JP2018013148A - トルクリミッタ - Google Patents

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Abstract

【課題】液圧拡張室の破損を防止して長期にわたって安定して作動するとともに、油の使用量を抑制したトルクリミッタを提供する。【解決手段】軸部材10及び筒部材20のうちの一方の部材は、トルクの伝達を行うときに、一方の部材の周面を他方の部材の周面に向けて押し付けるための液圧拡張室32を有する。液圧拡張室32は、一方の部材の略軸方向に延在している。液圧拡張室32は、環状の第1部材33と環状の第2部材34とを軸方向両外側において互いに接合する環状の溶接部83,84と、軸方向の少なくとも一方側において、液圧拡張室32に連通するとともに液圧拡張室32より大きい径方向断面積を有する油だまり37,38を備えており、油だまり37,38には、一方の部材とは別部材のスペーサ71,72が配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、動力伝達装置において、過大なトルクが作用したときに動力の伝達を遮断するトルクリミッタに関する。
トルクリミッタは、例えば鉄鋼用の圧延機に使用されている。圧延機では、スラブをロールの間に通して平板等に加工している。ロールは、動力伝達装置を介してモータで駆動されている。スラブがロールにかみ込んだときには、ロールの駆動装置に過大なトルクが作用する。このとき、トルクリミッタが作動して、モータからロールに伝達されている動力を遮断することにより、駆動装置の損傷を防止している。特許文献1では、図5に示す構造のトルクリミッタ80が開示されている。
このトルクリミッタ80は、軸部材10と、この軸部材10に外嵌した筒部材20とを備えている。筒部材20は、転がり軸受41,42によって回転自在に支持されている。
軸部材10の軸端には取付フランジ11が形成されており、図示しないロールと連結されている。
筒部材20は、環状の連結部材21とその外周に嵌め合わされた液圧装置31とを備えている。連結部材21の軸端には取付フランジ22が形成されており、図示しないモータの出力軸と連結されている。液圧装置31は、内筒部材33と外筒部材34とを備えており、両軸端部で溶接接合されることによって液圧拡張室32が形成されている。
筒部材20と軸部材10との間でトルクを伝達するときには、環状の液圧拡張室32に油が高圧で封入される。この油圧によって液圧拡張室32が径方向に拡張し、連結部材21が軸部材10の外周摩擦面12に押しつけられる。これにより筒部材20と軸部材10との間に生じた摩擦力によって、トルクを伝達することができる。液圧拡張室32に封入された油は、封止バルブ35で密封されている。
一方、スラブがロールにかみ込んで軸部材10がロックしたときには、筒部材20と軸部材10との間ですべりが生じて、筒部材20が回転する。軸部材10には断面が略L字形状の係止部材36が取り付けられているので、封止バルブ35の端部が係止部材36によって切断される。これによって、液圧拡張室32の油が外部に放出されるので、筒部材20と軸部材10の摩擦係合が解除される。
一般的に、外筒部材と内筒部材の軸方向端部を溶接接合することによって液圧拡張室を形成している液圧装置では、油を封入したときに液圧拡張室が径方向に拡張するため、溶接部が破損する場合がある。特許文献1のトルクリミッタ80では、液圧拡張室32の両端に油だまり81,82を形成することによって、液圧拡張室32が拡張したときの応力を油だまり81,82の内周に分散している。これによって、溶接部83,84に生じる応力を低減して、その破損を防止している。
特開2011−185401号公報
特許文献1の液圧装置31では、油だまり81,82は、軸方向断面の形状が略長方形で形成されている。この長方形の頂点は、比較的大きい曲率の円弧で形成されている。このため、液圧拡張室32に油を封入したときには、頂点の部分に応力が集中する。このため、従来のトルクリミッタ80では、溶接部83,84に生じる応力を低減できる一方、依然として、溶接部83,84以外の部分で応力の高い箇所が存在しており、最悪の場合、液圧拡張室32が破損する恐れがあった。
