JP2018204144A - 炭素短繊維不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、炭素短繊維不織布を加工した際に脱落する繊維を抑制する方法を提供するものである。【解決手段】炭素短繊維を必須成分とする多孔質基材及びセルロース繊維を必須成分とする網状構造体とを含む炭素短繊維不織布。【選択図】図1

Description

本発明は、炭素短繊維不織布に関する。
炭素繊維は鉄よりも軽量であり、強度が強いという優れた力学特性を有している。そのため、炭素繊維複合材料は航空機、自動車、テニスラケット、釣竿、風力発電の羽根などの幅広い分野で使用されており、今後も用途が拡大すると予想される。
炭素繊維としては、現在主に、ポリアクリロニトリルを炭素化、黒鉛化することで得られるPAN系炭素繊維と、タールピッチ液化石炭を溶融紡糸してから炭素化、黒鉛化することで得られるピッチ系炭素繊維とが使用されている。こうして生産された炭素繊維は、織物として加工するか、あるいは一方向に並べた後に、未硬化樹脂を含浸させた炭素繊維プリプレグと呼ばれる材料を、目標とする成形物の型に合うように裁断した後に樹脂を硬化することで得られる、炭素繊維強化樹脂(以下「CFRP」と略記する)として使用されることが多い。あるいは、CFRP廃材をリサイクルして得られた炭素繊維を使用する場合は、炭素繊維がリサイクル過程において短繊維化して炭素短繊維となることから、織物として加工することはできないため、不織布として加工されることが一般的である。
炭素短繊維をシート化して炭素短繊維不織布とする方法としては、炭素短繊維と水膨潤フィブリル化繊維とを水中に分散させ、抄紙用スラリーを作製し、繊維を交絡させる方法が示されている。水膨潤フィブリル化繊維としては、フィブリル化パラ型芳香族ポリアミド繊維や、フィブリル化アクリル繊維が挙げられている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、炭素短繊維不織布をCFRPに加工する際に断裁、圧縮などの工程において微細な炭素短繊維が脱落するという問題について考慮されていない。脱落した炭素短繊維は、オペレーターの肌を刺激して炎症を発生させるなどして、健康状態を損ねる場合や、あるいは電気系統に浸入してショートを引き起こす場合がある。
また、炭素短繊維をシート化して不織布とする別方法としては、炭素短繊維75質量%〜97質量%、セルロース25質量%〜3質量%からなる炭素短繊維不織布を製造する方法において、含窒素有機溶媒を含有する水性分散助剤を炭素短繊維に対して10質量%以下と炭素短繊維を所定量の水に添加して撹拌し、さらに水でスラリー固形分濃度を0.05質量%以下に希釈して回流させる工程を経た後、湿式抄紙する方法が示されている(特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2の炭素短繊維不織布は、ガス透過性や導電性を有する不織布であり、CFRPに使用される不織布ではないため、炭素短繊維不織布をCFRPに加工する際に断裁、圧縮などの工程において微細な炭素短繊維が脱落するという問題については考慮されていなかった。
国際公開第2014/021366号パンフレット 特開2004−353124号公報
本発明の課題は、炭素短繊維不織布を加工した際に発生する脱落繊維を抑制することができる炭素短繊維不織布を提供するものである。
本発明者らは、この課題を解決するため研究を行った結果、下記手段を見出した。
(1)炭素短繊維を必須成分とする多孔質基材及びセルロース繊維を必須成分とする網状構造体とを含む炭素短繊維不織布。
(2)炭素短繊維の平均繊維長が1.0mm以上であることを特徴とする上記(1)記載の炭素短繊維不織布。
(3)セルロース繊維が叩解リヨセル繊維である上記(1)又は(2)記載の炭素短繊維不織布。
(4)炭素短繊維、セルロース繊維及びバインダー合成繊維を含む上記(1)〜(3)のいずれか記載の炭素短繊維不織布。
(5)バインダー合成繊維がポリビニルアルコール系繊維である上記(4)記載の炭素短繊維不織布。
(6)坪量が10g/m以上である上記(1)〜(5)のいずれか記載の炭素短繊維不織布。
