以下、本発明を一実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施の形態に係る撮像装置100の全体構成を示した図である。
被写体からの光を結像させるための撮像レンズ1の光軸方向の延長上に、撮像レンズ1により結像された被写体像を光電変換する撮像素子2が設けられている。撮像素子2の一例としてはCMOSイメージセンサが使用される。
フォーカルプレーンシャッタ3は、撮影光路上において撮像レンズ1と撮像素子2との間に設けられ、後述する撮像素子2の電子先幕動作と連動して撮像素子2を露光する時間を調節する。そして、撮像素子2から出力されるアナログ画像信号はAFE4によりデジタル信号に変換される。
DSP(Disital Signal Processer)5は、AFE4から出力されるデジタル画像信号に対する各種画像処理や圧縮・伸張処理などを行なう。その結果得られた画像データを記録媒体6に記憶する。撮影した画像や各種メニュー画面などが表示部7に表示される。表示部7としては液晶ディスプレイ(LCD)などが使用される。
タイミングジェネレータ(TG)8が、撮像素子2に駆動信号を供給する。CPU9は、AFE4、DSP5、TG8、シャッタ駆動回路11の制御を行う。画像データなどは、DSP5と接続されているRAM10に一時的に記憶される。
また、シャッタ駆動回路11は、CPU9による制御に応じて、フォーカルプレーンシャッタ3を駆動する。
撮像装置の電源電圧を検出する電圧検出手段91、撮像装置の温度を検出する温度検出手段92、フォーカルプレーンシャッタ3内部に備えられた羽根検出手段93が設けられており、羽根検出手段93は、後述のフォトセンサ217b、カム位相板208等で構成される。フォーカルプレーンシャッタ3内部にはカム位相検出手段95が設けられている。各検出手段の検出結果はCPU9に入力される。
レンズ制御手段94が撮像レンズ1の焦点距離、絞り径、瞳径、瞳と撮像素子2の距離等のレンズ情報をCPU9に出力するとともに、CPU9による制御に応じて絞り、レンズ等を駆動する。
以下、図2〜図13に示す分解斜視図及び要部拡大斜視図と、図14〜図26に示すシャッタ動作状態図をそれぞれ参照して、本発明の実施形態による、フォーカルプレーンシャッタについて説明する。
図2は、本発明の一実施形態であるカメラのフォーカルプレーンシャッタ3を背面から見た分解斜視図、図3は、正面から見た分解斜視図である。
シャッタ地板201は、光が通過する開口部を形成する開口形成部材の一例であり、不図示のカメラ本体に固定され、後述する後羽根群230の駆動機構を構成する各部品が取り付けられている。なお、以下の説明において、本発明の一実施形態であるカメラの駆動源離として、いわゆる電子先幕制御による露光制御の説明を行っている。その中で、説明の便宜上、後羽根群や後羽根などと表現しているものについては、その機能を鑑みると、露光制御羽根群や露光制御羽根と読み替えることが好適である。すなわち、露光制御において走行する羽根は露光制御羽根(後羽根)のみであり、先や後という表現は厳密にはその機能を表していないが、従来の駆動方法との対比を考慮し、後羽根や後幕という表現を用いることがある。
羽根駆動部材202は、シャッタ地板201の軸201aに回転可能に軸支されている。羽根駆動部材202にはアーマチャ支持部202dが設けられている。
アーマチャ支持部202dに形成された不図示の貫通孔部には、貫通孔部の内径よりも大きなフランジを有し、アーマチャ212に対して一体的に取り付けられたアーマチャ軸213が係合している(図8及び図9参照)。アーマチャ軸213は、アーマチャ212の吸着面に対して略直交方向に延びている。
アーマチャ212とアーマチャ支持部202dの間であって、アーマチャ軸213の外周には、圧縮バネ214が配置されており、アーマチャ212およびアーマチャ支持部202dを互いに離す方向に付勢している。
図2に戻り、ラチェット240は、シャッタ地板201の軸201a,201b周りに回転可能に軸支され、羽根駆動部材202より軸先端側に配置されている。
羽根駆動部材202、遮光羽根駆動部材302とラチェット240との間にはねじりコイルバネである羽根駆動バネ241、遮光羽根駆動バネ341が配置されている。
羽根駆動バネ241、遮光羽根駆動バネ341の一端は各々羽根駆動部材202、遮光羽根駆動部材302に掛けられ、他端はラチェット240に掛けられている。
この羽根駆動バネ241、遮光羽根駆動バネ341は各々羽根駆動部材202、遮光羽根駆動部材302に図2において軸先端側(図2右側)から見て時計方向の付勢力を与えている。
羽根群230は1番羽根231、2番羽根232、3番羽根233、主アーム235及び副アーム236で構成されている。遮光羽根群330は羽根群230と同じ構成となっていて配置を裏返して使用している。
1番羽根231と2番羽根232、3番羽根233は、黒色塗料を塗布した樹脂シート(または金属板)から成り、主アーム235と副アーム236に回転可能に軸支されており、平行リンクを形成している。
羽根群230の1番羽根231は露光制御羽根であり、その端辺231aは、露光を制御するスリット形成部であり、露光を制御するスリット形成部端面はプレス等の局所的なバリをレーザー加工で縮小させて周辺端面からの突出量を20μm以下に抑えて、端面を均一化している。
2番羽根232、3番羽根233は、1番羽根231に連動して移動し、開口を覆う覆い羽根として機能している。
副アーム236は1番羽根231a側の軸201fに軸支されている。遮光羽根群330の1番羽根331の端辺331aは、遮光端形成部であり、副アーム336は1番羽根331a側の軸201gに軸支されている。
図4は、本発明の一実施形態に係るフォーカルプレーンシャッタの一部を拡大した図である。また、図5は、図4のA―A線断面図である。
図4において、主アーム235は羽根駆動部材202の嵌合部202bと嵌合している。また、副アーム236は軸201fに回転可能に軸支されている。副アーム236には羽根ガタ寄せバネ237が反時計回りすなわち羽根群230を走行する方向に付勢するように掛けられている。
主アーム235のうち羽根を保持する側とは反対側の端部である基端部には、後述する羽根駆動部材202の駆動ピン202aと係合するための穴(係合穴)235aが設けられている。例えば、本実施形態では、この駆動ピン202aは、羽根駆動部材202のうち軸(回転軸)201aから径方向外側に突出して設けられたフランジ部202Aの上に立設されている。この駆動ピン202aには、主アーム235の穴235aが挿通され、その状態で、羽根駆動部材202のうちフランジ部202A側に設けられた凹形状の嵌合部202bに対し、主アーム235の先端部235dが嵌合し、嵌合部202bによって主アーム部235の幅方向(穴235aから先端部235dに向かう長手方向と交わる方向)の移動が規制される。これにより、主アーム235と羽根駆動部材202とが連結され、軸201aの周りに羽根駆動部材202が回動することで、主アーム235が回動する。なお、主アーム235のうち穴235aと先端部235dとで挟まれた部分は、後述するが、カバー部材の一部で押圧された状態となる。これにより、本実施形態においては、主アーム235は羽根駆動部材202から外れることなく安定して回動することができる。
