JP2017104835A - 放射性同位元素精製装置 - Google Patents

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【課題】不純物の混入を低減する放射性同位元素精製装置及び放射性同位元素製造システムを提供する。【解決手段】放射性同位元素精製装置1は、所定の方向に延在し固体ターゲット基板Wが内部に配置される炉心管3と、炉心管3を加熱する加熱部2と、加熱部2による加熱により炉心管3内で固体ターゲット基板Wから昇華した放射性同位元素を回収するバブリング捕集部30と、を備え、加熱部2は、炉心管3の延在方向に沿って加熱温度が異なる温度分布を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、放射性同位元素精製装置に関する。
従来、病院等でのPET検査(陽電子断層撮影検査)等に使用される放射性同位元素(RI)は、放射性同位元素が形成された固体ターゲットを精製装置で精製することによって取得されている。例えば、特許文献1に記載の技術では、まず、ターゲット装置に設けられた固体ターゲットに荷電粒子線を照射し、放射性同位元素が形成された固体ターゲットを取得する。そして、目的の放射性同位元素が形成された固体ターゲットをターゲット装置から回収し、回収した固体ターゲットを昇華させて当該固体ターゲットから放射性同位元素を分離回収する。
特開平10−206594号公報
この種の放射性同位元素の精製では、固体ターゲット中に含まれる目的以外の成分も一緒に昇華するので、回収時に上記成分が不純物として目的物に混入する。このような不純物の混入を低減し目的の放射性同位元素の純度を高めることが望まれる。本発明は、不純物の混入を低減する放射性同位元素精製装置及び放射性同位元素製造システムを提供することを目的とする。
本発明の放射性同位元素精製装置は、所定の方向に延在し固体ターゲット基板が内部に配置される収容部と、収容部を加熱する加熱部と、加熱部による加熱により収容部内で固体ターゲット基板から昇華した放射性同位元素を回収する回収部と、を備え、加熱部は、収容部の延在方向に沿って加熱温度が異なる温度分布を有する。
本発明の装置によれば、収容部内の固体ターゲット基板から昇華した放射性同位元素が気体として収容部内をその延在方向に移動し、回収部に回収される。このとき、固体ターゲット基板からは目的の放射性同位元素以外の成分(以下「不要成分」と言う)も一緒に昇華し移動する。ここでは、移動中の収容部内の温度と各成分の沸点との関係に応じて、不要成分は再び固体に戻って収容部内に付着し、目的の放射性同位元素は気体のままで回収部まで移動し回収されることが理想的である。これに対し、本発明の装置では、加熱部の上記温度分布を適切に微調整することで、目的の放射性同位元素を気体として通過させ且つ不要成分を収容部内に付着させることができる。よって、回収部に到達する不要成分が減少し、回収される目的の放射性同位元素に混入する不純物が低減される。
また、加熱部は、回収部に近づくに従って加熱温度が低下するような温度分布を有するようにしてもよい。また、加熱部は、延在方向に配列され互いに加熱温度が異なる複数の分割加熱部を有するようにしてもよい。また、加熱部は、延在方向に所定の長さをもつ領域であり加熱温度が最も低くかつ一定である低温一定領域を有するようにしてもよい。また、加熱部は、分割加熱部同士の間に介在された断熱材を更に有するようにしてもよい。
本発明の放射性同位元素製造システムは、ホットセルと、ホットセル内の一室に収容された上記の何れかに記載の放射性同位元素精製装置と、を備える。
本発明によれば、不純物の混入を低減する放射性同位元素精製装置及び放射性同位元素製造システムを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る放射性同位元素精製装置が収容されるホットセルの断面図であり、正面と平行な断面を示す図である。 本発明の一実施形態に係る放射性同位元素精製装置を示す概略側面図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る放射性同位元素精製装置及び放射性同位元素製造システムの実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本発明の実施形態に係る放射性同位元素精製装置及び放射性同位元素製造システムは、放射性同位元素を含む物質から、放射性同位元素を精製し製造する。精製された放射性同位元素は、例えば病院のPET検査(陽電子断層撮影検査)等に使用される放射性同位元素標識化合物(RI化合物)である放射性薬剤(放射性医薬品を含む)の製造に用いられる。本実施形態において、放射性同位元素製造システム101は、放射性同位元素精製装置1と、当該放射性同位元素精製装置1を収容するホットセル10とを備えている。ホットセル10は、放射線の透過を抑制する放射線遮蔽壁Cを有する。
