JP2018002603A - クロロメタンとヘキサフルオロプロペンの分離方法およびクロロメタンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】クロロメタンとヘキサフルオロプロペンを含む混合物からこれらを効率良く分離する方法を提供する。
【解決手段】クロロメタンとヘキサフルオロプロペンとを含む混合物と、アルコール類、炭素数5〜12の飽和炭化水素類、アミド類、エーテル類、芳香族炭化水素類、エステル類、クロロカーボン、ハイドロクロロカーボンおよびハイドロフルオロエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種の抽出溶剤と、を混合して抽出用混合物を得る工程と、前記抽出用混合物を蒸留して、クロロメタンを得る抽出蒸留工程と、を備えるクロロメタンとヘキサフルオロプロピレンの分離方法。
【選択図】なし
【解決手段】クロロメタンとヘキサフルオロプロペンとを含む混合物と、アルコール類、炭素数5〜12の飽和炭化水素類、アミド類、エーテル類、芳香族炭化水素類、エステル類、クロロカーボン、ハイドロクロロカーボンおよびハイドロフルオロエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種の抽出溶剤と、を混合して抽出用混合物を得る工程と、前記抽出用混合物を蒸留して、クロロメタンを得る抽出蒸留工程と、を備えるクロロメタンとヘキサフルオロプロピレンの分離方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、クロロメタン(CH3Cl、以下、R−40とも記す)とヘキサフルオロプロペン(CF3CF=CF2、以下、HFPとも記す)を含む混合物からクロロメタンとヘキサフルオロプロペンを分離する方法およびその混合物からクロロメタンを分離して製造する方法に関する。本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、本明細書では必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いるものとする。
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)は、温室効果ガスである1,1,1,2−テトラフルオロエタン(CF3CH2F、HFC−134a)に代わる新しい冷媒として、近年大きな期待が寄せられている。
HFO−1234yfの製造方法として、例えば、クロロフルオロカーボン類を含む原料から熱分解を伴う1回の反応でHFO−1234yfを製造する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、クロロメタン(CH3Cl、R40)とクロロジフルオロメタン(CHClF2,R22)との混合物を熱媒体の存在下で加熱分解して、HFO−1234yfを得る方法が提示されている。
このような熱分解を伴う反応では、目的物質であるHFO−1234yf以外に多種の化合物が副生物として生成される。本発明者らの検討によると、上記方法で得られる反応混合物中には、TFE、フッ化ビニリデン(VdF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、オクタフルオロシクロブタン(RC318)、トリフルオロメタン(R23)等の多種類の副生物が含まれる。
通常、反応生成物からの副生物の除去は沸点差を利用して蒸留で行われるが、クロロメタン(R−40)とヘキサフルオロプロペン(HFP)は、その混合割合によって共沸組成を形成することから、蒸留による両者の分離は容易でない。すなわち、R−40とHFPを含む混合物から通常の蒸留法により高濃度のR−40を得ようとすると、非常に多くの段数を有する蒸留装置が必要となるため、一般には蒸留による分離は困難である。
従来、沸点が極めて近い2つの成分を含む混合物や2成分からなる共沸または共沸様組成物から、一方の成分を分離する方法として、抽出蒸留法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、R−40とHFPを含む混合物から効率良く両者を分離してR−40を得る方法は知られていない。さらに、多種の化合物が副生物として生成される系では、2種の化合物のみならず3種以上の化合物が共沸組成物または共沸様組成物を形成することもあるため、共沸組成物または共沸様組成物を形成する可能性のある化合物の組合せやその態様は限りなく多く、これら全てについて詳細に分析するのは非常に困難であった。
本発明は、上記観点からなされたものであり、クロロメタン(R−40)とヘキサフルオロプロペン(HFP)を含む混合物からR−40とHFPを効率良く分離する方法、および該分離する方法によりR−40を効率良く製造する方法を提供することを目的とする。
本発明のクロロメタンとヘキサフルオロプロピレンの分離方法は、クロロメタンとヘキサフルオロプロペンとを含む混合物と、アルコール類、炭素数5〜12の飽和炭化水素類、アミド類、エーテル類、芳香族炭化水素類、エステル類、クロロカーボン、ハイドロクロロカーボンおよびハイドロフルオロエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種の抽出溶剤と、を混合して抽出用混合物を得る工程と、前記抽出用混合物を蒸留して、クロロメタンを得る抽出蒸留工程と、を備えることを特徴とする。
