JP2018001411A - 被覆成形品及びその製造方法 - Google Patents

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Yasunori Kawase
保徳 河瀬
鉄平 三浦
Teppei Miura
鉄平 三浦
善紀 安部
Yoshiaki Abe
善紀 安部
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Abstract

【課題】本発明の課題は、アクリルフィルムを炭素繊維強化熱硬化性樹脂に積層した加飾成形品において、熱硬化性樹脂に対する密着性と耐薬品性を両立し、製造費用の抑制が可能な成形品及びその製造方法を提供することにある。【解決手段】アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、炭素繊維強化熱硬化性樹脂の順に積層された被覆成形品。アクリル系樹脂とフッ素系樹脂で構成した多層フィルムと、未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を炭素繊維に含浸させてなるプリプレグとを、フッ素系樹脂とプリプレグが直に接するように積層し、加熱硬化して被覆成形品を得る製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、被覆成形品及びその製造方法に関する。
炭素繊維と樹脂とを複合化してなる炭素繊維強化熱硬化性樹脂シートは、金属材料に匹敵する強度・弾性率を有しながら、金属材料よりも比重が小さいため、部材の軽量化を図ることができる。また、発錆の問題も起こりにくいことから、燃費の低減を目的とした航空機や自動車への採用が増加している。
ところで、従来、金属材料の被覆仕上げ方法には、塗装が一般的に用いられている。例えば乗用車や軽自動車等の自動車車体の場合、シェルボデーのメインボデー及び外蓋物を形成するために、板状の金属製素材をそれぞれの構成部品の大きさや形状に裁断、成形し、これらを組み立ててシェルボデーとする。そして、シェルボデーをカチオン電着塗料浴に浸漬して、金属製素材の表面、裏面、端面部等を電着塗装して下塗塗膜を形成する。その後、主に車体の外側に位置する部分に中塗り塗料及び上塗り塗料を順に積層塗装して仕上げる。
塗装による被覆仕上げ方法を炭素繊維強化熱硬化性樹脂シートに適用した場合、ボイド(空洞)やピンホール(小孔)に起因する表面欠陥が頻発しやすく、表面外観が悪くなる。そのため、塗膜表面の研磨工程や再塗装工程の追加を必要とする場合があり、製造コスト削減に大きな課題を有していた。
また、近年の環境意識の高まりにより、自動車車体の塗装において、塗装ラインでの省工程、省エネルギー、COの削減、環境対応、VOC削減等が強く望まれている。
そのような中、プラスチックフィルムを用いて炭素繊維強化熱硬化性樹脂シート等の成形品を加飾成形する方法が提案されている。例えば特許文献1には、アクリルフィルム等のプラスチックを未硬化の炭素繊維強化熱硬化性樹脂に積層し、加熱硬化する方法が開示されている。
特開平9−174547号公報
しかしながら、特許文献1に記載の加飾成形品は、上述したボイドやピンホールに起因する表面欠陥は発生しにくいものの、プラスチックフィルムに熱硬化性樹脂が含侵、膨潤することで外観が悪く、初期密着が低いという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、密着性と、熱硬化性樹脂に対する耐薬品性を両立し、製造費用の抑制が可能な成形品及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、炭素繊維強化熱硬化性樹脂の順に積層された被覆成形品。
[2] フッ素系樹脂がアクリル系樹脂0〜50質量%、フッ素樹脂100〜50質量%を含有する、前記[1]に記載の被覆成形品。
[3] フッ素樹脂がポリフッ化ビニリデンである、前記[1]又は[2]に記載の被覆成形品。
[4] アクリル系樹脂とフッ素系樹脂で構成した多層フィルムと、未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を炭素繊維に含浸させてなるプリプレグとを、フッ素系樹脂とプリプレグが直に接するように積層し、加熱硬化して被覆成形品を得る製造方法。
本発明の被覆成形品又は製造方法は、密着性と、熱硬化性樹脂に対する耐薬品性を両立し、製造費用の抑制が可能な成形品及びその製造方法を提供することができる。
本発明の被覆成形品は炭素繊維強化熱硬化性樹脂にフッ素系樹脂、アクリル系樹脂の順で積層された成形品である。また、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂は予めフィルム様に賦型されていてもよく少なくともアクリル系樹脂とフッ素系樹脂の2層構造を有する多層フィルムであってもよい。
<アクリル系樹脂>
アクリル系樹脂は公知のアクリル樹脂組成物であればよいが、延伸加工性に優れる点で下記のゴム含有重合体(G)及び/又は熱可塑性重合体(P)を含有するアクリル樹脂組成物を用いることが好ましい。
以下、好適なアクリル系樹脂の一例について説明する。
<ゴム含有重合体(G)>
ゴム含有重合体(G)は、アクリル酸アルキルを30質量%以上含む単量体成分(a)を重合してゴム重合体(A)を製造する工程、及び、該ゴム重合体(A)の存在下にメタクリル酸アルキルを51質量%以上含む単量体成分(b)を重合する工程を経て製造される。
