JP5045409B2 - 転がり軸受 - Google Patents

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本発明は、転がり軸受、さらに詳しくは、潤滑油により潤滑される転がり軸受に関する。
従来、内輪と、外輪と、これらの間に配置された転動体としての玉と、この玉を保持する保持器とを有するアンギュラ玉軸受として、外輪の一方の肩部と保持器の外周との摺接により保持器の回転が案内される、いわゆる外輪案内タイプのものが提供されている(特許文献1参照)。
一方、必要に応じて必要量の潤滑油を供給するため、転がり軸受の内部に潤滑油を吐出するためのポンプと当該潤滑油を入れるタンクとを有する給油ユニットを備え、この給油ユニットから軸受内部に潤滑油を微量ずつ間欠的に供給する転がり軸受装置が提案されている(特許文献2参照)。
特開2004−347001号公報 特開2004−108388号公報
特許文献1に記載されたアンギュラ玉軸受では、予め塗布する潤滑油の量が少ないと、外輪の肩部と保持器の外周面との摺接部に潤滑不良が生じて保持器に焼付きが生じる一方で、潤滑油の量が過剰であると、余剰の潤滑油が軸受外部に流出することで潤滑油に無駄が生じる等の問題が生じていた。また、特許文献2に記載された転がり軸受装置において、その転がり軸受として外輪案内タイプのアンギュラ玉軸受を用いる場合にも、前記と同様な問題が生じるおそれがあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、潤滑油の量が少なくても、保持器に焼付きが発生するのを防止することができ、ひいては潤滑油の無駄が生じるのを防止することができる転がり軸受を提供することを目的としている。
本発明の転がり軸受は、外周に内輪軌道面を有する内輪と、内周に外輪軌道面を有するとともに、この外輪軌道面の軸方向一方側にこの外輪軌道面の軸方向他方側より径方向内方に突出する肩部が形成された外輪と、前記内輪軌道面と前記外輪軌道面との間を転動する複数の転動体と、前記複数の転動体を周方向において所定間隔に保持するとともに、外周面の一部が、前記外輪の肩部に摺接することにより回転が案内される被案内面とされた保持器と、を備えた転がり軸受において、前記保持器の外周面が、前記被案内面を含む軸方向一方側端部から軸方向他方側端部に向かうにつれて小径となるように形成された、円すい面又はその軸線を含む断面が微分可能な曲線を形成している曲面であることを特徴としている。
この転がり軸受では、保持器の外周面が、軸方向一方側端部から軸方向他方側端部に向かうにつれて小径となるように形成されているので、潤滑油が保持器の外周面の軸方向他方側に流れたとしても、遠心力で外周面を伝って軸方向一方側に導くことができる。これにより、潤滑油の量が少なくても、保持器に焼付きが発生するのを防止することが可能になる。
本発明の転がり軸受によれば、保持器の外周面において転動体より軸方向他方側にある潤滑油を、遠心力で軸方向一方側に導くことができるので、潤滑油の量が少なくても、保持器に焼付きが発生するのを防止することができる。この結果、潤滑油の無駄が生じるのを防止することができる。
以下、本発明の実施形態を、添付した図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る転がり軸受の概略断面図である。図1における転がり軸受1は、内輪2と、外輪3と、これらの間に配置された転動体としての玉4と、この玉4を保持する保持器5とで構成されるアンギュラ玉軸受である。
内輪2は環状に形成されており、その外周に周方向全周に亘って形成された溝状の内輪軌道面2aを有している。
外輪3も環状に形成されており、その内周に周方向全周に亘って形成された溝状の外輪軌道面3aを有している。また、この外輪軌道面3aの軸方向一方側には、後述する保持器5を案内するために、外輪軌道面3aの軸方向他方側より径方向内方に突出する肩部3bが形成されている。外輪3は、内輪2と同心に配置されている。
