JP2018004031A - 作業車両 - Google Patents

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Yutaka Kajino
楫野  豊
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Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
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Abstract

【課題】従来に比べて車速の迅速な立ち上がりの開始を実現出来る作業車両を提供すること。
【解決手段】エンジンEと、エンジンEからの動力により駆動する前輪4及び後輪5と、クラッチ板間における接続圧力の変化により、エンジンEから前輪及び後輪への動力の伝達を入切する前後進クラッチ48と、前後進クラッチ48の接続圧力を制御する走行制御部120と、前輪又は後輪の速度を検知する車速センサ140と、を備えた乗用型トラクタ1であって、走行制御部120は、動力の伝達を入り状態に切り替える際、接続圧力を基準昇圧カーブ301に基づいて変化させると共に、車速センサ140による検知結果を得て、次回の動力の伝達を入り状態に切り替える際には、得られた検知結果に基づいて1回目の補正後の基準昇圧カーブ302に基づいて、接続圧力を変化させる、ことを特徴とする乗用型トラクタ1である。
【選択図】図5

Description

本発明は、農業用、建築用、運搬用などのトラクタなどの作業車両に関するものである。
従来、エンジンから出力される回転駆動を多段変速装置の複数のギヤを介して適宜減速して駆動輪に伝達し、そのギヤの組み合わせを変更することにより、変速する作業車両の走行伝動装置において、クラッチ圧力を調節可能なクラッチを多段変速装置と直列に設け、変速時にクラッチ圧を下げて、徐々に昇圧することで変速時に車速が急激に変わることによる、変速ショックを軽減する技術が公知である(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−134291号公報
しかし、上記従来の作業車両では、例えば、牽引する負荷の違いなどにより、発進時において、作業者が前後進レバーを中立から前進又は後進に切り替えた時から、作業車両が動き始めるまでの時間、即ち、車速の立ち上がり開始時間が、予め想定された基準時間より長くかかり、車速の迅速な立ち上がりの開始を実現できない場合がある。
本発明は、このような従来の作業車両の課題を考慮し、従来に比べて車速の迅速な立ち上がりの開始を実現出来る作業車両を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
エンジンと、
前記エンジンからの動力により駆動する駆動輪と、
クラッチ板間における接続圧力の変化により、前記エンジンから前記駆動輪への前記動力の伝達を入切するクラッチ装置と、
前記クラッチ装置の前記接続圧力を制御する制御装置と、
前記駆動輪の速度を検知する速度検知部と、を備えた作業車両であって、
前記制御装置は、前記動力の伝達を入り状態に切り替える際、前記接続圧力を所定の基準に基づいて変化させると共に、前記速度検知部による前記検知結果を得て、次回の前記動力の伝達を入り状態に切り替える際には、前記得られた前記検知結果に基づいて補正された前記接続圧力の前記所定の基準に基づいて、前記接続圧力を変化させる、ことを特徴とする作業車両である。
これにより、従来に比べて車速の迅速な立ち上がりの開始を実現出来る。
また、第2の本発明は、
前記制御装置が、前記接続圧力の前記所定の基準を補正する場合、
前記検知結果に基づいて得られる前記駆動輪の所定時期から回転開始までの期間と、予め規定された期間との差分に応じて、前記制御装置が、前記接続圧力を変化させる際の前記所定の基準を補正する、ことを特徴とする上記第1の本発明の作業車両である。
これにより、差分に応じて、所定の基準を補正するので、補正の精度が向上する。
また、第3の本発明は、
前記動力を複数段に変速する変速機構と、
前記制御装置が前記接続圧力の前記所定の基準を補正するときに用いる補正データを、前記複数段の段毎に記憶する記憶部と、
を備えたことを特徴とする上記第2の本発明の作業車両である。
これにより、変速機構の変速段毎に補正データが記憶されるので、変速段に応じた補正が可能となり、補正の精度の向上が図られる。
また、第4の本発明は、
前記クラッチ装置は、供給される油により、前記クラッチ板を可動させ、前記接続圧力が変化する構成であり、
前記油の温度を検知する油温検知部を備え、
前記記憶部には、前記補正データに対応づけて前記油温が記憶されており、
前記制御装置は、前記次回において新たに検知される前記油温が、前記補正データに対応づけて記憶されている前記油温に比べて、所定温度以上低温側に変化していると判定した場合、前記次回の前記動力の伝達を入り状態に切り替える際には、前記記憶部に記憶されている前記補正データを用いずに、前記所定の基準に基づいて、前記接続圧力を変化させると共に、前記速度検知部による前記検知結果を得て、前記得られた検知結果に基づいて前記記憶部に記憶されている前記補正データを更新する、ことを特徴とする上記第3の本発明の作業車両である。
これにより、例えば、冬季において翌日に作業を再開した様な場合は、油温が大きく下がっていることがあり、この様な場合は、記憶部に記憶されている補正データを用いるのではなく、一旦、その補正データを初期値に戻して、補正データを再決定することにより、補正を適切に実行出来る。
また、第5の本発明は、
前記制御装置は、前記次回において新たに検知される前記油温が、所定温度未満であると判定した場合、前記次回の前記動力の伝達を入り状態に切り替える際には、前記記憶部に記憶されている前記補正データを用いずに、前記所定の基準に基づいて、前記接続圧力を変化させる、ことを特徴とする上記第4の本発明の作業車両である。
これにより、例えば、油温が所定温度未満のときは、圧力が高めに出るため、圧力補正を行う必要が無い場合があり、不適切な補正を防止出来る。
本発明によれば、従来に比べて車速の迅速な立ち上がりの開始を実現出来る作業車両を提供することが出来る。
本発明の作業車両の変速制御装置の一例を適用する、作業車両の一例としての乗用型トラクタの全体構成左側面図 図1に示す乗用型トラクタのキャビン内において運転席からステアリングハンドル側を見た概略斜視図 (a):図1に示す乗用型トラクタのキャビン内において運転席の右側に配置された主変速レバー側を見た概略斜視図、(b):図3(a)に示す主変速レバーの変速位置を説明するための模式図 本実施の形態の乗用型トラクタの所定の基準昇圧カーブの補正に関するフロー図 (a)〜(b):本実施の形態の乗用型トラクタの所定の基準昇圧カーブの補正と、車速の立ち上がりの変化の関係を示す図 本実施の形態の乗用型トラクタにおける、記憶部に格納された前進8速用テーブルの一例を説明する模式図 本実施の形態の乗用型トラクタの各部の作動を制御する制御ブロック図 本実施の形態の乗用型トラクタのミッションケース内の変速装置の動力伝達機構を説明する動力伝動線図 本実施の形態の乗用型トラクタの油圧回路を示す概略構成図 本実施の形態の乗用型トラクタの前後進クラッチの断面図 本実施の形態の乗用型トラクタのミッションケース内の変速装置の別の動力伝達機構を示す動力伝動線図
以下、図面を参照しながら、本発明の作業車両の一実施の形態の乗用型トラクタについて説明する。
図1は、本発明の作業車両の一例としての乗用型トラクタ1の全体の概略左側面図である。
また、図2は、図1に示す乗用型トラクタ1のキャビン6内において運転席7からステアリングハンドル8側を見た概略斜視図である。
また、図3(a)は、図1に示す乗用型トラクタ1のキャビン6内において運転席7の右側に配置された主変速レバー15側を見た概略斜視図であり、図3(b)は、主変速レバー15の変速位置を説明するための模式図である。
本実施の形態の乗用型トラクタ1は、図1に示す通り、前部にボンネット2により覆われているエンジンルームが配置され、その内部にはエンジンEが搭載されている。エンジンEの回転動力は、ミッションケース3内の変速装置(図8の動力伝達機構を参照)に伝達され、この変速装置で減速された回転動力が前輪4及び後輪5に伝達されると共に、PTO出力軸111に伝達可能に構成されている。
また、図1に示す通り、車体後部のキャビン6内には運転席7が設置され、その前方には、前輪4,4を操舵するステアリングハンドル8が装備されている。ステアリングハンドル8の前側には、メータパネル9(図2参照)が設置されており、メータパネル9の下側には、操作パネル206(図2参照)が配置されている。乗用型トラクタ1の機体後部に設けられたロアーリンク17には、ロータリ等の作業機Wが連結可能に構成されていると共に、ミッションケース3から後方へ突出するPTO出力軸111によって作業機Wに動力が伝達される構成である。
