JP2018009058A - コークス炉の解体方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】煉瓦解体前に行う窯口開口部の工事作業者の安全を確保するために、燃焼室煉瓦の崩落を防止する窯口開口部養生の工法を提示する。また、煉瓦解体前の工程ネック「炉蓋撤去」を効率化して工期短縮する工法を提示する。【解決手段】PS側(プッシャーサイド)又はCS側(コークサイド)に解体機を設置し、解体機を設置した反対側に向かって煉瓦解体を進めるコークス炉の解体方法において、煉瓦解体前に前記反対側の炉蓋は撤去せず、前記炉蓋で煉瓦屑の飛来落下を防止するコークス炉の解体方法。【選択図】図10

Description

本発明は、炉団方向に炭化室と燃焼室とが交互に配置されたコークス炉の解体方法に関する。
図1は、コークス炉の概略図である(例えば、特許文献1)。この図1のようにコークス炉は、蓄熱室1の上に、炉団方向に薄い炭化室2と燃焼室3とが本を立て掛けるように交互に配置されている。炭化室2には、炭槽4に貯蔵された石炭がコークス炉の炉頂部上に配設された軌道5上を走行する装炭車6から装入されるようになっている。そして、装炭車6から炭化室2に装入された石炭は、燃焼室3で発生した熱で炭化室2が加熱されることにより乾留されてコークス化する。炭化室2でコークス化が完了すると、炭化室2の炉長方向の両側の窯口に設置した炉蓋を開放し、押出し機7により、炭化室2のコークスをプッシャーサイドPS(押出機側)の窯口からコークサイドCS(ガイド車側)の窯口まで押し出して排出する。
炭化室2のコークサイドCSの窯口まで押し出されたコークスは、ガイド車8を介してコークス受け台車9に払い出され、コークス受け台車9に払い出されたコークス(赤熱コークス)は、冷却設備、例えば図示していないCDQ(コークス乾式消火設備)まで搬送される。なお、ガイド車8は、プラットホーム10上に配設された軌道(不図示)上を走行し、コークスの押し出しが行われる所定の炭化室2の窯口まで移動する。
図2は、炉団方向に交互に配置された炭化室2及び燃焼室3の一部を上面平面視で示すものである。各燃焼室3を形成している煉瓦壁12が、PS側で立設している柱であるPSバックステイ14と、コークサイドCS側で立設している柱であるCSバックステイ15とに、炉体金物である保護板13bを介して支持されている。保護板13bまわりには、炉枠13a等の他の炉体金物13が炉蓋11周辺を補強するため配置されている。
炉体金物13は、具体的には、炉枠13a、保護板13bなどからなる。他には、炭化室2の窯口(プッシャーサイドPSの窯口、コークサイドCSの窯口)を形成するドアフレーム、煉瓦壁12を押さえるプロテンションレッジ、フラッシュプレート、ヘッドプレートなどで構成されている。
ところで、コークス炉を20年〜30年を越える期間で稼働して乾留、排出を繰り返すと、燃焼室3を形成している煉瓦壁12が損耗、劣化する。このため、劣化した煉瓦壁12、バックステイ14、15を撤去し、新たな煉瓦壁12を形成し、新たなバックステイを立設する更新工事が行われる。
コークス炉を解体する際、特許文献1に記載されるような、一方の炭化室窯口等の開口部を防護壁で塞ぎ、その反対側から煉瓦壁を解体機で解体し、塞いだ方に向かって解体を進める技術が公知である(PS側から解体するなら、CS側の開口部を防護壁で塞ぎ、CS側から解体するなら、PS側の開口部を防護壁で塞ぐ。)。この技術において、防護壁はバックステイに固定し、防護壁を介して連結した全てのバックステイ下部に切れ目(弱み)を入れた後、外力を加えることで、バックステイを効率よく解体できるとしている。また、特許文献1では、従来、炉体金物13のドアフレームによりCS側の窯口が開口しているので、解体用建機で解体した煉瓦壁12の煉瓦屑がCS側の窯口からプラットホーム側に落下するおそれがある旨記載されている。そのために、解体時にCS側の開口部(CS窯口)を防護壁で塞ぎ、煉瓦の落下、散乱を防止する旨記載されている。以降、PS側、CS側のうち、解体機を設置する側を解体側、最後まで残る側を反対側ということにする。
従来の具体的な解体の全体フローを図9に示す。
コークス炉を休止する。この際に、コークス、石炭の窯出し、ガス止めを行う。
3日かけて、ガスパージを行う。
5日かけて、押出し機を使用してPS側の炉蓋を撤去する。
5日かけて、ガイド車を使用してCS側の炉蓋を撤去する。
17日かけて、石炭の乾留する際に発生する排ガスを冷却した後、回収、排送するダクトである、オフテイクメン、ドライメンを撤去する。
2日かけて、CS側窯口開口部を金網で塞ぐ。
5日かけて、クロスタイロッドを緩める。
2日かけて、PSバックステイに事前切り込み(弱み入れ)を入れる。
9.5日かけて、煉瓦解体(PS窯口金物、CS保護板、炉枠、炉蓋撤去含む、PFレベル迄)を行う。なお、ここでいうPFレベル迄とは、PF(プラットホーム)の高さまで煉瓦を解体するという意味である。
