JP2018017289A - 転がり軸受装置及び給油ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】ポンプが吐出した潤滑油を効率よく給油に用いることを可能とさせる。【解決手段】転がり軸受装置10は、内輪21、外輪22、複数の玉23及び保持器24を有している軸受部20と、内輪21と外輪22との間の環状空間11の軸方向隣りに設けられている給油ユニット40とを備えている。給油ユニット40は、軸受部20の一部に向けて潤滑油を油滴として吐出するポンプ43を有している。ポンプ43は、環状空間11に臨むポンプ表面52で開口し潤滑油を吐出させる吐出口51と、ポンプ表面52から環状空間11に延びポンプ表面52に付着した潤滑油を環状空間11に導くガイド部材45とを有している。【選択図】 図1
Description
本発明は、軸受部とこの軸受部に給油を行う給油ユニットとを備えている転がり軸受装置、及び給油ユニットに関する。
近年、各種の工作機械では、加工効率及び生産性の向上のために主軸の高速化が要求されている。主軸が高速で回転すると、これを支持する転がり軸受において特に潤滑性が問題となる。そこで、軸受部(転がり軸受)と共にハウジング内に設けられこの軸受部に給油を行う給油ユニットを備えた転がり軸受装置が提案されている(特許文献1参照)。
給油ユニットは、潤滑油を溜めるタンク、及び、このタンク内の潤滑油を内輪と外輪との間の環状空間に吐出するポンプ等を有している。ポンプは吐出口を有しており、この吐出口から微小油滴を吐出させる。
前記のような給油ユニットにおいて、駆動することで潤滑油を微小油滴として飛ばす(つまり、初速を有して吐出する)ことのできるポンプが提案されており、このポンプによれば、吐出した微小油滴を、内輪の軌道面や外輪の軌道面等の給油が必要となる領域に与えることが可能となる。
図9は、ポンプ90が微小油滴99を吐出した状態を示す説明図である。ポンプ90の吐出口91から潤滑油が初速を有して吐出されると、先頭の微小油滴99の後に、潤滑油が糸状となった部分(以下、サテライト98という。)が形成される。サテライト98は、先頭の微小油滴99から分離された後、その粘性によりポンプ90側へ戻るが、ポンプ90の内部に回収されることはなく、吐出口91が開口しているポンプ本体92の表面93に油滴として付着する。このような油滴は、そのまま表面93に滞在し、軸受部の潤滑に寄与することができず、無駄となってしまう。
前記のような給油ユニットを、軸受部と共に、軸とハウジングとの間の狭い空間に組み込む場合、給油ユニットが有するタンクの容量は制限され小さくなる。このため、潤滑油を無駄に消費しないようにすることが望まれている。しかし、図9に示すように、サテライト98の量が多くなると、潤滑油の多くは無駄となってしまう。
そこで、本発明は、ポンプが吐出した潤滑油を効率よく給油に用いることを可能とさせる給油ユニット、及びこのような給油ユニットを備えている転がり軸受装置を提供することを目的とする。
本発明の転がり軸受装置は、内輪、外輪、前記内輪と前記外輪との間に介在している複数の転動体、及び、前記複数の転動体を保持する保持器を有している軸受部と、前記内輪と前記外輪との間の環状空間の軸方向隣りに設けられ、潤滑油を溜めるタンク、及び、当該タンクの潤滑油を受け前記軸受部の一部に向けて潤滑油を油滴として吐出するポンプを有する給油ユニットと、を備え、前記ポンプは、前記環状空間に臨むポンプ表面で開口し潤滑油を吐出させる吐出口と、前記ポンプ表面から前記環状空間に延び当該ポンプ表面に付着した潤滑油を当該環状空間に導くガイド部材と、を有している。
この転がり軸受装置によれば、給油ユニットのポンプから吐出されたもののポンプ表面に付着した潤滑油は、このポンプ表面からガイド部材をつたって、ガイド部材の一部に油滴となって集められる。そして、軸受部が回転すると環状空間にはエアの流れが発生することから、やがてガイド部材の一部に集められた油滴は離脱し、前記エアの流れに乗ることができ、油滴を、軸受部において給油が必要となる領域に到達させる機会が与えられる。このように、ガイド部材によれば、ポンプが潤滑油を吐出し、その一部がポンプ表面に付着しても、その潤滑油を効率よく給油に用いることが可能となる。
