JP2018001531A - 印刷装置および印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】搬送機構によって搬送される被印刷物を印刷部による印刷位置に停止させることができる印刷装置および印刷方法を提供する。【解決手段】電流供給部52は、用紙Pの搬送開始以前に、搬送モーター18に駆動電流を供給して搬送機構48を駆動するメジャメント駆動を行うとともに、用紙の搬送開始以降、位置検出部51が用紙の印刷位置への到達を検出した時点から、メジャメント駆動において負荷計測部53が計測した搬送モーターの負荷に応じたホールド電流を搬送モーターに供給する印刷装置および印刷方法。【選択図】図1
Description
本発明は、被印刷物に印刷を行う印刷装置および印刷方法に関する。
従来から、被印刷物の一例である用紙を、印刷部によって印刷が行われる所定の印刷位置に搬送機構によって搬送(間欠搬送)し、印刷位置に到達した用紙に対して印刷部の一例である吐出ヘッドから液体の一例であるインクを吐出して、用紙に画像等を印刷する印刷装置がある。このような印刷装置においては、印刷される画像の品質劣化を抑制するため、用紙を印刷位置に停止させることが必要である。
このため、従来から、被印刷物(印刷対象物)を搬送する搬送機構を駆動する駆動モーターへ供給する駆動電流(印加する電圧)を制御して、被印刷物を、途中停止することなく印刷位置(間欠搬送の場合はその送り量となる目標停止位置)まで搬送させる技術がある(例えば特許文献1)。
ところで、例えば駆動モーターが直流モーターである場合、駆動モーターには、その回転時に、駆動モーターが有する複数の磁極に起因するコギングトルク(回転トルクむら)が発生する。このように発生するコギングトルクは、用紙の搬送機構の構成部材が有する弾性によって、その用紙の搬送に及ぼす影響が抑制される場合がある。このような場合、搬送機構によって搬送され印刷位置に到達した用紙が、その搬送機構が有する弾性(弾性力)によって、到達方向とは逆方向に押し戻されることがある。この結果、用紙が印刷位置とは異なる位置に停止することが起こり得る。
しかしながら、従来の技術は、用紙(被印刷物)を印刷位置まで途中停止することなく搬送させる技術であり、用紙が印刷位置とは異なる位置に停止して印刷位置には停止しないという課題については考慮されていない。なお、このような課題は、供給される駆動電流に応じて回転する駆動モーターと、駆動モーターの回転に伴って駆動され、被印刷物を搬送可能な搬送機構と、を備える印刷装置においては、概ね共通して発生するものである。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送機構によって搬送される被印刷物を印刷部による印刷位置に停止させることができる印刷装置および印刷方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する印刷装置は、被印刷物に対して印刷を行う印刷部と、供給される駆動電流に応じて回転する駆動モーターと、前記駆動モーターの回転に伴って駆動され、前記被印刷物を搬送可能な搬送機構と、前記搬送機構によって搬送される前記被印刷物が前記印刷部による印刷が行われる印刷位置に到達したことを検出する位置検出部と、前記駆動モーターに前記駆動電流を供給する電流供給部と、前記搬送機構の駆動に伴う前記駆動モーターの負荷を、前記駆動電流を用いて計測する負荷計測部と、を備え、前記電流供給部は、前記被印刷物の搬送開始以前に、前記駆動モーターに前記駆動電流を供給して前記搬送機構を駆動するメジャメント駆動を行うとともに、前記被印刷物の搬送開始以降、前記位置検出部が前記被印刷物の前記印刷位置への到達を検出した時点から、前記メジャメント駆動において前記負荷計測部が計測した前記駆動モーターの負荷に応じたホールド電流を前記駆動モーターに供給する。
上記課題を解決する印刷装置は、被印刷物に対して印刷を行う印刷部と、供給される駆動電流に応じて回転する駆動モーターと、前記駆動モーターの回転に伴って駆動され、前記被印刷物を搬送可能な搬送機構と、前記搬送機構によって搬送される前記被印刷物が前記印刷部による印刷が行われる印刷位置に到達したことを検出する位置検出部と、前記駆動モーターに前記駆動電流を供給する電流供給部と、前記搬送機構の駆動に伴う前記駆動モーターの負荷を、前記駆動電流を用いて計測する負荷計測部と、を備え、前記電流供給部は、前記被印刷物の搬送開始以前に、前記駆動モーターに前記駆動電流を供給して前記搬送機構を駆動するメジャメント駆動を行うとともに、前記被印刷物の搬送開始以降、前記位置検出部が前記被印刷物の前記印刷位置への到達を検出した時点から、前記メジャメント駆動において前記負荷計測部が計測した前記駆動モーターの負荷に応じたホールド電流を前記駆動モーターに供給する。
この構成によれば、搬送機構によって搬送される被印刷物を、駆動モーターに供給するホールド電流によって印刷位置に停止させることができる。
上記印刷装置において、前記メジャメント駆動は、前記搬送機構による前記被印刷物の搬送速度の速度変化が予め定められた範囲内である定速駆動を含み、前記負荷計測部は、前記定速駆動における前記駆動モーターの負荷を計測することが好ましい。
上記印刷装置において、前記メジャメント駆動は、前記搬送機構による前記被印刷物の搬送速度の速度変化が予め定められた範囲内である定速駆動を含み、前記負荷計測部は、前記定速駆動における前記駆動モーターの負荷を計測することが好ましい。
この構成によれば、駆動モーターに供給するホールド電流が最適化され、搬送される被印刷物を高い位置精度で印刷位置に停止させることができる。
上記印刷装置において、前記負荷計測部は、前記定速駆動における前記駆動モーターの負荷の平均値を、前記駆動モーターの負荷として計測することが好ましい。
上記印刷装置において、前記負荷計測部は、前記定速駆動における前記駆動モーターの負荷の平均値を、前記駆動モーターの負荷として計測することが好ましい。
この構成によれば、駆動モーターに供給するホールド電流がより最適化され、搬送される被印刷物をより高い位置精度で印刷位置に停止させることができる。
上記印刷装置においては、前記メジャメント駆動において前記負荷計測部が計測した前記駆動モーターの負荷を記憶する計測負荷記憶部を備え、前記電流供給部は、前記メジャメント駆動を前記印刷装置の電源オン時に行い、前記印刷装置の電源オフまでの間、前記計測負荷記憶部が記憶した前記駆動モーターの負荷に応じた前記ホールド電流を前記駆動モーターに供給することが好ましい。
