーザダイオードLD2がオン(点灯)状態である。なお、レーザダイオードLD2の出射する光は、波長λ2である。このときには、波長λ2は、このレーザ部品Cに指定された波長チャネルchの中央部にある。よって、レーザダイオードLD2をオン(点灯)状態で維持すればよい。すなわち、転送信号φ1、φ2、点灯信号φIを、時刻Aの状態で維持する。
さて、環境温度Tが下がって、環境温度Tになったとする。上述したように、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD2からレーザダイオードLD3に切り替える。以下では、レーザダイオードLD2からレーザダイオードLD3に切り替える方法を説明する。
(時刻h)
時刻hにおいて、点灯信号φIが「Lo」(−5V)から「H」(0V)に移行させる。
点灯信号φIが「Lo」から「H」に移行すると、電流制限抵抗RI及びφI端子を介して、点灯信号線75の電位が−3.2Vから「H」(0V)に移行する。すると、レーザダイオードLD2のカソードと設定サイリスタS2のアノードとがともに「H」になるので設定サイリスタS2がターンオフするとともに、レーザダイオードLD2がオフ(消灯)になる。
時刻hの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にある。
(時刻i)
時刻iにおいて、転送信号φ1を「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行させる。ここで、レーザダイオードLD2を点灯制御する期間U(2)が終了し、レーザダイオードLD3を点灯制御する期間U(3)が開始する。
転送信号φ1が「H」から「L」に移行すると、φ1端子を介して転送信号線72−1の電位が「H」から「L」に移行する。時刻eと同様に、転送サイリスタT3は、しきい電圧が−3Vになっているので、ターンオンする。これにより、ゲート端子Gt3(ゲート端子Gs3)の電位が「H」(0V)、ゲートGt4(ゲートGs4)の電位が−1.5V、ゲートGt5(ゲートGs5)の電位が−3Vになる。そして、番号が6以上のゲートGt(ゲートGs)の電位が「L」(−3.3V)になる。
これにより、設定サイリスタS3のしきい電圧が−1.5V、転送サイリスタT4、設定サイリスタS4のしきい電圧が−3V、転送サイリスタT5、設定サイリスタS5のしきい電圧が−4.5V、番号が6以上の転送サイリスタT、設定サイリスタSのしきい電圧が−4.8Vになる。
時刻iの直後において、転送サイリスタT2、T3がオン状態にある。
(時刻j)
時刻jにおいて、転送信号φ2を「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行させる。
転送信号φ2が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行すると、時刻fと同様に、オン状態の転送サイリスタT2がターンオフする。
時刻jの直後において、転送サイリスタT3がオン状態にある。
(時刻k)
時刻kにおいて、点灯信号φIを破線で示すように「H」(0V)から「Lo」(−5V)に移行させる。
点灯信号φIが「H」(0V)から「Lo」(−5V)に移行すると、時刻gと同様に、しきい電圧が−1.5Vである設定サイリスタS3がターンオンして、レーザダイオードLD3がオン(点灯)状態になる。
(時刻B)
時刻Bにおいて、転送サイリスタT3、設定サイリスタS3がオン状態にあって、レーザダイオードLD3が点灯(発光)している。なお、レーザダイオードLD3の出射する光は、波長λ″2である。このときには、波長λ″2は、このレーザ部品Cに指定された波長チャネルchの中央部にある。よって、レーザダイオードLD3を点灯(発光)させ続ければよい。すなわち、転送信号φ1、φ2、点灯信号φIを、時刻Bの状態で維持する。
一方、環境温度Tが上がって、環境温度Tになったとする。上述したように、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD2からレーザダイオードLD1に切り替える。この場合、転送信号φ1、φ2により、点灯可能な状態をレーザダイオードLD135まで転送させた後、再び、レーザダイオードLD1から順に点灯可能な状態にすればよい。また、信号(転送信号φ1、φ2、点灯信号φI)を「H」にすることでレーザ部品Cを初期化して、レーザダイオードLD1から順に点灯可能な状態にすればよい。この場合は、レーザダイオードLD1をオフ状態からオン(点灯)状態に移行させればよい。そして、転送信号φ1、φ2、点灯信号φIを、時刻Cの状態で維持すればよい。
なお、レーザダイオードLDは、環境温度Tによる波長の変化の傾向から、次に切り替えるレーザダイオードLDが配列の後ろに配置すると、切り替えが速くなる。
以上説明したように、転送サイリスタTのゲート端子Gtは結合ダイオードDによって相互に接続されている。よって、ゲートGtの電位が変化すると、電位が変化したゲートGtに、順バイアスの結合ダイオードDを介して接続されたゲートGtの電位が変化する。そして、電位が変化したゲートを有する転送サイリスタTのしきい電圧が変化する。転送サイリスタTは、しきい電圧が「L」(−3.3V)より高い(絶対値が小さい負の値)と、転送信号φ1又は転送信号φ2が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行するタイミングにおいてターンオンする。
そして、オン状態の転送サイリスタTのゲートGtにゲートGsが接続された設定サイリスタSは、しきい電圧が−1.5Vであるので、点灯信号φIが「H」(0V)から「Lo」(−5V)に移行するとターンオンし、設定サイリスタSに直列接続されたレーザダイオードLDがオン(点灯)状態になる。
すなわち、転送サイリスタTはオン状態になることで、点灯制御の対象であるレーザダイオードLDを指定するとともに、レーザダイオードLDが点灯可能な状態に設定サイリスタSを設定する。そして、「Lo」(−5V)の点灯信号φIにより、設定サイリスタSをターンオンさせるとともに、設定サイリスタSに直列接続されたレーザダイオードLDを点灯させる。
(レーザ部品Cの製造方法)
レーザ部品Cの製造方法について説明する。ここでは、図7(a)に示した設定サイリスタSとレーザダイオードLDとが積層されたアイランド301の断面図で説明する。
図12は、レーザ部品Cの製造方法を説明する図である。図12(a)は、半導体積層体形成工程、図12(b)は、nオーミック電極321形成工程、図12(c)は、トンネル接合層85出しエッチング工程、図12(d)は、電流狭窄層86bにおける電流阻止部β形成工程、図12(e)は、pゲート層83出しエッチング工程、図12(f)は、pオーミック電極331及び裏面電極91形成工程である。
なお、図12(a)〜(f)では、複数の工程をまとめて示す場合がある。
以下順に説明する。
図12(a)に示す半導体積層体形成工程では、p型の基板80上に、pアノード層81、nゲート層82、pゲート層83、nカソード層84、トンネル接合層85、pアノード層86、発光層87、nカソード層88を順にエピタキシャル成長させて、半導体積層体を形成する。なお、図12(a)〜(f)では、p、nと導電型のみを示している。
ここでは、基板80は、p型のGaAsを例として説明するが、n型のGaAs、不純物を添加していないイントリンシック(i)のGaAsでもよい。また、InP、GaN、InAs、その他III−V族、II−VI族材料からなる半導体基板、Si、Ge等のIV族材料からなる半導体基板、又はサファイア等の基板などでもよい。基板を変更した場合、基板上にモノリシックに積層される材料は、基板の格子定数に略整合(歪構造、歪緩和層、メタモルフィック成長を含む)する材料を用いる。一例として、InAs基板上には、InAs、InAsSb、GaInAsSbなどを使用し、InP基板上にはInP、InGaAsPなどを使用し、GaN基板上又はサファイア基板上には、GaN、AlGaN、InGaNを使用し、Si基板上にはSi、SiGe、GaPなどを使用する。ただし、結晶成長後に他の支持基板に貼りつける場合は、支持基板に対して半導体材料が略格子整合している必要はない。また、半導体材料にとどまらず、半導体材料と同様にp型、n型の導電性を有する有機材料を用いた発光部品にも適用してもよい。
pアノード層81は、例えば不純物濃度1×1018/cmのp型のAl0.9GaAsである。Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。なお、GaInPなどでもよい。
nゲート層82は、例えば不純物濃度1×1017/cmのn型のAl0.9GaAsである。Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。なお、GaInPなどでもよい。
pゲート層83は、例えば不純物濃度1×1017/cmのp型のAl0.9GaAsである。Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。なお、GaInPなどでもよい。
nカソード層84は、例えば不純物濃度1×1018/cmのn型のAl0.9GaAsである。Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。なお、GaInPなどでもよい。
トンネル接合層85は、n型の不純物を高濃度に添加したn++層85aとn型の不純物を高濃度に添加したp++層85bとの接合(図12(b)参照。)で構成されている。n++層85a及びp++層85bは、例えば不純物濃度1×1020/cmと高濃度である。なお、通常の接合の不純物濃度は、1017/cm台〜1018/cm台である。n++層85aとp++層85bとの組み合わせ(以下では、n++層85a/p++層85bで表記する。)は、例えばn++GaInP/p++GaAs、n++GaInP/p++AlGaAs、n++GaAs/p++GaAs、n++AlGaAs/p++AlGaAs、n++InGaAs/p++InGaAs、n++GaInAsP/p++GaInAsP、n++GaAsSb/p++GaAsSbである。なお、組み合わせを相互に変更したものでもよい。
pアノード層86は、下側pアノード層86a、電流狭窄層86b、上側pアノード層86cを順に積層して構成されている(図12(c)参照)。
下側pアノード層86a、上側pアノード層86cは、例えば、不純物濃度1×1018/cmのp型のAl0.9GaAsである。Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。なお、GaInPなどでもよい。
電流狭窄層86bは、例えばAlAs又はAlの不純物濃度が高いp型のAlGaAsである。Alが酸化されてAlが形成されることにより、電気抵抗が高くなって、電流経路を狭窄するものであればよい。
発光層87は、井戸(ウエル)層と障壁(バリア)層とが交互に積層された量子井戸構造である。井戸層は、例えばGaAs、AlGaAs、InGaAs、GaAsP、AlGaInP、GaInAsP、GaInPなどであり、障壁層は、AlGaAs、GaAs、GaInP、GaInAsPなどである。
なお、発光層87は、量子線(量子ワイヤ)や量子箱(量子ドット)であってもよい。また、発光層87は井戸(ウエル)層、障壁(バリア)層、及び、これらの層の上下に設けられたスペーサ層の組み合わせで構成してもよい。例えば、共振器構造で構成してもよい。
nカソード層88は、例えば不純物濃度1×1018/cmのn型のAl0.9GaAsである。Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。なお、GaInPなどでもよい。
これらの半導体層は、例えば有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、分子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)などによって積層され、半導体積層体が形成される。
図12(b)に示すnオーミック電極321形成工程では、まず、nカソード層88上に、nオーミック電極321が形成される。
nオーミック電極321は、例えばnカソード層88などn型の半導体層とオーミックコンタクトが取りやすいGeを含むAu(AuGe)などである。
そして、nオーミック電極321は、例えばリフトオフ法などにより形成される。
図12(c)に示すトンネル接合層85出しエッチング工程では、レーザダイオードLDの周囲において、トンネル接合層85上のnカソード層88、発光層87、pアノード層86がエッチングで除去される。
このエッチングは、硫酸系のエッチング液(重量比において硫酸:過酸化水素水:水=1:10:300)などを用いたウェットエッチングで行ってもよく、例えば塩化ホウ素などを用いた異方性ドライエッチング(RIE)で行ってもよい。
図12(d)に示す電流狭窄層86bにおける電流阻止部β形成工程では、トンネル接合層85出しエッチング工程により、側面が露出した電流狭窄層86bを側面から酸化して、電流を阻止する電流阻止部βを形成する。酸化されないで残った部分が電流通過部αとなる。
電流狭窄層86bの側面からの酸化は、例えば、300〜400℃での水蒸気酸化により、AlAs、AlGaAsなどである電流狭窄層86bのAlを酸化させる。このとき、酸化は、露出した側面から進行し、レーザダイオードLDの周囲にAlの酸化物であるAlによる電流阻止部βが形成される。
なお、電流阻止部βは、AlAsの酸化の代わりに、水素(H)を打ち込みによって行ってもよい。すなわち、pアノード層86を下側pアノード層86aと上側pアノード層86cとに分けずに連続して堆積し、電流阻止部βとする部分に水素(H)イオンを打ち込めばよい。これにより、Al0.9GaAsなどが絶縁性となって、電流阻止部βとなる。
図12(e)に示すpゲート層83出しエッチング工程では、トンネル接合層85及びnカソード層84をエッチングして、pゲート層83を露出させる。
このエッチングは、硫酸系のエッチング液(重量比において硫酸:過酸化水素水:水=1:10:300)を用いたウェットエッチングで行ってもよく、例えば塩化ホウ素を用いた異方性ドライエッチングで行ってもよい。
なお、図12(c)に示したトンネル接合層85出しエッチング工程において、トンネル接合層85を露出させる代わりにpゲート層83を露出させると、図10(d)における電流阻止部β形成工程において、pゲート層83に含まれるAlが酸化されるおそれがある。pゲート層83に含まれるAlが酸化されると、表面が荒れたり、後述するpオーミック電極331の接着性が悪くなったりする。そこで、トンネル接合層85を露出させた状態で、電流阻止部β形成工程を行っている。
図12(f)に示すpオーミック電極331及び裏面電極91形成工程では、まず、pゲート層83上に、pオーミック電極331が形成される。
pオーミック電極331は、例えばpゲート層83などp型の半導体層とオーミックコンタクトが取りやすいZnを含むAu(AuZn)などである。
そして、pオーミック電極331は、例えばリフトオフ法などにより形成される。この際、他のpオーミック電極が同時に形成されてもよい。
次に、基板80の裏面に裏面電極91が形成される。
裏面電極91は、pオーミック電極331と同様に、例えばAuZnである。
この他に、保護層90を形成する工程、保護層90にスルーホールを形成する工程、配線(接続配線76、77)を形成する工程、レーザ光が出射する出射面を劈開で形成する工程などが含まれる。
上記では、設定サイリスタSとレーザダイオードLDとが積層されたアイランド301の一部において、レーザ部品Cの製造方法を説明した。
転送サイリスタT、結合ダイオードD、電源線抵抗Rg1、電流制限抵抗R1〜R6が含まれるアイランド302〜306など他のアイランドは、上記の工程に、nカソード層84の表面を露出させる工程と、露出させたnカソード層84上にnオーミック電極322、323などを形成する工程とを付加することで形成される。また、配線を形成する工程では、電源線71、転送信号線72−1、72−2、点灯信号線75などの形成が含まれる。
なお、上記においては、pゲート層83にpオーミック電極331を設けて設定サイリスタSのゲート端子Gsとしたが、nゲート層82に設定サイリスタSのゲート端子Gsを設けてもよい。転送サイリスタTも同様である。
また、pアノード層86に電流狭窄層86bを設ける代わりに、pアノード層81に設けてもよい。
第1の実施の形態では、レーザダイオードLDと設定サイリスタSとを、トンネル接合層85を介して積層している。この場合、レーザダイオードLDがトンネル接合層85において逆バイアスとなるが、トンネル接合は、逆バイアス状態であっても、電流が流れる特性を有する。
