JP2018012313A - 炭素短繊維樹脂構造体及び炭素短繊維樹脂構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、強度の優れた炭素短繊維樹脂構造体を提供することである。【解決手段】炭素短繊維を含有してなる不織布と熱可塑性フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとの積層体である炭素短繊維樹脂構造体であり、より好ましくは、炭素長繊維開繊糸シートが、サイジング剤の含有量が0.1質量%以下である炭素長繊維と熱可塑性フィルムとの積層体であり、炭素短繊維不織布がミクロフィブリル化セルロースを含有してなり、炭素短繊維を含有してなる不織布と熱可塑性フィルムとの積層体の両面からロールで加熱加圧処理することによって、該不織布と熱可塑性フィルムとを一体化して炭素短繊維強化フィルムを製造する工程と、該炭素短繊維強化フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとを一体化する工程とを含む方法によって製造される。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素短繊維樹脂構造体及び炭素短繊維樹脂構造体の製造方法に関する。
炭素繊維と樹脂を複合化してなる炭素繊維強化樹脂複合体は、金属材料に匹敵する強度・弾性率を有しながら、金属材料よりも比重が小さいため、部材の軽量化を図ることができ、また、発錆の問題もなく、酸やアルカリにも強いという性質を有していることから、電子機器材料、電気機器材料、土木材料、建築材料、自動車材料、航空機材料、各種製造業で使用されるロボット、ロール等の製造部品等で使用されている。
炭素繊維強化樹脂複合体は、炭素繊維布帛と、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂とを複合させた複合体である。炭素繊維布帛には、炭素長繊維を用いた布帛と炭素短繊維を用いた布帛がある。炭素長繊維を用いた布帛としては、炭素長繊維織布、炭素長繊維一方向性ウェブ、炭素長繊維開繊糸シート等がある。炭素短繊維を用いた布帛としては、炭素短繊維不織布がある。また、炭素長繊維開繊糸シートとしては、炭素長繊維開繊糸織物、炭素長繊維開繊糸一方向性ウェブ(炭素長繊維開繊糸UDウェブ、UD:UniDerection)等が挙げられる。最も一般的な炭素繊維強化樹脂複合体には、長繊維織布と熱硬化性樹脂とを複合させた複合体であるが、設計が難しい、均質材料ではない、成形加工時間が長い、高価等の課題があった。
また、炭素長繊維を用いた炭素繊維布帛の1種である炭素長繊維開繊糸UDウェブに熱可塑性樹脂を含浸し、上下一対のスチールベルトコンベアで挟みながら、加熱炉内を搬送して、炭素長繊維開繊糸UDウェブと熱可塑性樹脂を複合させる方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。炭素長繊維開繊糸UDウェブには、繊維のずれや移動が起こりやすいという課題があった。
これらの課題を解決した炭素繊維強化樹脂複合体として、炭素短繊維を熱可塑性樹脂と混練し、複合体として射出成形用材料して用いる方法(例えば、特許文献2参照)が知られているが、炭素繊維は混練時に破断しやすく繊維長が短くなり、充分な特性を得られないばかりか、数百ミクロン以下のフィルム状の構造体を得ることが難しいなどの課題があった。
別の方法として、予め炭素短繊維を含有してなる不織布(炭素短繊維不織布)を作製し、炭素短繊維不織布と熱可塑性樹脂フィルムを熱プレス成形法により複合させる方法が提案されている(例えば、特許文献2〜7参照)。また、炭素短繊維不織布と熱可塑性樹脂フィルムを加熱ロールと冷却ロールとの組合せからなるロールユニットを用いてプレスし、熱可塑性樹脂を溶融固化させて複合させる方法が提案されている(例えば、特許文献8参照)。また、炭素短繊維不織布と熱可塑性樹脂フィルムとを積層し、電磁誘導加熱によって、熱可塑性樹脂フィルムを炭素短繊維不織布に含浸させた後にプレスして複合させる方法も提案されている(例えば、特許文献9〜11参照)。なお、熱可塑性樹脂フィルムを溶融させる方法として、過熱蒸気を吹き付ける方法も提案されている(例えば、特許文献12参照)。
しかし、単純に、炭素短繊維不織布と熱可塑性樹脂とを複合してなる炭素短繊維樹脂構造体は、長繊維を用いた炭素繊維強化樹脂複合体に比べて、充分な強度物性を得ることが難しいという問題があった。
加工性の点から、シート状の炭素繊維強化樹脂複合体を巻回してロール状に巻き取ったロール状巻回体を得ることを目的として、シート状の炭素繊維強化樹脂複合体の少なくとも一方の面に、フィルム、織布又は不織布よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を積層一体化する方法も提案されている(例えば、特許文献13参照)。しかし、炭素長繊維開繊糸UDウェブと熱可塑性樹脂とからなる炭素繊維強化樹脂複合体の場合には、フィルム等を積層一体化することが必要であるが、炭素短繊維不織布と熱可塑性樹脂とからなる炭素繊維強化樹脂複合体の場合には、比較的屈曲性に優れているため、フィルム等を積層一体化することは必ずしも必要ではないことが記載されている。