また、前記ガイド部材は、前記ポンプ表面に基部が設けられ前記環状空間に先部が位置する針状の部材であるのが好ましく、この場合、ガイド部材を簡単な構成により得ることができる。
また、前記ガイド部材は、前記吐出口よりも、前記軸受部が回転した場合に前記環状空間で発生するエアの流れの方向の下流側に設けられているのが好ましい。この場合、吐出口の周囲に付着した潤滑油を、エアの流れによってガイド部材に集めやすくなる。
また、前記ガイド部材は、前記ポンプ表面に設けられている複数の枝部と、前記複数の枝部が集約され前記環状空間に延びている主部と、を有しているのが好ましい。この構成によれば、ポンプ表面の広い範囲から潤滑油をガイド部材の主部に集めることが可能となる。
また、前記ガイド部材は、前記軸受部が回転した場合に前記環状空間で生じるエア流に押されて弾性変形可能であるのが好ましい。この構成によれば、例えば環状空間で生じるエア流が乱流になると、ガイド部材は振動することができ、この振動によってガイド部材に集まった油滴を環状空間へと離脱させようとすることが可能となる。
また、前記ガイド部材は、針状であって全体形状が変化するように動作する部材からなるのが好ましい。この構成によれば、ガイド部材が自ら動作することで、ガイド部材に集まった油滴を環状空間へと離脱させようとすることが可能となる。
また、本発明は、潤滑油を溜めるタンク、及び、当該タンクの潤滑油を受けると共に油滴として吐出するポンプを有し、給油対象部の近傍に設けられる給油ユニットであって、前記ポンプは、前記給油対象部に臨むポンプ表面で開口し潤滑油を吐出させる吐出口と、前記ポンプ表面から前記給油対象部側に延び当該ポンプ表面に付着した潤滑油を当該給油対象部側に導くガイド部材と、を有している。
この給油ユニットによれば、ポンプから吐出されたもののポンプ表面に付着した潤滑油は、このポンプ表面からガイド部材をつたって、ガイド部材の一部に油滴となって集められる。そして、給油対象部側にエアの流れが発生すると、やがてガイド部材の一部に集められた油滴は離脱し、前記エアの流れに乗ることができ、油滴を給油対象部に到達させる機会が与えられる。このように、ガイド部材によれば、ポンプが潤滑油を吐出し、その一部がポンプ表面に付着しても、その潤滑油を効率よく給油に用いることが可能となる。
本発明によれば、ポンプが潤滑油を吐出し、その一部がポンプ表面に付着しても、ガイド部材によって、その潤滑油を効率よく給油に用いることが可能となる。
図1は、本発明の転がり軸受装置の実施の一形態を示す断面図である。図1に示す転がり軸受装置10(以下、軸受装置10ともいう。)は、工作機械が有する主軸装置の主軸(軸7)を回転可能に支持するものであり、主軸装置の軸受ハウジング8内に収容されている。図1では、軸7及び軸受ハウジング8を2点鎖線で示している。なお、この軸受装置10は工作機械以外においても適用可能である。また、以下の説明において、軸受装置10の中心線Cに平行な方向を軸方向と呼び、この軸方向に直交する方向を径方向と呼び、中心線C回りの方向を周方向と呼ぶ。
軸受装置10は、軸受部20と給油ユニット40とを備えている。軸受部20は、内輪21、外輪22、複数の玉(転動体)23、及び、これら複数の玉23を保持する保持器24を有しており、玉軸受(転がり軸受)を構成している。更に、この軸受装置10は、円筒状である内輪間座17及び外輪間座18を備えている。
給油ユニット40は、全体として円環状であり、外輪間座18の径方向内側に取り付けられており、内輪21と外輪22との間に形成されている環状空間11の軸方向について隣りに設けられている。給油ユニット40は、軸受部20へ給油を行う機能を有している。給油ユニット40の詳細な構成及び機能については後に説明する。本実施形態では、給油ユニット40(本体部41)と外輪間座18とは別体であるが、これらは一体であってもよい。