ゴム含有重合体(G)を製造する方法は、単量体成分(a)を乳化重合する工程と単量体成分(b)を乳化重合する工程とを含んでいる。単量体成分(a)は、その重合体のガラス転移温度(Tg)が−50〜25℃となる成分であり、単量体成分(b)は、その重合体のTgが70〜120℃となる成分である。
これらの2つの乳化重合工程の間には、必要に応じて単量体成分(c)を乳化重合する工程を含むことができる。また、単量体成分(a)の重合に先立ち、重合体のTgが70〜120℃となる成分(s)を乳化重合する工程を含むことができる。
先ず単量体成分を説明し、次いで重合方法を説明する。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」又は「メタクリル」を意味する。
<単量体成分(a)>
単量体成分(a)は、全量100質量%を基準にして、アクリル酸アルキルを30質量%以上含む単量体混合物であり、一段目の重合の原料となる単量体混合物である。単量体成分(a)を原料として重合することによってゴム重合体(A)が製造される。
アクリル酸アルキル(以下「単量体(a1)」という。)としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−,i−プロピル、アクリル酸n−,i−,t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチルが挙げられる。
これらの中で、アクリル酸n−ブチルが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体成分(a)中のアクリル酸アルキル以外の単量体としては、メタクリル酸アルキル(以下「単量体(a2)」という。)、二重結合を1個有する他の単量体(以下「単量体(a3)」という。)、多官能性単量体(以下「単量体(a4)」という。)が挙げられる。
単量体(a2)としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−,i−プロピル、メタクリル酸n−,i−,t−ブチルが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(a3)としては、例えば、アクリル酸アルコキシ、アクリル酸シアノエチル、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸等のアクリル系単量体;スチレン、アルキル置換スチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(a4)としては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール等のジ(メタ)アクリル酸アルキレングリコール;ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のポリビニルベンゼン;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のシアヌレート系単量体;メタクリル酸アリル等のα,β−不飽和カルボン酸又はジカルボン酸のアリル、メタリル又はクロチルエステルが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体成分(a)を100質量%としたときに、単量体(a1)の含有率は30〜99.9質量%が好ましく、単量体(a2)の含有率は0〜69.9質量%が好ましく、単量体(a3)の含有率は0〜20質量%が好ましく、単量体(a4)の含有率は0.1〜10質量%が好ましい。
ゴム重合体(A)のTgは、柔軟性及び耐衝撃性の点から、−50〜25℃が好ましい。尚、本発明において、Tgは、ポリマーハンドブック〔Polymer HandBook(J.Brandrup,Interscience,1989)〕に記載されている値を用いてFOXの式から算出される値をいう。
また、ゴム含有重合体(G)中のゴム重合体(A)の含有率は、製膜性及び耐衝撃性の点から、5〜70質量%が好ましい。
<単量体成分(b)>
単量体成分(b)は最終段目の重合の原料となる単量体混合物であり、ゴム含有重合体(G)の成形性、機械的性質に関与する成分である。
単量体成分(b)中のメタクリル酸アルキル(以下「単量体(b1)」という。)としては、単量体(a2)として挙げた一種以上の単量体を用いることができる。
単量体成分(b)中の、メタクリル酸アルキル以外の単量体としては、アクリル酸アルキル(以下「単量体(b2)」という。)、二重結合を1個有する他の単量体(以下「単量体(b3)」という。)が挙げられる。
単量体(b2)としては、単量体(a1)として挙げた一種以上の単量体を用いることができる。
単量体(b3)としては、単量体(a3)として挙げた一種以上の単量体を用いることができる。
単量体成分(b)を100質量%としたときに、単量体(b1)の含有率は51〜100質量%が好ましく、単量体(b2)の含有率は0〜20質量%が好ましく、単量体(b3)の含有率は0〜49質量%が好ましい。
単量体成分(b)から得られる重合体のTgは、70〜120℃が好ましい。
重合方法の全工程において使用される単量体成分の総量100質量%中に占める、単量体成分(b)の量は、製膜性及び耐衝撃性の点から、30〜95質量%が好ましい。
<単量体成分(s)>
