JP2018004700A - 電子写真感光体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速プロセスに適し、感度特性及び耐久性に優れる電子写真感光を提供する。
【解決手段】電子写真感光体は、導電性基体と、感光層とを備える。感光層は、スイッチ層と、帯電電荷輸送層とを含む。スイッチ層は、外部エネルギーの付加により、絶縁性と導電性とを可逆的に変化する。帯電電荷輸送層は、複数の棒状導体を有する。複数の棒状導体は、帯電電荷輸送層に対して略垂直に配置され、帯電電荷輸送層を貫通する。棒状導体は、少なくとも第一先端部を有する。複数の棒状導体の第一先端部は、導電性基体と接触しない。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体及びその製造方法に関する。
電子写真感光体は、像担持体として電子写真方式の画像形成装置(例えば、プリンター又は複合機)において用いられる。電子写真感光体は、感光層を備える。電子写真感光体としては、例えば、単層型電子写真感光体、又は積層型電子写真感光体が用いられる。単層型電子写真感光体は、電荷発生の機能と、電荷輸送の機能とを有する感光層を備える。積層型電子写真感光体では、感光層は電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを備える。
特許文献1に記載の電子写真感光体は、感光層を備える。感光層は、ジフェノキノン化合物と、正孔輸送剤とを含む。
特開2010−271636号公報
しかしながら、特許文献1に記載の電子写真感光体では、優れた感度特性を有することができなかった。表面電荷に起因する電界を駆動力とするホッピング伝導でキャリア(電荷)が移動するため、表面電荷が低減し電界が弱くなった場合に、特にキャリアの移動効率が減少するからと考えられる。このため、電子写真感光体の高感度化と、低電位での使用(例えば、プロセスの更なる高速化)とには限界があった。また、電子写真感光体の帯電極性は、感光層の層構成に依存し、設計上の自由度が低かった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は高速プロセスに適し、感度特性及び耐久性に優れる電子写真感光体及びその製造方法を提供することである。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と、感光層とを備える。前記感光層は、スイッチ層と、帯電電荷輸送層とを含む。前記スイッチ層は、外部エネルギーの付加により、絶縁性と導電性とを可逆的に変化する。前記帯電電荷輸送層は、複数の棒状導体を有する。複数の前記棒状導体は、前記帯電電荷輸送層に対して略垂直に配置され、前記帯電電荷輸送層を貫通する。前記棒状導体は、少なくとも第一先端部を有する。複数の前記棒状導体の第一先端部は、前記導電性基体と接触しない。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、上述の電子写真感光体を製造する方法である。電子写真感光体の製造方法は、感光層形成工程を含む。前記感光層形成工程は、前記スイッチ層を形成するスイッチ層形成工程と、前記帯電電荷輸送層を形成する帯電電荷輸送層形成工程とを含む。前記スイッチ層形成工程は、スイッチ層塗布膜形成工程と、スイッチ層塗布膜硬化工程とを含む。前記スイッチ層塗布膜形成工程は、導電性基体上にスイッチ層用塗布液を塗布し、スイッチ層塗布膜を形成する。前記スイッチ層塗布膜硬化工程は、スイッチ層塗布膜上に複数の棒状導体を付与し、スイッチ層塗布膜に対して略垂直に電界を印加しつつ前記スイッチ層を硬化させ、複数の棒状導体を前記スイッチ層に固定化する。前記帯電電荷輸送層形成工程は、帯電電荷輸送層塗布膜硬化工程と、研磨工程とを含む。前記帯電電荷輸送層塗布膜硬化工程は、前記スイッチ層上に帯電電荷輸送層用塗布液を塗布して硬化させる。前記研磨工程は、前記帯電電荷輸送層の表面が平面状となり前記棒状導体の第二先端部が前記帯電電荷輸送層から露出するように前記表面を研磨する。
本発明は、高速プロセスに適し、感度特性及び耐久性に優れる電子写真感光体及びその製造方法を提供することができる。
本発明の第一実施形態に係る電子写真感光体の構造の一例を示す概略断面図である。 電子写真プロセスにおける第一実施形態に係る電子写真感光体の概略断面を示す図である。 帯電電荷輸送層の平面に対する複数の棒状導体の密度(面密度)を示す図である。 本発明の第二実施形態に係る感光体の製造方法を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。なお、本明細書において、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
<第一実施形態:感光体>
