JP2018012347A - 駆動システム、制御装置、及びビークル - Google Patents

駆動システム、制御装置、及びビークル Download PDF

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Abstract

【課題】燃料効率の低下を抑えつつ、トルクの増大の要求に対応した調整を行うことができる駆動システム等を提供する。【解決手段】前記駆動システムは、エンジン出力調整部を有するエンジンと、ステータコアの磁気抵抗を変えることによって前記巻線のインダクタンスを変え、前記発電機から出力される電流を調整する供給電流調整部とを有する発電機と、前記回転推進機構に直接的又は間接的に着脱可能に接続され、前記発電機から出力された電力で駆動されて前記回転推進機構に回転パワーを出力するように構成されたモータと、前記駆動システムから前記回転推進機構に出力するトルクとして前記駆動システムに要求されるトルクに関するトルク要求に応じて、前記エンジン出力調整部、及び、前記巻線のインダクタンスを変えることによって電流を調整する前記供給電流調整部の両方を制御するように構成された制御装置とを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、駆動システム、及びビークルに関する。
例えば、特許文献1には車両が示されている。特許文献1に示す車両は、ハイブリッド車両である。前記車両は、エンジン、アクセルペダル、第1回転電機、第2回転電機、及び駆動輪を備えている。第1回転電機は、エンジンの出力軸に連結されている。第1回転電機は、主に発電機として機能する。第2回転電機は、第1回転電機と電気的に接続されている。第2回転電機は、主にモータとして機能する。第1回転電機及び第2回転電機に電流が流れることによって、力行が行われる。第2回転電機は、車両の駆動輪に連結されている。第2回転電機は、車両駆動力を発生する。
特許文献1に示すような車両において、運転者によるアクセルペダルの踏込みは、車両の加速要求を表す。特許文献1に示すような車両が電子制御スロットル装置を備える場合、エンジンの吸入空気量が任意に調整可能である。従って、例えば、以下のように車両の制御が行われる。運転者によるアクセルペダルの踏込み量と車速とに基づいて第2回転電機(モータ)の目標出力が決定される。第2回転電機の目標出力に応じて第1回転電機(発電機)の目標発電電力が決定される。この目標発電電力に応じてエンジンの目標出力が決定される。この目標出力が得られるようにエンジンの吸入空気量及び燃料噴射量が制御される。この制御において、第1回転電機では発電電力が制御され、第2回転電機では出力が制御される。また、特許文献1に示すような車両において、アクセルペダルとエンジンのスロットルとが機械的に連結されている場合には、エンジンの実出力に合わせて第1回転電機の発電電力と第2回転電機の出力とが制御される。このように、特許文献1では、回転電機の電力(出力)が制御されており、様々な特性を有する複数の車種への適用が図られている。
特開2002−345109号公報
特許文献1に示すような車両では、駆動輪の回転パワーを制御するために、エンジンの吸入空気量及び燃料噴射量が制御される。特許文献1に示すような車両では、駆動輪のトルクを増大させる場合、エンジンの吸入空気量及び燃料噴射量を増大させる。駆動輪のトルクを増大させる場合は、例えば、車両の加速を行う状況である。エンジンの吸入空気量及び燃料噴射量を増大させることによって、エンジンの回転速度が増大する。即ち、エンジンが出力する回転パワーが増大する。この結果、発電機として機能する第1回転電機から出力される電流が増大し、第2回転電機に供給される電流が増大する。第2回転電機に供給される電流の増大によって、駆動輪のトルクが増大する。しかしながら、発電機から出力される電流は、発電機の回転速度の増大に比べて増大し難いという問題があった。
このため、特許文献1に示すような車両では、第2回転電機から駆動輪へ出力されるトルクを増大するために、発電される電流を増大しようとすると、エンジンの出力パワーを過剰に増大することが求められる。そのため、燃料効率が低下する場合があった。また、エンジンの出力パワーに応じて増大する電圧への対応のため、燃料効率が低下する場合があった。
本発明の目的は、燃料効率の低下を抑えつつ、トルクの増大の要求に対応した調整を行うことができる駆動システム、制御装置、及びビークルを提供することである。
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
(1) 回転推進機構を有するビークルに搭載され、前記回転推進機構を駆動する駆動システムであって、
前記駆動システムは、
回転パワーを出力するエンジンであって、前記回転パワーを調整するエンジン出力調整部を有するエンジンと、
前記エンジンから回転パワーを受けるとともに、前記エンジンから伝達される回転パワーに応じた電力を出力するように構成された発電機であって、永久磁石を有し前記エンジンから伝達される回転パワーにより回転するロータと、巻線及び前記巻線が巻かれたステータコアを有し前記ロータと対向して配置されたステータと、前記巻線から見た前記ステータコアの磁気抵抗を変えることによって前記巻線のインダクタンスを変え、前記発電機から出力される電流を調整する供給電流調整部とを有する発電機と、
前記回転推進機構と直接的又は間接的に着脱可能に接続され、前記発電機から出力された電力で駆動されて前記回転推進機構に回転パワーを出力するように構成されたモータと、
前記駆動システムから前記回転推進機構に出力するトルクとして前記駆動システムに要求されるトルクに関するトルク要求に応じて、前記エンジン出力調整部、及び、前記巻線のインダクタンスを変えることによって電流を調整する前記供給電流調整部の両方を制御するように構成された制御装置と
を備える。
(1)の駆動システムでは、エンジン出力調整部が、エンジンから出力される回転パワーを調整する。エンジンに接続された発電機のロータが回転パワーを受け回転する。この時、ロータに備えられた永久磁石の磁束が巻線に作用する。これによって、誘導起電圧が生じる。誘導起電圧に起因して電力が出力される。発電機は、エンジンの回転パワーに応じた電力を出力する。供給電流調整部は、発電機の巻線のインダクタンスを変えることによって発電機から出力される電流を調整する。これによって、モータから回転推進機構に出力される回転のトルクが増大する。
発電機において、巻線から見たステータコアの磁気抵抗を変える場合の電圧変化に対する電流変化の度合いは、エンジンの出力を変える場合と異なる。例えば、巻線から見たステータコアの磁気抵抗を変えることによって、電圧の変化に対して電流がより大きく変化する。
(1)の駆動システムでは、制御装置が、トルク要求に応じてエンジン出力調整部及び供給電流調整部の両方を制御する。これによって、(1)の駆動システムは、エンジンの回転パワーの過剰な増大、及び電圧の過剰な増大を抑えつつ、回転推進機構に出力するトルクを増大させることができる。またさらに、制御装置が、エンジン出力調整部及び供給電流調整部の両方を制御するため、エンジンの回転パワーの調整と、巻線のインダクタンス調整とが統合的に制御される。これによって、エンジン出力調整部及び供給電流調整部は、エンジンの回転パワーの過剰な増大、及び電圧の過剰な増大を抑えつつ、回転推進機構に出力するトルクを増大させる調整を行うことができる。このため、回転パワーの過剰な増大、及び電圧の過剰な増大に起因する損失が抑えられる。従って、(1)の駆動システムによれば、燃料効率の低下を抑えつつ、トルクの増大の要求に対応した調整を行うことができる。
(2) 請求項1に記載の駆動システムであって、
前記供給電流調整部が、
前記制御装置による制御に応じて前記巻線から見た前記ステータコアの磁気抵抗を変えることによって、前記巻線と鎖交する磁束の変化率が前記巻線のインダクタンスの変化率よりも小さくなるように前記巻線のインダクタンスを変え、供給する電流を調整するように構成されている。
(2)の構成によれば、供給電流調整部は、巻線と鎖交する磁束の変化率が巻線のインダクタンスの変化率よりも小さくなるように巻線のインダクタンスを変える。巻線と鎖交する磁束は、電圧及び電流に影響を与える。巻線のインダクタンスは、主として電流に影響を与える。従って、供給電流調整部は、電圧の変化率を電流の変化率よりも小さく抑えつつ、供給する電流を調整することができる。このため、供給電流調整部は、電圧による制約の影響を抑えつつ電流を調整することができる。従って、(2)の構成によれば、燃料効率の低下を更に抑えつつ、トルクの増大の要求に対応することができる。
(3) (1)又は(2)の駆動システムであって、
前記供給電流調整部が、
前記制御装置による制御に応じて前記巻線に対する前記ステータコアの相対位置を移動させて、前記巻線から見た前記ステータコアの磁気抵抗を変えることによって前記巻線のインダクタンスを変え、前記発電機から出力される電流を調整するように構成されている。
(3)の構成によれば、供給電流調整部が、巻線に対するステータコアの相対位置を移動させて、巻線から見た前記ステータコアの磁気抵抗を変える。従って、巻線のインダクタンスが変更され易い。このため、モータに供給される電流が調整され易い。従って、モータから出力されるトルクの調整が行われ易い。
(4) (3)の駆動システムであって、
前記供給電流調整部が、
前記制御装置による制御に応じて前記ロータに対する前記ステータコアの相対位置を維持するように前記巻線に対する前記ステータコアの相対位置を移動させて、前記巻線から見た前記ステータコアの磁気抵抗を変えることによって前記巻線のインダクタンスを変え、前記発電機から出力される電流を調整するように構成されている。
(4)の構成によれば、ロータに対するステータコアの相対位置を維持するように巻線に対するステータコアの相対位置が移動する。従って、ロータの永久磁石からステータコアに流れる磁束の変化が抑えられる。つまり、永久磁石で生じ巻線と鎖交する磁束の変化が抑えられる。このため、巻線に対するステータコアの相対位置が移動するときの、電圧の変化が抑えられる。従って、(4)の構成によれば、燃料効率の低下を更に抑えつつ、トルクの増大の要求に対応することができる。
(5) (1)又は(2)の駆動システムであって、
前記供給電流調整部が、
前記制御装置による制御に応じて、前記巻線を移動させて前記巻線から見た前記ステータコアの磁気抵抗を変えることによって前記巻線のインダクタンスを変え、前記発電機から出力される電流を調整するように構成されている。
(5)の構成によれば、ロータに対するステータコアの相対位置を維持するようにステータコアに対する巻線の相対位置が移動する。従って、ロータの永久磁石からステータコアに流れる磁束の変化が抑えられる。つまり、永久磁石で生じて巻線と鎖交する磁束の変化が抑えられる。このため、巻線に対するステータコアの相対位置が移動するときの、電圧の変化が抑えられる。従って、(5)の構成によれば、燃料効率の低下を更に抑えつつ、トルクの増大の要求に対応することができる。
(6) (1)又は(2)の駆動システムであって、
前記ステータは、前記ロータにエアギャップを介して対面する対面部を有する複数の第一ステータ部と、前記対面部を含まない第二ステータ部とを備え、
前記供給電流調整部が、前記複数の第一ステータ部及び前記第二ステータ部の一方を他方に対して移動させることによって、前記巻線から見た前記ステータコアの磁気抵抗を変えるように構成されている。
(6)の構成によれば、供給電流調整部は、ステータコアが備える複数の第一ステータ部と、第二ステータ部の一方を他方に対して移動させる。この場合、例えばステータコアとステータコア以外の部材とのうちの一方を他方に対して移動する場合と比べて、巻線から見たステータコアの磁気抵抗が大きく変わる。このため、トルク要求に応じて、モータに供給する電流を調整できる範囲が広くなる。従って、(6)の構成によれば、エンジンの燃料効率の低下を更に抑えつつ、トルクの増大の要求に対応することができる。
(7) (6)の駆動システムであって、
前記供給電流調整部が、
前記複数の第一ステータ部のそれぞれと前記第二ステータ部との間のエアギャップ長が、前記複数の第一ステータ部のうち隣り合う第一ステータ部の間のエアギャップ長よりも短い第一状態から、
前記複数の第一ステータ部のそれぞれと前記第二ステータ部との間のエアギャップ長が、前記複数の第一ステータ部のうち隣り合う第一ステータ部の間のエアギャップ長よりも長い第二状態まで、
前記複数の第一ステータ部及び前記第二ステータ部の一方を他方に対して移動させることによって、前記巻線から見た前記ステータコアの磁気抵抗を変えるように構成されている。
(7)の構成によれば、第一状態では、複数の第一ステータ部のそれぞれと第二ステータ部との間のエアギャップ長が、複数の第一ステータ部のうち隣り合う第一ステータ部の間のエアギャップ長よりも短い。第二状態では、複数の第一ステータ部のそれぞれと第二ステータ部との間のエアギャップ長が、複数の第一ステータ部のうち隣り合う第一ステータ部の間のエアギャップ長よりも長い。
このため、第一状態では、巻線の電流に起因する磁束のうち、隣り合う第一ステータ部の間のエアギャップを通る磁束が、主に、第一ステータ部と第二ステータ部との間のエアギャップを通る。従って、巻線の電流に起因する磁束が、主に、第一ステータ部と第二ステータ部の双方を通る。これに対し、第二状態では、巻線の電流に起因する磁束が、第一ステータ部と第二ステータ部との間のエアギャップを通り難い。従って、巻線から見たステータコアの磁気抵抗がより大きく変わる。従って、(7)の構成によれば、燃料効率の低下を更に抑えつつ、トルクの増大の要求に対応することができる。
(8) (1)から(7)のいずれか1の駆動システムであって、
前記駆動システムは、前記ビークルとしての船舶に搭載される船外機であり、
前記駆動システムのモータは、前記回転推進機構としてのプロペラが直接的又は間接的に着脱可能に接続されるように構成されている。
船外機のプロペラに出力されるトルクは、船舶の進行状況に応じて変動する。(8)の構成によれば、エンジンの回転パワーの過剰な増大、及び電圧の過剰な増大を抑えつつ、プロペラに出力するトルクを増大させる調整を行うことができる。従って、(1)の駆動システムによれば、船外機の燃料効率の低下を抑えつつ、トルクの増大の要求に対応した調整を行うことができる。
(9) (1)から(7)のいずれか1の駆動システムに用いられる駆動システム用制御装置であって、
前記制御装置は、前記駆動システムから前記回転推進機構に出力するトルクとして前記駆動システムに要求されるトルクに関するトルク要求を受け付けるように構成されたトルク要求受付部と、
前記トルク要求受付部によって受付けられたトルク要求に応じて、前記エンジン出力調整部、及び、前記巻線のインダクタンスを変えることによって電流を調整するように構成された前記供給電流調整部の両方を制御する調整制御部と