特開2000−355629号公報 特開平07−156146号公報 特開2013−208791号公報 特開2013−202891号公報 特開2011−21303号公報 特開2011−194852号公報 特開2014−224333号公報 特開2004−43985号公報 特開2005−238758号公報 特開2008−254437号公報 特開2014−34162号公報 特開2015−47807号公報 特開2010−229238号公報
本発明の課題は、強度の優れた炭素短繊維樹脂構造体を提供することである。
上記課題は、下記発明によって解決することができる。
(1)炭素短繊維を含有してなる不織布と熱可塑性フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとの積層体である炭素短繊維樹脂構造体。
(2)炭素長繊維開繊糸シートが、サイジング剤の含有量が1質量%以下である炭素長繊維開繊糸シートと熱可塑性フィルムとの積層体である上記(1)記載の炭素短繊維樹脂構造体。
(3)炭素短繊維を含有してなる不織布がミクロフィブリル化セルロースを含有してなる上記(1)又は(2)記載の炭素短繊維樹脂構造体。
(4)炭素短繊維を含有してなる不織布と熱可塑性フィルムとの積層体の両面からロールで加熱加圧処理することによって、該不織布と熱可塑性フィルムとを一体化して炭素短繊維強化フィルムを製造する工程と、該炭素短繊維強化フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとを一体化する工程とを含む炭素短繊維樹脂構造体の製造方法。
(5)炭素長繊維開繊糸シートが、サイジング剤の含有量が1質量%以下である炭素長繊維開繊糸シートと熱可塑性フィルムとの積層体である上記(4)記載の炭素短繊維樹脂構造体の製造方法。
(6)炭素短繊維を含有してなる不織布がミクロフィブリル化セルロースを含有してなる上記(4)又は(5)記載の炭素短繊維樹脂構造体の製造方法。
本発明によれば、単純に炭素短繊維不織布と熱可塑性樹脂とを複合してなる炭素短繊維樹脂構造体と比較して、高い強度物性を有し、加工性に優れた炭素短繊維強化構造体を得ることができる。
本発明の炭素短繊維樹脂構造体は、炭素短繊維を含有してなる不織布と熱可塑性フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとの積層体である。
本発明において、炭素短繊維を含有してなる不織布(炭素短繊維不織布)としては、湿式法又は乾式法により製造される湿式不織布又は乾式不織布を用いることができる。そして、炭素短繊維不織布は、結着材として、熱可塑性短繊維、熱可塑性エマルジョン等を含むことができる。この結着材によって、炭素短繊維不織布に強度を容易に付与することができる。
炭素短繊維としては、ポリアクリロニトリルを原料とするPAN系炭素繊維、ピッチ類を原料とするピッチ系炭素短繊維が挙げられる。炭素短繊維の繊維径は3μm以上20μm以下であることが好ましく、5μm以上15μm以下であることがより好ましい。また、炭素短繊維の繊維長は、湿式不織布の場合は、3μm以上40mm以下であることが好ましく、乾式不織布の場合は、20μm以上120mm以下であることが好ましい。
本発明において、炭素短繊維としてリサイクル炭素短繊維を用いることができる。リサイクル炭素繊維とは、一度成形体として成った炭素繊維と樹脂複合体を、アルゴン、窒素などの不活性ガス中又は水蒸気中で、樹脂成分を焼結除去して得られる材料である。特に過熱水蒸気による焼結方法は、大気下で熱を奪うと水に戻ることから、安価で環境を汚染しない有効な方法である。プリプレグより成る樹脂複合体はアングルプライ積層体など多様な形態をしており、通常は一定サイズに落としてから、焼結処理し、熱硬化性樹脂を除去して、裁断する。この場合、繊維長の異なるリサイクル炭素短繊維が得られる。
乾式不織布の製造方法を説明する。まず、大気中で解繊された炭素短繊維をウェッブに展開し、カード法などで分散さる。この時、結着材として熱可塑性短繊維を併用する場合は、炭素短繊維と一緒に解繊分散させて、熱処理を施す。また、結着材として熱可塑性エマルジョンを併用する場合には、炭素短繊維のウェッブに熱可塑性エマルジョンを付与して熱処理を施す。結着材によって、強度を持たせて、乾式不織布とする。
湿式不織布の製造方法を説明する。まず、水中で炭素短繊維を解繊し、次に、円網、短網、長網、傾斜短網などの抄紙網で漉き上げて、乾燥・加熱処理等を施して、湿式不織布とする。そして、乾式不織布と同様に、熱可塑性短繊維、熱可塑性エマルジョン等の結着材によって、強度を持たせて、湿式不織布とする。