この穴235aは主アーム235を軸201aのラジアル方向に固定し、また、主アーム235は、羽根駆動部材202の嵌合部202bに主アーム235長手方向端(先端部235d)で係合されることで駆動ピン202a回りについて固定されている。
この嵌合部202bは樹脂材料で、主アームの先端部235dは厚さ0.1mm程度の金属板で構成され、駆動ピン202a回りの繰り返し衝撃が嵌合部202bに掛かる為、主アーム先端部235dに立ち曲げを構成して板の外形端面による嵌合部202bへの集中荷重を分散させることが好ましい。
なお、駆動ピン202aは、本実施形態では円形としたが、例えば、四角形、多角形、星形等のピン回りに固定される形状にしても良い。
例えば、駆動ピン202aの断面形状が主アームの長手方向に十分長い形状であれば、アーム端で係合する必要はなく1箇所の係合ないし嵌合でも良い。つまり、主アーム235は主アーム235の軸(回転中心)201aに一致する穴を有していないということであり、換言すると、主アーム235の回転軸である軸201aよりも、主アーム235側に主アーム235の係合位置があると言える。
このように、主アーム235の駆動ピン202a(羽根駆動部材)への係合位置を、駆動ピン202aの回転中心以外に設けることにより、駆動ピン202aの回転に同期して主アーム235が回転できるようになっており、シャッタ地板と主アーム235との摺動負荷の低減も可能となっている。
図5は、シャッタ地板201の軸201a周囲の断面図である。前述のように主アーム235は主アーム235の回転軸(軸201a)に一致する穴を有していないのでカバー板206を外すだけで、図5の下側へ羽根群230を抜き去り、また再び羽根群230を組み込むことができる。なお、カバー板206についても、光が通過する開口部を形成する開口形成部材の一例となっている。
羽根駆動部材202が駆動する際、主アーム235は、駆動ピン202aによって駆動される。また、羽根駆動部材202と一体となって回転するため、主アーム235の回転軸201aや嵌合部202bによる摺動摩擦は発生しない。
また、シャッタ地板201の片面側に羽根ユニットが配設される構成となり駆動部材202をシャッタ地板201から外すことなく、羽根ユニットの着脱ができる構成となる。
図6は、図4に緩衝部材242、243の位置関係を追加した図、図7は緩衝部材242、243をカバー板206に取り付ける直前の状態を示した斜視図であり、緩衝部材242、243と、緩衝部材242、243を取り付ける長孔206fの端部を、図6の上側(紙面手前)において、図6の下方から上方に向けて斜めに見た図である。
緩衝部材242はゴム等の弾性を有する材質にて形成され、平面形状は馬蹄形状をしている。また、張り出し部242g,242hが形成され、カバー板206の長穴206fの端に取り付けられている。
また242h側の張り出し部が欠けているのは図5に示している羽根群を構成するダボ238の作動軌跡を逃げていて、羽根群の作動を阻害しないようになっている。羽根駆動部材202は、駆動完了時に駆動ピン202aの走行方向と垂直な面で緩衝部材243に衝突する。
これによって、緩衝部材242へ衝撃が伝播し、羽根駆動部材202が急停止した際の衝撃を緩衝部材242,243によって吸収し、羽根駆動部材202とそれに連動する羽根群230の衝撃を和らげ、耐久性能を向上させるとともに、駆動完了時のバウンドを抑制することができる。
さらに、駆動ピン202aは樹脂で形成される緩衝部材243に衝突するため、ゴム部材で形成される緩衝部材242へ駆動ピン202aが直接当接することでゴム表面が粘着化して羽根駆動部材202の作動を妨げることもない。
ここで、緩衝部材242,243の取付け構成を図7で説明する。
図7(A)、(B)から分かるように、長孔206fの長さ方向の一端部には、その円弧状の縁に沿って、カバー板206の羽根室外面(図7(A)上方)側に一つの張り出し部206gと羽根室内面(図7(A)下方)側に凹部206hが形成されており、張り出し部206gは長孔206fの略延長線方向に沿う方向に向かって緩衝部材242から突出するように配置されている。
そして、本実施形態の場合には、図6、図7(A)、(B)から分かるように、緩衝部材242はカバー板206の張り出し部206gと緩衝部材242の凹部242gが嵌り合うように配置されていて、カバー板206の羽根室外面側には突き出ていない。
また緩衝部材243はカバー板206の凹部206jと緩衝部材243の凸部243j、カバー板206の凹部206kと緩衝部材243の凸部243kが嵌り合うように配置されている。
なお、図7(A)に記載している緩衝部材243の羽根室内面側に設けられた凸部は、凸部243k側にしか設けていないが、図7(B)に記載している緩衝部材243は凸部243j側においても凸部243k側と同様に設けており、その取り付け安定性を向上した別形態となっている。
上記の通り、本実施形態の緩衝部材242、243は、2部材からなり、駆動ピン202aと当接する緩衝部材243と、カバー板206の駆動ピン202aの走行方向端部側に固定される緩衝部材242で構成されている。いずれの緩衝部材も弾性を有する樹脂材で構成してもよいが、その材質は緩衝部材243より緩衝部材242の弾性が弱い関係にある。
より好適な例として、図7(C)に示すように、遮光羽根群330側の緩衝部材342をゴム、緩衝部材343を樹脂で形成し、羽根群230側の緩衝部材242と緩衝部材243は一体にゴムで形成してもよい。こうすることで、装置の保存時に、緩衝部材343に当接している遮光羽根群330側の駆動ピン302aが緩衝部材343と貼り付かないようにしつつ緩衝部材342によるクッション性を確保し、一方、駆動ピン202aは、装置の保存時に緩衝部材243に当接していない状態に保持されているため、単一の部材で簡易に形成、取り付けが可能となる。また、2部材で形成してしまうと緩衝部材としてのカバー板206との嵌合面積が小さくなるため、動作中に緩衝部材243が脱落してしまいやすくなる。そのため、緩衝部材242と緩衝部材243を一体に形成することで、緩衝部材243(242)の脱落を防止することができる。
図8は、羽根駆動部材202の拡大図である。図9は羽根駆動部材202の分解斜視図である。
チャージコロカバー214は、可撓性を有していると共に、図9に示すようにクランク形状をしており、チャージコロカバー214は、チャージコロ204aを羽根駆動部材202に設けられた軸202eに挿入し、チャージコロカバー214の突き当て部214a,214b,214cの順に羽根駆動部材202のアーマチャ支持部202d、コロ軸202e、当接部202fへ突き当てていく。
これにより、羽根駆動部材202に固定され、チャージコロ204aが好適に回転できるように支持している。また、チャージコロ204aはチャージカム203に当接するように位置している。なお、遮光羽根群330を駆動する遮光羽根駆動部材302(図14参照)についても、上記の羽根駆動部材202と実質的に同様の構成を取る。
図11は、チャージカム203、カム位相板208、カムギア209を正面から見た図である。図12は、チャージカム部の分解斜視図である。
