JP2018015390A - 部分義歯製造用糸状体、部分義歯用金属フレームの製造方法、部分義歯の製造方法 - Google Patents

部分義歯製造用糸状体、部分義歯用金属フレームの製造方法、部分義歯の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フレームおよびクラスプの一体品を作製する場合において、製造コストに優れるとともに位置精度に優れる部分義歯を製造できる部分義歯製造用糸状体、部分義歯用金属フレームの製造方法、部分義歯の製造方法を提供すること。【解決手段】加熱消失性を有する有機材料で直線状に成形され、曲げ変形可能な弾性と曲げ方向の弾性復元力を備えて直線状に形状が維持された部分義歯製造用糸状体10をフレーム形のワックスパターン40に固定することで本模型30から取り外して耐火性埋没材に埋没させ、フレーム形の鋳型を作製して、金属フレーム26を鋳造する。【選択図】図2

Description

本発明は、部分義歯製造用糸状体、部分義歯用金属フレームの製造方法、部分義歯の製造方法に関するものである。
義歯は、顎堤粘膜に密着する樹脂製の義歯床と、義歯床に固定された人工歯と、を備える。樹脂製の義歯床は、補強目的で、金属製のフレームに一体成形することがある。金属使用量が制限される保険適用の場合、金属製のフレームは細いフレームとなる。義歯は、全体義歯と部分義歯に分けられる。全体義歯は無歯顎の顎堤粘膜全体を覆うように形成されるのに対し、部分義歯は一部欠損の顎堤粘膜を覆うように形成される。部分義歯は装着した位置からずれるおそれがあるため、所望の位置に維持すべく、クラスプを備える。クラスプは、残存歯である鉤歯に掛ける留め金である。
従来、クラスプとフレームは、別体として作製されていた。クラスプとフレームは、義歯床のための樹脂の填入時に樹脂によって一体化されるか、樹脂の填入前に溶接などの接合方法にて一体化されている(特許文献1)。
特開2013−255627号公報
樹脂によってクラスプとフレームを一体化する場合、樹脂の填入時にクラスプの移動が起こりやすい。このため、義歯床の完成後にも、クラスプの位置の調節が必要となる。一方、樹脂の填入前にクラスプとフレームを溶接などの接合方法で接合していれば、樹脂の填入時にクラスプの移動が生じない。しかし、溶接によるフレームの変形やクラスプの位置ズレなどが起こりやすい。したがって、この場合には、接合後に、クラスプの位置の調節が必要となる。
そこで、クラスプとフレームを一体成形する方法も採られている。この場合、一般に、以下の工程で作製される。
(1)歯科医により作製された本模型からシリコーンゴムの印象材を用いて雌型を作製する。
(2)作製した雌型に耐火性の石膏を注入して複模型を作製する。
(3)作製した複模型にフレームおよびクラスプが一体となる形のワックスパターンを作製する。
(4)複模型とともにワックスパターンを耐火性の埋没材に埋没させる。
(5)耐火性の埋没材ごと加熱し、ワックスパターンを消失させて、フレームおよびクラスプが一体となる形の鋳型を作製する。
(6)鋳型に溶融金属を流し込んで、フレームおよびクラスプの一体品を鋳造する。
(7)埋没材からフレームおよびクラスプの一体品を取り出す。
しかし、上記方法でフレームおよびクラスプの一体品を鋳造する場合には、ワックスパターンを作製する際に、シリコーンゴムの印象材を用いた雌型の作製と、耐火性の石膏を用いた複模型の作製を行う必要がある。これらは高価な材料である上、工程も多く、作製コストが高いという問題がある。また、耐火性の石膏は比較的脆いことから、取り扱いに注意を要する。
一方、雌型および複模型を用いない方法でフレームおよびクラスプの一体品を鋳造する場合には、本模型に直接、フレームおよびクラスプが一体となる形のワックスパターンを作製することになる。本模型は非耐火性の石膏で作製されているため、ワックスパターンの鋳型を作製するためには、本模型からワックスパターンを外して耐火性の埋没材に埋没させる必要がある。保険適用の場合、ワックスパターンのフレームに相当する部分が細い。また、クラスプに相当する部分が微細である。このため、本模型から外す際に、フレームやクラスプに相当する部分の変形や、クラスプに相当する部分の位置ズレなどが生じるおそれがある。そうすると、鋳造されたフレームおよびクラスプの一体品において、クラスプの位置ズレなどの調整が必要となる。
