以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット印刷装置の全体斜視図である。図2は、図1に示すインクジェット印刷装置の概略構成を模式的に示す正面図である。図3は、インクジェットヘッドおよびノズルガードの概略構成を示す斜視図である。図4は、図3のA−A線に沿った断面図である。図5は、ノズルガードの斜視図である。図6は、図1に示すインクジェット印刷装置の要部を模式的に示す図である。図7は、キャッピングユニットの概略構成を示す斜視図である。図8は、メンテナンス部の概略構成を示す斜視図である。図9は、図1に示すインクジェット印刷装置の制御ブロック図である。なお、以下の説明において、図1の矢印で示す上下左右前後を上下左右前後方向とする。
図1、図2に示すように、第1実施形態に係るインクジェット印刷装置1は、シャトルベースユニット2と、フラットベッドユニット3と、シャトルユニット4と、制御部5とを備える。
シャトルベースユニット2は、シャトルユニット4を支持するとともに、前後方向(副走査方向)にシャトルユニット4を移動させる。シャトルベースユニット2は、架台部11と、副走査駆動モータ12とを備える。
架台部11は、シャトルユニット4を支持する。架台部11は、矩形枠状に形成されている。架台部11の左右の枠上には、前後方向に延びる副走査駆動ガイド13A,13Bがそれぞれ形成されている。副走査駆動ガイド13A,13Bは、シャトルユニット4を前後方向に移動するようガイドする。
副走査駆動モータ12は、シャトルユニット4を前後方向に移動させる。
フラットベッドユニット3は、建材や化粧パネル等の基材からなる印刷媒体15を保持する。フラットベッドユニット3は、シャトルベースユニット2の架台部11の内側に配置されている。フラットベッドユニット3は、印刷媒体15が載置される水平面である媒体載置面3aを有する。フラットベッドユニット3は、油圧駆動機構等からなる昇降機構により、媒体載置面3aの高さを調整できるようになっている。
シャトルユニット4は、印刷媒体15に画像を印刷する。図1、図2、図9に示すように、シャトルユニット4は、筐体21と、主走査駆動ガイド22と、主走査駆動モータ23と、ヘッド昇降ガイド24と、ヘッド昇降モータ25と、ヘッドユニット26と、洗浄液供給部27と、吸引部28と、色検出センサ(請求項の色検出部に相当)29と、メンテナンス部30とを備える。なお、洗浄液供給部27と吸引部28とが、請求項の洗浄部を構成する。
筐体21は、ヘッドユニット26等の各部を収納する。筐体21は、フラットベッドユニット3を左右方向に跨ぐ門型に形成されている。筐体21は、シャトルベースユニット2の架台部11に支持され、副走査駆動ガイド13A,13Bに沿って移動可能になっている。
主走査駆動ガイド22は、ヘッドユニット26を左右方向(主走査方向)に移動するようガイドする。主走査駆動ガイド22は、左右方向に延びる長尺状に形成されている。
主走査駆動モータ23は、ヘッドユニット26を左右方向に移動させる。
ヘッド昇降ガイド24は、ヘッドユニット26を上下方向に移動するようガイドする。ヘッド昇降ガイド24は、上下方向に細長い形状に形成されている。ヘッド昇降ガイド24は、ヘッドユニット26とともに主走査駆動ガイド22に沿って左右方向に移動可能に構成されている。
ヘッド昇降モータ25は、ヘッドユニット26を昇降させる。
ヘッドユニット26は、主走査駆動ガイド22に沿って左右方向に移動しつつ、印刷媒体15へインクを吐出して画像を印刷する。ヘッドユニット26は、4つのインクジェットヘッド31と、4つのノズルガード32とを有する。
インクジェットヘッド31は、印刷媒体15へインクを吐出する。4つのインクジェットヘッド31は、左右方向に並列して配置されている。4つのインクジェットヘッド31は、それぞれ異なる色(例えば、シアン、ブラック、マゼンタ、イエロー)のインクを吐出する。インクジェットヘッド31には、図示しないインク供給経路を介してインクが供給される。インクジェットヘッド31は、図3、図4、図6に示すように、ノズルプレート36を有する。
ノズルプレート36は、インクを吐出するノズル37が形成された部材である。ノズルプレート36は、インクジェットヘッド31の下端に設けられている。ノズルプレート36は、ポリイミド等の樹脂からなる矩形の板状の部材により形成されている。ノズルプレート36の表面(下面)であるノズル面36aに、複数のノズル37が開口している。複数のノズル37は、前後方向に沿って配置されている。
