以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.充電システムの構成>
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る車両の充電システム10の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る充電システム10の概略構成の一例を示す模式図である。図1に示したように、充電システム10は、主に、エンジン11と、駆動力伝達系51と、駆動輪21と、高電圧バッテリ31と、モータジェネレータ41と、発電機61と、ランキンサイクル70と、制御装置100と、を備える。また、充電システム10では、ランキンサイクル70及び発電機61を少なくとも含んで熱発電システム60が構成される。
エンジン11は、車両の走行状態に応じて運転又は停止する。例えば、エンジン11は、車両の走行中において要求トルクに応じて運転又は停止する。エンジン11の運転により生成された駆動力は、駆動力伝達系51を介して、駆動輪21へ伝達される。エンジン11のシリンダブロックやシリンダヘッドには、冷却水が循環する冷却水流路13が、エンジン11を冷却するために、設けられている。エンジン11の廃熱は、冷却水流路13内を循環する冷却水によって回収される。冷却水流路13は、エンジン11の外部においてランキンサイクル70の熱交換器74と接続され、熱交換器74においてランキンサイクル70の作動媒体と熱交換を行う。
また、冷却水流路13には、エンジン11の冷却水を冷却するためのラジエータ15が設けられる。ラジエータ15は、エンジン11の冷却水が有する熱を冷却水流路13の外部へ放出させることによって、当該冷却水を冷却する。ラジエータ15の近傍には、ファン19が、エンジン11の冷却水の放熱を促すために、設けられる。ファン19は、ラジエータ15へ空気を送風可能である。ファン19は、例えば、電動モータを備え、当該電動モータによって駆動される。また、制御装置100からの動作指示に基づいて当該電動モータが駆動されることによって、ファン19の駆動が制御されるように構成される。なお、ラジエータ15及びファン19の車両における配置については、後述する。
高電圧バッテリ31は、高電圧(例えば、200V)の電力供給源である。具体的には、高電圧バッテリ31は、車両の駆動力を出力するモータジェネレータ41へ電力を供給する他、車両内の各種装置へ電力を供給する低電圧バッテリへ電力を供給する。高電圧バッテリ31には発電機61により発電された電力及びモータジェネレータ41により発電された電力が、それぞれ蓄電される。
モータジェネレータ41は、車両の駆動力を生成する駆動用モータとしての機能を有する。また、モータジェネレータ41は、車両の減速時に車両の運動エネルギを用いて発電し、発電された電力を高電圧バッテリ31へ蓄電する制動発電用発電機としての機能を有する。モータジェネレータ41は、例えば、三相交流式のモータとインバータ装置とを備え、インバータ装置を介して高電圧バッテリ31と電気的に接続されている。なお、当該インバータ装置はコンバータ装置としての機能も有する。
モータジェネレータ41が駆動用モータとして機能する場合、高電圧バッテリ31から供給される直流電力がインバータ装置によって交流電力に変換され、モータへ供給される。それにより、モータによって駆動力が生成される。モータジェネレータ41により生成された駆動力は、駆動力伝達系51を介して、駆動輪21へ伝達される。制御装置100は、インバータ装置を制御することによって、モータジェネレータ41による駆動力の生成を制御する。
モータジェネレータ41が車両の減速時に制動発電用発電機として機能する場合、制御装置100によりインバータ装置が制御されることによって、駆動輪21の回転エネルギを用いてモータにより発電が行われ、発電された交流電力がインバータ装置により直流電力に変換され、高電圧バッテリ31へ蓄電される。それにより、駆動輪21の回転に抵抗が与えられ、制動力が発生する。制御装置100は、インバータ装置を制御することによって、モータジェネレータ41による発電を制御する。具体的には、制御装置100は、インバータ装置を介してモータジェネレータ41の出力電圧を制御する。
ランキンサイクル70は、車両のエンジン11の廃熱を用いて、機械エネルギを生成する。図1に示したように、ランキンサイクル70は、作動媒体流路71と、ランキンサイクルポンプ73と、熱交換器74と、膨張器75と、凝縮器77と、タンク79と、液圧センサ271と、液温センサ273と、蒸気圧センサ275と、蒸気温センサ277と、回転数センサ279と、を含む。
作動媒体流路71は、ランキンサイクル70の作動媒体が循環する流路である。作動媒体として、例えば、水、フロン、又はアルコールが適用され得る。
ランキンサイクルポンプ73は、タンク79に貯留された作動媒体を吸い上げ、作動媒体流路71内で作動媒体を循環させるポンプである。ランキンサイクルポンプ73の駆動は、制御装置100によって制御される。ランキンサイクルポンプ73は、例えば、電動モータを備え、当該電動モータによって駆動される。また、制御装置100からの動作指示に基づいて当該電動モータが駆動されることによって、ランキンサイクルポンプ73の駆動が制御されるように構成される。
熱交換器74には、作動媒体流路71及び冷却水流路13が接続される。熱交換器74において、作動媒体と冷却水との間で熱交換が行われる。それにより、作動媒体は、エンジン11の廃熱を有する冷却水によって加熱され、気化する。
膨張器75は、熱交換器74で気化した作動媒体を膨張させて機械エネルギを生成する。具体的には、膨張器75において、作動媒体は膨張室へ吸入され、膨張室で作動媒体が膨張し、羽根車が作動媒体の流れを受けることにより、当該羽根車と接続された回転体の回転運動のエネルギが生成される。膨張器75は発電機61と接続されており、膨張器75で生成された機械エネルギは発電機61へ伝達される。
凝縮器77は、膨張器75を通過した気相の作動媒体を凝縮する。凝縮器77は、具体的には、作動媒体が有する熱を作動媒体流路71の外部へ放出させることによって、当該作動媒体を冷却する。それにより、気相の作動媒体が凝縮される。凝縮器77によって凝縮された作動媒体は、タンク79へ貯留される。タンク79へ貯留された作動媒体は、再び、ランキンサイクルポンプ73によって吸い上げられる。このように、作動媒体は、ランキンサイクルポンプ73、熱交換器74、膨張器75、凝縮器77、及びタンク79を順に流れることによって、ランキンサイクル70において循環する。
本実施形態では、ファン19は、凝縮器77へ空気を送風可能である。ファン19により凝縮器77へ空気が送風されることによって、作動媒体の放熱が促される。ここで、図2を参照して、凝縮器77及びファン19の配置について、説明する。図2は、本実施形態に係る凝縮器77、ファン19、及び周囲の構成の車両における配置の一例を示す説明図である。車両前端部には、図2に示したように、車両の外部と内部とを連通する開口部5を設けられ、車両の走行時において、走行風が、開口部5を介して車両の内部へ流入する。