なお、トンネル接合層85を設けないと、レーザダイオードLDと設定サイリスタSとの間の接合が逆バイアスになる。このため、レーザダイオードLDと設定サイリスタSとに電流を流すためには、逆バイアスの接合が降伏する電圧を印加することになる。すなわち、駆動電圧が高くなってしまう。
すなわち、レーザダイオードLDと設定サイリスタSとをトンネル接合層85を介して積層することで、トンネル接合層85を介さない場合に比べ、駆動電圧が低く抑えられる。
前述したように、トンネル接合層85は、逆バイアス状態において電流が流れやすい。しかし、トンネル接合でないnカソード層84とpアノード層86との接合は、降伏を生じない逆バイアスの状態において電流が流れにくい。そこで、電流通過部αに対応する部分にトンネル接合層85を形成し、電流阻止部βにトンネル接合層85を形成しないようにしてもよい。この場合、トンネル接合層85を堆積した後、トンネル接合層85の一部をエッチングし、その後、残したトンネル接合層85を埋め込むようにpアノード層86をエピタキシャル成長させる。なお、pアノード層86の代わりに、残したトンネル接合層85の周囲をnカソード層84で埋めてもよい。この構成は、水蒸気酸化が適用しづらい半導体材料を用いる場合に適用されてもよい。
以下では、第1の実施の形態に係るレーザ部品Cの変形例を説明する。以下に示す変形例では、トンネル接合層85の代わりに、金属的な導電性を有し、III−V族の化合物半導体層にエピタキシャル成長するIII−V族化合物層を用いる。この場合、第1の実施の形態の説明における「トンネル接合層85」を以下に説明する「金属的導電性III−V族化合物層85」に読み替えればよい。
図13は、金属的導電性III−V族化合物層を構成する材料を説明する図である。図13(a)は、InNの組成比xに対するInNAsのバンドギャップ、図13(b)は、InNの組成比xに対するInNSbのバンドギャップ、図13(c)は、VI族元素及びIII−V族化合物の格子定数をバンドギャップに対して示す図である。
図13(a)は、組成比x(x=0〜1)のInNと組成比(1−x)のInAsとの化合物であるInNAsに対するバンドギャップエネルギ(eV)を示す。
図13(b)は、組成比x(x=0〜1)のInNと組成比(1−x)のInSbとの化合物であるInNSbに対するバンドギャップエネルギ(eV)を示す。
金属的導電性III−V族化合物層の材料の一例として説明するInNAs及びInNSbは、図13(a)、(b)に示すように、ある組成比xの範囲において、バンドギャップエネルギが負になることが知られている。バンドギャップエネルギが負になることは、バンドギャップを持たないことを意味する。よって、金属と同様な導電特性(伝導特性)を示すことになる。すなわち、金属的な導電特性(導電性)とは、金属と同様に電位に勾配があれば電流が流れることをいう。
図13(a)に示すように、InNAsは、例えばInNの組成比xが約0.1〜約0.8の範囲において、バンドギャップエネルギが負になる。
図13(b)に示すように、InNSbは、例えばInNの組成比xが約0.2〜約0.75の範囲において、バンドギャップエネルギが負になる。
すなわち、InNAs及びInNSbは、上記の範囲において、金属的な導電特性(導電性)を示すことになる。
なお、上記の範囲外のバンドギャップエネルギが小さい領域では、熱エネルギによって電子がエネルギを有するため、わずかなバンドギャップを遷移することが可能であり、バンドギャップエネルギが負の場合や金属と同様に電位に勾配がある場合には電流が流れやすい特性を有している。
そして、InNAs及びInNSbに、Al、Ga、Ag、Pなどが含まれても、組成次第でバンドギャップエネルギを0近傍もしくは負に維持することができ、電位に勾配があれば電流が流れる。
さらに、図13(c)に示すように、GaAs、InPなどのIII−V族化合物(半導体)の格子定数は、5.6Å〜5.9Åの範囲にある。そして、この格子定数は、Siの格子定数の約5.43Å、Geの格子定数の約5.66Åに近い。
これに対して、同様にIII−V族化合物であるInNの格子定数は、閃亜鉛鉱構造において約5.0Å、InAsの格子定数は、約6.06Åである。よって、InNとInAsとの化合物であるInNAsの格子定数は、GaAsなどの5.6Å〜5.9Åに近い値になりうる。
また、III−V族化合物であるInSbの格子定数は、約6.48Åである。よって、InNの格子定数は約5.0Åであるので、InSbとInNとの化合物であるInNSbの格子定数を、GaAsなど5.6Å〜5.9Åに近い値になりうる。
すなわち、InNAs及びInNSbは、GaAsなどのIII−V族化合物(半導体)の層に対してモノリシックにエピタキシャル成長させうる。また、InNAs又はInNSbの層上に、GaAsなどのIII−V族化合物(半導体)の層をモノリシックにエピタキシャル成長させうる。
よって、トンネル接合層85の代わりに、金属的導電性III−V族化合物層を介して、レーザダイオードLDと設定サイリスタSとを直列接続されるように積層すれば、レーザダイオードLDのpアノード層86と設定サイリスタSのnカソード層84とが逆バイアスになることが抑制される。
金属的導電性III−V族化合物層は、電流が流れやすい。しかし、nカソード層84とpアノード層86との接合は、降伏を生じない逆バイアスの状態において電流が流れにくい。そこで、電流通過部αに対応する部分に金属的導電性III−V族化合物層を形成し、電流阻止部βに金属的導電性III−V族化合物層を形成しないようにしてもよい。
以上説明したように、第1の実施の形態に係るレーザ部品Cは、設定サイリスタSとレーザダイオードLDとを積層させている。これにより、レーザ部品Cは、転送サイリスタTと設定サイリスタSとにより、レーザダイオードLDを順に指定(選択)する自己走査型発光素子アレイ(SLED:Self-Scanning Light Emitting Device)となる。これにより、レーザ部品Cに設けられる端子の数が少なくなり、レーザ部品C及びレーザ光発生部6が小型になる。なお、順に指定(選択)することを、転送と表記することがある。
レーザダイオードLDを設定サイリスタS上に設けず、設定サイリスタSをレーザダイオードとして使用することがある。すなわち、設定サイリスタSのpアノード層81とnカソード層84とをクラッド層とし、オン状態におけるnゲート層82とpゲート層83との接合における発光をレーザ光として使用することがある。この場合、転送サイリスタTと設定サイリスタSによる転送特性とレーザダイオード(設定サイリスタS)の発光特性とを別々に(独立して)設定しえない。このため、駆動の高速化、光の高出力化、高効率化、低消費電力化、低コスト化などが図りづらい。
また、例えば、レーザ素子としてサイリスタ(設定サイリスタS)を用い、780nmの光を出射しようとする。この場合、AlGaAsを用いて量子井戸構造を構成しようとすると、Al組成を30%にすることになる。この場合、ゲート出しエッチングをすると、Alが酸化され、ゲート端子が形成できなくなってしまう。
これに対し、第1の実施の形態では、レーザダイオードLDにより発光を行わせ、転送サイリスタT及び設定サイリスタSにより転送を行わせている。これにより、発光と転送とを分離している。設定サイリスタSは発光することを要しない。よって、レーザダイオードLDを量子井戸構造として発光特性などを向上させるととともに、転送サイリスタT及び設定サイリスタSによる転送特性などを向上させ得る。すなわち、発光部102のレーザダイオードLDと、駆動部101の転送サイリスタT及び設定サイリスタSとを別々に(独立して)設定しうる。これにより、駆動の高速化、光の高出力化、高効率化、低消費電力化、低コスト化などが図りやすい。
図14は、複数のレーザ部品Cを用いたレーザ光発生部6を説明する図である。レーザ光発生部6は、波長λ1〜λ1000の光を出射するレーザ部品C、波長λ1001〜λ2000の光を出射するレーザ部品C、さらに異なる波長の光を出射するレーザ部品Cが同一面上に並列に配置されて構成されている。そして、レーザ部品C毎に温度検知部材20が設けられている。そして、制御部10は、演算部11、レーザ部品C毎に設けられた信号出力部12、温度検出部13を備える。そして、温度検出部13は、演算部11及びレーザ部品C毎に設けられた温度検知部材20に接続されている。また、レーザ部品C毎に設けられた信号出力部12に接続されている。
なお、温度検知部材20は、レーザ部品C毎でなく、複数のレーザ部品C毎に設けられてもよく、1個でもよい。
レーザ部品Cは、演算部11の演算結果に基づいて、個別に駆動される。このように、出射する波長域の異なるレーザ部品Cを複数用いることで、広帯域化が図れる。
また、レーザ部品Cには、それぞれ信号出力部12が設けられているので、レーザ部品Cを並列に動作させられる。並列に動作させることで、レーザダイオードLD(波長)の切り替えが高速化される。
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態に係るレーザ光発生部6におけるレーザ部品Cは、転送サイリスタTを用いてレーザダイオードLDを順に選択した。第2の実施の形態に係るレーザ光発生部6におけるレーザ部品Cでは、設定サイリスタSを転送サイリスタとして用いる。他の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、異なる部分を説明する。
第1の実施の形態に係るレーザ部品Cでは、図5において説明したように、設定サイリスタSのゲートGsは、転送サイリスタTのゲートGtと接続されている。よって、設定サイリスタSを転送サイリスタTに置き換えて、転送サイリスタTの動作をさせられる。
図15は、第2の実施の形態に係るレーザ部品Cの等価回路図及びレーザ部品Cを駆動する信号などを出力する信号出力部12を説明する図である。
信号出力部12は、点灯信号発生部140を備えない。
レーザ部品Cは、図5における転送サイリスタTを削除し、設定サイリスタSを転送サイリスタTとしている。他の構成は、図5に示した第1の実施の形態に係るレーザ部品Cと同様である。
第1の実施の形態における図11に示すタイミングチャートにおいて、転送信号φ1、φ2において、「L」を「Lo」にすればよいように考えられる。なお、「Lo」は、第1の実施の形態におけるレーザ部品Cの設定サイリスタSをターンオンさせるとともにレーザダイオードLDを点灯させる電位である。
しかし、転送信号φ1、φ2における「L」を「Lo」にすると、例えば、図11における時刻bから時刻fまでの期間においてレーザダイオードLD1が点灯してしまう。
そこで、レーザダイオードLDを点灯させない場合には、設定サイリスタSをターンオンさせるが、レーザダイオードLDを光量が小さい状態で点灯させる「Lo′」とすることがよい。「Lo′」でのレーザダイオードLDの光量は、後述するレベル“0”のオン状態に当たり、点灯していないと同様な状態である。
図16は、第2の実施の形態に係るレーザ光発生部6の動作を説明するタイミングチャートである。第1の実施の形態で説明した図11と同様な部分は同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分を説明する。ここでも、レーザダイオードLD2を点灯させるとする。
図11における点灯信号φIを設けない。その代わりに、転送信号φ1、φ2を変更している。
時刻bにおいて、転送信号φ1が「H」(0V)から「Lo′」に移行する。すると、転送サイリスタT1がターンオンして、レーザダイオードLD1は、光量が小さい状態で点灯する。
時刻cは、レーザダイオードLD1を点灯させる場合に、「Lo′」から「Lo」(5V)に移行させるタイミングであるが、レーザダイオードLD1を点灯させないので、「Lo′」を維持する。時刻dは、レーザダイオードLD1を点灯させる場合に、「Lo」(5V)から「Lo′」に移行させるタイミングであるが、レーザダイオードLD1を点灯させないので、「Lo′」を維持する。
そして、時刻eにおいて、転送信号φ2が「H」(0V)から「Lo′」に移行する。すると、転送サイリスタT2がターンオンして、レーザダイオードLD2は、光量が小さい状態で点灯する。
次に、時刻fにおいて、転送信号φ1が「Lo′」から「H」(0V)に移行する。すると、転送サイリスタT1がターンオフして、レーザダイオードLD1がオフ状態になる。
そして、時刻gにおいて、転送信号φ2が「Lo′」から「Lo」(5V)に移行すると、レーザダイオードLD2がオン状態になる。
このようにすることで、転送サイリスタTは、図5の転送サイリスタTと設定サイリスタSとの動作を兼ねられる。
そして、第1の実施の形態で説明したように、レーザダイオードLD2を点灯するときは、転送信号φ1、φ2を時刻Aにおける状態に維持する。
そして、環境温度Tが下がって環境温度Tになった場合、レーザダイオードLD2の波長λ″2が波長チャネルch(波長Λ)の端部にずれ、レーザダイオードLD3の波長λ″3が波長チャネルch(波長Λ)の中央部にずれた(シフトした)場合には、レーザダイオードLD2を消灯し、レーザダイオードLD3を点灯し、転送信号φ1、φ2を時刻Bにおける状態を維持すればよい。
また、環境温度Tが上がって環境温度Tになった場合、レーザダイオードLD2の波長λ′2が波長チャネルch(波長Λ)の端部にずれ、レーザダイオードLD1の波長λ′1が波長チャネルch(波長Λ)の中央部にずれた(シフトした)場合には、転送信号φ1、φ2により、点灯可能な状態をレーザダイオードLD135まで転送させた後、再び、レーザダイオードLD1から順に点灯可能な状態にして、レーザダイオードLD1を点灯させればよい。また、すべての信号(転送信号φ1、φ2)を「H」(0V)にすることで、レーザ部品Cを初期化し、レーザダイオードLD1から順に点灯可能な状態にして、レーザダイオードLD1を点灯させればよい。そして、転送信号φ1、φ2を時刻Cにおける状態に維持すればよい。
以上説明したように、第2の実施の形態に係るレーザ光発生部6では、レーザ部品CのレーザダイオードLDは、転送信号φ1、φ2が「Lo′」の場合に、光量の小さい状態で点灯する。しかし、この光量を影響が生じない値に設定すればよい。
そして、転送サイリスタTが設定サイリスタSを兼ねること、点灯信号線75を設けないことにより、レーザ部品Cが小型化される。
なお、レーザ部品Cにおいて、転送特性と発光特性に問題が無い場合には、レーザダイオードLDの代わりに、転送サイリスタTをレーザサイリスタとして構成してもよい。例えば、pアノード層81とnカソード層84とをクラッド層として、レーザ発振させてもよい。このようにすることで、図12(a)において、トンネル接合層85、pアノード層86、発光層87、nカソード層88を積層することを要しない。よって、レーザ部品Cの製造が容易になる。
[第3の実施の形態]
レーザダイオードLDでは、電圧が印加された際に、発振遅れが生じたり、発振が開始しても緩和振動が生じたりして、光強度の変動(ばらつき)が発生する。なお、ここでの光強度は、放射強度(又は光度)をいう。
図17は、レーザダイオードLDの光強度Pの時間変化を示す図である。縦軸は、光強度P、横軸は、時間tである。
時間tにおける“On”のタイミングで、レーザダイオードLDに電圧印加され、“Off”のタイミングで、レーザダイオードLDへの電圧印加が停止されたとする。このとき、理想的な応答波形Riは、“On”のタイミングから“Off”のタイミングまで、予め定められた光強度Pが維持されることである。
よって、“On”のタイミングで発生する発振遅れや緩和振動などにより、光強度Pの変動(ばらつき)、“On”のタイミングから“Off”のタイミングまでに得られる光量(放射エネルギー)の変動(ばらつき)などを生じやすい。このため、発振遅れや緩和振動などのため、“On”のタイミングと“Off”のタイミングとの間の時間を短くしづらい。すなわち、高速な光のスイッチングが行いにくい。
しかし、実際は、“On”のタイミングからレーザダイオードLDが発振を開始するまでに発振遅れ時間tdがある。また、発振が開始しても、光強度Pが変動する緩和振動が発生する(緩和振動波形Rr参照)。そして、緩和振動は、緩和振動持続時間trにおいて継続する。
例えば、発振遅れ時間tdと緩和振動持続時間trとを合わせた時間は、約5nsecである。
しかし、緩和振動持続時間trが経過すると、緩和振動波形Rrで示す光強度Pの変動が収まる。そして、光強度Pは、レーザダイオードLDに流す電流により設定される。
そこで、第3の実施の形態においては、点灯信号φIを二段階で供給する。すなわち、光強度Pをレベル“0/1”で表した場合、レベル“1”に対応する光強度P(レベル“1”のオン状態)とする前に、レベル“0”にみなされる(対応する)弱い光強度P(レベル“0”のオン状態)の期間を設けている。レベル“0”の光強度PとはレーザダイオードLDがオフ状態の光強度である。レベル“1”の光強度Pとは、出射させたい光強度である。