ノズルガード32は、インクジェットヘッド31のノズル面36aを保護する。ノズルガード32は、インクジェットヘッド31の下端に設置されている。ノズルガード32は、隙間40を介してノズル面36aを覆う矩形状の底板41と、底板41の周縁に立設された側壁42と、ノズルガード32の後端部における側壁42とインクジェットヘッド31との隙間を埋める蓋部43とを備える。
底板41には、インクジェットヘッド31のノズル37を露出させるための開口部46が形成されている。開口部46は、前後方向に細長い矩形状に形成され、全ノズル37を露出する位置に配置されている。
また、底板41には、規制壁(請求項の壁に相当)47が立設されている。規制壁47は、開口部46の前側の辺を除く周縁に沿ってノズル面36a側に立設されている。規制壁47の上端は、ノズル面36aよりも低い位置にある。規制壁47は、後述する洗浄動作において洗浄液供給部27が隙間40に流し込んだ洗浄液が開口部46の周縁に沿って流れ、開口部46の前側の辺から流出するように規制するものである。また、規制壁47は、後述するメンテナンス動作でのワイプ時における、開口部46側から隙間40へのインクの流入を抑制する役割も果たす。
また、底板41には、窓部48が設けられている。窓部48は、開口部46の後側近傍において隙間40にインクが入り込んでいるか否かをチェックするために用いられるものである。窓部48は、開口部46の後側近傍に形成された窓部用開口部49と、ノズルガード32の内側(底板41の上側)に窓部用開口部49を塞ぐように貼付された無色透明のプレート50とにより形成されている。
蓋部43には、洗浄液供給部27からの洗浄液を隙間40に流し込むための流入口51が形成されている。流入口51には、後述する洗浄液供給管57が接続される。これにより、ノズルガード32の後端部から隙間40に洗浄液が供給されるようになっている。
洗浄液供給部27は、ノズルガード32とノズル面36aとの隙間40のインクを洗い流すために、隙間40に洗浄液を流し込む。図2、図6に示すように、洗浄液供給部27は、洗浄液タンク56と、4本の洗浄液供給管57と、4つの洗浄液供給ポンプ58と、4つの洗浄液供給弁59とを備える。なお、図6では、洗浄液供給部27および吸引部28において各インクジェットヘッド31に対応して設けられた同じ構成である部分について、代表して1つのインクジェットヘッド31に対応する構成を示している。
洗浄液タンク56は、ノズルガード32とノズル面36aとの隙間40のインクを洗い流すための洗浄液を保持する。洗浄液は、インクを溶解させる機能を有するものである。この洗浄液としては、例えば、水および界面活性剤を含む水性溶媒を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、脂肪酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、α−スルホ脂肪酸エステルナトリウム、アルキル燐酸エステルナトリウム等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、等のカチオン性界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、等のノニオン性界面活性剤;アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、等の両性界面活性剤を用いることができる。また、高分子系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、およびアセチレングリコール系界面活性剤等も用いることができる。これらのなかでもポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いることが好ましく、そのHLB値は11〜17、アルキル基の炭素数は8〜15、エチレンオキサイドの付加モル数は6〜25であることがより好ましい。