いずれにしても、コークス炉解体前には、炉の開口部である炉蓋をいったん外して解体準備を行うことが従来必ず行われている。そして、その後、煉瓦等の落下物の散乱を防止するために、炉蓋を外した開口部を、仮蓋の設置や防護壁の設置によって塞ぐ。このように、炉解体作業に入る際には再度炉開口部を塞ぐ必要があるにもかかわらず、煉瓦解体前に炉蓋を撤去する理由は、以下のようなことが考えられる。すなわち、休止直後のコークス炉内部は1000℃程度あることから、PS側、CS側ともに炉蓋を外して炉内部を開放し、コークス炉を迅速に冷却するということである。
特開2015−13937号公報
煉瓦解体前に行う、窯口開口部を開放するための炉蓋撤去工事の際、炉蓋周辺の煉瓦崩落のリスクが伴う。特にCS側は、乾留が完了した石炭をコークスとしてPS側から押し出してCS側に排出する際に、押出機によって圧縮されたコークスにより、CS側出口付近で引っかかり、CS側窯口付近の煉瓦を炉団方向に押し広げるような力が繰り返し負荷されるため(図8参照)、周辺煉瓦のダメージが大きい。そのため、煉瓦境界の目地切れや煉瓦小割化が進んでいる。また、図2に示したように、PS側とCS側でそれぞれ向かい合うバックステイ14、15とは、クロスタイロッド呼ばれる棒鋼により炉上部等で連結されている。このクロスタイロッドと、バックステイの連結部では、スプリングにより炉中心方向に圧縮力(炉締め力)を付与しているが、炉を休止すると、煉瓦が熱収縮で収縮するので、煉瓦間に隙間が生じ、炉を支える炉締め力も低下しやすい。よって、CS側窯口周辺において、煉瓦の劣化と、休止後の冷却収縮で煉瓦崩落のリスクは一層高い。
さらに、炉蓋撤去工程自体も、以下のような問題点があるため、解体工事工程のネックになる。
炉蓋(自重10t、押しつけ力15t)の取り外しは、操業中に炉蓋を開閉する移動機(ガイド車、押出し機)を用いるのが効率的であるが、炉前全範囲を移動機が走行するため、その期間は周辺の解体工事を並行してできない。
炉上ダクト(CS:集塵ダクト、PS:ドライメンなど)を並行して撤去できない。この理由は、炉蓋撤去作業と上下作業になるので、炉上ダクトを撤去するための足場が立てられないためである。上下作業(上下同時作業)は、上の作業により撤去された物が下の作業現場に落下することが考えられるために、避けるのが解体作業の鉄則である。
外した炉蓋は複数あり、さらに300℃超の高温のため、トレーラで搬出する前に冷却時間(4hr/本)が必要であり、実機レベルの炉の場合、CS側炉蓋だけで冷却に5日を要した。
また、休止したコークス炉は、煉瓦の冷却収縮で稼働中よりも上部クロスタイロッドによる炉締め力は低下する。かつバックステイ近傍の煉瓦は保護板とのセリで、炉中心側よりも煉瓦の沈下が少なく、その結果窯口近傍の煉瓦目地は切れて開きやすく、煉瓦構造体としてやや緩む。そのため、特に防護壁も設けられておらず、解体の振動も直接伝わる解体側からの解体中の振動で煉瓦が崩落したり、保護板が脱落するリスクが高い。また、煉瓦を撤去する際には、上部クロスタイロッドを撤去するので、炉締め力はさらに低下する。さらに窯口金物(炉枠、保護板)は、煉瓦に対してバックステイで押しつけて固定しているが、上述のように煉瓦の冷却収縮と、上部クロスタイロッドの撤去で押しつけ力は弱まるため脱落しやすい。さらに、長期間使用している間に保護板や炉枠に亀裂が入るため、脱落リスクが高まる。特許文献1には、解体側のバックステイや窯口金物(炉枠、保護板等)の解体についての規定は無い。このようなことから休止したコークス炉の解体側の窯口近傍の作業は、作業者の安全が十分に確保できない問題があった。
本発明は、コークス炉を休止して燃焼室煉瓦を解体して更新する工事において、一方の炭化室窯口等の開口部を塞ぎ、その反対側から燃焼室煉瓦壁を解体機で解体する方法において、煉瓦解体前に行う窯口開口部の工事作業者の安全を確保するために、燃焼室煉瓦の崩落を防止する窯口開口部養生の工法を提示する。
また、煉瓦解体前の工程ネック「炉蓋撤去」を効率化して工期短縮する工法を提示する。
さらに、解体機運転手及び周辺作業者の安全を確保するために、煉瓦及び窯口金物(保護板、炉枠)の崩落と落下を防止する工法を提示することを目的とする。
上記の課題を解決するための本発明の要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)PS側(プッシャーサイド)又はCS側(コークサイド)に解体機を設置し、反対側に向かって煉瓦解体を進めるコークス炉の解体方法において、煉瓦解体前に前記反対側の炉蓋は撤去せず、前記炉蓋で煉瓦屑の飛来落下を防止することを特徴とするコークス炉の解体方法。
(2)前記解体機を設置する解体側がPS側であり、撤去しない炉蓋はCS側の炉蓋であることを特徴とする(1)に記載のコークス炉の解体方法。
(3)以下の手順を繰り返すことにより、コークス炉を炉団方向に一部ずつ分割したゾーン毎に煉瓦を解体することを特徴とする(1)又は(2)に記載のコークス炉の解体方法。
1)PS側、CS側それぞれ、隣り合うバックステイを炉団方向に連結する横梁を上部クロスタイロッドの下部に設置し、横梁の両端は擁壁又はデッキに固定する。