本発明の第一実施形態は電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)に関する。以下、図1を参照して、第一実施形態に係る感光体1の構造を説明する。図1は、感光体1の構造の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、第一実施形態に係る感光体1は、導電性基体3と、感光層5とを備える。感光層5は、スイッチ層5aと、帯電電荷輸送層5bとを含む。帯電電荷輸送層5bは、複数の棒状導体7を有する。複数の棒状導体7は、帯電電荷輸送層5bに対して略垂直に配置される。複数の棒状導体7は、帯電電荷輸送層5bを貫通する。複数の棒状導体7は、第一先端部7aと第二先端部7bとを有する。複数の棒状導体7の第一先端部7aは、前記導電性基体3と接触しない。複数の棒状導体7の第二先端部7bは、帯電電荷輸送層5bの表面から露出する。また、図1に示すように、複数の棒状導体7の第一先端部7aは、スイッチ層5aに埋没してもよい。
続いて、第一実施形態に係る感光体を用いた電子写真方式の画像形成を説明する。画像形成プロセスは、例えば、以下の1)〜5)の工程を含む。
1)像担持体(感光体に相当)の表面を帯電する帯電工程、
2)帯電された像担持体の表面を第一露光光で露光して、像担持体の表面に静電潜像を形成する第一露光工程、
3)感光層に第二露光光を照射する第二露光工程、
4)静電潜像をトナー像として現像する現像工程、及び
5)形成されたトナー像を像担持体から転写体に転写する転写工程。
更に、図2を参照して、第一実施形態に係る感光体を用いた画像形成プロセスの特徴を説明する。図2は、画像形成プロセスにおける第一実施形態に係る感光体の概略断面図である。帯電極性は正極性であり、反転現像方式の画像形成プロセスを例に挙げて説明する。以下、図に沿って説明する。
図2(a)に示すように、感光層の表面は一定の正極性の電位まで帯電している。このように、1)帯電工程では感光層の表面を一様に一定の正極性の電位まで帯電させる。
図2(b)に示すように、感光層5の表面側から感光層5の内部へ第一露光光9が照射される。2)第一露光工程では感光層5に第一露光光9が照射される。
図2(b)で照射された第一露光光9は、帯電電荷輸送層5bを透過し、スイッチ層5aで吸収される。第一露光光9を吸収したスイッチ層5a(スイッチ層の第一露光照射部5c)は、絶縁性から導電性に変化する。そして、第一露光光が照射された露光領域11の帯電電荷輸送層5bの表面のキャリア(正孔)が棒状導体7と、スイッチ層5aの第一露光照射部5cとを介して導電性基体3に輸送される。
その結果、図2(c)に示すように、第一露光光が照射された露光領域11では、電位が減少しており、静電潜像が形成される。第一実施形態に係る感光体では、キャリアの移動経路におけるホッピング伝導の経路の割合が小さいため、従来の感光体に比べ、キャリアを速く移動させることができ、感度特性に優れる。
図2(c)で形成された静電潜像を安定的に保持することができる。3)第二露光工程では感光層5に第二外部エネルギーが付与される(第二露光光が照射される)。スイッチ層5aの第一露光照射部5cは、導電性から絶縁性に変化する。その結果、帯電電荷輸送層5bの表面のキャリア(正孔)が輸送されにくくなるからである。
図2(d)に示すように、4)現像工程では表面電荷が低下した露光領域11にトナー15が移行し、トナー像が形成される。そして、5)転写工程では、トナー像が転写体(例えば、記録媒体又は中間転写体)このように、第一実施形態に係る感光体は、従来の感光体に比べ電荷発生剤及び電荷輸送剤を含まず、電荷発生を利用しない点において大きく異なる。また、第一実施形態に係る感光体の帯電極性は画像形成装置の帯電部の帯電極性により決定されるため、設計における自由度が従来の感光体に比べ大きい。第一実施形態に係る感光体の帯電極性は、両極性(正極性又は負極性)を有し、従来の感光体のように層構成により感光体の帯電極性は決定されない。
なお、静電潜像は、画像形成装置に入力された画像データに基づいて形成される。画像が所定のパターンを有する場合、パターンに対応する第一露光光が感光層に照射される。このように、第一露光光は、位置選択的に照射することができる。一方、第二露光光は、感光層全体に対して照射することができる。第二露光光は、位置選択的に照射しなくてもよい。
第一実施形態に係る感光体1は、高速プロセスに適し、感度特性及び耐久性に優れ、残留電位を低減する。その理由は、以下のように推測される。第一実施形態に係る感光体1は、上述のように電荷輸送剤によるホッピング伝導を用いずに、電荷輸送剤に比べ電気電導性に優れる棒状導体7が主に機能して静電潜像を形成する。そして、第一実施形態に係る感光体1のキャリア移動速度は、ホッピング伝導におけるキャリア移動速度に比べ、表面電位の強度に依存せず感光層5中にキャリアがトラップされにくい。よって、第一実施形態に係る感光体1は感度特性に優れる。また、電気伝導性に優れる棒状導体7により静電潜像13を形成するため、ホッピング伝導を用いた静電潜像に比べ、電位差(露光領域の表面電位と非露光領域の表面電位との差の絶対値)の小さな静電潜像13を形成することができる。そして、第一実施形態に係る感光体1でのキャリア移動度は、ホッピング伝導のキャリア移動度に比べ大きい。よって、第一実施形態に係る感光体1は、高速プロセスに適する。更に、帯電電荷輸送層5bは従来の単層型感光体のように電荷発生剤及び電荷輸送剤を含む必要がなく、積層型感光体のように電荷輸送剤を含む必要がない。このため、電荷輸送剤の劣化を考慮する必要がなく、感光層5を削る必要がない。また、電荷輸送剤を含む必要がないため、感光層5中のバインダー樹脂の含有量を増加させて感光体1の硬度を向上させることができる。このため、従来の感光体に比べ、摩耗しにくい。よって、第一実施形態に係る感光体1は耐久性に優れる。