単量体成分(a)を重合してゴム重合体(A)を製造する工程に先立ち、重合体のTgが70〜120℃となる単量体成分(s)を乳化重合する工程を含むことができる。
単量体成分(s)としては、単量体成分(b)と同じものを挙げることができる。
<単量体成分(c)>
単量体成分(a)を重合してゴム重合体(A)を製造する工程、及び、該ゴム重合体(A)の存在下に単量体成分(b)を重合する工程の間には、単量体成分(c)を乳化重合する工程を含むことができる。
単量体成分(c)としては、アクリル酸アルキル9.9〜90質量%、メタクリル酸アルキル0〜90質量%、二重結合を1個有する他の単量体0〜20質量%、多官能性単量体0.1〜10質量%を含む混合物が挙げられる。
ここで用いられる他の単量体及び多官能性単量体としては、前述の単量体(a3)及び単量体(a4)が挙げられる。
<ゴム含有重合体(G)の製造方法>
ゴム含有重合体(G)の製造法としては、例えば、逐次多段乳化重合法が挙げられる。
ゴム含有重合体(G)を逐次多段乳化重合法で製造する方法としては、例えば、水及び界面活性剤を混合して乳化液とした単量体成分(a)を重合容器内に供給して重合した後に、単量体成分(c)を重合容器内に供給して重合し、更に、水及び界面活性剤を混合して乳化液とした単量体成分(b)を重合容器内に供給して重合する方法が挙げられる。
尚、単量体成分(c)を重合容器内に供給して重合する工程は、必要に応じて行なわれる工程である。
単量体成分(a)、(b)、(c)は、2段以上に分けて重合してもよい。
2段以上で重合する場合、各組成は同一でもよく異なっていてもよい。
また、単量体成分(c)は界面活性剤を含んでいてもよく、水と混合して乳化液として重合容器内に供給してもよい。
上記の方法で製造されたゴム含有重合体(G)は、ラテックス中での粗大粒子が少ないという利点を有し、得られる成形品の外観不良(フィッシュアイ)を抑制することができる。
逐次多段乳化重合法で製造する際に用いる界面活性剤としては、公知のアニオン系、カチオン系、ノニオン系界面活性剤が挙げられる。
上記乳化液の調製に用いる界面活性剤の量は、全工程において使用される単量体成分の総量100質量部に対して、0.5〜1.6質量部が好ましい。
単量体成分(a)及び単量体成分(b)を重合する際、又は更に単量体成分(c)を重合する際に用いる重合開始剤及び連鎖移動剤としては、公知の重合開始剤、連鎖移動剤が挙げられる。
重合開始剤及び連鎖移動剤の添加方法としては、水相中、単量体相中のいずれか片方に添加する方法、又は両相中に添加する方法が挙げられる。
ゴム含有重合体(G)のラテックスを得るための重合温度としては、40〜120℃程度である。
このようにして得られたゴム含有重合体(G)のラテックスは、ラテックス状態のままで各種用途に使用することができる。また、塩析凝固法、酸析凝固法、凍結凝固法、スプレードライ法等公知の方法により、ラテックス中からゴム含有重合体(G)を回収し、これを乾燥して、ゴム含有重合体(G)の粉体として使用することができる。更に、この粉体を溶融押し出ししてペレット化して、使用することができる。
ゴム含有重合体(G)を、金属塩を用いた塩析処理による凝固法で回収する場合、得られたゴム含有重合体(G)の残存金属含有量を800ppm以下にすることが好ましく、残存金属含有量は微量であるほど好ましい。これにより、沸騰水中に浸漬する際の白化現象を容易に抑制できる。
<熱可塑性重合体(P)>
熱可塑性重合体(P)としては、メタクリル酸アルキルを主成分とする単量体成分の重合体である。単量体成分は、メタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、二重結合を1個有する他の単量体とを含有する単量体成分(p)であることが好ましい。
これらの単量体としては、ゴム含有重合体(G)の説明において例示した単量体を用いることができる。これら単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体成分(p)を100質量%としたときに、メタクリル酸アルキルの含有率は50〜100質量%が好ましく、85〜99.9質量%がより好ましく、92〜99.9質量%が更に好ましい。また、アクリル酸アルキルの含有率は50質量%以下が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.1〜8質量%が更に好ましい。また、二重結合を1個有する他の単量体の含有率は49質量%以下が好ましい。
上記の範囲内であれば、アクリル系樹脂又は多層フィルムの耐熱性が向上する。
熱可塑性重合体(P)を製造する方法としては、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法が挙げられる。
熱可塑性重合体(P)の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定した値)は、アクリル系樹脂フィルムを得る際の製膜性、及びアクリル系樹脂フィルムの表面硬度、耐熱性、真空成形性に優れる点で、0.15L/g以下が好ましく、0.1L/g以下がより好ましい。また、アクリル系樹脂フィルムを得る際の製膜性に優れる点で、0.01L/g以上が好ましく、0.03L/g以上がより好ましい。
<アクリル系樹脂の組成>
アクリル系樹脂の組成は、ゴム含有重合体(G)と熱可塑性重合体(P)とを含有することが好ましい。ゴム含有重合体(G)と熱可塑性重合体(P)との比率を変えることで、得られるアクリル系樹脂又は多層フィルムの耐熱性や柔軟性を容易に調整できる。
