JP2018006092A - 膜電極接合体 - Google Patents

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浩史 岸
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友和 坂本
晃之 増田
Teruyuki Masuda
晃之 増田
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Abstract

【課題】酸素側電極を備える燃料電池において、過酸化物の生成を抑制して、燃料電池の耐久性を向上することのできる膜電極接合体を提供すること。
【解決手段】膜電極接合体2に、アニオン交換膜からなる電解質層5と、電解質層5の厚み方向一方側に配置され、酸素が供給される酸素側電極6とを備え、酸素側電極6に、酸素還元触媒と、アニオン交換形アイオノマーとを含み、アニオン交換形アイオノマーの酸素還元触媒に対する質量比を、0.21以上0.40未満とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、膜電極接合体、詳しくは、燃料電池に備えられる膜電極接合体に関する。
燃料電池に採用される電極として、電解質膜と、電解質膜の一方の面に接合された酸素側電極(カソード)と、電解質膜の他方の面に接合された燃料側電極(アノード)とを備える膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)が知られている。
膜電極接合体は、1つの発電単位(単セル)として形成されており、複数の膜電極接合体が、セパレータを介して積層されることにより、膜電極接合体を積み重ねたスタック構造の燃料電池が組み立てられる。
このような膜電極接合体のカソードが、例えば、ナイカルバジンFe錯体0.04gと、マンガン酸化物担持カーボン0.01gと、電解質樹脂としてのアニオン交換形アイオノマー(固形分)0.017gとを含むカソード電極インクを用いて作製されることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2016−33894号公報
しかし、特許文献1のカソード電極インクを用いて作製されるカソードでは、酸素還元反応の副反応によって過酸化物が大量に生成する。そのため、カソードにおける過酸化物の生成を抑制することが望まれている。
そこで、本発明の目的は、酸素側電極を備える燃料電池において、過酸化物の生成を抑制して、燃料電池の耐久性を向上することのできる膜電極接合体を提供することにある。
本発明[1]は、アニオン交換膜からなる電解質層と、前記電解質層の厚み方向一方側に配置され、酸素が供給される酸素側電極とを備え、前記酸素側電極は、酸素還元触媒と、アニオン交換形アイオノマーとを含み、前記アニオン交換形アイオノマーの前記酸素還元触媒に対する比が、質量基準で、0.21以上0.40未満であることを特徴とする、膜電極接合体を含んでいる。
本発明の膜電極接合体に備えられる酸素側電極は、酸素還元触媒と、アニオン交換形アイオノマーとを含み、アニオン交換形アイオノマーの前記酸素還元触媒に対する質量比が、0.40未満である。
そのため、本発明の膜電極接合体は、過酸化物の生成を抑制することができ、その結果、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
また、本発明の膜電極接合体に備えられる酸素側電極は、酸素還元触媒と、アニオン交換形アイオノマーとを含み、アニオン交換形アイオノマーの前記酸素還元触媒に対する質量比が、0.21以上である。
そのため、本発明の膜電極接合体を備える燃料電池は、その発電性能を維持することができる。
図1は、本発明の膜電極接合体の一実施形態を示す概略構成図である。 図2は、図1に示す膜電極接合体を備える燃料電池の一実施形態を示す概略構成図である。 図3は、過酸化物生成率および触媒担持量の評価結果を示すグラフである。
1.膜電極接合体