以下、第一実施形態に係る感光体の要素(導電性基体、及び感光層)を説明する。更に感光体の製造方法も説明する。
[1.導電性基体]
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部に導電性を有する材料で構成することができる。導電性基体としては、例えば、導電性を有する材料で構成される導電性基体、又は導電性材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、又はインジウムが挙げられる。これらの導電性を有する材料の中でも、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。2種以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼、又は真鍮等)が挙げられる。
これらの導電性を有する材料の中でも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから導電性、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて適宜選択することができる。導電性基体の形状は、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚みは、導電性基体の形状に応じて、適宜選択することができる。
[2.感光層]
感光層は、スイッチ層と、帯電電荷輸送層とを含む。以下、スイッチ層及び帯電電荷輸送層を説明する。
[2−1.スイッチ層]
スイッチ層は、スイッチ層用バインダー樹脂と、光異性化反応材料とを含む。スイッチ層は、外部エネルギーの付加により、絶縁性と導電性とを可逆的に変化させる。スイッチ層の厚さは、0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。以下、バインダー樹脂及び光異性化反応材料を説明する。
[2−1−1.スイッチ層用バインダー樹脂]
スイッチ層用バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂(より具体的には、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、又はポリエステル樹脂等)、熱硬化性樹脂(より具体的には、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂(より具体的には、脂環式ポリイミド樹脂等)又はその他架橋性の熱硬化性樹脂等)、又は光硬化性樹脂(より具体的には、エポキシ−アクリル酸系樹脂又はウレタン−アクリル酸系共重合体等)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうち、アクリル樹脂又は脂環式ポリイミドが好ましい。
第一実施形態において、スイッチ層用バインダー樹脂の含有量の比率は、スイッチ層に含まれるすべての構成要素(例えば、光異性化反応材料)の質量の合計に対して40質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
[2−1−2.光異性化反応材料]
光異性化反応材料は、外部エネルギー(例えば、光エネルギー(より具体的には、紫外光エネルギー、可視光エネルギー、又は赤外光エネルギー等)又は熱エネルギー)の付与により化学結合の開裂又は形成により、π共役系の空間的広がりが拡大又は縮小する物質である。光異性化反応材料としては、例えば、インデノ‐縮合ナフトピラン、ナフト[1,2‐b]ピラン、ナフト[2,1‐b]ピラン、スピロフルオロエノ[1,2‐b]ピラン、フェナントロピラン、キノリノピラン、フルオロアンテノピラン、スピロピラン、ベンズオキサジン、ナフトオキサジン、スピロ(インドリン)ナフトオキサジン、スピロ(インドリン)ピリドベンズオキサジン、スピロ(インドリン)フルオランテンオキサジン、スピロ(インドリン)キノキサジン、フルギド、フルギミド、ジアリールエテン、ジアリールアルキルエテン、又はジアリールアルケニルエテンが挙げられる。これらのうち、ジアリールエテンが好ましく、以下の化学式(1−1)若しくは(1−2)で表される化合物、化学式(2−1)若しくは(2−2)で表される化合物、又は化学式(3−1)若しくは(3−2)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2018004700
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これらの光異性化反応材料は、可視光で化学結合が開裂し、紫外光で化学結合が形成される。化学式(1−1)及び(1−2)、化学式(2−1)及び(2−2)、並びに化学式(3−1)及び(3−2)中、Visは可視光を表し、UVは紫外光を表す。
Figure 2018004700
