JP2018002690A - 有機化合物、有機光電変換素子、撮像素子および撮像装置 - Google Patents

有機化合物、有機光電変換素子、撮像素子および撮像装置 Download PDF

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洋伸 岩脇
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洋祐 西出
Yosuke Nishide
洋祐 西出
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Abstract

【課題】HOMOが深く、光電変換効率が高い、吸収波長の広い有機化合物の提供。
【解決手段】式[1]で表わされる有機化合物。
Figure 2018002690

(Arは、置換/無置換の芳香族炭化水素基、置換/無置換の複素環基、置換/無置換の縮合多環芳香族基又は置換/無置換の縮合多環芳香族複素環基;Xは2価の連結基;R〜Rは各々独立にH又は置換基;R〜Rは隣接するもの同士が互いに結合して環を形成してもよい;nは1又は2;Yは、電子吸引性の置換基)
【選択図】図1

Description

本発明は、有機化合物、有機光電変換素子、撮像素子および撮像装置に関する。
近年、有機光電変換膜を信号読み出し用基板上に形成した構造を有する固体撮像素子の開発が進んでいる。このような有機光電変換膜を使用した固体撮像素子や光電変換素子では、特に光電変換効率の向上と暗電流の低減が課題とされている。
特許文献1には、下記構造式1で表わされる光電変換材料とフラーレンからなる光電変換層と、それを有する光電変換素子が記載されている。
特許文献2には、有機EL素子用材料として、下記構造式2で表わされる有機化合物が記載されている。
非特許文献1には、下記構造式3で表わされる光電変換材料とフラーレンの積層膜からなる太陽電池が記載されている。
Figure 2018002690
特開2014−082483号公報 国際公開第2011−099718号
特許文献1に記載の光電変換素子は、光電変換層が有する有機化合物のHOMOが浅いため、フラーレンと相互作用しやすい構成となっていた。そのため、光電変換素子の暗電流の低減が十分ではなかった。
特許文献2に記載の有機化合物は、有機EL素子用材料として記載されている有機化合物である。この有機化合物は、分子内に電子吸引基を有していないので、光電変換層に用いた場合、光電変換効率が低い有機化合物である。
非特許文献1に記載の光電変換材料は、吸収可能な光の波長領域を長波に有さない有機化合物であり、光電変換素子に用いるには改善の余地があった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされるものであり、HOMOが深く、光電変換効率が高い、吸収波長の領域が広い有機化合物、それを有する有機光電変換素子を提供することを目的とする。
そこで、本発明は、下記一般式[1]で表わされることを特徴とする有機化合物を提供する。
Figure 2018002690
一般式[1]において、Arは、置換または無置換の芳香族炭化水素基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換の縮合多環芳香族基および置換または無置換の縮合多環芳香族複素環基から選ばれる。
Xは、置換または無置換の芳香族炭化水素基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換の縮合多環芳香族基、置換または無置換の縮合多環芳香族複素環基から選ばれる。
乃至Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素基、置換または無置換の複素環基、水酸基、アミノ基、縮合多環芳香族基からそれぞれ独立に選ばれる。R乃至Rは隣接するもの同士が互いに結合して環を形成してもよい。nは、1または2である。Yは、電子吸引性の置換基を表わす。
本発明によれば、HOMOが深く、光電変換効率が高い、吸収波長の広い有機化合物を提供できる。
実施形態に係る有機光電変換素子の一例を示す断面模式図である。 実施形態に係る画素を含む回路の一例を表わす回路図である。 実施形態に係る有機光電変換素子を有する撮像素子の模式図である。
本発明は、下記一般式[1]で表わされることを特徴とする有機化合物である。インドール環とチオフェン環とが縮環している構造を有するため、HOMOが深い有機化合物である。また、連結基Xを有することで、長波長の光を吸収することができる。さらに、本発明に係る有機化合物は、分子内に電子吸引基を有し、光電変換効率が高い有機化合物である。
本明細書において、HOMO(最高被占有分子軌道)が深いとは、真空準位からより遠いことを表わす。HOMOが深いことは、HOMOの絶対値が大きい、HOMOが高いということもできる。なお、LUMO(最低非占有分子軌道)についても、同様の表現を用いる。
本発明は、下記の一般式[1]で表わされることを特徴とする有機化合物である。
Figure 2018002690
一般式[1]において、Arは、置換または無置換の芳香族炭化水素基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換の縮合多環芳香族基および置換または無置換の縮合多環芳香族複素環基から選ばれる。
芳香族炭化水素基は、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
複素環基は、例えば、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、チオフェニル基、フラニル基が挙げられる。
縮合多環芳香族基は、例えば、ナフチル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、クリセニル基、ジベンゾクリセニル基、ベンゾアントリル基、ジベンゾアントリル基、ナフタセニル基、ピセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、ジヒドロアントリル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基、ベンゾフェナントリル基等が挙げられる。ジヒドロアントリル基は、9,9−ジヒドロアントリル基であることが好ましい。
縮合多環芳香族複素環基は、例えば、キノリル基、キノキサリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基等が挙げられる。
Arは、置換基をさらに有していてもよい。当該置換基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ターシャリブチル基等のアルキル基、ベンジル基等のアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基等の芳香族炭化水素基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基等のアミノ基、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基等のアルコキシル基、フェノキシル基等のアリールオキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、シアノ基等が挙げられる。
Xは、置換または無置換の芳香族炭化水素基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換の縮合多環芳香族基、置換または無置換の縮合多環芳香族複素環基から選ばれる。Xは、2価の連結基であり、その具体例は、Arの具体例に対応する2価の置換基である。
Xは、フェニレン基、ナフタレニレン基、チオフェニレン基、フルオレニレン基、スピロフルオレニレン基から選ばれることが好ましい。
乃至Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素基、置換または無置換の複素環基、水酸基、アミノ基、縮合多環芳香族基からそれぞれ独立に選ばれる。