液圧拡張室32の各油だまり81,82において局所的な応力の集中を防止するためには、全周にわたってできるだけ一様な応力分布にすることが望ましい。そのためには、各油だまり81,82においてその頂点を形成する円弧の半径を大きくする等によって、油だまり81,82の内周面をできる限り曲率の小さい面で形成する必要がある。
しかし、油だまり81,82が半径の大きい円弧で形成されている場合には、その容積が増大してしまう。容積が大きい場合には、トルクリミッタ80が作動して封止バルブ35が切断されたときに、大量の油が飛散するので、使用環境が悪化するという問題がある。また、再度油を封入するときには、油の量が多いため封入に要する時間が長くなり、圧延設備の稼働率が低下するとともに油の費用が増大する。この結果、圧延コストが上昇するという問題がある。
以上の状況に鑑み、本発明は、液圧拡張室の破損を防止して長期にわたって安定して作動するとともに、油の使用量を抑制したトルクリミッタを提供することを目的としている。
本発明は、軸部材と、この軸部材に外嵌した筒部材とを備え、前記軸部材及び前記筒部材のうちの一方の部材は、その一方の部材と、前記筒部材及び前記軸部材のうちの他方の部材との間でトルクの伝達を行うときに、前記一方の部材の周面を前記他方の部材の周面に向けて押し付けるための液圧拡張室を有し、前記液圧拡張室は、前記一方の部材の略軸方向に延在し、前記一方の部材は、前記一方の部材の周面を有する環状の第1部材と、前記第1部材に前記液圧拡張室を介して対向する環状の第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを前記液圧拡張室の軸方向両外側において互いに接合する環状の溶接部と、前記液圧拡張室の軸方向の少なくとも一方側において、前記液圧拡張室に連通するとともに前記液圧拡張室より大きい径方向断面積を有する油だまりを備えており、前記油だまりには、前記一方の部材とは別部材のスペーサが配置されていることを特徴としている。
本発明によれば、液圧拡張室の破損を防止して長期にわたって安定して作動するとともに、油の使用量を抑制したトルクリミッタを提供することができる。
本発明の一実施形態であるトルクリミッタの軸方向断面の要部拡大図である。 第1油だまりの形状を説明する要部拡大図である。 第2油だまりの形状を説明する要部拡大図である。 第1油だまりに挿入されるスペーサの形態を説明する正面図である。 従来構造のトルクリミッタの軸方向断面図である。
以下、本発明の実施形態を図によって詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態(本実施形態)であるトルクリミッタ15の軸方向断面における要部拡大図である。本実施形態のトルクリミッタ15は、液圧拡張室32と連通する油だまり37,38の形態に特徴がある。その他の形態は、従来のトルクリミッタ80と同様である。そこで、共通の構成については同一の番号を付して、図5を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、回転軸線mの方向を軸方向といい、回転軸線mと直交する向きを径方向、回転軸線mの周りを周回する方向を周方向という。
トルクリミッタ15は、鉄鋼を圧延して鋼板などを製造する圧延機などに使用されており、ロール(図示を省略)と、このロールを駆動するモータ(図示を省略)との間に組み込まれている。図5において、ロールは、トルクリミッタ15の右側に配置されており、モータは左側に配置されている。以下の説明では、図5の右側をロール側、左側をモータ側という場合がある。
本実施形態のトルクリミッタ15は、図5に示すように、一方の部材としての筒部材20と、他方の部材としての軸部材10とを有しており、筒部材20は、軸部材10に外嵌されている。