2)一度に解体する1ゾーンの炉団方向の長さ範囲の両端であるバックステイに連結されている上部クロスタイロッドのテンションは保持し、テンションを保持した両端の上部クロスタイロッド間にある上部クロスタイロッドのテンションはすべて開放する。テンションを保持した上部クロスタイロッドのみ、前記上部クロスタイロッドの端部の両方をそれぞれの上部クロスタイロッドが連結されているバックステイに固定する。
3)前記一度に解体する1ゾーンの炉団方向の長さ範囲中、テンションを開放した上部に接続されていた、解体側のバックステイにおいて、切れ目を入れる。
4)解体側のバックステイ横梁において、一度に解体する1ゾーンの炉団方向の長さ範囲の横梁(1ゾーン分の横梁)が、その両側に隣接するゾーンの横梁から切断された状態とする。
5)前記横梁を切除した範囲(前記一度に解体する1ゾーンの炉団方向の長さ範囲)内の上部クロスタイロッド1組以上を切断又は切除後、前記上部クロスタイロッドを切断したバックステイを前記切れ目から、炉体金物が引き抜ける程度に倒したあと、前記炉体金物を撤去する。
6)前記切れ目を入れていたバックステイの切れ目より上部を撤去し、煉瓦を露出させる。
7)煉瓦解体側からその奥に向かって、バックステイの切れ目より上部を撤去することにより煉瓦を露出させた、ゾーン(1ゾーン)の煉瓦を解体、掻き出す。
8)煉瓦解体側に煉瓦崩落の危険を無くした後、別のゾーンに移り、煉瓦を解体する。
(4)前記1)〜3)を解体予定のゾーンすべてについて行った後、各々のゾーンについて、それぞれ4)〜8)を繰り返して行いゾーンの解体を行うことを特徴とする(3)に記載のコークス炉の解体方法。
(5)前記7)の煉瓦を解体、掻き出す前に、解体する予定のゾーンのそれぞれすべてについて、前記1)を行い、さらに、前記2)〜6)をバックステイ、上部クロスタイロッド、炉体金物に対して行い、煉瓦を露出させてから煉瓦を解体することを特徴とする(3)に記載のコークス炉の解体方法。
(6)前記一度に解体する炉団方向の長さ範囲の両端の上部クロスタイロッドの間隔(1ゾーンの間隔)は、3〜10組であることを特徴とする(3)〜(5)のいずれか1に記載のコークス炉の解体方法。
(7)前記1)と2)の間に、反対側のバックステイとプラットホームをつなぐ斜材を設置する工程を設けることを特徴とする(3)〜(6)のいずれか1に記載のコークス炉の解体方法。
CS側の炉蓋を解体前に外し、再度設置する工程を省いたため、コークス炉解体工期の短縮(効率化)が可能となった。また、本発明により、特に解体機側への、煉瓦、炉枠、保護板の飛来落下防止ができ、バックステイ、炉枠、保護板の反炉側への転倒が防止できる。
コークス炉の外観を示す図である。 バックステイ、炉枠、保護板、煉瓦壁、上部クロスタイロッドの位置関係、及びバックステイと上部クロスタイロッドの接続部を示す上面図である。 テンション保持クロスタイロッドにより分割される領域を示したコークス炉上面図である。 テンション保持クロスタイロッドをバックステイに固定した状態を示す図である。 解体側のクロスタイロッドを倒し、炉体金物を除去し、煉瓦を掻き出す手順を示す図である。 ゾーン(B)の煉瓦を撤去後、ゾーン(B)(C)間のクロスタイロッドのテンション解放までの手順を示す図である。 ゾーン(C)までの横梁切断から、ゾーン(C)の煉瓦の撤去までの手順を示す図である。 斜材を設ける場合を示した図である。 乾留済みのコークスを押出し排出する際に、煉瓦にかかる力の方向を示す図である。 従来の解体フローを説明するフローチャートである。 本発明の解体フローを説明するフローチャートである。
本発明者は、炉蓋の有無と炉内温度の低下について鋭意検討したところ、以下の知見が得られた。
炉休止(ガス止め)から5日後、PS側、CS側の炉蓋を外さない状態で、炉内温度は350℃以下に低下した。その後CS側の炉蓋を外すと2日間で200℃以下に低下した。さらに3日で100℃以下に下がった。CS側の炉蓋を外して5日後、CS側の窯口煉瓦の崩落が発生し、崩落煉瓦の一部は、プラットホーム上に飛来落下した。一方、PS側の窯口の煉瓦崩落は無かった。
上記のように、CS側の炉蓋を外しただけで、煉瓦解体作業性の冷却温度である100℃以下には、10日で落とすことができた。この結果と、CS側、PS側のどちらの窯口もそれほど口の大きさに差がないことを踏まえると、煉瓦解体作業性の冷却(100℃以下)を満足するには、CS側、PS側どちらか一方の炉蓋を外せば、10日程度の冷却で十分であると考えられた。そして、CS側は煉瓦の劣化がPS側よりも激しいので、その支持のためにCS側の炉蓋を残し、PS側の炉蓋を外して内部を開放し、炉の冷却を行うことが考えられた。さらに、PS側の炉蓋を外した後、煉瓦解体スタートまで、炉前ダクトや解体仮設工事には20日以上を要すことから、PS側の炉蓋を外して冷却を待つ間に上記の工事を行っていればよいので、全体の工期が延びることはない。
