JP2015157384A - 繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有し、連続強化繊維を開繊後、熱可塑性樹脂槽を通し、熱可塑性樹脂を連続含浸させる工程、賦形ローラーで潰し冷却固化させた後、カッティングして予備成形体を作製する工程、該予備成形体を加熱機構と冷却機構を有する成形型内にセットする工程、0.01MPa以上の圧力を加えつつ熱可塑性樹脂の融点以上に加熱する工程、及び0.1MPa以上の圧力を加えつつ熱可塑性樹脂の融点未満に冷却する工程からなる。
【選択図】 なし
Description
プレスへの取り付けの嵌合精度に優れ、加熱および冷却装置を有する金型を、熱媒により少なくとも熱可塑性樹脂の軟化点または融点よりも高い温度に加熱する。この金型に、強化繊維と熱可塑性樹脂シートまたは熱可塑性樹脂粉末とを配置し、加熱および加圧により溶融含浸させる。次いで、金型を冷媒により冷却し、溶融樹脂を加圧および冷却固化して繊維強化熱可塑性樹脂シートを得る。
加熱および/または冷却可能な一対のプレスに取り付けた嵌合精度に優れる金型を用いる。まず、この金型を一方のプレスに取り付け、少なくとも熱可塑性樹脂の軟化点または融点よりも高い温度に加熱した後に、この金型に強化繊維と熱可塑性樹脂シートまたは熱可塑性樹脂粉末とを配置し、加熱および加圧により溶融含浸させる。次いで、強化繊維と溶融樹脂とを配置したままの金型を、他方のプレスに移し、溶融樹脂を加圧および冷却固化して繊維強化熱可塑性樹脂シートを得る。
無端ベルトと加熱および/または冷却を行う補助装置とを有するダブルベルトプレス装置と呼ばれる装置を用いる。強化繊維と熱可塑性樹脂シートまたは熱可塑性樹脂粉末とをダブルベルトプレス装置に配置し、加熱および加圧により溶融含浸させ、そして連続して加圧および冷却固化して、繊維強化熱可塑性樹脂シートを得る。
少なくとも一対の加熱ロールと、少なくとも一対の冷却ロールとを有する装置を用いる。強化繊維と熱可塑性樹脂シートまたは熱可塑性樹脂粉末とを、加熱ロールで加熱および加圧することにより溶融含浸させ、次いで、冷却ロールで加圧および冷却固化して、繊維強化熱可塑性樹脂シートを得る。
以上の問題を解決すべく、特許文献1、2では、金型内に加熱機構と冷却機構とを設けた繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法が開示されている。しかしながら、これらの方法で得られる樹脂成形品は、強化繊維への樹脂含浸の大部分を金型内の工程のみで行おうとするものであり、樹脂含浸性が不十分であり、成形品中に残るエアーが破壊の起点となり易く、著しく強度物性の劣る成形品が得られる問題があった。
[1] 強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有する繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法であって、
連続強化繊維を開繊後、熱可塑性樹脂槽を通し、熱可塑性樹脂を連続含浸させる工程、
賦形ローラーで潰し冷却固化させた後、カッティングして予備成形体を作製する工程、
該予備成形体を加熱機構と冷却機構を有する成形型内にセットする工程、
0.01MPa以上の圧力を加えつつ熱可塑性樹脂の融点以上に加熱する工程、
及び0.1MPa以上の圧力を加えつつ熱可塑性樹脂の融点未満に冷却する工程
からなる事を特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
[3] 連続強化繊維を開繊させた後、熱可塑性樹脂槽を通す前に、樹脂吐出スリットを有する曲面ダイに接触させ、熱可塑性樹脂を含浸させている事を特徴とする[1]または[2]に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
[5] 前記加熱機構、冷却機構として、共にオイルを使用する事を特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
[6] 前記加熱機構及び冷却機構に使用するオイルは、少なくとも金型内の一部では、同一配管内を流れる機構となる事を特徴とする[5]に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
