JP2018004781A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、単に結晶性ポリエステル樹脂を加えただけでは、結着樹脂の溶融粘度が下がりすぎてしまう懸念があった。結着樹脂の溶融粘度が下がりすぎると、画像の光沢が過剰に高くなってしまう(ギラツキの発生)、高速印刷時に定着部材から画像が分離できず分離不良やホットオフセットが発生する、という問題が生じる。
上記問題を解決するためには、高温時(90〜120℃)におけるトナーの弾性率を高めることが必要である。
しかし、上記アクリル樹脂は、架橋構造を有するため高温でも溶融しづらい。また、架橋構造を有するアクリル樹脂は、網目構造を有するため、溶融しても結着樹脂中で相溶しづらい。このため、特許文献1に開示されているような技術では、高温時に弾性率を高める効果は小さくなってしまう。
しかし、アクリル酸2−カルボキシエチルは極性基を持つため、水系でトナーを製造した場合、トナー粒子の表面にスチレン・アクリル樹脂が偏って存在しやすくなる。すなわち、アクリル酸2−カルボキシエチルを使用した場合、トナー粒子の表面に高分子量体が偏在することになり、この結果、溶融性に影響を与え、ひいては、低温定着性が阻害される。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
前記結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂と、ビニル樹脂とを含有し、
前記結着樹脂中の前記非晶性ポリエステル樹脂の含有量が、50質量%以上であり、
前記トナー粒子が含有する、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定されるテトラヒドロフラン(THF)に可溶な成分の重量平均分子量(Mw(t))が下記式(1)を満たし、
前記ビニル樹脂が、下記式(2)を満たすピークトップ分子量(Mp(s))を有し、かつ、二次元鎖状構造であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
式(1) Mw(t)<100000
式(2) 20000≦Mp(s)≦150000
式(3) 30000≦Mp(s)≦100000
式(4) 80000≦Mw(s)≦200000
構造式(1)H2C=CR1−COOR2
[式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数6以上22未満のアルキル基を示す。]
前記ビニル樹脂が、前記コア中に含有されていることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
式(5) 100℃≦Tsp≦120℃
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように考えている。
トナーに、結晶性ポリエステル樹脂を定着助剤として含有させることで、耐熱保管性を保ちつつも、低温定着性を向上させることができる。このように、低温定着性が向上する理由は、結晶性ポリエステル樹脂の融点付近で、結晶性ポリエステル樹脂が急激に溶融し、非晶性ポリエステル樹脂と相溶することで、定着温度付近のトナーの弾性率が低くなるからである。ここで、トナーが有する結着樹脂の重量平均分子量(すなわち、テトラヒドロフラン(THF)に可溶な成分の重量平均分子量(Mw(t)))が100000を超えると、低温時(40〜70℃)の弾性率が高くなってしまい、低温定着性が悪化する。このため低温定着性を向上させる観点からTHFに可溶な成分の重量平均分子量(Mw(t))は100000以下である必要がある。
しかしながら、結晶性ポリエステル樹脂を含有することにより、トナーは弾性率が低下するため低温定着性が向上するものの、定着画像がより平滑となり光沢度が非常に高い画像となってしまう。
まず、ビニル樹脂が「二次元鎖状構造である」とは、架橋剤を添加した、いわゆる三次元架橋構造ではないことを示す。
架橋剤を添加した三次元架橋構造(以下、単に「架橋構造」ともいう。)で主に成るビニル樹脂(以下、「架橋ビニル樹脂」ともいう。)は、二次元鎖状構造であるビニル樹脂と比較して熱による溶融性が低下し、高温でも溶融しづらくなる。また三次元架橋構造は、二次元鎖状構造と違い、網目構造を有しているため、架橋ビニル樹脂は溶融した場合においても、結着樹脂の主成分である非晶性ポリエステル樹脂と相溶しづらい。そのため、架橋ビニル樹脂を有するトナーでは、高温で弾性率を高める効果が発現しづらいため、光沢を抑制するという効果が得られない。
一方、二次元鎖状構造で主に成るビニル樹脂は溶融した場合において、結着樹脂の主成分である非晶性ポリエステル樹脂と相溶しやすく、このため高温で弾性率を高め光沢を抑制するという効果が得られる。
このように結着樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、ビニル樹脂を本発明に係る構成としたトナーでは低温定着性を維持しつつ、光沢を抑制した画像を得ることができる。
なお、試料の分子量(重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mn)は、屈折率検出器を用いて測定できる。また、試料の有する分子量分布は、単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線を用いて算出でき、当該分子量分布からピークトップ分子量(Mp(s))を求めることができる。
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、少なくとも結着樹脂、離型剤及び着色剤を含有するトナー粒子を有する。
なお、本発明において、「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいう。
本発明に係るトナー粒子は、結着樹脂、離型剤及び着色剤を含有する。特に、本発明に係るトナー粒子は、結着樹脂、離型剤及び着色剤を含有するトナー母体粒子を有する態様であることが好ましい。
