JP2018013465A - 放射性核種製造装置、ターゲット装置及び放射性薬剤の製造方法 - Google Patents

放射性核種製造装置、ターゲット装置及び放射性薬剤の製造方法 Download PDF

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禎弘 伊藤
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禎弘 伊藤
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Abstract

【課題】加速器に対する取り付けに支障をきたすことがなく、ビームの照射を受けたターゲットの冷却効率が高い放射性核種製造装置、ターゲット装置を提供する。
【解決手段】液状のターゲットを収容する照射容器51、照射容器51と連通する連通口531を有し、荷電粒子ビームPbの照射によってターゲットが液体または気体の状態で上昇し得るチムニー53、チムニー53に向けて開口された開口部551を有し、この開口部551がチムニー53の連通口531よりも狭いスリット55、スリット55に流入したターゲットを照射容器51に帰還させる帰還路の一つである連通路57、によって荷電粒子ビームPbを液状のターゲットに照射して18Fを生成する放射性核種製造装置を構成する。
【選択図】図5

Description

本発明は、放射性核種製造装置、ターゲット装置及び放射性薬剤の製造方法に関する。
核医学画像の撮影は、少量の放射性核種を目印としてつけた放射性医薬品を患者の体内に投入し、放射性医薬品が臓器や体内組織等に集まる様子を画像化することによって行われる。このような手法としては、例えば、陽電子放出断層撮影(Positron Emission Tomography:以下、「PET」とも記す)が知られている。PETでは、例えば、ブドウ糖に放射性核種としてフッ素-18(18F)を付与した薬剤(18F−FDG:以下、単に「FDG」とも記す)を患者の体内に注射する。そして、体内におけるFDGの分布をPETカメラで撮影している。
18Fは、H2 18Oをターゲットにして荷電粒子のビームを照射し、18O(p,n)18Fの核反応を起こさせることによって生成される。ターゲットとなるH2 18Oは比較的高価であり、その使用量は2mlから5mlと少量である。放射性核種製造装置では、このように少量のターゲットに対して高エネルギーのビームを照射すると、ビームの照射を受けたターゲットが沸騰すると共に気化する。ターゲットの沸騰及び気化は、ビームの照射位置からターゲットを移動させるので、核反応の効率を低下させ、18Fの収量低下を招く一因になる。一方18Fの収量は、ビームのエネルギーのうちのビーム電流を高めることによって増加し、ビームの電流はさらに高まる傾向にある。したがって、放射性核種製造装置には、大きな電流値のビームの照射を受けながら、ターゲットの沸騰、気化を抑えるという、相反する要請がある。
また、ターゲット装置内のターゲットは、ビーム入射窓として高融点、高強度、耐腐食性の高い金属箔によって容器内に封入されることが一般的である。ターゲットの沸騰、気化によって容器内の圧力が高まると、フォイルにも高い圧力がかかることになる。
ところで、ビームはフォイルを介してターゲットに照射されるため、フォイルの厚さは液体や気体の通過を遮断し、かつ、ビームの通過を許容するように設定される。このため、より大容量のビームを入射させる場合には、フォイルの厚さを容器内の圧力の上昇に十分耐えるほど厚くすることができず、ターゲット装置では、フォイルが損傷を受ける可能性が生じている。
ターゲットの沸騰、気化を抑止するための公知技術としては、例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載されたものがある。公知技術のうち、特許文献1に記載のRI製造装置は、沸騰を抑えるためバッファ部に加圧ガスを供給する。ただし、加圧ガスは、気化したターゲットの冷却効率を低下させることが知られている。このため、特許文献1に記載の発明では、気化したターゲットと加圧ガスの混合気体を冷却部において分離している。
特許文献2に記載のターゲット装置は、ターゲットの収容部に連通するバッファ部にヘリウムガスを供給して沸騰を抑えると同時に、バッファ部の形状を幅方向に広げてバッファ部壁面の表面積を拡大し、ターゲットの蒸気の冷却能力を高めている。特許文献3には、ターゲットが収容される第1のチャンバーと、第1のチャンバーよりも容積が大きく、気化したターゲットが収容される第2のチャンバーとを有するターゲット装置が記載されている。
特開2013−246131号公報 特開2011−220930号公報 米国特許出願公開第2016/0141062号明細書
しかしながら、ターゲットの沸騰、気化を抑止するための公知技術では、気化したターゲットを冷却するための機構をターゲットに入射するビームの鉛直平面上に設けるため、この機構の表面積を増やすには限界がある。特に、H2 18Oをターゲットとする場合、PETサイクロトロンと呼ばれる小型のサイクロトロンが用いられることが多い。PETサイクロトロンには複数のターゲット装置が取り付けられ、ターゲット装置からの粒子ビーム引出部に稠密に照射装置が配置される。このため、ターゲット装置の体積を大きくすると、PETサイクロンに取り付け可能なターゲット装置の個数が少なくなり、ターゲットのメンテナンス等により、18Fの安定的な製造、運用者の被曝の問題に支障を来すことが考えられる。
一方、蒸発潜熱の利用(凝縮熱の除去)によるターゲットの冷却に必要な面積Aは、以下の式によって表される。
A=Q/(U・ΔT) 式(1)
なお、上記式(1)において、Qはターゲット装置への入熱量(W)、Uは総括伝熱係数(W/m2K)、ΔTは面積Aを有する部材の表裏の温度差(K)とする。式(1)によれば、ターゲット装置の材質を一定にし、ビームを大電流にして熱容量を高める場合には、ターゲット装置の表面積をさらに大きくすることが必要になることが分かる。
以上のことから、大電流のビームを使い、より短時間に大量に放射性同位元素を製造するためには、ターゲット装置の全体体積を増やすことなく、冷却のための表面積を増やすことが必要になる。また、フォイル損傷のリスクを軽減するためにも、ターゲット装置には、冷却効率を高めて内圧を大きくしないことが重要になる。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、加速器に対する取り付けに支障をきたすことがなく、粒子ビームの照射を受けたターゲットの冷却効率が高い放射性核種製造装置、ターゲット装置及び放射性薬剤の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の放射性核種製造装置は、粒子ビームを液状のターゲットに照射して放射性核種を生成する放射性核種製造装置であって、
液状の前記ターゲットを収容する容器と、
前記容器と連通する連通口を有し、前記粒子ビームの照射によって前記ターゲットが液体または気体の状態で上昇し得る第1空洞部と、
前記第1空洞部に向けて開口された開口部を有し、当該開口部が前記第1空洞部の前記連通口よりも狭い第2空洞部と、
前記第2空洞部に流入した前記ターゲットを前記容器に帰還させる帰還路と、を備えることを特徴とする。
本発明のターゲット装置は、粒子ビームを液状のターゲットに照射して放射性核種を生成するターゲット装置であって、
液状の前記ターゲットを収容する容器と、
前記容器と連通する連通口を有し、前記粒子ビームの照射によって前記ターゲットが液体または気体の状態で上昇し得る第1空洞部と、