[7] 前記加熱機構として電磁誘導を用いる事を特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
(1)低コスト、成形時の流動性、耐水性、耐熱水性、または耐化学薬品性が要求される場合には、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。入手が容易であるという理由で、ポリプロピレンが特に好ましく、本発明においては、酸変性されたポリプロピレンを用いる事が好ましい。強化繊維との接着性に特に優れるからである。
(2)耐摩耗性、耐油性、または長期耐熱特性が要求される場合には、ポリアミド系樹脂が好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、MXD6樹脂が特に好ましい。
(3)耐熱性、機械的強度、クリープ特性、耐薬品性、または耐油性が要求される場合には、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
また、強化繊維が樹脂槽へ入る前に、樹脂吐出スリットを有する曲面ダイに接触させる事が好ましい。強化繊維が開繊された状態を保持したまま、プレ含浸が良好に行われ得るためである。
加熱時の圧力が0.01MPa未満である場合、該予備成形体中のエアーが抜けにくく、含浸に時間が掛かるため好ましくない。より好ましい範囲は0.1MPa以上、更に好ましい範囲は、0.2MPa以上である。熱可塑性樹脂が溶融した状態で高い圧力をかけ続けると、金型の隙間より樹脂が漏れ出す可能性があるので、圧力は1MPa未満にするのが望ましい。
熱可塑性樹脂の融点以上の金型温度としては、[融点+20℃]〜[融点+120℃]が好ましく、[融点+30℃]〜[融点+100℃]がより好ましい。より高い温度の方が、樹脂含浸性が良くなるが、樹脂劣化も進み易くなるので、所望の設計に応じ適宜条件設定される。
熱可塑性樹脂の融点未満の金型温度としては、[融点−20℃]〜[融点−120℃]が好ましく、[融点−30℃]〜[融点−100℃]がより好ましい。
強化繊維として、連続ガラス繊維(日本電気硝子(株)製、ER2310−431N、2310Tex、4000f)を直径2cmのローラーに通し開繊後、0.6MPaの圧力を有する酸変性されたポリプロピレン樹脂((株)プライムポリマー製、J139、及びMMP006のブレンド、融点160℃)からなる240℃の樹脂槽を通し、樹脂を連続的に含浸させ、その後、賦形ローラーで潰し冷却固化させた後、カッティングし、ガラス繊維75質量部にポリプロピレン樹脂25質量部が含浸されてなる、幅15mm、長さ20mm、厚み0.1mmのテープ状の予備成形体を作製した。
この予備成形体を20cm角、深さ40mmの金型(加熱は電熱ヒーター、冷却は水)内に3mm厚のシートが得られる分量をテープが立たない様に注意しながらばら撒いてセットし、0.2MPaの圧力を加えた状態で金型温度240℃に加熱し、樹脂が十分溶融した状態から2MPaの圧力を掛けながら金型温度100℃で冷却し所望のシートを得た。
得られたシートに目立ったボイド跡は無く、含浸性も良好であった。
強化繊維としてガラス繊維60質量部に、熱可塑性樹脂として実施例1に使用したポリプロピレン樹脂40質量部を0.7MPaの圧力を有する樹脂槽を通し含浸させ、幅20mm、長さ20mm、厚み0.1mm、のテープ状に切断し予備成形体を作製した。
この予備成形体を20cm角、深さ40mmの、オイル配管を通した金型内に3mm厚のシートが得られる分量を実施例1と同法でセットし、0.2MPaの圧力を加えた状態で250℃の熱媒体オイル(村松石油株式会社製バーレルサーム400)を流し、金型温度240℃とし、樹脂が十分溶融した状態から、2MPaの圧力を掛けながら60℃の同オイルを流し金型温度100℃で冷却して所望のシートを得た。
得られたシートに目立ったボイド跡は無く、含浸性も良好であり、加熱冷却が同一配管で整然と並んでいる効果からヒーター加熱方式よりも短時間で、外観の良好なシートが得られた。
金型の加熱方式として電磁誘導方式を用いた以外は、実施例1と同法でシートを作製した。電磁誘導方式はヒーター加熱方式よりも短時間で加熱が完了し、得られたシートに目立ったボイド跡も無く、含浸性も良好であった。