また、本発明は、燃焼室と炭化室が交互に配置されるコークス炉の解体方法において、コークス炉を炉団方向に一部ずつ小分割したゾーン毎に煉瓦を解体することも特徴とする。小分割ゾーンに分割することで、大量の煉瓦や炉体金物が一度に崩落する危険が減少し、安全に解体することができる。そのための各手順について、以下に図3〜7を参照し、詳細に説明する。以下の例はPS側を解体側とした説明であるが、本発明は、CS側からの解体でも同様に解体することができるので、PS側からの解体に制限されるものではない。
図3は、コークス炉の上方向から見た平面図である。図3において、点線で示したのは、テンションを開放したテンション解放クロスタイロッド16bである。一方、実線で示したのは、テンション保持クロスタイロッド16aである。PSバックステイ14及びCSバックステイ15は、それぞれ、相互に対応する位置のバックステイと、点線及び実線で示される二組の上部クロスタイロッド16により接続されていることを示している。また、上部クロスタイロッド以外は、断面図として表記している。
1)工程
図3に示したように、最初に、PS側、CS側のそれぞれに設けられているそれぞれの側の同士のバックステイを、炉団長方向に横断する横梁17によりすべて連結する。そして、さらに、横梁17の両端を擁壁18、又は、デッキに固定する。ここで、擁壁18は、炭化室2、燃焼室3の配置が終了した炉団方向の最外端に設けられている鉄筋コンクリート製の頑丈な壁である。デッキとは、頑丈な構造物である。これらの擁壁18、デッキは、煉瓦を積み重ねた炭化室2、燃焼室3の間の壁に比して十分な強度があるため、擁壁18、又は、デッキに横梁17を固定することにより、バックステイを連結した横梁17を支えることができる。こうすることにより、擁壁18又はデッキで間接的にバックステイを支える。長い一本の横梁17でPS側、あるいはCS側のすべてのバックステイを連結してもよいし、短い複数の横梁を各々のバックステイに連結させて、結果としていずれかの側のバックステイすべてが横方向に連結されればよい。
このように横梁17を上部クロスタイロッドの下部に設置することにより、炉枠が拘束されるため、煉瓦、炉枠13a、保護板13b等の炉体金物の飛来、落下が防止でき、バックステイ、炉枠13a、保護板13bの炉外側への転倒が防止できる。
2)工程
本工程は、煉瓦を一度に掻き出す範囲を小分割し、小分割範囲(ゾーン)以外の煉瓦等が崩れないようにするものである。本工程は、小分割する範囲の決定に関する工程といえる。
上部クロスタイロッドは、PS側とCS側のバックステイ同士をつないだ炉締め力により炉の煉瓦を保持している。炉の運転を止めると、煉瓦が冷えて収縮するので、炉締め力が弱まる。さらに、煉瓦を解体するために上部クロスタイロッドを撤去すると、炉締め力がなくなるので、煉瓦等が崩壊しやすい。そこで、数組に一組の割合でテンション(PS側及びCS側バックステイ間の張力)を保持した上部クロスタイロッド(テンション保持クロスタイロッド16a)組を設け、前記組間の複数組の上部クロスタイロッド(テンション解放クロスタイロッド16b)組のテンションを開放する。テンション保持クロスタイロッド16aの一組とそれにつながるPS側及びCS側バックステイにより締め付けられる部分の炉体煉瓦(燃焼室を構成する煉瓦壁12)は、炉の冷却により炉締め力が弱まっているが、それでも締め付けられているので崩壊しにくい。一方、テンション解放クロスタイロッド16b近傍の炉体煉瓦は緩んでいるので、取り壊しやすい。すなわち、テンション保持クロスタイロッド16aの締め付けにより、一種の崩壊しがたい壁のようなものを炉団方向垂直に設けるのである。これにより、煉瓦を取り壊して掻き出す際に大規模な崩壊が起こらない、必要な小分割ゾーンを区切ることができる。この小分割ゾーンは、上部クロスタイロッド3組〜10組の間として設定することが好ましい。上部クロスタイロッドはバックステイに二本一組なので、バックステイでいえば3本(テンションなしは間に3本、4本毎にテンションあり)から10本間隔(テンションなしは間に10本、11本毎にテンションあり)でバックステイに連結されている上部クロスタイロッドのテンションを保持することが好ましい。10組を超えると、一つのゾーンが広すぎて崩壊の危険が高まるし、2組以下であれば狭すぎるので、解体の際の効率が悪い。好ましい一つのゾーンの炉団方向の長さは距離に換算すると5〜15mである。
具体的にテンションを保持するには、図4に示したように、上部クロスタイロッドの締め付けスプリング47をナット46で締め上げているまま、その状態で、上部クロスタイロッドとバックステイの間を溶接点21で溶接すること等により固定する。このように固定することにより、解体が進み、煉瓦が除去された後に、バックステイが解体側に倒れることを防止することができる。煉瓦の冷却収縮により低下した炉締め力をさらに向上させるために、さらに締め上げてもよい。一方、テンションを緩めるには、スプリング47を拘束しているナット46を緩めればよい。
3)工程