図1において、膜電極接合体2は、後述する燃料電池1に備えられる部材であって、電解質層5と、電解質層5の厚み方向一方側に配置され、酸素が供給される酸素側電極6と、電解質層5の厚み方向他方側に配置され、燃料が供給される燃料側電極7とを備えている。
電解質層5は、アニオン交換型の高分子電解質層(アニオン交換膜)から形成されている。
アニオン交換膜としては、アニオン成分(例えば、水酸化物イオン(OH)など)が移動可能な媒体であれば、特に限定されず、例えば、4級アンモニウム基、ピリジニウム基などのアニオン交換基を有する固体高分子膜(アニオン交換樹脂)が挙げられる。
アニオン交換膜を形成する固体高分子としては、例えば、ポリスチレンおよびその変性体などの炭化水素系の固体高分子膜などが挙げられる。また、アニオン交換膜を形成する固体高分子のガラス転移温度(Tg)は、例えば、80〜200℃、好ましくは、100〜200℃である。
また、アニオン交換膜を形成する固体高分子は、その分子構造において、架橋構造を有していてもよい。
また、アニオン交換膜は、市販品として入手可能であり、例えば、セレミオン(旭硝子社製)、ネオセプタ(アストム社製)などが挙げられる。
酸素側電極6は、カソード側触媒層であって、例えば、電解質層5の一方面(図1における紙面右側)に直接積層されている。
酸素側電極6は、酸素還元触媒と、アニオン交換形アイオノマーとを含み、好ましくは、酸素還元触媒と、アニオン交換形アイオノマーとからなる。
酸素還元触媒としては、例えば、遷移金属に有機化合物が配位した遷移金属錯体およびその焼成体や、導電性高分子とカーボンとからなるカーボンコンポジットに遷移金属が担持された複合体が挙げられる。
遷移金属(触媒金属)としては、例えば、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)などが挙げられる。これらのうち、好ましくは、鉄が挙げられる。また、これらは、単独使用または2種以上併用することができる。
遷移金属に配位する有機化合物としては、例えば、フェナントロリン、アミノアンチピリン、ピロール、ポルフィリン、テトラメトキシフェニルポルフィリン、ジベンゾテトラアザアヌレン、フタロシアニン、コリン、クロリン、サルコミン、ナイカルバジンなどの遷移金属配位有機化合物またはこれらの重合体が挙げられる。これらのうち、好ましくは、ナイカルバジンが挙げられる。また、これらは、単独使用または2種以上併用することができる。
導電性高分子としては、上記の有機化合物と重複する化合物もあるが、例えば、ポリアミン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリビニルカルバゾール、ポリトリフェニルアミン、ポリピリジン、ポリピリミジン、ポリキノキサリン、ポリフェニルキノキサリン、ポリイソチアナフテン、ポリピリジンジイル、ポリチエニレン、ポリパラフェニレン、ポリフルラン、ポリアセン、ポリフラン、ポリアズレン、ポリインドール、ポリジアミノアントラキノンなどが挙げられる。
酸素還元触媒としては、好ましくは、鉄に有機化合物が配位した鉄錯体の焼成体が挙げられる。酸素還元触媒は、単独使用または2種以上併用することができる。
酸素還元触媒を調製するには、例えば、酸素還元触媒が遷移金属錯体の焼成体である場合、まず、遷移金属の塩(例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、りん酸塩などの無機塩、例えば、酢酸塩、しゅう酸塩などの有機酸塩など)と、有機化合物とを、例えば、水、アルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトリル類などの公知の溶媒中で混合することにより、遷移金属錯体を製造する。
次いで、このように調製された遷移金属錯体の溶液または分散液を、必要により乾燥し、次いで、焼成する。
焼成では、例えば、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガスなど)や、還元ガス(例えば、窒素ガスおよび水素ガスの混合ガス)雰囲気下において加熱する。