本発明では、乾式不織布、湿式不織布のいずれの不織布も利用できるが、薄い不織布を利用する場合には、繊維の分散性が優れている湿式不織布を利用することが好ましい。また、厚い不織布を利用する場合には、製造方法の簡素で、厚みを持たせるのに有利な、乾式不織布を利用することが好ましい。
熱可塑性短繊維としては、非結晶性のポリビニルアルコール(ビニロン)短繊維、表面が低融点化されているポリエステル芯鞘短繊維、未延伸ポリエステル短繊維、ポリカーボネート(PC)短繊維、ポリオレフィン短繊維、表面が低融点化されているポリオレフィン芯鞘短繊維、表面が酸変性ポリオレフィンよりなるポリオレフィン短繊維、脂肪族ポリアミド短繊維、未延伸ポリフェニレンスルフィド短繊維、ポリエーテルケトンケトン短繊維等の熱可塑性を有する樹脂の短繊維が挙げられる。
熱可塑性エマルジョンとしては、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、酸変性されたポリオレフィン、酸変性されたαオレフィンを含むポリオレフィン、アイオノマー、塩素化ポリオレフィンなどの熱可塑性を有する樹脂のエマルジョンが用いられる。
熱可塑性を有する樹脂の融点は60℃以上260℃以下であることが好ましく、60℃以上230℃以下であることがより好ましく、60℃以上180℃以下であることが更に好ましく、80℃以上160℃以下であることが特に好ましい。
熱可塑性短繊維の繊維径は3μm以上40μm以下であることが好ましく、5μm以上20μm以下であることがより好ましい。また、熱可塑性短繊維の繊維長は1μm以上120mm以下であることが好ましく、3μm以上40mm以下であることがより好ましい。
炭素短繊維と結着材の含有比率(質量基準による、炭素短繊維:結着材)は、8.5:0.0〜5:4であることが好ましく、8.5:0.5〜5:4であることがより好ましく、8:1〜6:3であることが更に好ましい。結着材は必須成分では無いが、炭素短繊維と結着材の含有比率を上記範囲内とすることにより、炭素短繊維樹脂構造体の強度を容易に高めることができる。
本発明の炭素短繊維樹脂構造体の製造方法は、炭素短繊維含有不織布と熱可塑性フィルムとの積層体の両面からロールで加熱加圧処理することによって、該不織布と熱可塑性フィルムとを一体化して炭素短繊維強化フィルムを製造する工程と、該炭素短繊維強化フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとを一体化する工程とを含む。本発明では、炭素短繊維不織布が、ミクロフィブリル化セルロースを含有することが好ましい。炭素短繊維不織布がミクロフィブリル化セルロースを含有している場合、加熱加圧処理時や炭素短繊維強化フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとを一体化する際に、炭素短繊維不織布内で炭素短繊維の分散性が崩れないため、強度物性及び加工性の優れた炭素短繊維樹脂構造体を得ることができる。
ミクロフィブリル化セルロース繊維とは、フィルム状ではなく、主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された部分を有する繊維状で、少なくとも一部が繊維径1μm以下であるセルロース繊維である。長さと幅のアスペクト比が20〜100000であることが好ましい。また、変法濾水度が0ml以上770ml以下であることが好ましく、0ml以上600ml以下であることがより好ましい。更に、質量平均繊維長が0.1mm以上2mm以下であることが好ましい。本発明における変法濾水度は、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの金網(PULP AND PAPER RESEARCH INSTITUTE OF CANADA製)を用い、試料濃度を0.1%にした以外はJIS P8121(1995年版)に準拠して測定した濾水度である。
ミクロフィブリル化セルロースのフィブリル化度合いは、低濃度での分散液粘度で把握することも可能である。粘度が高くなるほど、フィブリル化が進行しているが、粘度が高過ぎる場合は、繊維長が短くなり過ぎている可能性がある。ミクロフィブリル化セルロースの分散液(濃度0.5質量%)の粘度が、B型粘度計(ローターNo.2、ローター回転数60rpm、温度23℃以上25℃以下)を用いた場合、50cp以上200cp以下であることが好ましい。
炭素短繊維不織布がミクロフィブリル化セルロースを含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、不織布中の全繊維に対して、0.5〜20質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましい。ミクロフィブリル化セルロース繊維の含有量が上記範囲内である場合、加熱加圧処理時や炭素短繊維強化フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとを一体化する際に、炭素短繊維不織布内で炭素短繊維の分散性が崩れないため、強度物性及び加工性の優れた炭素短繊維樹脂構造体を得ることができる。ミクロフィブリル化セルロース繊維の含有量が上記範囲より少ない場合、ミクロフィブリル化セルロースを含有していない場合と効果が変わらない場合がある。ミクロフィブリル化セルロース繊維の含有量が上記範囲を超えた場合、不織布製造時に脱水された後、ミクロフィブリル化セルロース同士が密な構造を形成して、フィルム状となり、加熱加圧処理時や炭素短繊維強化フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとを一体化する際に、炭素短繊維不織布内へ熱可塑性樹脂フィルムが進入し難くなる。また、炭素短繊維不織布と熱可塑性フィルムとを一体化してなる炭素短繊維強化フィルムに、ボイドが見られる場合がある。