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光異性化反応材料の含有量は、スイッチ層用バインダー樹脂100質量部に対して30質量部以上50質量部以下であることが好ましく、35質量部以上45質量以下がより好ましい。
[2−2.帯電電荷輸送層]
帯電電荷輸送層は、帯電電荷輸送層用バインダー樹脂と、複数の棒状導体とを含む。帯電電荷輸送層用バインダー樹脂は、上述したスイッチ層用バインダー樹脂と同様の樹脂が挙げられる。帯電電荷輸送層用バインダー樹脂の種類及び帯電電荷輸送層の膜厚は、波長365nmの紫外光の透過率が50%となることが好ましい。帯電電荷輸送層用バインダー樹脂は、スイッチ層用バインダー樹脂と異なることが好ましい。これは以下の理由を根拠としている。感光体を製造する際、スイッチ層及び帯電電荷輸送層の順に形成するため、スイッチ層に、帯電電荷輸送層用塗布液を塗布することになる。帯電電荷輸送層の形成時に、スイッチ層は、帯電電荷輸送層用塗布液の溶剤に溶解しないことが好ましい。そこで、スイッチ層用バインダー樹脂と、帯電電荷輸送層用バインダー樹脂とは、同一の感光体において互いに異なることが好ましい。帯電電荷輸送層の厚さは、1μm以上100μm以下であることが好ましい。帯電電荷輸送層の厚さが1μm以上100μm以下である場合、露光光がスイッチ層に到達し易い。
[2−2−1.棒状導体]
棒状導体としては、例えば、チタン酸カリウム、カーボンナノチューブ、又はグラフェンナノリボンが挙げられる。これらのうち、カーボンナノチューブは、光透過率が高いため好ましい。光透過率が高い場合、スイッチ層に露光光が到達し易いため好ましい。カーボンナノチューブは単層であっても、多層であってもよい。カーボンナノチューブの直径は、例えば、1nm以上100nm以下が挙げられる。カーボンナノチューブの幾何学構造としては、例えば、カイラルチューブ、アームチェアチューブ、又はジグザグチューブが挙げられる。カーボンナノチューブは上記の直径及び上記の幾何学構造を採用することができるが、同一の直径及び同一の幾何学構造のカーボンナノチューブを用いることが好ましい。均質な導電性を有する帯電電荷輸送層を形成し易いからである。棒状導体の含有量は、帯電電荷輸送層中で帯電電荷輸送層用バインダー樹脂100質量部に対して30質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
棒状導体の密度は、10,000本/mm2以上200,000本/mm2以下であることが好ましく、40,000本/mm2以上100,000本/mm2以下であることがより好ましい。棒状導体の密度が200,000本/mm2以下であると、露光光がスイッチ層に到達し易い。棒状導体の密度が10,000本/mm2以上であると、静電潜像を形成し易い。複数の棒状導体7は、帯電電荷輸送層5bの表面に対して互いに等間隔で存在することが好ましい。感光層全体として均質な感度特性となるためである。
図3を参照して、帯電電荷輸送層の平面に対する複数の棒状導体の密度(面密度)を説明する。図3は、帯電電荷輸送層の平面に対する複数の棒状導体の密度を示す図である。帯電電荷輸送層5bの表面に1ドット分の露光領域17がある。1ドット分の露光領域17には複数(数個)の棒状導体7の断面が存在する。複数の棒状導体の面密度は、露光光の照射領域1ドットあたり数個(より具体的には、1本以上9本以下等)であることが好ましい。
複数の棒状導体は、帯電電荷輸送層に対して略垂直に1本ずつ存在してもよく、帯電電荷輸送層に対して略垂直に束の状態で存在してもよい。1本ずつ帯電電荷輸送層に対して略垂直に存在することが好ましい。
[2−3.添加剤]
感光層は、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤、又は紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、界面活性剤、又はレベリング剤が挙げられる。
以上説明した本発明の感光体は、高速プロセスに適し、感度特性及び耐久性に優れるため、種々の画像形成装置で好適に使用できる。
<第二実施形態:感光体の製造方法>
本発明の第二実施形態は、感光体の製造方法に関する。第二実施形態に係る感光体の製造方法は、第一実施形態に係る感光体を製造する方法である。第二実施形態に係る感光体の製造方法は、感光層形成工程を含む。感光層形成工程は、スイッチ層を形成するスイッチ層形成工程と、帯電電荷輸送層を形成する帯電電荷輸送層形成工程とを含む。スイッチ層形成工程は、スイッチ層塗布膜形成工程と、スイッチ層硬化工程とを含む。スイッチ層塗布膜形成工程は、導電性基体上にスイッチ層用塗布液を塗布し、スイッチ層塗布膜を形成する。スイッチ層硬化工程は、スイッチ層塗布膜上に複数の棒状導体を付与し、スイッチ層塗布膜に対して略垂直に電界を印加しつつスイッチ層を硬化させ、複数の棒状導体をスイッチ層に固定化する。帯電電荷輸送層形成工程は、帯電電荷輸送層塗布膜硬化工程と、研磨工程とを含む。帯電電荷塗布膜硬化工程は、スイッチ層上に帯電電荷輸送層用塗布液を塗布して硬化させる。研磨工程は、帯電電荷輸送層の表面が平面状になり棒状導体の第二先端部が帯電電荷輸送層から露出するように表面を研磨する。