本発明が解決しようとする課題は、製造コストに優れるとともに位置精度に優れるフレームおよびクラスプの一体品を鋳造できる部分義歯製造用糸状体と、これを用いた部分義歯用金属フレームの製造方法および部分義歯の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る部分義歯製造用糸状体は、加熱消失性を有する有機材料で直線状に成形されており、曲げ変形可能な弾性と曲げ方向の弾性復元力を備えて直線状に形状が維持されており、部分義歯用の金属フレームを形成するためのフレーム形のワックスパターンの形状を維持するために用いられ、前記ワックスパターンに対しワックスを用いて固定されるものであることを要旨とするものである。
本発明に係る部分義歯製造用糸状体は、直径が0.5〜2.0mmの範囲内であることが好ましい。また、有機材料からなる撚糸に接着剤を浸み込ませて硬化させたものからなることが好ましい。また、接着剤がシアノアクリレート系接着剤であることが好ましい。
そして、本発明に係る部分義歯用金属フレームの製造方法は、上記本発明に係る部分義歯製造用糸状体を用いた部分義歯用金属フレームの製造方法であって、本模型に前記フレーム形のワックスパターンを作製する工程と、前記ワックスパターンに、ワックスを用いて前記部分義歯製造用糸状体の1本以上を固定する工程と、前記部分義歯製造用糸状体とともに前記ワックスパターンを前記本模型から取り外し、耐火性埋没材に埋没させる工程と、該耐火性埋没材ごと加熱し、前記部分義歯製造用糸状体とともに前記ワックスパターンを消失させて、前記フレーム形の鋳型を作製する工程と、前記フレーム形の鋳型に溶融金属を流し込んで金属フレームを鋳造する工程と、を有することを要旨とするものである。
本発明に係る部分義歯用金属フレームの製造方法においては、前記ワックスパターンにおけるクラスプに相当する部位に、ワックスを用いて前記部分義歯製造用糸状体の端部を固定することが好ましい。
そして、本発明に係る部分義歯の製造方法は、上記本発明に係る部分義歯用金属フレームの製造方法で製造された部分義歯用金属フレームに対し、樹脂製の義歯床および人工歯を固定することを要旨とするものである。
本発明に係る部分義歯製造用糸状体によれば、曲げ変形可能な弾性と曲げ方向の弾性復元力で直線状に形状が維持されるものであるため、ワックスパターンの所定位置に固定することで、本模型に作製したワックスパターンを本模型から取り外してもワックスパターンの形状を維持することができる。したがって、複模型や雌型を作製する必要がないため、製造コストに優れるとともに位置精度に優れるフレームおよびクラスプの一体品を鋳造できる。
また、本発明に係る部分義歯用金属フレームの製造方法によれば、本発明に係る部分義歯製造用糸状体をワックスパターンの所定位置に固定することから、本模型に作製したワックスパターンを本模型から取り外してもワックスパターンの形状を維持することができる。したがって、複模型や雌型を作製する必要がないため、製造コストに優れるとともに位置精度に優れるフレームおよびクラスプの一体品を鋳造できる。
そして、本発明に係る部分義歯の製造方法によれば、上記本発明に係る部分義歯用金属フレームの製造方法で製造された部分義歯用金属フレームを用いることから、製造コストに優れるとともに位置精度に優れる部分義歯を製造できる。
本発明の一実施形態に係る部分義歯製造用糸状体の模式図である。 本発明に係る部分義歯用金属フレームの製造方法の一例を説明する模式図である。 本発明に係る部分義歯の製造方法の一例を説明する模式図である。 部分義歯の一例を示す模式図である。 部分義歯用金属フレームの一例を示す模式図である。 本模型の一例を示す模式図である。 本模型に対し、所定の位置に部分義歯用金属フレームを装着した図である。
次に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図4は、部分義歯の一例を示したものである。図4に示すように、部分義歯20は、顎堤粘膜に密着させる樹脂製の義歯床22と、義歯床22に固定された人工歯24と、義歯床22に固定された金属フレーム(部分義歯用金属フレーム)26と、を備えている。義歯床22は、左の欠損部に配置される左側義歯床22aと右の欠損部に配置される右側義歯床22bの左右2つの部分に分かれている。