(7)炭素短繊維の配合比率(質量基準)が10%以上99%未満である上記(1)〜(6)のいずれか記載の炭素短繊維不織布。
本発明によれば、脱落繊維が抑制された炭素短繊維不織布を得ることができる。
炭素短繊維を必須成分とする多孔質基材及びセルロース繊維を必須成分とする網状構造体とを含む炭素短繊維不織布のSEM写真である。 網状構造体を含まない炭素短繊維不織布のSEM写真である。
炭素短繊維を含む不織布においては、断裁、圧縮等の力が加えられると、炭素短繊維が折れ、微細な炭素短繊維が飛散することがある。炭素短繊維は自己接着する要素を持たず、繊維同士が絡み合いにくいことから、脱落繊維が起こりやすい傾向にある。また、人体の皮膚への刺激性も強いため、オペレーターの健康状態を損なう可能性が考えられる。また、炭素短繊維は電気伝導性を持つため、機械内部に侵入することで短絡を引き起こし、機械に不具合が発生する原因となることがある。これらのことから、脱落繊維の防止は安定した生産には必要である。
炭素短繊維は自己接着する要素を持たないことから、自己接着機能を持つセルロース繊維やバインダー合成繊維を配合することで炭素短繊維同士の接着強度を上げ、脱落繊維を防止することができる。セルロース繊維が複数の炭素短繊維と絡み合うことで、図1に示したように、炭素短繊維1を必須成分とする多孔質基材及びセルロース繊維を必須成分とする網状構造体2とを含む炭素短繊維不織布となり、炭素短繊維の脱落を抑制する効果がある。図2に示したように、セルロース繊維を必須成分とする網状構造体2を含まない炭素短繊維不織布では、炭素短繊維は繊維同士の点接着のみの弱い結合となり、炭素短繊維は脱落しやすい。
炭素短繊維としては、PAN系、ピッチ系など、どのような製法で製造された炭素短繊維でも使用することができる。また、新品未使用の炭素短繊維でも、廃棄された炭素繊維をリサイクル処理して得られた炭素短繊維でもなんら問題はない。炭素短繊維を得るのに必要なコストを考慮するとリサイクル処理して得られた炭素短繊維がより好ましい。
炭素短繊維の平均繊維長は、1.0mm以上が好ましく、3.0mm以上がより好ましく、5.0mm以上がさらに好ましい。炭素短繊維の平均繊維長が長いほど、一本あたりの接着点が増えることから、脱落繊維が抑制されるため、炭素短繊維の平均繊維長は長い方が好ましいが、繊維長が長過ぎる場合、抄紙法でシート化する際に操業性が不安定となる場合がある。
ここで、炭素短繊維の平均繊維長は以下の方法により求められる。まず、炭素短繊維をランダムに20本採取し、その繊維長を測定する。その後以下の計算方法で炭素短繊維の平均繊維長を求める。
平均繊維長={(炭素短繊維1の繊維長(mm))+(炭素短繊維2の繊維長(mm))+(炭素短繊維3の繊維長(mm))+…(炭素短繊維20の繊維長(mm))}/20
セルロース繊維としては針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプ;藁パルプ、竹パルプ、リンターパルプ、ケナフパルプなどの木本類、草本類のパルプなどの天然パルプ繊維や、レーヨン、キュプラ、リヨセル等の再生セルロース繊維も使用することができる。これらのセルロース繊維は、本発明の効果が得られる範囲であれば、フィブリル化されていてもなんら差し支えない。さらに、古紙、損紙などから得られる天然パルプ繊維を使用してもよい。上記セルロース繊維の中で針葉樹パルプ、リンターパルプ、及びリヨセルの群から選ばれる1種以上のセルロース繊維を使用することが好ましく、リヨセルを使用することがより好ましい。また、リヨセル繊維はフィブリル化(叩解)されていることが好ましい。これらの好ましいセルロース繊維を使用することによって、セルロース繊維を必須成分とする網状構造体が形成されやすくなり、繊維の脱落を抑制することができる。また、炭素短繊維不織布を抄紙法で製造する場合の操業性が安定するという効果も得られる。