また、焼成温度は、例えば、850℃以上、好ましくは、900℃以上であり、また、例えば、1500℃以下である。焼成時間は、例えば、1時間以上であり、また、例えば、10時間以下、好ましくは、5時間以下である。
なお、遷移金属錯体は、一段階または多段階で焼成することができる。
乾燥する場合、乾燥温度は、例えば、−25℃以上、好ましくは、15℃以上であり、また、例えば、80℃以下、好ましくは、50℃以下である。乾燥時間は、例えば、12時間以上、また、例えば、48時間以下である。
これにより、酸素還元触媒として、遷移金属錯体の焼成体を得ることができる。
アニオン交換形アイオノマーとしては、例えば、陰イオン交換基を有する陰イオン交換樹脂などが挙げられ、好ましくは、陰イオン交換基を有する炭化水素系アイオノマーが挙げられる。
陰イオン交換基としては、例えば、第3級アミノ基などのアミノ基、例えば、第4級アンモニウム基などのアンモニウム基などの窒素含有基などが挙げられ、好ましくは、第4級アンモニウム基が挙げられる。
酸素側電極6に含まれるアイオノマーが、アニオン交換形アイオノマーであれば、ナフィオン(登録商標)などの陽イオン交換基を有する陽イオン交換樹脂などのカチオン交換形アイオノマーである場合に比べて陰イオンの伝導性に優れるため、アニオン交換型燃料電池を高出力化することができる。
酸素側電極6において、酸素還元触媒と、アニオン交換形アイオノマーとの配合割合は、酸素還元触媒およびアニオン交換形アイオノマーの総量に対して、酸素還元触媒が、例えば、71質量%を超えて、好ましくは、74質量%以上、より好ましくは、75質量%以上であり、例えば、83質量%以下、好ましくは、80質量%以下、より好ましくは、79質量%以下であり、また、アニオン交換形アイオノマーが、例えば、17質量%以上、好ましくは、20質量%以上、より好ましくは、21質量%以上であり、例えば、29質量%未満、好ましくは、26質量%以下、より好ましくは、25質量%以下である。
また、酸素側電極6において、アニオン交換形アイオノマーの酸素還元触媒に対する質量比は、0.21以上、好ましくは、0.25以上、より好ましくは、0.27以上、さらに好ましくは、0.28以上であり、また、0.40未満、好ましくは、0.35以下、より好ましくは、0.33以下、さらに好ましくは、0.32以下である。
アニオン交換形アイオノマーの前記酸素還元触媒に対する質量比が上記上限未満(以下)であれば、酸素側電極6における過酸化物(後述)の生成を抑制することができ、その結果、燃料電池1(後述)の耐久性を向上させることができる。
また、アニオン交換形アイオノマーの前記酸素還元触媒に対する質量比が上記下限以上であれば、酸素側電極6における酸素還元触媒の担持量を十分に担保することができ、燃料電池1(後述)の発電性能を維持することができる。
酸素側電極6を形成するには、例えば、まず、酸素還元触媒とアニオン交換形アイオノマーとを、有機溶媒に分散させて酸素側電極インク(分散液)を調製する。
酸素側電極インクは、例えば、有機溶媒に酸素還元触媒とアニオン交換形アイオノマーとを混合し、ホモジナイザーなどの公知の撹拌機を用いて撹拌混合することにより得られる。
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール(1−プロパノール)、イソプロパノールなどの低級アルコール、テトラヒドロフランなどの環状エーテル、これらの混合溶媒などが挙げられる。
次いで、この方法では、酸素側電極インクを、電解質層5の一方面に、公知の方法(例えば、スプレー法、ダイコーター法など)により塗布し、乾燥させる。
これにより、酸素側電極6が、薄膜状の電極膜として電解質層5の一方面に形成される。
酸素側電極6の厚みは、例えば、10〜300μm、好ましくは、20〜150μmである。
酸素側電極6において、酸素還元触媒の担持量は、例えば、0.05mg/cm以上、好ましくは、0.10mg/cm以上であり、例えば、10mg/cm以下、好ましくは、5mg/cm以下である。
