JP2014064640A - 義歯システムおよび入れ歯の作成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】入れ歯をラフで、かつ、ソフトに固定することが可能な義歯システムおよび入れ歯の作成方法を提供することである。
【解決手段】係合片部13はナイロン系の熱可塑性樹脂で形成され、バー100の表面に沿って水平方向Xに延びると共に端部13aから上下方向Zに延びバー100の表面に接する第1面31と、第1面31の反対側の第2面32とを有し、義歯床10は第2面32に対面し、かつ、第2面32から離間した第3面33を有し、第1面31から第2面32に向かう方向に係合片部13が変形して拡開するのを許容する溝状の許容部15が係合片部13の第2面32と義歯床10の第3面33との間で定義されている。
【選択図】図6
【解決手段】係合片部13はナイロン系の熱可塑性樹脂で形成され、バー100の表面に沿って水平方向Xに延びると共に端部13aから上下方向Zに延びバー100の表面に接する第1面31と、第1面31の反対側の第2面32とを有し、義歯床10は第2面32に対面し、かつ、第2面32から離間した第3面33を有し、第1面31から第2面32に向かう方向に係合片部13が変形して拡開するのを許容する溝状の許容部15が係合片部13の第2面32と義歯床10の第3面33との間で定義されている。
【選択図】図6
Description
本発明は義歯システムおよび入れ歯の作成方法に関する。
近年、いわゆるインプラントと呼ばれる義歯システムにおいては、複数本のフィクスチャー(インプラント体)と、前記フィクスチャーの数よりも多い人工歯を有する構造が採用され初めている。かかるシステムにおいてはフィクスチャーの数を減らすことができ患者の肉体的、経済的な負担を軽減することができる。
一方、この種のシステムにおいては、フィクスチャーに固定したアバットメント装置に、義歯床および人工歯からなる入れ歯が着脱自在に装着される(特許文献1)。
また、複数本のフィクスチャーを埋設した場合、2本のフィクスチャーのアバットメント装置同士をバーで連結する構造も採用されている(特許文献2)。かかるバー構造はフィクスチャー同士で互いに補強し合うことを狙っている。
しかし、従来のバー構造においては、入れ歯がバーを介してリジッドに固定されるため、高い精度が要求される上、セラミック製の義歯の場合、義歯が歯合を繰り返すうちに義歯自体が破損するという事態を招く。
したがって、本発明の目的は入れ歯をラフで、かつ、ソフトに固定することが可能な義歯システムおよび入れ歯の作成方法を提供することである。
本発明の1つのシステムは、口腔組織4に埋め込まれるための複数のフィクスチャー2と、前記フィクスチャー2に連結され口腔内において露出する表面を有し、互いに離間して配置された複数のアバットメント装置3と、前記複数のアバットメント装置3のうちの一対のアバットメント装置3の間を連結するバー100と、前記バー100および前記アバットメント装置3に着脱可能に装着される入れ歯1とを備えた義歯システムであって、
前記バー100には水平方向Xに沿って延びる横溝101が形成され、
前記入れ歯1は、歯肉40に接するナイロン系の熱可塑性樹脂製の義歯床10と、前記義歯床10に支持された人工歯11と、前記入れ歯1の脱着時に上下方向Zの端部13aを中心にして回転するように変形して拡開し着用中に前記バー100の前記横溝101に係合する複数の舌片状の係合片部13とを備え、前記係合片部13と前記義歯床10とは、前記バー100の表面およびアバットメント装置3の前記表面に着脱自在に嵌合するための嵌合孔14を定義しており、
前記係合片部13はナイロン系の熱可塑性樹脂で形成され、前記バー100の前記表面に沿って水平方向Xに延びると共に前記端部13aから前記上下方向Zに延び前記バー100の表面に接する第1面31と、前記第1面31の反対側の第2面32とを有し、
前記義歯床10は前記第2面32に対面し、かつ、前記第2面32から離間した第3面33を有し、前記第1面31から前記第2面32に向かう方向に前記係合片部13が変形して拡開するのを許容する溝状の許容部15が前記係合片部13の前記第2面32と前記義歯床10の前記第3面33との間で定義されている。
なお、本発明において、「水平方向」とは、鉛直方向に直交する方向のみでなく、横方向という程度の意味である。
前記バー100には水平方向Xに沿って延びる横溝101が形成され、
前記入れ歯1は、歯肉40に接するナイロン系の熱可塑性樹脂製の義歯床10と、前記義歯床10に支持された人工歯11と、前記入れ歯1の脱着時に上下方向Zの端部13aを中心にして回転するように変形して拡開し着用中に前記バー100の前記横溝101に係合する複数の舌片状の係合片部13とを備え、前記係合片部13と前記義歯床10とは、前記バー100の表面およびアバットメント装置3の前記表面に着脱自在に嵌合するための嵌合孔14を定義しており、
前記係合片部13はナイロン系の熱可塑性樹脂で形成され、前記バー100の前記表面に沿って水平方向Xに延びると共に前記端部13aから前記上下方向Zに延び前記バー100の表面に接する第1面31と、前記第1面31の反対側の第2面32とを有し、
前記義歯床10は前記第2面32に対面し、かつ、前記第2面32から離間した第3面33を有し、前記第1面31から前記第2面32に向かう方向に前記係合片部13が変形して拡開するのを許容する溝状の許容部15が前記係合片部13の前記第2面32と前記義歯床10の前記第3面33との間で定義されている。
なお、本発明において、「水平方向」とは、鉛直方向に直交する方向のみでなく、横方向という程度の意味である。
本発明の1つのシステムにおいては、前記係合片部13がバー100の横溝101に嵌り込み、入れ歯1全体がバー100およびアバットメント装置3に対して着脱可能になる。
また、ナイロン系の樹脂製の係合片部13および義歯床10で嵌合孔14が形成されており、係合片部13の弾性変形により、バー100に対する嵌合孔14の位置の高い精度を必要としない。
また、ナイロン系の樹脂製の係合片部13および義歯床10で嵌合孔14が形成されており、係合片部13の弾性変形により、バー100に対する嵌合孔14の位置の高い精度を必要としない。
すなわち、嵌合孔14の位置がバー100に対し若干ズレが生じても、ナイロン系の樹脂からなる係合片部13が端部13aを中心に回転するように弾性変形して、入れ歯1の着用感が向上する。また、前記ズレによるフィクスチャー2に発生する外力も著しく小さくなるだろう。
本発明においては、前記義歯床および係合片部がナイロン系の熱可塑性樹脂(ポリアミド)で形成されている。前記ポリアミド樹脂は、応力に対する伸びが大きく、弾性変形し易い。そのため、前記着用感が良い。なお、かかるポリアミドとしては、エムス社のTR90を用いることができる。
本発明においては、前記ナイロン製の前記義歯床10に加え、いわゆる金属床を有していてもよい。前記金属床は、例えば、金合金、コバルトクロムまたはチタンなどの金属や合金で形成され、前記義歯床10の内表面や内部に配置され前記義歯床10を補強したり、複数の義歯床10の間を連結して補強したりするものである。
また、本発明においては前記ナイロン製の義歯床10内にガラスファイバーや金属などからなる補強材が添加されていてもよく、例えば、義歯床10はFRPで形成されていてもよい。
本発明においては、前記ナイロン製の前記義歯床10に加え、いわゆる金属床を有していてもよい。前記金属床は、例えば、金合金、コバルトクロムまたはチタンなどの金属や合金で形成され、前記義歯床10の内表面や内部に配置され前記義歯床10を補強したり、複数の義歯床10の間を連結して補強したりするものである。
また、本発明においては前記ナイロン製の義歯床10内にガラスファイバーや金属などからなる補強材が添加されていてもよく、例えば、義歯床10はFRPで形成されていてもよい。
ところで、入れ歯1は毎日のように取り外して清掃されるので、樹脂製の係合片部13が劣化したり、あるいは、永久変形の生じるおそれがある。これに対し、係合片部13がナイロン系の樹脂で形成されている場合、前記永久変形を生じにくい上、熱風を前記係合片部13およびその周囲に吹き付けながら前記係合片部13の形状を初期の形状等に戻して、係合片部13を蘇生することができる。
好ましくは、前記係合片部13における前記水平方向の側端131と義歯床10との間に前記上下方向Zに延びるスリット13sが定義されている。
