JP2018003285A - 作業機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】操作に対する応答性の低下を抑制する。【解決手段】パイロットライン51b1等に設けた減圧用の比例電磁弁61b,62a,62b,63a,63bを制御してフロント作業装置20の動作を制限する制限指令値を演算するフロント制御部120を備えた作業機械において、比例電磁弁の最大開度及び最小開度の間で設定した中間開度に対応する励磁電流である待機指令値i2を記憶した待機指令値記憶部145と、フロント制御部120から制限指令値が入力されているか否かを判定する入力判定部131と、入力判定部131で制限指令値が入力されていると判定された場合は制限指令値を、入力されていないと判定された場合は待機指令値記憶部から読み出した待機指令値i2を比例電磁弁に対する指令値として決定する指令値決定部137と、指令値決定部137で決定した指令値を基に比例電磁弁に指令信号を出力する出力部170とを備える。【選択図】 図6

Description

本発明は、例えば領域制限掘削制御を行うフロント制御部を備えた作業機械に関する。
油圧ショベル等の作業機械では一般に複数の操作レバー装置を複合操作してフロント作業装置を動作させるが、所定領域内でフロント作業装置を動作させて掘削目標面を越えて掘削しないように巧みに操作レバー装置を操ることは不慣れな操作者には難度が高い。
近年、バケット位置等を基にフロント作業装置の動作を制限するフロント制御を実施する作業機械の活躍の場が広がりつつある。フロント制御が働くと、掘削目標面の下側を掘削しないようにフロント作業装置の動作が制限される。関連技術として、特許文献1には、操作レバー装置のパイロットラインに比例電磁弁を設け、フロント作業装置の速度が制限値を超えないように操作レバー装置から出力された油圧信号を比例電磁弁で減圧する技術が提唱されている。
特許第3091667号公報
フロント制御用にパイロットラインに設けた比例電磁弁は、例えばバケット等が掘削目標面に接近する状況で油圧信号の最大値を制限するのに用いられる。従って、掘削目標面付近にバケットがある場面で必ずしも圧力信号を制限すべく比例電磁弁が絞り込まれる訳ではない。しかし、掘削目標面付近で小刻みな操作や急操作がなされる場合もある。このような場合、仮に比例電磁弁を最小開度で待機させておくことにすると、比例電磁弁を全開にする操作が次になされた場合、最小開度から最大開度まで一気にスプールを駆動させることになり、操作に対する応答性が低下し得る。
本発明の目的は、操作に対する応答性の低下を抑制することができる作業機械を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、車体、前記車体に設けたフロント作業装置、前記フロント作業装置を駆動する複数の油圧アクチュエータ、前記フロント作業装置の姿勢を検出する姿勢検出器、前記油圧アクチュエータを駆動する作動油を吐出する油圧ポンプ、前記油圧ポンプから対応する油圧アクチュエータに供給される作動油の流れを制御する複数のコントロールバルブ、対応する油圧アクチュエータの動作を指示する油圧信号を操作に応じて生成する操作レバー装置、前記操作レバー装置に作動油を供給するパイロットポンプ、前記操作レバー装置及び対応するコントロールバルブの油圧駆動部を接続する複数のパイロットライン、前記複数のパイロットラインのうち少なくとも1つに設けた比例電磁弁、並びに前記姿勢検出器の検出信号を基に前記比例電磁弁を制御して前記フロント作業装置の動作を制限する制限指令値を演算するフロント制御部を備えた作業機械において、前記比例電磁弁の最大開度及び最小開度の間で設定した中間開度に対応する励磁電流である待機指令値を記憶した待機指令値記憶部と、前記フロント制御部から前記制限指令値が入力されているか否かを判定する入力判定部と、前記入力判定部で前記制限指令値が入力されていると判定された場合は前記制限指令値を、入力されていないと判定された場合は前記待機指令値記憶部から読み出した前記待機指令値を前記比例電磁弁に対する指令値として決定する指令値決定部と、前記指令値決定部で決定した前記指令値を基に前記比例電磁弁に指令信号を出力する出力部とを備える。
本発明によれば、操作に対する応答性の低下を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る作業機械である油圧ショベルの外観を表す斜視図である。 図1に示した油圧ショベルに備えられた油圧駆動装置をコントローラユニットとともに示す図である。 図1に示した油圧ショベルに備えられたフロント制御用油圧ユニットの油圧回路図である。 本発明の一実施形態に係る作業機械に備えられたコントローラユニットの機能ブロック図である。 図4に示したコントローラユニットに備えられた指令値制御部の機能ブロック図である。 図1に示した油圧ショベルに備えられた減圧用の比例電磁弁の指令信号と開度との関係を表す特性図である。 図1に示した油圧ショベルに備えられた増圧用の比例電磁弁の指令信号と開度との関係を表す特性図である。 図5に示した指令値制御部に備えられた距離演算部によるフロント作業装置の特定点と掘削目標面との距離の演算方法の説明図である。 図5に示した指令値制御部による指令信号の決定手順を表すフローチャートである。
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
1.作業機械
図1は本発明の一実施形態に係る作業機械の外観を表す斜視図である。本実施形態ではフロント作業装置の先端のアタッチメントとしてバケットを装着した油圧ショベルを作業機械の例として説明する。但し、バケット以外のアタッチメントを備える油圧ショベルやブルドーザ等の他種の作業機械にも本発明は適用され得る。以降、運転席に着いた操作者から見て前側(図1中の左上側)、後側(同右下側)、左側(同左下側)、右側(同右上側)を油圧ショベルの前、後、左、右とし、それぞれ単に前側、後側、左側、右側と記載する。
同図に示した油圧ショベルは、車体10及びフロント作業装置20を備えている。車体10は、下部走行体11及び上部旋回体12を備えている。
下部走行体11は、本実施形態では無限軌道履帯を有する左右のクローラ(走行駆動体)13を備えており、左右の走行モータ35により左右のクローラ13をそれぞれ駆動することで走行する。走行モータ35には例えば油圧モータが用いられる。
上部旋回体12は、下部走行体11上に旋回装置(不図示)を介して旋回可能に設けた旋回体である。上部旋回体12の前部(本実施形態では前部左側)には、操作者が搭乗する運転室14が設けられている。上部旋回体12における運転室14の後側には、エンジンや油圧駆動装置等を収容した動力室15が、最後部には機体の前後方向のバランスを調整するカウンタウェイト16が搭載されている。上部旋回体12を下部走行体11に対して連結する旋回装置には旋回モータ34(図2)が含まれており、旋回モータ34によって下部走行体11に対して上部旋回体12が旋回駆動される。旋回モータ34には例えば油圧モータが用いられる。