さらに本発明は、上記本発明の分離方法によりクロロメタンとヘキサフルオロプロペンを分離する工程を有することを特徴とするクロロメタンの製造方法を提供する。
本発明によれば、クロロメタンとヘキサフルオロプロペンを含む混合物からクロロメタンとヘキサフルオロプロペンを効率良く分離することができる。また、本発明によれば、クロロメタンとヘキサフルオロプロペンを含む混合物からクロロメタンを効率良く得ることができる。
本発明の分離方法は、クロロメタン(R−40)とヘキサフルオロプロペン(HFP)とを含む混合物と、アルコール類、炭素数5〜12の飽和炭化水素類、アミド類、エーテル類、芳香族炭化水素類、エステル類、クロロカーボン、ハイドロクロロカーボンおよびハイドロフルオロエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種の抽出溶剤と、を混合して抽出用混合物を得る工程と、該抽出用混合物を蒸留して、R−40を得る抽出蒸留工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の実施形態においては、抽出蒸留工程で得られた缶出物を蒸留して抽出溶剤を回収する工程(以下、「缶出物の蒸留工程」ともいう。)をさらに有し、回収された抽出溶剤を抽出蒸留工程において再使用することが好ましい。
本明細書において、特に断りのない限り、化合物の沸点は常圧(1.013×105Pa)での値である。
本明細書において、抽出蒸留とは、沸点が極めて近く、通常の蒸留による分離が困難な2成分からなり、比揮発度が1に近い混合物や共沸組成をもつ組み合わせの混合物に、抽出溶剤を加え抽出用混合物とし、元の2成分の比揮発度を1から隔たらせることにより、分離を容易にする蒸留操作を意味する。
本明細書において比揮発度とは、以下の式で示されるクロロメタン(R−40)とヘキサフルオロプロペン(HFP)との比揮発度(以下、「Rv」とも記す。)を用いる。
Rv=(気相部におけるR−40のモル分率/気相部におけるHFPのモル分率)/(液相部におけるR−40のモル分率/液相部におけるHFPのモル分率)
Rv=(気相部におけるR−40のモル分率/気相部におけるHFPのモル分率)/(液相部におけるR−40のモル分率/液相部におけるHFPのモル分率)
本発明者らは抽出溶剤の添加によりRvが1より相当量大きくなれば「抽出蒸留」においてHFPを留出物成分として、R−40を溶剤とともに缶出物成分として、それぞれ容易に取り出すことができることを見出した。
本明細書において「留出物」とは、蒸留塔の塔頂側から留出される物質をいい、缶出物とは、蒸留塔の塔底側から留出される物質をいう。
本明細書において「主成分」とは、当該成分以外の成分の量が相対的に少ないことを意味する。「主成分」の量は全体の50モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、最も好ましくは80モル%以上である。
以下の記載では、混合物はR−40とHFPの2成分からなる混合物として説明するが、該混合物はR−40とHFP以外の第3の成分を含んでいてもよい。該混合物が第3の成分を含む場合には、第3の成分はその沸点に応じてR−40および/またはHFPと挙動を共にする。第3の成分を含む場合であっても、以下の実施形態の分離方法を実施することで、R−40とHFPを効率良く分離することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<抽出用混合物を得る工程>
R−40とHFPを含む混合物に抽出溶剤を混合して、抽出用混合物とする。混合物に対する抽出溶剤の添加は、蒸留(抽出蒸留)の前であれば特にタイミングを問わない。なお、蒸留作業の効率の観点から、抽出蒸留塔にR−40とHFPを含む混合物を供給し、さらに抽出蒸留塔に抽出溶剤を供給して塔内で抽出用混合物を調製し、調製と同時に蒸留を行うことが好ましい。
R−40とHFPを含む混合物に抽出溶剤を混合して、抽出用混合物とする。混合物に対する抽出溶剤の添加は、蒸留(抽出蒸留)の前であれば特にタイミングを問わない。なお、蒸留作業の効率の観点から、抽出蒸留塔にR−40とHFPを含む混合物を供給し、さらに抽出蒸留塔に抽出溶剤を供給して塔内で抽出用混合物を調製し、調製と同時に蒸留を行うことが好ましい。
R−40とHFPを含む混合物におけるR−40とHFPとの組成比(モル比)は、特に限定されないが、通常の蒸留条件において、該混合物が組成の変化をほとんど伴わずに蒸留される範囲であることが好ましい。混合物が組成の変化をほとんど伴わずに蒸留される組成範囲は、所定の圧力における比揮発度が1.00±αとなる範囲として規定できる。共沸様組成物の組成範囲としては、具体的には、所定の圧力において比揮発度が1.00±0.30となる範囲である。上記のとおり、R−40とHFPは沸点が近く、両者の混合物はその割合により比揮発度が1に非常に近い。R−40とHFPの混合物について、圧力1.011×106Paにおいて以下の方法により測定した比揮発度を表1に示す。R−40とHFPの混合物は、大部分の組成においてもRvが1からあまり隔たりのない範囲内にあることがわかる。