乃至Rで表わされるハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が好ましく、特に好ましくはフッ素が挙げられる。
乃至Rで表わされるアルキル基は、炭素原子数1以上8以下のアルキルが好ましく、1以上4以下のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ターシャリブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基が挙げられる。アルキル基のハロゲン原子を置換基として有してよく、その場合フッ素原子が好ましい。
乃至Rで表わされるシクロアルキル基は、炭素原子数3以上8以下のシクロアルキル基が好ましく、具体的には、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基、複素環基、縮合多環芳香族基の具体例は、Arの具体例として示されたものと同じである。
乃至Rは置換基を有してよく、当該置換基は、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ターシャリブチル基等のアルキル基、ベンジル基等のアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基等の芳香族炭化水素基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基等のアミノ基、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基等のアルコキシル基、フェノキシル基等のアリールオキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、シアノ基等が挙げられる。
乃至Rは隣接するもの同士が互いに結合して環を形成してもよい。形成される環は、5員環、6員環。7員環であってよい。
一般式[1]において、Arが、置換または無置換のフェニル基であることが好ましい。すなわち、下記一般式[2]であることが好ましい。
Figure 2018002690
一般式[2]において、R11乃至R15は、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素基、置換または無置換の複素環基、水酸基、アミノ基、置換または無置換の縮合多環芳香族基からそれぞれ独立に選ばれる。
アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、複素環基、縮合環芳香族基が、有してよい置換基は、Arが有してよい置換基と同じである。
一般式[2]において、R乃至R、X,Yは一般式[1]と同じである。
本発明に係る有機化合物は、Xがチオフェニレン基であることがさらに好ましい。すなわち、一般式[3]で表わされることがさらに好ましい。
Figure 2018002690
一般式[3]において、RおよびRは、R乃至Rと同じ置換基群からそれぞれ独立に選ばれる。
一般式[3]において、R乃至R、X,Yは一般式[1]と同じである。
一般式[1]乃至[3]において、nは、1または2である。nが2の場合、複数あるXは同じであっても、異なっていてもよい。
Yは、電子吸引性の置換基を表わす。具体的には下記一般式[4]で表わされる置換基のいずれかであることが好ましい。
Figure 2018002690
一般式[4]において、R21乃至R70は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換の芳香族炭化水素基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換の縮合多環芳香族基、置換または無置換の縮合多環複素環基からそれぞれ独立に選ばれる。
21乃至R70で表わされるアルキル基は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基である。好ましくは、炭素原子数1以上4以下のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ターシャリブチル基等があげられる。
21乃至R70で表わされるアルコキシ基は、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基である。炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基が好ましく、特に好ましくは、メトキシ基、エトキシ基があげられる。
21乃至R70で表わされる縮合多環芳香族基はフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フェナンスレニル基、フルオレニル基、クリセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基等が挙げられる。好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基フェナンスレニル基、フルオレニル基等が好ましく、特に好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基である。
21乃至R70で表わされる縮合多環複素環芳香族基は、ピリジル基、ピラジル基、ピリジミル基、ピリジダゾイル基、トリアジル基、ピロール基、フラニル基、チエニル基、イミダゾール基、ピラゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、イミダゾリン基、チアジン基、キノリニル基、イソキノリニル基、アザフェナンスレニル基、フェナントロニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、チエニル基等が挙げられる。好ましくは、ピリジル基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基である。
上記炭化水素芳香族基及び複素芳香環基は、置換基を有していてもよい。当該置換基は、前記Arがさらに有してもよい置換基と同様である。
さらに具体的には、以下に示す構造が特に好ましい。
Figure 2018002690
1.本発明に係る有機光電変換素子の性質
有機光電変換素子は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子であり、光励起から電荷分離までの過程を有する。まず、光を吸収して励起する分子が光を吸収して励起される。そして当該分子からフラーレンの様な再配列エネルギーの小さい分子が励起エネルギーを受け取ることによって電荷分離が発生する。
このとき、電荷分離を効率よく行うには、励起エネルギーの授受に関わる二種類の分子、具体的には、上述した光を吸収して励起する分子と、再配列エネルギーの小さい分子と、の分子間相互作用が強いことが好ましい。光を吸収して励起する分子は、励起子を他の分子へ渡すことからドナーとも呼ばれ、再配列エネルギーが小さい分子は、励起子を受け取ることから、アクセプタとも呼ばれる。
ここで、分子間相互作用に関与する部分構造を、上記励起エネルギーの授受に関わる分子の双方が有している場合、分子間相互作用をより容易に誘起させることができる。
芳香族性の置換基は、分子間相互作用に関与する部分構造になり得る。その理由として、分子に含まれる芳香環と他の分子に含まれる芳香環との間に働く分散力、具体的には、ロンドン分散力が生じるからである。2つの芳香環がコインを積み重ねるように配置させると安定化する傾向があるのはロンドン分散力が働くためであり、このように、2つの芳香環がコインを積み重ねるように配置させることで生じる相互作用はスタッキング(積み重ね)相互作用とも呼ばれている。
電荷分離の効率を高めるために上述した分子間相互作用を利用する場合、特に、相互作用に関わる2つの分子間におけるLUMOレベルの差が適切な範囲にあること好ましい。
