JP2018013689A - 液晶シール剤及びそれを用いた液晶表示セル - Google Patents

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英之 太田
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Abstract

【課題】本発明は、光及び/又は熱によって硬化する液晶滴下工法用液晶シール剤に関するものであって、遮光性を有し、かつガラス基板への接着強度等の一般的特性においても優れる為、液晶表示素子の高精細化、高輝度化、狭額縁化、高速応答化、低電圧駆動化、長寿命化を実現する液晶滴下工法用液晶シール剤を提案するものである。【解決手段】(A)硬化性化合物、(B)酸化バナジウム及び/又は窒化バナジウムを含有する液晶滴下工法用液晶シール剤。【選択図】なし

Description

本発明は、光及び/又は熱によって硬化する液晶シール剤であって、液晶滴下工法に使用される液晶シール剤に関する。より詳細には、バックライトからの光漏れを抑制するために遮光性を有し、ガラス基板への接着強度等の一般的特性においても優れる液晶滴下工法用液晶シール剤に関する。
近年の液晶表示セルの大型化に伴い、液晶表示セルの製造法として、より量産性の高い、いわゆる液晶滴下工法が提案されていた(特許文献1、特許文献2参照)。具体的には、一方の基板に形成された液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせることにより液晶が封止される液晶表示セルの製造方法である。
しかし、液晶滴下工法は、未硬化の状態の液晶シール剤が液晶に接触するため、その際に液晶シール剤の成分が液晶に溶解(溶出)して液晶の抵抗値を低下させ、シール近傍の表示不良を発生させるという問題点がある。
この課題を解決する為、現在は液晶滴下工法用の液晶シール剤として光熱併用型のものが用いられ、実用化されている(特許文献3、4)。この液晶シール剤を使用した液晶滴下工法では、基板に挟まれた液晶シール剤に光を照射して一次硬化させた後、加熱して二次硬化させることを特徴とする。この方法によれば、未硬化の液晶シール剤を光によって速やかに硬化でき、液晶シール剤成分の液晶への溶解(溶出)を抑えることが可能である。さらに、光硬化のみでは光硬化時の硬化収縮等による接着強度不足という問題も発生するが、光熱併用型であれば加熱による二次硬化によって応力緩和効果が得られ、そういった問題も解消できるという利点を有する。
この光熱硬化型の液晶滴下工法用液晶シール剤が実用化されたことによって、液晶滴下工法は、一般的に用いられる工法となった。
しかし最近では、液晶ディスプレイの更なる高精細化、高輝度化、狭額縁化等を目的として、様々な改良がなされており、これに伴う液晶滴下工法用液晶シール剤への要求特性も変化してきている。
その一つが、液晶シール剤の遮光性である。液晶パネルの光漏れを防ぐことを目的としてブラックマトリックスが形成されているが、液晶シール剤を介してバックライトの光が漏れてしまい、表示品質を損なっているのが現状である。
従来より液晶シール剤に黒色顔料を添加して光漏れを防ぐ工夫がなされてきたが、光硬化型液晶シール剤においては、黒色顔料の影響により光硬化性が著しく低下するため実用化を困難にしており、上記課題を十分に解決した液晶滴下工法用液晶シール剤の実現には至っていない。
特開昭63−179323号公報 特開平10−239694号公報 特許第3583326号公報 特開2004−61925号公報
本発明は、光及び/又は熱によって硬化する液晶滴下工法用液晶シール剤に関するものであって、遮光性を有し、かつガラス基板への接着強度等の一般的特性においても優れる為、液晶表示素子の高精細化、高輝度化、狭額縁化、高速応答化、低電圧駆動化、長寿命化を実現する液晶滴下工法用液晶シール剤を提案するものである。
本発明者らは、上記課題を解決する為に鋭意検討した結果、(A)硬化性化合物と(B)酸化バナジウム及び/又は窒化バナジウムの組合せが、特に光硬化性に優れ、高接着強度を実現することを見出し、本願発明に至ったものである。
即ち本発明は、次の1)〜14)に関するものである。なお本明細書において、「(メタ)アクリル」と記載した場合には、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味するものとする。また「液晶滴下工法用液晶シール剤」は、単に「液晶シール剤」と記載する場合もある。
本明細書において上付きのRTMは登録商標を意味する。
1)
(A)硬化性化合物、(B)酸化バナジウム及び/又は窒化バナジウムを含有する液晶滴下工法用液晶シール剤。
2)
上記成分(A)がエポキシ(メタ)アクリレート化合物及び/又はエポキシ化合物である上記1)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
3)
上記成分(A)がエポキシ(メタ)アクリレート化合物とエポキシ化合物の混合物である上記1)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
4)
上記成分(B)の一次粒子径が0.01〜5.0μmである上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
5)
上記成分(A)100質量部に対し、上記成分(B)が5〜35質量部含有する上記1)及至4)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
6)
更に、(C)熱ラジカル重合開始剤を含有する上記1)乃至5)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