203チャージカム203は、シャッタ地板201の軸201c(図2参照)によって回動可能に支持されている。
チャージカム203に形成されたカム乗り上げ部203aとカムトップ部203b、カム部開放部203cは、チャージカム203の図2j11に示す矢印方向の回動に応じて、羽根駆動部材202に設けられたチャージコロ204aに当接して、羽根駆動部材202を回動させる。
カム乗り上げ部203aとカム開放部203cの両端以外はカムトップ部203bと回転軸中心の同一半径を有している。そのため、チャージカム203が回動して、カム乗り上げ部203aとカム開放部203cの両端以外のカム部に当接している間、羽根駆動部材202は回動せず、羽根群230はシャッタアパチャ外の一定位置に留まっている。
また、チャージカム203に形成された、カム乗り上げ部203d、カム傾斜部203e、カムトップ部203f、カム傾斜部203g、カムトップ部203hは、チャージカム203の図11に示す矢印方向の回動に応じて、遮光羽根駆動部材302に設けられたチャージコロに当接して、遮光羽根駆動部材302を回動させる。
カム乗り上げ部203dの頂点はカムトップ部203f頂点より回転軸からの距離が短くなっている。カムトップ部203f,203hの頂点は回転軸から等距離にあり、頂点部の半径は回転軸から頂点までの距離より小さくなっている。
カムトップ部203hからカム開放部203iまでは回転軸中心の同一半径を有している。カム傾斜部203e,203gは夫々、カム乗上げ部203dとカムトップ部203fとを結ぶカム、カムトップ部203fとカムトップ部203hとを結ぶカムとなっている。
よって、チャージカム203が回動して、カム乗り上げ部203dからカムトップ部203fに至るカム傾斜部203eでは遮光羽根群330がアパチャを覆う位置とシャッタのチャージ最大位置との中間位置にチャージされる。
その後、さらに中間位置とアパチャを覆い始める位置との中間まで戻り、シャッタのチャージ最大位置へ移動する。
次に、カムトップ203fからカム傾斜部203gを通過してカムトップ203hに至る時には一旦、中間位置とアパチャを覆い始める位置との中間まで戻り、再びシャッタのチャージ最大位置へ移動する。
カムトップ203hからカム開放部203iまでのカム部に当接している間、遮光羽根駆動部材302は回動せず、遮光羽根群330はシャッタチャージ最大位置に留まっている。
カム位相板208はチャージカムの嵌合部203l、係合部203mと嵌合して相対的に位置決めされる嵌合部208eと係合部208fがあり、これによりカム位相板はチャージカムと一体的に回動する。
カム位相板208には遮光部208aが設けられ、遮光部208aがフォトセンサ217bを遮光することにより、チャージカム203の回転位相を検出する。
このフォトセンサ217bとカム位相板208の遮光部208aがカム位相検出手段95を構成する。
ここで、遮光部208aは、カムトップおよびカムボトムの位相に合わせてフォトインタラプタを遮光するように形成されている。
カム位相検出手段95は、遮光時はH、非遮光時時はLを検出する。フォトインタラプタによる位相検出は非接触であり、ゴミや油などによる検出不良や耐久による削れることがなく、信頼性が向上する。
本発明では、チャージカム203は光軸に垂直な平面内において羽根駆動部材202よりも光軸から離れた側に配置されている。そして、チャージカム203は回動運動によって羽根駆動部材202と遮光羽根駆動部材302とをチャージしている。
チャージカム、カムギア、位相板は一体で成形されるのが一般的であるが、複雑な型構造となり寸法精度も出し辛い。本発明では、3体で構成することで、個々の寸法精度を高めることが容易となり、組み立て性も向上している。
チャージコロ204bは、図14のように遮光羽根駆動部材302に配設され、チャージカム203に形成されたカム面に接する。
チャージコロ204bは、後述するオーバーチャージ量を調整するために調寸形状を有しており、オーバーチャージ量がある規格から外れた時、交換される。
チャージコロ204bは、チャージレバー260の上面側すなわち組立方向側に配設され、図11に示すカムギア209のフランジ203dと、抜けられぬよう常に重なり合っている。
この構成により、カムギア209を外すだけでチャージコロ204bを交換してオーバーチャージ量調整ができるため、部品点数を多くすることなく、組立が容易になる。
また、一方でチャージコロ204aは交換不要になるので、羽根駆動部材202のイナーシャの変化には影響せず、羽根群230の走行特性は安定される。
なお、本実施形態では、羽根駆動部材202にチャージコロ204aを設けたが、直接チャージレバー260と当接する形状を設ける構成にしてもよい。
モータ220の回転軸は図2のように撮影光軸と直交するシャッタ地板201の取付け面201c方向に出力軸を配設している。より具体的には、羽根群230の長手方向すなわち羽根群230の走行方向(展開方向)および光軸方向に垂直な方向にモータ220の出力軸(回転軸)が配置されている。
図13に示すように、モータ220、モータピニオンギア220aから伝達部材である減速ギア221、222、223、224を介して伝達される駆動力によって、カムギア209を回動させると後述するチャージ動作およびチャージ解除動作とを行うことができる。
図13のように、減速ギア221、222の回転軸225a、225bはモータ回転軸と平行で、減速ギア223、224の回転軸225c、225dは光軸と平行に配設している。
よって、回転軸225bと回転軸225cは直交し、それぞれモータギア地板225から放射状に形成され、減速ギア222からギア223への動力伝達手段には傘
歯車を用いている。
傘歯車は基準ピッチ円錐角を変更するだけで、同一スペースでギア比を容易に変更できる。基準ピッチ円錐角45度では1:1となり、例えば、基準ピッチ円直径φ5.25と基準ピッチ円直径φ3.6の基準ピッチ円錐角は55°34′と34°26′となりギア比は1.46:1となる。
逆に基準ピッチ円直径φ3.6と基準ピッチ円直径φ5.25の基準ピッチ円錐角は34°26′と55°34′となりギア比は0.69:1となる。
これにより、少なくとも3通りのギア比変更が同一スペース内で可能となり、モータ性能に合わせて適切なギア比に変更することが容易にでき、省スペースで駆動力伝達機構を構成することができるので、撮像装置の小型化にも寄与する。
図33に、モータ220と各ギアのみを抜粋した図を示している。図33(A)がモータ220とギアをxy平面に垂直な方向から見た状態とすると、それぞれ図33(B)はxz平面に垂直、図33(C)はyz平面に垂直な方向から見た状態の図である。
図33を見れば明らかなように、モータ220によって発生した駆動力が、モータピニオンギア220aを介して減速ギア221、222、223、224へと伝達しており、減速ギア222と減速ギア223は傘歯車によって構成されている。
減速ギア224、カムギア209に噛合しており、減速ギア224に伝達された駆動力をカムギア209に伝達している。
図2に示す補助地板205は、図2および図14に示すシャッタ地板201の軸201a,201b,201cの先端に係合されて取り付けられている。
電磁石250は、図3のように補助地板205に固定されている。