ここで、「トナー母体粒子」とは、少なくとも結着樹脂、離型剤及び着色剤を含有してなる粒子のことである。トナー母体粒子は、そのままでもトナー粒子として使用することができるが、通常、外添剤を添加したものをトナー粒子として使用することが好ましい。なお、以下の説明においては、トナー母体粒子とトナー粒子とを特に区別する必要がない場合、単に「トナー粒子」という。
結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂と、ビニル樹脂とを含有する。なお、本発明の効果発現を阻害しない範囲で、その他の樹脂や化合物等が含有されていてもよい。
ビニル樹脂は、ビニル基を有する単量体(以下、ビニル単量体という。)の重合体をいう。
使用できるビニル樹脂としては、スチレン・アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、中でも下記構造式(1)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体に由来の構造単位を有することが好ましい。
[式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数6以上22未満のアルキル基を示す。]
ここで、トナーの製造を水系で行う場合、ビニル樹脂が極性基を持つと、ビニル樹脂がトナー粒子の表層に分布しやすくなり、この結果、トナー粒子の表層にビニル樹脂が存在する可能性が高くなる。そのためビニル樹脂は極性基を持たない構造式(1)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体に由来の構造単位を有することが、トナー粒子の表層にビニル樹脂が存在することを回避できることから好ましい。
なお、トナー粒子の表層とは、最表面から粒径に対して20%までの部分をいう。
ビニル樹脂が、二次元鎖状構造であることは、ビニル樹脂の合成時に、架橋構造を積極的に形成させないことで実現できる。すなわち、本発明に係るビニル樹脂は、架橋剤含まないモノマー組成となる。なお、架橋剤としては、例えば、ジアクリレート化合物やジメタクリレート化合物やジビニルベンゼンなどが挙げられ、その他、特開2012−108485号公報の段落0018に記載のものが挙げられる。
本発明に係るビニル樹脂は、架橋構造をほとんど有さないため、架橋密度が非常に低く、例えば10%以下であるものと考えられる。ただし、一般的に架橋密度は、粘弾性測定から求めることができるが、本発明に係るビニル樹脂は架橋がない又は少ないため、粘弾性測定では架橋密度が求められないと考えられる。
また、本発明に係るビニル樹脂は架橋構造を有さないため、THFに可溶である。このことから、本発明のトナーは、THF不溶分となる樹脂がほとんどないと考えられる。
式(3) 30000≦Mp(s)≦100000
上記式(3)の範囲内であることにより、低温側でビニル樹脂が溶融するのをより防ぎ、この結果、トナーの弾性率が高くならず、低温定着性をさらに好適にできる。また高温側では好適に溶融するため、弾性率が高くなり、この結果、光沢抑制の効果を更に好適に発現できる。なお、ビニル樹脂のMw(s)に関しても同様の理由から下記式(4)を満たすことが好ましい。
式(4) 80000≦Mw(s)≦200000
乳化重合法によって作製する場合において用いられるラジカル重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤であれば適宜のものを使用することができ、具体的には、例えば2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩無水物、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2′−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2′−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]など水溶性アゾ開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素などの水溶性重合開始剤を挙げることができる。これら1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(2)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(3)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(4)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(5)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸、メタクリル酸誘導体等
カルボキシ基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等が挙げられる。
スルホン酸基を有する単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
リン酸基を有する単量体としては、アシドホスホオキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
ビニル樹脂におけるTHF不溶分は、トナー粒子中の架橋成分の含有量を示すものであって、これが0.5質量%未満である場合は、良好な耐高温オフセット性が得られないおそれがあり、50質量%を超える場合は、トナーの製造時に融着の進行が緩慢となるために製造負荷が大きくなるおそれがある。
また、ビニル樹脂の軟化点は、ビニル樹脂の軟化点Tspが、下記式(5)を満たすことが好ましい。
