JP2017538807A - 香味物質としての3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジヒドロキシスチルベンの使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、匂い物質としての、特に光の影響下でバニリン香気を生じさせるための3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの使用に関する。本発明はさらに、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン及び追加として担体物質を含有する組成物、前述の化合物を含有する芳香組成物及び/又臭気材料、並びに前記組成物に前述の化合物を加えることによって組成物の香気を生成又は変化させる方法に関する。本発明は追加として、リグニン含有組成物から3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンを得るための方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、特に光の作用下でバニラの匂いを生じさせるための、匂い物質(odorous substance)としての3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの使用に関する。さらに、本発明は、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン及び追加として担体を含有する組成物、前記化合物を含有する芳香組成物(fragrance composition)及び/又は臭気材料(odorant material)、並びにこれらの組成物に前記化合物を加えることによって組成物に匂いを付与する又は組成物の匂いを変更する方法に関する。本発明は追加として、リグニン含有組成物から3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンを得るための方法に関する。
匂い物質は、特に化粧品の分野で且つ粉末状洗剤及び洗浄剤の添加剤として、商業的に重要である。しかしながら、天然源からの芳香の獲得には大抵費用がかかり、そのようにして得られる量は限られている。加えて、これらの芳香の純度又は生産量は、これらが単離される原料の製造の環境条件が変わりやすいために、しばしば変化する。したがって、大量に入手可能な容易に入手しやすい天然源から得ることができる新しい匂い物質を発見することに大きな関心がもたれている。
しばしば匂い物質を求めて、それらの特徴的な匂いに基づいて天然物質の代替物として使用できる化学化合物が重要であり、代替物及び天然物質が必ずしも化学構造類似性を示す必要はない。
化学構造の小さな変化は、既に匂い及びさらに味覚などの知覚特性に大きな変化を引き起こすので、定義された匂いなどの定義された知覚特性を持つ物質を対象とした探索は、極めて困難になる。所望の匂いを持つ物質が実際に発見されるかどうか知らないで新規な匂い物質を探索することは、したがって大抵面倒である。
(E)-3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンなどのヒドロキシスチルベン誘導体が、原則として知られている。例えば、Dhyaniら、Applied Radiation and Isotopes、2011年、69巻、996〜1001頁は、バニリンから出発するマクマリークロスカップリング反応による(E)-3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの立体選択的合成について記載している。
合成プロセスだけでなく、植物において自然に生じるので、(E)-3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンは、天然源から得ることができることも知られている。
Hajduら、J. Nat. Prod.、1998年、61巻、1298〜1299頁は、ロイゼア・カルタモイデス(Leuzea carthamoides)(キク科)からの(E)-3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの抽出、単離及びキャラクタリゼーションについて記載している。
さらに、(E)-3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンは例えば、カエデの木、特にサトウカエデからの抽出液及びシロップに含有されている-WO 2012/021981、WO 2012/021983 A1及びWO 2012/055010 A1を参照のこと。これらの文献はとりわけ、化粧品及び医薬品分野並びに食品における、(E)-3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンと共に多くの他の二次植物物質も含有するこれらの抽出液及びシロップの潜在的な使用について記載している。
WO 2012/021981 WO 2012/021983 A1 WO 2012/055010 A1
Dhyaniら、Applied Radiation and Isotopes、2011年、69巻、996〜1001頁 Hajduら、J. Nat. Prod.、1998年、61巻、1298〜1299頁
本発明は、容易に入手可能な天然源から得ることができ、又は容易に得られる抽出物から大きな工業規模で合成することができる新規な匂い物質を提供するという目的に基づく。有利な知覚特性、すなわち強烈な、心地よい匂い、特にバニラ様の匂いを持つ化合物が、好ましくは求められている。新規な匂い物質はまた、毒物学的に無害であるべきである。
驚くべきことに、化合物3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)
Figure 2017538807
が、バニラ様の匂いを持ち、且つ所望の有利な知覚特性を有することが判明した。さらに、驚くべきことに、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)の典型的にバニラ様の匂いは、太陽光の作用下で強くなることが判明した。その上、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)は、リグニン含有組成物から大量に得ることができる。