ミクロフィブリル化セルロース繊維用のセルロース材料としては、植物パルプ、溶剤紡糸セルロース、半合成セルロース等が挙げられる。植物パルプとしては、広葉樹材(L材)や針葉樹材(N材)を用いたクラフトパルプ(KP)、溶解パルプ(DP)、溶解クラフトパルプ(DKP)などの木質系パルプが挙げられる。また、藁、麻、コットン、コットンリンターなどの非木質系パルプも挙げられる。市販品としては、セリッシュ(登録商標、ダイセルファインケム社製)が挙げられる。なお、セルロース材料の結晶形には、I型、II型、III型、IV型等があるが、耐熱性の観点から、I型、II型が好ましく、I型がより好ましい。I型のセルロース材料源としては、コットンパルプ、コットンリンターパルプ、麻パルプ、ケナフパルプなどの非木質系パルプで、リグニン及びヘミセルロースの含有量が低減されたパルプ、L材又はN材から得られる、リグニン及びヘミセルロースの含有量が低減されたKP、DP、DKPなどの木質系パルプが挙げられる。特に、コットン系材料が好ましい。
ミクロフィブリル化セルロースを得るためには、セルロース材料が、まず、水中で分散され、機械的に粉砕される。そして、セルロース材料の繊維が解繊されてミクロフィブリルが形成される。セルロース材料を解繊する装置としては、ディスクリファイナー、石臼型磨砕機、高圧ホモジナイザー、ボールミル、水中カウンターコリジョン法用装置、超音波破砕器等が挙げられる。これらの装置を適宜組み合わせて使用することもできる。
炭素長繊維開繊糸シートとしては、炭素長繊維開繊糸一方向性ウェブ(炭素長繊維開繊糸UDウェブ、UD:UniDerection)、炭素長繊維開繊糸織物等が挙げられる。炭素長繊維開繊糸UDウェブとは、炭素長繊維とサイジング剤の糸状複合体を、エアーフローやウオーターフローなどによって開繊し、テープ状としたものである。炭素長繊維開繊糸織物とは、炭素長繊維開繊糸UDウェブを経糸と緯糸として使用した織物である。
本発明では、この炭素長繊維開繊糸シートをそのまま使用しても良いが、溶剤処理法、酸化法、焼結法などにより、洗浄処理を施して、サイジング剤を除去し、熱可塑性フィルムと積層させた炭素長繊維開繊糸シートを用いることがより好ましい。溶剤処理法とは、アセトン、メチルエチルケトン、アルコールなどの有機溶剤で、サイジング剤を除去し、炭素長繊維の表面を出す方法である。酸化法とは、硫酸と過酸化水素などを併用して、酸化分解によりサイジング剤を除去する方法である。焼結法とは、アルゴン、窒素などの不活性ガスや過熱水蒸気中で、400℃以上700℃以下の温度域でサイジング剤を熱分解する方法である。焼結法は、熱源を導入するだけで、他の化学種を用いず、規模を大きくすることができるため、好ましい方法である。特に過熱水蒸気による焼結法は雰囲気中の酸素濃度を低く抑えて炭素繊維表面の劣化を防ぐことができることから、より好ましい方法である。本発明において、熱可塑性フィルムと積層する前の炭素長繊維開繊糸シートにおけるサイジング剤の含有量は、好ましくは0.001質量%以上3質量%以下である。より好ましい含有量は、0.01質量%以上1質量%以下である。
熱可塑性樹脂フィルムの熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリメチルメタクリレート樹脂等のアクリ系樹脂;ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル(Acrylonitrile)・ブタジエン(Butadiene)・スチレン(Styrene)共重合合成樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル(Acrylonitrile)・スチレン(Styrene)共重合合成樹脂(AS樹脂)等のポリスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリ1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート(PCT)樹脂等のポリエステル系樹脂;6−ナイロン樹脂、6,6−ナイロン樹脂等のポリアミド(PA)樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリオキシメチレン(POM)樹脂;ポリカーボネート(