を備える。
(9)の制御装置によれば、駆動システムにおける燃料効率の低下を抑えつつ、トルクの増大の要求に対応することができる。
(10) ビークルであって、
前記ビークルは、
(1)から(7)のいずれか1の駆動システムと、
前記駆動システムの前記モータに直接的又は間接的に着脱可能に接続され、前記駆動システムの駆動により回転することによって前記ビークルを推進させるように構成された前記回転推進機構と
を備える。
ビークルの回転推進機構に出力されるトルクは、ビークルの進行状況に応じて変動する。(10)のビークルは、上記の駆動システムを備えているので、燃料効率の低下を抑えつつ、トルクの増大の要求に対応することができる。
(11) (10)のビークルであって、
前記ビークルは、前記回転推進機構としての車輪を備えた車輪付きビークルであり、
前記駆動システムの前記モータは、前記車輪とは離れた位置に配置され、
前記ビークルは、前記モータから出力される回転パワーを前記車輪に伝達するように構成された伝達機構を備える。
(11)のビークルでは、伝達機構がモータから出力される回転パワーを車輪に伝達する。伝達機構の設定を変えることによって、駆動システムから伝達されるトルクの伝達特性が設定可能である。(11)のビークルによれば、駆動システムが、より広い範囲の仕様のバリエーションに対応できる。
(12) (10)のビークルであって、
前記ビークルは、前記回転推進機構としての車輪を備えた車輪付きビークルであり、
前記駆動システムの前記モータは、前記車輪の内部に配置されている。
(12)の構成によれば、車輪の内部に配置されたモータから出力されるトルクが直接車輪に伝わる。車輪に出力されるトルクについての要求が、駆動システムに対するトルク要求に直接影響する。(12)のビークルによれば、燃料効率の低下を抑えつつ、車輪に直接出力されるトルクの増大の要求に対応することができる。
(13) (10)のビークルであって、
前記ビークルは、前記回転推進機構としてのトラックベルトを備えたスノーモービルである。
(13)のスノーモービルでは、トラックベルトに出力されるトルクの要求が、スノーモービルの進行状況に応じて変動する。(13)の構成によれば、スノーモービルにおける燃料効率の低下を抑えつつ、トラックベルトに出力されるトルクの増大の要求に対応することができる。
(14) (10)のビークルであって、
前記ビークルは、前記回転推進機構としてのプロペラを備えた船舶である。
(14)の船舶では、プロペラに出力されるトルクの要求が、船舶の進行状況に応じて変動する。(14)の構成によれば、船舶における燃料効率の低下を抑えつつ、プロペラに出力されるトルクの増大の要求に対応することができる。
(15) (10)のビークルであって、
前記ビークルは、前記回転推進機構としてのインペラを備えた小型滑走艇である。
(15)の小型滑走艇では、インペラに出力されるトルクの要求が、小型滑走艇の進行状況に応じて変動する。(15)の構成によれば、小型滑走艇における燃料効率の低下を抑えつつ、インペラに出力されるトルクの増大の要求に対応することができる。
本発明の駆動システム、駆動システム用制御装置、及びビークルによれば、燃料効率の低下を抑えつつ、トルクの増大の要求に対応した調整を行うことができる。
本発明の第一実施形態に係る駆動システムが搭載されたビークルの概略構成を示すブロック図である。 図1に示す駆動システムの概略構成を示すシステム構成図である。 図2に示す発電機における供給電流調整部の調整を説明するための模式図である。 図3に示す発電機の巻線の等価回路を概略的に示す回路図である。 駆動システムの動作を説明するフローチャートである。 第二実施形態の駆動システムの発電機における供給電流調整部の調整を説明するための模式図である。 第三実施形態の駆動システムにおける発電機を示す模式図である。 (a)は、図7に示すステータの第一状態を示す模式図である。(b)は、図7に示すステータの第二状態を示す模式図である。 図7に示す発電機におけるロータの回転速度に対する出力電流特性を示すグラフである。 本発明の第四実施形態に係るビークルを示す図である。 本発明の第五実施形態に係るビークルを示す図である。 本発明の第六実施形態に係るビークルを示す図である。 本発明の第七実施形態に係るビークルを示す図である。 本発明の第八実施形態に係るビークルを示す図である。 本発明の第九実施形態に係るビークルを示す図である。
ビークルに搭載された回転推進機構を駆動する駆動システムについて、本発明者が行った検討について説明する。
例えば特許文献1に示すような車両では、運転者によるアクセルペダルの踏込量に基づいてエンジンの出力が制御される時、エンジンの出力トルクと回転速度との両方が変化する。また、エンジンの回転速度の変化は、発電機の発電電圧の変化に直接影響する。発電電圧の変化に起因して、発電機の発電電流が変化する。そのため、エンジンの出力の増加に応じて発電機の発電電流が増加するとき、その発電電流の増加は、主に発電電圧の増加に起因して生じる。さらに、発電電流は、巻線を流れる。発電電流は、巻線のインピーダンスによって妨げられる。インピーダンスは、発電機の巻線のインダクタンスと回転の角速度との積ωLとして表すことができる。エンジンの回転速度が増大すると、発電電流を妨げる巻線のインピーダンスωLが増大する。
従って、特許文献1に示すような車両では、発電機の発電電流を増加させようとすると、発電電流の増大に比べて、発電電力及び発電電圧が大きく増加してしまいやすい。例えば、エンジンの吸入空気量及び燃料噴射量を増大することによってエンジンの出力を増大させると、発電電力が過剰に増大する。本発明者は、特許文献1に示す車両では、発電機の発電電力が高くなり易いため、損失が増大することを見出した。
また、発電機の出力電圧が増大すると、電気部品の高耐圧化が必要となる。本発明者は、特許文献1に示す車両では、発電機の発電電圧即ち出力電圧が高くなり易く、電気部品の高耐圧化が必要になることを見出した。なお、発電機の出力電流は、例えば、発電機とモータの間に配置されるスイッチング素子のオン・オフ動作によって詳細に制御される。高耐圧化されたスイッチング素子は、オン時の抵抗が高いので、スイッチング素子の熱損失により効率が低下する。この結果、車両の燃費が低下する。
そして、本発明者は、上述した課題について更に検討を行った。特許文献1に示すような車両では、モータの出力トルクに大きな影響を与える電流と、モータの回転速度に大きな影響を与える電圧(回転速度及びトルク)の区別が考慮されずに出力が制御されており、電流及び電圧の連動性が高い。本発明者は、このため、上述した課題が生じることを見出した。
さらに、本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、駆動システムにおいて、エンジンの回転パワーを調整することに加えて、巻線のインダクタンスを変え電流を調整すれば、電流及び電圧の連動性を抑えることができる、という知見を得た。
本発明の駆動システムは、上述した知見に基づいて完成した発明である。即ち、本発明の駆動システムでは、回転推進機構に出力するトルクの増大が要求される場合に、制御装置がエンジン出力調整部、及び供給電流調整部を制御する。エンジン出力調整部は、エンジンの回転パワーを調整することによって、発電電圧を調整する。供給電流調整部は、駆動システムに要求される電流要求に応じて巻線から見たステータコアの磁気抵抗を変えることによって巻線のインダクタンスを変え、電気負荷装置に供給する電流を調整する。巻線から見たステータコアの磁気抵抗を変える場合の電圧変化に対する電流変化の度合いは、エンジンの回転速度を変える場合より大きい。従って、本実施形態の駆動システムは、例えばエンジンの回転速度を変えるのみの場合と比べて、電圧変化と電流変化との連動性を抑えつつ、電気負荷装置に供給する電流を調整することができる。その結果、本発明によれば、燃料効率の低下を抑えつつ、トルクの増大の要求に対応した調整を行うことができる。
またさらに、ビークルに搭載される駆動システムのモータは、回転推進機構と、直接的又は間接的に着脱可能に接続される。このため、ビークルにおいて、回転推進機構が交換可能である。回転推進機構は、ビークルの仕様又は使用者の好み等に応じて、別の仕様の機構に交換される場合がある。つまり、ビークルの仕様は、複数のバリエーションを有する。
本発明の駆動システムでは、制御装置が、エンジン出力調整部及び供給電流調整部の両方を制御する。このため、駆動システムは、ビークルの仕様のバリエーションに柔軟に対応することができる。また、駆動システムは、高い効率で、ビークルの仕様のバリエーションに対応することができる。つまり、本発明の駆動システムは、例えば、エンジンの回転パワーのみを調整する場合と比べて、燃料効率の低下を抑えつつ、ビークルの仕様の変更に対応することができる。
以下、本発明を、好ましい実施形態に基づいて図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る駆動システムPが搭載されたビークルの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すビークルVは、自動四輪車である。ビークルVは、駆動システムPと車体Dとを備えている。ビークルVの車体Dは、4つの車輪Wa,Wb,Wc,Wd、及びアクセル操作子Aを備えている。
駆動システムPは、車輪Wa〜Wdのうち、駆動輪Wc,Wdに接続されている。駆動輪Wc,Wdは、伝達機構Gを介して駆動システムPと接続されている。駆動システムPは、駆動輪Wc,Wdを回転駆動することによってビークルVを走行させる。
駆動輪Wc,Wdは、本発明に係る回転推進機構に一例に相当する。
駆動システムPは、ビークルVの駆動源である。駆動システムPは、発電機10、エンジン14、制御装置15、コンバータ16、インバータ17、及びモータ18を備えている。駆動システムPは、駆動システムPの駆動輪Wc,Wdに機械的な力を出力する。駆動システムPの詳細については、後に説明する。
アクセル操作子Aは、トルク要求を出力するための操作子である。
詳細には、アクセル操作子Aは、ビークルVの運転者に操作される。これによって、アクセル操作子Aは、ビークルVの加速要求を出力する。ビークルVの加速要求は、駆動輪Wc,Wdを駆動するトルクに対応する。ビークルVの加速要求は、駆動システムPから出力されるトルク要求に対応する。即ち、ビークルVの加速要求は、モータ18から出力されるトルク要求に対応する。アクセル操作子Aは、加速要求として、駆動システムPから出力されるトルクについてのトルク要求を出力する。
アクセル操作子Aは、駆動システムPの制御装置15に接続されている。詳細には、アクセル操作子Aは、駆動システムPの制御装置15に、操作量を表す信号を出力する。
[駆動システム]
図2は、図1に示す駆動システムPの概略構成を示すシステム構成図である。
駆動システムPは、エンジン14、発電機10、制御装置15、コンバータ16、インバータ17、及びモータ18を備えている。駆動システムPは、燃料タンク10A、エアクリーナ10B、及びマフラ10Dも備えている。
なお、駆動システムPは、ビークルVの車体D(図1参照)に着脱可能なビークル駆動ユニットP’を構成してもよい。ビークル駆動ユニットP’において、エンジン14、発電機10、制御装置15、コンバータ16、インバータ17、モータ18、燃料タンク10A、エアクリーナ10B、及びマフラ10Dは、一体に組み付けられている。このため、エンジン14、発電機10、制御装置15、コンバータ16、インバータ17、モータ18、燃料タンク10A、エアクリーナ10B、及びマフラ10Dは、ビークル駆動ユニットP’として一体で、ビークルVの車体Dに着脱される。
ビークル駆動ユニットP’を構成するいずれかの部品が故障した場合には、ビークル駆動ユニットP’をビークルVから取り外して修理することが可能である。
また、ビークル駆動ユニットP’を交換することによって、駆動システムPに備えられた機構部分がまとめて交換される。このため、機構部分の一部が交換された場合に生じる前記一部と前記一部以外の部分との接続作業や調整作業が削減される。従って、ビークルVの保守が容易である。
エンジン14は、内燃機関である。エンジン14は、燃料を燃焼させる。これによって、エンジン14は、機械的なパワーを出力する。エンジン14は、出力軸Cを有している。出力軸Cは、例えばクランク軸である。なお、図2では、エンジン14と出力軸Cの接続関係が模式的に示されている。また、エンジン14は、シリンダ142、ピストン143、コネクティングロッド145、及びクランクケース146を備えている。シリンダ142とピストン143によって、燃焼室が形成される。ピストン143と、出力軸Cとしてのクランク軸とは、コネクティングロッド145を介して接続されている。
エンジン14は、エアクリーナ10Bを介して空気の供給を受ける。エンジン14は、燃料タンク10Aから燃料の供給を受ける。エンジン14は、燃料タンク10Aから供給される燃料を燃焼室で燃焼させることによって、ピストン143を往復動させる。出力軸Cであるクランク軸によって、往復動が回転パワーに変換される。エンジン14は、出力軸Cから機械的なパワーを出力する。エンジン14で燃焼によって生じた排気ガスは、マフラ10Dを経由して排出される。
エンジン14から駆動輪Wc,Wd(図1参照)までの動力伝達に関し、エンジン14と駆動輪Wc,Wdとは、機械要素で接続されていない。エンジン14から出力される回転パワーのすべては、駆動システムPにおいて、一旦、機械的なパワー以外のパワーに変換される。エンジン14で発生する回転パワーは、専ら電力に変換される。詳細には、エンジン14で発生する機械的なパワーのうち損失を除いたパワーのすべては、発電機10で電力に変換される。発電機10で変換された電力は、モータ18で機械的なパワーに変換される。
駆動システムPは、駆動システムPの外部機構をエンジン14の回転パワーで直接駆動しない。このため、エンジン14の回転パワーの制御が、外部機構の動作特性による制約を受けにくい。従って、エンジン14の回転パワーの制御の自由度が高い。
エンジン14は、エンジン出力調整部141を有する。エンジン出力調整部141は、エンジン14の回転パワーを調整する。エンジン出力調整部141は、スロットルバルブ調整機構141a、及び燃料噴射装置141bを有する。スロットルバルブ調整機構141aは、エンジン14への空気吸入量を調整する。燃料噴射装置141bは、エンジン14に燃料を供給する。エンジン出力調整部141は、エンジン14の吸入空気量及び燃料噴射量を制御する。これによって、エンジン出力調整部141は、エンジン14が出力する回転パワーを調整する。例えば、エンジン出力調整部141が、エンジン14の吸入空気量及び燃料噴射量を増大させる。これによって、エンジン14の回転パワーが増大する。エンジン14の回転パワーが増大すると、エンジン14の回転速度、即ち出力軸Cの回転速度が増大する。