上記印刷装置においては、前記メジャメント駆動において前記負荷計測部が計測した前記駆動モーターの負荷を記憶する計測負荷記憶部を備え、前記電流供給部は、前記メジャメント駆動を前記印刷装置の電源オン時に行い、前記印刷装置の電源オフまでの間、前記計測負荷記憶部が記憶した前記駆動モーターの負荷に応じた前記ホールド電流を前記駆動モーターに供給することが好ましい。
この構成によれば、印刷開始前のメジャメント駆動によって記憶された駆動モーターの負荷が電源オフまで記憶されるので、電源オンから電源オフまでの間に印刷装置において複数の印刷処理が行われる場合、各印刷処理が開始するまでの時間が長くならないように抑制できる。
上記印刷装置において、前記搬送機構は、前記被印刷物と接触しつつ回転して当該被印刷物を搬送する搬送ローラーと、前記駆動モーターの回転を、前記搬送ローラーの回転へ伝達する歯車機構と、を備え、前記歯車機構は弾性部材を有することが好ましい。
この構成によれば、例えば駆動モーターの回転時に生ずるトルク変化(コギングトルク)を歯車機構の弾性部材によって吸収するとともに、歯車機構の弾性部材に起因する被印刷物の搬送戻りをホールド電流によって抑制することができる。
上記印刷装置において、前記印刷部は印刷ジョブに基づいて前記被印刷物に印刷を行い、前記電流供給部は、前記印刷ジョブに基づく前記印刷部の前記被印刷物への印刷中、前記ホールド電流を継続して前記駆動モーターに供給することが好ましい。
この構成によれば、被印刷物に対する印刷が、開始から終了までメジャメント駆動によって中断されることなく行われるので、その印刷に要する時間が長くならないように抑制できる。
上記課題を解決する印刷方法は、被印刷物に対して印刷を行う印刷部と、供給される駆動電流に応じて回転する駆動モーターと、前記駆動モーターの回転に伴って駆動され、前記被印刷物を搬送可能な搬送機構と、前記搬送機構によって搬送される前記被印刷物が前記印刷部による印刷が行われる印刷位置に到達したことを検出する位置検出部と、前記駆動モーターに前記駆動電流を供給する電流供給部と、前記搬送機構の駆動に伴う前記駆動モーターの負荷を、前記駆動電流を用いて計測する負荷計測部と、を備える印刷装置において行われる前記被印刷物に対する印刷方法であって、前記電流供給部が、前記被印刷物の搬送開始以前に、前記駆動モーターに前記駆動電流を供給して前記搬送機構を駆動するメジャメント駆動を行うステップと、前記被印刷物の搬送開始以降、前記位置検出部が前記被印刷物の前記印刷位置への到達を検出した時点から、前記メジャメント駆動において前記負荷計測部が計測した前記駆動モーターの負荷に応じたホールド電流を前記駆動モーターに供給するステップと、を有する。
この方法によれば、搬送機構によって搬送される被印刷物を、駆動モーターに供給するホールド電流によって印刷位置に停止させることができる。
以下、印刷装置の一実施形態について、図を参照して説明する。
図1に示すように、印刷装置の一実施形態であるプリンター11は、移動体の一例であるキャリッジ22に備えられた印刷部の一例である吐出ヘッド21から液体の一例であるインクを吐出して、文字や図形等を含む画像を被印刷物の一例である用紙Pに印刷するインクジェット式のプリンターである。
図1に示すように、印刷装置の一実施形態であるプリンター11は、移動体の一例であるキャリッジ22に備えられた印刷部の一例である吐出ヘッド21から液体の一例であるインクを吐出して、文字や図形等を含む画像を被印刷物の一例である用紙Pに印刷するインクジェット式のプリンターである。
すなわち、プリンター11は、プリンター11の各動作を制御する制御部50から出力される駆動信号SDcによって回転するCRモーター25の駆動軸(出力軸)が連結された駆動プーリー15と、回転自在な従動プーリー16とを有している。駆動プーリー15と従動プーリー16との間には、無端状のベルト13が張られた状態で架け渡され、このベルト13の一部にキャリッジ22が取り付けられている。キャリッジ22は、ベルト13の周回とともに、長手方向を有する図示しないガイド軸に沿って往復移動可能である。
したがって、CRモーター25が正転駆動および逆転駆動されることに伴って、ベルト13が正逆の双方向に周回することにより、キャリッジ22は、搬送される用紙Pの搬送方向Yと直交する方向であって用紙Pの幅方向でもあるガイド軸の長手方向に沿う走査方向Xに往復移動する。
プリンター11には、往復移動するキャリッジ22の走査方向Xにおける位置と速度とを検出するためのリニアエンコーダーが設けられている。すなわちリニアエンコーダーは、キャリッジ22の走査方向Xに沿って設けられた直線状の符号板30と、キャリッジ22に設けられたフォトセンサー31とによって構成され、フォトセンサー31からキャリッジ22の移動状態に応じた所定の電気信号SLを出力する。
キャリッジ22の吐出ヘッド21が設けられた下部側(重力方向側)とは反対となる上部側には、複数色として4色(例えば黒、シアン、マゼンタ、イエロー)のインクがそれぞれ収容された4個のインクカートリッジ27が装填されている。装填された各インクカートリッジ27に収容されたインクは、図示しない流路を介して吐出ヘッド21に供給される。そして供給されたインクは、制御部50から吐出ヘッド21に対して出力される駆動信号SDtに基づいて、吐出ヘッド21からインク滴(液滴)となって用紙Pに対して吐出される。
用紙Pは、吐出ヘッド21と対向しつつ、搬送ローラー対38によって搬送される。すなわち、搬送ローラー対38は、駆動モーターの一例である搬送モーター18が制御部50から出力される駆動信号SDhによって回転するのに伴って回転させられる搬送駆動ローラー38aと、この搬送駆動ローラー38aに当接して連れ回りする搬送従動ローラー38bとから構成される。したがって、搬送モーター18が回転駆動されることで、用紙Pは、往復移動するキャリッジ22の移動方向である走査方向Xと交差する方向を搬送方向Yとして、吐出ヘッド21と対峙しつつ、搬送ローラー対38に挟持(ニップ)された状態で搬送される。
詳しくは、図2に示すように、往復移動するキャリッジ22の移動経路の下側に、吐出ヘッド21と用紙Pとの間隔(ギャップ)を規定する支持台28が、走査方向Xに沿って延びるように設けられている。用紙Pは、吐出ヘッド21と支持台28との間において、支持台28によって支持されながら、吐出ヘッド21と所定の隙間を保ちながら、用紙Pと接触しつつ回転して用紙Pを走査方向Xと交差する搬送方向Yへ搬送する搬送ローラーとしての搬送駆動ローラー38aによって搬送される。