一方、上記分子間相互作用に関与する2種類の分子を有機光電変換素子が有する光電変換層が有する場合、電圧を印加すると光を照射しなくても素子内に電流が流れることがある。このとき流れる電流は暗電流と呼ばれるものであり、この暗電流の発生は有機光電変換素子においては、好ましくない。
暗電流の発生要因の一つとしては、光を吸収して励起する分子のHOMO及び光電分離を促進する分子、例えばフラーレンまたはその誘導体、のLUMOにあると考えられる。つまり、フラーレンまたはその誘導体は、LUMOレベルが深く、電子受容性が高い材料であるため、フラーレンまたはその誘導体のLUMOレベルが、光を吸収して励起する分子のHOMOレベルと近くなる傾向にある。
その結果、有機光電変換層にこれら分子を含ませた状態で電圧を印加すると、エネルギーレベルが近いこれら分子間において、電荷移動が起こりやすく、すなわち暗電流となる。このように、有機光電変換層に含まれる分子間で電荷の移動が起こると、光電変換層の内部で暗電流が生じる。
分子間相互作用を低減し、暗電流の低減を実現させるために、光を吸収して励起する分子について、特に、当該分子のHOMOを深くする分子設計とした。
光を吸収して励起する分子である一般式[1]で表わされる有機化合物は、HOMOに相当する部位が、インドール環とチオフェン環との縮合環で構成されている。このインドール環を縮合環内に有するため、化合物自体のHOMOが深い。
一方、インドール環(含窒素5員環)に類似する構造として、ジヒドロキノリン環(含窒素6員環)がある。この含窒素6員環とチオフェン環の縮合環(ジヒドロチエノキノリン環)は、一般式[1]で表わされる有機化合物とは性質が異なるものであり、HOMOが浅い有機化合物である。これは、ジヒドロキノリン環を有する場合、化合物の性質が電子供与性の方向へと働くためである。
また暗電流は、光電変換層の内部から生じるだけでなく、電圧印加時にて電子捕集電極及び正孔捕集電極から光電変換層へ向けて電荷が注入される際に生じることがある。光電変換層以外の部材から生じる暗電流を抑制するためには、正孔捕集電極と電子捕集電極との間に、光電変換層だけでなく正孔の移動を制限する層(正孔ブロック層)及び電子の移動を制限する層(電子ブロック層)を適宜設けることが好ましい。正孔や電子の移動を制限する層を電極と光電変換層との間に適宜設けることで、各電極から注入された電荷の光電変換層への移動が制限されるため、暗電流を抑制することができる。
特に、電極と光電変換層とのエネルギー準位が近接している場合、正孔や電子の移動を制限する層の導入は特に有効である。
一般式[1]で表わされる有機化合物C2のHOMOと、下記D1で表わされる有機化合物のHOMOと、下記D2で表わされる有機化合物のHOMOと、を比較した。
Figure 2018002690
比較には、分子軌道計算を用いた。分子軌道計算法は、現在広く用いられているGaussian 09(Gaussian 09,Revision C.01,M.J.Frisch,G.W.Trucks,H.B.Schlegel,G.E.Scuseria,M.A.Robb,J.R.Cheeseman,G.Scalmani,V.Barone,B.Mennucci,G.A.Petersson,H.Nakatsuji,M.Caricato,X.Li,H.P.Hratchian,A.F.Izmaylov,J.Bloino,G.Zheng,J.L.Sonnenberg,M.Hada,M.Ehara,K.Toyota,R.Fukuda,J.Hasegawa,M.Ishida,T.Nakajima,Y.Honda,O.Kitao,H.Nakai,T.Vreven,J.A.Montgomery,Jr.,J.E.Peralta,F.Ogliaro,M.Bearpark,J.J.Heyd,E.Brothers,K.N.Kudin,V.N.Staroverov,T.Keith,R.Kobayashi,J.Normand,K.Raghavachari,A.Rendell,J.C.Burant,S.S.Iyengar,J.Tomasi,M.Cossi,N.Rega,J.M.Millam,M.Klene,J.E.Knox,J.B.Cross,V.Bakken,C.Adamo,J.Jaramillo,R.Gomperts,R.E.Stratmann,O.Yazyev,A.J.Austin,R.Cammi,C.Pomelli,J.W.Ochterski,R.L.Martin,K.Morokuma,V.G.Zakrzewski,G.A.Voth,P.Salvador,J.J.dannenberg,S.Dapprich,A.D.Daniels,O.Farkas,J.B.Foresman,J.V.Ortiz,J.Cioslowski,and D.J.Fox,Gaussian,Inc.,Wallingford CT,2010.)により実施した。計算手法としては現在広く用いられている密度汎関数法(density function theory,DFT)を用いた。汎関数にはB3LYPを、基底関数には6−31Gを用いた。その結果を表1に示す。
Figure 2018002690
表1に示すように、環構造を有していない化合物D2に比べて、含窒素5員環構造を有するC2はHOMOが深く、含窒素6員環構造を有するD1はHOMOが浅い。
D1は環構造の一部にメチレン基を有するため、HOMOが浅いと考えられる。メチレン基の電子供与性の効果が分子全体に影響を与えたと考えられる。
これに対して、化合物C2は5員環を形成することにより電子受容性の寄与が大きくなったと考えられる。
また、光電変換層が有する有機化合物は、パンクロミック性能に優れていることが好ましい。パンクロミック性能とは、可視光全域の波長の光に感光性を示す性能のことである。可視光全域とは、380nm乃至750nmの波長域のことであり、光電変換層としてこの波長域の光を吸収できることが好ましい。
有機光電変換層に一般式[1]で表わされる有機化合物と、フラーレンまたはその誘導体と、を用いる場合、それぞれの化合物が長波長の吸収と、短波長の吸収を担う。具体的には、フラーレンまたはその誘導体が青領域(450nm〜495nm)の吸収を担い、一般式[1]で表わされる有機化合物が長波長側の赤領域(590nm〜650nm)の吸収を担う。これにより可視光全域の吸収性能を有し、パンクロミック性能を良好に保つ。
一般式[1]で表わされる有機化合物は、連結基Xを有することで長波長領域に光吸収を有する。これは、連結基を有することで、チエノインドール環と電子吸引性置換基Yが、同一の平面に存在することができるためである。チエノインドール環と電子吸引置換基とが、同一平面に存在することで、共役の広がりが確保されるためである。
また、分子の形状もより平面性の高い分子になることにより、薄膜を形成した際の分子同士の重なり具合にも一定の規則性が現れやすいことも考えられる。一定の規則性が発現することで、吸収が長波長化し易くなり、本来赤領域の吸収を持たない分子が、赤領域に吸収を有するようになる。
一般式[1]で表わされる有機化合物C3と、非特許文献1に記載の化合物D3と、を分子軌道計算法によるS1エネルギーの比較を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2018002690
Figure 2018002690
表2に示す通り、C3の有機化合物は、S1エネルギーが大きい、すなわち、長波長領域に光吸収を有するので、パンクロミック性に優れた有機化合物である。そのため、有機光電変換素子に好ましく用いることができる。
以下、一般式[1]の化合物の具体例を示す。ただし本発明において、一般式[1]の化合物は、以下に示される具体例に限定されるものではない。
Figure 2018002690
Figure 2018002690
Figure 2018002690
以下、一般式[2]の化合物の具体例を示す。ただし本発明において、一般式[2]の化合物は、以下に示される具体例に限定されるものではない。
Figure 2018002690
Figure 2018002690
以下、一般式[3]の化合物の具体例を示す。ただし本発明において、一般式[3]の化合物は、以下に示される具体例に限定されるものではない。