各係合片部13は上下方向Zに延びるスリット13sにより義歯床本体に対し自由に変形することができる。そのため、バーやアバットメント装置3に対する嵌合孔14の位置ズレを容易に吸収することができる。
本発明の好的な実施例においては、前記係合片部13の前記端部13aが前記義歯床10に一体に連なっている。互いに一体に連なった係合片部13および義歯床10は、外力による損傷を生じにくいであろう。
本発明の別の好的な実施例においては、前記複数の係合片部13が前記ナイロン系の熱可塑性樹脂からなる1つの係合ピース13Pで形成されている。係合ピース13Pは患者に固有の形状を有していないので、予め精度良く量産し得る。したがって、コストダウンと性能の向上を図り得る。
本発明の更に好的な実施例において、前記係合片部13と前記義歯床10とを継ぐために前記樹脂とは異なる別の樹脂が介挿されている。
この場合の別の樹脂としては即時重合レジンと呼ばれる2液性のレジンが用いられるが、かかるレジンは技工師が常備しているので、実現容易である。
この場合の別の樹脂としては即時重合レジンと呼ばれる2液性のレジンが用いられるが、かかるレジンは技工師が常備しているので、実現容易である。
一方、本発明の前記入れ歯1を作成するための方法は、前記バー100および前記アバットメント装置3の形状と前記口腔の形状とを持つ雄型51を生成する工程と、(FIG2A,2B)
少なくとも前記許容部15を形成する溝の形状を持つ中子70を前記雄型51における前記バー100に相当する部位のまわりに装着する工程と、(FIG3A,3B)
前記中子70の上端もしくは下端の端面と前記雄型51の表面との間に生じるアンダーカットとなる隙間Sを充填剤53で埋めて母型52を生成する工程と、(FIG4A,4B)
前記母型52から前記樹脂製の義歯床10および係合片部13を得る工程とを備える。(FIG5A,5B)
少なくとも前記許容部15を形成する溝の形状を持つ中子70を前記雄型51における前記バー100に相当する部位のまわりに装着する工程と、(FIG3A,3B)
前記中子70の上端もしくは下端の端面と前記雄型51の表面との間に生じるアンダーカットとなる隙間Sを充填剤53で埋めて母型52を生成する工程と、(FIG4A,4B)
前記母型52から前記樹脂製の義歯床10および係合片部13を得る工程とを備える。(FIG5A,5B)
この方法によれば、中子70が許容部15となる溝15を形成し、アンダーカットSを充填剤53で埋める。そのため、義歯床10を構成する樹脂の中子70に対する型抜きが可能となる。
本発明の別のシステムにおいては、口腔組織4に埋め込まれるための複数のフィクスチャー2と、前記フィクスチャー2に連結され口腔内において露出する表面を有し、互いに離間した複数のアバットメント装置3と、前記複数のアバットメント装置3のうちの一対のアバットメント装置3の間を連結するバー100と、前記バー100および前記アバットメント装置3に着脱可能に装着される入れ歯1とを備えた義歯システムであって、
前記入れ歯1は、歯肉40に接するナイロン系の熱可塑性樹脂製の義歯床10と、前記義歯床10に支持された人工歯11と、前記入れ歯1の脱着時に上下方向Zの端部13aを中心にして回転するように変形して拡開し着用中に前記アバットメント装置3に係合する複数の舌片状の係合片部13とを備え、前記係合片部13と前記義歯床10とは、前記アバットメント装置3の前記表面および前記バー100の表面に着脱自在に嵌合するための嵌合孔14を定義しており、
前記係合片部13はナイロン系の熱可塑性樹脂で形成され、前記アバットメント装置3に対し180°よりも小さな中心角θの範囲において前記表面に沿って水平方向Xに延びると共に前記端部13aから前記上下方向Zに延び前記アバットメント装置3の前記表面に接する第1面31と、前記第1面31の反対側の第2面32とを有し、
前記義歯床10は前記第2面32に対面し、かつ、前記第2面32から離間した第3面33を有し、前記第1面31から前記第2面32に向かう方向に前記係合片部13が変形して拡開するのを許容する溝状の許容部15が前記係合片部13の前記第2面32と前記義歯床10の前記第3面33との間で定義されており、
ここにおいて、前記係合片部13の前記端部13aが前記義歯床10に一体に連なっている。
前記入れ歯1は、歯肉40に接するナイロン系の熱可塑性樹脂製の義歯床10と、前記義歯床10に支持された人工歯11と、前記入れ歯1の脱着時に上下方向Zの端部13aを中心にして回転するように変形して拡開し着用中に前記アバットメント装置3に係合する複数の舌片状の係合片部13とを備え、前記係合片部13と前記義歯床10とは、前記アバットメント装置3の前記表面および前記バー100の表面に着脱自在に嵌合するための嵌合孔14を定義しており、
前記係合片部13はナイロン系の熱可塑性樹脂で形成され、前記アバットメント装置3に対し180°よりも小さな中心角θの範囲において前記表面に沿って水平方向Xに延びると共に前記端部13aから前記上下方向Zに延び前記アバットメント装置3の前記表面に接する第1面31と、前記第1面31の反対側の第2面32とを有し、
前記義歯床10は前記第2面32に対面し、かつ、前記第2面32から離間した第3面33を有し、前記第1面31から前記第2面32に向かう方向に前記係合片部13が変形して拡開するのを許容する溝状の許容部15が前記係合片部13の前記第2面32と前記義歯床10の前記第3面33との間で定義されており、
ここにおいて、前記係合片部13の前記端部13aが前記義歯床10に一体に連なっている。
本発明の前記別のシステムにおいては、前記係合片部13で形成して嵌合孔14にアバットメント装置3が嵌り込み、入れ歯1全体がアバットメント装置3に対して着脱可能になる。
また、ナイロン系の樹脂製の係合片部13および義歯床10で嵌合孔14が形成されており、係合片部13の弾性変形により、アバットメント装置3に対する嵌合孔14の位置の高い精度を必要としない。
また、ナイロン系の樹脂製の係合片部13および義歯床10で嵌合孔14が形成されており、係合片部13の弾性変形により、アバットメント装置3に対する嵌合孔14の位置の高い精度を必要としない。
すなわち、嵌合孔14の位置がアバットメント装置3に対し若干ズレが生じても、ナイロン系の樹脂からなる係合片部13が端部13aを中心に回転するように弾性変形して、入れ歯1の着用感が向上する。また、前記ズレによるフィクスチャー2に発生する外力も著しく小さくなるだろう。
また、本発明においては、前記係合片部13の前記端部13aが前記義歯床10に一体に連なっており、互いに一体に連なった係合片部13および義歯床10は、外力による損傷を生じにくいであろう。
好ましくは、前記複数の各係合片部13が前記ナイロン系の熱可塑性樹脂からなる1つの係合ピース13Pで形成され、
前記係合ピース13Pを構成する樹脂および前記義歯床10を構成する前記樹脂とは異なる別の樹脂が前記係合ピース13Pと前記義歯床10との間に介挿されて、前記係合片部13と前記義歯床10とが互いに一体となるように継ぐための結合層19を更に備えている。
前記係合ピース13Pを構成する樹脂および前記義歯床10を構成する前記樹脂とは異なる別の樹脂が前記係合ピース13Pと前記義歯床10との間に介挿されて、前記係合片部13と前記義歯床10とが互いに一体となるように継ぐための結合層19を更に備えている。
係合ピース13Pは患者に固有の形状を有していないので、予め精度良く量産し得る。したがって、コストダウンと性能の向上を図り得る。
この場合の別の樹脂としては即時重合レジンと呼ばれる2液性のレジンが用いられるが、かかるレジンは技工師が常備しているので、実現容易である。
この場合の別の樹脂としては即時重合レジンと呼ばれる2液性のレジンが用いられるが、かかるレジンは技工師が常備しているので、実現容易である。
前記別のシステムの前記入れ歯1を作成するための方法は、
前記バー100および前記アバットメント装置3の形状と前記口腔の形状とを持つ雄型51を生成する工程と、(FIG11B)
少なくとも前記許容部15を形成する溝の形状を持つ中子70を前記雄型51における前記アバットメント装置3のまわりに装着する工程と、(FIG12A,12B)
前記中子70の上端もしくは下端の端面と前記雄型51の表面との間に生じるアンダーカットとなる隙間Sを充填剤53で埋めて母型52を生成する工程と、(FIG13A,13B)
前記母型52から前記樹脂製の義歯床10および係合片部13を得る工程とを備える。(FIG14〜16)