洗浄液には、さらに増粘剤を含むことが好ましい。増粘剤としては、水溶性高分子系増粘剤、粘土鉱物系増粘剤を用いることができる。水溶性高分子系増粘剤としては、天然高分子、半合成高分子、合成高分子を用いることができる。天然高分子としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、グアガム、ローカストビーンガム、ペクチン、トラガントガム、コーンスターチ、コンニャクマンナン、寒天等の植物系天然高分子;プルラン、キサンタンガム、デキストリン等の微生物系天然高分子;ゼラチン、カゼイン、にかわ等の動物系天然高分子、を用いることができる。半合成高分子としては、例えば、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系半合成高分子;ヒドロキシエチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、シクロデキストリン等のデンプン系半合成高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール等のアルギン酸系半合成高分子;ヒアルロン酸ナトリウム、を用いることができる。合成高分子としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリN− ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド等のビニル系合成高分子;ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリウレタンを用いることができる。粘土鉱物系の増粘剤としては、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト等のスメクタイト系粘土鉱物を用いることができる。これらのなかでも、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることが好ましい。
さらに、洗浄液には、上記の成分に加え、任意に、水溶性有機溶剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等を適宜含むことができる。洗浄液の粘度は、23℃において5〜200mPa・sであることが好ましく、10〜100mPa・sであることがより好ましい。
洗浄液供給管57は、洗浄液タンク56からノズルガード32とノズル面36aとの隙間40への洗浄液の流路を形成する。洗浄液供給管57は、洗浄液供給弁59より上流側の部分である上流部57aと、洗浄液供給弁59より下流側の部分である下流部57bとからなる。
洗浄液供給ポンプ58は、洗浄液タンク56からノズルガード32とノズル面36aとの隙間40へ洗浄液を送る。洗浄液供給ポンプ58は、洗浄液供給管57の上流部57aに設置されている。
洗浄液供給弁59は、洗浄液供給管57の上流部57aと下流部57bとの間の連通、遮断を切り替える。洗浄液供給弁59には、洗浄液供給管57の上流部57a、洗浄液供給管57の下流部57b、閉鎖管60、および開放管61が接続されている。閉鎖管60は、一端が洗浄液供給弁59に接続され、他端が大気に対して閉鎖されている。開放管61は、一端が洗浄液供給弁59に接続され、他端が大気に通じている。
洗浄液供給弁59は、洗浄液供給管57の下流部57bの接続先を、洗浄液供給管57の上流部57a、閉鎖管60、および開放管61の間で切り替えることができる。これにより、洗浄液供給弁59は、供給設定、閉鎖設定、および開放設定の間で設定変更可能になっている。
供給設定は、洗浄液供給管57の上流部57aと下流部57bとを接続する設定である。これにより、供給設定では、洗浄液供給管57を介して洗浄液タンク56からノズルガード32とノズル面36aとの隙間40へ洗浄液を送ることが可能となる。閉鎖設定は、閉鎖管60と洗浄液供給管57の下流部57bとを接続する設定である。閉鎖設定では、洗浄液供給管57の上流部57aと下流部57bとの間が遮断される。閉鎖設定では、洗浄液供給管57の下流部57bは大気から遮断された密閉状態となる。開放設定は、開放管61と洗浄液供給管57の下流部57bとを接続する設定である。開放設定では、洗浄液供給管57の上流部57aと下流部57bとの間が遮断されるとともに、洗浄液供給管57の下流部57bの内部を大気開放することが可能となる。