酸素側電極6における酸素還元触媒の担持量が上記範囲内であれば、燃料電池1(後述)の発電性能を維持することができる。
なお、酸素還元触媒の担持量は、後述する実施例に準拠して測定される。
燃料側電極7は、アノード側触媒層であって、電解質層5の他方面(図1における紙面左側)に直接積層されている。
燃料側電極7は、例えば、触媒を担持した触媒担体などの電極材料により形成されている。また、触媒担体を用いずに、電極材料として触媒粒子を用い、その触媒粒子を、直接、燃料側電極7として形成してもよい。
触媒としては、特に制限されず、例えば、白金族元素(ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt))、鉄族元素(鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni))などの周期表(IUPAC Periodic Table of the Elements(version date 22 June 2007)に従う。以下同じ。)第8〜10(VIII)族元素や、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などの周期表第11(IB)族元素、さらには亜鉛(Zn)などの金属単体や、それらの合金などが挙げられる。
これらは、単独使用または2種以上併用することができる。
触媒担体としては、例えば、カーボンなどの多孔質物質が挙げられる。触媒の触媒担体に対する担持量は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
燃料側電極7を形成するには、例えば、まず、上記した触媒とアイオノマーを上記した有機溶媒中に分散させて分散液を調製する。次いで、この方法では、燃料側電極インクを、電解質層5の一方面に、公知の方法(例えば、スプレー法、ダイコーター法など)により塗布し、乾燥させる。
アイオノマーとしては、例えば、上記した陰イオン交換樹脂、上記した陽イオン交換樹脂などが挙げられる。
これにより、燃料側電極7が、薄膜状の電極膜として電解質層5の他方面に形成される。
燃料側電極7の厚みは、例えば、10〜200μm、好ましくは、20〜100μmである。
また、燃料側電極7において、触媒の担持量は、例えば、0.05mg/cm以上、好ましくは、0.1mg/cm以上であり、例えば、10mg/cm以下、好ましくは、5mg/cm以下である。
このような膜電極接合体2では、酸素側電極6が、酸素還元触媒とアニオン交換形アイオノマーとを含み、アニオン交換形アイオノマーの酸素還元触媒に対する質量比が、0.21以上0.40未満であるため、燃料電池1(後述)の発電性能を維持しながら、過酸化物の生成を抑制することができる。
その結果、このような膜電極接合体2では、過酸化物(過酸化水素)およびフリーラジカルによる酸素側電極6の劣化を抑制することができ、酸素側電極6および燃料電池1(後述)の耐久性を向上させることができる。
また、燃料電池1(後述)の発電性能を維持することができる。
そのため、このような膜電極接合体2は、例えば、水素、メタノール、ジメチルエーテル、ヒドラジン(水加ヒドラジン、無水ヒドラジンなどを含む)などを燃料として発電する燃料電池において、好適に用いられる。
2.燃料電池
図2において、燃料電池1は、液体または気体の燃料(好ましくは、液体の燃料)が直接供給される燃料電池である。
燃料電池1に供給される燃料としては、例えば、水素などの気体燃料、メタノール、ジメチルエーテル、ヒドラジン(水加ヒドラジン、無水ヒドラジンなどを含む)などの液体燃料が挙げられる。
燃料として、好ましくは、液体燃料が挙げられ、より好ましくは、ヒドラジンが挙げられる。
燃料電池1は、上記した膜電極接合体2、膜電極接合体2の一方側(カソード側)に配置された酸素供給部材8、および、膜電極接合体2の他方側(アノード側)に配置された燃料供給部材9を有する燃料電池セル(単位セル)が、複数積層されたスタック構造に形成されている。なお、図2では、複数の単位セルのうち1つだけを燃料電池1として表し、その他の単位セルについては省略している。