前記バー100および前記アバットメント装置3の形状と前記口腔の形状とを持つ雄型51を生成する工程と、(FIG11B)
少なくとも前記許容部15を形成する溝の形状を持つ中子70を前記雄型51における前記アバットメント装置3のまわりに装着する工程と、(FIG12A,12B)
前記中子70の上端もしくは下端の端面と前記雄型51の表面との間に生じるアンダーカットとなる隙間Sを充填剤53で埋めて母型52を生成する工程と、(FIG13A,13B)
前記母型52から前記樹脂製の義歯床10および係合片部13を得る工程とを備える。(FIG14〜16)
好ましくは、前記中子70はC字状のC環部72Aと、前記係合片部13,13同士の間において上下に延び前記係合片部13,13同士が互いに独立して変形するのを許容するスリット13sに相当する位置において前記C環部72Aの内周面から前記アバットメント装置3の外周面に向かって延びる複数の羽根部71Aとを備え、前記羽根部71Aにより、前記義歯床10を得る工程において前記スリット13sの一部または全部が形成される。
前記羽根部71Aはスリット13sを形成するので、スリット13sの形成が容易になる。
なお、スリット13sが部分的に羽根部71Aで形成され、スリット13sの残部は樹脂を加工で削除することにより形成されてもよい。
なお、スリット13sが部分的に羽根部71Aで形成され、スリット13sの残部は樹脂を加工で削除することにより形成されてもよい。
羽根部71Aがアバットメント装置3の被係合溝3eに入り込む場合、スリット13sの全部が成型時に形成し得るので、スリット13sの形成が容易である。
本発明方法の別の好的な実施例においては、前記母型52から生成された前記義歯床10において前記スリット13sとなる部位を除去する加工工程を更に備える。
この場合、スリット13sを後の加工により形成するので、中子70の形状がシンプルになると共に、1つの中子70の形状で複数種類のアバットメント装置3の形状に対応し得る。
係合片部13を複数備えた係合ピース13Pを予め形成しておくと、技工師において、複数の係合片部13間のスリットを型成型する手間が省け、入れ歯1の制作が容易になる。
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
以下、本発明の実施例が図面にしたがって説明される。
図1A〜図6Bは実施例1を示す。
図1A〜図6Bは実施例1を示す。
図1Aおよび図1Cに示すように、本義歯システムは、入れ歯1、複数本のフィクスチャー2、柱状のアバットメント装置3およびバー100で構成される。
前記フィクスチャー2はいわゆるインプラント体で、生体材料(代表的な材料は生体となじみのよいチタン)に表面加工などを施した人工の歯根部である。このフィクスチャー2は顎の歯槽骨41などの口腔組織4内に埋め込まれて骨と生着する。
前記各アバットメント装置3は、前記フィクスチャー2の軸線上に固定される第1アバットメント3Aと、前記第1アバットメント3Aの外周に装着される円筒状の第2アバットメント3Bとを備える。なお、一般的には第2アバットメント3Bはシリンダと呼ばれ、第1アバットメント3Aはアバットメントと呼ばれることが多い。
前記各アバットメント装置3は、前記フィクスチャー2に連結され口腔内において互いに離間して配置され露出する。つまり、アバットメント装置3は図示しないネジ等でフィクスチャー2に固定され、人工の入れ歯1を装着するためにフィクスチャー2に連結される。
一対の前記第2アバットメント3Bと第2アバットメント3Bとの間はバー100で連結されている。前記バー100の両端は第2アバットメント3Bの外周の一部に例えば溶着されている。前記バー100は一様な横断面を有し、水平方向Xに沿って延びる一対の横溝101を有する。
図1Aおよび図1Cに示すように、前記入れ歯1はバー100およびアバットメント装置3に着脱自在に装着される。前記入れ歯1は歯肉40に接するナイロン製の義歯床10と、前記義歯床10と一体となって、当該義歯床10に支持された例えばセラミック製の人工歯11とを備える。
前記口腔内には前記フィクスチャー2およびアバットメント装置3がたとえば一対設けられ、前記一対のフィクスチャー2およびアバットメント装置3に本システムが適合されている。また、本実施例の場合、図1Bに示すように一対の係合片部13,13がバー100の軸方向Xに互いに離れた状態で2組設けられている。
前記口腔内には前記フィクスチャー2およびアバットメント装置3がたとえば一対設けられ、前記一対のフィクスチャー2およびアバットメント装置3に本システムが適合されている。また、本実施例の場合、図1Bに示すように一対の係合片部13,13がバー100の軸方向Xに互いに離れた状態で2組設けられている。
前記義歯床10の上下方向Zの一方の端には前記人工歯11が固着されている。前記義歯床10の上下方向Zの他方の端面は歯肉40に、緩く接触している。前記義歯床10には前記バー100および両端のアバットメント装置3,3を収容すると共に、これらに嵌合する横長の嵌合孔14が形成されている。前記義歯床10における嵌合孔14の表面は、バー100および第2アバットメント3Bの表面や側面に接触して、バー100および第2アバットメント3Bに義歯床10が緩く嵌っている。
図6Bの拡大断面に示すように、前記義歯床10はその本体部12と2組の係合片部13とが一体に連なっていると共に、前記棒状のバー100および前記柱状のアバットメント装置3に着脱自在に嵌合するための嵌合孔14を定義している。前記係合片部13および前記義歯床10は、たとえばナイロン系の熱可塑性樹脂で形成されている。一対の互いに対向する係合片部13同士は前記端部13aおよびバー100の頂部100tを覆う義歯床10の部位を介して互いに一体に連なっている。
前記嵌合孔14は歯肉40に向かって開口している。つまり、上の入れ歯1においては嵌合孔14が上方に向かって開口し、一方、下の入れ歯1においては嵌合孔14が下方に向かって開口している。
図6Bおよび図1Bに示すように、本実施例の場合、前記係合片部13は前記嵌合孔14の一部を形成している。すなわち、本実施例の場合、図6Aおよび図6Bに明示するように、嵌合孔14は本体部12および係合片部13によって定義されている。この嵌合孔14によって義歯床10がバー100および第2アバットメント3Bに対し位置決めされると共に固定される。図6Bの前記係合片部13は前記バー100の側面に接すると共に係合する第1面31と、前記第1面31の反対側の第2面32とを有する。
入れ歯1が下顎に装着される本実施例においては、図6Bの前記係合片部13の上方の端部13aが前記義歯床10に連なり、前記係合片部13の前記端部13aから前記係合片部13が上下方向Zの下方に延びている。
なお、図示していないが、入れ歯1が上顎に装着される場合、前記係合片部13の下方の端部が前記本体部12に連なり、前記係合片部13の前記端部から前記係合片部13が上下方向Zの上方に延びる。
なお、図示していないが、入れ歯1が上顎に装着される場合、前記係合片部13の下方の端部が前記本体部12に連なり、前記係合片部13の前記端部から前記係合片部13が上下方向Zの上方に延びる。
本実施例の場合、前記バー100の括れた横溝101に係合する係合要素(係合凸部)13eが係合片部13の下端に係合片部13に一体に形成されている。前記係合要素13eが横溝101に係合していることで、入れ歯1がバー100およびアバットメント装置3から不用意に外れないようになっている。なお、図1Bおよび図1Cのように、バー100の軸方向については両端の第2アバットメント3Bの側面に義歯床10が嵌合孔14において当接している。
前記図6Bの前記義歯床10には前記第1面31から前記第2面32に向かう水平方向Xに前記係合片部13が可動または変形するのを許容する許容部15が前記第2面32と前記本体部12の第3面33との間に形成されている。前記許容部15は前記義歯床10に形成された例えば溝15からなる。前記第3面33は前記第2面32から離間していると共に第2面32に対面している。
図1Bに示すように、本実施例の場合、前記溝15はスリット13sを介して前記嵌合孔14に連なっており、これにより係合片部13が可動し易くなっている。入れ歯1の脱着時に、前記係合片部13が溝15に向かって逃げることにより、バー100およびアバットメント装置3に対し、入れ歯1を脱着することができるようになっている。前記スリット13sは前記係合片部13における前記水平方向Xの側端131と義歯床10との間において前記上下方向Zに延びる。