凝縮器77は、例えば、車両前端部における走行風が流入される部分に位置してもよい。凝縮器77は、具体的には、図2に示したように、開口部5の後方に位置する。また、ラジエータ15は、凝縮器77の後方に位置する。ゆえに、車両の走行時において、凝縮器77及びラジエータ15は、走行風によって冷却され得る。ファン19は、ラジエータ15の後方に位置する。ファン19が駆動されることによって、空気が前方から後方へ吸入されることによって、凝縮器77及びラジエータ15へ空気が送風される。それにより、凝縮器77及びラジエータ15が冷却されるので、作動媒体及び冷却水の放熱が促される。このように、図2に示した例では、ファン19によって吸入される空気の流動方向及び走行風の方向は、前方から後方へ向かう方向である。なお、図2における矢印は、ファン19によって吸入される空気の流動方向及び走行風の方向を示す。
図1に示した発電機61は、膨張器75により生成された機械エネルギを用いて発電し、発電された電力を高電圧バッテリ31へ蓄電する。発電機61は、例えば、三相交流式のモータとコンバータ装置とを備え、コンバータ装置を介して高電圧バッテリ31と電気的に接続されている。モータは膨張器75の回転体と接続され、当該回転体の回転運動のエネルギが当該モータへ伝達される。制御装置100によりコンバータ装置が制御されることによって、モータへ伝達される回転運動のエネルギを用いて当該モータにより発電が行われ、発電された交流電力がコンバータ装置により直流電力に変換され、高電圧バッテリ31へ蓄電される。制御装置100は、コンバータ装置を制御することによって、発電機61による発電を制御する。具体的には、制御装置100は、コンバータ装置を介して発電機61の出力電圧を制御する。
以上説明したように、本実施形態では、ランキンサイクル70及び発電機61を含む熱発電システム60が駆動されることによって、エンジン11の廃熱を利用した発電である熱発電が実行される。また、熱発電システム60の駆動は、制御装置100によって、制御される。
液圧センサ271は、凝縮器77より下流側における作動媒体の圧力(以下、液圧とも称する。)を検出し、検出結果を出力する。液圧センサ271は、例えば、凝縮器77より下流側において、凝縮器77に近接して設けられる。また、液圧センサ271には、液圧センサ271内の回路において断線が発生しているか否かを検出可能な断線検出用回路が設けられてもよい。その場合、液圧センサ271は、液圧を示す情報に加えて、液圧センサ271内の回路における断線の有無を示す情報を、検出結果として、出力する。
液温センサ273は、凝縮器77より下流側における作動媒体の温度(以下、液温とも称する。)を検出し、検出結果を出力する。液温センサ273は、例えば、凝縮器77より下流側において、凝縮器77に近接して設けられる。また、液温センサ273には、液温センサ273内の回路において断線が発生しているか否かを検出可能な断線検出用回路が設けられてもよい。その場合、液温センサ273は、液温を示す情報に加えて、液温センサ273内の回路における断線の有無を示す情報を、検出結果として、出力する。
蒸気圧センサ275は、膨張器75へ供給される作動媒体の圧力(以下、蒸気圧とも称する。)を検出し、検出結果を出力する。蒸気圧センサ275は、例えば、ランキンサイクル70の作動媒体流路71の膨張器75より上流側に設けられる。
蒸気温センサ277は、膨張器75へ供給される作動媒体の温度(以下、蒸気温とも称する。)を検出し、検出結果を出力する。蒸気温センサ277は、例えば、ランキンサイクル70の作動媒体流路71の膨張器75より上流側に設けられる。
回転数センサ279は、ランキンサイクルポンプ73の回転数を検出し、検出結果を出力する。
また、充電システム10には、車速センサ201と、外気温センサ203と、水温センサ205と、が設けられてもよい。車速センサ201は、車両の速度である車速を検出し、検出結果を出力する。外気温センサ203は、車両の外部の気温である外気温を検出し、検出結果を出力する。水温センサ205は、エンジン11の近傍に設けられ、エンジン11の近傍における冷却水の温度を検出し、検出結果を出力する。
制御装置100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)、CPUの実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される。
制御装置100は、充電システム10を構成する各装置の動作を制御する。例えば、制御装置100は、制御対象である各アクチュエータに対して電気信号を用いて動作指令を行う。具体的には、制御装置100は、ランキンサイクルポンプ73の駆動、ファン19の駆動、発電機61による発電、及び、モータジェネレータ41による発電並びに駆動力の生成を制御する。制御装置100は、ランキンサイクルポンプ73の駆動を制御することによって、熱発電システム60の駆動を制御し得る。また、制御装置100は、各センサから出力された情報を受信する。制御装置100は、CAN(Controller Area Network)通信を用いて各センサと通信を行ってもよい。なお、本実施形態に係る制御装置100が有する機能は複数の制御装置により分割されてもよく、その場合、当該複数の制御装置は、CAN等の通信バスを介して、互いに接続されてもよい。
制御装置100は、基本的に、液圧センサ271及び液温センサ273によってそれぞれ検出される作動媒体の液圧及び液温に基づいて、ファン19の駆動を制御する。具体的には、制御装置100は、液圧センサ271及び液温センサ273によってそれぞれ検出される作動媒体の液圧及び液温に基づいて、当該液圧に対応する作動媒体の沸点と当該液温との差である過冷度を算出する。そして、制御装置100は、当該過冷度に基づいて、ファン19の駆動を制御する。
図3は、作動媒体の蒸気圧曲線C10の一例を示す説明図である。図3では、横軸に作動媒体の温度をとり、縦軸に作動媒体の圧力をとった場合における、各圧力に対する沸点を表す蒸気圧曲線C10が示されている。なお、図3に示した蒸気圧曲線C10は、作動媒体の状態図の一部に相当し、図3において、各圧力に対する凝固点を表す融解曲線及び各温度に対する昇華圧を表す昇華曲線の図示は、省略されている。
例えば、液圧センサ271から出力される検出結果に基づいて得られる作動媒体の液圧が圧力P10である場合、作動媒体の液圧に対応する沸点は、図3に示す蒸気圧曲線C10上の点P1に対応する温度Tmb10となる。また、液温センサ273から出力される検出結果に基づいて得られる作動媒体の液温が温度Tm10である場合、図3において、作動媒体の液圧及び液温は、点P10によって表される。このような場合において、制御装置100は、温度Tmb10から温度Tm10を減算して得られる値を、過冷度ΔTとして、算出する。
