以下、光量測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1に示す光量測定装置1は、「光量測定装置」に相当し、一例として、レーザプロジェクタ(光出力装置)から出射されるレーザ光を被測定光Lとする各種の測定処理を実行することができるように構成されている。
この場合、レーザプロジェクタは、赤色レーザ(赤色光源)からの赤色レーザ光の出射量、緑色レーザ(緑色光源)からの緑色レーザ光の出射量、および青色レーザ(青色光源)からの青色レーザ光の出射量を変化させることによって各種の画像(映像)をスクリーンに表示させる構成が採用されている。したがって、意図する色で意図する明るさの画像を表示させるためには、レーザプロジェクタの各レーザ(光源)から出射されているレーザ光(被測定光L)が意図する色合い(意図する波長)で、かつ意図する光量となっているかを確認する必要がある。
一方、光量測定装置1は、受光部2R,2G,2B、信号変換部3r,3g,3b、操作部4、表示部5、処理部6および記憶部7を備え、被測定光Lの光量(光パワー)の測定に加え、被測定光Lの重心波長、被測定光Lの波長幅、被測定光Lの歪度、および被測定光Lの三刺激値などを測定可能に構成されている(「予め規定された測定値」として、光量、重心波長、波長幅、歪度および三刺激値を測定する構成の例)。なお、本例の光量測定装置1は、実際には、受光部2R,2G,2Bに対する被測定光Lの入射方向や入射量を規制するための光拡散部や、アパーチャおよび導光用の光ファイバなどを備えているが、これらの構成および機能については公知のため、図示および詳細な説明を省略する。
受光部2R,2G,2B(「受光部」の一例:以下、区別しないときには「受光部2」ともいう)は、受光センサ20a〜20d(「N=M=4個の受光センサ」の構成の例:以下、区別しないときには「受光センサ20」ともいう)をそれぞれ備えて構成されている。また、受光センサ20aは、光学フィルタ21,22aおよび光電変換部23aを備え、受光センサ20bは、光学フィルタ21,22bおよび光電変換部23bを備え、受光センサ20cは、光学フィルタ21,22cおよび光電変換部23cを備え、受光センサ20dは、光学フィルタ21,22dおよび光電変換部23dを備えて構成されている。なお、本例の光量測定装置1では、1つの光学フィルタ21を各受光センサ20によって共用する構成が採用されているが、各受光センサ20毎に別個独立させて光学フィルタ21を配設する構成を採用することもできる。
この場合、本例の光量測定装置1では、後述するように、赤色レーザ光の検出を目的とする波長λsr〜λlrまでの波長範囲Hr(図3参照)内の被測定光Lの検出が受光部2Rによって行なわれ、緑色レーザ光の検出を目的とする波長λsg〜λlgまでの波長範囲Hg(図3参照)内の被測定光Lの検出が受光部2Gによって行なわれ、かつ青色レーザ光の検出を目的とする波長λsb〜λlbまでの波長範囲Hb(図3参照)内の被測定光Lの検出が受光部2Bによって行なわれる構成が採用されている(波長範囲Hr,Hg,Hbが「互いに相違するL=3種類の測定対象波長範囲」で、かつ受光部2Rの各受光センサ20、受光部2Gの各受光センサ20、および受光部2Bの各受光センサ20が「L=3組の受光センサ」である例)。
また、本例の光量測定装置1では、各受光部2毎に各光学フィルタ21の光学的特性、および光学フィルタ22a〜22d(以下、区別しないときには「光学フィルタ22」ともいう)の光学的特性を任意に異ならせることにより、各受光センサ20が互いに相違する任意の分光感度特性を有するように構成されている。具体的には、図2に示すように、一例として、受光部2Rでは、光電変換部23aの受光面側に光学フィルタ21(「第2の光学フィルタ」の一例)だけを配設したときに、波長範囲Hr(波長λsr〜λlr)内の被測定光Lの光電変換部23aへの入射が許容され、かつ波長範囲Hr(波長λsr)よりも短い波長の波長範囲Hsr(「短波長側入射規制波長範囲」の一例)内の被測定光L、および波長範囲Hr(波長λlr)よりも長い波長の波長範囲Hlr(「長波長側入射規制波長範囲」の一例)内の被測定光Lの光電変換部23aへの入射が規制されることで受光センサ20aが一点鎖線L21rのような分光感度特性を有するように光学フィルタ21が構成されている。
また、受光部2Rでは、光電変換部23aの受光面側に光学フィルタ22a(「第1の光学フィルタ」の一例)だけを配設したときに、受光センサ20aが波長範囲Hr内の各波長毎に異なる破線L22rのような分光感度特性を有するように光学フィルタ22aが構成されている。これにより、受光部2Rでは、受光センサ20aの分光感度特性が実線L1rで示すような特性(波長範囲Hr内における分光感度が波長に対して2次関数的に変化する特性)となっている。
さらに、本例の光量測定装置1では、受光センサ20aの分光感度特性と同様にして、受光センサ20b〜20dの分光感度特性も「波長範囲Hr内における分光感度が波長に対して2次関数的に変化する特性」となっている。具体的には、図3に示すように、受光部2Rの受光センサ20bは、光学フィルタ21,22bの組み合わせによって一点鎖線L2rのような分光感度特性を有するように構成され、受光センサ20cは、光学フィルタ21,22cの組み合わせによって二点鎖線L3rのような分光感度特性を有するように構成され、かつ受光センサ20dは、光学フィルタ21,22dの組み合わせによって破線L4rのような分光感度特性を有するように構成されている。
これにより、本例の光量測定装置1では、受光部2Rにおける受光センサ20aの分光感度に対する受光センサ20b〜20dの分光感度の比、受光センサ20bの分光感度に対する受光センサ20a,20c,20dの分光感度の比、受光センサ20cの分光感度に対する受光センサ20a,20b,20dの分光感度の比、および受光センサ20dの分光感度に対する受光センサ20b〜20dの分光感度の比が、波長範囲Hr内の各波長の被測定光L毎に相違する状態となっている。
また、受光部2Gの受光センサ20a〜20dは、光学フィルタ21,22a〜22dの組み合わせによって実線L1g、一点鎖線L2g、二点鎖線L3gおよび破線L4gのような分光感度特性(波長範囲Hg内における分光感度が波長に対して2次関数的に変化する特性)を有するようにそれぞれ構成されている。これにより、受光部2Gにおいても、受光センサ20a〜20dの分光感度の比が波長範囲Hg内の各波長毎に相違させられている。さらに、受光部2Bの受光センサ20a〜20dは、光学フィルタ21,22a〜22dの組み合わせによって実線L1b、一点鎖線L2b、二点鎖線L3bおよび破線L4bのような分光感度特性(波長範囲Hb内における分光感度が波長に対して2次関数的に変化する特性)を有するようにそれぞれ構成されている。これにより、受光部2Bにおいても、受光センサ20a〜20dの分光感度の比が波長範囲Hb内の各波長毎に相違させられている。