また、図2に示す通り、ステアリングハンドル8の右側下方にはアクセルペダル10が配置され、その前方には左ブレーキペダル12Lと右ブレーキペダル12Rが配置されている。また、ステアリングハンドル8の左側下方にはクラッチペダル11が配置されている。また、ハンドルポストの左側には前後進レバー14が配置され、右側にはアクセルレバー16が配置されている。
また、図3(a)に示す通り、キャビン6内において運転席7の右側には、主変速レバー15が配置され、その左側には、作業機の昇降を行うポジションコントロールレバー13が配置されている。
図3(b)に示す通り、主変速レバー15はその変速位置に応じて手動変速域15s、中立域15n、オート変速域15dを有し、手動変速域15sでは、手動で1速から8速まで変速することができ、それぞれの変速位置が主変速レバー位置センサ136(図7参照)で検知されて、予め定められた適切なギヤの組み合わせ(変速比)が、後述する走行制御部120(走行系ECU)(図7参照)により自動で選択されて接続される。中立域15nでは、多段変速装置150の動力伝達が遮断される。
また、オート変速域15dに主変速レバー15が操作されているときは、車速とアクセルペダル10の踏み込みに応じて走行制御部120(図9参照)が適切なギヤの組み合わせ(変速比)を選択して接続される。
また、昇圧調整ダイヤル129は運転席右側のレバーガイド上に設けられ、前後進クラッチ48の昇圧特性を調整することにより、変速感度を手動で調整できる構成となっている。昇圧調整ダイヤル129の近傍には、作業機上昇時にPTOを自動で停止する機能の入り切りを切り替えるPTO自動‐手動切換スイッチ222とPTOの入り切りを操作するPTO入り切りスイッチ221がある。
また、本実施の形態の乗用型トラクタ1は、後述するクラッチ板間(図10の内側クラッチ板48bと外側クラッチ板48c参照)の接続圧力の変化により、エンジンEから駆動輪(前輪4及び後輪5)への、前進及び後進の動力の伝達を入切する前後進クラッチ48(図8、図10参照)と、当該前後進クラッチ48のクラッチ板間の接続圧力を、後述する前後進昇圧ソレノイド142(図7参照)に流す電流値を制御することで、任意の圧力に調整する走行制御部120と、車速を検知する車速センサ140と、を備えている。
なお、走行制御部120については、図7を用いて更に後述し、前後進クラッチ48については、図10を用いて更に後述する。
また、走行制御部120は、前後進クラッチ48による動力の伝達を、中立から前進又は後進に切り替える際、クラッチ板間の接続圧力を、後述する不揮発性の記憶部120aに予め格納されている所定の基準昇圧カーブデータ(図5(a)の実線で示した基準昇圧カーブ301参照)に概ね一致させる様に、前後進昇圧ソレノイド142(図7、図9参照)に流す電流値を制御すると共に、車速センサ140による検知結果から得られる車速立ち上がり開始時間(図5(b)の時間t1参照)と、予め設定された車速立ち上がり開始基準時間(図5(b)の時間t0参照)との差分Δtを求めて、当該求めた差分Δtが予め定めた判定基準値としての第1閾値(図4の第1閾値参照)以上である場合、次回において、前後進クラッチ48を中立から前進又は後進に切り替える際には、上述した所定の基準昇圧カーブデータを補正するための上記基準昇圧カーブに対する予め定められた1回の圧力補正量ΔP及び後述する補正回数と、前後進クラッチ48に供給される油の温度を検知する油温センサ133(図7参照)で検知された油温データとを、記憶部120aにおいて、主変速レバー15の変速位置毎に区別して記録する構成である。
また、本実施の形態では、次回において、前後進クラッチ48を中立から前進又は後進に切り替える際に、上記所定の基準昇圧カーブを補正するか否かは、各種条件から走行制御部120が判定する構成である。例えば、次回において前後進クラッチ48を中立から前進又は後進に切り替える際に、油温センサ133により新たに検知される油温データが、記憶部120aに記録されている油温データに比べて、規定温度以上低温側に変化していると走行制御部120が判定した場合、当該次回において、前後進クラッチ48を中立から前進又は後進に切り替える際には、上記所定の基準昇圧カーブの補正は行わず、クラッチ板間の接続圧力を、当該所定の基準昇圧カーブデータに概ね一致させる様に、前後進昇圧ソレノイド142(図7、図9参照)に流す電流値を制御する構成である。
なお、本実施の形態では、上述した予め定められた1回の圧力補正量ΔPを、0.03Kgf/cm2とし、補正回数×1回の圧力補正量ΔP、即ち、基準昇圧カーブに対する圧力補正量の上限を、0.5Kgf/cm2としたが、これに限定されるものではない。
例えば、上記所定の基準昇圧カーブに対して、圧力補正量ΔPを用いて1回目の補正を行っても、まだ上述した差分Δtが上記の第1閾値以上であると走行制御部120が判定した場合は、更にその次に、前後進クラッチ48を中立から前進又は後進に切り替える際、2回目の補正を行う構成であり、補正回数×1回の圧力補正量ΔPが、上述した圧力補正量の上限を越えない範囲で、停止状態から走行を開始する毎に、これらの補正を繰り返す構成である(図4参照)。
なお、本実施の形態の前輪4及び後輪5は、本発明の駆動輪の一例にあたり、本実施の形態の前後進クラッチ48は、本発明のクラッチ装置の一例にあたる。また、本実施の形態の車速センサ140は、本発明の速度検知部の一例にあたる。また、本実施の形態の走行制御部120は、本発明の制御装置の一例にあたり、本実施の形態の記憶部120aは、本発明の記憶部の一例にあたる。また、本実施の形態の1回の圧力補正量ΔPと補正回数は、本発明の補正データの一例にあたる。また、本実施の形態の油温センサ133は、本発明の油温検知部の一例にあたる。
次に、本実施の形態の乗用型トラクタ1の上記所定の基準昇圧カーブの補正に関する、走行制御部120及び各部の動作について、主として図4〜図7を用いて説明する。
図4は、上記所定の基準昇圧カーブの補正に関するフロー図である。
図5(a)、(b)は、上記所定の基準昇圧カーブの補正と、車速の立ち上がりの変化の関係を示す図である。
図5(a)において、実線で示した基準昇圧カーブ301は、前後進レバー14を前進に設定し、且つ、主変速レバー15(図3(a)参照)の変速位置を4速に設定した場合の基準昇圧カーブを示している。図5(a)の基準昇圧カーブ301においては、時間0の時点から時間tSの間は、シリンダ部48hの空間(図10参照)に圧油が満たされるまでの時間であり、その後、時間tEまでは、ほぼ時間の経過に比例して昇圧し、時間tEにおいて急激に圧力が上昇して一定圧力を保つ様に変化する。なお、図5(a)に示した各種昇圧カーブの圧力値(図5(a)の縦軸参照)は、クラッチ板間(図10の内側クラッチ板48bと外側クラッチ板48c参照)の接続圧力を示している。また、図5(b)の縦軸は、乗用型トラクタ1の車速を示している。また、図5(a)、(b)における横軸は、時間軸であり、その時間軸の原点、即ち、時間0の時点は、前後進レバー14(図2参照)が中立位置から前進位置又は後進位置に切り替えられたことを示す、前後進レバー位置センサ130(図7参照)からの検知信号を、走行制御部120が受信した時である。
また、図5(b)において、二点鎖線で示した基準車速立ち上がりカーブ310は、圃場において、負荷が軽い場合であって、前進4速で走行を開始した時の、乗用型トラクタ1の車速の立ち上がりカーブを示しており、図5(b)において、基準車速立ち上がりカーブ310の立ち上がりが開始される時間を、車速立ち上がり開始基準時間と呼ぶものとする。
また、本実施の形態では、昇圧カーブの補正は、図5(a)に示す通り、時間tSから時間tEの間において、1回毎にΔP(約0.03Kgf/cm2)ずつ増加する様に行われる。即ち、図5(a)において、破線で示した1回目の補正後の基準昇圧カーブ302は、基準昇圧カーブ301に対して、ΔPだけ増加されており、一点鎖線で示した2回目の補正後の基準昇圧カーブ303は、基準昇圧カーブ301に対して、ΔP×2だけ増加されている。換言すれば、2回目の補正後の基準昇圧カーブ303は、1回目の補正後の基準昇圧カーブ302から見れば、ΔPだけ増加されているので、1回毎にΔPずつ増加する様に補正が行われるといえる。
この様に、複数回に分けて、ΔPずつ増加する様に補正を行う構成としたことにより、補正回数を複数回に分けずに、補正量を大きくして圧力補正を1回で完了させる場合に比べて、作業者が、車速の立ち上がりの変化に違和感を覚えることを防止できる。