軸部材10は、中実の段付き円筒で、軸方向の略中央に他方の部材の周面としての外周摩擦面12が形成されている。外周摩擦面12は、軸方向に延在する円筒面で、低温窒化処理が施されて600Hv以上の硬さになっている。外周摩擦面12よりモータ側の軸端には、外周摩擦面12より小径で円筒形状の段部13が形成されていて、その外周には転がり軸受41が装着されている。外周摩擦面12よりロール側の外周には転がり軸受42が装着されている。組立を容易にするために、転がり軸受41及び転がり軸受42には、それぞれマグネト玉軸受が使用されている。軸部材10のロール側の軸端には、円板状の取付フランジ11が形成されており、ロールと連結されている。
軸部材10には、転がり軸受42より取付フランジ11の側の外周に、断面が略L字形状の係止部材36が締りばめの状態で取り付けられている。
筒部材20は、環状の連結部材21と環状の液圧装置31とで構成されている
連結部材21は、スリーブ23と取付フランジ22を一体に備えている。
取付フランジ22は、円板状で、スリーブ23のモータ側の軸端に形成されており、モータと連結されている。
スリーブ23は、回転軸線mと同軸の円筒形状で、内周摩擦面24と外周篏合面25は互いに同軸の円筒面である。内周摩擦面24には低温窒化処理が施されており、600Hv以上の硬さになっている。内周摩擦面24は、軸部材10の外周摩擦面12と嵌め合わされている。
内周摩擦面24は一方の部材の周面である。軸部材10と筒部材20との間でトルク伝達を行うときには、他方の部材の周面としての軸部材10の外周摩擦面12に押し付けられて、摩擦係合するようになっている。外周摩擦面12と内周摩擦面24との間には、焼付き防止用の潤滑油であるタービンオイルやトラクションオイルが充填されている。
内周摩擦面24の内径寸法は、外周摩擦面12の外径寸法よりわずかに大きい。このため、単にスリーブ23を軸部材10の外周に嵌め合わせただけの状態では、連結部材21と軸部材10は互いに回転自在である。連結部材21には、取付フランジ22の径方向内方に軸方向に貫通する穴が形成されており、その内周に、転がり軸受41が組み付けられている。転がり軸受41は、連結部材21を、軸部材10に対して回転自在に支持している。
液圧装置31は、それぞれ略円筒形状の外筒部材34と内筒部材33とが互いに同軸に嵌め合わされた構成である。液圧装置31の内周、すなわち内筒部材33の内周は、回転軸線mと同軸の円筒面であり、スリーブ23の外周篏合面25に嵌め合わされている。こうして、液圧装置31と連結部材21とが一体に組み合わされて、筒部材20が形成されている。また、筒部材20では、内筒部材33は連結部材21とともに第1部材を構成しており、外筒部材34は第2部材を構成している。
内筒部材33は、外筒部材34の内周に嵌め合わされている。内筒部材33及び外筒部材34は、軸方向の両端部で互いに溶接接合されて、溶接部83,84が形成されている。内筒部材33と外筒部材34とで径方向に挟まれることによって、軸方向に延在する液圧拡張室32が形成されている。
液圧拡張室32の軸方向両側に、それぞれ液圧拡張室32に連通する油だまり37,38が形成されている。各油だまり37,38の形態については後で詳細に説明する。
外筒部材34には、液圧拡張室32に連通する油通路49が形成されている。油通路49は、外筒部材34の外周に開口しており、その開口部には、封止バルブ35が取り付けられている。
封止バルブ35は、黄銅製で、略円筒形状である。その軸線にそって穴50が形成されており、穴50は封止バルブ35の長手方向の一端にのみ開口している。開口端とは反対側の他端では、穴50は、封止バルブ35の端面の近傍まで形成されているに過ぎず、当該他端では、穴50は閉鎖されている。
封止バルブ35は、穴50の開口側が、油通路49を介して液圧拡張室32とつながる向きで、外筒部材34に装着されている。このとき、封止バルブ35の閉鎖側の端部が、外筒部材34の外周から突出しており、穴50が外筒部材34の外周面26よりも径方向外方に位置するように組み付けられている。こうして、封止バルブ35より内側では、液圧拡張室32が密封された空間になっている。
