JP2018001289A - 複合基板の研磨方法、memsデバイスの製造方法、及び、液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

複合基板の研磨方法、memsデバイスの製造方法、及び、液体噴射ヘッドの製造方法 Download PDF

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宗英 西面
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Abstract

【課題】研磨ムラが抑制された複合基板の研磨方法、MEMSデバイスの製造方法、及び、液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。【解決手段】第1の基板(41)と第2の基板(42)とが接合されて成り、少なくとも第1の基板(41)又は第2の基板(42)の何れか一方の基板により区画された空間(34)と、空間と連通する貫通孔(38)と、が形成された複合基板(40)の研磨方法であって、貫通孔(38)から気体を導入して空間(34)内を加圧した状態で、複合基板(40)を第2の基板(42)側から研磨装置(43)の研磨面(44a)側へ押圧して第1の基板(41)の第2の基板(42)とは反対側の面を研磨することを特徴とする複合基板の研磨方法。【選択図】図4

Description

本発明は、2つの基板が接合されて成る複合基板の研磨方法に関し、特に、内部に空間を有する複合基板の研磨方法、MEMSデバイスの製造方法、及び、液体噴射ヘッドの製造方法に関するものである。
ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッド等のMEMSデバイスは、積層された2つの基板からなる複合基板が少なくとも一部に用いられている。例えば、液体噴射ヘッドにおいては、ノズルに連通する圧力室が形成された圧力室形成基板と、これに積層された封止板とを備えている。圧力室形成基板と封止板との間には、圧電素子が配置される空間が形成されている。そして、液体噴射ヘッドは、圧電素子の駆動により圧力室内に圧力変動を生じさせ、この圧力変動を利用してノズルから液滴を噴射する。
ここで、ノズルから噴射される液滴はごく少量であることから、圧力室の容量(体積)は小さくなる傾向にある。このため、液体噴射ヘッドの製造時において、圧力室形成基板と封止板とを接合した後に圧力室形成基板を研磨することで、当該圧力室形成基板の板厚を薄くし、これに形成される圧力室の容量(体積)を小さくする方法が採用されている。また、圧力室を区画する区画壁の高さが抑えられるため、当該区画壁の剛性も高められる。このように基板を研磨する方法としては、基板を研磨される面とは反対側の面から研磨パッド(すなわち、研磨装置の研磨面)側に押圧して当該基板を研磨する方法が知られている(特許文献1参照)。
特開平10−94958号公報
ところで、特許文献1のように、基板の面内を均一な圧力で押圧する方法においても、研磨される面にムラができる虞があった。具体的には、図10に示す従来の複合基板90の研磨方法を表す模式図に基づいて説明する。なお、複合基板90は、液体噴射ヘッドに用いられる基板であり、圧力室形成基板91となる基板(以下単に圧力室形成基板91という)と、封止板92となる基板(以下単に封止板92という)とが積層されている。この複合基板90は、圧力室形成基板91の下面(封止板92とは反対側の面)が研磨された後で、切断ラインL(図10に示す破線)に沿って個々の圧力室形成基板91及び封止板92に分割される。複合基板90の内部には、圧電素子を収容する圧電素子収容空間94、及び、フレキシブル基板等の配線基板が挿通される基板配置空間93が複数形成されている。そして、従来では、封止板92の上面(圧力室形成基板91とは反対側の面)に貼り付けられるフィルム98を介して押圧部材97により複合基板90を研磨部材96(例えば、定盤と定盤の表面に取り付けられた研磨パッド)側に押圧し、圧力室形成基板91の下面を研磨していた。このため、複合基板90のうち基板配置空間93及び圧電素子収容空間94に対応する領域は、これら基板配置空間93及び圧電素子収容空間94から外れた領域よりも、押圧部材97の押圧する力が研磨面(すなわち、圧力室形成基板91の下面)に伝わり難くなっていた。その結果、図11に示すように、複合基板90のうち基板配置空間93及び圧電素子収容空間94から外れた領域は、研磨される量が多くなり、基板配置空間93及び圧電素子収容空間94に対応する領域は、研磨される量が少なる。すなわち、圧力室形成基板91の下面が均一に研磨されずに、研磨ムラが発生する。なお、図11では、研磨ムラを強調した圧力室形成基板91の下面を一点鎖線で表している。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、研磨ムラが抑制された複合基板の研磨方法、MEMSデバイスの製造方法、及び、液体噴射ヘッドの製造方法を提供することにある。
本発明における複合基板の研磨方法は、上記目的を達成するために提案されたものであり、第1の基板と第2の基板とが接合されて成り、少なくとも前記第1の基板又は前記第2の基板の何れか一方の基板により区画された空間と、前記空間と連通する貫通孔と、が形成された複合基板の研磨方法であって、
前記貫通孔から気体を導入して前記空間内を加圧した状態で、前記複合基板を前記第2の基板側から研磨装置の研磨面側へ押圧して前記第1の基板の前記第2の基板とは反対側の面を研磨することを特徴とする。
本発明によれば、空間内を加圧した状態で複合基板を押圧するため、複合基板の空間に対応する領域において、複合基板を押圧する力が複合基板と研磨装置の研磨面との接合面に伝わり易くなる。これにより、複合基板の空間に対応する領域における研磨面に押圧される力と、この領域(すなわち複合基板の空間に対応する領域)から外れた領域における研磨面に押圧される力との差を小さくすることができる。その結果、複合基板の研磨される面における研磨ムラを抑制することができる。