吸引部28は、ノズルガード32とノズル面36aとの隙間40から洗浄液を吸引する。吸引部28は、筐体21の右端部の内部に配置されている。図2、図6、図9に示すように、吸引部28は、4つのキャッピングユニット66と、キャップ昇降モータ67と、4本の吸引管68と、4つの吸引ポンプ69と、廃液タンク70とを備える。
キャッピングユニット66は、後述する洗浄動作時において、ノズルガード32とノズル面36aとの隙間40から洗浄液および洗浄除去されたインクを吸引するために、ノズルガード32の開口部46をキャップする。また、キャッピングユニット66は、インクジェット印刷装置1が印刷を行わない待機中において、ノズル37の乾燥を防ぐために、ノズルガード32の開口部46をキャップする。
キャッピングユニット66は、図7に示すように、キャップ71と、キャップ土台72とを備える。キャップ71は、長円形状の底部76と、底部76の周縁に立設された周壁77とを備える。底部76には、洗浄液等を吸引するための吸引穴78が形成されている。吸引穴78には、吸引管68が接続されている。キャップ土台72は、キャップ71を支持するものである。
キャップ昇降モータ67は、キャッピングユニット66を、キャップ71の周壁77がノズルガード32に当接するキャップ位置と、キャップ位置より下方の退避位置との間で昇降させる。
吸引管68は、キャップ71から廃液タンク70への洗浄液等の流路を形成する。
吸引ポンプ69は、キャップ71から廃液タンク70へ洗浄液等を送る。吸引ポンプ69は、吸引管68に設置されている。
廃液タンク70は、吸引ポンプ69により送られてきた洗浄液等を廃液として貯留する。
色検出センサ29は、ノズルガード32の窓部48を介して、ノズルガード32とノズル面36aとの隙間40内の色を検出する。色検出センサ29は、吸引部28の左側近傍に配置されている。
メンテナンス部30は、インクジェットヘッド31のノズル面36aをクリーニングする。メンテナンス部30は、筐体21の左端部の内部に配置されている。メンテナンス部30は、図8、図9に示すように、4つのワイパ81と、4つのワイパ固定部82と、ワイパ駆動部83と、4つの洗浄槽84とを備える。
ワイパ81は、インクジェットヘッド31のノズル面36aおよびノズルガード32の下面をワイプする部材である。ワイパ81は、弾性変形可能なゴム等の材料からなり、板状に形成されている。ワイパ81は、先端側が中央部分81a、左側部分81b、および右側部分81cの3つの部分に分かれている。中央部分81aは、ノズルガード32の開口部46に挿入されてインクジェットヘッド31のノズル面36aをワイプする部分である。中央部分81aの先端は、左側部分81bおよび右側部分81cの先端から突出している。中央部分81aの幅(左右方向の長さ)は、ノズルガード32の開口部46の幅よりもやや小さい。左側部分81bおよび右側部分81cは、ノズルガード32の下面をワイプする部分である。
ワイパ固定部82は、ワイパ81を後述するワイパ駆動ベルト86に固定する。
ワイパ駆動部83は、ワイパ81を移動させる。ワイパ駆動部83は、4本のワイパ駆動ベルト86と、駆動ローラ87と、従動ローラ88,89とを備える。
ワイパ駆動ベルト86は、駆動ローラ87、従動ローラ88,89に掛け渡された環状のベルトである。それぞれのワイパ駆動ベルト86に、ワイパ固定部82を介してワイパ81が取り付けられている。ワイパ駆動ベルト86は、図8において矢印で示す方向(左側から見て反時計回り方向)に回転し、ワイパ81を移動させる。これにより、駆動ローラ87と従動ローラ88との間で張られたワイパ駆動ベルト86の水平区間において、ワイパ81が、前側から後側へ向かって移動しつつ、ノズル面36aおよびノズルガード32をワイプする。
駆動ローラ87は、ワイパ駆動ベルト86を回転させる。駆動ローラ87は、図示しないモータにより回転駆動される。
従動ローラ88,89は、駆動ローラ87とともに4本のワイパ駆動ベルト86を支持する。従動ローラ88,89は、ワイパ駆動ベルト86を介して駆動ローラ87に従動回転する。従動ローラ88は、駆動ローラ87と同じ高さで、駆動ローラ87の後方に配置されている。従動ローラ89は、前後方向における駆動ローラ87と従動ローラ88との中間位置の下方に配置されている。