そして、制御装置100は、過冷度ΔTが所定の値より小さい場合に、ファン19を駆動させる。一方、制御装置100は、過冷度ΔTが所定の値以上である場合には、ファン19を停止させる。それにより、液圧センサ271及び液温センサ273の双方が故障していない場合であるセンサ状態が正常である場合において、ファン19を連続的に駆動させることなく、ランキンサイクルポンプ73内における作動媒体の沸騰を防止することができる。ゆえに、ランキンサイクルポンプ73内における作動媒体の沸騰を防止しつつ、ファンによる電力消費量を低減することができる。よって、センサ状態が正常である場合において、ランキンサイクルポンプ73内における作動媒体の沸騰を防止しつつ、燃費を効果的に向上させることができる。
なお、上記所定の値は、車両の各種設計仕様等に基づいて、適宜設定され得る。また、図3に示した作動媒体の蒸気圧曲線に相当する情報及び上記所定の値は、制御装置100の記憶素子に予め記憶され得る。
ここで、液圧センサ271及び液温センサ273のうちの少なくとも一方が故障しているセンサ状態が異常である場合には、制御装置100は、上述した過冷度ΔTを算出することが困難となり得る。ゆえに、センサ状態が異常である場合には、制御装置100は、過冷度ΔTに基づくファン19の駆動制御を実行することが困難となり得る。本実施形態では、センサ状態が異常であるときに制御装置100により実行されるファン19の駆動制御によって、センサ状態が異常である場合であっても、ランキンサイクルポンプ73内における作動媒体の沸騰を防止しつつ、燃費を効果的に向上させることが可能となる。なお、制御装置100の詳細については、後述する。
<2.参考例>
続いて、本実施形態に係る制御装置100についての詳細な説明に先立って、図4及び図5を参照して、センサ状態が異常であるときにおける、各参考例による制御について説明する。なお、各参考例に係る車両には、本実施形態に係る充電システム10と同様に、エンジンの廃熱を用いて機械エネルギを生成するランキンサイクル及び当該機械エネルギを用いて発電する発電機を少なくとも含んで構成される熱発電システムと、ランキンサイクルの凝縮器へ空気を送風可能なファンと、が搭載される。
図4及び図5は、それぞれ第1の参考例及び第2の参考例による制御が行われた場合における、ファン及び熱発電システムの駆動状態の推移の一例を示す模式図である。具体的には、図4及び図5では、時刻T90より前の時刻において正常であったセンサ状態が、時刻T90において異常になった場合における、ファン及び熱発電システムの駆動状態の推移が示されている。なお、図4及び図5において、時刻T90より前の時刻におけるファンの駆動状態に対応する一点鎖線は、センサ状態の正常時において、過冷度に基づくファンの駆動制御が実行されていることを示す。
第1の参考例では、センサ状態が異常である場合に、ランキンサイクルポンプの駆動を停止させることによって、熱発電システムの駆動を停止させる制御が行われる。熱発電システムの駆動が停止した場合には、ランキンサイクルポンプによる作動媒体の吸入が停止する。ゆえに、ランキンサイクルポンプ内における作動媒体の沸騰は防止されるので、第1の参考例では、熱発電システムの駆動の停止に伴い、ファンの駆動を停止させる制御が行われる。例えば、センサ状態が時刻T90において異常になった場合、図4に示したように、時刻T90において、ファン及び熱発電システムの駆動は停止し、その後において、ファン及び熱発電システムが停止した状態が継続する。ゆえに、時刻T90以後において、熱発電が実行されない状態が継続する。
このように、第1の参考例では、センサ状態が異常である場合に、ファン及び熱発電システムの駆動を停止させる制御が行われる。それによって、ランキンサイクルポンプによる作動媒体の吸入が停止するので、ランキンサイクルポンプ内における作動媒体の沸騰を防止することができる。しかしながら、熱発電システムの駆動が停止するので、熱発電が停止する。ゆえに、燃費が低下し得る。
第2の参考例では、センサ状態が異常である場合に、ファンを連続的に駆動させる制御が行われる。このように作動媒体の過冷度によらずにファンが駆動されることによって、ランキンサイクルポンプ内における作動媒体の沸騰は防止されるので、第2の参考例では、熱発電システムを継続的に駆動させる制御が行われる。例えば、センサ状態が時刻T90において異常になった場合、図5に示したように、時刻T90以後において、ファン及び熱発電システムが駆動された状態が継続する。なお、時刻T90以後では、時刻T90より前の時刻と異なり、作動媒体の過冷度に基づくファンの駆動制御は行われず、ファンは連続的に駆動される。
このように、第2の参考例では、センサ状態が異常である場合に、ファンを連続的に駆動させつつ、ランキンサイクルポンプを駆動させる制御が行われる。それによって、作動媒体の過冷度によらずにファンが駆動されるので、ランキンサイクルポンプ内における作動媒体の沸騰を防止しつつ、熱発電を継続させることができる。しかしながら、ファンを連続的に駆動させることによって、当該ファンによる電力消費量が増大し得る。
このように、センサ状態が異常である場合には、ランキンサイクルポンプ内における作動媒体の沸騰を防止しつつ、燃費を効果的に向上させることが困難である場合があった。
<3.制御装置の構成>
続いて、図6〜図11を参照して、本実施形態に係る制御装置100の機能構成について説明する。図6は、本実施形態に係る制御装置100の機能構成の一例を示す説明図である。図6に示したように、制御装置100は、判定部102と、比較部104と、ファン制御部106と、熱発電制御部108と、を含む。
(判定部)
判定部102は、液圧センサ271及び液温センサ273の各々が故障しているか否かを判定する。判定部102は、液圧センサ271及び液温センサ273のうち少なくとも一方が故障していると判定した場合、判定結果として、センサ状態が異常である旨を示す情報を出力する。一方、判定部102は、液圧センサ271及び液温センサ273の双方が故障していないと判定した場合、判定結果として、センサ状態が正常である旨を示す情報を出力する。判定部102は、判定結果を比較部104、ファン制御部106、及び熱発電制御部108へ出力する。
判定部102は、液圧センサ271及び液温センサ273からそれぞれ出力される検出結果に基づいて、液圧センサ271及び液温センサ273の各々が故障しているか否かを判定し得る。具体的には、判定部102は、液圧センサ271内の回路において断線が発生している旨を示す検出結果が液圧センサ271から制御装置100へ出力された場合、液圧センサ271が故障していると判定してもよい。同様に、判定部102は、液温センサ273内の回路において断線が発生している旨を示す検出結果が液温センサ273から制御装置100へ出力された場合、液温センサ273が故障していると判定してもよい。また、判定部102は、液圧センサ271により検出された液圧が過剰に大きい又は小さい場合、当該液圧が異常値であると判断し、液圧センサ271が故障していると判定してもよい。同様に、判定部102は、液温センサ273により検出された液温が過剰に大きい又は小さい場合、当該液温が異常値であると判断し、液温センサ273が故障していると判定してもよい。
(ファン制御部)