外筒部材34には、液圧拡張室32よりロール側の内周に、転がり軸受42が保持されている。こうして、筒部材20は、転がり軸受41と転がり軸受42によって、軸部材10に対して回転自在に支持されている。
次に、トルクリミッタ15の動作について説明する。
モータの回転トルクをロールに伝達するときには、液圧拡張室32に油等の液体が高圧で封入されている。この圧力によって、液圧拡張室32が径方向に広がるので、スリーブ23が径方向内方に付勢され、スリーブ23の内周摩擦面24が軸部材10の外周摩擦面12に押し付けられている。このため、外周摩擦面12と内周摩擦面24との間の摩擦力によって、モータの動力をロールに伝達することができる。
断面略L字形状の係止部材36は、径方向延在部54と、軸方向延在部55とを有する。径方向延在部54は、軸部材10の外周から液圧装置31の端面に沿って略径方向に延びている。軸方向延在部55は、径方向延在部54の径方向外方の端部につながって、液圧装置31の外周面26(外筒部材34の外周面26である)に沿って軸方向に延在している。係止部材36の軸方向延在部55は、封止バルブ35の一端部と周方向に係合されている。
液圧拡張室32に油等が高圧で封入されているときには、軸部材10と筒部材20は同時に回転する。したがって、係止部材36及び封止バルブ35は、相対的な位置を保持した状態で回転軸線mの周りを回転する。
一方、スラブの噛み込み等によってロールがロックしたときには、軸部材10の回転が停止する。モータの駆動トルクは外周摩擦面12と内周摩擦面24との間の摩擦力より大きいので、外周摩擦面12と内周摩擦面24との間ですべりが生じる。このとき、スリーブ23が回転するのに伴って、液圧装置31が回転する。軸部材10がロックしているので、封止バルブ35が、係止部材36に対して周方向に相対的に変位する。このため、外筒部材34より径方向に突出した封止バルブ35の頭部が切断される。これにより、液圧拡張室32の油が外部に流出して、液圧拡張室32の圧力が低下するので、軸部材10と筒部材20の摩擦係合が解除される。こうして、トルクリミッタ15は、過負荷が作用した時に、動力の伝達を遮断することができる。なお、軸方向延在部55の内周と外筒部材34の外周との間にはわずかなすきまが設けられている。したがって、係止部材36は、液圧装置31の回転を阻害しない。
図1から図3によって、液圧装置31に形成されている液圧拡張室32、及び、油だまり37,38の形態について詳細に説明する。以下の説明では、ロール側に形成されている油だまり37を第1油だまりといい、モータ側に形成されている油だまり38を第2油だまりという。
図2は、本実施形態の第1油だまり37の軸方向断面図であり、従来構造におけるロール側油だまり81の形状を重ねて示している。図2では、従来構造の形状を実線で示すとともに、本実施形態の形状を破線で示している。図3は、本実施形態の第2油だまり38の軸方向断面図であり、図2と同様に、従来構造におけるモータ側油だまり82の形状を重ねて示している。
なお、図2及び図3においても、図1と同様に、図の右側をロール側、左側をモータ側という。
図1に示したように、液圧装置31では、内筒部材33が外筒部材34の内周に同軸にはめ合わされており、軸方向の両端部で互いに溶接接合されることによって、液圧拡張室32、及び、油だまり37,38が形成されている。
内筒部材33は、炭素鋼で形成されており、筒状部58と、環状の第1突出部59とを有する。筒状部58は回転軸線mと同軸の円筒形状である。その外周面60は回転軸線mと同軸の円筒面であって、軸方向中央の所定の領域は、液圧拡張室32の径方向内方の周面を形成している。第1突出部59は、全周にわたって筒状部58のロール側の軸端から径方向外方に突出している。