Figure 2018002690
Figure 2018002690
列挙した化合物のうち、例示化合物A1乃至A72は、一般式[1]のArが置換または無置換のアリール基、複素環基、或いは縮合多環芳香族基、縮合多環芳香族複素環基の有機化合物に該当する。これらの化合物は、各種Arを設けることで、製膜した際の膜性を良くする効果が期待できる。
列挙した化合物のうち、例示化合物B1乃至B32は、一般式[2]で表わされる有機化合物である。これら有機化合物は、式[1]中のArが、フェニル基または置換基を有するフェニル基である。一般式[2]で表わされる有機化合物は、チエノインドール環の窒素原子に置換する置換基として、Ar基のなかでも分子量の小さなフェニル基からなるため、化合物の分子量を小さい。そのため、耐熱性に優れるので、真空中の加熱蒸着でも分解しにくい。また、連結基Xがフェニレン基、ナフタレニレン基、チオフェニレン基から構成されるため、分子の形状もより平面性の高い分子になる。分子の平面性が高くなることで、薄膜を形成した際の分子同士の重なり具合にも一定の規則性が現れやすくなり、より吸収の長波長化が期待できる。
列挙した化合物のうち、例示化合物C1乃至C12は、一般式[3]で表わされる有機化合物である。連結基Xが、チオフェン環である。一般式[3]で表わされる有機化合物は、化合物中に設けられているチエノインドール環によって化合物のHOMOがより深くなるので、暗電流の抑制効果が大きい。チオフェン環を連結基Xとして設けることで、分子が平面性の高い形状になるため、吸収の長波長化に効果的である。一般式[3]は、一般式[1]におけるArがフェニル基、連結基Xがチオフェニレン基である。そのため、分子量を最小限に抑えつつ赤領域の吸収を最大限発揮する構造となっている。さらには、化合物自体の熱的安定性向上も期待できる。
2.有機光電変換素子
以下、図面を参照しながら、本発明の有機光電変換素子の実施形態について説明する。
図1は、本実施形に係る有機光電変換素子の一例を示す断面模式図である。図の上側が光入射側である。図1の有機光電変換素子10は、アノード5と、カソード4と、アノードとカソードとの間に配置されている有機光電変換層1と、を有する。有機光電変換層1とカソード4との間には、第二の有機化合物層2を有する。この第二の有機化合物層は、電子ブロック層と呼ぶこともできる。
有機光電変換層3とアノード5との間には第三の有機化合物層3を有する。第三の有機化合物層は正孔ブロック層と呼ぶこともできる。
カソード4の光入射側には、無機保護層7、カラーフィルタ8、マイクロレンズ9を有する。アノード2には、読み出し回路6が接続されている。読み出し回路は、光電変換によって得た情報を不図示の信号処理部へと読み出す。信号処理部は、読み出し回路に接続されている。読み出し回路6は、例えば、有機光電変換素子1において生じた電荷に基づく信号を出力するトランジスタが含まれている。
アノード5は、有機光電変換層で発生した電子を捕集する電極である。そのため、電子捕集電極と呼ぶこともできる。カソード4は、有機光電変換層で発生した正孔を捕集する電極である。そのため、正孔捕集電極と呼ぶこともできる。
図1においては、アノードに読み出し回路が接続されているが、カソードに読み出し回路が接続される構成であってもよい。
有機光電変換層は、光を受けることで励起する有機化合物、すなわち一般式[1]で表わされる有機化合物、を有している。また有機光電変換層は、生じた電子及び正孔をアノード及びカソードへそれぞれ輸送する役割を有してもよい。
有機光電変換層は、p型の有機半導体又はn型の有機半導体を含む層であることが好ましい。有機光電変換層は、p型の有機半導体とn型の有機半導体とを含むバルクへテロ層(混合層)であることがより好ましい。この構成とすることにより、高い光電変換効率を得ることができる。また有機光電変換層を形成する際に、p型の有機半導体とn型の有機半導体とを適切な混合比率で含ませることにより、第一の有機化合物層10内における電子移動度及び正孔移動度を高くすることができる。高い移動度を有する有機光電変換素子は、応答速度が速いので好ましい。
一般式[1]で表わされる有機化合物を光電変換層に電子アクセプタと混合して用いる場合、有機光電変換層は、それ以外の化合物を有さないことが好ましい。電子ドナーと電子アクセプタ化合物が光を吸収し電荷分離した後、正孔と電子をそれぞれ電子ドナーと電子アクセプタが電極まで輸送する。数種類の化合物を混合させた場合、電荷輸送準位にトラップや欠陥を生み、上記電荷の輸送の妨げになるため、好ましくない。
第二の有機化合物層は、一層で構成されていてもよいし、複数の層で構成されていてもよい。また第二の有機化合物層は、複数種の材料を有するバルクへテロ層(混合層)であってもよい。
第二の有機化合物層は、有機光電変換層で発生した正孔をカソードへ輸送する役割を有してよい。また第二の有機化合物層は、カソードから光電変換層へ電子が移動するのを抑制する役割を有してしてよい。つまり、第二の有機化合物層5は、正孔輸送層又は電子ブロッキング層として機能し、上述した暗電流の課題を解決するために好ましい構成部材である。第二の有機化合物層はカソードと接していてもよい。電子ブロック層として機能させる場合、第二の有機化合物層のLUMOは低いことが好ましい。具体的には、LUMOが4.5eV以下が好ましく、3.5eV以下であることがより好ましい。
第三の有機化合物層は、一層で構成されていてもよいし、複数の層で構成されていてもよい。また第三の有機化合物層は、複数種の材料を有するバルクへテロ層(混合層)であってもよい。
第三の有機化合物層は、有機光電変換層で発生した電子をアノード2へ輸送する役割を有してよい。また第三の有機化合物層は、アノード2から光電変換層へ正孔が移動するのを抑制する役割を有してしてよい。つまり、第三の有機化合物層6は、電子輸送層又は正孔ブロッキング層として機能し、上述した暗電流の課題を解決するために好ましい構成部材である。第三の有機化合物層6はアノード2と接していてもよい。正孔ブロック層として機能させる場合、第三の有機化合物層6のHOMOは高いことが好ましい。具体的には、HOMOが5.0eV以上であることが好ましく、5.5eV以上であることがより好ましい。
本発明において、アノードとカソードとの間に配置されている層は、上述した三種類の層に限定されるものではない。有機光電変換層とカソードとの間、又は有機光電変換層とアノードとの間に介在層をさらに有してよい。
この介在層は、発生した電荷を電極にて注入する際の電荷の注入効率の向上させる、もしくは電圧を印加した際に電極から有機化合物層に電荷が注入するのを抑制する目的で設けられる。この介在層を設ける場合、この介在層は有機化合物層を有する有機化合物層であってもよいし、無機化合物を有する無機化合物層であってもよい。
無機保護層7は、電極、有機化合物層を保護する層である。無機保護層の構成材料としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム等があげられ、公知の成膜方法により形成することができる。
カラーフィルタ8は、例えば、可視光のうち赤色の光を透過するカラーフィルタ等が挙げられる。また、カラーフィルタは、有機光電変換素子が1つに対して1つ設けられていてもよいし、有機光電変換素子が複数個に対して1つ設けられてもよい。
カラーフィルタ8は、他の光電変換素子と異なる色を透過するカラーフィルタであってよい。カラーフィルタを配列する場合は、例えば、隣接する有機光電変換素子とで、ベイヤー配列を形成してよい。
マイクロレンズ9は、入射した光を光電変換層に集光する役割を果たす。マイクロレンズ9は、有機光電変換素子が1つに対して1つ設けられていてもよいし、有機光電変換素子が複数個に対して1つ設けられてもよい。有機光電変換素子とマイクロレンズを一対一で設けることが好ましい。
本実施形態に係る有機光電変換素子は、光電変換を行う場合に、アノードとカソードとの間に電圧を印加することが好ましい。ここで電極間に印加する電圧は、有機化合物層の総膜厚にもよるが、好ましくは、1V以上15V以下である。より好ましくは、2V以上10V以下である。