前記第1空洞部に向けて開口された開口部を有し、当該開口部が前記第1空洞部の前記連通口よりも狭い第2空洞部と、
前記第2空洞部に流入した前記ターゲットを前記容器に帰還させる帰還路と、を備えることを特徴とする。
本発明の放射性薬剤の製造方法は、上記放射性核種製造装置を用いて放射性核種を生成する放射性核種生成工程と、
前記放射性核種製造装置から前記放射性核種を回収する回収工程と、前記回収工程において回収された前記放射性核種を用いて放射性薬剤を製造する工程と、を含むことを特徴とする。
上記した本発明は、加速器に対する取り付けに支障をきたすことがなく、粒子ビームの照射を受けたターゲットの冷却効率が高い放射性核種製造装置、ターゲット装置及び放射性薬剤の製造方法を提供することができる。
すなわち、本発明は、容器内の液状のターゲットに粒子ビームを照射し、ターゲットを液体または気体の状態で第1空洞部に上昇させることができる。ターゲットが上昇する第1空洞部は容器に対して上方に位置しているから、ターゲット装置を幅方向に拡大せず、上方向に拡大することによって第1空洞部の表面積を大きくすることが可能である。また、第1空洞部に向けて開口する第2空洞部を設けることにより、ターゲット装置の容器よりも上方の表面積をいっそう大きくすることができる。このため、本発明は、粒子ビームを発生する部材の周方向にターゲット装置を複数並べても、その取り付けに支障をきたさないようにすることができる。
また、本発明は、第1空洞部と、第1空洞部に向けて開口された開口部を有し、この開口部が第1空洞部と容器との連通口よりも狭い第2空洞部を備えたことにより、冷却、液化されたターゲットに第1空洞部から第2空洞部に向かう力が生じ、ターゲットを第2空洞部に収集することができる。
さらに、本発明は、生成された放射性核種が含まれているターゲットが帰還路を通じて容器に回収されるところ、上記のように、第1空洞部に上昇して液化したターゲットが第2空洞部に向かって流動するため、帰還路を通じて容器に良好に帰還させることができる。
本発明の第1実施形態の放射性核種製造装置を説明するための模式的な断面図である。 本発明の第1実施形態のターゲット装置を説明するための斜視図である。 図2に示したターゲット装置を図中のY方向から見た上面図である。 図3に示した矢線A−Aに沿う断面図である。 図3に示した矢線B−Bに沿う断面図である。 図5の一部を拡大して示した模式図である。 図3に示した矢線C−Cに沿う断面図である。 本発明の第1実施形態の照射容器の斜視図である。 本発明の第2実施形態のチムニーを説明するための図である。 図9の矢線G−Gに沿う断面図である。 本発明の第3実施形態のターゲット装置を説明するための図である。 図11中に示した矢線D−Dに沿う断面図である。
以下、本発明の第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態を、図面を用いて説明する。第1実施形態、第2実施形態では、図面において同様の部材には同様の符号を付し、先に説明を行ったものについては説明を一部略す場合がある。また、第1実施形態、第2実施形態の模式図は、その機能や位置関係等を説明するためのものであって寸法形状までを正確に表すものではない。
<第1実施形態>
[放射性核種製造装置]
図1は、第1実施形態の放射性核種製造装置を説明するための模式的な断面図である。図示した放射性核種製造装置1は、荷電粒子ビームPbを生成する加速器と、加速器によって生成された荷電粒子ビームPbの照射を受けて放射性同位元素(以下、「RI」と記す)を製造するターゲット装置と、を含んでいる。加速器とターゲット装置とは、図示しないボルト等によって互いに密着して取付けられていて、荷電粒子ビームPbが加速器3からターゲット装置5に入射され、空気や水が出入りできないように構成されている。
このような放射性核種製造装置は、外部への放射線漏れを防ぐために図示しない自己シールドを備えている。
加速器3は、入射粒子を加速がして荷電粒子ビームPbを生成する構成である。ターゲット物質に核反応を発生させる荷電粒子ビームPbを構成する入射粒子には種々のものが用いられ、陽子、重陽子、α粒子、イオン、電子または光子を例示することができる。加速器3としては、静電加速器、サイクロトロンやシンクロトロン等の円形加速器、線形加速器、または円形加速器と線形加速器とを組み合わせたマイクロトロン等を用いることができ、入射粒子の種類とエネルギーに応じて選択される。
第1実施形態の放射性核種製造装置は、1つの加速器3に複数のターゲット装置5が取付けられている。図1に示した例では、加速器3の図中の左右に例えばそれぞれ4つのターゲット装置を紙面に向かう方向(図中にZ軸で示す方向)に一列に設けている。
このような放射性核種製造装置において、加速器3に既存のものを使用し、ターゲット装置をより収量が上がるものに交換することがある。このとき、放熱効果を高めるため単にターゲット装置の表面積を大きくすると、加速器3に複数のターゲット装置を取り付け切れなくなる恐れが生じる。
ここで、ターゲット装置5は、図中のZ方向に並んで配置されている。このため、ターゲット装置5の表面積をZ方向以外の方向に大きくしても、ターゲット装置5の加速器3に対する取り付けに影響を与えることがない。また、ターゲット装置5は、いずれも図中のX方向または−X方向から加速器3に押圧されるように固定されている。このため、ターゲット装置5を±Y方向や±X方向に大きくしても、ターゲット装置5を加速器3に取り付けることができる。
第1実施形態は、上記の点に着目し、ターゲット装置5の表面積をZ方向以外に大きくし、放熱効果を高めながらも加速器3に対する取り付けへの影響をなくすようにしている。
第1実施形態の放射性核種製造装置は、加速器3が荷電粒子ビームPbとして陽子線を生成する。そして、生成された陽子線を18MeV、100μAもしくはそれ以上の発熱負荷でターゲット装置5に照射する。
第1実施形態のターゲット装置5は、H2 18Oをターゲットとして保持している。なお、ターゲットは、H2 18Oのみであってもよいし、H2Oを含むものであってもよい。ターゲットに荷電粒子ビームPbが照射されることにより、ターゲット装置5においてターゲットと陽子との間に18O(p,n)18Fで表される核反応が起こり、RIとして例えば18Fが生成される。なお、このような核反応の表記は、ターゲット物質を左側、生成物を右側に記載し、入射粒子と飛び出す粒子を括弧内に併記することによって行われる。
生成された18Fは、合成装置に送られる。合成装置は、18Fを標識前駆体化合物と合成し、FDG等を製造する。
なお、第1実施形態は、ターゲットをH2 18Oとするものに限定されるものではない。例えば、ターゲットにH2Oを用い、16O(p,α)13Nの核反応によって13Nを生成することもできる。
[ターゲット装置]
(全体構成)
次に、第1実施形態のターゲット装置の全体構成を説明する。
図2は、第1実施形態のターゲット装置5を説明するための斜視図である。なお、図1に示したターゲット装置5は、いずれも同様の構成を有している。このため、第1実施形態は、1つのターゲット装置5を説明して他のターゲット装置5の説明に代えるものとする。図2に示したX,Y,Z座標は、図1に示した座標系と一致している。
図2に示した第1実施形態のターゲット装置5は、図示しないターゲットとしてH2 18O(ターゲット水)を保持する容器である照射容器51を備えている。ターゲット水は、H2 18Oのみであってもよいし、H2Oを含むものであってもよい。放射性核種製造装置の稼動前において、ターゲットは液状である。また、ターゲット装置5は、照射容器51と連通する連通口531(図5参照)を有し、荷電粒子ビームPbの照射によってターゲットが液体または気体の状態で上昇し得る第1空洞部であるチムニー53を備えている。さらに、ターゲット装置5は、チムニー53に向けて開口された開口部551(図6参照)を有し、この開口部551がチムニー53の連通口531よりも狭い第2空洞部であるスリット55を備えている。