ファン制御部106は、ファン19の駆動を制御する。ファン制御部106は、基本的に、液圧センサ271及び液温センサ273によってそれぞれ検出される作動媒体の液圧及び液温に基づいて、ファン19の駆動を制御する。より具体的には、ファン制御部106は、図3を参照して説明したように、液圧センサ271及び液温センサ273によってそれぞれ検出される作動媒体の液圧及び液温に基づいて、作動媒体の過冷度ΔTを算出する。そして、ファン制御部106は、過冷度ΔTに基づいて、ファン19の駆動を制御する。具体的には、制御装置100は、過冷度ΔTが所定の値より小さい場合に、ファン19を駆動させる。一方、制御装置100は、過冷度ΔTが所定の値以上である場合には、ファン19を停止させる。
液圧センサ271及び液温センサ273のうち少なくとも一方が故障している場合に相当するセンサ状態が異常である場合には、過冷度ΔTを算出することが困難であるので、上記の過冷度ΔTに基づくファン19の駆動制御を実行することは困難となり得る。ゆえに、上記の過冷度ΔTに基づくファン19の駆動制御は、液圧センサ271及び液温センサ273の双方が故障していない場合に相当するセンサ状態が正常である場合に、実行される。本実施形態では、センサ状態が異常であるときにファン制御部106により実行されるファン19の駆動制御によって、センサ状態が異常である場合であっても、ランキンサイクルポンプ73内における作動媒体の沸騰を防止しつつ、燃費を効果的に向上させることが可能となる。以下、センサ状態が異常であるときにおける、ファン制御部106によるファン19の駆動制御について、説明する。
ファン制御部106は、液圧センサ271及び液温センサ273のうち少なくとも一方が故障していると判定された場合に、ファン19を間欠駆動させる。それにより、ファン19の間欠駆動における駆動及び停止の継続時間の比(以下、ON/OFF時間比とも称する。)を調整することによって、凝縮器77における作動媒体の放熱の程度を調整することができる。ゆえに、ON/OFF時間比を適切に設定することによって、作動媒体の過冷度ΔTが過剰に小さくなることを防止することができる。ゆえに、センサ状態が異常である場合であっても、ランキンサイクルポンプ73内における作動媒体の沸騰を防止しつつ、熱発電システム60による熱発電を継続させることができる。さらに、センサ状態が異常である場合において、ファン19を間欠駆動させることによって、ファン19を連続的に駆動させる場合と比較して、ファン19による電力消費量を低減することができる。ゆえに、センサ状態が異常である場合であっても、ランキンサイクルポンプ73内における作動媒体の沸騰を防止しつつ、燃費を効果的に向上させることが可能となる。
ファン制御部106は、具体的には、液圧センサ271及び液温センサ273のうち少なくとも一方が故障していると判定された場合に、ON/OFF時間比を算出し、ファン19が算出されたON/OFF時間比で間欠駆動するように、ファン19へ動作指示を出力する。また、ファン制御部106は、算出されたON/OFF時間比を示す情報を比較部104へ出力する。当該情報は、比較部104が行うファン19による電力消費量の算出処理において利用される。
ファン制御部106は、例えば、凝縮器77における作動媒体の温度に関連する指標値に基づいて、ON/OFF時間比を算出する。凝縮器77における作動媒体の温度と、凝縮器77より下流側における作動媒体の過冷度ΔTとは、相関を有する。具体的には、凝縮器77における作動媒体の温度が高いほど、作動媒体の過冷度ΔTは小さくなる。ゆえに、凝縮器77における作動媒体の温度に関連する指標値に基づいて、ON/OFF時間比を算出することによって、凝縮器77における作動媒体の放熱の程度を適切に設定することができる。よって、ランキンサイクルポンプ73内における作動媒体の沸騰を防止しつつ、ON/OFF時間比が過剰に大きな値に設定されることを防止することができる。従って、燃費をより効果的に向上させることが可能となる。
指標値は、膨張器75へ供給される作動媒体の圧力である蒸気圧を含んでもよい。ファン制御部106は、例えば、図7に示したマップM10を用いてON/OFF時間比を算出する。マップM10は、作動媒体の蒸気圧とON/OFF時間比との関係性を表す。具体的には、図7に示したように、マップM10において、ON/OFF時間比は、作動媒体の蒸気圧が大きいほど、大きい値に設定されてもよい。ここで、作動媒体の蒸気圧が大きいほど、凝縮器77へ流入する時点における作動媒体の温度は高い。ゆえに、ON/OFF時間比を、作動媒体の蒸気圧が大きいほど、大きい値に設定することによって、凝縮器77における作動媒体の放熱の程度を、作動媒体の蒸気圧に応じて、適切に調整することができる。なお、作動媒体の蒸気圧は、蒸気圧センサ275から制御装置100へ出力される検出結果に基づいて得られる。
また、指標値は、膨張器75へ供給される作動媒体の流量(以下、蒸気流量とも呼ぶ。)を含んでもよい。ファン制御部106は、例えば、図8に示したマップM20を用いてON/OFF時間比を算出する。マップM20は、作動媒体の蒸気流量とON/OFF時間比との関係性を表す。具体的には、図8に示したように、マップM20において、ON/OFF時間比は、作動媒体の蒸気流量が大きいほど、大きい値に設定されてもよい。ここで、作動媒体の蒸気流量が大きいほど、凝縮器77へ流入する作動媒体の流量は大きい。よって、作動媒体の蒸気流量が大きいほど、凝縮器77へ流入する熱量は大きい。ゆえに、ON/OFF時間比を、作動媒体の蒸気流量が大きいほど、大きい値に設定することによって、凝縮器77における作動媒体の放熱の程度を、作動媒体の蒸気流量に応じて、適切に調整することができる。
ファン制御部106は、ランキンサイクルポンプ73の回転数に基づいて、作動媒体の蒸気流量を算出し得る。ファン制御部106は、具体的には、蒸気流量を、ランキンサイクルポンプ73の回転数が高いほど、大きな値となるように算出する。なお、ランキンサイクルポンプ73の回転数は、回転数センサ279から制御装置100へ出力される検出結果に基づいて得られる。なお、ファン制御部106は、エンジン11の冷却水の温度に基づいて、蒸気流量を算出してもよい。ファン制御部106は、具体的には、蒸気流量を、エンジン11の冷却水の温度が高いほど、大きな値となるように算出する。なお、エンジン11の冷却水の温度は、水温センサ205から制御装置100へ出力される検出結果に基づいて得られる。
また、指標値は、液温センサ273によって検出される作動媒体の液温を含んでもよい。ファン制御部106は、例えば、図9に示したマップM30を用いてON/OFF時間比を算出する。マップM30は、作動媒体の液温とON/OFF時間比との関係性を表す。具体的には、図9に示したように、マップM30において、ON/OFF時間比は、液温センサ273によって検出される作動媒体の液温が高いほど、大きい値に設定されてもよい。ここで、液温センサ273によって検出される作動媒体の液温が高いほど、凝縮器77における作動媒体の温度は高い。ゆえに、ON/OFF時間比を、作動媒体の液温が高いほど、大きい値に設定することによって、凝縮器77における作動媒体の放熱の程度を、作動媒体の液温に応じて、適切に調整することができる。なお、液温センサ273によって検出される作動媒体の液温に基づくON/OFF時間比の算出は、液温センサ273が故障していない場合に実現し得る。