アクリル系樹脂組成物中のゴム含有重合体(G)と熱可塑性重合体(P)の比率は、(G)/(P)=10〜100/0〜90質量%が好ましく、20〜95/5〜80質量%がより好ましい。但し、(G)と(P)の合計を100質量%とする。
<他の成分>
アクリル系樹脂には、必要に応じて、安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、発泡剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤等の添加剤を配合することができる。
得られるアクリル系樹脂自体や炭素繊維強化熱硬化性樹脂シート中の硬化樹脂を保護する点で、紫外線吸収剤がアクリル系樹脂に含まれていることが好ましい。紫外線吸収剤としては、分子量400以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、分子量400以上のトリアジン系紫外線吸収剤が適している。
分子量400以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の「チヌビン234」;(株)ADEKA製の「アデカスタブLA−31」が挙げられる。
分子量400以上のトリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の「チヌビン1577」;(株)ADEKA製の「アデカスタブLA−46」が挙げられる。
紫外線吸収剤の配合量は、アクリル系樹脂の樹脂成分100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。耐候性が向上する点から、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上が更に好ましい。一方、アクリル系樹脂フィルムの製膜時の工程汚れを防止でき、耐溶剤性及び透明性に優れる点から、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が更に好ましい。
また、アクリル系樹脂には、光安定剤が含まれていることが好ましい。光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤等のラジカル捕捉剤が好ましい。このような光安定剤の市販品としては、例えば、(株)ADEKA製の「アデカスタブLA−57」、「アデカスタブLA−67」、「サノールLS−770」が挙げられる。
光安定剤の配合量は、アクリル系樹脂の樹脂成分100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましい。耐光性が向上する点から、0.2質量部以上がより好ましい。一方、アクリル系樹脂フィルムの製膜時の工程汚れを防止できる点から、2質量部以下がより好ましく、1質量部以下が更に好ましい。
添加剤の配合方法としては、例えば、アクリル系樹脂フィルム又は多層フィルムを成形するための押出機に供給する方法、アクリル系樹脂に予め添加剤を配合した混合物を各種混練機にて混練混合する方法が挙げられる。
後者の方法に使用する混練機としては、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロール混練機が挙げられる。
尚、溶融押出しをする場合は、フィルムに印刷する際の印刷抜けや外観不良等の原因となる核や異物を取り除くために、200メッシュ以上のスクリーンメッシュで溶融状態にある原料を濾過しながら押出しすることが好ましい。
<フッ素系樹脂>
フッ素系樹脂を形成するフッ素樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)系共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体、フッ化ビニリデンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のアクリル系単量体との共重合体及びフッ化ビニリデン系重合体を主成分とする他樹脂との混合樹脂が挙げられる。
特に、アクリル系樹脂、炭素繊維強化熱硬化性樹脂シートの熱硬化性樹脂との密着性が良好であることから、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
またフッ素系樹脂には、前記アクリル系樹脂を混合して使用することができる。アクリル系樹脂を混合することでフッ素樹脂をフィルム状に賦型する際の結晶化が抑制され、外観が良好となり、且つ、アクリル系樹脂とフッ素系樹脂間の密着性が良好となる。
フッ素系樹脂には、必要に応じて、安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤等の添加剤を配合することができる。
フッ素系樹脂の組成は、フッ素樹脂/アクリル系樹脂=50〜100/0〜50質量%が好ましく、60〜100/0〜40質量%がより好ましく、70〜100/0〜30質量%が更に好ましい。但し、フッ素樹脂とアクリル系樹脂の合計を100質量%とする。
アクリル系樹脂が50質量%以下であることで、炭素繊維強化熱硬化性樹脂シートの熱硬化性樹脂が多層フィルムに含侵して発生する外観不良を抑制でき、且つ、アクリル系樹脂とフッ素系樹脂層の密着性を維持できる。