図10は電磁石250を、図3の上方向から見た断面図である。電磁石250は、ヨーク251、ボビン252、コイル253、端子ピン254a,254bと、を有している。
ヨーク251は、2つの脚部を有する略U字形状を有し、2つの脚部のうち、一方の脚部には、コイル253が巻回されたボビン252が設けられている。コイル253の両端のそれぞれに接続された各端子ピン254a,254bは、ボビン252の表面に突設されている。
コイル253が設けられている脚部の端面(251a)およびもう一方の脚部の端面(251b)は吸着面として機能し、251bの面積は251aの面積よりも小さくなっている。これは、コイルへの通電を停止してから駆動部材が駆動するまでの時間が一定となり、露光時間のバラつきを抑制するためである。
また、ヨーク251の各端子ピン254a,254bの間に電圧が印加されると、コイル253は磁束を発生する。
フォトセンサ217aと217bは、図3のようにシャッタ地板201と補助地板205に挟まれて取り付けられている。
羽根駆動部材202には図4のように遮光部202cが設けられ、遮光部202cがフォトセンサ217aを遮光することにより、羽根駆動部材202の回転位相を検出する。
後述するように羽根駆動部材202の回動によって羽根群230を展開させたり、重畳させたりしており、フォトセンサ217が羽根駆動部材202の回転位相を検出することで、羽根群230の開口部206aでの位置を検出することが可能となる。このフォトセンサ217aと羽根駆動部材202の遮光部202cが羽根検出手段93を構成する。
ここで、遮光部202cは羽根駆動部材202のセット時に遮光するように形成されている。羽根検出手段93は、遮光(セット)時はH、非遮光(走行完)時はLを検出する。
ところで、チャージカム203と連動するカム位相板208にカムトップおよびカムボトムそれぞれを検出するように2つの遮光部を設けても回転位相の検出は可能であるが、その場合は2つの遮光部が位相検出手段に接触しないように配置する必要があり、チャーギカム203が大きくなってしまう。
さらに、チャージカム203は1回転するため、遮光部が大きくなった半径分に対して、その2倍の大きさでシャッタ装置を大型化させてしまう。
本発明では、位相検出手段をチャージカム203に対して1つ、羽根駆動部材202に対して1つ設けている。カム位相板208の遮光部208aは、チャージカム203のカム面より回転中心側に配置されているため、シャッタ装置を小型化している。
また、羽根駆動部材202は往復運動であり、シャッタ装置が大きくなるのは、遮光部202cの走行軌跡分だけである。
さらに、遮光部202cは、回転運動をするカムギア209にもう1つの遮光部を設けるよりも設計の自由度があり、撮像装置内のスペースに合わせて配置することができ、撮像装置の小型化にも寄与している。
図2のようにカバー板206は、ユニット構成の中で最も被写体側に位置し、後羽根群230、仕切り板207、遮光幕群330、シャッタ地板201、乃至、補助地板205の順に同一側に配置されている。
カバー板206の中央部に設けられたシャッタアパチャ206aと光軸方向に略一致する位置にシャッタ地板201の開口部201pが設けられている。
シャッタ地板の開口部201pはカバー板のシャッタアパチャ206aより大きな開口を有している。
シャッタ地板201とカバー板206の間には後羽根群230と遮光幕群330を配置する羽根室が形成されていて各幕群を隔てる為の仕切り板207が配置されている。
次に、フォーカルプレーンシャッタ3の構成について図14〜図126を参照しながら詳細に説明する。
図14〜図26は、カメラに組み込まれた状態において、背面から見た平面図である。これらの図面において、図面の見易さのためにシャッタ地板201、補助地板205、カバー板206、モータギア地板225等は省略している。
図14は羽根駆動部材のオーバーチャージ状態、すなわち、カメラが停止している状態およびライブビュー状態を示している。
また、図15は図14の羽根群230の抜粋図、図16は羽根駆動部材が電磁石250に保持されている状態、図17は羽根群230の走行途中状態、図18は羽根群230の走行完了状態を示している。
図19は羽根群がチャージする前のロック解除、図20は遮光幕がチャージを開始した状態、図21は遮光幕がアパチャのおよそ半分を遮光している状態を示す。
さらに、図22は遮光幕がアパチャを全部遮光した状態、図23は遮光幕の上昇最高点、図24は遮光幕が最高点とアパチャ全閉との中間点にある状態を示す。
また、図25は遮光幕オーバーチャージ状態、図26は遮光幕が電磁石で保持されている状態を示す。
図4に示すように、羽根駆動部材202の先端部には駆動ピン202aが形成されており、駆動ピン202aは主アーム235の穴235aと係合している。
羽根駆動部材202の回動によって駆動ピン202aが長穴206fに沿って移動すると、主アーム235が回動して羽根群230を展開させたり、重畳させたりする。この羽根群230の動作によって、開口部206aを開口状態(被写体光束を通過させる状態)にさせたり、実質的に閉口状態(被写体光束を概ね遮断する状態)にさせたりすることができる。
図15〜図18は羽根群230の作動を説明する為の抜粋図であり、図15は図15から図18の状態に至る露光制御作動途中の、1番羽根231の露光制御端面231aが開口の略半分を遮光した状態を示している。露光制御端面231aはプレス抜きにより形成された端面を、さらにレーザー加工で均一化している。
羽根駆動部材202は、羽根駆動ピン202aと羽根駆動部材の回動穴の間で回動穴202aの近傍に設けた嵌合部202bを有し、主アームの端部235dと嵌合(係合)していて(図4)、1番羽根231を軸支した主アーム235を羽根駆動部材の回動穴202a回りに回動させている。
図14の状態から図18の状態に至る露光時羽根走行過程において1番羽根231は露光制御端面231a側とは反対の伝達部235cを介して駆動力が伝達され、1番羽根231は副アーム236を押し出して作動する。
これにより、副アーム236は主アーム235に押し出されながら作動する。2番羽根232、3番羽根233、も順次1番羽根231と同様に作動し副アーム236を押し出すが、作動量は1番羽根231が最も多く、2番羽根232、3番羽根233まで作動量は順次少なくなる。
1番羽根231はその駆動力伝達部235cの配置から、駆動力被伝達部235cが1番羽根231の重心に対し露光制御走行方向から遅延し、1番羽根231は主アーム235により押し出されて動作する。
同様に2番羽根232、3番羽根233、4番羽根234も主アーム235の各々の駆動力伝達部に軸支され、各羽根の重心より駆動力伝達部が露光制御走行方向から遅延する位置に配置されている(図4)。
このように、露光制御端面231a側とは反対側で軸支した主アーム235を、駆動力伝達部235cを介して羽根駆動部材202が回動させる。
このとき、副アーム3236に掛けられたガタ寄せバネ237が走行方向への駆動力を副アーム3236に付与している為、スムーズに羽根がスタートし、露光制御端面231aは光軸方向にブレることなく安定して走行することができる。
