以下、本発明の実施形態による気圧式倍力装置として、車両用ブレーキ装置に適用される気圧式倍力装置を例に挙げ、図1ないし図7に従って詳細に説明する。
図1ないし図5は、本発明の第1の実施形態を示している。図1において、気圧式倍力装置1は、その外殻を構成するハウジング2を有し、該ハウジング2は、車両(図示せず)の前側寄りに位置するフロントシェル3と、その後側に位置するリヤシェル4とにより構成されている。これらシェル3,4は、その外周側で互いに気密状態に固着され、ハウジング2の内部に室(後述の定圧室Aと変圧室B)を画成している。
ハウジング2のフロントシェル3には、前壁3Aの中央部にマスタシリンダ(図示せず)の一部を収納するための筒状凹部3Bが形成されている。ここで、フロントシェル3の筒状凹部3Bには、前記マスタシリンダとの間を気密にシールする環状のシール部材(図示せず)が設けられている。このシール部材は、ハウジング2内の定圧室Aを外部の大気に対して気密状態にシールするものである。
一方、リヤシェル4には、車両ボディ(図示せず)への取付面となる後壁4Aの中央部から軸方向外向きに後方筒部4Bが突設されている。また、リヤシェル4には、後方筒部4Bの軸方向(長さ方向)途中部位に環状の段差部4Cが設けられている。この段差部4Cには、後述する入力ロッド21の押動操作解除時に後述のストップキー29が図1に示すように当接し、これによって、バルブボディ6およびプランジャ28の戻り位置が規制される。
ハウジング2内には、ダイヤフラム等からなるパワーピストン5が設けられている。このパワーピストン5は、外周側がフロントシェル3とリヤシェル4との間に固着され、内周側が後述のバルブボディ6に固着されている。これにより、フロントシェル3とパワーピストン5との間の空間は、定圧室Aとなっている。一方、リヤシェル4とパワーピストン5との間は、変圧室Bとなっている。即ち、フロントシェル3とリヤシェル4との間に形成されるハウジング2内の空間は、パワーピストン5により定圧室Aと変圧室Bとに画成されている。
バルブボディ6は、パワーピストン5に連結されハウジング2内を軸方向に移動するものである。このバルブボディ6は、例えば高強度の樹脂材料を用いて形成され、リヤシェル4の後方筒部4B内に挿通されている。そして、バルブボディ6は、前端側(他端側)がパワーピストン5に連結され、リヤシェル4の後方筒部4B内を延びる第1のボディ7と、第1のボディ7の前端側に位置して第1のボディ7内に挿入(嵌合)された第2のボディ16とにより構成されている。第1のボディ7と第2のボディ16とは、パワーピストン5の変位に連動して一緒にハウジング2内を軸方向に変位する。
第1のボディ7は、前端側(他端側)がハウジング2内でパワーピストン5の内周側に連結(固着)され後方筒部4Bに沿って延びる大径部7Aと、大径部7Aに接続されリヤシェル4の後方筒部4Bからハウジング2の外部に延出された小径部7Bと、大径部7Aおよび小径部7Bの径方向内側に設けられた内側突出部7Cと、内側突出部7Cの後端側に形成された環状の弁座部7Dとを含んで構成されている。この場合、大径部7Aと小径部7Bとは、第1のボディ7の外殻を構成している。
大径部7Aの内周側は、軸方向後側に向けて窪む第2のボディ挿入凹部8となっている。この第2のボディ挿入凹部8には、後述の第2のボディ16が挿入される。また、大径部7Aには、第2のボディ挿入凹部8よりも径方向外側に位置して、前,後方向に延びる連通路9が形成されている。この連通路9は、周方向に離間して複数個形成され、前端側が定圧室Aに常時連通し、後端側が小径部7B側に向けて軸方向に延びている。
図2に示すように、第1のボディ7には、内側突出部7Cの後端側で連通路9の開口端側(後端側)が開口する位置に環状の弁座部7Dが形成されている。弁座部7Dは、後述のポペット弁体22、プランジャ28の当接部28Cと共に弁手段としての弁機構10を構成している。弁機構10は、ポペット弁体22がプランジャ28の当接部28Cおよび/または第1のボディ7の弁座部7Dに離着座することにより、変圧室Bを定圧室Aに連通,遮断させるため後述の如く開,閉弁するものである。即ち、連通路9は、定圧室Aに常時連通し、弁機構10により変圧室Bに連通,遮断される。
また、小径部7Bの内周側は、後端側が外部に連通した大気導入孔11となっている。一方、内側突出部7Cの内周側は、大気導入孔11よりも前側に位置して大気導入孔11に連通したプランジャ挿通孔12が前,後方向に延びている。大気導入孔11とプランジャ挿通孔12との間には、環状の弁座部7Dが段付状に形成されている。また、プランジャ挿通孔12は、段付孔として形成され、後述のプランジャ28が前,後方向に移動可能に挿通されている。