本発明はしたがって、匂い物質としての3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの使用に関する。
さらに本発明は、光の作用下でバニリンの匂いを生じさせるための3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシ-スチルベンの使用に関する。
さらに本発明は、追加として担体を含有する組成物の成分としての3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシ-スチルベンの使用であって、組成物が、粉末状洗剤、洗濯用柔軟剤、洗浄剤、芳香剤含有衛生用品、芳香剤ディスペンサー及び香水から選択される、使用に関する。
さらに本発明は、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン及び担体を含有する芳香組成物及び/又は臭気材料であって、芳香組成物及び/若しくは臭気材料に匂いを付与する、又は芳香組成物及び/若しくは臭気材料の匂いを変更する量で関連した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンを含有する、芳香組成物及び/又は臭気材料に関する。
さらに本発明は、組成物に匂いを付与又は変更するための方法であって、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンを、組成物に匂いを付与する、又は組成物の匂いを変更する量で組成物に加える、方法に関する。
さらに本発明は、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンを水性アルカリ性リグニン含有組成物から得るための方法であって、場合によってアルカリで又は酸化的に処理された水性アルカリ性リグニン含有組成物を、固体吸着剤で処理し、吸着剤を水性アルカリ性リグニン含有組成物から分離し、次いで3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)を得るために吸着剤を有機溶媒で処理し、それによって3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン含有溶出液を得る、方法に関する。
3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンは、その有利な官能特性、特に心地よいバニラ様の匂いによって特徴づけられている。3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシ-スチルベンは、したがって有利には匂い物質として、又は芳香組成物及び/若しくは臭気材料の成分として使用することができる。
3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンは、典型的なバニラ様の匂いが太陽光の作用下で強くなることを特に特徴とする。加えて、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンは、織物又は紡織繊維上に非常によく塗布でき、これらに長期間付着している。
その物理的性質のために、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンは、他の匂い物質又は芳香組成物、特に香水に使用されているような他の市販されている成分に対して非常に優れた、実質的に普遍的な溶媒特性を持っている。
3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンは、容易に入手しやすい天然源から得ることも、安価及び容易に入手しやすい出発原料から合成することもできる。
この化合物は著しい毒性を示さない二次植物物質のグループに属するので、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンは、おそらく毒性が極めて低いであろう。例えば、薬理学的に広範に研究されており、毒物学的に無害であると分類されている、構造的に極めて類似した化合物レスベラトロールは、このグループに属する(Cottartら、Mol. Nutr. Food Res.、2010年、54(1)巻、7〜16頁)。
二重結合のために、化合物3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)
Figure 2017538807
は、E異性体(E)-3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I-E)又はZ異性体(Z)-3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I-Z)
Figure 2017538807
又はE/Z異性体混合物として存在することができる。
本発明はしたがって、E異性体の使用、またZ異性体の使用の両方、及びその混合物の使用に関する。表現「3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン」は、純粋なE及び純粋なZ異性体の両方と、異性体が等量で存在する、又は異性体の一方を過剰に含有する混合物も含む。
本発明の好ましい実施形態では、化合物(I)は、純粋なE異性体として、又はE異性体(I-E)を主に含有するE/Z異性体混合物として存在する。より正確には、化合物(I)は、純粋なE異性体として、又は異性体I-E及びI-Zの合計量に基づいて、少なくとも60重量%、特に少なくとも80重量%、とりわけ少なくとも90重量%のE異性体(I-E)を含有するE/Z異性体混合物として存在する。
様々な純度の状態の化合物(I)は、匂い物質としての使用に適している。匂い物質としての本発明による使用では、化合物(1)の純度はしたがって、特に限定されない。化合物(I)は、少なくとも50%、特に少なくとも80%、とりわけ少なくとも90%の純度を有することが好ましい。
前述の好ましい実施形態は、要望通りに互いに組み合わせることができる。
本発明の好ましい実施形態では、化合物(I)はしたがって、少なくとも90%の純度を有しており、その場合、これは純粋なE異性体として又は少なくとも90重量%のE異性体(I-E)を含有するE/Z異性体混合物として存在する。