フッ素系樹脂の混合方法としては、例えば、フッ素系樹脂フィルム又は多層フィルムを成形するための押出機に供給する方法、フッ素系樹脂混合物を各種混練機にて混練混合する方法が挙げられる。
後者の方法に使用する混練機としては、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロール混練機が挙げられる。
尚、溶融押出しをする場合は、フィルムに印刷する際の印刷抜けや外観不良等の原因となる核や異物を取り除くために、200メッシュ以上のスクリーンメッシュで溶融状態にある原料を濾過しながら押出しすることが好ましい。
<多層フィルム>
本発明の被覆成形品は、炭素繊維強化熱硬化性樹脂にフッ素系樹脂、アクリル系樹脂の順で積層された成形品であればよく、フッ素系樹脂フィルムとアクリル系樹脂フィルムをそれぞれ重ねあわせて貼り付けてもよいし、フッ素系樹脂とアクリル系樹脂を予め2層構造を有する多層フィルムに賦型してもよい。
多層フィルムの製造方法としては、例えば、溶融流延法、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出法、カレンダー法等により単層のフィルムを製膜した後にフィルム同士を貼り合せる方法、マルチマニホールドやフィードブロックを有したTダイを使用した共押出ラミネーション法が挙げられる。経済性の点で、共押出ラミネーション法が好ましい。
Tダイ法によりフィルムを製造する場合、金属ロール、非金属ロール、金属ベルトから選ばれる複数のロール又はベルトに溶融樹脂を狭持して製膜すると、フィルムの表面平滑性を良好とすることができ、印刷処理した際の印刷抜けを抑制することができる。
Tダイ法によりフィルムを得る場合には、フィルム中のフィッシュアイを低減できる点から、200メッシュ以上のスクリーンメッシュで樹脂溶融物を濾過しながら押出しすることが好ましい。
多層フィルムは、上述したアクリル系樹脂とフッ素系樹脂の2層で構成されてもよいし、2層以上であってもよい。2層以上のフィルムを積層させて多層フィルムとする場合、各フィルムは同じ種類のアクリル系樹脂又はフッ素系樹脂から製膜されたフィルムでもよいし、異なる種類のアクリル系樹脂又はフッ素系樹脂から製膜されたフィルムでもよい。
多層フィルムの総厚は、積層フィルムの取扱い性及び本発明の被覆成形品の表面外観レベルに応じて決めればよく、20〜2000μm程度が好ましい。
また、フッ素系樹脂層の厚さは、熱硬化性樹脂に対する耐薬品性が良好となるため5μm以上、且つ、多層フィルムのカールが抑制できフィルム単価を抑制できることから多層フィルムの総厚に対して25%以下が好ましい。
<被覆成形品>
本発明の被覆成形品は、炭素繊維強化熱硬化性樹脂シートの少なくとも片面に、接着層を介さずに多層フィルムが貼着している。
<炭素繊維強化熱硬化性樹脂シート>
本発明に用いる炭素繊維強化熱硬化性樹脂シートは、炭素繊維織布に樹脂が含浸硬化したものである。以下、本明細書において、炭素繊維織布に未硬化又は半硬化の熱硬化性樹脂が含浸した状態の樹脂シートを「プリプレグ」と記載する場合もある。
<炭素繊維織布>
炭素繊維織布を構成する炭素繊維は、実質的に連続した強化繊維状であることが好ましい。ここでいう「実質的に連続した」とは、炭素繊維強化熱硬化性樹脂シート内部に端部を有さないことをいう。
炭素繊維強化熱硬化性樹脂シート中の炭素繊維の形態としては、炭素繊維を一方向に引き揃えた形態、炭素繊維を製織した形態等が挙げられる。
また、プリプレグを複数積層した場合に、表面に位置するプリプレグに炭素繊維の織物を用いて強化し、内部に位置するプリプレグに炭素繊維を一方向に引き揃えたものを用いる等して、複数の強化形態のプリプレグを併用することも可能である。このように複数の強化形態のプリプレグを併用することで、被覆成形品の意匠性が高まる。
炭素繊維としては、PAN(ポリアクリルニトリル)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維を用いることができる。特に、PAN系炭素繊維は強度、弾性率、伸度のバランスが良好で、織物を製造する上で好適である。被覆成形品を自動車車体に用いる場合、炭素繊維の強度と弾性率は高いほど好ましいが、耐衝撃性を持たせるには、伸度が1.4%以上の炭素繊維が好ましい。伸度はJIS K−7054に準じて求められるもので、厳密には引張破壊歪みを指す。
炭素繊維織布の形態としては、連続繊維状態で平織り、綾織り、繻子織り等の織物形態が挙げられる。
<熱硬化性樹脂>
炭素繊維織布に含浸させる樹脂としては、得られる被覆成形品の強度及び硬度を向上させる点で、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂は硬化剤と混合することにより硬化されるものである。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ビスマレイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、シアネートエステル樹脂、トリアジン樹脂が挙げられる。
これらの中でも、強度、耐熱性、成形性に優れる点で、エポキシ樹脂が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂としては、例えば、2官能性エポキシ樹脂、3官能以上の多官能性エポキシ樹脂が挙げられる。
2官能性エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、これらを変性したエポキシ樹脂が挙げられる。