本発明の有機光電変換素子は、基板を有していてもよい。基板として、例えば、シリコン基板、ガラス基板、フレキシブル基板等が挙げられる。
カソードの構成材料は、導電性が高く、透明性を有する材料であれば特に制限されない。
具体的には、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属硼化物、有機導電性化合物、これらを複数種組み合わせた混合物等が挙げられる。さらに具体的には、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、アルミ等の金属材料及びこれら金属材料の酸化物や窒化物等の導電性化合物(例えば、窒化チタン(TiN)等)、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料、及びこれらとITO又は窒化チタンとの積層物等が挙げられる。カソードの構成材料として、特に好ましくは、窒化チタン、窒化モリブデン、窒化タンタル及び窒化タングステンが挙げられる。
アノードの構成材料は、具体的には、ITO、インジウム亜鉛酸化物、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)等が挙げられる。
上述した二種類の電極の形成方法は、それぞれ使用される電極材料との適正を考慮して適宜選択することができる。具体的には、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式等により形成することができる。
ITOを用いて電極を形成する場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾル−ゲル法等)、酸化インジウムスズの分散物の塗布等の方法で電極を形成することができる。また、ITO電極の表面に、UV−オゾン処理、プラズマ処理等を施してもよい。
TiNを用いて電極を形成する場合、反応性スパッタリング法をはじめとする各種の成膜方法を用いることができる。TiN電極にアニール処理、UV−オゾン処理、プラズマ処理等を施してもよい。
本発明に係る光電変換素子の有機光電変換層は、一般式[1]で表わされる有機化合物を有する。有機光電変換層は、一般式[1]乃至[3]で表わされる有機化合物のみからなる層であってもよい。これは、一般式[1]乃至[3]で表わされる有機化合物が、可視光を吸収して励起子を生成する機能、及びこの励起子から電荷、即ち、正孔及び電子を生成する機能およびそれを輸送する機能を有しているためである。有機光電変換層は、一般式[1]で表わされる有機化合物を複数種類含ませてもよい。当該複数種類の一般式[1]で表わされる有機化合物はそれぞれ異なる構造であり、異なる性質を有することが好ましい。
有機光電変換層は、一般式[1]乃至[3]で表わされる有機化合物以外の第二の材料を有していてもよい。他の材料としては、可視光を吸収して励起子を生成する機能を有する光吸収材料及び光吸収材料の励起子から電荷、即ち、正孔及び電子を生成する機能およびそれを輸送する機能を有する光電変換誘起材料が挙げられる。一般式[1]乃至[3]の化合物以外の第二の材料が含まれる場合、第二の材料、すなわち、光吸収材料または光電変換誘起材料は、それぞれ一種類でもよいし、二種類以上であってもよい。
また有機光電変換層に一般式[1]乃至[3]で表わされる有機化合物以外の第二の材料が含まれる場合、有機光電変換層は、一般式[1]乃至[3]で表わされる有機化合物と、第二の材料と、を有する混合層であっても、それぞれが層を形成し積層されてなる積層体であってもよい。このように有機光電変換層が積層体である場合、各層はアノードからカソードの方向に積層されていることが好ましい。
第二の材料の光電変換誘起材料としては、n型有機半導体が挙げられる。n型有機半導体の中でもフラーレン誘導体が好ましい。フラーレン誘導体は、n型有機半導体の中でも、励起子から電荷(正孔及び電子)を生成する機能及びそれを輸送する機能が特に優れており、また可視光を吸収して励起子を生成する機能をも備える材料だからである。これら光電変換誘起材料は、一種類を用いてもよいし、二種類以上を用いてもよい。
フラーレン誘導体が共通して有する骨格であるフラーレンは、多数の炭素原子のみで構成される閉殻空洞状のクラスターの総称である。またフラーレンは、具体的には、C60や高次のフラーレンであるC70、C74、C76、C78等が挙げられる。
フラーレン誘導体は、フラーレンにアルキル基、アリール基、複素環基等の置換基が設けられた化合物である。以下の説明において、フラーレン及びフラーレン誘導体をまとめて「フラーレン類」と呼ぶことがある。これら化合物は、そのうちの一種類を選択して用いてもよいし、複数種類を選択して用いてもよい。
有機光電変換層に含まれるフラーレン類の分子は、フラーレン骨格同士でスタッキングを起こすため、各分子を有機光電変換層内において一定の方向に配向させることができる。これにより、電子の経路が形成されるため、電子輸送性が向上し、有機光電変換素子の高速応答性が向上する。
有機光電変換層に含まれるフラーレン類の含有量は、好ましくは、有機光電変換層の全体を100体積%とした場合、30体積%以上70体積%以下である。
フラーレン類として、例えば、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC80、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC96、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、下記に示されるフラーレン誘導体等が挙げられる。
Figure 2018002690
第二の有機化合物層の構成材料としては、正孔輸送材料又は正孔注入材料として用いられる有機化合物が挙げられる。第二の有機化合物層は、HOMOが、有機光電変換層のHOMOと電極の仕事関数との間であり、LUMOが有機光電変換層のLUMOよりも高いことが好ましい。ここで、有機化合物層のHOMOやLUMOは、重量比が最も大きい化合物のHOMOやLUMOをその有機化合物層のHOMOやLUMOとみなすことができる。
第三の有機化合物層の構成材料としては、イオン化ポテンシャルが高い材料、具体的には、電子輸送材料又は電子注入材料として用いられる有機化合物が挙げられる。尚、有機光電変換層の構成材料の一つであるフラーレン類は、上述したように、電子輸送性に優れた材料であるので、第三の有機化合物層の構成材料として使用することができる。
有機光電変換素子は、有機光電変換層の材料を適宜設定することで、異なる波長の光に対応する有機光電変換素子とすることができる。尚、ここでいう「波長」とは、所定の有機光電変換素子が受光する光の波長である。このように異なる波長に対応する有機光電変換素子を複数種類有する場合において、これら複数種類の有機光電変換素子をアノードからカソードの方向に積層させた場合、カラーフィルタを必要としない有機光電変換装置が得られる。この有機光電変換装置に含まれる複数種類の有機光電変換素子のうち、少なくとも一種類の有機光電変換素子は、本発明に係る有機光電変換素子である。
本発明に係る有機光電変換素子は、面内方向に二次元に配置させることで光エリアセンサの構成部材として用いることができる。光エリアセンサは、有機光電変換素子を複数有し、複数の有機光電変換素子が、表方向及び列方向にそれぞれ複数配置されている。尚、この光エリアセンサに含まれる有機光電変換素子を、上述した有機光電変換装置に換えてもよい。
本発明に係る有機光電変換素子は、撮像素子の構成部材として用いることができる。撮像素子は、各々が受光画素となる複数の有機光電変換素子と、それぞれの有機光電変換素子に接続されている読み出し回路と、読み出し回路に接続されている情報処理部と、を有する。読み出し回路によって読み出された電荷に基づく情報は、信号処理部に伝達される。この信号処理部としては、例えば、CMOS回路、CCD回路等があげられる。それぞれの受光画素で取得した情報が信号処理部に集められることで画像を得ることができる。