搬送された用紙Pに対して、その搬送方向Yにおいて用紙端Peから所定の寸法Leだけ内側に入った位置から、搬送方向Yに所定の長さを有するノズル列となって吐出ヘッド21に設けられた不図示の複数のノズルから吐出されるインクによって、画像が印刷される。すなわち、用紙Pに対して、キャリッジ22の走査方向Xへの移動(往移動および復移動のうちの少なくとも一方の移動)時に吐出ヘッド21(ノズル)からインクが吐出され、搬送方向Yに沿う寸法Lp分の画像が、一走査分(「1パス分」とも言う)の画像として印刷される。以降、用紙Pの搬送方向Yへの寸法Lp分の搬送と、キャリッジ22(吐出ヘッド21)の走査方向Xへの移動とが繰り返し行われて、用紙Pに対して画像が印刷される。
本実施形態では、搬送駆動ローラー38aは、搬送モーター18の回転が歯車機構40によって伝達されることによって回転する。すなわち、歯車機構40は、搬送モーター18の回転軸に直結された駆動歯車41と、搬送駆動ローラー38aのローラー軸に直結されたローラー歯車43と、駆動歯車41とローラー歯車43との双方に噛み合う中間歯車42と、の3つの歯車によって構成されている。そして、図2において実線の矢印で示すように、駆動歯車41の回転が中間歯車42を介してローラー歯車43に伝達され、ローラー歯車43が回転する。このように、プリンター11には、用紙Pと接触しつつ回転して用紙Pを搬送する搬送駆動ローラー38aと、搬送モーター18の回転を搬送駆動ローラー38aの回転へ伝達する歯車機構40と、を備える用紙Pの搬送機構48が構成されている。
なお、本実施形態では、歯車機構40は弾性部材を有している。すなわち、歯車機構40における3つの歯車のうちの少なくとも1つが弾性を有する樹脂材料を用いて形成されている。このように、歯車機構40に弾性部材を用いることによって、搬送モーター18に生ずる微小なトルク変動(例えばコギングトルク)を吸収して、トルク変動が抑制された滑らかな回転をローラー歯車に伝達する。
プリンター11には、搬送駆動ローラー38aの回転速度を検出するためのロータリーエンコーダーが設けられている。すなわちロータリーエンコーダーは、搬送駆動ローラー38aのローラー軸に取り付けられた円板状の符号板32と、プリンター11の図示しないフレームに取り付けられたフォトセンサー33とによって構成され、フォトセンサー33から搬送駆動ローラー38aの回転速度に応じた所定の電気信号SRを出力する。
また、本実施形態のプリンター11では、吐出ヘッド21と支持台28との間に搬送される用紙Pを供給する図示しない給紙トレイが備えられている。給紙トレイには、それぞれ用紙Pが積層状態で収容可能であり、収容された用紙Pが給紙ローラー35などによって一枚ずつ搬送ローラー対38によって挟持される位置まで搬送される。
さて、図1に示すように、プリンター11では、ホストコンピューターなどの外部機器から印刷ジョブが入力される。そして、プリンター11では、入力された印刷ジョブに基づいて、キャリッジ22が走査方向Xに往復移動しながら所定のタイミングで吐出ヘッド21からインクが吐出される吐出動作と、用紙Pが搬送方向Yに所定の搬送量で搬送される搬送動作と、が交互に繰り返されることで、用紙Pに画像が印刷される。このため、プリンター11では、制御部50が、キャリッジ22の走査方向Xにおける移動(往復移動)動作と、吐出ヘッド21からのインクの吐出動作と、用紙Pの搬送動作と、を制御する。
制御部50は、本実施形態では図示しない制御基板に設けられたCPU(中央演算素子)61やROM62、RAM63、EEPROM64などの記憶素子により構成されたコンピューターと、主制御回路65、CRモーター駆動回路66、ヘッド駆動回路67、搬送モーター駆動回路68の各電気回路と、を備えている。
CRモーター駆動回路66は、駆動信号SDcを出力してCRモーター25を回転駆動する。このCRモーター25の回転に伴って移動するキャリッジ22の走査方向Xに沿った位置と速度を検出するためのリニアエンコーダーを構成するフォトセンサー31から出力される電気信号SLは、主制御回路65に入力される。
ヘッド駆動回路67は、駆動信号SDtを出力してキャリッジ22に備えられた吐出ヘッド21に設けられた不図示の吐出機構を駆動させて、複数のノズルから用紙Pに向けてインク滴を吐出させる。なお、被印刷物としては、用紙P以外に紙、布、フィルム等も採用できる。
搬送モーター駆動回路68は、駆動信号SDhを出力して搬送モーター18を回転駆動させることにより搬送駆動ローラー38aを回転させる。この搬送駆動ローラー38aの回転によって用紙Pは走査方向Xと直交する搬送方向Yに移動する。このとき搬送駆動ローラー38aの回転速度を検出するためのロータリーエンコーダーを構成するフォトセンサー33から出力される電気信号SRは主制御回路65に入力される。
主制御回路65は、これらのCRモーター駆動回路66、ヘッド駆動回路67、搬送モーター駆動回路68のそれぞれに、出力する駆動信号を制御する制御信号を供給する。また、主制御回路65は、外部機器から入力され、I/F(インターフェイス)69を介して受信した各種の印刷ジョブを解読する機能や、印刷ジョブに含まれる印刷データの調整に関する制御などを実行する機能も有している。
図1に示すように、プリンター11では、このような構成を有する制御部50において、記憶素子に記憶された所定のプログラムに基づいてコンピューターが動作することにより、制御部50は、位置検出部51と、電流供給部52と、負荷計測部53と、計測負荷記憶部54として機能する。
位置検出部51は、搬送機構48によって搬送される用紙Pが、吐出ヘッド21による印刷が行われる印刷位置に到達したことを検出する。すなわち、制御部50において、主制御回路65が、入力されるロータリーエンコーダーのフォトセンサー33の電気信号SRに基づいて用紙Pの搬送量を算出し、算出した用紙Pの搬送量を用いて用紙Pが印刷位置に到達したことを検出する。
電流供給部52は、搬送モーター18に対して駆動電流を供給する。すなわち、制御部50において、主制御回路65が、搬送モーター駆動回路68から駆動信号SDhを出力させて、所定の電流値となる駆動電流を搬送モーター18に供給する。したがって、搬送モーター18は、出力される駆動信号SDhに応じて供給される駆動電流によって回転する。