(R−40とHFPの比揮発度の測定方法)
500mLの圧力計付きオートクレーブに測定試料を入れ、上記所定の圧力となるように外部ヒータによって徐々に加熱し、圧力が所定の値となった後、2時間保持してオートクレーブ内の組成を安定化させた。次いで、気相および液相からそれぞれ測定試料のサンプルを採取して、ガスクロマトグラフィにより分析し、R−40とHFPのモル比を測定した。両者のモル比から比揮発度(Rv)を求めた。
500mLの圧力計付きオートクレーブに測定試料を入れ、上記所定の圧力となるように外部ヒータによって徐々に加熱し、圧力が所定の値となった後、2時間保持してオートクレーブ内の組成を安定化させた。次いで、気相および液相からそれぞれ測定試料のサンプルを採取して、ガスクロマトグラフィにより分析し、R−40とHFPのモル比を測定した。両者のモル比から比揮発度(Rv)を求めた。
本発明者らは、R−40とHFPの比揮発度が1.00より相当量大きい場合に、R−40とHFPとが効率良く分離できることに着目し、R−40とHFPの混合物に特定の抽出溶剤を添加することで、R−40とHFPの分離を効率良く行うことができることを見出した。
上記抽出溶剤は、それ自体の沸点が高く揮発しにくく、上記混合物においてはR−40に対してのみ親和性を有する。そのため、R−40を揮発しにくくすることで、比揮発度の値が1.00より相当量大きくなる。抽出溶剤の種類による比揮発度の違いについては、後述する。
また、上記抽出溶剤は、後述する缶出物の蒸留工程で蒸留・分離を効率良く行う観点から、その沸点は40〜250℃の範囲であることが好ましい。
上記抽出溶剤は、炭素数5〜12の飽和炭化水素類、アルコール類、アミド類、エーテル類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類、クロロカーボン、ハイドロクロロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。
ここで、炭素数5〜12の飽和炭化水素類は、後述する缶出物の蒸留工程で蒸留・分離を効率良く行う観点から、直鎖状の飽和炭化水素化合物であり、炭素数6〜10の直鎖飽和炭化水素化合物が好ましく、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンが好ましく、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンがより好ましい。
アルコール類は、後述する缶出物の蒸留工程で蒸留・分離を効率良く行う観点から、直鎖状または分岐状の炭素数1〜4の水酸基を分子内に持つ化合物が好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールがより好ましい。
アミド類としては、後述する缶出物の蒸留工程で蒸留・分離を効率良く行う観点から、炭素数3〜5の鎖状アミド類または脂肪族環状アミド類が好ましく、アミノ基の水素原子が全てアルキル基で置換された3級アミド類がより好ましく、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)が特に好ましい。
エーテル類としては、後述する缶出物の蒸留工程で蒸留・分離を効率良く行う観点から、炭素数2〜4の鎖状エーテル類、または環状エーテル類が好ましく、炭素数3〜4の環状エーテル類がより好ましく、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランが特に好ましく、1,3−ジオキソランが最も好ましい。
芳香族炭化水素類としては、後述する缶出物の蒸留工程で蒸留・分離を効率良く行う観点から、1個または2個以上の芳香環を有し、置換基として直鎖状または分岐状の飽和炭化水素基を有する化合物が好ましいく、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンがより好ましく、トルエンが最も好ましい。
エステル類は、後述する缶出物の蒸留工程で蒸留・分離を効率良く行う観点から、炭素数3〜5の鎖状エステル類、または脂肪族環状エステル類が好ましく、炭素数5〜6の環状エステル類がより好ましく、γ−ブチロラクトンが最も好ましい。
クロロカーボンは、後述する缶出物の蒸留工程で蒸留・分離を効率良く行う観点から、分子を構成する原子が炭素および塩素である化合物であり、四塩化炭素、テトラクロロエチレンが好ましい。
ハイドロクロロカーボンは、後述する缶出物の蒸留工程で蒸留・分離を効率良く行う観点から、分子を構成する原子が炭素、塩素及び水素である化合物であり、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロプロパンが好ましい。
ハイドロフルオロエーテルは、後述する缶出物の蒸留工程で蒸留・分離を効率良く行う観点から、分子を構成する原子が炭素、フッ素、水素及び酸素であり分子内にエーテル結合のある化合物であり、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテルが好ましい。