既に言及したように、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンは、有利な知覚特性、特に心地よい匂いを有する。具体的に言えば、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンは、バニリン又はエチルバニリンのものに匹敵する、バニラを想起させるような匂いを持っている。
3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンのバニラを想起させるような匂いは、光の作用によって強くなることが、驚くべきことに判明した。このために、本発明はまた、光の作用下でバニラ様の匂いを生じさせるための、前記で定義した化合物(I)の使用に関する。
本発明において、用語「光の作用」は、化合物(I)を人工光源からの光又は太陽光に曝露する手順を表すと理解される。通例、バニラ様の匂いの増強は、光に短時間曝露した後に既に生じ、ここで、1〜60分又は1〜30分の範囲の曝露持続時間がバニラ様の匂いのかなりの増強を達成するのに十分である。もちろん、より長い曝露持続時間がまた、バニラ様の匂いの著しい増強をもたらすことができる。
適当な人工光源は、そこから放射された光が可視光線のスペクトル領域及びそれに隣接するスペクトル領域も含む光源、又はさらに可視光線の特定の領域及びそれに隣接するスペクトル領域の光を放出する光源であってもよい。
適当な人工光源は例えば、放熱装置、例えば白熱ランプ、ガス放電ランプ、例えば水銀蒸気高圧ランプ、ナトリウム蒸気高圧ランプ、キセノンガス放電ランプ又はハロゲン-金属蒸気ランプ及び発光ダイオードである。
本発明の好ましい実施形態では、バニラ様の匂いの発生のために、定義された期間、例えば1〜60分、特に1〜30分間、化合物(I)を太陽光に曝露させる。
強い匂いの印象は、非常に低い上部空間濃度での認知の想起をすぐに可能にするそれらの香料の特性を表すと理解されるべきである。強度は、閾値測定によって決定することができる。閾値は、匂いの印象が代表的な試験パネルによって依然として認知されるだけの関連する上部空間内の物質の濃度であり、その場合、これはしかしながらさらに定義する必要はない。おそらく最も強烈な匂い物質クラスのうちの、すなわち非常に低い匂い閾値を有する1つの物質クラスは、その閾値がしばしばppb/m3の範囲にあるチオールである。新規な香料の探索の目的は、可能な限り低い使用濃度を可能にするために、可能な限り低い匂い閾値を持つ物質を発見することである。この対象により密接に近づくほど、それらは「強烈な」匂い物質又は香料としてより多く描写される。
「有利な知覚特性」又は「心地よい匂い」は、香料によって伝えられる匂い印象の美しさ及び想起を描写する快楽的表現である。
「美しさ」及び「想起」は、当業者、調香師によく知られている用語である。美しさは通例、自然に誘発され、積極的に経験された、現在の知覚的印象を意味する。しかしながら、「美しい」は、「甘い」と同義である必要はない。ジャコウ又はビャクダンの匂いも、「美しい」となり得る。「想起」は通例、-同じ試験パネルで-特定の何かの再現可能な類似した記憶を誘発させる、自然に誘発された知覚的印象を意味する。
例えば、物質は、「リンゴ」のものを自然に連想させる匂いを有していてよく:その場合、匂いは「リンゴ」を想起させるであろう。このリンゴの匂いがとても心地よかった場合、匂いは例えば甘い完熟したリンゴを連想させるので、匂いは、「美しい」と呼ばれなければならない。しかしながら、典型的にすっぱいリンゴの匂いも想起させ得る。物質の匂いを嗅ぐ、すなわち例えば、美しい、リンゴを想起させる匂いを嗅ぐときに両反応が起こる場合、この物質は、とりわけ有利な知覚特性を示す。
さらに本発明は、通常少なくとも1種の香気物質、すなわち匂い物質及び追加として担体を含有する組成物の成分としての、前記で定義した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシ-スチルベンの使用に関する。このような組成物は例えば、粉末状洗剤、洗濯用柔軟剤、洗浄剤、芳香剤含有衛生用品、例えばおむつ、生理用ナプキン、脇汗パッド(armpit pad)、ティッシュペーパー、ウェットティッシュ、トイレットペーパー、ハンカチなど、及び芳香剤ディスペンサー、例えば消臭スプレー及び香水から選択される。
これらの組成物を配合するために、前記で定義した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンを、場合によって1種以上の他の香気物質と一緒に、通常、あらかじめ香気物質を含有しない又は化合物(I)と異なる1種以上の香気物質を含有する既存の調製物に加える。通常これらの組成物は、追加として担体を含有し、これは1種の化合物、化合物又は他の添加剤の混合物からなっていてよく、これは知覚特性がない又は認められない。しかしながら、担体はまた、かなりの知覚特性を有する化合物若しくは添加剤であってもよく、又は化合物(I)と異なる少なくとも1種の香気物質及び場合によって知覚特性がない少なくとも1種のさらなる化合物を含有する化合物の混合物であってよい。
担体は、化合物、前述の特性を有する化合物又は他の添加剤の混合物であってよい。適当な担体には、液体又は油性担体及び蝋様又は固体担体が含まれる。
適当な液体又は油性担体は例えば、アルコール、例えばエタノール、水、溶融温度が20℃未満の脂肪族ジオール及びポリオール、例えばエチレングリコール、グリセリン、ジグリセロール、プロピレングリコール若しくはジプロピレングリコール、環状シロキサン、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン若しくはデカメチルシクロペンタシロキサン、植物油、例えば分別ヤシ油、又は溶融温度が20℃未満の脂肪アルコールのエステル、例えば酢酸テトラデシル若しくは乳酸テトラデシル、並びに溶融温度が20℃未満の脂肪酸のアルキルエステル、例えばミリスチン酸イソプロピルから選択される。
適当な蝋様又は固体担体は例えば、溶融温度が20℃超の脂肪アルコール、例えばミリスチルアルコール、ステアリルアルコール若しくはセチルアルコール、溶融温度が20℃超のポリオール、溶融温度が20℃超の脂肪アルコールと一緒の脂肪酸エステル、例えばラノリン、蜜蝋、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋若しくは木蝋、石油から製造された蝋、例えば固形パラフィン、水不溶性多孔質鉱物、例えばシリカゲル、ケイ酸塩、例えばタルク、微孔質結晶性アルミノケイ酸塩(ゼオライト)、粘土鉱物、例えばベントナイト、又はリン酸塩、例えばトリポリ燐酸ナトリウム、紙、厚紙、木、及び天然若しくは合成繊維からの織物複合材若しくは不織材料から選択される。