外筒部材34は、炭素鋼で形成されており、内筒部材33の筒状部58と径方向に対向する内周面63を有している。内周面63は、回転軸線mと同軸の円筒面で、液圧拡張室32の径方向外方の周面を形成している。内周面63と外周面60は、径方向にすきまをもって対向しており、軸方向の両端部では中央部に比べて小さいすきまになっている。
外筒部材34には、内周面63よりロール側に所定寸法離れた位置において、外筒部材34の内周から径方向内方に突出する第2突出部64が形成されている。また、内周面63よりモータ側では、内周面63よりモータ側に所定寸法離れた位置において、外筒部材34の内周から径方向内方に突出する第3突出部65が形成されている。第3突出部65は、径方向内方に突出する径方向突出部66と、その内周端からロール側に向けて屈曲した軸方向突出部67とを有している。
次に、図2を参照して説明する。内筒部材33と外筒部材34とを組み合わせたときには、内筒部材33のロール側では、第2突出部64の内周は、第1突出部59の外周と接している。当該接触部が全周にわたって溶接接合されることによって、第1突出部59と第2突出部64とが一体化されている。すなわち、第1部材としての内筒部材33の軸方向の一端と、第2部材としての外筒部材34の軸方向の一端とが、液圧拡張室32の軸方向外側で、全周にわたって環状の溶接部83で接合されている。これにより、液圧拡張室32と連通する第1油だまり37が形成されている。
第1油だまり37は、外筒部材34のロール側に径方向に形成された側面g、側面gの外周端につながり回転軸線mと同軸で円筒形状の円筒面f、第1突出部59及び第2突出部64のモータ側に径方向に形成された側面a及びh、筒状部58の外周面60、及び、これらをつなぐ円弧1、円弧2を備えている。これらの第1油だまり37を形成する各面を「第1油だまりの内周面」という場合がある。軸方向断面では、側面a及び外周面60は、円弧1によって滑らかにつながっており、側面h及び円筒面fは、円弧2によって滑らかにつながっている。
本実施形態(破線)では、円弧1及び円弧2のロール側の端が、溶接部83の近傍まで延在している。これにより、円弧1及び円弧2の曲率を可能な限り小さくすることが出来る。
次に、図3を参照して説明する。また、内筒部材33のモータ側では、軸方向突出部67のロール側端部と、筒状部58のモータ側端部とが接している。当該接触部が全周にわたって溶接接合されることによって、第3突出部65と筒状部58とが一体化されている。すなわち、第1部材としての内筒部材33の軸方向の他端と、第2部材としての外筒部材34の軸方向の他端とが、液圧拡張室32の軸方向外側で、全周にわたって環状の溶接部84で接合されている。これにより、液圧拡張室32と連通する第2油だまり38が形成されている。
第2油だまり38は、外筒部材34のモータ側に径方向に形成された側面c、側面cの外周端につながり回転軸線mと同軸で円筒形状の円筒面b、第3突出部65のロール側に径方向に形成された側面d、軸方向突出部67の外周に形成され回転軸線mと同軸で円筒形状の円筒面e、筒状部58の外周面60、及び、これらをつなぐ円弧3、円弧4を備えている。これらの第2油だまり38を形成する各面を「第2油だまりの内周面」という場合がある。軸方向断面では、円筒面b及び側面dは、円弧3によって滑らかにつながっており、円筒面e及び側面dは、円弧4によって滑らかにつながっている。
本実施形態(破線)では、円弧4のロール側の端が、溶接部84の近傍まで延在している。このため、円弧4、及びこれと径方向に対向する円弧3の曲率を可能な限り小さくすることができる。
液圧拡張室32に高圧で油を封入した時の、各油だまり37,38の内周面に生じる応力について、図2、図3によって説明する。
液圧拡張室32に油を封入することにより、外筒部材34の内周面63と内筒部材33の外周面60とが互いに径方向に離れる向きに付勢される。外筒部材34及び内筒部材33に作用する力Fを、白抜き矢印で示している(図2参照)。
第1油だまり37では、力Fによって、外筒部材34と内筒部材33を接合する溶接部83の近傍で引張応力が生じる。