エンジン出力調整部141は、エンジン14の回転パワーを変えることによって、発電機10で生じる電圧及び電流を調整する。
エンジン14から発電機10までの動力伝達に関し、発電機10は、エンジン14と機械的に接続されている。発電機10は、エンジン14の出力軸Cと接続されている。本実施形態において、発電機10は、出力軸Cと直接接続されている。発電機10は、エンジン14から回転パワーを受けるとともに、モータ18に電流を供給する。発電機10は、例えば、エンジン14のクランクケース146に取付けられている。なお、発電機10は、例えば、クランクケース146から離れた位置に配置されてもよい。
発電機10は、ロータ11、ステータ12、及び供給電流調整部131を備えている。
発電機10は、三相ブラシレス型発電機である。ロータ11及びステータ12は、三相ブラシレス型発電機を構成する。
ロータ11は、永久磁石を有する。より詳細には、ロータ11は、複数の磁極部111とバックヨーク部112とを有する。磁極部111は永久磁石で構成されている。バックヨーク部112は、例えば強磁性材料からなる。磁極部111はバックヨーク部112とステータ12との間に配置されている。磁極部111はバックヨーク部112に取付けられている。複数の磁極部111は、ロータ11の回転軸線を中心とした周方向Zすなわちロータ11の回転方向に一列に並んで配置されている。複数の磁極部111は、N極及びS極が周方向Zで交互になるように配置されている。発電機10は、永久磁石式三相ブラシレス型発電機である。ロータ11には、電流が供給される巻線が設けられていない。
ステータ12は、ロータ11と対向して配置されている。ステータ12は、複数の巻線121及びステータコア122を有する。ステータコア122は、例えば強磁性材料からなる。複数の巻線121はステータコア122に巻かれている。ステータコア122は、コア本体122a(図3参照)と複数の歯部122bを有する。複数の歯部122bは、コア本体122aから、ロータ11に向かって延びている。ロータ11に向かって延びた歯部122bの先端面と、ロータ11の磁極部111とはエアギャップを介して互いに対向している。ステータコア122の歯部122bとロータ11の磁極部111とは、直接対面している。複数の歯部122bは、周方向Zに間隔を空けて周方向Zに一列に並んでいる。複数の巻線121は、複数の歯部122bにそれぞれ巻かれている。巻線121は、複数の歯部122bの間のスロットを通るように巻かれている。各巻線121は、三相を構成するU相、V相、及びW相のいずれかの相に対応している。U相、V相、及びW相のそれぞれに対応する巻線121は、周方向Zに順に配置されている。
ロータ11は、エンジン14の出力軸Cに接続されている。ロータ11は、出力軸Cの回転と連動して回転する。ロータ11は、磁極部111を、ステータコア122の歯部122bと対向させた姿勢で回転させる。ロータ11が回転すると、巻線121と鎖交する磁束が変化する。これによって、巻線121に誘導起電圧が生じる。このようにして、発電機10では、発電が行われる。発電機10は、発電された電流をモータ18に供給する。
本実施形態において、ロータ11及びステータ12は、アキシャルギャップ型構造を有する。ロータ11とステータ12とは、ロータ11の回転軸線方向(軸方向)Xで互いに対向している。ステータ12が有する複数の歯部122bは、コア本体122aから軸方向Xに突出している。本実施形態における軸方向Xは、ロータ11とステータ12とが対向する方向である。
供給電流調整部131は、発電機10からモータ18に供給される電流を調整する。供給電流調整部131は、巻線121のインダクタンスLを変えることによってモータ18に供給する電流を調整する。供給電流調整部131は、巻線121から見たステータコア122の磁気抵抗を変える。これによって、供給電流調整部131は、巻線121のインダクタンスを変える。供給電流調整部131は、電流調整機構である。
供給電流調整部131によるインダクタンス調整の詳細については、後に説明する。
発電機10とモータ18との間の電力の供給経路には、コンバータ16及びインバータ17が設けられている。コンバータ16は、発電機10に接続されている。インバータ17は、コンバータ16及びモータ18に接続されている。発電機10から出力された電力は、コンバータ16及びインバータ17を経由して、モータ18に供給される。
コンバータ16は、発電機10から出力された電流を整流する。コンバータ16は、発電機10から出力された三相交流を直流に変換する。コンバータ16は、直流を出力する。コンバータ16は、例えば、インバータ回路を有する。コンバータ16は、例えば、三相ブリッジインバータ回路を有する。前記三相ブリッジインバータ回路は、三相の各相に対応するスイッチング素子Saで構成されている。また、コンバータ16には、スイッチング素子Saのオン及びオフ動作の制御を行う図示しない回路も備えられている。前記回路は、ロータ11の回転位置を検出する図示しない位置センサからの信号に基づいて前記制御を行う。
コンバータ16の動作は、制御装置15によって制御される。例えば、コンバータ16は、スイッチング素子Saのオン及びオフ動作のタイミングを三相交流における所定の位相角に対し変化させる。これにより、コンバータ16は、モータ18に供給する電流を調整することができる。これによって、コンバータ16は、モータ18に供給する電力を調整することができる。
コンバータ16による調整は、主に、発電機10で発生した電流を制限することである。コンバータ16による調整は、発電機10のインダクタンスを変更することによる電流の制御とは異なる。以降の説明では、コンバータ16による電流の制限を最小限にすることを前提として説明を続ける。
なお、コンバータ16は、ダイオードで構成されたブリッジ回路で構成されてもよい。すなわち、コンバータ16は、レクチファイアで構成されてもよい。この場合、コンバータ16は、電流の制御を行わず、整流のみ行う。
モータ18は、発電機10から供給される電力によって動作する。モータ18は、駆動輪Wc,Wdを回転駆動する。これによって、モータ18は、ビークルVを走行させる。動力伝達に関し、モータ18は、発電機10と機械的に接続されていない。
モータ18は、例えば、三相ブラシレスモータである。モータ18は、ロータ181及びステータ182を備えている。本実施形態のモータ18における、ロータ181及びステータ182の構造は、発電機10のロータ11及びステータ12と同様である。
本実施形態の駆動システムPにおいて、発電機10とモータ18とは電気的に接続されている。このため、発電機10とモータ18の配置の自由度が高い。例えば、エンジン14に発電機10を設けて、モータ18を回転推進機構としての駆動輪Wc,Wdの付近に配置することができる。
なお、モータ18は、発電機10と異なる構成のロータ及びステータを有していてもよい。例えば、モータ18は、発電機10と異なる数の磁極又は異なる数の歯部を有していてもよい。また、モータ18として、例えば誘導モータ又はステッピングモータが採用されてもよい。また、モータ18として、例えばブラシを備えた直流モータが採用されてもよい。
モータ18は、駆動輪Wc,Wdに回転パワーが伝達されるよう、駆動輪Wc,Wdと機械的に接続されている。モータ18は、伝達機構Gを介して、駆動輪Wc,Wdと機械的に接続されている。詳細には、モータ18のロータ181が、伝達機構Gと接続されている。ロータ181において、伝達機構Gと接続される部分は、駆動システムPの回転出力部として機能する。
モータ18の出力は、駆動システムPの出力である。駆動システムPの出力に対する要求、即ちモータ18の出力に対する要求は、ビークルVが走行する状況によって変化する。例えば、ビークルVが平坦地を一定の速度で走行している時に、走行速度が緩やかに高められるよう要求される場合がある。この場合、加速度は小さいので、モータ18に求められる出力トルクの増大量は比較的小さい。モータ18が一定の速度で回転している場合、モータ18では、回転速度に応じた誘導起電圧が生じている。誘導起電圧は、モータ18を駆動するためモータ18に供給される電流を妨げるように生じる。そのため、モータ18に供給される電流は比較的小さい。走行速度が緩やかに高められるよう要求される場合、モータ18に供給される電圧の増大が求められる。
これに対し、ビークルVの急加速又は登坂走行が要求される場合がある。モータ18に求められる出力トルクの増大量は比較的大きい。この場合、モータ18へ供給される電流の増大量が大きい。
インバータ17は、モータ18を駆動するための電流をモータ18に供給する。インバータ17には、コンバータ16から直流が供給される。インバータ17は、コンバータ16から出力された直流を、位相が互いに120度ずれた三相の電流に変換する。前記三相の電流は、三相ブラシレスモータの三相に対応している。インバータ17は、例えば、インバータ回路を有する。インバータ17は、例えば、三相ブリッジインバータ回路を有する。前記三相ブリッジインバータ回路は、三相の各相に対応するスイッチング素子Sbで構成されている。また、インバータ17には、スイッチング素子Sbのオン及びオフ動作の制御を行う回路も設けられている。前記回路は、ロータ181の回転位置を検出する図示しない位置センサからの信号に基づいて前記制御を行う。
インバータ17は、スイッチング素子Sbのオン及びオフ動作を調整することによって、モータ18に供給される電圧を制御する。例えば、インバータ17は、スイッチング素子Sbを、パルス幅変調された信号でオン動作させる。制御装置15は、オン及びオフのデューティ比を調整する。これによって、制御装置15は、モータ18に供給される電圧を任意の値に制御する。これによって、インバータ17は、モータ18に供給する電力を調整することができる。
インバータ17及びコンバータ16のそれぞれは、モータ電力制御部の一例に相当する。
制御装置15はインバータ17を制御する。これによって、制御装置15は、エンジン14及び発電機10の出力の制御とは独立に、モータ18に供給する電圧を制御することができる。例えば、エンジン14及び発電機10が稼働している状況でも、制御装置15は、モータ18への電圧供給を停止することによってモータ18を停止状態にすることができる。駆動システムPの出力の制御の自由度が高められる。
インバータ17による調整は、発電機10のインダクタンスを変更することによる電流の制御とは異なる。インバータ17による調整は、発電機10から供給される電圧を制限するように実施される。以降の説明では、インバータ17による電流の制限を最小限に固定することを前提として説明を続ける。
なお、インバータ17は、モータ18に含めることも可能である。また、モータ18として直流モータが採用される場合、インバータ17は省略される。
制御装置15は、エンジン14のエンジン出力調整部141、及び発電機10の供給電流調整部131に接続されている。
制御装置15は、駆動システムPから出力されるトルクを制御する。
制御装置15は、トルク要求に応じて、エンジン出力調整部141及び供給電流調整部131の両方を制御する。トルク要求は、駆動システムPから駆動輪Wc,Wdに出力されるトルクとして駆動システムPに要求されるトルクに関する要求である。駆動システムPに要求されるトルク要求は、アクセル操作子Aの操作量に応じてアクセル操作子Aから出力される。
制御装置15は、発電機10からモータ18に供給される電流を制御する。これによって、制御装置15は、モータ18の出力トルクを制御する。即ち、制御装置15は、駆動システムPの出力トルクを制御する。
制御装置15は、トルクの増大が要求される場合に、モータ18に供給する電流を増大するように制御を行う。つまり、制御装置15は、トルクの増大が要求される場合に、発電機10から出力される電流を増大するように制御を行う。
また、制御装置15は、コンバータ16及びインバータ17を制御する。
本実施形態の駆動システムPでは、制御装置15によって、発電機10のインダクタンスと、エンジン14の回転とのバランスが調整される。このため、駆動システムPが搭載されるビークルVの車体D(図1参照)では、前記バランスが調整される必要がない。駆動システムPは、トルク要求を受け付ける動力ユニットのように扱われる。駆動システムPが搭載されるビークルVの車体Dは、エンジン14の吸入空気量及び燃料噴射量を直接制御する制御装置を備えることなく、要求に応じたトルクを駆動システムPから得ることができる。
制御装置15は、トルク要求受付部151及び調整制御部152を備えている。
制御装置15は、例えばマイクロコントローラで構成されている。制御装置15は、図示しないコンピュータとしての中央処理装置と、図示しない記憶部とを備えている。前記中央処理装置は、制御プログラムに基づいて演算処理を行う。前記記憶部は、プログラム及び演算に関するデータを記憶する。トルク要求受付部151及び調整制御部152は、中央処理装置がプログラムを実行することにより構成される。
[供給電流調整部]
図3は、図2に示す発電機10における供給電流調整部131の調整を説明するための模式図である。
図3には、発電機10に備えられたロータ11及びステータ12の一部が示されている。ロータ11とステータ12とは、互いに対向している。より詳細には、ロータ11の磁極部111と、ステータ12のステータコア122の歯部122bとがエアギャップを挟んで互いに対向している。磁極部111は、ステータ12に向かって露出している。
供給電流調整部131は、巻線121から見たステータコア122の磁気抵抗を変える。これによって供給電流調整部131は、巻線121のインダクタンスを変え、モータ18に供給する電流を調整する。具体的には、供給電流調整部131は、巻線121に対するステータコア122の相対位置を移動する。これによって、供給電流調整部131は、巻線121から見たステータコア122の磁気抵抗を変える。
巻線121は、発電機10の図示しない筐体に固定されている。ステータコア122は、巻線121に対し軸方向Xで移動自在なように筐体に支持されている。巻線121は、歯部122bに固定されていない。筒状の巻線121と歯部122bとの間には、隙間が設けられている。前記隙間は、歯部122bが巻線121に対して移動自在となる程度の隙間である。
供給電流調整部131は、筒状に巻かれた巻線121の中に出入りする方向に歯部122bが移動するよう、ステータコア122を移動させる。本実施形態では、供給電流調整部131は、軸方向Xにステータコア122を移動させる。制御装置15は、電流要求に応じて供給電流調整部131を動作させる。
なお、図3には、ステータコア122の移動を分りやすく説明するため、供給電流調整部131がピニオンラック機構及びモータによって模式的に示されている。ただし、ステータコア122を移動させる供給電流調整部131として、図に示す以外の機構が採用可能である。例えば、ステータコアと同心に配置され、ステータコアとネジ係合する円筒部材を有する機構が採用可能である。このような機構では、例えば、円筒部材がステータコアに対し回転することによって、ステータコアが軸方向に移動する。