なお、第1実施形態でいう、「開口部551がチムニー53の連通口531よりも狭い」とは、開口部551の長手方向に直交する幅方向の最小長さが、連通口531の長手方向に直交する幅方向の最小長さよりも短いことを指す。図2に示した例示したスリット55は、開口部551の幅(X方向寸法)が一定で、この幅がスリット55の開口部551と反対の端部まで一定の空洞である。
上記ターゲット装置5は、ニオブ(Nb)やタンタル(Ta)などの耐食性に優れた金属材料で作られる。ターゲット装置5は、このような金属材料の直径60mmの円筒形の塊を削って、もしくは流路を切った多層円板の拡散接合によって製造されている。照射容器51、チムニー53、スリット55及び連通路57は、いずれも上記円筒形の塊を切削することによって金属材料の塊内に形成された空間である。また、第1実施形態では、このような金属材料の塊を、以下、「ターゲットボディ」50と記す。
本明細書において、照射容器51は、ターゲットボディ50に開口された空洞である。このような照射容器51は、空洞を区画形成する概念的な部材であって、空洞の外周と接するターゲットボディ50の厚さを持たない内壁を指す。
ターゲット装置5は、アルミニウム製の取付持具2によって加速器3に取り付けられる。取付持具2は、枠体21、23を有し、枠体21と枠体23との間にターゲット装置5を挟み込むようにしてターゲット装置5を加速器3に固定する。枠体21と枠体23とは、図示しないボルトやOリングを使って互いに密着して留められる。
枠体21には加速器3から照射される荷電粒子ビームPbを通すビーム入射口31が設けられている。枠体21と照射容器51との境界には、荷電粒子ビームPbを通して空気や水等を通さない好適な厚さのフォイル52が設けられる。フォイル52には、例えば、コバルト及びクロムをベースにした合金の金属薄膜(例えばHAVAR(登録商標))、チタン、ステンレス等の薄膜が用いられる。
また、第1実施形態では、フォイル52が腐食を防ぐための保護膜を備えるようにしてもよい。腐食を防ぐための保護膜としては、例えば白金を含むコーティング膜が使用される。
ここで、ターゲットである水は、照射により放射線分解を起こし、酸素ラジカル、ヒドロキシラジカルや過酸化水素を発生させることがある。これにより、フォイル52の構成金属がエロージョンやコロージョンを受け、フォイル52の強度の低下、ターゲット水中への金属不純物の混入という問題を生じる。そこで、フォイル52は、こうしたエロージョンコロージョンを防ぐための保護膜を備えるようにしてもよい。こうした保護膜としては、ニオブ、タンタル、金、白金など化学的に安定な金属からなるコーティング膜を使用することができる。保護膜の厚さは、例えば5μm以上、10μm以下が好ましい。また、保護膜は、フォイル52の方面であるターゲット水側に設けることが好ましい。コーティング膜の成膜は、蒸着やスパッタリング及び電解めっきのいずれの方法によっても実現することができる。
図2においては図示を省くが、ターゲット装置5の荷電粒子ビームPbの入射側には、冷却水が循環する冷却水用枝管63(図2、図3、図4及び図7参照)が設けられている。冷却水用枝管63には冷却水用本管60(図2、図4、図5及び図7参照)が接続されていて、冷却水用本管60を介してターゲット装置5の外部から冷却水用枝管63に冷却水が供給される。
図3は、図2に示したターゲット装置5を図中の−Y方向から見た上面図である。図3の上面図は一部模式的な図であって、冷却水用本管60の図示を省いて照射容器51の形状を見易くしている。図4は、図3に示した矢線A−Aに沿う断面図である。図5は、図3に示した矢線B−Bに沿う断面図であり、図6は図5の開口部551等を見易くするために図5の一部を拡大して示した図である。図7は、図3に示した矢線C−Cに沿う断面図である。
第1実施形態では、図4に示した断面図の枠体23のX方向の長さを46.00mm、図5及び図7に示した断面図の枠体23のZ方向の最大長さを70.00mmとした。
図3から図7に示したように、照射容器51はチムニー53と連通し、チムニー53は複数のスリット55と連通している。チムニー53は、図3に示したように、上面視において長孔形状を有している。
照射容器51は、図4に示したように、荷電粒子ビームPbの入射軸方向に沿って断面が小さくなるように構成されている。また、図4に示した縦断面図における上部511aと下部511bの傾きが異なっている。図5、図7に示したように、照射容器51と連通口531で連通するチムニー53は、複数のスリット55と連通口531によって連通している。
第1実施形態は、チムニー53を上面視において長孔形状とすることにより。チムニー53及びスリット55をX方向に大きくし、ターゲット装置5を加速器3に取り付けるために必要な領域を変更することなくターゲットの冷却に寄与する表面積を大きくすることができる。
また、第1実施形態は、照射容器51をX方向に長い形状としたことにより、照射容器51内のターゲットが沸騰、気化しても、荷電粒子ビームPbがターゲットに衝突して18Fを生成することに必要な飛程を確保することができる。
さらに、ターゲット装置5は、図3に示したように、フィッティング71及びフィッティング71と接続する管路711を備えている。フィッティング71及び管路711は、チムニー53からスリット55及び照射容器51までにHeガスや水を通すための構成である。また、ターゲット装置5は、フィッティング73及びフィッティング73と接続する管路731を備えている。フィッティング73及び管路731は、照射容器51から18Fを含むターゲットを回収するための構成である。
以下、上記した構成の各々について説明する。
(照射容器)
図3に示したように、照射容器51は、上面視において略二等辺三角形をなす空洞である。また、照射容器51は、図4に示すように、収容部511と、収容部511に傾斜した部位を与えるエバポレータ513と、を有している。照射容器51の断面は、図4に示したように図3に示した矢線B−B上において矢線C−C上におけるよりも大きくなっている。また、照射容器51の断面は、図3に示した矢線B−B上において円形であるのに対し、図4に示した矢線C−C上においては楕円形状を有している。
収容部511がX方向(荷電粒子ビームPbの入射方向)に沿って狭くなる照射容器51の形状は、所謂「コーン形状」とも呼ばれている。コーン形状は、荷電粒子ビームPbの強度が入射方向に垂直な断面積の中央で強く、ターゲット中を進むにしたがって減衰することに応じて設計された形状である。照射容器51をコーン形状とすることによって、強度の強い荷電粒子ビームPbがターゲットの量の多い箇所に照射されるようになる。これにより、照射容器51における単位面積当たりの発熱量の減少と、冷却面の面積の増大の2点によって高い除熱効果を得ることができる。なお、照射容器51内に収容されるターゲットの量は、例えば2ml以上、3ml以下であり、最大で5mlである。
図8は、このような第1実施形態の照射容器51の斜視図である。第1実施形態においては、空洞である照射容器51の内部にエバポレータ513が設けられている。エバポレータ513を設けたことにより、照射容器51内において収容部511とエバポレータ513との境界513aの間にスリット状の空間が形成される。スリット部分のZ方向の最大長さをエバポレータの「幅」とも記す。エバポレータ513の幅d1は、例えば、2mm以上、4mm以下程度が好ましく、より好ましくは3mmである。第1実施形態は、幅d1を約3mmとした例を示した。なお、図8では、エバポレータ513内にスリット状の空間を形成した例を示したが、この空間内に複数のV字状のくぼみを形成してもよい。そのような微細構造を形成することで、液状のターゲットに対し多数の発泡核を持たせ、より低い過熱度での発泡(沸騰)(小泡沸騰)を促すことができる。