撮像素子は、例えば、カラーフィルタ等の光学フィルタを、各受光画素にそれぞれ対応するように有してもよい。有機光電変換素子が、特定の波長の光に対応している場合、この有機光電変換素子が対応可能な波長領域を透過するカラーフィルタを有することが好ましい。カラーフィルタは、受光画素1つにつき1つ設けてもよいし、複数の受光画素につき1つのカラーフィルタを設けてもよい。
尚、撮像素子が有する光フィルタは、カラーフィルタに限定されず、他にも、赤外線以上の波長を透過するローパスフィルタ、紫外線以下の波長を透過するUVカットフィルタ、ロングパスフィルタ等を用いることができる。
撮像素子は、マイクロレンズ等の光学部材を有してよい。撮像素子が有するマイクロレンズは、外部からの光を撮像素子が有する有機光電変換素子を構成する光電変換部に集光するレンズである。マイクロレンズは、受光画素1つにつき1つ設けてもよいし、複数の受光画素につき1つ設けてもよい。受光画素が複数設けられている場合は、複数の受光画素につき1つのマイクロレンズが設けられてもよい。
本発明に係る有機光電変換素子は、撮像装置に用いることができる。撮像装置は、複数のレンズを有する撮像光学系と、撮像光学系を通過した光を受光する撮像素子と、を有する。また、撮像装置は、撮像光学系と接合可能な接合部を有する筐体とこの筐体に収容される撮像素子とを有する撮像装置であってもよい。ここでいう撮像装置とは、より具体的には、デジタルカメラやデジタルスチルカメラをいう。
また撮像装置は、外部からの信号を受信する受信部をさらに有してもよい。受信部が受信する信号は、撮像装置の撮像範囲、撮像の開始及び撮像の終了の少なくともいずれかを制御する信号である。また撮像装置は、撮像により取得した画像を外部に送信する送信部をさらに有してもよい。このように、受信部や送信部を有することで、撮像装置をネットーワークカメラとして用いることができる。
図2は本実施形態に係る画素を含む回路の一例を表わす回路図である。光電変換素子10は、nodeAで共通配線19に接続される。共通配線はグランドに接続されてよい。
画素18は、光電変換素子10と、光電変換部で生じた信号を読み出すための読み出し回路を含んでよい。読み出し回路は、例えば光電変換素子と電気的に接続した転送トランジスタ11、光電変換素子10と電気的に接続されたゲート電極を有する増幅トランジスタ13、情報が読み出される画素を選択する選択トランジスタ14、光電変換素子にリセット電圧を供給するリセットトランジスタ12を含んでよい。
転送トランジスタ11は、pTXでその転送を制御されてよい。リセットトランジスタは、pRESで電圧の供給を制御されてよい。選択トランジスタはpSELで選択または非選択の状態をとなる。
転送トランジスタ11、リセットトランジスタ12、増幅トランジスタ13は、nodeBで接続されている。構成によっては転送トランジスタを有さなくてもよい。
リセットトランジスタはnodeBの電位をリセットする電圧を供給するトランジスタである。リセットトランジスタのゲートにpRESを印加することで電圧の供給を制御できる。構成によってはリセットトランジスタを有さなくてもよい。
増幅トランジスタは、nodeBの電位に応じた電流を流すトランジスタである。増幅トランジスタは信号を出力する画素を選択する選択トランジスタ14に接続されている。選択トランジスタは、電流源16、列出力部15に接続されており、列出力部15は信号処理部に接続されてよい。
選択トランジスタ14は、垂直出力信号線17に接続されている。垂直出力信号線17は、電流源16、列出力部15に接続されている。
図3は、実施形態に係る撮像素子を表わす図である。撮像素子20は、複数の画素が2次元に配置されている撮像領域25と、周辺領域26とを有する。撮像領域以外領域は周辺領域である。周辺領域には、垂直走査回路21、読み出し回路22、水平走査回路23、出力アンプ24を有し、出力アンプは信号処理部27に接続されている。信号処理部は、読み出し回路に読みだされた情報により信号処理を行う信号処理部であり、CCD回路、CMOS回路等があげられる。
読み出し回路22は、例えば、列アンプ、CDS回路、加算回路等を含み、垂直走査回路21によって選択された行の画素から垂直信号線を介して読み出された信号に対して増幅、加算等を行う。列アンプ、CDS回路、加算回路等は、例えば、画素列又は複数の画素列毎に配置される。水平走査回路23は、読み出し回路22の信号を順番に読み出すための信号を生成する。出力アンプ24は、水平走査回路23によって選択された列の信号を増幅して出力する。
以上の構成は、光電変換装置の一つの構成例に過ぎず、本実施形態は、これに限定されるものではない。読み出し回路22と水平走査回路23と出力アンプ24とは、2系統の出力経路を構成するため、撮像領域25を挟んで上下に1つずつ配置されている。しかし、出力経路は3つ以上設けられていてもよい。各出力アンプから出力された信号は信号処理部で画像信号として合成される。
下記、中間体M1−0を下記のスキームの通り合成した。
Figure 2018002690
[実施例1]例示化合物A49の合成
下記に示す合成スキームに従い、例示化合物A49の合成を行った。
Figure 2018002690
(1)中間体M1−3の合成
窒素雰囲気にした500mL三口フラスコ内に、下記に示される試薬、溶媒を順次投入した。
中間体化合物M1−0:3.12g(18.0mmol)
1−ブロモナフタレン:4.14g(20.0mmol)
酢酸パラジウム:0.116g(0.516mmol)
1,1’−ビス−ジフェニルホスフィノ−フェロセン:0.572g(1.03mmol)
ナトリウムターシャリブトキサイド:3.31g(34.4mmol)
トルエン:300mL
反応溶液を100℃に加熱し、100℃を維持したまま8時間撹拌した。次に、反応溶液を室温まで放冷した後、ろ過を行って得られたろ液を水で洗浄した。その後、減圧濃縮することで粗生成物を得た。
次に、得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン、ヘプタン混合溶媒)により精製することで、中間体化合物M1−1を3.77g(収率70.0%)得た。
次に、窒素雰囲気にした300mL三口フラスコ内に、以下に示す試薬、溶媒を順次投入した。
中間体化合物M1−1:2.29g(7.65mmol)
テトラヒドロフラン:160mL
次に、反応溶液を−70℃まで冷却した後、−70℃の下で1.6Mノルマルブチルリチウム−ヘキサン溶液5.7mLを反応溶液にゆっくり滴下した。その後、−70℃を維持しながら、反応溶液をさらに30分撹拌した。次に、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(2.32mL)をゆっくり滴下した後、−70℃を維持しながら、反応溶液をさらに30分撹拌した。この後、反応溶液を0℃までゆっくりと昇温させた後、反応溶液中に水を添加することで反応を停止させた。次に、反応を停止させた反応溶液中にトルエンを加え溶媒抽出を行うことで有機層を得た。次に、この有機層を減圧濃縮させることで中間体M1−2の粗生成物3.09g(収率95.0%)を得た。
次に、窒素雰囲気にした300mL三口フラスコ内に、下記に示される試薬、溶媒を順次投入した。
中間体化合物M1−2:2.00g(4.70mmol)
5−ブロモチオフェンンー2−カルボキシアルデヒド:0.90g(4.70mmol)
テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム:0.272g(0.235mmol)
炭酸ナトリウム:1.50g(14.1mmol)
トルエン:60mL
エタノール:20mL
水:20mL
反応溶液を80℃に加熱し、80℃を維持したまま8時間撹拌した。次に、反応溶液を室温まで放冷した後、ろ過を行って得られたろ液を水で洗浄した。その後、減圧濃縮することで粗生成物を得た。次に、得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン、ヘプタン混合溶媒)により精製することで、中間体化合物M1−3を1.25g(収率65.0%)得た。
(2)例示化合物A49の合成
窒素雰囲気にした300mL三口フラスコ内に、下記に示される試薬、溶媒を順次投入した。