フロント作業装置20は土砂の掘削等の作業を行うための装置であり、上部旋回体12の前部(本実施形態では運転室14の右側)に設けられている。このフロント作業装置20は、ブーム21、アーム22及びバケット23を備えた多関節型の作業装置である。ブーム21は、左右に延びるピン(不図示)によって上部旋回体12のフレームに連結され、またブームシリンダ31によっても上部旋回体12と連結されている。ブームシリンダ31の伸縮に伴って上部旋回体12に対してブーム21が上下に回動する構成である。アーム22は、左右に延びるピン(不図示)によってブーム21の先端に連結され、またアームシリンダ32によってもブーム21と連結されている。アームシリンダ32の伸縮に伴ってブーム21に対してアーム22が回動する構成である。バケット23は、水平左右に延びるピン(不図示)によってアーム22の先端に連結され、またバケットシリンダ33によってもアーム22と連結されている。バケットシリンダ33の伸縮に伴ってアーム22に対してバケット23が回動する構成である。ブームシリンダ31、アームシリンダ32及びバケットシリンダ33はフロント作業装置20を駆動する油圧シリンダである。
また、油圧ショベルには、位置や姿勢に関する情報を検出する検出器が適所に設けられている。例えば、ブーム21、アーム22及びバケット23の各回動支点にはそれぞれ角度検出器8a〜8cが設けられている。角度検出器8a〜8cは、フロント作業装置20の位置と姿勢に関する情報を検出する姿勢検出器として用いられ、それぞれブーム21、アーム22及びバケット23の回動角を検出する。その他、上部旋回体12には、傾斜検出器8d、測位装置9a,9b(図4)、無線機9c(図4)、油圧駆動装置30(図2)、コントローラユニット100(図4等)が備えられている。傾斜検出器8dは、上部旋回体12の前後方向及び左右方向の少なくとも一方の傾斜を検出する上部旋回体12の姿勢検出手段として用いられる。測位装置9a,9bには例えばRTK−GNSS(Real Time Kinematic - Global Navigation Satellite System)が用いられ、測位装置9a,9bによって車体10の位置情報が取得される。無線機9cは、基準局GNSS(不図示)からの補正情報を受信するものである。測位装置9a,9b及び無線機9cは上部旋回体12の位置や向きを検出する手段である。更には、運転室14内の操作パネル(不図示)や操作レバー装置51〜54(図2等)のいずれか1つのレバー部には、フロント制御部120の制御を入り切りするスイッチ7(図3参照)が設けられている。油圧駆動装置30やコントローラユニット100については次に説明する。
2.油圧駆動装置
図2は図1に示した油圧ショベルに備えられた油圧駆動装置をコントローラユニットとともに示す図である。説明済みのものについては、同図において既出図面と同符号を付して説明を省略する。
油圧駆動装置30は、油圧ショベルの被駆動部材を駆動する装置であって動力室15に収容されている。被駆動部材には、フロント作業装置20(ブーム21、アーム22及びバケット23)並びに車体10(クローラ13及び上部旋回体12)が含まれる。この油圧駆動装置30は、油圧アクチュエータ31〜34、油圧ポンプ36、コントロールバルブ41〜44、パイロットポンプ37、操作レバー装置51〜54、フロント制御用油圧ユニット60等を含んでいる。
2−1.油圧アクチュエータ
油圧アクチュエータ31〜34は、ブームシリンダ31、アームシリンダ32、バケットシリンダ33及び旋回モータ34の総称である。走行モータ35は図2では図示省略してある。ブームシリンダ31、アームシリンダ32、バケットシリンダ33及び旋回モータ34のうち複数を挙げる場合に、「油圧アクチュエータ31〜34」、「油圧アクチュエータ31,32」等と総称で記載する場合がある。油圧アクチュエータ31〜35は、油圧ポンプ36から吐出される作動油により駆動される。
2−2.油圧ポンプ
油圧ポンプ36は油圧アクチュエータ31〜34等を駆動する作動油を吐出する可変容量型ポンプであり、原動機17により駆動される。本実施形態における原動機17は内燃機関等の燃焼エネルギーを動力に変換するエンジンである。図2では油圧ポンプ36を1個のみ図示しているが、複数個設けられる場合もある。油圧ポンプ36から吐出された作動油は吐出配管36aを流れ、コントロールバルブ41〜44を経由してそれぞれ油圧アクチュエータ31〜34に供給される。油圧アクチュエータ31〜34からの各戻り油は、それぞれコントロールバルブ41〜44を介して戻り油配管36bに流れ込んでタンク38に戻される。吐出配管36aには、吐出配管36aの最高圧力を規制するリリーフ弁(不図示)が設けられている。図2では図示していないが走行モータ35も同様の回路構成で駆動される。下部走行体11の前後の少なくとも一方に排土板を設けた場合、ブレーカ等のアクチュエータを持つアタッチメントをバケット23に代えてフロント作業装置20に装着した場合には、排土板やアタッチメントの油圧アクチュエータも同様の回路構成で駆動される。
2−3.コントロールバルブ
コントロールバルブ41〜44のうち、コントロールバルブ41はブームシリンダ用、コントロールバルブ42はアームシリンダ用、コントロールバルブ43はバケットシリンダ用、コントロールバルブ44は旋回モータ用である。走行モータ用のコントロールバルブは図示省略してある。コントロールバルブ41〜44は油圧ポンプ36から対応する油圧アクチュエータに供給される作動油の流れ(方向及び流量)を制御する油圧駆動式の流量制御弁であり、それぞれ油圧信号が入力される油圧駆動部45,46を備えている。コントロールバルブ41〜44は油圧駆動部45又は46に油圧信号が入力されると図中で左行又は右行し、油圧信号の入力が停止されるとバネの力で中立位置に復帰する構成である。例えばブームシリンダ用のコントロールバルブ41の油圧駆動部45に油圧信号が入力されると、図2においてコントロールバルブ41のスプールが油圧信号の大きさに応じた距離だけ右行する。これにより、油圧信号に応じた流量でブームシリンダ31のボトム側油室に油圧ポンプ36からの作動油が供給され、油圧信号の大きさに応じた速度でブームシリンダ31が伸長しブーム21が上がる。
2−4.パイロットポンプ
パイロットポンプ37はコントロールバルブ41〜44等の制御弁を駆動する作動油を吐出する固定容量型ポンプであり、油圧ポンプ36と同じく原動機17により駆動される。このパイロットポンプ37の吐出配管であるポンプライン37aはロック弁39を通った後、複数に分岐して操作レバー装置51〜54及びフロント制御用油圧ユニット60の各弁に接続している。このポンプライン37aを介してパイロットポンプ37から吐出された作動油が操作レバー装置51〜54に供給される。分岐した複数のポンプライン37aは、特定のコントロールバルブ(本実施形態ではコントロールバルブ41,43)の油圧駆動部に接続している。
なお、ロック弁39は本例では電磁切換弁であり、その電磁駆動部は運転室14(図1)に配置されたゲートロックレバー(不図示)の位置検出器と電気的に接続している。ゲートロックレバーは寝かせた閉鎖姿勢で操作者の降車を妨げるように運転席の乗降側に設置されたバーであり、降車するにはゲートロックレバーを引き上げて運転席に対する乗降部を開放しなければならないようになっている。ゲートロックレバーのポジションとして、寝かせた姿勢を操作系の「ロック解除位置」、引き上げた姿勢を操作系の「ロック位置」と記載する。ゲートロックレバーのポジションは位置検出器で検出され、位置検出器からロック弁39に対してゲートロックレバーのポジションに応じた信号が入力される。ゲートロックレバーがロック位置にあればロック弁39が閉じてポンプライン37aが遮断され、ロック解除位置にあればロック弁39が開いてポンプライン37aが開通する。ポンプライン37aが遮断された状態では、操作レバー装置51〜54の元圧が断たれるので、操作の有無に関わらずコントロールバルブ41〜44には油圧信号が入力されなくなる。つまり操作レバー装置51〜54による操作が無効化され、旋回や掘削等の動作が禁止される。