保持器5は、例えば、フェノール樹脂等の合成樹脂からなり、玉4を収容する複数のポケット5aが周方向において等間隔に設けられている。
保持器5の外周面5bは、軸方向一方側端部5cから軸方向他方側端部5dに向かうにつれて小径となるように形成された円すい面である。この円すい面の角度θは、転がり軸受1の大きさ等によって適宜設定することができるが、例えば0.1〜1°である。
この保持器5は、内輪2の外周面と外輪3の内周面との間に、内輪2及び外輪3と略同心に配置されており、その外周面5bにおける外輪3の肩部3bに対向する面(被案内面)5eが、外輪3の肩部3bの内周面(案内面)3cに周方向に部分的に摺接することにより保持器5の回転が案内される。
そして、玉4は保持器5の各ポケット5aに収容されることにより周方向において所定間隔に保持されて、内輪軌道面2aと外輪軌道面3aとの間を転動する。
転がり軸受1は、給油ユニットKによって軸受内部に微量の潤滑油が供給されることにより潤滑される。ここで、「微量の」潤滑油とは、一度に供給される潤滑油の量が、ナノリットル(nL)オーダーであることを意味している。
図2は、図1における転がり軸受1の側面図であって、給油ユニットKを説明するためのものである。
給油ユニットKは、例えば、潤滑油を貯留するタンク6、このタンク6内の潤滑油を吸引して吐出するポンプ7、このポンプ7の吐出口に設けられて潤滑油を吐出する潤滑油吐出ノズル8、及びポンプ7を駆動する駆動部(図示せず)を備えている。
この実施形態では、図1及び図2に示すように、タンク6及びポンプ7が転がり軸受1に内蔵されている。
すなわち、内輪2及び外輪3には、玉4を保持するための部分に加えて、給油ユニット設置用延長部2b,3dが形成されており、ポンプ7は、外輪3の給油ユニット設置用延長部3dの内周面に着脱可能に取り付けられている。また、タンク6は、軸方向から見て円弧状とされて、ポンプ7と周方向に隣り合うように外輪3の給油ユニット設置用延長部3dの内周面に着脱可能に取り付けられており、導管9によってポンプ7と接続されている。
ポンプ7は、圧電素子によって被駆動部であるダイアフラムを往復させることにより、ポンプ7室内にタンク6内の潤滑油を吸引して潤滑油吐出ノズル8から吐出させるダイアフラムポンプとされている。
潤滑油吐出ノズル8は、保持器5の内周面5fと内輪2との間に配置され、保持器5と内輪2とが対向する軸方向範囲のいずれかの位置で開口しており、タンク6内の潤滑油を微量ずつ内輪2の内輪軌道面2aの近傍及び玉4に対して供給する。潤滑油吐出ノズル8が上記の位置で開口していることにより、転がり軸受1の回転によって生じる風の流れ(エアカーテン)に起因して潤滑油の供給が阻害されるのを防ぎ、潤滑油の油滴を確実に保持器5、内輪2又は玉4のいずれかに付着させることができる。
駆動部には、電源電池(又は発電機)又は外部電源の変圧回路、ポンプ制御回路等が設けられており、この駆動部からの電圧信号によって、ポンプ7が駆動され、ポンプ7がタンク6から潤滑油を吸引することによって、潤滑油吐出ノズル8から、玉4及び内輪軌道面2a方向に潤滑油が吐出される。
これにより、玉4と内外輪軌道面2a,3aとが接触する転動部と、保持器5の被案内面5eと外輪3の案内面3cとが接触する案内部と、玉4とポケット5aとの間とが潤滑される。
潤滑油における基油の種類としては、エステル系、エーテル系、フッ素系、シリコーン系、合成炭化水素系のいずれを用いてもかまわない。潤滑油として、例えば、フッ化ポリマー油、フッ化ポリエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、ポリフェニルエーテル油、ポリオールエステル油、ポリアルファオレフィン油等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