3官能以上の多官能性エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシメタン)等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、これらを変性したエポキシ樹脂、これらのエポキシ樹脂をブロム化したブロム化エポキシ樹脂が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<硬化剤>
硬化剤としては、例えば、アミン、カルボン酸無水物、フェノール(ノボラック樹脂等)、メルカプタン、ルイス酸アミン錯体、オニウム塩、イミダゾールが挙げられる。
これらの中でも、アミン型の硬化剤が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アミン型の硬化剤としては、例えば、ジアミノジフェニルスルフォン等の芳香族アミン、脂肪族アミン、イミダゾール誘導体、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミンが挙げられる。これらの中で、プリプレグの保存性に優れる点で、ジアミノジフェニルスルフォンとジシアンジアミドが好ましい。
硬化剤には、硬化活性を高めるために、硬化助剤を組み合わせることができる。
好ましい組み合わせとしては、例えば、硬化剤としてジシアンジアミドと、硬化助剤として3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素、3−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−1,1−ジメチル尿素、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエン等の尿素誘導体との組み合わせ;硬化剤としてカルボン酸無水物やノボラック樹脂と、硬化助剤として三級アミンとの組み合わせ;硬化剤としてジアミノジフェニルスルフォンと、硬化助剤としてイミダゾール化合物、フェニルジメチルウレア等の尿素誘導体や、三フッ化モノエチルアミン、三塩化アミン錯体等のアミン錯体との組み合わせ;硬化剤としてジシアンジアミド及びジアミノジフェニルスルフォンと、硬化助剤として前記尿素誘導体との組み合わせが挙げられる。
上記を満たすプリプレグとして三菱レイヨン(株)製、製品名:TR3523 391GMPが挙げられる。
<被覆成形品の加工方法>
炭素繊維強化熱硬化性樹脂シートは、1枚のプリプレグを用いて構成されていてもよいが、通常は複数のプリプレグが積層した構造となっている。
被覆成形品は、アクリル系樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム、プリプレグの順に積層して積層体とし、この積層体を加熱・加圧して炭素繊維織布に含浸した硬化性樹脂を硬化させる方法、又はアクリル系樹脂とフッ素系樹脂の多層フィルムのフッ素系樹脂層側をプリプレグに接するように積層し、この積層体を加熱・加圧して炭素繊維織布に含浸した硬化性樹脂を硬化させる方法により得られる。
加熱・加圧する方法としては、例えば、オートクレーブによる成形、真空バッグ成形、プレス成形が挙げられる。
プレス成形の条件としては、成形温度120℃以上、成形圧力0.2MPa以上が好ましい。但し、成形温度が高すぎると、炭素繊維織布に含浸した樹脂の硬化反応が暴走することがある。従って、硬化反応の暴走を抑制する観点から、成形温度は250℃以下が好ましく、成形圧力は100MPa以下が好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例及び比較例に限定されるものではない。
各原料、多層フィルム及び被覆成形品の評価は下記の方法で行なった。尚、以下の記載における略号は次の通りである。
MMA :メタクリル酸メチル
MA :アクリル酸メチル
nBA :アクリル酸n−ブチル
BDMA:1,3−ブチレングリコールジメタクリレート
AMA :メタクリル酸アリル
CHP :クメンハイドロパーオキサイド
tBH :t−ブチルハイドロパーオキサイド
EDTA:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
nOM :n−オクチルメルカプタン
<測定・評価方法>
(1)Tgの計算
重合体のTgは、ポリマーハンドブック(Polymer HandBook(J.Brandrup,Interscience,1989))に記載されている値を用いてFOXの式から算出した。
(2)質量平均粒子径の測定
乳化重合にて得られたゴム含有重合体(G)のラテックス中の質量平均粒子径を、光散乱光度計(大塚電子(株)製、「DLS−700」)を用い、動的光散乱法で測定した。
(3)ゲル含有率の測定
所定量(抽出前質量)のゴム含有重合体(G)の粉体をアセトン溶媒中、還流下で抽出処理し、得られた処理液を遠心分離により分別し、乾燥後、アセトン不溶分の質量(抽出後質量)を測定した。下記式よりゲル含有率を求めた。
ゲル含有率(%)=(抽出後質量(g)/抽出前質量(g))×100
(4)還元粘度の測定
重合体の還元粘度は、重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定した。
(5)外観の評価
被覆成形品の外観を目視にて観察し、下記基準で評価した。