また、図5(b)では、基準昇圧カーブ301により前後進クラッチ48が昇圧されたときの、車速センサ140により検出された車速の立ち上がりカーブ311が実線で示されており、1回目の補正後の基準昇圧カーブ302により前後進クラッチ48が昇圧されたときの、車速の立ち上がりカーブ312が破線で示されており、2回目の補正後の基準昇圧カーブ303により前後進クラッチ48が昇圧されたときの、車速の立ち上がりカーブ313が一点鎖線で示されている。また、図5(b)では、基準昇圧カーブ301を用いたときの車速の立ち上がりカーブ311における車速立ち上がり開始時間をt1で示し、1回目の補正後の基準昇圧カーブ302を用いたときの車速の立ち上がりカーブ312における車速立ち上がり開始時間をt11で示し、2回目の補正後の基準昇圧カーブ303を用いたときの車速の立ち上がりカーブ313における車速立ち上がり開始時間をt12で示した。
図6は、記憶部120aに格納された前進8速用テーブル120bの一例を説明する模式図である。
図6に示す様に、前進8速用テーブル120bには、前進走行における1速から8速の8つの変速位置毎に、補正データとしての圧力補正量ΔP及び補正回数を記録する領域と、油温データを記録する領域と、予め定められた基準昇圧カーブデータを記録する領域と、上述した車速立ち上がり開始基準時間tR1〜tR8を記録する領域とが、それぞれ設けられている。また、記憶部120aは、前進8速用テーブルと同様に、後進8速用テーブルも格納しているが、テーブルの構成は同じであるので、図示は省略した。
また、図6では、前進8速用テーブル120bの、変速位置が4速の欄において、補正データ(圧力補正量と補正回数)の記録内容、及び油温データの記録内容が、それぞれ上書きにより、更新されていく状況を説明するために、便宜上、矢印を用いて、その変化の過程を全て示しているが、実際には更新される前のデータは上記テーブルには残らないものとする。
また、図6の前進8速用テーブルのデータ記載欄は、工場出荷時点において、初期値としての「0」、及び「T0」が記録されており、また、作業者が、操作パネル206に設けられたリセットスイッチ206a(図7参照)を操作することにより、いつでも、初期値に戻す(初期化する)ことが可能である。なお、「T0」は、油温データが記録されていないことを意味する初期値である。
この様に、前進8速用テーブル120b、及び後進8速用テーブル(図示省略)には、各変速位置毎に、補正データなどを記録する構成としたことにより、全ての変速位置において、快適な車速の立ち上がりを実現出来る。
図7は、本実施の形態の乗用型トラクタ1の各部の作動を制御する制御ブロック図である。
以下、前後進クラッチ48に用いる基準昇圧カーブの補正の手順について、主として図4のフロー図を参照しながら説明する。
ここでは、前日に行った作業とは異なり、乗用型トラクタ1の機体後部に設けられたロアーリンク17には、ロータリ作業機W(図1参照)が連結された状態であり、作業者は、当該乗用型トラクタ1のエンジンEを始動させた後、リセットスイッチ206a(図7参照)を押して、記憶部120aに格納されている前進8速用テーブル120b(図6参照)及び後進8速用テーブル(図示省略)の補正データと油温データの記録欄に記録されているデータを全て初期化するものとする。そして、作業者は、主変速レバー15(図3(a)参照)を低速4段、即ち、変速位置を4速に設定して、前後進レバー14(図2参照)を、中立位置(走行停止状態)から前進位置に切り替えて、圃場において前進走行しながらロータリ作業を開始する場面から説明する。
図4において、ステップS10では、走行制御部120は、前後進レバー位置センサ130(図7参照)による検知結果から、前後進レバー14(図2参照)が中立位置から前進位置又は後進位置へ操作されたかどうかを判定し、何れかに操作されていると判定した場合は、ステップS11へ進み、操作されていないと判定した場合は、ステップS10の直前に戻る。ここでは、前後進レバー14が中立位置から前進位置に操作されたことが検知されているものとする。
また、ステップS11では、走行制御部120は、主変速レバー位置センサ136(図7参照)による検知結果から、主変速レバー15(図3(a)参照)の変速位置を検知する。そして、走行制御部120は、検知された変速位置に対応する伝動経路を実現するために、第1主変速第1ソレノイド207、第1主変速第2ソレノイド208,第2主変速第1ソレノイド209、第2主変速第2ソレノイド210、第1Lo側ソレノイド211a、第1Hi側ソレノイド211b、第2Lo側ソレノイド212a、第2Hi側ソレノイド212bのそれぞれのソレノイド(図7、図9参照)に対して、所定の電流を流すか否かを決定し、所定のタイミングで電流を流す。
また、ステップS12では、走行制御部120は、例えば、ステップS11で、主変速レバー15の変速位置が4速であることを検知した場合、ステップS10において、前後進レバー14が中立位置から前進位置に操作されたことが既に検知されているので、記憶部120a(図7参照)に格納されている前進8速用テーブル120b(図6参照)の4速の欄の補正データの記録領域において、初期値以外の補正データ(圧力補正量と補正回数)が記録されているか否かを判定する。
ここでは、リセットスイッチ206aが押された後、始めて走行を開始する場面であるので、該当する記録領域の補正データは全て初期値の0が記録されているため、ステップS14へ進む。
ステップS14では、走行制御部120は、ステップS10において、前後進レバー14が中立位置から前進位置に操作されたことが既に検知されているので、前進切替ソレノイド141F(図7、図9参照)に対して電流を流して油路を中立から前進側に切り替えると共に、前進8速用テーブル120bにおいて、主変速レバー15の変速位置である4速の欄に予め記録されている4速用基準昇圧カーブデータ(図5(a)、図6参照)に、クラッチ板間の接続圧力を概ね一致させる様に、前後進昇圧ソレノイド142(図7、図9参照)に流す電流値を制御する。また、ステップS14では、パラメータkを初期化するために、kに0を代入する。
これにより、クラッチ板間(図10の内側クラッチ板48bと外側クラッチ板48c参照)の接続圧力が、4速用基準昇圧カーブデータ(図6参照)に沿って変化し(図5(a)において実線で示した基準昇圧カーブ301参照)、前輪4及び後輪5がゆっくりと回転を開始する(図5(b)の参照)。
次に、走行制御部120は、ステップS16に進み、車速センサ140が検知した車速データと、油温センサ133が検知した油温データT1を取得して、ステップS17に進み、前進8速用テーブル120b(図6参照)に予め記録されている8種類の車速立ち上がり開始基準時間の中から、該当する車速立ち上がり開始基準時間tR4を読み出して、車速立ち上がり開始時間t1(図5(b)に示された車速の立ち上がりカーブ311参照)との差分Δt=t1−tR4を求める。
次に、走行制御部120は、ステップS18において、差分Δtが、予め定めた判定基準としての第1閾値以上であるか否かを判定し、第1閾値以上であると判定した場合、ステップS19へ進み、第1閾値未満であると判定した場合、ステップS25へ進む。
なお、ステップS25へ進んだ場合は、ステップS16で取得した油温データを、前進8速用テーブル120bの変速位置が4速の欄の対応する記録領域におけるデータに対して上書きし、ステップS22の直前へ進む。
ここでは、第1閾値以上であると判定して、ステップS19へ進み、パラメータkに1を加算して、ステップS20へ進む。
ステップS20では、走行制御部120は、k×1回の圧力補正量ΔPが予め規定されている最大補正量ΔPmaxを越えているか否かを判定し、越えていると判定すると、ステップS26へ進み、越えていないと判定するとステップS21に進む。
なお、ステップS26へ進んだ場合は、ステップS16で取得した油温データを、前進8速用テーブル120bの変速位置が4速の欄の対応する記録領域におけるデータに対して上書きし、ステップS22の直前に進む。
ここでは、k=k+1=0+1=1であるから、k×1回の圧力補正量ΔPは、0.03Kgf/cm2であり、最大補正量ΔPmaxとしての0.5Kgf/cm2を越えていないと判定されて(ステップS20参照)、ステップS21に進む。
ステップS21では、走行制御部120は、ステップS19で得られたパラメータkが示す値である「1」を補正回数として認定し、当該補正回数「1」と、予め規定されている1回の圧力補正量ΔPと、ステップS16で取得した油温データT1とを、前進8速用テーブル120bの変速位置が4速の欄の対応する各種記録領域におけるデータに対して上書きする(図6参照)。
図6では、変速位置が4速の欄において、圧力補正量の「0」が「ΔP」に更新され、補正回数の「0」が「1」に更新され、油温の「T0」が「T1」に更新された状況が矢印で示されている。