図5は、部分義歯用金属フレームの一例を示したものである。図5に示すように、部分義歯用金属フレーム(以下、単に金属フレーム26ということがある。)は、左側義歯床22aに固定され左の欠損部に配置される左小連結部261と、右側義歯床22bに固定され右の欠損部に配置される右小連結部262と、左小連結部261と右小連結部262との間を連結する大連結部263と、を備え、これらが金属材料によって一体成形されたものからなる。左小連結部261は、左の欠損部に沿って延びる幅狭薄厚の棒状となっており、残存歯(鉤歯)に隣接する端部には、残存歯に掛けて部分義歯20を固定するための左クラスプ264と、残存歯(鉤歯)の歯冠部を押さえる左レスト265と、を有している。同様に、右小連結部262は、右の欠損部に沿って延びる幅狭薄厚の棒状となっており、残存歯(鉤歯)に隣接する端部には、残存歯に掛けて部分義歯20を固定するための右クラスプ266と、残存歯(鉤歯)の歯冠部を押さえる右レスト267と、を有している。大連結部263もまた幅狭薄厚の棒状に成形されている。
図6は、本模型の一例を示したものである。本模型は、通常、歯科医により作製される。図6に示すように、本模型30は下顎の模型であり、左4番〜7番と右5番〜7番が欠損している。左側の残存歯はl1〜l3であり、右側の残存歯はr1〜r4である。左欠損部は32であり、右欠損部は34である。
図7は、本模型30に対し、所定の位置に金属フレーム26を装着した図である。図7に示すように、左小連結部261は左欠損部32に配置され、左クラスプ264が鉤歯となる左3番の残存歯l3に掛けられている。また、右小連結部262は右欠損部34に配置され、右クラスプ266が鉤歯となる右4番の残存歯r4に掛けられている。
このような金属フレーム26は、本発明において、次のようにして作製される。本発明に係る金属フレームの製造方法は、以下の工程を有する。図2は、金属フレームの製造方法の一例を示したものである。
(1)本模型30にフレーム形のワックスパターン40を作製する工程(図2(a))。
(2)ワックスパターン40に、ワックス42を用いて本発明に係る部分義歯製造用糸状体10を固定する工程(図2(b))。
(3)部分義歯製造用糸状体10とともにワックスパターン40を本模型30から取り外し(図2(c))、耐火性埋没材に埋没させる工程。
(4)耐火性埋没材ごと加熱し、部分義歯製造用糸状体10とともにワックスパターン40を消失させて、フレーム形の鋳型を作製する工程。
(5)フレーム形の鋳型に溶融金属を流し込んで、金属フレームを鋳造する工程。
本模型30は、一般に、非耐火性の石膏によって作製されている。このため、本模型30とともにワックスパターン40を耐火性埋没材に埋没させてワックスを消失させる温度まで加熱することはできない。そこで、従来は、本模型30からシリコーンゴムの印象材を用いて雌型を作製し、作製した雌型に耐火性の石膏を注入して複模型を作製し、作製した複模型にフレーム形のワックスパターン40を作製し、複模型とともにワックスパターン40を耐火性埋没材に埋没させていた。しかし、これでは、材料費および工数の面で作製コストが高くなる。また、複製の回数が多くなるので、型の精度も落ちる。そこで、本発明では、本模型30にフレーム形のワックスパターン40を作製する。こうすることで、複製の回数が少なくなり、材料費、工数、型の精度の面で有利となる。
フレーム形のワックスパターン40は、部分義歯用の金属フレーム26を形成するためのワックスパターンであり、図2(a)に示すように、左小連結部261に相当するA部、右小連結部262に相当するB部、大連結部263に相当するC部、で構成されている。左小連結部261、右小連結部262、および大連結部263はいずれも幅狭薄厚の棒状であり、ワックスパターン40は軟らかいので、変形しやすい。このため、さらに、A部−B部間を橋架けするように幅狭薄厚の棒状のワックスを連結している。C部とこの連結部Dによってワックスパターン40が環状に成形されているため、ワックスパターン40の変形が抑えられやすくなっている。しかし、これらは全て柔らかいワックスで形成されているため、変形が十分に抑えられているわけではない。このため、このままでは、変形を抑えつつワックスパターン40を本模型30から取り外すことはできない。
そこで、本発明では、図2(b)に示すように、ワックス42を用いて本発明に係る部分義歯製造用糸状体10をワックスパターン40に固定している。
図1は、本発明に係る部分義歯製造用糸状体(以下、本糸状体ということがある。)の一例を示したものである。図1に示すように、本糸状体10は、基材となる撚糸12と、撚糸12に浸み込ませて硬化させた接着剤14と、から構成されている。
本糸状体10において、撚糸12および接着剤14は、いずれも加熱消失性を有する有機材料で構成されており、これらからなる本糸状体10は、加熱消失性を有する有機材料からなる。加熱消失性とは、加熱条件下で燃焼消失あるいは分解消失する性質であり、耐火性埋没材中でワックスパターン40を消失させる際の加熱条件下で加熱によってワックスと同様に消失することをいう。ワックスパターン40を消失させる際の加熱温度は一般に1000℃程度であり、鋳型への影響を考えたときに、この条件で容易に消失することが好ましく、炭化物などの残渣を残さないことが好ましい。