また、上記研磨方法において、前記第2の基板の前記第1の基板とは反対側の面のうち前記貫通孔が開口されていない領域を前記複合基板の押圧方向とは反対側に吸引した状態で、前記第1の基板を研磨することが望ましい。
この構成によれば、複合基板の押圧される面(すなわち、研磨される面とは反対側の面)に貼り付けられるフィルムや当該面を押圧する押圧部材と、複合基板との間に気体が侵入して、複合基板の一部からフィルムや押圧部材が離間することを抑制できる。
また、本発明におけるMEMSデバイスの製造方法は、前記空間内に駆動素子が設けられたMEMSデバイスの製造方法であって、
上記各研磨方法の何れかの研磨方法を経ることを特徴とする。
この構成によれば、研磨により小型化されたMEMSデバイスを製造できる。
さらに、本発明における液体噴射ヘッドの製造方法は、前記空間内に圧電素子が設けられ、前記第1の基板にノズルに連通する圧力室が設けられた液体噴射ヘッドの製造方法であって、
上記各研磨方法の何れかの研磨方法を経ることを特徴とする。
この構成によれば、第1の基板の厚さのばらつきを抑制できるため、第1の基板に複数の圧力室を形成した場合に、各圧力室の高さ(すなわち、第1の基板(又は研磨される面)に直交する方向における寸法)のばらつきを抑制できる。すなわち、各圧力室の容量(体積)のばらつきを抑制できる。その結果、各圧力室のそれぞれに連通する複数のノズルから噴射される液滴の量のばらつきを抑制できる。
プリンターの内部構成を説明する斜視図である。 記録ヘッドの断面図である。 複合基板の研磨方法を説明する模式図である。 複合基板の研磨方法を説明する模式図である。 第2の実施形態における記録ヘッドの断面図である。 第2の実施形態における複合基板の研磨方法を説明する模式図である。 第2の実施形態における複合基板の研磨方法を説明する模式図である。 第3の実施形態における複合基板の研磨方法を説明する模式図である。 第3の実施形態における複合基板の研磨方法を説明する模式図である。 従来の複合基板の研磨方法を説明する模式図である。 従来の複合基板の研磨方法を説明する模式図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の複合基板の一例として、MEMSデバイスの一つのカテゴリーである液体噴射ヘッド、特にインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッド)3を例に挙げて説明する。図1は、記録ヘッド3を搭載した液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンター(以下、プリンター)1の斜視図である。
プリンター1は、記録紙等の記録媒体2(着弾対象の一種)の表面に対してインク(液体の一種)を噴射して画像等の記録を行う装置である。このプリンター1は、記録ヘッド3、この記録ヘッド3が取り付けられるキャリッジ4、キャリッジ4を主走査方向に移動させるキャリッジ移動機構5、記録媒体2を副走査方向に移送する搬送機構6等を備えている。ここで、上記のインクは、液体供給源としてのインクカートリッジ7に貯留されている。このインクカートリッジ7は、記録ヘッド3に対して着脱可能に装着される。なお、インクカートリッジがプリンターの本体側に配置され、当該インクカートリッジからインク供給チューブを通じて記録ヘッドに供給される構成を採用することもできる。
上記のキャリッジ移動機構5はタイミングベルト8を備えている。そして、このタイミングベルト8はDCモーター等のパルスモーター9により駆動される。したがってパルスモーター9が作動すると、キャリッジ4は、プリンター1に架設されたガイドロッド10に案内されて、主走査方向(記録媒体2の幅方向)に往復移動する。キャリッジ4の主走査方向の位置は、位置情報検出手段の一種であるリニアエンコーダー(図示せず)によって検出される。リニアエンコーダーは、その検出信号、即ち、エンコーダーパルス(位置情報の一種)をプリンター1の制御部に送信する。
次に記録ヘッド3について説明する。図2は、記録ヘッド3の断面図である。本実施形態における記録ヘッド3は、図2に示すように、アクチュエーターユニット17及び流路ユニット18が積層された状態でヘッドケース19に取り付けられている。
本実施形態におけるヘッドケース19は、合成樹脂製の箱体状部材である。図2に示すように、ヘッドケース19の中央部には、ノズル列方向に沿って長尺な空間であるアクチュエーター収容空間20及び貫通空間22が形成されている。アクチュエーター収容空間20は、アクチュエーターユニット17が収容される空間であり、ヘッドケース19の下面から板厚方向(すなわち、下面に直交する方向)の途中まで凹んだ状態に形成されている。貫通空間22は、このアクチュエーター収容空間20の上面側の天井面に連通し、ヘッドケース19を板厚方向に貫通した状態に形成されている。貫通空間22及びアクチュエーター収容空間20には、圧電素子32(後述)に駆動信号を供給するフレキシブル基板35が配置される。なお、図示を省略するが、フレキシブル基板35は、貫通空間22の上面開口から記録ヘッド3の外側まで延在し、プリンター1の制御部に接続されている。また、ヘッドケース19の内部にはインクが流れる液体導入路21が形成されている。この液体導入路21の下端は、後述する共通液室26と接続されている。本実施形態では、2列に形成されたノズル列に対応して、液体導入路21が2つ形成されている。
ヘッドケース19の下面には、流路ユニット18が接続されている。この流路ユニット18は、連通基板25及びノズルプレート23が積層されて成るノズル列方向に沿って長尺な複合基板である。連通基板25は、例えばシリコン単結晶基板から作製される基板である。この連通基板25には、図2に示すように、液体導入路21と連通し、各圧力室30に共通なインクが貯留される共通液室26と、この共通液室26からのインクを各圧力室30に個別に供給する個別連通路27と、圧力室30とノズル24とを連通するノズル連通路28とが、異方性エッチングにより形成されている。共通液室26は、ノズル列方向に沿った長尺な空部であり、液体導入路21対応して2列に形成されている。個別連通路27及びノズル連通路28は、圧力室30の並設方向(換言すると、ノズル列方向)に沿って複数形成されている。