ハイドロクロロフルオロカーボンは、後述する缶出物の蒸留工程で蒸留・分離を効率良く行う観点から、分子を構成する原子が炭素、塩素、水素及びフッ素である化合物であり、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(HCFC−225cb)が好ましい。
上記抽出溶剤は、後述する缶出物の蒸留工程で蒸留・分離を効率良く行う観点から、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、γ−ブチルラクトン、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロプロパン、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、ジクロロペンタフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
R−40とHFPの1:3(モル比)混合物に、各抽出溶剤を、抽出溶剤:HFP:R−40=60:30:10(モル比)となるように添加した場合のR−40とHFPのRvの値を、該溶剤の沸点とともに表2に示す。Rvは圧力1.011×106Paのもとに、上記の方法で測定されたものである。R−40とHFPの1:3(モル比)混合物のRvは0.708である(表1)。
また、比較のために一般に抽出溶剤として使用される1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロヘキサン(アサヒクリンAC−2000(商品名、旭硝子社製))と、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−トリデカフルオロオクタン(アサヒクリンAC−6000(商品名、旭硝子社製))についても表2に示す。
AC2000及びAC6000を除く各抽出溶剤の添加によりR−40とHFPの気液平衡が変化し、Rvは1.3以上を示した。これらの抽出溶剤を用いることでR−40とHFPの混合物からR−40を効率良く得ることができる。
一方、AC2000及びAC6000を抽出溶剤として使用した場合は、R−40とHFPのRvは0.859〜0.895である。この場合、蒸留によりR−40とHFPを分離するためには、大規模な蒸留装置が必要となる。
一方、AC2000及びAC6000を抽出溶剤として使用した場合は、R−40とHFPのRvは0.859〜0.895である。この場合、蒸留によりR−40とHFPを分離するためには、大規模な蒸留装置が必要となる。
抽出溶剤の添加量(以下、「抽出溶剤比率」ともいう。)は、抽出蒸留によりR−40とHFPを効率良く分離する観点から、R−40に対する抽出溶剤のモル比で0.1/1〜1000/1の範囲が好ましく、1/1〜100/1がより好ましく、1.5/1〜50/1がさらに好ましい。この範囲とすることで、抽出用混合物におけるRvを1.3より大きくして、ヘキサフルオロプロピレンとクロロメタンを効率よく分離することができる。
メタノールを抽出溶剤として使用した場合、抽出溶剤比率がRvに与える影響は、表3に示すとおりである。
抽出溶剤比率=抽出溶剤のモル分率/R−40のモル分率
抽出溶剤比率=抽出溶剤のモル分率/R−40のモル分率
表3から、抽出溶剤としてメタノールを使用した場合、抽出溶剤比率が6〜36の広い範囲において、R−40とHFPとの比揮発度は1.3より大きくなっていることがわかる。
抽出蒸留において、上記抽出溶剤比率は分離の程度に影響を与えるので、抽出蒸留すべき混合物の組成(HFP/R−40のモル比)や、分離された一方の成分中に残存を許容される他方の成分の濃度等に応じて、抽出溶剤比率を適宜選択できる。また、抽出蒸留塔の必要段数を、抽出溶剤比率と関連させて選択することも可能である。
<抽出蒸留工程>
この工程では、上記工程で得られた抽出用混合物を蒸留する。この蒸留は抽出蒸留である。この実施形態で使用される抽出溶剤は、R−40とHFPとの混合物に溶剤を加えて得られた抽出用混合物のRvを、1よりはるかに大きい値(例えば、1.3超)とするものである。これにより、蒸留塔の塔頂側から、HFPを主成分とする留出物が得られ、塔底側からR−40を含む缶出物が得られる。
この工程では、上記工程で得られた抽出用混合物を蒸留する。この蒸留は抽出蒸留である。この実施形態で使用される抽出溶剤は、R−40とHFPとの混合物に溶剤を加えて得られた抽出用混合物のRvを、1よりはるかに大きい値(例えば、1.3超)とするものである。これにより、蒸留塔の塔頂側から、HFPを主成分とする留出物が得られ、塔底側からR−40を含む缶出物が得られる。
なお、以下の記載では、抽出蒸留工程で蒸留塔の塔頂側から得られる留出物を、「第1の留出物」と示し、抽出蒸留工程で蒸留塔の塔底側から得られる缶出物を「第1の缶出物」と示す。また、缶出物(第1の缶出物)の蒸留工程で蒸留塔の塔頂側から得られる留出物を、「第2の留出物」と示し、この蒸留工程で蒸留塔の塔底側から得られる缶出物を「第2の缶出物」と示す。