図8に示すように、照射容器51の収容部511は、X方向に沿って断面が小さくなるように設計されている。ただし、図4から明らかなように、収容部511は、図4に示した上部511aと下部511bとの傾きが異なっている。つまり、収容部511は、下部511bが上部511aよりも大きく傾いていることにより、液状のターゲットが沸騰することにより生じる荷電粒子ビームPbの飛程の差を補正(補償)することができる。このため、核反応の確率が上がり、放射性核種の収率が向上する。
(チムニー)
図5、図7に示すように、第1実施形態のチムニー53は、照射容器51と連通する連通口531を有している。第1実施形態のチムニー53の周面は、図2から図7に示したように、連通口531を長孔形状の底面とする板状の形状を構成する。チムニー53の側面は、図4に示したようにX方向に一定の長さを有していて、チムニー53の上面視の形状は開口部と一致する。第1実施形態では、連通口531のZ方向の長さを、チムニー53の「幅」とも記す。
照射容器51内のターゲットに荷電粒子ビームPbが照射されると、液状であったターゲットが沸騰、気化する。気化したターゲットはチムニー53内を上昇し、一部はチムニー53の内壁上で冷却されて水滴となる。水滴は、重力の作用等によって内壁を離れて落下し、照射容器51に帰還する。第1実施形態では、このような経路により照射容器51に帰還するターゲットもある。
また、第1実施形態は、チムニー53と接するターゲットボディ50の内面、つまりチムニー53の周壁に、金属触媒として白金(Pt)のコーティング膜を形成してもよい。これにより、水の放射線分解により発生する水素、そして酸素の反応を促進して速やかに水に戻すことができるため、水素、酸素の非凝縮性ガスの発生による、ターゲット内圧の上昇を抑制するばかりでなく、水の放射線分解に生成物(ラジカル等)を抑制することが可能になる。
なお、白金コーティング膜の成膜は、蒸着やスパッタリング及び電解めっきのいずれの方法によっても実現することができる。
(スリット)
ターゲット装置5は、複数のスリット55を備えている。複数のスリット55は、各々が板状の形状(略板形状とも記す)を有し、スリット55同士を連通させる連通路57によって連通している。このような連通路57は、スリット55に流入したターゲットをエバポレータ513に帰還させる帰還路の一部である。
図5に示したように、第1実施形態では、複数のスリット55を、チムニー53の対向する面に各々4個、合計8個設けるものとした。図2、図5及び図7に示すように、第1実施形態の開口部551は、全体がX方向に長い形状となっている。ただし、第1実施形態のスリット55の開口部551は、全体が一様の幅を有するものに限定されるものでなく、開口部551の少なくとも一部がチムニー53の連通口531よりも狭い部分を有していればよい。
また、複数のスリット55では、いずれも、垂直断面L1の法線L2が、チムニー53から照射容器51に向かう下降方向の成分L3を含んでいる。このような構成により、スリット55は、水平方向よりも下方に向かって傾くようになる。第1実施形態では、複数のスリット55が全て同じ角度で傾くようにする。1つのスリット55とチムニー53の側面とがなす角度θは、好ましくは15度以上、45度以下、より好ましくは約30度である。
図5に示したように、複数のスリット55の開口部551と反対側の端部は、互いに連通路57によって接続されている。連通路57の管の径は、1mm以上、2mm以下が好ましく、さらに好ましくは約1.5mmである。第1実施形態では、連通路57を全体が例えば1.5mm径の管路であって、鉛直下方に延びる管路部57aと、管路部57aの端部から照射容器51に向かう管路部57bと、を有している。第1実施形態の管路部57bは、水平方向よりもわずかに下方に傾斜して管路部57aとエバポレータ513とを接続している。
各スリット55内の液状のターゲットは、スリット55の傾きによってスリット55の最下部に達する。そして、ターゲットは、管路部57a内を下方に向かい、管路部57bとの境界に達する。さらに、ターゲットは、管路部57bの傾きによって流れ落ち、エバポレータ513に帰還する。このような経路は、第1実施形態の他の帰還路となる。
また、第1実施形態では、スリット55や連通路57からのターゲットの回収率を高めるため、チムニー53と同様に、スリット55及び連通路57を形成するターゲットボディ50の内面に白金のコーティング膜を形成するようにしてもよい。
なお、上記構成において、1.5mm径のスリット55においては毛管力が作用して水滴のターゲットを引き込んでいる。スリット55のうち、ターゲットで満たされていない空洞においては、スリット55の毛管力に重力の成分が加わるためにターゲットが下方から上方に向かう逆流は起こらない。
また、第1実施形態では、スリット55の幅W1を、スリット55において顕著な毛管力が生じるように設定している。スリット55の幅W1とは、略板形状のスリット55の最小の厚み寸法である。具体的には、液状のターゲットがH2 18Oを含む水である条件の下、スリット55を略板形状とし、かつ、スリット55の幅W1を、チムニー53の連通口531の幅W2よりも短くし、かつ、1mm以上、2mm以下としている。
ただし、毛管力による液面の上昇高さは、液体(ターゲット)の表面張力(T)、液体とスリット55の周壁面との接触角(θ)、液体の密度(ρ)、スリット55の内径(r)及び重力(g)により以下の式(2)を使って求められる。
h=2Tcosθ/ρgr ...式(2)
上記幅W1の範囲は、上記の条件をも考慮して決定される。第1実施形態では、ターゲットをH2 18Oが含まれる水、周壁面をニオブあるいは白金のコーティング膜、スリット55の幅を1.5mmとし、スリット55及び連通路57において17mmの水筒高さを得ることができる。この結果、第1実施形態では、照射容器51におけるターゲットの最大高さよりもスリット55及び連通路57におけるターゲットの最大高さの方が高くなる。
上記のことから、第1実施形態では、液状のターゲットを照射容器51内に収容した場合、連通路57及び複数のスリット55の少なくとも一部において、照射容器51内のターゲットよりも水位が高い状態でターゲットが収容される。
すなわち、図5、図7に示すように、第1実施形態は、液状のターゲットを照射容器51に収容した場合、荷電粒子ビームPbが入射される以前においても、連通路57の少なくとも一部及び複数のスリット55の少なくとも一部において、それぞれ照射容器51におけるターゲットの水位f1よりも高い水位f2でターゲットが収容されることになる。
上記構成により、第1実施形態では、荷電粒子ビームPbの照射以前にスリット55の一部がターゲットによって満たされてチムニー53の空間よりも低圧の状態になっている。このため、液化したターゲットが圧力差によってスリット55内に吸い込まれる。このような現象において、スリット55を予め満たしているターゲットは、所謂呼び水として作用する。
(動作)
次に、以上説明したターゲット装置の動作を説明する。
ターゲット装置5においては、荷電粒子ビームPbがフォイル52を通過して照射容器51に入射してくる。このとき、図5に示したように、ターゲットが毛管現象によって複数のスリット55の一部に入り込んでいる。