以下、図4を参照して、第二実施形態に係る感光体の製造方法を説明する。図4は、第二実施形態に係る感光体の製造方法を示す図である。
図4(a)に示すように、導電性基体3上にスイッチ層塗布膜が形成されている。スイッチ層塗布膜形成工程では、導電性基体3上にスイッチ層用塗布液を塗布し、スイッチ層塗布膜5dを形成する。スイッチ層用塗布液は、スイッチ層を形成するための塗布液であり、例えば、光異性化反応材料と、スイッチ層用バインダー樹脂と、溶媒とを含む。スイッチ層用塗布液は、光異性化反応材料と、スイッチ層用バインダー樹脂とを溶媒に溶解又は分散させることにより調製する。スイッチ層用塗布液は、必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。
図4(b)に示すように、複数の棒状導体7がスイッチ層5aに対して略垂直に固定化されている。複数の棒状導体7は、第一先端部がスイッチ層5aに埋没して固定化されている。スイッチ層塗布膜硬化工程では、スイッチ層塗布膜5dが硬化する前に、スイッチ層塗布膜5d上に複数の棒状導体7を付与する(より具体的には、まぶす等)。スイッチ層塗布膜5dに対して略垂直に電圧を印加する。これにより複数の棒状導体がスイッチ層塗布膜5dに対して略垂直に配置される。次いで、スイッチ層塗布膜5dを硬化させる。複数の棒状導体7がスイッチ層5aに対して略垂直に固定化され、スイッチ層5aが形成される。複数の棒状導体の固定化は、静電植毛方式による固定化が好ましい。静電植毛方式は、帯電電荷輸送層の平面に対して短繊維(パイル)を略均一に植毛することができる。電圧は、30,000V以上80,000V以下であることが好ましい。スイッチ層塗布膜5dの硬化は、適宜な方法で乾燥することによって、スイッチ層塗布膜に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して達成される。
図4(c)に示すように、複数の棒状導体7が帯電電荷輸送層5bに取り囲まれて固定化されている。帯電電荷輸送層の表面は凹凸が存在し、複数の棒状導体の長さも不均一である。帯電電荷輸送層塗布膜硬化工程では、スイッチ層5a上に帯電電荷輸送層用塗布液を塗布して硬化させる。
図4(d)に示すように、第一実施形態に係る感光体1では、帯電電荷輸送層5bの表面は平面状であり、複数の棒状導体7の長さも均一である。研磨工程では、棒状導体7の第二先端部7bが帯電電荷輸送層5bから露出させ、帯電電荷輸送層5bの表面が平面上となるように、表面を研磨して帯電電荷輸送層5bを形成する。
以下、感光層形成工程の詳細を説明する。帯電電荷輸送層用塗布液及びスイッチ層用塗布液に含有される溶剤は、それぞれ帯電電荷輸送層用塗布液及びスイッチ層用塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できれば、特に限定されない。溶剤としては、例えば、アルコール類(より具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はブタノール等)、脂肪族炭化水素(より具体的には、n−ヘキサン、オクタン、又はシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、トルエン、又はキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、又はクロロベンゼン等)、エーテル類(より具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、又はジエチレングリコールジメチルエーテル等)、ケトン類(より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサノン等)、エステル類(より具体的には、酢酸エチル又は酢酸メチル等)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの溶剤のうち、非ハロゲン溶剤を用いることが好ましい。
更に、帯電電荷輸送層用塗布液に含有される溶剤は、スイッチ層用塗布液に含有される溶剤と、異なることが好ましい。感光体を製造する際、スイッチ層及び帯電電荷輸送層の順に形成する。そして、スイッチ層上に、帯電電荷輸送層用塗布液を塗布する。このとき、帯電電荷輸送層形成時に、スイッチ層は、帯電電荷輸送層用塗布液の溶剤に溶解しないことが求められるからである。
帯電電荷輸送層用塗布液及びスイッチ層用塗布液は、それぞれ各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー、又は超音波分散器を用いることができる。
帯電電荷輸送層用塗布液及びスイッチ層用塗布液は、各成分の分散性、又は形成される各々の層の表面平滑性を向上させるために、例えば、界面活性剤又はレベリング剤を含有してもよい。
帯電電荷輸送層用塗布液及びスイッチ層用塗布液を塗布する方法としては、帯電電荷輸送層用塗布液及びスイッチ層用塗布液を均一に塗布できる方法であれば、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、又はバーコート法が挙げられる。