光電変換部23a〜23d(以下、区別しないときには「光電変換部23」ともいう)は、図1に示すように、光学フィルタ21,22を透過した被測定光Lを受光可能に配設されて受光量に応じた検出信号S1r〜S4r,S1g〜S4g,S1b〜S4b(一例として、被測定光Lの受光量に応じて値が大きくなる電流信号:「検出信号」の一例:以下、区別しないときには「検出信号Sr」、「検出信号Sg」および「検出信号Sb」ともいい、これらを区別しないときには「検出信号S」ともいう)を出力する。
信号変換部3r,3g,3b(以下、区別しないときには「信号変換部3」ともいう)は、処理部6と相俟って「処理部」を構成し、I/V変換部およびA/D変換部を備えて検出信号Sを信号処理可能に構成されている。この場合、信号変換部3rは、受光部2Rの各受光センサ20(各光電変換部23)から出力される検出信号SrをそれぞれI/V変換することで得られる電圧信号をA/D変換することによって検出信号データD1r(「各受光センサからの検出信号の信号レベル値」を特定可能な情報の一例)を生成する。
また、信号変換部3gは、受光部2Gの各受光センサ20(各光電変換部23)から出力される検出信号SgをそれぞれI/V変換することで得られる電圧信号をA/D変換することによって検出信号データD1g(「各受光センサからの検出信号の信号レベル値」を特定可能な情報の他の一例)を生成する。さらに、信号変換部3bは、受光部2Bの各受光センサ20(各光電変換部23)から出力される検出信号SbをそれぞれI/V変換することで得られる電圧信号をA/D変換することによって検出信号データD1b(「各受光センサからの検出信号の信号レベル値」を特定可能な情報のさらに他の一例)を生成する。
操作部4は、後述する測定処理の条件の設定操作や、測定処理の開始/停止を指示する各種の操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部6に出力する。表示部5は、処理部6の制御に従い、測定条件設定画面や測定結果表示画面など(いずれも図示せず)を表示する。
処理部6は、光量測定装置1を総括的に制御する。具体的には、処理部6は、操作部4の操作によって測定処理の開始を指示されたときに、各信号変換部3から出力される検出信号データD1r,D1g,D1b(以下、区別しないときには「検出信号データD1」ともいう)、および記憶部7に記憶されている係数データD2r,D2g,D2b(以下、区別しないときには「係数データD2」ともいう)に基づき、被測定光Lの光量、重心波長、波長幅、歪度および三刺激値などを演算する(「各検出信号に基づいて被測定光についての予め規定された測定値を演算する」との処理の一例)。
なお、詳細な処理内容については後に説明するが、本例の光量測定装置1における処理部6は、検出信号データD1rおよび係数データD2rに基づいて波長範囲Hr内の被測定光L(赤色レーザ光)についての上記の測定値を演算し、検出信号データD1gおよび係数データD2gに基づいて波長範囲Hg内の被測定光L(緑色レーザ光)についての上記の測定値を演算し、かつ検出信号データD1bおよび係数データD2bに基づいて波長範囲Hb内の被測定光L(青色レーザ光)についての上記の測定値を演算する。
記憶部7は、処理部6の動作プログラムや、上記の検出信号データD1および係数データD2、並びに処理部6によって生成される測定結果データD3などを記憶する。この場合、係数データD2は、「各受光センサ毎の分光感度特性に応じて予め規定された測定値演算用係数」が記録されたデータの一例であって、後述するように、処理部6が上記の各検出信号データD1の値に基づいて各測定値を演算する際に用いる係数が記録されている。具体的には、係数データD2rには、受光部2Rにおける各受光センサ20の分光感度特性に応じて予め規定された係数が記録され、係数データD2gには、受光部2Gにおける各受光センサ20の分光感度特性に応じて予め規定された係数が記録され、係数データD2bには、受光部2Bにおける各受光センサ20の分光感度特性に応じて予め規定された係数が記録されている。なお、この「測定値演算用係数」を用いた各測定値の演算処理については、後に詳細に説明する。
次に、光量測定装置1を用いた被測定光Lについての測定処理について説明する。
レーザプロジェクタからのレーザ光を被測定光Lとする本例では、一例として、レーザプロジェクタによって各種の映像を投影するスクリーンの位置に光量測定装置1を設置する。この際には、レーザプロジェクタにおける各レーザからの被測定光L(赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光)が各受光部2に対して照射されるように、各受光部2の受光面をレーザプロジェクタに向けて光量測定装置1を設置する。次いで、レーザプロジェクタの電源を投入し、ホワイトバランス調整用の映像(一例として、投影領域の全域に亘って均一な白色の映像:以下、この映像を「調整用映像」ともいう)の投影を開始させる。
この際には、各受光部2の各受光センサ20から被測定光Lの受光量に応じた検出信号Sがそれぞれ出力される。具体的には、受光部2Rの受光センサ20a〜20dからは、レーザプロジェクタから出射された被測定光Lのうちの波長範囲Hr内の被測定光L(赤色レーザから出射された赤色レーザ光)の受光量に応じた検出信号S1r〜S4rがそれぞれ出力される。また、受光部2Gの受光センサ20a〜20dからは、レーザプロジェクタから出射された被測定光Lのうちの波長範囲Hg内の被測定光L(緑色レーザから出射された緑色レーザ光)の受光量に応じた検出信号S1g〜S4gがそれぞれ出力される。さらに、受光部2Bの受光センサ20a〜20dからは、レーザプロジェクタから出射された被測定光Lのうちの波長範囲Hb内の被測定光L(青色レーザから出射された青色レーザ光)の受光量に応じた検出信号S1b〜S4bがそれぞれ出力される。
また、上記のように各受光センサ20から検出信号Sが出力されることにより、その検出信号Sに対応する検出信号データD1が各信号変換部3によって生成されて出力される。この際に、信号変換部3rは、受光部2Rの各受光センサ20から出力された検出信号S1r〜S4rに基づいて検出信号データD1rを生成して出力し、信号変換部3gは、受光部2Gの各受光センサ20から出力された検出信号S1g〜S4gに基づいて検出信号データD1gを生成して出力し、かつ信号変換部3bは、受光部2Bの各受光センサ20から出力された検出信号S1b〜S4bに基づいて検出信号データD1bを生成して出力する。また、処理部6は、各信号変換部3から出力される上記の各検出信号データD1を記憶部7に記憶させる。
続いて、処理部6は、上記の各検出信号データD1の値(信号レベル値)、および記憶部7に記憶されている各係数データD2の値(係数)に基づいて測定値を演算して特定する「特定処理」を開始する。具体的には、本例の光量測定装置1では、前述したように、被測定光Lの光量(総光量:Ptot)、被測定光Lの重心波長(λg)、被測定光Lの波長幅(σ=√((λ2)g−(λg)2))、および被測定光Lの歪度(Sk=((λ−λg)3)g/σ3=((λ3)g−3(λ2)g・λg+2(λg)3)/σ3)を演算して特定する。