なお、レベルは、“0/1”の2値の代わりに、レベル“m:mは1以上の整数”とレベル“0”との多値であってもよい。以下では、レベル“1”は、レベル“m”を含むとして、レベル“0”とレベル“1”とで説明する。なお、レベルを、論理値と表記してもよい。
図18は、レーザダイオードLDの光強度Pを説明する図である。図18(a)は、電流Iに対する光強度Pを示す図、図18(b)は、時間tに対する光強度Pの変化を示す図である。
図18(a)に示すように、レーザダイオードLDは、電流Iがしきい値電流Ithを超えると、発振を開始する。そこで、しきい値電流Ith以上で光強度Pがレベル“0”とみなされる電流I(“0”)と、光強度Pがレベル“1”に対応する電流I(“1”)とを供給するとする。なお、電流I(“0”)とする際にレーザダイオードLDに印加する電圧をV(“0”)、電流I(“1”)とする際にレーザダイオードLDに印加する電圧をV(“1”)とする。例えば、V(“0”)を1.5Vとし、V(“1”)を1.7Vとする。
そして、図18(b)に示すように、まず、レーザダイオードLDに印加する電圧をV(“0”)とし、レベル“0”のオン状態で点灯(発振)させる。この状態において、発振遅れや緩和振動を生じさせておく。その後、レーザダイオードLDに印加する電圧をV(“1”)とし、レベル“1”のオン状態とする。そして、レーザダイオードLDに印加する電圧を、0V(「H」)とすることで、レーザダイオードLDをオフにする。
V(“0”)が印加されたレーザダイオードLDにV(“1”)の電圧を印加することで、直ちに、レベル“1”のオン状態になる。そして、レベル“1”の期間(図18(b)の期間τ)には、発振遅れや緩和振動の影響を受けない。なお、期間τの前のレベル“0”のオン状態である期間σにおいて、発振遅れや緩和振動を吸収している。
第3の実施の形態に係るレーザ光発生部6は、第1の実施の形態に係るレーザ光発生部6と同様に、レーザダイオードLDが発光素子アレイとして配置されたレーザ部品Cとレーザ部品Cを制御する制御部10とを備える。他の構成は第1の実施の形態と同様であるので、異なる部分を説明する。
図19は、レーザ部品Cの等価回路図及びレーザ部品Cを駆動する信号などを供給する信号出力部12を説明する図である。なお、レーザ部品C及び信号出力部12は、図5に示した第1の実施の形態に係る信号出力部12に比べ、複雑になっている。
(信号出力部12)
信号出力部12は、転送サイリスタTを順にオン状態に設定する信号を発生する転送信号発生部120a、120b、レーザダイオードLDを点灯させる信号を発生する点灯信号発生部140、基準電位Vsubを供給する基準電位供給部160、駆動のための電源電位Vgk1、Vgk2を供給する電源電位供給部170a、170bを備える。
転送信号発生部120aは、転送信号φ1、φ2、スタート信号φs1を、転送信号発生部120bは、転送信号φ3、φ4、スタート信号φs2を発生する。なお、図19では、図示を容易にするために、転送信号発生部120aと転送信号発生部120bとを分けて示している。これらを区別しない場合は、転送信号発生部120と表記することがある。また、転送信号φ1〜φ4をそれぞれ区別しない場合は転送信号φと表記することがある。
点灯信号発生部140は、点灯信号φI1、φI2(区別しない場合は、φIと表記する。)を供給する。
電源電位供給部170aは、電源電位Vgk1を、電源電位供給部170bは、電源電位Vgk2を供給する。なお、図19では、図示を容易にするために、電源電位供給部170aと電源電位供給部170bとを分けて示している。これらを区別しない場合は、電源電位供給部170と表記することがある。なお、電源電位Vgk1、Vgk2を区別しない場合は、Vgkと表記することがある。
(レーザ部品C)
レーザ部品Cは、第1の実施の形態のレーザ部品Cと同様に、レーザダイオードLD1、LD2、LD3、…、設定サイリスタS1、S2、S3、…、転送サイリスタT1、T2、T3、…、結合ダイオードD1、D2、D3、…、電源線抵抗Rg1、Rg2、Rg3、…を備える。なお、図19では、レーザダイオードLD1〜LD8に関連する部分を示す。
奇数番号の結合ダイオードD1、D3、D5、…は、奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…をそれぞれ番号順に2つをペアにして、それぞれのペアの間に設けられている。偶数番号の結合ダイオードD2、D4、D6、…は、偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…をそれぞれ番号順に2つをペアにして、それぞれのペアの間に設けられている。結合ダイオードDの数は、例えば、レーザダイオードLDの数が135個であると、133個である。
レーザ部品Cは、後述する転送信号φ1〜φ4が送信される転送信号線72−1〜72−4(区別しない場合は、転送信号線72と表記する。)に過剰な電流が流れるのを防止するために転送信号線72−1〜72−4のそれぞれに設けられた電流制限抵抗R1〜R4を備える。さらに、レーザ部品Cは、後述するスタート信号φs1、φs2が送信されるスタート信号線73−1、73−2(区別しない場合は、スタート信号線73と表記する。)に過剰な電流が流れるのを防止するためにスタート信号線73−1、73−2のそれぞれに設けられた電流制限抵抗R5、R6を備える。なお、電流制限抵抗R1〜R6を電流制限抵抗Rと表記することがある。
ここでは、転送サイリスタT1、T2、T3、…、設定サイリスタS1、S2、S3、…、電源線抵抗Rg1、Rg2、Rg3、…、結合ダイオードD1、D2、D3、…、複数の電流制限抵抗R1〜R6、転送信号線72−1〜72−4、スタート信号線73−1、73−2、後述する点灯信号線75−1、75−2などにより駆動部101が構成され、レーザダイオードLD1、LD2、LD3、…による発光素子(レーザ素子)アレイにより発光部102が構成される。
次に、レーザ部品Cにおける各素子の電気的な接続について説明する。
転送サイリスタT、設定サイリスタSのそれぞれのアノードは、レーザ部品Cの基板80に接続される(アノードコモン)。
そして、これらのアノードは、基板80の裏面に設けられたVsub端子である裏面電極91(第1の実施の形態における図6(b)参照)を介して、基準電位供給部160から基準電位Vsubが供給される。
なお、この接続はp型の基板80を用いた際の構成であり、n型の基板を用いる場合には極性が逆となり、不純物を添加していないイントリンシック(i)型(半絶縁性又は絶縁性)の基板を用いる場合は、駆動部101及び発光部102が設けられる側に、基準電位Vsubと接続される端子が設けられる。
レーザダイオードLDのアノードは、同じ番号の設定サイリスタSのカソードに接続される。
設定サイリスタSのゲートGsは、同じ番号の転送サイリスタTのゲートGtに接続される。
転送サイリスタTの配列に沿って、奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、T7、…の内、n(nは1以上の整数)を転送サイリスタTの番号とする場合、1+4×(n−1)の番号の転送サイリスタT(図19では転送サイリスタT1、T5、…)のカソードは、転送信号線72−1に接続される。そして、転送信号線72−1は、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている。このφ1端子には、転送信号発生部120aから転送信号φ1が送信される。
また、奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、T7、…の内、3+4×(n−1)の番号の転送サイリスタT(図19では転送サイリスタT3、T7、…)のカソードは、転送信号線72−2に接続される。そして、転送信号線72−2は、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている。このφ2端子には、転送信号発生部120aから転送信号φ2が送信される。
そして、1+4×(n−1)の番号の転送サイリスタT(図19では転送サイリスタT1、T5、…)のゲートGtは、同じ番号の結合ダイオードDのアノードに接続される。
この結合ダイオードDのカソードは、3+4×(n−1)の番号の転送サイリスタT(図19では転送サイリスタT3、T7、…)のゲートGtに接続される。
なお、ゲートGt1のアノードは、電流制限抵抗R5を介してφs1端子に接続される。このφs1端子には、転送信号発生部120aからスタート信号φs1が送信される。
転送サイリスタTの配列に沿って、偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、T8、…の内、n(nは1以上の整数)を転送サイリスタTの番号とする場合、2+4×(n−1)の番号の転送サイリスタT(図19では転送サイリスタT2、T6、…)のカソードは、転送信号線72−3に接続される。そして、転送信号線72−3は、電流制限抵抗R3を介してφ3端子に接続される。このφ3端子には、転送信号発生部120bから転送信号φ3が送信される。
また、偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、T8、…の内、4+4×(n−1)の番号の転送サイリスタT(図19では転送サイリスタT4、T8、…)のカソードは、転送信号線72−4に接続される。そして、転送信号線72−4は、電流制限抵抗R4を介してφ4端子に接続されている。このφ4端子には、転送信号発生部120bから転送信号φ4が送信される。
そして、2+4×(n−1)の番号の転送サイリスタT(図19では転送サイリスタT2、T6、…)のゲートGtは、同じ番号の結合ダイオードDのアノードに接続される。
この結合ダイオードDのカソードは、4+4×(n−1)の番号の転送サイリスタT(図19では転送サイリスタT4、T8、…)のゲートGtに接続される。
なお、ゲートGt2のアノードは、電流制限抵抗R6を介してφs2端子に接続される。このφs2端子には、転送信号発生部120bからスタート信号φs2が送信される。
奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、T7、…のゲートGt1、Gt3、Gt5、Gt7、…は、同じ番号の電源線抵抗Rgを介して、電源線71−1に接続される。電源線71−1は、Vgk1端子に接続される。このVgk1端子には、電源電位供給部170aから電源電位Vgk1が供給される。
また、偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、T8、…のゲートGt2、Gt4、Gt6、Gt8、…は、同じ番号の電源線抵抗Rgを介して、電源線71−2に接続される。電源線71−2は、Vgk2端子に接続される。このVgk2端子には、電源電位供給部170bから電源電位Vgk2が供給される。
奇数番号のレーザダイオードLD1、LD3、LD5、LD7、…のカソードは、点灯信号線75−1を介して、φI1端子に接続される。このφI1端子には、レーザ部品Cの外側に設けられた電流制限抵抗RI1を介して、点灯信号発生部140から点灯信号φI1が送信される。
偶数番号のレーザダイオードLD2、LD4、LD6、LD8、…のカソードは、点灯信号線75−2を介して、φI2端子に接続される。このφI2端子には、レーザ部品Cの外側に設けられた電流制限抵抗RI2を介して、点灯信号発生部140から点灯信号φI2が送信される。
なお、点灯信号線75−1、75−2を区別しない場合は、点灯信号線75と表記する。
そして、電流制限抵抗RI1、RI2は、レーザ部品Cの内部に設けられもよい。電流制限抵抗RI1、RI2は、電流制限抵抗RIと表記することがある。
以上説明したように、第1の実施の形態に係るレーザ部品Cは、奇数番号のレーザダイオードLD1、LD3、LD5、…の組(奇数番号のレーザダイオードLDの組)と、偶数番号のレーザダイオードLD2、LD4、LD6、…の組(偶数番号のレーザダイオードLDの組)とが独立して構成され、レーザダイオードLDの番号順に組み合わされた構成となっている。
なお、レーザ部品Cの平面レイアウト及び断面構造は、図6に示した第1の実施の形態に係るレーザ部品Cの一部を変更すればよい。よって、説明を省略する。
(レーザ光発生部6の動作)
<タイミングチャート>
図20は、第3の実施の形態に係るレーザ光発生部6の動作を説明するタイミングチャートである。
図20のタイミングチャートは、レーザ部品Cの8個のレーザダイオードLD1〜LD8の点灯を制御(点灯制御と表記する。)する部分を示す。なお、図20では、環境温度Tが基準の環境温度Tにあるとき、レーザダイオードLD2を点灯させるとする。すなわち、レーザダイオードLD2の出射する波長λ2が、レーザ部品Cが属する波長Λの波長チャネルchの中央部にあるとする。
よって、レーザダイオードLD1及びレーザダイオードLD3、LD4、LD5、…は点灯させない。
ここで、環境温度Tが下がって、環境温度Tになったとする(T<T)。すると、レーザダイオードLD1〜LD8の波長λ1〜λ8は、それぞれがより短い波長λ″1〜λ″8にずれる(移行する)。そして、図4(b)とは逆であるが、レーザダイオードLD2の波長λ″2が波長チャネルchの短波長側の端部にシフトする。一方、レーザダイオードLD3の波長λ″3が波長チャネルchの中央部にシフトする。そこで、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD2からレーザダイオードLD3に切り替える。
逆に、環境温度Tが上がって、環境温度Tになったとする(T>T)。すると、レーザダイオードLD1〜LD8の波長λ1〜λ8は、それぞれがより長い波長λ′1〜λ′8にずれる(移行する)。そして、図4(b)で説明したのと同様に、レーザダイオードLD2の波長λ′2が波長チャネルchの長波長側の端部にシフトする。一方、レーザダイオードLD1の波長λ′1が波長チャネルchの中央部にシフトする。そこで、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD2からレーザダイオードLD1に切り替える。
図20において、時刻aから時刻wへとアルファベット順に時刻が経過するとする。レーザダイオードLD1は、期間U(1)(時刻aから時刻f)において、レーザダイオードLD2は、期間U(2)(時刻aから時刻k)において、レーザダイオードLD3は、期間U(3)(時刻fから時刻p)において、点灯制御される。以下、同様にして番号が4以上のレーザダイオードLDが点灯制御される。なお、期間U(1)は、レーザ部品Cの起動の期間であって、他の期間と異なる。期間U(2)、U(3)、U(4)、…は同じ長さの期間とし、それぞれを区別しないときは期間Uと呼ぶ。
そして、例えば、レーザダイオードLD2が点灯制御される期間U(2)の後半の時刻eから時刻kの間は、レーザダイオードLD3が点灯制御される期間U(3)の前半と重なっている。つまり、奇数番号のレーザダイオードLDの組の点灯制御の期間Uと、偶数番号のレーザダイオードLDの組の点灯制御の期間Uとは、期間Uの1/2ずれている。
φ1端子〜φ4端子に送信される転送信号φ1〜φ4、及び、φ1s、φs2端子に送信されるスタート信号φs1、φs2は、「H」(0V)と「L」(−3.3V)との2つの電位を有する信号である。
スタート信号φs1は、奇数番号の転送サイリスタTにおけるオン状態の伝播を開始させる。同様に、スタート信号φs2は、偶数番号の転送サイリスタTにおけるオン状態の伝播を開始させる。
スタート信号φs1は、時刻aにおいて「H」、時刻gで「H」から「L」に移行し、その後「L」を維持する。
スタート信号φs2は、時刻aにおいて「L」で時刻bで「L」から「H」に移行する。そして、時刻lで「H」から「L」に移行し、その後「L」を維持する。
転送信号φ1〜φ4は、連続する2つの期間U(例えば、期間U(3)と期間U(5)、又は、期間U(2)と期間U(4))を単位として波形が繰り返される。
転送信号φ1は、時刻aにおいて「L」、時刻gで「L」から「H」に移行する。そして、時刻pで「H」から「L」に移行し、時刻tで「L」から「H」に移行する。以後同様に繰り返す。すなわち、時刻fから開始する期間U(3)と時刻rで終了する期間U(4)とを繰り返し単位とする。
転送信号φ2は、時刻aにおいて「H」、時刻fで「H」から「L」に移行する。そして、時刻qで「L」から「H」に移行し、時刻sで「H」から「L」に移行する。以後同様に繰り返す。すなわち、時刻aから開始する期間U(1)と時刻pで終了する期間U(3)とを繰り返し単位とする。
転送信号φ2は、転送信号φ1の繰り返し波形を期間Uずらした波形である。
転送信号φ3は、転送信号φ1を期間Uの1/2ずらした波形である。また、転送信号φ4は、転送信号φ2を期間Uの1/2ずらした波形である。
