JP2018012852A - 凝集体およびその製造方法、ならびにこの凝集体を用いた被膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明は、非溶融粒子積層法に好適に用いることができる凝集体、およびそその製造方法を提供することをその目的とする。
第1の実施形態による凝集体は、非溶融粒子積層法に用いるのに特に適したものである。ここで、非溶融粒子積層法とは、微細な粒子や凝集体等を高速で被覆対象物に衝突させ、被覆対象物の表面に粒子や凝集体を堆積させて被膜を形成させるものである。ここで、粒子は実質的に高温に付されること無く、すなわち溶融されることなく、積層される。したがって、その被膜形成プロセスは一般的な溶射とは異なっている。なお、この非溶融粒子積層法は、コールドスプレー法と呼ばれることもある。
本実施形態において、凝集体の平均粒子径は、0.1μm〜100μmであり、1μm〜50μmであることがより好ましく、5μm〜20μmであることがさらに好ましい。
凝集体の平均粒子径を上記数値範囲とすることにより、非溶融粒子積層法による被膜施工時に運動する凝集体が持つ運動エネルギーが不足または過剰となってしまうことを防止することができ、良好な被膜を形成することができる。また、凝集体が、使用する装置のノズルを閉塞したりすることを防止することができる。
凝集体の平均粒子径は、レーザー回折法により測定することができる。レーザー回折による粒子径測定装置は市販されており、任意のものを用いて測定することができる。例えば、HORIBA LA−950を用いて測定することができる。
結晶性粒子および非晶性粒子の平均粒子径の平均粒子径を上記数値範囲とすることにより、粒子は、凝集するのに十分な表面積を有することとなり、緻密な被膜形成を行うのに適した凝集体とすることができる。
より好ましくは、結晶性粒子の平均粒子径は、1μm〜50μmであり、さらに好ましくは、5μm〜20μmである。
より好ましくは、非晶性粒子の平均粒子径は、1μm〜50μmであり、さらに好ましくは、5μm〜20μmである。
結晶性粒子および非晶性粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡などを用い、材料を観察した画像を解析することにより求められる。例えば、以下の方法により求めることができる。まず、透過型電子顕微鏡で材料を観察し、各粒子の投影断面積を測定する。その投影断面積から球換算した粒子の直径を求める。同様の操作を、例えば200個以上の各粒子について行って、粒子径の算術平均径を平均粒子径とする。
他の実施形態において、凝集体は、図2に示されるように、結晶性粒子(1)の凝集物を核とし、その周囲に非晶性粒子(2)が凝集したものであってもよい。この実施形態において、凝集物の平均粒子径は、例えば、0.05〜100μmとすることができる。凝集物の平均粒子径は、レーザー回折法により測定することができる。
このような構造が形成される理由は、以下の通りであると推定されている。実施形態による凝集体を高速で被覆対象物に衝突させると、非晶性粒子が、非晶質相として、結晶性粒子からなる結晶質相中に分散し、結晶質相同士を結合させるよう働くものと考えられる。
一実施形態において、凝集体の製造方法は、結晶性粒子および非晶性粒子を混合し、混合物を得る工程と、混合物を凝集させる工程とを含んでなる。
また、一実施形態において、混合物を得る工程の前に、先に結晶性粒子を凝集させ、凝集物を得た後、これを、非晶性粒子と混合、凝集させることにより凝集体を得ることができる。
また、一実施形態において、得られた凝集体をふるい等を用いて分級し、所望の大きさの凝集体を得る工程を含んでいてもよい。
例えば、焼成温度は、1400℃以下であることが好ましく、1000℃以下であることがより好ましい。
また、結晶性粒子と非晶性粒子の凝集性の観点からは、焼成温度は、300℃以上であることが好ましく、500℃以上であることがより好ましい。
なお、先に結晶性粒子を焼成し、凝集物を得る場合、例えば、700〜900℃程度の温度とすることができる。
具体的には、(A)結晶性粒子および非晶性粒子を混合し、混合物を得た後、これを焼成し、次いで応力を加えることにより凝集物を得る方法、(B)結晶性粒子を焼成し、凝集物を得、これを非晶性粒子と混合し、応力を加えることにより凝集物を得る方法、(C)結晶性粒子に対し応力を加え、凝集物を得、これを非晶性粒子と混合し、焼成することにより凝集物を得る方法等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
実施形態による上記凝集体を用いた被膜の形成方法は、凝集体を溶融させることなく被覆対象物に高速で衝突させ、前記被覆対象物の表面に凝集体を含む被膜を形成させる工程を含む。
