以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの構成を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
図1は、本発明の一実施形態である電池パック10の分解斜視図である。図2は、図1に示す電池スタックの配列方向に沿った電池パックの断面図である。また、図3は、図2中のA−A線に沿った拡大断面図である。図1には、互いに直交する3方向X,Y,Zが示される。以下では、説明の便宜上、X方向を長さ方向(または配列方向)、Y方向を幅方向、Z方向を高さ方向ということがある。このことは、他の図2〜5においても同様である。
図1に示すように、電池パック10は、電池スタック12と、収容ケース14と、ヒータ16とを備える。本実施形態での電池パック10は、5つの電池スタック12が収容ケース14内に収容される形態が例示されるが、図1には1つの電池スタック12のみが示されている。ヒータ16は、上下をカバー部材18およびベース部材20で挟まれた状態で収容ケース14のケース底部に設置されるが、これらについては後述する。
電池スタック12は、複数の電池セル2が一方向に沿って配列されて構成される組電池である。本実施形態では、図2に示すように、19個の電池セル2は長さ方向Xに沿って配列された形態が例示される。電池セル2は、電池パック10を構成する最小単位の二次電池であり、例えば扁平角形のリチウムイオン電池が用いられる。ただし、電池セル2は、例えばニッケル水素電池等の他の二次電池であってもよい。電池スタック12において、各電池セル2は、図示しないバスバを介して、直列接続、並列接続、または、直列と並列の組合せで接続されている。
図2に示すように、電池スタック12を構成する各電池セル2の間には、複数のスペーサ4が介在されている。これらのスペーサ4によって、各電池セル2間に冷媒流路となる隙間が形成されている。このような冷媒通路は、電池セル2の幅方向に沿って平行に延びる複数の隙間によって構成される。また、図3に示すように、電池スタック12の幅方向Yの一方側面には給気ダクト24が取り付けられている。この給気ダクト24を介して図示しないファン等により冷媒としての空気が供給されると、各電池セル2間の冷媒通路を空気が電池ケース3の外表面に接触しつつ幅方向Yに沿って流れる。これにより、充放電時のセル内部の化学反応や外部環境温度等によって高温となった電池セル2を冷却することができる。
図1および図2に示すように、電池スタック12の配列方向Xの両端には、一対のエンドプレート6a,6bが配置されている。これらのエンドプレート6a,6bには、所定の張力をもって架設される複数本の拘束バンド8の両端部がそれぞれ連結されている。図3には、電池セル2の下方に配置された2本の拘束バンド8が示されているが、電池セル2の上方にも例えば2本の拘束バンドが配置されている。このように拘束バンド8によって連結された一対のエンドプレート6a,6bは、電池スタック12を構成する各電池セル2を配列方向Xの両側から押圧する。その結果、各電池セル2には、スペーサ4を介して拘束荷重が付与されている。
図2および図3に示すように、電池セル2は、扁平角形をなす例えば金属製の電池ケース3内に、正極電極、負極電極およびセパレータを巻回または積層して構成される電極群と、非水電解質とを封入して構成される。電池ケース3は、例えばアルミニウム合金等からなる金属板によって形成されている。電池ケース3の上面3aには、図示しない正極端子および負極端子が設けられている。これらの正極端子および負極端子にバスバが接続されることにより、各電池セル2が互いに電気的に接続されている。
また、電池ケース3の上面3aにおいて幅方向Yの中央部分には、図示しない安全弁が設けられている。安全弁は、何らかの原因で電池セル2の内部が高温になって内圧が所定値以上になったときに開弁して、内部の高温ガスを噴出させる安全機構である。