第1の実施形態において、抽出蒸留は、一般に使用される蒸留装置、例えば棚段塔、充填塔などを使用して実施できる。抽出蒸留の種々の条件、例えば、操作温度、操作圧力、還流比、蒸留塔の総段数、仕込み段の位置、抽出溶剤供給段の位置等は、特に限定されるものではなく、目的とする分離を達成するために適宜選択することができる。R−40とHFPはいずれも低い沸点を有するため、加圧下で抽出蒸留するのが好ましく、例えば0〜5MPaG(ゲージ圧)の圧力とすることが好ましい。
さらに、蒸留塔の塔頂部および塔底部の温度は、操作圧力ならびに留出物および缶出物の組成に応じて決まる。塔頂部や塔底部に設けられる凝縮器および再加熱器の温度を考慮して、経済的に蒸留操作を行うためには、塔頂部の温度は−60〜100℃、塔底部の温度は20〜300℃とするのが好ましい。抽出蒸留は、バッチ式でも連続式でも、場合により留出物および缶出物を間欠的に抜き出したり、間欠的に仕込みを行う半連続式でも実施できるが、抽出溶剤については、蒸留装置に連続的に供給する必要がある。
R−40と親和性を有する抽出溶剤は、表2に示される溶剤に代表されるように、Rvを概ね1.3より大きくする。したがって、R−40とHFPと抽出溶剤を含む抽出用混合物を抽出蒸留することにより、第1の留出物としてHFPを主成分とする混合物が、抽出蒸留塔の塔頂側から得られる。この第1の留出物は、HFPを主成分として含むものであれば組成は限定されないが、HFPのモル分率が90%(90モル%)以上であることが好ましく、99モル%以上であることがより好ましい。
また、抽出蒸留塔の塔底側から、抽出溶剤を主成分とし、かつこの抽出溶剤に対して親和性を有するR−40を含む第1の缶出物が得られる。この第1の缶出物には、HFPも含まれるが、R−40とHFPの合計に対するHFPのモル分率は、抽出用混合物におけるモル分率に比べて大幅に減少されている。第1の缶出物中のR−40とHFPとの合計に対するHFPのモル分率は、抽出溶剤の添加前の混合物に対して1/10以下に減少していると好ましい。このように、HFPは抽出蒸留により分離され、第1の留出物中に極めて高濃度に含有される。第1の缶出物は、さらに蒸留工程に送り、蒸留(再蒸留)することが好ましい。
<缶出物の蒸留工程>
この工程では、抽出蒸留工程で得られた第1の缶出物を蒸留(再蒸留)する。第1の缶出物に含まれる第1の抽出溶剤とその親和性成分であるR−40とは、沸点差が大きいため、この蒸留は通常の蒸留分離操作で容易に実施できる。第1の缶出物の蒸留により、第1の抽出溶剤とR−40とが分離される。そして、R−40を含み、かつR−40とHFPの合計に対するR−40のモル分率が、抽出溶剤の添加前の混合物におけるモル分率より増大された、すなわちR−40が上記混合物に比べて濃縮された第2の留出物が、蒸留塔の塔頂側より得られる。
この工程では、抽出蒸留工程で得られた第1の缶出物を蒸留(再蒸留)する。第1の缶出物に含まれる第1の抽出溶剤とその親和性成分であるR−40とは、沸点差が大きいため、この蒸留は通常の蒸留分離操作で容易に実施できる。第1の缶出物の蒸留により、第1の抽出溶剤とR−40とが分離される。そして、R−40を含み、かつR−40とHFPの合計に対するR−40のモル分率が、抽出溶剤の添加前の混合物におけるモル分率より増大された、すなわちR−40が上記混合物に比べて濃縮された第2の留出物が、蒸留塔の塔頂側より得られる。
なお、第1の缶出物には、R−40とともにHFPも含有されるので、第1の缶出物を蒸留して得られる第2の留出物には、HFPも含まれるが、第2の留出物では、上記したようにR−40のモル分率が抽出溶剤の添加前の混合物に比べて大きくなっているので、第2の留出物におけるヘキサフルオロプロピレンのモル分率は抽出溶剤の添加前の混合物に比べてかなり小さくなる。したがって、第2の留出物として、高濃度のR−40を得ることができる。
さらに、再蒸留工程では、蒸留塔の塔底側から抽出溶剤を極めて高濃度で含有する第2の缶出物が得られる。得られる第2の缶出物はそのまま抽出蒸留工程に供給し、抽出溶剤として再使用することができる。また、第2の缶出物をさらに精製して抽出溶剤を回収し、抽出蒸留工程で再使用することもできる。
このように、本発明の実施形態によれば、混合物中のR−40とHFPが効率良く分離され、HFPが、抽出蒸留工程における第1の留出物の主成分として高濃度で得られる。また、再蒸留工程で第2の留出物として、抽出溶剤の添加前の混合物より濃縮されたR−40が得られる。
次に、本発明のR−40とHFPの分離方法における物質の流れを、図1を参照してさらに説明する。なお、以下の記載では、R−40に対して親和性を有する抽出溶剤を使用する場合を例に説明する。
図1に示すように、R−40とHFPを所定の割合(例えば、HFP/R−40=50モル%/50モル%)で含む混合物1は、例えば加圧で操作される抽出蒸留塔2に供給される。抽出蒸留塔2としては、段数が1〜100段のものが使用され、混合物1は、抽出蒸留塔2の中央部より下側の段に供給される。そして、混合物1におけるR−40のモル分率に対して0.1〜1000倍のモル分率の抽出溶剤3(例えば、メタノール)を、抽出蒸留塔2の混合物1の供給段より上側の段に供給する。こうして蒸留を行い、抽出溶剤3に対して親和性を有しない成分であるHFPを主成分とする第1の留出物4を、抽出蒸留塔2の塔頂側から抜き出す。
