JP2018000871A - 生体の動作識別システム及び生体の動作識別方法 - Google Patents
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Abstract
Description
生体情報の閾値は、算出された運動量と被検者個人の安静時における血圧、脈拍、呼吸数、血中酸素濃度の夫々の数値に基づいて、各被検者毎に予め設定するようにしている。また、プロセッサは、複数の生体情報から警告に係る被検者の動作及び/又は姿勢(就寝、正座、椅子等に腰掛、歩行、走行、階段歩行、入浴、食事、排泄における動作及び/又は姿勢)を判断し、測定された複数部位の夫々の加速度値に基づいて異常処置の必要性を判断している。
上記識別処理部を、上記動作検出手段からの検出信号の全部若しくは一部を用いて特定の動作を判別して該判別結果を出力する機械学習手段を備えて構成している。
これらを特定の動作として設定して識別することにより、食事動作においては、円背姿勢(呼吸機能低下)になっていないか?、頸部伸展位(肩や頸部の不必要な緊張.食道の空間が狭くなる)を行っていないか?、個人に適した食事姿勢を維持しているか?(例:横向き嚥下などを維持しているか?)、適切な一口量で摂取しているか?、固形物と流動物をどの順番で食べているか?、患者によっては異なる物性の食物を交互に嚥下させる交互嚥下を行っているか?、早食い,かき込み,すすり込み,丸飲み等危険な食べ方をしていないか?、食事ペースは良いか?、食事に集中しているか?(ぼーっとしていないか?)、食べながら話していないか?、食事中に呼吸パターンが変化していないか?などを知ることことができる。
生体に異常をもたらす虞のある危険動作を選択すれば、異常事態を引き起こす予防に寄与することができる。
上記食事動作は、嚥下運動、咀嚼運動、開口運動(摂食運動)を含む構成にすることができる。
バイタルサインとしては、例えば、食事動作の場合、上を向いての嚥下、顔が下向き,倒れる(窒息等による意識消失の疑い)、胸をたたく、首元を手で押さえる(ユニバーサル・チョークサイン)、苦しい表情、窒素時の急激なチアノーゼによる顔の色、むせる、せきをする、湿性咳嗽(痰を伴う咳)、乾性咳嗽、SpO2や呼吸パターンの変化、呼吸停止、胸郭の挙上なし(窒息の疑い)、頻脈、心拍や脈波の下降,上昇、湿性嗄声、痰がらみの声、ガラガラ声への変化(誤嚥の疑い)、苦しむようなうなる声(窒息の疑い)などが挙げられる。
<学習>
図3に示すように、例えば、食事動作の場合、被験者に、正常動作,危険動作及び異常動作を夫々行わせ、識別処理部1は、標準データを収集する。識別処理部1は、動作検出手段(T1,T2,T3・・・・Tn)から、夫々の場合の検出信号を取得し(S101)、特徴量抽出手段3によりその特徴量を抽出する(S102)。それから、この特徴量をラベリングし、特定の動作(正常動作,危険動作及び異常動作)に対応する特徴量を有したラベルを特定し(S103)、このラベル及びこのラベルに対応する特徴量からなる教師データを作成し、この教師データに基づく学習により得られる判断基準を判断基準記憶手段4に記憶する(S104)。
図4に示すように、識別処理部1が、動作検出手段(T1,T2,T3・・・・Tn)からの検出信号動を取得すると(S201)、特徴量抽出手段3が検出信号の特徴量を抽出する(S202)。推定手段5は、特徴量抽出手段3によって抽出された特徴量と判断基準記憶手段4に記憶された判断基準から対応するラベル(正常動作,危険動作及び異常動作)を推定する(S203)。指示手段6は、該当する正常動作,危険動作及び異常動作の何れかのラベルであることを示す(S204)。表示手段8はこれを表示する(S205)。また、警告手段は、正常動作以外の危険動作,異常動作であることを判別したとき、表示装置7に警告を表示し、警報器9により警報を発する(S205)。
(1)第1の実施例
この実施例は、食事動作を識別するシステムであり、誤嚥を未然に防ぐことに有用な摂食・嚥下を検出するシステムである。摂食、嚥下は様々な動作の連動で成り立っており、摂食は口腔期、咽頭期、食道期に大別される。口腔期とは、食べ物が口腔内でかみ砕かれ唾液と混ざり合い、飲み込みやすい塊(食塊)となり口から咽頭へと送り込まれる動作の期間である。咽頭期とは、舌尖が持ち上がり、食塊が咽頭に達した後、舌骨が持ち上げられ、同時に咽頭も上前方に持ち上げられ咽頭蓋が反転し気道が閉じられ呼吸が一旦停止し、