7)
上記成分(C)が分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)及び窒素−窒素結合(−N=N−)を含まない熱ラジカル重合開始剤である上記1)及至6)のいずれかに記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
8)
更に、(D)有機フィラーを含有する上記1)乃至7)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
9)
上記成分(D)が、ウレタン微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、スチレンオレフィン微粒子、及びシリコーン微粒子からなる群より選択される1又は2以上の有機フィラーである上記8)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
10)
更に、(E)無機フィラーを含有する上記1)及至9)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
11)
更に、(F)熱硬化剤を含有する上記1)乃至10)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
12)
前記成分(F)が有機酸ヒドラジドである上記1)乃至11)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
13)
更に、(G)光ラジカル重合開始剤を含有する上記1)及至12)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
14)
2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後光及び/又は熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
15)
上記1)乃至13)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル。
本発明の液晶滴下工法用液晶シール剤は、遮光性を有していながら光硬化性に優れ、接着強度が高く、また、低液晶汚染性や耐湿性等の一般的特性においても優れる為、液晶表示素子用液晶シール剤として極めて有用である。
[(A)硬化性化合物]
本発明の液晶シール剤は、(A)硬化性化合物を含有する(以下、単に成分(A)ともいう。)。
成分(A)は、光又は熱によって重合反応するものであれば特に限定されず、例えば(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物、エポキシ基を有する硬化性化合物等を挙げることができる。
(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、例えば(メタ)アクリルエステル、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリルエステルとしては、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、フロログリシノールトリアクリレート等が挙げられる。エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応により公知の方法で得られる。原料となるエポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ化合物が好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールFノボラック型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族鎖状エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、ヒダントイン型エポキシ化合物、イソシアヌレート型エポキシ化合物、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ化合物、その他、カテコール、レゾルシノール等の二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などが挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点から、レゾルシン骨格を有するエポキシ化合物が好ましく、例えばレゾルシンジグリシジルエーテル等である。また、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基との比率は限定されるものではなく、工程適合性及び液晶汚染性の観点から適切に選択される。
したがって、好ましい(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有し、さらにレゾルシン骨格を有する硬化性化合物であり、例えば、レゾルシンジグリシジルエーテルのアクリル酸エステルやレゾルシンジグリシジルエーテルのメタクリル酸エステルである。