PC)樹脂;ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂;変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂;ポリエーテルイミド(PEI)樹脂;ポリスルホン(PSF)樹脂;ポリエーテルスルホン(PES)樹脂;ポリケトン樹脂;ポリアリレート(PAR)樹脂;ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂;ポリエーテルケトン(PEK)樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂;ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂;ポリイミド(PI)樹脂;ポリアミドイミド(PAI)樹脂;フッ素(F)樹脂;液晶ポリエステル樹脂等の液晶ポリマー樹脂;ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系又はフッ素系等の熱可塑性エラストマー;又はこれらの共重合体樹脂や変性樹脂;アイオノマー樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中から、1種又は2種以上を用いることができる。質量の観点からはPPが好ましく、燃焼性の観点から、PC、PPS、PEEK、PEI等が好ましい。
アイオノマー樹脂としては、エチレン−不飽和カルボン酸共重合樹脂のカルボキシル基の一部を金属イオンで中和してなるエチレン系アイオノマー樹脂が挙げられる。カルボキシル基の10モル%以上、好ましくは10モル%以上90モル%以下を金属イオンで中和したものが使用される。金属イオンとしては、リチウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、亜鉛、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属のような多価金属イオンを挙げることができる。
本発明の炭素短繊維樹脂構造体の製造方法は、炭素短繊維不織布と熱可塑性フィルムとの積層体の両面からロールで加熱加圧処理することによって、該不織布と熱可塑性フィルムとを一体化して炭素短繊維強化フィルムを製造する工程と、該炭素短繊維強化フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとを一体化する工程とを含む。
炭素短繊維強化フィルムを製造する工程では、炭素短繊維不織布と熱可塑性フィルムとの積層体の両面からロールで加熱加圧処理する。また、炭素長繊維開繊糸シートと熱可塑性フィルムとの積層体も、該積層体の両面からロールで加熱加圧処理することによって得られる。また、炭素短繊維強化フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとを一体化する工程でも、炭素短繊維強化フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとの積層体の両面からロールで加熱加圧処理することもできる。また、プレス成形時に、炭素短繊維強化フィルムの必要な箇所にのみ、炭素長繊維開繊糸シートを一体化することもできる。
加熱温度としては、熱可塑性フィルムの融点前後が適当であるが、動作中や加圧場所での温度の変化或いは振れには注意が必要であって、温度の振れが大きくなると、不織布やフィルムの断裂や、熱可塑性フィルムの不織布への浸透性にムラが生ずるので、温度の振れは1℃以内であることが好ましく、0.5℃以内であることがより好ましい。加圧としては、線圧で10N/mm以上600N/mm以下であることが好ましい。速度としては、1m/min以上100m/min以下であることが好ましく、3m/min以上40m/min以下であることがより好ましい。これらの条件は、選択する材料によって適宜調整する必要がある。
ロールは、積層体の両面に対を成して配置されるが、単対でも良いし、複数対用いることもできる。また、スーパーエンジニアリング・プラスチック系の熱可塑性フィルムについては、予備加熱のための装置を設けることができる。
炭素短繊維強化フィルムを製造する際の積層体としては、1層の炭素短繊維不織布と1層の熱可塑性フィルムからなる積層体、1層の炭素短繊維不織布の両側に熱可塑性フィルムを配置する積層体、1層の熱可塑性フィルムの両側に炭素短繊維不織布を配置する積層体、複数の炭素短繊維不織布と複数の熱可塑性フィルムを交互に配置する積層体、複数の炭素短繊維不織布と複数の熱可塑性フィルムをランダムに配置する積層体等が挙げられる。しかし、製造された炭素短繊維強化フィルムの厚みが厚くなり過ぎると、ロール状に巻き取ることが難しくなるので、炭素短繊維強化フィルムの厚みは、20μm以上500μm以下であることが好ましく、30μm以上250μm以下であることがより好ましい。