なお、「特定処理」についての理解を容易とするために、一例として、信号変換部3rからの検出信号データD1r、および受光部2Rにおける各受光センサ20の分光感度特性に応じて作成された係数データD2rに基づいて波長範囲Hr内の被測定光Lについての測定値を演算して特定する手順について以下に説明するが、実際には、検出信号データD1gおよび係数データD2gに基づいて波長範囲Hg内の被測定光Lについての測定値を演算して特定する処理や、検出信号データD1bおよび係数データD2bに基づいて波長範囲Hb内の被測定光Lについての測定値を演算して特定する処理についても同様にして行なわれる。
この場合、受光部2Rに配設された「分光感度特性が互いに相違する受光センサ20」の数を「n」とすると共に、n個のうちの1個目の受光センサ20aからの検出信号S1rを変換した検出信号データD1rの値を「S1」とし、かつn個のうちの2個目〜n個目の受光センサ20aからの検出信号Snrを変換した検出信号データD1rの値をそれぞれ「S2」〜「Sn」としたときに、上記の各測定値における「λg」、「(λ2)g」および「(λ3)g」は、
S1=(a11(λn−1)g+a12(λn−2)g+・・・+a1n)Ptot
S2=(a21(λn−1)g+a22(λn−2)g+・・・+a2n)Ptot
・
・
Sn=(an1(λn−1)g+an2(λn−2)g+・・・+ann)Ptot
との連立方程式を解くことによって求めることができる。
なお、上記の式における「a11」〜「a1n」は、1個目の受光センサ20の分光感度特性に応じて予め取得された「測定値演算用係数」であり、上記の式における「an1」〜「ann」は、n個目の受光センサ20の分光感度特性に応じて予め取得された「測定値演算用係数」である。これらの「測定値演算用係数」は、各受光センサ20の分光感度特性に応じて予め規定されて係数データD2rに記録されている。
したがって、上記の「n」が「N=M=4」の本例では、受光部2Rの受光センサ20aからの検出信号S1rを変換した検出信号データD1rの値を「S1」とし、受光部2Rの受光センサ20bからの検出信号S2rを変換した検出信号データD1rの値を「S2」とし、受光部2Rの受光センサ20cからの検出信号S3rを変換した検出信号データD1rの値を「S3」とし、かつ受光部2Rの受光センサ20dからの検出信号S4rを変換した検出信号データD1rの値を「S4」としたときに、
S1=(a11(λ3)g+a12(λ2)g+a13(λ)g+a14)Ptot
S2=(a21(λ3)g+a22(λ2)g+a23(λ)g+a24)Ptot
S3=(a31(λ3)g+a32(λ2)g+a33(λ)g+a34)Ptot
S4=(a41(λ3)g+a42(λ2)g+a43(λ)g+a44)Ptot
との連立方程式を解くことによって上記の各測定値における「λg」、「(λ2)g」および「(λ3)g」を求めることができる。
この場合、波長範囲Hr内の各波長のステップ幅を「Δλ」とし、かつ「波長:λ」における光量(光パワー)を「P(λ)」としたときに、上記の「Ptot」、「λg」、「(λ2)g」および「(λ3)g」については、[数1]のように表すことができる。
すなわち、「Ptot」は、「波長λに関する0次モーメント」であり、「λg」は、「波長λに関する1次モーメント」であり、「(λ2)g」は、「波長λに関する2次モーメント」であり、かつ「(λ3)g」は、「波長λに関する3次モーメント」である。
したがって、分光感度特性が互いに相違するN=3個の受光センサ20を備えて光量測定装置1を構成してその検出信号Sの信号レベル値に対応するN=3個の連立方程式を解くことにより、「0次モーメント」の「Ptot(光量)」、および「1次モーメント」の「λg(重心波長)」だけでなく、「(N−1)=2次モーメント」の「(λ2)g」を利用して演算される「波長幅」を特定できるのが理解できる。
また、分光感度特性が互いに相違するN=M=4個の受光センサ20を備えて光量測定装置1を構成してその検出信号Sの信号レベル値に対応するN=M=4個の連立方程式を解くことにより、「0次モーメント」の「Ptot(光量)」、「1次モーメント」の「λg(重心波長)」、および「2次モーメント」の「(λ2)g」を利用して演算される「波長幅」だけでなく、「(N−1)=(M−1)=3次モーメント」の「(λ3)g」を利用して演算される「歪度」を特定できるのが理解できる。
さらに、本例の光量測定装置1の構成とは相違するが、分光感度特性が互いに相違するN=M≧5個の受光センサ20を備えて光量測定装置1を構成してその検出信号Sの信号レベル値に対応するN=M≧5個の連立方程式を解くことにより、「0次モーメント」の「Ptot(光量)」、「1次モーメント」の「λg(重心波長)」、「2次モーメント」の「(λ2)g」を利用して演算される「波長幅」、および「3次モーメント」の「(λ3)g」を利用して演算される「歪度」だけでなく、「(N−1)=(M−1)≧4次モーメント」の「(λN−1)g」=「(λM−1)g」を利用して演算される測定値を特定できるのが理解できる。
以上のように、検出信号データD1の値および各係数データD2の値に基づいてN=M=4個の連立方程式を解くことによって「Ptot(光量)」、「λg(重心波長)」、「(λ2)g」および「(λ3)g」を特定すると共に、「Ptot」、「λg」および「(λ2)g」を用いて波長幅を演算し、かつ「Ptot」、「λg」、「(λ2)g」および「(λ3)g」を用いて歪度を演算する。
一方、被測定光Lを出射するレーザプロジェクタのなかには、出射光量の増加等を目的として、複数の赤色レーザ光源、複数の緑色レーザ光源、および複数の青色レーザ光源を備えたものが存在する。このようなレーザプロジェクタにおいては、製造誤差や経年劣化等に起因して、各赤色レーザ光源から出射される各赤色レーザ光の波長が僅かに相違する状態となったり、各緑色レーザ光源から出射される各緑色レーザ光の波長が僅かに相違する状態となったり、各青色レーザ光源から出射される各青色レーザ光の波長が僅かに相違する状態となったりすることがある。また、波長を意図的に異ならせた複数種類の赤色レーザ光、波長を意図的に異ならせた複数種類の緑色レーザ光、および波長を意図的に異ならせた複数種類の青色レーザ光を出射可能に構成されたレーザプロジェクタも存在する。
つまり、光量測定装置1による測定時には、光源の構成によっては、波長が異なる複数種類の赤色レーザ光からなる赤色光(以下、「合成赤色光」ともいう)、波長が異なる複数種類の緑色レーザ光からなる緑色光(以下、「合成緑色光」ともいう)、および波長が異なる複数種類の青色レーザ光からなる青色光(以下、「合成青色光」ともいう)を被測定光Lとする処理を実行する必要が生じることがある。また、レーザプロジェクタ等の「人工光源」の評価時には、出射される光の三刺激値を特定する必要が生じることがある。