叩解(フィブリル化)セルロース繊維は、上記のセルロース繊維をフィブリル化することによって製造することができる。フィブリル化するための装置としては、ビーター、PFIミル、シングルディスクリファイナー(SDR)、ダブルディスクリファイナー(DDR)、また、顔料等の分散や粉砕に使用するボールミル、ダイノミル、ミキサー、摩砕装置、高速の回転刃により剪断力を与える回転刃式ホモジナイザー、高速で回転する円筒形の内刃と固定された外刃との間で剪断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に少なくとも20MPaの圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより繊維に剪断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー等の装置が挙げられる。これらの装置を、単独又は組み合わせて用いることによって、フィブリル化セルロース繊維を製造することができる。そして、これらの装置の種類、処理条件(繊維濃度、温度、圧力、回転数、リファイナーの刃の形状、リファイナーのプレート間のギャップ、処理回数)等のフィブリル化条件の調整により、目的のフィブリル化状態を得ることができる。
バインダー合成繊維としては、芯鞘繊維(コアシェルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)、放射状分割繊維などの複合繊維;未延伸繊維;低融点合成樹脂単繊維;熱水可溶性繊維等が挙げられる。バインダー合成繊維は、繊維全体又は繊維の一部のガラス転移温度又は溶融温度(融点)が低く、抄紙機の乾燥工程において、バインダー能力を発現する。複合繊維は、皮膜を形成しにくいので、炭素短繊維不織布の空間を保持したまま、機械的強度を向上させることができる。より具体的には、複合繊維としては、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせが挙げられる。未延伸繊維としては、ポリエステル等の未延伸繊維が挙げられる。また、ポリエチレンやポリプロピレン等の低融点樹脂のみで構成される単繊維(全融タイプ)等の低融点合成樹脂単繊維や、ポリビニルアルコール系のような熱水可溶性繊維は、乾燥工程で皮膜を形成しやすいが、本発明では使用することができる。本発明においては、熱水可溶性繊維であるポリビニルアルコール系のバインダー合成繊維が、炭素短繊維表面の官能基と水素結合を形成して強度を発揮しやすいため、好ましい。また、本発明では、セルロース繊維とバインダー合成繊維の両方を含むことによって、セルロース繊維を必須成分とする網状構造体が形成されやすくなり、炭素短繊維脱落抑制効果を高める。この効果は、バインダー合成繊維がポリビニルアルコール系繊維である場合により高いものとなる。
本発明の炭素短繊維不織布には、炭素短繊維、セルロース繊維及びバインダー合成繊維以外にも性能を阻害しない範囲で、バインダー能力を持たない合成繊維や、無機繊維を炭素短繊維不織布に配合することができる。例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、ベンゾエート系、ポリクラール系、フェノール系などの合成繊維や、ガラス繊維や岩石繊維、スラッグ繊維や金属繊維などの無機繊維が挙げられる。また、半合成繊維のアセテート、トリアセテート、プロミックス等も使用することができる。
合成繊維及び無機繊維の繊維長は特に限定しないが、3mm以上30mm未満であることが好ましい。合成繊維及び無機繊維の繊維長が長いほど、一本あたりの繊維同士の接触点が多くなり、繊維が脱落しにくくなる傾向があるため、合成繊維及び無機繊維の繊維長は3mm以上であることが好ましい。繊維長が長過ぎる場合は、抄造性や不織布の地合いが悪化する場合があるため、30mm未満であることが好ましい。繊維径についても特に限定しないが、1μm以上30μm未満であることが好ましく、2μm以上20μm未満であることが特に好ましい。繊維径が1μm未満の繊維を配合すると、炭素短繊維不織布内が密な構造になることから、例えば炭素短繊維不織布に樹脂を浸透させるなどの加工を行う際に樹脂の浸透を阻害し、性能が下がる場合がある。繊維径が30μm以上である場合は、バインダー能力を持たない合成繊維又は無機繊維が脱落しやすい場合がある。