エポキシ基を有する硬化性化合物としては、エポキシ化合物が挙げられる。該エポキシ化合物としては特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ化合物が好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールFノボラック型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族鎖状エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、ヒダントイン型エポキシ化合物、イソシアヌレート型エポキシ化合物、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ化合物、その他、二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などが挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点より好ましいのはビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物である。
(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物、エポキシ基を有する硬化性化合物は2種以上を混合して用いることもでき、(メタ)アクリル化エポキシ化合物とエポキシ化合物を混合して用いることが、本願発明の特に好ましい態様の一つである。
本発明の液晶シール剤中における成分(A)の含有量は、通常30〜75質量%、好ましくは40〜65質量%である。また、特にエポキシ化合物と(メタ)アクリル化エポキシ化合物を併用する場合において、成分(A)中のエポキシ化合物の含有量は、通常3〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは8〜15質量%である。
[(B)酸化バナジウム及び/又は窒化バナジウム]
本発明の液晶シール剤は、(B)酸化バナジウム及び/又は窒化バナジウムを含有する(以下、単に成分(B)ともいう。)。これらは黒色顔料である。
黒色顔料としては従来チタンブラックが広く使用されてきたが、チタンブラックは含有量が増えるとシール剤の光硬化を阻害するという課題を抱えていた。一方、酸化バナジウムと窒化バナジウムは全可視光領域では均一な遮光性能を有し、紫外線領域では透過性が高いことを特長としているため、液晶シール剤への含有量を増やしても紫外線での硬化が可能であり全可視光領域での遮光性能に優れている。本発明は、酸化バナジウムと窒化バナジウムとのいずれか一方を使用しても十分な効果が得られるが、両方を併用した方が、より好ましい。
酸化バナジウム、窒化バナジウムは、例えば三菱マテリアル電子化成株式会社(FB15M)や昭和化学株式会社から入手することができる。
当該黒色顔料の一次粒子径は、好ましくは0.01〜5.0μmであり、更に好ましくは0.01〜1.0μmであり、さらに好ましくは0.02〜0.1μmである。なおこれらの一次粒子径は平均粒子径であり、例えばレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)により測定することができる。黒成分(B)の添加量は、成分(A)100質量部に対し、好ましくは5〜35質量部であり、更に好ましくは15〜30質量部である。
[(C)熱ラジカル重合開始剤]
本発明の液晶シール剤は、(C)熱ラジカル重合開始剤(以下、単に成分(C)ともいう。)を含有して、硬化速度、硬化性を向上することができる。
熱ラジカル重合開始剤は、加熱によりラジカルを生じ、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、有機過酸化物、アゾ化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾピナコール等が挙げられ、ベンゾピナコールが好適に用いられる。例えば、有機過酸化物としては、カヤメックRTMA、M、R、L、LH、SP-30C、パーカドックスCH−50L、BC−FF、カドックスB−40ES、パーカドックス14、トリゴノックスRTM22−70E、23−C70、121、121−50E、121−LS50E、21−LS50E、42、42LS、カヤエステルRTMP−70、TMPO−70、CND−C70、OO−50E、AN、カヤブチルRTMB、パーカドックス16、カヤカルボンRTMBIC−75、AIC−75(化薬アクゾ株式会社製)、パーメックRTMN、H、S、F、D、G、パーヘキサRTMH、HC、TMH、C、V、22、MC、パーキュアーRTMAH、AL、HB、パーブチルRTMH、C、ND、L、パークミルRTMH、D、パーロイルRTMIB、IPP、パーオクタRTMND(日油株式会社製)などが市販品として入手可能である。
また、アゾ化合物としては、VA−044、V−070、VPE−0201、VSP−1001(和光純薬工業株式会社製)等が市販品として入手可能である。
成分(C)として好ましいものは、分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)又は窒素−窒素結合(−N=N−)を有さない熱ラジカル重合開始剤である。分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)や窒素−窒素結合(−N=N−)を有する熱ラジカル重合開始剤は、ラジカル発生時に多量の酸素や窒素を発するため、液晶シール剤中に気泡を残した状態で硬化し、接着強度等の特性を低下させる虞がある。ベンゾピナコール系の熱ラジカル重合開始剤(ベンゾピナコールを化学的に修飾したものを含む)が特に好適である。具体的には、ベンゾピナコール、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラ(4−メチルフェニル)エタン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラ(4−メトキシフェニル)エタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリエチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン等、が挙げられ、好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンであり、さらに好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンであり、特に好ましくは1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンである。