点灯信号φI1、φI2は、「H」(0V)、「L(“0”)」、「L(“1”)」の少なくとも3つの電位を有する信号である。例えば、「L(“0”)」は、レーザダイオードLDをレベル“0”のオン状態にするV(“0”)の−1.5Vと、設定サイリスタSに印加される−3.3Vとの和−4.8Vである。また、「L(“1”)」は、レーザダイオードLDをレベル“1”のオン状態にするV(“1”)の−1.7Vと、設定サイリスタSに印加される−3.3Vの和−5.0Vである。なお、図20では、光強度の差を示すために、点灯信号φI1、φI2の電圧は、比例関係に基づいた記載にしていない。
レーザダイオードLD2を点灯させる期間U(2)で点灯信号φI2を説明すると、点灯信号φI2は、時刻aで「H」である。そして、時刻cで「H」から「L(“0”)」に移行する。そして、時刻iで「L(“0”)」から「L(“1”)」に移行し、時刻jで「L(“1”)」から「H」に移行する。そして、時刻kで「H」を維持する。
なお、他のレーザダイオードLDを点灯する場合には、これを期間Uずらせばよい。点灯信号φI1は、点灯信号φI2を期間Uの1/2ずらした波形である。なお、時刻cから時刻iまでの期間がレベル“0”のオン状態である期間σ、時刻iから時刻jまでの期間がレベル“1”のオン状態である期間τである。
なお、後述するように、「H」(0V)の期間の代わりに、正(+)の電位とした期間「H(+)」としてもよい。
次に、図19を参照しつつ、図20によりレーザダイオードLDの点灯制御について説明する。図20において、レーザダイオードLDのオン状態(レベル“0”のオン状態及びレベル“1”のオン状態)を斜線で示している。
まず、奇数番号のレーザダイオードLDの組の点灯制御を説明する。
(時刻a)
時刻aにおいて、スタート信号φs1が「H」であると、転送サイリスタT1のゲートGt1が「H」(0V)になる。前述したように、サイリスタのしきい電圧は、ゲートの電位からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値であるので、転送サイリスタT1のしきい電圧は、−1.5Vになる。
なお、転送サイリスタT3のゲートGt3は、結合ダイオードD1を介して、−1.5Vになる。よって、転送サイリスタT3のしきい電圧は、−3.0Vになる。また、転送サイリスタT5のゲートGt5は、結合ダイオードD3を介して、−3Vになる。よって、転送サイリスタT5のしきい電圧は、−4.5Vになる。また、番号が7以上の転送サイリスタTは、ゲートGtが電源線抵抗Rgを介して、電源電位Vgk1の「L(−3.3V)」であるので、しきい電圧が−4.8Vである。
このとき、転送信号φ1は、「L」(−3.3V)であって、転送サイリスタT1のしきい電圧(−1.5V)より絶対値において大きい。よって、転送サイリスタT1がターンオンし、ゲートGt1を「H」(0V)に維持する。なお、転送信号φ1が送信される転送サイリスタT5などのしきい電圧(−4.5V)は、転送信号φ1の「L」(−3.3V)より絶対値において大きいので、ターンオンしない。
一方、転送信号φ2は、「H」(0V)であるので、転送サイリスタT3、T7、…などは、カソード及びアノード(基板80)がともに「H」(0V)となり、ターンオンしない。
設定サイリスタSのゲートGs1は、ゲートGt1に接続されているので、ゲートGt1が「H」(0V)になると、「H」(0V)になる。よって、設定サイリスタSのしきい電圧が−1.5Vとなって、オン状態に移行しうる状態に設定される。
時刻aは、レーザダイオードLD1を点灯させる場合に、点灯信号φI1を「H」から「L(“0”)」とするタイミングであるが、前述したように、レーザダイオードLDを点灯させないので、「H」である。よって、レーザダイオードLD1は、オフ状態である。
(時刻d)
時刻b、cは、奇数番号のレーザダイオードLDには関係しない。
時刻dは、レーザダイオードLD1を点灯させる場合には、点灯信号φI1を「L(“0”)」から「L(“1”)」(−5.0V)とするタイミングであるが、レーザダイオードLD1を点灯させないので、点灯信号φI1は「H」(0V)である。
よって、レーザダイオードLD1は、オフ状態である。
(時刻e)
時刻eは、レーザダイオードLD1を点灯させる場合には、点灯信号φI1を「L(“1”)」から「H」(0V)にするタイミングであるが、レーザダイオードLD1を点灯させないので、点灯信号φI1は「H」(0V)である。
(時刻f)
時刻fにおいて、転送信号φ2を「H」(0V)から「L」(−3.3V)にすると、しきい電圧が−3.0Vである転送サイリスタT3がターンオンする。そして、ゲートGt2を0Vにする。これにより、設定サイリスタS3のゲートGs3が0Vになる。すると、設定サイリスタS3は、しきい電圧が−1.5Vになり、オン状態へ移行可能な状態に設定される。
また、転送サイリスタT5のゲートGt5が、結合ダイオードD3を介して、−1.5Vになるので、転送サイリスタT5のしきい電圧が−3Vになる。
このとき、点灯信号φI1は、「H」であるので、設定サイリスタS3はターンオンせず、レーザダイオードLD3は点灯しない。
ここでは、転送サイリスタT1、T3が共にオン状態になる。
(時刻g)
時刻gにおいて、スタート信号φs1を「H」から「L」にするとともに、転送信号φ1を「L」から「H」にする。
すると、転送サイリスタT1は、カソードとアノードとがともに「H」になり、ターンオフする。また、ゲートGt1が「L」(−3.3V)になって、転送サイリスタT1のしきい電圧が−4.8Vになる。
すなわち、転送サイリスタT1がオフ状態になることから、転送サイリスタT1から転送サイリスタT3へオン状態が転送される(伝播する)。
(時刻h)
時刻hにおいて、点灯信号φI1が「H」から「L(“0”)」になると、設定サイリスタS3がターンオンするとともに、レーザダイオードLD3がレベル“0”のオン状態になる。レベル“0”のオン状態にすることで、レーザダイオードLD2に発振遅れ及び緩和振動を生じさせて安定な状態にする。
(時刻A)
時刻iは、奇数番号のレーザダイオードLDには関係しない。
時刻Aは、後述するレーザダイオードLD2がオン(点灯)状態であって、その状態を維持するタイミングである。よって、このタイミングにおける転送信号φ1、φ2、点灯信号φI1の状態が維持される。
レーザダイオードLD3をレベル“0”のオン状態にするのは、環境温度Tのずれにより、レーザダイオードLD2を消灯して、レーザダイオードLD3を点灯する場合に備えるためである。
次に、偶数番号のレーザダイオードLDの点灯制御について説明する。
(時刻a)
時刻aにおいて、スタート信号φs2が「L」、転送信号φ3が「H」、転送信号φ4が「H」である。すると、図19から分かるように、転送サイリスタT2のゲートGt2が「L」(−3.3V)であるので、転送サイリスタT2のしきい電圧が−4.8Vである。同様に、設定サイリスタS2のゲートGt2も「L」(−3.3V)であって、設定サイリスタS2のしきい電圧が−4.8Vである。
転送信号φ3が「H」であるために、転送サイリスタT3の転送信号φ3が供給されるカソードとアノード(基板80)がともに「H」(0V)であるので、転送サイリスタT3はオフ状態である。
また、点灯信号φI2が「H」(0V)であるので、設定サイリスタS3及びレーザダイオードLD3はオフ状態である。
なお、着目するレーザダイオードLDに関係しない他のサイリスタ(転送サイリスタT、設定サイリスタS)、他のレーザダイオードLDについては、奇数番号のレーザダイオードLDで説明したのと同様であるので、説明を省略する。
(時刻b)
スタート信号φs2が「L」から「H」になると、転送サイリスタT2のゲートGt2及び設定サイリスタS2のゲートGs2がともに、「H」(0V)となって、転送サイリスタT2及び設定サイリスタS2のしきい電圧が−1.5Vになる。
そして、転送サイリスタT2のカソードに供給される転送信号φ3が「H」から「L」(−3.3V)になるので、転送サイリスタT2がターンオンする。
なお、点灯信号φI2が「H」に維持されているので、設定サイリスタS2はターンオンせず、レーザダイオードLD2もオフ状態である。
(時刻c)
時刻cは、レーザダイオードLD2を点灯させるために、点灯信号φI2を「H」から「L(“0”)」とするタイミングである。点灯信号φI2が「H」から「L(“0”)」になると、設定サイリスタS2がターンオンして、レーザダイオードLD2がレベル“0”のオン状態になる。
(時刻i)
時刻d〜hは、偶数番号のレーザダイオードLDの点灯制御には関係しない。
時刻iは、レーザダイオードLD2を点灯させるために、点灯信号φI2を「L(“0”)」から「L(“1”)」とするタイミングである。点灯信号φI2が「L(“0”)」から「L(“1”)」になると、レーザダイオードLD2がレベル“1”のオン(点灯)状態になる。
(時刻A)
時刻Aは、レーザダイオードLD2を点灯し、その状態で維持するタイミングである。よって、このタイミングにおける転送信号φ3、φ4、点灯信号φI2の状態が維持される。
さて、環境温度Tが下がって、環境温度Tになったとする(T<T)。上述したように、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD2からレーザダイオードLD3に切り替える。以下では、レーザダイオードLD2からレーザダイオードLD3に切り替える方法を説明する。
まず、奇数番号のレーザダイオードLDの点灯制御について説明する。
(時刻n)
時刻j、k、l、mは、奇数番号のレーザダイオードLDの点灯制御には関係しない。
時刻nは、レーザダイオードLD3を点灯させるために、点灯信号φI1を「L(“0”)」から「L(“1”)」とするタイミングである。点灯信号φI1が「L(“0”)」から「L(“1”)」になると、レーザダイオードLD3がレベル“1”のオン(点灯)状態になる。
(時刻B)
時刻Bは、レーザダイオードLD3を点灯し、その状態で維持するタイミングである。よって、このタイミングにおける転送信号φ1、φ2、点灯信号φI1の状態が維持される。
次に、偶数番号のレーザダイオードLDの点灯制御について説明する。
(時刻j)
時刻jにおいて、点灯信号φI2を「L(“1”)」から「H」(0V)にすると、レーザダイオードLD2のカソードと設定サイリスタS2のアノード(基板80)とがともに「H」(0V)になるため、設定サイリスタS2がターンオフするとともに、レーザダイオードLD2がオフ状態となって消灯する。
このとき、点灯信号φI2を「H」(0V)より+側の電位(図20の点灯信号φI1において破線で示す「H(+)」)に設定してもよい。+側の電位にすることで、設定サイリスタSのnゲート層82、pゲート層83から電荷(キャリア)が引き抜かれ、より高速にレーザダイオードLD2が消灯する。
(時刻k)
時刻kにおいて、転送信号φ4を「H」(0V)から「L」(−3.3V)にすると、時刻fにおける転送サイリスタT3と同様に、しきい電圧が−3.0Vである転送サイリスタT4がターンオンする。そして、ゲートGt4を0Vにする。これにより、設定サイリスタS4のゲートGs4が0Vになる。すると、設定サイリスタS4は、しきい電圧が−1.5Vになり、オン状態へ移行可能な状態に設定される。
また、転送サイリスタT6のゲートGt6が、結合ダイオードD4を介して、−1.5Vになるので、転送サイリスタT6のしきい電圧が−3Vになる。
このとき、点灯信号φI2は、「H」であるので、設定サイリスタS4はターンオンせず、レーザダイオードLD4は点灯しない。
ここでは、転送サイリスタT2、T4が共にオン状態になる。
(時刻l)
時刻lにおいて、スタート信号φs2を「H」から「L」にするとともに、転送信号φ3を「L」から「H」にする。
すると、時刻gの転送サイリスタT1と同様に、転送サイリスタT2は、カソードとアノードとがともに「H」になり、ターンオフする。
すなわち、転送サイリスタT2がオフ状態になることから、転送サイリスタT2から転送サイリスタT4へオン状態が転送される(伝播する)。
(時刻m)
時刻mにおいて、点灯信号φI2が「H」から「L(“0”)」になると、時刻hにおける設定サイリスタS3、レーザダイオードLD3と同様に、設定サイリスタS4がターンオンするとともに、レーザダイオードLD4がレベル“0”のオン状態になる。レベル“0”のオン状態にすることで、レーザダイオードLD2に発振遅れ及び緩和振動を生じさせて安定な状態にする。
(時刻B)
時刻nは、偶数番号のレーザダイオードLDには関係しない。
時刻Bは、上述したように、レーザダイオードLD3を点灯し、その状態で維持するタイミングである。よって、このタイミングにおける転送信号φ3、φ4、点灯信号φI2の状態が維持される。
レーザダイオードLD4をレベル“0”のオン状態にするのは、環境温度Tのずれにより、レーザダイオードLD3を消灯して、レーザダイオードLD4を点灯する場合に備えるためである。
標準の環境温度Tにおける出射波長λが長い側に、レーザダイオードLDを切り替えていく場合は、上記のように、番号の順にレーザダイオードLDを切り替えていけばよい。
次に、環境温度Tが上がって、環境温度Tになったとする(T>T)。上述したように、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD2からレーザダイオードLD1に切り替える。この場合、転送信号φ1、φ2、φ3、φ4により、点灯可能な状態をレーザダイオードLD135まで転送させた後、再び、レーザダイオードLD1から順に点灯可能な状態にして、レーザダイオードLD1を点灯させればよい。また、すべての信号(転送信号φ1、φ2、φ3、φ4、スタート信号φs1、φs2、点灯信号φI1、φI2)を「H」(0V)にすることで、レーザ部品Cを初期化し、レーザダイオードLD1から順に点灯可能な状態にして、レーザダイオードLD1を点灯させればよい。
そして、転送信号φ1、φ2、φ3、φ4、スタート信号φs1、φs2、点灯信号φI1、φI2を、時刻Cの状態で維持すればよい。
以上説明したように、転送サイリスタTのゲート端子Gtは結合ダイオードDによって相互に接続されている。よって、ゲートGtの電位が変化すると、電位が変化したゲートGtに、順バイアスの結合ダイオードDを介して接続されたゲートGtの電位が変化する。そして、電位が変化したゲートを有する転送サイリスタTのしきい電圧が変化する。転送サイリスタTは、しきい電圧が電源電位Vgk1、Vgk2(「L」(−3.3V))より高い(絶対値が小さい負の値)と、転送信号φ(転送信号φ1〜φ4)が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行するタイミングにおいてターンオンする。
そして、オン状態の転送サイリスタTのゲートGtにゲートGsが接続された設定サイリスタSは、しきい電圧が−1.5Vであるので、点灯信号φI(点灯信号φI1、φI2)が「H」(0V)から「L(“0”)」に移行するとターンオンし、レベル“0”のオン状態になる。そして、点灯信号φI(点灯信号φI1、φI2)が「L(“0”)」から「L(“1”)」に移行するとレーザダイオードLDは、レベル“1”のオン(点灯)状態になる。
すなわち、転送サイリスタTはオン状態になることで、点灯制御の対象であるレーザダイオードLDを指定し、「L(“0”)」の点灯信号φI(点灯信号φI1、φI2)は、点灯制御の対象であるレーザダイオードLDに直列接続された設定サイリスタSをターンオンするとともに、レーザダイオードLDをレベル“0”のオン状態に移行させ、「L(“1”)」の点灯信号φI(点灯信号φI1、φI2)は、レーザダイオードLDをレベル“1”のオン(点灯)状態にする。
そして、奇数番号のレーザダイオードLDの組に属する転送サイリスタTをスタート信号φs1、転送信号φ1、φ2を用いて駆動することで、奇数番号のレーザダイオードLDの組を点灯制御する。偶数番号のレーザダイオードLDの組に属する偶数番号の転送サイリスタTをスタート信号φs2、転送信号φ3、φ4を用いて駆動することで、偶数番号のレーザダイオードLDの組を点灯制御する。そして、奇数番号のレーザダイオードLDの組のレベル“1”での点灯期間と、偶数番号のレーザダイオードLDの組のレベル“1”での点灯期間とを、時間軸上において交互に設けている。すなわち、奇数番号のレーザダイオードLDの組を転送させる転送路と、偶数番号のレーザダイオードLDの組を転送させる転送路とのように、組毎に複数の転送路を設けている。そして、偶数番号又は奇数番号のいずれか一方のレーザダイオードLDの組のレベル“1”での点灯期間に、偶数番号又は奇数番号のいずれか他方のレーザダイオードLDの組のレベル“0”での点灯期間を設けることで、レベル“1”でのレーザダイオードLDの点灯が、短い間隔で切り替えている。すなわち、光を出射させるレーザダイオードLDが高速に切り替えられることになる(応答させられる)。例えば、時刻jから時刻nまでに相当する期間で切り替えられる。なお、奇数番号のレーザダイオードLDの組のみを用いた場合には、例えば、時刻eから時刻iまでに相当する期間で切り替えることになる。