また、抽出蒸留塔2の塔底側から、第1の缶出物5として、抽出溶剤を主成分としR−40を含む混合物を抜き出す。次いで、この第1の缶出物5を、例えば加圧で操作される別の蒸留塔である溶剤回収塔6に供給し、実質的に抽出溶剤を含まない第2の留出物7を塔頂側から得る。得られる第2の留出物7においては、R−40とHFPの合計に対するR−40のモル分率が、混合物1における同様なモル分率に比べて増大されている。こうして第2の留出物7として、混合物1に比べてR−40のモル分率が増大され、すなわちR−40のモル濃度が濃縮された混合物が得られる。
なお、本明細書において、「実質的にAを含まない」なる語は、Aの含有量が0.1モル%以下であることを意味する。
なお、本明細書において、「実質的にAを含まない」なる語は、Aの含有量が0.1モル%以下であることを意味する。
溶剤回収塔6の塔底側からは、抽出溶剤を主成分とする第2の缶出物8が得られる。こうして抽出溶剤3は回収され、回収された抽出溶剤3は再使用される。再使用される抽出溶剤3は、必要に応じて熱交換器9により加熱または冷却された後に、抽出蒸留塔1に供給される。
なお、図1において、符号10は凝縮器を示し、符号11は加熱器を示す。
なお、図1において、符号10は凝縮器を示し、符号11は加熱器を示す。
抽出蒸留塔2において抽出溶剤3を供給する位置(段)は、混合物1を供給する段より上方に位置する段であるのが好ましく、還流を供給する段と同じ段に抽出溶剤3を供給してもよい。場合により、混合物1と同じ段に抽出溶剤3を供給してもよい。さらに、混合物1は、抽出蒸留塔2に供給する前に、予め抽出溶剤3と混合してから供給してもよい。
このような装置および操作により、R−40とHFPを含む混合物1から、R−40とHFPとを分離し、実質的にR−40を含まないHFPを得ることができる。
このような装置および操作により、R−40とHFPを含む混合物1から、R−40とHFPとを分離し、実質的にR−40を含まないHFPを得ることができる。
前述のクロロメタン(R−40)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)との比揮発度(Rv)の測定により求められた表1〜3の結果を使用し、既知の熱力学特性に基づく計算手法(Chemcad)(Chemstations社の化学工学プロセスシミュレータ)により、以下に示す抽出蒸留および再蒸留のシミュレーションを行った。
抽出溶剤を加えた三元系でのRvを1.3以上とする抽出溶剤を使用する実施例1〜8のシミュレーションを行った。また、抽出溶剤を加えないでクロロメタンとヘキサフルオロプロピレンとの混合物を蒸留する比較例1のシミュレーションと、溶剤を加えた三元系でのRvが0.89に極めて近い溶剤であるAC−2000を使用する比較例2のシミュレーションをそれぞれ行った。
(実施例1)
段数60段の抽出蒸留塔の塔頂部から45段目から、クロロメタンとヘキサフルオロプロピレンの混合物(モル比1:1)を、1003g/hrの速度で連続的に供給するとともに、塔頂部から15段目から、メタノールを641g/hrの速度で連続的に供給した。そして、抽出蒸留塔内の圧力を0.2MPaG(ゲージ圧)、塔頂温度を−1℃、塔底温度を27℃として、連続的に抽出蒸留を行った。塔頂側から751g/hrの速度で第1の留出物である第1フラクションを抜き出し、塔底側から893g/hrの速度で第1の缶出物である第2フラクションを抜き出した。
段数60段の抽出蒸留塔の塔頂部から45段目から、クロロメタンとヘキサフルオロプロピレンの混合物(モル比1:1)を、1003g/hrの速度で連続的に供給するとともに、塔頂部から15段目から、メタノールを641g/hrの速度で連続的に供給した。そして、抽出蒸留塔内の圧力を0.2MPaG(ゲージ圧)、塔頂温度を−1℃、塔底温度を27℃として、連続的に抽出蒸留を行った。塔頂側から751g/hrの速度で第1の留出物である第1フラクションを抜き出し、塔底側から893g/hrの速度で第1の缶出物である第2フラクションを抜き出した。
抜き出した第1フラクション、第2フラクションのそれぞれについて組成を分析すると、第1フラクションでは、メタノールは非検出で、クロロメタンは0.5モル%であり、残りはヘキサフルオロプロピレンとなった。
他方、第2フラクション中のヘキサフルオロプロピレンは200ppm、クロロメタンは19.92モル%となり、残部は抽出溶剤であるメタノールが占めていた。
他方、第2フラクション中のヘキサフルオロプロピレンは200ppm、クロロメタンは19.92モル%となり、残部は抽出溶剤であるメタノールが占めていた。
次に、抽出蒸留塔から得られる第2フラクションを、15段の溶剤回収塔の塔頂部から8段目から、上記第2フラクションの抜き出し速度と同じ速度で連続的に供給し、溶剤回収塔の圧力0.2MPaG(ゲージ圧)、塔頂温度5℃、塔底温度95℃で連続的に蒸留した。溶剤回収塔の塔頂側から252g/hrの速度で第2の留出物である第3フラクションを抜き出し、塔底側から641g/hrの速度で第2の缶出物である第4フラクションを抜き出した。