負荷計測部53は、搬送機構48の駆動に伴う搬送モーター18の負荷を、駆動電流を用いて計測する。すなわち、制御部50において、主制御回路65が、搬送モーター18に対して供給される駆動電流を用い、その駆動電流の電流値を、搬送モーター18の負荷として計測する。
計測負荷記憶部54は、負荷計測部53が計測した搬送モーター18の負荷を記憶する。すなわち、制御部50において、主制御回路65が、負荷計測部53が計測した搬送モーター18の負荷を、ROM62、RAM63、EEPROM64のうちの何れかの記憶素子に記憶する。
次に、このように構成されたプリンター11の用紙Pへの印刷処理における作用について説明する。
図3に示すように、ここでは、説明の簡略化のため、搬送方向Yにおける用紙端Peから所定の寸法Leだけ内側に入った位置から、搬送方向Yに沿う寸法Lpの1パス分の印刷が5回連続して行われることによって、一枚の用紙Pに対して印刷画像PGが印刷されるものとして説明する。すなわち、印刷画像PGは、第1パスPG1、第2パスPG2、第3パスPG3、第4パスPG4および第5パスPG5の、5つのパスの印刷画像で構成される。
図3に示すように、ここでは、説明の簡略化のため、搬送方向Yにおける用紙端Peから所定の寸法Leだけ内側に入った位置から、搬送方向Yに沿う寸法Lpの1パス分の印刷が5回連続して行われることによって、一枚の用紙Pに対して印刷画像PGが印刷されるものとして説明する。すなわち、印刷画像PGは、第1パスPG1、第2パスPG2、第3パスPG3、第4パスPG4および第5パスPG5の、5つのパスの印刷画像で構成される。
図4に示すように、この印刷処理はプリンター11の電源オン時に開始され、最初に、ステップS1にて、メジャメント駆動処理が行われる。メジャメント駆動処理は、搬送機構48の駆動に伴う搬送モーター18の負荷を計測する処理である。
図5に示すように、メジャメント駆動処理では、まずステップS11にて、用紙の搬送開始以前に搬送モーターを駆動する処理が行われる。ここでは、用紙Pの搬送方向Y側の用紙端Peが搬送ローラー対38に挟持される前の用紙Pの搬送開始以前の状態において、制御部50が搬送モーター18に駆動信号SDhを出力して搬送モーター18を駆動する。
次に、ステップS12にて、搬送駆動ローラーの回転速度を定速に制御する処理が行われる。ここでは、主制御回路65に入力されるロータリーエンコーダーのフォトセンサー33からの電気信号SRに応じて、主制御回路65が、搬送モーター駆動回路68から搬送モーター18へ出力する駆動信号SDhを制御することによって、搬送駆動ローラー38aの回転速度を定速に制御する。
図6に示すように、本実施形態では、搬送モーター18に出力される駆動信号SDhは、一周期の時間Tpのうち時間Tonにおいて電圧Veが出力されるデューティDu=Ton/Tpを有する電圧信号とされている。そして、搬送モーター18としてブラシ付きDCモーターが使用され、搬送モーター18に供給される駆動電流の電流値は、駆動信号SDhのデューティDuに比例する。換言すれば、制御部50は、搬送モーター駆動回路68から出力される駆動信号SDhのデューティDuを変更制御することによって、搬送モーター18に供給する駆動電流の電流値を制御する。この結果、供給される駆動電流によって搬送モーター18の回転速度が調節されて、搬送駆動ローラー38aの回転速度が定速になるように制御される。
また、本実施形態では、入力値(ここでは、搬送駆動ローラー38aの回転速度)の制御が、出力値と目標値との偏差(P)、その積分(I)、およびその微分(D)の3つの要素によって行われる所謂PID制御で実施される。すなわち、搬送モーター18の回転速度がPID制御に基づく搬送駆動ローラー38aの回転速度に応じた速度となるようにデューティDuを変更調節された駆動信号SDhが、搬送モーター駆動回路68から出力される。
図7に示すように、本実施形態では、このメジャメント駆動において、予め定められた速度プロファイルVPmを入力値とするPID制御が搬送駆動ローラー38aの回転速度Vdに対しておこなわれ、搬送モーター駆動回路68から出力する駆動信号SDhは、そのデューティDuがPID制御によって変更調節される。したがって、搬送モーター18には、変更調節された駆動信号SDhのデューティDuに応じた(比例した)電流値の駆動電流Idが供給される。
速度プロファイルVPmは、時間Tの経過とともに、搬送モーター18の駆動開始(時間T=0)から時間Taまでの間が搬送駆動ローラー38aの回転速度Vdが増加する増速駆動Vaとされている。また、時間Taから時間Tbまでの間が搬送駆動ローラー38aの回転速度Vdが一定の定速駆動Vcとされ、時間Tbから時間Tcまでの間が搬送駆動ローラー38aの回転速度Vdが減少する減速駆動Vbとされている。主制御回路65は、この速度プロファイルVPmによる回転速度Vdを入力値として、搬送モーター駆動回路68から出力される駆動信号SDhのデューティDuをPID制御によって変更して搬送モーター18に出力する。
したがって、本実施形態では、時間Taから時間Tbまでの間の定速駆動Vcにおいて搬送モーター18の回転に伴う搬送駆動ローラー38aの回転は、PID制御によって、速度変化ΔVdが予め定められた範囲内の定速回転となる。換言すれば、搬送モーター18の定速駆動Vcにおいて、用紙Pは、その速度変化ΔVdが予め定められた範囲内の定速の搬送速度で搬送機構(搬送駆動ローラー38a)によって搬送される。
また、図7に示すように、搬送モーター駆動回路68から出力される駆動信号SDhによって、増速駆動Vaに対応する増速電流Ia、定速駆動Vcに対応する定速電流Ic、および減速駆動Vbに対応する減速電流Ibが、搬送モーター18に駆動電流Idとして供給される。なお、図7では、定速電流Icについてのみ増減する電流変化ΔIdが例示されているが、増速電流Iaおよび減速電流Ibについても、それぞれの電流値は、PID制御によって変更調節されるデューティDuの駆動信号SDhに応じて増減する。
図5に戻り、メジャメント駆動では次のステップS13にて、搬送駆動ローラーが定速回転している時の搬送モーターの負荷を計測する処理が行われる。ここでは、主制御回路65が、時間Taから時間Tbまでの間において、搬送モーター駆動回路68から出力される駆動信号SDhを用い、その駆動信号SDhのデューティDuを、搬送モーター18の負荷として計測する。なお、本実施形態では、時間Taから時間Tbまでの間におけるデューティDuの平均値を搬送モーター18の負荷として計測する。