炭素短繊維の配合比率(質量基準)は10%以上99%未満であることが好ましく、20%以上98%未満であることがより好ましく、30%以上97%未満であることがさらに好ましい。炭素短繊維の配合比率が10%未満である場合は、加工した際に炭素短繊維が持つ「強度が高く、質量が軽い」という効果が十分に発揮できない場合がある。炭素短繊維の配合比率が99%以上である場合は、セルロース繊維とバインダー合成繊維を含んでいても、セルロース繊維を必須成分とする網状構造体を十分に形成できず、繊維同士の結着が不十分となり、脱落繊維を抑制できない場合がある。
セルロース繊維の配合比率(質量基準)は特に限定されないが、0.5%以上50%未満であることが好ましく、1%以上30%未満であることが特に好ましい。セルロース繊維の配合比率が0.5%よりも低い場合は、セルロース繊維を必須成分とした網状構造体があまり形成されず、脱落繊維を抑制する効果が少なくなる場合がある。50%以上の場合は、樹脂の浸透がセルロース繊維によって阻害され、樹脂が均一に炭素短繊維不織布内に浸透しない場合がある。
バインダー合成繊維の配合比率(質量基準)は特に限定されないが、0.5%以上90%未満であることが好ましく、1%以上70%未満であることが特に好ましい。バインダー合成繊維の配合比率が0.5%よりも低い場合は、セルロース繊維を必須成分とした網状構造体があまり形成されず、脱落繊維を抑制する効果が少なくなる場合がある。バインダー合成繊維の配合比率が90%以上の場合は、炭素短繊維の配合比率が少なく、炭素短繊維不織布を加工した際に炭素短繊維が持つ「強度が高く、質量が軽い」という効果が十分に発揮できない場合がある。
本発明では、炭素短繊維は抄紙機でシート化される。すなわち、抄紙法で炭素短繊維不織布を製造する。
抄紙法では、例えば、長網式、円網式、傾斜ワイヤー式を用いることができる。これらの抄紙方式を単独で有する抄紙機を使用しても良いし、同種又は異種の2機以上の抄紙方式がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機を使用しても良い。均一性に優れた炭素短繊維不織布を製造するには、長網式、傾斜ワイヤー式のように、緩やかに、ワイヤー上のスラリーから脱水することができる抄紙方式を使用することが好ましい。本発明の炭素短繊維不織布は、単層であっても良いし、複層であっても良い。
抄紙法において、繊維を均一に水中に分散させる目的や各種機能を付与する目的で、繊維を水中に分散する際に、各種アニオン性、ノニオン性、カチオン性、あるいは両性の分散剤、消泡剤、親水剤、濾水剤、紙力向上剤、粘剤、帯電防止剤、高分子粘剤、離型剤、抗菌剤、殺菌剤、pH調整剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の薬品を添加する場合もある。
本発明の炭素短繊維不織布には、必要に応じてサイズ剤を配合することができる。サイズ剤としては、本発明の所望の効果を損なわないものであれば、強化ロジンサイズ剤、ロジンエマルジョンサイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、合成サイズ剤、中性ロジンサイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)などのサイズ剤の中からいずれをも用いることができる。
抄紙機で製造された湿紙を、ヤンキードライヤー、エアードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等で乾燥することにより、炭素短繊維不織布を得る。湿紙の乾燥の際に、ヤンキードライヤー等の熱ロールに密着させて熱圧乾燥させることによって、密着させた面の平滑性が向上する。熱圧乾燥とは、タッチロール等で熱ロールに湿紙を押しつけて乾燥させることをいう。熱ロールの表面温度は、100〜180℃が好ましく、100〜160℃がより好ましく、110〜160℃がさらに好ましい。圧力は、好ましくは50〜1000N/cm、より好ましくは100〜800N/cmである。
本発明の炭素短繊維不織布の坪量は、特に限定しないが、10g/m以上350g/m未満が好ましく、30g/m以上300g/m未満がより好ましい。坪量が10g/m未満では、炭素短繊維同士の接着面が少なく、炭素短繊維不織布の強度が弱いため、炭素短繊維の脱落を防止する効果が低くなる場合がある。坪量が350g/m以上である場合、ドライヤーでの乾燥の際に均一に乾燥することが難しく、炭素短繊維不織布の品質にムラが生じる場合がある。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数や百分率は質量基準である。