次に、走行制御部120は、ステップS22へ進み、前後進レバー位置センサ130の検知結果から、前後進レバー14が中立位置に変更されたか否かを判定し、変更されていないと判定した場合は、ステップS22の直前に戻り、変更されたと判定した場合は、ステップS23へ進む。
ステップS23では、走行制御部120は、エンジン回転センサ121の検知結果を、エンジン制御部190を介して入手して、エンジンEが回転を停止したか否かを判定し、停止したと判定した場合は、ステップS24へ進み、処理を終了し、停止していないと判定した場合は、ステップS10の直前に戻る。
ここでは、作業者が乗用型トラクタ1の走行を一時的に停止させたことにより、走行制御部120が、ステップS22で、前後進レバー14が中立位置に変更されたと判定し、且つ、ステップS23で、エンジンEが停止していないと判定して、ステップS10の直前へ戻った場合について、更に以下に説明する。
なお、作業者は、前後進レバー14を中立位置に切り替えて、一時的に乗用型トラクタ1の走行を停止させた後、しばらくしてから、主変速レバー15の変速位置を4速に維持したまま、再び、前後進レバー14を中立位置から前進位置に切り替えたものとする。
これにより、ステップS10では、前後進レバー14が中立位置から前進位置へ操作されたと判定し、ステップS11へ進み、走行制御部120は、主変速レバー15の変速位置が4速であることを検出する。
次に、走行制御部120は、ステップS12において、記憶部120aの前進8速用テーブル120b(図6参照)の4速の欄の補正データの記録領域において、初期値以外の補正データ(圧力補正量と補正回数)が記録されているか否かを判定し、変速位置が4速の欄において、圧力補正量として「ΔP」が、且つ、補正回数として「1」が記録されているものと判定するので、ステップS13へ進む。
ステップS13では、走行制御部120は、次の各種条件が全て満たされていると判定した場合に限り、ステップS15へ進み補正を行うが、全て満たされていると判定しない場合は、ステップS14へ進み、上記と同じ処理を行う。
即ち、上述した各種条件は、以下に示す(1)〜(5)である。
(1)ステップS13において油温センサ133により新たに検知される油温データが、記憶部120aに格納されているテーブルの、ステップS11で検知された変速位置に該当する欄に記録されている油温データに比べて、規定温度以上低温側に変化していないこと。
具体的には、例えば、ステップS13で新たに検知される油温データ「T2」が、記憶部120aの前進8速用テーブル120bの変速位置が4速の欄に記録されている油温データ「T1」(図6参照)に比べて、規定温度以上低温側に変化していないこと。
この条件を設けた理由は、例えば、冬季において翌日に作業を再開した様な場合は、油温が大きく下がっていることがあり、この様な場合は、記憶部120aに格納されているテーブルに記録されている補正データを用いるのではなく、一旦、その補正データを初期値に戻して、補正データを再決定することが好ましいからである。
(2)ステップS13において油温センサ133により新たに検知される油温データが、20℃以上であること。
この条件を設けた理由は、油温が低いときは、圧力が高めに出るため、圧力補正を行う必要が無い場合があるからである。ここでは、油温が20℃未満であれば、補正を行わず、必要な状況下でのみ補正を行う構成としたことで、より精度の高い補正が行える。なお、実際に作業を始めれば油温は20℃以上となる場合が多い。
(3)走行条件として、(a)と(b)の両方を満足していること。
即ち、(a)副変速レバー(図示省略)が、中立位置以外の路上走行又は作業走行の何れかに位置していること。この条件は、副変速レバーの変速位置を検知する副変速センサ131(図7参照)の検知結果により判定される。
(b)エンジンEから駆動輪までの動力の伝達経路が繋がっていること。この条件は、第1高・低クラッチ24(図8参照)の連結状態を検知する第1Loクラッチ圧力センサ122及び第1Hiクラッチ圧力センサ123(図7参照)の検知結果と、第2高・低クラッチ25の連結状態を検知する第2Loクラッチ圧力センサ124及び第2Hiクラッチ圧力センサ125の検知結果と、前後進クラッチ48の連結状態を検知する前進クラッチ圧力センサ128及び後進クラッチ圧力センサ(図示省略)の検知結果などにより判定される。
この条件を設けた理由は、上記走行条件が満たされていなければ、車速が発生しないため、その様な状況下では圧力補正を実行しない構成とするためである。これにより、誤った圧力補正を防止出来る。
(4)左ブレーキペダル12L、及び右ブレーキペダル12R(図2参照)の何れか一方又は双方が踏み込まれていないこと。
この条件を設けた理由は、発進時において、これらの何れかのブレーキペダルが踏み込まれている状況は、作業者の誤操作等が考えられるため、この様な状況下では、圧力補正を実行しない構成とするためである。これにより、不適切な圧力補正を防止出来る。
(5)パーキングブレーキ(図示省略)が入り状態になっていないこと。
この条件を設けた理由は、発進時において、パーキングブレーキが入り状態にある状況は、パーキングブレーキの解除忘れ等の作業者の誤操作等が考えられるため、この様な状況下では、圧力補正を実行しない構成とするためである。これにより、不適切な圧力補正を防止出来る。
ここでは、走行制御部120は、ステップS13において、上記の(1)〜(5)の条件が全て満たされていると判定して、ステップS15へ進み圧力補正を実行する場合について説明する。
具体的には、ステップS15では、走行制御部120は、ステップS10で、前後進レバー14が中立位置から前進位置に操作されたことが検知されているので、前進切替ソレノイド141F(図7、図9参照)に対して電流を流して油路を中立から前進側に切り替える。そして更に、走行制御部120は、記憶部120aの前進8速用テーブル120bの変速位置が4速の欄に記録されている、圧力補正量の「ΔP」と、補正回数の「1」を読み出し、圧力補正量×補正回数としてのΔP×1を、基準昇圧カーブ301に加算して得られた、1回目の補正後の基準昇圧カーブ302(図5(a)参照)に、クラッチ板間の接続圧力を概ね一致させる様に、前後進昇圧ソレノイド142(図7、図9参照)に流す電流値を制御する。
これにより、クラッチ板間の接続圧力が、基準昇圧カーブ301に比べて、時間tS〜tE期間において、圧力補正量ΔPだけ増加した、1回目の補正後の基準昇圧カーブ302に沿って変化するため(図5(a)参照)、ステップS16では、このときの車速の立ち上がりの変化として、図5(b)に示した、車速の立ち上がりカーブ312の車速データが車速センサ140により検出される。また、このときの油温データも油温センサ133により検出される。
即ち、ステップS16では、走行制御部120は、1回目の圧力補正に基づいた車速データと油温データT2(ここでは、ステップS13で取得した油温データT2と実質的に同じであるとする)を取得し、ステップS17へ進む。
ステップS17では、前進8速用テーブル120b(図6参照)に予め記録されている8種類の車速立ち上がり開始基準時間の中から、該当する車速立ち上がり開始基準時間tR4を読み出して、1回目の圧力補正に基づいた車速立ち上がり開始時間t11(図5(b)に示された車速の立ち上がりカーブ312参照)との差分Δt=t11−tR4を求める。
次に、走行制御部120は、ステップS18において、差分Δtが、予め定めた判定基準としての第1閾値以上であるか否かを判定し、第1閾値以上であると判定した場合、ステップS19へ進み、第1閾値未満であると判定した場合、ステップS22の直前へ進む。ここでは、第1閾値以上であると判定して、ステップS19へ進み、パラメータkに1を加算して、ステップS20へ進む。
ステップS20では、走行制御部120は、k×1回の圧力補正量ΔPが予め規定されている最大補正量ΔPmaxを越えているか否かを判定し、越えていると判定するとステップS26へ進み、越えていないと判定するとステップS21に進む。
ここでは、k=k+1=1+1=2であるから、k×1回の圧力補正量ΔPは、2×0.03Kgf/cm2=0.06Kgf/cm2であり、最大補正量ΔPmaxとしての0.5Kgf/cm2を越えていないと判定されて(ステップS20参照)、ステップS21に進む。
ステップS21では、走行制御部120は、ステップS19で得られたパラメータkが示す値である「2」を補正回数として認定し、当該補正回数「2」と、予め規定されている1回の圧力補正量ΔPと、ステップS16で取得した油温データT2とを、前進8速用テーブル120bの変速位置が4速の欄の対応する各種記録領域におけるデータに対して上書きする(図6参照)。
図6では、変速位置が4速の欄において、圧力補正量の「ΔP」が「ΔP」に更新され、補正回数の「1」が「2」に更新され、油温の「T1」が「T2」に更新された状況が矢印で示されている。
なお、ステップS22〜ステップS24での処理内容は、上述した通りである。