上記ベンゾピナコールは東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社等から市販されている。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をエーテル化することは、周知の方法によって容易に合成可能である。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をシリルエーテル化することは、対応するベンゾピナコールと各種シリル化剤をピリジン等の塩基性触媒下で加熱させる方法により合成して得ることができる。シリル化剤としては、一般に知られているトリメチルシリル化剤であるトリメチルクロロシラン(TMCS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)やトリエチルシリル化剤としてトリエチルクロロシラン(TECS)、t−ブチルジメチルシリル化剤としてt−ブチルメチルシラン(TBMS)等が挙げられる。これらの試薬はシリコン誘導体メーカー等の市場から容易に入手することが出来る。シリル化剤の反応量としては対象化合物のヒドロキシ基1モルに対して1.0〜5.0倍モルが好ましい。さらに好ましくは1.5〜3.0倍モルである。1.0倍モルより少ないと反応効率が悪く、反応時間が長くなるため熱分解を促進してしまう。5.0倍モルより多いと回収の際に分離が悪くなったり、精製が困難になったりしてしまう。
成分(C)は粒径を細かくし、均一に分散することが好ましい。その平均粒径は、大きすぎると狭ギャップの液晶表示セル製造時に上下ガラス基板を貼り合わせる際のギャップ形成が上手くできない等の不良要因となるため、5μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以下である。また、際限なく細かくしても差し支えないが、通常下限は0.1μm程度である。粒径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)により測定できる。
成分(C)の含有量としては、液晶シール剤の総量中、0.0001〜10質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.0005〜5質量%であり、0.001〜3質量%が特に好ましい。
[(D)有機フィラー]
本発明の液晶シール剤は、(D)有機フィラー(以下、単に成分(D)ともいう。)を含有しても良い。この(D)有機フィラーは、例えばナイロン6、ナイロン12、ナイロン66等のポリアミド微粒子、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等のフッ素系微粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系微粒子、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系微粒子、天然ゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム等のゴム微粒子等が挙げられる。
上記(D)有機フィラーは、ゴム微粒子である場合が好ましい。ゴム微粒子としては、例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、二トリルゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム等が挙げられ、単独のゴム微粒子でも良いし、2種以上を用いてコアシェル構造としても良い。また2種以上を併用しても良い。これらのうち、好ましくは、ウレタンゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、スチレンオレフィンゴム、又はシリコーンゴムであり、特に好ましくはアクリルゴム又はシリコーンゴムである。
アクリルゴムを使用する場合、2種類のアクリルゴムからなるコアシェル構造のアクリルゴムである場合が好ましく、コア層がn−ブチルアクリレートであり、シェル層がメチルメタクリレートであるものが特に好ましい。これはゼフィアックRTMF−351としてアイカ工業株式会社から販売されている。
また、上記シリコーンゴムとしては、オルガノポリシロキサン架橋物粉体、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋物粉体等が挙げられる。また、複合シリコーンゴムとしては、上記シリコーンゴムの表面にシリコーン樹脂(例えば、ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂)を被覆したものが挙げられる。これらのゴム微粒子のうち、特に好ましいのは、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋粉末のシリコーンゴム又はシリコーン樹脂被覆直鎖ジメチルポリシロキサン架橋粉末の複合シリコーンゴム微粒子である。これらのものは、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、ゴム粉末の形状は、添加後の粘度の増粘が少ない球状が良い。