撚糸12を構成する有機材料としては、天然繊維、合成繊維などが挙げられる。天然繊維としては、木綿(綿)や麻などの植物繊維、羊毛や絹などの動物繊維などが挙げられる。合成繊維は、ポリエステルやポリアミドなどの有機高分子から製造される繊維、天然繊維(天然高分子)を原料にして製造されるレーヨンなどの再生繊維、天然繊維(天然高分子)を改質して製造されるセルロース系などの半合成繊維を含む。
接着剤14は、撚糸12を直線状に成形・維持できる硬化性を有するものであれば特に限定されるものではない。接着剤14を構成する有機材料としては、シアノアクリレート系接着剤、アクリレート系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤などが挙げられる。これらのうちでは、瞬時に硬化することができるなどの観点から、シアノアクリレート系接着剤が好ましい。また、無溶剤で用いることができるなどの観点から、シアノアクリレート系接着剤、アクリレート系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤が好ましい。
本糸状体10は、有機材料からなる撚糸12に接着剤14を浸み込ませて硬化させたものからなる。単糸ではなく撚糸のほうが、接着剤14を浸み込みやすい。したがって、ムラなく均一に接着剤14を塗布できる観点から、単糸ではなく撚糸のほうが好ましい。また、接着剤14は、浸み込みやすく、ムラなく均一に接着剤14を塗布できる観点から、低粘度のものがより好ましい。この観点から、シアノアクリレート系接着剤、アクリレート系接着剤がより好ましい。
本糸状体10は、撚糸12に接着剤14を浸み込ませて硬化させたことにより、直線状に成形されている。また、曲げ変形可能な弾性と曲げ方向の弾性復元力を備えている。そして、曲げ変形可能な弾性と曲げ方向の弾性復元力を備えていることで、直線状に形状が維持されている。
曲げ変形可能な弾性は、ワックス42を用いてワックスパターン40に固定するときに必要な特性である。直線状に成形された本糸状体10をワックスパターン40に固定すると、歪が生じる。固定に用いるワックス42は比較的軟らかい材料であるため、本糸状体10の剛性が高く反発しやすいものだと、歪によって本糸状体10の固定部分がワックスパターン40から外れるおそれがある。曲げ変形可能な弾性を有することで、歪を緩和し、本糸状体10の固定部分がワックスパターン40から外れないようにすることができる。また、固定に用いるワックス42の量を少なくすることができる。
曲げ方向の弾性復元力は、直線状に形状を維持する意味で重要な特性である。曲げ変形可能な弾性を有するだけで曲げ方向の弾性復元力を備えていないと、直線状に形状を維持することができず、ワックスパターン40や本糸状体10に力が作用したときに容易に変形して、ワックスパターン40の形状を維持することができない。
本糸状体10は、剛性を抑え、曲げ変形可能な弾性を確保しやすい、曲げ方向の弾性復元力を確保しやすい、固定に用いるワックス42の量を少なくできるなどの観点から、比較的細い形状であることが好ましい。この観点から、例えば直径が0.5〜2.0mmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.5〜1.5mmの範囲内である。
以上のように、本糸状体10は、曲げ変形可能な弾性と曲げ方向の弾性復元力で直線状に形状が維持されるものであるため、ワックスパターン40の所定位置に固定することで、本模型30に作製したワックスパターン40を本模型30から取り外してもワックスパターン40の形状を維持することができる。したがって、複模型や雌型を作製する必要がないため、製造コストに優れるとともに位置精度に優れるフレームおよびクラスプの一体品を鋳造できる。
ここで、部分義歯のための金属フレームは、クラスプの位置が重要であり、部分義歯20のように2つ以上のクラスプを有するものは、クラスプ間の距離が特に重要である。クラスプは微細な構造であるため、ワックスパターンのクラスプに相当する部位は特に変形しやすい。少しの変形でもクラスプに相当する複数部位間の距離が変わってしまう。そうすると、得られた金属フレームにおいて、クラスプの浮きや位置ずれなどが生じて、調節に多大な労力を要する。また、精度が悪くなる。金属フレーム26においては、左クラスプ264と右クラスプ266の距離が特に重要である。