また、指標値は、走行風と関連性を有してもよい。図2を参照して説明したように、凝縮器77は、車両前端部における走行風が流入される部分に位置してもよい。その場合、車両の走行時において、凝縮器77は、走行風によって冷却され得る。ゆえに、指標値が走行風と関連性を有することによって、凝縮器77における作動媒体の放熱の程度をより適切に調整することができる。
走行風と関連性を有する指標値は、外気温を含んでもよい。ファン制御部106は、例えば、図10に示したマップM40を用いてON/OFF時間比を算出する。マップM40は、外気温とON/OFF時間比との関係性を表す。具体的には、図10に示したように、マップM40において、ON/OFF時間比は、外気温が高いほど、大きい値に設定されてもよい。ここで、外気温が高いほど、走行風によって凝縮器77が冷却される程度は低い。よって、外気温が高いほど、凝縮器77における作動媒体の温度は高い。ゆえに、ON/OFF時間比を、外気温が高いほど、大きい値に設定することによって、凝縮器77における作動媒体の放熱の程度を、外気温に応じて、より適切に調整することができる。なお、外気温は、外気温センサ203から制御装置100へ出力される検出結果に基づいて得られる。
また、走行風と関連性を有する指標値は、車速を含んでもよい。ファン制御部106は、例えば、図11に示したマップM50を用いてON/OFF時間比を算出する。マップM50は、車速とON/OFF時間比との関係性を表す。具体的には、図11に示したように、マップM50において、ON/OFF時間比は、車速が低いほど、大きい値に設定されてもよい。ここで、車速が低いほど、走行風によって凝縮器77が冷却される程度は低い。よって、車速が低いほど、凝縮器77における作動媒体の温度は高い。ゆえに、ON/OFF時間比を、車速が低いほど、大きい値に設定することによって、凝縮器77における作動媒体の放熱の程度を、車速に応じて、より適切に調整することができる。なお、車速は、車速センサ201から制御装置100へ出力される検出結果に基づいて得られる。
(熱発電制御部)
熱発電制御部108は、ランキンサイクル70及び発電機61を含む熱発電システム60の駆動を制御する。具体的には、熱発電制御部108は、ランキンサイクルポンプ73の駆動を制御することによって、熱発電システム60の駆動を制御する。熱発電システム60が駆動されることによって、ランキンサイクル70によるエンジン11の廃熱の回収及び発電機61による発電が実現される。
熱発電制御部108は、液圧センサ271及び液温センサ273のうち少なくとも一方が故障していると判定された場合に、熱発電システム60の駆動を継続させる。このような場合には、上述したように、ファン制御部106によって、ファン19が間欠駆動される。ゆえに、熱発電制御部108は、ランキンサイクルポンプ73内における作動媒体の沸騰を回避しつつ、熱発電システム60による熱発電を継続させることができる。
また、熱発電制御部108は、後述するように、センサ状態が異常である場合において、比較部104から出力されるファン19による電力消費量と熱発電システム60による発電量との比較結果に基づいて、熱発電システム60の駆動を制御してもよい。なお、ファン制御部106も、後述するように、熱発電制御部108と同様に、比較部104から出力される比較結果に基づいて、ファン19の駆動を制御してもよい。
(比較部)
比較部104は、液圧センサ271及び液温センサ273のうち少なくとも一方が故障していると判定された場合に、ファン19による電力消費量及び熱発電システム60による発電量をそれぞれ算出し、算出結果を比較する。そして、比較部104は、ファン19による電力消費量と熱発電システム60による発電量との比較結果をファン制御部106及び熱発電制御部108へ出力する。なお、後述するように、センサ状態が異常である場合において、ファン19及び熱発電システム60の駆動は、停止され得る。また、制御装置100が行う処理において、算出されるファン19による電力消費量及び熱発電システム60による発電量は、具体的には、単位時間あたりの値である。
比較部104は、具体的には、ファン19及び熱発電システム60が駆動されているときに、ファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量を上回る場合、比較結果として、その旨を示す情報を出力する。一方、比較部104は、ファン19及び熱発電システム60が駆動されているときに、ファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量以下である場合、比較結果として、その旨を示す情報を出力する。
比較部104は、ファン19を連続的に駆動させた場合における電力消費量及びファン制御部106によって算出されるON/OFF時間比に基づいて、間欠的に駆動されるファン19による電力消費量を算出し得る。具体的には、比較部104は、ファン19を連続的に駆動させた場合における電力消費量にON/OFF時間比を乗じて得られる値を、ファン19による電力消費量として、算出する。なお、ファン19を連続的に駆動させた場合における電力消費量は、ファン19の各種設計仕様に依存する値であり、予め制御装置100の記憶素子に記憶されている。
また、比較部104は、作動媒体の蒸気流量及び蒸気温に基づいて、熱発電システム60による発電量を算出し得る。具体的には、比較部104は、作動媒体の蒸気流量又は蒸気温の値が大きいほど、熱発電システム60による発電量として、大きな値を算出する。なお、作動媒体の蒸気温は、蒸気温センサ277から制御装置100へ出力される検出結果に基づいて得られる。また、作動媒体の蒸気流量は、ランキンサイクルポンプ73の回転数に基づいて得られる。比較部104は、具体的には、蒸気流量を、ランキンサイクルポンプ73の回転数が高いほど、大きな値となるように算出する。なお、比較部104は、エンジン11の冷却水の温度に基づいて、蒸気流量を算出してもよい。ファン制御部106は、具体的には、蒸気流量を、エンジン11の冷却水の温度が高いほど、大きな値となるように算出する。
ファン制御部106及び熱発電制御部108は、液圧センサ271及び液温センサ273のうち少なくとも一方が故障していると判定された場合に、ファン19による電力消費量と熱発電システム60による発電量との比較結果に基づいて、それぞれファン19及び熱発電システム60の駆動を制御する。ファン19及び熱発電システム60の駆動に起因する車両全体におけるエネルギの増減は、ファン19による電力消費量と熱発電システム60による発電量との大小関係に応じて、異なり得る。よって、ファン19による電力消費量と熱発電システム60による発電量との比較結果に基づいて、ファン19及び熱発電システム60の駆動を制御することによって、燃費をさらに効果的に向上させることができる。