上記(D)有機フィラーの具体例としては、シリコーンゴムとしては、KMP594、KMP597、KMP598(信越化学工業株式会社製)、EP2001(東レダウコーニング株式会社製)、ウレタンゴムとしてはJB−800T、HB−800BK(根上工業株式会社)、アクリルゴムとしては、AFX−8(積水化成品工業株式会社製)、F351S(アイカ工業株式会社製)、W−341、メタブレンシリーズ(三菱レーヨン株式会社製)スチレンゴムとしては、ラバロンシリーズ(三菱化学株式会社製)、スチレンオレフィンゴムとしてはTRシリーズ(JSR株式会社製)、セプトンシリーズ(株式会社クラレ)等を挙げることができる。ただし、これらに限定されることはない。
本発明で使用される液晶シール剤における(D)有機フィラーの含有量は、液晶シール剤の総量を100質量部とした場合に、5〜50質量部、好ましくは5〜40質量部である。
また、本発明の構成を実現する為に、(D)有機フィラーに分級操作を行い、所望の平均粒子径のものを得ることができる。この操作を行うと粗大粒子の除去にも役立ちシャープな粒度分布をもつ(D)有機フィラーを準備することができる。粗大粒子は液晶のセルギャップ不良を引き起こし易くする為、この分級操作を行う方が好ましい。
分級操作は例えばジェットミル粉砕機JM−0202(株式会社セイシン企業製)にて解砕後、気流式分級機クラッシールN05(株式会社セイシン企業製)を用いて行うことができる。なお、より効率的にこの操作を行う為に、分散剤等を使用しても良い。
有機フィラーのメディアン径(D50)は、好ましくは0.1〜2.0μmであり、更に好ましくは0.1〜0.5μmである。
[(E)無機フィラー]
本発明の液晶シール剤は、成分(E)として、無機フィラーを含有しても良い。本発明で含有する無機フィラーとしては、シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられ、好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムが挙げられるが、好ましくはシリカ、アルミナ、タルクである。これら無機フィラーは2種以上を混合して用いても良い。
無機フィラーの平均粒子径は、大きすぎると狭ギャップの液晶セル製造時に上下ガラス基板の貼り合わせ時のギャップ形成がうまくできない等の不良要因となるため、2000nm以下が適当であり、好ましくは1000nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。また好ましい下限は10nm程度であり、さらに好ましくは100nm程度である。粒子径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)により測定することができる。
本発明の液晶シール剤において、無機フィラーを使用する場合には、液晶シール剤の総量中、通常5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%である。無機フィラーの含有量が5質量%より低い場合、ガラス基板に対する接着強度が低下し、また耐湿信頼性も劣るために、吸湿後の接着強度の低下も大きくなる場合がある。又、無機フィラーの含有量が50質量%より多い場合、フィラー含有量が多すぎるため、つぶれにくく液晶セルのギャップ形成ができなくなってしまう場合がある。
[(F)熱硬化剤]
本発明の液晶シール剤は、(F)熱硬化剤を含有しても良い。
熱硬化剤は、上記成分(C)熱ラジカル重合開始剤とは異なり、加熱によってラジカルを発生しない熱硬化剤を意味する。具体的には、非共有電子対や分子内のアニオンによって、求核的に反応するものであって、例えば多価アミン類、多価フェノール類、有機酸ヒドラジド化合物等を挙げる事ができる。ただしこれらに限定されるものではない。これらのうち有機酸ヒドラジド化合物が特に好適に用いられる。例えば、芳香族ヒドラジドであるテレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等をあげることが出来る。また、脂肪族ヒドラジド化合物であれば、例えば、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N’−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等のヒダントイン骨格、好ましくはバリンヒダントイン骨格(ヒダントイン環の炭素原子がイソプロピル基で置換された骨格)を有するジヒドラジド化合物、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(1−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート等をあげることができる。硬化反応性と潜在性のバランスから好ましくは、イソフタル酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、トリス(ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(1−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレートであり、特に好ましくはトリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレートである。
成分(F)は単独で用いても良いし、2種類以上を混合しても良い。本発明の液晶シール剤において、成分(E)を使用する場合には、液晶シール剤総量中、通常0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。
[(G)光ラジカル重合開始剤]