ビニル樹脂は、少なくともビニル重合セグメントと非晶性ポリエステル重合セグメントとが結合してなるハイブリッドビニル樹脂であってもよい。ビニル樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂とのハイブリッドビニル樹脂であることで、トナー粒子中における分散状態がよくなる。この結果、トナー全体に、ビニル樹脂を入れた効果が発現するため好ましい。
また、ビニル樹脂は、このようなポリエステル分子鎖にビニル分子鎖を分子結合させた構造のハイブリッドビニル樹脂を含有する樹脂、すなわち、ハイブリッドビニル樹脂とそのほかの樹脂とを分子結合させるなどした樹脂であってもよい。
これらの中でも、特にトナーの帯電均一性を向上させるという観点から、多価アルコール単量体としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイドなど、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物を用いることが好ましい。これらの多価アルコール単量体は1種単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
非晶性ポリエステル重合セグメントの形成方法は特に制限されず、公知のエステル化触媒を利用して、多価カルボン酸及び多価アルコールを重縮合する(エステル化する。)ことにより非晶性ポリエステル重合セグメントを形成することができる。
ビニル重合セグメントは、特に限定されないが、少なくとも、スチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを付加重合させて形成されるものであることが好ましい。ここでいうスチレン単量体は、CH2=CH−C6H5の構造式で表されるスチレンのほかに、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有する構造のものを含むものである。また、ここでいう(メタ)アクリル酸エステル単量体は、CH2=CHCOOR(Rはアルキル基)で表されるアクリル酸エステルや、メタクリル酸エステルのほかに、上記構造式(1)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、アクリル酸エステル誘導体やメタクリル酸エステル誘導体等の構造中に公知の側鎖や官能基を有するエステルを含むものである。
具体的には、スチレンや、アクリル酸、2−エチルヘキシルアクリレートなどを好適に使用できる。
ハイブリッドビニル樹脂の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を使用できる。具体的には、例えば、特開2016−31460号公報の段落0060〜0068などに記載の方法を使用することができるが、これに限定されない。
本発明において、前記結着樹脂中の前記非晶性ポリエステル樹脂の含有量が、50質量%以上である。なお、本発明に係るトナーにおいては、非晶性ポリエステル樹脂を、全結着樹脂に対して60〜80質量%の範囲内含有していることが好ましい。すなわち、本発明に係る結着樹脂100質量部のうち、60〜80質量部の範囲内が非晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。80質量%以下であれば、結晶性樹脂の割合を十分にでき、より好適な低温定着性を得ることができる。
非晶性ポリエステル樹脂の合成に使用できる多価カルボン酸単量体としては、特に限定されず、公知のものを使用でき、例えば、非晶性ポリエステル重合セグメントに使用できるものと同様のものが使用できる。
非晶性ポリエステル樹脂の合成に使用できる多価アルコール単量体としては、特に限定されず、公知のものを使用でき、例えば、非晶性ポリエステル重合セグメントに使用できるものと同様のものが使用できる。
非晶性ポリエステル樹脂の酸価は、JIS K0070−1992に記載の方法(電位差滴定法)に準拠して測定することができる。測定において、溶剤はテトラヒドロフランとイソプロピルアルコールを体積比1:1で混合したものを使用する。
結晶性ポリエステル樹脂は結着樹脂の一つであり、結晶性を示すポリエステル樹脂であれば制限なく、公知の結晶性ポリエステル樹脂を使用できる。結晶性を示すとは、DSCにより得られる吸熱曲線において、融点すなわち昇温時に明確な吸熱ピークを有することをいう。明確な吸熱ピークとは、10℃/minの昇温速度で昇温したときの吸熱曲線において半値幅が15℃以内のピークをいう。
含有量が、1質量%以上であれば十分な低温定着性が得られ、30質量%以下であれば帯電性の低下によるトナーの飛散を抑えることができる。
結晶性ポリエステル樹脂は、上述した非晶性ポリエステル樹脂と同様にして公知のエステル化触媒を利用して、後述の結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用できる多価カルボン酸単量体及び多価アルコール単量体を用い形成することができる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性樹脂とのハイブリッド樹脂であることが好ましい。
このようなハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂は、非晶性樹脂中に結晶性樹脂が均一に微分散するように、非晶性樹脂との親和性を調整することができる。
ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂は、非晶性樹脂セグメントがマトリクス相である非晶性樹脂との親和性が高いため、結晶性樹脂セグメントの分子鎖が配列しやすくなり、十分な結晶性を示すことができる。
ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂セグメント等の各セグメントの構成成分及び含有量は、例えばNMR分析、メチル化反応熱分解ガスクロマトグラフィー/質量分析法(Py−GC/MS:Pyrolysis Gas Chromatography Mass Spectrometry)等により測定することができる。
ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂中の非晶性樹脂セグメントの含有量は、40〜60質量%の範囲内とすることができ、45〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
(1)あらかじめ用意した結晶性ポリエステル樹脂に両反応性の単量体を反応させた後、非晶性樹脂の原料である単量体を反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂セグメントに非晶性樹脂セグメントを化学結合させる方法
(2)あらかじめ用意した非晶性樹脂に両反応性の単量体を反応させた後、結晶性ポリエステル樹脂の原料である多価カルボン酸単量体と多価アルコール単量体を反応させて、非晶性樹脂セグメントに結晶性ポリエステル樹脂セグメントを化学結合させる方法
(3)あらかじめ用意した結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性樹脂に両反応性の単量体を反応させて、それぞれをセグメントとして化学結合させる方法
両反応性の単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸等を使用でき、これらのヒドロキシアルキル(炭素原子数1〜3個)のエステルを使用してもよい。反応性の観点からは、アクリル酸、メタクリル酸又はフマル酸が好ましい。
なお、酸価が40mgKOH/g以下であると、親水性化がすすみ、結晶性ポリエステル樹脂がトナー粒子の表層に偏在することを抑えることができ、偏在による帯電性の低下を抑えることができる。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶解し、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を調製する。JIS特級水酸化カリウム7gをイオン交換水5mLに溶解し、エチルアルコール(95体積%)を加えて1リットルとする。炭酸ガスに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、濾過して、水酸化カリウム溶液を調製する。標定はJIS K0070−1966の記載に従う。
粉砕した試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として調製したフェノールフタレイン溶液を数滴加えて、調製した水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は指示薬の薄い紅色が約30秒間続いた時とする。
(空試験)
試料を用いない(すなわち、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)こと以外は、上記本試験と同様の操作を行う。
式(1) A=〔(B−C)×f×5.6〕/S
A:酸価(mgKOH/g)
B:空試験時の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)
C:本試験時の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)
f:0.1mol/リットルの水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
S:試料の質量(g)
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、樹脂組成によって制御することができる。
本発明のトナー粒子が含有する着色剤としては、公知の無機又は有機着色剤を使用することができる。着色剤としてはカーボンブラック、磁性粉のほか、各種有機、無機の顔料、染料等が使用できる。具体的には、マゼンタ色であれば、C.I.Pigment Red 122(クラリアントジャパン社製)などが使用できる。
着色剤の添加量はトナー粒子に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲とされる。
離型剤としては、特に限定されるものではなく公知の種々のワックスを用いることができる。使用できる離型剤としては、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトン等のジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等のエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等のアミド系ワックス等が挙げられる。
トナー粒子中の離型剤の含有量は、3〜15質量%の範囲内にあることが好ましい。
荷電制御剤としては、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩等の公知の化合物を用いることができる。荷電制御剤により、帯電特性に優れたトナーを得ることができる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、通常0.1〜5.0質量部の範囲内とすることができる。
トナー粒子は、そのままトナーとして用いることができるが、流動性、帯電性、クリーニング性等を改良するため、流動化剤、クリーニング助剤等の外添剤で処理されていてもよい。
これら無機粒子は、耐熱保管性及び環境安定性の向上の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等によって、光沢処理が行われていることが好ましい。
トナー粒子は、そのままトナーとして用いることができるが、本発明においては、トナー粒子が、コアの表面を被覆するシェル層を備えるコア・シェル構造とすることもできる。これにより、耐熱保管性を保ちつつ低温定着性をより向上できる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。