供給電流調整部131は、ロータ11に対するステータコア122の相対位置を維持するように、巻線121に対するステータコア122の相対位置を移動させる。図3の破線Qは、ロータ11が、軸方向Xにおいて、ステータコア122と連動して移動することを表している。ロータ11とステータコア122の相対位置を維持する構造は、例えば、ロータ11を回転可能に支持する軸受部113によって形成される。軸受部113の位置は、ステータコア122に対して固定されている。
図3には、磁極部111によって生じる主な磁束F1が示されている。磁束F1の線は、磁極部111で生じる磁束F1が通る主な磁気回路を表している。そこで、磁束F1が通る磁気回路を、磁気回路F1と称する。
磁極部111によって生じる主な磁束F1は、磁極部111、磁極部111と歯部122bとの間のエアギャップ、歯部122b、コア本体122a、及びバックヨーク部112を通って流れる。つまり、磁極部111、磁極部111と歯部122bとの間のエアギャップ、歯部122b、コア本体122a、及びバックヨーク部112によって、磁気回路F1が構成されている。
ロータ11が回転すると、磁極部111によって生じ、巻線121と鎖交する磁束の量が変化する。巻線121と鎖交する磁束の量が変化することによって、巻線121に誘導起電圧が生じる。すなわち、発電が行われる。
巻線121に生じる誘導起電圧は、巻線121と鎖交する磁束の量に依存している。巻線121と鎖交する磁束の量は、磁気回路F1の磁気抵抗が大きいほど、少ない。磁気回路F1の磁気抵抗は、主に、歯部122bと磁極部111との間のエアギャップの磁気抵抗に依存している。歯部122bと磁極部111との間のエアギャップの磁気抵抗は、歯部122bと磁極部111との間のエアギャップ長L1に依存している。
従って、巻線121に生じる誘導起電圧は、歯部122bと磁極部111との間のエアギャップ長L1に依存している。
図3には、巻線121に流れる電流によって生じる主な磁束F2が示されている。発電が行われるとき、巻線121には、誘導起電圧に起因した電流が流れる。磁束F2は、発電が行われるとき、巻線121に流れる電流によって生じる。磁束F2の線は、巻線121の電流によって生じる磁束F2が通る主な磁気回路を表している。そこで、磁束F2が通る磁気回路を、磁気回路F2と称する。
巻線121の電流によって生じる主な磁束F2は、歯部122b、コア本体122a、及び、隣り合う2つの歯部122bの間のエアギャップを通る。つまり、歯部122b、コア本体122a、及び、隣り合う2つの歯部122bの間のエアギャップによって、磁気回路F2が構成されている。巻線121の電流によって生じる磁束F2の多くは、次の理由で、ロータ11のバックヨーク部112を通らず、隣り合う2つの歯部122bの間のエアギャップを通る。
電流によって巻線121に生じる磁束F2に関して、磁極部111は、単に磁束の経路と見なされる。本実施形態において、磁極部111は、透磁率が空気と同程度に低い永久磁石で構成されている。そのため、磁極部111は、磁気回路F2において空気と同等と見なせる。磁極部111が空気と同等であるため、ステータ12とロータ11との間の実質的なエアギャップ長は、歯部122bからバックヨーク部112までの距離L11になる。歯部122bからバックヨーク部112までの距離L11は、軸方向Xにおける磁極部111の厚みを含む。そのため、磁極部111は、歯部122bから磁極部111までの距離L1よりも長い。
しかも、本実施形態では、巻線121の電流によって生じる磁束F2の量は、磁極部111の永久磁石によって生じる磁束の量よりも少ない。巻線121の電流によって生じる磁束F2の多くは、エアギャップ長L11を隔てたバックヨーク部112に到達し難い。従って、巻線121の電流によって生じる磁束F2のうち、バックヨーク部112を通る磁束は少ない。
従って、磁束F2のうち、ロータ11のバックヨーク部112を通る磁束成分に対し、歯部122bと歯部122bとの間のエアギャップを通る磁束成分の割合は、磁極部111によって生じる磁束F1における割合と比べて大きい。
巻線121のインダクタンスは、巻線121から見た磁気抵抗に依存する。巻線121のインダクタンスは、巻線121から見た磁気抵抗に反比例する。
ここで、巻線121から見た磁気抵抗とは、巻線121の電流によって生じる磁束F2が流れる磁気回路F2の磁気抵抗である。巻線121から見たステータ12の磁気抵抗には、隣り合う2つの歯部122bの間のエアギャップの磁気抵抗が含まれる。巻線121に電流によって生じる磁束F2は、厳密には、ステータ12及びロータ11の双方を通る。しかし、上述したように、巻線121に電流によって生じる磁束の多くは、ロータ11のバックヨーク部112を介さず、隣り合う2つの歯部122bの間のエアギャップを通る。従って、巻線121から見た磁気抵抗は、ロータ11の磁気抵抗よりも、ステータ12の磁気抵抗に強く依存する。つまり、巻線121のインダクタンスは、巻線121から見たロータ11の磁気抵抗よりも、巻線121から見たステータ12の磁気抵抗に、より強く依存する。従って、巻線121のインダクタンスは、実質的に、巻線121から見たステータ12の磁気抵抗に依存する。
供給電流調整部131は、巻線121に対するステータコア122の相対位置を移動させる。これによって、供給電流調整部131は、巻線121から見たステータコア122の磁気抵抗を変える。これによって、供給電流調整部131は、巻線121のインダクタンスを変える。例えば、供給電流調整部131が、ステータコア122を矢印X1の向きに移動させると、ステータコア122の歯部122bが、筒状に巻かれた巻線121の中から抜ける向きに移動する。従って、巻線121の中に存在するステータコア122の量が減少する。この結果、巻線121から見たステータコア122の磁気抵抗が増大する。これによって、巻線121のインダクタンスが減少する。
さらに、供給電流調整部131は、巻線121のインダクタンスの変化率が巻線121と鎖交する磁束の変化率よりも小さくなるように、巻線121のインダクタンスを変える。これによって、供給電流調整部131は、電流を調整する。本実施形態の発電機10の供給電流調整部131は、ロータ11に対するステータコア122の相対位置を維持するように、巻線121に対するステータコア122の相対位置を移動する。
供給電流調整部131が、ステータコア122を矢印X1の向きに移動させると、ロータ11も連動して矢印X1の向きに移動する。このため、ロータ11に対するステータコア122の相対位置が維持される。これによって、ステータコア122が移動する場合に、歯部122bと磁極部111との間のエアギャップ長L1の変化が抑えられる。従って、磁極部111からステータコア122に流れる磁束F1の変化が抑えられる。つまり、巻線121と鎖交する磁束F1の変化が抑えられる。
図4は、図3に示す発電機10の巻線121の等価回路を概略的に示す回路図である。
図4では、発電機10が発生する電圧及び電流の変化の概略を説明するため、回路が単純化されている。また、コンバータ16及びインバータ17についても、状態が固定されていると仮定し、省略されている。
図4に示すように、巻線121は、電気的に、交流電圧源121A、インダクタ121B、及び抵抗121Cを含んでいる。
交流電圧源121Aが出力する誘導起電圧Eは、主に巻線121と鎖交する磁束Φに依存する。つまり、誘導起電圧Eは、磁束F1とロータ11の回転速度ωの積に依存する。インダクタ121BのインダクタンスLは、主に巻線121から見たステータ12の磁気抵抗に依存する。抵抗121Cの抵抗値Rは、巻線抵抗である。巻線121のインピーダンスZgは、概略的には、
((ωL)+R1/2
で表される。
供給電流調整部131は、電流要求に応じて巻線121に対するステータコア122の相対位置を移動させる。供給電流調整部131は、これによって、巻線121から見たステータコア122の磁気抵抗を変える。これによって、供給電流調整部131は、巻線121のインダクタンスLを変える。インダクタンスLが変えられることによってインピーダンスZgが変わる。その結果、発電機10から供給される電流Iが調整される。
また、供給電流調整部131は、巻線121と鎖交する磁束Φの変化率が、巻線121のインダクタンスLの変化率よりも小さくなるように巻線121のインダクタンスを変える。これによって、供給電流調整部131は、電流Iを調整する。従って、誘導起電圧Eの変化量が抑えられるように電流が調整される。
本実施形態では、巻線121に対するステータコア122の相対位置の移動が、巻線121から見たステータコア122の磁気抵抗を変える。これによって、巻線121のインダクタンスLが変わり、電流が調整される。本実施形態では、巻線121から見たステータコア122の磁気抵抗を変えることによってインダクタンスLを変えるので、インダクタンスLを徐々に変えることができる。
インダクタンスを変える方法として、巻線から見たステータコアの磁気抵抗でなく、巻線の実質的な巻数を変えることが考えられる。例えば、電流出力端子として、巻線の端に設けた端子と巻線の途中に設けた端子とを切換えて用いることが考えられる。また、巻線の途中に設けた端子を他の端子と短絡することが考えられる。これによって、電流に関与する実質的な巻数が変わる。この結果、インダクタンスが変わる。
しかし、巻線の実質的な巻数を変える場合、実質的な巻数が瞬時に大きく変わる。このため、巻線で過大な電圧が生じる。また、短時間で過大な電流が流れ易い。実質的な巻数を変える場合には、電流切換えのためのスイッチング素子の設置が求められる。さらに、スイッチング素子には、過大な電圧に対応するため、高耐圧であることが求められる。巻線には、過大な電流の変化に対応するため、太い線材の使用が求められる。従って、巻線の実質的な巻数を変える方法では、効率が低下する。また、発電機が大型化する。
本実施形態では、ステータコア122の磁気抵抗が変わることによって、巻線121のインダクタンスLが変わる。このため、巻線121のインダクタンスLを徐々に変えることができる。この結果、巻線121に生じる電圧の急激な上昇が抑えられる。従って、発電機10に低耐圧の部品を接続することが可能である。このため、効率が高い。また、電流切換えのためのスイッチング素子を備えなくてよい。また、巻線に比較的細い線材を用いることができる。発電機10の大型化が抑えられる。
図5は、駆動システムPの動作を説明するフローチャートである。
駆動システムPから駆動輪Wc,Wdに出力される回転パワーは、制御処理を実行する制御装置15によって、制御される。制御装置15は、図5に示す制御処理を繰り返す。図2〜3も参照して駆動システムPが出力する出力の制御について説明する。
制御装置15のトルク要求受付部151が、回転パワーの要求を受け付ける(S11)。回転パワーの要求は、トルク要求と回転速度要求とを含んでいる。詳細には、トルク要求受付部151は、アクセル操作子Aの操作量を受付ける。トルク要求受付部151は、ビークルVの走行状態を得る。ビークルVの走行状態は、ビークルV自体の走行状態を含む。ビークルVの走行状態は、例えば、図示しない設定部が操作されることによって、設定された低燃費動作の設定、及び/又は、アクセル操作に対する駆動システムPの出力の追従性能の設定を含む。トルク要求受付部151は、アクセル操作子Aの操作量に基づいて、トルク要求を得る。詳細には、トルク要求受付部151は、アクセル操作子Aの操作量、及びビークルVの走行状態に基づいて、回転パワーの要求を得る。
次に、調整制御部152は、トルク要求受付部151によって受付けられた回転パワーの要求に基づいて、モータ18から出力される回転パワーを制御する(S12)。モータ18の出力は、駆動システムPの出力である。調整制御部152は、受け付けられた回転パワーの要求に応じて、供給電流調整部131及びエンジン出力調整部141を制御する。詳細には、調整制御部152は、トルク要求受付部151によって受付けられた回転パワーの要求に基づいて、モータ18から出力されるトルク及び回転速度を制御する。調整制御部152は、モータ18に供給される電流を調整することによって、モータ18から出力されるトルクを制御する。調整制御部152は、トルクの増大が要求される場合に、モータ18から出力されるトルクを増大するように制御する。調整制御部152は、モータ18から出力されるトルク及び回転速度を制御する。
調整制御部152は、供給電流調整部131による調整量とエンジン出力調整部141による調整量を制御する。調整制御部152は、供給電流調整部131による調整量とエンジン出力調整部141による調整量との配分を制御する。
調整制御部152は、モータ18から出力されるトルクの増大量と回転速度の増大量の配分を制御する。調整制御部152による制御として、トルクの増大量が大きい制御の典型例と、回転速度の増大量が大きい制御の典型例とを説明する。トルクの増大量が大きい制御の典型例をトルク制御と称する。また、回転速度の増大量が大きい制御の典型例を速度制御と称する。調整制御部152は、受け付けた要求に応じて、トルク制御、速度制御、及びトルク制御と速度制御を混在させた制御のいずれかの制御を行う。
(速度制御)
速度制御において、制御装置15が、エンジン14の回転パワーを増大させる。詳細には、制御装置15は、エンジン出力調整部141に、エンジン14の吸入空気量及び燃料噴射量を増大させる。エンジン14のパワーが増大することによって、エンジン14の回転速度、即ち発電機10のロータ11の回転速度ωが上昇する。
速度制御において、制御装置15は、供給電流調整部131に、巻線121のインダクタンスLを減少させる調整を行わせない。供給電流調整部131は、図3に示すように、筒状の巻線121の中にステータコア122の歯部122bが完全に入った状態を維持する。
回転速度ωの上昇に伴い、図4に示す交流電圧源121Aの誘導起電圧Eが増大する。誘導起電圧Eは、実質的に回転速度ωに比例する。この結果、出力される電圧が増大する。つまり、モータ18に供給される電圧が増大する。この結果、モータ18の回転速度が増大する。
(トルク制御)
トルク制御において、制御装置15は、供給電流調整部131に、巻線121のインダクタンスLが減少するようステータコア122の位置を調整させる。供給電流調整部131は、巻線121から見たステータ12の磁気抵抗が増大するようにステータコア122の位置を調整する。本実施形態では、供給電流調整部131は、図3に示す筒状の巻線121の中からステータコア122の歯部122bが抜ける向きに、ステータコア122を移動させる。これによって、巻線121のインダクタンスLが減少する。