電池スタック12の上部には、排気ダクト22が設置されている。排気ダクト22は、図3に示すように、逆U字状の断面を有し、電池セル2の配列方向Xに沿って延伸している。また、排気ダクト22は、各電池セル2の上面に設けられた安全弁に対向する位置に配置されている。図2に示すように、排気ダクト22の配列方向Xの一端部は閉塞状態でエンドプレート6aに固定されている。他方、排気ダクト22の配列方向Xの他端部は開口して排気口23を形成している。これにより、電池スタック12を構成する何れかの電池セル2の安全弁が作動して高温ガスが噴出したとき、排気ダクト22を介して排気口23から電池パック10の外部に排出されるようになっている。
図3に示すように、電池セル2の電池ケース3の外表面のうち少なくとも底面3bおよび幅方向Yの両側側面3c,3dは、樹脂枠5によって覆われている。樹脂枠5は、例えばポリプロピレン等の絶縁性樹脂製の成形品によって構成される。また、樹脂枠5は、一対の樹脂枠片を電池ケース3の配列方向Xの両側から嵌め込むことによって電池セル2に装着される。この状態で、電池セル2の底面3bは、樹脂枠5に接触した状態で覆われている。なお、樹脂枠5は、電池ケース3の上面も覆って設けられてもよい。
このように本実施形態では、電池スタック12を構成する各電池セル2の底面3bおよび幅方向Yの両側側面3c,3dとが樹脂枠5で覆われて露出しない構成となっている。これにより、電池スタック12の組付けや交換等を行う作業者に対する安全性が向上する。ここで、本実施形態の電池パック10では、電池セル2の底面を覆う樹脂枠5がセル底部に相当する。
本実施形態では、樹脂枠5は、略矩形状をなして下方にそれぞれ突出した2つのバンド挿通部9を有する。各電池セル2にそれぞれ装着された樹脂枠5のバンド挿通部9の矩形状の穴が配列方向Xに揃うことによってバンド収容孔が形成される。電池スタック12の下部に配置された2本の拘束バンド8は、上記のバンド挿通部9が連なって形成されたバンド収容孔内に挿通されている。
図1を再び参照すると、収容ケース14は、例えば、アルミニウム合金等の金属製のケースである。収容ケース14は、ケース底部26と、側壁28とを有する。ケース底部26は、上方から見て略長方形状に形成されている。側壁28は、ケース底部26の幅方向Yの両側縁部から立ち上がった一対の側壁部28a,28bと、ケース底部26の長さ方向Xの一方側縁部から立ち上がった側壁部28cとを含む。これらの側壁部28a,28b,28cは、ケース底部26と一体に構成されている。
収容ケース14の側壁28のうち長さ方向Xに直交する側壁部28cには、収容ケース14内に収容される5つの電池スタック12に対応して、5つの開口部29が形成されている。これらの開口部29は、収容ケース14に収容された各電池スタック12の給気ダクト24(図3参照)の長さ方向Xの一端部に連通する。これにより、電池パック10の外部から収容ケース14内に空気の取り込みが可能になっている。
収容ケース14の側壁部28cの幅方向中央部には、略正方形状の開口部30が形成されている。この開口部30には、図2に示すように、電力用コネクタ32が取り付けられる。電力用コネクタ32は、収容ケース14内に収容された各電池スタック12に図示しない電力ケーブルを介して接続されている。この電力用コネクタ32を介して、電池パック10に対する電力の充放電を行うことができる。
収容ケース14のケース底部26および側壁28は、扁平直方体状の内部空間を画定する。この内部空間に電池スタック12が収容される。本実施形態では、5つの電池スタック12が5列で収容される例を示すが、これに限定されるものではない。電池パック10に含まれる電池スタック12の数は、4以下でもよいし、あるいは、6以上であってもよい。
収容ケース14の内部空間は、図1に示すように、上方に開口するとともに、長さ方向Xの他方側に開口する。これらの開口は、幅方向Yから見た側面視でL字状に形成された図示しない蓋部材によって閉じられるようになっている。
収容ケース14のケース底部26には、各電池スタック12に対応して、5つのヒータ設置部34がそれぞれ凹状に形成されている。各ヒータ設置部34は、上方から見て配列方向Xに細長い長方形状をなし、互いに平行に設けられている。各ヒータ設置部34は、同一構成を有するため、以下において1つのヒータ設置部34について図3を参照して詳述する。