ロールとしては、ロール軸方向に表面温度が高い精度で保たれる必要があるので、ヒートパイプ機能を有するジャケット室と、ロール軸方向に多層加熱層を作ることが可能な、電磁誘導加熱方法を組み合わせたロールを用いることが好ましい。このようなロールとしては、トクデン社製誘導発熱ジャケットロール(登録商標)が挙げられる。
本発明の炭素短繊維樹脂構造体は、単層で使用することもできる。更に、炭素短繊維樹脂構造体を積層して使用することもできる。炭素単繊維樹脂構造体は、熱プレス成形、真空成形などの加工を通じて各種用途に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における部や百分率は断りのない限り、すべて質量によるものである。
(ミクロフィブリル化セルロースの作製)
リンターパルプ(質量平均繊維長1.2mm)を、増幸産業社製マスコロイダー(登録商標、装置名:MKZA12)を用いて、磨砕処理を行い、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)を作製した。更に高圧ホモジナイザー(BOS製MC2)を用い50MPaで4回処理した。ミクロフィブリル化セルロースの分散液(濃度0.5質量%)での粘度をB型粘度計(ローターNo.2、ローター回転数60rpm、温度23℃以上25℃以下)で測定したところ、170cpであった。
(炭素短繊維)
炭素短繊維:繊維径7μm、繊維長6mm
(熱可塑性短繊維)
熱可塑性短繊維:繊維径4.5μm、繊維長3mm、未延伸PET繊維
(炭素短繊維不織布1の製造)
炭素短繊維85質量%、熱可塑性短繊維15質量%の繊維配合率で、分散濃度0.2質量%で、5分間、繊維を水に分散して、90メッシュの円網型抄紙機で、速度3m/minで漉き上げて、表面温度150℃のヤンキードライヤーにて10秒乾燥し、目付量25g/m、厚み120μm、幅40cm、長さ100mの炭素短繊維不織布を作製し、ロール状に巻き取った。
(炭素短繊維不織布2の製造)
炭素短繊維80質量%、熱可塑性短繊維15質量%、ミクロフィブリル化セルロース5質量%の繊維配合率で、分散濃度0.2質量%で、5分間、繊維を水に分散して、90メッシュの円網型抄紙機で、速度3m/minで漉き上げて、表面温度150℃のヤンキードライヤーにて10秒乾燥し、目付量25g/m、厚み120μm、幅40cm、長さ100m炭素短繊維不織布を作製し、ロール状に巻き取った。
(炭素短繊維強化フィルム1の製造)
炭素短繊維不織布1と熱可塑性フィルム(樹脂:無延伸PP、東洋紡製、トーヨータック(登録商標)E−100、融点160℃)100μmの積層体を、170℃に加熱したロール対で、速度5m/min、線圧80N/mmで挟み込み、厚み125μmの炭素短繊維強化フィルム1を作製した。
(炭素短繊維強化フィルム2の製造)
炭素短繊維不織布2と熱可塑性フィルム(樹脂:PEEK)100μmの積層体を、380℃に加熱したロール対で、速度5m/min、線圧150N/mmで挟み込み、厚み125μmの炭素短繊維強化フィルム2を作製した。
(炭素短繊維強化フィルム3の製造)
炭素短繊維不織布2と熱可塑性フィルム(樹脂:無延伸PP、東洋紡製、トーヨータック(登録商標)E−100、融点160℃)100μmの積層体を、170℃に加熱したロール対で、速度5m/min、線圧80N/mmで挟み込み、厚み125μmの炭素短繊維強化フィルム3を作製した。
(炭素長繊維開繊糸シート1の作製)
炭素長繊維開繊糸UDウェブ(サカイオーベックス製、炭素繊維12k、幅20mm、サイジング剤含有量3質量%)と、熱可塑性フィルム(樹脂:PEEK)30μmの積層体を、380℃に加熱したロール対で速度5m/min、線圧60N/mmで挟み込み、厚み50μmの炭素長繊維開繊糸シート1を作製した。
(炭素長繊維開繊糸シート2の作製)
炭素長繊維開繊糸UDウェブ(サカイオーベックス製、炭素繊維12k、幅20mm、サイジング剤含有量3質量%)と、熱可塑性フィルム(樹脂:無延伸PP、東洋紡製、トーヨータック(登録商標)E−100、融点160℃)30μmの積層体を、170℃に加熱したロール対で速度5m/min、線圧60N/mmで挟み込み、厚み50μmの炭素長繊維開繊糸シート2を作製した。
(炭素長繊維開繊糸シート3の作製)
炭素長繊維開繊糸UDウェブ(サカイオーベックス製、炭素繊維12k、幅20mm)を、580℃の過熱水蒸気中で、1時間熱処理をした後、熱可塑性フィルム(樹脂:PEEK)30μmと積層し、次に、380℃に加熱したロール対で速度5m/min、線圧150N/mmで挟み込み、厚み50μmの炭素長繊維開繊糸シート3を作製した。洗浄処理後の炭素長繊維開繊糸UDウェブのサイジング剤含有量は0.1質量%以下であった。
(炭素長繊維開繊糸シート4の作製)
炭素長繊維開繊糸UDウェブ(サカイオーベックス製、炭素繊維12k、幅20mm)を、580℃の過熱水蒸気で、1時間熱処理をした後、熱可塑性フィルム(樹脂:無延伸PP、東洋紡製、トーヨータック(登録商標)E−100、融点160℃)30μmと積層し、次に、170℃に加熱したロール対で速度5m/min、線圧60N/mmで挟み込み、厚み50μmの炭素長繊維開繊糸シート4を作製した。洗浄処理後の炭素長繊維開繊糸UDウェブのサイジング剤含有量は0.1質量%以下であった。