ここでは、上記と同様、作業者が乗用型トラクタ1の走行を一時的に停止させたことにより、処理が、ステップS10の直前へ戻った場合について、更に以下に説明する。
なお、作業者は、前後進レバー14を中立位置に切り替えて、一時的に乗用型トラクタ1の走行を停止させた後、しばらくしてから、主変速レバー15の変速位置を4速に維持したまま、再び、前後進レバー14を中立位置から前進位置に切り替えたものとする。
これにより、ステップS10〜ステップS13では上記と同様の処理が実行される。ステップS13では、各種条件を満たしていると判定されて、ステップS15へ進み圧力補正を実行する場合について説明する。
ステップS15では、走行制御部120は、ステップS10で、前後進レバー14が中立位置から前進位置に操作されたことが検知されているので、前進切替ソレノイド141F(図7、図9参照)に対して電流を流して油路を中立から前進側に切り替える。そして更に、走行制御部120は、記憶部120aの前進8速用テーブル120bの変速位置が4速の欄に記録されている、圧力補正量の「ΔP」と、補正回数の「2」を読み出し、圧力補正量×補正回数としてのΔP×2を、基準昇圧カーブ301に加算して得られた、2回目の補正後の基準昇圧カーブ303(図5(a)参照)に、クラッチ板間の接続圧力を概ね一致させる様に、前後進昇圧ソレノイド142(図7、図9参照)に流す電流値を制御する。
これにより、クラッチ板間の接続圧力が、基準昇圧カーブ301に比べて、時間tS〜tE期間において、圧力補正量ΔP×2だけ増加した、2回目の補正後の基準昇圧カーブ303に沿って変化するため(図5(a)参照)、ステップS16では、このときの車速の立ち上がりの変化として、図5(b)に示した、車速の立ち上がりカーブ313の車速データが車速センサ140により検出される。また、このときの油温データも油温センサ133により検出される。
即ち、ステップS16では、走行制御部120は、2回目の圧力補正に基づいた車速データと油温データT3(ここでは、ステップS13で取得した油温データT3と実質的に同じであるとする)を取得し、ステップS17へ進む。
ステップS17では、前進8速用テーブル120b(図6参照)に予め記録されている8種類の車速立ち上がり開始基準時間の中から、該当する車速立ち上がり開始基準時間tR4を読み出して、1回目の圧力補正に基づいた車速立ち上がり開始時間t11(図5(b)に示された車速の立ち上がりカーブ312参照)との差分Δt=t11−tR4を求める。
次に、走行制御部120は、ステップS18において、差分Δtが、予め定めた判定基準としての第1閾値以上であるか否かを判定する。ここでは、第1閾値未満であると判定して、ステップS25へ進み、ステップS16で取得した油温データT3を、前進8速用テーブル120bの変速位置が4速の欄の対応する記録領域におけるデータに対して上書きし(図6参照)、ステップS22の直前に進む。
図6では、変速位置が4速の欄において、油温の「T2」が「T3」に更新された状況が矢印で示されている。
その後、上述したステップS22〜ステップS23の処理が実行される。
ここでは、ステップS23においてエンジンEが停止したと判定されて、上記一連の処理が終了するものとする(ステップS24参照)。
なお、上記の動作例では、前後進レバー14が中立位置から前進位置に切り替えられた場合について説明したが、前後進レバー14が中立位置から後進位置に切り替えられた場合でも同様の動作が行われる。
これにより、前後進クラッチ48が前進側又は後進側に接続される度に基準昇圧カーブ(図5(a)の符号301参照)を補正出来る様になり、変速位置に応じた最適な昇圧カーブを設定することが出来る。
次に、作業者は、上述した通り、一旦、乗用型トラクタ1のエンジンEを停止させた後、同日、再び、上記と同様の作業を開始した場合について、図4を用いて説明する。
ここでは、乗用型トラクタ1の機体後部に設けられたロアーリンク17には、ロータリ作業機W(図1参照)が連結された状態であり、作業者は、当該乗用型トラクタ1のエンジンEを始動させた後、リセットスイッチ206a(図7参照)を押すことなく、主変速レバー15(図3(a)参照)を低速4段、即ち、変速位置を4速に設定して、前後進レバー14(図2参照)を、中立位置(走行停止状態)から前進位置に切り替えて、圃場において前進走行しながらロータリ作業を開始するものとする。
なお、ここでは、上記の通り、リセットスイッチ206aは押されていないので、記憶部120aに格納されている前進8速用テーブル120b(図6参照)及び後進8速用テーブル(図示省略)の補正データと油温データの記録欄に記録されているデータは初期化されておらず、4速の欄の記録領域において、圧力補正量として「ΔP」が、補正回数として「2」が、油温データとして「T3」が記録されている(図6参照)。
ステップS10〜ステップS11では、上記と同様の処理が実行される。
ステップS12では、走行制御部120は、ステップS10とステップS11での検知結果に基づいて、記憶部120a(図7参照)に格納されている前進8速用テーブル120b(図6参照)の4速の欄の補正データの記録領域において、初期値以外の補正データ(圧力補正量と補正回数)が記録されているか否かを判定する。
即ち、ステップS12での判定の結果、前進8速用テーブル120b(図6参照)の4速の欄の補正データの記録領域において、上述した通り、圧力補正量として「ΔP」が、補正回数として「2」が、油温データとして「T3」が記録されていることが分かるので(図6参照)、ステップS13へ進む。
ステップS13では、上述した処理が行われて、ここでは、補正を実行する旨の判定がされて、ステップS15へ進むものとする。
ステップS15では、走行制御部120は、ステップS10で、前後進レバー14が中立位置から前進位置に操作されたことが検知されているので、前進切替ソレノイド141F(図7、図9参照)に対して電流を流して油路を中立から前進側に切り替える。そして更に、走行制御部120は、記憶部120aの前進8速用テーブル120bの変速位置が4速の欄に記録されている、圧力補正量の「ΔP」と、補正回数の「2」を読み出し、圧力補正量×補正回数としてのΔP×2を、基準昇圧カーブ301に加算して得られた、補正後の基準昇圧カーブ303(図5(a)参照)に、クラッチ板間の接続圧力を概ね一致させる様に、前後進昇圧ソレノイド142(図7、図9参照)に流す電流値を制御する。
これにより、クラッチ板間の接続圧力が、基準昇圧カーブ301に比べて、時間tS〜tE期間において、圧力補正量ΔP×2だけ増加した、補正後の基準昇圧カーブ303に沿って変化するため(図5(a)参照)、ステップS16では、このときの車速の立ち上がりの変化として、図5(b)に示した、車速の立ち上がりカーブ313の車速データが車速センサ140により検出される。また、このときの油温データT4も油温センサ133により検出される。
即ち、ステップS16では、走行制御部120は、補正後の基準昇圧カーブ303に基づいた車速データと油温データT4を取得し、ステップS17へ進む。
ステップS17では、前進8速用テーブル120b(図6参照)に予め記録されている8種類の車速立ち上がり開始基準時間の中から、該当する車速立ち上がり開始基準時間tR4を読み出して、補正後の基準昇圧カーブ303に基づいた車速の立ち上がりカーブ313の車速立ち上がり開始時間t12(図5(b)参照)との差分Δt=t12−tR4を求める。
次に、走行制御部120は、ステップS18において、差分Δtが、予め定めた判定基準としての第1閾値以上であるか否かを判定する。ここでは、第1閾値未満であると判定して、ステップS25へ進み、ステップS16で取得した油温データT4を、前進8速用テーブル120bの変速位置が4速の欄の対応する記録領域におけるデータに対して上書きし(図6参照)、ステップS22の直前に進む。
図6では、変速位置が4速の欄において、油温の「T3」が「T4」に更新された状況が矢印で示されている。
その後、引き続き上述したステップS22〜ステップS23の処理が実行された後、ステップS23においてエンジンEが停止したと判定されるまでは、上記一連の処理(ステップS10〜ステップS23)が繰り返される。
これにより、記憶部120aの前進8速用テーブル120b(図6参照)又は後進8速用テーブル(図示省略)において、対応する変速位置の欄に、補正データ(但し、初期値の0は除く)が記録されている場合は、その記録されている補正データ(圧力補正量と補正回数)を用いて算出された補正後の基準昇圧カーブ(図5(a)の補正後の基準昇圧カーブ303参照)に基づいた車速立ち上がりカーブ、及び車速立ち上がり開始時間(図5(b)の車速の立ち上がりカーブ313、及びその車速立ち上がり開始時間t12参照)を、走行を開始したときから、実現出来る。