本実施形態では、外輪22、外輪間座18及び給油ユニット40が軸受ハウジング8に回転不能として取り付けられており、内輪21及び内輪間座17が軸7と共に回転する。したがって、外輪22が、回転しない固定輪となり、内輪21が、軸7と共に回転する回転輪となる。
内輪21は、軸7に外嵌する円筒状の部材であり、その外周に軌道(以下、内輪軌道25という。)が形成されている。本実施形態では、内輪21と内輪間座17とは別体であるが、図示しないが、これらは一体(一体不可分)であってもよい。
外輪22は、軸受ハウジング8の内周面に固定される円筒状の部材であり、その内周に軌道(以下、外輪軌道26という。)が形成されている。本実施形態では、外輪22と外輪間座18とは別体であるが、図示しないが、これらは一体(一体不可分)であってもよい。
外輪22は、軸受ハウジング8の内周面に固定される円筒状の部材であり、その内周に軌道(以下、外輪軌道26という。)が形成されている。本実施形態では、外輪22と外輪間座18とは別体であるが、図示しないが、これらは一体(一体不可分)であってもよい。
玉23は、内輪21と外輪22との間に介在しており、内輪軌道25及び外輪軌道26を転動する。保持器24は、環状であり、周方向に沿ってポケット27が複数形成されている。玉23及び保持器24は、内輪21と外輪22との間の環状空間11に設けられている。
保持器24は、全体として環状であり、玉23の軸方向一方側の環状部28aと、玉23の軸方向他方側の環状部28bと、これら環状部28a,28bを連結している複数の柱部29とを有している。環状部28a,28bの間であって周方向で隣り合う柱部29,29の間がポケット27となり、各ポケット27に一つの玉23が収容されている。この構成により、保持器24は、複数の玉23を周方向に間隔をあけて保持することができる。
このような軸受部20では、内輪21が回転すると、玉23と共に保持器24が回転し、これにより環状空間11に存在するエアが保持器24に連れられて回転する。つまり、軸受部20が回転すると、環状空間11のエアが周方向に流れる。軸受部20が高速回転すると、環状空間11におけるエアの回転も高速となる。
図2は、給油ユニット40を軸方向から見た断面図である。給油ユニット40は、全体として円環形状を有している。給油ユニット40は、タンク42及びポンプ43を備えている。これらタンク42及びポンプ43は、給油ユニット40が有している環状の本体部41に設けられている。また、給油ユニット40は、制御部44a及び電源部44bを備えており、更に、図示していないが、各種センサも備えている。
本体部41は、外輪間座18の内周側に取り付けられており、ポンプ43等を保持するフレームとしての機能を有している。本体部41は円環状の部材であるが中空空間が形成されており、この中空空間にポンプ43、制御部44a、及び電源部44bが設けられている。また、前記中空空間の一つがタンク42となっている。これにより、本体部41、タンク42、ポンプ43、制御部44a及び電源部44b等を含む給油ユニット40は、一体として構成される。
タンク42は、潤滑油(オイル)を溜めるためのものであり、潤滑油をポンプ43へ流すために配管(図示せず)を通じてポンプ43と繋がっている。
ポンプ43は、内部に圧電素子55を有しており、この圧電素子55が動作することでポンプ43の油室(内部空間)54の容積を変化させ、この油室54の潤滑油を軸受部20(図1参照)の環状空間11に吐出させることができる。油室54は、ポンプ43において潤滑油を溜める空間である。
ポンプ43は、内部に圧電素子55を有しており、この圧電素子55が動作することでポンプ43の油室(内部空間)54の容積を変化させ、この油室54の潤滑油を軸受部20(図1参照)の環状空間11に吐出させることができる。油室54は、ポンプ43において潤滑油を溜める空間である。