適当な担体は例えば、水溶性ポリマー、例えばポリアクリレートエステル若しくは四級化ポリビニルピロリドン、又は水-アルコール-溶性ポリマー、例えば特定の熱可塑性ポリエステル及びポリアミドからも選択される。高分子担体は、種々の形態、例えばゲル、ペーストの形態、固体粒子、例えばマイクロカプセルとして、又は脆性塗料であってよい。
通例、これらの組成物で使用される前記で定義した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの量は、配合物中の芳香の一般的な普通の商業的使用量に相当する。より正確には、使用した前記で定義した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの量は、組成物の全重量に対して、0.001〜50重量%の範囲、特に0.01〜20重量%の範囲、とりわけ0.1〜10重量%の範囲にある。
本発明の特に好ましい実施形態では、前記で定義した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンは、例えば粉末状洗剤、洗濯用柔軟剤、洗浄剤又は芳香剤含有衛生用品などの組成物中の成分として使用され、これは、意図されたそれらの使用に基づいて、少なくともある程度太陽光に曝露される。
本発明の特に好ましい実施形態では、前記で定義した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンは、粉末状洗剤及び洗濯用柔軟剤中の成分として使用される。ここで特に有利な効果は、化合物(I)が織物の製造に通常使用される天然、合成又は半合成繊維材料に非常によく付着し続けるという事実に起因する。これらの繊維材料は原則として、織物製造プロセスで加工できる全ての天然繊維及び/又は化学繊維を含有していてよく、又はこれらからなっていてよい。
織物製造に適した天然繊維は例えば、植物繊維、例えば綿繊維、亜麻繊維若しくは麻繊維、又は動物繊維、例えばウール、カシミア若しくはシルクである。
織物製造に適した化学繊維は例えば、天然ポリマーの繊維、例えばビスコース、リヨセル若しくはゴム、又は合成ポリマーの繊維、例えばポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン若しくはポリアミドである。
本発明において、粉末状洗剤及び洗濯用柔軟剤は、高い吸収性を持つ可撓性材料、例えば織物特性を持つ材料を洗浄するために使用される薬剤を表すと理解される。
高い吸収性を持つ可撓性材料の例は、前に定義した、天然、合成若しくは半合成繊維材料を含有するもの、又はそれらからなるもの、及び結果的に通例少なくともある程度織物特性を有するものである。繊維を含有する又は繊維からなる材料は、原則として使用又は製造及び加工において生じる任意の形態であってよい。例えば、繊維は、フロック若しくはパイルの形態で不規則に、スレッド、ヤーン、撚り糸の形態で、又は平らなシート、例えばフリース、ローデン材料若しくはフェルト、布地及び可能な全ての織り型の編地の形態で規則的に存在していてよい。繊維は、原料繊維又は任意の加工段階の繊維であってよい。
化合物(I)が天然、合成又は半合成繊維材料に非常によく付着し続けるという事実のために、所望の匂い効果を達成するために必要な粉末状洗剤及び洗濯用柔軟剤中の匂い付与成分として使用した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの量は通例、比較的低い。より正確には、粉末状洗剤及び洗濯用柔軟剤に使用した前記で定義した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの量は通常、組成物の全重量に対して、0.0001〜20重量%の範囲、特に0.001〜10重量%の範囲、とりわけ0.01〜5重量%の範囲にある。
それらの使用目的に応じて、前記で定義した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンが匂い付与成分として使用されている組成物は、他の補助物質及び/又は添加剤、例えば洗浄剤若しくは洗浄剤の混合物、増粘剤、例えば数平均分子量が400〜20,000Daのポリエチレングリコール、滑剤、結合剤又は凝集剤、例えばケイ酸ナトリウム、分散剤、ビルダー塩、硬水軟化剤、充填塩、顔料、着色剤、蛍光増白剤、土壌分散剤などを含有していてよい。
特に粉末状洗剤及び洗濯用柔軟剤は通例、いくつかの特定の添加剤、例えば界面活性剤、硬水軟化剤、ビルダー、洗浄用アルカリ剤、酵素、土壌分散剤、脱泡剤、懸濁化剤、漂白剤又は蛍光増白剤を含有する。
さらに、本発明は、前記で定義した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン又はそのE/Z異性体混合物、及び担体を含有する芳香組成物及び/又は臭気材料に関するものであり、ここで、芳香組成物及び/又は臭気材料は、前記で定義した特定の3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシ-スチルベンを、芳香組成物及び/若しくは臭気材料に匂いを付与する、又は芳香組成物及び/若しくは臭気材料の匂いを変更する量で含有する。
これに必要な3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの量は、芳香組成物及び/又は臭気材料の性質及び使用目的によって決まり、したがって大きく異なっていてよい。
これは別として、本発明による芳香組成物及び/又は本発明による臭気材料中の3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの合計濃度は、特に限定されず、特定の使用目的に広範囲に適合させることができる。通例、芳香の一般的な普通の商業的使用量で使用することができる。通常、本発明による芳香組成物及び/又は本発明による臭気材料中の3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシ-スチルベンの合計量は、0.0001〜20重量%、特に0.001〜10重量%の範囲にある。