解体するゾーン中で、解体側のバックステイ(図3においてはPSバックステイ14b)において、切れ目を入れる。この切れ目を入れるバックステイは、テンションを開放したテンション解放クロスタイロッド16bに連結されていたPSバックステイ14bである。バックステイは、断面H形のH形鋼を使用しており、Hの一面が炉体に密着して炉体の膨張を抑制している。バックステイに入れる切れ目は、炉側片フランジを残しておくことが好ましい。これは、H形鋼の炉体に密着していないT部分まで切ることであり、炉体に密着している直線部分はつながったままとしておく。このように一部をつながったままとしておくことにより、後の5)工程におけるバックステイを炉体金物13が引き抜ける程度に倒すことが行いやすくなる。切れ目を上記のように入れることにより、PSバックステイ14bを炉手前方向に曲げ倒しやすくなり、曲げることにより生まれた隙間から煉瓦とPSバックステイ14bに挟まれた炉体金物13を引き抜きやすくすることができる。また、PSバックステイ14bを折り曲げるまで、さらには、折り曲げてからも、ある程度はPSバックステイ14bが炉体金物13を支えることができる(図5参照)。炉体金物13がある程度PSバックステイ14bに支えられているため、PSバックステイ14bを一度に撤去する場合と異なり、炉体金物13がいきなり倒壊、落下することを防止できる。さらに、PSバックステイ14bを小さな外力で効率よく撤去できるので、PSバックステイ14bの解体側への倒壊防止が可能である。そして、外力が小さくてすむので、残存煉瓦への外力(振動、衝撃)も緩和され、煉瓦崩落も防止できる。
なお、PSバックステイ14bの切れ目は、PSバックステイ14bの最上部、すなわち、テンション解放クロスタイロッド16bからある程度下であれば、どこに設けてもよいが、PS側バックステイ14bの燃焼室3の床面高さ程度の高さに設けることや、燃焼室3の床面高さとテンション解放クロスタイロッド16bの中間高さに設けることができる。炉の高さが高い場合は、燃焼室3の床面高さに切れ目を設けると、後にPSバックステイ14bを切れ目から切断して除去した際に、高く積みあがっている劣化した煉瓦を支えるものがなくなる。一方、中間高さあたりに切れ目を入れ、それよりも上のPSバックステイ14bのみを除去し、その後、除去したPSバックステイ14bのあった高さより上の煉瓦をまず掻き出せば、一度に煉瓦が倒壊する危険を減らすことができる。このように、炉の上部の煉瓦を段階的に取り除くならば、PSバックステイ14bの切れ目はある程度以上の所定の高さに入れることが好ましい。また、PSバックステイ14bを一度に取り除いても煉瓦が倒壊しない高さであれば、工程が減るので、低い位置に切れ目を入れることが好ましい。切れ目を入れる好ましい高さは、燃焼室床面の高さを基準として−1〜3mである。
4)工程
解体側のバックステイを連結した横梁17において、一度に解体する1ゾーンの炉団方向の長さ範囲の横梁17(1ゾーン分の横梁)が、その両側に隣接するゾーンの横梁17から切断された状態とする。最初のゾーンが解体される前は、横梁17は二か所を切断しなければならない。一方、最初のゾーンが解体された次に、その隣のゾーンを解体する場合は、切断は一か所でよいので、両隣のゾーンの横梁17から「切断された状態」とした。たとえば、最初の1ゾーンを解体するには、解体側の横梁17のうち、テンション保持クロスタイロッド16a間の横梁17を二か所で切断する。この工程は、解体予定のゾーンを塞ぐ横梁17の一部分を切断することで、解体機が炉の解体予定の煉瓦にアクセスできるようなアクセス口をつくる最初の工程である。テンション保持クロスタイロッド16a間のみの横梁17を切断、あるいは切断して除去することで、他の部分の強度が保たれ、目的のゾーンのみ(図3のゾーン(B)の中だけ)を安全に解体することができる。
5)工程
横梁17を切断した範囲内のテンション解放クロスタイロッド16b1組以上を切断又は切除後、前記切断したテンション解放クロスタイロッド16bに連結されているPSバックステイ14bを炉体金物13が引き抜ける程度に倒したあと、前記PSバックステイ14bの切れ目より上部の炉体金物13を撤去する。横梁17を切除した範囲内のテンション解放クロスタイロッド16bの1組以上を切断又は切除するのは、解体側の当該PSバックステイ14bを倒せるようにするためである。また、炉体金物13を除去しておくのは、煉瓦解体前に予めその落下を防止するためである。テンション解放クロスタイロッド16bを切断したPSバックステイ14bを炉体金物13が引き抜ける程度に倒すのは、3)工程で説明したように、炉体金物13を除去するまで、ある程度はPSバックステイ14bによって支えるためである。
また、本工程は、解体側のPSバックステイ14bを倒して、炉体金物13を撤去することにより、煉瓦を掻き出せるよう、解体側に露出させる準備をするための工程でもある。なお、PSバックステイ14bは切れ目から倒れるので、切れ目から上にPSバックステイ14bと煉瓦の隙間ができ、炉体金物13がまず取り出せる。
6)工程
切れ目を入れていたPSバックステイ14bの切れ目より上部を撤去し、煉瓦壁12を露出させる。切れ目より上のPSバックステイ14bを撤去することにより、解体機が炉の煉瓦にアクセスできるようなアクセス口を作ることができる。PSバックステイ14bの撤去は、切れ目から上部と下部を複数回に分けてもよいし、切れ目をPSバックステイ14bの根元に入れて一度で行ってもよい。