具体的には、ファン制御部106及び熱発電制御部108は、ファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量を上回る場合に、それぞれファン19及び熱発電システム60の駆動を停止させる。ファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量を上回る場合、ファン19及び熱発電システム60の駆動を継続させることにより、車両全体におけるエネルギが減少し得る。ゆえに、このような場合にファン19及び熱発電システム60の駆動を停止させることによって、燃費をさらに効果的に向上させることができる。
比較部104は、ファン19及び熱発電システム60の駆動が停止しているときに、ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させた場合におけるファン19による電力消費量及び熱発電システム60による発電量をそれぞれ算出し、算出結果を比較する。そして、比較部104は、ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させた場合におけるファン19による電力消費量と熱発電システム60による発電量との比較結果をファン制御部106及び熱発電制御部108へ出力する。
比較部104は、具体的には、ファン19及び熱発電システム60の駆動が停止しているときに、ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させた場合におけるファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量を上回る場合、比較結果として、その旨を示す情報を出力する。一方、比較部104は、ファン19及び熱発電システム60の駆動が停止しているときに、ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させた場合におけるファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量以下である場合、比較結果として、その旨を示す情報を出力する。
比較部104は、ファン19及び熱発電システム60の駆動が停止しているときに、上述したファン制御部106によるON/OFF時間比の算出処理と同様の処理によって、ON/OFF時間比を算出し得る。そして、比較部104は、このように算出されたON/OFF時間比及びファン19を連続的に駆動させた場合における電力消費量に基づいて、ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させた場合におけるファン19による電力消費量を算出し得る。
また、比較部104は、ファン19及び熱発電システム60の駆動が停止しているときのエンジン11の冷却水の温度に基づいて、ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させた場合における熱発電システム60による発電量を算出し得る。具体的には、比較部104は、エンジン11の冷却水の温度が高いほど、ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させた場合における熱発電システム60による発電量として、大きな値を算出する。
ファン制御部106及び熱発電制御部108は、ファン19及び熱発電システム60の駆動を停止させた後において、ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させた場合におけるファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量以下である場合に、それぞれファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させてもよい。ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させた場合におけるファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量以下である場合、ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させることにより、車両全体におけるエネルギが増大し得る。ゆえに、このような場合にファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させることによって、燃費をさらに効果的に向上させることができる。
本実施形態では、ファン19は、上述したように、凝縮器77へ空気を送風する機能の他、ラジエータ15へ空気を送風する機能も有する。ここで、ファン制御部106は、ラジエータ15の冷却を目的としてファン19を駆動させる旨の駆動要求に基づいて、ファン19を優先的に駆動させてもよい。例えば、エンジン11の冷却水の温度が比較的高い場合に、ラジエータ15の冷却を目的としてファン19を駆動させる旨の駆動要求が、他の制御装置から制御装置100へ通知される場合がある。このようなファン19の駆動要求が通知された場合に、ファン制御部106は、ファン19を優先的に駆動させてもよい。なお、ラジエータ15の冷却を目的としてファン19を優先的に駆動させるか否かの判定は、制御装置100が、行ってもよい。その場合、制御装置100は、ラジエータ15の冷却を目的としてファン19を駆動させると判定した場合に、ファン19を優先的に駆動させてもよい。
例えば、センサ状態が異常であるときに、ファン19及び熱発電システム60の駆動が停止している場合において、ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させた場合におけるファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量を上回る場合であっても、ラジエータ15の冷却を目的とするファン19の駆動要求が通知されたことをトリガとして、ファン制御部106は、ファン19を駆動させてもよい。その場合には、ファン19によって凝縮器77が冷却されているので、ランキンサイクルポンプ73内における作動媒体の沸騰を回避しつつ、熱発電システム60を駆動させることができる。ゆえに、ラジエータ15の冷却を目的としてファン19を駆動させる旨の駆動要求に基づいて、ファン19が優先的に駆動された場合において、熱発電制御部108は熱発電システム60を駆動させる。それにより、熱発電システム60を駆動させない場合と比較して、燃費を向上させることができる。
<4.動作>
続いて、本実施形態に係る制御装置100が行う処理の流れについて説明する。
(制御フロー)
まず、図12に示すフローチャートを参照して、本実施形態に係る制御装置100による制御フローについて説明する。図12は、本実施形態に係る制御装置100が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。図12に示した処理は、車両の制御システムが起動した後において、常時実行され得る。