そこで、本糸状体10は、ワックスパターン40におけるクラスプに相当する複数部位間(a−b間)の距離を一定に維持するように固定することが好ましい。これにより、金属フレーム作製後における調節の負荷を少なくすることができる。また、より精度の高いフレームおよびクラスプの一体品を鋳造することができる。このためには、例えば、図2(b)に示すように、ワックスパターン40におけるクラスプに相当する部位a,bに、ワックス42を用いて本糸状体10の端部を固定することが好ましい。
図2(b)に示すように、本糸状体10(10a)は、ワックスパターン40の大連結部に相当するC部の中位置と連結部Dの中位置を橋渡しするようにそれぞれの位置にワックス42を用いてその端部を固定している。本糸状体10(10b)は、本糸状体10aと左クラスプに相当するa部を橋渡しするようにそれぞれの位置にワックス42を用いてその端部を固定している。本糸状体10(10c)は、本糸状体10aと右クラスプに相当するb部を橋渡しするようにそれぞれの位置にワックス42を用いてその端部を固定している。こうして、本糸状体10a〜10cによってa部とb部の間の距離が一定に維持されるようにしている。つまり、クラスプに相当する複数部位間(a−b間)の距離を一定に維持している。このように本糸状体10a〜10cをワックスパターン40に固定することで、図2(c)に示すように、確実に変形を抑えつつワックスパターン40を本模型30から取り外すことができる。
本模型30から取り外した本糸状体10とワックスパターン40は、そのままの形で耐火性の埋没材に埋没させる。本模型30とともに埋没させる必要がないことから、本模型30により埋没スペースが占有されないので、所定のスペースに対しワックスパターン40を埋没させるスペースがその分大きくなる。このため、従来は複模型とともにワックスパターンを1つしか埋没することができなかったところに、例えば2つ以上の異なるワックスパターンをまとめて埋没することができる。これにより、生産性を向上させることができる。
耐火性埋没材の加熱は、所定の炉内で行われる。ワックスパターン40を消失させるために、加熱温度は一般に1000℃程度となる。本糸状体10a〜10cは加熱消失性を有する有機材料からなるので、ワックスパターン40とともに消失する。得られた金属フレーム形の鋳型に、溶融金属を流し込む。鋳造は真空溶解で行うので、鋳巣などの欠陥のない金属フレームが得られる。また、湯回りがよくなる。本糸状体10a〜10cの跡は、クラスプに相当する部位につながっている。これにより、微細なクラスプに相当する部位に溶融金属を流れやすくする効果も期待できるため、湯回りをさらに向上させる効果が期待できる。
鋳造された金属フレームは、耐火性埋没材から取り出される。得られた金属フレームは、研磨等を行って微調整する。そして、図7に示すように、本模型30に対し、所定の位置に金属フレーム26を装着し、本模型30上での適合、維持力、着脱感などをチェックする。左小連結部と右小連結部とが別体であったり、小連結部のうちでもクラスプやレストが別体であったりすると、各ピースを単独でしかチェックすることができないが、これらが全て一体となっていることで、強度の向上が図れるだけでなく、義歯床の形成前に各部位の位置関係が定まっているので、義歯床の形成前に総合的に適合、維持力、着脱感をチェックすることができる。
以上により、金属フレーム26が作製される。作製した金属フレーム26に対し、義歯床および人工歯を固定して、本発明に係る部分義歯を作製する。以下に、その詳細について説明する。図3は、部分義歯の製造方法の一例を示したものである。
(6)本模型30に対し、所定の位置に金属フレーム26を装着する(図3(a))。
(7)本模型30に対し、金属フレーム26と一体になるように、義歯床形のワックスパターン44を作製する(図3(b))。
(8)義歯床形のワックスパターン44と一体になるように、欠損部に人工歯24を配置する(図3(b))。
(9)本模型30とともに金属フレーム26、義歯床形のワックスパターン44および人工歯24を非耐火性の埋没材に埋没させる。
(10)湯煎にて非耐火性の埋没材ごと加熱し、ワックスを排出口から流出させ、義歯床形の樹脂成形型を作製する。
(11)義歯床形の樹脂成形型に樹脂を填入し、硬化させて義歯床22を作製する。
上記(8)で得られる、義歯床がワックスでできた仮の部分義歯は、通常、患者に対し試適が行われる。試適時に、人工歯の大きさ・配列・咬合や、金属フレームの適合・維持力・着脱感などをチェックする。仮の部分義歯は、金属フレームが一体成形されているので、完成前にこれらをチェックすることができる。