図6Aおよび図6Bの前記嵌合孔14の上下方向Zの奧において、前記義歯床10には図示しないクッション部が形成されていてもよい。クッション部はバー100の頂部100tに接する例えば複数の小さな突起からなり、歯の歯合時に前記突起が弾性変形することで、天然の歯根膜に代わるクッションを入れ歯1に付与するだろう。
ナイロン系の樹脂からなる義歯床10は、劣化しにくく永年の使用により白色化し難いだろう。また、かかる材質の義歯床10は係合片部13の弾性を失い難いだろう。特に、係合片部13が劣化して永久変形した場合や弾力が小さくなった場合等には、係合片部13および嵌合孔14のまわりの義歯床10を熱風で温めながら係合片部13を蘇生することができるだろう。
つぎに、本実施例にかかる義歯床10の作成方法の一例が図2A〜図6Bにしたがって説明される。
まず、図1Aのバー100および第2アバットメント3Bが取り付けられていない状態において、周知の方法に従って、図示しない口腔の雌型を作成する。
すなわち、歯科医師は前記フィクスチャー2が埋め込まれた状態で、かつ、第1アバットメント3Aがフィクスチャー2に連結された状態の口腔の雌型をトレーおよび柔軟な印象材(自硬性材料)を用いて周知の方法に従って作成する。前記印象材が固まるとトレーおよび印象材を口腔から撤去することで、雌型が得られる。
得られた雌型に石膏を流し込むと共にレプリカ3Rを予めインサートして、同石膏が硬化することにより、図2Aの第1アバットメント3Aの形状および口腔の形状を持つ雄型51が生成される。
前記レプリカ3Rは石膏部57から露出する部分において第1アバットメント3A(場合によってはフィクスチャー2の露出部分も)の形状を有し、前記石膏部57に下部が埋設されている。
前記雄型51において、前記各レプリカ3Rに第2アバットメント3Bを装着して固定する。その後、前記第2アバットメント3Bと第2アバットメント3Bとの間にバー100を架設する。この際、バー100の両端が第2アバットメント3Bの外周面に溶着されてもよい。こうして、雄型51にはバー100、アバットメント装置3(図1A)および口腔の形状が形成される。
ついで、図3Aおよび図3Bのように、前記雄型51におけるバー100の一部に一対の型枠状の中子70を装着する。中子70は一対の分割中子70D,70Dからなり、たとえばステンレスのような金属、テフロンまたはセラミックで形成されるが、成型時の耐熱性と義歯床10からの離型が容易な材料が好ましい。
前記各分割中子70はバー100に沿って平行に延びる第1部71と、前記第1部71の両端からバー100に向かって延びバー100の横溝101を含む側面に接する一対の第2部72とを備える。前記第1部71は図1Bの許容部15となり、第2部72(図3B)はスリット13sとなる。
図3Bの前記一対の第1部71はバー100の横溝101よりも下方においてバー100に当接し、たとえば、ボルト・ナットのような締付具74によりバー100に固定される。前記第1部71はバー100の下方のアンダーカットとなる隙間を覆うと共に、前記横溝101およびその上方においてバー100の側面102に対面する。前記バー100と第1部71との間は後に係合片部13となる隙間が形成されている。
つぎに、図3Aの前記中子70を装着した以外のバー100の部位について、図4Aに示すように、バー100の横溝101およびバー100と歯肉面との間を充填剤53で埋める。
一方、図3Bに示すように、中子70における雄型51に対峙する上下方向の一方(図面では下方)の端面70eは歯肉の尾根に相当する部位51cに対面し、そのため、前記中子70の端面70eと前記雄型51の表面との間にはアンダーカットとなる隙間Sが生じるが、本実施例では図4Bに示すように前記隙間Sを充填剤53で埋めて母型52を生成する。本実施例の場合、充填剤53は、たとえば、石膏のように、容易に成形かつ破壊でき、しかも、義歯床10の成型時の熱に耐え得るセラミック質の素材を好的に用いることができる。
その後、前記母型52から周知の方法で図5Aおよび図5Bに示す人工歯11を備えた義歯床10を成型する。義歯床10を構成するナイロンが硬化した後、石膏部および充填剤53を砕き、更に、中子70を義歯床10から抜き取る。
こうして、図2Aの雄型51から図6Aおよび図6Bの前記ナイロン製の義歯床10が得られる。
こうして、図2Aの雄型51から図6Aおよび図6Bの前記ナイロン製の義歯床10が得られる。
図7A〜図8Bは実施例2を示す。
図8Bに示すように、この実施例においては、義歯床10とは別に係合ピース13Pが設けられている。前記義歯床10および係合ピース13Pは、ナイロン系の互いに同種の熱可塑性樹脂または互いに異なる種類の樹脂で形成されている。前記義歯床10と係合ピース13Pとの間には2液性の即時重合レジンの結合層19が介挿されて、義歯床10と係合ピース13Pとが継がれて互いに一体に連なって形成されている。
図8Bに示すように、この実施例においては、義歯床10とは別に係合ピース13Pが設けられている。前記義歯床10および係合ピース13Pは、ナイロン系の互いに同種の熱可塑性樹脂または互いに異なる種類の樹脂で形成されている。前記義歯床10と係合ピース13Pとの間には2液性の即時重合レジンの結合層19が介挿されて、義歯床10と係合ピース13Pとが継がれて互いに一体に連なって形成されている。
図8Bにおいて、前記係合ピース13Pは、複数(たとえば2つ)の係合片部13を有する略断面コ字状つまり凹字状に形成されており、前記一対の係合片部13を互いに連結するフタ部13cを有する。なお、各係合片部13は、各々、係合要素13eを有する。
前記フタ部13cはバー100の頂部(トップ)100tを覆う。図8Bにおいて、このフタ部13cとこれに対面する義歯床10の部位には、それぞれ、アンカー用の溝13g,10gが形成されている。前記フタ部13cおよび義歯床10との間の空間および前記アンカー用の溝13g,10gには前記結合層19を形成する前記即時重合レジンが充填されている。
なお、義歯床10のアンカー用の溝13gは収容凹所10cの内表面に形成されている。
なお、義歯床10のアンカー用の溝13gは収容凹所10cの内表面に形成されている。
前記義歯床10には前記レジンを流し込むための湯口となる深孔10hが形成されており、この深孔10hにも前記レジンが充填されている。なお、深孔10hは義歯床10の外表面と前記収容凹所10cの奥側とを連通させる。
前記義歯床10には前記係合ピース13Pが収容される円柱状の前記収容凹所10cが形成されている。前記収容凹所10cは義歯床10の第3面33を定義している。前記第3面33は前記第2面32に対面する。
なお、図示しないスリットは第1面31から第2面32まで、係合ピース13Pをバー100の幅方向に貫通している。
なお、図示しないスリットは第1面31から第2面32まで、係合ピース13Pをバー100の幅方向に貫通している。
つぎに、前記実施例の入れ歯1の作成方法について説明する。
まず、前述と同様に、口腔、バー100およびアバットメント装置3(図1A)の形状を持つ図7Aの雄型51が生成される。この雄型51は前述または後述するように周知の方法で生成された雌型50から生成される。次に、図7Bの前記雄型51のバー100に一対の係合ピース13Pをバー100の軸方に離間した状態で装着する。
まず、前述と同様に、口腔、バー100およびアバットメント装置3(図1A)の形状を持つ図7Aの雄型51が生成される。この雄型51は前述または後述するように周知の方法で生成された雌型50から生成される。次に、図7Bの前記雄型51のバー100に一対の係合ピース13Pをバー100の軸方に離間した状態で装着する。
その後、図8Bの許容部15を形成する前記収容凹所10cを持つ義歯床10を形成する。この前記義歯床10の形成方法については後述の図19A〜図21Bに示される方法と同様の方法が採用される。
前記義歯床10の形成後、図8Aの係合ピース13Pを前記義歯床10で覆うように前記雄型51に義歯床10を装着する。
前記義歯床10の形成後、図8Aの係合ピース13Pを前記義歯床10で覆うように前記雄型51に義歯床10を装着する。
この装着状態において、図8Aの前記係合ピース13Pと義歯床10との間には、前記結合層19に相当する空隙19sが形成されている。この後、深孔10hから前記空隙19sおよびアンカー用の溝10g,13gに周知の2液性の即時重合レジンを流し込む。