また、図2では、膜電極接合体2について、図1と同一の参照符号を付している。また、以下において、膜電極接合体2についての詳細な説明を省略する。
酸素供給部材8は、セパレータとしても兼用され、ガス不透過性の導電性部材からなり、その一方の面が酸素側電極6に対向接触し、酸素側電極6に酸素(空気)を供給する。酸素供給部材8には、酸素側電極6の全体に酸素(空気)を接触させるための酸素側流路10が、一方の面から凹む、例えば、葛折状などの溝として形成されている。
酸素側流路10には、酸素(空気)を酸素供給部材8内に流入させるための酸素供給口11が酸素供給路10の一端側(図2における紙面上側)に形成され、酸素(空気)を酸素供給部材8から排出するための酸素排出口12が他端側(図2における紙面下側)に形成されている。
燃料供給部材9は、セパレータとしても兼用され、ガス不透過性の導電性部材からなり、その一方の面が燃料側電極7に対向接触し、燃料側電極7に液体燃料を供給する。燃料供給部材9には、燃料側電極7の全体に燃料を接触させるための燃料側流路13が、一方の面から凹む、例えば、葛折状などの溝として形成されている。
燃料側流路13には、燃料を燃料供給部材9内に流入させるための燃料供給口14が他端側(図2における紙面下側)に形成され、燃料を燃料供給部材9から排出するための燃料排出口15が一端側(図2における紙面上側)に形成されている。
3.燃料電池による発電
図2が参照されるように、上記した燃料電池1では、酸素(空気)が燃料供給口11から酸素側電極6に供給される。一方、燃料が燃料供給口14から燃料側電極7に供給される。
カソード側では、酸素(空気)が、酸素側電極6と接触しながら酸素側流路10を通過する。一方、アノード側では、燃料が、燃料側電極7と接触しながら燃料側流路13を通過する。
そして、各電極(酸素側電極6および燃料側電極7)において電気化学反応が生じ、起電力が発生する。例えば、例えば、燃料がヒドラジンである場合には、電気化学反応は、下記式(1)〜(3)の通りとなる。
(1) O+2HO+4e→4OH
(酸素側電極6での反応)
(2) N+4OH→N+4HO+4e
(燃料側電極7での反応)
(3) N+O→N+2H
(燃料電池1全体での反応)
すなわち、酸素側電極6では、電子(e)と、外部からの供給もしくは燃料電池1での反応で生成し、燃料側電極7から漏出(クロスリーク)した水(HO)と、空気供給路13を流れる空気中の酸素(O)とが反応して、水酸化物イオン(OH)が生成する(上記式(1)参照)。
そして、生成した水酸化物イオン(OH)が、電解質層5を通過して燃料側電極7に到達する。
一方、ヒドラジンが供給された燃料側電極7では、ヒドラジン(N)と、酸素側電極6での反応で生成し燃料側電極7に到達した水酸化物イオン(OH)とが反応して、窒素(N)および水(HO)が生成するとともに、電子(e)が発生する(上記式(2)参照)。
燃料側電極7で発生した電子(e)は、図示しない外部回路を経由して酸素側電極7に到達する。つまり、この外部回路を通過する電子(e)が、電流となる。
このような酸素側電極6および燃料側電極7での電気化学的反応が連続的に生じることによって、燃料電池1全体として上記式(3)で表わされる反応が生じて、燃料電池1に起電力が発生する。すなわち、燃料電池1は、燃料を消費して発電する。
なお、燃料は、上記のヒドラジンに限定されず、水素、メタノール、ジメチルエーテルなど、種々の燃料を用いることができる。
また、用いられる燃料に応じて、燃料電池1の仕様(電解質層5の種類、酸素側電極6および燃料側電極7における触媒の種類など)が、適宜設定される。
4.作用および効果
燃料電池1では、燃料側電極7に供給される燃料が、燃料側電極7において反応することなく電解質層5に浸透および通過(透過)し、酸素側電極6側に漏出(クロスリーク)する場合がある。
このような場合、漏出された燃料が酸素側電極6において酸素と反応し、過酸化物(過酸化水素)を発生させる(生成する)場合がある。