本発明による芳香組成物及び/又は臭気材料の典型的な使用分野は、粉末状洗剤、織物柔軟剤、洗浄剤、人体又は動物体用、キッチンなどの部屋、濡れた範囲、車又はトラック用、天然又は人工植物用、衣料品用、靴及び靴の中敷き用、家具商品用、絨毯用、空気加湿器用、エアパーフューマー用又は香水用の芳香調製物である。
特に、本発明による芳香組成物及び/又は臭気材料は、粉末状洗剤、織物柔軟剤に、且つ衣服、靴、家具又は絨毯用の芳香調製物に使用される。
本発明はまた、成分Aとして前記で定義した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンと、成分Bとして匂い物質又は香気物質として知られている少なくとも1種の他の化合物、例えば1種以上の以下の化合物B1〜B11とを含有する匂い物質の組合せを含む:
B1: ジヒドロジャスモン酸メチル(例えばHedione)、
B2: 4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]ベンゾピラン(例えばGalaxolide(商標))、
B3: 2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール(Lysmeral(商標))、
B4: 2-メチル-3-(4-iso-プロピルフェニル)プロパナール(シクラメンアルデヒド)、
B5: 2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール(ジヒドロミルセノール)、
B6: 3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン-3-オール(リナロオール)、
B7: 3,7-ジメチル-トランス-2,6-オクタジエン-1-オール(ゲラニオール)、
B8: 2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン(Iso E Super(商標))、
B9: α-ヘキシルシンナムアルデヒド、
B10: 3,7-ジメチル-6-オクテン-1-オール(シトロネロール)、
B11: α、又はβ-、又はδ-ダマスコン。
匂い物質の配合物のように、例えばJP 11-071312 A、段落[0090]〜[0092]に開示されている配合物が適当である。JP 11-035969 A、段落[0039]〜[0043]からの配合物も適している。
さらに本発明は、組成物に匂いを付与する又は組成物の匂いを変更するための方法に関するものであり、ここで、前記で定義した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンは、組成物に匂いを付与する、又は組成物の匂いを変更する量で組成物に加えられている。これに必要な3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの量は、組成物の状態及び使用目的によって決まり、したがって大きく異なっていてよい。通例、通常使用される前記で定義した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの量は、組成物の全重量に対して、0.0001〜50重量%の範囲、特に0.001〜20重量%の範囲にある。
本発明はさらに、水性アルカリ性リグニン含有組成物から3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)を得るための方法に関する。本発明による方法は、場合によってアルカリで又は酸化的に処理された水性アルカリ性リグニン含有組成物が、固体吸着剤で処理され、吸着剤が水性アルカリ性リグニン含有組成物から分離され、次いで吸着剤が有機溶媒で処理されて3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)が得られることを特徴とする。それによって3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)を含有する溶出液が得られる。
場合によってアルカリで又は酸化的に処理された水性アルカリ性リグニン含有組成物の固体吸着剤を用いた処理では、例えば固体吸着剤は、水性アルカリ性リグニン含有組成物に加えることができる。一定の滞留時間後、固体吸着剤を水性アルカリ性リグニン含有組成物から分離することになる。分離は、通常の固液分離プロセス、例えばろ過、沈降又は遠心分離によって行うことができる。
好ましくは、水性アルカリ性リグニン含有組成物は、固体吸着剤の床又は固定床、例えば吸着剤で充填されたカラムを1回以上通過させる。
好ましくは、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)を得るためには、水性アルカリ性リグニン含有組成物は、特に固体吸着剤で充填されたカラムによって、固体吸着剤からなる固体床を通過させる。
吸着に続いて、固体吸着剤に結合した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)の解離は、有機溶媒を用いた処理によって行われる。
固体吸着剤に結合した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)の解離の前に、吸着剤は、酸、特に鉱酸又は有機スルホン酸の水溶液で処理してもよい。
適当な鉱酸は、例えば塩酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、又は硫酸である。適当な有機スルホン酸は、特にメタンスルホン酸である。特に好ましい鉱酸は、硫酸である。好ましくは、酸の水溶液は、0.01〜10molkg-1の範囲、好ましくは0.1〜5molkg-1の範囲、特に0.1〜2molkg-1の範囲の酸濃度を有している。
場合によって、固体吸着剤は、水性希鉱酸を用いた処理の前及び/又は後に水で洗浄する。
本質的に、本発明による方法では、アルカリ性のpHを有する任意の水性リグニン含有組成物を使用でき、ここで、pHは、通例少なくともpH8、特に少なくともpH9又はpH10、とりわけ少なくともpH11又はpH12であり、pH14であってもよい。
通例、本発明による方法では、あらかじめアルカリで又は酸化的に処理された水性アルカリ性リグニン含有組成物も使用することができる。本発明において、これは、リグニン若しくはリグニン誘導体を水性アルカリ中に溶解させることによって、及び/又は水性アルカリ性リグニン含有組成物の部分酸化、とりわけ電気分解によって得られた水性アルカリ性リグニン含有組成物である。