ノズルプレート23は、連通基板25の下面(すなわち、圧力室形成基板29とは反対側の面)に接合されたシリコン製の基板(例えば、シリコン単結晶基板)である。本実施形態では、このノズルプレート23により、共通液室26となる空間の下面側の開口が封止されている。また、ノズルプレート23には、複数のノズル24(すなわち、ノズル列)がノズルプレート23の長手方向に沿って直線状(換言すると、列状)に開設されている。本実施形態では、2列に形成された圧力室30の列に対応して、ノズル列が2列形成されている。この並設された複数のノズル24は、一端側のノズル24から他端側のノズル24までドット形成密度に対応したピッチで、主走査方向に直交する副走査方向に沿って等間隔に設けられている。なお、ノズルプレートを連通基板における共通液室から内側に外れた領域に接合し、共通液室となる空間の下面側の開口を例えば可撓性を有するコンプライアンスシート等の部材で封止することもできる。このようにすれば、ノズルプレートを可及的に小さくできる。
本実施形態におけるアクチュエーターユニット17は、図2に示すように、圧力室形成基板29、振動板31、及び、封止板33等の基板が積層されて成る複合基板である。このアクチュエーターユニット17は、ヘッドケース19のアクチュエーター収容空間20内に収容可能な大きさに形成され、このアクチュエーター収容空間20内に収容されている。
圧力室形成基板29は、例えばシリコン単結晶基板から作製される基板である。この圧力室形成基板29には、異方性エッチング等により一部が板厚方向に完全に除去されて、圧力室30となるべき空間がノズル列方向に沿って複数並設されている。この空間は、下方が連通基板25により区画され、上方が振動板31により区画されて、圧力室30を構成する。また、この空間、すなわち圧力室30は、ノズル列方向に直交する方向に長尺に形成され、長手方向の一側の端部に個別連通路27が連通すると共に、他側の端部にノズル連通路28が連通する。また、本実施形態における圧力室30は、ノズル列方向に沿って2列に形成されている。
振動板31は、例えば、圧力室形成基板29の上面(すなわち、連通基板25側とは反対側の面)に形成された二酸化シリコン(SiO)からなる弾性膜と、この弾性膜上に形成された二酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜と、から成る薄膜状の部材である。この振動板31によって、圧力室30となるべき空間の上部開口が封止されている。換言すると、振動板31によって、圧力室30の上面が区画されている。この振動板31における圧力室30(詳しくは、圧力室30の上部開口)に対応する部分は、圧電素子32の撓み変形に伴ってノズル24から遠ざかる方向あるいは近接する方向に変位する変位部として機能する。すなわち、振動板31における圧力室30の上部開口に対応する領域が、撓み変形が許容される駆動領域となる。そして、この駆動領域(変位部)の変形(変位)により、圧力室30の容積は変化する。一方、振動板31における圧力室30の上部開口から外れた領域が、撓み変形が阻害される非駆動領域となる。
振動板31(詳しくは振動板31の絶縁体膜)の上面(すなわち、振動板31の圧力室形成基板29側とは反対側の面)における各圧力室30に対応する領域(すなわち、駆動領域)には、駆動素子の一種である圧電素子32がそれぞれ積層されている。本実施形態における圧電素子32は、所謂撓みモードの圧電素子である。この圧電素子32は、各ノズル24に対応してノズル列方向に沿って2列に並設されている。各圧電素子32は、例えば、振動板31上から順に、個別電極となる下電極層、圧電体層及び共通電極となる上電極層が順次積層されてなる。なお、駆動回路や配線の都合によって、下電極層を共通電極、上電極層を個別電極にすることもできる。このように構成された圧電素子32は、下電極層と上電極層との間に両電極の電位差に応じた電界が付与されると、ノズル24から遠ざかる方向あるいは近接する方向に撓み変形する。
封止板33は、図2に示すように、圧電素子32を収容可能な圧電素子収容空間34が形成された基板である。圧電素子収容空間34は、封止板33を異方性エッチング等により板厚方向の途中まで除去することで形成される。この圧電素子収容空間34の内部、すなわち、圧電素子収容空間34を区画する天井面及び側壁と、振動板31の上面とにより区画された空間(本発明における空間に相当)内に圧電素子32が収容されている。要するに、封止板33は、圧電素子収容空間34内に圧電素子32を収容した状態で、振動板31上に接合されている。本実施形態では、2列に形成された圧電素子32の列に対応して、圧電素子収容空間34が2列に形成されている。また、封止板33には、圧電素子収容空間34と連通し、当該圧電素子収容空間34を封止板33の外側(具体的には、アクチュエーター収容空間20)に開放する大気開放孔38(本発明における貫通孔に相当)が板厚方向に貫通する状態に形成されている。すなわち、大気開放孔38の上端は封止板33の上面に開口され、大気開放孔38の下端は圧電素子収容空間34の天井面に開口されている。圧電素子収容空間34は、この大気開放孔38、アクチュエーター収容空間20、及び、貫通空間22を介して、大気に開放される。
さらに、封止板33における2つの圧電素子収容空間34の間には、当該封止板33が板厚方向に完全に除去された基板配置空間36が形成されている。基板配置空間36は貫通空間22と連通し、その内部には貫通空間22に挿通されたフレキシブル基板35の端部が配置される。そして、この基板配置空間36において、フレキシブル基板35と圧電素子32から延在したリード配線(図示せず)と、が接続されている。なお、基板配置空間36を区画する側壁と、振動板31の上面とにより区画された空間も本発明における空間に相当する。また、基板配置空間36の封止板33の上面に開口した部分(換言すると、基板配置空間36の上面側開口)も本発明における貫通孔に相当する。
このように形成された記録ヘッド3は、インクカートリッジ8からインクが供給されて圧力室30内がインクで満たされた状態で、圧電素子32を駆動することにより、圧力室30内に圧力変動を生じさせる。そして、この圧力変動を利用することで、ノズル連通路28を介して圧力室30と連通するノズル24からインク滴を噴射する。