具体的には、例えば、燃料としてヒドラジンが用いられる場合には、酸素側電極6において下記(4)で示される反応が生じ、過酸化物(過酸化水素)が生じる場合がある。
(4) N+2O→N+2H
そして、生成したHが電極層に含有される金属触媒などに接触すると、雰囲気中に、・OH(ヒドロキシラジカル)、・OOH(ハイドロパーオキシラジカル)、・H(水素ラジカル)などのフリーラジカルが生成する。
このような場合において、酸素側電極6が、イオン交換基を有する樹脂、とりわけ、陰イオン交換基を有する樹脂(アニオン交換形アイオノマー)を含有している場合には、過酸化水素およびフリーラジカルが、電解質層5および酸素側電極6のイオン交換基に吸着し、電解質層5および酸素側電極6の劣化を惹起する場合がある。
しかし、上記の膜電極接合体2では、酸素側電極6が、酸素還元触媒とアニオン交換形アイオノマーとを含み、アニオン交換形アイオノマーの前記酸素還元触媒に対する質量比が、0.40未満であるため、過酸化物(過酸化水素)の生成を抑制することができる。
その結果、上記の膜電極接合体2および燃料電池1では、過酸化水素およびフリーラジカルによる電解質層5および酸素側電極6の劣化を抑制することができ、その酸素側電極6を備える燃料電池1は優れた耐久性を有する。
また、酸素側電極6の形成において、アイオノマー(アニオン交換形アイオノマー)は、酸素還元触媒を吸着し、さらに、電解質層5の一方面に接着する接着剤となる。そのため、酸素還元触媒の量に対し、アイオノマーの含有量が少ないと酸素還元触媒を十分に担持させた酸素側電極6が得られない場合がある。
しかし、上記の膜電極接合体2では、酸素側電極6が、酸素還元触媒とアニオン交換形アイオノマーとを含み、アニオン交換形アイオノマーの前記酸素還元触媒に対する質量比が、0.21以上であるため、酸素還元触媒を十分に担保できるだけのアイオノマーの量を確保でき、その結果、酸素側電極6における反応により、十分な量の水酸化物イオン(OH)を発生させることができる。
さらに、必要に応じて、発電性能の向上を図る観点から、燃料に、アルカリ金属水酸化物(水酸化カリウムなど)などの電解質を、添加物として配合することができる。
燃料に電解質を配合する場合、電解質濃度は、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、例えば、40質量%以下、好ましくは、30質量%以下である。
これにより、燃料中に水酸化物イオン(OH)を生じさせることができる。
そして、このような燃料は、燃料側電極7に浸透し、また、上記したクロスリークにより、電解質層5および酸素側電極6にも浸透する。その結果、燃料電池1の発電効率の維持または向上を図ることができる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
(酸素側電極の作製)
調製例1
ナイカルバジンFe錯体(NPC−2000、Pajarito社製)1gとアニオン交換形アイオノマー溶液(商品名:AS4、固形分:2質量%、溶媒:テトラヒドロフランおよび1−プロパノールの混合溶媒(質量比=1:1)、第4級アンモニウム基を有する炭化水素系アイオノマー、トクヤマ社製)15gとを有機溶媒(テトラヒドロフランおよび1−プロパノールの混合溶媒(質量比1:3))7.33g中に分散して調製した酸素側電極インク(分散液)を、グラッシーカーボン上に滴下し、測定電極(担持量0.51μg/mm)を得た。
調製例2
ナイカルバジンFe錯体を1g、アニオン交換形アイオノマー溶液を5gとした以外は、調製例1と同様にして、測定電極(担持量0.51μg/mm)を得た。
調製例3
ナイカルバジンFe錯体を1g、アニオン交換形アイオノマー溶液を25gとした以外は、調製例1と同様にして、測定電極(担持量0.51μg/mm)を得た。
実施例1、および、比較例1および2
各調製例で調製したそれぞれの酸素側電極インクを用いて、以下の手順により、膜電極接合体を製造した。