7)工程
解体側からその奥に向かってテンション保持クロスタイロッド16aの両端間のゾーン(図3のゾーン(B)で示される1ゾーン)の煉瓦を解体、掻き出す(図6(a)参照)。上記の1ゾーンは、反対側には、横梁17によりバックステイが連結されて強化されている。また、この1ゾーンは、テンション保持クロスタイロッド16aのテンションが保持されていることにより炉締め力が負荷されている煉瓦壁12二枚に囲まれている。この二枚の煉瓦壁12は、それぞれ、PSバックステイ14、CSバックステイ15と、両者を連結したテンション保持クロスタイロッド16aにより、締付け力で炉体が強化されているので、煉瓦壁12が崩れにくく、安全性が高い。一方、上記の崩れにくい煉瓦壁12に挟まれる領域は、煉瓦にテンションがかかっていないので、容易に撤去することができる。また、1ゾーンが小さいので、この範囲の煉瓦は相対的に少量であり、大量に崩れることがないので、解体時の煉瓦の崩落による危険が少ない。さらに、解体側のバックステイ14bはすでに撤去され、炉体金物13も撤去されているので、炉体金物13が脱落する危険もない。なお、ゾーン(B)解体後にゾーン(C)を解体する場合は、ゾーン(B)(C)間のテンション保持クロスタイロッド16aより、締付け力で炉体が強化された煉瓦壁12は撤去されるが、ゾーン(D)側の煉瓦壁12が残っているので、ゾーン(C)の解体によるゾーン(D)方面の連鎖的な崩壊は防止できる。
8)工程
十分に煉瓦を掻き出して、撤去した後、別のゾーンに移り、煉瓦を解体する。別のゾーンに移るのは、おおよそ、解体側に煉瓦崩落の危険が無くなるまで煉瓦を掻き出して、減少させたとき、あるいは、煉瓦の高さが十分に低くなるまで除去された場合をいう。特段厳しい規定を設けるものではなく、通常の常識的に当該ゾーンの煉瓦を処理できたら別のゾーンに移って、同様に煉瓦を解体する。
なお、ゾーン(B)の煉瓦を撤去した後、隣接するゾーン(C)の煉瓦を撤去する場合、ゾーン(B)とゾーン(C)間の、テンション保持クロスタイロッド16aと、そのクロスタイロッドによって、締め付けられている煉瓦壁、および、上記クロスタイロッドと連結されているPSバックステイ14aを撤去する手順は、たとえば、図6に示したように、次のように行う。ゾーン(B)の煉瓦を撤去したら、ゾーン(B)とゾーン(C)の間のテンション保持クロスタイロッド16aのテンションを開放する。その後、PSバックステイ14b、ゾーン(C)とゾーン(D)の間の横梁を切断し(この横梁は予め切断しておいてもよい。)、ゾーン(C)の切れ目を入れておいたPSバックステイ14(切れ目を入れるのは、引き倒す直前でもよい。)、テンションを開放したゾーン(B)とゾーン(C)の間を仕切っていたPSバックステイ14(元PSバックステイ14a)を引き倒して、炉体金物を撤去する。そして、ゾーン(C)中の煉瓦を撤去する。
1)〜8)工程を行う順序は、数字の順のとおりであるが、各ゾーンを撤去する際、どの工程までを行ってから、各ゾーンの煉瓦の解体に入るかは、種々の方法がある。
本発明の好ましい態様は、1)工程後、2)、3)までの工程をまず最初に各ゾーンにおいて済ませておき、その後、煉瓦を一度に掻き出す一つ一つのゾーンにおいて、4)〜8)の工程を繰り返す方法である。2)、3)を予め各ゾーンにおいてまとめて済ませてしまうことにより、作業効率が向上する。4)〜6)工程、たとえば4)工程の横梁17の切断は、7)工程の煉瓦掻き出し前に複数のゾーンについて行っておくと、掻き出すゾーンの解体側炉周辺の強度が低下し、炉の崩壊の危険が高まるのであまり好ましくない。炉体金物13除去、PSバックステイ14bの除去に関する5)、6)工程も同様である。また、一つのゾーンの煉瓦を掻き出し除去した後、次に煉瓦を掻き出し除去するゾーンはその隣のゾーンが好ましい。とびとびのゾーンを処理するとなると、それだけ、横梁を各所で分断しなければならず、一部擁壁18やデッキに固定されない横梁が生じ、さらにバックステイを支える横梁の長さが短くなるので、強度が低下する。
ただし、効率を重視するならば、テンション保持クロスタイロッド16aによって仕切られた複数のゾーンから同時に煉瓦を解体側に露出させて、複数の解体機により各々同時に掻き出してもよい。
また、解体側は、広く、作業しやすいので例示したPS側が好ましい。
また、図7に示すように、1)と2)の間に、反対側のバックステイであるCSバックステイ15とプラットホームをつなぐ斜材20を設置する工程を設けることが好ましい。反対側は、各ゾーンの煉瓦を処理した後に、最後に撤去されるので、それまでに倒壊することは防がなければならない。台車が通行するプラットホームとCSバックステイ15は溶接されておらず、CSバックステイ15は自立しているため、反対側のバックステイに、プラットホームとつなぐ斜材を設けて、プラットホームとCSバックステイ15の倒壊を防止することが好ましい。
[具体的な実施態様]