この場合、「光の色味の測定」が可能な測定装置(レーザ光よりも波長幅が広い光を測定対象として各種の測定が可能に構成された測定装置)を本例の光量測定装置1とは別個に用意しておくことにより、その測定装置の測定結果に基づき、上記のような合成赤色光、合成緑色光および合成青色光からなる被測定光Lの三刺激値を容易に特定することができる可能性がある。しかしながら、そのような測定装置では、レーザ光のように波長幅が狭い光についての光量、重心波長および波長幅等の測定精度が光量測定装置1よりも低いため、光量、重心波長、歪度に加えて、三刺激値等の色味の測定を高精度で行うためには、光量測定装置1による測定処理と、他の測定装置による測定処理とを別個に行う必要が生じる。このため、重心波長、光量、波長幅および三刺激値等の特定に長時間を要し、また、複数の装置を用意しなくてはならない分だけ、測定処理コストが高騰する。
一方、レーザプロジェクタ等から出射される被測定光Lについての等色関数を用いて、光量測定装置1による上記の「特定処理」によって特定した重心波長や光量から三刺激値を演算して特定することができる可能性がある。しかしながら、例えば、赤色光として波長が異なる2種類の赤色レーザ光が出射されるレーザプロジェクタを対象とする三刺激値の特定に際しては、2種類の赤色レーザ光のうちのいずれのレーザ光に対応する等色関数を用いたとしても、2種類のうちの他の1種類の赤色レーザ光についての測定成分に関して実際の波長とは異なる波長に対応する等色関数に応じた値に変換されることとなる。この場合、各赤色レーザ光の波長の相違量が大きいときには、演算結果(三刺激値)に及ぶ影響が無視できないレベルとなる。
したがって、本例の光量測定装置1では、重心波長、光量および等色関数に加え、被測定光Lの波長幅(上記のような波長の相違を考慮した波長範囲の幅)を考慮して三刺激値を演算して特定することにより、色味の測定が可能な測定装置を別途用意することなく、合成赤色光、合成緑色光および合成青色光からなる被測定光Lの三刺激値について、実態に即した的確な値を特定することが可能となっている。
この光量測定装置1による三刺激値の特定に際しては、まず、一例として、合成赤色光、合成緑色光および合成青色光の測定成分に関し、上記の「特定処理」によって特定した重心波長、光量および波長幅の各値を用いてガウス型スペクトルとしてそれぞれ近似する。具体的には、例えば合成赤色光の測定成分については[数2]のように表す。なお、[数2]における「Pr」は「合成赤色光の光量」であり、「波長λgr」は「合成赤色光の重心波長」であり、「σr」は「合成赤色光の波長幅」である。
次いで、合成赤色光、合成緑色光および合成青色光についての等色関数x(λ),y(λ),z(λ)に関し、合成赤色光の重心波長、合成緑色光の重心波長、および合成青色光の重心波長を基準とする値となるように2次関数によってそれぞれ近似する。具体的には、例えば合成赤色光の等色関数については[数3]のように表す。なお、[数3]における「ax,r」、「bx,r」、「cx,r」などは、等色関数を重心波長まわりで近似するための予め規定された係数であり、係数データD2r,D2g,D2bに予め記録されている。また、等色関数の重心波長まわりの近似に関する理解を容易とするために2次関数によって近似する例を説明するが、必要に応じて、さらに次数の高い多項式で近似することができる。
続いて、上記[数2]のように近似した合成赤色光についてのパラメータ、合成緑色光についてのパラメータ、および合成青色光についてのパラメータと、上記[数3]のように近似した等色関数x(λ),y(λ),z(λ)とを用いた下記[数4]の式を解くことによって三刺激値Xrgb,Yrgb,Zrgbを算出する。
これにより、波長が異なる複数種類の赤色レーザ光(合成赤色光)、波長が異なる複数種類の緑色レーザ光(合成緑色光)、および波長が異なる複数種類の青色レーザ光(合成青色光)からなる被測定光Lについて、実態に即した的確な三刺激値が特定される。なお、上記の例とは相違するが、赤色光としての単一波長の赤色レーザ光、緑色光としての単一波長の緑色レーザ光、および青色光としての単一波長の青色レーザ光を被測定光Lとする処理時においても、上記の例示と同様にして波長幅を考慮して三刺激値を特定することにより、各レーザ光の波長幅がやや広いときや、各レーザ光の重心波長に揺らぎが生じているときに、実態に即した的確な三刺激値が特定される。これにより、「特定処理」が完了する。
この後、処理部6は、特定した各測定値(光量、重心波長、波長幅、歪度および三刺激値)を記録して測定結果データD3を生成し、生成した測定結果データD3を記憶部7に記憶させると共に、各測定値を表示部5に表示させる。これにより、被測定光Lについての一連の測定処理が完了する。
なお、詳細な説明を省略するが、上記の「特定処理」において特定した光量、重心波長、波長幅、歪度および三刺激値などについては、被測定光Lを出射した装置の評価に用いられる。また、例えば、出願人が特願2016−104742の明細書において開示している調整用情報の生成処理によって、上記の三刺激値に基づいて調整用情報を生成することにより、各光源からの光の出射量を任意の色および任意の明るさが認識されるように調整することが可能となる。
このように、この光量測定装置1では、N個(本例では、N=4個)の受光センサ20を備えた受光部2、および「予め規定された測定値」を特定する「特定処理」を実行する処理部6を備え、各受光センサ20が、光学フィルタ22をそれぞれ備えて分光感度特性が互いに相違するように構成され、処理部6が、「特定処理」において、各受光センサ20からの検出信号Sの「信号レベル値(検出信号データD1の値)」と、各受光センサ20毎の分光感度特性に応じて予め規定された「測定値演算用係数(係数データD2の値)」とに基づき、少なくとも被測定光Lの波長幅を「予め規定された測定値」として演算して特定する。
したがって、この光量測定装置1によれば、多数のセンサからなるセンサアレイを有するポリクロメータを備えた光量測定装置と比較して、被測定光Lを検出するための受光センサ20の数、および各受光センサ20から出力される検出信号Sを信号処理するための信号変換部3の数が少数のため、光量測定装置1の製造コストを充分に低減することができる。また、ポリクロメータを備えた光量測定装置において波長幅等の測定値の精度を向上させるには、「測定対象波長領域」内の検出波長の数、すなわち、センサアレイを構成するセンサの数を増加させる必要があり、これに起因して製造コストの高騰を招くのに対し、この光量測定装置1によれば、各受光センサ20の分光感度特性に応じた正確な値を係数データD2の値として規定しておくことで、製造コストの高騰を招くことなく、波長幅等の測定値を高精度に特定することができる。さらに、受光センサから順次出力される多数の検出信号の信号レベルを特定して測定対象波長領域内の各波長の光の光量をそれぞれ特定するモノクロメータを備えた光量測定装置とは異なり、少数の受光センサ20(本例ではN=4個の受光センサ20)からの検出信号Sに対応する検出信号データD1の値に基づいて被測定光Lの波長幅等を特定することができるため、波長幅等の特定に要する時間を充分に短縮することができる。