食塊を食道まで導くまでの動作期間である。食道期とは、食道に食塊が導かれたあと、食塊が食道下方に送られるまでの動作期間である。これらは口腔内で起こる運動であるため、口腔期は目視で確認できても咽頭期と食道期の同定や、飲み下しした量を推定することは困難である。さらに、摂食ペースの同定をするために開口の検出も必須である。本実施例では、口腔期を咀嚼、咽頭期と食道期を嚥下と再定義した上で、摂食・嚥下を開口と咀嚼、および嚥下のサイクルで成り立つと考えた。さらに、摂食ペースと、口腔内の食塊残量を推定する必要もあり、それらを勘案した上で状態検出のために必要な筋電などの信号の決定、およびシステム構成を行った。
検出するべき項目,その有用性及び用いるセンサを図5に示す。口腔期,咽頭期,食道期において,下顎の運動,咀嚼筋および舌骨上筋群の筋活動,咀嚼音・嚥下音がそれぞれ変化し,特定動作の検出に資する情報が含まれると予想されることから,加速度センサ,筋電センサ,多チャンネル筋電センサ,咽喉マイクを装着した。尚、本実施例でデータは提示しないが、同時に心電計、SpO2計、呼気計、体動を検知する磁気センサも用いた。
本実施例で用いた動作検出のシステムは三軸加速度計、咀嚼筋活動を検知するための筋電計、舌骨上筋群の活動を検出するための多チャンネル電極、咽喉マイクからなる。図6乃至図8にシステム構成の概略図を示した。計測に用いたセンサには、三軸加速度センサ(ZB-150H、NIHON KOHDEN)、筋電計(ZB-150、NIHON KOHDEN)、表面筋電位(Surface Electromyogram: EMG)を計測するために多チャンネル筋電計、咽喉マイクを用いた。また、今回の解析では用いなかったが、他にも心電図送信機(ZB-151.H)、呼吸送信機(ZB-153H、NIHON KOHDEN)、SpO2送信機(ZB-157H、NIHON KOHDEN)、及び体動の検出のために磁気センサを体に8個装着してデータの収集も同時に行った。図9乃至図12には、センサを装着した状態を示した。加速度センサについては図9内に示した方向に各軸が向くように装着した。
三軸加速度と咀嚼筋の表面筋電位はデータ収録装置(WEB-1000、NIHON KOHDEN)を用い、舌骨上筋群の表面筋電位と咽喉マイクについてはAD変換器(NI USB-6218、NATIONAL INSTRUMENTS) を用い,これらの同期計測を行った。図13に各種センサの仕様を示す。
食事動作の識別アルゴリズムの概略図を図14に示す。動作識別のアルゴリズムには大きく分けて、「特徴量を抽出する特徴抽出部」と「機械学習による動作学習、識別部」で構成される。本実施例では計測した筋電信号を用いて、特徴量を抽出し、サポートベクターマシンによって動作識別を行う。以下に各部分について詳しく述べる。
(1−3−1)特徴抽出部
動作識別を行う前に、舌骨上筋群のEMG[V]から、動作に関連した特徴的な信号成分(特徴量)を抽出する。この特徴量には時間領域の特徴であるRoot mean square(RMS)と,周波数領域の特徴であるCepstrum coefficient(CC)を用いた。
Root Mean Square(RMS)
RMSは式(1.)で表され、EMG信号の振幅に関する特徴が得られる。
CCは式(2)で表される。
さらに式(3)のような移動平均を行って特徴量を平滑化した。ここで,pはフレーム番号,Mは移動平均点数である。
図16に示すように、SVMによる学習では、ラベリングをする必要がある。本実施例では開口、咀嚼、嚥下の動作を識別した。以下にラベリングの手順とその様子を示した。ラベリングは、開口と嚥下のみ行い、その間を咀嚼とした。上の波形が舌骨上筋群のEMG、中央の波形が咀嚼筋のEMG、下の波形が三軸加速度の各成分の二乗和を示す。
(1)開口時に口を開ける動作が必要になるため1口目の開口開始は加速度や筋活動の値が大きく変化し始める部分とした。
(2)開口終了は口が閉じる動作であり、加速度や筋活動の値が低下したところとし、(1)と(2)の間を開口とラベリングした。