次に、上記した記録ヘッド3、特にアクチュエーターユニット17の製造方法について説明する。図3及び図4は、アクチュエーターユニット17となる複合基板40の研磨方法を説明する模式図である。本実施形態のアクチュエーターユニット17は、振動板31及び圧電素子32が積層されて圧力室形成基板29となる領域が複数形成されたシリコン単結晶基板(シリコンウェハー)からなる第1の基板41と、圧電素子収容空間34や基板配置空間36等が形成されて封止板33となる領域が複数形成されたシリコン単結晶基板(シリコンウェハー)からなる第2の基板42と、が接着剤等により貼り合わされて成る複合基板40を研磨し、その後、切断ラインL(図3及び図4における破線)に沿って切断して個片化することで得られる。
詳しく説明すると、第1の基板41では、まず、第2の基板42と対向する側の表面に振動板31を形成する。次に、半導体プロセス(すなわち、成膜工程、フォトリソグラフィー工程及びエッチング工程など)により、下電極層、圧電体層、上電極層等を順次パターニングし、圧電素子32等を形成する。これにより、第1の基板41に、個々の記録ヘッド3に対応した圧力室形成基板29となる領域が複数形成される。すなわち、第1の基板41の切断ラインLにより区画された複数の領域に、圧力室形成基板29に対応する領域がそれぞれ形成される。一方、第2の基板42では、まず、第1の基板41と対向する側の表面に熱酸化膜等の絶縁膜を形成する。次に、異方性エッチング等により、第2の基板42に圧電素子収容空間34及び基板配置空間36を作製する。また、異方性エッチングやレーザー等により、大気開放孔38を作製する。これにより、第2の基板42に、個々の記録ヘッド3に対応した封止板33となる領域が複数形成される。そして、第1の基板41に振動板31及び圧電素子32等が形成され、第2の基板42に圧電素子収容空間34及び基板配置空間36等が形成されたならば、第1の基板41と第2の基板42とを接合する。具体的には、圧電素子収容空間34内に圧電素子32が収容されるように、第1の基板41と第2の基板42とを接着剤を用いて接合する。これにより、図3に示すような複合基板40が作成される。
次に、複合基板40の研磨工程に移行する。研磨工程では、研磨装置43により複合基板40の下面、すなわち第1の基板41の第2の基板42とは反対側の面を研磨する。ここで、本実施形態における研磨装置43は、定盤及び定盤の表面に取り付けられる研磨パッドからなる研磨部材44、複合基板40を研磨部材44側に押圧する押圧部材45、図示しない吸引ポンプ(或いは減圧ポンプ)、及び、図示しない加圧ポンプを備えている。また、押圧部材45の内部には吸引ポンプと接続される吸引用気体流路48と、加圧ポンプと接続される加圧用気体流路49とが形成されている。吸引用気体流路48及び加圧用気体流路49は、それぞれ押圧部材45の下面(すなわち、複合基板40を押圧する押圧面)に開口されている。このような研磨装置43を用いて複合基板40の下面を研磨するには、まず、複合基板40の上面(第2の基板42の第1の基板41とは反対側の面、すなわち研磨される面とは反対側の面)に当該上面を保護するフィルム46を貼り付ける。このフィルム46には、基板配置空間36と重なる領域、大気開放孔38と重なる領域、及び、それ以外の任意の領域に開口47が設けられている。そして、フィルム46の上面に押圧部材45を当接させた状態で、押圧部材45に複合基板40を保持させる。この際、フィルム46の基板配置空間36と重なる領域の開口47及び大気開放孔38と重なる領域の開口47に加圧用気体流路49が接続され、その他の開口47に吸引用気体流路48が接続されるように複合基板40を取り付ける。次に、吸引ポンプを駆動して、吸引用気体流路48内の気体を吸引すると共に、加圧ポンプを駆動して、加圧用気体流路49内に気体を導入する(図3における矢印参照)。これにより、吸引用気体流路48を介して複合基板40の上面が吸引されると共に、加圧用気体流路49を介して大気開放孔38に連通する圧電素子収容空間34及び基板配置空間36の内部が加圧される。
この状態で、押圧部材45を下方に移動させる。或いは、研磨部材44を上方に移動させる。すなわち、押圧部材45を研磨部材44側に相対的に移動させる。これにより、押圧部材45に保持された複合基板40の下面が研磨部材44の上面(すなわち、研磨面44a)に当接される。そして、複合基板40の上面のうち基板配置空間36及び大気開放孔38が開口されていない領域を複合基板40の押圧方向とは反対側に吸引した状態、且つ基板配置空間36の上面開口及び大気開放孔38から気体を導入して基板配置空間36内及び圧電素子収容空間34内を加圧した状態で、押圧部材45により第2の基板42側から研磨面44a側へ複合基板40を押圧する。この時、研磨面44aに研磨液等を供給しつつ、研磨部材44及び複合基板40の何れか一方、又は、両方を回転させる。これにより、複合基板40の下面、すなわち第1の基板41の下面が研磨される。その後、第1の基板41が所定の厚さになったところで、研磨を終了する。すなわち、回転を停止して、複合基板40の下面から研磨部材44を離間させると共に、吸引ポンプ及び加圧ポンプの駆動を停止して、基板配置空間36及び圧電素子収容空間34を大気に開放する。また、フィルム46を複合基板40から剥がす。
複合基板40が研磨されたならば、異方性エッチング等により、薄くなった第1の基板41に圧力室30を形成する。次に、複合基板40を切断ラインLに沿って切断することで、個々のアクチュエーターユニット17に分割する。なお、複合基板40を切断する方法としては、エキスパンドブレイクやダイシング等を用いて切断する方法等、種々の方法を採用できる。これにより、アクチュエーターユニット17が作成される。その後、個々のアクチュエーターユニット17にフレキシブル基板35等を取り付ける。また、アクチュエーターユニット17の下面(圧力室形成基板29の下面)に連通基板25を接合する。そして、アクチュエーター収容空間20内にアクチュエーターユニット17を収容した状態で、連通基板25の上面にヘッドケース19を取り付ける。これにより、記録ヘッド3が作製される。