また、この光量測定装置1によれば、受光部2が、分光感度特性が互いに相違するM個(本例では、M=N=4個)の受光センサ20を備えると共に、処理部6が、「特定処理」において、各「信号レベル値」および各「測定値演算用係数」に基づき、被測定光Lの歪度を「予め規定された測定値」として演算して特定することにより、各受光センサ20の分光感度特性に応じた正確な値を係数データD2の値として規定しておくことで、製造コストの高騰を招くことなく、歪度等の測定値を短時間で高精度に特定することができる。
さらに、この光量測定装置1によれば、処理部6が、「特定処理」において、「信号レベル値」および「測定値演算用係数」に基づき、被測定光Lの重心波長および光量を「予め規定された測定値」として特定すると共に、特定した重心波長、光量および波長幅と、被測定光Lについての「等色関数」とに基づき、被測定光Lの三刺激値を「予め規定された測定値」として特定することにより、波長が相違する複数種類の光の合成光を「被測定光」とする場合においても、色度計などの色味の測定装置を別途用意することなく、「特定処理」によって特定される重心波長、光量および波長幅などに基づき、実態に即した的確な三刺激値を短時間で高精度に演算して特定することができる。
さらに、この光量測定装置1によれば、互いに相違するL種類(本例では、L=3種類)の波長範囲Hr,Hg,Hb内の被測定光Lについての「予め規定された測定値」を測定可能にL個の受光部2を備え、波長範囲Hr,Hg,Hb内の被測定光Lの光電変換部23に対する入射を許容しつつ、波長範囲Hr,Hg,Hbよりも短い波長の波長範囲Hsr,Hsg,Hsb、および波長範囲Hr,Hg,Hbよりも長い波長の波長範囲Hlr,Hlg,Hlbの両入射規制波長範囲内の被測定光Lの光電変換部23に対する入射を規制する光学フィルタ21を備えて各受光部2の各受光センサ20を構成したことにより、波長が相違するL種類の被測定光Lについての測定値を短時間で高精度に特定することができる。
なお、「光量測定装置」の構成は、上記の光量測定装置1の構成に限定されない。例えば、「特定処理」において、検出信号データD1の値と係数データD2の値とに基づいて演算によって「予め規定された測定値」を特定する例について説明したが、このような構成に代えて、「特定処理」において、演算処理によらず、検出信号データD1の値と「予め規定された測定値」との関係を特定可能に予め作成された「測定値特定用テーブル」を使用して「予め規定された測定値」を特定する構成を採用することもできる。なお、上記の例の光量測定装置1と同様の構成要素については、同一の符号を使用して説明し、重複する説明を省略する。
前述した光量測定装置1による「特定処理」に際して「測定値特定用テーブル」を使用して測定値を特定するには、処理の開始に先立ち、「測定値特定用テーブル」のテーブルデータD4を作成して記憶部7に記憶させる。この場合、一例として、テーブルデータD4には、波長範囲Hr内の被測定光L(赤色レーザから出射される赤色レーザ光)についての測定値を特定するための「測定値特定用テーブル」、波長範囲Hg内の被測定光L(緑色レーザから出射される緑色レーザ光)についての測定値を特定するための「測定値特定用テーブル」、および波長範囲Hb内の被測定光L(青色レーザから出射される青色レーザ光)についての測定値を特定するための「測定値特定用テーブル」が記録されている。
具体的には、例えば波長範囲Hr内の被測定光Lについての測定値を特定するための「測定値特定用テーブル」としては、被測定光Lの測定によって信号変換部3rから出力される検出信号データD1rの値(受光センサ20a〜20dからの検出信号S1r〜S4rに対応する値)と波長範囲Hr内の被測定光Lの光量との関係を特定可能な「光量特定用テーブル」、検出信号データD1rの値と波長範囲Hr内の被測定光Lの重心波長との関係を特定可能な「重心波長特定用テーブル」、検出信号データD1rの値と波長範囲Hr内の被測定光Lの波長幅との関係を特定可能な「波長幅特定用テーブル」、および検出信号データD1rの値と波長範囲Hr内の被測定光Lの歪度との関係を特定可能な「歪度特定用テーブル」が記録されている。
この場合、このテーブルデータD4については、一例として、被測定光Lの光量(総光量:Ptot)、重心波長(λg)、波長幅(σ)およびの歪度(Sk)を演算して特定する構成についての説明において例示した演算方法によって、信号変換部3から出力され得る各種の「信号レベル値(検出信号データD1の値)」についての光量(Ptot)、重心波長(λg)、波長幅(σ)およびの歪度(Sk)をそれぞれ演算して各「測定値特定用テーブル」を作成することによって予め作成しておくことができる。また、そのような演算方法によらず、各種光学シミュレータを使用して各「測定値特定用テーブル」を作成することによって予め作成しておくこともできる。なお、本例の構成とは相違するが、「歪度」の測定が不要なときには、N=3個の「受光センサ」を備えて各「受光部」を構成すると共に、「信号レベル値」と「歪度」との関係を特定可能な上記の「歪度特定用テーブル」を不要とすることもできる。
次いで、前述した測定処理時と同様にして、レーザプロジェクタによって各種の映像を投影するスクリーンの位置に光量測定装置1を設置する。この際には、各受光部2の各受光センサ20から被測定光Lの受光量に応じた検出信号Sがそれぞれ出力され、これに応じて、各信号変換部3から検出信号データD1がそれぞれ出力される。また、処理部6は、信号変換部3から出力される各検出信号データD1を記憶部7に記憶させると共に、「特定処理」を開始して、検出信号データD1の値と、記憶部7に記憶されているテーブルデータD4とに基づき、被測定光Lの光量(Ptot)、被測定光Lの重心波長(λg)、被測定光Lの波長幅(σ)、および被測定光Lの歪度(Sk)を特定する。
次いで、詳細な説明を省略するが、前述した方法と同様にして、特定した光量、重心波長および波長幅と等色関数とに基づき、三刺激値を演算して特定する。これにより、「特定処理」が完了する。この後、処理部6は、特定した各測定値(光量、重心波長、波長幅、歪度および三刺激値)を記録して測定結果データD3を生成し、生成した測定結果データD3を記憶部7に記憶させると共に、各測定値を表示部5に表示させる。以上により、被測定光Lについての一連の測定処理が完了する。