水性アルカリ性リグニン含有組成物の生成に使用したリグニン又はリグニン誘導体は、例えば黒液からのリグニン、クラフトリグニン、硫酸リグニン、リグノスルホネート、アルカリリグニン、ソーダリグニン、オルガノソルブリグニン、又はパルプ、セルロースパルプ若しくはセルロース生産などの工業プロセスで生じる対応する残液、例えば黒液、亜硫酸塩プロセス、硫酸塩プロセス、オルガノセル若しくはオルガノソルブプロセス、ASAMプロセス、クラフトプロセス若しくはナチュラルパルピングプロセスからのリグニンから選択される。
したがって、使用した水性アルカリ性リグニン含有組成物は、パルプ、セルロースパルプ又はセルロース生産などの工業プロセスにおける副産物として生じる水溶液又は水性懸濁液、例えば黒液及び亜硫酸塩プロセス、硫酸塩プロセス、オルガノセル若しくはオルガノソルブプロセス、ASAMプロセス、クラフトプロセス若しくはナチュラルパルピングプロセスからのリグニン含有流出液流である。
アルカリで又は酸化的に処理された水性アルカリ性リグニン含有組成物は通例、少なくともpH8、しばしば少なくともpH9又はpH10、特に少なくともpH11又はpH12のpHを有している。
場合によってアルカリで又は酸化的に処理された水性リグニン含有組成物は一般に、水性リグニン含有組成物の全重量に対して、0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%、特に1〜10重量%のリグニンを含有する。
水性リグニン含有組成物中の3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)の濃度は通常、1〜1500mg/kgの範囲、特に10〜1000mg/kgの範囲、とりわけ50〜750mg/kgの範囲にある。
本発明による方法の好ましい実施形態では、パルプ、セルロースパルプ又はセルロース生産からの水性リグニン含有流出液流は、水性アルカリ性リグニン含有組成物として使用される。
本発明による方法の特に好ましい実施形態では、製紙工業、セルロースパルプ又はセルロース生産からの黒液は、水性アルカリ性リグニン含有組成物の生成に使用される。
水性アルカリ性リグニン含有組成物を生成するため又は水性アルカリ性リグニン含有組成物のpHを調節するためのアルカリ又は塩基として、無機塩基、例えばNaOH又はKOHなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウムなどのアンモニウム塩及び例えばソーダの形態の炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩を特に使用することができる。アルカリ金属水酸化物、特にNaOH及びKOHが好ましい。水性リグニン含有懸濁液又は溶液中の無機塩基の濃度は、5mol/L、特に4mol/Lを超えるべきではなく、通常0.01〜5mol/Lの範囲、特に0.1〜4mol/Lの範囲にある。
固体吸着剤としては、例えば塩基性酸化アルミニウム、粘土、架橋有機ポリマー樹脂、例えば架橋塩基性ポリマー樹脂又は架橋カチオン性ポリマー樹脂、活性炭、特に非化学的に活性化させた活性炭又は化学的に前処理した活性炭、例えば塩基含浸した又は洗浄した活性炭が適している。
固体吸着剤は、好ましくは架橋有機ポリマー樹脂、特に架橋塩基性有機ポリマー樹脂及び架橋カチオン性ポリマー樹脂、特に活性炭、蒸気で活性化させた活性炭から選択される。
架橋塩基性又はカチオン性有機ポリマー樹脂は、好ましくはアニオン交換体又はアニオン交換樹脂である。好ましいアニオン交換体又はアニオン交換樹脂は通例、第三級アミノ基、第四級アンモニウム基及び第四級ホスホニウム基から選択される官能基を有する。特に好ましくは、使用したアニオン交換体は、カチオン性基、例えば第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基、イミダゾリウム基又はグアニジニウム基、特に第四級アンモニウム基又はイミダゾリウム基を有する架橋有機ポリマー樹脂である。適当なアニオン交換樹脂は、ここで完全に参照されている、WO2014/006108に記載されたアニオン交換樹脂である。
塩基含浸した活性炭は、前記で定義したように、塩基で前処理した活性炭である。塩基含浸した活性炭は、好ましくはNaOHで前処理した活性炭である。含浸のために、活性炭は通例、塩基の水溶液で数回洗浄される。
本発明による方法の特に好ましい実施形態では、固体吸着剤は、非化学的に活性化させた又は塩基含浸した又は洗浄した活性炭から選択される。
非化学的に活性化させた活性炭は、好ましくは蒸気で活性化させた活性炭である。蒸気活性化活性炭は通例、例えばChemviron Carbon製のCAL(登録商標)若しくはAquacarb(登録商標) 207C、Norit製のNorit(登録商標) ROY 0.8及びNorit(登録商標) GAC 1240又はDonau Carbon製のEpibon(登録商標) A 8×30若しくはHydraffin(登録商標) 30Nなどの通常の市販の活性炭である。
固体吸着剤、特にアニオン交換樹脂又は未処理の若しくは塩基含浸した活性炭を用いたリグニン含有懸濁液又は溶液の処理は通例、10〜100℃の範囲、好ましくは10〜70℃の範囲、特に15〜50℃の範囲の温度で行われる。
固体吸着剤を装填するための本発明による方法の好ましい実施形態では、場合によってアルカリで又は酸化的に処理された水性塩基性リグニン含有組成物は、通常の方法で、吸着剤システム、すなわち吸着剤の1種以上の固定床、例えば吸着剤(例えば未処理の又は塩基含浸した活性炭)で充填された1種以上のカラムを通過させる。通過は、下降でもまた上昇でも行うことができる。通過は好ましくは、1時間当たり0.2〜35床体積(BV/時)の範囲、特に0.5〜10BV/時の範囲、とりわけ1〜5BV/時の範囲の特定の流速(特定の装填)で行われる。通過は、好ましくは0.1〜50m/時の範囲の線速度で行われる。