このように、複合基板40を研磨する際に、基板配置空間36内及び圧電素子収容空間34内を加圧した状態で、複合基板40を研磨面44a側へ押圧して行ったので、複合基板40の基板配置空間36及び圧電素子収容空間34に対応する領域において、複合基板40を押圧する力が複合基板40と研磨面44aとの接合面に伝わり易くなる。これにより、複合基板40の基板配置空間36及び圧電素子収容空間34に対応する領域における研磨面44aに押圧される力と、この領域から外れた領域における研磨面44aに押圧される力との差を小さくすることができる。その結果、複合基板40の研磨される面における研磨ムラを抑制することができる。換言すると、第1の基板41(すなわち、圧力室形成基板29)の厚さのばらつきを抑制できる。このため、第1の基板41に形成される各圧力室30の高さ(すなわち、第1の基板41(又は研磨される面)に直交する方向における寸法)のばらつきを抑制できる。すなわち、各圧力室30の容量(体積)のばらつきを抑制できる。また、圧力室30を区画する区画壁の剛性のばらつきも抑制できる。その結果、各圧力室30のそれぞれに連通する複数のノズル24から噴射されるインク滴の量のばらつきを抑制できる。また、研磨によりアクチュエーターユニット17が薄くなるため、記録ヘッド3を小型化できる。さらに、本実施形態では、複合基板40の上面のうち基板配置空間36及び大気開放孔38が開口されていない領域を吸引したので、フィルム46や押圧部材45と複合基板40との間に気体が侵入して、複合基板40の一部からフィルム46や押圧部材45が離間することを抑制できる。その結果、より一層研磨ムラを抑制することができる。
ところで、本発明における研磨方法が適用される複合基板としては、上記した第1の実施形態に例示した複合基板40(アクチュエーターユニット17)に限られない。図5〜図7に示す第2の実施形態における記録ヘッド51の圧力室形成基板65及び封止板70から成る複合基板82にも本発明を適用できる。以下、第2の実施形態について詳しく説明する。なお、図5は、第2の実施形態における記録ヘッド51の断面図である。また、図6及び図7は、第2の実施形態における複合基板82の研磨方法を説明する模式図である。
本実施形態における記録ヘッド51は、図5に示すように、上記した第1の実施形態と同様に、アクチュエーターユニット53及び流路ユニット54が積層された状態でヘッドケース55に取り付けられている。
本実施形態におけるヘッドケース55は、上記した第1の実施形態と同様に、アクチュエーター収容空間56、液体導入路57、及び、図示しない貫通空間を備えている。アクチュエーター収容空間56は、アクチュエーターユニット53が収容される空間であり、ヘッドケース55の下面から板厚方向(すなわち、下面に直交する方向)の途中まで凹んだ状態に形成されている。液体導入路57は、インクが流れる流路であり、2列に形成されたノズル列に対応して2つ形成されている。貫通空間は、図示しないフレキシブル基板が挿通される空間であり、アクチュエーター収容空間56の端部と連通されている。アクチュエーター収容空間56は、この貫通空間を介して大気と連通する。
ヘッドケース55の下面に接続された流路ユニット54は、上記した第1の実施形態と同様に、連通基板61及びノズルプレート59が積層されて成るノズル列方向に沿って長尺な基板である。この連通基板61には、第1の実施形態と同様に、液体導入路57と連通し、各圧力室66に共通なインクが貯留される共通液室62と、この共通液室62からのインクを各圧力室66に個別に供給する個別連通路63と、圧力室66とノズル60とを連通するノズル連通路64とが、形成されている。連通基板61の下面に接合されたノズルプレート59には、複数のノズル60がノズルプレート59の長手方向に沿って直線状(換言すると、列状)に開設されている。本実施形態でも、2列に形成された圧力室66の列に対応して、ノズル列が2列形成されている。
本実施形態におけるアクチュエーターユニット53は、図2に示すように、圧力室形成基板65、振動板67、封止板70、及び、駆動IC74等の基板が積層されて成る複合基板である。このアクチュエーターユニット53は、ヘッドケース55のアクチュエーター収容空間56内に収容可能な大きさに形成され、このアクチュエーター収容空間56内に収容されている。
本実施形態における圧力室形成基板65は、第1の実施形態と同様に、上面に振動板67及び圧電素子68が積層された基板である。本実施形態でも、圧力室66がノズル列方向に沿って2列に形成されている。また、振動板67は、第1の実施形態と同様に、弾性を有する薄膜状の部材からなる。さらに、圧電素子68は、第1の実施形態と同様に、振動板67上から順に、個別電極となる下電極層、圧電体層及び共通電極となる上電極層が順次積層されてなる。なお、本実施形態においては、各圧電素子68から当該圧電素子68の下電極層と接続されるリード配線69が圧力室形成基板65の外側に向けて延在され、当該圧電素子68の上電極層と接続されるリード配線69が圧力室形成基板65の内側に向けて延在されている。上電極層と接続されるリード配線69は、2列に形成された圧電素子68の列間において接続され、両側の圧電素子68に共通な電極となっている。そして、これらのリード配線69の端子に対応する部分に後述するバンプ電極76が接続されている。