このように、この光量測定装置1では、N個(本例では、N=4個)の受光センサ20を備えた受光部2、および「予め規定された測定値」を特定する「特定処理」を実行する処理部6を備え、各受光センサ20が、光学フィルタ22をそれぞれ備えて分光感度特性が互いに相違するように構成され、処理部6が、「特定処理」において、各受光センサ20からの検出信号Sの「信号レベル値(検出信号データD1の値)」と、「予め規定された測定値」および「信号レベル値」の関係を特定可能に予め作成されたテーブルデータD4とに基づき、少なくとも被測定光Lの波長幅を「予め規定された測定値」として演算して特定する。
したがって、この光量測定装置1によれば、演算によって波長幅等を特定する構成と同様にして、多数のセンサからなるセンサアレイを有するポリクロメータを備えた光量測定装置と比較して、被測定光Lを検出するための受光センサ20の数、および各受光センサ20から出力される検出信号Sを信号処理するための信号変換部3の数が少数のため、光量測定装置1の製造コストを充分に低減することができる。また、ポリクロメータを備えた光量測定装置において波長幅等の測定値の精度を向上させるには、「測定対象波長領域」内の検出波長の数、すなわち、センサアレイを構成するセンサの数を増加させる必要があり、これに起因して製造コストの高騰を招くのに対し、この光量測定装置1によれば、テーブルデータD4の参照値をきめ細かく、かつ正確に規定しておくことで、製造コストの高騰を招くことなく、波長幅等の測定値を高精度に特定することができる。さらに、受光センサから順次出力される多数の検出信号の信号レベルを特定して測定対象波長領域内の各波長の光の光量をそれぞれ特定するモノクロメータを備えた光量測定装置とは異なり、少数の受光センサ20(本例ではN=4個の受光センサ20)からの検出信号Sに対応する検出信号データD1の値に基づいて被測定光Lの波長幅等を特定することができるため、波長幅等の特定に要する時間を充分に短縮することができる。
また、この光量測定装置1によれば、受光部2が、分光感度特性が互いに相違するM個(本例では、M=N=4個)の受光センサ20を備えると共に、処理部6が、「特定処理」において、各「信号レベル値」およびテーブルデータD4に基づき、被測定光Lの歪度を「予め規定された測定値」として演算して特定することにより、演算によって歪度等を特定する構成と同様にして、テーブルデータD4の参照値をきめ細かく、かつ正確に規定しておくことで、製造コストの高騰を招くことなく、歪度等の測定値を短時間で高精度に特定することができる。
さらに、この光量測定装置1によれば、処理部6が、「特定処理」において、「信号レベル値」およびテーブルデータD4に基づき、被測定光Lの重心波長および光量を「予め規定された測定値」として特定すると共に、特定した重心波長、光量および波長幅と、被測定光Lについての「等色関数」とに基づき、被測定光Lの三刺激値を「予め規定された測定値」として特定することにより、波長が相違する複数種類の光の合成光を「被測定光」とする場合においても、色度計などの色味の測定装置を別途用意することなく、「特定処理」によって特定される重心波長、光量および波長幅などに基づき、実態に即した的確な三刺激値を短時間で高精度に演算して特定することができる。
一方、N=M=4個の受光センサ20を有する受光部2を備えた光量測定装置1の構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、1個の「受光部」につき1個の「受光センサ」を備えて「光量測定装置」を構成することもできる。具体的には、例えば、図4に示す光量測定装置1Aは、「光量測定装置」の他の一例であって、光量測定装置1における受光部2R,2G,2Bに代えて受光部2Ra,2Ga,2Ba(以下、これらを区別しないときには、「受光部2a」ともいう)を備えて構成されている。なお、前述した光量測定装置1の構成要素と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
この場合、一例として、受光部2Raでは、光学フィルタ21と、1個の光電変換部23と、光入射制限部32(「第1の光入射制限部」の一例)とを備えて受光センサ20が構成されている。また、光入射制限部32は、前述した光量測定装置1における受光部2の光学フィルタ22a〜22dと同じ機能の光学フィルタ22a〜22dを備えている。
この受光部2Raでは、光学フィルタ21と光電変換部23との間に光学フィルタ22aを位置させて光学フィルタ21,22aによって光電変換部23への被測定光Lの入射を制限する状態(「N=M=4種類の制限状態」のうちの1つ)、光学フィルタ21と光電変換部23との間に光学フィルタ22bを位置させて光学フィルタ21,22bによって光電変換部23への被測定光Lの入射を制限する状態(「N=M=4種類の制限状態」のうちの他の1つ)、光学フィルタ21と光電変換部23との間に光学フィルタ22cを位置させて光学フィルタ21,22cによって光電変換部23への被測定光Lの入射を制限する状態(「N=M=4種類の制限状態」のうちのさらに他の1つ)、光学フィルタ21と光電変換部23との間に光学フィルタ22dを位置させて光学フィルタ21,22dによって光電変換部23への被測定光Lの入射を制限する状態(「N=M=4種類の制限状態」のうちのさらに他の1つ)の4種類の制限状態に切り替えることができるように構成されている。
これにより、この受光部2Raでは、受光部2における受光センサ20aから出力される検出信号S1r、受光部2における受光センサ20bから出力される検出信号S2r、受光部2における受光センサ20cから出力される検出信号S3r、および受光部2における受光センサ20dから出力される検出信号S4rと同じ検出信号S1r〜S4rを光入射制限部32の上記の各制限状態に応じて信号変換部3rに順次出力することが可能となっている。なお、詳細な説明を省略するが、受光部2Ga,2Baにおいても、上記の受光部2Raと同様の構成が採用されることにより、受光部2G,2Bから出力される検出信号S1g〜S4g,S1b〜S4bと同じ検出信号S1g〜S4g,S1b〜S4bを光入射制限部32の上記の各制限状態に応じて信号変換部3g,3bに順次出力することが可能となっている。
したがって、この光量測定装置1Aにおいても、各検出信号Sに対応する検出信号データD1の値と、係数データD2の値(またはテーブルデータD4の値)とに基づき、被測定光Lについての各種の測定値を高精度に求めることが可能となっている。
このように、この光量測定装置1Aでは、受光量に応じた検出信号Sを出力する光電変換部23、および光電変換部23への被測定光Lの入射を予め規定されたN種類(本例では、N=4種類)の制限状態のいずれかで制限する光入射制限部32を有する受光センサ20を備えた受光部2aと、「予め規定された測定値」を特定する「特定処理」を実行する処理部6とを備え、光入射制限部32が、各制限状態における受光センサ20の被測定光Lについての分光感度特性が相違するように光電変換部23への被測定光Lの入射を制限し、処理部6が、「特定処理」において、受光センサ20から各制限状態毎の検出信号Sの「信号レベル値(検出信号データD1の値)」と、各制限状態毎の受光センサ20の分光感度特性に応じて予め規定された「測定値演算用係数(係数データD2の値)」とに基づき、少なくとも被測定光Lの波長幅を「予め規定された測定値」として演算して特定する。