本発明の解体方法の実施態様を、PS側から解体する場合を例として説明する。CS側から解体する場合も、PS側の炉蓋11を撤去してまたPS側を塞ぐ工程は省略できるので、解体側はPS側に限られるものではない。ただし、PS側から解体するのが好ましいのは、PS側は、押出し機以外に特段設置機械が設けられていないので、作業スペースが広いためである。図3は、コークス炉の上面図である。図3において、PSバックステイ14及びCSバックステイ15は、それぞれ、相互に対応する位置のバックステイと、点線及び実線で示される二組の上部クロスタイロッド16により接続されている。バックステイを補強する横梁17は、PSバックステイ14同士、CSバックステイ15同士を連結して設置される。さらに、横梁17は、擁壁18に、筋交い19により固定する。固定はボルト止め、溶接等により行う。この工程により、バックステイ、保護板、炉枠、炉蓋の反炉側への転倒を防止する。
この時までに、通常、CS側の炉蓋は、PS側の炉蓋とともに少なくともいったんは除去されているが、本発明においては、残したままである。CS側の炉蓋を残して、CS側の窯口を塞いでおくことにより、煉瓦、炉枠、保護板の飛来落下を防止することができる。
横梁17によりPSバックステイ14、CSバックステイ15同士を各々連結し、擁壁18に固定したら、バックステイを数本、具体的には3本(クロスタイロッド3組)飛ばし毎の、実線で示されたテンション保持クロスタイロッド16a一組2本ずつを、それぞれ、テンションを保持したまま、当該クロスタイロッドが連結しているバックステイに固定する。次に、テンションを保持した16a同士の間の、点線で示されたテンション解放クロスタイロッド16bのテンションを開放する。このようにテンション保持クロスタイロッド16aによって、A〜Lに示したような小領域のゾーンに分割される。ここで、テンションを保持する組の好ましい間隔は、3〜10組である。
次に、テンション解放クロスタイロッド16bに接続されていたPS側のバックステイ14bの所定の高さに切れ目を入れる。切れ目を入れるのは、H形鋼の炉外側のTの部分までである。切れ目はガスバーナー等により入れることができる。
その後、煉瓦を露出させるが、その前までに、炉の上昇管や、PS側のプラットホーム等を撤去しておくとよい。また、プラットホーム下にある変更弁接続口と煙道頂版上に鉄板を敷設するなどして、解体側であるPS側周辺の足場を確保しておくとよい。
図3のBの領域1ゾーン(ゾーン(B))の煉瓦を最初に掻き出す場合について述べる。テンション保持クロスタイロッド16a間X1〜X2の間の横梁を切断する。すなわち、X1、X2の点で横梁を切断する。この際は、解体機のアーム先端に取り付けたニブラや、ガスバーナー等によって横梁を切断することができる。切断された横梁はPSバックステイ14bから切除されてもよいし、この段階ではバックステイ14bに接合したままでもよい。
次に、5)工程として、ゾーン(B)のバックステイ14に接続されているクロスタイロッド16bを、各々切断する。横梁17が、ゾーン(B)の間で二か所切断されていること、及び、クロスタイロッド16bが切断されたことにより、バックステイ14bを炉外側方向に切れ目から倒すことができる。バックステイ14bを図5(a)に示したように、傾けることで、当該14bによって保持されていた炉体金物13を除去できる。
PS側の炉体金物13を除去したら、PSバックステイ14bを切れ目から撤去する。PSバックステイ14bが撤去されれば、ゾーン(B)の炉団方向幅では、除去されて残るPSバックステイ14bより上の高さの煉瓦が露出しているから、7)工程として、この部分の比較的少量の煉瓦を掻き出して、図5(b)に示したように処理する。この時、CS側の炉蓋11近傍の煉瓦は、炉蓋11が解体側に転倒しないよう、炉蓋11底部から1000mm程度あるいはそれ以上残す。これにより、保護板13b、炉枠13a、炉蓋11の自立を維持し、解体側への転倒を防止する。必要に応じて、残ったPSバックステイ14bを根元から除去し、切れ目より下の煉瓦を露出させてPS方向から煉瓦を掻き出して処理する。
ゾーン(B)の煉瓦の処理が終了したら、8)工程として、同様の工程を繰り返し、ゾーン(A)、ゾーン(C)と、隣接するゾーンの煉瓦を一つの小ゾーンずつ処理してゆく。
PS側からA〜Lすべてのゾーンの煉瓦を掻き出し終えたら、補助重機と本重機の2機で、炉蓋、炉枠、保護板を一体で引き倒す。そのあと、CSバックステイ15を連結した横梁17と擁壁18を固定する筋交い19を除去し、CSバックステイ15と横梁17を連結させたまままとめてPS側に引き倒して、CS側の構造物も最終的に除去する。このとき、CSバックステイ15に固定されていた、CS側の窯口を塞いでいた炉蓋11や、CS側への煉瓦の散乱を防止するために設けられたCS側の防護壁等も一緒に引き倒してもよい。
以上の、本発明の主要な工程をまとめると、図10のようになる。従来のフローである図9と比較すると、解体前のCS側の炉蓋外しにかかる5日と、CS側の窯口を金網で塞ぐためにかかる2日が不要となった。最終的なCS側の炉蓋の撤去を、煉瓦解体期間に行うことで煉瓦解体期間が0.5日延びることとなったが、トータルすれば、6.5日も、工期の短縮をすることができた。