次に、ステップS14にて、搬送モーターの負荷を記憶する処理が行われる。ここでは、主制御回路65が、計測した駆動信号SDhのデューティDuの平均値を、記憶素子(例えばRAM63)の所定の記憶領域に記憶する。
次に、ステップS15にて、ホールド電流を決定する処理が行われる。ここでは、主制御回路65が、計測した駆動信号SDhのデューティDuの平均値、すなわち搬送モーター18の負荷に応じた電流値をホールド電流として決定する。ちなみに、本実施形態では、駆動信号SDhのデューティDuの平均値に対応する電流値が設定された設定テーブルが予め記憶素子に記憶され、主制御回路65が、記憶された設定テーブルを参照して、駆動信号SDhのデューティDuの平均値に応じたホールド電流(電流値)を決定する。なお、主制御回路65は、決定したホールド電流を記憶素子の所定の記憶領域に記憶する。
ここで、図2を参照して、ホールド電流について説明する。
図2に実線矢印で示すように、用紙Pの搬送時において、搬送モーター18の回転が歯車機構40によって伝達されることによって、搬送駆動ローラー38aが回転する。このとき、例えば歯車機構40における3つの歯車のうちの中間歯車42が弾性を有する樹脂材料を用いて形成されている場合、中間歯車42には、例えば、図2において網掛けで示す歯部が有する弾性に起因して、図2に破線矢印で示すように搬送駆動ローラー38aを回転させる回転方向とは逆方向へ回転させる反力FRが発生する。
図2に実線矢印で示すように、用紙Pの搬送時において、搬送モーター18の回転が歯車機構40によって伝達されることによって、搬送駆動ローラー38aが回転する。このとき、例えば歯車機構40における3つの歯車のうちの中間歯車42が弾性を有する樹脂材料を用いて形成されている場合、中間歯車42には、例えば、図2において網掛けで示す歯部が有する弾性に起因して、図2に破線矢印で示すように搬送駆動ローラー38aを回転させる回転方向とは逆方向へ回転させる反力FRが発生する。
すなわち、歯車機構40は、用紙Pを搬送方向Yへ搬送する回転方向とは逆方向へ回転させる反力FRが発生した状態で回転して、用紙Pを搬送方向Yへ搬送する。このため、例えば用紙Pが目標の位置(印刷位置)に搬送されて搬送モーター18の回転が停止した場合、発生した反力FRによって、搬送モーター18は、用紙Pを搬送方向Yへ搬送する回転方向とは逆方向に回転させられることになる。そこで、この反力FRによる逆回転を抑制するように、搬送モーター18に対して反力FRによる逆回転に抗する回転力を発生させる所定の電流値の駆動電流を供給することによって、搬送モーター18は回転停止後に逆回転することなくその回転停止状態を保つことができる。この反力FRによる逆回転に抗する回転力を生じさせる電流値の駆動電流がホールド電流である。
なお、発生する反力FRは、中間歯車42が増速回転や減速回転している場合はその力の大きさが変動する一方、低速回転しているときには力の大きさの変動が少なく安定する。したがって、メジャメント駆動(ステップS13)において、反力FRが安定して発生している搬送駆動ローラー38aの定速回転時に計測した搬送モーター18の負荷は、搬送される用紙Pが印刷位置に停止した際に加えるべきホールド電流と相関することになる。この結果、搬送モーター18に供給するホールド電流は、その電流値が搬送モーター18の逆回転に対して最適化される。
図4に戻り、ステップS1のメジャメント駆動処理に続いて、ステップS2にて、印刷開始か否かの判定処理が行われる。ここでは、外部機器から入力された印刷ジョブが記憶素子の所定の記憶領域に記憶されているものとし、主制御回路65は記憶された印刷ジョブがあるか(ステップS2:YES)否か(ステップS2:NO)を判定する。そして、印刷ジョブがあれば、次のステップS3に進む。
ステップS3では、用紙を搬送する処理が行われる。すなわち、主制御回路65が、搬送モーター駆動回路68から駆動信号SDhを出力させて搬送モーター18を回転させることにより搬送駆動ローラー38aを回転させ、用紙Pを搬送する。なお、ここでは、ステップS1のメジャメント駆動処理終了後、ステップS3での処理が開始されるまでに、給紙トレイに収容された用紙Pが給紙ローラー35などによって搬送されて、搬送ローラー対38によって搬送可能な状態となっている。
ステップS3での用紙Pの搬送処理においては、メジャメント駆動と同様に、予め定められた速度プロファイルを入力値とするPID制御によって搬送駆動ローラー38aの回転速度の制御がおこなわれる。したがって、搬送モーター駆動回路68から出力する駆動信号SDhは、そのデューティDuがPID制御によって変更調節される。
次に、ステップS4にて、用紙は印刷位置であるか否かの判定処理が行われる。ここでは、主制御回路65が、入力されるロータリーエンコーダーのフォトセンサー33からの電気信号SRに基づいて、搬送方向Y側の用紙端Peが印刷位置まで搬送されたか否かを判定する。なお、搬送ローラー対38によって搬送される用紙Pの用紙端Peを検出する図示しない検出センサーをプリンター11に備え、用紙Pが印刷位置に搬送されたか否かを、備えた検出センサーを用いて判定するようにしてもよい。
ステップS4での判定の結果、用紙Pが印刷位置でない場合は(ステップS4:NO)ステップS3に戻って用紙Pの搬送処理を継続し、用紙Pが印刷位置である場合は(ステップS4:YES)ステップS5に進む。
ステップS5では、搬送モーターにホールド電流を供給する処理が行われる。ここでは、主制御回路65が、ステップS15(図5参照)にて決定され、記憶素子の所定の記憶領域に記憶されたホールド電流を読み出して、そのホールド電流が搬送モーター18に供給されるデューティDuの駆動信号SDhを搬送モーター駆動回路68から搬送モーター18に出力させる。この結果、搬送モーター18は回転停止状態が維持される。
次に、ステップS6にて1パス分の印刷処理が行われる。ここでは、主制御回路65が印刷ジョブに基づいてCRモーター駆動回路66とヘッド駆動回路67とを制御し、駆動信号SDcによって吐出ヘッド21を走査方向Xに移動させるとともに、駆動信号SDtによって吐出ヘッド21からインクを吐出させる。ここでの処理によって、図3に示した第1パスPG1から第5パスPG5までの5つのパスのうち、搬送方向Y側の1つ目の第1パスPG1の印刷が行われる。