内側突出部7Cの内周側は、前,後方向(軸方向)に貫通した係合解除部材挿通孔13となっている。この係合解除部材挿通孔13は、前端側が第2のボディ挿入凹部8(係合部材挿入凹部18)に連通し、後端側がプランジャ挿通孔12に連通している。係合解除部材挿通孔13には、後述の係合解除部材37と、係合解除部材37の内側に後述のプランジャ28の軸部28Bと可動部材34の当接部34Aとが挿通される。さらに、内側突出部7Cには、係合解除部材挿通孔13よりも径方向外側に位置して軸方向に延びる有底状のばね挿通穴14が形成されている。このばね挿通穴14には、後述の付勢ばね38が挿通される。そして、内側突出部7Cの前端側は、後述の係合部材36が載置(当接)される係合部材載置部7C1となっている。この係合部材載置部7C1は、第2のボディ挿入凹部8の底部を構成している。
キー挿入孔15は、小径部7Bの前端側に位置して小径部7Bを径方向に貫通している。このキー挿入孔15は、リヤシェル4の段差部4Cに対応する位置に形成され、後述のストップキー29が挿入されている。キー挿入孔15の前,後方向の長さ寸法は、ストップキー29の前,後方向の長さ寸法(厚さ)よりも大きく形成され、径方向外側端が変圧室Bに連通し、径方向内側端がプランジャ挿通孔12に連通している。従って、キー挿入孔15は、ストップキー29が挿通されると共に、変圧室Bとプランジャ挿通孔12とを連通させる他の連通路としても機能している。
第2のボディ16は、第1のボディ7に形成された第2のボディ挿入凹部8に嵌合し、両者は一体化されている。この第2のボディ16は、パワーピストン5の変位に連動して第1のボディ7と一緒に前,後方向(軸方向)に移動する。第2のボディ16は、第2のボディ挿入凹部8内で前側に位置する大径部16Aと、大径部16Aに接続され第2のボディ挿入凹部8の後側に位置する小径部16Bと、小径部16Bの前側から径方向内側に向けて突出する内側突出部16Cとにより構成されている。
大径部16Aの内周側は、軸方向後側に向けて窪む出力ロッド挿入凹部17となっている。この出力ロッド挿入凹部17には、後述の出力ロッド30のフランジ部30Aとリアクション部材33とが挿入される。小径部16Bの内周側は、軸方向前側に向けて窪む係合部材挿入凹部18となっている。この係合部材挿入凹部18には、後述の係合部材36の自由端(係合片36B)側が挿入される。また、小径部16Bと第1のボディ7の大径部7Aとの間には、シール部材19が設けられている。小径部16Bの後端側は、第2のボディ16が第2のボディ挿入凹部8に挿入された状態で、後述する係合部材36の固定端36Aに当接している。これによって、係合部材36は、第1のボディ7と第2のボディ16との間に固定されている。
内側突出部16Cの内周側は、前,後方向(軸方向)に貫通する可動部材挿入孔20となっている。この可動部材挿入孔20は、前端側が出力ロッド挿入凹部17に連通し、後端側が係合部材挿入凹部18に連通している。そして、可動部材挿入孔20には、後述の可動部材34が挿入される。
入力ロッド21は、一端側(後端側)がリヤシェル4の後方筒部4Bから外部に突出し、他端側(前端側)が第1のボディ7の小径部7B内に挿入して設けられている。この入力ロッド21の前端側には、球形部21Aが一体形成され、この球形部21Aは、後述のプランジャ28にカシメ等の手段を用いて連結されている。そして、入力ロッド21は、後端側(突出端側)が車両のブレーキペダル(図示せず)に連結され、ブレーキ操作時には図1中の矢示C方向に押動操作される。
ポペット弁体22は、第1のボディ7の小径部7Bの大気導入孔11内に設けられている。このポペット弁体22は、弾性材料によって略筒状に形成され、その後端側(一端側)は後述の戻しばね24等により小径部7Bの内周壁(大気導入孔11)に押付けられて固定されている。そして、ポペット弁体22の前端側は、図2に示すように弱ばね23により第1のボディ7の弁座部7Dに向けて常時付勢されている。これにより、弁機構10の一部を構成するポペット弁体22は、後述するプランジャ28の当接部28Cと第1のボディ7の弁座部7Dとに離着座するものである。
戻しばね24は、大気導入孔11内に位置して第1のボディ7の小径部7Bと入力ロッド21との間に設けられている。この戻しばね24は、第1のボディ7に対して入力ロッド21を矢示D方向に向けて常時付勢している。これにより、入力ロッド21に対する押動操作(ブレーキ操作)の解除時には、バルブボディ6がハウジング2内を図1に示す初期位置(後述のストップキー29により規制された位置)に戻るまで、入力ロッド21が戻しばね24により矢示D方向に押圧される。
ここで、リヤシェル4の後方筒部4Bには、その開口端側に環状のシール部材25が設けられている。このシール部材25は、第1のボディ7の小径部7Bの外周面に摺接し、後方筒部4Bの開口端と小径部7Bとの間をシールしている。即ち、シール部材25は、後方筒部4Bの開口端と小径部7Bとの間で変圧室Bを外部の大気に対して気密にシールするものである。