なお、レベル“0”の期間σは、発振の遅れや緩和振動の状態によって設定すればよい。
ここでは、転送路を奇数番号のレーザダイオードLDの組と偶数番号のレーザダイオードLDの組との二つ(二段)設けたが、より高速に応答させるために転送路を三つ(三段)以上としてもよい。
なお、レーザダイオードLDをレベル“0”のオン状態に常時維持するようにしてもよい。すなわち、レーザダイオードLDに直流電圧(直流バイアス)を印加して、レベル“0”のオン状態にすればよい。
また、第3の実施の形態を第2の実施の形態に適用してもよい。
なお、第3の実施の形態に係るレーザ部品Cでは、スタート信号φs1、φs2を用いたが、第1の実施の形態に係るレーザ部品Cと同様に、スタートダイオードSDを用いる構成としてもよい。
[第4の実施の形態]
第1の実施の形態に係るレーザ部品Cでは、番号の順(配列された方向)にレーザダイオードLDが切り替えられて点灯制御された。これに対して、第4の実施の形態では、点灯制御の途中において、次に点灯制御するレーザダイオードLDを番号の順(配列された方向)又は番号の逆順(配列された方向の逆方向)に切り替えられる。
第4の実施の形態は、以下に説明するレーザ部品C及び信号出力部12の部分を除いて、第1の実施の形態と同様である。よって、異なる部分を説明し、同様の部分の説明を省略する。なお、レーザ部品C及び信号出力部12においても、同様の部分は同じ符号を付して説明を省略する。
図21は、第4の実施の形態に係るレーザ部品Cの等価回路図及びレーザ部品Cを駆動する信号などを出力する信号出力部12を説明する図である。ここでは、レーザ部品Cは、レーザダイオードLD1〜LD7に対応する部分を示している。これ以降は繰り返しである。
(信号出力部12)
信号出力部12における転送信号発生部120は、スタート信号φsと転送信号φ1、φ2、φ3(区別しない場合は、転送信号φと表記する。)とを出力(送信)する。
(レーザ部品C)
レーザ部品Cは、結合ダイオードD1、D2、D3、…に並列に設けられた結合ダイオードD′1、D′2、D′3、…(区別しない場合は結合ダイオードD′と表記する。)を備える。なお、結合ダイオードD′の電流が流れる向きは、結合ダイオードDと逆になるように接続されている。
そして、結合ダイオードD1のアノードと結合ダイオードD′1のカソードとは、φs端子に接続されている。φs端子には、信号出力部12からスタート信号φsが送信される。
ここでは、レーザダイオードLDは、標準の環境温度Tにおける出射波長λが長くなるように番号順に配列されているとする。
そして、レーザ部品Cは、転送信号線72−1、72−2、72−3(区別しない場合は、転送信号線72と表記する。)とスタート信号線73、電流制限抵抗R1、R2、R3、Rs(区別しない場合は、電流制限抵抗Rと表記する。)を備える。転送信号線72−1は、電流制限抵抗R1を介して、φ1端子に接続されている。φ1端子には、転送信号発生部120から転送信号φ1が送信される。転送信号線72−2は、電流制限抵抗R2を介して、φ2端子に接続されている。φ2端子には、転送信号発生部120から転送信号φ2が送信される。転送信号線72−3は、電流制限抵抗R3を介して、φ3端子に接続されている。φ3端子には、転送信号発生部120から転送信号φ3が送信される。スタート信号線73は、電流制限抵抗Rsを介して、φs端子に接続されている。φs端子には、転送信号発生部120からスタート信号φsが送信される。
そして、レーザダイオードLD、設定サイリスタS、転送サイリスタTが番号順に3つの組に分けられている。すなわち、レーザダイオードLD1、LD4、LD7、…など、番号が1+3×(n−1)(nは1以上の整数。以下同じ。)で構成された第1組と、レーザダイオードLD2、LD5、…など、番号が2+3×(n−1)で構成された第2組と、レーザダイオードLD3、LD6、…など、番号が3+3×(n−1)で構成された第3組とに分けられている。
そして、第1組の転送サイリスタTのカソードは、転送信号線72−1に接続され、第2組の転送サイリスタTのカソードは、転送信号線72−2に接続され、第3組の転送サイリスタTのカソードは、転送信号線72−3に接続されている。
(レーザ光発生部6の動作)
<タイミングチャート>
図22は、第4の実施の形態に係るレーザ光発生部6の動作を説明するタイミングチャートである。
図22のタイミングチャートは、レーザ部品Cの7個のレーザダイオードLD1〜LD7を点灯制御する部分を示す。なお、図22では、環境温度Tが基準の環境温度Tにあるとき、レーザダイオードLD3を点灯させるとする。すなわち、レーザダイオードLD3の出射する波長λ3が、レーザ部品Cが属する波長Λの波長チャネルchの中央部にあるとする。
そして、環境温度Tが下がって、環境温度Tになったとする(T<T)。すると、レーザダイオードLD1〜LD7の波長λ1〜λ7は、それぞれがより短い波長λ″1〜λ″7にずれる(移行する)。そして、図4(b)とは逆であるが、レーザダイオードLD3の波長λ″3が波長チャネルchの短波長側の端部にシフトする。一方、レーザダイオードLD4の波長λ″4が波長チャネルchの中央部にシフトする。そこで、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD3からレーザダイオードLD4に切り替える。
逆に、環境温度Tが上がって、環境温度Tになったとする(T>T)。すると、レーザダイオードLD1〜LD7の波長λ1〜λ7は、それぞれがより長い波長λ′1〜λ′7にずれる(移行する)。そして、図4(b)で説明したのと同様に、レーザダイオードLD3の波長λ′3が波長チャネルchの長波長側の端部にシフトする。一方、レーザダイオードLD1の波長λ′1が波長チャネルchの中央部にシフトする。そこで、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD2からレーザダイオードLD1に切り替える。
以下では、レーザダイオードLDの切替方法を詳細に説明する。
図22において、時刻aから時刻sへとアルファベット順に時刻が経過するとする。なお、時刻kと時刻lの間に時刻Aを、時刻oと時刻pとの間に時刻Bと時刻Cを設けている。
レーザダイオードLDを番号の順に点灯制御する場合には、レーザダイオードLD1は、期間U(1)(時刻aから時刻e)において、レーザダイオードLD2は、期間U(2)(時刻eから時刻i)において、レーザダイオードLD3は、期間U(3)(時刻iから時刻m)において、レベル“1”のオン(点灯)状態になる。以下、同様にして番号が4以上のレーザダイオードLDが点灯制御される。なお、番号の逆順に点灯制御する場合には、上記の対応関係が崩れることになる。
なお、電源電位Vgkは、「L」(−3.3V)、基準電位Vsubは、「H」(0V)である。
まず、基準の環境温度Tにあるとき、レーザダイオードLD3を点灯させる場合を説明する。
転送信号φ1〜φ3、スタート信号φsについて、期間U(1)〜U(3)(時刻aから時刻l)で説明する。転送信号φ1〜φ3、及び、φs1端子に送信されるスタート信号φs1は、「H」(0V)と「L」(−3.3V)との2つの電位を有する信号である。以下では、「H」(0V)及び「L」(−3.3V)を、「H」及び「L」と省略する場合がある。
転送信号φ1は、時刻aで「L」、時刻fで「L」から「H」に移行し、時刻mで「H」から「L」に移行する。
転送信号φ2は、時刻aで「H」、時刻eで「H」から「L」に移行し、時刻jで「L」から「H」に移行する。時刻kで、「H」を維持する。
転送信号φ3は、時刻aで「L」、時刻bで「L」から「H」に移行し、時刻iで「H」から「L」に移行する。時刻kで、「L」を維持する。
転送信号φ1〜φ3は、「L」の期間として期間U+時刻iから時刻jまでに相当する期間の長さを有し、「H」の期間として、2×期間U−時刻iから時刻jまでに相当する期間の長さを有する。そして、転送信号φ1と転送信号φ2とは、一部の「L」の期間(例えば、時刻eから時刻fの期間)が重なる。転送信号φ2と転送信号φ3とも同様であり、転送信号φ3と転送信号φ1とも同様である。
そして、転送信号φ1〜φ3は、時刻aから時刻lまでを繰り返す。
一方、スタート信号φs1は、時刻aで「H」、時刻fにおいて、転送信号φ1が「L」から「H」に移行する際に「H」から「L」に移行し、その後、「L」を維持する。
また、点灯信号φIは、レーザダイオードLDがオン状態(点灯状態)になる場合に、「L」の期間を有している。他の場合には、「H」である。
図21を参照しつつ、図22によりレーザダイオードLD3を点灯させる場合を説明する。
(時刻a)
時刻aにおいて、スタート信号φs1が「H」(0V)であるので、転送サイリスタT1のしきい電圧は、−1.5Vである。このとき、転送信号φ1が「L」(−3.3V)であるので、転送サイリスタT1がターンオンする。設定サイリスタS1もしきい電圧が−1.5Vである。点灯信号φIが「H」であるので、レーザダイオードLD1は、オフ(消灯)状態である。
このとき、順方向の結合ダイオードD1で転送サイリスタT1のゲートGt1にゲートGt2が接続された転送サイリスタT2(以下では、転送サイリスタT1に接続された転送サイリスタT2と表記する。)は、しきい電圧が−3.0Vになっている。順方向の結合ダイオードD2で転送サイリスタT2に接続された転送サイリスタT3は、しきい電圧が−4.5Vになっている。番号が4以上の点灯サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vになっている。
ここで、転送信号φ2は、「H」であるので、転送サイリスタT2及び転送信号φ2が送信される転送信号線72−2にカソードが接続された転送サイリスタTはオフ状態である。また、転送信号φ3は、「L」(−3.3V)であるが、転送サイリスタT3は、しきい電圧は−4.5Vであるので、オフ状態である。また、転送信号φ3が送信される転送信号線72−3にカソードが接続された他の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vであるので、オフ状態である。
(時刻b)
時刻bにおいて、転送信号φ3が「L」から「H」に移行する。しかし、転送信号φ3が送信される転送信号線72−3にカソードが接続された転送サイリスタTは、オフ状態であったので、オフ状態を維持する。
(時刻c、d)
時刻cは、レーザダイオードLD1をオン状態にするタイミングであるが、レーザダイオードLD3を点灯させるので、点灯信号φIは、「H」に維持される。
時刻dは、レーザダイオードLD1をオフ状態にするタイミングであるが、レーザダイオードLD3を点灯させるので、点灯信号φIは、「H」に維持される。
(時刻e)
時刻eにおいて、転送信号φ2が「H」から「L」に移行する。すると、しきい電圧が−3.0になっていた転送サイリスタT2がターンオンする。これにより、設定サイリスタS2は、しきい電圧が−1.5Vになる。
すると、順方向の結合ダイオードD2で転送サイリスタT2に接続された転送サイリスタT3のしきい電圧が−3.0Vになる。なお、他の転送サイリスタTのしきい電圧については、前述したことと同様であるので説明を省略する。
(時刻f)
時刻fにおいて、スタート信号φsが「H」から「L」に移行し、転送信号φ1が「L」から「H」に移行する。すると、転送サイリスタT1がターンオフする。しかし、転送サイリスタT1は、順方向のダイオードD′1で転送サイリスタT2に接続されている。よって、転送サイリスタT1のゲートGt1は、−1.5Vになり、転送サイリスタT1のしきい電圧は−3.0Vになる。なお、スタート信号φsが「L」(−3.3V)になるが、電流制限抵抗Rsにより、転送サイリスタT1のゲートGt1は、−1.5Vに維持される。
(時刻g、h)
時刻gは、レーザダイオードLD2をオン状態にするタイミングであるが、レーザダイオードLD3を点灯させるので、点灯信号φIは、「H」に維持される。
時刻hは、レーザダイオードLD2をオフ状態にするタイミングであるが、レーザダイオードLD3を点灯させるので、点灯信号φIは、「H」に維持される。
(時刻i)
時刻iにおいて、転送信号φ3が「H」から「L」に移行する。すると、しきい電圧が−3.0になっていた転送サイリスタT3がターンオンする。これにより、設定サイリスタS3は、しきい電圧が−1.5Vになる。
すると、順方向の結合ダイオードD3で転送サイリスタT3に接続された転送サイリスタT4のしきい電圧が−3.0Vになる。
(時刻j)
時刻jにおいて、転送信号φ2が「L」から「H」に移行する。すると、転送サイリスタT2がターンオフする。しかし、転送サイリスタT2は、順方向のダイオードD′2で転送サイリスタT3に接続されている。よって、転送サイリスタT2のゲートGt2は、−1.5Vになり、転送サイリスタT2のしきい電圧は−3.0Vになる。なお、順方向のダイオードD′1で転送サイリスタ2に接続されている転送サイリスタT1は、しきい電圧が−4.5Vになる。
(時刻k)
時刻kにおいて、点灯信号φIが「H」(0V)から「L」(−5V)に移行する。
すると、しきい電圧が−1.5Vになっていた設定サイリスタS3がターンオンし、レーザダイオードLD3が点灯する。
(時刻A)
時刻Aは、レーザダイオードLD3が点灯した状態であって、この状態を維持するタイミングである。よって、このタイミングにおけるスタート信号φs、転送信号φ1、φ2、φ3、点灯信号φIの状態が維持される。
さて、環境温度Tが下がって、環境温度Tになったとする(T<T)。上述したように、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD3からレーザダイオードLD4に切り替える。以下では、レーザダイオードLD3からレーザダイオードLD4に切り替える方法を説明する。
(時刻l)
時刻lにおいて、点灯信号φIが「L」(−5V)から「H」(0V)に移行する。
すると、設定サイリスタS3がターンオフして、レーザダイオードLD3が消灯する。
(時刻m)
時刻mにおいて、転送信号φ1が「H」から「L」に移行する。すると、しきい電圧が−3.0になっていた転送サイリスタT4がターンオンする。これにより、設定サイリスタS4は、しきい電圧が−1.5Vになる。
すると、順方向の結合ダイオードD5で転送サイリスタT2に接続された転送サイリスタT5のしきい電圧が−3.0Vになる。
(時刻n)
時刻nにおいて、転送信号φ3が「L」から「H」に移行する。すると、転送サイリスタT3がターンオフする。しかし、転送サイリスタT3は、順方向のダイオードD′3で転送サイリスタT4に接続されている。よって、転送サイリスタT3のゲートGt3は、−1.5Vになり、転送サイリスタT3のしきい電圧は−3.0Vになる。なお、順方向のダイオードD′2で転送サイリスタ3に接続されている転送サイリスタT2は、しきい電圧が−4.5Vになる。
(時刻o)
時刻oにおいて、点灯信号φIが「H」(0V)から「L」(−5V)に移行する。
すると、しきい電圧が−1.5Vになっていた設定サイリスタS4がターンオンし、レーザダイオードLD4が点灯する。
(時刻B)
時刻Bは、レーザダイオードLD4が点灯した状態であって、その状態を維持するタイミングである。よって、このタイミングにおけるスタート信号φs、転送信号φ1、φ2、φ3、点灯信号φIの状態が維持される。
すなわち、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD3からレーザダイオードLD4に切り替えられた。
標準の環境温度Tにおける出射波長λが長い側に、レーザダイオードLDを切り替えていく場合は、上記のように、番号の順にレーザダイオードLDを切り替えていけばよい。
次に、環境温度Tが上がって、環境温度Tになったとする(T>T)。上述したように、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD3からレーザダイオードLD2に切り替える。以下では、レーザダイオードLD3からレーザダイオードLD2に切り替える方法を説明する。
これまでは、転送信号φ1〜φ3の順に「L」の期間がくるようにしていた。時刻Aの以降において、転送信号φ1〜φ3の逆順に「L」の期間がくるようにする。
すなわち、時刻Aの後においては、転送信号φ2を転送信号φ′2に、転送信号φ3を転送信号φ′3に、点灯信号φIを点灯信号φ′Iに置き換える。
(時刻l)
時刻lにおいて、点灯信号φ′Iが「L」(−5V)から「H」(0V)に移行する。
すると、設定サイリスタS3がターンオフして、レーザダイオードLD3が消灯する。