2−5.操作レバー装置
操作レバー装置51〜54は、それぞれ対応する油圧アクチュエータ31〜34の動作を指示する油圧信号を操作に応じて生成し出力するレバー操作式の操作装置であり、運転室14(図1)に備えられている。操作レバー装置51〜54のうち、操作レバー装置51はブーム操作用、操作レバー装置52はアーム操作用、操作レバー装置53はバケット操作用、操作レバー装置54は旋回操作用である。油圧ショベルの場合、一般に操作レバー装置51〜54は十字操作式のレバー装置であり、前後方向への傾倒操作で1つの油圧アクチュエータの動作を、左右方向への傾倒操作で別の油圧アクチュエータの動作を指示できる構成となっている。従って、4つの操作レバー装置51〜54は2つずつ2つのグループに区分され、各グループで1本のレバー部を共用する。従って、操作レバー装置51〜54のレバー部は右手操作用と左手操作用の合計2本であり、前述したスイッチ7をレバー部に設ける場合、2本のレバー部のうちの少なくとも一方に設けることになる。走行用の操作レバー装置は図示省略してある。
ブーム操作用の操作レバー装置51は、ブーム上げ指令用の信号出力弁51a及びブーム下げ指令用の信号出力弁51bを備えている。信号出力弁51a,51bの入力ポート(一次側ポート)にはポンプライン37aが接続している。ブーム上げ指令用の信号出力弁51aの出力ポート(二次側ポート)はパイロットライン51a1,51a2を介してブームシリンダ用のコントロールバルブ41の油圧駆動部45に接続している。ブーム下げ指令用の信号出力弁51bの出力ポートはパイロットライン51b1を介してコントロールバルブ41の油圧駆動部46に接続している。例えば操作レバー装置51をブーム上げ指令側に倒すと信号出力弁51aが操作量に応じた開度で開く。これによりポンプライン37aから入力されたパイロットポンプ37の吐出する作動油が、信号出力弁51aで操作量に応じて減圧されてコントロールバルブ41の油圧駆動部45に対する油圧信号として出力される。なお、パイロットライン51a1,51b1にはそれぞれ圧力検出器6a,6bが設けられており、信号出力弁51a,51bが出力する圧力信号の大きさ(圧力値)が圧力検出器6a,6bで検出されるようになっている。
同様に、アーム操作用の操作レバー装置52は、アームクラウド指令用の信号出力弁52a及びアームダンプ指令用の信号出力弁52bを備えている。バケット操作用の操作レバー装置53は、バケットクラウド指令用の信号出力弁53a及びバケットダンプ指令用の信号出力弁53bを備えている。旋回操作用の操作レバー装置54は、右旋回指令用の信号出力弁54a及び左旋回指令用の信号出力弁54bを備えている。信号出力弁52a,52b,53a,53b,54a,54bの入力ポートは、ポンプライン37aに接続している。アーム操作用の操作レバー装置52の信号出力弁52a,52bの出力ポートは、それぞれパイロットライン52a1,52b1を介してアームシリンダ用のコントロールバルブ42の油圧駆動部45,46に接続している。バケットクラウド指令用の信号出力弁53aの出力ポートは、パイロットライン53a1,53a2を介してバケットシリンダ用のコントロールバルブ43の油圧駆動部45に接続している。バケットダンプ指令用の信号出力弁53bの出力ポートは、パイロットライン53b1,53b2を介してコントロールバルブ43の油圧駆動部46に接続している。旋回操作用の操作レバー装置54の信号出力弁54a,54bの出力ポートは、それぞれパイロットライン54a1,54b1を介して旋回モータ用のコントロールバルブ44の油圧駆動部45,46に接続している。操作レバー装置52〜54の油圧信号の出力原理はブーム操作用の操作レバー装置51と同様である。
なお、本実施形態においては、パイロットライン51a2,51b1,52a1,52b1,53a2,53b2,54a1,54b1の途中にシャトルブロック47が設けられている。操作レバー装置51〜54から出力された油圧信号が、このシャトルブロック47を介して油圧ポンプ36のレギュレータ48にも入力されるようになっている。シャトルブロック47の詳細構成は省略するが、油圧信号がシャトルブロック47を介してレギュレータ48に入力されることにより、油圧ポンプ36の吐出流量が油圧信号に応じて制御されるようになっている。
2−6.フロント制御用油圧ユニット
フロント制御用油圧ユニット60は、操作レバー装置51〜53から出力される油圧信号を状況に応じて増減圧し、フロント作業装置20が掘削目標面を越えて掘削等しないようにするためのハードウェアである。フロント制御用油圧ユニット60はコントローラユニット100からの信号で駆動される。
図3はフロント制御用油圧ユニットの油圧回路図である。同図において他図面と同符号を付した要素は、他図面で図示された要素と同様の要素である。フロント制御用油圧ユニット60は、減圧用の比例電磁弁61b,62a,62b,63a,63b、増圧用の比例電磁弁71a,73a,73b、遮断弁70及びシャトル弁91〜93を備えている。
・シャトル弁
シャトル弁91〜93は高圧選択弁であり、それぞれ2つの入口ポートと1つの出口ポートとを備えている。シャトル弁91の一方の入口ポートはパイロットライン51a1を介してブーム上げ指令用の信号出力弁51aに、他方の入口ポートは信号出力弁を介さずポンプライン37aを介してパイロットポンプ37に接続している。シャトル弁91の出口ポートは、パイロットライン51a2を介してブームシリンダ用のコントロールバルブ41の油圧駆動部45(ブーム上げ側)に接続している。シャトル弁92の一方の入口ポートはパイロットライン53a1を介してバケットクラウド指令用の信号出力弁53aに、他方の入口ポートは信号出力弁を介さずポンプライン37aを介してパイロットポンプ37に接続している。シャトル弁92の出口ポートは、パイロットライン53a2を介してバケットシリンダ用のコントロールバルブ43の油圧駆動部45(バケットクラウド側)に接続している。シャトル弁93の一方の入口ポートはパイロットライン53b1を介してバケットダンプ指令用の信号出力弁53bに、他方の入口ポートは信号出力弁を介さずポンプライン37aを介してパイロットポンプ37に接続している。シャトル弁93の出口ポートは、パイロットライン53b2を介してバケットシリンダ用のコントロールバルブ43の油圧駆動部46(バケットダンプ側)に接続している。
・減圧用比例電磁弁
比例電磁弁61b,62a,62b,63a,63bはノーマルオープンタイプの比例弁であり、消磁されると最大開度となり、コントローラユニット100からの信号により励磁されると信号の大きさに比例して開度を低下させる(閉じてゆく)。これらはいずれも対応する信号出力弁のパイロットラインに設けられており、掘削目標面よりも下側を掘削することを抑制するために、対応する信号出力弁から出力された油圧信号の最大値をコントローラユニット100からの信号に従って制限する役割を果たす。なお、本願明細書において比例電磁弁の「消磁」とは、比例電磁弁をノーマル状態(ノーマルオープンタイプなら最大開度、ノーマルクローズタイプなら最小開度)にする値まで励磁電流の大きさを小さくすることをいい、励磁電流の出力を停止する場合も含む。