洗浄槽84は、ワイパ81に付着させる洗浄液を保持する。洗浄槽84は、ワイパ駆動ベルト86の下方に配置されている。これにより、ワイパ駆動ベルト86の回転によりワイパ81が従動ローラ89付近を通過する際に、ワイパ81が洗浄槽84内の洗浄液に接触するようになっている。洗浄槽84の洗浄液としては、前述した洗浄液タンク56の洗浄液と同様のものを用いることができる。
制御部5は、インクジェット印刷装置1全体の動作を制御する。制御部5は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
次に、インクジェット印刷装置1の印刷動作について説明する。
インクジェット印刷装置1において、印刷動作の開始前の待機状態では、シャトルユニット4は、待機位置に配置されている。シャトルユニット4の待機位置は、図1において実線で示すシャトルユニット4の位置であり、シャトルベースユニット2の架台部11の後端部にある。
また、インクジェット印刷装置1の待機状態では、ヘッドユニット26は吸引部28の上方のホームポジションに配置されており、キャップ位置にあるキャッピングユニット66によりノズルガード32の開口部46がキャップされている。ヘッドユニット26のホームポジションは、図2に示すヘッドユニット26の位置である。
印刷ジョブが入力されると、制御部5は、副走査駆動モータ12を制御してシャトルユニット4を待機位置から印刷処理開始位置へ移動させる。シャトルユニット4の印刷処理開始位置は、図1において二点鎖線で示すシャトルユニット4の位置であり、シャトルベースユニット2の架台部11の前端部にある。なお、印刷ジョブの入力に先立って、印刷媒体15がフラットベッドユニット3の媒体載置面3a上に載置されている。
次いで、制御部5は、キャップ昇降モータ67を制御してキャッピングユニット66をキャップ位置から退避位置へ移動させる。これにより、ノズルガード32の開口部46に対するキャップが解除される。
次いで、制御部5は、主走査駆動モータ23を制御してヘッドユニット26を主走査方向に移動させつつ、印刷ジョブに基づきインクジェットヘッド31を制御してノズル37からインクを吐出させることで、1パス分の印刷を行う。次いで、制御部5は、副走査駆動モータ12を制御してシャトルユニット4を次のパスの印刷位置まで後方向に移動させる。制御部5は、この1パス分の印刷とシャトルユニット4の移動とを交互に繰り返すことにより、印刷媒体15に画像を形成する。
1枚分の印刷が終了すると、制御部5は、主走査駆動モータ23を制御してヘッドユニット26をホームポジションに配置する。そして、制御部5は、キャップ昇降モータ67を制御してキャッピングユニット66を退避位置からキャップ位置へ移動させることで、ノズルガード32の開口部46にキャップする。また、制御部5は、副走査駆動モータ12を制御してシャトルユニット4を待機位置へ配置する。これにより、印刷動作が終了となる。
次に、インクジェット印刷装置1におけるインクジェットヘッド31のメンテナンス動作について説明する。
メンテナンス動作は、例えば、予め設定された所定時間ごとのタイミングや、ユーザの指示に応じたタイミングで行われる。
メンテナンス動作において、まず、制御部5は、ワイパ駆動部83によりワイパ81を移動させて洗浄槽84を通過させることで、ワイパ81を洗浄するとともに、洗浄液をワイパ81に付着させる。
次いで、制御部5は、パージによりインクジェットヘッド31のノズル37からインクを吸い出す。これにより、ノズル37内の増粘インクが排出される。そして、ノズル面36aにインクが付着した状態となる。
次いで、制御部5は、キャッピングユニット66によるノズルガード32の開口部46に対するキャップを解除させた後、主走査駆動モータ23を制御してヘッドユニット26をホームポジションからメンテナンス部30の上方へ移動させる。この後、制御部5は、ヘッド昇降モータ25を制御してヘッドユニット26をメンテナンス位置まで下降させる。ヘッドユニット26のメンテナンス位置は、ワイパ81によりノズル面36aをワイプするためのヘッドユニット26の位置である。
ヘッドユニット26のメンテナンス位置への移動が完了した時点において、ワイパ81は、ノズルガード32の前端よりも前側にある。また、ワイパ81の中央部分81aの先端(上端)は、ノズル面36aよりも高い位置にあり、ワイパ81の左側部分81bおよび右側部分81cは、ノズルガード32の下面よりも高い位置にある。