フィルタ26は、大気導入孔11内に位置して第1のボディ7の小径部7Bの後端側に装着されている。このフィルタ26は、ハウジング2(リヤシェル4)の外部から小径部7B内(大気導入孔11)に導入される作動気体としての空気を清浄化し、ハウジング2内にダスト等が侵入するのを防止するものである。
保護ブーツ27は、第1のボディ7の小径部7Bの突出端側を外部のダスト等から保護するものである。この保護ブーツ27は、弾性材料により蛇腹状の筒体として形成され、その後端側(一端側)は入力ロッド21の軸方向中間部に取付けられている。保護ブーツ27の前端側(他端側)は、リヤシェル4の後方筒部4Bの開口端(先端)側に取付けられ、後方筒部4B内を摺動する小径部7Bの外周面を外部のダスト等から保護している。
プランジャ28は、第1のボディ7のプランジャ挿通孔12に摺動変位可能に挿嵌されている。このプランジャ28は、バルブボディ6(第1のボディ7)内に配置され入力ロッド21の球形部21Aに連結されている。ここで、プランジャ28は、段付筒状に形成された段付筒部28Aと、該段付筒部28Aから係合解除部材挿通孔13内に向けて突出した軸部28Bとにより構成されている。段付筒部28A内には、入力ロッド21の球形部21Aが着脱可能に固定されている。これによりプランジャ28は、入力ロッド21と一体に図1中の矢示C,D方向に変位する構成となっている。
図2に示すように、段付筒部28Aの後端側には、第1のボディ7の弁座部7Dよりも小径に形成された環状弁座としての当接部28Cが一体に設けられている。この当接部28Cは、ポペット弁体22に離着座することにより小径部7B(大気導入孔11)内の大気圧を他の連通路であるキー挿入孔15側に導入したり、大気導入を遮断したりするものである。
プランジャ28の当接部28Cは、第1のボディ7の弁座部7Dおよびポペット弁体22と共に弁手段としての弁機構10を構成している。プランジャ28の当接部28Cは、ポペット弁体22に離着座することにより小径部7Bの大気導入孔11内の大気圧に対する変圧室Bの連通,遮断を制御する。
また、ポペット弁体22が第1のボディ7の弁座部7Dに離着座することにより、定圧室Aに対する変圧室Bの連通,遮断を制御するものである。即ち、弁機構10は、入力ロッド21がプランジャ28と後述の可動部材34とを移動させることにより、変圧室Bに作動気体を導入して定圧室Aと変圧室Bとの間に圧力差を発生させるものである。
軸部28Bには、キー挿入孔15に対応する位置に環状溝28Dが形成されている。この環状溝28Dには、後述のストップキー29が係合状態で取付けられている。また、軸部28Bの前端側は、係合解除部材挿通孔13内に位置して後述の可動部材34に当接している。
ストップキー29は、プランジャ28の戻り位置を規制するもので、このストップキー29は、略長方形の平板を用いて形成され、第1のボディ7のキー挿入孔15を介してプランジャ28の環状溝28Dに遊嵌状態で係合されている。そして、ストップキー29の端部は、第1のボディ7から径方向外側に向けて一定寸法だけ突出し、リヤシェル4の段差部4Cに当接可能となっている。
即ち、入力ロッド21に対する押動操作の解除時に、ストップキー29は、リヤシェル4の段差部4Cに当接することにより、バルブボディ6およびプランジャ28の戻り位置を図1、図2に示すように規制するものである。なお、リヤシェル4には、前記段差部4Cに替えて別体のストッパ部材(図示せず)を設け、このストッパ部材に対してストップキー29の端部を当接させる構成としてもよい。
出力ロッド30は、入力ロッド21の押動操作力を倍力した状態で外部に出力するための部材である。即ち、出力ロッド30は、弁機構10によってパワーピストン5に生じた推力が作用するものである。出力ロッド30には、軸方向の一側に大径のフランジ部30Aが設けられている。出力ロッド30は、フランジ部30Aが後述のリアクション部材33を介して第2のボディ16の出力ロッド挿入凹部17に嵌合することによりバルブボディ6に組付けられている。
そして、出力ロッド30は、入力ロッド21への押動操作時にバルブボディ6と一緒に図1中の矢示E方向に大きな出力をもって押動される。即ち、出力ロッド30の前端側は、フロントシェル3の筒状凹部3Bに向けて軸方向に突出し、入力ロッド21の押動操作力を倍力した力(出力)で前記マスタシリンダのピストン(図示せず)を軸方向に押圧する構成となっている。
ばね受31は、第2のボディ挿入凹部8の前端側(開口端側)に設けられている。このばね受31は、第2のボディ挿入凹部8と出力ロッド挿入凹部17とを施蓋し、その径方向中央部には出力ロッド30が軸方向に挿通されている。ばね受31の径方向外側端部には、戻しばね32が設けられている。この戻しばね32は、ばね受31とフロントシェル3の筒状凹部3Bとの間に配設され、バルブボディ6を図1中の矢示F方向に常時付勢するものである。