抜き出した第3フラクション、第4フラクションのそれぞれについて組成を分析すると、第3フラクションでは、クロロメタンは99.9モル%となり、ヘキサフルオロプロピレンは1.00モル%となった。他方、第4フラクション中のメタノールは99.99モル%以上となった。
(実施例2〜9)
実施例1とは抽出溶剤の種類を変えてシミュレーションを行った。具体的には、表4に示す抽出溶剤を使用し、かつ、クロロメタンとヘキサフルオロプロピレンのモル比(HFP/R−40)、クロロメタンとヘキサフルオロプロピレンの混合物の時間当たりの供給量(A)、抽出溶剤の時間当たりの供給量(B)、抽出溶剤とクロロメタンとのモル比(溶剤/R−40)、抽出溶剤とヘキサフルオロプロピレンとのモル比(溶剤/HFP)、第1から第4の各フラクションの時間当たりの抜き出し量、溶剤回収塔の段数および供給段、抽出蒸留塔および溶剤回収塔の塔頂温度および塔底温度を、表4に示すように設定し、その他は実施例1と同様にして、抽出蒸留と再蒸留のシミュレーションを行った。そして、第1から第4の各フラクションの組成を分析した結果を、上記実施例1についての結果とともに表4に示す。なお、このシミュレーションにおいて、抽出蒸留塔内の圧力は0.2MPaとし、溶剤回収塔内の圧力は0.2MPaとした。これらの圧力は、以下の実施例2〜8および比較例1,2についても同様である。
実施例1とは抽出溶剤の種類を変えてシミュレーションを行った。具体的には、表4に示す抽出溶剤を使用し、かつ、クロロメタンとヘキサフルオロプロピレンのモル比(HFP/R−40)、クロロメタンとヘキサフルオロプロピレンの混合物の時間当たりの供給量(A)、抽出溶剤の時間当たりの供給量(B)、抽出溶剤とクロロメタンとのモル比(溶剤/R−40)、抽出溶剤とヘキサフルオロプロピレンとのモル比(溶剤/HFP)、第1から第4の各フラクションの時間当たりの抜き出し量、溶剤回収塔の段数および供給段、抽出蒸留塔および溶剤回収塔の塔頂温度および塔底温度を、表4に示すように設定し、その他は実施例1と同様にして、抽出蒸留と再蒸留のシミュレーションを行った。そして、第1から第4の各フラクションの組成を分析した結果を、上記実施例1についての結果とともに表4に示す。なお、このシミュレーションにおいて、抽出蒸留塔内の圧力は0.2MPaとし、溶剤回収塔内の圧力は0.2MPaとした。これらの圧力は、以下の実施例2〜8および比較例1,2についても同様である。
(比較例1)
段数60段の蒸留塔の塔頂部から45段目から、クロロメタンとヘキサフルオロプロピレンの混合物(モル比1:1)を毎時646gで連続的に供給して蒸留を行い、塔頂側から第1フラクションを毎時603gで連続的に抜き出し、塔底側から第2フラクションを毎時400gで連続的に抜き出した。この間の蒸留塔内の圧力は0.2MPaG(ゲージ圧)とし、塔頂温度は−8.7℃、塔底温度は−8.7℃とした。
第1フラクション中のヘキサフルオロプロピレンは49モル%、クロロメタンは51モル%となった。他方、第2フラクション中のヘキサフルオロプロピレンは52モル%、クロロメタンは48モル%となった。
段数60段の蒸留塔の塔頂部から45段目から、クロロメタンとヘキサフルオロプロピレンの混合物(モル比1:1)を毎時646gで連続的に供給して蒸留を行い、塔頂側から第1フラクションを毎時603gで連続的に抜き出し、塔底側から第2フラクションを毎時400gで連続的に抜き出した。この間の蒸留塔内の圧力は0.2MPaG(ゲージ圧)とし、塔頂温度は−8.7℃、塔底温度は−8.7℃とした。
第1フラクション中のヘキサフルオロプロピレンは49モル%、クロロメタンは51モル%となった。他方、第2フラクション中のヘキサフルオロプロピレンは52モル%、クロロメタンは48モル%となった。
(比較例2)
段数60段の抽出蒸留塔の塔頂部から45段目から、クロロメタンとヘキサフルオロプロピレンの混合物(モル比1:1)を、1003g/hrの速度で連続的に供給するとともに、塔頂部から15段目から、AC2000を6401g/hrの速度で連続的に供給した。そして、抽出蒸留塔内の圧力を0.2MPaG(ゲージ圧)、塔頂温度を−8℃、塔底温度を83℃として、連続的に抽出蒸留を行う。塔頂側から1014g/hrの速度で第1の留出物である第1フラクションを抜き出し、塔底側から6390g/hrの速度で第1の缶出物である第2フラクションを抜き出した。
段数60段の抽出蒸留塔の塔頂部から45段目から、クロロメタンとヘキサフルオロプロピレンの混合物(モル比1:1)を、1003g/hrの速度で連続的に供給するとともに、塔頂部から15段目から、AC2000を6401g/hrの速度で連続的に供給した。そして、抽出蒸留塔内の圧力を0.2MPaG(ゲージ圧)、塔頂温度を−8℃、塔底温度を83℃として、連続的に抽出蒸留を行う。塔頂側から1014g/hrの速度で第1の留出物である第1フラクションを抜き出し、塔底側から6390g/hrの速度で第1の缶出物である第2フラクションを抜き出した。
抜き出した第1フラクション、第2フラクションのそれぞれについて組成を分析すると、第1フラクションでは、AC2000は2.2モル%で、クロロメタンは44.4モル%であり、残りはヘキサフルオロプロピレンとなった。