前記重合レジンが硬化すると、係合ピース13Pと義歯床10とが許容部15において互いに離間した状態で、前記結合層19を介して前記義歯床10と係合ピース13Pとが互いに一体となる。すなわち、係合片部13の可動域が確保されながら、前記結合層19を介して義歯床10と係合ピース13Pとが互いに一体となる。前記重合レジンが硬化した後に、係合ピース13Pと一体の義歯床10を雄型51から取り外して、図8Bの入れ歯1が得られる。
こうして技工師が作成した入れ歯1は、係合ピース13Pの係合片部13がバー100の横溝101に嵌り、かつ、義歯床10が歯肉40に接するようにして、患者の口腔内に装着される。
この装着時に係合ピース13Pの各係合片部13は弾性変形してバー100の横溝101に係合する。
この装着時に係合ピース13Pの各係合片部13は弾性変形してバー100の横溝101に係合する。
図9Aおよび図9Bは、それぞれ、本発明の理解に役立つ参考例を示す。
これらの例においては、バー100の横溝101がバー100の頂部100tに形成されており、バー100の横断面形状が凹字状に形成されている。
これらの例においては、バー100の横溝101がバー100の頂部100tに形成されており、バー100の横断面形状が凹字状に形成されている。
一対の係合片部13は横溝101内において水平方向Xに樹脂弾性により変形して、入れ歯1がバー100およびアバットメント装置3に装着される。なお、係合ピース13Pや義歯床10に前記クッション部16が設けられていてもよい。
図10A〜図17Bは実施例3を示す。
図16Aおよび図16Bに示すように、本実施例では両端のアバットメント装置3の上部を係合片部13で着脱可能に把んでいる。図17Bのアバットメント装置3の第2アバットメント3Bには上部に円周状の被係合溝3eが形成されている。この被係合溝3eに係合片13の係合要素13eが嵌り込む。
図16Aおよび図16Bに示すように、本実施例では両端のアバットメント装置3の上部を係合片部13で着脱可能に把んでいる。図17Bのアバットメント装置3の第2アバットメント3Bには上部に円周状の被係合溝3eが形成されている。この被係合溝3eに係合片13の係合要素13eが嵌り込む。
図17Bの拡大断面に示すように、前記義歯床10はその本体部12と係合片部13とが一体に連なっていると共に、前記柱状のアバットメント装置3に着脱自在に嵌合するための嵌合孔14を定義している。前記係合片部13および前記義歯床10は、たとえばナイロン系の熱可塑性樹脂で形成されている。
前記係合片部13同士は前記端部13aおよびアバットメント装置3の頭部を覆う義歯床10の部位を介して互いに連なっている。
前記係合片部13同士は前記端部13aおよびアバットメント装置3の頭部を覆う義歯床10の部位を介して互いに連なっている。
前記嵌合孔14は歯肉40に向かって開口している。つまり、上の入れ歯1においては嵌合孔14が上方に向かって開口し、一方、下の入れ歯1においては嵌合孔14が下方に向かって開口している。
図16Aおよび図16Bに示すように、本実施例の場合、前記係合片部13は前記嵌合孔14の一部を形成している。すなわち、本実施例の場合、図15Aおよび図15Bに明示するように、嵌合孔14は本体部12および係合片部13によって定義されている。この嵌合孔14によって義歯床10が図17Bのアバットメント装置3に対し位置決めされると共に固定される。前記係合片部13は前記第2アバットメント3Bの側面に接すると共に係合する第1面31と、前記第1面31の反対側の第2面32とを有する。
入れ歯1が下顎に装着される本実施例においては、図17Bの前記係合片部13の上方の端部13aが前記義歯床10に連なり、前記係合片部13の前記端部13aから前記係合片部13が上下方向Zの下方に延びている。
なお、図示していないが、入れ歯1が上顎に装着される場合、前記係合片部13の下方の端部が前記本体部12に連なり、前記係合片部13の前記端部から前記係合片部13が上下方向Zの上方に延びる。
なお、図示していないが、入れ歯1が上顎に装着される場合、前記係合片部13の下方の端部が前記本体部12に連なり、前記係合片部13の前記端部から前記係合片部13が上下方向Zの上方に延びる。
本実施例の場合、第2アバットメント3Bの括れた被係合溝(被係合要素)3eに係合する係合要素(係合凸部)13eが係合片部13の下端に係合片部13に一体に形成されている。前記係合要素13eが被係合溝3eに係合していることで、入れ歯1がアバットメント3から不用意に外れないようになっている。
前記図15Aの前記義歯床10には前記第1面31から前記第2面32に向かう水平方向Xに前記係合片部13が可動または変形するのを許容する許容部15が前記第2面32と前記本体部12の第3面33との間に形成されている。前記許容部15は前記義歯床10に形成された溝15からなる。前記第3面33は前記第2面32から離間していると共に第2面32に対面している。
本実施例の場合、前記溝15はスリット13sを介して前記嵌合孔14に連なっており、これにより係合片部13が可動し易くなっている。入れ歯1の脱着時に、前記係合片部13が溝15に向かって逃げることにより、図16Aの第2アバットメント3Bに対し、入れ歯1を脱着することができるようになっている。
図16Aの前記嵌合孔14の上下方向Zの奧において、前記義歯床10には図示しない前記クッション部が形成されていてもよい。クッション部は例えば複数の小さな突起からなり、歯の歯合時に前記突起が弾性変形することで、天然の歯根膜に代わるクッションを入れ歯1に付与するだろう。
ナイロン系の樹脂からなる義歯床10は、劣化しにくく永年の使用により白色化し難いだろう。また、かかる材質の義歯床10は係合片部13の弾性を失い難いだろう。特に、係合片部13が劣化して永久変形した場合や弾力が小さくなった場合等には、係合片部13および嵌合孔14のまわりの義歯床10を熱風で温めながら係合片部13を蘇生することができるだろう。
つぎに、本実施例にかかる義歯床10の作成方法の一例が図10A〜図16Aにしたがって説明される。
まず、図10Aに示すように、歯科医師は前記フィクスチャー2が埋め込まれた状態で、かつ、アバットメント装置3がフィクスチャー2に連結された状態の口腔の雌型50をトレー21および柔軟な印象材23(自硬性材料)を用いて周知の方法に従って作成する。前記印象材23が固まるとトレー21および印象材23を口腔から撤去することで、雌型50が得られる。この後、前記印象材23を一対の第2アバットメント3Bと共に口腔から取り外す。
つぎに、図10Bに示すフィクスチャーに第1アバットメントを合体させた形状に近似したレプリカ3Rを、図11Aのように前記雌型50の第2アバットメント3Bに装着して固定する。
その後、図11Bのように、雌型50に石膏57を流し込み、同石膏が硬化することにより、アバットメント装置3およびバー101の形状および口腔の形状を持つ雄型51が生成される。
なお、前記印象材23は柔軟であるから、アバットメント装置3にアンダーカットがあっても雌型50および雄型51の型抜きが可能である。
なお、前記印象材23は柔軟であるから、アバットメント装置3にアンダーカットがあっても雌型50および雄型51の型抜きが可能である。
ついで、図12Aおよび図12Bのように、前記雄型51における第2アバットメント3BのまわりにC字状の中子70を装着する。中子70はたとえばステンレスのような金属、テフロンまたはセラミックで形成されるが、成型時の耐熱性と義歯床10からの離型が容易な材料が好ましい。
図12Aおよび図12Bに示すように、前記中子70はたとえば2つの分割中子70D,70DからなりC字形のC環部72Aと、前記各スリット13sに相当する位置において前記C環部72Aの内周面から前記第2アバットメント3Bの中心に向かって延びる複数の羽根部71Aとを備える。前記羽根部71Aは、後述する義歯床10を得る工程において前記スリット13sの一部を形成する。
羽根部71Aの内周側の端は前記第2アバットメント3Bの外周面に近接ないし接触する。
図12Aおよび図12Bに示すように、前記中子70はたとえば2つの分割中子70D,70DからなりC字形のC環部72Aと、前記各スリット13sに相当する位置において前記C環部72Aの内周面から前記第2アバットメント3Bの中心に向かって延びる複数の羽根部71Aとを備える。前記羽根部71Aは、後述する義歯床10を得る工程において前記スリット13sの一部を形成する。