すなわち、燃料側電極の触媒としてのニッケル系金属であるニッケル亜鉛合金(NiZn)(AQ672078、Ni:87質量%、Zn:13質量%、平均粒子径:3μm、Cabot社製)と、アイオノマーとの混合物を、アルコール類などの有機溶媒に適宜分散させて、燃料側電極インク(分散液)を調製した。
その後、アニオン交換形電解質膜(A201CE トクヤマ社製)の一方側表面に酸素還元触媒の量が1.25mg/cmとなるように、各調製例で調製した酸素側電極インクをそれぞれ塗布した。また、他方側表面に燃料側電極の触媒の量が2.6mg/cmとなるように、上記の燃料側電極インクを塗布した。
その後、溶媒を大気中で蒸発させ、膜電極接合体を得た。
評価
(1)過酸化物生成率の評価
回転リングディスク電極(Rotating Ring−Disk Electrode:RRDE)を用いて、過酸化物生成率を測定した。
具体的には、各調製例で得られた測定電極を作用電極として、酸素で飽和した1mol/L水酸化カリウム水溶液を入れた3電極型セルを作製した。
なお、3電極型セルにおいて、参照電極には、水銀−水銀酸化物電極(Hg/HgO)、カウンター電極には、白金線を用いた。
また、測定温度は30℃、回転数は1600rpmとした。走査速度は0.001V/sとし、高電位から低電位に向けて走査した。
0.6V(vs.Hg/HgO)に設定したリングの電流値から、過酸化物生成率を換算した。
その結果を図3に示す。
(2)酸素側電極の触媒(酸素還元触媒)の担持量測定
各調製例で調製した酸素側電極インクを、スプレーガンで電解質膜上(塗布面:マスキングにより2×2cmに調整)に滴下し、触媒(酸素還元触媒)の担持量を算出した。なお、酸素側電極インクを30μL採取して塗布乾燥することを3回繰り返し、酸素側電極インクを塗布する前と3回塗布乾燥した後の質量変化を、触媒担持量(酸素還元触媒担持量)およびアニオン交換形アイオノマーの総量とし、各調製例のカソード電極インクにおけるアニオン交換形アイオノマーの酸素還元触媒に対する質量比により触媒担持量(酸素還元触媒担持量)に換算した。
その結果を図3に示す。
考察
図3が参照されるように、アニオン交換形アイオノマーの酸素還元触媒に対する質量比が0.40未満である調製例1の測定電極における過酸化物の生成率(19.2%)は、アニオン交換形アイオノマーの酸素還元触媒に対する質量比が0.40以上である調製例3の測定電極における過酸化物の生成率(35.4%)に対して、十分に抑制されていることがわかる。
また、アニオン交換形アイオノマーの酸素還元触媒に対する質量比が0.21以上0.40未満である調製例1の測定電極における触媒担持量(0.17mg/cm)は、アニオン交換形アイオノマーの酸素還元触媒に対する質量比が0.21未満である調製例2の測定電極における触媒担持量(0.068mg/cm)に対して、触媒担持量が増えている一方、アニオン交換形アイオノマーの酸素還元触媒に対する質量比が0.40以上である調製例3の測定電極における触媒担持量(0.15mg/cm)に対しては、ほぼ触媒担持量は変わらないことから、アニオン交換形アイオノマーの酸素還元触媒に対する質量比が0.21以上0.40未満であれば、その酸素側電極は効率的に酸素還元触媒を担持していることが確認された。
そのため、アニオン交換形アイオノマーの酸素還元触媒に対する質量比が0.21以上0.40未満である調製例1の測定電極であれば、燃料電池の発電性能を維持できながら、過酸化物の生成を抑制できることがわかる。
2 膜電極接合体
6 酸素側電極
7 燃料側電極

Claims (1)

  1. アニオン交換膜からなる電解質層と、
    前記電解質層の厚み方向一方側に配置され、酸素が供給される酸素側電極とを備え、
    前記酸素側電極は、酸素還元触媒と、アニオン交換形アイオノマーとを含み、
    前記アニオン交換形アイオノマーの前記酸素還元触媒に対する質量比が、0.21以上0.40未満であることを特徴とする、膜電極接合体。
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