JP2018009234A - 鋼材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エッジ形状を有した鋼材に対して、浸炭ガスによる浸炭処理を行ったとしても、鋼材の強度低下を抑制することができる鋼材の製造方法を提供する。【解決手段】鋼材Pの製造方法は、エッジ形状を有した鋼材Pに対して、浸炭ガスを含む浸炭ガス雰囲気下で浸炭処理を行う浸炭工程S2を含む。鋼材Pの製造方法は、浸炭工程S2の前に、浸炭ガスを含まずかつ浸窒ガスを含む浸窒ガス雰囲気下で、鋼材Pに対して浸窒処理を行う浸窒工程S1を含む。【選択図】図2
Description
本発明は、エッジ形状を有した鋼材に対して、浸炭ガスを含む浸炭ガス雰囲気下で浸炭処理を行う浸炭工程を含む表面処理方法に関する。
従来から、鋼材を浸炭処理する際には、鋼材を加熱するとともに、浸炭ガスを鋼材に接触させて、浸炭ガスの炭素を鋼材の表面に固溶・拡散させている。このような技術として、たとえば特許文献1には、以下の鋼材の製造方法が提案されている。
この鋼材の製造方法では、例えば、歯先を有した歯車など、エッジ形状を有した鋼材に対して、浸炭ガス(炭化系ガス)と浸窒ガス(アンモニアガス)とを含むガス雰囲気下で、浸炭浸窒処理を行っている。
しかしながら、特許文献1に係る鋼材の製造方法では、浸炭浸窒処理を行う際に、エッジ形状の部分は少なくとも2以上の面により形成されているため、浸炭ガスからの炭素が、他の部分よりも過多に固溶する。この結果、浸炭浸窒処理後、鋼材のエッジ形状の部分の炭素濃度の増加に伴い、この部分にセメンタイトが析出してしまうことがあり、鋼材の強度が低下することが想定される。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エッジ形状を有した鋼材に対して、浸炭ガスによる浸炭処理を行ったとしても、鋼材の強度低下を抑制することができる鋼材の製造方法を提供することができる。
前記課題を鑑みて、本発明に係る鋼材の製造方法は、エッジ形状を有した鋼材に対して、浸炭ガスを含む浸炭ガス雰囲気下で浸炭処理を行う浸炭工程を含む鋼材の製造方法であって、前記鋼材の製造方法は、前記浸炭工程の前に、前記浸炭ガスを含まずかつ浸窒ガスを含む浸窒ガス雰囲気下で、前記鋼材に対して浸窒処理を行う浸窒工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、浸窒工程と浸炭工程とを個別に行うため、浸窒工程において、浸炭ガスを含まずかつ浸窒ガスを含む浸窒ガス雰囲気下で浸窒処理が行われ、浸炭工程において、浸炭ガスを含む浸炭ガス雰囲気下で浸炭処理が行われる。このため、浸炭ガスおよび浸窒ガスが相互に阻害することなく、これらのガスを用いた浸窒効果および浸炭効果を十分に発揮することができる。
さらに、浸炭工程の前に、浸炭ガスを含まずかつ浸窒ガスを含む浸窒ガス雰囲気下で、浸窒処理を行うことにより、鋼材に含まれる炭素を脱炭することができる。特に、鋼材の部分のうち、エッジ形状を有した部分は、他の部分に比べて、より多くの炭素が脱炭される。この結果、エッジ形状を有した部分は、他の部分に比べて炭素の含有量が少ないため、浸炭処理の際に、エッジ形状を有した部分により多くの炭素が固溶しても、エッジ形状を有した部分の炭素濃度は、これまでの浸炭処理のものよりも低くなる。この結果、エッジ形状の部分に析出するセメンタイトの量を低減することができ、鋼材の強度低下を効果的に抑えることができる。
より好ましい態様としては、前記浸窒工程および前記浸炭工程において、前記鋼材を直接加熱することにより、前記鋼材の温度を950℃以上に高めて、前記鋼材に対して前記浸窒処理および前記浸炭処理を行う。