具体的には、比例電磁弁61bは、ブーム下げ指令用の信号出力弁51bのパイロットライン51b1上に設けられていて、コントローラユニット100の信号S61bに従ってブーム下げ指令用の油圧信号の最大値を制限する。比例電磁弁62aはアームクラウド指令用の信号出力弁52aのパイロットライン52a1上に設けられていて、コントローラユニット100の信号S62aに従ってアームクラウド指令用の油圧信号の最大値を制限する。比例電磁弁62bはアームダンプ指令用の信号出力弁52bのパイロットライン52b1上に設けられていて、コントローラユニット100の信号S62bに従ってアームダンプ指令用の油圧信号の最大値を制限する。比例電磁弁63aはバケットクラウド指令用の信号出力弁53aのパイロットライン53a1上に設けられていて、コントローラユニット100の信号S63aに従ってバケットクラウド指令用の油圧信号の最大値を制限する。比例電磁弁63bはバケットダンプ指令用の信号出力弁53bのパイロットライン53b1上に設けられていて、コントローラユニット100の信号S63bに従ってバケットダンプ指令用の油圧信号の最大値を制限する。
・増圧用比例電磁弁
比例電磁弁71a,73a,73bはノーマルクローズタイプの比例弁であり、消磁されると最小開度(ゼロ開度)となり、コントローラユニット100からの信号により励磁されると信号の大きさに比例して開度を上昇させる(開いてゆく)。これらはいずれもシャトル弁に繋がるポンプライン37aに設けられており、操作レバー装置をバイパスして操作レバー装置の操作に依存しない油圧信号をコントローラユニット100の信号に従って出力する役割を果たす。比例電磁弁71a,73a,73bからシャトル弁91〜93の他方側の入口ポートに入力される油圧信号は、シャトル弁91〜93の一方側の入口ポートに入力される操作レバー装置51,53からの油圧信号に干渉する。操作レバー装置51,53から出力される油圧信号よりも高圧の油圧信号を出力し得る点で、本願明細書では比例電磁弁71a,73a,73bを増圧用の比例電磁弁と称する。
具体的には、比例電磁弁71aはシャトル弁91に繋がるポンプライン37a上に設けられていて、コントローラユニット100の信号S71aに従ってブーム自動上げ動作用の油圧信号を出力する。通常、増圧用の比例電磁弁71aに開指令信号が出力される場合には減圧用の比例電磁弁61bに閉指令信号が出力されるので、比例電磁弁71aが開くときには比例電磁弁61bが閉じるようになっている。この場合、仮にブーム下げ操作が行われていても、コントロールバルブ41に対して油圧駆動部45にのみ油圧信号が入力され、強制的にブーム上げ動作が行われる。この比例電磁弁71aは、掘削目標面より下側を掘削している際等に機能する。
比例電磁弁73aはシャトル弁92に繋がるポンプライン37a上に設けられていて、コントローラユニット100の信号S73aに従ってバケットクラウド動作を指令する油圧信号を出力する。比例電磁弁73bはシャトル弁93に繋がるポンプライン37a上に設けられていて、コントローラユニット100の信号S73bに従ってバケットダンプ動作を指令する油圧信号を出力する。比例電磁弁73a,73bの出力する油圧信号はバケット23の姿勢を補正する信号である。これら油圧信号がシャトル弁92,93で選択されてコントロールバルブ43に入力されることで、掘削目標面に対して一定の角度となるようにバケット23の姿勢が補正される。
・遮断弁
遮断弁70はノーマルクローズタイプの電磁駆動式の開閉弁(電磁切換弁)であり、消磁されると全閉し(ゼロ開度となり)、コントローラユニット100からの信号S70を受けて励磁されると開く。この遮断弁70はポンプライン37aにおけるシャトル弁91〜93に繋がる支流の分岐部とロック弁39(図2)との間に設けられている。コントローラユニット100からの指令により遮断弁70が閉じると、操作レバー装置51,53の操作によらない油圧信号の生成、出力が禁止される。
2−7.コントローラユニット
図4はコントローラユニットの機能ブロック図である。同図に示したように、コントローラユニット100は、入力部110、フロント制御部120、指令値制御部130及び出力部170等の機能部を備えている。以下、各機能部について説明する。
・入力部/出力部
入力部110はセンサ類等からの信号を入力する機能部である。この入力部110には、圧力検出器6a,6b、スイッチ7、角度検出器8a〜8c、傾斜検出器8d、測位装置9a,9b、無線機9c等からの信号が入力される。
出力部170は、フロント制御部120及び指令値制御部130の処理を経て決定された指令値を基に指令信号を生成してフロント制御用油圧ユニット60に出力し、対応する弁を制御する機能部である。制御対象となり得る弁は比例電磁弁61b,62a,62b,63a,63b,71a,73a,73b及び遮断弁70であり、実際に指令信号が出力されるのはそのうちの少なくとも1つであって必ずしも複数又は全部に指令信号が出力されるとは限らない。
・フロント制御部
フロント制御部120は、角度検出器8a〜8c及び傾斜検出器8dの信号を基に、掘削目標面を越えて(掘削目標面の下側を)掘削しないようにフロント作業装置20の動作を制限する制限指令値を演算する機能部である。制限指令値は指令値制御部130に出力される。フロント制御とは、掘削目標面とバケット23の特定点との距離や油圧アクチュエータ31〜33の伸縮速度等によってフロント制御用油圧ユニット60を制御する制御の総称である。例えば、減圧用の比例電磁弁61b,62a,62b,63a,63bのうちの少なくとも1つを制御し、掘削目標面近傍で油圧アクチュエータ31〜33のうちの少なくとも1つの動作を減速させる制御もフロント制御の1つである。増圧用の比例電磁弁71a,73a,73bのうちの少なくとも1つを制御し、掘削目標面の下側を掘削してしまっている場面で強制的にブーム上げ動作をするブーム自動上げ制御や、バケット23の角度を一定に保ったりする制御もフロント制御に含まれる。その他いわゆるブーム下げ停止制御やバケット増圧制御等も含まれる。また、減圧用の比例電磁弁61b,62a,62b,63a,63bのうちの少なくとも1つと、増圧用の比例電磁弁71a,73a,73bのうちの少なくとも1つとを複合的に制御するものもフロント制御に含まれる。更には、本願明細書では、フロント作業装置20の描く軌跡を一定の軌跡に制御するいわゆる軌跡制御もフロント制御の1つとする。フロント制御部120の詳細については説明を省略するが、このフロント制御部120には、例えば特開平8−333768号公報や特開2016−003442号公報等の公知技術が適宜適用できる。
3.指令値制御部
図5は指令値制御部の機能ブロック図である。同図に示したように、指令値制御部130は、入力判定部131、記憶部132、距離演算部133、距離判定部134、速度演算部135、速度判定部136及び指令値決定部137を備えている。
・入力判定部