ヒータ設置部34は、図3に示すように、電池スタック12の鉛直下方に配置されたヒータ設置部材36を含む。ヒータ設置部材36は、収容ケース14のケース底部26の一部を構成する。ヒータ設置部材36は、ヒータ16が設置される台座部38と、台座部38の下面から幅方向Yの両側にそれぞれ延びる断面L字状の2つの底板部40とを含む。ヒータ16は、上下をカバー部材18およびベース部材20で挟まれた状態で台座部38上に設置されている。すなわち、ヒータ16は、収容ケース14内に配置されている。
ヒータ設置部材36の底板部40は、幅方向Yの両側においてスタック支持部42の側面から幅方向Yに突出した突出部44の下面に例えば溶接等によって固定されている。ヒータ設置部材36の底板部40とスタック支持部42の突出部44とは、気密状に連結されるのが好ましい。これは、後述するように、ヒータ16によって加熱された凹状のヒータ設置部34内の空気がケース底部26から外部に逃げないようにするためである。
幅方向Yに関してヒータ設置部34の両側にあるスタック支持部42は、収容ケース14のケース底部26の一部を構成する。本実施形態ではスタック支持部42は、金属製の中空角形パイプによって構成され、その上面はヒータ設置部材36の台座部38よりも高い位置にある。スタック支持部42は、電池スタック12を構成する電池セル2のセル底部を構成する樹脂枠5に接触して、電池スタック12を支持する機能を有する。以下では、樹脂枠5に代えて、適宜に、セル底部5という。
ヒータ設置部材36の台座部38の高さは、スタック支持部42の上面位置よりも低く設定されている。これにより、台座部38上に取り付けられるヒータ16が電池セル2のセル底部5から鉛直下方に離間して配置され、電池セル2のセル底部とヒータ16との間には空間Sが形成されている。この空間Sには壁等の部材が存在しない。また、この空間Sは、セル底部5と、ケース底部26を構成するヒータ設置部材36およびスタック支持部42とによって、配列方向Xと直交する方向の断面において閉じ空間として形成されている。図3では、閉じ空間の外形輪郭が破線で示されている。このように凹状のヒータ設置部34内の空間Sを閉じ空間とすることで、ヒータ16によって加熱された空気がヒータ設置部34内から漏れ出すことがなく、ヒータ16による電池セル2の昇温を効率的に行うことができる。
なお、空間Sは、電池パック10の長さ方向Xの端部においては、電池スタック12から延びる電気信号取出し用のワイヤハーネス等を引き出すための開口が収容ケース14の側壁28に形成される場合があるため、電池パック10の外部に連通することがある。
スタック支持部42とセル底部5との接触部には、弾性体46が介在されている。本実施形態では、弾性体46は、例えばゴム等によって形成される。このように弾性体46を設けることによって、スタック支持部42とセル底部5との間に形成され得る隙間を確実になくすことができ、昇温した空気の漏出防止をより確実なものにできる。本実施形態では、弾性体46は、スタック支持部42の上面および側面と突出部44の上面を覆って設けられている。
また、弾性体46は、例えばゴム等のような絶縁性材料で形成されるのが好ましい。これにより、絶縁性樹脂材料からなる樹脂枠5に加えて、弾性体46によって、電池スタック12とケース底部26との間の電気的絶縁をより強化することができる。
上述したように、ヒータ16は、ヒータ設置部材36の台座部38上に、上下をカバー部材18およびベース部材20によって挟まれた状態で設置されている。本実施形態におけるヒータ16は、図4中に破線で示すように、配列方向Xに細長い長方形状をなす面状発熱体である。ヒータ16は、収容ケース14のケース底部26を構成するヒータ設置部材36と非接触となるように、断熱手段としてのベース部材20を介して台座部38上に設置される。
本実施形態では、ベース部材20は、ヒータ16を金属製のヒータ設置部材36から電気的に絶縁するために、絶縁性の樹脂シートで形成されている。具体例としては、ベース部材20は、例えばポリカーボネート製のシート材(厚さ0.5mm)によって形成されている。また、ベース部材20は、ヒータ16と接触して配置されるため、高耐熱性(すなわち、ヒータ16の発熱温度よりも高い融点を有する)の樹脂材料で形成されるのが好適であり、ポリカーボネートはこの点においても適している。