他方、第2フラクション中のヘキサフルオロプロピレンは0.24モル%、クロロメタンは4.3モル%となり、残部は抽出溶剤であるAC2000が占めていた。
他方、第2フラクション中のヘキサフルオロプロピレンは0.24モル%、クロロメタンは4.3モル%となり、残部は抽出溶剤であるAC2000が占めていた。
次に、抽出蒸留塔から得られる第2フラクションを、37段の溶剤回収塔の塔頂部から21段目から、上記第2フラクションの抜き出し速度と同じ速度で連続的に供給し、溶剤回収塔の圧力0.2MPaG(ゲージ圧)、塔頂温度3℃、塔底温度107℃で連続的に蒸留した。溶剤回収塔の塔頂側から53g/hrの速度で第2の留出物である第3フラクションを抜き出し、塔底側から6337g/hrの速度で第2の缶出物である第4フラクションを抜き出した。
抜き出した第3フラクション、第4フラクションのそれぞれについて組成を分析すると、第3フラクションでは、クロロメタンは94.6モル%となり、ヘキサフルオロプロピレンは0.95モル%となった。他方、第4フラクション中のAC2000は99.99モル%以上となった。
以上の結果から、抽出溶剤を加えた三元系でのRvを1.3以上とする抽出溶剤を使用する実施例1〜8においては、いずれもクロロメタンとヘキサフルオロプロピレンの混合物からクロロメタンとヘキサフルオロプロピレンとを効率良く分離することができ、高濃度のクロロメタンが得られることがわかる。
本発明によれば、クロロメタンとヘキサフルオロプロピレンを含む混合物からクロロメタンとヘキサフルオロプロピレンとを効率良く分離することができる。また、本発明によれば、例えばカーエアコン用の冷媒製造の原料としてとして有用なクロロメタンを高濃度で得ることができ、経済的なメリットが大きい。
1…混合物、2…抽出蒸留塔、3…抽出溶剤、4…第1の留出物、5…第1の缶出物、6…溶剤回収塔、7…第2の留出物、8…第2の缶出物。
Claims (8)
- クロロメタンとヘキサフルオロプロペンとを含む混合物と、アルコール類、炭素数5〜12の飽和炭化水素類、アミド類、エーテル類、芳香族炭化水素類、エステル類、クロロカーボン、ハイドロクロロカーボンおよびハイドロフルオロエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む抽出溶剤と、を混合して抽出用混合物を得る工程と、
前記抽出用混合物を蒸留して、ヘキサフルオロプロピレンを主成分とする留出物と、前記抽出溶剤を主成分としクロロメタンを含む缶出物をそれぞれ得る抽出蒸留工程と、
を備えることを特徴とするクロロメタンとヘキサフルオロプロピレンの分離方法。 - 前記抽出溶剤は40〜250℃の沸点を有する、請求項1に記載のクロロメタンとヘキサフルオロプロペンの分離方法。
- 前記抽出溶剤は、クロロメタンとヘキサフルオロプロペンとの比揮発度を1.3より大きくする溶剤である、請求項1または2に記載のクロロメタンとヘキサフルオロプロペンの分離方法。
- 前記抽出溶剤が、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、γ−ブチルラクトン、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロプロパン、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、ジクロロペンタフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のクロロメタンとヘキサフルオロプロペンの分離方法。
- 前記抽出溶剤をヘキサフルオロプロピレンに対する抽出溶剤のモル比で0.1/1〜1000/1で加える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のクロロメタンとヘキサフルオロプロペンの分離方法。
- 前記抽出蒸留工程を0〜5MPaG(ゲージ圧)の圧力下で行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載のクロロメタンとヘキサフルオロプロペンの分離方法。
- 前記缶出物を蒸留して前記抽出溶剤を回収する工程を有し、回収された前記抽出溶剤を前記抽出蒸留工程において再使用する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のクロロメタンとヘキサフルオロプロペンの分離方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の分離方法により、クロロメタンとヘキサフルオロプロペンを分離する工程を有することを特徴とするクロロメタンの製造方法。
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CN111205165A (zh) * | 2018-11-22 | 2020-05-29 | 中昊晨光化工研究院有限公司 | 一种全氟丙烯生产中去除甲醇的方法 |
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-
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