この態様によれば、鋼材を直接加熱することにより、鋼材の温度を直接的に高め、周囲の雰囲気の温度を過度に高めることがない。このため、浸炭ガスに比べて一般的に分解し易い浸窒ガスが、鋼材の表面に到達する前に分解することを抑えることができる。これにより、鋼材の浸窒処理を効率的に行うことができる。さらに、鋼材への直接加熱により、浸窒ガスの分解を考慮しなくてもよいため、浸窒工程における鋼材の温度を、浸炭工程における鋼材の温度に近づけるまたは同じ温度にすることができる。この結果、浸炭工程および浸窒工程の両工程での加熱温度の差を小さくするまたは無くすことができるため、鋼材の処理効率を高めることができる。
本発明によれば、エッジ形状を有した鋼材に対して、浸炭ガスによる浸炭処理を行ったとしても、鋼材の強度低下を抑制することができる。
以下に、図1〜図3を参照して、本発明の実施形態に係る鋼材の製造方法を説明する。
1.製造装置1について
図1は、本発明の実施形態に係る鋼材の製造方法を行うための製造装置の模式図である。製造装置1は、加熱された鋼材Pに処理ガスGを接触させて、鋼材Pに処理ガスGの元素を固溶拡散する装置である。
1.製造装置1について
図1は、本発明の実施形態に係る鋼材の製造方法を行うための製造装置の模式図である。製造装置1は、加熱された鋼材Pに処理ガスGを接触させて、鋼材Pに処理ガスGの元素を固溶拡散する装置である。
図1に示すように、製造装置1は、鋼材Pを配置する処理室10と、処理室10の室内11に処理ガスとして処理ガスGを供給するガス供給部20と、鋼材Pに赤外線を照射することにより、鋼材Pを加熱する加熱部30と、を備えている。
処理室10は、その室内11に複数の鋼材Pを配置するための空間を有している。室内11には、複数の鋼材Pを載置する載置網14が配置されている。載置網14を用いることにより、載置網14に配置された鋼材Pの下方からも、加熱部30の赤外線を照射することができる。
室内11を形成する壁部は、石英ガラスからなる壁部15を有している。より具体的には、処理室10は、壁部15に相当する石英ガラスからなる石英管16と、その両側を封止する側壁部17により形成されている。
処理室10の一方側の側壁部17には、ガス供給部20からの処理ガスGが室内11に供給されるように、導入口12が形成されている。導入口12は、室内11に処理ガスGが供給可能なように、ガス供給部20に連通している。さらに、処理室10の他方側の側壁部17には、室内11に供給された処理ガスGを排出する排出口13が形成されており、排出口13は、吸引ポンプ50に接続されている。
本実施形態では、ガス供給部20は、浸窒処理を行う処理ガスGとして、浸窒ガスG1が充填された第1ガス供給源21と、浸炭処理を行う処理ガスGとして、浸炭ガスG2が充填された第2ガス供給源22と、室内11に供給された各々のガスG1,G2を置換するための不活性ガスが充填された不活性ガス供給源99と、を備えている。
また、ガス供給部20は、第1および第2ガス供給源21,22から、浸窒ガスG1および浸炭ガスG2を選択的に室内11に送るための切換え弁23と、処理ガスGの流量を調整する調整弁24と、を備えている。さらに、ガス供給部20は、室内11への処理ガスGの供給および供給停止を行う電磁弁25を備えている。
本実施形態では、浸窒ガスG1に、アンモニアガスを挙げることができ、浸炭ガスG2に、アセチレンガス、メタンガス、またはプロパンガスなどの炭化水素系ガスを挙げることができる。これらのガスには、窒素ガス等の不活性ガスがさらに混合していてもよい。不活性ガス供給源99の不活性ガスに、アルゴンガスまたは窒素ガスなどを挙げることができる。