さらに、ベース部材20は、ヒータ16からヒータ設置部材36への伝熱を抑制する断熱手段として機能する。そのため、ベース部材20には、断面形状が例えば台形状をなす複数の凸部21が形成され、これよってヒータ16と台座部38との間に空気層が形成されるように構成されている。本実施形態では、幅方向Yの断面において3つの凸部21が形成される例が示される。このように形成された凸部21上にヒータ16が支持されていることで、ヒータ設置部材36の台座部38から浮いた状態になっており、ベース部材20によって形成される空気層を介してヒータ16とヒータ設置部材36とを効果的に断熱することができる。
なお、ベース部材20に形成される凸部21の数や形状は、ヒータ16とヒータ設置部材36の台座部38との間に空気層を形成することができれば、どのように変更されてもよい。また、ベース部材20は、空気層を含まない断熱部材(例えば凸部が形成されていない平坦な樹脂シート)で構成されてもよい。
ヒータ16の上は、カバー部材18によって覆われている。カバー部材18は、ヒータ16の上面に接触して設けられている。カバー部材18は、ヒータ16を覆うことで保護する機能を有する。カバー部材18は、例えば樹脂シートによって形成されている。具体的には、カバー部材18は、ポリカーボネート製のシート材で構成される。カバー部材18は、ヒータ16に接触して設けられるため、ベース部材20と同様に、絶縁性および高耐熱性を有することが好ましく、そのため材料としては例えばポリカーボネートが好適に用いられる。
また、カバー部材18には、略三角形の断面形状をなす凸部19が形成されている。本実施形態では、幅方向Yの断面において2つの凸部19が形成された例が示される。凸部19は、図4に示すように、長さ方向Xに沿って延伸して形成されている。このような凸部19を形成することで、カバー部材18の剛性が高くなり、長さ方向Xで反りが発生するのを抑制できる。したがって、このようなカバー部材18でヒータ16を上側から抑えることで、ヒータ16およびカバー部材18がセル底部5に接触するのを防止することができる。なお、カバー部材18に形成される凸部19の形状および数は、長さ方向Xに対する反りを防止する機能を果す限りにおいて、適宜に変更可能である。また、反りが発生しない場合には、カバー部材18の凸部19は省略されてもよい。
上述したカバー部材18およびベース部材20を構成する樹脂材料は、高放射率を有することが好ましい。ここで「高放射率」とは、例えば0.9〜1(最大値)の放射率をいう。ベース部材20およびカバー部材18を構成する樹脂材料として例示したポリカーボネートは、高放射率樹脂材料であるためこの点においても適している。このように高放射率の樹脂材料で形成されたベース部材20およびカバー部材18は、ヒータ16で加熱されると輻射熱によって空間Sを介して対向するセル底部5を加熱することができ、電池スタック12の効率的な昇温に寄与できる。ただし、ベース部材20とカバー部材18のいずれか一方だけを高放射率樹脂材料で形成してもよく、その場合、ヒータ16の上側に配置されるカバー部材18だけを高放射率樹脂材料で形成するのが好ましい。
図5は、ヒータ16を挟んだカバー部材18およびベース部材20を樹脂クリップ50で固定する様子を示す拡大図である。図5に示すように、カバー部材18およびベース部材20の幅方向Yの各端縁部18a,20aは、互いに重ね合わされた状態で樹脂クリップ50によってヒータ設置部材36の台座部38上に固定されている。樹脂クリップ50は、外筒部50aと内側軸部50bとを有する。カバー部材18、ベース部材20および台座部38の幅方向Yの各端縁部には、樹脂クリップ50を挿通するための貫通孔がそれぞれ形成されている。これらの挿通孔が揃った状態でカバー部材18およびベース部材20を台座部38に載置して、各挿通孔に樹脂クリップ50の外筒部50aを挿通する。その後、外筒部50aの中心孔に内側軸部50bを上方から挿入する。これにより、外筒部50aの外径が若干大きくなって外周面が台座部38の貫通孔の内周部に押圧される。その結果、樹脂クリップ50が台座部38から容易には抜けなくなり、樹脂クリップ50の頭部52によってカバー部材18およびベース部材20が台座部38に押し付けられて固定される。これにより、ヒータ16は、カバー部材18とベース部材20とで挟持された状態で、ヒータ設置部材36の台座部38に固定されることになる。