次いで、制御部5は、ワイパ駆動部83によりワイパ81の移動を開始させる。ワイパ81が後方へ移動し、ノズルガード32に接触すると、ワイパ81はノズルガード32に押圧されて弾性変形する。そして、後方への移動とともに、ワイパ81の中央部分81a、左側部分81b、および右側部分81cの上端部がノズルガード32の下面を摺動(ワイプ)する。これにより、ノズルガード32の下面に付着したゴミ等がワイパ81により払拭される。
ワイパ81がノズルガード32の開口部46の前端に達すると、ワイパ81の中央部分81aが開口部46に挿入される。この後、ワイパ81の中央部分81aの先端部はノズル面36aをワイプする。これにより、ノズル面36a上に付着したインクが、ノズル面36a上のゴミ等とともに、ワイパ81の中央部分81aにより払拭される。ここで、ノズルガード32の規制壁47により、ワイパ81の中央部分81aによりノズル面36aから払拭されたインクが開口部46の左側の辺、右側の辺、および後側の辺から隙間40へ流入することは抑制される。
ワイパ81がノズルガード32の開口部46の後端に達すると、ワイパ81の中央部分81aが開口部46から抜ける。この後、ワイパ81の中央部分81a、左側部分81b、および右側部分81cの上端部がノズルガード32の下面をワイプする。ワイパ81がノズルガード32の後端より後側へ達すると、制御部5は、ワイパ81の移動を終了させる。これにより、メンテナンス動作が終了となる。
メンテナンス動作が終了すると、制御部5は、ヘッドユニット26をメンテナンス位置からホームポジションに戻し、キャッピングユニット66によりノズルガード32の開口部46にキャップする。この際、制御部5は、洗浄要否判断処理を行う。洗浄要否判断処理は、ノズルガード32とノズル面36aとの隙間40のインクを洗い流すための洗浄動作を行うか否かを判断する処理である。
この洗浄要否判断処理について説明する。図10は、洗浄要否判断処理のフローチャートである。図10のフローチャートの処理は、4つのノズルガード32のそれぞれに対して行われるものである。
図10のステップS1において、制御部5は、色検出センサ29により、ノズルガード32の窓部48を介して、ノズルガード32とノズル面36aとの隙間40内の色を検出させる。ここで、ヘッドユニット26がメンテナンス位置からホームポジションに戻る際に、色検出センサ29の上方を通過するため、その際に、色検出センサ29に窓部48を介して隙間40内の色を検出させることができる。
次いで、ステップS2において、制御部5は、窓部48を介して色検出センサ29により検出された隙間40内の色がインク色であるか否かを判断する。
ここで、図11に示すように、窓部48の上にインク90がある場合、色検出センサ29は隙間40内の色としてインク色を検出する。窓部48の上にインクがない場合は、色検出センサ29は隙間40内の色としてノズル面36aの色を検出する。
図10に戻り、色検出センサ29により検出された色がインク色であると判断した場合(ステップS2:YES)、ステップS3において、制御部5は、隙間40内にインクが流入して所定量以上堆積しているため洗浄動作が必要と判断する。これにより、洗浄要否判断処理が終了となる。
色検出センサ29により検出された色がインク色ではなくノズル面36aの色であると判断した場合(ステップS2:NO)、ステップS4において、制御部5は、隙間40内にインクはあまり堆積していないため洗浄動作は不要と判断する。これにより、洗浄要否判断処理が終了となる。
ここで、前述のように、メンテナンス動作においてワイパ81の中央部分81aによりノズル面36aから払拭されたインクが隙間40へ流入することは、規制壁47により抑制される。しかし、インクの一部が規制壁47を乗り越えて開口部46側から隙間40へ流入して堆積する可能性がある。このような隙間40へのインクの流入は、開口部46の左側や右側よりも、後側において生じやすい。ワイパ81が前側から後側へ向かってワイプを行うからである。このことから、窓部48を開口部46の後側近傍に設け、上述のように、この位置でのインクの有無を判断することで、隙間40内にインクが所定量以上堆積しているか否かを判断し、その結果により洗浄動作の要否を判断している。