リアクション部材33は、第2のボディ16の出力ロッド挿入凹部17内に配設されている。このリアクション部材33は、弾性変形可能なゴム等の弾性材料を用いて円板状に形成され、第2のボディ16の内側突出部16Cと出力ロッド30のフランジ部30Aとの間に設けられている。そして、リアクション部材33は、後述の如く定圧室Aと変圧室Bとの間に発生した圧力差により、バルブボディ6に生じた推力(矢示E方向の推力)を出力ロッド30に伝達する。
このとき、リアクション部材33は、バルブボディ6からの推力に従って弾性変形し、出力ロッド30からの反力を、フランジ部30Aを介して受承すると共に、反力の一部を後述の可動部材34とプランジャ28とを介して入力ロッド21側に伝達し、前記ブレーキペダル側の運転者に踏み応えを与えるものである。
可動部材34は、バルブボディ6内でプランジャ28の軸方向他端側(前端側)に当接可能に配置されている。この可動部材34は、例えば樹脂材料または金属材料からなり、第2のボディ16の可動部材挿入孔20に摺動可能に挿入されている。可動部材34は、入力ロッド21からの押動操作力がプランジャ28を介して伝達され、可動部材挿入孔20内を摺動変位してリアクション部材33を弾性変形させるように押圧する。そして、可動部材34は、軸方向の後端側に位置してプランジャ28に当接する当接部34Aと、該当接部34Aの軸方向前端側に接続され外周側に環状の段差部34B1が形成された摺動軸部34Bとを含んで構成されている。
当接部34Aは、後述の係合解除部材37内に位置してプランジャ28の軸部28Bの前端側(前端面)に当接している。摺動軸部34Bは、後端側が係合部材挿入凹部18内に位置して、前端側が可動部材挿入孔20内に摺動可能に挿入されている。即ち、可動部材34は、可動部材挿入孔20内を軸方向に移動することにより、前端側がリアクション部材33に当接可能であると共に、後端側がプランジャ28に当接可能となっている。
摺動軸部34Bの後端側の外周面には、段差部34B1が形成されている。この段差部34B1は、係合部材挿入凹部18内に位置して摺動軸部34Bの外周側に形成されている。段差部34B1には、可動部材34が軸方向前側に向けて所定の距離だけ相対移動したときに、後述の係合部材36が係合する。また、摺動軸部34Bの前端側の外周面は、第2のボディ16の可動部材挿入孔20内を摺動変位する構成となっている。摺動軸部34Bが可動部材挿入孔20と摺動する外周面には、後述のOリング35が嵌合される環状の周溝が形成されている。
Oリング35は、可動部材34の摺動軸部34Bと第2のボディ16との間に配置されている。このOリング35は、ゴム等の樹脂材料からなり、摺動軸部34Bの外周側に設けられている。Oリング35は、可動部材34の前記周溝に嵌合され、可動部材34が可動部材挿入孔20内を軸方向に移動するときに、可動部材34と第2のボディ16との間に摺動抵抗を付与するもので、本発明の摺動抵抗付与部材を構成している。
即ち、Oリング35は、後述の係合解除部材37が可動部材34と係合部材36との係合を解除したときに、可動部材34がリアクション部材33からの反力を受けてプランジャ28に向けて勢いよく戻るのを、前記摺動抵抗によって抑制する。これにより、可動部材34は、プランジャ28に向けて緩やかに移動するので、可動部材34とプランジャ28との接触(衝突)により発生する接触音(異音)を小さくすることができる。
係合部材36は、可動部材34の外周側に摺動可能に配置されている。この係合部材36は、例えば金属材料により後端側から前端側に向けて縮径する環状体として形成され、外周側が固定端36Aとなり、内周側が自由端からなる複数の係合片36Bとして形成されている。係合部材36の固定端36Aは、第1のボディ7に形成された第2のボディ挿入凹部8の底部側に固定されている。即ち、係合部材36の固定端36Aは、第1のボディ7の内側突出部7Cの前端側に位置する係合部材載置部7C1に載置され、第2のボディ16の小径部16Bとの間で挟持されている。
この場合、係合部材36の固定端36Aは、第1のボディ7と第2のボディ16との間に挟持状態で固定されている。一方、係合部材36の自由端となる各係合片36Bは、径方向内側に向けて弾性変形可能に付勢され、可動部材34の外周側に摺接可能となっている。係合部材36は、バルブボディ6と一緒に軸方向に移動する構成となっている。
図4に示すように、係合部材36の各係合片36Bは、可動部材34がバルブボディ6に対して相対移動したときに可動部材34に係合するものである。具体的には、ブレーキペダル(図示せず)が急に踏まれて入力ロッド21が矢示C方向に押動操作されたことに伴い可動部材34がプランジャ28に押動されたときに、可動部材34は、係合部材36の各係合片36Bに対して軸方向前側(矢示C方向)に摺動変位する。そして、可動部材34が軸方向前側に所定の距離を移動すると、係合部材36の各係合片36Bが縮径するように変位して可動部材34の段差部34B1に係合する。