羽根部71Aの内周側の端は前記第2アバットメント3Bの外周面に近接ないし接触する。
中子70における雄型51に対峙する上下方向の一方(図面では下方)の端面70eと前記レプリカ3Rまたは石膏部57との間にはアンダーカットとなる隙間Sが生じる場合、本実施例では前記隙間Sを図13Bの充填剤53で埋めて母型52を生成する。本実施例の場合、充填剤53は、たとえば、石膏のように、容易に成形かつ破壊でき、しかも、義歯床10の成型時の熱に耐え得るセラミック質の素材を好的に用いることができる。
なお、図5Aの実施例1と同様、バー100の下のアンダーカットの部位も石膏等の充填剤53で埋める。
なお、図5Aの実施例1と同様、バー100の下のアンダーカットの部位も石膏等の充填剤53で埋める。
その後、前記母型52から周知の方法で図14A〜図15Bに示す義歯床10の中間品を成型する。義歯床10を構成するナイロンが硬化した後、図14Bの雄型51および充填剤53を砕き、更に、中子70を義歯床10の中間品から抜き取る。
こうして、図15Aおよび図15Bに示す義歯床10を得る。
こうして、図15Aおよび図15Bに示す義歯床10を得る。
このスリット13sは係合片部13,13同士が互いに独立して変形し易くなるのに役立つ。なお、中子70を2つに分割しない場合、嵌合孔14と許容部15とを連通させるように、図33Cのスリット13sを後に加工してもよい。
こうして、図10Aの雌型50から図16Aおよび図16Bの前記ナイロン製の義歯床10が得られる。
図18A〜図22Bは更に別の実施例を示す。
図22Aおよび図22Bに示すように、この実施例においては、義歯床10とは別に係合ピース13Pが設けられている。前記義歯床10および係合ピース13Pは、ナイロン系の互いに同種の熱可塑性樹脂または互いに異なる種類の樹脂で形成されている。前記義歯床10と係合ピース13Pとの間には2液性の即時重合レジンの結合層19が介挿されて、義歯床10と係合ピース13Pとが継がれて互いに一体に連なって形成されている。
図22Aおよび図22Bに示すように、この実施例においては、義歯床10とは別に係合ピース13Pが設けられている。前記義歯床10および係合ピース13Pは、ナイロン系の互いに同種の熱可塑性樹脂または互いに異なる種類の樹脂で形成されている。前記義歯床10と係合ピース13Pとの間には2液性の即時重合レジンの結合層19が介挿されて、義歯床10と係合ピース13Pとが継がれて互いに一体に連なって形成されている。
図22Aおよび図22Bにおいて、前記係合ピース13Pは、複数(たとえば4つ)のスリット13sおよび係合片部13を有する略有底円筒状つまりカップ状に形成されており、前記複数の係合片部13を互いに連結するフタ部13cを有する。なお、各係合片部13は、各々、係合要素13eを有する。
なお、この例の場合、バー100は前記係合片部13よりも下方において、アバットメント装置3に溶着されている。
なお、この例の場合、バー100は前記係合片部13よりも下方において、アバットメント装置3に溶着されている。
前記フタ部13cはアバットメント3の頂部(トップ)3tを覆う。図22Aにおいて、このフタ部13cとこれに対面する義歯床10の部位にはアンカー用の溝13g,10gが形成されている。前記フタ部13cおよび義歯床10との間の空間および前記アンカー用の溝13g,10gには前記結合層19を形成する前記即時重合レジンが充填されている。
なお、義歯床10のアンカー用の溝10gは収容凹所10cの内表面に形成されている。
なお、義歯床10のアンカー用の溝10gは収容凹所10cの内表面に形成されている。
前記義歯床10には前記レジンを流し込むための湯口となる深孔10hが形成されており、この深孔10hにも前記レジンが充填されている。なお、深孔10hは義歯床10の外表面と前記収容凹所10cの奥側とを連通させる。
前記義歯床10には前記係合ピース13Pが収容される円柱状の前記収容凹所10cが形成されている。前記収容凹所10cは義歯床10の第3面33を定義している。前記第3面33は前記第2面32に対面する。
なお、スリット13sは第1面31から第2面32まで、係合ピース13Pを径方向(放射方向)に貫通している。
なお、スリット13sは第1面31から第2面32まで、係合ピース13Pを径方向(放射方向)に貫通している。
つぎに、本実施例の入れ歯1の作成方法について説明する。
まず、前記実施例3と同様の方法で図11Aの雌型50が生成される。これらの工程は前述の図10A、図10B、図11Aおよび図11Bの工程と同様であり、その説明を省略する。
まず、前記実施例3と同様の方法で図11Aの雌型50が生成される。これらの工程は前述の図10A、図10B、図11Aおよび図11Bの工程と同様であり、その説明を省略する。
その後、図18A〜図22Aに示す工程に従って、図22Bの許容部15を形成する前記収容凹所10cを持つ義歯床10を形成する。以下、前記義歯床10の形成方法について説明する。
前記義歯床10を形成するには、前記雌型50(図11A)から得た雄型51に埋設されたレプリカ3Rに第2アバットメント3Bおよびバー100を図18Aのように装着する。この装着後に、図18Bの係合ピース13Pの各係合片部13を弾性変形させながら第2アバットメント3Bの被係合溝3eに係合させる。すなわち、図18Bにおいて、前記レプリカ3Rに係合ピース13Pを嵌合させる。この状態において係合ピース13Pと雄型51との間にはアンダーカットとなる隙間Sが存在する。
前記嵌合後、図19Aに示すように、係合ピース13Pの周囲に係合片部13の許容部15(図27A)を形成するために中子90を配置する。この例の場合、中子90は係合ピース13Pのフタ部13cおよび外周囲を覆うと共に前記隙間Sを埋めるワックスで形成される。こうして、前記雌型50(図11A)から許容部15に対応する突部15Pの形状および口腔の形状を持つ雄型51が生成される。
なお、前記中子90は係合ピース13Pの外周囲およびフタ部13cを覆うカップ型の金属ないし樹脂中子と係合ピース13Pの下方の隙間Sを埋める充填剤(ワックス)53で形成されていてもよい。
前記中子90を形成するワックスは前記係合ピース13Pと雄型51との表面に生じる隙間(アンダーカット)Sを埋める充填剤53を兼ねている。また、前記中子90を形成するワックスは前記係合ピース13Pのフタ部13cに形成されたアンカー用の溝13gを埋める。
こうして形成された中子90(突部15P)の外表面は略円柱状の形状を持つ。
こうして形成された中子90(突部15P)の外表面は略円柱状の形状を持つ。
前記中子90の形成後、図19Aの雄型51から図19Bに示すセッコウ型56Aを得る。このセッコウ型56Aと図示しない周知の雌型を用いて、人工歯11を持つ義歯床10を得る。すなわち、前記雄型51から許容部15を形成する孔15Hの形状を持つ義歯床10を得る。
つづいて、図19Bの義歯床10をセッコウ型56Aから取り外し、図20Aに示すように、前記義歯床10にアンカー用の溝10gと深孔10hを形成する。
一方、図19Aに示す工程で得た雄型51のフタ部に相当するワックスの部位を図20Bに示すように除去し、これにより係合ピース13Pのフタ部13cが露出する。この後、図21Aに示すように、一部のワックスを除去して露出した係合ピース13Pに前記19Bで得た義歯床10を装着する。
図21Aに示す状態において、前記係合ピース13Pと義歯床10との間には、前記結合層19に相当する空隙19sが形成されている。この後、図21Bに示すように、深孔10hから前記空隙19sおよびアンカー用の溝10g,13gに周知の2液性の即時重合レジンを流し込む。
前記重合レジンが硬化すると、係合ピース13Pと義歯床10とが許容部15において互いに離間した状態で、前記結合層19を介して前記義歯床10と係合ピース13Pとが互いに一体となる。すなわち、前記中子70の残部によって係合片部13の可動域が確保されながら、前記結合層19を介して義歯床10と係合ピース13Pとが互いに一体となる。前記重合レジンが硬化した後に、係合ピース13Pと一体の義歯床10を雄型51から取り外して、図22Aの入れ歯1が得られる。
こうして技工師が作成した入れ歯1は、図22Bのように、係合ピース13Pの嵌合孔14がアバットメント3に嵌り、かつ、義歯床10が歯肉40に接するようにして、患者の口腔内に装着される。
この装着時に係合ピース13Pの各係合片部13は弾性変形してアバットメント3の被係合溝3eに係合する。