帯電電荷輸送層用塗布液及びスイッチ層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去する方法としては、帯電電荷輸送層用塗布液及びスイッチ層用塗布液中の溶剤の一部を除去(より具体的には、蒸発等)させ得る方法であれば、特に限定されない。除去する方法としては、例えば、加熱、加圧、又は加熱と減圧との併用が挙げられる。より具体的には、高温乾燥機、又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
以上説明した本発明の感光体の製造方法は、高速プロセスに適し、感度特性及び耐久性に優れる感光体を提供できる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。
<<感光体の作製>>
感光体(A−1)〜(A−3)及び感光体(B−1)を製造した。
<感光体(A−1)の作製>
(スイッチ層及び帯電電荷輸送層の形成)
光異性化反応材料としての化学式(1−1)で表されるジアリールエテン40質量部と、アクリル樹脂100質量部とをテトラヒドロフラン(THF)、200質量部とを容器内に投入した。容器内の内容物を5時間混合し、溶媒中に材料を分散させて、溶液を得た。
得られた溶液を目開き5μmのフィルターを用いてろ過した。その結果、スイッチ層用塗布液を得た。その後、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長246mm)の表面にスイッチ層用塗布液を、ディップコート法を用いて塗布した。その結果、スイッチ層塗布膜が形成された。
続けて、スイッチ層塗布膜が乾燥して硬化する前に、スイッチ層塗布膜上に光異性化反応材料としてのチタン酸カリウム繊維(大塚化学株式会社製「デントールWK−200B」 太さ:500nm)をまぶした。スイッチ層塗布膜に対して略垂直に電圧を印加した。複数のチタン酸カリウム繊維がスイッチ層塗布膜に対して略垂直に配列した。このようにしてスイッチ層塗布膜を硬化させ導電性基体上にスイッチ層(膜厚:1μm)を形成し、複数のチタン酸カリウム繊維をスイッチ層に植毛させた。
(帯電電荷輸送層の形成)
目開き5μmのフィルターを用いて、脂環式ポリアミド樹脂(PAA(CBDA/DCHM))(10mol%)のポリアミド酸溶液をろ過した。その結果、帯電電荷輸送層用塗布液を得た。スイッチ層用塗布液と同様にして、スイッチ層上に帯電電荷輸送層塗布液を塗布した。その後、真空下で24時間の条件で帯電電荷輸送層塗布膜を乾燥させたのち、導電性基体の温度を200℃以下に調整した状態でスイッチ層塗布膜の温度が160℃となる条件で1時間加熱してイミド化した。電荷発生層上に帯電電荷輸送層(膜厚20μm)を形成した。その後、帯電電荷輸送層の表面を研磨した。その結果、感光体(A−1)を得た。
得られた感光体(A−1)は、導電性基体上に、スイッチ層及び帯電電荷輸送層が、この順で積層された構成を有していた。複数の棒状導体は、感光層に対して略垂直に配列していた。複数の棒状導体は、1本ずつ互いにほぼ均等な間隔で配置されていた。帯電電荷輸送層の平面に対する密度は、10000本/mm2であった。複数の棒状導体は、導電性基体に接触せず、帯電電荷輸送層を貫通していた。複数の棒状導体の第一先端部は、スイッチ層に埋没していた。複数の棒状導体の第二先端部は、帯電電荷輸送層の表面から露出していた。
<感光体(A−2)の作製>
化学式(1−1)で表されるジアリールエテンの代わりに化学式(1−1)で表されるジアリールエテンを用い、スイッチ層塗布膜の温度を160℃から200℃に変更した以外は感光体(A−1)の作製方法と同様にして、感光体(A−2)を作製した。
得られた感光体(A−2)は、導電性基体上に、スイッチ層及び帯電電荷輸送層が、この順で積層された構成を有していた。感光体(A−2)のスイッチ層の膜厚は1μmであり、帯電電荷輸送層の膜厚は20μmであった。複数の棒状導体は、感光層に対して略垂直に配列していた。複数の棒状導体は、1本ずつ互いにほぼ均等な間隔で配置されていた。帯電電荷輸送層の平面に対する密度は、10000本/mm2であった。複数の棒状導体は、導電性基体に接触せず、帯電電荷輸送層を貫通していた。複数の棒状導体の第一先端部は、スイッチ層に埋没していた。複数の棒状導体の第二先端部は、帯電電荷輸送層の表面から露出していた。
感光体(A−2)は、感光体(A−1)と比べ、光異性化反応材料の種類と、光異性化反応材料のスイッチ層における濃度とが異なっていた。感光体(A−2)の光異性化反応材料の濃度は、感光体(A−1)の光異性化反応材料の濃度に比べ小さかった。
<感光体(A−3)の作製>
化学式(1−1)で表されるジアリールエテンの代わりに化学式(1−3)で表されるジアリールエテンを用い、スイッチ層塗布膜の温度を160℃から240℃に変更した以外は感光体(A−1)の作製方法と同様にして、感光体(A−3)を作製した。