実施例1
炭素短繊維(平均繊維長5mm)と叩解リヨセル繊維とPVAバインダー繊維(クラレ製、製品名:VPB107−1)とを、表1記載の配合比率(質量基準)で水に投入して、10分間混合分散した後、湿紙を傾斜ワイヤー方式で、一層抄きで湿式抄造し、表面温度130℃のヤンキードライヤーで乾燥し、抄造速度20m/minで、坪量50g/mの炭素短繊維不織布を得た。
実施例2〜8
繊維の配合を表1記載内容に変えた以外は、実施例1と同様に実施例2〜8の炭素短繊維不織布を得た。
比較例1〜4
繊維の配合を表1記載内容に変えた以外は、実施例1と同様に比較例1〜4の炭素短繊維不織布を得た。
実施例9〜12
炭素短繊維の平均繊維長を表1の値に変えた以外は、実施例1と同様に実施例9〜12の炭素短繊維不織布を得た。
実施例13〜17
炭素短繊維不織布の坪量を表1の値に変えた以外は、実施例1と同様に実施例13〜17の炭素短繊維不織布を得た。
実施例18〜21
繊維の配合を表1記載内容に変えた以外は、実施例1と同様に実施例18〜21の炭素短繊維不織布を得た。
表1に記載されている繊維の詳細は、以下のとおりである。
叩解リヨセル:リヨセル繊維(繊度1.4dtex、繊維長3mm)を、ダブルディスクリファイナーを用いて処理し、平均繊維径14.0μmの幹部から平均繊維径1μm以下の枝部を発生させるように調製した繊維。
叩解針葉樹パルプ:ろ水度500mlCSFとなるように調製した天然針葉樹パルプ。
叩解リンター:リンターを5質量%濃度になるようにイオン交換水中に分散させ、高圧ホモジナイザーを用いて50MPaの圧力で20回繰り返し処理して、質量平均繊維長0.33mmとなるように調整した繊維。
PET繊維:繊度1.7デシテックス、繊維長 5mm
アラミド繊維:繊度0.9デシテックス、繊維長 5mm
PETバインダー:ポリエチレンテレフタレート未延伸バインダー繊維、繊度1.2デシテックス、繊維長5mm
PP/PEバインダー:ポリプロピレン/ポリエチレン芯鞘型バインダー繊維、繊度0.8デシテックス、繊維長5mm、芯鞘面積比:1/1
実施例及び比較例において、作製した炭素短繊維不織布の網状構造体の有無と脱落繊維の評価結果を表2に示した。
<網状構造体>
作製した炭素短繊維不織布をSEMで観察して、網状構造体の有無の確認を行い、その結果を評価した。
○:網状構造体が確認された。
△:網状構造体がわずかに確認された。
×:網状構造体が確認されなかった。
<脱落繊維>
作製した炭素短繊維不織布の熱ロール接触面に3cmのテープを貼り、5kgのステンレスの棒で一度圧をかけた後テープを剥がし、脱落した繊維を評価した。
○:脱落した繊維がほとんど見られなかった。
△:脱落した繊維がわずかに見られた。
×:脱落した繊維が多く見られた。
<抄造性>
炭素短繊維不織布を抄造する際にロールや機械に付着した炭素短繊維を確認して、飛散状況の確認を行った。
○:飛散した炭素短繊維がほとんど見られなかった。
△:飛散した炭素短繊維がわずかに見られた
×:飛散した炭素短繊維が多く見られた。
炭素短繊維を必須成分とする多孔質基材及びセルロース繊維を必須成分とする網状構造体とを含む炭素短繊維不織布である実施例1〜8においては、脱落繊維がほとんど見られず、優れた炭素短繊維不織布であることが分かる。また、実施例1及び2の結果から、セルロース繊維が再生セルロース繊維であっても(実施例1)、天然由来セルロース繊維であっても(実施例2)、いずれの場合でも問題無いことが分かる。また、実施例1及び2の炭素短繊維不織布は、炭素短繊維、セルロース繊維及びバインダー合成繊維からなる炭素短繊維不織布であるが、実施例3及び4の結果から、さらにバインダー能力を持たない合成繊維を含んでいても問題無いことが分かる。