この装着時に係合ピース13Pの各係合片部13は弾性変形してアバットメント3の被係合溝3eに係合する。
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、アバットメント装置3が3本ないし4本で、バー100が2本ないし3本であってもよい。また、バー100およびアバットメント装置3の双方を係合片部13で把んでもよい。
また、許容部15にはゲル状の軟質材等が充填されていてもよい。
アバットメント装置3に係合片部13が係合する実施例においては、バー100に横溝101を設ける必要はなく、バー100は円筒パイプなどであってもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲のものと解釈される。
たとえば、アバットメント装置3が3本ないし4本で、バー100が2本ないし3本であってもよい。また、バー100およびアバットメント装置3の双方を係合片部13で把んでもよい。
また、許容部15にはゲル状の軟質材等が充填されていてもよい。
アバットメント装置3に係合片部13が係合する実施例においては、バー100に横溝101を設ける必要はなく、バー100は円筒パイプなどであってもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲のものと解釈される。
本発明は、歯科治療に適用することができる。
1:入れ歯、10:義歯床、10c:収容凹所、10g:アンカー用の溝、10h:深孔、11:人工歯、12:本体部
13:係合片部、13a:端部、13c:フタ部、13e:係合要素、13g:アンカー用の溝、13P:係合ピース、13s:スリット、131:側端
14:嵌合孔
15:許容部(溝)、15A:溝
16:クッション部
17A:孔
18:埋設材
19:結合層、19s:空隙
2:フィクスチャー、21:トレー、23:印象材
3:アバットメント装置、3A:第1アバットメント、3B:第2アバットメント
3R:レプリカ、3e:被係合溝、3t:頂部(トップ)
31:第1面、32:第2面、33:第3面
4:口腔組織、40:歯肉、41:歯槽骨
50:雌型、51:雄型、52:母型、53:充填剤、56A:セッコウ型、57:石膏部
70:第1中子、70D:分割中子、70e:端面、71:第1部、71A:羽根部 72:第2部、72A:C環部、74:締付具
100:バー、100t:頂部、101:横溝、102:側面
θ:中心角
S:隙間
X:水平方向、Z:上下方向
13:係合片部、13a:端部、13c:フタ部、13e:係合要素、13g:アンカー用の溝、13P:係合ピース、13s:スリット、131:側端
14:嵌合孔
15:許容部(溝)、15A:溝
16:クッション部
17A:孔
18:埋設材
19:結合層、19s:空隙
2:フィクスチャー、21:トレー、23:印象材
3:アバットメント装置、3A:第1アバットメント、3B:第2アバットメント
3R:レプリカ、3e:被係合溝、3t:頂部(トップ)
31:第1面、32:第2面、33:第3面
4:口腔組織、40:歯肉、41:歯槽骨
50:雌型、51:雄型、52:母型、53:充填剤、56A:セッコウ型、57:石膏部
70:第1中子、70D:分割中子、70e:端面、71:第1部、71A:羽根部 72:第2部、72A:C環部、74:締付具
100:バー、100t:頂部、101:横溝、102:側面
θ:中心角
S:隙間
X:水平方向、Z:上下方向
Claims (16)
- (バータイプ)
口腔組織4に埋め込まれるための複数のフィクスチャー2と、前記フィクスチャー2に連結され口腔内において露出する表面を有し、互いに離間して配置された複数のアバットメント装置3と、前記複数のアバットメント装置3のうちの一対のアバットメント装置3の間を連結するバー100と、前記バー100および前記アバットメント装置3に着脱可能に装着される入れ歯1とを備えた義歯システムであって、
前記バー100には水平方向Xに沿って延びる横溝101が形成され、
前記入れ歯1は、歯肉40に接するナイロン系の熱可塑性樹脂製の義歯床10と、前記義歯床10に支持された人工歯11と、前記入れ歯1の脱着時に上下方向Zの端部13aを中心にして回転するように変形して拡開し着用中に前記バー100の前記横溝101に係合する複数の舌片状の係合片部13とを備え、前記係合片部13と前記義歯床10とは、前記バー100の表面およびアバットメント装置3の前記表面に着脱自在に嵌合するための嵌合孔14を定義しており、
前記係合片部13はナイロン系の熱可塑性樹脂で形成され、前記バー100の前記表面に沿って水平方向Xに延びると共に前記端部13aから前記上下方向Zに延び前記バー100の表面に接する第1面31と、前記第1面31の反対側の第2面32とを有し、
前記義歯床10は前記第2面32に対面し、かつ、前記第2面32から離間した第3面33を有し、前記第1面31から前記第2面32に向かう方向に前記係合片部13が変形して拡開するのを許容する溝状の許容部15が前記係合片部13の前記第2面32と前記義歯床10の前記第3面33との間で定義されている義歯システム。 - 請求項1において、前記係合片部13における前記水平方向の側端131と義歯床10との間に前記上下方向Zに延びるスリット13sが定義されている。
- 請求項1もしくは2のシステムにおいて、前記係合片部13の前記端部13aが前記義歯床10に一体に連なっている。
- 請求項1もしくは2のシステムにおいて、前記複数の係合片部13は前記バー100を介して互いに対向する一対の係合片部13を包含し、この一対の係合片部13が前記ナイロン系の熱可塑性樹脂からなる1つの係合ピース13Pで形成されている。
- 請求項4のシステムにおいて、前記係合ピース13Pを構成する樹脂および前記義歯床10を構成する前記樹脂とは異なる別の樹脂が前記係合ピース13Pと前記義歯床10との間に介挿されて、前記係合片部13と前記義歯床10とが互いに一体となるように継ぐための結合層19を更に備えている。
- (バータイプ方法)
口腔組織4に埋め込まれるための複数のフィクスチャー2と、前記フィクスチャー2に連結され口腔内において露出する表面を有し、互いに離間して配置された複数のアバットメント装置3と、前記複数のアバットメント装置3のうちの一対のアバットメント装置3の間を連結し、水平方向に沿って延びる横溝101を有するバー100と、前記バー100および前記アバットメント装置3に着脱可能に装着される入れ歯1とを備えた義歯システムの前記入れ歯1を作成するための方法であって、
前記入れ歯1は、歯肉40に接するナイロン系の熱可塑性樹脂製の義歯床10と、前記義歯床10に支持された人工歯11と、着用中に前記横溝101において前記バー100に係合する少なくとも1つの舌片状の係合片部13とを備え、前記係合片部13と前記義歯床10とは、前記バー100の表面および前記アバットメント装置3の前記表面に着脱自在に嵌合するための嵌合孔14を定義しており、
前記係合片部13はナイロン系の熱可塑性樹脂で形成され、前記バー100の側面に沿って水平方向Xに延びると共に前記上下方向Zに延び前記バー100の前記表面に接する第1面31と、前記第1面31の反対側の第2面32とを有し、
前記義歯床10は前記第2面32に対面し、かつ、前記第2面32から離間した第3面33を有し、前記第1面31から前記第2面32に向かう方向に前記係合片部13が変形するのを許容する溝状の許容部15が前記係合片部13の前記第2面32と前記義歯床10の前記第3面33との間で定義されており、
ここにおいて、前記バー100および前記アバットメント装置3の形状と前記口腔の形状とを持つ雄型51を生成する工程と、(FIG2A,2B)
少なくとも前記許容部15を形成する溝の形状を持つ中子70を前記雄型51における前記バー100に相当する部位のまわりに装着する工程と、(FIG3A,3B)
前記中子70の上端もしくは下端の端面と前記雄型51の表面との間に生じるアンダーカットとなる隙間Sを充填剤53で埋めて母型52を生成する工程と、(FIG4A,4B)
前記母型52から前記樹脂製の義歯床10および係合片部13を得る工程とを備える。(FIG5A,5B) - 請求項6の方法において、
前記母型52を生成する工程において、前記バー100における前記中子70を装着した以外の部分において、前記バー100の横溝101が充填剤53で埋められる。 - (シリンダを把む)