図1において、ポンプ43は、圧電素子55が動作することで油室54の潤滑油を外部へ吐出(噴出)させる吐出口51(噴出口)を有している。吐出口51は、軸受部20の環状空間11に臨むポンプ表面52で開口している。つまり、吐出口51は環状空間11に向かって開口している。この吐出口51から潤滑油が油滴となって初速を有して吐出される。つまり、ポンプ43から油滴は飛翔する。
電源部44b(図2参照)は、ポンプ43の動作用の電力を供給する。制御部44aは、ポンプ43を動作させるタイミングを制御することができる。
以上より、ポンプ43は、タンク42の潤滑油を油室54において受けると共に、この油室54の潤滑油を吐出口51から油滴として軸受部20の一部(ターゲットT)に向けて吐出させる(飛翔させる)構成となっている。ポンプ43の1回の動作で、吐出口51から数ピコリットル〜数ナノリットルの潤滑油が油滴として噴出される。また、本実施形態における前記ターゲットTは、玉23や内輪軌道25である。
ポンプ43について更に説明する。ポンプ43は、軸受部20(図1参照)の環状空間11に臨むポンプ表面52を有している。図3は、ポンプ43の斜視図である。ポンプ43の吐出口51は、ポンプ表面52で開口しており、潤滑油を環状空間11に向かって吐出(噴出)させる。ポンプ43は、更に、ポンプ表面52から環状空間11に延びて設けられているガイド部材45を有している。
図4は、図3に示すポンプ43を上から(径方向から)見た場合の説明図である。前記のとおり、軸受部20が回転した場合に環状空間11においてエアの流れが発生する。図3及び図4において、このエアの流れ方向を矢印Xで示している。図3及び図4に示すガイド部材45は、針状の部材であり、途中から湾曲した形状を有している。ガイド部材45の基部45aがポンプ表面52に設けられており、先部45bが環状空間11に位置している。ガイド部材45は、吐出口51よりも、エアの流れ方向(矢印Xの方向)の下流側に設けられている。
図4において、ポンプ43が動作して、吐出口51から潤滑油が初速を有して吐出されると、先頭の微小油滴99の後に、潤滑油が糸状となった部分(以下、サテライト98という。)が形成される。微小油滴99は、軸受部20の一部(内輪軌道25)に向かって飛翔する。サテライト98は、先頭の微小油滴99から分離された後、その粘性によりポンプ43側へ戻るが、ポンプ43の内部(油室54)に回収されることはなく、吐出口51が開口しているポンプ表面52に油滴として付着する。ポンプ表面52に付着した油滴Pは、やがてガイド部材45の基部45aに触れ、先部45bへと誘導される。特に、本実施形態では、ポンプ表面52が環状空間11に隣接して設けられていることから、ポンプ表面52に付着した油滴Pは、環状空間11におけるエアの流れ(矢印X)の影響を受け、ガイド部材45の基部45aに到達し、更に、環状空間11に位置している先部45b側へ運ばれる。このように、従来ではポンプ表面52に付着した油滴Pは無駄となっていたが、本実施形態の場合、油滴Pはガイド部材45の先部45bに集まる。そして、環状空間11に発生しているエアの流れにより、この油滴Pはガイド部材45から離脱して軸受部20の潤滑に用いられる。このように、ガイド部材45は、ポンプ表面52に付着した潤滑油を、環状空間11に導く機能を有している。
図5は、他の形態のガイド部材45を有するポンプ43の斜視図である。このガイド部材45は、ポンプ表面52に設けられている複数の枝部46と、これら複数の枝部46が集約され環状空間11に延びている主部47とを有している。各枝部46及び主部47はそれぞれ針状の部材からなる。枝部46は、ポンプ表面52において、径方向の内側、外側、及びこれらの中間にそれぞれ位置して設けられている。各枝部46のエアの流れ方向(矢印X方向)の上流側の端部46aは相互で離れているが、下流側に向かうに従って接近し、最終的に各枝部46は合流している。そして、複数の枝部46の合流部46bから主部47が湾曲しながら環状空間11まで延びている。図5に示すポンプ43を上から見た図は、図4と同じである。