このような状態で、荷電粒子ビームPbの陽子がターゲットの水分子と相互作用する。相互作用の主なものは水分子を構成する水素および酸素原子のまわりの電子との非弾性散乱であり、散乱された非常に多くの電子がさらに周りにエネルギーを付与することにより、液状のターゲットが沸騰、気化する。気化したターゲットは、照射容器51と連通するチムニー53内を上昇する。そして、チムニー53内を上昇したターゲットの一部は、チムニー53が形成されたターゲットボディ50の内面上で冷却されて水滴となる。水滴の少なくとも一部は、重力によって直接照射容器51に落下する経路を通って照射容器51に帰還する。
また、ターゲットの他の一部は、チムニー53において冷却されて液化し、チムニー53を形成するターゲットボディ50の内面を伝ってスリット55に入り込む。このとき、第1実施形態では、液化したターゲットが毛管力によってチムニー53からスリット55に積極的に吸い込まれる。さらに、チムニー53内を上昇したターゲットの一部は、気体の状態でスリット55に入り込み、スリット55において冷却されて液化する。
複数のスリット55内の液状のターゲットは、より下方にあって、かつ隣接するスリット55の下端に連通路57を介して順次移動する。そして、全てのスリット55内にあった液状のターゲットは、複数のスリット55のうちの最も下に位置するスリット55の下端で合流し、管路部57bを伝ってエバポレータ513すなわち照射容器51に帰還する。
以上説明した第1実施形態は、「ターゲット装置にヒートパイプを組み込む」という着想に基づいてなされたものである。すなわち、第1実施形態のターゲット装置5では、作動液となる液状のターゲットが照射容器51およびエバポレータ513において荷電粒子ビームPbによって与えられた熱を吸収して気化する。気化したターゲットは、チムニー53を通って上方に移動し、一部はスリット55内に入り込む。スリット55は、照射容器51に比べて低温の空間である。スリット55において冷却されたターゲットの蒸気は、凝集して再び液状になる。そして、毛管現象によって連通路57に吸収されて高温のエバポレータ513すなわち照射容器51内に帰還する。
つまり、第1実施形態のターゲット装置は、照射容器51からチムニー53に通じる空間の両端に温度差を与えることにより、上記の過程を繰り返すヒートパイプとして機能する構成を備えている。
[放射性薬剤の製造方法]
次に、以上説明した放射性核種製造装置1によって生成された放射性核種を用い、放射性薬剤を製造する方法について説明する。
本方法は、放射性核種製造装置から放射性核種を回収する回収工程を含んでいる。回収工程では、ターゲットをターゲット装置5から回収し、陰イオン交換樹脂カートリッジにターゲットを通して18Fを吸着させることによって行われる。これを生理食塩液で溶出することで、18Fイオン(18F−NaF)を有効成分と放射性薬剤を得ることができる。また、本方法は、回収された18Fを使って標識前駆体化合物を標識する標識工程を含んでいてもよい。標識工程は、陰イオン交換樹脂カートリッジに吸着した18Fを炭酸カリウムやテトラブチルアンモニウム炭酸塩などの塩基で溶出した後、18Fを乾固して溶媒を除き、標識前駆体化合物とフッ素化反応させることによって行われる。例えば、標識前駆体化合物としてマンノーストリフレートを用いた場合は、標識工程の後、加水分解を行って、18F-フルオロデオキシグルコースを得ることができる。
第1実施形態の放射性薬剤の製造方法は、上記放射性核種製造装置で放射性核種を生成する工程を含むため、ターゲットの冷却効率の向上により照射するビーム量が向上することで、放射性核種の収量を高めることができる。したがって、より多くの放射性薬剤を製造することが可能になる。
以上説明した第1実施形態は、照射容器として機能する収容部511がエバポレータ513を備えることにより、荷電粒子ビームPbの投影面積を拡大し、さらにターゲットが接触するターゲットボディ50の面積を大きくすることができる。このことにより、第1実施形態は、照射容器51における除熱効果を高めることができる。
また、第1実施形態は、エバポレータ513が形成するスリットを3mm幅とした。このことは、荷電粒子ビームのガウス分布近似におけるもっとも熱負荷の高い領域近傍に、荷電粒子ビームに沿った水平で広範な蒸発領域を持ち、エバポレータ513の3mmのスリットにより、接続される管路部57bからの覆水の供給を促進するものである。このことにより、第1実施形態は、ターゲットが沸騰しても荷電粒子ビームPbの照射を受ける領域にとどまってターゲットと荷電粒子ビームPbとの反応効率が低下することを抑えることができる。
また、第1実施形態は、荷電粒子ビームPbの入射方向(X方向)にスリット55の長さをさらに延長してターゲット装置5におけるターゲットの放熱効果を高めることができる。また、第1実施形態は、チムニー53の高さをY方向にさらに高くしてスリット55の数を増やすことによってさらに高い冷却効果を得ることができる。このため、第1実施形態は、ターゲット装置5の加速器3に対する取り付け位置や数を変更することなく高い冷却効果を得ることができる。
また、第1実施形態は、毛管力によってチムニー53からスリット55内にターゲットの水滴を引き込んでいるので、スリット55を介して連通路57に目的物である放射性核種を含むターゲットが効率的に流れ込んでくる。このため、放射性核種を含むターゲットの照射容器51における帰還効率を高めて放射性核種の収量を高めることができる。
さらに、第1実施形態は、ヒートポンプの原理を適用してターゲットを循環させているから、ターゲットの循環に動力を使用することがない。このため、第1実施形態は、動力を生じさせる機構やエネルギーを使わずにターゲットを循環させる、シンプルな構成のターゲット装置を提供することができる。
また、第1実施形態は、以上説明した構成に限定されるものではない。例えば、第1実施形態のターゲット装置5は、ニオブを削って形成したものでなくてもよく、荷電粒子ビームPbの照射による温度及び圧力の上昇や気密性を満たす部材であれば他の材料であってもよいし、複数の部品を組み合わせたものであってもよい。
また、第1実施形態のターゲット装置5は、スリット55を対象に4つずつ有するものに限定されるものでなく、チムニー53の両側に非対称に形成されるものであってもよいし、1つでも4つ以上形成されるものであってもよい。
さらに、第1実施形態のターゲット装置5のスリット55の幅は、特に数値が限定されるものでなく、毛管現象が生じ、かつ、液化したターゲットの流れを妨げないサイズであればよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態の放射性核種製造装置が備えるターゲット装置を説明する。第2実施形態は、チムニー93の少なくとも一部において、チムニー93を、ターゲットの上昇方向に垂直に切った断面積が上昇方向に向かうにしたがって大きくなるようにしたものである。また、第2実施形態は、帰還路を構成する連通路や管路部の断面積を、照射容器51に向かって段階的に小さくするものである。このような第2実施形態は、第1実施形態のチムニー53の形状を変更した点と、第1実施形態の連通路57の形状を変更した点で第1実施形態と相違し、他の構成は第1実施形態と同様である。第2実施形態では、先ず、チムニーの構成について説明し、続いて連通路の構成について説明する。
(チムニー)
図9は、第2実施形態のチムニー93を説明するための模式的な斜視図である。図10は、図9に示した第2実施形態のターゲット装置の矢線G−Gに沿う断面図である。