口腔組織4に埋め込まれるための複数のフィクスチャー2と、前記フィクスチャー2に連結され口腔内において露出する表面を有し、互いに離間した複数のアバットメント装置3と、前記複数のアバットメント装置3のうちの一対のアバットメント装置3の間を連結するバー100と、前記バー100および前記アバットメント装置3に着脱可能に装着される入れ歯1とを備えた義歯システムであって、
前記入れ歯1は、歯肉40に接するナイロン系の熱可塑性樹脂製の義歯床10と、前記義歯床10に支持された人工歯11と、前記入れ歯1の脱着時に上下方向Zの端部13aを中心にして回転するように変形して拡開し着用中に前記アバットメント装置3に係合する複数の舌片状の係合片部13とを備え、前記係合片部13と前記義歯床10とは、前記アバットメント装置3の前記表面および前記バー100の表面に着脱自在に嵌合するための嵌合孔14を定義しており、
前記係合片部13はナイロン系の熱可塑性樹脂で形成され、前記アバットメント装置3に対し180°よりも小さな中心角θの範囲において前記表面に沿って水平方向Xに延びると共に前記端部13aから前記上下方向Zに延び前記アバットメント装置3の前記表面に接する第1面31と、前記第1面31の反対側の第2面32とを有し、
前記義歯床10は前記第2面32に対面し、かつ、前記第2面32から離間した第3面33を有し、前記第1面31から前記第2面32に向かう方向に前記係合片部13が変形して拡開するのを許容する溝状の許容部15が前記係合片部13の前記第2面32と前記義歯床10の前記第3面33との間で定義されており、
ここにおいて、前記係合片部13の前記端部13aが前記義歯床10に一体に連なっている義歯システム。 - 請求項8のシステムにおいて、前記複数の各係合片部13が前記ナイロン系の熱可塑性樹脂からなる1つの係合ピース13Pで形成され、
前記係合ピース13Pを構成する樹脂および前記義歯床10を構成する前記樹脂とは異なる別の樹脂が前記係合ピース13Pと前記義歯床10との間に介挿されて、前記係合片部13と前記義歯床10とが互いに一体となるように継ぐための結合層19を更に備えている。 - 請求項9において、前記アバットメント装置3は、前記フィクスチャー2の軸線上に固定される第1アバットメント3Aと、前記第1アバットメント3Aの外周に装着される円筒状の第2アバットメント3Bとを備える。
- (シリンダ方法)
口腔組織4に埋め込まれるための複数フィクスチャー2と、前記フィクスチャー2に連結され口腔内において露出する表面を有し、互いに離間した複数のアバットメント装置3と、前記複数のアバットメント装置3のうちの一対のアバットメント装置3の間を連結するバー100と、前記バー100および前記アバットメント装置3に着脱可能に装着される入れ歯1とを備えた義歯システムの前記入れ歯1を作成するための方法であって、
前記入れ歯1は、歯肉40に接するナイロン系の熱可塑性樹脂製の義歯床10と、前記義歯床10に支持された人工歯11と、着用中に前記アバットメント装置3に係合する少なくとも1つの舌片状の係合片部13とを備え、前記係合片部13と前記義歯床10とは、前記アバットメント装置3の前記表面および前記バー100の表面に着脱自在に嵌合するための嵌合孔14を定義しており、
前記係合片部13はナイロン系の熱可塑性樹脂で形成され、前記アバットメント装置3の側面に沿って水平方向Xに延びると共に前記上下方向Zに延び前記アバットメント装置3の表面に接する第1面31と、前記第1面31の反対側の第2面32とを有し、
前記義歯床10は前記第2面32に対面し、かつ、前記第2面32から離間した第3面33を有し、前記第1面31から前記第2面32に向かう方向に前記係合片部13が変形するのを許容する溝状の許容部15が前記係合片部13の前記第2面32と前記義歯床10の前記第3面33との間で定義されており、
ここにおいて、前記バー100および前記アバットメント装置3の形状と前記口腔の形状とを持つ雄型51を生成する工程と、(FIG11B)
少なくとも前記許容部15を形成する溝の形状を持つ中子70を前記雄型51における前記アバットメント装置3のまわりに装着する工程と、(FIG12A,12B)
前記中子70の上端もしくは下端の端面と前記雄型51の表面との間に生じるアンダーカットとなる隙間Sを充填剤53で埋めて母型52を生成する工程と、(FIG13A,13B)
前記母型52から前記樹脂製の義歯床10および係合片部13を得る工程とを備える。(FIG14〜16) - 請求項11の方法において、前記各アバットメント装置3は、前記フィクスチャー2の軸線上に固定される第1アバットメント3Aと、前記第1アバットメント3Aの外周に装着される円筒状の第2アバットメント3Bとを備える。
- (以下、効果を記載していない)
請求項6もしくは12の方法において、少なくとも前記フィクスチャー2が前記口腔組織4に埋め込まれた状態で柔軟な印象材23により口腔の雌型50を生成する工程を更に備え、(FIG10A)前記雌型50を生成する工程において前記フィクスチャー2および前記第1アバットメント3Aの双方が装着された状態で前記雌型50を生成する。 - 請求項11の方法において、前記中子70はC字状のC環部72Aと、前記係合片部13,13同士の間において上下に延び前記係合片部13,13同士が互いに独立して変形するのを許容するスリット13sに相当する位置において前記C環部72Aの内周面から前記アバットメント装置3の外周面に向かって延びる複数の羽根部71Aとを備え、前記羽根部71Aにより、前記義歯床10を得る工程において前記スリット13sの一部または全部が形成される。
- 請求項11〜14のいずれか1項の方法において、
前記母型52から生成された前記義歯床10において、前記係合片部13の円周方向の両端に形成されるスリット13sとなる部位を除去する加工工程を更に備える。 - 請求項13の方法において、前記雄型51を生成する工程において、前記第1アバットメント3Aの形状を持つ複数のレプリカ3Rが前記雄型51に埋設され前記口腔の形状を持つ前記雄型51を前記雌型50から生成し、
前記各レプリカ3Rに前記第2アバットメント3Bを装着し、前記第2アバットメント3B同士の間を前記バー100で連結し、
前記中子70を装着する工程において、前記嵌合孔14の形状および前記許容部15を形成する溝15の形状を持つ中子70を前記バー100または前記第2アバットメント3Bに装着する。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012210644A JP2014064640A (ja) | 2012-09-25 | 2012-09-25 | 義歯システムおよび入れ歯の作成方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017509520A (ja) * | 2014-10-27 | 2017-04-06 | エスゼット ディージェイアイ テクノロジー カンパニー リミテッドSz Dji Technology Co.,Ltd | 飛行情報を提供する方法 |
US10134298B2 (en) | 2014-09-30 | 2018-11-20 | SZ DJI Technology Co., Ltd. | System and method for supporting simulated movement |
-
2012
- 2012-09-25 JP JP2012210644A patent/JP2014064640A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10134298B2 (en) | 2014-09-30 | 2018-11-20 | SZ DJI Technology Co., Ltd. | System and method for supporting simulated movement |
JP2017509520A (ja) * | 2014-10-27 | 2017-04-06 | エスゼット ディージェイアイ テクノロジー カンパニー リミテッドSz Dji Technology Co.,Ltd | 飛行情報を提供する方法 |
US10086954B2 (en) | 2014-10-27 | 2018-10-02 | SZ DJI Technology Co., Ltd. | UAV flight display |
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