本実施形態における封止板70は、図5に示すように、圧電素子68との間に接着剤75を介在させた状態で、圧電素子68に対して間隔を開けて配置された平板状のシリコン基板である。ここで、接着剤75は、バンプ電極76の側方と、アクチュエーターユニット53の外周とに配置されている。このアクチュエーターユニット53の外周を囲う接着剤75、封止板70及び圧力室形成基板65により囲われた圧電素子収容空間71(本発明における空間に相当)に圧電素子68が収容される。すなわち、本実施形態では、バンプ電極76の厚みと接着剤75の厚みにより封止板70と圧力室形成基板65との間に圧電素子収容空間71を形成している。また、本実施形態における封止板70の下面(圧力室形成基板65側の面)には、駆動IC74からの駆動信号を圧電素子68側に出力するバンプ電極76が複数形成されている。このバンプ電極76は、図5に示すように、一方の圧電素子68の外側に形成されたリード配線69の端子に対応する位置、他方の圧電素子68の外側に形成されたリード配線69の端子に対応する位置、及び両方の圧電素子68の列間に形成されたリード配線69の端子に対応する位置に、それぞれノズル列方向に沿って複数形成されている。バンプ電極76は、例えば、弾性を有する樹脂と、この樹脂の少なくとも一部の表面を覆う導電膜とからなる。なお、バンプ電極76としては、樹脂を有するものに、限られず金属のみからなるバンプ電極76やハンダからなるバンプ電極76を採用することもできる。そして、各バンプ電極76は、封止板70の下面に形成された下面側配線79に接続されている。
個別電極に対応する下面側配線79のバンプ電極76とは反対側の端部は、貫通配線77に接続されている。貫通配線77は、封止板70の下面と上面との間を中継する配線であり、封止板70を板厚方向に貫通した貫通孔の内部に金属等の導体を形成してなる。貫通配線77の上面側の端部は、対応する上面側配線78に接続されている。上面側配線78は、貫通配線77から駆動IC74のIC端子に対応する位置まで延在され、当該位置においてIC端子と接続されている。また、共通端子に対応する下面側配線79は、図示を省略するが、ノズル列方向に沿ってバンプ電極76の外側まで延在され、貫通配線77に接続されている。そして、この貫通配線77を介して、上面側配線78に接続され、フレキシブル基板等の配線基板に接続されている。さらに、封止板70における駆動IC74と重ならない位置には、当該封止板70を板厚方向に貫通する大気開放孔72(本発明における貫通孔に相当)が形成されている。この大気開放孔72により圧電素子収容空間71がアクチュエーター収容空間56に連通されている。
駆動IC74は、圧電素子68を駆動するためのICチップである。本実施形態における駆動IC74の外径は、封止板70の外形よりも小さく形成されている。具体的には、駆動IC74は、長手方向(すなわち、ノズル列方向)における寸法が同方向における封止板70の寸法よりも小さく形成され、短手方向(すなわち、ノズル列方向に直交する方向)における寸法が同方向における封止板70の寸法よりも小さく形成されている。また、駆動IC74は、封止板70の大気開放孔72と重ならないように、すなわち、大気開放孔72の上面側の開口を塞がないように、異方性導電フィルム(ACF)等のIC接合用接着剤80を介して封止板70の上面に積層されている。図5に示すように、この駆動IC74の下面(封止板70側の面)には、上面側配線78の端子部に接続されるIC端子が、複数形成されている。IC端子は、個別端子に対応して、ノズル列方向に沿って並設されている。本実施形態では、2列に並設された圧電素子68の列に対応して、IC端子の列が2列形成されている。
次に、第2の実施形態における記録ヘッド51、特にアクチュエーターユニット53の製造方法について説明する。図6及び図7は、圧力室形成基板65及び封止板70となる複合基板82の研磨方法を説明する模式図である。本実施形態でも、上記した第1の実施形態と同様に、振動板67及び圧電素子68が積層されて圧力室形成基板65となる領域が複数形成されたシリコン単結晶基板(シリコンウェハー)からなる第1の基板83と、バンプ電極76や配線等が形成されて封止板70となる領域が複数形成されたシリコン単結晶基板(シリコンウェハー)からなる第2の基板84と、が接着剤75により貼り合わされて成る複合基板82を研磨し、その後、切断ラインL(図6及び図7における破線)に沿って切断して個片化する工程を経る。
詳しく説明すると、第1の基板83では、まず、第2の基板84と対向する側の表面に振動板67を形成する。次に、半導体プロセスにより、下電極層、圧電体層、上電極層等を順次パターニングし、圧電素子68やリード配線69等を形成する。これにより、第1の基板83に、個々の記録ヘッド51に対応した圧力室形成基板65となる領域が複数形成される。すなわち、第1の基板83の切断ラインLにより区画された複数の領域に、圧力室形成基板65に対応する領域がそれぞれ形成される。一方、第2の基板84では、まず、第1の基板83と対向する側の表面に熱酸化膜等の絶縁膜を形成する。次に、異方性エッチングやレーザー等により、大気開放孔72及び貫通配線77用の貫通孔を作製する。そして、貫通配線77用の貫通孔に電解めっき法等により導電材料を埋め込む。その後、それぞれ半導体プロセスにより、封止板70の上面に上面側配線78を形成し、封止板70の下面にバンプ電極76や下面側配線79を形成する。これにより、第2の基板84に、個々の記録ヘッド51に対応した封止板70となる領域が複数形成される。そして、第1の基板83に振動板67及び圧電素子68等が形成され、第2の基板84に配線や大気開放孔72等が形成されたならば、第1の基板83と第2の基板84とを感光性を有する接着剤75で接合する。具体的には、第1の基板83又は第2の基板84の何れか一方の表面に、感光性及び熱硬化性を有する液体状の感光性接着剤を、スピンコーター等を用いて塗布し、加熱により仮硬化させた後、露光及び現像することで接着剤75をパターニングする。そして、第1の基板83又は第2の基板84の何れか一方、或いは、この両方を、相対位置を合わせながら近づけて、接着剤75を間に挟んで第1の基板83と第2の基板84とを両側から加圧しながら加熱する。これにより、接着剤75が本硬化し、圧電素子収容空間71内に圧電素子68が収容された、第1の基板83及び第2の基板84からなる複合基板82が作成される。