従って、例えば、エンジンEを始動させて、走行を開始した場合でも、記憶部120aのテーブル(図6参照)に既に補正データが記録されている場合は、その補正データを直ちに反映させた補正後の基準昇圧カーブに基づいた車速立ち上がりカーブが実現出来るので、最初から最適な車速立ち上がりカーブが得られる。
なお、この場合は、補正を複数回に分けることで、作業者の違和感を生じない様にしながら、最適な車速立ち上がりカーブに徐々に近づけるという補正処理とは異なる。しかし、この場合は、作業者は、記憶部120aのテーブル(図6参照)において補正データが更新された段階で、既に、記録補正後の基準昇圧カーブに基づいた車速立ち上がりカーブを体感しており、その後において、その補正データを直ちに反映させた補正後の基準昇圧カーブに基づいた車速立ち上がりカーブを体感したとしても違和感を覚えることは無い。
次に、図7を用いて、本実施の形態の乗用型トラクタ1の各部の制御信号の流れを説明する。
図7は、乗用型トラクタ1の各部の作動を制御する制御ブロック図である。
図7に示す通り、エンジンEの出力を制御するエンジン制御部190(エンジンECU)と作業機の昇降を制御する作業機昇降制御部180(作業機昇降系ECU)と前輪4と後輪5の回転を制御して走行速度を制御する走行制御部120とで構成し、CAN通信で制御信号の交信を行っている。
エンジン制御部190への制御データの入力は、エンジン回転センサ121からのエンジン出力軸20の回転数と、アクセル操作位置検出センサ195のアクセルペダル10の踏み込みやアクセルレバー16の操作信号等で、エンジン制御部190からの制御出力は、燃料高圧ポンプ(図示省略)へのレール圧と、高圧インジェクタ(図示省略)への噴射信号等である。エンジン制御部190は高圧インジェクタの噴射タイミング、噴射時間等を制御して燃料消費量を制御し、それに対するエンジン回転数などからエンジン負荷率を演算して走行制御部120に送信する。
作業機昇降制御部180のへの制御データの入力は、作業機Wの昇降を行うポジションコントロールレバー13によるポジションコントロールセンサ199からの操作信号と、リフトアームセンサ200からのリフト位置信号と、上げ位置規制ダイヤルと下げ速度調整ダイヤル(図示省略)の調整信号等で、作業機昇降制御部180からの制御出力は、油圧昇降シリンダのメイン上昇ソレノイド204とメイン下降ソレノイド205への上昇信号或は下降信号である。
走行制御部120への制御データの入力は、第1Loクラッチ圧力センサ122と第1Hiクラッチ圧力センサ123と第2Loクラッチ圧力センサ124と第2Hiクラッチ圧力センサ125と前進クラッチ圧力センサ128等の各信号と、前後進レバー14の前後進レバー位置センサ130の操作位置と、副変速レバーの副変速センサ131の操作位置と、主変速レバー15の主変速レバー位置センサ136の操作位置と、ミッションケース内オイルの油温センサ133のオイル温度と、車速センサ140の走行速度と、PTO入り切りスイッチ221の入切信号等である。
走行制御部120からの制御出力は、前進切換ソレノイド141F及び後進切換ソレノイド141Rと、前後進昇圧ソレノイド142と、第1主変速第1ソレノイド207・第1主変速第2ソレノイド208・第2主変速第1ソレノイド209・第2主変速第2ソレノイド210と、第1Lo側ソレノイド211a・第1Hi側ソレノイド211bと、第2Lo側ソレノイド212a・第2Hi側ソレノイド212bと、4WDソレノイド213と、前輪増速ソレノイド214と、PTOクラッチソレノイド216等である。
次に、図8を用いて、本実施の形態の乗用型トラクタ1のミッションケース3内の変速装置の動力伝達機構について説明する。
図8は、本実施の形態の乗用型トラクタ1のミッションケース3内の変速装置の動力伝達機構を説明する動力伝動線図である。
図8に示す通り、エンジンEの出力軸20の回転が入力軸21に伝動され、この入力軸に固着の第1入力ギヤ22と第2入力ギヤ23がそれぞれ第1高・低クラッチ24の第1低速ギヤ26と第2高・低クラッチ25の第2低速ギヤ27及び第1高・低クラッチ24の第1高速ギヤ30と第2高・低クラッチ25の第2高速ギヤ31に噛み合って回転駆動するようになっている。
第1高・低クラッチ24と第2高・低クラッチ25は、同一の油圧多板クラッチで、それぞれ入力軸21の回転を同一減速比で高・低の二段に減速して第1クラッチ軸28と第2クラッチ軸29に伝動することになる。
低速伝動軸34と高速伝動軸32の回転がそれぞれ第1シンクロチェンジ42と第2シンクロチェンジ36に伝動され、第1シンクロ小ギヤ43と第2シンクロ小ギヤ37が第1伝動軸39の第5ギヤ40と噛みあい、第1シンクロ大ギヤ44と第2シンクロ大ギヤ38が第1伝動軸39の第6ギヤ41と噛み合って伝動する。これにより、第1入力軸21の回転が第1伝動軸39で低速4段と高速4段に変速されることになる。
ここまでの多段変速装置150で主変速部を構成し、操縦者が操作する主変速レバー15の変速位置を主変速レバー位置センサ1136が読み取って、走行制御部120で自動的に第1高・低クラッチ24及び第2高・低クラッチ25と、第1シンクロチェンジ42及び第2シンクロチェンジ36を、それぞれ制御して低速4段と高速4段まで変速される。
第1伝動軸39は、第2伝動軸45に連結され、第2伝動軸45には、第7ギヤ46と第8ギヤ47が固着され、前後進クラッチ48の正転クラッチギヤ49と逆転軸52の逆転ギヤ51に噛み合わされ、逆転ギヤ51が逆転クラッチギヤ50と噛み合っている。従って、前後進クラッチ48を正転クラッチギヤ49に繋ぐと、正転状態で副変速軸53に伝動され、前後進クラッチ48を逆転クラッチギヤ50に繋ぐと、逆転状態で副変速軸53に伝動される。
副変速軸53には、第9ギヤ54と第10ギヤ55が固着され、それぞれ第3シンクロチェンジ58の第3シンクロ小ギヤ56と第3シンクロ大ギヤ59に噛み合っている。第3シンクロチェンジ58を第3シンクロ小ギヤ56側に繋ぐと、第9ギヤ54から第3シンクロ小ギヤ56に伝動した回転で第5伝動軸60が増速して高速で駆動され、第3シンクロチェンジ58を第3シンクロ大ギヤ59に繋ぐと、第10ギヤ55から第3シンクロ大ギヤ59に伝動した回転で第5伝動軸60が減速して中速で駆動される。
第3シンクロチェンジ58を中立にすると、第10ギヤ55の回転が第3シンクロ大ギヤ59に伝動され、第3シンクロ大ギヤ59側に固着の第11ギヤ57から第4シンクロ小ギヤ69に伝動されるようになっている。
第4シンクロチェンジ71を第4シンクロ小ギヤ69側に繋ぐと、第4シンクロ小ギヤ69の回転が第16ギヤ74の回転となって低速となり、第4シンクロチェンジ71を第4シンクロ大ギヤ72側に繋ぐと、第4シンクロ小ギヤ69の回転が第15ギヤ70から第17ギヤ75と第18ギヤ76と第4シンクロ大ギヤ72に伝動されて第16ギヤ74が超低速となる。
さらに、第16ギヤ74は、前記第5伝動軸60に固着の第12ギヤ61と噛み合って第5伝動軸60を駆動する。この第5伝動軸60の軸端に固着の第1ベベルギヤ62がリヤベベルギヤケース64の第2ベベルギヤ63と噛み合っていて、リヤベベルギヤケース64のベベル出力軸65から第13ギヤ66と第14ギヤ67を介して後輪出力軸68を回転して後輪5を駆動する。
また、第5伝動軸60には、第21ギヤ117が固着され、副変速軸53に軸支された第3筒軸119に固着の第22ギヤ118と第23ギヤ148を介して第1前輪駆動軸78の第19ギヤ77に伝動して、前記第5伝動軸60の低速16段と高速16段の回転が第1前輪駆動軸78に伝動されている。
この第1前輪駆動軸78から前輪増速クラッチ79を介して第2前輪駆動軸85に伝動し、第3前輪駆動軸86と第4前輪駆動軸87と前輪駆動ベベル軸88に引き継いで伝動し、前輪駆動ベベル軸88の軸端に固着の第1前ベベルギヤ89がフロントベベルケース90の第2フロントベベルギヤ115と噛み合っていて、フロントベベルケース90のフロントベベル出力軸91から第1フロントベベルギヤ92と前輪駆動軸116と第2ベベルギヤ組93を介して前輪出力軸94を回転して前輪4を駆動する。
前輪増速クラッチ79を前輪等速ギヤ82側に接続すると、第1前輪駆動軸78の回転駆動がそのまま第2前輪駆動軸85に伝達されて通常の4輪駆動となり、前輪増速クラッチ79を前輪増速ギヤ84側に接続すると、第1前輪駆動軸78の回転駆動が前輪等速ギヤ82から第一増速ギヤ81、第二増速ギヤ83を介して増速された回転が第2前輪駆動軸85に伝達されて前輪増速4輪駆動となる。さらに前輪増速クラッチ79を中立状態にすると、前輪4に動力は伝達されないため、後輪の2輪駆動となる。
前記第2入力ギヤ23にPTOメインクラッチ97のメインクラッチギヤ96を噛み合わせてPTOメインクラッチ97でPTO出力軸111への動力断続を行うようにしている。