(炭素長繊維開繊糸シート5の作製)
炭素長繊維開繊織物(サカイオーベックス製、炭素繊維12k、幅3mm品による織物、厚み95μm、サイジング剤含有量3質量%)を、熱可塑性フィルム(樹脂:無延伸PP、東洋紡製、トーヨータック(登録商標)E−100、融点160℃)30μmを両面にして積層し、次に、170℃に加熱したロール対で速度5m/min、線圧60N/mmで挟み込み、厚み100μmの炭素長繊維開繊糸シート5を作製した。
(炭素長繊維開繊シート6の作製)
炭素長繊維開繊織物(サカイオーベックス製、炭素繊維12k、幅3mm品による織布厚み95μm)を、580℃の過熱水蒸気で1時間熱処理した後、熱可塑性フィルム(樹脂:無延伸PP、東洋紡製、トーヨータック(登録商標)E−100、融点160℃)30μmを両面にして積層し、次に、170℃に加熱したロール対で速度5m/min、線圧60N/mmで挟み込み、厚み100μmの炭素長繊維開繊糸シート6を作製した。洗浄処理後の炭素長繊維開繊糸織物のサイジング剤含有量は0.1質量%以下であった。
(実施例1〜3)
表1に示した炭素短繊維強化フィルムと炭素長繊維開繊糸シートの組合せで、実施例1〜3の炭素短繊維樹脂構造体を得た。31枚の炭素短繊維強化フィルムと、その両面に2枚の炭素長繊維開繊糸シートを組み合わせて、1枚の炭素長繊維開繊紙シート/31枚の炭素短繊維強化フィルム/1枚の炭素長繊維開繊糸シートの順に積層して一体化し、厚み4mmの炭素短繊維樹脂構造体を得た。一体化には、プレス成形法を用い、熱可塑性フィルムが無延伸PPの場合には、温度170℃、圧力0.5MPa、昇温後1分間で加熱処理した。得られた構造体から、炭素長繊維の繊維方向に平行である方向を長さとして、長さ80mm、幅10mmの試験片を5本切り出した。熱可塑性フィルムが無延伸PPの場合は、試験片に、120℃で3時間、熱処理を施した後冷却して、万能材料試験機(株式会社ティー・エス・イー、装置名:オートコム(登録商標、AutoCOM)AC−100)で、その曲げ弾性率を測定した。平均値の結果を表1に示した。
(実施例4〜5)
表1に示した炭素短繊維強化フィルムと炭素長繊維開繊糸シートの組合せで、実施例4及び5の炭素短繊維樹脂構造体を得た。31枚の炭素短繊維強化フィルムと、その両面に炭素長繊維開繊糸シートを組み合わせて、1枚の炭素長繊維開繊紙シート/31枚の炭素短繊維強化フィルム/1枚の炭素長繊維開繊糸シートの順に積層して一体化し、厚み4mmの炭素短繊維樹脂構造体を得た。一体化にはプレス成形法を用い、熱可塑性フィルムがPEEKの場合には、温度360℃、圧力5MPa、昇温後3分間加熱して作製した。得られた構造体から、炭素長繊維の繊維方向に平行である方向を長さとして、長さ80mm、幅10mmの試験片を5本切り出した。熱可塑性フィルムがPEEKの場合は、試験片に、200℃で4時間、熱処理を施した後冷却して、万能材料試験機(株式会社ティー・エス・イー、装置名:オートコム(登録商標、AutoCOM)AC−100)で、その曲げ弾性率を測定した。平均値の結果を表1に示した。
(実施例6〜7)
表1に示した炭素短繊維強化フィルムと炭素長繊維開繊シートの組合せで、実施例6及び7の炭素短繊維樹脂構造体を得た。30枚の炭素短繊維強化フィルムと、その両面に2枚の炭素長繊維開繊糸シートを組み合わせて、1枚の炭素長繊維開繊紙シート/30枚の炭素短繊維強化フィルム/1枚の炭素長繊維開繊糸シートの順に積層して一体化し、厚み4mmの炭素短繊維樹脂構造体を得た。一体化には、プレス成形法を用い、熱可塑性フィルムが無延伸PPの場合には、温度170℃、圧力0.5MPa、昇温後1分間で加熱処理した。得られた構造体から、長さ80mm、幅10mmの試験片を5本切り出した。熱可塑性フィルムがPPの場合は、試験片に、120℃で3時間、熱処理を施した後冷却して、万能材料試験機(株式会社ティー・エス・イー、装置名:オートコム(登録商標、AutoCOM)AC−100)で、その曲げ弾性率を測定した。平均値の結果を表1に示した。
(比較例1)
炭素短繊維強化フィルム2を32層積層して一体化し、厚み4mmの比較炭素短繊維樹脂構造体を得た。一体化にはプレス成形法を用い、熱可塑性フィルムがPEEKの場合には、温度360℃、圧力5MPa、昇温後3分間加熱して作製した。得られた構造体から、長さ80mm、幅10mm試験片を5本切り出した。試験片に、150℃で3時間、熱処理を施した後冷却して、万能材料試験機(株式会社ティー・エス・イー、装置名:オートコム(登録商標、AutoCOM)AC−100)で、その曲げ弾性率を測定した。平均値の結果を表1に示した。
(比較例2)