連続ガラス繊維(日本電気硝子(株)製、ER2310−431N、2310Tex、4000f)を直径2cmのローラーに通し開繊後、0.8MPaの圧力を有する熱可塑性樹脂としてポリアミド6(東洋紡(株)製、A2500、融点220℃)を用い、270℃の樹脂槽を通し、樹脂を連続的に含浸させ、その後、賦形ローラーで潰し冷却固化させた後、カッティングし、ガラス繊維70質量部にポリアミド樹脂30質量部が含浸されてなる、幅14mm、長さ20mm、厚み0.1mmのテープ状の予備成形体を作製した。
この予備成形体を用い、実施例1と同じく20cm角、深さ40mmの金型(加熱は電熱ヒーター、冷却は水)内に3mm厚のシートが得られる分量をセットし、0.3MPaの圧力を加えた状態で金型温度270℃に加熱し、樹脂が十分溶融した状態から3MPaの圧力を掛けながら金型温度150℃で冷却しシートを得た。
得られたシートに目立ったボイド跡は無く、含浸性も良好であった。
実施例4で得られた予備成形体を、実施例2で用いた20cm角、深さ40mmの、オイル配管を配した金型内に3mm厚のシートが得られる分量をセットし、0.3MPaの圧力を加えた状態で280℃の熱媒体オイル(村松石油株式会社製バーレルサーム400)を流し金型温度270℃とし、樹脂が十分溶融した状態から、3MPaの圧力を掛けながら60℃の同オイルを流し金型温度150℃で冷却して所望のシートを得た。
得られたシートに目立ったボイド跡は無く、含浸性も良好であり、加熱冷却が同一配管で整然と並んでいる効果からヒーター加熱方式よりも短時間で、外観の良好なシートが得られた。
同じく実施例4で得られた予備成形体を、実施例3で用いた電磁誘導金型を用い同様の試験を行い、所望のシートを作製した。
電磁誘導方式はヒーター加熱方式よりも短時間で加熱が完了し、得られたシートに目立ったボイド跡も無く、含浸性も良好であった。
強化繊維として、連続炭素繊維ロービング(東邦テナックス社製 IMS40,340Tex,6000フィラメント)を使用した以外は、実施例1と同様に、樹脂を連続的に含浸させ、その後、賦形ローラーで潰し冷却固化させた後、カッティングし、炭素繊維68質量部にポリプロピレン樹脂32質量部が含浸されてなる、幅15mm、長さ20mm、厚み0.12mmの短冊状の予備成形体を作製した。
この予備成形体を用い、実施例1と同じく20cm角、深さ40mmの金型(加熱は電熱ヒーター、冷却は水)内に3mm厚のシートが得られる分量をセットし、0.3MPaの圧力を加えた状態で金型温度240℃に加熱し、樹脂が十分溶融した状態から3MPaの圧力を掛けながら金型温度100℃で冷却しシートを得た。
得られたシートに目立ったボイド跡は無く、含浸性も良好であった。
実施例7で得られた予備成形体を、実施例2で用いた20cm角、深さ40mmの、オイル配管を通した金型内に3mm厚のシートが得られる分量をセットし、0.3MPaの圧力を加えた状態で250℃の熱媒体オイル(村松石油株式会社製バーレルサーム400)を流し金型温度240℃とし、樹脂が十分溶融した状態から、3MPaの圧力を掛けながら60℃の同オイルを流し金型温度100℃で冷却して所望のシートを得た。
得られたシートに目立ったボイド跡は無く、含浸性も良好であり、加熱冷却が同一配管で整然と並んでいる効果からヒーター加熱方式よりも短時間で、外観の良好なシートが得られた。
実施例7で得られた予備成形体を、実施例3で用いた電磁誘導金型を用い同様の試験を行い、所望のシートを作製した。
電磁誘導方式はヒーター加熱方式よりも短時間で加熱が完了し、得られたシートに目立ったボイド跡も無く、含浸性も良好であった。
実施例1で予備成形体を作製する際、240℃の樹脂槽を通す前に、樹脂吐出スリットを有する曲面ダイに接触させ熱可塑性樹脂を予備含浸させ、その後、賦形ローラーで潰し冷却固化させた後、カッティングし、ガラス繊維75質量部にポリプロピレン樹脂25質量部が含浸されてなる、幅16mm、長さ20mm、厚み0.09mmのテープ状の予備成形体を作製した。
この予備成形体を20cm角、深さ40mmの金型(加熱は電熱ヒーター、冷却は水)内に3mm厚のシートが得られる分量をテープが立たない様に注意しながらばら撒いてセットし、0.2MPaの圧力を加えた状態で金型温度240℃に加熱し、樹脂が十分溶融した状態から2MPaの圧力を掛けながら金型温度100℃で冷却し所望のシートを得た。
樹脂吐出スリットを有する曲面ダイによる予備含浸効果もあり、得られたシートに目立ったボイド跡は無く、含浸性も非常に良好であった。