キャリアの体積基準のメジアン径(d50)としては、20〜100μmの範囲内であることが好ましく、25〜80μmの範囲内であることがより好ましい。
キャリアの体積基準のメジアン径(d50)は、例えば湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置ヘロス(HELOS)(SYMPATEC社製)により測定することができる。
本発明に係るトナーの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できるが、乳化重合凝集法や乳化凝集法を好適に採用できる。
本発明のトナーにおいては、どちらの製造方法も適用可能である。
(1)水系媒体中に着色剤の微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)乳化重合により、結着樹脂微粒子の分散液を調製する工程
(4)着色剤の微粒子の分散液と、結着樹脂微粒子の分散液とを混合して、着色剤の微粒子と結着樹脂微粒子とを凝集、会合、融着させてトナー母体粒子を形成する工程
(5)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(6)トナー母体粒子を乾燥する工程
(7)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程
(1)結着樹脂、着色剤並びに必要に応じて内添剤をヘンシェルミキサーなどにより混合する工程
(2)得られた混合物を押出混練機などにより加熱しながら混練する工程
(3)得られた混練物をハンマーミルなどにより粗粉砕処理した後、更にターボミル粉砕機などにより粉砕処理を行う工程
(4)得られた粉砕物を、例えばコアンダ効果を利用した気流分級機を用いて微粉分級処理しトナー母体粒子を形成する工程
(5)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程
本発明のトナーを構成するトナー粒子の粒径は、例えば体積基準のメジアン径で4〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは5〜9μmとされる。
トナー粒子は、帯電特性の安定性及び低温定着性を高める観点から、平均円形度が0.930〜1.000の範囲内にあることが好ましく、0.950〜0.995の範囲内にあることがより好ましい。
平均円形度が上記範囲内にあれば、個々のトナー粒子が破砕しにくくなる。これにより、摩擦帯電付与部材の汚染を抑制してトナーの帯電性を安定させることができるとともに、形成される画像の画質を高めることができる。
具体的には、測定試料(トナー)を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させる。その後、FPIA−2100(Sysmex社製)によって、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で撮影を行う。HPF検出数が上記の範囲内であれば、再現性のある測定値を得ることができる。撮影した粒子像から、個々のトナー粒子の円形度を下記式(I)に従って算出し、各トナー粒子の円形度を加算して全トナー粒子数で除することにより、平均円形度を得る。
式(I)
円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
なお、分子量、ガラス転移点(Tg)及び軟化点については以下のようにして測定した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、カラムを40℃で安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/minで流し、試料濃度として1mg/mLに調整したトナー粒子や樹脂などのTHF試料溶液を約10μL注入して測定した。試料の分子量測定にあたっては、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、試料の有する分子量分布を単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線を用いて算出した。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の標準ポリエステル試料の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、10点の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成した。
融点は、吸熱ピークのピークトップの温度を示し、示差走査カロリメーター「DSC−7」(パーキンエルマー製)及び熱分析装置コントローラー「TAC7/DX」(パーキンエルマー製)を用いて示差走査熱量分析によってDSC測定した。
具体的には、測定試料0.5mgをアルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。ただし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用した。
ガラス転移点温度(Tg)は、同様にDSC測定の2nd.Heatにおけるデータを取得し、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線との交点をガラス転移点温度(Tg)とした。
まず、20℃、50%RHの環境下において、測定試料1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所製)によって3820kg/cm2の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成した。次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetを、測定試料の軟化点とした。