また、トルク制御において、制御装置15は、エンジン出力調整部141(図2)に、エンジン14の回転パワーを増大させる。詳細には、制御装置15は、エンジン出力調整部141に、エンジン14の吸入空気量及び燃料噴射量を増大させる。エンジン14の回転パワーが増大することによって、エンジン14の回転速度、即ち発電機10のロータ11の回転速度ωが上昇する。
回転速度ωの上昇に伴い、交流電圧源121Aの誘導起電圧Eが増大する。誘導起電圧Eは、実質的に回転速度ωに比例する。誘導起電圧Eが増大する結果、発電機10から出力される電流が増大する。つまり、モータ18に供給される電流が増大する。この結果、モータ18のトルクが増大する。
制御装置15は、例えば、インダクタンス、ロータ11の回転速度、及び出力電流が対応付けて記憶されたマップを用いて、制御を行う。マップは、例えば、次の関係(i)及び(ii)に基づいて得られる。前記関係(i)は、エンジン14の回転速度とモータ18の入力電流との関係である。前記関係(ii)は、モータ18のトルクと回転速度の関係である。前記関係(i)は、例えば、複数のインダクタンスLの条件について、予め行われた発電機10の測定又はシミュレーションに基づいて特定又は設定される。前記関係(i)は、例えば、図9に示すような発電機10の回転速度と出力電流との関係を含む。また、前記関係(i)は、コンバータ16とインバータ17の動作の影響を含む。前記関係(ii)は、例えば、予め行われたモータの測定又はシミュレーションの結果に基づいて特定又は設定される。
制御装置15は、例えば、駆動システムPに要求されるトルクに対応するモータ18の入力電流を目標として決定する。制御装置15は、例えば、発電機10における最も低い回転速度で目標の電流が供給可能なインダクタンスLを得るように、供給電流調整部131を制御する。
制御装置15は、得られたインダクタンスLの条件の下、目標の電流が供給可能な回転速度でエンジン14を動作させる。コンバータ16とインバータ17によって電流及び電圧が制限される場合には、制限の影響に基づいて回転速度が調整される。
ただし、制御装置15は、マップを用いることなく、供給電流調整部131を制御するように構成されていてもよい。制御装置15は、例えば、式を演算した結果にもとづいて制御を行ってもよい。
制御装置15は、供給電流調整部131とエンジン出力調整部141の両方を制御するように構成されている。制御装置15は、供給電流調整部131に巻線121のインダクタンスを減少させつつ、エンジン出力調整部141にエンジン14の回転パワーを増大させる。
供給電流調整部131によって巻線121のインダクタンスが減少している期間全体と、エンジン出力調整部141によってエンジン14の回転パワーが増大している期間全体とは、重複部分を有していることが好ましい。さらに、供給電流調整部131によって巻線121のインダクタンスが減少する途中の期間と、エンジン出力調整部141によってエンジン14の回転パワーが増大する途中の期間とは、重複部分を有していることが好ましい。
本実施形態において、トルクの増大が要求される場合、エンジン14では、エンジン出力調整部141による調整によって、エンジン14の出力軸Cの回転パワーが増大する。従って、発電機10のロータ11の回転速度ωが上昇する。一方、発電機10では、供給電流調整部131の調整によって、巻線121のインダクタンスLが減少する。そのため、回転速度ωとインダクタンスLの積に依存する巻線121のインピーダンスZgの増大が抑えられる。この結果、発電機10から出力される電流の増大量が、例えば巻線121のインダクタンスLの減少がない場合と比べて、大きい。従って、駆動システムPが出力するトルクの増大量が、例えば巻線121のインダクタンスLの減少がない場合と比べて、大きい。
例えば、トルクの増大が要求される場合に、例えば、巻線121のインダクタンスLを減少させずにエンジン14の回転パワーを増大させることが考えられる。
この場合、回転パワーの増大に伴いロータの回転速度ωが上昇する。これによって、誘導起電圧が増大する。しかし、回転速度ωの上昇によって巻線のインピーダンスZgも増大する。この結果、回転パワーの増大量に比べて、モータに供給される電流の増大量が小さい。従って、トルクの増大量が小さい。
電流を増大させるため、巻線121のインダクタンスLを減少させずに、エンジン14の回転パワーを増大させると、発電電流の増大に比べて、エンジン14の回転パワーが過剰に増加することとなる。回転パワーが過剰に増加すると、エンジン14の燃料効率が悪化する。
また、回転パワーが過剰に増加すると、誘導起電圧Eも過剰に増大する。例えば、モータ18の回転速度が増大した後、実質的に一定の速度になった状況では、モータ18に供給される電流が減少する。従って、巻線121のインピーダンスZgの影響が低下する。このため、過剰に増大した誘導起電圧Eに応じた電圧が、発電機10から出力される。また、発電機10とモータ18の間には、コンバータ16が設けられている。コンバータ16のスイッチング素子には、誘導起電圧Eに応じた高い電圧が印加される。高い電圧に対応した高耐圧のスイッチング素子は、一般的に大きなオン抵抗を有する。このため、スイッチング素子による損失が大きい。
これに対し、本実施形態の発電機10では、トルクの増大が要求される場合に、供給電流調整部131が、巻線121のインダクタンスLを減少させる。このため、巻線121のインピーダンスZgの増大が抑えられる。このため、例えばインダクタンスLの減少がない場合と比べ、エンジン14の回転パワーの増大に伴う駆動システムPの出力トルクの増大量が大きい。この結果、トルクの増大の要求に対する、エンジン14の回転パワーの過剰な増大が抑えられる。そのため、燃料効率が向上する。また、出力電圧の過剰な増大が抑えられる。そのため、小さいオン抵抗を有する低耐圧のスイッチング素子が採用可能になる。従って、高い効率が得られる。
このように、本実施形態の駆動システムPによれば、燃料効率の低下を抑えつつ、トルクの増大の要求に対応した調整を行うことができる。
また、本実施形態の駆動システムPは、エンジン14の回転パワーの調整に加え、発電機10のインダクタンスLの調整によって、駆動輪Wc,Wdに出力するトルク及び回転速度が制御できる。このため、本実施形態の駆動システムPは、ビークルの仕様のバリエーションに柔軟に対応することができる。
例えば、駆動システムPが搭載されるビークルVの仕様は、回転推進機構の交換によって変更される場合がある。例えば、ビークルVは、装着される駆動輪Wc,Wdの種類又はサイズに応じた、仕様のバリエーションを有する。装着される駆動輪Wc,Wdの種類又はサイズに応じて、駆動に必要とされるトルクが異なる。本実施形態の駆動システムPによれば、エンジン14の回転パワー、及び、発電機10のインダクタンスLの調整によって、トルクの仕様のバリエーションに対応することができる。
また、本実施形態の駆動システムPは、制御装置15によってコンバータ16及びインバータ17を制御する。これによって、駆動システムPは、発電機10における調整とは独立に、モータ18に供給する電流及び電圧を制御することができる。これによって、駆動システムPは、発電機10における調整とは独立に、駆動システムPのモータ18から出力されるトルク及び回転速度を制御することができる。これによって、駆動システムPの出力の制御の自由度が高められる。
例えば、駆動システムPは、コンバータ16又はインバータ17にモータ18への電力供給を停止させる。これによって、駆動システムPは、エンジン14及び発電機10が稼働した状況でも、モータ18を停止状態にすることができる。
[第二実施形態]
続いて、本発明の第二実施形態について説明する。以下の第二実施形態の説明にあたっては、上述した第一実施形態との相違点を主に説明する。
図6は、第二実施形態の駆動システムの発電機20における供給電流調整部の調整を説明するための模式図である。
図6に示す発電機20において、供給電流調整部231は、要求される電流要求に応じて、巻線221を移動させる。これによって、供給電流調整部231は、巻線221から見たステータコア222の磁気抵抗を変える。これによって、供給電流調整部231は、巻線221のインダクタンスを変え、モータ18(図1参照)に供給する電流を調整する。
供給電流調整部231は、ステータ22のステータコア222を移動させず、巻線221を移動させる。
より詳細には、ステータコア222は、図示しない筐体に固定されている。ロータ21は、筐体に回転可能に支持されている。ロータ21は、軸方向Xについて固定されている。巻線221は、筐体に対し軸方向Xに移動自在なように筐体に支持されている。
供給電流調整部231は、歯部222bが筒状の巻線221の中に出入りする方向に移動するよう、巻線221を移動させる。本実施形態では、供給電流調整部231は、巻線221を軸方向Xに移動させる。供給電流調整部231は、例えば、巻線221を矢印X2の向きに移動させる。発電機20に備えられて歯部222bに巻かれた巻線221はすべて一体となって移動する。制御装置15は、トルク要求に応じて供給電流調整部231を動作させる。
本実施形態において、供給電流調整部231は、トルク要求に応じて巻線221のみを移動させる。これによって、供給電流調整部231は、巻線221に対するステータコア222の相対位置を移動させる。これによって、供給電流調整部231は、巻線221から見たステータコア222の磁気抵抗を変える。これによって、供給電流調整部231は、巻線221のインダクタンスを変える。
[第三実施形態]
続いて、本発明の第三実施形態について説明する。以下の第三実施形態の説明にあたっては、上述した第一実施形態との相違点を主に説明する。
図7は、第三実施形態の駆動システムにおける発電機30を示す模式図である。
図7に示す発電機30におけるステータコア322は、複数の第一ステータ部323と、第二ステータ部324とを備えている。
複数の第一ステータ部323のそれぞれは、ロータ31にエアギャップを介して対面する対面部323aを有する。複数の第一ステータ部323は、間隔を空けて円環状に配置されている。すなわち、複数の第一ステータ部323は、周方向Zに一列に並んで配置されている。複数の第一ステータ部323は、ステータ32において主たる歯部として機能する。そこで、第一ステータ部323は、本明細書において、第一歯部323とも称される。第一ステータ部323の対面部323aの周方向Zでの長さは、第一ステータ部323の、対面部323a以外の部分の周方向Zでの長さよりも長い。巻線321は、第一ステータ部323に巻かれている。
第二ステータ部324は、第一ステータ部323を挟んで、ロータ31とは反対の位置に配置されている。第二ステータ部324は、ロータ31と対面する対面部323aを有さない。第二ステータ部324は、円環状のステータヨーク部324a、及び複数の第二歯部324bを有する。第二歯部324bは、ステータヨーク部324aよりも第一ステータ部323の方に向かって突出している。第二歯部324bの数は、第一ステータ部323の数と同じである。ステータヨーク部324aと第二歯部324bは、第二歯部324bを通る磁束のほぼすべてがステータヨーク部324aを通るように構成されていればよい。即ち、第二歯部324bは、ステータヨーク部324aと一体成形されていてもよい。第二歯部324bは、ステータヨーク部324aと別体に形成されてステータヨーク部324aに取り付けられてもよい。第二歯部324bは、周方向Zに一列に並んで配置されている。複数の第二歯部324bは、互いに間隔を空けて円環状に配置されている。複数の第二歯部324bの間隔は、複数の第一ステータ部323の間隔と等しい。
実施形態の発電機30における供給電流調整部331は、複数の第一ステータ部323及び第二ステータ部324の一方を他方に対して移動させる。これによって、供給電流調整部131は、巻線321から見た磁気抵抗を変える。これによって、供給電流調整部331は、モータ18に供給する電流を調整する。
より詳細には、第一ステータ部323は、図示しない筐体に対して固定されている。第二ステータ部324は、周方向Zで回転可能に支持されている。供給電流調整部331は、第二ステータ部324を、ロータ31の回転軸線を中心とした周方向Zに回転させる。これによって、供給電流調整部331は、第二ステータ部324を第一状態(図8(a)参照)から第二状態(図8(b)参照)まで移動させる。
図8(a)は、図7に示すステータ32の第一状態を示す模式図である。図8(b)は、図7に示すステータ32の第二状態を示す模式図である。
図8(a)に示す第一状態では、周方向Zにおいて、複数の第二歯部324bのそれぞれが、複数の第一ステータ部323のそれぞれと向かい合う。第一状態では、複数の第一ステータ部323のそれぞれと第二ステータ部324との間のエアギャップ長L32が、複数の第一ステータ部323のうち隣り合う第一ステータ部の間のエアギャップ長L33よりも短い。
図8(b)に示す第二状態では、周方向Zにおいて、複数の第二歯部324bのそれぞれが、互いに隣り合う第一ステータ部323の間に位置する。第二状態では、複数の第一ステータ部323のそれぞれと第二ステータ部324との間のエアギャップ長L34が、複数の第一ステータ部323のうち隣り合う第一ステータ部323の間のエアギャップ長L33よりも長い。
第三実施形態の発電機30における供給電流調整部331の調整を説明する。
図8(a)には、巻線321の電流によって生じる主な磁束F3が示されている。図8(a)及び図8(b)では、巻線321の電流による磁束F3を分りやすく示すため、ロータ31の図示を省略している。
図8(a)に示す第一状態では、複数の第一ステータ部323のそれぞれと第二ステータ部324との間のエアギャップ長L32が、複数の第一ステータ部のうち隣り合う第一ステータ部323の間のエアギャップ長L33よりも短い。このため、巻線321の電流による磁束F3は、図8(a)に示すように、隣り合う第一ステータ部323と、第二ステータ部324とを通じて流れる。巻線321から見たステータコア322の磁気抵抗は、隣り合う第一ステータ部323の間のエアギャップ長L33に依存する。エアギャップ長L33は、磁気回路F3において最も長いエアギャップである。
図8(b)に示す第二状態では、複数の第一ステータ部323のそれぞれと第二ステータ部324との間のエアギャップ長L34が、複数の第一ステータ部323のうち隣り合う第一ステータ部323の間のエアギャップ長L33よりも長い。このため、巻線321から見たステータコア322の磁気抵抗は、第一ステータ部323と第二ステータ部324との間のエアギャップ長L34の影響を強く受ける。この結果、第二状態における巻線321から見たステータコア322の磁気抵抗は、第一状態における磁気抵抗よりも大きい。
先に説明したように、巻線321のインダクタンスは、巻線321から見た磁気抵抗に反比例する傾向を有する。従って、第二状態における巻線321のインダクタンスは、第一状態における巻線321のインダクタンスよりも小さい。