中間体化合物M1−3:1.00g(2.44mmol)
1H−インデン−1,3(2H)−ジオン:0.357g(2.44mmol)
エタノール:120mL
次に、反応溶液を80℃に加熱し、反応溶液を80℃で還流させながら6時間撹拌した。次に、反応溶液を室温まで放冷した後、ろ過を行って得られたろ物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘプタン、クロロホルム混合溶媒)で精製することにより、例示化合物A49を0.79g(収率60.0%)得た。質量分析法により、この化合物のM+である537を確認した。
[実施例2]乃至[実施例10]
実施例1において、「Ar−Br」、「X−Br」及び「Y」を、下記表2に示される化合物に変更すること以外は、実施例1にて説明した方法と同様な方法により、一般式[1]乃至[3]に該当する化合物を合成した。
Figure 2018002690
[実施例11]例示化合物C20の合成
下記に示す合成スキームに従い、例示化合物C20の合成を行った。
Figure 2018002690
(1)中間体M2−3の合成
窒素雰囲気にした300mL三口フラスコ内に、下記に示される試薬、溶媒を順次投入した。
中間体化合物M2−1:5.00g(17.8mmol)
2,3−ジブロモチオフェン:3.58g(14.8mmol)
酢酸パラジウム:0.166g(0.74mmol)
トリシクロヘキシルフォスフィン:0.415g(1.48mmol)
ナトリウムターシャリブトキサイド:4.27g(44.4mmol)
トルエン:180mL
反応溶液を110℃に加熱し、110℃を維持したまま8時間撹拌した。次に、反応溶液を室温まで放冷した後、ろ過を行って得られたろ液を水で洗浄した。その後、減圧濃縮することで粗生成物を得た。次に、得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン、ヘプタン混合溶媒)により精製することで、中間体化合物M2−1を2.57g(収率40.0%)得た。
次に、窒素雰囲気にした300mL三口フラスコ内に、以下に示す試薬、溶媒を順次投入した。
中間体化合物M2−1:2.00g(5.53mmol)
テトラヒドロフラン:120mL
次に、反応溶液を−70℃まで冷却した後、−70℃の下で1.6Mノルマルブチルリチウム−ヘキサン溶液5.7mLを反応溶液にゆっくり滴下した。その後、−70℃を維持しながら、反応溶液をさらに30分撹拌した。次に、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(1.68mL)をゆっくり滴下した後、−70℃を維持しながら、反応溶液をさらに30分撹拌した。この後、反応溶液を0℃までゆっくりと昇温させた後、反応溶液中に水を添加することで反応を停止させた。次に、反応を停止させた反応溶液中にトルエンを加え溶媒抽出を行うことで有機層を得た。次に、この有機層を減圧濃縮させることで中間体M2−2の粗生成物2.56g(収率95.0%)を得た。
次に、窒素雰囲気にした300mL三口フラスコ内に、下記に示される試薬、溶媒を順次投入した。
中間体化合物M2−2:2.00g(4.10mmol)
5−ブロモチオフェンンー2−カルボキシアルデヒド:0.79g(4.10mmol)
テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム:0.237g(0.205mmol)
炭酸ナトリウム:1.31g(12.3mmol)
トルエン:60mL
エタノール:20mL
水:20mL
反応溶液を80℃に加熱し、80℃を維持したままで8時間撹拌した。次に、反応溶液を室温まで放冷した後、ろ過を行って得られたろ液を水で洗浄した。その後、減圧濃縮することで粗生成物を得た。次に、得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン、ヘプタン混合溶媒)により精製することで、中間体化合物M2−3を1.35g(収率70.0%)得た。
(2)例示化合物C20の合成
窒素雰囲気にした200mL三口フラスコ内に、下記に示される試薬、溶媒を順次投入した。
中間体化合物M2−3:1.00g(2.14mmol)
マロノニトリル:0.14g(2.14mmol)
クロロホルム:70mL
次に、反応溶液を室温のまま6時間撹拌した。次に、反応溶液を減圧濃縮することで粗生成物を得た。次に、得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘプタン、クロロホルム混合溶媒)で精製することにより、例示化合物C20を0.83g(収率75.0%)得た。質量分析法により、この化合物のM+である519を確認した。
[実施例12]例示化合物C17の合成
下記に示す合成スキームに従い、例示化合物C17の合成を行った。実施例11のYを1H−インデン−1,3(2H)−ジオンに変更し、合成例11に示す合成スキームに従い、例示化合物C17を合成した。質量分析法により、この化合物のM+である599を確認した。
Figure 2018002690
[実施例13]例示化合物C18の合成
下記に示す合成スキームに従い、例示化合物C18の合成を行った。合成例12のYを1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−1,3(2H)−ジオンに変更し、合成例12に示す合成スキームに従い、例示化合物C18を合成した。質量分析法により、この化合物のM+である649を確認した。
Figure 2018002690
[実施例14]例示化合物C8の合成
合成例11におけるAr−NHとして、ジフェニルアミンを用いることで、下記M2−4の合成を行った。さらに、Yとして5,6−ジフルオロー1H−インデン−1,3(2H)−ジオンを用い、合成例11に示す合成スキームに従い、例示化合物C8の合成を行った。質量分析法により、この化合物のM+である523を確認した。
Figure 2018002690
[実施例15]乃至[実施例25]
実施例11において、「Ar−NH」、「X−Br」及び「Y」を、下記表3に示される化合物に変更すること以外は、実施例11にて説明した方法と同様な方法により、一般式[2]及び[3]に該当する化合物を合成した。
Figure 2018002690
Figure 2018002690
[有機光電変換素子の作製]
以下に説明する実施例又は比較例において使用された材料の一部を以下に示す。
Figure 2018002690
[実施例26]
基板の上に、カソード、電子ブロッキング層(第二の有機化合物層)、有機光電変換層、正孔ブロッキング層(第三の有機化合物層)及びアノードが、この順で形成されている有機光電変換素子を、以下に説明する方法により作製した。
まずSi基板の上に、インジウムスズ酸化物を成膜し、所望のパターニング加工を施すことによりカソードを形成した。このときカソードの膜厚を100nmとした。このようにカソードが形成された基板を電極付基板として、以下の工程で使用した。
上記電極付基板の上に、下記表5に示される有機化合物層及び電極層を連続成膜した。尚、このとき対向するアノードの電極面積が3mmとなるようにした。
Figure 2018002690
[実施例27]乃至[実施例37]、[比較例1]乃至[比較例3]
実施例26において、構成材料Z1乃至Z3を、下記表6に示される通りに変更したこと以外は、実施例26と同様の方法により有機光電変換素子を得た。
[有機光電変換素子の評価]
得られた素子について、有機光電変換素子の特性を測定・評価した。
(1)明所及び暗所での電流値の比較
素子に5Vの電圧を印加時の電流を確認したところ、「[明所での電流]/[暗所での電流]」の値が100(倍)以上であるため、得られた素子が光電変換素子として機能していることを確認した。
(2)外部量子効率