(3)嚥下開始は咀嚼が終了してから行われるので咀嚼筋の活動が大きく低下した部分とした。
(4)嚥下終了は(3)の次の舌骨上筋群の活動が落ちた部分とし、(3)と(4)の間を嚥下とラベリングした。
図16の左の縦線から順に(1)(2)(3)(4)を示しており、開口とラベリングした部分を(イ)咀嚼とラベリングした部分を(ロ)、嚥下とラベリングした部分を(ハ)として示した。
最初に学習データを用いて識別関数を構成する必要がある。SVMでは、学習に用いる際の動作学習部と、学習結果を基に識別を行う動作識別部がある。
動作学習部では、動作クラスを付与した学習データからSVMの初期設定パラメータを求め、識別関数を構成する。γとCをSVMハイパパラメータとし、初期設定パラメータであるγとCは格子探索により決定する。γとCの探索範囲はγ={ 、 、…、 }、C={ 、 、…、 }の48通りの組み合わせとし、各格子点の識別率の中から最も高い識別率を示す組み合わせを探索する。なお、この際の識別率は識別結果と、学習に用いたデータの動作クラスとの正誤から求められている。
動作識別部では学習によって作成された識別関数を基に特徴ベクトルを識別し、動作クラスを付与する。その後、過去k個の付与された動作クラスに対して多数決判定を行い、摂食・嚥下の状態を最終決定する。
SVMは2クラスを識別する手法であるため、たくさんのクラスを識別する際にはマルチクラスへの拡張が必要となる。一般的にこの方法にはone-against-one法とone-against-all法の2種類が存在するが、本手法ではone-against-one法を採用した。これは、O個のクラスすべての組み合わせ、すなわちO(O-1)/2個の識別関数を構成し、各識別関数を用いて特徴ベクトルの識別を行う方法である。この手法の優位性はHsuらによる2種類の手法の学習時間と識別精度に関する比較実験より示されている。
若年男性を対象に摂食・嚥下時の咀嚼筋のEMG、顎の運動による加速度、舌骨上筋群のEMGおよび嚥下音を計測し、上記した食事動作の識別結果を示す。
(1−4−1)実験条件
被験者は、舌機能が正常な成人男性3名(年齢 23.0±1.0 歳、mean±SD)とした。先に述べた摂食・嚥下の動作識別実験動作として、コーンフレーク、プリン、水の通常時の摂食・嚥下をする動作、それらを無理のない早さで摂食・嚥下する動作、さらに異常動作のサンプルとして咳1と題して咳に近い咳払い、咳2と題してむせに近い咳払いの計5動作を行った。各動作10回を1セットとし、それぞれ2セット行った。各動作の1セット目をSVMの学習用、2セット目を各動作の推定用に用いた。今回は通常早さと無理のない範囲で早くコーンフレークの摂食・嚥下したデータと咳1および咳2のデータで学習、識別を行った。
詳細な実験動作を示したフローチャートを図18に示す。なお、計測、解析した動作を(*)、計測のみ行った動作を(**)で示した。
(1−4−2−1)イベントの検出結果
各被験者のイベントの検出結果を図19乃至図21に結果を示す。上から咳2と推定されたところ、咳1と推定されたところ、嚥下と推定されたところ、咀嚼と推定されたところ、開口と推定されたところ、判定なしと推定されたところに夫々マークを入れた。
以下に通常早さで摂食・嚥下した時を実線、無理のない範囲で早く摂食・嚥下した時の咀嚼時間を点線、平均値の推移を一点差線にして図22に示す。
この実施例は、食事動作を識別するシステムであり、食事動作の異常検出に関する例である。
被験者は,健常な成人男性5名(平均年齢21歳,平均身長171.0cm)とした。身体運動は,磁気式3次元位置・姿勢計測システム(LIBERTY, Polhemus Co。)を用いて計測した。本システムはコントロールユニット,ソース,複数のセンサから構成され,ソースが発生した磁界の変化をセンサで検出することで,ソースを基準座標系とする各センサの位置・姿勢を算出する。本実施例では、図23に示すように、ソースを腰部,センサを胸部と両手の甲にそれぞれ固定した。
=(正しく識別されたチョークサインと食事動作のラベル数)÷(全動作のラベル総数)
×100 [%]
『自身の嚥下能力に適した食物を,適切なペース,適切な一口量で食べること』
が重要であり,
『汁物をすすり飲む,ご飯をかき込む,姿勢が悪いなどの危険動作(注意動作)』