一方で、羽根群230の走行を開始する状態と走行を完了する状態の羽根駆動部材202の駆動力伝達の効率は略同一であり、走行特性を安定化することができる。
また、主アーム235自体と連節する羽根群230を押し出しているが、ガタ寄せバネ3237によって副アーム236と主アーム235の光軸方向へのあおりを低減し、駆動力を効率よく伝達できる。
該実施形態では主アーム235は駆動部材の回転軸と一致する穴を持たず、駆動部材が組み込まれた状態で、羽根ユニットのみ交換できるようにしている。
その為、羽根駆動部材202と主アーム235を別部材としているが、例えば締結や熱溶着やモールドインサート・アウトサート等の一体成形等により部材一体化を行い、主アームの板厚方向のあおりを抑制する場合は、駆動ピン202aの位置に少なくとも1か所の固着部を設けることになる。
図18の羽根走行完了時、後幕ロックレバー255が羽根駆動部材202を左遷方向に戻らないようにロックしていて、1番羽根の端面231aがアパチャ内へ戻って再露光するのを抑止している。露光直後、羽根群のチャージが行われる。
図19〜図26は遮光羽根群330のチャージ動作を説明する為の抜粋図であり、図22は図19から図26の状態に至るチャージ動作途中の、1番羽根331の露光制御端面231aが開口の全部を遮光した状態を示している。
図19では、チャージカム203の右旋回によって、遮光幕ロックレバー256がカム203との当接部から作用力を受けて左旋回し、遮光羽根駆動部材のロック部302gから遮光幕ロックレバーの爪部256aが外れてロックを解除する。同時に後幕ロックレバー255は遮光幕ロックレバー256と連接しており、遮光幕ロックレバー256からの作用力で右旋回し、後幕ロックレバーのフック部255aが羽根駆動レバーの切り欠き部202gから外れてロックを解除する。
図20に示すように、チャージカム203がさらに右旋回することによって、遮光幕がアパチャの遮光を開始する。この時まで羽根群230のチャージは開始されない。
図21に示すように、チャージカム203がさらに右旋回することによって、遮光羽根群330の遮光端面331aがアパチャの半分を遮光し、この時、後羽根群の露光制御端面231aと遮光羽根群の遮光端面331aは所望の距離を保ち、遮光状態を維持しつつ図の上方へチャージされていく。
図22に示すように、チャージカム203がさらに右旋回することによって、遮光羽根群の遮光端面331aがアパチャ206aに達し、後羽根群の露光制御端面231aと遮光羽根群の遮光端面331aは所望の距離を保って遅れてチャージされる。
図23に示すように、チャージカム203がさらに右旋回することによって、遮光羽根群の遮光端面331aが作動の最高点に達した状態で、後羽根群の露光制御端面231aは最高点に到達する。
従来のシャッタではここでセット完了となり、次のレリーズを待つことになる。しかし、本発明では、図24に示すように、チャージカム203がさらに右旋回することによって、後羽根群の露光制御端面231aは最高点で維持されている。
一方、遮光羽根群の遮光端面331aはアパチャ206a内を露光しない範囲まで下降し、図25に示すように、チャージカム203がさらに右旋回することによって、遮光羽根群の遮光端面331aは再び作動の最高点(オーバーチャージ)まで上昇する。この時点でアーマチャ312が吸着される電磁石350に通電が開始される。
図26に示すように、チャージカム203がさらに右旋回することによって、遮光羽根駆動部材302をチャージしていたカム開放部203iを通過し、メカ的保持がなくなる。
このとき、電磁石250に通電されているのでアーマチャ312が吸着保持され、遮光羽根群330はアパチャを遮光したままとなる。
センサの読み出しが終了後に、電磁石250の通電が絶たれ、遮光羽根群330はアパチャを開放し、図15のシャッタ待機状態に戻る。
本発明では、遮光幕チャージの一連動作は、露出制御後に後羽根群をセンサの読み出し時間中にチャージしている。
遮光羽根群は後羽根群より先にチャージして、遅れてチャージする後羽根群と一定の重なりを維持しつつ、アパチャを遮光し続けている。
また、後羽根群はレンズ側、遮光羽根群をセンサ側に配置しているので遮光羽根群は後羽根より焦点に近く後羽根より集光太陽光に対して不利となる為、遮光羽根群がアパチャを遮光している間の停止時間を短くする為に羽根を揺動して動かし続け、停止時間を短くしている。
アパチャの閉鎖状態を維持することと、露光制御の後羽根群を太陽光から守ることを目的としていて、遮光羽根群は露光制御には直接的には使用していない。
従来センサの読みだし時間150μsec.の間はアパチャが開放されないように後羽根群はアパチャを遮光し、読み出し時間後にアパチャを開放していた。また読み出し時間でも、集光太陽光によって、停止している樹脂羽根は損傷してしまうので、羽根を金属羽根等で構成していた。
チャージコロ204aは、図9のように260羽根駆動部材202に配設され、チャージコロ204bと同様、チャージカム203に形成されたカム面に接する。
チャージコロ204aは、チャージコロ204bと同様、後述するオーバーチャージ量を調整するために調寸形状を有しており、オーバーチャージ量がある規格から外れた時に、交換される。
チャージコロ204aは、羽根駆動部材202の上面側すなわち組立方向側に配設され、図9に示すコロカバー214のフランジ214bに常に抜けられぬよう重なり合っている。
なお、本実施形態では、羽根駆動部材202にチャージコロ204aを設けたが、直接チャージカム203と当接する形状を設ける構成にしてもよい。
ここで、チャージカム203の回転によって、遮光幕ロックレバー256、後幕ロックレバー255がどのように付勢されるかを説明する。
図27は、図18の羽根走行完了時の状態を示しており、後幕ロックレバー255が羽根駆動部材202を左遷方向に戻らないようにロックしている。
図28は、図19の位置におけるチャージカム203周辺の拡大図を示している。チャージカム203の右旋回によって、遮光幕ロックレバー256がカム203との当接部から作用力を受けて左旋回し、遮光羽根駆動部材のロック部302gから遮光幕ロックレバーの爪部256aが外れてロックを解除する。同時に後幕ロックレバー255は遮光幕ロックレバー256と連接しており、遮光幕ロックレバー256からの作用力で右旋回し、後幕ロックレバーのフック部255aが羽根駆動レバーの切り欠き部202gから外れてロックを解除する。
図29は、図24の位置におけるチャージカム203周辺の拡大図であり、チャージカム203によって後幕駆動レバー300を左旋回し、チャージが完了した状態である。
図30は、図26の状態から、さらにチャージカム203を回転させ、図15のイニシアル状態に近づけた状態の図である。
遮光幕ロックレバー256へのチャージカム203からの付勢が解除され、遮光幕が走行して撮影前の準備状態に戻る。後幕ロックレバー255は左旋回する方向にバネ付勢されており、遮光幕ロックレバー256が右旋回してロック状態に戻るのに連動して後幕ロックレバー255が羽根駆動レバー202を係止可能な位置に移動する。
<動作の説明>
図31は、シャッタ装置3及び撮像素子2の各構成部品の動作タイミングである。各構成部品の動き及び撮像動作を、図14〜図26および図27を用いて説明する。なお、図31、図32の丸付き番号1〜10は、後述する各作動状態に対応している。