本願発明の液晶シール剤は、成分(G)として光ラジカル重合開始剤を含有しても良い。光ラジカル重合開始剤としては、紫外線や可視光の照射によって、ラジカルや酸を発生し、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、例えば、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、2−エチルアンスラキノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスヒンオキサイド、カンファーキノン、9−フルオレノン、ジフェニルジスルヒド等を挙げることができる。具体的には、IRGACURERTM 651、184、2959、127、907、369、379EG、819、784、754、500、OXE01、OXE02、DAROCURERTM1173、LUCIRINRTM TPO(いずれもBASF社製)、セイクオールRTMZ、BZ、BEE、BIP、BBI(いずれも精工化学株式会社製)等を挙げることができる。
また、液晶汚染性の観点から、分子内に(メタ)アクリル基を有するものを使用する事が好ましく、例えば2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2メチル−1−プロパン−1−オンとの反応生成物が好適に用いられる。この化合物は国際公開第2006/027982号記載の方法にて製造して得ることができる。
本発明の液晶シール剤において、成分(G)を使用する場合には、液晶シール剤総量中、通常0.001〜3質量%、好ましくは0.002〜2質量%である。
[その他成分]
本発明の液晶シール剤には、さらに必要に応じて、シランカップリング剤、有機酸やイミダゾール等の硬化促進剤、ラジカル重合防止剤、レベリング剤、消泡剤、溶剤などの添加剤を配合することができる。
[シランカップリング剤]
本発明の液晶シール剤は、成分(F)としてシランカップリング剤を添加して、接着強度や耐湿性の向上を図ることができる。
成分(F)としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤はKBMシリーズ、KBEシリーズ等として信越化学工業株式会社等によって販売されている為、市場から容易に入手可能である。本発明の液晶シール剤において、成分(F)を使用する場合には、液晶シール剤総量中、0.05〜3質量%が好適である。
[硬化促進剤]
上記硬化促進剤としては、有機酸やイミダゾール等を挙げることができる。
有機酸としては、有機カルボン酸や有機リン酸等が挙げられるが、有機カルボン酸である場合が好ましい。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フランジカルボン酸等の芳香族カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、チオジプロピオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリス(2−カルボキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
また、イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2 ,4−ジアミノ−6(2 ’−エチル−4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4− ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1 ’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
本発明の液晶シール剤において、硬化促進剤を使用する場合には、液晶シール剤の総量中、通常0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。
[ラジカル重合防止剤]
上記ラジカル重合防止剤としては、光重合開始剤や熱ラジカル重合開始剤等から発生するラジカルをトラップし、重合を防止する化合物であれば特に限定されるものではなく、キノン系、ピペリジン系、ヒンダードフェノール系、ニトロソ系等を用いることができる。具体的には、ナフトキノン、2−ヒドロキシナフトキノン、2−メチルナフトキノン、2−メトキシナフトキノン、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−メトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−フェノキシピペリジン−1−オキシル、ハイドロキノン、2−メチルハイドロキノン、2−メトキシハイドロキノン、パラベンゾキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルクレゾール、ステアリルβ−(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β―(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]、2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−sec−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、パラメトキシフェノール、4−メトキシ−1−ナフトール、チオジフェニルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンのアルミニウム塩、商品名アデカスタブLA−81、商品名アデカスタブLA−82(株式会社アデカ製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちナフトキノン系、ハイドロキノン系、ニトロソ系ピペラジン系のラジカル重合防止剤が好ましく、ナフトキノン、2−ヒドロキシナフトキノン、ハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−P−クレゾール、ポリストップ7300P(伯東株式会社製)が更に好ましく、ポリストップ7300P(伯東株式会社製)が最も好ましい。