入力判定部131は、フロント制御部120から制限指令値が入力されているか否かを判定する機能部である。フロント制御部120は、フロント制御の機能が入り状態の場合、例えばバケット23が下降するブーム下げ動作時のように特定の制御対象動作時には、バケット23が掘削目標面に接近するにつれて比例電磁弁61b等を絞って圧力信号の最大値を制限してゆく。他方、フロント制御の機能が入り状態でも、例えばバケット23が上昇するブーム上げ動作のような特定の制御対象外動作時には、フロント制御部120による比例電磁弁61b等の開度制御は実行されない。従って、フロント作業装置20の特定点(後述)と掘削目標面Sとの距離Dが設定距離D0より大きいときの他、距離Dが設定距離D0以下でも制御対象外動作のときには、フロント制御部120から制限指令値が出力されない。フロント制御部120から制限指令値が出力されるのは例えば、フロント制御の機能が入り状態であること、距離Dが設定距離D0以下であること、制御対象動作が実施されていることの3つの条件が同時に満たされた場合である。入力判定部131は、このような制限指令値の入力の有無を判定する。
・記憶部
記憶部132は各種情報を記憶する機能部であり、設定距離記憶部141、設定速度記憶部142、掘削目標面記憶部143、機体寸法記憶部144、待機指令値記憶部145及び省電力指令値記憶部146を含んでいる。
設定距離記憶部141は、フロント作業装置20の特定点Pと掘削目標面Sとの距離Dについて予め定めた設定距離D0(>0)を記憶した記憶領域である。設定速度記憶部142は、特定の油圧アクチュエータ(例えばブームシリンダ31)の動作速度Vについて予め定めた設定速度V0(>0)を記憶した記憶領域である。掘削目標面記憶部143は、掘削目標面Sを記憶した記憶領域である。掘削目標面Sは、油圧ショベルで掘削形成する(造形する)目標地形であり、上部旋回体12を基準とする座標系で手動設定したものが記憶される場合もあるし、地球座標系の三次元位置情報で予め記憶されている場合もある。掘削目標面Sの三次元位置情報は、掘削目標面Sをポリゴンで表した地形データに位置データを付した情報であり、予め作成されたものである。機体寸法記憶部144は、フロント作業装置20及び上部旋回体12の各部寸法を記憶した記憶領域である。
待機指令値記憶部145は、減圧用の比例電磁弁61b,62a,62b,63a,63bに出力する待機指令値を記憶した記憶領域である。省電力指令値記憶部146は、減圧用及び増圧用の比例電磁弁61b,62a,62b,63a,63b,71a,73a,73bの待機指令値よりも小さく設定された励磁電流である省電力指令値を記憶した記憶領域である。待機指令値及び省電力指令値については後述する。
・距離演算部
距離演算部133は、入力部110を介して入力された角度検出器8a〜8cの検出信号を基にフロント作業装置20の特定点Pと掘削目標面Sとの距離Dを演算する機能部である。距離Dの演算の例については後で説明する。
・距離判定部
距離判定部134は、距離演算部133で演算された特定点Pと掘削目標面Sとの距離Dが設定距離記憶部141から読み出した設定距離D0よりも大きいか否かを判定する機能部である。
・速度演算部
速度演算部135は、入力部110を介して入力された圧力検出器6a,6bの信号を基に特定の油圧アクチュエータ、本例ではブームシリンダ31の動作速度V(伸縮速度)を演算する機能部である。例えば、速度演算部135には、ブームシリンダ用のコントロールバルブ41の流量特性(流通させる作動油の流量と開度の関係等)を記憶した記憶部が含まれている。コントロールバルブ41の開度は圧力検出器6a,6bで検出されたコントロールバルブ41への油圧信号の大きさと対応する関係にある。このことに基づき、コントロールバルブ41の流量特性と圧力検出器6a,6bの信号とを基にブームシリンダ31の動作速度Vが速度演算部135で演算される。なお、速度演算部135では、圧力検出器6a,6bの信号のうち大きい方を選択して演算の基礎としてブームシリンダ31の動作速度を演算する。どちらの信号を演算の基礎としたかにより、演算される動作速度Vが、ブームシリンダ31の伸長速度であるのか収縮速度であるのかが区別される。言うまでもないが、例えばブーム下げ指令用の圧力信号を検出する圧力検出器6bの信号を基に演算された動作速度Vは、ブーム下げ動作に対応するブームシリンダ31の収縮速度である。そして、ブームシリンダ31の収縮方向を動作速度Vの正方向にとり、伸長速度は負の速度として扱う。
・速度判定部
速度判定部136は、速度演算部135で演算されたブームシリンダ31の動作速度Vが設定速度記憶部142から読み出した設定速度V0よりも大きいか否かを判定する機能部である。
・指令値決定部
指令値決定部137は、比例電磁弁61b,62a,62b,63a,63b,71a,73a,73bに対する指令信号の指令値を決定し、出力部170に出力する機能部である。指令値は、フロント制御部120から入力された制限指令値、待機指令値記憶部145から読み出した待機指令値、省電力指令値記憶部146から読み出した省電力指令値のうちからの選択により決定される。具体的には、次の第1〜第3の場合に状況を場合分けして指令信号を選択する。
(第1の場合)入力判定部131でフロント制御部120から制限指令値が入力されていると判定された場合;
(第2の場合)第1の場合及び第3の場合以外の場合;
(第3の場合)制限指令値が入力されていない場合であって、距離判定部134で特定点Pと掘削目標面Sとの距離Dが設定距離D0より大きいと判定され、かつ速度判定部136で動作速度Vが設定速度V0より大きいと判定された場合:
第1の場合には制限指令値、第2の場合には待機指令値、第3の場合には省電力指令値を指令値として選択する。
・待機指令値
図6は減圧用の比例電磁弁の指令信号と開度との関係を表す特性図である。同図に示したように、減圧用の比例電磁弁(例えば比例電磁弁61b)は、電磁駆動部に入力される指令信号(本実施形態では励磁電流)が大きいほど絞り込まれて開度が減少する。i1及びi3(>i1)の間の範囲で指令値の大きさが変化すると、比例電磁弁の開度が指令信号の大きさに比例して変化する。つまり、指令値i1は比例電磁弁の開度変化を伴う範囲(以下、開度調整域と記載する)で最大開度に対応する指令値、指令値i3は開度調整域で最小開度(本実施形態ではゼロ開度)に対応する指令値である。指令値i1よりも小さい範囲は消磁状態であり、比例電磁弁の開度は最大のまま不変である。指令値i3よりも大きい範囲では、比例電磁弁の開度は最小のまま不変である。待機指令値は、比例電磁弁の最大開度及び最小開度の間で設定した中間開度に対応する励磁電流の指令値i2である。中間開度は最大開度及び最小開度の間で任意に選択することができ、例えば最大開度と最小開度の平均値が例示できる。i2は比例電磁弁毎に固有の異なる値を設定しても良い。また、待機時の指令信号の指令値をi2に設定するのは比例電磁弁61b,62a,62b,63a,63bの少なくとも1つであり、全部である必要は必ずしもない。
・省電力指令値