炭素短繊維強化フィルム3を32層積層して一体化し、厚み4mmの比較炭素短繊維樹脂構造体を得た。一体化には、プレス成形法を用い、熱可塑性フィルムが無延伸PPの場合には、温度170℃、圧力0.5MPa、昇温後1分間で加熱処理した。得られた構造体から、長さ80mm、幅10mm試験片を5本切り出した。試験片に、150℃で3時間、熱処理を施した後冷却して、万能材料試験機(株式会社ティー・エス・イー、装置名:オートコム(登録商標、AutoCOM)AC−100)で、その曲げ弾性率を測定した。平均値の結果を表1に示した。
(比較例3)
炭素短繊維不織布2を31層と、熱可塑性フィルム(樹脂:無延伸PP、東洋紡製、トーヨータック(登録商標)E−100、融点160℃)30μmを31層とを、交互に重ねて、炭素短繊維不織布2と熱可塑性フィルムとの交互積層品とし、更に、両面に炭素長繊維開繊糸シート4を重ね、1枚の炭素長繊維開繊紙シート/交互積層品/1枚の炭素長繊維開繊紙シートの順に積層して、温度170℃、圧力0.5MPaで昇温後5分間加熱して、プレス成形法で一体化しようとしたところ、炭素短繊維不織布内部の空気が残留し、多量の気泡が発生し、気泡を残した状態の炭素短繊維樹脂構造体が得られた。得られた構造体から、炭素長繊維の繊維方向に平行である方向を長さとして、長さ80mm、幅10mmの試験片を5本切り出した。熱可塑性フィルムが無延伸PPの場合は、試験片に、120℃で3時間、熱処理を施した後冷却して、万能材料試験機(株式会社ティー・エス・イー、装置名:オートコム(登録商標、AutoCOM)AC−100)で、その曲げ弾性率を測定した。平均値の結果を表1に示した。
Figure 2018012313
実施例1〜3及び6〜7と比較例2とを比較すると、炭素短繊維強化フィルムのみからなる構造体(比較例2)に比べて、炭素短繊維強化フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとの積層体である構造体(実施例1〜3)は、曲げ弾性率がいずれも向上していた。また、実施例4〜5と比較例1とを比較すると、炭素短繊維強化フィルムのみからなる構造体(比較例1)に比べて、炭素短繊維強化フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとの積層体である構造体(実施例4〜5)は、曲げ弾性率がいずれも向上していた。
実施例2と3を比較すると、炭素長繊維開繊糸シートにおける炭素長繊維のサイジング剤の含有量が0.1質量%以下である実施例2の構造体は、サイジング剤の量が3質量%である実施例3の構造体と比較して、曲げ弾性率が向上していた。実施例4と5を比較すると、炭素長繊維開繊糸シートにおける炭素長繊維のサイジング剤の含有量が0.1質量%以下である実施例4の構造体は、サイジング剤の量が3質量%である実施例5の構造体と比較して、曲げ弾性率が向上していた。
実施例2と比較例3を比較すると、炭素短繊維不織布と熱可塑性フィルムとの積層体の両面からロールで加熱加圧処理することによって炭素短繊維強化フィルムを製造する工程と、該炭素短繊維強化フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとを一体化する工程とを含む炭素短繊維樹脂構造体の製造方法によって製造された実施例2の構造体と比較して、別の製造方法によって製造された比較例3の構造体では、気泡が発生し、曲げ弾性率が低下していた。
実施例1と2を比較すると、炭素短繊維不織布がミクロフィブリル化セルロースを含有してなる実施例2は、炭素短繊維不織布がミクロフィブリル化セルロースを含有していない実施例1と比較して、曲げ弾性率が向上していた。
本発明の炭素短繊維不織布及び複合体は、電子機器材料、電気機器材料、土木材料、建築材料、自動車材料、各種製造業で使用されるロボット、ロール等の製造部品等に利用可能である。

Claims (6)

  1. 炭素短繊維を含有してなる不織布と熱可塑性フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとの積層体である炭素短繊維樹脂構造体。
  2. 炭素長繊維開繊糸シートが、サイジング剤の含有量が1質量%以下である炭素長繊維開繊糸シートと熱可塑性フィルムとの積層体である請求項1記載の炭素短繊維樹脂構造体。
  3. 炭素短繊維を含有してなる不織布がミクロフィブリル化セルロースを含有してなる請求項1又は2記載の炭素短繊維樹脂構造体。
  4. 炭素短繊維を含有してなる不織布と熱可塑性フィルムとの積層体の両面からロールで加熱加圧処理することによって、該不織布と熱可塑性フィルムとを一体化して炭素短繊維強化フィルムを製造する工程と、該炭素短繊維強化フィルムと炭素長繊維開繊糸シートとを一体化する工程とを含む炭素短繊維樹脂構造体の製造方法。
  5. 炭素長繊維開繊糸シートが、サイジング剤の含有量が1質量%以下である炭素長繊維開繊糸シートと熱可塑性フィルムとの積層体である請求項4記載の炭素短繊維樹脂構造体の製造方法。
  6. 炭素短繊維を含有してなる不織布がミクロフィブリル化セルロースを含有してなる請求項4又は5記載の炭素短繊維樹脂構造体の製造方法。
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