(時刻m)
時刻mにおいて、転送信号φ′2が「H」から「L」に移行する。すると、しきい電圧が−3.0になっていた転送サイリスタT2がターンオンする。これにより、設定サイリスタS2は、しきい電圧が−1.5Vになる。
すると、順方向のダイオードD′1で転送サイリスタT2に接続された転送サイリスタT1のしきい電圧が−3.0Vになる。
(時刻n)
時刻nにおいて、転送信号φ3が「L」から「H」に移行する。すると、転送サイリスタT3がターンオフする。しかし、転送サイリスタT3は、順方向のダイオードD′2で転送サイリスタT2に接続されている。よって、転送サイリスタT3のゲートGt3は、−1.5Vになり、転送サイリスタT3のしきい電圧は−3.0Vになる。なお、順方向の結合ダイオードD3で転送サイリスタ3に接続されている転送サイリスタT4は、しきい電圧が−4.5Vになる。
(時刻o)
時刻oにおいて、点灯信号φ′Iが「H」(0V)から「L」(−5V)に移行する。
すると、しきい電圧が−1.5Vになっていた設定サイリスタS2がターンオンし、レーザダイオードLD2がオン(点灯)状態になる。
(時刻C)
時刻Cは、レーザダイオードLD2がオン(点灯)状態であって、その状態を維持するタイミングである。よって、このタイミングにおけるスタート信号φs、転送信号φ1、φ2、φ3、点灯信号φIの状態が維持される。
すなわち、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD3からレーザダイオードLD2に切り替えられた。
標準の環境温度Tにおける出射波長λが短い側に、レーザダイオードLDを切り替えていく場合は、上記のように、番号の逆順にレーザダイオードLDを切り替えていけばよい。なお、図22では、配列された方向の逆方向には、レーザダイオードLD1より番号が小さいレーザダイオードLDはないが、図26では、レーザダイオードLD0、LD[−1]を追記し、レーザダイオードLD2からレーザダイオードLD1に切り替える場合以外にも適用されるようにしている。
以上説明したように、第4の実施の形態では、レーザダイオードLDが配列された方向及びその逆方向にレーザダイオードLDを切り替えられる。よって、レーザ光発生部6の出力する波長のずれの修正がさらに容易にできる。
なお、第4の実施の形態に係るレーザ部品Cでは、スタート信号φs1を用いたが、第1の実施の形態に係るレーザ部品Cと同様に、スタートダイオードSDを用いる構成としてもよい。
[第5の実施の形態]
第2の実施の形態に係るレーザ部品Cでは、番号の順にレーザダイオードLDが切り替えられて点灯制御された。これに対して、第5の実施の形態では、点灯制御の途中において、次に点灯制御するレーザダイオードLDの順番を番号順又は逆番号順に切り替えられる。
第5の実施の形態は、以下に説明するレーザ部品C及び信号出力部12の部分を除いて、第2の実施の形態と第4の実施の形態とを組み合わせたものである。よって、異なる部分を説明し、同様の部分の説明を省略する。なお、レーザ部品C及び信号出力部12においても、同様の部分は同じ符号を付して説明を省略する。
図23は、第5の実施の形態に係るレーザ部品Cの等価回路図及びレーザ部品Cを駆動する信号などを出力する信号出力部12を説明する図である。ここでは、レーザ部品Cは、レーザダイオードLD1〜LD7に対応する部分を示している。これ以降は繰り返しである。
(信号出力部12)
信号出力部12における転送信号発生部120は、スタート信号φsと転送信号φ1、φ2、φ3(区別しない場合は、転送信号φと表記する。)とを出力(送信)する。そして、第4の実施の形態における点灯信号発生部140を備えない。
(レーザ部品C)
レーザ部品Cは、第4の実施の形態に係るレーザ部品Cと同様に、結合ダイオードD1、D2、D3、…に並列に設けられた結合ダイオードD′1、D′2、D′3、…を備える。なお、結合ダイオードD′の電流が流れる向きは、結合ダイオードDと逆になるように接続されている。
そして、結合ダイオードD1のアノードと結合ダイオードD′1のカソードとは、φs端子に接続されている。φs端子には、信号出力部12からスタート信号φsが送信される。
ここでは、レーザダイオードLDは、標準の環境温度Tにおいて出射波長λが長くなるように番号順に配列されているとする。
なお、第4の実施の形態に係るレーザ部品Cにおける設定サイリスタSを備えず、転送サイリスタTとレーザダイオードLDとが電気的に直列接続されている。
そして、レーザ部品Cは、転送信号線72−1、72−2、72−3(区別しない場合は、転送信号線72と表記する。)とスタート信号線73、電流制限抵抗R1、R2、R3、Rs(区別しない場合は、電流制限抵抗Rと表記する。)を備える。転送信号線72−1は、電流制限抵抗R1を介して、φ1端子に接続されている。φ1端子には、転送信号発生部120から転送信号φ1が送信される。転送信号線72−2は、電流制限抵抗R2を介して、φ2端子に接続されている。φ2端子には、転送信号発生部120から転送信号φ2が送信される。転送信号線72−3は、電流制限抵抗R3を介して、φ3端子に接続されている。φ3端子には、転送信号発生部120から転送信号φ3が送信される。スタート信号線73は、電流制限抵抗Rsを介して、φs端子に接続されている。φs端子には、転送信号発生部120からスタート信号φsが送信される。
そして、レーザダイオードLD、転送サイリスタTが番号順に3つの組に分けられている。すなわち、レーザダイオードLD1、LD4、LD7、…など、番号が1+3×(n−1)(nは1以上の整数。以下同じ。)で構成された第1組と、レーザダイオードLD2、LD5、…など、番号が2+3×(n−1)で構成された第2組と、レーザダイオードLD3、LD6、…など、番号が3+3×(n−1)で構成された第3組とに分けられている。
そして、第1組のレーザダイオードLDのカソードは、転送信号線72−1に接続され、第2組のレーザダイオードLDのカソードは、転送信号線72−2に接続され、第3組のレーザダイオードLDのカソードは、転送信号線72−3に接続されている。
(レーザ光発生部6の動作)
第5の実施の形態に係るレーザ光発生部6の動作は、第2の実施の形態のレーザ光発生部6の動作と第4の実施の形態に係るレーザ光発生部6の動作とから、容易に理解されるので、説明を省略する。
[第6の実施の形態]
第3の実施の形態に係るレーザ部品Cでは、番号の順にレーザダイオードLDが切り替えられて点灯制御される。これに対して、第6の実施の形態では、点灯制御の途中において、次に点灯制御するレーザダイオードLDの順番を番号順又は逆番号順に切り替えられる。
図24は、第6の実施の形態に係るレーザ部品Cの回路構成及びレーザ部品Cを駆動する信号などを出力する信号出力部12を説明する等価回路図である。
第6の実施の形態に係るレーザ部品C及び信号出力部12は、以下に説明する部分を除くと、第3の実施の形態と同様である。よって、異なる部分を説明し、同様な部分は同じ符号を付して説明を省略する。
図24では、レーザダイオードLD1〜LD9、設定サイリスタS1〜S9、転送サイリスタT1〜T9の部分を示している。これ以降は繰り返しである。
(信号出力部12)
信号出力部12は、転送信号発生部120、点灯信号発生部140、基準電位供給部160、電源電位供給部170を備える。
転送信号発生部120は、転送信号φ1、φ2、φ3、φ4、φ5、φ6、φ7、φ8、φ9(区別しない場合は転送信号φと表記する。)、スタート信号φs1、φs2、φs3(区別しない場合はスタート信号φsと表記する。)を発生する。
点灯信号発生部140は、点灯信号φI1、φI2、φI3(区別しない場合は点灯信号φIと表記する。)を送信する。
電源電位供給部170は、電源電位Vgk1、Vgk2、VgK3(区別しない場合は電源電位Vgkと表記する。)を供給する。
(レーザ部品C)
レーザ部品Cは、レーザダイオードLD、設定サイリスタS、転送サイリスタTが番号順に3つの組に分けられている。すなわち、レーザダイオードLD1、LD4、LD7、…など、番号が1+3×(n−1)(nは1以上の整数。以下同じ。)で構成された第1組と、レーザダイオードLD2、LD5、LD8、…など、番号が2+3×(n−1)で構成された第2組と、レーザダイオードLD3、LD6、LD9、…など、番号が3+3×(n−1)で構成された第3組とに分けられている。
そして、第1組の転送サイリスタTのゲートGtは、電源線抵抗Rgを介して電源線71−1に接続されている。電源線71−1は、電源電位供給部170から電源電位Vgk1が供給される。
第2組の転送サイリスタTのゲートGtは、電源線抵抗Rgを介して電源線71−2に接続されている。電源線71−2は、電源電位供給部170から電源電位Vgk2が供給される。
第3組の転送サイリスタTのゲートGtは、電源線抵抗Rgを介して電源線71−3に接続されている。電源線71−3は、電源電位供給部170から電源電位Vgk3が供給される。
第1組のレーザダイオードLDのカソード(図7のnオーミック電極321に相当)は、点灯信号線75−1に接続されている。点灯信号線75−1は、点灯信号発生部140から点灯信号φI1が送信される。
第2組のレーザダイオードLDのカソードは、点灯信号線75−2に接続されている。点灯信号線75−2は、点灯信号発生部140から点灯信号φI2が送信される。
第3組のレーザダイオードLDのカソードは、点灯信号線75−3に接続されている。点灯信号線75−3は、点灯信号発生部140から点灯信号φI3が送信される。
そして、それぞれの組において、転送サイリスタTのゲートGt間が、互いに逆向きに並列接続された結合ダイオードDと結合ダイオードD′とで接続されている。例えば、第1組では、転送サイリスタT1のゲートGt1と転送サイリスタT4のゲートGt4とが、結合ダイオードD1と結合ダイオードD′1とで接続され、転送サイリスタT4のゲートGt4と転送サイリスタT7のゲートGt7とが、結合ダイオードD4と結合ダイオードD′4とで接続されている。
さらに、第1組の転送サイリスタTのカソードは、転送サイリスタT1、T4、T7、…の番号順に循環するように転送信号線72−1、72−2、72−3に接続されている。そして、転送信号線72−1、72−2、72−3には、転送信号φ1、φ2、φ3が送信される。なお、転送サイリスタT1のゲートGt1に接続された結合ダイオードD1のアノード及び結合ダイオードD′1のカソードは、スタート信号φs1が送信されるように接続されている。
また、第2組の転送サイリスタTのカソードは、転送サイリスタT2、T5、T8、…の番号順に循環するように転送信号線72−4、72−5、72−6に接続されている。そして、転送信号線72−4、72−5、72−6には、転送信号φ4、φ5、φ6が送信される。転送信号φ4、φ5、φ6に接続されている。なお、転送サイリスタT2のゲートGt2に接続された結合ダイオードD2のアノード及び結合ダイオードD′2のカソードは、スタート信号φs2が送信されるように接続されている。
同様に、第3組の転送サイリスタTのカソードは、転送サイリスタT3、T6、T9、…の番号順に循環するように転送信号線72−7、72−8、72−9に接続されている。そして、転送信号線72−7、72−8、72−9には、転送信号φ7、φ8、φ9が送信される。なお、転送サイリスタT3のゲートGt3に接続された結合ダイオードD3のアノード及び結合ダイオードD′3のカソードは、スタート信号φs3が送信されるように接続されている。
なお、図24では、信号の記号(転送信号φ1のφ1など)とそれが供給される端子の記号(φ1端子のφ1など)とは同じであるので、端子に対する記号の記載を省略する。
また、電流制限抵抗R、RIと表記する。
(レーザ光発生部6の動作)
<タイミングチャート>
図25は、第6の実施の形態に係るレーザ光発生部6の動作を説明するタイミングチャートである。
図25のタイミングチャートは、レーザ部品Cの9個のレーザダイオードLD1〜LD9を点灯制御する部分を示す。なお、図25では、環境温度Tが基準の環境温度Tにあるとき、レーザダイオードLD3を点灯させるとする。すなわち、レーザダイオードLD3の出射する波長λ3が、レーザ部品Cが属する波長Λの波長チャネルchの中央部にあるとする。
そして、環境温度Tが下がって、環境温度Tになったとする(T<T)。すると、レーザダイオードLD1〜LD9の波長λ1〜λ9は、それぞれがより短い波長λ″1〜λ″9にずれる(シフトする)。そして、図4(b)とは逆であるが、レーザダイオードLD3の波長λ″3が波長チャネルchの短波長側の端部にずれる(シフトする)。一方、レーザダイオードLD4の波長λ″4が波長チャネルchの中央部にずれる(シフトする)。そこで、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD3からレーザダイオードLD4に切り替える。
逆に、環境温度Tが上がって、環境温度Tになったとする(T>T)。すると、レーザダイオードLD1〜LD9の波長λ1〜λ9は、それぞれがより長い波長λ′1〜λ′9にずれる(シフトする)。そして、図4(b)で説明したのと同様に、レーザダイオードLD3の波長λ′3が波長チャネルchの長波長側の端部にずれる(シフトする)。一方、レーザダイオードLD2の波長λ′2が波長チャネルchの中央部にずれる(シフトする)。そこで、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD3からレーザダイオードLD2に切り替える。
以下では、レーザダイオードLDの切り替え方法を詳細に説明する。
図25において、時刻aから時刻qへとアルファベット順に時刻が経過するとする。なお、時刻hと時刻iの間に時刻Aを、時刻iと時刻jとの間に時刻ia、ib、ic、Bを設けている。
レーザダイオードLDを番号の順に点灯制御する場合には、レーザダイオードLD1は、期間U(1)(時刻aから時刻c)において、レーザダイオードLD2は、期間U(2)(時刻cから時刻e)において、レーザダイオードLD3は、期間U(3)(時刻eから時刻i)において、レベル“1”のオン(点灯)状態になる。以下、同様にして番号が4以上のレーザダイオードLDが点灯制御される。なお、番号の逆順に点灯制御する場合には、上記の対応関係が崩れることになる。なお、期間U(1)、U(2)、U(3)、…は同じ長さの期間とし、それぞれを区別しないときは期間Uと呼ぶ。
なお、電源電位Vgk1、Vgk2、Vgk3は、「L」(−3.3V)、基準電位Vsubは、「H」(0V)である。
第1組におけるφ1端子〜φ3端子に送信される転送信号φ1〜φ3、及び、φs1端子に送信されるスタート信号φs1は、「H」(0V)と「L」(−3.3V)との2つの電位を有する信号である。以下では、「H」(0V)及び「L」(−3.3V)を、「H」及び「L」と省略する場合がある。
転送信号φ1は、時刻aで「L」、時刻fで「L」から「H」に移行し、時刻oで「H」から「L」に移行する。
転送信号φ2は、時刻aで「H」、時刻eで「H」から「L」に移行し、時刻lで「L」から「H」に移行する。
転送信号φ3は、時刻aで「H」、時刻kで「H」から「L」に移行し、時刻pで「L」から「H」に移行する。
転送信号φ1〜φ3は、時刻aから時刻qまでを繰り返す。
一方、スタート信号φs1は、時刻aで「H」、時刻fにおいて、転送信号φ1が「L」から「H」に移行する際に「H」から「L」に移行し、その後、「L」を維持する。
第2組の転送信号φ4、φ5、φ6は、第1組の転送信号φ1、φ2、φ3を時間軸上で後ろに期間Uずらしたものである。
また、第3組の転送信号φ7、φ8、φ9は、第2組の転送信号φ4、φ5、φ6を時間軸上で後ろに期間Uずらしたものである。
転送信号φ1〜φ9は、「L」の期間として3×期間U+時刻kから時刻lまでに相当する期間の長さを有し、「H」の期間として、6×期間U−時刻kから時刻lまでに相当する期間の長さを有する。そして、転送信号φ1と転送信号φ2とは、一部の「L」の期間(例えば、時刻gから時刻hの期間)が重なる。転送信号φ2と転送信号φ3とも同様であり、転送信号φ3と転送信号φ1とも同様である。他の転送信号φについても同様である。
そして、点灯信号φIは、レーザダイオードLDがオン状態(点灯状態)になる前に、オフ(消灯)状態の「H」から「L(“0”)」に移行し、その後、「L(“1”)」に移行する。なお、後述するように、点灯信号φI1、φI2、φI3のいずれか一つの点灯信号φIが「L(“1”)」で維持されている際に、他の二つの点灯信号φIは、「L(“0”)」に維持される。
点灯信号φI2は、点灯信号φI1を時間軸上で後ろに期間Uずらしたものである。同様に、点灯信号φI3は、点灯信号φI2を時間軸上で後ろに期間Uずらしたものである。