外部量子効率は、以下の条件で測定した。カソードとアノードとの間に5Vの電圧を印加する。波長450nm(青色光)、550nm(緑色光)、625nm(赤色光)における、強度50μW/cmの単色光を素子へ照射した時に流れる光電流密度を測定することで算出した。光電流密度は光照射時の電流密度から、遮光時での暗電流密度を差し引いて求めた。測定に用いた単色光は、キセノンランプ(装置名XB−50101AA−A ウシオ電機製)から出射される白色光を、モノクロメータ(装置名MC−10N リツー応用光学製)で単色化した。素子への電圧印加と電流計測は、ソースメータ(装置名R6243 アドバンテスト製)を用いて行った。また、外部量子効率の測定において、光の入射は素子に対して垂直に、上部電極側から行った。結果を表6に示す。表6において、パンクロミック性能を比較するために、外部量子効率の判定は以下のように行った。
◎:青色光(赤色光)における外部量子収率/緑色光における外部量子収率≧0.7
○:青色光(赤色光)における外部量子収率/緑色光における外部量子収率≧0.5
×:青色光(赤色光)における外部量子収率/緑色光における外部量子収率<0.5
(3)暗電流の評価
暗電流は、遮光時において、得られた有機光電変換素子に5Vの電圧を印加した際の電流密度を測定することで評価した。
また下記の評価基準により、実施例及び比較例の有機光電変換素子について、暗電流の評価を行った。下記評価のうち、「A」又は「B」であることが望ましい。
A:暗電流の相対値(注)が10倍未満である場合
B:暗電流の相対値(注)が10倍以上100倍未満である場合
C:暗電流の相対値(注)が100倍以上である場合
(注:実施例26の有機光電変換素子の暗電流値を1とする相対値)
Figure 2018002690
表6に示される結果より、実施例にて作製した有機光電変換素子は、外部量子効率が高いだけでなく暗電流の低減ができていることが分かった。これは、有機光電変換層の構成材料であるZ2(光吸収材料)となる化合物の構造に理由がある。即ち、Z2となる一般式[1]乃至[3]の化合物には、チエノインドール環が導入されている。これにより、光電変換材料の含窒素5員環が化合物自体のHOMOを選択的に深くすることを可能にしているため、光電変換層の内部で発生する暗電流を低減させることができる。また一般式[1]の化合物において、連結基Xを適切にコントロールすることで、緑領域だけでなく赤領域の外部量子効率を向上させた有機光電変換素子を実現することができる。
以上より、本発明に係る有機化合物を有する有機光電変換素子は、優れた性能を有する光電変換素子である。
1 有機光電変換層
2 第二の有機化合層
3 第三の有機化合物層
4 カソード
5 アノード
6 読み出し回路

Claims (15)

  1. 下記一般式[1]で表わされることを特徴とする有機化合物。
    Figure 2018002690

    一般式[1]において、Arは、置換または無置換の芳香族炭化水素基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換の縮合多環芳香族基および置換または無置換の縮合多環芳香族複素環基から選ばれる。
    Xは、置換または無置換の芳香族炭化水素基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換の縮合多環芳香族基、置換または無置換の縮合多環芳香族複素環基から選ばれる。
    乃至Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素基、置換または無置換の複素環基、水酸基、アミノ基、縮合多環芳香族基からそれぞれ独立に選ばれる。R乃至Rは隣接するもの同士が互いに結合して環を形成してもよい。nは、1または2である。Yは、電子吸引性の置換基を表わす。
  2. 前記Xは、フェニレン基、ナフタレニレン基、チオフェニレン基、フルオレニレン基、スピロフルオレニレン基から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の有機化合物。
  3. 前記Arが、置換または無置換のフェニル基であり、前記フェニル基が置換基を有する場合、前記置換基は、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素基、置換または無置換の複素環基、水酸基、アミノ基、置換または無置換の縮合多環芳香族基から選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載の有機化合物。
  4. 前記Xが置換または無置換のチオフェニレン基であり、前記チオフェニレン基が置換を有する場合、前記置換基は、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換の芳香族炭化水素基、置換または無置換の複素環基、水酸基、アミノ基、置換または無置換の縮合多環芳香族基から選ばれることを特徴とする請求項2に記載の有機化合物。
  5. 前記Yが下記一般式[4]で表わされる置換基から選ばれることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機化合物。
    Figure 2018002690

    一般式[4]において、R21乃至R70は、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、置換または無置換の芳香族炭化水素基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換の縮合多環芳香族基、置換または無置換の縮合多環複素環基からそれぞれ独立に選ばれる。
  6. アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置されている有機光電変換層と、を有する有機光電変換素子であって、
    前記有機光電変換層が、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有機化合物を有することを特徴とする、有機光電変換素子。
  7. 前記有機光電変換層は、n型有機半導体をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の有機光電変換素子。
  8. 前記n型有機半導体が、フラーレン又はフラーレン誘導体であることを特徴とする請求項7に記載の有機光電変換素子。
  9. 前記カソードと前記有機光電変換層との間に前記有機光電変換層とは異なる有機化合物層をさらに有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の有機光電変換素子。
  10. 前記有機光電変換層とは、受光する光の波長が異なる、第二の有機光電変換層をさらに有し、
    前記有機光電変換層と、前記第二の有機光電変換層と、が積層されていることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の有機光電変換素子。
  11. 複数の画素と、前記画素に接続されている情報処理部とを有する撮像素子であって、
    前記画素は、請求項6乃至10のいずれか一項に記載の有機光電変換素子と、前記有機光電変換素子に接続されている読み出し回路と、を有することを特徴とする撮像素子。
  12. 複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有し、前記撮像素子が、請求項11に記載の撮像素子であることを特徴とする撮像装置。
  13. 複数のレンズを有する光学部に接合可能な接合部を有する筐体と、前記筐体に収容されている撮像素子とを有し、前記撮像素子が請求項11に記載の撮像素子である特徴とする撮像装置。
  14. 外部からの信号を受信する受信部をさらに有し、
    前記信号が、前記撮像装置の撮像範囲、撮像の開始及び撮像の終了のいずれかを制御する信号であることを特徴とする請求項12または13に記載の撮像装置。
  15. 取得した画像を外部に送信する送信部をさらに有することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の撮像装置。
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