チムニー93は、第1実施形態と同様に、合計8個のスリット95と連通し、照射容器51に向けた連通口931を有している。連通口931は、上面視が長孔形状を有している。また、第2実施形態では、チムニー93の上端部933が、上面視において長孔形状を有している。第2実施形態では、連通口931、上端部933の荷電粒子ビームが入射するX方向の長さを連通口931及び上端部933の「長さ」とする。また、第2実施形態では、連通口931のX方向と直交する方向の長さを連通口931の「幅」d4とし、上端部933のX方向と直交する方向の長さを上端部933の「幅」d3とした。
すなわち、チムニー93は、図9、図10に示すように、上端部933の面積が、連通口931の面積よりも大きくなっている。また、連通口931と上端部933との間のチムニー93をターゲットの上昇方向に垂直に切った断面積をチムニー93の「中間断面積」と記す。第2実施形態では、チムニー93の中間断面積の少なくとも一部が、図中に示したY方向に向かうにしたがって連続的に大きくなっている。
また、第2実施形態では、上端部933の面積を連通口931の面積よりも大きくするにあたり、チムニー93の連通口931の幅よりも上端部933の幅を大きくしている。第2実施形態では、連通口931と上端部933との間のチムニー93の幅を、チムニー93の「中間幅」と記す。図10に示すように、チムニー93の中間幅d4は、連通口931から所定の高さまで一定であり、中間幅は連通口931と上端部933との間の少なくとも一部で連続的に大きくなっている。
ただし、第2実施形態は、チムニー93を幅方向に大きくすることによって中間断面積を大きくする構成に限定されるものではない。第2実施形態は、チムニー93の中間断面積を長さ方向、幅方向のいずれに大きくするものであってよい。
上記構成により、チムニー93の荷電粒子ビームの入射方向と直交する方向に沿う縦断面は、所謂「逆台形」の形状になる。チムニー93を逆台形にして空間を下方よりも上方で大きくすることにより、ディフューザーの効果が生じて上部であるほど相対的に静圧を上げることができる。このことにより、第2実施形態は、上下の圧力差によってスリット95とスリット95に連接した連通路97からエバポレータ513すなわち照射容器51へのより良好な循環を促すことができる。
なお、第2実施形態において、逆台形の連通口931から上端部933に向かう断面積の広がり角度θsは5°以下が望ましい。
以上説明した第2実施形態のチムニー93は、チムニー93から直接照射容器51に向かうターゲットの帰還を促し、ターゲットの回収効率が高いターゲット装置を実現することができる。
(連通路)
第2実施形態のスリット95は、第1実施形態のスリット55と同様に、チムニー93の側面と30度の角度をなして斜め下方に向けて形成されている。第2実施形態の連通路97は、図9に示したように、直下方向に向かう管路部97aと、管路部97aの下端から照射容器51に向かって延びる管路部97bと、管路部97bと照射容器51とを接続する管路部97cと、を備えている。上記した構成において、第2実施形態は、管路部97aを荷電粒子ビームの入射方向に長いスリット形状とし、管路部97b及び管路部97cを一続きのパイプとした。管路部97b及び管路部97cとなるパイプは、管路部97aに複数接続される。複数のパイプは互いに並列に配置され、かつ、その配置方向は管路部97aの長さ方向と平行である。
また、第2実施形態では、図10に示したように、スリット95の幅を例えば2mmとし、第1実施形態のスリット55よりも広く設計した。また、管路部97aのスリットの幅を例えば1.5mmとし、管路部97bを例えば径が1.5mmのパイプとし、管路部97cを例えば径が1.0mmのパイプとした。また、第2実施形態では、管路部97b及び管路部97cを有するパイプの数を例えばチムニー93の片側で10本の合計20本とした。
上記構成によれば、スリット95、管路部97a、管路部97b及び管路部97cの順序で断面積を小さくすることができる。連通路97内の圧力が一定の条件において、断面積の差が大きいほど断面積が小さい側に向かう力が大きくなるので、スリット95内のターゲットの照射容器51への帰還を促すことができる。
なお、第2実施形態では、スリット95において最大蒸発量1mL/sを見込んでいる。このような最大蒸発量を第1実施形態のように合計8個の連通路57で実現すると、連通路97内を流れる液滴の流速が大きくなりすぎるという不具合が生じる。そこで、第2実施形態は、連通路97の管路部97b及び管路部97cの数を合計20本にして連通路97内を流れる液滴の流速を調整している。
以上説明した第2実施形態は、連通路97を介して照射容器51に向かうターゲットの帰還を促し、ターゲットの回収効率が高いターゲット装置を実現することができる。
また、第2実施形態は、管路部97a、97b、97cの径を上記の数値に限定するものではない。管路部97a、97b、97cの径は、ターゲットの表面張力等の条件と共に毛管力が作用する条件を満たすものであればどのような径を有するものであってもよい。また、管路部97a、97b、97cは、管路部97aから管路部97cに向かって段階的に径が小さくなるものであればよく、管路部97a、97b、97cの全ての径が相違するものであっても、管路部97a、97bの径が等しいものであってもよい。
<第3実施形態>
ところで、フォイルに損傷を与える原因は、容器内の圧力が高まることではない。前述のとおり、ターゲット水が放射線分解することで生じる酸素ラジカル、ヒドロキシラジカルや過酸化水素により、フォイルの構成金属がエロージョンコロージョンを受ける。これにより、ビーム入射窓からターゲット水に金属不純物(酸化物)が混入する。ターゲット水に混入した金属酸化物は、放射性薬剤の製造工程において目的の放射性核種と競合するため、放射性薬剤の合成収率の低下の一因になる。また、この金属不純物が放射化した場合は、目的の放射性核種以外の不要な放射性物質による汚染のレベルを上げることになる。こうしたターゲット水の放射線分解に起因する問題は、ビーム電流が60μA以上になると顕在化する傾向にある。
本発明者は、以上の点に着目して第3実施形態の放射性核種製造装置を発明した。以下、本発明の第3実施形態を説明する。
本発明者は、以上の点に着目して第3実施形態の放射性核種製造装置を発明した。以下、本発明の第3実施形態を説明する。
図11、図12は、第3実施形態の放射性核種製造装置を説明するための図であり、第3実施形態のターゲット装置500を示している。
図11は、ターゲット装置500の上面図、図12は、ターゲット装置500の図11中に示した矢線D−Dに沿う断面図である。図示するように、ターゲット装置500は、照射容器51を有する金属製の第1ボディ体であるターゲットボディ50と、荷電粒子ビームが入射される照射容器51の入射開口部51cと、入射開口部51cを封止して照射容器51にターゲットを封入する金属薄膜であるフォイル520と、フォイル520に電流を供給する電源100と、を備えている。
上記構成において、照射容器51は、ターゲットボディ50を掘削加工して形成されている。フォイル520は、薄膜部520aと、薄膜部520aを支持するフランジ体520bと、を備えている。薄膜部520aは、照射容器51において荷電粒子ビームが入射される入射開口部51cを封止して照射容器51にターゲットを封入している。
フランジ体520bは、薄膜部520aを薄膜部520aの周囲で支持すると共に、ターゲットボディ50に形成された溝部50aに嵌め込まれて薄膜部520aを所定の位置に固定している。
また、ターゲット装置500は、ターゲットボディ50と接する絶縁部材である絶縁板120と、絶縁板120によってターゲットボディ50と絶縁される金属製の第2ボディ体であるコリメータ111と、をさらに備えている。絶縁板120は、ターゲットボディ50とコリメータ111との間にあって、かつフォイル52の少なくとも一部と重なってターゲットボディ50とコリメータ111との導通を許容する非絶縁部分を有している。電源100は、ターゲットボディ50とコリメータ111との間に非絶縁部分を介して電流を流している。