○:表層の多層フィルム層に変色、白化、シワが確認されず、品位が良好である。
×:表層の多層フィルム層に変色、白化、シワが確認され、品位が不良である。
(6)ピンホール有無の評価
被覆成形品にタルク粉をまぶし、布で表面のタルク粉を丁寧に全て拭き取った後、目視で表面観察し、下記基準で評価した。
○:タルク粉がすべて取り除かれ、白色の斑点がない。
×:タルク粉がピンホールに入り込み、白色の斑点が1個以上ある。
(7)初期密着性の評価
被覆成形品の初期密着性(炭素繊維強化熱硬化性樹脂シートと多層フィルムの初期密着性)について、JIS K5600−5−6に準拠して測定し、下記基準で評価した。
カッターガイドはTaiyu Kizai Super cutter guide No.315、カッター刃はKOKUYO HA-100SN、粘着テープ ニチバン製 CT-24を使用し、カッターで炭素繊維層に到達するように1mm×1mm×100マスにカット、粘着テープを貼付け剥離し、以下の基準で評価した。
○:1mm×1mm×100マスの内、剥離が0個である。
×:1mm×1mm×100マスの内、剥離が1個以上である。
[製造例1:アクリル系樹脂の製造]
<ゴム含有重合体(G)の製造>
攪拌機を備えた容器に脱イオン水10.8部を仕込んだ後、単量体成分(a−1)をCHP0.025部と共に投入し、室温下にて攪拌混合した。次いで、攪拌しながら、乳化剤(東邦化学工業(株)製、「フォスファノールRS610NA」)1.3部を上記容器内に投入し、攪拌を20分間継続して乳化液を調製した。尚、本発明において「室温」とは25℃のことである。
単量体成分(a−1)の組成;
MMA :0.3部
nBA :4.5部
BDMA:0.2部
AMA :0.05部
次に、冷却器付き重合容器内に脱イオン水139.2部を投入し、75℃に昇温した。
更に、脱イオン水5部にソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.20部、硫酸第一鉄0.0001部及びEDTA0.0003部を加えて調製した混合物を、重合容器内に一度に投入した。次いで、窒素下で攪拌しながら、先に調製した乳化液を8分間にわたって重合容器に滴下した後、15分間反応を継続させ、単量体成分(a−1)の重合を完結した。
続いて、単量体成分(a−2)を、CHP0.016部と共に、90分間にわたって重合容器に滴下した後、60分間反応を継続させ、単量体成分(a−2)の重合を完結させた。
単量体成分(a−2)の組成;
MMA :9.6部
nBA :14.4部
BDMA:1.0部
AMA :0.25部
一段目の重合に使用した単量体成分(a−1)について、FOXの式から求めたTgは−48℃であり、二段目の重合に使用した単量体成分(a−2)について、FOXの式から求めたTgは−10℃であった。
続いて、単量体成分(c−1)を、CHP0.0125部と共に、45分間にわたって重合容器に滴下した後、60分間反応を継続させた。FOXの式から求めた単量体成分(c−1)のTgは60℃であった。
単量体成分(c−1)の組成;
MMA:6部
MA :4部
AMA:0.075部
続いて、単量体成分(b−1)をnOM0.264部及びtBH0.08部と共に、140分間にわたって重合容器に滴下した後、60分間反応を継続させ、ゴム含有重合体(G)のラテックスを得た。FOXの式から求めた単量体成分(b−1)のTgは99℃であった。また、得られたラテックス中のゴム含有重合体(G)の質量平均粒子径は0.11μmであった。
単量体成分(b−1)の組成;
MMA:57部
MA :3部
得られたゴム含有重合体(G)のラテックスを、濾材としてSUS製のメッシュ(平均目開き:62μm)を取り付けた振動型濾過装置を用いて濾過した後、酢酸カルシウム3.5部を含む水溶液中で塩析させ、水洗して回収し、乾燥し、粉体状のゴム含有重合体(G)を得た。得られた粉体状のゴム含有重合体(G)のゲル含有率は70質量%であった。
<アクリル系樹脂の調製>
得られた粉体状のゴム含有重合体(G)75部と、熱可塑性重合体(P)としてMMA/MA共重合体(MMA/MA=99/1(質量比)、還元粘度0.06L/g)25部と、添加剤として紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、「チヌビン234」)1.4部、酸化防止剤(BASF製、「Irganox1076」)0.1部、光安定剤((株)ADEKA製、「LA−57」)0.3部の割合で配合した。
ヘンシェルミキサーを用いて30秒間混合し、2軸押出機(東芝機械(株)製、「TEM35」)を用いてシリンダー温度140〜240℃及びダイヘッド温度240℃の条件で♯300のスクリーンメッシュで異物を取り除きながら押し出し、切断してアクリル系樹脂のペレットを得た。
[製造例2:フッ素系樹脂の製造]
フッ化ビニリデン(アルケマ社製、「Kyner720」)80質量部に対して、アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製、「アクリペットVH#001」)20部、フェノール系酸化防止剤((株)ADEKA製、「アデカスタブAO−60」)0.1質量部の割合で配合した。
ヘンシェルミキサーを用いて30秒間混合し、2軸押出機(東芝機械(株)製、「TEM35」)を用いてシリンダー温度140〜240℃及びダイヘッド温度240℃の条件で♯300のスクリーンメッシュで異物を取り除きながら押し出し、切断してフッ素系樹脂のペレットを得た。