加熱部30は、処理室10の室外に配置されている。加熱部30は、石英ガラスからなる壁部15を介して室内11の鋼材Pに光線を照射することにより、鋼材Pを直接的に加熱する赤外線ランプ(ハロゲンランプ)である。この他にも、加熱部30は、高周波により鋼材Pの表面を加熱する誘導加熱装置であってもよい。
2.鋼材Pについて
本実施形態に係る表面方法を実施する鋼材Pは、鋼製の被処理物であり、鋼材Pは、フェライト組織およびパーライト組織からなる鋼であることが好ましい。このような鋼としては、たとえば、C:0.1〜0.3質量%、Si:0.15〜0.35質量%、Mn:0.55〜0.95質量%、P:0.03質量%以下、S:0.03質量%以下、残部が不可避不純物およびFeからなる鋼などを挙げることができる。さらに、必要に応じて、上述した成分に、Ni:0.25質量%以下、Cr:0.8〜1.3質量%、Mo:0.1〜0.4質量%の範囲で、Ni、Cr、Moの少なくとも1種がさらに添加されていてもよい。
本実施形態に係る表面方法を実施する鋼材Pは、鋼製の被処理物であり、鋼材Pは、フェライト組織およびパーライト組織からなる鋼であることが好ましい。このような鋼としては、たとえば、C:0.1〜0.3質量%、Si:0.15〜0.35質量%、Mn:0.55〜0.95質量%、P:0.03質量%以下、S:0.03質量%以下、残部が不可避不純物およびFeからなる鋼などを挙げることができる。さらに、必要に応じて、上述した成分に、Ni:0.25質量%以下、Cr:0.8〜1.3質量%、Mo:0.1〜0.4質量%の範囲で、Ni、Cr、Moの少なくとも1種がさらに添加されていてもよい。
鋼材Pは、エッジ形状を有した鋼材であり、本実施形態では、鋼材Pは、一例として、歯車であり、歯車は、歯先にエッジ形状を有している。たとえば、外歯または内歯の平歯車、はすば歯車、やまば歯車、かさ歯車、またはウォームギアなどの歯車を挙げることができる。なお、エッジ形状を有した鋼材であれば、歯車に限定されるものではなく、例えば、円筒または円柱の鋼材であってもよい。円筒または円柱の鋼材の場合には、鋼材は、その端面の周縁にエッジ形状を有する。
3.鋼材Pの製造方法について
以下に、図1とともに図2を参照しながら、本実施形態に係る鋼材の製造方法を説明する。図2に示すように、本実施形態では、鋼材の製造方法では、浸窒工程S21と浸炭工程S22を含む。本実施形態では、浸窒工程S21は、浸炭工程S22の前に鋼材Pに対して浸窒処理を行うものである。
以下に、図1とともに図2を参照しながら、本実施形態に係る鋼材の製造方法を説明する。図2に示すように、本実施形態では、鋼材の製造方法では、浸窒工程S21と浸炭工程S22を含む。本実施形態では、浸窒工程S21は、浸炭工程S22の前に鋼材Pに対して浸窒処理を行うものである。
まず、図1に示すように、処理室10内において、鋼材Pを載置網14に載置する。次に、加熱部30を用いて、昇温された状態の鋼材Pに赤外線を照射する。これにより、鋼材Pの表面が直接加熱され、鋼材Pの表面の温度が上昇する。なお、処理室10の室内11に配置する前の鋼材Pを、予めヒータ等により雰囲気を加熱することで予熱してもよい。本実施形態では、直接加熱として、赤外線を鋼材Pに照射することにより、鋼材Pを加熱したが、例えば、高周波誘導加熱または通電加熱により鋼材を直接加熱してもよい。なお、ここでいう「直接加熱」とは、鋼材Pの雰囲気を加熱せずに、すなわち鋼材Pに熱エネルギ以外のエネルギを付与することにより鋼材Pを加熱することをいう。