強化繊維として、連続ガラス繊維(日本電気硝子(株)製、ER2310−431N、2310Tex、4000f)を開繊させず、酸変性されたポリプロピレン樹脂((株)プライムポリマー製、J139、及びMMP006のブレンド、融点160℃)からなる240℃の樹脂槽を、圧力をかけず通し、賦形ローラーで潰し冷却固化させた後、カッティングし、ガラス繊維75質量部にポリプロピレン樹脂25質量部が含浸されてなる、幅13mm、長さ20mm、厚み0.12mmのテープ状の予備成形体を作製した。
この予備成形体を20cm角、深さ40mmの金型(加熱は電熱ヒーター、冷却は水)内に3mm厚のシートが得られる分量をセットし、0.2MPaの圧力を加えた状態で金型温度240℃に加熱し、樹脂が十分溶融した状態から、2MPaの圧力を掛けながら金型温度100℃で冷却しシートを得た。
予備成形体の時点で樹脂含浸性が悪く、エアーが多く残った状態のまま成形された事により得られたシートもボイド跡の多く残った、含浸性の劣ったものとなった。
実施例1で得られた予備成形体を用い、加熱時の圧力を0.005MPaとした以外は実施例1と同法にてシートを作製した。
熱の伝達効率が悪く、樹脂を溶融させるのに時間がかかり、得られたシートも所々ボイド跡が残るものとなった。
実施例1で得られた予備成形体を用い、冷却時の圧力を0.05MPaとした以外は実施例1と同法にてシートを作製した。
冷却時のプレス圧が不足し、得られたシートも所々ボイド跡の残るものとなった。
実施例1で得られた予備成形体を最終厚みが3mmになる量を計量後、金属箔からなるボックス内に敷き詰め、同じ金属箔からなるシートで蓋をした状態で、20cm角、深さ40mmの240℃に加熱された金型(加熱は電熱ヒーター)内で、0.2MPaの圧力を加えた状態で加熱し、樹脂が十分溶融した状態から、同じサイズの100℃に加熱された金型に移し、2MPaの圧力を掛けながら冷却し所望のシートを得た。
得られたシートに目立ったボイド跡は無く含浸性も良好であったが、ハンドリングに用いる金属箔が高価であり、金属箔を取り除く工程も必要になり、生産効率の悪いシートとなった。
Claims (7)
- 強化繊維と熱可塑性樹脂とを含有する繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法であって、
連続強化繊維を開繊後、熱可塑性樹脂槽を通し、熱可塑性樹脂を連続含浸させる工程、
賦形ローラーで潰し冷却固化させた後、カッティングして予備成形体を作製する工程、
該予備成形体を加熱機構と冷却機構を有する成形型内にセットする工程、
0.01MPa以上の圧力を加えつつ熱可塑性樹脂の融点以上に加熱する工程、
及び0.1MPa以上の圧力を加えつつ熱可塑性樹脂の融点未満に冷却する工程
からなる事を特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。 - 前記予備成形体が、長さ5mm〜100mm、幅4mm〜60mm、厚み0.05mm〜0.4mmの薄膜片のテープであり、予備成形体に含有される強化繊維と熱可塑性樹脂との質量比が85/15〜30/70である、請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
- 連続強化繊維を開繊させた後、熱可塑性樹脂槽を通す前に、樹脂吐出スリットを有する曲面ダイに接触させ、熱可塑性樹脂を含浸させている事を特徴とする請求項1または2に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
- 前記加熱機構として電熱ヒーター、冷却機構として水、若しくはオイルを使用する事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
- 前記加熱機構、冷却機構として、共にオイルを使用する事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
- 前記加熱機構及び冷却機構に使用するオイルは、少なくとも金型内の一部では、同一配管内を流れる機構となる事を特徴とする請求項5に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
- 前記加熱機構として電磁誘導を用いる事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品の製造方法。
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