図31の番号1では、シャッタ装置3は図14のようにオーバーチャージ状態であり、後羽根群230、遮光羽根群330は重畳されているため、被写体光束を通過させる状態である。
カメラは前述したライブビュー撮像動作が行われ、撮像素子2に入射した被写体像が不図示の画像表示部に表示されている。
このとき、羽根検出手段93とカム位相検出手段94とがそれぞれHとなっているかどうかのチェックを行う。すなわち、羽根駆動部材202がセット状態であることとチャージカム203がカムトップであることの確認を行う。
もし、羽根検出手段93もしくはカム位相検出手段94がLである場合、モータ220を通電し、どちらもHとなるようにする。
ここで、本発明ではカムギア209の位相検出をカム位相検出手段94の1つで行うため、カムトップとカムボトムのどちらもHとなる。
一方、羽根駆動部材202の位相検出を羽根検出手段93で行い、羽根駆動部材202がセット状態であることを確認することで、チャージカム203がカムトップであることが分かる。
レリーズ動作の開始(図31の番号2)により、コイル253に通電し、ヨーク251に磁力を発生させヨーク251とアーマチャ212を吸着状態にする。
本実施形態におけるヨーク251、アーマチャ212で形成される磁気回路においては、回路中における断面積が最も小さい部分はアーマチャ部である。
そのため、磁気回路に発生する磁束は、アーマチャ断面の磁束密度が飽和する量によって決定される。ここでは、アーマチャ断面に発生する磁束量をΦAとする。
通常、磁気回路中においては、空気中への漏洩磁束が存在する。したがって、アーマチャ212よりも磁束の発生源であるコイル253に近い、ヨークの吸着面251aに発生する磁束ΦY1はΦAよりも多くなる。
一方、アーマチャ212よりも磁束の発生源であるコイル253から離れている、ヨークの吸着面251bに発生する磁束ΦY2はΦAよりも少なくなる。また、吸着面に作用する磁気的な吸着力は次式を用いて表すことができる。
ここで、Fは吸着面に作用する吸着力、μは透磁率、Bは吸着面の磁束密度、Sは吸着面の面積、Φは磁束量である。上述したように吸着面251a,251bに発生する磁束はΦY1>ΦY2である。本実施形態では、吸着面積は251aが251bよりも大きいため、それぞれの面で発生する吸着力を略等しくすることができる。
ヨーク251とアーマチャ212を吸着状態にした後、またはほぼ同時にモータに通電し、チャージカム203を図15の時計方向に回転させる。
チャージコロ204aは、チャージカム203のカムトップ部203bからカム開放部203cへ移り、カム傾斜部203nまでチャージカム203が徐々に退避してオーバーチャージが解除され、図16に示す羽根群230の走行前待機状態へと移行する。
そして、カム位相検出手段94がHからLを検出して、モータ220は停止する(図31の番号3)。
図31の番号4にて、撮像素子2の全画素をリセット状態にする。次に、図31の番号5にて、電子先幕走査を開始する。この電子先幕走査は、羽根群230の走行特性に合わせた走査パターンとなっている。
設定されたシャッタ秒時に対応する時間間隔をあけてから、図31の番号6にコイル211の通電を切るとヨーク251とアーマチャ212の間に働いていた吸着力は消滅し、羽根駆動部材202は、ねじりコイルバネの付勢により時計方向に回動し始める。
その際、上述したように、ヨーク251、アーマチャ212の2つの吸着面に働いていた吸着力は略等しいため、2つの吸着面は略同時に離反する。したがって、通電が断たれたときの羽根駆動部材202の駆動タイミングのばらつきが抑制される。
羽根駆動部材202の走行が進むと、その駆動ピン202aが緩衝部材の当接部243aに当接する。その後、緩衝部材243が、弾性部材242に圧縮させられ、衝撃を吸収されて停止する。
このようにして、羽根駆動部材202、主アーム235は、緩衝部材243、当接部243a、弾性部材242の弾性によって効果的に衝撃を吸収され、羽根群230の露光走行が完了する(図6)。これにより、開口部201pは図16のように被写体光束を遮断された状態となる(図31の番号7)。
シャッタ装置3の羽根群230の走行が終了し、撮像素子2が完全に遮光されると、静止画読出し走査が開始される。
このとき、羽根検出手段93とカム位相検出手段94とがそれぞれLとなっているかどうかのチェックを行う。すなわち、羽根駆動部材202が走行完了状態であることとカムギア209がカムボトムであることの確認を行う。
もし、羽根検出手段93もしくはカム位相検出手段94がHである場合、羽根群230や羽根駆動部材202などの異常状態が疑われるため、撮像動作を中止し、表示部7にエラー表示を行う。
電荷の読出しが完了されていない箇所は、被写体光束を遮断された状態にしておく必要がある。撮像素子2の電荷の読出し開始から所定時間後(図31の番号8)に、モータ220に通電し、カムギア209を反時計方向に回転させる。
カムギア209はチャージコロ204を押し、羽根駆動部材202はねじりコイルバネの付勢力に抗して時計方向に回転し、チャージされる。
羽根群230は徐々に重畳され、撮像素子2の画素1行目側から順次開口部201pを開口状態にする。したがって、チャージ動作に伴い、電荷の読出しと並行して羽根群230の開口動作を行う。
この際、羽根群230が開いた部分から漏れ込んだ光が、静止画読出し走査がまだ到達していない行の画素に入射しないために、羽根群330と羽根群230とが開口部を遮蔽し続けるように、図31の番号8であるチャージ開始の時間を所定値に合わせている。
本発明では、カム位相検出手段94がLからHに変化したことを検出して、モータ220が停止し、撮像素子2の電荷の読出しが完了した後、遮光羽根群330は電磁石350の通電が切られて、遮光羽根駆動部材302は羽根駆動バネ341の付勢力で右旋回する。
図15のように、遮光羽根駆動部材302は走行完状態となり、遮光羽根群330はアパチャ206aの遮光を解除し、羽根駆動部材202はオーバーチャージ状態のままなので、羽根群230はアパチャ206aを遮光しない全開状態となる。
チャージ動作が終了すると、指定時間後に前述した動画撮影或いは電子ビューファインダー機能のためのライブビュー撮像動作を開始する。
従来は、撮像素子2の電荷の読出しが完了した(図32の番号9)後、モータ220が始動し、羽根群230は重畳を完了し、カム位相検出手段94がLからHになったことを検出して、モータ220が停止し(図32の番号10)、図14のように羽根駆動部材202はオーバーチャージ状態となる。
チャージ動作が終了すると、指定時間後に前述した動画撮影或いは電子ビューファインダー機能のためのライブビュー撮像動作を開始する。
また、ミラーを有するカメラに採用されているシャッタでは、羽根駆動部材と羽根作動部材を別体で構成し、撮像素子2の電荷の読出し時間に羽根駆動部材をチャージし、撮像素子2の電荷の読出し終了後に羽根駆動バネに抗する方向のアームバネでオーバーチャージ位置へ復帰させるものがある。しかし、これをミラーレスカメラのシャッタとして使用する場合には集光太陽光による羽根破損を防止する為、金属羽根を使用することになる。