埋没材による埋没後は、硬化(重合)完了後までフラスコを開輪することなく、ワックスの流出、硬化を行うとよい。これにより、バリも出ず、咬合やクラスプ・レストの狂いも抑えられる。そうすると、完成した部分義歯の咬合調整を少なくすることができ、チェアタイムの削減を図ることができる。樹脂の硬化後、埋没材から掘り出しを行い、部分義歯を取り出す。研磨・微調整を行い、部分義歯20が完成する。
金属フレーム26の材料は、歯科用金属材料として用いられる金属材料を用いることができる。軽量、耐腐食性、機械的性質、鋳造性などに優れる材料として、例えばコバルト合金やニッケル合金などが好ましく用いられる。義歯床22の材料は、アクリル樹脂などの歯科用樹脂材料として用いられる樹脂材料を用いることができる。人工歯24の材料は、樹脂、セラミックなどの歯科用材料を用いることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば上記実施形態では、本糸状体10は撚糸12に接着剤14を浸み込ませて硬化させたものから構成されているが、本発明において用いる糸状体は、この構成に限定されるものではなく、加熱消失性を有すること、曲げ変形可能な弾性と曲げ方向の弾性復元力を備えること、直線状に形状が維持されること、の特性を有するものであれば、単糸に接着剤を浸み込ませて硬化させたものや、比較的高弾性の有機高分子からなる単繊維あるいは繊維束で構成されて接着剤により硬化させていないものなどであってもよい。
また、上記実施形態では、C部の中位置と連結部Dの中位置を橋渡しするように本糸状体10aを固定し、本糸状体10aとa部を橋渡しするように本糸状体10bを固定し、本糸状体10aとb部を橋渡しするように本糸状体10cを固定しているが、本糸状体10の固定形態はこれに限定されるものではない。例えば、a部とb部を橋渡しするように本糸状体10aを固定し、本糸状体10aの中位置と連結部Dの中位置を橋渡しするように本糸状体10bを固定するものであってもよい。
10 部分義歯製造用糸状体
12 撚糸
14 接着剤
20 部分義歯
22 義歯床
24 人工歯
26 金属フレーム
30 本模型
40 ワックスパターン
42 ワックス

Claims (7)

  1. 加熱消失性を有する有機材料で直線状に成形されており、曲げ変形可能な弾性と曲げ方向の弾性復元力を備えて直線状に形状が維持されており、部分義歯用の金属フレームを形成するためのフレーム形のワックスパターンの形状を維持するために用いられ、前記ワックスパターンに対しワックスを用いて固定されるものであることを特徴とする部分義歯製造用糸状体。
  2. 直径が0.5〜2.0mmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の部分義歯製造用糸状体。
  3. 有機材料からなる撚糸に接着剤を浸み込ませて硬化させたものからなることを特徴とする請求項1または2に記載の部分義歯製造用糸状体。
  4. 前記接着剤が、シアノアクリレート系接着剤であることを特徴とする請求項3に記載の部分義歯製造用糸状体。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の部分義歯製造用糸状体を用いた部分義歯用金属フレームの製造方法であって、
    本模型に前記フレーム形のワックスパターンを作製する工程と、
    前記ワックスパターンに、ワックスを用いて前記部分義歯製造用糸状体の1本以上を固定する工程と、
    前記部分義歯製造用糸状体とともに前記ワックスパターンを前記本模型から取り外し、耐火性埋没材に埋没させる工程と、
    該耐火性埋没材ごと加熱し、前記部分義歯製造用糸状体とともに前記ワックスパターンを消失させて、前記フレーム形の鋳型を作製する工程と、
    前記フレーム形の鋳型に溶融金属を流し込んで金属フレームを鋳造する工程と、
    を有することを特徴とする部分義歯用金属フレームの製造方法。
  6. 前記ワックスパターンにおけるクラスプに相当する部位に、ワックスを用いて前記部分義歯製造用糸状体の端部を固定することを特徴とする請求項5に記載の部分義歯用金属フレームの製造方法。
  7. 請求項5または6に記載の製造方法で製造された部分義歯用金属フレームに対し、樹脂製の義歯床および人工歯を固定することを特徴とする部分義歯の製造方法。
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