図7は増圧用の比例電磁弁の指令信号と開度との関係を表す特性図である。同図に示したように、増圧用の比例電磁弁(例えば比例電磁弁71a)は、電磁駆動部に入力される指令信号(本実施形態では励磁電流)が大きいほど開度が増加する。i5及びi6(>i5)の範囲で指令信号の大きさが変化すると、比例電磁弁の開度が指令信号の大きさに比例して変化する。つまり、指令値i5は比例電磁弁の開度調整域で最小開度に対応する指令値、指令値i6は開度調整域で最大開度に対応する指令値である。指令値i5よりも小さい範囲は消磁状態であり、比例電磁弁の開度は最小のまま不変である。指令値i6よりも大きい範囲では、比例電磁弁の開度は最大のまま不変である。省電力指令値は、減圧用及び増圧用の比例電磁弁61b,62a,62b,63a,63b,71a,73a,73bの電磁駆動部に対して開度調整域で印加する励磁電流の最小値よりも低く設定した励磁電流値である。従って、減圧用の比例電磁弁61b,62a,62b,63a,63bについては、図6において指令値i1よりも小さな指令値i0(<i1)が省電力指令値として設定される。増圧用の比例電磁弁71a,73a,73bについては、図7において指令値i5よりも小さな指令値i4(<i5)が省電力指令値として設定される。省電力指令値i0,i4は、それぞれ指令値i1,i5より小さい範囲で任意に選択することができ、0(ゼロ)に設定しても良い。i0,i4は異なる値でも同じ値でも良く、比例電磁弁毎に固有のi0,i4を設定しても良い。また、消磁時の指令信号の指令値をi0又はi4に設定するのは比例電磁弁61b,62a,62b,63a,63b,71a,73a,73bの少なくとも1つであり、全部である必要は必ずしもない。
・特定点と掘削目標面との距離の演算例
図8は距離演算部によるフロント作業装置の特定点と掘削目標面との距離の演算方法の説明図である。図8ではフロント作業装置20の動作平面(ブーム21等の回動軸に直交する平面)を直交方向(ブーム21等の回動軸の延在方向)から見ている。油圧アクチュエータ31〜33については繁雑防止のため図示省略してある。
図8において特定点Pはバケット23の先端(爪先)の位置に設定してある。特定点Pは代表的にはバケット23の先端に設定されるが、フロント作業装置20における他部位に設定しても良い。距離演算部133には、角度検出器8a〜8cからの信号が入力部110を介して入力され、掘削目標面記憶部143から掘削目標面Sの情報が入力される。その他、地球座標系で距離Dを演算する場合には、傾斜検出器8dの検出信号、測位装置9a,9bによって取得された車体10の位置情報、及び無線機9cで受信された補正情報も入力部110を介して距離演算部133に入力される。地球座標系で距離Dを求める場合、距離演算部133では、測位装置9a,9bの位置情報を補正情報で補正して車体10の位置や向きを演算し、傾斜検出器8dの信号により車体10の傾斜を演算する。
掘削目標面Sはフロント作業装置20の動作平面との交線で定義され、車体10の位置、向き、傾斜等の情報と合わせて地球座標系で掘削目標面Sと車体10との位置関係が把握される。掘削目標面Sから上側の領域が、特定点Pの移動が是とされる掘削領域として規定される。掘削目標面Sは、例えば油圧ショベルを基準とするXY座標系における少なくとも1本の直線式で一旦規定される。XY座標系は例えばブーム21の回動支点を原点とする直交座標系であり、原点を通って上部旋回体12の旋回中心軸に平行に延びる軸をY軸(上方向が正方向)、このY軸に対して原点で直交して前方に延びる軸をX軸としている(前方向が正方向)。なお掘削目標面Sを手動設定した場合には、掘削目標面Sと車体10との位置関係は既知である。
XY座標系で規定された掘削目標面Sは、自己を一軸(Xa軸)とする原点Oの直交座標系であるXaYa座標系で改めて規定される。言うまでもないが、Ya軸は原点OでXa軸に直交する軸である。Xa軸は前方向を正方向、Ya軸は上方向を正方向とする。
距離演算部133では、機体寸法記憶部144から読み出したフロント作業装置20の寸法データ(L1,L2,L3)、角度検出器8a〜8cで検出された回動角α,β,γの各値を用いてバケット特定点Pの位置を計算する。特定点Pの位置は、例えば油圧ショベルを基準とするXY座標系の座標値(X,Y)として求める。特定点Pの座標値(X,Y)は下記の式(1)と式(2)より求まる。
X=L1・sinα+L2・sin(α+β)+L3・sin(α+β+γ)…(1)
Y=L1・cosα+L2・cos(α+β)+L3・cos(α+β+γ)…(2)
L1はブーム21とアーム22の回動支点間の距離、L2はアーム22とバケット23の回動支点間の距離、L3はバケット23の回動支点と特定点Pとの距離である。αはY軸(原点から上側に延びる部分)とブーム21とアーム22の回動支点を通る直線l1(原点からアーム22の回動支点側に延びる部分)との挟角である。βは直線l1(アーム22の回動支点から原点と反対側に延びる部分)とアーム22とバケット23の回動支点を通る直線l2(アーム22の回動支点からバケット23の回動支点側に延びる部分)との挟角である。γは直線l2(バケット23の回動支点からアーム22の回動支点と反対側に延びる部分)と特定点Pを通る直線l3との挟角である。
距離演算部133は、以上のようにXY座標系で規定した特定点Pの座標値(X,Y)をXaYa座標系の座標値(Xa,Ya)に変換する。こうして求められた特定点PのYaの値が、特定点Pと掘削目標面Sとの距離Dの値である。距離Dは、特定点Pを通って掘削目標面Sに直交する直線と掘削目標面Sとの交点から特定点Pまでの距離であり、Yaの値の正負を区別する(つまり掘削領域で距離Dは正の値となり、掘削目標面Sより下側の領域では負の値となる)。
3.動作
まず、指令値制御部130の処理を考慮から外してレバー操作に対する油圧アクチュエータの基本的な動作を説明する。
3−1.フロント制御の有効時
例えば操作レバー装置51でブーム下げ操作が行われた場合、ブーム下げ指令用の信号出力弁51bが操作量に応じて開き、パイロットライン51b1を介してブームシリンダ用のコントロールバルブ41の油圧駆動部46に油圧信号が入力される。これによりブームシリンダ31が収縮し、ブーム下げ動作が実行される。フロント制御の機能が入り状態の場合、バケット23の掘削目標面との距離や下降速度によっては、フロント制御部120から出力される制限指令値により比例電磁弁61bの開度が抑えられ、油圧信号の最大値が制限される。比例電磁弁61bの開度で規定される制限値を超えている場合、油圧信号はパイロットライン51b1を流通する過程で比例電磁弁61bにより制限値に減圧される。その結果、操作量に応じた本来の速度よりもブーム下げ動作が減速され、掘削目標面よりも下側にバケット23が進入することが抑制される。他のパイロットラインに圧力信号を出力する操作(アームクラウド、アームダンプ、バケットクラウド、バケットダンプの各操作)についても同様である。
3−2.フロント制御の無効時
例えば操作レバー装置51でブーム下げ操作が行われた場合、ブーム下げ指令用の信号出力弁51bが操作量に応じて開く。フロント制御機能が切り状態の場合、バケット23の位置等で比例電磁弁61bの開度は変化せず、操作レバー装置51の操作量に対応してブームシリンダ用のコントロールバルブ41の油圧駆動部46に圧力信号が入力される。これにより、比例電磁弁61bの開度変化の影響を受けることなく、単にレバー操作に応じてブーム下げ動作が実行される。他のパイロットラインに圧力信号を出力する操作(アームクラウド、アームダンプ、バケットクラウド、バケットダンプの各操作)についても同様である。
3−3.指令値制御部の処理手順
図9は指令値制御部による指令値の決定手順を表すフローチャートである。運転中、指令値制御部130は図9の手順(ステップS101〜S107)を所定の処理サイクル(例えば0.1s)で繰り返し実行している。