次に、ノズルガード32とノズル面36aとの隙間40の洗浄動作について説明する。図12は、この洗浄動作を説明するためのフローチャートである。この洗浄動作は、上述した洗浄要否判断処理において洗浄動作が必要と判断されたノズルガード32のそれぞれに対して行われるものである。この洗浄動作を行う際、ヘッドユニット26はホームポジションにあり、ノズルガード32の開口部46はキャッピングユニット66によりキャップされている。
図12のステップS11において、制御部5は、洗浄液供給弁59を供給設定とする。これにより、洗浄液供給管57の上流部57aと下流部57bとが連通される。
次いで、ステップS12において、制御部5は、洗浄液供給ポンプ58および吸引ポンプ69の駆動を開始させる。これにより、洗浄液タンク56から洗浄液供給管57を介して隙間40に洗浄液が流し込まれるとともに、洗浄液が開口部46からキャップ71へ流れた後、吸引穴78に吸引され、吸引管68を介して廃液タンク70へ送られる。
ここで、ノズルガード32の後端部の流入口51から隙間40に流し込まれた洗浄液は、図13に示すように、ノズルガード32の規制壁47によって開口部46の左側の流れと右側の流れとに分かれ、それぞれ規制壁47に沿って前側へ流れる。そして、規制壁47がない開口部46の前側の辺から洗浄液がキャップ71へ流出する。このように、規制壁47は、ノズルガード32の後端部から隙間40に流し込まれた洗浄液が開口部46の後端部からすぐに流出してしまうのではなく、開口部46の周縁に沿って流れるように規制している。これにより、隙間40内の広範囲に洗浄液を行き渡らせることができる。
隙間40に洗浄液が流し込まれることで、隙間40内のインクは洗浄液により除去され、この洗浄除去されたインクは、洗浄液とともに廃液タンク70へ流れる。
次いで、図12のステップS13において、制御部5は、洗浄液供給ポンプ58および吸引ポンプ69の駆動開始から第1規定時間T1が経過したか否かを判断する。第1規定時間T1は、隙間40の洗浄のために洗浄液の供給を継続する時間として予め設定された時間である。洗浄液供給ポンプ58および吸引ポンプ69の駆動開始から第1規定時間T1が経過していないと判断した場合(ステップS13:NO)、制御部5は、ステップS13を繰り返す。
洗浄液供給ポンプ58および吸引ポンプ69の駆動開始から第1規定時間T1が経過したと判断した場合(ステップS13:YES)、ステップS14において、制御部5は、洗浄液供給ポンプ58を停止させるとともに、洗浄液供給弁59を開放設定とする。これにより、洗浄液供給管57の下流部57bへの洗浄液の流入が停止するとともに、洗浄液供給管57の下流部57bが大気開放される。この状態で吸引ポンプ69が駆動しているため、洗浄液供給弁59より下流側の洗浄液の流路である、洗浄液供給管57の下流部57b、隙間40、キャップ71、および吸引管68に存在する洗浄液が、廃液タンク70へ排出される。
次いで、ステップS15において、制御部5は、洗浄液供給弁59を開放設定としてから第2規定時間T2が経過したか否かを判断する。第2規定時間T2は、洗浄液供給弁59より下流側の洗浄液の流路から洗浄液を排出させるための時間として予め設定された時間である。洗浄液供給弁59を開放設定としてから第2規定時間T2が経過していないと判断した場合(ステップS15:NO)、制御部5は、ステップS15を繰り返す。
洗浄液供給弁59を開放設定としてから第2規定時間T2が経過したと判断した場合(ステップS15:YES)、ステップS16において、制御部5は、吸引ポンプ69を停止させるとともに、洗浄液供給弁59を閉鎖設定とする。これにより、洗浄動作が終了となる。
以上説明したように、インクジェット印刷装置1では、ノズルガード32とノズル面36aとの隙間40に洗浄液を流し込んで隙間40のインクを洗い流す洗浄動作を行う。これにより、隙間40にインクが入り込んでも、洗浄液により洗い流されるので、隙間40へのインクの堆積を抑制できる。
また、インクジェット印刷装置1では、ノズルガード32の窓部48を介して色検出センサ29がインク色を検出すると隙間40の洗浄動作を行う。これにより、隙間40におけるインクの堆積量が少ない状態での洗浄動作を回避することで、効率的に洗浄動作を行うことができる。