次に、図2に示す浸窒工程S21において、鋼材Pに対して浸窒処理を行う。具体的には、電磁弁25を開弁することにより、第1ガス供給源21から、調整弁24で流量が調整された浸窒ガスG1を供給しつつ、吸引ポンプ50を用いて、処理室10の室内11から浸窒ガスG1を排出する。これにより、加熱部30で加熱された状態の鋼材Pの表面に浸窒ガスG1であるアンモニアガスを接触させて、鋼材Pの表面からアンモニアの窒素を固溶させ、浸窒ガス雰囲気下で鋼材Pの浸窒処理を行う。なお、電磁弁25を開弁した状態で、室内11に不活性ガス供給源99の不活性ガスを供給した後、切換え弁23を切り替えて、浸窒ガスG1を供給してもよい。
このような結果、鋼材Pの表面に窒素が固溶するとともに、鋼材に含まれる炭素を脱炭することができる。ここで、鋼材Pの部分のうち、エッジ形状を有した部分(角部)である歯先は、他の部分(例えば歯面)に比べて、より多くの炭素が脱炭される(図3の本発明の歯先および歯面の浸炭前の(○印)参照)。
このように、鋼材Pへの窒素の固溶・拡散および鋼材Pに含有する炭素の脱炭を行うことができるのであれば、浸窒処理における処理温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは950℃以上である。発明者らの後述する実験によれば、この温度範囲で浸窒処理を行うことにより、その後、浸炭処理を行っても、鋼材Pの表面(特に歯先の表面)に析出するセメンタイトの量を大幅に低減することができる。
本実施形態では、鋼材Pに赤外線を照射することにより、鋼材Pの表面を直接的に加熱しているので、鋼材Pの雰囲気を加熱する場合に比べて、室内11を形成する壁面の温度上昇を抑えることができる。この結果、室内11において、鋼材Pの表面以外で、アンモニアガスが室内11で分解することを抑制し、鋼材Pの表面に、これまでにない高い温度条件で、アンモニアガスの窒素を短時間で固溶させ、含有する炭素を脱炭することができる。特に、エッジ形状を有した部分である歯先では、他の部分に比べてより多くの炭素が脱炭される。
次に、電磁弁25を閉弁することにより、室内11への浸窒ガスの供給を停止する。この状態で、処理室10の室内11から吸引ポンプ50により、浸窒ガスG1が排出される。なお、電磁弁25を開弁した状態で、切換え弁23を切り替えて、室内11の浸窒ガスG1を不活性ガス供給源99の不活性ガスで置換し、その後、後述する浸炭工程S22に進んでもよい。
次に、浸炭工程S22に進み、浸炭ガスG2を含む浸炭ガス雰囲気下で浸炭処理を行う。具体的には、切換え弁23を切り替えて、電磁弁25を開弁することにより、第2ガス供給源22から、調整弁24で流量が調整された浸炭ガスG2を供給しつつ、吸引ポンプ50を用いて、処理室10の室内11から浸炭ガスG2を排出する。
なお、浸炭工程S22において、加熱部30を用いて、浸窒工程S21からの鋼材Pに赤外線の照射を継続する。これにより、鋼材Pの表面に浸炭ガスG2である炭化水素系ガスを接触させて、鋼材Pの表面から炭素を固溶させ、鋼材Pの浸炭処理を行う。本実施形態では、鋼材Pへの窒素の固溶・拡散を行うことができるのであれば、浸炭処理における処理温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは950℃以上である。
本実施形態では、浸窒工程S21と浸炭工程S22とを個別に行うため、浸窒工程S21において、浸炭ガスG2を含まずかつ浸窒ガスG1を含む浸窒ガス雰囲気下で浸窒処理が行われ、浸炭工程において、浸炭ガスG2を含む浸炭ガス雰囲気下で浸炭処理が行われる。このため、浸窒ガスG1および浸炭ガスG2が相互に阻害することなく、これらのガスを用いた浸窒効果および浸炭効果を十分に発揮することができる。