・ステップS101→S102
指令値制御部130は図9の手順を開始すると、まずステップS101で入力部110を介して、角度検出器8a〜8c、圧力検出器6a,6bの各信号を距離演算部133に入力する。この例では掘削目標面Sと機体との位置関係は既知の情報として説明するが、前述したように地球座標系で機体と掘削目標面Sの位置関係を演算する場合には、合わせて測位装置9a,9bや無線機9c、傾斜検出器8dの信号も入力する。
続くステップS102では、指令値演算部130は、現在のサイクルにおいてフロント制御部120から制限指令値が入力されているかどうかを入力判定部131で判定する。制限指令値が入力されている場合には入力有との情報を表す判定信号が、入力されていない場合には入力無との情報を表す判定信号が、入力判定部131から指令値決定部137に出力される。
・ステップS102→S103
制限指令値の入力があると入力判定部131で判定された場合、指令値制御部130はステップS102からステップS103に手順を移す。制限指令値が入力される状況では、掘削目標面Sと特定点Pとの距離Dは設定距離D0以下である。ステップS103では、入力判定部131から制限指令値の入力有の判定信号を受け、指令値決定部137でフロント制御部120からの制限指令値が指令値として選択されて出力部170に出力される。この場合、制限指令値の大きさの指令信号が出力部170から出力され、対応する比例電磁弁の電磁駆動部に出力される。ステップS103の手順を終えたら、指令値制御部130は図9の手順を一旦終了し、次のサイクルを開始してステップS101の処理を実行する。
・ステップS102→S104→S105→S106
制限指令値の入力がないと入力判定部131で判定された場合、指令値制御部130はステップS102からステップS104に手順を移す。ステップS104では、距離演算部133で掘削目標面Sと特定点Pとの距離Dが、速度演算部135でブームシリンダ31の動作速度Vが演算される。演算された距離Dは距離演算部133から距離判定部134に入力され、動作速度Vは速度演算部135から速度判定部136に入力される。
ステップS104の手順を終えると、指令値制御部130はステップS105に手順を移す。ステップS105では、設定距離記憶部141から読み出した設定距離D0よりも距離Dが大きいかどうかが距離判定部134で判定される。設定距離D0は正の値で距離Dの正負も前述したように区別されるので、ここでは特定点Pが掘削領域内にあって掘削目標面Sから設定距離D0より離れているかが判定される。距離判定部134の判定結果は、D,D0の大小関係を表す判定信号として指令値決定部137に入力される。同時に、ステップS105では、設定速度記憶部142から読み出した設定速度V0よりも動作速度Vが小さいかどうかが速度判定部136で判定される。設定速度V0は正の値で動作速度Vの正負も前述したように区別されるので、ここではブームシリンダ31が設定速度V0を超える速度で収縮していないかが判定される。速度判定部136の判定結果は、V,V0の大小関係を表す判定信号として指令値決定部137に入力される。
ステップS105の判定の結果、D>D0でかつV<V0の場合、指令値制御部130はステップS106に手順を移す。ステップS106では、入力判定部131、距離判定部134及び速度判定部136の判定信号を基に、省電力指令値記憶部146から読み出した省電力指令値が指令値決定部137で指令値として選択されて出力部170に出力される。この場合、省電力指令値の大きさの指令信号が出力部170から出力され、各比例電磁弁は消磁状態となる。ステップS106の手順を終えたら、指令値制御部130は図9の手順を一旦終了し、次のサイクルを開始してステップS101の処理を実行する。
・ステップS102→S104→S105→S107
ステップS102,S104,S105の手順を実行し、D>D0でかつV<V0の条件が満たされない場合、指令値制御部130はステップS105からステップS107に手順を移す。ステップS107では、入力判定部131、距離判定部134及び速度判定部136の判定信号を基に、待機指令値記憶部145から読み出した待機指令値が指令値決定部137で指令値として選択されて出力部170に出力される。この場合、待機指令値の大きさの指令信号が出力部170から出力され、各比例電磁弁は中間開度で待機した状態となる。ステップS107の手順を終えたら、指令値制御部130は図9の手順を一旦終了し、次のサイクルを開始してステップS101の処理を実行する。
4.効果
4−1.応答性低下の抑制
本実施形態では、フロント制御部120で制限指令値が生成されない場面で比例電磁弁(比例電磁弁61b等)を次の制限指令値の入力に備えて待機させておくとき、待機指令値の指令信号を出力することで比例電磁弁を中間開度にしておく。この状態でフロント制御部120から制限指令値が入力されたとしても、比例電磁弁のスプールの移動距離は、最大でも比例電磁弁を中間開度から最大開度又は最小開度にする距離である。これにより比例電磁弁を最小開度にする位置から最大開度にする位置まで一気にスプールを駆動させる場面がなくなり、平均して操作に対する応答性を向上させることができる。従って、操作に対する応答性の低下を抑制することができ、ひいてはフロント作業装置20の動作精度の低下を抑制することができる。
4−2.省電力化
本実施形態では、特定点Pが掘削目標面Sから設定距離D0を超えて離れていて、ブームシリンダ31が設定速度V0を超える速度で収縮していない場合、減圧用及び増圧用の比例電磁弁(比例電磁弁61b,71a等)に省電力指令値の指令信号を出力する。つまり掘削目標面Sからバケット23が遠く、フロント作業装置20の動作状況を考慮しても直ちにバケット23が掘削領域から外れる恐れがないような場合、省電力指令値の指令信号を出力して比例電磁弁を消磁させる。図6及び図7で説明したように、省電力指令値(i0,i4)は開度調整域で最小の指令値(i1,i5)よりも更に小さい値である。これにより、消磁に対応する指令信号の指令値を開度調整域の最小値に設定した場合に比べて、特定点Pが掘削目標面Sから一定以上離れていてフロント制御用の比例電磁弁が制御されることがない場面に比例電磁弁に流す励磁電流を抑えることができる。従って、本実施形態によれば消費電力を抑制してエネルギー効率を向上させることができる。
5.その他
上記実施形態では、距離Dが設定距離D0より大きい等の条件を満たした場合に比例電磁弁(比例電磁弁61b,71a等)を消磁させるための励磁電流の値を省電力指令値とする場合を説明した。しかし、比例電磁弁を消磁させるための励磁電流の設定は、フロント制御部120で制限指令値が生成されていない場合に比例電磁弁を中間開度にする主旨には直接関係がない。従って、比例電磁弁を消磁させるための励磁電流は、例えば開度調整域の最小値(i1,i5)に設定しても良い。
また、D>D0でかつV<V0の場合にステップS105で条件が満たされ、指令信号の値が省電力指令値に設定されるようにした場合を例示した。しかし、動作速度Vに関する条件(V<V0)は省略しても良い。つまり、フロント制御部120で制限指令値が生成されない場合、単純にD>D0であれば指令信号の値を省電力指令値とし、D≦D0であれば指令信号の値を待機指令値とするようにしても良い。この場合でも、指令信号の値を制限指令値、省電力指令値、待機指令値から選択でき、処理の簡略化のメリットが得られると共に、設定速度記憶部142、速度演算部135、速度判定部136も省略し得る。