図5に示す形態では、隣り合う枝部46,46の間に薄いプレート48が存在している。プレート48により複数の枝部46を一体化させることができるので、ガイド部材45をポンプ43に取り付ける作業が容易となるが、このプレート48は省略されていてもよい。枝部46(及びプレート48)は、ガイド部材45の基部45aの補強部材としても機能する。図5に示すガイド部材45によれば、ポンプ表面52の広い範囲から潤滑油をガイド部材45の主部47に集めることが可能となる。
前記各形態(図4及び図5)のポンプ43を給油ユニット40に備えている転がり軸受装置10によれば、ポンプ43から吐出されたもののポンプ表面52に付着した潤滑油は、このポンプ表面52からガイド部材45をつたって、ガイド部材45の一部(例えば先部45bに油滴となって集められる。軸受部20(内輪21)が回転すると環状空間11にはエアの流れが発生し、ガイド部材45の先端は、このエアの流れが発生する領域(環状空間11)に存在していることから、やがてガイド部材45の一部に集められた油滴は離脱し、前記エアの流れに乗ることができる。すなわち、ガイド部材45は、ポンプ表面52に付着し基部45aに集まった油滴を、エアの流れが発生している環状空間11に導き、このエアの流れで油滴を環状空間11に飛ばすことができる。そして、エアの流れに乗った油滴は、軸受部20において給油が必要となる領域に到達する機会が与えられる。例えば、油滴を玉23の表面、内輪軌道25及び外輪軌道26等に付着させることが可能となる。
以上のように、ガイド部材45によれば、ポンプ43が潤滑油を吐出し、その一部(サテライト98)がポンプ表面52に付着しても、その潤滑油を効率よく軸受部20の給油に用いることが可能となる。
以上のように、ガイド部材45によれば、ポンプ43が潤滑油を吐出し、その一部(サテライト98)がポンプ表面52に付着しても、その潤滑油を効率よく軸受部20の給油に用いることが可能となる。
また、図3及び図4に示す各形態において、ガイド部材45の先部45bは片持梁状となっており、その先端は自由端となっている。この先部45bの剛性は低く、先部45bは、軸受部20(内輪21)が回転した場合に環状空間11で生じるエア流に押されて弾性変形する。ただし、先部45bは、油滴となって集まった潤滑油の重さによって、重力方向には弾性変形し難くなっている。つまり、ガイド部材45の先部45bは、エアの流れ方向(矢印X方向)である周方向には剛性が低く、重力方向である径方向には(周方向よりも)剛性が高い構成となっている。例えば、先部45bの断面形状を図6に示すように、長辺が径方向(重力方向)となる矩形とすればよい。
このようにガイド部材45は、エア流に押されて容易に弾性変形が可能となる構成を有していることで、環状空間11で生じるエアの流れが速く、エア流が乱流になると、ガイド部材45は振動することができる。この振動によってガイド部材45の先部45bに集まった油滴を環状空間11へと離脱させようとする(振り払う)ことが可能となる。
なお、ガイド部材45は弾性変形可能であれば、ガイド部材45の断面形状は、図6に示すような矩形以外であってもよく、円形や正方形や多角形等であってもよい。
なお、ガイド部材45は弾性変形可能であれば、ガイド部材45の断面形状は、図6に示すような矩形以外であってもよく、円形や正方形や多角形等であってもよい。
また、ガイド部材45の他の構成として、ガイド部材45に対してエネルギーが与えられて自らが動作するように構成してもよい(図7参照)。例えば、ガイド部材45を、高分子アクチュエータの1つであるイオン導電性高分子・貴金属接合体(IPMC:Ionic Polymer-Metal Composite)とすることができる。この場合、ガイド部材45に例えば1〜2V程度の低電圧を加えることで、ガイド部材45は屈曲変形することができる。図7に示すガイド部材45では、実線が変形前の状態を示し、二点鎖線が変形後の状態を示している。つまり、ガイド部材45が変形する前の状態で、既に屈曲形状を有しており、この状態から低電圧を加えて更に大きく屈曲させるように構成すればよい。また、ガイド部材45を自ら動作させるための構成として、IPMC以外であってもよく、ポリフッ化ビニリデンを用いた圧電素子型のアクチュエータの機能を有する構成としてもよい。