〔非晶性ポリエステル樹脂の合成例A〕
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えた反応容器に、
(多価カルボン酸)
フマル酸 4.2質量部
テレフタル酸 78質量部
(多価アルコール)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物 152質量部
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物
48質量部
を仕込み、反応系の温度を1時間かけて190℃に上昇させ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、触媒としてTi(OBu)4を、多価カルボン酸全量に対して0.006質量%となる量を投入し、さらに、生成される水を留去しながら反応系の温度を同温度から6時間かけて240℃に上昇させ、さらに240℃に維持した状態で6時間脱水縮合反応を継続して重合反応を行うことにより、非晶性ポリエステル樹脂〔A〕を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂〔A〕は、重量平均分子量(Mw)が2700、ガラス転移点(Tg)が63℃、軟化点が95℃であった。非晶性ポリエステル樹脂〔A〕の分子量、ガラス転移点(Tg)及び軟化点は、上述のとおりに測定した。
撹拌動力を与えるアンカー翼の備えられた反応容器に、メチルエチルケトンとイソプロピルアルコールを添加し、その後、上記の非晶性ポリエステル樹脂〔A〕をハンマーミルで粗粉砕したものを徐々に添加して撹拌し、溶解又は分散させて油相を得た。次いで、撹拌されている油相に希アンモニア水溶液を適量滴下して、さらに、この油相をイオン交換水に滴下して転相乳化させた後、エバポレータで減圧しながら脱溶剤を行うことにより、非晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液を得、さらに、この分散液にイオン交換水を追加して固形分(非晶性ポリエステル樹脂微粒子)が20質量%となるよう調整することにより、非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔A1〕を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔A1〕における非晶性ポリエステル樹脂微粒子の体積基準のメジアン径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)によって測定したところ、182nmであった。
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えた反応容器に、
(多価カルボン酸)
1,10−ドデカン二酸 200質量部
(多価アルコール)
1,9−ノナンジオール 140質量部
を仕込み、反応系の温度を1時間かけて190℃に上昇させ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、触媒としてTi(OBu)4を、多価カルボン酸全量に対して0.006質量%となる量を投入し、さらに、生成される水を留去しながら反応系の温度を同温度から6時間かけて240℃に上昇させ、さらに240℃に維持した状態で6時間脱水縮合反応を継続して重合反応を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂〔C〕を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂〔C〕は、重量平均分子量(Mw)が2900、融点が65℃であった。結晶性ポリエステル樹脂〔C〕の分子量及び融点は、上述のとおりに測定した。
非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液の調製例A1において、非晶性ポリエステル樹脂〔A〕の代わりに結晶性ポリエステル樹脂〔C〕を用いたことの他は同様にして、固形分(結晶性ポリエステル樹脂微粒子)が20質量%である結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔C1〕を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔C1〕における結晶性ポリエステル樹脂微粒子の体積基準のメジアン径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)によって測定したところ、207nmであった。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けたセパラブルフラスコにあらかじめアニオン系活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:DBS)2質量部をイオン交換水740質量部に溶解させた活性剤溶液を添加し、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温有料部を80℃に昇温させた。
一方で、
スチレン 295質量部
アクリル酸 52質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 40質量部
n−オクチルメルカプタン 0.46質量部
を混合し、80℃に加湿して溶解させ、単量体溶液を作製した。ここで循環経路を有する機械式分散機により上記二つの加熱溶液を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子を作製した。次いで、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)3.3質量部をイオン交換水350質量部に溶解させた溶液を添加して80℃にて3時間加熱、撹拌することにより、ビニル樹脂微粒子分散液を得、さらに、この分散液にイオン交換水を追加して固形分(ビニル樹脂微粒子)が20質量%となるよう調整することにより、ビニル樹脂微粒子分散液〔s1〕を得た。得た分散液に、