また、インクジェット印刷装置1では、ノズルガード32に設けられた規制壁47により、ワイパ81によるノズル面36aのワイプ時における開口部46側から隙間40へのインクの流入が抑制される。また、規制壁47により、洗浄動作時に隙間40に流し込まれた洗浄液が開口部46の周縁に沿って流れるように規制することで、洗浄液が隙間40内の広範囲に行き渡る。これにより、隙間40へのインクの堆積をより抑制できる。
(第2実施形態)
次に、上述した実施形態のノズルガードを変更した第2実施形態について説明する。図14は、第2実施形態におけるノズルガードの斜視図である。
図14に示すように、第2実施形態におけるノズルガード32Aは、上述した第1実施形態のノズルガード32の規制壁47を、規制壁47Aに置き換えた構成である。
規制壁47Aは、図5に示した第1実施形態における規制壁47に対し、開口部46の前側の辺に沿った壁部分を追加し、開口部46の前側の辺に沿った壁部分を右側の側壁42まで延長し、開口部46の右側の辺に沿った壁部分の後端部を削除したものである。すなわち、規制壁47Aは、開口部46の右側の辺の後端部を除く周縁に沿った壁部分と、開口部46の前側の辺に沿った壁部分が右側の側壁42まで延長された壁部分とからなる。
第2実施形態では、隙間40の洗浄動作において、隙間40に洗浄液が流し込まれると、図15に示すように、洗浄液は、ノズルガード32Aの規制壁47Aの後側の壁部分により右側への流れが遮られ、左側へ流れる。そして、洗浄液は、規制壁47Aに沿って開口部46の周縁を周回するように流れ、規制壁47Aがない開口部46の右側の辺の後端部からキャップ71へ流出する。
このように、規制壁47Aは、第1実施形態の規制壁47と同様に、ノズルガード32の後端部から隙間40に流し込まれた洗浄液が開口部46の後端部からすぐに流出してしまうのではなく、開口部46の周縁に沿って流れるように規制している。これにより、隙間40内の広範囲に洗浄液が行き渡る。
また、ノズルガード32Aにおいても、規制壁47Aにより、ワイパ81によるノズル面36aのワイプ時における開口部46側から隙間40へのインクの流入が抑制される。
したがって、ノズルガード32Aでも、第1実施形態のノズルガード32と同様に、隙間40へのインクの堆積をより抑制できる。
(その他の実施形態)
上述のように、本発明は第1および第2実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
上述した第1実施形態では、ノズルガード32の規制壁47は、開口部46の前側の辺を除く周縁に沿って立設されたものとした。また、第2実施形態では、ノズルガード32Aの規制壁47Aは、開口部46の右側の辺の後端部を除く周縁に沿った壁部分と、開口部46の前側の辺に沿った壁部分が右側の側壁42まで延長された壁部分とからなるものとした。しかし、規制壁の構成はこれらのものに限らない。規制壁は、少なくとも一部が開口部46の周縁に沿ってノズル面36a側に立設され、開口部46側から隙間40へのインクの流入を抑制するとともに、洗浄液が開口部46の周縁に沿って流れ、開口部46の周縁の一部から流出するように規制するものであればよい。
上述した第1実施形態のインクジェット印刷装置1の洗浄液供給部27、および吸引部28の一部(吸引管68、吸引ポンプ69、廃液タンク70)を省略してもよい。この場合、洗浄液による隙間40の洗浄は行わないが、ノズルガード32の規制壁47が隙間40へのインクの流入を抑制するので、隙間40へのインクの堆積を抑制できる。このような洗浄液による隙間40の洗浄は行わない構成の場合、ノズルガード32は、開口部46の周縁の少なくとも一部に沿ってノズル面36a側に立設された壁を備えるものであればよい。
上述した第1および第2実施形態では、それぞれノズルガード32,32Aが規制壁47,47Aを備えた構成としたが、規制壁47,47Aを省略してもよい。この場合でも、洗浄液供給部27および吸引部28による隙間40の洗浄動作により、隙間40へのインクの堆積を抑制できる。
上述した第1および第2実施形態では、ノズルガード32の窓部48を介して色検出センサ29がインク色を検出すると隙間40の洗浄動作を行ったが、窓部48および色検出センサ29を省略し、他のタイミングで隙間40の洗浄動作を行うようにしてもよい。例えば、インクジェットヘッド31のメンテナンス動作が所定回数行われるごとに隙間40の洗浄動作を行うようにしてもよい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。