供給電流調整部331は、第一状態(図8(a)参照)から第二状態(図8(b)参照)まで、複数の第一ステータ部323及び第二ステータ部324の一方を他方に対して移動させる。これによって、供給電流調整部331は、巻線321から見た磁気抵抗を変える。これによって、供給電流調整部331は、巻線321のインダクタンスを変える。これによって、供給電流調整部331は、モータ18(図1参照)に供給する電流を調整する。
[電流特性]
図9は、図7に示す発電機30におけるロータ31の回転速度に対する出力電流特性を示すグラフである。
図9のグラフにおいて、破線H1は、図8(a)に示す第一状態における出力電流特性を表している。発電機30が破線H1に示される出力電流特性を有する場合、発電機30は、図9のグラフにおいて出力電流と回転速度との組合せが破線H1以下の領域に位置するように動作する。実線H2は、図8(b)に示す第二状態における出力電流特性を表している。発電機30が実線H2に示される出力電流特性を有する場合、発電機30は、出力電流と回転速度との組合せが実線H2以下の領域に位置するように動作する。なお、図9のグラフでは、電流の制御を分かりやすくするため、供給電圧調整部344(図7参照)を動作させない場合の特性を示している。
図9のグラフを参照して、発電機30における調整について説明する。
破線H1に示す、第一状態における出力電流に着目すると、出力電流は、回転速度の増大に応じて増大する。従って、発電機30の出力電流は、ロータ31の回転速度によって調整することも可能である。ロータ31の回転速度は、エンジン14の出力軸C(図2参照)の回転速度に相当する。
しかし、第一状態における出力電流は、ロータ31の回転速度が比較的小さい領域で、回転速度の増大に応じて急峻に増大する。その一方で、第一状態における出力電流は、回転速度が比較的高い領域では、回転速度の増大に応じた出力電流の増大が緩やかである。すなわち、回転速度が比較的高い領域では、回転速度の変化に対する出力電流の変化率が小さい。
例えば、発電機30が第一状態に固定される場合、回転速度の変化に対する出力電流の変化率が小さい領域において、出力電流を増大するためには、ロータ31の回転速度を大幅に増大することが求められる。
例えば、ビークルV(図1参照)が走行時に登坂を開始する場合、又は、走行時に他の車両を追い抜く場合、高速走行時に駆動システムPから出力されるトルクの更なる増大が必要となる。この場合、トルク要求が増大する。
供給電流調整部331の状態が固定した状態において、更なる加速に対応してトルク要求が増大する場合、ロータ31の回転速度、即ちエンジン14の回転速度を更に増大することが求められる。つまり、出力トルクを増大するために、エンジン14の回転パワーを過剰に増大する必要がある。
例えば、回転速度がN1であり、出力電流がI1である状況で、トルク要求の増大を受け、電流をI2まで増大させる場合がある。この場合、発電機30が、グラフのH1に対応する第一状態に固定されていると、ロータ31の回転速度が過剰に増大することとなる。言い換えると、エンジン14の回転速度が過剰に増大する。これによって、エンジン14自体の燃料効率が低下する。
巻線321の誘導起電圧は、ロータ31の回転速度にほぼ比例する。そのため、回転速度を大幅に増大すると、誘導起電圧が大幅に増大する。電圧の大幅な増大に対応するためには、電気部品の高耐圧化が必要となる。そのため、電気部品の高耐圧化に伴う効率の低下を招来する。
トルク制御において、制御装置15は供給電流調整部331を制御する。これによって、制御装置15は、電流要求に応じて巻線321から見たステータコア322の磁気抵抗を変える。これによって、制御装置15は、巻線321のインダクタンスを変える。これによって、モータ18に供給する電流が調整される。具体的には、供給電流調整部331が、第二ステータ部324を第一状態(図8(a)参照)から第二状態(図8(b)参照)まで移動させる。これによって、出力電流特性が、図9に示す破線H1から、実線H2に示すように変わる。
制御装置15は、例えば、供給電流調整部331(図7参照)に、第二ステータ部324を第二状態(図8(b)参照)まで移動させる。これによって、制御装置15は、インダクタンスを低減させる。そして、制御装置15がエンジン14の回転数をN2まで増加させる。これによって、出力電流がI2まで増大する。出力電流の増大に応じて、駆動システムPから出力されるトルクが増大する。
このようにして、制御装置15が制御を行う。これにより、例えば、エンジン14の回転数のみを増加させた場合と比べて、トルクの調整レンジが拡大される。
制御装置15は、エンジン出力調整部141にエンジンの回転パワーを調整させる時に、供給電流調整部331に巻線のインダクタンスを調整させる。制御装置15は、エンジン14の回転パワー増大の過程が終了する前に、供給電流調整部331に巻線121のインダクタンスを減少させる過程を開始する。つまり、制御装置15は、供給電流調整部331によって巻線121のインダクタンスが減少する途中の期間と、エンジン出力調整部141によってエンジン14の回転パワーが増大する途中の期間とが、重複部分を有するように制御を行う。
これによって、発電機からモータ18に供給される電流が滑らかに増大する。従って、トルクが滑らかに増大する。また、エンジン14の回転パワーの調整を行う過程で、発電機30から出力される電流が、要求されたトルクの電流値に到達する前に、エンジンの回転パワーが過剰に増大するといった事態が抑えられる。
続いて、回転速度制御について説明する。回転速度の増大が要求される場合、制御装置15は、インダクタンスLを減少させない。制御装置15は、エンジン出力調整部141(図2参照)にエンジン14の回転パワーを増大させる。
つまり、本実施形態において、制御装置15は、供給電流調整部331(図7参照)を、図9のグラフの破線H1に対応する第一状態(図8(a)参照)に維持したまま、エンジン出力調整部141にエンジン14の回転パワーを増大させる。
発電機30で生じる誘導起電圧E(図4参照)は、実質的に回転速度ωに比例する。特に、電圧の増大が要求される場合は、一般的に、モータ18自体のインピーダンスZmは大きい状態である。この場合、巻線321のインピーダンスZgが発電機の出力電圧に与える影響は小さい。このため、発電機からは、誘導起電圧Eに応じた電圧が出力される。
駆動システムPは、供給電流調整部331に巻線321のインダクタンスLを減少させず、速度の増大の要求に対応できる。
本実施形態の駆動システムPに対し、インダクタンスを変更できない一般的な発電機によって、図9の実線H2に示すような出力電流の特性を得るためには、巻線321の太径化又は磁石量の増大が求められる。巻線321の太径化又は磁石量の増大を行うと、駆動システム自体が大型化してしまう。この結果、駆動システムPの車両への搭載性や可搬性が低下する。また、インダクタンスを変更できない一般的な発電機が、実線H2に示すような出力電流特性を有するように構成されている場合、その発電機は、破線H1に示すような出力電流特性を有することはできない。
また、モータ18に供給する電流を調整する方法としては、例えば、DC−DCコンバータの利用が考えられる。しかし、ビークルVを駆動するような電力を入出力可能なDC−DCコンバータは、内蔵されるトランス等の部品が電力に対応して大型化してしまう。
本実施形態の駆動システムPでは、制御装置15が、供給電流調整部331を制御し、電流要求に応じて巻線321から見たステータコア322の磁気抵抗を変える。制御装置15は、これによって、巻線321のインダクタンスを変える。このため、駆動システムPは、巻線321の太径化又は磁石量の増大を行わずに、トルク要求に応じて電流を調整することができる。
再び図7を参照して発電機30の供給電圧調整部344について説明する。
発電機30は、供給電流調整部331とは別に、供給電圧調整部344を備えている。供給電圧調整部344は、制御装置15に制御されている。
供給電圧調整部344は、ロータ31の磁極部311から出て巻線321と鎖交する鎖交磁束を変える。これによって、供給電圧調整部344は、巻線321の誘導起電圧Eを変える。これによって、供給電圧調整部344は、モータ18に供給する電圧を調整する。より詳細には、供給電圧調整部344は、ロータ31を軸方向Xに移動させる。これによって、供給電圧調整部344は、ロータ31と、ステータ32との間のエアギャップ長L31を変える。このようなロータ31の軸方向Xへの移動は、例えばロータ31を回転可能に支持する軸受部313を、軸方向Xに移動させる供給電圧調整部344によって実現されることができる。ロータ31とステータ32との間のエアギャップ長L31が変わることによって、ロータ31と、ステータ32との間の磁気抵抗が変わる。これによって、磁極部311で生じて巻線321と鎖交する磁束の量が変わる。従って、発電機30が発生する電圧が変わる。駆動システムPにおいて発電機30が発生する電圧を制御することによって、駆動システムPから出力される回転パワーの制御の自由度が高められる。
このように、本実施形態の駆動システムPは、エンジン出力調整部141によるエンジン14の回転パワーの調整以外によっても、モータ18に供給する電圧を調整することができる。このため燃料効率の低下を抑えつつ、制御の自由度を高めることができる。
また、供給電圧調整部344は、次のようにして、供給電流調整部331の動作に起因する、巻線321と鎖交する鎖交磁束の変動を抑えることができる。
ロータ31の磁極部311から出て巻線321と鎖交する鎖交磁束は、ステータコア322を通って流れる。つまり、磁極部311から出て巻線321と鎖交する鎖交磁束は、第一ステータ部323及び第二ステータ部324を通って流れる。
供給電流調整部331が、第二ステータ部324を第一状態(図8(a)参照)から第二状態(図8(b)参照)まで移動させると、第一ステータ部323と第二ステータ部324との間のエアギャップ長L32,L34が変わる。このため、ロータ31の磁極部311から出て巻線321と鎖交する鎖交磁束の量も変わる。
供給電圧調整部344は、供給電流調整部331の動作による巻線321と鎖交する鎖交磁束の変動を補償するように、ロータ31と、ステータ32との間のエアギャップ長L31を変える。この結果、供給電流調整部331の動作に起因する、巻線321と鎖交する鎖交磁束の変動を抑えられる。
このようにして、供給電流調整部331は、供給電圧調整部344の補償動作によって、電圧による制約の影響をより抑えつつ、電流を調整することができる。
なお、上述した第三実施形態では、発電機30が、供給電流調整部331及び供給電圧調整部344の双方を備えることを説明した。ただし、本発明の駆動システムは、供給電圧調整部を備えていなくともよい。
上述した第三実施形態では、図9の電流特性のグラフを参照して、インダクタンスを制御しつつ、モータ18に供給する電流を調整することができることを説明した。しかし、インダクタンスを制御しつつ、モータ18に供給する電流の調整ができることは、第一実施形態及び第二実施形態においても同様である。
[第四実施形態]
図10は、本発明の第四実施形態に係るビークルを示す図である。
図10に示すビークルV4は、2つの車輪Wf、Wrを有する車輪付きビークルである。ビークルV4は、自動二輪車である。駆動システムP4は、2つの車輪Wf、Wrのうち、駆動輪Wrに接続されている。例えば、上述した第一実施形態から第三実施形態までの駆動システムのいずれかが、ビークルV4の駆動システムP4として用いられる。
駆動システムP4が有するモータ48は、駆動システムP4の残りの部分から離れた位置に配置されている。モータ48は、駆動輪Wrの内部に配置されている。モータ48は、駆動輪Wrと直接的に着脱可能に接続されている。モータ48のロータ481は、駆動輪WrのホイールW4に取付けられる。モータ48のロータ481は、駆動輪WrのホイールW4と一体となって回転する。
モータ48は、駆動輪Wrの内部に配置されているので、モータ48から出力されるトルクが直接に駆動輪Wrに伝わる。駆動輪Wrが出力するトルクに対する要求が、駆動システムP4のトルク要求に直接対応する。ビークルV4では、エンジン出力調整部141及び供給電流調整部331の両方が制御される。このため、ビークルV4は、エンジンの回転パワーの過剰な増大、及び電圧の過剰な増大を抑えつつ、トルク要求に対応することができる。本実施形態のビークルV4は、燃料効率の低下を抑えつつ、駆動輪Wrに直接出力されるトルクのトルク要求に対応することができる。モータ48は、インホイールモータである。インホイールモータとしてのモータ48は、例えば、駆動輪Wrのハブの内部に設けられている。インホイールモータとしてのモータ48は、駆動輪Wrのハブと同軸で、伝達機構を介さずに、接続されている。なお、インホイールモータとしてのモータ48は、必ずしも、駆動輪Wrの内部に位置する必要はない。
また、モータ48に取付けられる駆動輪Wrの大きさは、ビークルV4の種類に応じて異なる。つまり、互いに異なる種類のビークルV4には、異なる径の駆動輪Wrが備えられる。駆動輪Wrの径に応じて、トルク要求が異なる。ビークルには、複数の仕様を有するバリエーションが存在する。
本実施形態の駆動システムP4は、エンジン14(図2参照)の回転パワーの調整に加え、発電機10(図2参照)のインダクタンスLの調整によって、駆動輪Wrに出力するトルクを制御できる。このように、本実施形態の駆動システムP4は、ビークルV4の仕様のバリエーションに柔軟に対応することができる。また、駆動システムP4は、高い効率で、ビークルV4の仕様のバリエーションに対応することができる。
[第五実施形態]
図11は、本発明の第五実施形態に係るビークルを示す図である。
図11に示すビークルV5も、自動二輪車である。
駆動システムP5が有するモータ58は、駆動輪Wrから離れた位置に配置されている。モータ58は、インホイールモータではない。モータ58は、駆動輪Wrに間接的に接続されている。モータ58は、ギア51を介して駆動輪Wrに接続されている。ギア51は、モータ58から出力される回転パワーを駆動輪Wrに伝達する。ギア51は、本発明にいう伝達機構の一例である。
ギア51の大きさを変えることによって、駆動システムP5から伝達されるトルクの伝達特性が設定される。このため、駆動システムP5は、より広いビークルV5のバリエーションに対応できる。
モータ58から駆動輪Wrに回転パワーを伝達する伝達機構は、例えば、ベルト、チェーン、又は回転シャフトであってもよい。
[第六実施形態]
図12は、本発明の第六実施形態に係るビークルを示す図である。
図12に示すビークルV6は、スノーモービルである。ビークルV6は、トラックベルトTBを備えている。駆動システムP6は、トラックベルトTBを駆動する。トラックベルトTBは、回転推進機構の一例である。
スノーモービルであるビークルV6のトラックベルトTBを駆動するトルクは、ビークルV6の走行状況に応じて大きく変動する。駆動システムP6は、燃料効率の低下を抑えつつ、トラックベルトTBを駆動するトルクのトルク要求に対応することができる。