ラジカル重合防止剤の含有量としては本発明の液晶シール剤総量中、0.0001〜1質量%が好ましく、0.001〜0.5質量%が更に好ましく、0.01〜0.2質量%が特に好ましい。
本発明の液晶シール剤を得る方法の一例としては、次に示す方法がある。まず、成分(A)を添加し、必要に応じ成分(G)を加熱溶解する。次いで室温まで冷却後、成分(B)を添加し、更に必要に応じ成分(C)、(D)、(E)、(F)、消泡剤、レベリング剤、溶剤等を添加し、公知の混合装置、例えば3本ロール、サンドミル、ボールミル等により均一に混合し、金属メッシュにて濾過することにより本発明の液晶シール剤を製造することができる。
本発明の液晶表示セルは、基板に所定の電極を形成した一対の基板を所定の間隔に対向配置し、周囲を本発明の液晶シール剤でシールし、その間隙に液晶が封入されたものである。封入される液晶の種類は特に限定されない。ここで、基板とはガラス、石英、プラスチック、シリコン等からなる少なくとも一方に光透過性がある組み合わせの基板から構成される。その製法としては、本発明の液晶シール剤に、グラスファイバー等のスペーサ(間隙制御材)を添加後、該一対の基板の一方にディスペンサー、またはスクリーン印刷装置等を用いて該液晶シール剤を塗布した後、必要に応じて、80〜120℃で仮硬化を行う。その後、該液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下し、真空中にてもう一方のガラス基板を重ね合わせ、ギャップ出しを行う。ギャップ形成後、90〜130℃で1〜2時間硬化することにより本発明の液晶表示セルを得ることができる。また光熱併用型として使用する場合は、紫外線照射機により液晶シール剤部に紫外線を照射させて光硬化させる。紫外線照射量は、好ましくは500〜10000mJ/cm、より好ましくは1000〜6000mJ/cmの照射量が好ましい。その後必要に応じて、90〜130℃で1〜2時間硬化することにより本発明の液晶表示セルを得ることができる。このようにして得られた本発明の液晶表示セルは、液晶汚染による表示不良が無く、接着性、耐湿信頼性に優れたものである。スペーサとしては、例えばグラスファイバー、シリカビーズ、ポリマービーズ等があげられる。その直径は、目的に応じ異なるが、通常2〜8μm、好ましくは4〜7μmである。その使用量は、本発明の液晶シール剤100質量%に対し通常0.1〜4質量%、好ましくは0.5〜2質量%、更に、好ましくは0.9〜1.5質量%程度である。
本発明の液晶シール剤は、良好な遮光性を有していながら光硬化性に優れ、更には接着強度が高い。この結果、長期にわたって品質が劣化しない高精細な液晶表示セルの製造が可能となる。また、低液晶汚染性にも優れ、更に、その硬化物は耐湿性、耐熱性等の各種硬化物特性にも優れる。以上から、本発明の液晶シール剤を用いることにより、信頼性に優れる液晶表示セルを実現することができる。また、本発明の液晶シール剤を用いて作成した液晶表示セルは、電圧保持率が高く、イオン密度が低いという液晶表示セルとして必要な特性も充足される。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。尚、特別の記載のない限り、本文中「部」及び「%」とあるのは質量基準である。
[合成例1]
[ビスフェノールF型エポキシ樹脂の全アクリル化物の合成]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製:RE−602)120.0gをトルエン122.6gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.4gを加え60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸63.9gを加え、さらに80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.7gを添加して98℃で約50時間撹拌した。得られた反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするビスフェノールF型エポキシ樹脂の全アクリル化物276gを得た。
[合成例2]
[1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンの合成]
市販ベンゾピナコール(東京化成工業株式会社製)100部(0.28モル)をジメチルホルムアルデヒド350部に溶解させた。これに塩基触媒としてピリジン32部(0.4モル)、シリル化剤としてBSTFA(信越化学工業株式会社製)150部(0.58モル)を加え70℃まで昇温し、2時間攪拌した。得られた反応液を冷却し、攪拌しながら、水200部を入れ、生成物を沈殿させると共に未反応シリル化剤を失活させた。沈殿した生成物をろ別分離した後十分に水洗した。次いで得られた生成物をアセトンに溶解し、水を加えて再結晶させ、精製した。目的の1, 2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1, 2,2−テトラフェニルエタンを105.6部(収率88.3%)得た。
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で分析した結果、純度は99.0%(面積百分率)であった。