得られた感光体(A−2)は、導電性基体上に、スイッチ層及び帯電電荷輸送層が、この順で積層された構成を有していた。感光体(A−2)のスイッチ層の膜厚は1μmであり、帯電電荷輸送層の膜厚は20μmであった。複数の棒状導体は、感光層に対して略垂直に配列していた。複数の棒状導体は、1本ずつ互いにほぼ均等な間隔で配置されていた。帯電電荷輸送層の平面に対する密度は、10000本/mm2であった。複数の棒状導体は、導電性基体に接触せず、帯電電荷輸送層を貫通していた。複数の棒状導体の第一先端部は、スイッチ層に埋没していた。複数の棒状導体の第二先端部は、帯電電荷輸送層の表面から露出していた。
感光体(A−3)は、感光体(A−1)と比べ、光異性化反応材料の種類と、光異性化反応材料のスイッチ層における濃度と、スイッチ層の電気抵抗が異なっていた。感光体(A−3)の光異性化反応材料の濃度は、感光体(A−1)の光異性化反応材料の濃度に比べ小さかった。感光体(A−3)のスイッチ層の電気抵抗は、感光体(A−1)のスイッチ層の電気抵抗に比べ、大きかった。
<感光体(B−1)の作製>
電荷発生剤としてのY型チタニルフタロシアニン0.5質量部と、正孔輸送剤としての化学式(B−1)で表される化合物25質量部と、電子輸送剤としての化学式(B−2)で表される化合物25質量部と、バインダー樹脂としてのZ型ポリカーボネート樹脂と溶剤としてのテトラヒドロフラン320質量部を容器内に投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて12時間混合して、溶剤に材料を分散させた。これにより、感光層用塗布液を得た。感光層用塗布液を、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長246mm)上に、ディップコート法を用いて塗布した。塗布した感光層用塗布液を、120℃で80分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に、感光層(膜厚20μm)を形成した。その結果、感光体(B−1)が得られた。
Figure 2018004700
Figure 2018004700
<<感光体の評価>>
(半減露光量の測定)
感光体(A−1)〜(A−3)の何れかに対して感度特性の評価を行った。感光体の感度特性の評価は、感光体電気特性検査装置(GENTEC株式会社製「CYNTHIA91」)を用いて、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で、実行された。具体的には、上記装置を用いて半減露光量及び残留電位を測定した。感光体の表面電位を+700V(帯電電位)に帯電させた後、表面電位が+350V(残留電位)となるまで感光体の表面を露光した。露光光の波長は365nmであった。感光体の表面電位が半減するのに必要な露光量を測定した。得られた露光量を帯電極性が正極性である場合の半減露光量とした。半減露光量の数値が小さいほど、感光体の感度特性が優れ、高感度であることを示す。実用的な感光体の半減露光量は0.45μJ/cm2であり、感度特性の優れる感光体の半減露光量は0.25μJ/cm2以下である。
当初の帯電電位を+700Vから−700Vに変更し、残留電位を+350Vから−350Vに変更した以外は、帯電極性が正極性である場合の半減露光量の測定方法と同様にして、帯電極性が負極性である場合の半減露光量を測定した。
露光光の波長を350nmから780nmに変更した以外は、感光体(A−1)〜(A−3)の半減露光量の測定方法と同様にして、感光体(B−1)の半減露光量を測定した。
(残留電位の測定)
感光体(A−1)〜(A−3)の何れかに対して表面電位が+700Vとなるように帯電した。感光体電気特性検査装置(GENTEC株式会社製「CYNTHIA91」)を用いて、感光体の表面を露光した時の残留電位を測定した。露光光の波長は365nmであり、露光量は2μJ/cm2であった。得られた残留電位を帯電極性が正極性である場合の残留電位とした。残留電位の絶対が小さいほど、感光体の感度特性が優れ、高感度であることを示す。一般的な感光体の残留電位の絶対値は100Vである。高速プロセスに適した感光体の残留電位の絶対値は50V以下であり、30V以下が好ましい。
当初の表面電位を+700Vから−700Vに変更した以外は、帯電極性が正極性である場合の残留電位の測定方法と同様にして、帯電極性が負極性である場合の残留電位を測定した。
露光光の波長を350nmから780nmに変更した以外は、感光体(A−1)〜(A−3)の半減露光量の測定方法と同様にして、感光体(B−1)の半減露光量を測定した。
表1は、感光体(A−1)〜(A−3)及び感光体(B−1)の性能評価結果を示す。
Figure 2018004700
感光体(A−1)〜(A−3)では、感光層はスイッチ層と、帯電電荷輸送層とを含む。帯電電荷輸送層は、棒状導体としてチタン酸カリウム繊維を含む。複数の棒状導体は、帯電電荷輸送層に対して略垂直に配置され、帯電電荷輸送層を貫通する。表1に示すように、感光体(A−1)〜(A−3)では、帯電極性が正である場合、半減露光量は0.08μJ/cm2以上0.09μJ/cm2であり、残留電位は、+5V以上+8V以下である。帯電極性が負である場合、半減露光量は0.08μJ/cm2以上0.09μJ/cm2であり、残留電位は、−5V以上−8V以下である。