第3実施形態では、図12に示すように、絶縁板120がターゲットボディ50に向かうコリメータ111の面と外縁が略一致する外縁部120bと、外縁部120bに開口された絶縁開口部120aとを有し、絶縁開口部120aが薄膜部520aと重なるように固定されている。第3実施形態では、絶縁開口部120aの全体が上記した非絶縁部分に相当する。
絶縁板120としては、例えば、石英ガラス板が用いられる。石英ガラス板の厚さとしては、例えば、1mm以上、10mm以下が好ましい。また、絶縁板120は、石英ガラス板に限定されるものではなく、パイレックス(登録商標)などのホウケイ酸ガラス板、もしくは、いわゆるエンジニアリングプラスチック類の中で、ターゲット水への構成材料の溶出、目的の放射性核種の吸着等が無視でき得るものが、使用される。
コリメータ111は、入射してくる荷電粒子ビームを絞ってその軌道を調整するコリメータ部111aと、コリメータ部111aを支持してビーム入射口31内の溝31aと嵌合するフランジ体111bと、を有している。フランジ体111bは、ターゲットボディ50と同じニオブ、あるいはステンレスやチタン及びタンタルを含むものであってもよい。コリメータ111によれば、図中のx軸に平行な軌道で荷電粒子ビームが照射容器51に入射し、正確にターゲットに焦点を結ぶようになる。
電源100は、コリメータ111のフランジ体111bとターゲットボディ50との間に電気的に接続される。そして、両者の間に電流を流す。ここで、コリメータ111とフランジ体520bとは絶縁板120によって絶縁されているから、電流はコリメータ111から薄膜部520aに流れて薄膜部520a以外の部位には流れることがない。
薄膜部520aへの通電により、薄膜部520aのコリメータ111に対する電位が変化する。この点を利用し、第3実施形態では、薄膜部520aの電位を不活性域または不導体域まで移動させる。このため、電源100が電流を流す方向は、コリメータ111からターゲットボディ50、ターゲットボディ50からコリメータ111のいずれであってもよい。このとき、ターゲットボディ50とコリメータ111との電位差は、例えば、絶対値で0Vvs.Ag/AgCl以上1Vvs.Ag/AgCl以下が望ましい。
なお、第3実施形態は、フォイル520をターゲットボディ50の溝部50aに嵌合する構成に限定されるものではない。例えば、コリメータ111の側にフォイル520と嵌合する溝を形成し、この溝にフォイル520を嵌めこんで固定することもできる。このような場合、絶縁板120は、フォイル520の図中のx軸に向かう面とターゲットボディ50の表面との間に挟みこまれるものであってもよい。
コリメータ111の側にフォイル520と嵌合する構成は、フォイル52をターゲットボディ50の側に設けるよりも荷電粒子ビームを好適にコリメートし、荷電粒子ビームを高い精度で絞ったり、その軌道を調整したりすることができる。
以上説明した第3実施形態は、大電流の荷電粒子ビームをターゲットに照射してもフォイル520が腐食することを防ぐことができる。このため、ターゲット内に不純物が混入することを回避し、不純物の影響で18F等の標識化合物の合成収率が低下することを防ぐことができる。このような第3実施形態は、標識化合物の合成収率を高めることに有利な放射性核種製造装置を提供することができるものといえる。
また、第3実施形態は、既存の構成であるターゲットボディ50やコリメータ111といった構成を利用して薄膜部520aに電流を供給することができる。このため、薄膜部520aの腐食防止のために電源100以外の構成を追加しなくてもよいという利点がある。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)粒子ビームを液状のターゲットに照射して放射性核種を生成する放射性核種製造装置であって、液状の前記ターゲットを収容する容器と、前記容器と連通する連通口を有し、前記粒子ビームの照射によって前記ターゲットが液体または気体の状態で上昇し得る第1空洞部と、前記第1空洞部に向けて開口された開口部を有し、当該開口部が前記第1空洞部の前記連通口よりも狭い第2空洞部と、前記第2空洞部に流入した前記ターゲットを前記容器に帰還させる帰還路と、を備えることを特徴とする。
(2)前記第2空洞部の垂直断面の法線は、前記第1空洞部から前記容器に向かう下降方向の成分を含む(1)の放射性核種製造装置。
(3)前記液状のターゲットがH2 18Oを含む水であり、前記第2空洞部は、略板形状を有し、かつ前記板形状の厚さ方向の寸法が1mm以上、2mm以下である(1)または(2)の放射性核種製造装置。
(4)前記第2空洞部を複数備え、前記帰還路は、複数の前記第2空洞部同士を連通させる連通路を含む(1)から(3)のいずれか1項の放射性核種製造装置。
(5)液状の前記ターゲットを前記容器内に収容した場合、前記連通路の少なくとも一部及び複数の前記第2空洞部の少なくとも一部において、それぞれ前記容器内の前記ターゲットよりも水位が高い状態で前記ターゲットが収容される(4)の放射性核種製造装置。
(6)前記第1空洞部及び前記第2空洞部の少なくとも一方の周壁は、金属触媒を含む被膜を備える(1)から(5)のいずれか1項の放射性核種製造装置。
(7)前記第1空洞部の一部において、前記第1空洞部を前記ターゲットの上昇方向に垂直に切った断面積が前記上昇方向に向かうにしたがって大きくなる(1)から(6)のいずれか1項の放射性核種製造装置。
(8)前記帰還路の断面積は、前記容器に向かって段階的に小さくなる(1)から(7)のいずれか1項の放射性核種製造装置。
(9)前記粒子ビームが入射される前記容器の入射開口部と、
前記入射開口部を封止して前記容器に前記ターゲットを封入する金属薄膜と、
を備え、
前記金属薄膜は、腐食を防ぐための保護膜を備える(1)から(8)のいずれか1つの放射性核種製造装置。
(10)
前記容器を有する金属製の第1ボディ体と、
前記粒子ビームが入射される前記容器の入射開口部と、
前記入射開口部を封止して前記容器に前記ターゲットを封入する金属薄膜と、
前記金属薄膜に電流を供給する電源と、
を備えることを特徴とする(1)から(8)のいずれか1つの放射性核種製造装置。
(11)
前記第1ボディ体と接する絶縁部材と、前記絶縁部材によって前記第1ボディ体と絶縁される金属製の第2ボディ体と、をさらに備え、前記絶縁部材は、前記第1ボディ体と前記第2ボディ体との間にあって、かつ前記金属薄膜の少なくとも一部と重なって前記第1ボディ体と前記第2ボディ体との導通を許容する非絶縁部分を有し、前記電源は、前記第1ボディ体と前記第2ボディ体との間に前記非絶縁部分を介して電流を流す、(10)の放射性核種製造装置。
(12)
前記第2ボディ体は、前記金属薄膜を保持するフランジ体及び前記金属薄膜に照射される粒子ビームの軌道を調整するコリメータを含む、(11)の放射性核種製造装置。
(13)粒子ビームを液状のターゲットに照射して放射性核種を生成するターゲット装置であって、
液状の前記ターゲットを収容する容器と、
前記容器と連通する連通口を有し、前記粒子ビームの照射によって前記ターゲットが液体または気体の状態で上昇し得る第1空洞部と、
前記第1空洞部に向けて開口された開口部を有し、当該開口部が前記第1空洞部の前記連通口よりも狭い第2空洞部と、
前記第2空洞部に流入した前記ターゲットを前記容器に帰還させる帰還路と、を備えることを特徴とするターゲット装置。
(14)(1)から(12)のいずれか1つの放射性核種製造装置を用いて放射性核種を生成する放射性核種生成工程と、