この転がり軸受1によれば、潤滑油吐出ノズル8から吐出された潤滑油が保持器5の外周面5bの軸方向他方側に流れたとしても、遠心力で外周面5bを伝って軸方向一方側に導くことができ、これにより潤滑油が少なくても保持器に焼付きが生じるのを防ぐことができる。また、従来は、保持器5の回転に伴って当該保持器5が振動し、その外周面5bが外輪3の軸線に対して傾くことから、外輪3の一方に形成された肩部3bの円筒面に保持器5の外周面が斜めに当たることにより接触面圧が玉4側で局所的に高くなっていたが、保持器5の外周面5bを上記のように形成することにより、保持器5が外輪3の肩部3bに面接触しやすくなり、保持器5に局所的に高い面圧がかかるのが緩和される。これにより、保持器5の焼付きをより効果的に防止することができる。そして、供給される潤滑油の量が少ないことで、転がり軸受1のトルク変動が低減されるとともに、軸受外部への潤滑油漏れが防止できる。これらの結果、潤滑油が少なくても保持器に焼付きが生じるのを防ぐことが可能になり、ひいては潤滑油の無駄が生じるのを防止することができる。
このように、転がり軸受1においては、潤滑油の量が少なくても、軸受内部の潤滑が可能であるので、給油ユニットKのタンク6へ潤滑油を供給するインターバルを長くすることができ、これにより転がり軸受1のメンテナンスの回数を少なくすることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限らず、本発明の範囲内で適宜変更が可能である。
上記実施形態では、保持器5の外周面5bを軸方向一方側端部5cから軸方向他方側端部5dに向かうにつれて小径となるように形成された円すい面としているが、円すい面の代わりに軸線を含む断面が微分可能な曲線を形成している曲面とすることも可能である。
また、外輪3の案内面3cは円筒面とされているが、円筒面に限られるものではなく、転動体(玉)4に近づくにつれて拡径するように形成された円すい面、外輪3の軸線を含む断面が微分可能な曲線を形成している曲面等とすることも可能である。
また、上記実施形態では、給油ユニットKのタンク6及びポンプ7を転がり軸受1に内蔵させているが、タンク6及びポンプ7は、転がり軸受1の外部、例えば、転がり軸受1が取り付けられているハウジング等の適当な位置に取り付けてもよい。また、図3に示すように、給油ユニットKのすべての構成を転がり軸受1の外部に設けるようにしてもよいし、また、給油ユニットKのすべての構成を転がり軸受1に内蔵させることも可能である。
給油ユニットKは、軸受内部に微量の潤滑油を供給するものであればよく、上記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、微量の潤滑油を供給可能であれば、オイルミスト潤滑装置やオイルエア潤滑装置、オイルジェット潤滑装置であってもよい。
なお、転がり軸受1は、給油ユニットKによって潤滑される場合に限られず、他の潤滑方式、例えばグリースにより潤滑することも可能である。
本発明の実施形態に係る転がり軸受を示す概略断面図である。 図1の転がり軸受の側面図である。 給油ユニットの他の取り付け位置を説明する概略断面図である。
符号の説明
1 転がり軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体(玉)
5 保持器
5b 外周面
6 タンク
7 ポンプ
8 潤滑油吐出ノズル
9 導管
K 給油ユニット

Claims (1)

  1. 外周に内輪軌道面を有する内輪と、
    内周に外輪軌道面を有するとともに、この外輪軌道面の軸方向一方側にこの外輪軌道面の軸方向他方側より径方向内方に突出する肩部が形成された外輪と、
    前記内輪軌道面と前記外輪軌道面との間を転動する複数の転動体と、
    前記複数の転動体を周方向において所定間隔に保持するとともに、外周面の一部が、前記外輪の肩部に摺接することにより回転が案内される被案内面とされた保持器と、を備えた転がり軸受において、
    前記保持器の外周面が、前記被案内面を含む軸方向一方側端部から軸方向他方側端部に向かうにつれて小径となるように形成された、円すい面又はその軸線を含む断面が微分可能な曲線を形成している曲面であることを特徴とする転がり軸受。
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