したがって、この光量測定装置1Aによれば、多数のセンサからなるセンサアレイを有するポリクロメータを備えた光量測定装置と比較して、被測定光Lを検出するための受光センサ20の数、および各受光センサ20から出力される検出信号Sを信号処理するための信号変換部3の数が少数のため、光量測定装置1Aの製造コストを充分に低減することができる。また、ポリクロメータを備えた光量測定装置において波長幅等の測定値の精度を向上させるには、「測定対象波長領域」内の検出波長の数、すなわち、センサアレイを構成するセンサの数を増加させる必要があり、これに起因して製造コストの高騰を招くのに対し、この光量測定装置1Aによれば、光入射制限部32による各制限状態に応じた正確な値を係数データD2の値として規定しておくことで、製造コストの高騰を招くことなく、波長幅等の測定値を高精度に特定することができる。さらに、受光センサから順次出力される多数の検出信号の信号レベルを特定して測定対象波長領域内の各波長の光の光量をそれぞれ特定するモノクロメータを備えた光量測定装置とは異なり、少数の制限状態(本例ではN=4種類の制限状態)毎の検出信号Sに対応する検出信号データD1の値に基づいて被測定光Lの波長幅等を特定することができるため、波長幅等の特定に要する時間を充分に短縮することができる。
また、この光量測定装置1Aによれば、光入射制限部32が、光電変換部23への被測定光Lの入射をM種類(本例では、N−M=4種類)の制限状態のいずれかで制限すると共に、処理部6が、「特定処理」において、各「信号レベル値」および各「測定値演算用係数」に基づき、被測定光Lの歪度を「予め規定された測定値」として演算して特定することにより、各制限状態に応じた正確な値を係数データD2の値として規定しておくことで、製造コストの高騰を招くことなく、歪度等の測定値を短時間で高精度に特定することができる。
さらに、この光量測定装置1Aによれば、処理部6が、「特定処理」において、「信号レベル値」および「測定値演算用係数」に基づき、被測定光Lの重心波長および光量を「予め規定された測定値」として特定すると共に、特定した重心波長、光量および波長幅と、被測定光Lについての「等色関数」とに基づき、被測定光Lの三刺激値を「予め規定された測定値」として特定することにより、波長が相違する複数種類の光の合成光を「被測定光」とする場合においても、色度計などの色味の測定装置を別途用意することなく、「特定処理」によって特定される重心波長、光量および波長幅などに基づき、実態に即した的確な三刺激値を短時間で高精度に演算して特定することができる。
さらに、この光量測定装置1Aでは、処理部6が、「特定処理」において、受光センサ20から出力された各制限状態毎の検出信号Sの「信号レベル値」と、測定値および「信号レベル値」の関係を特定可能に予め作成されたテーブルデータD4とに基づき、少なくとも被測定光Lの波長幅を「予め規定された測定値」として演算して特定することにより、演算によって波長幅等を特定する構成と同様にして、多数のセンサからなるセンサアレイを有するポリクロメータを備えた光量測定装置と比較して、被測定光Lを検出するための受光センサ20の数、および各受光センサ20から出力される検出信号Sを信号処理するための信号変換部3の数が少数のため、光量測定装置1Aの製造コストを充分に低減することができる。また、ポリクロメータを備えた光量測定装置において波長幅等の測定値の精度を向上させるには、「測定対象波長領域」内の検出波長の数、すなわち、センサアレイを構成するセンサの数を増加させる必要があり、これに起因して製造コストの高騰を招くのに対し、この光量測定装置1Aによれば、各制限状態毎にテーブルデータD4の参照値をきめ細かく、かつ正確に規定しておくことで、製造コストの高騰を招くことなく、波長幅等の測定値を高精度に特定することができる。さらに、受光センサから順次出力される多数の検出信号の信号レベルを特定して測定対象波長領域内の各波長の光の光量をそれぞれ特定するモノクロメータを備えた光量測定装置とは異なり、少数の制限状態(本例ではN=4種類の制限状態)毎の検出信号Sに対応する検出信号データD1の値に基づいて被測定光Lの波長幅等を特定することができるため、波長幅等の特定に要する時間を充分に短縮することができる。
また、この光量測定装置1Aによれば、光入射制限部32が、光電変換部23への被測定光Lの入射を予め規定されたM種類(この例では4種類)の制限状態のいずれかで制限すると共に、処理部6が、「特定処理」において、各「信号レベル値」およびテーブルデータD4に基づき、被測定光Lの歪度を「予め規定された測定値」として特定することにより、演算によって歪度等を特定する構成と同様にして、各制限状態毎にテーブルデータD4の参照値をきめ細かく、かつ正確に規定しておくことで、製造コストの高騰を招くことなく、歪度等の測定値を短時間で高精度に特定することができる。
この場合、「第1の光入射制限部」の構成は、上記の光量測定装置1A(受光部2a)における光入射制限部32のような構成に限定されない。具体的には、上記の光入射制限部32は、N=M=4個の光学フィルタ22(「第1の光学フィルタ」と同じ機能の光学フィルタ)を備えてこれらを順次切り替えて使用することでN=M=4種類の「制限状態」のいずれかで光電変換部23に対する被測定光Lの入射を規制する構成を採用しているが、このような構成に代えて、外力(物理的な力)や電気信号の入力に応じて「光電変換部」に対する各波長毎の「被測定光」の入射量を変化させることが可能な「フィルタ特性可変型の光学フィルタ」を「光電変換部」の入射面側に配設することにより、N種類(M種類)の制限状態のいずれかで「光電変換部」に対する「被測定光」の入射を制限可能な「受光センサ」を備えて「光量測定装置(受光部)」を構成することができる(図示せず)。
また、N=M=4個の受光センサ20を備えた光量測定装置1や、N=M=4種類の制限状態に移行可能な受光センサ20を備えた光量測定装置1Aの構成を例に挙げて説明したが、N=3個の「受光センサ」を備えた構成、または、N=3種類の「制限状態」に移行可能な構成や、N=M≧5個の「受光センサ」を備えた構成、またはN=M≧5種類の「制限状態」に移行可能な構成を採用することもできる。
この場合、N=3個の「受光センサ」を備えて「光量測定装置」を構成したり、N=3種類の「制限状態」に移行可能な構成を採用したりすることにより、N種類の「検出信号の信号レベル値」に基づき、光量および重心波長に加えて、「(N−1)=2次モーメント」の「(λ2)g」を利用して演算される波長幅を特定することができる。また、N=M≧5個の「受光センサ」を備えて「光量測定装置」を構成したり、N=M≧5種類の「制限状態」に移行可能な構成を採用したりすることにより、それらの「検出信号の信号レベル値」に基づき、前述したようにN=M=4個の受光センサ20を備えた光量測定装置1やN=M=4種類の制限状態に移行可能な光量測定装置1Aにおいて特定することができた光量、重心波長、波長幅および歪度に加えて、「λ」に関する「4次モーメント」、「5次モーメント」・・・を利用して演算される各種の「測定値」を特定することができる。