このように、ガイド部材45は、針状であって、エネルギーが与えられることにより全体形状が変化するように動作する部材によって構成してもよい。この場合、ガイド部材45が自ら動作することで、ガイド部材45の先部45bに集まった油滴を環状空間11へと離脱させようとする(振り払う)ことが可能となる。
図8は、ポンプ表面52の拡大図である。吐出口51が開口しているポンプ表面52には、このポンプ表面52に付着した潤滑油を凝集する凝集溝61が形成されている。凝集溝61は、吐出口51の周りに形成されている。凝集溝61は、ポンプ表面52に複数形成されている。更に、ポンプ表面52には、凝集溝61に凝集させた潤滑油をガイド部材45側へ導くドレイン溝62が形成されている。つまり、凝集溝61はドレイン溝62と連結されている。そして、ドレイン溝62は、ガイド部材45の基部45aと連続している。
このように、ポンプ表面52に凝集溝61が形成されていることで、ポンプ表面52に潤滑油(前記サテライト98)が付着しても、その付着した潤滑油を凝集溝61により凝集することができる。そして、凝集溝61に凝集させた潤滑油を、ドレイン溝62を通じてガイド部材45へ到達させることができる。これら凝集溝61及びドレイン溝62によれば、ポンプ表面52に付着した潤滑油が吐出口51を塞ぐのを抑制することができると共に、この潤滑油を凝集させてガイド部材45へ導くことができる。そして、ガイド部材45を通じて潤滑油を環状空間11に放出させることが可能となる。なお、凝集溝61及びドレイン溝62は、前記各形態(図3及び図5)において省略されていてもよい。
以上より、前記各形態の転がり軸受装置10によれば、給油ユニット40のポンプ43が潤滑油を吐出し、その一部がポンプ表面52に付着しても、ガイド部材45によって、その潤滑油を効率よく給油に用いることが可能となる。図1に示すような給油ユニット40を、軸受部20と共に、軸7と軸受ハウジング8との間の狭い空間に組み込む場合、給油ユニット40が有するタンク42(図2参照)の容量は制限され小さくなる。そこで、前記各形態の転がり軸受装置10によれば、潤滑油を効率よく給油に用いることが可能であることから、潤滑油の無駄の消費を抑えることができ、タンク42の容量が小さくても、長期にわたって給油ユニット40を機能させることが可能となる。
以上のように説明した給油ユニット40は、軸受部20と共に軸受ハウジング8内に組み込まれて軸受部20の給油に用いられるのみならず、他の機器に対しても適用可能となる。例えば、ギヤを含む装置に適用し、ギヤの噛み合い部を給油のターゲットとするように、前記給油ユニット40を用いることが可能である。この場合の給油ユニット40は、次のとおりとなる。図3(図5)を参考に説明すると、給油ユニット40は、潤滑油を溜めるタンク(図示せず)、及び、このタンクの潤滑油を受けると共に油滴として吐出するポンプ43を有している。ポンプ43は、給油対象部の近傍、例えば、ギヤの近傍に設けられる。ポンプ43は、潤滑油を吐出させる吐出口51と、ガイド部材45とを有している。吐出口51は、前記給油対象部に臨むポンプ表面52で開口している。ガイド部材45は、ポンプ表面52から前記給油対象部側に延びポンプ表面52に付着した潤滑油を給油対象部側に導く機能を有している。この給油ユニット40によれば、ポンプ43が潤滑油を吐出し、その一部がポンプ表面52に付着しても、その潤滑油を効率よく給油対象部の給油に用いることが可能となる。
以上のとおり開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。つまり、本発明の転がり軸受装置及び給油ユニットは、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。
前記実施形態では、軸受部20がアンギュラ玉軸受である場合について説明したが、軸受の形式はこれに限らず、深溝玉軸受であってもよく、また、円すい転がり軸受や、円筒ころ軸受であってよい。