まず、図1を参照して、放射性同位元素製造システム101が備えるホットセル10の概要を説明する。
図1に示すように、ホットセル10は、箱型を成すホットセル本体11を備えている。ホットセル本体11は、壁体14〜16を有している。壁体14〜16は、放射線の透過を抑制する放射線遮蔽壁によって形成されている。放射線遮蔽壁は、例えば鉛によって形成されている。ホットセル本体11内に収容される放射性物質に応じて、放射線遮蔽壁の材質を適宜変更してもよい。なお、ホットセル本体11は、正面開口部に正面扉(不図示)を有していると共に、正面壁と対向して配置された壁体である背面壁(不図示)を有している。正面扉及び背面壁は、壁体14〜16と同じく放射線遮蔽壁で形成されている。
ホットセル本体11の正面開口部は、ホットセル本体11の内部に収容される対象物100の出し入れに利用される。ホットセル本体11の内部に収容される対象物100は、PET診断等で使用される放射性薬剤を取り扱う放射性薬剤取り扱い装置(放射性物質取り扱い装置)である。対象物100としては、例えば本実施形態に係る放射性同位元素精製装置1、放射性物質を他の物質に標識する(放射性物質を基に放射性薬剤を合成する)合成装置、放射性薬剤の品質を検定する品質検定装置、又は放射性薬剤を含む液体を目的の液量に分注する分注装置等が挙げられる。
ホットセル本体11には、放射性薬剤取り扱い装置を収容可能な空間である陽圧室21が形成されている。ホットセル本体11は、内部を区切る仕切板24,25を備え、仕切板24,25を介して複数の陽圧室21を有する。仕切板24,25は、放射線遮蔽壁によって形成されていてもよく、放射線を透過する壁体によって形成されていてもよい。なお、陽圧室21内の対象物100同士は、図示せぬ管で互いに接続され、放射性同位元素又は放射性薬剤の試料等を対象物100間で送付可能となっていてもよい。
次に、図2を参照して、本実施形態に係る放射性同位元素精製装置1について説明する。放射性同位元素精製装置1は、放射性同位元素製造システム101において、前述の対象物100としてホットセル10内の一室に収容される(図1参照)。図2は、本発明の一実施形態に係る放射性同位元素精製装置1を示す概略側面図である。放射性同位元素精製装置1では、放射性同位元素の精製を行う。図2に示すように、本実施形態に係る放射性同位元素精製装置1は、炉心管3と、加熱部2と、挿入管4と、ロッドレスシリンダ44と、ガス供給部50と、制御部60とを備えている。
炉心管3は、固体ターゲット基板Wが内部に配置される収容部である。炉心管3は、基板導入部7と、送出部8と、接続部9とを有しており、水平に延在している。基板導入部7は、加熱部2の内部に配置されている。基板導入部7は、略水平に延在している。基板導入部7は、一端側が開口され、挿入管4が挿入可能な口径を有している。基板導入部7の一端側からは、固体ターゲット基板Wが載置された挿入管4が挿入される。これにより、基板導入部7は、固体ターゲット基板Wを内部に導入する。
基板導入部7の他端側は、一端側よりも口径がすぼまった逆テーパ形状を有しており、送出部8と連通されている。送出部8は、加熱部2の内部に配置され、基板導入部7の他端側から加熱部2の外部に向かって略水平に延在している。送出部8は、挿入管4を挿入できない程度の口径を有している。すなわち、送出部8は、基板導入部7よりも小さい口径を有している。送出部8は、基板導入部7において気化した放射性同位元素(以下、「気化ガス」ともいう)を、送出部8の他端側に連通された接続部9へと導く。