は,誤嚥や気道閉鎖を引き起こす危険性が極めて高い.食事中の誤嚥では,
『むせや咳』
が生じるが,日常的な嚥下機能の低下を自覚したり,効果的なリハビリを行うためには,
『どのような食事条件の中で,どの程度の頻度で誤嚥が生じるかを,日々記録すること』
が重要となる。また,万が一,食物が気道を塞ぎ,窒息の兆候が見られた場合には,『速やかに家族や介護者等に通報すること』
が必要である。高齢者や嚥下障害者の食事を見守るためには,『』で示した各レベルでの状態検出が不可欠といえるが、本発明は,これに応えることができる。
1 識別処理部
2 機械学習手段
3 特徴量抽出手段
4 判断基準記憶手段
5 推定手段
6 指示手段
7 表示装置
8 表示手段
9 警報器
10 警報手段
Claims (11)
- 生体が行う特定の動作を検出する1もしくは複数の動作検出手段と、該動作検出手段からの検出信号に基づいて上記生体の特定の動作を識別する識別処理部を備えた生体の動作識別システムにおいて、
上記識別処理部を、上記動作検出手段からの検出信号の全部若しくは一部を用いて特定の動作を判別して該判別結果を出力する機械学習手段を備えて構成したことを特徴とする生体の動作識別システム。 - 上記機械学習手段は、人工ニューラルネットワーク(ANN)、サポートベクターマシン(SVM:Support Vector Machine)、決定木、ランダムフォレスト、k平均法クラスタリング、自己組織化マップ、遺伝的アルゴリズム、ベイジアンネットワーク、ディープラーニング手法などから選択される1つ若しくは複数の組み合わせで構成されることを特徴とする請求項1記載の生体の動作識別システム。
- 上記機械学習手段は、予め、上記動作検出手段からの検出信号の全部若しくは一部から特定の動作に係る教師データを作成し、該教師データに基づく学習により得られる判断基準を記憶する学習機能と、上記動作検出手段からの検出信号に基づいて上記記憶した判断基準により対応する特定の動作を判別して該判別結果を出力する実行機能とを有したことを特徴とする請求項1記載の生体の動作識別システム。
- 上記機械学習手段は、上記動作検出手段からの検出信号の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、学習時に上記特徴量抽出手段によって抽出された特徴量をラベリングして得られた特定の動作に対応する特徴量を有したラベル及び当該対応する特徴量からなる教師データを作成し、該教師データに基づく学習により得られる判断基準を記憶する判断基準記憶手段と、実行時に上記特徴量抽出手段によって抽出された特徴量と上記判断基準記憶手段に記憶された判断基準から対応するラベルを推定する推定手段と、該推定手段が推定したラベルを示す指示手段とを備えて構成したことを特徴とする請求項3記載の生体の動作識別システム。
- 上記特定の動作は、単一の動作若しくは単一の動作の複数の集合により特定されることを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の生体の動作識別システム。
- 上記特定の動作は、生体が行う正常動作,生体に異常をもたらす虞のある危険動作,上記正常動作及び危険動作とは異なる異常動作の何れか1つ若しくは2つ以上から選択されることを特徴とする請求項5記載の生体の動作識別システム。
- 上記正常動作及び危険動作は、人体がテーブルの前に座して行う食事動作であることを特徴とする請求項6記載の生体の動作識別システム。
- 上記食事動作は、嚥下運動,咀嚼運動,開口運動(摂食運動)を含むことを特徴とする請求項7記載の生体の動作識別システム。
- 上記異常動作は、バイタルサインであることを特徴とする請求項6乃至8何れかに記載の生体の動作識別システム。
- 上記正常動作以外の少なくとも異常動作であることを判別したとき、警報を発する警報手段を備えたことを特徴とする請求項6乃至9何れかに記載の生体の動作識別システム。
- 上記請求項1乃至10何れかに記載の生体の動作識別システムを用い、上記生体の特定の動作を識別することを特徴とする生体の動作識別方法。
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