第6の実施の形態では、レーザダイオードLD3を点灯させるが、レーザダイオードLD3の出射する波長λが、波長チャネルchの端部にずれた場合に、長波長側のレーザダイオードLD(この場合、レーザダイオードLD4)又は短波長側のレーザダイオードLD(この場合、レーザダイオードLD2)に切り替える。このため、レーザダイオードLDの点灯時における発振遅れや緩和振動により、高速なレーザダイオードLDの切り替えを妨げることが無いように、予め切り替える対象となるレーザダイオードLDはレベル“0”のオン状態(点灯信号φIが「L(“0”)」の状態)に維持される。
図24を参照しつつ、図25によりレーザダイオードLD3を点灯させる場合を説明する。
(時刻a)
時刻aにおいて、スタート信号φs1が「H」(0V)であるので、転送サイリスタT1のしきい電圧は、−1.5Vである。このとき、転送信号φ1が「L」(−3.3V)であるので、転送サイリスタT1がターンオンする。また、設定サイリスタS1もしきい電圧が−1.5Vである。
時刻aは、レーザダイオードLD1をレベル“1”のオン(点灯)状態にするタイミングである。しかし、前述したように、レーザダイオードLD3を点灯させるので、レーザダイオードLD1は、レベル“0”のオン状態に維持されることを要しない。よって、点灯信号φI1は「H」が維持される。
このとき、順方向の結合ダイオードD1で接続された転送サイリスタT4は、しきい電圧が−3.0Vになっている。
同様に、転送サイリスタT2もターンオンする。
なお、転送サイリスタT3は、スタート信号φs3が「H」であるので、しきい電圧が−1.5Vである。しかし、転送信号φ7が「H」であるので、転送サイリスタT3は、オフ状態である。
(時刻b)
時刻bは、レーザダイオードLD2をレベル“0”のオン状態にするタイミングである。前述したように、レーザダイオードLD3を点灯させるので、レーザダイオードLD2をレベル“0”のオン状態にする。そこで、点灯信号φI2を「H」から「L(“0”)」に移行させる。これにより、レーザダイオードLD2は、レベル“0”のオン状態になる。
(時刻c)
時刻cにおいて、転送信号φ7が「H」から「L」になるので、転送サイリスタT3がターンオンする。
時刻cは、レーザダイオードLD1をレベル“1”のオン(点灯)状態からレベル“0”のオン状態に移行させるタイミングである。そして、時刻cは、レーザダイオードLD2をレベル“1”のオン(点灯)状態にするタイミングである。しかし、レーザダイオードLD3を点灯させるので、レーザダイオードLD1をオフ状態に維持し、レーザダイオードLD2をレベル“0”のオン状態で維持する。そこで、点灯信号φI1を「H」に、点灯信号φI2を「L(“0”)」に維持する。
なお、点灯信号φI3は、「H」である。
(時刻d)
時刻dにおいて、点灯信号φI3が「H」から「L(“0”)」に移行すると、レーザダイオードLD3は、レベル“0”のオン状態になる。
(時刻e)
時刻eにおいて、転送信号φ2が「H」から「L」(−3.3V)になる。すると、しきい電圧が−3.0Vであった転送サイリスタT4がターンオンする。そして、結合ダイオードD4を介して、転送サイリスタT7のしきい電圧が−3.0Vになる。
また、時刻eは、レーザダイオードLD2をレベル“1”のオン(点灯)状態からレベル“0”のオン状態に移行させるタイミングである。しかし、レーザダイオードLD3を点灯させるので、点灯信号φI2を「L(“0”)」に維持して、レーザダイオードLD2をレベル“0”のオン状態で維持する。
さらに、点灯信号φI3が「L(“0”)」から「L(“1”)」になると、レーザダイオードLD3は、レベル“0”のオン状態からレベル“1”のオン(点灯)状態になる。
(時刻f)
時刻fにおいて、転送信号φ1が「L」から「H」になり、スタート信号φs1が「H」から「L」になる。転送信号φ1が「L」から「H」になると、転送サイリスタT1のカソードが「H」になるので、転送サイリスタT1がターンオフする。
ここで、転送サイリスタT1のゲートGt1は、結合ダイオードD′1により、転送サイリスタT4のゲートGt4と接続されている。結合ダイオードD1は逆方向となるが、結合ダイオードD′1が順方向になって、ゲートGt1は、−1.5Vとなる。よって、転送サイリスタT1は、しきい電圧が−3.0Vとなる。すなわち、転送サイリスタT4がオン状態となると、並列に接続された逆方向きの結合ダイオードD1、D′1とにより、転送サイリスタT1、T7のしきい電圧が−3.0Vになる。
なお、設定サイリスタS1のゲートGs1も−1.5Vとなるが、点灯信号φI1が「H」であるので、オフ状態を継続する。
(時刻g)
時刻gは、レーザダイオードLD1をオン状態にした場合に、点灯信号φI1を「L(“0”)」から「H」するタイミングであるが、レーザダイオードLD3を点灯させるので、点灯信号φI1は、「H」に維持されている。
(時刻h)
時刻hは、レーザダイオードLD4を点灯させる場合に、オフ状態からレベル“0”のオン状態に移行させるタイミングである。レーザダイオードLD3を点灯させるので、前述したように、レーザダイオードLD4をレベル“0”のオン状態にする。よって、点灯信号φI1を「H」から「L(“0”)」に移行させて、しきい電圧が−1.5Vの設定サイリスタS4がターンオンして、レーザダイオードLD4をオフ状態からレベル“0”のオン状態にする。
(時刻A)
時刻Aにおいて、レーザダイオードLD3がレベル“1”のオン(点灯)状態、レーザダイオードLD3の配列の前後のレーザダイオードLD2、LD4がレベル“0”のオン状態であって、この状態を維持するタイミングである。よって、このタイミングにおけるスタート信号φs1〜φs3、転送信号φ1〜φ9、点灯信号φI1〜φI3の状態が維持される。
さて、環境温度Tが下がって、環境温度Tになったとする(T<T)。上述したように、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD3からレーザダイオードLD4に切り替える。以下では、レーザダイオードLD3からレーザダイオードLD4にオン(点灯)状態を切り替える方法を説明する。
(時刻i)
時刻iにおいて、転送信号φ5を「H」から「L」にする。また、点灯信号φI1を「L(“0”)」から「L(“1”)」にし、点灯信号φI3を「L(“1”)」から「L(“0”)」にする。
転送信号φ5が「H」から「L」になると、転送サイリスタT5がターンオンする。これにより、設定サイリスタS5のしきい電圧が−1.5Vになる。
点灯信号φI1が「L(“0”)」から「L(“1”)」になると、レーザダイオードLD4がレベル“0”のオン状態からレベル“1”のオン(点灯)状態になる。
点灯信号φI3が「L(“1”)」から「L(“0”)」になると、レーザダイオードLD3がレベル“1”のオン(点灯)状態からレベル“0”のオン状態になる。
すなわち、レーザダイオードLD3からレーザダイオードLD4にオン(点灯)状態が切り替わる。
(時刻ia)
時刻iaにおいて、転送信号φ4を「L」から「H」にし、スタート信号φs2を「H」から「L」にする。
転送信号φ4が「L」から「H」になると、転送サイリスタT2がターンオフする。
ここで、転送サイリスタT2のゲートGt2は、順方向の結合ダイオードD′2により、転送サイリスタT5のゲートGt5と接続されている。よって、ゲートGt2は、−1.5Vとなる。また、転送サイリスタT8のゲートGt8は、順方向の結合ダイオードD5により、転送サイリスタT5のゲートGt5と接続されている。よって、ゲートGt8は、−1.5Vとなる。これにより、設定サイリスタS2、S8のゲートGs2、Gs8も−3.0Vとなるが、レーザダイオードLD2がレベル“0”のオン状態であるので、点灯信号φI2は、−1.5Vになっているので、設定サイリスタS2、S8はオフ状態である。
(時刻ib)
時刻ibにおいて、点灯信号φI2を「L(“0”)」から「H」にする。
点灯信号φI2が「L(“0”)」から「H」になると、レーザダイオードLD2がオフ状態になる。
(時刻ic)
時刻icにおいて、点灯信号φI2を「H」から「L(“0”)」にする。
点灯信号φI2が「H」から「L(“0”)」になると、レーザダイオードLD5がオフ状態からレベル“0”のオン状態になる。
(時刻B)
時刻Bにおいて、レーザダイオードLD4がレベル“1”のオン(点灯)状態、レーザダイオードLD4の配列の前後のレーザダイオードLD3、LD5がレベル“0”のオン状態であって、この状態を維持するタイミングである。よって、このタイミングにおけるスタート信号φs1〜φs3、転送信号φ1〜φ9、点灯信号φI1〜φI3の状態を維持する。
なお、レーザダイオードLD4は、レベル“0”のオン状態に維持されていたので、レーザダイオードLD4がレベル“1”のオン(点灯)状態になる際に、発振遅れや緩和振動の影響を受けない。
一方、環境温度Tが上がって、環境温度Tになったとする(T>T)。上述したように、点灯させるレーザダイオードLDをレーザダイオードLD3からレーザダイオードLD2に切り替える。以下では、レーザダイオードLD3からレーザダイオードLD2にオン(点灯)状態を切り替える方法を説明する。
前述した第4の実施の形態では、レーザダイオードLDの番号順(配列された方向)に切り替える(転送させる)場合には、転送信号φ1〜φ3が番号順に「L」の期間が循環するようにした。一方、レーザダイオードLDの番号の逆順(逆方向)に切り替える(転送させる)場合には、転送信号φ1〜φ3が番号と逆順に「L」の期間が循環するようにした。
第6の実施の形態においても、上記したレーザダイオードLDの番号順(配列された方向)に切り替える(転送させる)場合には、転送信号φ1、φ4、φ7、φ2、φ5、φ8、φ3、φ6、φ9の順に、「L」の期間を循環させた。一方、レーザダイオードLDの番号の逆順(逆方向)に切り替える(転送させる)場合には、転送信号φ1、φ4、φ7、φ2、φ5、φ8、φ3、φ6、φ9の逆順に「L」の期間が循環するようにすればよい。
図26は、第6の実施の形態に係るレーザ部品Cにおいて、レーザ部品CのレーザダイオードLDの番号を逆順に切り替える場合のタイミングチャートである。ここでは、レーザダイオードLD3からレーザダイオードLD2にオン(点灯)状態を切り替える。配列された方向の逆方向には、レーザダイオードLD1より番号が小さいレーザダイオードLDはないが、図26では、レーザダイオードLD0、LD[−1]、LD[−2]を追記し、レーザダイオードLD3からレーザダイオードLD2に切り替える場合以外にも適用されるようにしている。
時刻a、b、c、…などは、図25と同じとした。
時刻aから時刻Aまでの動作は、図25で説明したのと同じである。
(時刻i)
時刻iにおいて、転送信号φ1を「H」から「L」にする。また、点灯信号φI2を「L(“0”)」から「L(“1”)」にし、点灯信号φI3を「L(“1”)」から「L(“0”)」にする。
転送信号φ1が「H」から「L」になると、しきい電圧が−3.0Vであった転送サイリスタT1がターンオンして、設定サイリスタS1のしきい電圧が−1.5Vになる。
点灯信号φI2が「L(“0”)」から「L(“1”)」になると、レーザダイオードLD2がレベル“0”のオン状態からレベル“1”のオン(点灯)状態になる。そして、点灯信号φI3が「L(“1”)」から「L(“0”)」になると、レーザダイオードLD3がレベル“1”のオン(点灯)状態からレベル“0”のオン状態になる。
これにより、レーザダイオードLD3からレーザダイオードLD2にオン(点灯)状態が切り替えられた。
(時刻ia)
時刻iaにおいて、転送信号φ2を「L」から「H」にする。
転送信号φ2が「L」から「H」になると、転送サイリスタT4がターンオフする。
これにより、転送サイリスタT4のゲートGt4は、順方向の結合ダイオードD1により、−1.5Vになる。しかし、設定サイリスタS4はオン状態を維持し、レーザダイオードLD4は、オン(点灯)状態を維持する。
(時刻ib)
時刻ibにおいて、点灯信号φI1を「L(“0”)」から「H」にする。
点灯信号φI1が「L(“0”)」から「H」になると、設定サイリスタS4がターンオフして、レーザダイオードLD4がレベル“0”のオン状態からオフ状態に移行する。これにより、設定サイリスタS4のしきい電圧は、−3.0Vになる。
(時刻ic)
時刻icにおいて、点灯信号φI1を「H」から「L(“0”)」にする。
点灯信号φI1が「H」から「L(“0”)」になると、しきい電圧が−1.5Vである設定サイリスタS1がターンオンして、レーザダイオードLD1がオフ状態からレベル“0”のオン状態に移行する。
(時刻C)
時刻Cは、レーザダイオードLD2がレベル“1”のオン(点灯)状態であって、その前後のレーザダイオードLD1、LD3がレベル“0”のオン状態である。よって、この状態を維持するタイミングである。このタイミングにおけるスタート信号φs1〜φs3、転送信号φ1〜φ9、点灯信号φI1〜φI3の状態を維持する。
この場合、レーザダイオードLD2は、レベル“0”のオン状態に維持されていたので、レーザダイオードLD2がレベル“1”のオン(点灯)状態になる際に、発振遅れや緩和振動の影響を受けない。
以上説明したように、第6の実施の形態では、レベル“1”のオン(点灯)状態にある際に、レーザダイオードLDの前後のレーザダイオードLDをレベル“0”のオン状態に維持している。よって、レーザダイオードLDを配列の方向(番号の順)又は配列の方向と逆方向のいずれに切り替える際であっても、発振遅れや緩和振動の影響を受けないで、切り替えられる。第6の実施の形態では、レーザダイオードLDが配列された方向及びその逆方向にレーザダイオードLDを切り替えられる。よって、レーザ光発生部6の出力する波長のずれの修正が高速にできる。
なお、第6の実施の形態に係るレーザ部品Cでは、スタート信号φs1、φs2、φs3を用いたが、第1の実施の形態に係るレーザ部品Cと同様に、スタートダイオードSDを用いる構成としてもよい。
[第7の実施の形態]
第1の実施の形態から第6の実施の形態に係るレーザ光発生部6のレーザ部品Cにおけるレーザ素子の一例であるレーザダイオードLDは、クラッド層として働くpアノード層86とnカソード層88とで発光層87が挟まれていた。
しかし、レーザ素子は、レーザダイオードLDの代わりに、発光層87が二つの分布ブラッグ反射層(DBR:Distributed Bragg Reflector)(以下では、DBR層と表記する。)で挟まれ、発光層87に垂直な方向に出射する垂直共振器面発光レーザVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)であってもよい。この垂直共振器面発光レーザVCSELは、2つのDBR層の反射率が例えば99%以上の場合に発振する。出射波長は、2つのDBR層に挟まれた発光層87の厚さによって決められる。
第7の実施の形態に係るレーザ部品Cは、図6に示した第1の実施の形態に係るレーザ部品Cの平面レイアウト図及び断面図と同様である。よって、第1の実施の形態において、レーザダイオードLDを垂直共振器面発光レーザVCSELと置き換えればよい。
以下では、異なる部分である、垂直共振器面発光レーザVCSELと設定サイリスタSとが積層されたアイランド301を説明する。
図27は、第7の実施の形態に係るレーザ部品Cにおける設定サイリスタSと垂直共振器面発光レーザVCSELとが積層されたアイランド301を詳細に説明する図である。
第7の実施の形態に係るレーザ部品Cは、pアノード層86及びnカソード層88がDBR層として構成されている。pアノード層86は、電流狭窄層86bを含んでいる。すなわち、pアノード層86は、下側pアノード層86a、電流狭窄層86b、上側pアノード層86cの順で積層され、下側pアノード層86a、上側pアノード層86cがDBR層として構成されている。
そして、レーザ光は、基板80に直交する方向に出射する。よって、nオーミック電極321は、中央部が開口になっている。
なお、下側pアノード層86a、上側pアノード層86c、nカソード層88を、下側pアノード(DBR)層86a、上側pアノード(DBR)層86c、nカソード(DBR)層88と表記することがある。なお、図27においては、pDBR、nDBRと表記する。
DBR層は、例えばAl0.9Ga0.1Asの高Al組成の低屈折率層と、例えばAl0.2Ga0.8Asの低Al組成の高屈折率層との組み合わせで構成されている。低屈折率層及び高屈折率層のそれぞれの膜厚(光路長)は、例えば中心波長の0.25(1/4)に設定されている。なお、低屈折率層と高屈折率層とのAlの組成比は、0〜1の範囲で変更してもよい。
なお、電流狭窄層86bの膜厚(光路長)は、採用する構造によって決定される。取り出し効率やプロセス再現性を重要視する場合は、DBR層を構成する低屈折率層及び高屈折率層の膜厚(光路長)の整数倍に設定されるのがよく、例えば中心波長の0.75(3/4)に設定されている。なお、奇数倍の場合は、電流狭窄層86bは、高屈折率層と高屈折率層とで挟まれるとよい。また、偶数倍の場合は、電流狭窄層86bは、高屈折率層と低屈折率層とで挟まれるとよい。すなわち、電流狭窄層86bは、DBR層による屈折率の周期の乱れを抑制するように設けられるとよい。逆に、酸化された部分の影響(屈折率や歪)を低減したい場合は、電流狭窄層86bの膜厚は、数十nmが好ましく、DBR層内に立つ定在波の節の部分に挿入されるのが好ましい。