接続部9は、加熱部2の外部に配置され、送出部8の他端側から延びている。接続部9は、送出部8の他端側から略水平に延びる水平部9Aと、略直角に屈曲する屈曲部9Bと、屈曲部9Bから下方へ鉛直に延びる鉛直部9Cとを有する。接続部9の鉛直部9Cは、屈曲部9Bよりも狭い管状を呈している。鉛直部9Cの下端部は、開口されている。これにより、鉛直部9Cの下端部において、送出部8から導かれた気化ガスを炉心管3の外部へ取り出す回収孔9Dが形成されている。
接続部9の鉛直部9Cには、バブリング捕集部30(回収部)が接続されている。バブリング捕集部30は、放射性同位元素を捕集するための溶液を貯留する貯留部31と、貯留部31内の気化ガスを排出する排出口34と、貯留部31内の溶液を供給する溶液供給部36とを有している。
貯留部31は、接続部9の鉛直部9Cの周りを囲むように、上下方向に延びる管状の容器である。ただし、貯留部31の形状は、溶液を貯留することができる限り特に限定されない。鉛直部9Cの下端部に形成された回収孔9Dは、バブリング捕集部30の貯留部31の底部に近接して対向している。貯留部31に溶液が貯留された状態においては、鉛直部9Cの下端部は溶液に浸漬された状態となる。これによって、送出部8から接続部9へ導かれた気化ガスは、接続部9の鉛直部9Cの下端部に形成された回収孔9Dから噴出され、溶液内に気泡として供給される。溶液は、気泡から放射性同位元素を捕集できる溶液であればよく、例えば水酸化ナトリウム水溶液、蒸留水、及び生理食塩水等が採用される。
加熱部2は、略円筒形状を有している。加熱部2は、炉心管3の基板導入部7及び送出部8を取り囲むように、炉心管3の周囲に配置されている。加熱部2は、炉心管3の基板導入部7を加熱する。これにより、加熱部2は、基板導入部7内に収容された固体ターゲット基板Wを例えば約200〜700℃に加熱する。加熱部2は制御部60によって制御される。制御部60は、加熱部2における後述のヒータ51を作動させる。これにより、炉心管3の基板導入部7内の温度が上昇する。制御部60は、加熱部2により加熱された基板導入部7内の温度状態が、適切な温度状態となるように、加熱部2を制御する。適切な温度状態とは、基板導入部7内に収容された固体ターゲット基板Wの放射性同位元素が気化可能な温度である。なお、制御部60はホットセル10の外部に設けられる。
放射性同位元素の精製を行うときには、基板導入部7には放射性同位元素が形成された固体ターゲット基板Wが導入される。このとき、固体ターゲット基板Wが加熱されると、固体ターゲット基板Wに形成されていた放射性同位元素が蒸発して気化ガスとなる。なお、加熱部2の加熱によって気化することができる放射性同位元素として、ヨウ素、又は臭素等が挙げられる。
挿入管4の先端には固体ターゲット基板Wが設置される。挿入管4はロッドレスシリンダ44によって略水平に移動し、炉心管3の基板導入部7に固体ターゲット基板Wを導入し、且つ、炉心管3の基板導入部7から固体ターゲット基板Wを退出させる。ロッドレスシリンダ44は、制御部60によってその動作が制御される。挿入管4が基板導入部7に挿入されると、挿入管4が炉心管3に密着し炉心管3は密閉される。
挿入管4の軸方向中心には、挿入管4を軸方向で貫く貫通孔が形成されている。当該貫通孔の一端側には、ガス流通管(不図示)を介してガス供給部50が接続されている。ガス供給部50は、挿入管4の載置部5が炉心管3の基板導入部7内に導入された状態において、ガス流通管を介して挿入管4の貫通孔へ不活性ガスを供給する。挿入管4の載置部5が炉心管3の基板導入部7内に導入された状態であるため、ガス供給部50から供給された不活性ガスは、挿入管4の貫通孔内を通り、基板導入部7内に流れ込む。すなわち、ガス供給部50は、炉心管3の一端側から炉心管3内へ不活性ガスを供給する。ガス供給部50は、制御部60によって制御される。
ここで、加熱部2の構成について、更に詳細に説明する。加熱部2は、炉心管3の延在方向に連続して配列された複数(本実施形態では3つ)のヒータ51(分割加熱部)を有している。各ヒータ51は炉心管3を周方向に包囲している。以下、3つのヒータ51を区別するときには、図に示されるように、挿入管4に近い側からバブリング捕集部30に近い側に向かって順に、それぞれ、ヒータ51a,51b,51cと呼ぶ。