次に、ステップS7にて、全パス印刷したか否かの判定処理が行われる。ここでは、主制御回路65が、印刷対象となる用紙Pに対する印刷データのうち未印刷データが残っている場合は(ステップS7:NO)、次の1パス分の印刷を行うべく、ステップS3からステップS6までの処理を繰り返す。なお、第1パスPG1の印刷以降の1パス分の印刷処理では、ステップS4の処理における印刷位置は、用紙Pが搬送方向Yに寸法Lp分の搬送量で搬送された位置となる。
そして、ステップS7にて全パスが印刷されたと判定されると(ステップS7:YES)、用紙を排出する処理が行われる。すなわち、用紙Pにおいて第1パスPG1から第5パスPG5までの印刷(図3参照)が終了すると、用紙Pは、吐出ヘッド21よりも用紙Pの搬送方向Y下流側に設けられた図示しないローラー対によって搬送され、支持台28上から排出される。
次に、ステップS9にて、印刷終了か否かの判定処理が行われる。ここでは、主制御回路65が、印刷ジョブにおいて次の印刷対象となる用紙Pの有無を判定し、印刷対象の用紙Pが残っている場合は(ステップS9:NO)、次の用紙Pに対して、ステップS3からステップS8までの処理を繰り返す。なお、本実施形態では、印刷ジョブは一枚の用紙Pへの印刷であるので、ステップS9の判定処理において未印刷データが残っていないため(ステップS9:YES)、印刷ジョブによる印刷処理は終了する。
ここで、図8を参照して、ステップS3からステップS7までの処理において行われる制御部50の動作について補足説明する。
図8に示すように、印刷開始後、第1パスPG1の印刷位置に用紙Pを搬送させる際には、搬送駆動ローラー38aの回転速度Vdの速度プロファイルVPaに基づいて搬送モーター18の回転速度がPID制御される。すなわちPID制御に基づいて搬送モーター駆動回路68から出力される駆動信号SDhのデューティDuに応じて、図8に示すように電流値が増減する駆動電流Idが、搬送モーター18に供給される。
図8に示すように、印刷開始後、第1パスPG1の印刷位置に用紙Pを搬送させる際には、搬送駆動ローラー38aの回転速度Vdの速度プロファイルVPaに基づいて搬送モーター18の回転速度がPID制御される。すなわちPID制御に基づいて搬送モーター駆動回路68から出力される駆動信号SDhのデューティDuに応じて、図8に示すように電流値が増減する駆動電流Idが、搬送モーター18に供給される。
この速度プロファイルVPaに基づいて供給される駆動電流Idに応じて搬送モーター18が回転駆動されることによって、用紙Pは、用紙Pの搬送開始から時間T1aの経過後に、搬送方向Yにおける用紙端Peから所定の寸法Leだけ内側に入った位置、すなわち第1パスPG1の印刷位置に搬送される。そして、用紙Pが第1パスPG1の印刷位置に搬送された時間T1aから時間T1bまでの間に、吐出ヘッド21が走査方向Xに移動して第1パスPG1が印刷される。
本実施形態では、速度プロファイルVPaに基づくデューティDuの駆動信号SDhに継続して、この第1パスPG1の印刷中、搬送モーター18に対してホールド電流Ihを供給するデューティDuの駆動信号SDhが搬送モーター駆動回路68から出力される。したがって、搬送モーター18は、供給されるホールド電流Ihによって、第1パスPG1の印刷中、逆回転することなく、印刷位置に停止した状態が維持される。
次に、第1パスPG1の印刷終了後、第2パスPG2の印刷位置に用紙Pを搬送させる際には、搬送駆動ローラー38aの回転速度Vdの速度プロファイルVPbに基づいて搬送モーター18の回転速度がPID制御される。すなわちPID制御に基づいて搬送モーター駆動回路68から出力される駆動信号SDhのデューティDuに応じて、図8に示すように電流値が増減する駆動電流Idが、ホールド電流Ihに続いて搬送モーター18に供給される。
この速度プロファイルVPbに基づいて供給される駆動電流Idに応じて搬送モーター18が回転駆動されることによって、用紙Pは、第1パスPG1の印刷が終了した時間T1bから時間T2aまでの間に、搬送方向Yへ寸法Lp分移動した位置、すなわち第2パスPG2の印刷位置に搬送される。そして、用紙Pが第2パスPG2の印刷位置に搬送された時間T2aから時間T2bまでの間、吐出ヘッド21が走査方向Xに移動して第2パスPG2が印刷される。
本実施形態では、速度プロファイルVPbに基づくデューティDuの駆動信号SDhに継続して、この第2パスPG2の印刷中、搬送モーター18に対してホールド電流Ihを供給するデューティDuの駆動信号SDhが搬送モーター駆動回路68から出力される。したがって、搬送モーター18は、供給されるホールド電流Ihによって、第2パスPG2の印刷中、逆回転することなく、印刷位置に停止した状態が維持される。
以降、第2パスPG2の印刷と同様の印刷処理が、第3パスPG3、第4パスPG4、および第5パスPG5について行われる。そして、第5パスPG5が印刷される時間T5aから時間T5bまでの間、搬送モーター18に継続して供給されるホールド電流Ihは、第5パスPG5の印刷終了後、その供給が終了する。換言すれば、搬送モーター駆動回路68(電流供給部52)は、印刷ジョブに基づく吐出ヘッド21の用紙Pへの印刷中、ホールド電流Ihを継続して搬送モーター18に供給する。
なお、本実施形態では、速度プロファイルVPaおよび速度プロファイルVPbは、メジャメント駆動における速度プロファイルVPmと同様に、増速駆動、定速駆動、および減速駆動とされている。さらに、本実施形態では、速度プロファイルVPaと速度プロファイルVPbの定速駆動は、メジャメント駆動における速度プロファイルVPmの定速駆動Vcと同じ速度の定速駆動Vcとされている。換言すれば、メジャメント駆動における搬送駆動ローラー38aの定速回転の速度は、用紙Pの印刷時に用紙Pを搬送する際の搬送駆動ローラーの定速回転の速度と同じ速度とされている。
また、本実施形態では、ホールド電流Ihは、ステップS1での処理によって決定されたのち、プリンター11の電源がオフされるまでは記憶素子に記憶されており、電源オンが継続している間は、次の印刷ジョブにおいて、ステップS5の処理に際して、記憶素子に記憶されたホールド電流Ihが供給される。換言すれば、プリンター11では、電源がオンされる都度、ホールド電流Ihが決定される。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)搬送機構48によって搬送される用紙Pを、搬送モーター18に供給するホールド電流Ihによって印刷位置に停止させることができる。