フマル酸 0.8質量部
テレフタル酸 15質量部
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物
29質量部
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物
9質量部
を80℃で1時間撹拌し溶解させた溶液を加え、還流させながら12時間反応させハイブリッドビニル樹脂微粒子分散液(ビニル樹脂微粒子分散液〔S1〕)を得た。
また、このビニル樹脂微粒子分散液〔S1〕を固液分離し軟化点を測定したところ、108℃であった。
また、このビニル樹脂微粒子分散液〔S1〕を固液分離し、テトラヒドロフラン可溶分のピークトップ分子量(Mp(s))を測定したところ、71000であった。
脱イオン水195質量部にアニオン界面活性剤「ネオゲンRK」(第一工業製薬社製)5質量部を混合溶解させ、C.I.Pigment Red 122(クラリアントジャパン社製)50質量部を入れてホモジナイザー「ウルトラタラックス」(IKA社製)により10分間分散させることにより、固形分(マゼンタ着色剤微粒子)が20質量%であるマゼンタ着色剤微粒子分散液〔M〕を得た。得られたマゼンタ着色剤微粒子分散液〔M〕におけるマゼンタ着色剤微粒子の体積基準のメジアン径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)によって測定したところ、185nmであった。
脱イオン水195質量部にアニオン性界面活性剤「ネオゲンRK」(第一工業製薬社製)5質量部及びパラフィンワックス「FNP92」(融点91℃、日本精蝋社製)50質量部を入れて60℃に加熱し、「ウルトラタラックスT50」(IKA社製)にて十分に分散させた後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理することにより、固形分(離型剤微粒子)が20質量%である離型剤微粒子分散液〔W〕を得た。得られた離型剤微粒子分散液〔W〕における離型剤微粒子の体積基準のメジアン径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)によって測定したところ、170nmであった。
非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔A1〕
1195質量部
結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔C1〕 190質量部
ビニル樹脂微粒子分散液〔S1〕 125質量部
マゼンタ着色剤微粒子分散液〔M〕 200質量部
離型剤微粒子分散液〔W〕 380質量部
アニオン性界面活性剤「ネオゲンRK」(第一工業製薬社製)
8質量部
イオン交換水 300質量部
を、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に1.0質量%の硝酸水溶液を添加し、pHを3.0に調整した。
得られたトナー〔1X〕に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1質量%を添加し、「ヘンシェルミキサー」(日本コークス工業社製)により混合し、その後、45μmの目開きのフルイを用いて粗大粒子を除去する外添剤処理を施した。これをトナー〔1〕とする。
以下のようにして、まず、ビニル樹脂微粒子分散液〔S2〕〜〔S14〕を調製した。
ビニル樹脂微粒子分散液の調製例S1において、n−オクチルメルカプタンの量を表1に記載の量に変更した以外は同様にして、ビニル樹脂微粒子分散液S2〜S5、S8〜S11を得た。
ビニル樹脂微粒子分散液の調製例S1において、2−エチルヘキシルアクリレートをアクリル酸2−カルボキシエチルに変更した以外は同様にして、ビニル樹脂微粒子分散液S6を得た。
ビニル樹脂微粒子分散液の調製例S1において、2−エチルヘキシルアクリレートをラウリルアクリレートに変更した以外は同様にして、ビニル樹脂微粒子分散液S7を得た。
ビニル樹脂微粒子分散液の調製例S1において、n−オクチルメルカプタンを添加しなかったこと以外は同様にして、ビニル樹脂微粒子分散液S12を得た。
ビニル樹脂微粒子分散液の調製例S4において、単量体溶液中に架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート20質量部を添加した以外は同様にして、ビニル樹脂微粒子分散液S13を得た。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けたセパラブルフラスコにあらかじめアニオン系活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:DBS)2質量部をイオン交換水740質量部に溶解させた活性剤溶液を添加し、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温有料部を80℃に昇温させた。
一方で、
スチレン 295質量部
アクリル酸 52質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 40質量部
n−オクチルメルカプタン 0.31質量部
を混合し、80℃に加湿して溶解させ、単量体溶液を作製した。ここで循環経路を有する機械式分散機により上記二つの加熱溶液を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子を作製した。次いで、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)3.3質量部をイオン交換水350質量部に溶解させた溶液を添加して80℃にて3時間加熱、撹拌することにより、ビニル樹脂微粒子分散液を得、さらに、この分散液にイオン交換水を追加して固形分(ビニル樹脂微粒子)が20質量%となるよう調整することにより、ビニル樹脂微粒子分散液〔S14〕を得た。