リグニン含有懸濁液又は溶液及び固体吸着剤の相対量は通常、水性アルカリ性組成物中に含有されている3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)の少なくとも35%、特に少なくとも50%が吸着剤によって吸着されるように選択される。水性アルカリ性組成物の量は通例、床体積の1〜100倍、特に2〜50倍である。吸着の程度に応じて、吸着剤システム、例えば吸着剤を充填したカラム、の出口に到達する流出物は、依然として3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)を含有している可能性があり、したがって流出物は、場合によってさらなる吸着剤システム、例えば吸着剤を充填したカラム、も通過させてもよい。
装填手順に続いて洗浄ステップを行うことができる。通常、水性液は、充填した吸着剤を洗浄するために使用する。水性液は、水又は水と水混和性の有機溶媒との混合物であると理解されており、ここで、水は、混合物の主成分であり、特に混合物の90体積%である。水性液のpHは通常、中性範囲、すなわちpH6〜pH8の範囲にある。洗浄ステップは通例、吸着剤を装填するために前記で定義した温度及び圧力で行われる。吸着剤の装填が吸着剤システムで行われる場合、水性液、特に水を、吸着剤システム中に上方向又は下方向に通過させることになる。このステップにおける水性液(以下、洗浄水も)の量は、通常床体積の1〜20倍、特に床体積の2〜10倍である。洗浄水の通過は通例、0.5〜10BV/時の範囲、特に1〜8BV/時の範囲の特定の流速(特定の装填)又は0.1〜50m/時の範囲の線速度で行われる。このように生じる洗浄水は、少量の3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)を含有している可能性があり、装填中に生じる3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)と合わせることができる。
場合によって、装填ステップの後に、又は特に洗浄ステップの後及び脱着の前に、結合したアニオン性3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンをプロトン化又は中和するために、吸着剤を酸、特に鉱酸又は有機スルホン酸の水溶液で処理してもよい。適当な鉱酸は、例えば塩酸、硝酸、過塩素酸、リン酸又は硫酸である。適当な有機スルホン酸は、特にメタンスルホン酸である。特に好ましい鉱酸は、硫酸である。好ましくは、酸の水溶液は、0.01〜10molkg-1の範囲、好ましくは0.1〜5molkg-1、特に0.1〜2molkg-1の範囲の酸濃度を有する。
吸着剤の装填が吸着剤システムで行われる場合、水性希酸を、場合によって洗浄ステップ後に、どんな場合でも結合した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンをプロトン化又は中和するために吸着剤システム中に上方向又は下方向に通過させることになる。水性希酸の量は通常、床体積の0.1〜10倍、特に床体積の0.5〜5倍である。水性希鉱酸の通過は通例、0.5〜10BV/時の範囲、特に1〜8BV/時の範囲の特定の流速(特定の装填)で行われる。
水性希水性酸を用いた処理に続いて、水を用いたさらなる洗浄ステップを行うことができる。水の量及び流速に関して、前述の洗浄ステップのものが適用される。
次に、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)を得るために、吸着剤は、それ自体が既知の方法で溶離される。特に溶離剤は、有機溶媒、酸の溶液、特に有機溶媒及び酸の溶液中の鉱酸、特に有機-水性溶媒混合物中の鉱酸であることが適している。溶離剤の性質は、使用した吸着剤に当然依存する。イオン交換体の場合、溶離に関してはWO 2014/006108を参照する。通例、続く手順は、適当な溶離剤、例えば有機溶媒又は有機溶媒中の酸の溶液又は有機-水性溶媒混合物中の酸の溶液を吸着剤システムに通過させ、それによって結合した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)が脱着及び溶離されることである。吸着剤の装填が吸着剤システム中で行われる場合、装填及び場合によって洗浄ステップ及び/又は水性酸を用いた処理の後、有機溶媒又は有機溶媒中の酸の溶液又は有機-水性溶媒混合物中の酸の溶液を、吸着剤システムに通過させ、それによって結合した、場合によって中和又はプロトン化した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンが脱着及び溶離される。有機溶媒の量は通例、床体積の0.1〜20倍、特に0.5〜15倍、例えば1〜10倍である。溶離剤は通例、0.5〜20BV/時の範囲、好ましくは0.5〜10BV/時の範囲、特に1〜8BV/時の範囲の特定の流速(特定の装填)で行われる。アニオン交換樹脂を固体吸着剤として使用する場合、これは通常、次の装填の前に、例えばアルカリ金属水酸化物の水溶液、例えばNaOH水溶液を用いた処理によって、再度OH形態に転換させなければならない。
溶離に使用した有機溶媒は、水と混和できる有機溶媒及び水と混和しにくい有機溶媒及びその混合物であってよい。
水と混和できる有機溶媒は通例、22℃で水と無制限に混和する、又は少なくとも22℃で水に少なくとも200g/Lの量で溶解する有機溶媒である。これらには特に、ジメチルスルホキシド、アセトン、C1〜C4アルカノール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール又はtert.-ブタノール、アルカンジオール、例えばグリコール又は1,4-ブタンジオール、アルキルニトリル、例えばアセトニトリルだけでなく、環状エーテル、例えばジオキサン、メチルテトラヒドロフラン又はテトラヒドロフラン、窒素複素環、例えばピリジン又はN-メチルピロリジン及びその混合物も含まれる。好ましくは、水と混和できる有機溶媒は、C1〜C4アルカノール、とりわけメタノールである。
水と混和しにくい有機溶媒は通例、22℃で水に50g/L以下の量で溶解する有機溶媒である。これらは特に、脂肪族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、石油エーテル又はシクロヘキサン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、トリクロロメタン又はテトラクロロメタン、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン又はキシレン、ハロゲン化芳香族炭化水素、例えばクロロベンゼン又はジクロロベンゼン、ジアルキルエーテル、例えばジエチルエーテル、メチルtert.-ブチルエーテル又はジブチルエーテル及びその混合物が含まれる。水と混和しない有機溶媒は、好ましくは芳香族炭化水素、特にトルエン又はキシレン及びその混合物である。