次に、複合基板82の研磨工程に移行する。本実施形態でも、研磨装置43′により複合基板82の下面、すなわち第1の基板83の第2の基板84とは反対側の面を研磨する。まず、複合基板82の上面(第2の基板84の第1の基板83とは反対側の面、すなわち研磨される面とは反対側の面)に当該上面を保護するフィルム46′を貼り付ける。本実施形態のフィルム46′には、大気開放孔72と重なる領域、及び、この領域以外の任意の領域に開口47′が設けられている。そして、フィルム46′の上面に押圧部材45′を当接させた状態で、押圧部材45′に複合基板82を保持させる。この際、大気開放孔72と重なる領域の開口47′に加圧用気体流路49′が接続され、その他の開口47′に吸引用気体流路48′が接続されるように複合基板82を取り付ける。次に、吸引ポンプを駆動して、吸引用気体流路48′内の気体を吸引すると共に、加圧ポンプを駆動して、加圧用気体流路49′内に気体を導入する(図6における矢印参照)。これにより、吸引用気体流路48′を介して複合基板82の上面が吸引されると共に、加圧用気体流路49′を介して大気開放孔72に連通する圧電素子収容空間71の内部が加圧される。
この状態で、押圧部材45′を研磨部材44′側に相対的に移動させる。これにより、押圧部材45′に保持された複合基板82の下面が研磨部材44′の上面(すなわち、研磨面44a′)に当接される。そして、複合基板82の上面のうち大気開放孔72が開口されていない領域を複合基板82の押圧方向とは反対側に吸引した状態、且つ大気開放孔72から気体を導入して圧電素子収容空間71内を加圧した状態で、押圧部材45′により第2の基板84側から研磨面44a′側へ複合基板82を押圧する。この時、研磨面44a′に研磨液等を供給しつつ、研磨部材44′及び複合基板82の何れか一方、又は、両方を回転させる。これにより、複合基板82の下面、すなわち第1の基板83の下面が研磨される。その後、第1の基板83が所定の厚さになったところで、研磨を終了する。すなわち、回転を停止して、複合基板82の下面から研磨部材44′を離間させると共に、吸引ポンプ及び加圧ポンプの駆動を停止して、圧電素子収容空間71を大気に開放する。また、フィルム46′を複合基板82から剥がす。
複合基板82が研磨されたならば、異方性エッチング等により、薄くなった第1の基板83に圧力室66を形成する。次に、複合基板82を切断ラインLに沿って切断することで、個々の圧力室形成基板65及び封止板70に分割する。そして、個々の圧力室形成基板65及び封止板70となった基板の上面(すなわち、封止板70の上面)に、駆動IC74を接合する。これにより、アクチュエーターユニット53が作成される。その後、個々のアクチュエーターユニット53にフレキシブル基板等を取り付ける。また、アクチュエーターユニット53の下面(圧力室形成基板65の下面)に連通基板61を接合する。そして、アクチュエーター収容空間56内にアクチュエーターユニット53を収容した状態で、連通基板61の上面にヘッドケース55を取り付ける。これにより、記録ヘッド51が作製される。
このように、本実施形態でも、複合基板82を研磨する際に、圧電素子収容空間71内を加圧した状態で、複合基板82を研磨面44a′側へ押圧して行ったので、複合基板82の圧電素子収容空間71に対応する領域において、複合基板82を押圧する力が複合基板82と研磨面44a′との接合面に伝わり易くなる。これにより、複合基板82の圧電素子収容空間71に対応する領域における研磨面44a′に押圧される力と、この領域から外れた領域における研磨面44a′に押圧される力との差を小さくすることができる。その結果、複合基板82の研磨される面における研磨ムラを抑制することができる。換言すると、第1の基板83(すなわち、圧力室形成基板65)の厚さのばらつきを抑制できる。このため、第1の基板83に形成される各圧力室66の高さ(すなわち、第1の基板83(又は研磨される面)に直交する方向における寸法)のばらつきを抑制できる。すなわち、各圧力室66の容量(体積)のばらつきを抑制できる。また、圧力室66を区画する区画壁の剛性のばらつきも抑制できる。その結果、各圧力室66のそれぞれに連通する複数のノズル60から噴射されるインク滴の量のばらつきを抑制できる。また、研磨によりアクチュエーターユニット53が薄くなるため、記録ヘッド51を小型化できる。さらに、複合基板82の上面のうち大気開放孔72が開口されていない領域を吸引したので、フィルム46′や押圧部材45′と複合基板82との間に気体が侵入して、複合基板82の一部からフィルム46′や押圧部材45′が離間することを抑制できる。その結果、より一層研磨ムラを抑制することができる。
ところで、上記した第1の実施形態及び第2の実施形態では、吸引ポンプにより複合基板の上面を吸引したが、これには限られない。例えば、図8及び図9に示す第3の実施形態における複合基板82の研磨方法においては、複合基板82の上面を吸引せずに複合基板82の下面を研磨する。なお、本実施形態では、第2の実施形態と同様の複合基板82を用いて、当該複合基板82の研磨方法を説明する。
具体的には、本実施形態の研磨工程においては、まず、複合基板82の上面(第2の基板84の第1の基板83とは反対側の面、すなわち研磨される面とは反対側の面)に当該上面を保護するフィルム46″を貼り付ける。本実施形態のフィルム46″には、大気開放孔72と重なる領域のみに開口47″が設けられている。そして、フィルム46″の上面に押圧部材45″を当接させた状態で、押圧部材45″に複合基板82を保持させる。この際、大気開放孔72と重なる領域の開口47″に加圧用気体流路49″が接続されるように複合基板82を取り付ける。次に、加圧ポンプを駆動して、加圧用気体流路49″内に気体を導入する(図8における矢印参照)。これにより、加圧用気体流路49″を介して大気開放孔72に連通する圧電素子収容空間71の内部が加圧される。
この状態で、押圧部材45″を研磨部材44″側に相対的に移動させる。これにより、押圧部材45″に保持された複合基板82の下面が研磨部材44″の上面(すなわち、研磨面44a″)に当接される。そして、大気開放孔72から気体を導入して圧電素子収容空間71内を加圧した状態で、押圧部材45″により第2の基板84側から研磨面44a″側へ複合基板82を押圧する。この際、本実施形態では、第2の実施形態よりも強い力で、複合基板82を押圧する。これにより、複合基板82の上面を吸引せずに、複合基板82の一部からフィルム46″や押圧部材45″が離間することを抑制できる。そして、研磨面44a″に研磨液等を供給しつつ、研磨部材44″及び複合基板82の何れか一方、又は、両方を回転させる。これにより、複合基板82の下面、すなわち第1の基板83の下面が研磨される。その後、第1の基板83が所定の厚さになったところで、研磨を終了する。すなわち、回転を停止して、複合基板82の下面から研磨部材44″を離間させると共に、吸引ポンプ及び加圧ポンプの駆動を停止して、圧電素子収容空間71を大気に開放する。また、フィルム46″を複合基板82から剥がす。なお、記録ヘッド51のその他の構成及び記録ヘッド51の製造方法は、上記した第2の実施形態と同じであるため説明を省略する。