ここで、本発明は、上述した実施形態に限定されず、例えば、下記に説明する1つの特徴又は複数の特徴を適宜組み合わせるなどして構成してもよい。
<アーム固定構造>
ここで、カメラ用フォーカルプレーンシャッタとしては、羽根駆動部材に軸と駆動ピンとを立設し、それぞれを羽根のアームに設けられた孔に挿通させて相互連結した構造を取ることも可能であるが、このような構造とした場合、アームに2つの孔を設けなくてはならず、小型化に不利である。
本発明の一態様としては、光が通過する第1開口部を形成する第1開口形成部材(例えば、シャッタ地板201)と、前記第1開口形成部材の第1開口部に対向し、光が通過する第2開口部を形成する第2開口形成部材(例えば、カバー部材206)との間に、シャッタ羽根群が走行する羽根室を構成したカメラ用フォーカルプレーンシャッタにおいて、シャッタ羽根群(例えば、羽根部材231,232,233)が連結されるアーム部材(例えば、主アーム235)と、このアーム部材に動力を伝達する回動部材(例えば、羽根駆動部材202)と、を備え、アーム部材は、当該アーム部材の回転軸に一致する穴を有さないことを特徴とする構造としてもよい。これにより、アーム部材の構造が簡略化されるため、小型化に有利となる。
ここで、アーム部材がその回転軸に一致する穴を有さない構成としては、例えば、次のような構造を含む。具体的には、上述した一実施形態における構造を例に挙げると、図4及び図5に示す構造例では、回転部材となる羽根駆動部材202の端部から径方向外側に向けてフランジ部202Aが突設され、そのフランジ部202A上に駆動ピン202aが設けられた構造となる。そして、駆動ピン202aは、主アーム235を厚さ方向に貫通する穴235aに挿通され、羽根アーム部材235の端部235d(即ち、主アーム235のうちシャッタ羽根が装着される側とは反対側の端部)の一部が羽根駆動部材202の凹溝となる嵌合部202bに嵌合した構造となる。この場合、主アーム235は、羽根駆動部材202の回転軸回りに回動するが、駆動ピン202aがその回転軸から離れた位置で主アーム235と係合した構造となる。つまり、主アーム235は、その回転軸に一致する穴を有さず、別の位置に孔235aが設けられた構造となる。嵌合部202bでは、接着剤を塗布して接着嵌合してもよいし、主アーム235の先端部を嵌合部202bに挿入嵌合させて固定化してもよいし、カバー板206を用いて主アームの端部235dを羽根駆動部材202側に押圧又は覆うようにして主アーム235の浮き上がりを防止する構造を採用してもよい。
このような構造によれば、主アーム235と羽根駆動部材202との係合関係が羽根駆動部材202とシャッタ羽根との間の部分で完結するため、小型化又は薄型化に有利である他、組立性にも優れた構造となる。すなわち、主アーム235の端部235dを嵌合部202bの凹溝に挿入した状態で、主アーム235が有する孔235aを駆動ピン202aに挿入する構造とすることで、簡易にアームの取り付けを行え、主アーム235の長さを短くすることもできる。また、シャッタ地板と主アーム235との摺動負荷を大幅に低減できる。
なお、シャッタ羽根の走行スペースである羽根室とシャッタ羽根を駆動させるギアや駆動部材等の駆動系の配置とを、シャッタ地板を挟んで異なる平面側に配設しても、スペースを有効的に利用できて小型化とすることが可能となる。さらに、シャッタ羽根、駆動系をシャッタ地板の同一面側に配設することによって羽根交換に手間が掛かったが、駆動部を外さなくてもカバー板を外すだけで容易に羽根交換することが可能となる。
なお、上述した主アーム235を2組設け、一方を先幕群とし、他方を後幕群としてフォーカルプレーンシャッタを構成する場合、それぞれは、別々の構造としてもよいが、実質的に同一形状の構成(特に、羽根アーム部材235と羽根駆動部材202との連結構造)を採用するのがよい。これにより、部品の共通化を図れ、組立性にも優れた構造を実現できる。
<遮光幕の構成>
ここで、カメラ用フォーカルプレーンシャッタにおいて、先羽根群と後羽根群とを用いて露光走行を行うようにすると、一方の羽根群が走行する時間分だけ余分な時間がかかることになり、コマ速アップに不利となる。
本発明の他の態様においては、上述したカメラ用フォーカルプレーンシャッタの構造、すなわち、図2又は図3で示すような、露光用の開口部を有したシャッタ地板201と、該開口部に対向させる露出用の開口部を有するカバー部材206との間に、各駆動部材によって走行されるシャッタ幕である羽根群が設けられる羽根室が構成されたカメラ用フォーカルプレーンシャッタにおいて、羽根部材231,232,233と羽根部材231,232,233をリンク駆動によって前記開口部を閉じる方向に走行させる羽根アーム部材235,236と、電磁石の吸着部材を有した羽根駆動部材202と、羽根部材331、332、333と、羽根部材331,332、333をリンク駆動によって前記開口部を開く方向に走行させる羽根アーム部材335,336と、電磁石の吸着部材を有した羽根駆動部材302とを有し、撮影時の露光動作を行うための後羽根群と、この後羽根群と協働してチャージ途中における開口部206aの全閉状態を保つための他の羽根群とを有することを特徴とする構造としてもよい。この場合、チャージ途中において後羽根群と協働して開口部206aの全閉状態を保つための羽根群が遮光幕となる。これにより、カメラのコマ速アップに有利である。
このような遮光幕を有するカメラ用フォーカルプレーンシャッタにおいては、例えば、上記露光量制御に関与しない羽根群は露出量制御に関与する羽根の走行信号(PI、接点等の信号)を受けてチャージを開始し、露光量制御に関与しない羽根群が開口部を閉じた遮光状態で保持する為の(電)磁石を吸着可能にし、センサの読み出し時間終了と同時に露光量制御に関与しない羽根群による遮光を解除するようにしてもよい。
このように、羽根群を2つ有し、アパチャを開放する後幕のチャージに連動してアパチャを遮蔽する遮光幕(遮蔽膜)を設けることで、露光後、撮像素子の読み出し時間中に後幕チャージを完了し、遮光幕は、次のレリーズまでにアパチャを開放しているので、時間短縮ができ、カメラのコマ速をアップできる。また読み出し時間の間、遮光幕と後幕を順次チャージすることで集光太陽光に曝される時間が短くなり、樹脂羽根が利用できるので、チャージ負荷が小さくなって、消費電流の軽減とコマ速アップに寄与できる。
また、上記カメラ用フォーカルプレーンシャッタにおいては、例えば、上記羽根駆動部材202上で、駆動ピン202aと駆動軸201aとの間に、羽根アーム部材235の端部235bとの係合部202bが配設されるようにしてもよい。これにより、羽根駆動部材202と羽根アーム部材235との連結構造がより強固な形態となる。
なお、上記遮光幕を有するカメラ用フォーカルプレーンシャッタにおいては、露光量制御に関与する羽根群は黒色であり、露光量制御に関与しない羽根群は白色または銀色とするのがよい。こうすることで、良好な遮光性能が得られる。
<ギア接続構造>
ここで、フォーカルプレーンシャッタとしては、開口を有するシャッタ地板の端部に第1及び第2のシャッタ幕に対応してモータがそれぞれ光軸方向に立設された構造をとってもよいが、このような構造では、カメラ等の撮像装置本体の小型化にとって不利な構造となる場合がある。