なお、得られたビニル樹脂微粒子分散液〔S2〕〜〔S14〕におけるビニル樹脂微粒子の体積基準のメジアン径d50、軟化点及びテトラヒドロフラン可溶分のピークトップ分子量(Mp(s))をビニル樹脂微粒子分散液〔S1〕と同様に測定し、結果を表2にまとめた。
トナーの製造例1において、ビニル樹脂微粒子分散液の種類及び量を表3に記載のものに変更したことのほかは同様にして、トナー〔2〕〜〔8〕、〔10〕〜〔17〕を得た。
トナーの製造例1において、初期に添加していたビニル樹脂微粒子分散液〔S1〕125質量部の添加タイミングを、凝集粒子の体積基準のメジアン径(d50)が5.5μmになった時点に変更したことのほかは同様にして、トナー〔9〕を得た。
トナーの製造例1において、ビニル樹脂微粒子分散液を使用しなかったことのほかは同様にして、トナー〔18〕を得た。
なお、n−オクチルメルカプタン(NOM)量は、NOMの量がその他のモノマー(スチレン、アクリル酸、2−エチルヘキシルアクリレート)の導入質量に対してNOMの質量がどれだけか割合として計算した。すなわち、
NOM量=NOM質量/(NOM質量+その他のモノマーの質量)
である。
<低温定着性評価>
画像形成装置として、市販のフルカラー複合機「bizhub C754」(コニカミノルタ社製)を、定着上ベルト及び定着下ローラーの表面温度を変更可能に改造したものを用い、A4(坪量80g/m2)普通紙の上に、トナー付着量11.3g/m2のベタ画像を、ニップ幅11.2mm、定着時間34msec、定着圧力133kPa、定着温度100〜200℃にて出力する試験を、定着温度を5℃刻みで変更しながら、繰り返し行った。
定着オフセットによる画像汚れが目視で確認されない最低の定着温度を最低定着温度とした。最低定着温度が135℃未満であれば低温定着性に優れる優良なトナーであり、135℃以上150℃未満であれば実用上問題のないレベルである。
また、150℃以上155℃未満であれば定着プロセスの制御により使用可能となるため許容可能であるが、155℃以上のトナーでは目標とする通紙速度では十分定着しておらず、実用上問題があるレベルとなる。
前述の低温定着性評価試験と同様の方法において、定着上ベルトの温度を低温オフセットの発生した温度よりも20℃高い温度水準で得られた定着画像を用い、光沢度(GU)を評価した。定着画像の光沢度は、JIS Z 8741に準じて光沢計「GMX−203」(村上色彩技術研究所(株)製)を用い、75°測定角型を選択し測定を行った。光沢度は、測定画像の中央部及び四隅の5点平均値とする。
(最良):40未満
(良):40以上45未満
(可):45以上50未満
(不可):50以上
50未満を合格レベルとする。
Claims (9)
- 少なくとも結着樹脂、離型剤及び着色剤を含有するトナー粒子を有する静電荷像現像用トナーであって、
前記結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂と、ビニル樹脂とを含有し、
前記結着樹脂中の前記非晶性ポリエステル樹脂の含有量が、50質量%以上であり、
前記トナー粒子が含有する、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定されるテトラヒドロフラン(THF)に可溶な成分の重量平均分子量(Mw(t))が下記式(1)を満たし、
前記ビニル樹脂が、下記式(2)を満たすピークトップ分子量(Mp(s))を有し、かつ、二次元鎖状構造であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
式(1) Mw(t)<100000
式(2) 20000≦Mp(s)≦150000 - 前記ビニル樹脂のピークトップ分子量(Mp(s))が、下記式(3)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
式(3) 30000≦Mp(s)≦100000 - 前記ビニル樹脂の重量平均分子量Mw(s)が、下記式(4)を満たすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
式(4) 80000≦Mw(s)≦200000 - 前記結着樹脂中の前記ビニル樹脂の含有量が、0.01〜15質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ビニル樹脂が、下記構造式(1)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体に由来の構造単位を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
構造式(1)H2C=CR1−COOR2
[式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数6以上22未満のアルキル基を示す。] - 前記構造式(1)中のR2が、分岐構造を有することを特徴とする請求項5に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子が、コアの表面を被覆するシェル層を備えるコア・シェル構造を有し、
前記ビニル樹脂が、前記コア中に含有されていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。 - 前記ビニル樹脂の軟化点Tspが、下記式(5)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
式(5) 100℃≦Tsp≦120℃ - 前記ビニル樹脂が、少なくともビニル重合セグメントと非晶性ポリエステル重合セグメントとが結合してなるハイブリッドビニル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
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