本実施形態では、図3に示すように、浸窒工程では、鋼材Pの部分のうち、エッジ形状を有した部分である歯先は、他の部分(例えば歯面)に比べて、より多くの炭素が脱炭される。したがって、浸炭工程で、エッジ形状を有した部分(歯先)に他の部分(例えば歯面)よりも多くの炭素が固溶しても、エッジ形状を有した部分(歯先)の炭素濃度は、従来の浸炭処理のみを行った歯先の炭素濃度よりも低くなる(図3の従来の歯先の浸炭後の(◆印)と本発明の歯先の浸炭後の(●印)参照)。この結果、エッジ形状の部分(歯先)に析出するセメンタイトの量を低減することができ、鋼材の強度低下を効果的に抑えることができる。
最後に、表面処理を行った鋼材Pを、処理室10の室内11から取り出し、冷却室で鋼材Pを急冷し、鋼材Pの焼き入れを行う。このようにして、本実施形態に係る鋼材Pが製造される。
本実施形態では、鋼材Pを直接加熱することにより、鋼材Pの温度を直接的に高め、周囲の雰囲気の温度を過度に高めることがない。このため、アンモニアガスである浸窒ガスG1が、鋼材Pの表面に到達する前に分解することを抑えることができる。これにより、鋼材Pの浸窒処理を効率的に行うことができる。さらに、赤外線を利用した鋼材Pへの直接加熱により、浸窒工程における鋼材Pの温度を、浸炭工程における鋼材Pの温度に近づけるまたは同じ温度にすることができる。この結果、浸炭工程および浸窒工程の両工程での加熱温度の差を小さくするまたは無くすことができるため、鋼材の処理効率を高めることができる。
なお、本実施形態では、図2に示すように、鋼材Pに対して、浸窒工程S21で浸窒処理を行った後、浸炭工程S22において浸炭処理を行っている。しかしながら、例えば、浸窒工程S1後、浸炭工程S22前に、処理室10のガスを吸引ポンプ50で排出しつつ鋼材Pを加熱した状態を維持し、鋼材Pに固溶した窒素を鋼材Pの内部に拡散させてもよい(拡散工程)。
以下の本発明を実施例により説明する。
<実施例1>
以下に示すようにして歯車を作製した。まず、鋼材として、モリブデン鋼(JIS規格:SCM420)からなる歯車を準備した。次に、図1に示す製造装置を用いて、浸窒工程および浸炭工程を行った。
<実施例1>
以下に示すようにして歯車を作製した。まず、鋼材として、モリブデン鋼(JIS規格:SCM420)からなる歯車を準備した。次に、図1に示す製造装置を用いて、浸窒工程および浸炭工程を行った。
室内の空気を吸引ポンプ50で排出した後、加熱部30を用いて、赤外線を歯車に照射することにより、歯車を1100℃まで加熱して、加熱温度を維持し、その後、室内の圧力が8000Paとなるように、処理室10にアンモニアガスを供給し、浸窒処理を700秒間行った(浸窒工程)。次に、処理室10からアンモニアガスを排出した後、歯車の加熱温度を1100℃で680秒間維持し、浸窒処理で固溶した窒素を歯車の内部に拡散した(拡散工程)。その後、歯車の加熱温度を1100℃に維持し、室内の圧力が200Paとなるように、処理室10にアセチレンガスを供給し、浸炭処理を60秒間行った(浸炭工程)。
<比較例1>
実施例1と同じようにして歯車を作製した。実施例1と相違する点は、浸窒工程および拡散工程を省略し、同じ条件で浸炭処理のみを行った点である。
実施例1と同じようにして歯車を作製した。実施例1と相違する点は、浸窒工程および拡散工程を省略し、同じ条件で浸炭処理のみを行った点である。
<顕微鏡観察>
実施例1および比較例1の歯車に対して、歯先の断面の組織を観察した。この結果を図4(a)および図4(b)に示す。図4(a)は、実施例1に係る鋼材の組織写真であり、図4(b)は、比較例1に係る鋼材の組織写真である。
実施例1および比較例1の歯車に対して、歯先の断面の組織を観察した。この結果を図4(a)および図4(b)に示す。図4(a)は、実施例1に係る鋼材の組織写真であり、図4(b)は、比較例1に係る鋼材の組織写真である。
<結果1>
図4(a)に示すように、実施例1の歯車の歯先には、セメンタイトの組織は存在しなかった。しかしながら、図4(b)に示すように、比較例1の歯車の歯先には、セメンタイトの組織が存在していた。