第1PTO軸95には、PTO変速部157が設けられ、第1PTOギヤ98と第2PTOギヤ99と第5シンクロチェンジ151の第5シンクロ小ギヤ100と第5シンクロ大ギヤ101を装着し、第2PTO軸107には、第20ギヤ102と第24ギヤ152と第26ギヤ103と第25ギヤ153を固着し、カウンタ軸106にPTO逆転ギヤ105を軸支している。
第1PTOギヤ98をスライドして第20ギヤ102に噛み合わせると、第2PTO軸107が2速になり、第1PTOギヤ98をスライドして第2PTOギヤ99に係合すると、第1PTO軸95の回転が第2PTOギヤ99と第24ギヤ152を介して第2PTO軸107に伝わって4速となり、第5シンクロチェンジ151を第5シンクロ小ギヤ100に繋ぐと、第5シンクロ小ギヤ100から第26ギヤ103に伝動して1速となり、第5シンクロチェンジ151を第5シンクロ大ギヤ101に繋ぐと、第5シンクロ大ギヤ101から第25ギヤ153に伝動して3速となり、PTO逆転ギヤ105を第1PTOギヤ98と第20ギヤ102に噛み合わせると、第1PTO軸95の回転が第1PTOギヤ98からPTO逆転ギヤ105を経て第20ギヤ102に伝動されて第2PTO軸107に伝わって逆回転となる。
第2PTO軸107の回転は、第3PTO軸156を介して第4PTO軸108に伝動し、第1PTO出力ギヤ109と第2PTO出力ギヤ110でさらに減速してPTO出力軸111を駆動する。
次に、図9を用いて、本実施の形態の乗用型トラクタ1の油圧回路について説明する。
図9は、乗用型トラクタ1の油圧回路を示す概略構成図である。
図9に示す通り、エンジン動力により作動するメインポンプ250とサブポンプ251がミッションケース3内の潤滑油を、サクションフィルタ252を通して吸い上げ、油圧回路内に作動油として圧油が供給される。サブポンプ251からはパワーステアリング装置253に圧油が供給され、前輪4が操作される。パワーステアリング装置253から排出された作動油は、第1高・低クラッチ24、第2高・低クラッチ25、及び前後進クラッチ48の潤滑・冷却用の油として利用され、ミッションケース3内に戻される。
メインポンプ250からは作業機系油圧装置254と走行系油圧装置255に圧油が供給される。主変速レバー15が1速に操作されると、第1主変速第1ソレノイド207に電流が流されてバルブが動き、第1主変速シリンダ256のLo側油室256Lから圧油が抜けて、第1シンクロチェンジ42が第1シンクロ小ギヤ43側に接続される。さらに、第1Lo側ソレノイド211aに電流が流されてバルブが動き、第1高・低クラッチ24の低速側の油室に圧油が供給され、第1低速ギヤ26側に接続される。
主変速レバー15が1速から2速に操作されると、第1主変速第1ソレノイド207の状態は変わらず、第1シンクロチェンジ42が第1シンクロ小ギヤ43側に接続された状態で、第1Lo側ソレノイド211aの電流が停止して、第1Hi側ソレノイド211bに電流が流されてそれぞれのバルブが動き、第1高・低クラッチ24の高速側の油室に圧油が供給され、第1高速ギヤ30側に接続される。
主変速レバー15が2速から3速に操作されると、第1主変速第1ソレノイド207の電流が停止して、第2主変速第1ソレノイド209に電流が流され、第1シンクロチェンジ42の接続が切れて、第2シンクロチェンジ36が第2シンクロ小ギヤ37側に接続される。さらに、第1Hi側ソレノイド211bの電流が停止して第2Lo側ソレノイド212aに電流が流されてそれぞれのバルブが動き、第2高・低クラッチ25の低速側の油室に圧油が供給され、第2低速ギヤ27側に接続される。
以降同様に、4速では第2シンクロ小ギヤ37と第2高速ギヤ31、5速では第1シンクロ大ギヤ44と第1低速ギヤ26、6速では第1シンクロ大ギヤ44と第1高速ギヤ30、7速では第2シンクロ大ギヤ38と第2低速ギヤ27、8速では第2シンクロ大ギヤ38と第2高速ギヤ31がそれぞれ接続されて主変速操作が行われる。
これらの変速時や車両の発進時には前後進クラッチ48の接続圧が調整されて、変速ショックや発進時のショックが抑えられている。前後進レバー14が前進または後進に操作されると、操作位置を前後進レバー位置センサ130が読み取って、前進切換ソレノイド141Fまたは後進切換ソレノイド141Rに電流が流されてバルブが動き、油路が選択される。比例ソレノイドである前後進昇圧ソレノイド142に流される電流の大きさにより前後進リリーフバルブ142aのリリーフ圧を決める流量が調節されることで、前後進油路142bの圧力を任意の圧力に調整できる構成となっている。
次に、図10を用いて、本実施の形態の乗用型トラクタ1の前後進クラッチ48について説明する。
図10は前後進クラッチ48の断面図である。
図10に示す通り、前後進クラッチ48において、正転クラッチギヤ49と一体になっているクラッチ軸48aは第二軸受B1及び第三軸受B2により副変速軸53に回動自在に支持されており、後部には複数の内側クラッチ板48bを有している。クラッチ軸48aの後部はクラッチケース48dで覆われており、クラッチケース48dの前部内側に固定されている押え板48eが複数の内側クラッチ板48bの前端の前方に位置している。
クラッチケース48d内部の内側には複数の外側クラッチ板48cが内側クラッチ板48bどうしの間に挟まれるように交互に配置されおり、内側クラッチ板48bは内側に複数の歯を有しているためクラッチ軸48aと一体となって回転し、外側クラッチ板48cは外側に複数の歯を有しているためクラッチケース48dと一体となって回転する。
クラッチケース48dの内部でクラッチ軸48aの後部にはクラッチピストン48fを有し、ばね48gにより後方へ付勢されていて、クラッチピストン48fの後部は圧油が供給されるシリンダ部48hの空間がある。前後進クラッチ48はシリンダ部48hに圧油が供給され、その圧力がばね48gの弾性力を上回るとクラッチピストン48fが前進し、内側クラッチ板48bと外側クラッチ板48cを押え板48eとの間で挟圧する。挾圧された内側クラッチ板48bと外側クラッチ板48cは摩擦により互いに駆動力を伝達するようになり、正転クラッチギヤ49から伝達してきた駆動力がクラッチケース48dに伝達され、クラッチケース48dにスプライン嵌合している副変速軸53が回転する。
シリンダ部48hに圧油が供給されず、圧力がかかっていない状態では、クラッチピストン48fはばね48gの弾性力によって後方に押されるため、内側クラッチ板48bと外側クラッチ板48cは挾圧されない。この状態では内側クラッチ板48b及び外側クラッチ板48cは互いに駆動力を伝達しないので、前後進クラッチ48は動力伝達を遮断した状態となり、正転クラッチギヤ49が回転しても、副変速軸53は回転しない。クラッチケース48dを挟んで反対側には逆転クラッチギヤ50が備えられ、同様の構成で後進側動力の伝達、遮断が行われる。
なお、第1高・低クラッチ24、第2高・低クラッチ25、前輪増速クラッチ79も同様の構成のものが用いられており、PTOメインクラッチ97はこの片側半分の構成のものが用いられている(図8参照)。
なお、上記実施の形態では、作業者がリセットスイッチ206aを押すことにより、補正データと油温データの記録欄に記録されているデータを全て初期化する場合について説明したが、これに限らず例えば、補正データのみ初期化する構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、直前までの作業と異なる作業を開始する場合、リセットスイッチ206aを押して、記憶部120aのテーブルの補正データを全て初期化する場合について説明したが、これに限らず例えば、記憶部120aのテーブルを作業内容毎に予め用意しておき、作業内容毎にテーブルを選択出来るテーブル選択スイッチ(図示省略)を操作パネル206上に備えた構成としても良い。これにより、作業内容が変更された場合でも、過去の補正データが維持される。
また、上記実施の形態では、作業者は、例えば、直前までの作業と異なる作業を開始する場合、リセットスイッチ206aを押して、記憶部120aのテーブルの補正データを全て初期化することで、圧力補正を複数回に分けて、最適な車速立ち上がりカーブに徐々に近づけるという補正処理の手順を選択出来る構成について説明した。しかし、これに限らず例えば、リセットスイッチ206aは、前後進クラッチ48の初期調整を行った場合において、補正データをリセットするために使用することが好ましい。ここで、前後進クラッチ48の初期調整とは、作業者が、メータパネル9を見ながら入力スイッチ1001を操作して、前後進クラッチ48のイニシャル時間(クラッチのシリンダ部48hが作動油で満たされるまでの時間)の調整を行うことである。
また、上記実施の形態では、記憶部120aに格納されたテーブルは、前進用と後進用の2種類であったが、これに限らず例えば、走行負荷の大小に応じて使い分けが出来るテーブルを予め備えた構成であっても良い。この場合、ロアーリンク17にドラフトセンサ1000(図7参照)を設け、ドラフトセンサ1000により検出される牽引荷重により牽引作業中か否かを判定し、それぞれの場合において、自動的にテーブルを使い分けることで、より精度の良い、快適な車速立ち上がりカーブを実現出来る。