このように、本実施形態では、吸引を行わないため、吸引ポンプや押圧部材45″の吸引用気体流路が不要になる。その結果、研磨装置43″の構成を簡単にできる。そして、本実施形態でも、複合基板82を研磨する際に、圧電素子収容空間71内を加圧した状態で、複合基板82を研磨面44a″側へ押圧して行ったので、複合基板82の研磨される面における研磨ムラを抑制することができる。その結果、各圧力室66の容量(体積)のばらつきを抑制でき、各圧力室66のそれぞれに連通する複数のノズル60から噴射されるインク滴の量のばらつきを抑制できる。
ところで、上記した各実施形態では、圧力室形成基板及び封止板が1つの基板で形成されたが、これには限られない。圧力室形成基板及び封止板は、複数の基板が積層されて成る基板であっても良い。すなわち、第1の基板及び第2の基板は、複数の基板で構成された基板であっても良い。
また、上記した各実施形態では、圧力室形成基板(すなわち、第1の基板)に設けられた駆動素子の一種である圧電素子が変位することでノズルから液体の一種であるインクが噴射される構成を例示したが、これには限られない。第1の基板と、この第1の基板に接合された第2の基板と、駆動素子を収容する空間とを備えた構成を含むMEMSデバイスであれば、本発明を適用することが可能である。例えば、駆動素子を圧力変化、振動、あるいは変位等を検出するためのセンサーに応用したものにも本発明を適用することができる。
さらに、MEMSデバイスに限られず、第1の基板と、この第1の基板に接合された第2の基板と、第1の基板又は第2の基板の何れか一方の基板により区画された空間と、この空間を第1の基板及び第2の基板の外側に開放する貫通孔とを備えた複合基板であれば、本発明を適用することができる。
そして、以上においては、液体噴射ヘッドとしてインクジェット式記録ヘッドを例に挙げて説明したが、本発明は、アクチュエーターを備えた他の液体噴射ヘッドにも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも本発明を適用することができる。ディスプレイ製造装置用の色材噴射ヘッドでは液体の一種としてR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極形成装置用の電極材噴射ヘッドでは液体の一種として液状の電極材料を噴射し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは液体の一種として生体有機物の溶液を噴射する。
1…プリンター,2…記録媒体,3…記録ヘッド,4…キャリッジ,5…キャリッジ移動機構,6…搬送機構,7…インクカートリッジ,8…タイミングベルト,9…パルスモーター,10…ガイドロッド,17…アクチュエーターユニット,18…流路ユニット,19…ヘッドケース,20…アクチュエーター収容空間,21…液体導入路,22…貫通空間,23…ノズルプレート,24…ノズル,25…連通基板,26…共通液室,27…個別連通路,28…ノズル連通路,29…圧力室形成基板,30…圧力室,31…振動板,32…圧電素子,33…封止板,34…圧電素子収容空間,35…フレキシブル基板,36…基板配置空間,38…大気開放孔,39…複合基板,41…第1の基板,42…第2の基板,43…研磨装置,44…研磨部材,44a…研磨面,45…押圧部材,46…フィルム,47…開口,48…吸引用気体流路,49…加圧用気体流路,51…記録ヘッド,53…アクチュエーターユニット,54…流路ユニット,55…ヘッドケース,56…アクチュエーター収容空間,57…液体導入路,59…ノズルプレート,60…ノズル,61…連通基板,62…共通液室,63…個別連通路,64…ノズル連通路,65…圧力室形成基板,66…圧力室,67…振動板,68…圧電素子,69…リード配線,70…封止板,71…圧電素子収容空間,72…大気開放孔,74…駆動IC,75…接着剤,76…バンプ電極,77…貫通配線,78…上面側配線,79…下面側配線,80…IC接合用接着剤,82…複合基板,83…第1の基板,84…第2の基板,90…複合基板,91…圧力室形成基板,92…封止板,93…基板配置空間,94…圧電素子収容空間,96…研磨部材,97…押圧部材,98…フィルム

Claims (4)

  1. 第1の基板と第2の基板とが接合されて成り、少なくとも前記第1の基板又は前記第2の基板の何れか一方の基板により区画された空間と、前記空間と連通する貫通孔と、が形成された複合基板の研磨方法であって、
    前記貫通孔から気体を導入して前記空間内を加圧した状態で、前記複合基板を前記第2の基板側から研磨装置の研磨面側へ押圧して前記第1の基板の前記第2の基板とは反対側の面を研磨することを特徴とする複合基板の研磨方法。
  2. 前記第2の基板の前記第1の基板とは反対側の面のうち前記貫通孔が開口されていない領域を前記複合基板の押圧方向とは反対側に吸引した状態で、前記第1の基板を研磨することを特徴とする請求項1に記載の複合基板の研磨方法。
  3. 前記空間内に駆動素子が設けられたMEMSデバイスの製造方法であって、
    請求項1又は請求項2に記載の複合基板の研磨方法を経ることを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。
  4. 前記空間内に圧電素子が設けられ、前記第1の基板にノズルに連通する圧力室が設けられた液体噴射ヘッドの製造方法であって、
    請求項1又は請求項2に記載の複合基板の研磨方法を経ることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。

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