感光体(B−1)では、感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤とを含む。表1に示すように、感光体(B−1)では、帯電極性が正である場合、半減露光量は0.10μJ/cm2であり、残留電位は+52Vである。帯電極性が負である場合、半減露光量は0.15μJ/cm2であり、残留電位は−33Vである。
表1から明らかなように、本実施形態に係る感光体(感光体(A−1)〜(A−3))は、感光体(B−1)に比べ、半減露光量及び残留電位が低減されていた。従って、本発明に係る感光体によれば、高速プロセスに適し、感度特性及び耐久性に優れることが明らかである。
本発明に係る電子写真感光体は、複合機のような画像形成装置に利用できる。
1 電子写真感光体
3 導電性基体
5 感光層
5a スイッチ層
5b 帯電電荷輸送層
7 棒状導体
7a 棒状導体の第一先端部
7b 棒状導体の第二先端部

Claims (10)

  1. 導電性基体と、感光層とを備える電子写真感光体であって、
    前記感光層は、スイッチ層と、帯電電荷輸送層とを含み、
    前記スイッチ層は、外部エネルギーの付加により、絶縁性と導電性とを可逆的に変化し、
    前記帯電電荷輸送層は、複数の棒状導体と、帯電電荷輸送層用バインダー樹脂とを有し、
    前記棒状導体は、前記帯電電荷輸送層に対して略垂直に配置され、前記帯電電荷輸送層を貫通し、
    前記棒状導体は、少なくとも第一先端部を有し、
    前記棒状導体の第一先端部は、前記導電性基体と接触しない、電子写真感光体。
  2. 前記棒状導体の前記第一先端部が、前記スイッチ層に埋設される、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記外部エネルギーの付与として紫外光を前記スイッチ層に照射すると、前記スイッチ層が絶縁性から導電性に変化し、
    前記外部エネルギーの付与として可視光又は赤外光を前記スイッチ層に照射するか、又は前記外部エネルギーの付与として熱を前記スイッチ層に付与すると、前記スイッチ層が導電性から絶縁性に変化する、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記スイッチ層は、バインダー樹脂と、光異性化反応材料とを含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記帯電電荷輸送層に対する波長365nmの前記紫外光の透過率が50%以上である、請求項3又は4に記載の電子写真感光体。
  6. 複数の前記棒状導体の面密度は、前記帯電電荷輸送層の平面に対して10,000本/mm2以上200,000本/mm2以下である、請求項1〜5の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記棒状導体は、カーボンナノチューブ又はチタン酸カリウム繊維である、請求項1〜6の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記光異性化反応材料の含有量がバインダー樹脂100質量部に対して30質量部以上50質量部以下である、請求項4に記載の電子写真感光体。
  9. 前記光異性化反応材料が下記化学式(1−1)若しくは化学式(1−2)で表される化合物、化学式(2−1)若しくは化学式(2−2)で表される化合物、又は化学式(3−1)若しくは化学式(3−2)で表される化合物を含む、請求項4又は8に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018004700
    Figure 2018004700
    Figure 2018004700
    Figure 2018004700
    Figure 2018004700
    Figure 2018004700
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の電子写真感光体の製造方法であって、
    感光層形成工程を含み、
    前記感光層形成工程は、前記スイッチ層を形成するスイッチ層形成工程と、前記帯電電荷輸送層を形成する帯電電荷輸送層形成工程とを含み、
    前記スイッチ層形成工程は、スイッチ層塗布膜形成工程と、スイッチ層塗布膜硬化工程とを含み、
    前記スイッチ層塗布膜形成工程は、導電性基体上にスイッチ層用塗布液を塗布し、スイッチ層塗布膜を形成し、
    前記スイッチ層塗布膜硬化工程は、スイッチ層塗布膜上に複数の棒状導体を付与し、スイッチ層塗布膜に対して略垂直に電界を印加しつつ前記スイッチ層を硬化させ、複数の棒状導体を前記スイッチ層に固定化し、
    前記帯電電荷輸送層形成工程は、帯電電荷輸送層塗布膜硬化工程と、研磨工程とを含み、
    前記帯電電荷輸送層塗布膜硬化工程は、前記スイッチ層上に帯電電荷輸送層用塗布液を塗布して硬化させ、
    前記研磨工程は、前記帯電電荷輸送層の表面が平面状となり前記棒状導体の第二先端部が前記帯電電荷輸送層から露出するように前記表面を研磨する、電子写真感光体の製造方法。
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