[第七実施形態]
図13は、本発明の第七実施形態に係るビークルを示す図である。
図13に示すビークルV7は、船舶である。ビークルV7は、プロペラ(スクリュー)SC7を備えている。詳細には、ビークルV7は、駆動システムP7としての船外機OEを搭載している。船外機OEは、船舶であるビークルV7の船尾に取付けられている。プロペラSC7は、船外機OEに設けられている。プロペラSC7は、回転推進機構の一例である。
本実施形態では、駆動システムP7のうち、モータ78が、残りの部分から離れた位置に配置されている。モータ78は、船舶であるビークルV7の喫水線よりも下の位置に配置される。プロペラSC7は、モータ78の出力軸に取付けられている。プロペラSC7は、モータ78に、直接的に着脱可能に接続されている。
本実施形態の駆動システムP7によれば、船外機OEの燃料効率の低下を抑えつつ、プロペラSC7のトルクの増大の要求に対応した調整を行うことができる。
また、船外機OEでは、ビークルV7の仕様、又は使用者の好みに応じて、プロペラSC7が別の仕様のプロペラに交換される場合がある。例えば、プロペラSC7が、異なる径を有するプロペラに交換される場合がある。プロペラに出力されるトルクは、プロペラの種類によって異なる。駆動システムP7では、制御装置が、エンジン出力調整部及び供給電流調整部の両方を制御する。このため、駆動システムP7は、ビークルV7の仕様のバリエーション、及び、交換可能なプロペラSC7のバリエーションに柔軟に対応することができる。
なお、駆動システムとしての船外機は、モータ、エンジン、及び発電機のすべてが喫水線よりも上に配置された構造を有していてもよい。プロペラは、喫水線よりも下に配置される。この場合、プロペラは、例えばシャフト及びギアを介してモータと間接的に接続される。
[第八実施形態]
図14は、本発明の第八実施形態に係るビークルを示す図である。
図14に示すビークルV8は、船舶である。ビークルV8は、プロペラ(スクリュー)SC8を備えている。駆動システムP8は、船内機である。プロペラSC8は、駆動システムP8のモータ(図示しない)に、間接的に着脱可能に接続されている。
本実施形態の駆動システムP8によれば、燃料効率の低下を抑えつつ、プロペラSC8に出力されるトルクの増大の要求に対応した調整を行うことができる。
また、プロペラSC8は、例えばビークルV8の仕様に応じたバリエーションを有する。駆動システムP8は、ビークルV8の仕様のバリエーション、及びプロペラSC8のバリエーションに柔軟に対応することができる。
[第九実施形態]
図15は、本発明の第九実施形態に係るビークルを示す図である。
図15に示すビークルV9は、小型滑走艇(ウォータービークル)である。ビークルV9は、インペラIPを有する推進機Kを備えている。駆動システムP9は、インペラIPに接続されている。推進機Kは、水導入口から導入される海水をインペラIPの回転により水噴射口から噴射させることによりビークルV9を推進させる。
本実施形態の駆動システムP9によれば、燃料効率の低下を抑えつつ、インペラIPに出力されるトルクの増大の要求に対応した調整を行うことができる。
また、インペラIPは、例えば推進機Kが搭載されるビークルV9の仕様に応じたバリエーションを有する。駆動システムP7は、ビークルV9の仕様のバリエーションに柔軟に対応することができる。
以上、駆動システムが搭載されるビークルを説明した。ただし、本発明における駆動システムはこれに限られず、3つの車輪を有するビークル、5つ以上の車輪を有するビークル、及び車輪を有さないビークルに適用することができる。
本発明における駆動システムは、例えば、上述した以外の、車輪を備えたビークルに適用することができる。本発明における駆動システムは、例えば、自動三輪車、バス、トラック、ゴルフカー、カート、ATV(All−Terrain Vehicle)、ROV(Recreational Off−highway Vehicle)、及び軌道式車両に適用することができる。
また、本発明における駆動システムは、例えば、車輪以外の駆動機構を駆動するビークルに適用することができる。本発明における駆動システムは、例えば、フォークリフトに代表される産業車両、除雪機、農業用車両、軍用車両、建機、飛行機、及びヘリコプタに適用することができる。
上述した実施形態では、アキシャルギャップ型構造を有するロータ及びステータの例を説明した。ただし、本発明の駆動システムは、ロータとステータとが、エアギャップを介して径方向で対向するラジアルギャップ構造にも適用できる。本実施形態のアキシャルギャップ型構造における軸方向X(図3)は、本発明におけるロータとステータとが対向する方向の一例である。ラジアルギャップ構造においては、ロータとステータとが径方向に対向する。
上述した実施形態では、ロータ11がエンジン14に接続される構成の詳細として、ロータ11は、エンジン14の出力軸Cと直接接続されている例を説明した。ただし、エンジン14の出力軸Cと発電機10のロータ11とは、例えばベルト、歯車、又はドライブシャフトに代表される伝達装置を介して接続されていてもよい。
上述した実施形態では、制御装置15が、トルク制御、速度制御、及びトルク制御と速度制御を混在させた制御のいずれかの制御を行うことを説明した。ただし、制御装置は、速度制御及びトルク制御のみを行ってもよい。制御装置はトルク制御のみを行ってもよい。
本発明の駆動システムに要求されるトルク要求は、アクセル操作子の出力に限られない。駆動システムに要求されるトルク要求として、例えば次のものが挙げられる。
・ビークルの自動速度制御装置(クルーズコントロール)から出力される加速要求の信号
・運転者が操作する、アクセル操作子とは別のスイッチ、ボリュームの出力
上述した実施形態では、信号の供給を受ける制御装置を備える例を説明した。ただし、駆動システムに要求されるトルク要求は、電気信号に限られない。本発明の制御装置は、例えば、操作レバーに接続されたワイヤ等によって動作する機構であってもよい。この場合、供給電流調整部は、ワイヤ等が伝達する力によってステータコアを移動させてもよい。
上述した実施形態では、モータの例として、三相ブラシレスモータを説明した。本発明のモータは、供給電流調整部の構造を含め本実施形態で説明した発電機と同様の構造を有したモータであってもよい。例えば、モータは、発電機30と同様に複数の第一ステータ部及び第二ステータ部を備え、第一ステータ部及び第二ステータ部の一方を他方に対して移動させる構造を有していてもよい。
上述した実施形態では、バッテリを有していない駆動システムPを説明した。本発明の駆動システムは、発電機で発電された電力を蓄えるバッテリを備えていてもよい。発電機は、エンジンのスタータとして、バッテリに蓄えられた電力によって動作してもよい。
更に、駆動システムのモータは、例えば、バッテリに蓄えられた電力によって動作してもよい。更に、モータは、例えば、発電機とバッテリの双方から同時に電力の供給を受けて動作してもよい。ただし、モータを駆動する電力を供給するバッテリなしで、モータが発電機から電力の供給を受ける構成は好ましい。この場合、バッテリ電圧の制約に起因する、エンジンの回転の制約又はバッテリ保護の制御が不要である。
上述した実施形態では、制御装置の例として、マイクロコントローラで構成された制御装置15を説明した。ただし、本発明はこれに限られない。制御装置は、例えば、ワイヤードロジックで構成することも可能である。
本発明に係る発電機は、エンジンのクランクケースに取付けられていなくともよい。本発明の駆動システムは、エンジンから離れた位置に配置されていてもよい。
トルク要求は、駆動システムから回転機構に出力されるトルクを増加、減少又は維持させる要求である。従って、駆動システムから回転機構に出力されるトルクをゼロから増加させる要求は、トルク要求に該当する。また、駆動システムから回転機構に出力されるトルクをゼロにする要求は、トルク要求に該当する。但し、駆動システムから回転機構に出力されるトルクをゼロに維持する要求は、実質的に、駆動システムから回転機構にトルクを出力させない要求である。従って、駆動システムから回転機構に出力されるトルクをゼロに維持する要求は、トルク要求に該当しない。言い換えると、駆動システムから回転機構に出力されるトルクがゼロで維持されている時、トルク要求は入力されていない。本発明において、制御装置は、駆動システムにトルク要求が入力されている時に、巻線から見たステータコアの磁気抵抗の変更を供給電流調整部に行わせる。制御装置は、駆動システムから回転機構にトルクが出力されている時に、駆動システムに入力されているトルク要求に応じて、巻線から見たステータコアの磁気抵抗の変更を供給電流調整部に行わせる。
巻線から見たステータコアの磁気抵抗の変更により、巻線のインダクタンスの変更が行われる。巻線から見たステータコアの磁気抵抗の変更は、複数段階的に行われてもよく、無段階的に行われてもよく、連続的に行われてもよい。言い換えると、発電機の出力電流特性は、複数段階的に変更されてもよく、無段階的に変更されてもよく、連続的に変更されてもよい。なお、図9に示す破線H1は、巻線から見たステータコアの磁気抵抗が小さい時の出力電流特性の一例を示す。図9に示す実線H2は、巻線から見たステータコアの磁気抵抗が大きい時の出力電流特性の一例を示す。即ち、図9に示す発電機の出力電流特性は、本実施形態における巻線から見たステータコアの磁気抵抗の変更が2段階で行われることを意味していない。複数段階的、無段階的又は連続的に変化する出力電流特性の中に、図9に示す破線H1及び実線H2の出力電流特性が含まれる。本発明において、巻線から見たステータコアの磁気抵抗の変更は、2段階で行われてもよい。
供給電流調整部が、発電機の状態を、高抵抗状態及び低抵抗状態のいずれか一方の状態から他方の状態に変更する場合について説明する。低抵抗状態における巻線から見たステータコアの磁気抵抗は、高抵抗状態における巻線から見たステータコアの磁気抵抗よりも小さい。例えば、巻線から見たステータコアの磁気抵抗が増加するように発電機の状態が変更された場合、変更前の発電機の状態が、低抵抗状態であり、変更後の発電機の状態が、高抵抗状態である。巻線から見たステータコアの磁気抵抗が減少するように発電機の状態が変更された場合、変更前の発電機の状態が、高抵抗状態であり、変更後の発電機の状態が、低抵抗状態である。即ち、高抵抗状態及び低抵抗状態における巻線から見たステータコアの絶対的な磁気抵抗は、特に限定されない。高抵抗状態と低抵抗状態とは、相対的に定められる。高抵抗状態における巻線のインダクタンスは、低抵抗状態における巻線のインダクタンスよりも小さい。
なお、以下の例では、高抵抗状態における発電機の出力電流特性の一例が図9に示す破線H1であり、低抵抗状態における発電機の出力電流特性の一例が図9に示す実線H2である。破線H1と実線H2との交点Mに相当する回転速度(M)では、高抵抗状態における発電機と、低抵抗状態における発電機とが、同じ回転速度(M)において、同じ大きさの電流を出力できる。巻線から見たステータコアの磁気抵抗が変更された時、変更前の発電機と、変更後の発電機との間には、このように、互いの出力電流特性曲線(H1、H2)の交点に相当する回転速度(M)が生じる。なお、出力電流特性曲線は、ロータの回転速度に対する発電機の出力電流を示す曲線である。
本発明の発電機は、図9に示すように、供給電流調整部により発電機の状態が低抵抗状態から高抵抗状態に変更された場合に、高抵抗状態における発電機(H2参照)が、回転速度(M)よりも大きい回転速度(M)で回転する時に、低抵抗状態における発電機(H1参照)が回転速度(M)で回転する時に出力可能な最大電流よりも大きな電流(I2)を出力できるように構成されている。本発明の発電機は、巻線から見たステータコアの磁気抵抗が高くなるように発電機の状態が変更されることにより、回転速度が比較的高い状況下で、変更前の発電機が出力することができなかった大きさの電流を出力できる。
本発明の発電機は、図9に示すように、供給電流調整部により発電機の状態が高抵抗状態から低抵抗状態に変更された場合に、低抵抗状態における発電機(H1参照)が、回転速度(M)よりも小さい回転速度(M)で回転する時に、高抵抗状態における発電機(H2参照)が回転速度(M)で回転する時に出力可能な最大電流よりも大きな電流を出力できるように構成されている。本発明の発電機は、巻線から見たステータコアの磁気抵抗が低くなるように発電機の状態が変更されることにより、回転速度が比較的低い状況下で、変更前の発電機が出力することができなかった大きさの電流を出力できる。
このように、本発明の発電機は、供給電流調整部により巻線から見たステータコアの磁気抵抗が変更された時に、変更後の発電機が、回転速度(M)よりも大きい又は小さい回転速度(M又はM)で回転する時に、変更前の発電機が前記回転速度(M又はM)で回転する時に出力可能な最大電流よりも大きな電流を出力できるように構成されている。
本発明の駆動システムによれば、エンジンから出力された回転のトルクと異なる回転のトルクと、エンジンから出力された回転速度と異なる回転速度とを、回転推進機構に供給することができる。
制御装置15は、トルク要求に応じて、供給電流調整部131と、モータ電力制御部としてのコンバータ16及び/又はインバータ17との両方を制御する。この場合、制御装置は、前記トルク要求に応じて供給電流調整部によりインダクタンスを変化させる制御を行うタイミングと同じタイミング又は異なるタイミングで、前記トルク要求に応じてモータ電力制御部の動作態様を変化させる制御を行ってもよい。なお、モータ電力制御部の動作態様を変化させる制御は、コンバータ及び/又はインバータのオン/オフのパターンを、予め定められた一のパターンから、予め定められた別のパターンに変化させる制御である。ここでいうパターンは、オン/オフの周期が一定であるパターンであってもよく、オン/オフの周期が経時的に変化するパターンであってもよい。モータ電力制御部の動作態様を変化させる制御は、モータ電力制御部の動作自体の制御と異なる。モータ電力制御部の動作自体の制御とは、予め定められたオン/オフのパターンに基づいてモータ電力制御部を動作させるための制御である。
各実施形態に示されるように、駆動システムの制御装置は、少なくともトルク要求とビークルの走行状態とに応じて、エンジン出力調整部及び供給電流調整部の両方を制御するように構成されていることが好ましい。なお、トルク要求は、駆動システムから回転推進機構に出力されるトルクとして駆動システムに要求されるトルクに関する。