上記実施形態ではブームシリンダ31の伸縮速度を油圧アクチュエータの動作速度Vとして演算する場合を例に挙げて説明したが、アームシリンダ32やバケットシリンダ33の伸縮速度を動作速度VとしてステップS105の判定に用いても良い。勿論、油圧アクチュエータ31−33のうち複数を選択してその動作速度Vを加味する構成としても良い。また、一又は複数の油圧アクチュエータの動作速度Vから特定点Pの移動速度を演算し、掘削目標面Sに垂直な成分を抽出して掘削領域における特定点Pの掘削目標面Sへの接近速度を演算することができる。単に油圧アクチュエータの動作速度Vを考慮するのではなく、これを特定点Pの掘削目標面Sへの接近速度に変換して判断の基礎とすることも考えられる。
なお、距離演算部133や速度演算部135に相当する機能部はフロント制御部120にも備えられ得る。その場合には、フロント制御部120で演算された距離Dや動作速度Vを指令値制御部130の距離判定部134や速度判定部136に入力するように構成しても良い。
また、フロント制御用に減圧用の比例電磁弁61b,62a,62b,63a,63b及び増圧用の比例電磁弁71a,73a,73bを設けた場合を例示して説明したが、これら全てが必要なわけでは必ずしもない。これらのうち少なくとも1つ(例えばブーム下げ指令用の油圧信号を減圧する比例電磁弁61bが)あればフロント制御の一種が実行され得る。
また、油圧アクチュエータの動作速度Vを圧力信号の大きさを基に演算する場合を例に挙げて説明したが、例えば角度検出器8a〜8cの信号の変化率を基にしても油圧アクチュエータの動作速度Vを求めることができる。例えば角度検出器8aの信号の変化率を基にしてブームシリンダ31の伸縮速度を求めることができる。油圧アクチュエータ31〜33のストローク量を検出するストローク検出器やブーム21、アーム22及びバケット23の傾斜角を検出する傾斜角検出器を利用しても油圧アクチュエータの動作速度Vを求め得る。
また、原動機17にエンジンを用い、エンジンで油圧ポンプ36等を駆動する一般的な油圧ショベルを例に挙げて説明したが、エンジン及び電動機を原動機として油圧ポンプ36等を駆動するハイブリッド式の油圧ショベルにも本発明は適用可能である。その他、電動機を原動機として油圧ポンプを駆動する電動式の油圧ショベル等にも本発明は適用可能である。
8a〜8c…角度検出器(姿勢検出器)、10…車体、20…フロント作業装置、31…ブームシリンダ(油圧アクチュエータ)、32…アームシリンダ(油圧アクチュエータ)、33…バケットシリンダ(油圧アクチュエータ)、34…旋回モータ(油圧アクチュエータ)、36…油圧ポンプ、37…パイロットポンプ、41〜44…コントロールバルブ、51〜54…操作レバー装置、51a1,51a2,51b1,52a1,52b1,53a1,53a2,53b1,53b2,54a1,54b1…パイロットライン、61b,62a,62b,63a,63b…減圧用の比例電磁弁、100…コントローラユニット、120…フロント制御部、131…入力判定部、133…距離演算部、134…距離判定部、137…指令値決定部、142…設定速度記憶部、145…待機指令値記憶部、146…省電力指令値記憶部、170…出力部、P…フロント作業装置の特定点、S…特定点と掘削目標面との距離

Claims (3)

  1. 車体、前記車体に設けたフロント作業装置、前記フロント作業装置を駆動する複数の油圧アクチュエータ、前記フロント作業装置の姿勢を検出する姿勢検出器、前記油圧アクチュエータを駆動する作動油を吐出する油圧ポンプ、前記油圧ポンプから対応する油圧アクチュエータに供給される作動油の流れを制御する複数のコントロールバルブ、対応する油圧アクチュエータの動作を指示する油圧信号を操作に応じて生成する操作レバー装置、前記操作レバー装置に作動油を供給するパイロットポンプ、前記操作レバー装置及び対応するコントロールバルブの油圧駆動部を接続する複数のパイロットライン、前記複数のパイロットラインのうち少なくとも1つに設けた比例電磁弁、並びに前記姿勢検出器の検出信号を基に前記比例電磁弁を制御して前記フロント作業装置の動作を制限する制限指令値を演算するフロント制御部を備えた作業機械において、
    前記比例電磁弁の最大開度及び最小開度の間で設定した中間開度に対応する励磁電流である待機指令値を記憶した待機指令値記憶部と、
    前記フロント制御部から前記制限指令値が入力されているか否かを判定する入力判定部と、
    前記入力判定部で前記制限指令値が入力されていると判定された場合は前記制限指令値を、入力されていないと判定された場合は前記待機指令値記憶部から読み出した前記待機指令値を前記比例電磁弁に対する指令値として決定する指令値決定部と、
    前記指令値決定部で決定した前記指令値を基に前記比例電磁弁に指令信号を出力する出力部と
    を備えた作業機械。
  2. 前記比例電磁弁の待機指令値よりも小さく設定された励磁電流である省電力指令値を記憶した省電力指令値記憶部と、
    前記姿勢検出器の検出信号を基に前記フロント作業装置の特定点と掘削目標面との距離を演算する距離演算部と、
    前記特定点と掘削目標面との距離について予め定めた設定距離を記憶した設定距離記憶部と、
    前記距離演算部で演算された前記特定点と掘削目標面との距離が前記設定距離よりも大きいか否かを判定する距離判定部と、
    前記距離判定部で前記特定点と掘削目標面との距離が前記設定距離より大きいと判定された場合、前記省電力指令値記憶部から読み出した前記省電力指令値を前記比例電磁弁に対する指令値として決定する前記指令値決定部とを更に備えた請求項1の作業機械。
  3. 前記比例電磁弁の待機指令値よりも小さく設定された励磁電流である省電力指令値を記憶した省電力指令値記憶部と、
    前記姿勢検出器の検出信号を基に前記フロント作業装置の特定点と掘削目標面との距離を演算する距離演算部と、
    前記特定点と掘削目標面との距離について予め定めた設定距離を記憶した設定距離記憶部と、
    前記距離演算部で演算された前記特定点と掘削目標面との距離が前記設定距離よりも大きいか否かを判定する距離判定部と、
    前記操作レバー装置の油圧信号の圧力又は前記姿勢検出器の検出信号を基に前記油圧アクチュエータの動作速度を演算する速度演算部と、
    前記油圧アクチュエータの動作速度について予め定めた設定速度を記憶した設定速度記憶部と、
    前記速度演算部で演算された前記油圧アクチュエータの動作速度が前記設定速度よりも大きいか否かを判定する速度判定部と、
    前記入力判定部で前記制限指令値が入力されていると判定された場合は前記制限指令値を、前記距離判定部で前記特定点と掘削目標面との距離が前記設定距離より大きいと判定され、かつ前記速度判定部で前記油圧アクチュエータの動作速度が前記設定速度より小さいと判定された場合は前記省電力指令値記憶部から読み出した前記省電力指令値を、それ以外の場合は前記待機指令値記憶部から読み出した前記待機指令値を、前記比例電磁弁に対する指令値として決定する前記指令値決定部とを更に備えた請求項1の作業機械。
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