さらに、炉蓋を残すため、CS側窯口開口部が無くなるので、煉瓦崩落リスクがゼロになる。また、小領域ごとに解体するため、煉瓦、炉枠、保護板の飛来落下防止ができ、バックステイ、炉枠、保護板の反炉側への転倒が防止できるため、安全に解体作業を行うことができる。
本発明によれば、コークス炉の解体を、安全にかつ、短い工期で行うことができるという特段の産業上の利用性を有する。また、人的、物的損失を防ぐことができるという極めて有用な産業上の利用性を有する。
1…蓄熱室、2…炭化室、3…燃焼室、4…炭槽、5…軌道、6…装炭車、7…押出し機、8…ガイド車、9…コークス受け台車、10…プラットホーム、11…炉蓋、12…煉瓦壁、13…炉体金物、13a…炉枠、13b…保護板、14…PSバックステイ、14a…16aと連結しているPSバックステイ、14b…16bと連結していたPSバックステイ、15…CSバックステイ、15a…16aと連結しているCSバックステイ、15b…16bと連結していたCSバックステイ、16…クロスタイロッド、16a…テンション保持クロスタイロッド、16b…テンション解放クロスタイロッド、17…横梁、18…擁壁、19…筋交い、20…斜材、21…溶接点、46…ナット、47…スプリング、PS…プッシャーサイド(押出機側)、CS…コークサイド(ガイド車側)

Claims (7)

  1. PS側(プッシャーサイド)又はCS側(コークサイド)に解体機を設置し、解体機を設置した反対側に向かって煉瓦解体を進めるコークス炉の解体方法において、煉瓦解体前に前記反対側の炉蓋は撤去せず、前記炉蓋で煉瓦屑の飛来落下を防止することを特徴とするコークス炉の解体方法。
  2. 前記解体機を設置する解体側がPS側であり、撤去しない炉蓋はCS側の炉蓋であることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉の解体方法。
  3. 以下の手順を繰り返すことにより、コークス炉を炉団方向に一部ずつ分割したゾーン毎に煉瓦を解体することを特徴とする請求項1又は2に記載のコークス炉の解体方法。
    1)PS側、CS側それぞれ、隣り合うバックステイを炉団方向に連結する横梁を上部クロスタイロッドの下部に設置し、横梁の両端は擁壁又はデッキに固定する。
    2)一度に解体する1ゾーンの炉団方向の長さ範囲の両端であるバックステイに連結されている上部クロスタイロッドのテンションは保持し、テンションを保持した両端の上部クロスタイロッド間にある上部クロスタイロッドのテンションはすべて開放する。テンションを保持した上部クロスタイロッドのみ、前記上部クロスタイロッドの端部の両方をそれぞれの上部クロスタイロッドが連結されているバックステイに固定する。
    3)前記一度に解体する1ゾーンの炉団方向の長さ範囲中、テンションを開放した上部に接続されていた、解体側のバックステイにおいて、切れ目を入れる。
    4)解体側のバックステイ横梁において、一度に解体する1ゾーンの炉団方向の長さ範囲の横梁(1ゾーン分の横梁)が、その両側に隣接するゾーンの横梁から切断された状態とする。
    5)前記横梁を切除した範囲(前記一度に解体する1ゾーンの炉団方向の長さ範囲)内の上部クロスタイロッド1組以上を切断又は切除後、前記上部クロスタイロッドを切断したバックステイを前記切れ目から、炉体金物が引き抜ける程度に倒したあと、前記炉体金物を撤去する。
    6)前記切れ目を入れていたバックステイの切れ目より上部を撤去し、煉瓦を露出させる。
    7)煉瓦解体側からその奥に向かって、バックステイの切れ目より上部を撤去することにより煉瓦を露出させた、ゾーン(1ゾーン)の煉瓦を解体、掻き出す。
    8)煉瓦解体側に煉瓦崩落の危険を無くした後、別のゾーンに移り、煉瓦を解体する。
  4. 前記1)〜3)を解体予定のゾーンすべてについて行った後、各々のゾーンについて、それぞれ4)〜8)を繰り返して行いゾーンの解体を行うことを特徴とする請求項3に記載のコークス炉の解体方法。
  5. 前記7)の煉瓦を解体、掻き出す前に、解体する予定のゾーンのそれぞれすべてについて、前記1)を行い、さらに、前記2)〜6)をバックステイ、上部クロスタイロッド、炉体金物に対して行い、煉瓦を露出させてから煉瓦を解体することを特徴とする請求項3に記載のコークス炉の解体方法。
  6. 前記一度に解体する炉団方向の長さ範囲の両端の上部クロスタイロッドの間隔(1ゾーンの間隔)は、3〜10組であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のコークス炉の解体方法。
  7. 前記1)と2)の間に、反対側のバックステイとプラットホームをつなぐ斜材を設置する工程を設けることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のコークス炉の解体方法。
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