また、バインダー繊維として、実施例7ではPVAバインダーとPETバインダーを併用し、実施例8ではPVAバインダーとPP/PEバインダーを併用しているが、どちらの炭素短繊維不織布も網状構造体を含み、脱落繊維がほとんど見られず、問題が無いことが分かる。また、バインダー繊維としてPVA繊維を含まず、PETバインダーのみを使用している実施例5では網状構造体の形成量がPVA繊維を含む場合よりも少なく、飛散繊維を抑制する効果が少ない傾向が見られた。バインダー繊維としてPVA繊維を含まず、PP/PEバインダーをのみを使用している実施例6でも同様に網状構造体が少なく、飛散繊維がやや多い傾向が確認された。これらのことからPVA繊維は網状構造体を形成しやすく、バインダー合成繊維の中でも特に優れていることが分かる。
これに対し、炭素短繊維及びバインダー合成繊維を含むがセルロース繊維を含まず、セルロース繊維を必須成分とする網状構造体を含まない比較例1及び2では、炭素短繊維同士の結着が弱く、脱落繊維が発生しやすい。そのため、炭素短繊維不織布を製造又は加工する際に脱落繊維が多く発生し、皮膚刺激、電気ショート等のトラブルが発生する可能性がある。
また、炭素短繊維とセルロース繊維のみを含み、バインダー合成繊維を含まない比較例3や、炭素短繊維とアラミドフィブリッドのみを含み、バインダー合成繊維及びセルロース繊維を含まない比較例4では、セルロース繊維を必須成分とする網状構造体が形成されておらず、脱落繊維が多く発生した。そのため、皮膚刺激、電気ショート等のトラブルが発生する可能性がある。
炭素短繊維を必須成分とする多孔質基材及びセルロース繊維を必須成分とする網状構造体とを含む炭素短繊維不織布である実施例9〜12においては、脱落繊維がほとんど見られず、優れた炭素短繊維不織布であることが分かる。炭素短繊維を必須成分とする多孔質基材及びセルロース繊維を必須成分とする網状構造体とを含むが、炭素短繊維の平均繊維長が1.0mmよりも短い実施例9においては、炭素短繊維一本辺りの結着数が少なく、繊維の脱落がやや見られ、抄造時に炭素短繊維が少し飛散する結果であり、炭素短繊維の平均繊維長は1.0mm以上であることが好ましいことが分かる。
炭素短繊維を必須成分とする多孔質基材及びセルロース繊維を必須成分とする網状構造体とを含む炭素短繊維不織布である実施例13〜17においては、脱落繊維がほとんど見られず、優れた炭素短繊維不織布であることが分かる。坪量が10g/mよりも小さい実施例13においては、炭素短繊維不織布の密度が低く、炭素短繊維同士の結着数が少ないことから繊維の脱落がやや見られ、抄造時に炭素短繊維が少し飛散する結果であり、炭素短繊維不織布の坪量は10g/m以上であることが好ましいことが分かる。また、坪量が350g/m以上である実施例17においては、抄造の際に均一に乾燥させることが難しく、乾燥状態の悪い箇所では網状構造体がやや形成されにくく、脱落繊維がやや発生しやすいという結果となった。
炭素短繊維を必須成分とする多孔質基材及びセルロース繊維を必須成分とする網状構造体とを含む炭素短繊維不織布である実施例18〜21においては、脱落繊維が抑制されており、炭素短繊維の配合比率(質量基準)が10〜99%において、優れた炭素短繊維不織布が得られることが分かる。炭素短繊維の配合比率が98%と高い実施例21では、セルロース繊維及びバインダー合成繊維の量が少なく、形成される網状構造体がやや少ないことから、脱落繊維がやや発生しやすいという結果となった。
本発明によれば、脱落繊維が抑制された炭素短繊維不織布を得ることができる。
1 炭素短繊維
2 網状構造体

Claims (7)

  1. 炭素短繊維を必須成分とする多孔質基材及びセルロース繊維を必須成分とする網状構造体とを含む炭素短繊維不織布。
  2. 炭素短繊維の平均繊維長が1.0mm以上である請求項1記載の炭素短繊維不織布。
  3. セルロース繊維が叩解リヨセル繊維である請求項1又は2記載の炭素短繊維不織布。
  4. 炭素短繊維、セルロース繊維及びバインダー合成繊維を含む請求項1〜3のいずれか記載の炭素短繊維不織布。
  5. バインダー合成繊維がポリビニルアルコール系繊維である請求項4記載の炭素短繊維不織布。
  6. 坪量が10g/m以上である請求項1〜5のいずれか記載の炭素短繊維不織布。
  7. 炭素短繊維の配合比率(質量基準)が10%以上99%未満である請求項1〜6のいずれか記載の炭素短繊維不織布 。
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