ヒータ51a,51b,51cによる加熱温度は制御部60によって個別に制御可能である。これにより、加熱部2は、炉心管3の延在方向に沿って加熱温度が変化するような温度分布を有するように炉心管3を加熱することができる。すなわち、ヒータ51a,51b,51cによる加熱温度をそれぞれ異なる温度に設定すれば、加熱部2による炉心管3の加熱温度は、炉心管3の延在方向に沿って3段階に異なる。炉心管3の延在方向におけるヒータ51a,51b及び51cの長さは、例えば以下のように設定される。ヒータ51aは、基板導入部7が収納可能な長さに設定され、ヒータ51b及びヒータ51cの長さは、ヒータ51aと同程度に設定される。ヒータ51cが、その他のヒータ51a,51bよりも長くなるように設定してもよい。
上記温度分布は、固体ターゲット基板Wの種類や精製処理に係る目的の放射性同位元素に対応して適宜設定可能である。例えば、精製処理に係る目的の放射性同位元素が臭素等である場合には、バブリング捕集部30に近いほど加熱温度が低下するように設定される。すなわち、ヒータ51aの加熱温度が最も高く、ヒータ51cの加熱温度が最も低く設定され、ヒータ51bの加熱温度は、ヒータ51a,51cの加熱温度の間の温度に設定される。具体例として、例えば、固体ターゲット基板Wがセレン化銅であり目的の放射性同位元素が臭素である場合、ヒータ51aの加熱温度は約1100℃、ヒータ51bの加熱温度は約600℃、ヒータ51cの加熱温度は約200℃に設定される。
このうちヒータ51cによる加熱領域52cは、炉心管3の延在方向に所定の長さをもち、加熱温度が炉心管3全体のなかで最低温であり、かつ加熱温度が延在方向で一定である低温一定領域である。ヒータ51cによる加熱温度は、目的の放射性同位元素の沸点よりも高く、かつ、固体ターゲット基板Wから昇華した主な不要成分の沸点よりも低い温度に設定される。このような加熱温度の設定により、ヒータ51cによる加熱領域(低温一定領域)では、不要成分が炉心管3の内壁面に付着する一方で、目的の放射性同位元素は気体として当該領域を通過しバブリング捕集部30まで到達する。
なお、各ヒータ51同士の間には断熱材53が挟み込まれるように設置されている。この断熱材53の存在により、ヒータ51同士の繋ぎ目からの熱の漏洩が抑えられ、炉心管3における所望の温度分布が安定して得られる。
続いて、放射性同位元素精製装置1の動作について説明する。まず、不要成分(例えばセレン化銅)と目的の放射性同位元素(例えば臭素)とを含む固体ターゲット基板Wが挿入管4上に設置される。そして、制御部60の制御により炉心管3側に向かってロッドレスシリンダ44が移動し、挿入管4上に載置された固体ターゲット基板Wが、炉心管3の基板導入部7内に導入される。
その後、加熱部2におけるヒータ51を作動させる。制御部60は、ヒータ51a,51b,51cのそれぞれの加熱温度を、予め定められた異なる温度に制御する。また、ガス供給部50から炉心管3内に不活性ガスが供給される。基板導入部7内が加熱され固体ターゲット基板Wが気化可能な温度以上になると、固体ターゲット基板Wから不要成分と放射性同位元素とが昇華する。昇華した不要成分及び放射性同位元素のガスは、ガス供給部50から供給される不活性ガスにより、炉心管3内をバブリング捕集部30に向けて搬送される。この搬送の途中で、前述したように、不要成分は再固化し炉心管3の内壁面に付着する一方で、放射性同位元素は気体の状態でバブリング捕集部30まで到達し回収される。
次に、本実施形態に係る放射性同位元素精製装置1及び放射性同位元素製造システム101の作用及び効果について説明する。
放射性同位元素製造システム101の放射性同位元素精製装置1では、炉心管3内の固体ターゲット基板Wから昇華した放射性同位元素が気体として炉心管3内をその延在方向に移動し、バブリング捕集部30に回収される。このとき、固体ターゲット基板Wからは目的の放射性同位元素以外の成分と一緒に不要成分が昇華し移動する。ここでは、移動中の炉心管3内の温度と各成分の沸点との関係に応じて、不要成分は再び固体に戻って炉心管3内に付着し、目的の放射性同位元素は気体のままでバブリング捕集部30まで移動し回収されることが理想的である。