上述したように、本実施形態では、樹脂クリップ50を用いて、ヒータ16がヒータ設置部材36に固定される。ヒータ16の固定に金属製のボルトやネジを用いた場合、ヒータ16からカバー部材18およびベース部材20に伝わった熱が金属製のボルト等を介してヒータ設置部材36に伝わりやすくなる。これに対し、本実施形態では、金属製のボルト等に比べて熱伝導率が低い樹脂クリップ50を用いていることで、ヒータ16の熱がヒータ設置部材36、すなわち収容ケース14に伝導するのを抑制することができ、ヒータ16によって電池スタック12を効率良く昇温させるのに寄与することができる。
再び図3を参照すると、ヒータ設置部材36において、底板部40の上面はヒータ16が設置される台座部38の上面よりも低い位置になっている。これにより、凹状をなすヒータ設置部34内の結露で生じた水が底板部40の上に溜まり易くなる。電池パック10が車両に搭載される場合、長さ方向Xに若干傾斜した状態に搭載される。そのため、底板部40の上面41(図5参照)と弾性体46の端部に形成された立壁部46aとによって区画形成される空間が排水路として機能する。これにより、水は底板部40の上面に沿って流れて、電池パック10の長さ方向Xの端部から排水される。このように、底板部40の上面に水が溜まり易くなっていることで、ヒータ16に水が触れにくくなり、ヒータ16が水に接触することによる影響を抑制できる。
次に、上述した構成を有する電池パック10における電池スタック12の昇温作用について説明する。
図示しない温度センサ等によって検出される電池スタック12の温度が所定値より低い場合、ヒータ16が通電されて電池スタック12が昇温される。より詳しくは、図3において波線矢印で示すように、ヒータ16によって加熱された空気が上昇して、電池スタック12を構成する電池セル2のセル底部5に接触する。これにより、電池セル2が加熱されて昇温する。また、ヒータ16とセル底部5との間に形成される空間Sは、電池セル2の配列方向Xと直交する方向の断面が閉じ空間として形成されている。そのため、ヒータ16によって加熱された空気は空間Sから逃げることなく対流する。したがって、電池パック10の外部から比較的低温の空気が空間S内に引き込まれることがなく、ヒータ16によって効率的に各電池セル2、すなわち電池スタック12を効率よく昇温させることができる。換言すれば、ヒータ16によって加熱された空気は、電池スタック12の側部や上部に回り込まないので、電池スタック12を構成する各電池セル2だけを加熱して効率的に昇温させることができる。
また、本実施形態の電池パック10では、ヒータ16が電池セル2のセル底部5から鉛直下方に離間して収容ケース14内に配置されている。仮にヒータ16がセル底部5に接触して配置されている場合、ヒータ16が何らかの原因(例えば、ヒータ線の半断線や端子部の接触抵抗増大等)で異常発熱したときに、その異常発熱箇所に接触している電池セル2が過熱状態となって、安全性が問題となる。これに対し、本実施形態の電池パック10では、ヒータ16が空間Sを介して電池セル2のセル底部5に対向配置されているため、そのような電池セルの過熱が生じることがなく、安全性が高い。
また、ヒータ16は収容ケース14(より詳しくはケース底部26の一部を構成するヒータ設置部材36)と非接触となるよう断熱手段であるベース部材20を介してケース底部26上に配置されている。そのため、ヒータ16から収容ケース14への伝熱を抑制することができる。これにより、ヒータ16による発熱を電池スタックの各電池セル2の昇温に効果的に用いることができ、上記の対流熱による加熱と相まって、電池スタック12を効率良く昇温させることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態およびその変形例の構成に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲内において、種々の変更や改良が可能であることはいうまでもない。