(1)搬送機構48によって搬送される用紙Pを、搬送モーター18に供給するホールド電流Ihによって印刷位置に停止させることができる。
(2)定速駆動Vcにおいて計測した搬送モーター18の負荷に応じたホールド電流Ihによって、搬送モーター18に供給するホールド電流Ihが最適化され、搬送される用紙Pを高い位置精度で印刷位置に停止させることができる。特に、メジャメント駆動における搬送駆動ローラー38aの定速駆動Vcが、用紙Pの印刷時における定速駆動と同じ速度である場合は、搬送モーター18に供給するホールド電流Ihが印刷時において最適化され、搬送される用紙Pを高い位置精度で印刷位置に停止させることができる。
(3)定速駆動Vcにおける搬送モーター18の負荷の平均値に応じたホールド電流Ihによって、搬送モーター18に供給するホールド電流Ihがより最適化され、搬送される用紙Pをより高い位置精度で印刷位置に停止させることができる。
(4)印刷開始前のメジャメント駆動によって記憶された搬送モーター18の負荷が電源オフまで記憶されるので、電源オンから電源オフまでの間にプリンター11において複数の印刷ジョブによる印刷処理が行われる場合、各印刷処理が開始するまでの時間が長くならないように抑制できる。
(5)搬送モーター18の回転時に生ずるトルク変化(コギングトルク)を歯車機構40の弾性部材によって吸収するとともに、歯車機構40の弾性部材に起因する用紙Pの搬送戻りをホールド電流Ihによって抑制することができる。
(6)用紙Pへの印刷中、ホールド電流Ihを継続して搬送モーター18に供給するので、用紙Pに対する印刷が、開始から終了までメジャメント駆動によって中断されることなく行われる。したがって、用紙Pの印刷に要する時間が長くならないように抑制できる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、電流供給部52(搬送モーター駆動回路68)は、一枚の用紙Pに対する印刷時に搬送モーター18に対してホールド電流Ihを供給したが、これに限らず、印刷ジョブに基づく全ての用紙Pへの印刷が終了するまで、ホールド電流Ihを継続して搬送モーター18に供給するようにしてもよい。
・上記実施形態において、電流供給部52(搬送モーター駆動回路68)は、一枚の用紙Pに対する印刷時に搬送モーター18に対してホールド電流Ihを供給したが、これに限らず、印刷ジョブに基づく全ての用紙Pへの印刷が終了するまで、ホールド電流Ihを継続して搬送モーター18に供給するようにしてもよい。
・上記実施形態において、搬送機構48は、必ずしも歯車機構40が弾性部材を有する構成でなくてもよい。例えば、搬送機構48においてベルト駆動機構が採用される場合は、そのベルトが弾性部材を有する構成であればよい。
・上記実施形態において、電流供給部52は、必ずしも、メジャメント駆動をプリンター11の電源オン時に行わなくてもよい。例えば、電源オンから1つ目の印刷ジョブが終了した後にメジャメント駆動を行って搬送モーター18の負荷を計測するようにしてもよい。この場合は、1つ目の印刷ジョブについて、計測負荷記憶部54に予め記憶されたデフォルト値を搬送モーター18の負荷として用い、このデフォルト値に対して決定されたホールド電流Ihが各パスの印刷において搬送モーター18に供給されるようにしてもよい。
・上記実施形態において、負荷計測部53は、必ずしも、定速駆動Vcにおける搬送モーター18の負荷の平均値を、搬送モーター18の負荷として計測しなくてもよい。例えば、定速駆動Vcにおける最大負荷を搬送モーター18の負荷として計測してもよいし、定速駆動Vcにおける最小負荷を搬送モーター18の負荷として計測してもよい。
・上記実施形態において、負荷計測部53は、必ずしも定速駆動Vcにおける搬送モーター18の負荷を計測しなくてもよい。例えば、負荷計測部53は、図7に示すメジャメント駆動の速度プロファイルVPmにおいて、増速駆動Va中の所定の時間における負荷を計測してもよいし、減速駆動Vb中の所定の時間における負荷を計測してもよい。要は、印刷時において搬送される用紙Pが印刷位置に停止した際に加えるべきホールド電流Ihと相関する負荷を計測可能であれば、速度プロファイルVPmにおける任意の速度位置において、搬送モーター18の負荷を計測してもよい。
・上記実施形態において、メジャメント駆動での速度プロファイルVPmにおける定速駆動Vcの速度は、印刷処理での速度プロファイルVPaあるいは速度プロファイルVPbにおける定速駆動の速度よりも速くてもよいし、遅くてもよい。また、速度プロファイルVPmにおける定速駆動Vcが行われる時間Taから時間Tbまでの時間の長さは、例えば定速電流Icにおいて増減する電流変化ΔIdの増減幅に応じた長さとしたり、定速駆動Vcの速度に応じた長さとしたりしてもよい。
・上記実施形態において、電流供給部52として機能する制御部50において、搬送モーター駆動回路68から出力される駆動信号SDhが、一定のデューティDu(例えばデューティDu100%)であって電圧Veの値が変動する電圧信号であってもよい。この場合は、搬送モーター18に対して、出力される電圧Veの値に応じた(比例した)電流値の駆動電流が供給される。
・上記実施形態において、吐出ヘッド21は、複数色のインクとして4つよりも少ない複数色のインクを吐出してもよいし、4つよりも多い複数色のインクを吐出してもよい。
・上記実施形態において、インクはインクカートリッジ27からではなく、例えばプリンター11の外部に備えられたインクタンク(図示略)から供給されてもよい。
・上記実施形態において、インクはインクカートリッジ27からではなく、例えばプリンター11の外部に備えられたインクタンク(図示略)から供給されてもよい。
・上記実施形態のプリンター11は、例えば、長尺の被印刷物の一例である用紙Pに印刷(記録)を行うラージフォーマットのプリンターであってもよい。この場合、プリンター11は、用紙Pがロール状に巻かれた状態から巻き解かれて支持台28上に搬送されるようにしてもよい。
・上記実施形態において、印刷に用いられる液体は、インク以外の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体、流体として流して吐出できる固体を含むもの)であってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を吐出して印刷(記録)を行う構成にしてもよい。