図12に示したように、まず、判定部102は、液圧センサ271及び液温センサ273のうち少なくとも一方が故障しているか否かを判定する。換言すると、判定部102は、センサ状態が異常であるか否かを判定する(ステップS501)。センサ状態が正常であると判定された場合(ステップS501/NO)、ステップS501の判定処理が繰り返される。一方、センサ状態が異常であると判定された場合(ステップS501/YES)、ファン制御部106は、ファン19のON/OFF時間比を算出する(ステップS503)。そして、ファン制御部106は、算出されたON/OFF時間比でファン19を間欠駆動させる(ステップS505)。
次に、比較部104は、ファン19による電力消費量及び熱発電システム60による発電量をそれぞれ算出し、算出結果を比較する(ステップS507)。ファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量以下である場合(ステップS507/NO)、ステップS507の処理が繰り返される。一方、ファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量を上回る場合(ステップS507/YES)、ファン制御部106及び熱発電制御部108は、それぞれファン19及び熱発電システム60の駆動を停止させる(ステップS509)。
次に、比較部104は、ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させた場合におけるファン19による電力消費量及び熱発電システム60による発電量をそれぞれ算出し、算出結果を比較する(ステップS511)。ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させた場合におけるファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量を上回る場合(ステップS511/NO)、ステップS511の処理が繰り返される。一方、ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させた場合におけるファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量以下である場合(ステップS511/YES)、ファン制御部106及び熱発電制御部108は、それぞれファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させる(ステップS513)。そして、ステップS507の処理へ戻り、ステップS507〜ステップS513の処理が繰り返される。
なお、図12に示したフローチャートにおける各処理の前後において、ラジエータ15の冷却を目的とするファン19の駆動要求が、他の制御装置から制御装置100へ通知された場合、ファン制御部106はファン19を優先的に駆動させてもよい。
また、ファン制御部106によるファン19のON/OFF時間比の算出処理(ステップS503)は、常時又は一定時間間隔で行われてもよい。その場合、ファン制御部106は、ON/OFF時間比の設定値を直近に算出されたON/OFF時間比に更新してもよい。
(ファン及び熱発電システムの駆動状態の推移)
続いて、図13〜図15を参照して、本実施形態に係る制御装置100による制御が行われた場合における、ファン19及び熱発電システム60の駆動状態の推移について説明する。
まず、センサ状態が正常から異常へ切り替わった前後における、本実施形態に係る制御装置100による制御について説明する。図13は、本実施形態に係る制御装置100による制御が行われた場合における、センサ状態が正常から異常へ切り替わった前後での、ファン19及び熱発電システム60の駆動状態の推移の一例を示す模式図である。図13では、時刻T10より前の時刻において正常であったセンサ状態が、時刻T10において異常になった場合における、ファン19及び熱発電システム60の駆動状態の推移の一例が示されている。なお、図13において、時刻T10より前の時刻におけるファン19の駆動状態に対応する一点鎖線は、センサ状態の正常時において、過冷度ΔTに基づくファン19の駆動制御が実行されていることを示す。
時刻T10において、センサ状態が異常になった場合、判定部102によって、センサ状態が異常である旨を示す情報が、判定結果として、ファン制御部106及び熱発電制御部108へ出力される。それにより、図13に示したように、時刻T10以後において、ファン制御部106によって、ファン19が間欠駆動される。なお、ファン19の間欠駆動におけるON/OFF時間比は、図13に模式的に示したように、時刻T10以後において、時間の経過に伴って変動し得る。具体的には、ファン制御部106は、常時又は一定時間間隔でON/OFF時間比を算出し、ON/OFF時間比の設定値を直近に算出されたON/OFF時間比に更新してもよい。また、図13に示したように、時刻T10以後において、熱発電制御部108によって、熱発電システム60の駆動は継続される。
このように、本実施形態に係る制御装置100によれば、液圧センサ271及び液温センサ273のうち少なくとも一方が故障していると判定された場合に、ファン19が間欠駆動される。ゆえに、センサ状態が異常である時刻T10以後においても、ランキンサイクルポンプ73内における作動媒体の沸騰を防止しつつ、熱発電システム60による熱発電を継続させることができる。さらに、センサ状態が異常である時刻T10以後において、ファン19が間欠駆動されるので、ファン19を連続的に駆動させる場合と比較して、ファン19による電力消費量を低減することができる。ゆえに、センサ状態が異常である場合であっても、ランキンサイクルポンプ73内における作動媒体の沸騰を防止しつつ、燃費を効果的に向上させることが可能となる。
続いて、センサ状態が異常になった後における、本実施形態に係る制御装置100による制御について説明する。図14及び図15は、本実施形態に係る制御装置100による制御が行われた場合における、センサ状態が異常となった後での、ファン19及び熱発電システム60の駆動状態の推移の一例を示す模式図である。図14及び図15では、図13に示した時刻T10より後の時刻T20において、ファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量を上回った場合における、ファン19及び熱発電システム60の駆動状態の推移についての互いに異なる例がそれぞれ示されている。
図14及び図15に示した電力消費量と発電量との差は、ファン19による電力消費量から熱発電システム60による発電量を減算して得られる値である。比較部104は、例えば、このような電力消費量と発電量との差を算出することによって、ファン19による電力消費量及び熱発電システム60による発電量のそれぞれの算出結果を比較してもよい。なお、図14において、時刻T20から時刻T30の間の時刻における電力消費量と発電量との差に対応する一点鎖線は、ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させた場合における電力消費量と発電量との差を示す。