これにより、可動部材34は、軸方向後側(矢示D方向)への移動が係合部材36により規制される。このとき、リアクション部材33からの反力は、プランジャ28ないし入力ロッド21に伝達されない。従って、入力ロッド21の押動操作が解除されても、プランジャ28の当接部28Cとポペット弁体22との開口を保つことができるので、出力を増加させることができる。
係合解除部材37は、第1のボディ7内で軸方向に相対移動可能に設けられている。この係合解除部材37は、例えば金属材料または樹脂材料等により円筒状のスリーブとして形成され、係合解除部材挿通孔13内に挿通されている。スリーブからなる係合解除部材37内には、プランジャ28の前端側と可動部材34の当接部34Aとが軸方向に相対移動可能に挿通されている。そして、係合解除部材37は、後端37A側がストップキー29に当接され、前端37B側が可動部材34と係合部材36(各係合片36B)との間に入込むことが可能になっている(図2、図3、図5参照)。
係合解除部材37の後端37Aは、第1のボディ7のばね挿通穴14に設けられた付勢ばね38により、ストップキー29に向けて常時付勢されている。これにより、係合解除部材37は、バルブボディ6および係合部材36に対して相対移動する。即ち、係合解除部材37は、係合部材36と相対移動して係合部材36の各係合片36Bと可動部材34の段差部34B1との係合を解除するものである。
具体的には、入力ロッド21の押動操作が解除されて、入力ロッド21が軸方向後側(矢示D方向)に移動すると、プランジャ28の当接部28Cがポペット弁体22を押圧する。これにより、変圧室Bが連通路9とキー挿入孔15とを介して定圧室Aと連通するので、変圧室Bと定圧室Aとの圧力差が徐々に小さくなる。その結果、戻しばね32の付勢力によりバルブボディ6が軸方向後側に移動するので、それに伴い係合部材36も軸方向後側に移動する。
一方、係合解除部材37は、ストップキー29がリヤシェル4の段差部4Cに当接しているのでその移動が規制されている。このため、係合解除部材37の前端37Bは、可動部材34と係合部材36の各係合片36Bとの間に入込んで接触し、係合部材36の各係合片36Bを径方向外側に向けて押圧する。これにより、可動部材34と係合部材36の各係合片36Bとの係合状態が解除され、可動部材34がリアクション部材33からの反力により軸方向後側へと移動する。
負圧導入管39は、フロントシェル3の前壁3Aに設けられている。この負圧導入管39は、図1に示すようにフロントシェル3の前壁3Aから突出するパイプ等からなり、エンジンの吸気マニホールドに逆止弁(いずれも図示せず)等を介して接続されている。そして、負圧導入管39は、エンジンの作動時に吸気マニホールド内で発生した負圧を定圧室A内へと導くことにより、定圧室A内を大気圧よりも低い圧力に保持するものである。
また、フロントシェル3の前壁3Aには、マスタシリンダをフロントシェル3に固定するための固定ボルト40が設けられている。リヤシェル4の後壁4Aには、リヤシェル4を含めてハウジング2全体を車両のエンジンルーム内壁等に取付ける取付ボルト41が設けられている。ここで、固定ボルト40と取付ボルト41とは連結ロッド42を介して一体に形成されている。
第1の実施形態による気圧式倍力装置1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
まず、車両の運転者がブレーキペダルを踏込み操作すると、これにより入力ロッド21が矢示C方向に押動され、プランジャ28と可動部材34とは入力ロッド21と一体に変位する。そして、プランジャ28の変位により環状の当接部28Cが、第1のボディ7の弁座部7Dとの当接によって追従を規制されたポペット弁体22から離座すると、大気導入孔11内から大気圧がキー挿入孔15を介して変圧室B内に導入され、定圧室Aと変圧室Bとの間に圧力差が発生する。
このため、バルブボディ6は、定圧室Aと変圧室Bとの間の圧力差によってパワーピストン5に生じた推力で図1中の矢示E方向に前進する。このときの推力は、バルブボディ6からリアクション部材33を介して出力ロッド30に伝達され、出力ロッド30からの出力は瞬間的に上昇する。そして、入力ロッド21への入力(ペダル踏力)が増大するに応じて出力も一定の倍力比で増大することになる。
ここで、通常のブレーキ操作では、可動部材34の移動距離が小さいので、係合部材36の各係合片36Bが可動部材34の段差部34B1に到達しない。即ち、通常のブレーキ操作では、係合部材36の各係合片36Bが可動部材34の段差部34B1に係合しないので、軸方向後側への移動を規制しない構成となっている。
また、ブレーキ操作を解除したときには、入力ロッド21が戻しばね24とリアクション部材33からの反力により矢示D方向に押戻される。これに伴ってプランジャ28も同方向に引っ張られるので、プランジャ28の当接部28Cは、ポペット弁体22に着座し、変圧室Bを外部の大気に対して遮断することになる。また、このときにプランジャ28は、プランジャ28の当接部28Cを介してポペット弁体22を弱ばね23に抗して矢示D方向に押圧し、第1のボディ7の弁座部7Dからポペット弁体22を強制的に離座させる。