そこで、従来構造(実線)では、円筒面fの内径寸法D2を内周面63の内径寸法D1より大径とすることによって、液圧拡張室32より径方向断面積が大きい第1油だまり37を形成している。これにより、外筒部材34と内筒部材33の接合部に生じる応力を、第1油だまり37の内周面に分散することができる。
しかしながら、従来構造では、トルクリミッタ80が作動したときに飛散する油の量を低減する等のために、油だまり81の容積が小さいものとなっていた。このため、円弧1及び円弧2に相当する円弧の曲率を大きくせざるを得ず、図2におけるE1、E2で示した領域に応力集中が生じて、局所的に高い応力が生じていた。
これに対して、本実施形態(破線)では、円弧1及び円弧2のロール側の端が、溶接部83の近傍まで延在することにより、円弧1及び円弧2が、従来構造に比べて小さい曲率で形成されている。このため、第1油だまり37の内周面に局所的な応力の集中が生じるのを防止することが出来る。また、円弧1及び円弧2が溶接部83と重ならないので、溶接部83に局所的な応力集中が生じることがない。
こうして、本実施形態では、第1油だまり37の内周面に局所的な応力の集中が生じるのを防止しつつ、力Fが作用したときの応力を第1油だまり37の内周面に分散することができる。これにより、液圧拡張室32の破損をより確実に防止することができる。
第2油だまり38についても、図3に示すように、外筒部材34及び内筒部材33に作用する力Fによって、径方向突出部66のロール側の側面dに引張応力が生じる。このため、第1油だまり37と同様に、第2油だまり38の内周面で局所的に応力が高くなる。
そこで、従来構造(実線)における第2油だまり38では、円筒面bの内径寸法D3を内周面63の内径寸法D1より大径とすることによって、液圧拡張室32より径方向断面積が大きい第2油だまり38を形成している。これにより、外筒部材34と内筒部材33の接合部に生じる応力を、第2油だまり38の内周面に分散することができる。
しかしながら、従来構造では、円弧3、円弧4に相当する円弧の曲率を大きくせざるを得ず、図3におけるE3で示した領域で応力集中が生じて、局所的に高い応力が生じていた。
これに対して、本実施形態(破線)では、円弧4のロール側の端が、溶接部84の近傍まで延在することにより、円弧3及び円弧4が、従来構造と比べて小さい曲率で形成されている。このため、第2油だまり38の内周面に局所的な応力の集中が生じるのを防止することが出来る。また、円弧4が溶接部84と重ならないので、溶接部84に局所的な応力集中が生じることがない。
こうして、本実施形態では、第2油だまり38の内周面に局所的な応力の集中が生じるのを防止しつつ、力Fが作用したときの応力を第2油だまり38の内周面に分散することができる。これにより、液圧拡張室32の破損をより確実に防止することができる。
次に、各油だまり37,38に挿入されているスペーサ71,72について説明する。
本実施形態では、円弧1から円弧4の曲率が格段に小さく形成されている。これに伴って、各油だまり37,38の容積が増大するが、スペーサ71,72を挿入することによって、各油だまり37,38の容積の増大を実質的に抑制している。
スペーサ71,72は、炭素鋼で形成されている。図4は、スペーサ71の形態を説明するための説明図であって、図1において矢印Zの方向から見たときの、第1油だまり37に組付けられたスペーサ71の形状を示している。
スペーサ71は、全体として略円環状であって、周方向に複数の分割片に分割されている。本実施形態では、スペーサ71の組み付けを容易にするため、3つの分割片に分割されているが、この個数に限定されるものではない。
スペーサ71の各分割片には、第1油だまり37に挿入した状態において、軸方向に貫通するボルト穴73が複数形成されている。第1油だまり37を画定する外筒部材34の側面g(図1参照)には、当該ボルト穴73に対応する位置で、軸方向にねじ穴が設けられている。各分割片は、外筒部材34と内筒部材33とが溶接接合される前に、外筒部材34にボルト74で固定されている。