さらに、L=3種類の波長範囲Hr,Hg,Hb内の被測定光Lについての各種測定値を測定可能にL=3個の受光部2(2a)を備えた光量測定装置1(1A)の構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、1個の「受光部」によってL種類の「測定対象波長範囲」内の「被測定光」についての「予め規定された測定値」を測定する構成を採用することもできる。具体的には、例えば、図5に示す光量測定装置1Bは、「光量測定装置」のさらに他の一例であって、光量測定装置1における受光部2R,2G,2Bや、光量測定装置1Aにおける受光部2Ra,2Ga,2Baに代えて、1個の受光部2によって波長範囲Hr,Hg,HbのL=3種類の「測定対象波長範囲」内の被測定光Lを対象とする測定を実行することができるように構成されている。なお、前述した光量測定装置1,1Aの構成要素と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
この場合、この光量測定装置1Bにおける受光部2は、一例として、光入射制限部31(「第2の光入射制限部」の一例)と、光学フィルタ22a〜22dと、光電変換部23a〜23dとを備えて構成された受光センサ20a〜20dを備えている。また、光入射制限部31は、前述した光量測定装置1における受光部2Rの光学フィルタ21(以下、「光学フィルタ21r」ともいう)、受光部2Gの光学フィルタ21(以下、「光学フィルタ21g」ともいう)、および受光部2Bの光学フィルタ21(以下、「光学フィルタ21b」ともいう)と同じ機能のL=3個の光学フィルタ21(光学フィルタ21r,21g,21b)を備えている。
この受光部2では、各光学フィルタ22(各光電変換部23)の光入射面側に光学フィルタ21rを位置させて光学フィルタ21r,22によって各光電変換部23への被測定光Lの入射を制限する状態(「L=3種類の制限状態」のうちの1つ)、各光学フィルタ22(各光電変換部23)の光入射面側に光学フィルタ21gを位置させて光学フィルタ21g,22によって各光電変換部23への被測定光Lの入射を制限する状態(「L=3種類の制限状態」のうちの他の1つ)、および各光学フィルタ22(各光電変換部23)の光入射面側に光学フィルタ21bを位置させて光学フィルタ21b,22によって各光電変換部23への被測定光Lの入射を制限する状態(「L=3種類の制限状態」のうちのさらに他の1つ)の3種類の制限状態に切り替えることができるように構成されている。
これにより、この光量測定装置1B(受光部2)では、各光学フィルタ22(各光電変換部23)の光入射面側に光学フィルタ21rを位置させた状態において、光量測定装置1の受光部2Rにおける各受光センサ20a〜20dから出力される検出信号S1r〜S4rと同じ検出信号S1r〜S4rを受光部2から出力させ、各光学フィルタ22(各光電変換部23)の光入射面側に光学フィルタ21gを位置させた状態において、光量測定装置1の受光部2Gにおける各受光センサ20a〜20dから出力される検出信号S1g〜S4gと同じ検出信号S1g〜S4gを受光部2から出力させ、かつ各光学フィルタ22(各光電変換部23)の光入射面側に光学フィルタ21bを位置させた状態において、光量測定装置1の受光部2Bにおける各受光センサ20a〜20dから出力される検出信号S1b〜S4bと同じ検出信号S1b〜S4bを受光部2から出力させることが可能となっている。
したがって、この光量測定装置1Bにおいても、各検出信号Sに対応する検出信号データD1の値と、係数データD2の値(またはテーブルデータD4の値)とに基づき、波長範囲Hr,Hg,Hb内の被測定光Lについての各種の測定値を高精度に求めることが可能となっている。
このように、この光量測定装置1Bでは、各受光センサ20への被測定光Lの入射を予め規定されたL種類(本例では、L=3種類)の制限状態のいずれかで制限する光入射制限部31を備えて互いに相違するL=3種類の波長範囲Hr,Hg,Hb内の被測定光Lについての「予め規定された測定値」を測定可能に構成され、光入射制限部31が、各制限状態毎に、波長範囲Hr,Hg,Hb内の被測定光Lの光電変換部23に対する入射を許容しつつ、波長範囲Hr,Hg,Hbよりも短い波長の波長範囲Hsr,Hsg,Hsb、および波長範囲Hr,Hg,Hbよりも長い波長の波長範囲Hlr,Hlg,Hlbの両入射規制波長範囲内の被測定光Lの光電変換部23に対する入射を規制する。したがって、この光量測定装置1Bによれば、前述した光量測定装置1,1Aと同様にして、波長が相違するL種類の被測定光Lについての測定値を短時間で高精度に特定することができる。
さらに、L=3種類の波長範囲Hr,Hg,Hb内の被測定光Lについての各種測定値を測定可能にL=3個の受光部2(2a)を備えた光量測定装置1(1A)の構成や、L=3種類の波長範囲Hr,Hg,Hb内の被測定光Lについての各種測定値を測定可能にL=3種類の制限状態に移行可能な受光部2を備えた光量測定装置1Bの構成を例に挙げて説明したが、L=2種類の「測定対象波長範囲」内の被測定光についての各種測定値を測定可能にL=2個の「受光部」を備えた構成、または、L=2種類の「測定対象波長範囲」内の被測定光についての各種測定値を測定可能にL=2種類の制限状態に移行可能な構成や、L≧4種類の「測定対象波長範囲」内の被測定光についての各種測定値を測定可能にL≧4個の「受光部」を備えた構成、または、L≧4種類の「測定対象波長範囲」内の被測定光についての各種測定値を測定可能にL≧4種類の制限状態に移行可能な構成を採用することもできる。また、例えば照明器具等からの光を被測定光Lとして測定するときには、1種類の「測定対象波長範囲」内の被測定光についての各種測定値を測定可能に1個の「受光部」を備えた構成や、「測定対象波長範囲」を切り替えるための制限状態の移行を行わない構成を採用することもできる。
さらに、図示および詳細な説明を省略するが、上記の光量測定装置1Bにおける受光部2の光入射制限部31(光学フィルタ21r,21g,21b)と、前述した光量測定装置1Aにおける受光部2aの各光入射制限部32および各光電変換部23とを組み合わせて「受光部」を構成することもできる。また、受光センサ20a〜20d(20)からの検出信号S(電流信号)を各信号変換部3においてI/V変換した電圧信号の値(検出信号データD1の値)を「受光センサからの検出信号の信号レベル値」の一例として使用する例について説明したが、そのような値に代えて、検出信号S(電流信号)の信号レベルそのものを「信号レベル値」として使用する構成を採用することもできる。