図4(a)に示すように、実施例1の歯車の歯先には、セメンタイトの組織は存在しなかった。しかしながら、図4(b)に示すように、比較例1の歯車の歯先には、セメンタイトの組織が存在していた。
以上の結果から、実施例1では、浸炭工程の前に、浸窒処理を行うことにより、歯先の部分の炭素が脱炭され、この結果、浸炭処理において、歯先に固溶する炭素の濃度を低減することができたと考えられる。
<実施例2および3>
実施例1と同じようにして歯車を作製した。実施例2が実施例1と相違する点は、各工程における歯車の加熱温度を950℃にした点である。実施例3は、実施例1と同じ条件で、歯車を作製した。
実施例1と同じようにして歯車を作製した。実施例2が実施例1と相違する点は、各工程における歯車の加熱温度を950℃にした点である。実施例3は、実施例1と同じ条件で、歯車を作製した。
<比較例2および3>
実施例1と同じようにして歯車を作製した。比較例2が、実施例1と相違する点は、各工程の歯車の加熱温度を600℃にした点である。比較例3が、実施例1と相違する点は、各工程の歯車の加熱温度を800℃にした点である。なお、比較例2および3は、本発明の範囲に含まれる例である。
実施例1と同じようにして歯車を作製した。比較例2が、実施例1と相違する点は、各工程の歯車の加熱温度を600℃にした点である。比較例3が、実施例1と相違する点は、各工程の歯車の加熱温度を800℃にした点である。なお、比較例2および3は、本発明の範囲に含まれる例である。
実施例2および3、比較例2および3の歯車の歯先に形成されたセメンタイト層厚さを測定した。この結果を、図5に示す。
<結果2>
図5に示すように、実施例2および3の歯車の歯先には、セメンタイトが存在しなかった。なお、比較例2および3の歯車の歯先には、セメンタイトが存在していた。ただし、比較例2および3の歯車の歯先のセメンタイト層厚さは、上述した比較例1の歯車の歯先のセメンタイト層厚さよりも、薄いことが確認された。以上の結果から、実施例2および3の如く、950℃以上の加熱条件で、歯車を直接加熱しながら、浸窒処理および浸炭処理を行うことが好ましく、歯車の歯先のセメンタイトの析出が大幅に低減できると言える。
図5に示すように、実施例2および3の歯車の歯先には、セメンタイトが存在しなかった。なお、比較例2および3の歯車の歯先には、セメンタイトが存在していた。ただし、比較例2および3の歯車の歯先のセメンタイト層厚さは、上述した比較例1の歯車の歯先のセメンタイト層厚さよりも、薄いことが確認された。以上の結果から、実施例2および3の如く、950℃以上の加熱条件で、歯車を直接加熱しながら、浸窒処理および浸炭処理を行うことが好ましく、歯車の歯先のセメンタイトの析出が大幅に低減できると言える。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
1:製造装置、10:処理室、11:室内、12:導入口、排出口、14:載置網、15:壁部、16:石英管、17:側壁部、20:ガス供給部、21:第1ガス供給源、22:第2ガス供給源、23:切換え弁、24:調整弁、25:電磁弁、30:加熱部、50:吸引ポンプ、G1:浸窒ガス、G2:浸炭ガス、P:鋼材。
Claims (1)
- エッジ形状を有した鋼材に対して、浸炭ガスを含む浸炭ガス雰囲気下で浸炭処理を行う浸炭工程を含む鋼材の製造方法であって、
前記鋼材の製造方法は、前記浸炭工程の前に、前記浸炭ガスを含まずかつ浸窒ガスを含む浸窒ガス雰囲気下で、前記鋼材に対して浸窒処理を行う浸窒工程を含むことを特徴とする鋼材の製造方法。
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