本実施形態では、スペーサ71を複数の分割片に分割するとともに、各分割片の周方向の長さLの和が、分割されていないと仮定したときの全周の長さより小さくされている。このため、各分割片を一つずつ順に挿入することによって、第2突出部64の内側に容易に挿入することができる。
図1に示すように、スペーサ71の軸方向寸法W1は、第1油だまり37の軸方向寸法H0よりわずかに小さい。また、スペーサ71の外径面及び内径面と、側面77とは、それぞれ回転軸線mに対して概ね45°に傾斜した円すい面75でつながっている。これによって、スペーサ71の外径面及び内径面を、円筒面f及び外周面60に接近させた場合であっても、スペーサ71が円弧1及び円弧2と接触することがない。
これにより、スペーサ71と円弧1及び円弧2とが接触することによる、局所的な応力集中の発生を防止できる。また、スペーサ71と第1油だまり37の内周面とのすきまを小さくすることによって、第1油だまり37の容積を実質的に減少させることが出来る。
また、スペーサ71の側面77には、凹部76が形成されている。軸方向断面では、凹部76は円弧形状である。スペーサ71が第1油だまり37に挿入されたときには、凹部76は、溶接部83と軸方向に対向する位置に形成されており、溶接部83から離れる向きに凸となっている。
凹部76は、溶接による影響を回避するために設けられている。内筒部材33と外筒部材34は、組み合わされた後、ロール側から溶接されている。このとき、溶接部83では、溶融した金属がスペーサ71側に盛り上がる場合がある。本実施形態では、凸部を形成しているので、溶融した金属が盛り上がった場合であっても、スペーサ71と接触しない。
このため、トルクリミッタ15の使用中においても、スペーサ71と溶接部83とが接触しないので、溶接部83に局所的な応力の集中が生じるのを防止することができる。
第2油だまり38においても、スペーサ72が挿入されている。第2油だまり38では、第1油だまり37の場合に比べて、外筒部材34へのスペーサ72の取付方法が異なっている。第2油だまり38では、円筒面bに径方向にねじ穴が形成されていて、各分割片が径方向に装着される。
第2油だまり38においても、あらかじめスペーサ72が挿入された後、内筒部材33と外筒部材34が組み合わされて、内周側から溶接されている。
スペーサ72の軸方向長さH2は、外筒部材34における、側面cと第3突出部65との軸方向のすきまH3とほぼ等しいか僅かに小さい寸法である。また、スペーサ72の内径寸法D4は、筒状部58の外径寸法D5よりわずかに大径である。
こうして、スペーサ72と第2油だまり38の内周面とのすきまを小さくすることによって、第2油だまり38の容積を実質的に減少させることが出来る。
また、スペーサ72の内周には、凹部78が形成されている。軸方向断面では、凹部78は円弧形状である。スペーサ72が第1油だまり38に挿入されたときには、凹部78は、溶接部84と径方向に対向する位置に形成されており、溶接部84から離れる向きに凸となっている。
凹部78は、スペーサ71における凹部76と同様に、溶接による影響を回避するために設けられており、溶接部84において、溶融した金属が盛り上がった場合であっても、スペーサ72と接触しない。
このため、トルクリミッタ15の使用中においても、スペーサ72と溶接部84とが接触しないので、溶接部84に局所的な応力の集中が生じるのを防止することができる。
なお、スペーサ71,72の材質は、溶接による熱影響を受けて変形しないものであればよく、銅やアルミニウムなどを適宜使用できる。
以上説明したように、本実施形態の各油だまり37,38では、各油だまり37,38の内周面に局所的に高い応力が生じるのを防止して、液圧拡張室32の破損を防止することができるとともに、外筒部材34とは別部材のスペーサ71.72が配置されることによって、封入される油の体積を大幅に削減することができる。