また、上記実施の形態では、基準昇圧カーブは、前進時の1速から8速、及び、後進時の1速から8速の、それぞれの変速位置に対して予め設定されていたが、これに限らず例えば、副変速センサ131が検知する変速位置との組み合わせを含めて基準昇圧カーブを予め設定してもよい。すなわち、副変速レバー(図示省略)が4段に変速されるのであれば、前後進2×主変速8段×副変速4段=全64段の変速についてそれぞれ基準昇圧カーブを予め設定する構成としてもよい。
また、上記実施の形態では、前後進レバー14を切り替えたことによる前後進クラッチ48の昇圧カーブの圧力補正について説明したが、これに限らず例えば、クラッチペダル11(図2参照)の踏み込み及び開放により前後進クラッチ48の昇圧カーブの圧力補正を行う構成であっても良い。即ち、クラッチペダル11の踏み込み時に前後進クラッチ48を遮断し、その後、クラッチペダル11を放すと、前後進レバー14を操作することによる発進時と同様の昇圧制御が行われる構成であるため、この昇圧制御に際して、図4で説明した圧力補正の処理を実行する構成としても良い。
また、上記実施の形態では、正転クラッチギヤ49及び逆転クラッチギヤ50が駆動系、シリンダ部48hを含むクラッチケース48dが従動系であるため(図8参照)、圧力補正においてエンジンEの回転数を考慮しない構成について説明したが、これに限らず例えば、前後進クラッチ45が第2伝動軸45に設けられた構成(図11参照)であれば、補正の要否を決める車速の立ち上がり開始時間の基準時間を、エンジンEの回転数に応じて変更する構成であっても良い。これにより、前後進クラッチ48のシリンダ部48h内の油に働く遠心力の作用により、エンジンEの回転数が高い程、クラッチ板同士の繋がりが早くなるという特性を考慮できる。なお、図11は、図8に示した動力伝達機構とは別の動力伝達機構を示す動力伝動線図である。
また、上記実施の形態では、前後進クラッチ48の昇圧カーブを補正する場合について説明したが、これに限らず例えば、動力伝達機構内のクラッチであって、そのクラッチ板間の接続圧力を制御することで動力の接続と遮断を行うクラッチであれば、その昇圧カーブを補正する場合に上記構成を適用しても良い。
また、上記実施の形態では、図5(a)、(b)の時間軸の原点は、前後進レバー14(図2参照)が中立位置から前進位置又は後進位置に切り替えられたことを示す、前後進レバー位置センサ130(図7参照)からの検知信号を、走行制御部120が受信した時である場合について説明したが、これに限らず例えば、時間軸の原点は、前後進昇圧ソレノイド142(図7、図9参照)に電流が流れ始めた時としても良いし、或いは、前後進クラッチ48のクラッチ板間に接続圧力がかかり始めた時としても良く、原点の定め方はこれらに限定されない。
また、上記実施の形態では、ステップS13において、補正を実行するための条件として(1)〜(5)を満たしていることを規定した場合について説明したが、これに限らず例えば、副変速レバー(図示省略)の変速位置を検知する副変速センサ131(図7参照)の検知結果に変化が無いこと、又は、牽引荷重により牽引作業中か否かを判定するドラフトセンサ1000の判定結果に変化が無いこと、記憶部120aに記録されている補正データが、走行開始の日と同日に記録されたデータであること、等が挙げられる。
また、上記実施の形態では、ステップS18において、差分Δtが第1閾値以上であって、ステップS20において、基準昇圧カーブからの補正量が予め定めた最大補正量ΔPmaxを越えない範囲で補正を繰り返す場合について説明したが、これに限らず例えば、ステップS20での補正の制限基準として、補正回数(パラメータk)が所定回数を越えない範囲として規定しても良い。
また、上記実記の形態では、記憶部120aの前進用と後進用のテーブル(図6参照)を、変速位置毎に、補正データとしての圧力補正量ΔP及び補正回数を記録する領域と、油温データを記録する領域と、予め定められた基準昇圧カーブデータを記録する領域と、車速立ち上がり開始基準時間tR1〜tR8を記録する領域とが、それぞれ設けられている場合について説明したが、これに限らず例えば、予め定められた基準昇圧カーブデータ及び車速立ち上がり開始基準時間tRは、変速位置に関わらず1種類しか有していない構成とし、且つ、記憶部120aの前進用と後進用のテーブルは、これら各種データを変速位置に関わらず、即ち、変速位置を区別すること無く記録する構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、記憶部120aに前進用と後進用のテーブル(図6参照)を区別して備えた場合について説明したが、これに限らず例えば、前進用と後進用のテーブルを区別せずに共通テーブルとして備えた構成であっても良い。
本発明は、従来に比べて車速の迅速な立ち上がりの開始を実現出来るので、農業用、建築用、運搬用などのトラクタなどの作業車両として有用である。
1 乗用型トラクタ
2 ボンネット
3 ミッションケース
4 前輪
5 後輪
6 キャビン
10 アクセルペダル
14 前後進レバー
15 主変速レバー
48 前後進クラッチ
120 走行制御部
120a 記憶部
120b 前進8速用テーブル
180 作業機昇降制御部
190 エンジン制御部

Claims (5)

  1. エンジンと、
    前記エンジンからの動力により駆動する駆動輪と、
    クラッチ板間における接続圧力の変化により、前記エンジンから前記駆動輪への前記動力の伝達を入切するクラッチ装置と、
    前記クラッチ装置の前記接続圧力を制御する制御装置と、
    前記駆動輪の速度を検知する速度検知部と、を備えた作業車両であって、
    前記制御装置は、前記動力の伝達を入り状態に切り替える際、前記接続圧力を所定の基準に基づいて変化させると共に、前記速度検知部による前記検知結果を得て、次回の前記動力の伝達を入り状態に切り替える際には、前記得られた前記検知結果に基づいて補正された前記接続圧力の前記所定の基準に基づいて、前記接続圧力を変化させる、ことを特徴とする作業車両。
  2. 前記制御装置が、前記接続圧力の前記所定の基準を補正する場合、
    前記検知結果に基づいて得られる前記駆動輪の所定時期から回転開始までの期間と、予め規定された期間との差分に応じて、前記制御装置が、前記接続圧力を変化させる際の前記所定の基準を補正する、ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
  3. 前記動力を複数段に変速する変速機構と、
    前記制御装置が前記接続圧力の前記所定の基準を補正するときに用いる補正データを、前記複数段の段毎に記憶する記憶部と、
    を備えたことを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
  4. 前記クラッチ装置は、供給される油により、前記クラッチ板を可動させ、前記接続圧力が変化する構成であり、
    前記油の温度を検知する油温検知部を備え、
    前記記憶部には、前記補正データに対応づけて前記油温が記憶されており、
    前記制御装置は、前記次回において新たに検知される前記油温が、前記補正データに対応づけて記憶されている前記油温に比べて、所定温度以上低温側に変化していると判定した場合、前記次回の前記動力の伝達を入り状態に切り替える際には、前記記憶部に記憶されている前記補正データを用いずに、前記所定の基準に基づいて、前記接続圧力を変化させると共に、前記速度検知部による前記検知結果を得て、前記得られた検知結果に基づいて前記記憶部に記憶されている前記補正データを更新する、ことを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
  5. 前記制御装置は、前記次回において新たに検知される前記油温が、所定温度未満であると判定した場合、前記次回の前記動力の伝達を入り状態に切り替える際には、前記記憶部に記憶されている前記補正データを用いずに、前記所定の基準に基づいて、前記接続圧力を変化させる、ことを特徴とする請求項4に記載の作業車両。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019173809A (ja) * 2018-03-27 2019-10-10 井関農機株式会社 作業車両
JP2020085047A (ja) * 2018-11-19 2020-06-04 本田技研工業株式会社 変速ギヤの支持構造

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