このため、材料が有する優れた特性を被膜に付与するために、凝集体に含まれる粒子を溶融させることなく、固相状態のまま被膜を形成させることが好ましい。粒子を固相状態のままで被膜とするためには、凝集体に含まれる粒子を大きく変形させる強加工が必要となる。このため、被覆対象物に衝突する凝集体の運動エネルギーを支配する速度は、100m/s以上であることが好ましく、500m/s以上であることがより好ましい。
なお、優れた特性を有する被膜を、比較的短時間で形成させるためには、凝集体に十分な運動エネルギーを与えることが好ましい。このような観点から、作動ガス圧力は0.5MPa以上であることが好ましく、0.8MPa以上であることがより好ましい。
実施形態による凝集体を用いて形成させた被膜は、各種機器に優れた特性を付与し得るものである。その例を挙げると以下の通りである。
また、実施形態による被膜は、固体電解質型燃料電池の固体電解質膜に好適に用いることができる。
また、実施形態による被膜は、ガスセンサー用固体電解質膜として用いることができる。
また、実施形態による被膜は、加工工具の被覆材料として用いることが好ましい。摩耗しやすい工具の先端部を被覆する被膜に用いることで、加工工具の寿命を延ばし、高性能を維持することができる。
また、実施形態による被膜は、歯科治療材料に用いることができる。
実施形態による被膜の形成に使用することができる被膜形成装置は、特に限定されるものではない。しかしながら、コールドスプレー装置と、スプレー部のみを局所的に排気する装置とを具備したものであることが好ましい。本実施形態による凝集体は、低温であっても被膜を形成することが可能であるため、被膜形成装置を小型化することができ、大型装置などがすでに設置された現場において被膜を形成することができる。このような場合、被膜を形成させる環境が、製造専用ではないため、排気装置も併設することが好ましい。この場合、スプレー装置のスプレー部分だけを局所的に吸引する排気装置を併設すればよい。
図1の凝集体において、結晶性粒子(1)および非晶性粒子(2)は、特段の偏りなく凝集体において分布する。
図2の凝集体において、結晶性粒子(1)が凝集物の核を形成し、その周囲に非晶性粒子(2)が凝集する。
しかしながら、これに限定されるものではなく、粒子の大きさが異なったものや、粒子が3種類以上混在するもの、また粒子形状が異なる粒子を含むものなどが挙げられる。
図3において、格子縞の観察や、電子線回折パターンの観察等から、暗いコントラストの部分が結晶質相(3)であり、明るい部分が非晶質相(4)であることが明らかになった。このように実施形態による被膜は、非晶質相(3)が結晶質相(4)を強固に結合することによって、緻密な被膜の形成がなされていることが明らかになった。
2…非晶性粒子
3…結晶質相
4…非晶質相
5…コンプレッサー
6…加熱用ヒーター
7…スプレーガン本体
8…ラバルノズル
9…供給ガス
10…供給部
11…基板(被覆対象物)
12…被膜
Claims (11)
- 結晶性粒子と、非晶性粒子との凝集体であって、
前記結晶性粒子および前記非晶性粒子の平均粒子径が、1μm以下であり、
平均粒子径が、0.1μm〜100μmである、凝集体。 - 前記結晶性粒子が、炭化ケイ素または窒化ケイ素の粒子である、請求項1に記載の凝集体。
- 前記非晶性粒子が、酸化ケイ素である、請求項1または2に記載の凝集体。
- 前記結晶性粒子と、前記非晶性粒子との配合比が、個数基準で、1:1〜1:50である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の凝集体。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の凝集体の製造方法であって、
平均粒子径が1μm以下の結晶性粒子および非晶性粒子を混合し、混合物を得る工程と、
前記混合物を凝集させる工程と、を含んでなる方法。 - 前記混合物を得る工程の前に、前記結晶性粒子を凝集させ、凝集物を得る工程をさらに含んでなる、請求項5に記載の方法。
- 前記混合物の凝集が、前記非晶性粒子の結晶化開始温度以下で前記混合物を焼成することにより行われる、請求項5または6に記載の方法。
- 前記混合物の凝集が、前記混合物に対し、応力を加えることにより行われる、請求項5または6に記載の方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の凝集体を、溶融させることなく被覆対象物に高速で衝突させ、前記被覆対象物の表面に凝集体を含む被膜を形成させる工程を含んでなる、被膜の形成方法。
- 作動ガス圧力が1MPa未満であるコールドスプレー装置を用いる、請求項10に記載の方法。
- 前記凝集体の前記被覆対象物へ衝突する際の速度が、100m/s以上である、請求項10に記載の方法。
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