このため、本実施形態では、トルクリミッタ15が作動して封止バルブ35が切断された場合であっても、飛散する油の量が少ないので使用環境の悪化を防止できる。また、トルクリミッタ15に再度油を封入するときには、短時間で封入することができるので、圧延設備の稼働率が向上する。更に、油の消費量を削減できるので、圧延コストを削減することができる。
こうして、本実施形態のトルクリミッタ15では、液圧拡張室32の破損を防止して長期にわたって安定して作動するとともに、油の使用量を抑制することができる。
本実施形態では、液圧拡張室32の軸方向両側にそれぞれ第1油だまり37及び第2油だまり38を形成しているが、いずれか一方であってもよい。液圧装置31の搭載スペースに余裕がある場合には、内筒部材33及び外筒部材34の板厚を増大する等によって、液圧拡張室32の破損をより確実に防止できる。
尚、本実施形態のトルクリミッタ15では、液圧拡張室32が、筒部材20の内部に形成されていたが、液圧拡張室32は、軸部材10の内部に形成されていても良い。
この場合、例えば、封止バルブ35は、軸方向に延在するように設置され、その先端部が、軸部材10の軸方向の端面よりも軸方向に突出するように設置される。封止バルブ35の先端部を係止する係止部材36は、筒部材20に設置され、軸部材10の軸方向の端面に沿って径方向に延在するように設置される。これにより、軸部材10が筒部材20に対して相対回転した場合に、封止バルブ35の先端部を破壊することができて、高価な機械の破損を防止することができる。
また、本実施形態のトルクリミッタ15では、筒部材20において、軸部材10と摩擦係合する内周摩擦面24を有する連結部材21と、液圧拡張室32を有する液圧装置31とが別体であったが、連結部材21と液圧装置31とが一体に形成された構成であっても良い。
また、本実施形態のトルクリミッタ15では、液圧拡張室32を径方向に拡張するために使用する液体が油であったが、これに限定されるものではなく、水等、油以外の如何なる液体であっても良い。
10:軸部材、12:外周摩擦面、15:トルクリミッタ、20:筒部材、21:連結部材、23:スリーブ、24:内周摩擦面、26:外周面(液圧装置)、31:液圧装置、32:液圧拡張室、33:内筒部材、34:外筒部材、35:封止バルブ、36:係止部材、37:第1油だまり、38:第2油だまり、58:筒状部、59:第1突出部、60:外周面、63:内周面、64:第2突出部、65:第3突出部、66:径方向突出部、67:軸方向突出部、71:スペーサ、72:スペーサ、76:凹部、78:凹部
(従来技術)80:トルクリミッタ、81:油だまり、82:油だまり、83:溶接部、84:溶接部

Claims (2)

  1. 軸部材と、この軸部材に外嵌した筒部材とを備え、
    前記軸部材及び前記筒部材のうちの一方の部材は、その一方の部材と、前記筒部材及び前記軸部材のうちの他方の部材との間でトルクの伝達を行うときに、前記一方の部材の周面を前記他方の部材の周面に向けて押し付けるための液圧拡張室を有し、
    前記液圧拡張室は、前記一方の部材の略軸方向に延在し、
    前記一方の部材は、
    前記一方の部材の周面を有する環状の第1部材と、
    前記第1部材に前記液圧拡張室を介して対向する環状の第2部材と、
    前記第1部材と前記第2部材とを前記液圧拡張室の軸方向両外側において互いに接合する環状の溶接部と、
    前記液圧拡張室の軸方向の少なくとも一方側において、前記液圧拡張室に連通するとともに前記液圧拡張室より大きい径方向断面積を有する油だまりを備えており、
    前記油だまりには、前記一方の部材とは別部材のスペーサが配置されていることを特徴とするトルクリミッタ。
  2. 請求項1に記載のトルクリミッタにおいて、
    前記スペーサの前記溶接部と対向する面には、前記溶接部から離れる向きに凸となる凹部を有することを特徴とするトルクリミッタ。
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