第7の実施の形態に係るレーザ部品Cは、第1の実施の形態において図12に示した製造方法を一部変更することで製造される。
例えば、基板80の表面に凹凸(ステップ)を設けたパタン基板を用い、ステップの深さや幅により、半導体層の成長速度が変わる。よって、発光層87の厚さが変わり、レーザ素子アレイを構成する複数の垂直共振器面発光レーザVCSELにおいて、出射波長が異なるようにする。
そして、図12(a)の半導体積層体形成工程において、pアノード層86の下側pアノード層86a及び上側pアノード層86c、nカソード層88をDBR層として形成する。なお、pアノード層86の下側pアノード層86a又は上側pアノード層86cや、nカソード層88の一部など、半導体層の一部をDBR層としてもよい。
このようにすることで、第7の実施の形態に係るレーザ部品Cが製造されうる。
なお、トンネル接合層85の代わりに、金属的な導電性を有するIII−V族化合物層を用いてもよい。
垂直共振器面発光レーザVCSELは、第1の実施の形態から第6の実施の形態に適用しうる。
[第8の実施の形態]
第1の実施の形態から第6の実施の形態に係るレーザ部品Cでは、レーザダイオードLDは、基板80上に設けられた設定サイリスタS上に設けられていた。
第8の実施の形態では、基板80上にレーザダイオードLDが設けられ、その上に設定サイリスタSが設けられている。
他の構成は、第1の実施の形態と同じであるので、異なる部分である設定サイリスタSとレーザダイオードLDとが積層されたアイランド301を説明する。
図28は、第8の実施の形態に係るレーザ部品Cにおける設定サイリスタSとレーザダイオードLDとが積層されたアイランド301を詳細に説明する図である。なお、符号は、第1の実施の形態と同じとした。
基板80上に、pアノード層86、発光層87、nカソード層88、トンネル接合層85、pアノード層81、nゲート層82、pゲート層83、nカソード層84の順で積層されている。pアノード層86及びnカソード層88は、クラッド層である。そこで、pアノード層86、nカソード層88をpアノード(クラッド)層86、nカソード(クラッド)層88と表記することがある。
そして、pアノード層86は、下側pアノード層86a、電流狭窄層86b、上側pアノード層86cを備える。
さらに、nカソード層88は、第1の実施の形態におけるnカソード層88と同様に、下部nカソード層88aと上部回折格子層88bとから構成されている。上部回折格子層88bは、予め定められた間隔で回折格子(縞状の凹凸)に加工された部分で下部nカソード層88aと連続している。
上部回折格子層88b上に、トンネル接合層85を積層してもよいが、上部回折格子層88b上にnカソード層88とは異なる屈折率のnカソード層を設けて、その上にトンネル接合層85を積層するのがよい。
すなわち、第8の実施の形態に係るレーザ部品CのレーザダイオードLDは、図7に示した第1の実施の形態におけるレーザダイオードLDと同様に、基板80の表面に沿った方向に光を出射する。
また、クラッド層であるpアノード層86及びnカソード層88を、第7の実施の形態で説明したように、DBR層として構成してもよい。この場合、レーザダイオードLDは、垂直共振器面発光レーザVCSELになる。そして、pアノード層86及びnカソード層88をDBR層とした垂直共振器面発光レーザVCSELは、基板80の面に垂直な方向に光を出射する。
なお、トンネル接合層85の代わりに、金属的な導電性を有するIII−V族化合物層を用いてもよい。
基板80上にレーザダイオードLD又は垂直共振器面発光レーザVCSELが設けられ、その上に設定サイリスタSが設けられた構成は、第1の実施の形態から第6の実施の形態に適用しうる。
第1の実施の形態から第8の実施の形態に係るレーザ光発生部6のレーザ部品Cにおいて、レーザ素子(レーザダイオードLD、垂直共振器面発光レーザVCSEL)、サイリスタ(転送サイリスタT、設定サイリスタS)の導電型を逆にするとともに、回路の極性を変更してもよい。すなわち、アノードコモンをカソードコモンとしてもよい。
各実施の形態における、転送サイリスタTおよび設定サイリスタSの構造としては、各実施の形態における転送サイリスタTおよび設定サイリスタSの機能を有する構造であればpnpnの4層構造以外であってもよい。例えば、サイリスタ特性を有するpinin構造、pipin構造、npip構造、またはpnin構造などであってもよい。この場合、pinin構造のpとnに挟まれた、i層、n層、i層、pnin構造のpとnとに挟まれた、n層、i層のいずれかがゲート層となり、ゲート層上に設けられたnオーミック電極をゲートGt(ゲートGs)の端子とすればよい。もしくは、npip構造のnとpに挟まれた、i層、p層、i層、npip構造のnとpとに挟まれた、p層、i層のいずれかがゲート層となり、ゲート層上に設けられたpオーミック電極をゲートGt(ゲートGs)の端子とすればよい。
以上においては、主にp型のGaAsを基板80の例として説明した。他の基板を用いた場合における各半導体層(図12(a)の半導体積層体形成工程で形成する半導体積層体)の例を説明する。
まず、GaN基板を用いた場合における半導体積層体の一例は以下の通りである。
pアノード層81は、例えば不純物濃度1×1018/cmのp型のAl0.9GaNである。Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。
nゲート層82は、例えば不純物濃度1×1017/cmのn型のAl0.9GaNである。Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。
pゲート層83は、例えば不純物濃度1×1017/cmのp型のAl0.9GaNである。Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。
nカソード層84は、例えば不純物濃度1×1018/cmのn型のAl0.9GaNである。Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。
トンネル接合層85は、n型の不純物を高濃度に添加したn++層85aとn型の不純物を高濃度に添加したp++層85bとの接合(図12(b)参照。)で構成されている。n++層85a及びp++層85bは、例えば不純物濃度1×1020/cmと高濃度である。なお、通常の接合の不純物濃度は、1017/cm台〜1018/cm台である。n++層85aとp++層85bとの組み合わせ(以下では、n++層85a/p++層85bで表記する。)は、例えばn++GaN/p++GaN、n++GaInN/p++GaInN、n++AlGaN/p++AlGaNである。なお、組み合わせを相互に変更したものでもよい。
pアノード(クラッド)層86は、下側pアノード(クラッド)層86a、電流狭窄層86b、上側pアノード(クラッド)層86cを順に積層して構成されている(図12(c)参照)。
下側pアノード(クラッド)層86a、上側pアノード(クラッド)層86cは、例えば、不純物濃度1×1018/cmのp型のAl0.9GaNである。Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。
GaN基板上では酸化狭窄層を電流狭窄層として使用することが困難であるため、電流通過部αにトンネル接合層又は金属的導電性III−V族化合物層を設けた構造や、リッジ型構造、埋め込み型としたnカソード(クラッド)層88の構造が望ましい。もしくはイオン注入を電流狭窄方法として使用することも有効である。
発光層87は、井戸(ウエル)層と障壁(バリア)層とが交互に積層された量子井戸構造である。井戸層は、例えばGaN、InGaN、AlGaNなどであり、障壁層は、AlGaN、GaNなどである。
なお、発光層87は、量子線(量子ワイヤ)や量子箱(量子ドット)であってもよい。また、発光層87は井戸(ウエル)層、障壁(バリア)層、及び、これらの層の上下に設けられたスペーサ層の組み合わせで構成してもよい。例えば、共振器構造で構成してもよい。
nカソード(クラッド)層88は、例えば不純物濃度1×1018/cmのn型のAl0.9GaNである。Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。
次に、InP基板を用いた場合における半導体積層体の一例は以下の通りである。
pアノード層81は、例えば不純物濃度1×1018/cmのp型のInGaAsPである。Ga組成、Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。
nゲート層82は、例えば不純物濃度1×1017/cmのn型のInGaAsPである。Ga組成、Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。
pゲート層83は、例えば不純物濃度1×1017/cmのp型のInGaAsPである。Ga組成、Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。
nカソード層84は、例えば不純物濃度1×1018/cmのn型のInGaAsPである。Ga組成、Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。
トンネル接合層85は、n型の不純物を高濃度に添加したn++層85aとn型の不純物を高濃度に添加したp++層85bとの接合(図10(b)参照。)で構成されている。n++層85a及びp++層85bは、例えば不純物濃度1×1020/cmと高濃度である。なお、通常の接合の不純物濃度は、1017/cm台〜1018/cm台である。n++層85aとp++層85bとの組み合わせ(以下では、n++層85a/p++層85bで表記する。)は、例えばn++InP/p++InP、n++InAsP/p++InAsP、n++InGaAsP/p++InGaAsP、n++InGaAsPSb/p++InGaAsPSbである。なお、組み合わせを相互に変更したものでもよい。
pアノード(クラッド)層86は、下側pアノード(クラッド)層86a、電流狭窄層86b、上側pアノード(クラッド)層86cを順に積層して構成されている(図12(c)参照)。
下側pアノード(クラッド)層86a、上側pアノード(クラッド)層86cは、例えば不純物濃度1×1018/cmのp型のInGaAsPである。Ga組成、Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。
InP基板上では酸化狭窄層を電流狭窄層として使用することが困難であるため、電流通過部αにトンネル接合層又は金属的導電性III−V族化合物層を設けた構造や、リッジ型構造、埋め込み型としたnカソード(クラッド)層88の構造が望ましい。もしくはイオン注入を電流狭窄方法として使用することも有効である。
発光層87は、井戸(ウエル)層と障壁(バリア)層とが交互に積層された量子井戸構造である。井戸層は、例えばInAs、InGaAsP、AlGaInAs、GaInAsPSbなどであり、障壁層は、InP、InAsP、InGaAsP、AlGaInAsPなどである。
なお、発光層87は、量子線(量子ワイヤ)や量子箱(量子ドット)であってもよい。また、発光層87は井戸(ウエル)層、障壁(バリア)層、及び、これらの層の上下に設けられたスペーサ層の組み合わせで構成してもよい。例えば、共振器構造で構成してもよい。
nカソード(クラッド)層88は、例えば不純物濃度1×1018/cmのn型のInGaAsPである。Ga組成、Al組成は、0〜1の範囲で変更してもよい。
これらの半導体層は、例えば有機金属気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー法(MBE)などによって積層され、半導体積層体が形成される。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。そして、各実施の形態を互いに適用してもよい。
また、本発明の構成は有機材料からなるp型・n型・i型層に適用することも可能である。
1…光ファイバ、2…マルチプレクサ、3…分割部、4…合波部、5…光増幅部、6…レーザ光発生部、10…制御部、11…演算部、12…信号出力部、13…温度検出部、20…温度検知部材、71(71−1〜71−3)…電源線、72(72−1〜72−4)…転送信号線、73(73−1、73−2)…スタート信号線、75(75−1、75−2、75−3)…点灯信号線、80…基板、81…pアノード層、82…nゲート層、83…pゲート層、84…nカソード層、85…トンネル接合層、85a…n++層、85b…p++層、86…pアノード層(pアノード(クラッド)層、pアノード(DBR)層)、87…発光層、88…nカソード層(nカソード(クラッド)層、nカソード(DBR)層)、90…保護層、91…裏面電極、101…駆動部、102…発光部、120(120a、120b)…転送信号発生部、140…点灯信号発生部、160…基準電位供給部、170(170a、170b)…電源電位供給部、301〜306…アイランド、α…電流通過部(領域)、β…電流阻止部(領域)、φ、φ1〜φ7…転送信号、φs、φs1〜φs3…スタート信号、φI、φI1〜φI3…点灯信号、C…レーザ部品、D(D1、D2、D3、…)、D′(D′1、D′2、D′3、…)…結合ダイオード、LD(LD1、LD2、LD3、…)…レーザダイオード、S(S1、S2、S3,…)…設定サイリスタ、SD…スタートダイオード、T(T1、T2、T3、…)…転送サイリスタ、VCSEL…垂直共振器面発光レーザ、Vgk(Vgk1、Vgk2、Vgk3)…電源電位、Vsub…基準電位

Claims (6)

  1. 互いに異なる出射波長を含むように配列された複数のレーザ素子と、
    前記レーザ素子を配列に沿ってオン状態に移行可能な状態に切り替えつつ、予め定められた波長に対応する出射波長のレーザ素子をオン状態にし、当該オン状態を維持するように駆動する駆動部と
    を備えるレーザ部品。
  2. 複数の前記レーザ素子は、配列の方向に沿って、出射波長が長くなるように、又は、出射波長が短くなるように配列されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ部品。
  3. 前記駆動部は、複数の前記レーザ素子が配列された方向と当該方向の逆方向とで、当該レーザ素子をオン状態に移行可能な状態に切り替えられることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ部品。
  4. 前記レーザ素子は、レベル“m(mは1以上の整数)”のオン状態とレベル“0”にみなされるオン状態とレベル“0”のオフ状態とを有し、
    前記駆動部は、複数の前記レーザ素子が複数の組に分けられ、ある組に含まれるレーザ素子がレベル“m”のオン状態である間に、他の組に含まれるレーザ素子がレベル“0”のオン状態とするように組毎にオン状態に移行可能な状態を順に転送する複数の転送路を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレーザ部品。
  5. 前記駆動部は、複数の前記レーザ素子のそれぞれと、トンネル接合層又は金属的な導電性を有するIII−V族化合物層を介して積層され、オン状態になることによって、当該レーザ素子をオン状態に移行可能な状態に制御する複数の設定サイリスタを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレーザ部品。
  6. 互いに異なる出射波長を含むように配列された複数のレーザ素子と、当該レーザ素子を配列に沿ってオン状態に移行可能な状態に切り替えつつ、予め定められた波長に対応する出射波長のレーザ素子をオン状態にし、当該オン状態を維持するように駆動する駆動部と、を備えるレーザ部品と、
    前記レーザ部品の環境温度を検知する温度検知手段と、
    前記レーザ部品における前記駆動部に、オン状態に移行可能な状態を複数の前記レーザ素子の配列に沿って切り替えるように転送させる転送信号と、オン状態に移行可能な状態の当該レーザ素子をオン状態にする点灯信号と、を供給するとともに、前記温度検知手段により検知された環境温度に基づいて、オン状態にするレーザ素子を切り替えて前記予め定められた波長の光を出力するように制御する制御手段と
    を備えるレーザ光発生装置。
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