この結果、定圧室Aと変圧室Bとが連通路9、キー挿入孔15等を介して互いに連通することになり、定圧室A内の負圧が変圧室B側に導入される。これによって、定圧室Aと変圧室Bとがブレーキ操作解除前の圧力差よりも低い圧力差になる。そして、出力ロッド30は、バルブボディ6と共に戻しばね32により矢示F方向に押戻され、最終的には図1に示す如く、ストップキー29がリヤシェル4の段差部4Cに当接した状態で、プランジャ28の最終戻り位置が規制される。
これにより、パワーピストン5、バルブボディ6、入力ロッド21、および出力ロッド30等は、図1に示す初期位置に復帰する。また、可動部材34は、バルブボディ6の矢示F方向への移動とリアクション部材33の反力とにより初期位置に復帰する。そして、ポペット弁体22は、このときに第1のボディ7の弁座部7Dとプランジャ28の当接部28Cとに着座し、変圧室Bを定圧室Aと同様の負圧状態に保ったまま次なるブレーキ操作に備えることになる。
次に、急ブレーキ操作(急制動)時の作動について図2ないし図5を参照して説明する。
急ブレーキ操作(急制動)時には、入力速度(ブレーキペダルの踏込速度)が大きく、バルブボディ6に対するプランジャ28および可動部材34の相対移動量が大きくなる。この場合、可動部材34は、段差部34B1が係合部材36の各係合片36Bを越えて軸方向前側に向けて移動する。そして、可動部材34は、リアクション部材33を強く押圧する。
そして、バルブボディ6は、上述した通常のブレーキ操作と同様に、定圧室Aと変圧室Bとの差圧と入力ロッド21の押動操作力とにより軸方向前側(矢示E方向)へと移動する。この場合、係合部材36は、バルブボディ6と一緒に軸方向前側へと移動する。一方、係合解除部材37は、付勢ばね38によりストップキー29に押圧(固定)されているので移動しない。
従って、係合解除部材37は、前端37B側が係合部材36の各係合片36Bに対して後方側に位置する。即ち、係合解除部材37の前端37B側は、可動部材34と係合部材36の各係合片36Bとの間から外れることになる。この場合、係合部材36の各係合片36Bは、径方向内側に向けて付勢されているので、可動部材34の段差部34B1よりも後方側の外周面に当接する。
そして、ブレーキ操作を解除したときには、入力ロッド21が戻しばね24により矢示D方向に押戻され、これに伴ってプランジャ28も同方向に引っ張られる。この場合、可動部材34は、係合部材36の各係合片36Bが可動部材34の段差部34B1に係合しているので、軸方向後側への移動が規制されている。従って、プランジャ28が矢示D方向に戻されると、プランジャ28と可動部材34との間には隙間が形成されることになる。その結果、リアクション部材33から可動部材34に作用する反力は、段差部34B1に係合している係合部材36で受承されるので、プランジャ28および入力ロッド21には伝達されないことになる。
ただし、たとえ入力ロッド21に対する入力を弱めたとしても、その入力が依然として、入力ロッド21が戻しばね24により受ける力よりも大きな力である場合には、入力ロッド21は矢示D方向に押戻されず、プランジャ28の当接部28Cとポペット弁体22との間の開放を保つことができる。そのため、変圧室B内に大気を導入することができ、全負荷点まで出力を維持させることができる。
プランジャ28が矢示D方向に戻されると、プランジャ28の当接部28Cは、ポペット弁体22に着座し、変圧室Bを外部の大気に対して遮断することになる。また、このときにプランジャ28は、プランジャ28の当接部28Cを介してポペット弁体22を弱ばね23に抗して矢示D方向に押圧し、第1のボディ7の弁座部7Dからポペット弁体22を強制的に離座させる。
この結果、定圧室Aと変圧室Bとが連通路9、キー挿入孔15等を介して互いに連通することになり、定圧室A内の負圧が変圧室B側に導入される。これによって、定圧室Aと変圧室Bとがブレーキ操作解除前の圧力差よりも低い圧力差になる。そして、出力ロッド30は、バルブボディ6と共に戻しばね32により矢示F方向に押戻され、最終的には図1に示す如く、ストップキー29がリヤシェル4の段差部4Cに当接した状態で、プランジャ28の最終戻り位置が規制される。
これにより、パワーピストン5、バルブボディ6、入力ロッド21、および出力ロッド30等は、図1に示す初期位置に復帰する。そして、ポペット弁体22は、このときに第1のボディ7の弁座部7Dとプランジャ28の当接部28Cとに着座し、変圧室Bを定圧室Aと同様の負圧状態に保ったまま次なるブレーキ操作に備えることになる。