図14に示したように、時刻T20において、ファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量を上回った場合、比較部104によって、その旨を示す情報が、比較結果として、ファン制御部106及び熱発電制御部108へ出力される。それにより、図14に示したように、時刻T20において、ファン制御部106によって、ファン19の駆動が停止される。また、図14に示したように、時刻T20において、熱発電制御部108によって、熱発電システム60の駆動が停止される。
そして、図14に示したように、時刻T20の後の時刻T30において、ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させた場合におけるファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量以下となった場合、比較部104によって、その旨を示す情報が、比較結果として、ファン制御部106及び熱発電制御部108へ出力される。それにより、図14に示したように、時刻T30において、ファン制御部106によって、ファン19の駆動が再開される。また、図14に示したように、時刻T30において、熱発電制御部108によって、熱発電システム60の駆動が再開される。
このように、本実施形態では、液圧センサ271及び液温センサ273のうち少なくとも一方が故障していると判定された場合において、ファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量を上回る場合に、ファン19及び熱発電システム60の駆動が停止される。それにより、ファン19及び熱発電システム60の駆動を継続させることに起因して、車両全体におけるエネルギが減少することを防止することができる。ゆえに、燃費をさらに効果的に向上させることができる。
また、本実施形態では、ファン19及び熱発電システム60の駆動を停止させた後において、ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させた場合におけるファン19による電力消費量が熱発電システム60による発電量以下である場合に、ファン19及び熱発電システム60の駆動が再開される。それにより、ファン19及び熱発電システム60の駆動を再開させることに起因して、車両全体におけるエネルギを増大させることができる。ゆえに、燃費をさらに効果的に向上させることができる。
また、図15に示したように、ファン19及び熱発電システム60の駆動が停止した時刻T20の後の時刻T40において、ラジエータ15の冷却を目的とするファン19の駆動要求が、他の制御装置から制御装置100へ通知された場合、ファン制御部106は、ファン19を優先的に駆動させる。また、図15に示したように、時刻T40において、熱発電制御部108は、熱発電システム60を駆動させる。
このように、本実施形態では、ラジエータ15の冷却を目的とするファン19の駆動要求が通知され、ファン19が優先的に駆動された場合において、熱発電システム60が駆動される。それにより、熱発電システム60を駆動させない場合と比較して、燃費を向上させることができる。
<5.むすび>
以上説明したように、本実施形態によれば、液圧センサ271及び液温センサ273のうち少なくとも一方が故障していると判定された場合に、ファン19が間欠駆動される。ゆえに、センサ状態が異常である場合であっても、ランキンサイクルポンプ73内における作動媒体の沸騰を防止しつつ、熱発電システム60による熱発電を継続させることができる。さらに、センサ状態が異常である場合において、ファン19を間欠駆動させることによって、ファン19を連続的に駆動させる場合と比較して、ファン19による電力消費量を低減することができる。ゆえに、センサ状態が異常である場合であっても、ランキンサイクルポンプ73内における作動媒体の沸騰を防止しつつ、燃費を効果的に向上させることが可能となる。
上記では、本発明に係るランキンサイクル及び制御装置をハイブリッド車両に適用した例について説明したが、本発明の技術的範囲は係る例に限定されない。例えば、本発明に係るランキンサイクル及び制御装置は、エンジン11から出力される駆動力によって走行し、動力源として高電圧バッテリ31を有しない車両にも適用され得る。その場合、ランキンサイクル70によって生成された機械エネルギを用いて発電機により発電された電力は、車両内の各種装置へ電力を供給する低電圧バッテリへ蓄電されてもよい。また、ランキンサイクル70によって生成された機械エネルギは、必ずしも発電に利用されなくてもよく、直接的に発電機以外の他の装置を駆動するために利用されてもよい。
また、上記では、エンジン11の運転により生成された駆動力は、駆動力伝達系51を介して、駆動輪21へ伝達される例について説明したが、本発明に係る技術的範囲は係る例に限定されない。例えば、エンジン11の運転により生成された駆動力は、エンジン11と接続された図示しない発電機へ伝達され、当該発電機による発電に用いられてもよい。なお、当該発電機によって発電された電力は、高電圧バッテリ31へ蓄電されるように構成し得る。
また、上記では、ランキンサイクル70は、車両のエンジン11の廃熱を回収する冷却水との間で熱交換を行うことにより、機械エネルギを生成する例について説明したが、本発明に係る技術的範囲は係る例に限定されない。例えば、ランキンサイクル70は、車両のエンジン11の廃熱を有する排気ガスとの間で熱交換を行うことにより、機械エネルギを生成してもよい。係る場合において、熱交換器74には、作動媒体流路71及び排気ガスの配管が接続され得る。
また、上記では、バッテリが高電圧バッテリ31である例について説明したが、本発明に係る技術的範囲は係る例に限定されず、例えば、バッテリは車両内の各種装置へ電力を供給する低電圧バッテリであってもよい。係る場合には、発電機61及びモータジェネレータ41はそれぞれ低電圧バッテリと電気的に接続され、発電機61で発電される電力及び制動発電においてモータジェネレータ41で発電される電力は、それぞれ低電圧バッテリへ蓄電されるように構成し得る。
また、上記では、ファン19が、凝縮器77へ空気を送風する機能の他、ラジエータ15へ空気を送風する機能も有する例について説明したが、本発明の技術的範囲は係る例に限定されない。例えば、ファン19は、ラジエータ15へ空気を送風する機能を有しなくともよい。その場合、ファン19と異なる他のファンによって、ラジエータ15へ空気が送風されるように構成され得る。
また、上記では、ランキンサイクルポンプ73が、電動モータを備え、当該電動モータによって駆動される例について説明したが、本発明の技術的範囲は係る例に限定されない。例えば、ランキンサイクルポンプ73は、エンジン11から出力される動力によって駆動されてもよい。その場合には、ランキンサイクルポンプ73は、クラッチを介して、エンジン11のクランクシャフトと連結される。当該クラッチは、クランクシャフトからランキンサイクルポンプ73への動力の伝達の可否を切替可能であり、制御装置100からの動作指示に基づいて、当該クラッチが駆動されることによって、ランキンサイクルポンプ73の駆動が制御されるように構成され得る。
また、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。