前記制御装置への入力は、少なくともトルク要求及びビークルの走行状態である。前記制御装置への入力は、トルク要求とともに、回転速度要求を含んでいてもよい。アクセル操作子の操作量は、駆動システムのモータに対する回転パワーの要求である。回転パワーの要求は、トルク要求と回転速度要求とを含んでいる。ビークルの走行状態は、ビークル自体の走行状態、駆動システムのモータの出力の状態、駆動システムの発電機の出力の状態、及び駆動システムのエンジンの出力の状態のうち、少なくとも1つの状態を含む。ビークル自体の走行状態は、ビークルの車速、ビークルの回転推進機構のトルク、及びビークルの回転推進機構の回転速度の少なくとも一つを含む。駆動システムのモータの出力の状態は、少なくとも前記モータのトルク及び回転速度の一方を含む。駆動システムの発電機の出力の状態は、少なくとも前記発電機の出力電流及び出力電圧の一方を含む。駆動システムのエンジンの出力の状態は、少なくとも前記エンジンのトルク及び回転速度の一方を含む。駆動システムのモータと回転推進機構との間に複数段階式の変速機が設けられている場合には、ビークルの走行状態は、変速機の段数(ギアポジション)を含んでいてもよい。なお、上述した各実施形態において、駆動システムのモータと回転推進機構との間に変速機は設けられていない。駆動システムは、エンジン出力調整部及び供給電流調整部の両方を制御することにより、変速機としての機能を実現できる。
前記制御装置からの出力は、エンジン出力調整部及び供給電流調整部の両方に対する制御である。
前記制御装置は、前記制御装置への入力に応じて前記制御装置からの出力を決定するように構成されている。具体的には、例えば、以下のように構成されている。前記制御装置は、ハードウェアとしてのコンピュータと記憶部とを備えている。記憶部は、ソフトウェアとして、前記制御装置への入力に応じて前記制御装置からの出力を決定するためのプログラムを記憶している。前記プログラムは、前記コンピュータが前記制御装置への入力に応じて前記制御装置からの出力を決定するように前記コンピュータを動作させるためのプログラムである。前記コンピュータが上述した動作を行うように前記プログラムを実行することにより、前記制御装置は、エンジン出力調整部及び供給電流調整部の両方に対する制御を行うことができる。なお、前記プログラムは、前記制御装置への入力に応じて前記制御装置からの出力を決定するためのマップを含んでいてもよい。前記マップでは、前記制御装置への入力に関するデータと、前記制御装置からの出力に関するデータとが対応付けられている。この場合、前記プログラムは、前記コンピュータが前記制御装置への入力に応じて前記制御装置からの出力を決定する時に前記マップを参照するように前記コンピュータを動作させるように構成されている。前記マップについては、上述した実施形態において説明済である。
前記制御装置は、前記駆動システムが搭載されるビークル及び/又は前記ビークルの回転推進機構に応じて、エンジン出力調整部及び供給電流調整部の両方に対する制御の内容を変化させることができるように構成されていることが好ましい。駆動システムがビークルの仕様のバリエーションに柔軟に対応できるからである。ビークルの仕様としては、特に限定されず、回転推進機構の大きさ(例えば、駆動輪やプロペラの径)、ビークルの重量等が挙げられる。
この場合、前記制御装置は、前記コンピュータが、前記駆動システムが搭載されるビークル及び/又は前記ビークルの回転推進機構に応じて、異なる前記プログラムを実行することができるように構成されている。ここで、プログラムが異なることは、プログラムの一部(例えばマップ)が異なることを含む。なお、この構成は、例えば、下記(I)〜(IV)に示す態様を含む。
(I) 前記制御装置の前記記憶部が、複数のプログラムを記憶している。各プログラムは、前記駆動システムが搭載されるビークル及び/又は前記ビークルの回転推進機構に対応している。前記駆動システムが搭載される前記ビークル及び/又は前記回転推進機構に応じて、前記制御装置によって実行されるプログラムが選択される。この場合、前記制御装置は、前記駆動システムが搭載された前記ビークル及び/又は前記回転推進機構を識別することにより前記プログラムの選択を自動的に行うように構成されていてもよい。また、モータに入力される電圧及び/又は電流とモータから出力される回転の回転速度との関係に基づいて、前記プログラムの選択を行うように構成されていてもよい。また、前記制御装置は、前記プログラムの選択に関する指示が入力されるための入力部を備え、前記入力部に入力された前記指示に応じて、前記プログラムの選択を行うように構成されていてもよい。
(II) 前記制御装置の前記記憶部に記憶されたプログラムが、複数のマップを含んでいる。各マップは、前記駆動システムが搭載されるビークル及び/又は前記ビークルの回転推進機構に対応している。前記駆動システムが搭載される前記ビークル及び/又は前記回転推進機構に応じて、前記制御装置によって参照されるマップが選択される。この場合、前記制御装置は、前記駆動システムが搭載された前記ビークル及び/又は前記回転推進機構を識別することにより前記マップの選択を自動的に行うように構成されていてもよい。また、モータに入力される電圧及び/又は電流とモータから出力される回転の回転速度との関係に基づいて、前記プログラムの選択を行うように構成されていてもよい。また、前記制御装置は、前記プログラムの選択に関する指示が入力されるための入力部を備え、前記入力部に入力された前記指示に応じて、前記マップの選択を行うように構成されていてもよい。
(III) 前記制御装置は、前記駆動システムが搭載されるビークル及び/又は前記ビークルの回転推進機構に応じたプログラムがインストールされることができるように構成されている。前記記憶部は、前記プログラムが書き換えられることができるように構成されていてもよい。
(IV) 前記制御装置は、前記駆動システムが搭載されるビークル及び/又は前記ビークルの回転推進機構に応じたマップを含むプログラムがインストールされることができるように構成されている。前記記憶部は、前記プログラム又は前記マップが書き換えられることができるように構成されていてもよい。
上記(I)〜(IV)の例では、前記制御装置は、前記駆動システムが搭載されるビークル及び/又は前記ビークルの回転推進機構に応じて、前記エンジンの回転パワーの調整と、前記巻線から見たステータコアの磁気抵抗の変更による前記発電機の出力電流の調整とについて前記制御装置が行う制御の内容が決定されるように構成されている。前記制御装置は、前記駆動システムが搭載されるビークル及び/又は前記ビークルの回転推進機構に応じて、前記巻線から見たステータコアの磁気抵抗の変更について前記制御装置が行う制御の内容が決定されるように構成されている。前記制御装置は、前記駆動システムが搭載されるビークル及び/又は前記ビークルの回転推進機構に応じて、前記巻線のインダクタンスの変更について前記制御装置が行う制御の内容が決定されるように構成されている。前記制御装置は、前記駆動システムが搭載されるビークル及び/又は前記ビークルの回転推進機構に応じて、前記発電機の出力電流特性曲線(図9参照)の変化について前記制御装置が行う制御の内容が決定されるように構成されている。以上、各実施形態に係る駆動システムは、ソフトウェア(プログラム又はマップ)の変更により、ビークルの仕様のバリエーションに対応することができる。例えば、ビークルの物理的な構成を変更することなく、ソフトウェアの変更により、実質的に同じ物理的構成を備えた駆動システムが搭載された複数種類のビークルを製造することができる。例えば、駆動システムのモータと回転推進機構との回転速度比を変更することなく、ソフトウェアの変更により、実質的に同じ物理的構成を備えた駆動システムが搭載された複数種類のビークルを製造することができる。このように、ビークルの仕様のバリエーションに対する柔軟な対応が可能である。
上記実施形態に用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。本発明は、クレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきである。
P,P4〜P9 駆動システム
V,V4〜V9 ビークル
10,20,30 発電機
11,21,31 ロータ
12,22,32 ステータ
14 エンジン
15 制御装置
16 コンバータ
17 インバータ
18,48,58,78 モータ
131,231,331 供給電流調整部
141 エンジン出力調整部
151 トルク要求受付部
152 調整制御部
323 第一ステータ部
324 第二ステータ部
344 供給電圧調整部

Claims (15)

  1. 回転推進機構を有するビークルに搭載され、前記回転推進機構を駆動する駆動システムであって、
    前記駆動システムは、
    回転パワーを出力するエンジンであって、前記回転パワーを調整するエンジン出力調整部を有するエンジンと、
    前記エンジンから回転パワーを受けるとともに、前記エンジンから伝達される回転パワーに応じた電力を出力するように構成された発電機であって、永久磁石を有し前記エンジンから伝達される回転パワーにより回転するロータと、巻線及び前記巻線が巻かれたステータコアを有し前記ロータと対向して配置されたステータと、前記巻線から見た前記ステータコアの磁気抵抗を変えることによって前記巻線のインダクタンスを変え、前記発電機から出力される電流を調整する供給電流調整部とを有する発電機と、
    前記回転推進機構と直接的又は間接的に着脱可能に接続され、前記発電機から出力された電力で駆動されて前記回転推進機構に回転パワーを出力するように構成されたモータと、
    前記駆動システムから前記回転推進機構に出力するトルクとして前記駆動システムに要求されるトルクに関するトルク要求に応じて、前記エンジン出力調整部、及び、前記巻線のインダクタンスを変えることによって電流を調整する前記供給電流調整部の両方を制御するように構成された制御装置と
    を備える。
  2. 請求項1に記載の駆動システムであって、
    前記供給電流調整部が、
    前記制御装置による制御に応じて前記巻線から見た前記ステータコアの磁気抵抗を変えることによって、前記巻線と鎖交する磁束の変化率が前記巻線のインダクタンスの変化率よりも小さくなるように前記巻線のインダクタンスを変え、供給する電流を調整するように構成されている。
  3. 請求項1又は2に記載の駆動システムであって、
    前記供給電流調整部が、
    前記制御装置による制御に応じて前記巻線に対する前記ステータコアの相対位置を移動させて、前記巻線から見た前記ステータコアの磁気抵抗を変えることによって前記巻線のインダクタンスを変え、前記発電機から出力される電流を調整するように構成されている。
  4. 請求項3に記載の駆動システムであって、
    前記供給電流調整部が、
    前記制御装置による制御に応じて前記ロータに対する前記ステータコアの相対位置を維持するように前記巻線に対する前記ステータコアの相対位置を移動させて、前記巻線から見た前記ステータコアの磁気抵抗を変えることによって前記巻線のインダクタンスを変え、前記発電機から出力される電流を調整するように構成されている。
  5. 請求項1又は2に記載の駆動システムであって、
    前記供給電流調整部が、
    前記制御装置による制御に応じて、前記巻線を移動させて前記巻線から見た前記ステータコアの磁気抵抗を変えることによって前記巻線のインダクタンスを変え、前記発電機から出力される電流を調整するように構成されている。
  6. 請求項1又は2に記載の駆動システムであって、
    前記ステータは、前記ロータにエアギャップを介して対面する対面部を有する複数の第一ステータ部と、前記対面部を含まない第二ステータ部とを備え、
    前記供給電流調整部が、前記複数の第一ステータ部及び前記第二ステータ部の一方を他方に対して移動させることによって、前記巻線から見た前記ステータコアの磁気抵抗を変えるように構成されている。
  7. 請求項6に記載の駆動システムであって、
    前記供給電流調整部が、
    前記複数の第一ステータ部のそれぞれと前記第二ステータ部との間のエアギャップ長が、前記複数の第一ステータ部のうち隣り合う第一ステータ部の間のエアギャップ長よりも短い第一状態から、
    前記複数の第一ステータ部のそれぞれと前記第二ステータ部との間のエアギャップ長が、前記複数の第一ステータ部のうち隣り合う第一ステータ部の間のエアギャップ長よりも長い第二状態まで、
    前記複数の第一ステータ部及び前記第二ステータ部の一方を他方に対して移動させることによって、前記巻線から見た前記ステータコアの磁気抵抗を変えるように構成されている。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の駆動システムであって、
    前記駆動システムは、前記ビークルとしての船舶に搭載される船外機であり、
    前記駆動システムのモータは、前記回転推進機構としてのプロペラが直接的又は間接的に着脱可能に接続されるように構成されている。
  9. 請求項1から7のいずれか1項に記載の駆動システムに用いられる駆動システム用制御装置であって、
    前記制御装置は、前記駆動システムから前記回転推進機構に出力するトルクとして前記駆動システムに要求されるトルクに関するトルク要求を受け付けるように構成されたトルク要求受付部と、
    前記トルク要求受付部によって受付けられたトルク要求に応じて、前記エンジン出力調整部、及び、前記巻線のインダクタンスを変えることによって電流を調整するように構成された前記供給電流調整部の両方を制御する調整制御部と
    を備える。
  10. ビークルであって、
    前記ビークルは、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の駆動システムと、
    前記駆動システムの前記モータに直接的又は間接的に着脱可能に接続され、前記駆動システムの駆動により回転することによって前記ビークルを推進させるように構成された前記回転推進機構と
    を備える。
  11. 請求項10記載のビークルであって、
    前記ビークルは、前記回転推進機構としての車輪を備えた車輪付きビークルであり、
    前記駆動システムの前記モータは、前記車輪とは離れた位置に配置され、
    前記ビークルは、前記モータから出力される回転パワーを前記車輪に伝達するように構成された伝達機構を備える。
  12. 請求項10記載のビークルであって、
    前記ビークルは、前記回転推進機構としての車輪を備えた車輪付きビークルであり、
    前記駆動システムの前記モータは、前記車輪の内部に配置されている。
  13. 請求項10記載のビークルであって、
    前記ビークルは、前記回転推進機構としてのトラックベルトを備えたスノーモービルである。
  14. 請求項10記載のビークルであって、
    前記ビークルは、前記回転推進機構としてのプロペラを備えた船舶である。
  15. 請求項10記載のビークルであって、
    前記ビークルは、前記回転推進機構としてのインペラを備えた小型滑走艇である。
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