・上記実施形態において、印刷装置としてのプリンター11は、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を吐出する流状体吐出装置であってもよい。なお、本明細書において「流体」とは、気体のみからなる流体を含まない概念であり、流体には、例えば液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、液状体、流状体などが含まれる。
11…プリンター(印刷装置の一例)、13…ベルト、15…駆動プーリー、16…従動プーリー、18…搬送モーター(駆動モーターの一例)、21…吐出ヘッド(印刷部の一例)、22…キャリッジ、25…CRモーター、27…インクカートリッジ、30…符号板、31…フォトセンサー、32…符号板、33…フォトセンサー、38…搬送ローラー対、38a…搬送駆動ローラー(搬送ローラーの一例)、38b…搬送従動ローラー、40…歯車機構、41…駆動歯車、42…中間歯車、43…ローラー歯車、48…搬送機構、50…制御部、51…位置検出部、52…電流供給部、53…負荷計測部、54…計測負荷記憶部、61…CPU、62…ROM、63…RAM、64…EEPROM、65…主制御回路、66…CRモーター駆動回路、67…ヘッド駆動回路、68…搬送モーター駆動回路、69…I/F、SDc,SDt,SDh…駆動信号、SL,SR…電気信号、Id…駆動電流、Ih…ホールド電流、Vc…定速駆動、Vd…回転速度、ΔVd…速度変化、P…用紙(被印刷物の一例)、X…走査方向、Y…搬送方向。
Claims (7)
- 被印刷物に対して印刷を行う印刷部と、
供給される駆動電流に応じて回転する駆動モーターと、
前記駆動モーターの回転に伴って駆動され、前記被印刷物を搬送可能な搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送される前記被印刷物が前記印刷部による印刷が行われる印刷位置に到達したことを検出する位置検出部と、
前記駆動モーターに前記駆動電流を供給する電流供給部と、
前記搬送機構の駆動に伴う前記駆動モーターの負荷を、前記駆動電流を用いて計測する負荷計測部と、を備え、
前記電流供給部は、
前記被印刷物の搬送開始以前に、前記駆動モーターに前記駆動電流を供給して前記搬送機構を駆動するメジャメント駆動を行うとともに、
前記被印刷物の搬送開始以降、前記位置検出部が前記被印刷物の前記印刷位置への到達を検出した時点から、前記メジャメント駆動において前記負荷計測部が計測した前記駆動モーターの負荷に応じたホールド電流を前記駆動モーターに供給する
ことを特徴とする印刷装置。 - 前記メジャメント駆動は、前記搬送機構による前記被印刷物の搬送速度の速度変化が予め定められた範囲内である定速駆動を含み、
前記負荷計測部は、前記定速駆動における前記駆動モーターの負荷を計測することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。 - 前記負荷計測部は、前記定速駆動における前記駆動モーターの負荷の平均値を、前記駆動モーターの負荷として計測することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
- 前記メジャメント駆動において前記負荷計測部が計測した前記駆動モーターの負荷を記憶する計測負荷記憶部を備え、
前記電流供給部は、
前記メジャメント駆動を前記印刷装置の電源オン時に行い、
前記印刷装置の電源オフまでの間、前記計測負荷記憶部が記憶した前記駆動モーターの負荷に応じた前記ホールド電流を前記駆動モーターに供給する
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の印刷装置。 - 前記搬送機構は、
前記被印刷物と接触しつつ回転して当該被印刷物を搬送する搬送ローラーと、
前記駆動モーターの回転を、前記搬送ローラーの回転へ伝達する歯車機構と、
を備え、
前記歯車機構は弾性部材を有することを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の印刷装置。 - 前記印刷部は印刷ジョブに基づいて前記被印刷物に印刷を行い、
前記電流供給部は、
前記印刷ジョブに基づく前記印刷部の前記被印刷物への印刷中、前記ホールド電流を継続して前記駆動モーターに供給することを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の印刷装置。 - 被印刷物に対して印刷を行う印刷部と、
供給される駆動電流に応じて回転する駆動モーターと、
前記駆動モーターの回転に伴って駆動され、前記被印刷物を搬送可能な搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送される前記被印刷物が前記印刷部による印刷が行われる印刷位置に到達したことを検出する位置検出部と、
前記駆動モーターに前記駆動電流を供給する電流供給部と、
前記搬送機構の駆動に伴う前記駆動モーターの負荷を、前記駆動電流を用いて計測する負荷計測部と、
を備える印刷装置において行われる前記被印刷物に対する印刷方法であって、
前記電流供給部が、前記被印刷物の搬送開始以前に、前記駆動モーターに前記駆動電流を供給して前記搬送機構を駆動するメジャメント駆動を行うステップと、
前記被印刷物の搬送開始以降、前記位置検出部が前記被印刷物の前記印刷位置への到達を検出した時点から、前記メジャメント駆動において前記負荷計測部が計測した前記駆動モーターの負荷に応じたホールド電流を前記駆動モーターに供給するステップと、
を有する印刷方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US11518181B2 (en) * | 2020-03-31 | 2022-12-06 | Seiko Epson Corporation | Printing apparatus |
-
2016
- 2016-06-30 JP JP2016129812A patent/JP2018001531A/ja active Pending
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