前記放射性核種製造装置から前記放射性核種を回収する回収工程と、
前記回収工程において回収された前記放射性核種を用いて放射性薬剤を製造する工程と、
を含むことを特徴とする放射性薬剤の製造方法。
(15) 粒子ビームが照射されるターゲットを収容する容器を有する金属製の第1ボディ体と、
前記粒子ビームが入射される前記容器の入射開口部と、
前記入射開口部を封止して前記容器に前記ターゲットを封入する金属薄膜と、
を備え、
前記金属薄膜は、腐食を防ぐための保護膜を備える放射性核種製造装置。
(16) 粒子ビームが照射されるターゲットを収容する容器を有する金属製の第1ボディ体と、
前記粒子ビームが入射される前記容器の入射開口部と、
前記入射開口部を封止して前記容器に前記ターゲットを封入する金属薄膜と、
前記金属薄膜に電流を供給する電源と、
を備えることを特徴とする放射性核種製造装置。
(17) 前記第1ボディ体と接する絶縁部材と、前記絶縁部材によって前記第1ボディ体と絶縁される金属製の第2ボディ体と、をさらに備え、前記絶縁部材は、前記第1ボディ体と前記第2ボディ体との間にあって、かつ前記金属薄膜の少なくとも一部と重なって前記第1ボディ体と前記第2ボディ体との導通を許容する非絶縁部分を有し、前記電源は、前記第1ボディ体と前記第2ボディ体との間に前記非絶縁部分を介して電流を流す、(16)の放射性核種製造装置。
(18)
前記第2ボディ体は、前記金属薄膜を保持するフランジ体及び前記金属薄膜に照射される粒子ビームの軌道を調整するコリメータを含む、(17)の放射性核種製造装置。
1・・・放射性核種製造装置
2・・・取付持具
3・・・加速器
5,500・・・ターゲット装置
21、23・・・枠体
31・・・ビーム入射口
31a・・・溝
50・・・ターゲットボディ
50a・・・溝部
51・・・照射容器
51c・・・入射開口部
52,520・・・フォイル
53・・・チムニー
55・・・スリット
57・・・連通路
57a・・・管路部
57b・・・管路部
60・・・管
63・・・冷却水用枝管
71,73・・・フィッティング
93・・・チムニー
95・・・スリット
97・・・連通路
97a、97b、97c・・・管路部
100・・・電源
111・・・コリメータ
111a・・・コリメータ部
111b・・・フランジ体
120・・・絶縁板
120a・・・絶縁開口部
120b・・・外縁部
511・・・収容部
511a・・・上部
511b・・・下部
513・・・エバポレータ
513a・・・境界
520a・・・薄膜部
520b・・・フランジ体
531・・・連通口
551・・・開口部
711・・・管路
731・・・管路
931・・・連通口
933・・・上端部

Claims (14)

  1. 粒子ビームを液状のターゲットに照射して放射性核種を生成する放射性核種製造装置であって、
    液状の前記ターゲットを収容する容器と、
    前記容器と連通する連通口を有し、前記粒子ビームの照射によって前記ターゲットが液体または気体の状態で上昇し得る第1空洞部と、
    前記第1空洞部に向けて開口された開口部を有し、当該開口部が前記第1空洞部の前記連通口よりも狭い第2空洞部と、
    前記第2空洞部に流入した前記ターゲットを前記容器に帰還させる帰還路と、を備えることを特徴とする放射性核種製造装置。
  2. 前記第2空洞部の垂直断面の法線は、前記第1空洞部から前記容器に向かう下降方向の成分を含む請求項1に記載の放射性核種製造装置。
  3. 前記液状のターゲットがH2 18Oを含む水であり、前記第2空洞部は、略板形状を有し、かつ前記略板形状の厚さ方向の寸法が1mm以上、2mm以下である請求項1または2に記載の放射性核種製造装置。
  4. 前記第2空洞部を複数備え、前記帰還路は、複数の前記第2空洞部同士を連通させる連通路を含む請求項1から3のいずれか1項に記載の放射性核種製造装置。
  5. 液状の前記ターゲットを前記容器内に収容した場合、前記連通路の少なくとも一部及び複数の前記第2空洞部の少なくとも一部において、それぞれ前記容器内の前記ターゲットよりも水位が高い状態で前記ターゲットが収容される請求項4に記載の放射性核種製造装置。
  6. 前記第1空洞部及び前記第2空洞部の少なくとも一方の周壁は、金属触媒を含む被膜を備える請求項1から5のいずれか1項に記載の放射性核種製造装置。
  7. 前記第1空洞部の少なくとも一部において、前記第1空洞部を、前記ターゲットの上昇方向に垂直に切った断面積が前記上昇方向に向かうにしたがって大きくなる請求項1から6のいずれか1項に記載の放射性核種製造装置。
  8. 前記帰還路の断面積は、前記容器に向かって段階的に小さくなる請求項1から7のいずれか1項に記載の放射性核種製造装置。
  9. 前記粒子ビームが入射される前記容器の入射開口部と、
    前記入射開口部を封止して前記容器に前記ターゲットを封入する金属薄膜と、
    を備え、
    前記金属薄膜は、腐食を防ぐための保護膜を備える請求項1から8のいずれか1項に記載の放射性核種製造装置。
  10. 前記容器を有する金属製の第1ボディ体と、
    前記粒子ビームが入射される前記容器の入射開口部と、
    前記入射開口部を封止して前記容器に前記ターゲットを封入する金属薄膜と、
    前記金属薄膜に電流を供給する電源と、
    を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の放射性核種製造装置。
  11. 前記第1ボディ体と接する絶縁部材と、前記絶縁部材によって前記第1ボディ体と絶縁される金属製の第2ボディ体と、をさらに備え、前記絶縁部材は、前記第1ボディ体と前記第2ボディ体との間にあって、かつ前記金属薄膜の少なくとも一部と重なって前記第1ボディ体と前記第2ボディ体との導通を許容する非絶縁部分を有し、前記電源は、前記第1ボディ体と前記第2ボディ体との間に前記非絶縁部分を介して電流を流す、請求項10に記載の放射性核種製造装置。
  12. 前記第2ボディ体は、前記金属薄膜を保持するフランジ体及び前記金属薄膜に照射される粒子ビームの軌道を調整するコリメータを含む、請求項11に記載の放射性核種製造装置。
  13. 粒子ビームを液状のターゲットに照射して放射性核種を生成するターゲット装置であって、
    液状の前記ターゲットを収容する容器と、
    前記容器と連通する連通口を有し、前記粒子ビームの照射によって前記ターゲットが液体または気体の状態で上昇し得る第1空洞部と、
    前記第1空洞部に向けて開口された開口部を有し、当該開口部が前記第1空洞部の前記連通口よりも狭い第2空洞部と、
    前記第2空洞部に流入した前記ターゲットを前記容器に帰還させる帰還路と、を備えることを特徴とするターゲット装置。
  14. 請求項1から12のいずれか1項に記載の放射性核種製造装置を用いて放射性核種を生成する放射性核種生成工程と、
    前記放射性核種製造装置から前記放射性核種を回収する回収工程と、
    前記回収工程において回収された前記放射性核種を用いて放射性薬剤を製造する工程と、
    を含むことを特徴とする放射性薬剤の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022245550A1 (en) * 2021-05-20 2022-11-24 Curium Us Llc Target carrier assembly and irradiation system
TWI818484B (zh) * 2021-03-29 2023-10-11 日商住友重機械工業股份有限公司 放射性同位素製造裝置及靶收納裝置

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