本発明の他の態様としては、光が通過する開口部を形成する開口形成部材と、前記開口部に対して走行する羽根群と、この羽根群に走行のための動力を伝達する動力伝達部材と、この動力伝達部材を回転駆動するための駆動手段(例えば、モータ)と、を備え、駆動手段は、その回転軸が開口部を通過する光軸と直交する配置で開口形成部材に装着され、動力伝達部材は、複数のギアが連結されたギア列を有し、このギア列には、駆動手段の回転を光軸に平行な軸回りの回転に変換するように互いに回転軸を直交させて連結した複数の傘歯車が含まれ、これら複数の傘歯車を通じて伝達された回転力が動力伝達部材を通じて羽根群の走行に使用されることを特徴とする構成としてもよい。このように複数の傘歯車を使うことにより、駆動手段が光軸方向に突出することを防げるため、羽根駆動装置の小型化に有利である。
このような動力伝達構造を備えた羽根駆動装置(例えば、カメラ用フォーカルプレーンシャッタ)は、複数の傘歯車(例えば、減速ギア222、223)を用いたギア列により動力伝達を行う構造としたことで、例えば、回転軸が光軸と平行となるように駆動手段を配置した場合と比べて、羽根駆動装置の小型化を図ることができる。また、複数の傘歯車のうち少なくとも1つ又はその組み合わせを変更(つまり、傘歯車のピッチ円錐角を変更したものへの変更)することによって、ギア比の変更、あるいは加減速の調整が容易に行えるため、例えば、フォーカルプレーンシャッタであればチャージ時間の速度を自在に可変でき、読み出し時間の異なるセンサ毎に同一のシャッタ構造を利用できる。
図を用いて具体的に動力伝達を説明する。図14のように、モータ220は、シャッタ地板201に形成された開口部206aの長手方向に対して重ならないように配置される。尚、図14においては開口部206aの短手方向に対しても重ならないように配置されているが、モータ220をシャッタ地板201の一方面側に配置し、主アーム335や副アーム336を他方面側に配置すれば互いに干渉することはないため、短手方向には重なるように配置することもできる。
モータ220のモータピニオンギア220aの駆動力は、モータの回転軸と平行な回転軸を持つ減速ギア221および減速ギア222へと伝達される。減速ギア222は傘歯車となっており、光軸と平行すなわち開口部206aに垂直な回転軸を持ち、傘歯車で形成された減速ギア223へと駆動伝達している。減速ギア223へ伝達されたモータ220の駆動力は、減速ギア224を介してカムギア209へと伝達し、チャージカム203を駆動して、後羽根群230および遮光羽根群330を開口部206a内に進退させるべく駆動させる。本実施形態においては、後羽根群230および遮光羽根群330ともに、開口部206aの長手方向と平行に延びており、各羽根群の長手方向と垂直に開口部206a内に進退する。
ここで、減速ギア222から減速ギア223に駆動伝達する際にギアの回転軸が90度方向転換されている。減速ギア221および減速ギア222は、回転軸がモータの回転軸と平行であるため開口部206aの長手方向に対する寸法を抑えることができている。
減速ギア221および減速ギア222によってモータ220からの駆動力を開口部206aの短手方向に伝達することで、開口部206aの長手方向寸法を抑えつつ、光軸方向に対する径の大きいギアを用いずに開口部206aの短手方向の中央部に向けて駆動力を伝達することができる。
それによって、減速ギア223はモータ220と重ならない位置に配置されている。より具体的には、減速ギア223が、開口部206aの短手方向においてモータ220と重なる位置に配置されており、開口部206aの長手方向においてモータ220と重ならない位置に配置されている。
この配置によって開口部206aの長手方向に対する寸法を延ばすことなくスペースを有効に活用してギアの回転軸を90度方向転換できる。すなわち、モータ220を開口部206aの中央側に寄せることもできるし、または、開口部206aの長手方向に占めるギアの割合を低減することもできる。
<ストッパ構造>
本発明の他の態様においては、光が通過する開口部を形成する開口形成部材と、開口部に対して出入りする羽根部材(羽根でもよいし、羽根が装着される羽根アーム部材でもよい)と、羽根部材の端部に係合して羽根部材に動力を伝達する動力伝達部材と、を備え、動力伝達部材は、開口形成部材の端部を厚さ方向に貫通する長孔に挿通された状態で羽根部材の端部に係合する駆動ピンを有し、駆動ピンは長孔に沿って移動することにより羽根部材に対する動力伝達を行い、その長孔の一端部には、駆動ピンが当接して駆動ピンの動作を停止させるストッパ部が設けられ、このストッパ部は、駆動ピンが当接する弾性部材が、この弾性部材よりも低弾性の緩衝部材に係合した構造を有し、ストッパ部は、開口形成部材のうち長孔の一端部側に埋設されたことを特徴とする構造としてもよい。
例えば、図2、図3及び図7に示す構造例の場合、合成樹脂製のシャッタ地板201と、シャッタ地板201との間に少なくとも一つの羽根室を構成している補助地板206と、開口を開閉し、露光を制御する露光制御辺を有する露光制羽根231及びこれに連なる羽根232、233を有する羽根群230と、羽根群230を回動自在に連結支持する2つのアーム235、236と、シャッタ地板201の羽根室外の面に回転可能に取り付けられており補助地板に形成された円弧状の長孔を貫通しアームの一つに連結している駆動ピンによって羽根群230に開閉作動を行わせる少なくとも一つの駆動部材202と、弾性材料からなっていて長孔の一端部に取り付けられており駆動ピンが当接する緩衝部材243と、緩衝部材243と補助地板201との間にあって緩衝部材243より弾性を有する弾性部材242とを備え、緩衝部材243は凹部と少なくとも1つの張り出し部を有し、補助地板は長孔の一端部に羽根室外の面側に張り出し部が形成され、羽根室内の面側には凹部を有し、緩衝部材は凹部と張り出し部が、補助地板の張り出し部と凹部前記と接触しており、少なくとも羽根室内の面側に形成されている緩衝部材の張り出し部は、補助地板の板厚内に形成されたストッパ構造とするのがよい。
このような図7等に示すストッパ構造とする場合、弾性部材242は、凹部と少なくとも1つの張り出し部を有し、補助地板は長孔の一端部に羽根室外の面側に張り出し部が形成され、羽根室内の面側には凹部を有しており、弾性部材は凹部と張り出し部が、補助地板の張り出し部と凹部前記と接触しており、少なくとも羽根室内の面側に形成されている弾性部材の張り出し部は、補助地板の板厚内に形成されるようにしてもよい。これにより、露光作動終了時に駆動部材の駆動ピンが当接する緩衝部材をシャッタ地板に対して好適に取り付けられるようになり、設計の制約を受けることなく、耐空性に優れたカメラ用フォーカルプレーンシャッタ等の羽根駆動装置を実現できる。
上記実施形態においては、ライブビューモードの説明として、電子先幕制御によるものを説明したが、レリーズ後に遮光羽根群を一旦展開して開口部を全閉し、遮光羽根を先幕として利用しながら露出制御羽根を後幕として利用することによってライブビューモードでの撮影を実現してもよい。但し、上記実施形態で説明した電子先幕制御の方が、画像の読み出しが完了した時点で再度速やかにライブビューモードへ復帰可能なことと併せれば、よりコマ速アップに有利である。