この場合、可動部材34と係合部材36とは、バルブボディ6が初期位置に戻るように移動すると追従して移動することになる。そして、可動部材34と係合部材36の各係合片36Bとの間に係合解除部材37の前端37Bが入込んで接触する。これにより、可動部材34は、係合部材36の各係合片36Bが係合解除部材37により径方向外側に向けて押圧されるので係合状態が解除されることになる。その結果、可動部材34の軸方向後側への移動が解除されることになるので、可動部材34はリアクション部材33からの反力により、可動部材挿入孔20内をプランジャ28に向けて摺動変位する。
ところで、従来技術による気圧式倍力装置では、可動部材と係合部材との係合状態が解除されると、リアクション部材からの反力が可動部材に対して一気に解放されるので、可動部材がプランジャに向けて勢いよく戻ることになる。これにより、可動部材がプランジャに衝突して打音(異音)が発生する虞がある。
そこで、第1の実施形態では、可動部材34と第2のボディ16との間に摺動抵抗を付与するOリング35を設けている。具体的には、Oリング35は、可動部材34の外周側に設けられ、可動部材挿入孔20と摺接している。従って、Oリング35は、可動部材34が軸方向後側に向けて移動するときに、可動部材挿入孔20との間で摺動抵抗を付与する。
これにより、可動部材34がリアクション部材33からの反力によりプランジャ28に向けて移動する(戻る)速度を緩やかにすることができるので、可動部材34がプランジャ28に接触するときの打音(異音)を抑制することができる。
次に、図6は本発明の第2の実施形態を示している。第2の実施形態の特徴は、可動部材とバルブボディとの間に摺動抵抗を付与するOリングをバルブボディ側に設けたことにある。なお、第2の実施形態では、前述した第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第2のボディ51は、第1のボディ7に形成された第2のボディ挿入凹部8に嵌合し、両者は一体化されている。この第2のボディ51は、パワーピストン5の変位に連動して第1のボディ7と一緒に前,後方向(軸方向)に移動する。そして、第2のボディ51は、第1の実施形態の第2のボディ16と同様に、大径部51A、小径部51B、および内側突出部51Cとにより構成されている。
内側突出部51Cの内周側は、前,後方向(軸方向)に貫通する可動部材挿入孔52となっている。この可動部材挿入孔52は、前端側が出力ロッド挿入凹部17に連通し、後端側が係合部材挿入凹部18に連通している。可動部材挿入孔20には、後述の可動部材53が挿入される。また、内側突出部51Cには、可動部材挿入孔52の軸方向の中央部から径方向外側に向けて窪む環状の周溝が形成されている。この周溝には、後述のOリング54が嵌合されている。
可動部材53は、バルブボディ6内でプランジャ28の軸方向他端側(前端側)に当接可能に配置されている。この可動部材53は、例えば樹脂材料または金属材料からなり、第2のボディ51の可動部材挿入孔52に摺動可能に挿入されている。
可動部材53は、入力ロッド21からの押動操作力がプランジャ28を介して伝達され、可動部材挿入孔52内を摺動変位してリアクション部材33を弾性変形させるように押圧する。そして、可動部材53は、第1の実施形態の可動部材34と同様に、プランジャ28の軸部28Bに当接可能な当接部53Aと、外周側に環状の段差部53B1が形成された摺動軸部53Bとを含んで構成されている。
Oリング54は、可動部材53の摺動軸部53Bと第2のボディ51との間に配置されている。このOリング54は、ゴム等の樹脂材料からなり、第2のボディ51の内周側に設けられている。Oリング54は、内側突出部51Cに形成された前記周溝に嵌合され、可動部材53が可動部材挿入孔52内を軸方向に移動するときに、可動部材53と第2のボディ51との間に摺動抵抗を付与するもので、本発明の摺動抵抗付与部材を構成している。
かくして、このように構成された第2の実施形態についても第1の実施形態と同様に、可動部材53がプランジャ28に向けて勢いよく戻るのを抑制することができる。即ち、Oリング54は、係合解除部材37が可動部材53と係合部材36との係合を解除したときに、可動部材53がリアクション部材33からの反力を受けてプランジャ28に向けて勢いよく戻るのを抑制する。これにより、可動部材53は、プランジャ28に向けて緩やかに移動するので、可動部材53とプランジャ28との接触(衝突)により発生する接触音(異音)を小さくすることができる。
次に、図7は本発明の第3の実施形態を示している。第3の実施形態の特徴は、磁力により可動部材の移動(戻り)速度を抑制したことにある。なお、第3の実施形態では、前述した第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第2のボディ61は、第1のボディ7に形成された第2のボディ挿入凹部8に嵌合し、両者は一体化されている。この第2のボディ61は、パワーピストン5の変位に連動して第1のボディ7と一緒に前,後方向(軸方向)に移動する。そして、第2のボディ61は、第1の実施形態の第2のボディ16と同様に、大径部61A、小径部61B、および内側突出部61Cとにより構成されている。