前記実施形態では、軸受部20がアンギュラ玉軸受である場合について説明したが、軸受の形式はこれに限らず、深溝玉軸受であってもよく、また、円すい転がり軸受や、円筒ころ軸受であってよい。
10:転がり軸受装置 11:環状空間 20:軸受部
21:内輪 22:外輪 23:玉(転動体)
24:保持器 40:給油ユニット 42:タンク
43:ポンプ 45:ガイド部材 45a:基部
45b:先部 46:枝部 47:主部
51:吐出口 52:ポンプ表面
21:内輪 22:外輪 23:玉(転動体)
24:保持器 40:給油ユニット 42:タンク
43:ポンプ 45:ガイド部材 45a:基部
45b:先部 46:枝部 47:主部
51:吐出口 52:ポンプ表面
Claims (7)
- 内輪、外輪、前記内輪と前記外輪との間に介在している複数の転動体、及び、前記複数の転動体を保持する保持器を有している軸受部と、
前記内輪と前記外輪との間の環状空間の軸方向隣りに設けられ、潤滑油を溜めるタンク、及び、当該タンクの潤滑油を受け前記軸受部の一部に向けて潤滑油を油滴として吐出するポンプを有する給油ユニットと、を備え、
前記ポンプは、前記環状空間に臨むポンプ表面で開口し潤滑油を吐出させる吐出口と、前記ポンプ表面から前記環状空間に延び当該ポンプ表面に付着した潤滑油を当該環状空間に導くガイド部材と、を有している転がり軸受装置。 - 前記ガイド部材は、前記ポンプ表面に基部が設けられ前記環状空間に先部が位置する針状の部材である、請求項1に記載の転がり軸受装置。
- 前記ガイド部材は、前記吐出口よりも、前記軸受部が回転した場合に前記環状空間で発生するエアの流れの方向の下流側に設けられている、請求項1又は2に記載の転がり軸受装置。
- 前記ガイド部材は、前記ポンプ表面に設けられている複数の枝部と、前記複数の枝部が集約され前記環状空間に延びている主部と、を有している請求項1〜3のいずれか一項に記載の転がり軸受装置。
- 前記ガイド部材は、前記軸受部が回転した場合に前記環状空間で生じるエア流に押されて弾性変形可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の転がり軸受装置。
- 前記ガイド部材は、針状であって全体形状が変化するように動作する部材からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の転がり軸受装置。
- 潤滑油を溜めるタンク、及び、当該タンクの潤滑油を受けると共に油滴として吐出するポンプを有し、給油対象部の近傍に設けられる給油ユニットであって、
前記ポンプは、前記給油対象部に臨むポンプ表面で開口し潤滑油を吐出させる吐出口と、前記ポンプ表面から前記給油対象部側に延び当該ポンプ表面に付着した潤滑油を当該給油対象部側に導くガイド部材と、を有している給油ユニット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016147073A JP2018017289A (ja) | 2016-07-27 | 2016-07-27 | 転がり軸受装置及び給油ユニット |
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JP2016147073A JP2018017289A (ja) | 2016-07-27 | 2016-07-27 | 転がり軸受装置及び給油ユニット |
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Family Applications (1)
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-
2016
- 2016-07-27 JP JP2016147073A patent/JP2018017289A/ja active Pending
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