[製造例3:多層フィルムの製造]
アクリル系樹脂とフッ素系樹脂を80℃で一昼夜乾燥し、シリンダー温度240〜250℃に設定した♯500のスクリーンメッシュを設けたノンベントスクリュー型65mmφの押出機を用いてアクリル系樹脂のペレットを可塑化し、他方、同じくシリンダー温度230〜250℃に設定した♯500のスクリーンメッシュを設けた25mmφの押出機を用いてフッ素系樹脂のペレットを可塑化し、次いで250℃に設定した2種2層用マルチマニホールドダイでフィルム状に賦型し、アクリル系樹脂層側が80℃の第1鏡面冷却ロールと75℃の第2鏡面冷却ロールに接するようにしてフィルムを搬送し、多層フィルムを得た。
[製造例4:被覆成形品の製造]
プリプレグ(三菱レイヨン(株)製、「TR3523 391GMP」、2/2綾織、炭素繊維目付200g/m、樹脂含有率40%)を150mm×150mmにカットし、これを[0°]、即ち、繊維方向0°に5枚積層し、ツール側半面(75mm×150mm)にカットした多層フィルムをフッ素系樹脂層がプリプレグ側になるように配置して積層した。この積層体をバギングした後、オートクレーブで、135℃2時間(昇温速度2℃/分、加圧0.4MPa)で硬化し、被覆成形品を得た。
<実施例1>
製造例1で得られたアクリル系樹脂と、フッ素系樹脂としてポリフッ化ビニリデン(アルケマ社製、「Kyner720」)を用い、製造例3の条件でアクリル系樹脂とポリフッ化ビニリデンの2層フィルム50μm(アクリル系樹脂層45μm、フッ素系樹脂層5μm)を得た。
上記多層フィルムを用いて製造例4の条件で被覆成形品を得た。得られた被覆成形品の初期密着性、ピンホール有無及び表面外観を評価し、結果を表1に示した。
<実施例2>
製造例1で得られたアクリル系樹脂と、製造例2で得られたフッ素系樹脂を用い、製造例3の条件でアクリル系樹脂とフッ素系樹脂の2層フィルム75μm(アクリル系樹脂層67μm、フッ素系樹脂層8μm)を得た。
上記多層フィルムを用いて製造例4の条件で被覆成形品を得た。得られた被覆成形品の初期密着性、ピンホール有無及び表面外観を評価し、結果を表1に示した。
<比較例1>
製造例1で得られたアクリル系樹脂を80℃で一昼夜乾燥し、シリンダー温度180〜240℃に設定したノンベントスクリュー型40mmφの押出機を用いてペレットを可塑化し、次いで240℃に設定したTダイでフィルム状に賦型し、80℃の第1鏡面冷却ロールと75℃の第2鏡面冷却ロールに接するようにしてフィルムを搬送して単層フィルム125μmを得た。
上記単層フィルムを用いて製造例4の条件で被覆成形品を得た。得られた被覆成形品の初期密着性、ピンホール有無及び表面外観を評価し、結果を表1に示した。
<比較例2>
製造例4でフィルムを積層せず、プリプレグ単体で硬化したこと以外は実施例1と同様にして、炭素繊維強化熱硬化性樹脂シートを作成した。
得られた炭素繊維強化熱硬化性樹脂シートのピンホール有無を評価し、結果を表1に示した。
表1から明らかなように、各実施例で得られた被覆成形品は、外観及びピンホール有無に優れ、且つ、多層フィルムと炭素繊維強化熱硬化性樹脂シートとの初期密着性も良好であった。
対して、フッ素系樹脂層のないアクリル系樹脂の単層フィルムをプリプレグと積層した後に硬化した比較例1では、ピンホールの発生は抑制されたものの、アクリル系樹脂層に炭素繊維強化熱硬化性樹脂が含侵することでフィルムが白化し、且つ、初期密着性も不足した。
プリプレグのみで硬化した比較例2では、ピンホールが確認された。
以上説明した本発明の被覆成形品は、少なくとも片面にフィルムが貼着しているので、ボイドやピンホールに起因する表面欠陥が極めて少なく、外観に優れる。よって、表面欠陥を補修するための研磨工程や塗装工程を追加する必要がなく、製造コストを低減できる。
また、本発明の被覆成形品は、フッ素系樹脂層により炭素繊維強化熱硬化性樹脂の含侵による白化等の外観不良を生じにくく、且つ、初期密着性に優れる。
本発明の被覆成形品は、従来、金属材料が使われていた分野をはじめとして各種の幅広い用途に適用可能であり、金属材料の代替材料として、部材の大幅な軽量化を図ることができる。例えば、航空機や自動車等の移動体用部品へ適用することで燃費の改善に寄与できる。あるいは、モバイルパソコンやデジタルビデオカメラ、携帯電話等の筐体に適用することで、その可搬性を更に高めることができる。また、大型フラットパネルディスプレイの筐体に適用することで、軽量化と放熱性の問題を解消でき、一般家庭への大型壁掛けテレビの導入に寄与し得る。

Claims (4)

  1. アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、炭素繊維強化熱硬化性樹脂の順に積層された被覆成形品。
  2. フッ素系樹脂がアクリル系樹脂0〜50質量%、フッ素樹脂100〜50質量%を含有する、請求項1に記載の被覆成形品。
  3. フッ素樹脂がポリフッ化ビニリデンである、請求項1又は2に記載の被覆成形品。
  4. アクリル系樹脂とフッ素系樹脂で構成した多層フィルムと、未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を炭素繊維に含浸させてなるプリプレグとを、フッ素系樹脂とプリプレグが直に接するように積層し、加熱硬化して被覆成形品を得る製造方法。
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