これに対し、放射性同位元素製造システム101の放射性同位元素精製装置1では、加熱部2が炉心管3の延在方向に沿った温度分布を有するように設定可能であるので、当該温度分布を適切に微調整することで、目的の放射性同位元素を気体として通過させ且つ不要成分を炉心管3に付着させることができる。特に、前述のように、炉心管3の延在方向に所定の長さをもつ加熱領域52cが設定されているので、加熱領域52cにおいて不要成分が十分に炉心管3に捕捉される。よって、バブリング捕集部30に到達する不要成分が減少し、回収される目的の放射性同位元素に混入する不純物が低減され、回収される目的の放射性同位元素の純度が向上する。
例えば、固体ターゲット基板W中の不要成分がセレン化銅であり目的の放射性同位元素が臭素である場合、固体ターゲット基板Wは、セレン化銅の基板に放射線を照射して得られるものである。上記のように得られた固体ターゲット基板Wでは、放射線照射で発生した臭素がセレン化銅の内部に点在した状態となっている。臭素はセレン化銅よりも沸点が低いが、臭素がセレン化銅の内部に点在していることから、この臭素を精製するためには、基板導入部7において固体ターゲット基板Wをセレン化銅の沸点まで加熱して、セレン化銅ごと臭素を気化させる必要がある。そして、セレン化銅の方が臭素よりも沸点が高いため、炉心管3に温度分布を設けることで、セレン化銅を再固化させて炉心管3の内壁面に付着させて、臭素のみを気体の状態でバブリング捕集部30に到達させ回収することができる。
以上、本実施形態の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用してもよい。
上記実施形態において、基板導入部7に導入された固体ターゲット基板Wは、加熱部2により200〜700℃に加熱されるとしたが、固体ターゲット基板Wが加熱部2により加熱される温度帯域は上記の温度帯域に限られない。放射性同位元素の精製を行う際には放射性同位元素が気化可能な所定温度であればよい。また、実施形態では、バブリング捕集部30に近づくに従って(すなわち下流に行くに従って)加熱温度が低下するような温度分布を形成したが、これには限られず、例えば、炉心管3の延在方向に沿って加熱温度が上下に変化するようにしてもよい。また、ヒータ51の数は3つに限られず、ヒータ51の数を増やして更に複雑な炉心管3の温度分布を形成してもよい。また、炉心管3の延在方向における各ヒータ51の長さをそれぞれ設定することで更に複雑な炉心管3の温度分布を形成してもよい。また、実施形態では、加熱温度が一定である領域を炉心管3の延在方向に複数配列することで炉心管3の温度分布を形成しているが、この方式には限定されず、例えば、加熱温度が炉心管3の延在方向で徐々に変化するような領域を形成してもよい。以上のような設定は、固体ターゲット基板Wの種類及び目的の放射性同位元素の種類に応じて適宜決めればよい。
1…放射性同位元素精製装置、2…加熱部、3…炉心管(収容部)、10…ホットセル、30…バブリング捕集部、51,51a,51b,51c…ヒータ(分割加熱部)、52c…加熱領域(低温一定領域)、101…放射性同位元素製造システム、W…固体ターゲット基板。

Claims (6)

  1. 所定の方向に延在し固体ターゲット基板が内部に配置される収容部と、
    前記収容部を加熱する加熱部と、
    前記加熱部による加熱により前記収容部内で前記固体ターゲット基板から昇華した放射性同位元素を回収する回収部と、を備え、
    前記加熱部は、前記収容部の延在方向に沿って加熱温度が異なる温度分布を有する、放射性同位元素精製装置。
  2. 前記加熱部は、
    前記回収部に近づくに従って加熱温度が低下するような前記温度分布を有する、請求項1に記載の放射性同位元素精製装置。
  3. 前記加熱部は、前記延在方向に配列され互いに加熱温度が異なる複数の分割加熱部を有する、請求項1又は2に記載の放射性同位元素精製装置。
  4. 前記加熱部は、
    前記延在方向に所定の長さをもつ領域であり前記加熱温度が最も低くかつ一定である低温一定領域を有する、請求項3に記載の放射性同位元素精製装置。
  5. 前記加熱部は、前記分割加熱部同士の間に介在された断熱材を更に有する、請求項3に記載の放射性同位元素精製装置。
  6. ホットセルと、
    前記ホットセル内の一室に収容された請求項1〜5の何れか1項に記載の放射性同位元素精製装置と、を備える放射性同位元素製造システム。
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