内側突出部61Cの内周側は、前,後方向(軸方向)に貫通する可動部材挿入孔62となっている。この可動部材挿入孔62は、前端側が出力ロッド挿入凹部17に連通し、後端側が係合部材挿入凹部18に連通している。可動部材挿入孔20には、後述の可動部材63が挿入される。また、内側突出部61Cには、可動部材挿入孔62の出力ロッド挿入凹部17側の開口から径方向外側に向けて窪む環状の周溝が形成されている。この周溝には、後述の磁石64が嵌合されている。
可動部材63は、バルブボディ6内でプランジャ28の軸方向他端側(前端側)に当接可能に配置されている。この可動部材63は、例えば鉄系金属等の磁性材料からなり、第2のボディ61の可動部材挿入孔62に摺動可能に挿入されている。
可動部材63は、入力ロッド21からの押動操作力がプランジャ28を介して伝達され、可動部材挿入孔62内を摺動変位してリアクション部材33を弾性変形させるように押圧する。そして、可動部材63は、第1の実施形態の可動部材34と同様に、プランジャ28の軸部28Bに当接可能な当接部63Aと、外周側に環状の段差部63B1が形成された摺動軸部63Bとを含んで構成されている。
磁石64は、可動部材63の摺動軸部63Bと第2のボディ61との間に配置されている。この磁石64は、環状に形成され、第2のボディ61の内周側に設けられている。磁石64は、内側突出部61Cに形成された前記周溝に嵌合され、可動部材63が可動部材挿入孔62内を軸方向に移動するときに、磁力により可動部材63に摺動抵抗を付与するもので、本発明の摺動抵抗付与部材を構成している。
かくして、このように構成された第2の実施形態についても第1の実施形態と同様に、可動部材63がプランジャ28に向けて勢いよく戻るのを抑制することができる。即ち、磁石64は、係合解除部材37が可動部材63と係合部材36との係合を解除したときに、その磁力により磁性材料で形成された可動部材63がリアクション部材33からの反力を受けてプランジャ28に向けて勢いよく戻るのを抑制する。これにより、可動部材63は、プランジャ28に向けて緩やかに移動するので、可動部材63とプランジャ28との接触(衝突)により発生する接触音(異音)を小さくすることができる。
なお、上述した第1の実施形態では、バルブボディ6を第1のボディ7と第2のボディ16とにより別体として構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばバルブボディ6は、第1のボディ7と第2のボディ16とを一体として形成してもよい。このことは、第2,第3の実施形態についても同様である。
また、上述した第1の実施形態では、摺動抵抗付与部材としてOリング35を用いた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば摺動抵抗付与部材としてUパッキン等の他のシール部材を用いてもよい。このことは、第2の実施形態についても同様である。
以上説明した実施態様に基づく気圧式倍力装置として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
第1の態様としては、定圧室と変圧室とに画成されたハウジング内に配置され前記定圧室と前記変圧室との圧力差により移動するパワーピストンと、前記パワーピストンに連結され前記ハウジング内を移動するバルブボディと、一端側がブレーキペダルに連結され他端側が前記バルブボディ内に向けて延びる入力ロッドと、前記バルブボディ内に配置され前記入力ロッドに連結されるプランジャと、前記バルブボディ内で前記プランジャの軸方向他端側に当接可能に配置された可動部材と、前記入力ロッドが前記プランジャと前記可動部材とを移動させることにより、前記変圧室に作動気体を導入して前記定圧室と前記変圧室との間に圧力差を発生させる弁手段と、この圧力差によって前記パワーピストンに生じた推力が作用する出力ロッドと、前記出力ロッドからの反力の一部を前記入力ロッドに伝達するためのリアクション部材と、を備えた気圧式倍力装置において、前記可動部材の外周側に摺動可能に配置され、該可動部材が前記バルブボディに対して相対移動したときに該可動部材に係合する係合部材と、前記バルブボディ内で軸方向に相対移動可能に設けられ、前記係合部材に接触することにより該係合部材と前記可動部材との係合を解除する係合解除部材と、前記可動部材と前記バルブボディとの間に配置される摺動抵抗付与部材と、を有する。
第2の態様としては、第1の態様において、前記摺動抵抗付与部材は、前記可動部材の外周側に設けられている。
第3の態様としては、第1の態様において、前記摺動抵抗付与部材は、前記バルブボディの内周側に設けられている。