[実施例1〜2、比較例1〜3の調製]
下記表1に示す割合で硬化性化合物(成分(A))に、光ラジカル重合開始剤(成分(G))を加え、90℃で加熱溶解した。室温まで冷却し、黒色顔料(成分(B))熱ラジカル重合開始剤(成分(C))、有機フィラー(成分(D))、無機フィラー(成分(E))、熱硬化剤(成分(F))、シランカップリング剤等を加え、攪拌した後、3本ロールミルにて分散させ、金属メッシュ(635メッシュ)で濾過し、液晶滴下工法用液晶シール剤(実施例1〜2、比較例1〜3)を調製した。
[光硬化性の評価]
実施例及び比較例で製造された液晶シール剤をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに挟み厚み10μmの薄膜としたものにUV照射機により3000mJ/cmの紫外線を照射して硬化させ、硬化後PETフィルムを剥がしてサンプルとした。サンプルの硬化度を以下基準で評価した。評価結果を表1に示す。

○:フィルムの表面、裏面ともにタック性なし△:フィルムの表面はタック性なし。フィルムの裏面はタック性あり。×:フィルムの表面、裏面ともにタック性あり。
[接着強度測定]
実施例及び比較例で製造された液晶シール剤100gにスペーサとして5μmのグラスファイバー1gを添加して混合撹拌を行う。この液晶シール剤を50mm×50mmのガラス基板上に塗布し、その液晶シール剤上に1.5mm×1.5mmのガラス片を貼り合わせUV照射機により3000mJ/cmの紫外線を照射後、オーブンに投入して120℃1時間熱硬化させた。ガラス片のせん断接着強度をボンドテスター(SS−30WD:西進商事株式会社製)にて測定した。結果を表1に示す。
Figure 2018013689
本発明の液晶シール剤は、光硬化性に優れるため、液晶セル作製工程において液晶リークを起こすことなく、黒色顔料を含有する為液晶表示素子の光漏れを抑制することを可能とする。また、接着強度に優れる為、信頼性の高い液晶表示素子の製造を実現することができる。

Claims (15)

  1. (A)硬化性化合物、(B)酸化バナジウム及び/又は窒化バナジウムを含有する液晶滴下工法用液晶シール剤。
  2. 前記成分(A)がエポキシ(メタ)アクリレート化合物及び/又はエポキシ化合物である請求項1に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  3. 前記成分(A)がエポキシ(メタ)アクリレート化合物とエポキシ化合物の混合物である請求項1に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  4. 前記成分(B)の一次粒子径が0.01〜5.0μmである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  5. 前記成分(A)100質量部に対し、前記成分(B)が5〜35質量部含有する請求項1及至4のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  6. 更に、(C)熱ラジカル重合開始剤を含有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  7. 前記成分(C)が分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)及び窒素−窒素結合(−N=N−)を含まない熱ラジカル重合開始剤である請求項1及至6のいずれかに記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  8. 更に、(D)有機フィラーを含有する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  9. 前記成分(D)が、ウレタン微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、スチレンオレフィン微粒子、及びシリコーン微粒子からなる群より選択される1又は2以上の有機フィラーである請求項8に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  10. 更に、(E)無機フィラーを含有する請求項1及至9のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  11. 更に、(F)熱硬化剤を含有する請求項1乃至10のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  12. 前記成分(F)が有機酸ヒドラジドである請求項1乃至11のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  13. 更に、(G)光ラジカル重合開始剤を含有する請求項1及至12のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  14. 2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された請求項1乃至13のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後光及び/又は熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
  15. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル。
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