溶離の温度及び圧力に関して、装填について述べられたものが適用される。溶離は、上昇でもまた下降でも行うことができる。溶離は、装填と同じ方向又はそれと反対の方向で行うことができる。
場合によって、溶離ステップの前に、細孔中及び吸着剤粒子間に存在する水、又は溶離に水不溶性有機溶媒を使用した場合に細孔中及び吸着剤粒子間に残留している水不溶性有機溶媒を、メタノール又はエタノールなどの水混和性有機溶媒で除去する。このため、水混和性有機溶媒を、吸着剤システム中に上方向に通過させる。水混和性有機溶媒の量は通常、床体積の0.5〜10倍、特に1〜5倍である。水混和性溶媒は、好ましくは1時間当たり0.5〜10、特に1〜8床体積の範囲の特定の流速(特定の装填)で通過させる。
存在する可能性がある不純物を除去するために、溶離に続いてさらなる洗浄ステップを行うことができる。
吸着剤システムは、バッチ式で運転することができ、その場合、1つ以上の、例えば2、3又は4つが直列に接続された、吸着剤を充填した静止した固定床を有している。これは、連続運転することもでき、その場合、通例、例えば「真の移動床(True Moving Bed)」システム(K. Takeuchi J. Chem. Eng. Jpn.、1978年、11 216〜220頁を参照)、「連続循環環状(Continuous Circulating Annular)」システム(J. P. Martin、Discuss. Faraday Soc. 1949年、7頁を参照)又は例えばUS2,985,589及びWO 01/72689及びG. J. RossiterらによるProceedings of AIChE Conference、カルフォルニア州Los Angeles、1991年11月又はH. J. Van Walsemら、J. Biochtechnol. 1997年、59、127頁に記載されているような「擬似移動床」システムの構成要素であってもよい5〜50、特に15〜40個の吸着剤床を有している。
溶離中に生じる溶離剤は、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)を含有し、このように濃縮形態で得ることができる。
溶離中に得られた溶出液は、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンを得るために通常の方法で処理される。溶出液に酸が含有されている場合、通例これを最初に、例えば水性抽出処理によって、又は塩基の添加によって中和し、それによって形成した塩を取り出すことによって、除去することになる。場合によって、溶出液は、例えば普通の蒸発装置システムにおける溶媒の除去によって、あらかじめ濃縮することができる。このようにして生じた濃縮物は、例えばその後の溶離において、再使用することができる。
このように、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン含有粗製生成物が得られ、これはおそらく他の低分子量成分及びおそらく使用した水性組成物の他の成分、例えばグアヤコール、バニリン、アセトバニロン又はリグニンを含有する。
本発明による方法の好ましい実施形態では、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン含有溶出液又は脱着若しくは溶離後に得られた粗製生成物は、さらなる精製ステップにかけられる。精製ステップには、例えば精留、結晶化又は液体クロマトグラフ分離が含まれていてよい。3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン含有溶出液又は粗製生成物は、蒸留によって精製される、又は結晶化されることが好ましい。
本発明は、後述の実施例に基づいてより詳細に例示されている。しかしながら、実施例は、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。
以下の実施例では、以下の略語が使用される:
BVは、床体積を表し、
DI水は、脱イオン水(純水)を表す。
[実施例]
I) 分析
使用した水性リグニン含有組成物の3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)及び他の有機成分の含有量を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって決定した。固定相として、Merck製のカラムChromolith(登録商標) High Resolution RP18e(長さ:100mm、直径4.6mm)を使用した。分析温度は、25℃であった。ここでは、2つの移動相を使用した:移動相Aとして0.1重量%過塩素酸を含むHPLC水、移動相Bとしてアセトニトリル。
II) 活性炭及びイオン交換樹脂を用いた3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)の吸着及び脱着
実施例II.1: Norit製のNorit(登録商標) ROY 0.8活性炭を用いた3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)の吸着及び脱着
使用した活性炭:
実験では、Norit製の活性炭Norit(登録商標) ROY 0.8を使用した。この活性炭は、石炭系押出物であり、水蒸気賦活後に水酸化ナトリウム溶液(水性NaOH)で数回洗浄する。活性炭のかさ密度は、400g/Lである。活性炭の含水量は、最大5%である。
使用したリグニン含有組成物:
リグニン含有組成物として、セルロースパルプ製造からの黒液(薄液)を使用した。実験のために、黒液を金属フィルター(フィルター孔径=90マイクロメートル)を用いてろ過した。ろ過した黒液のHPLC分析は、490mg/kgの3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)含有量を示した。
実験方法:
内径15mm及び高さ255mmのガラスカラムを設置し、約95%充填レベルまで活性炭Norit(登録商標) ROY 0.8で充填した。床体積(BV)は、約43mLであった。活性炭を、下方向に約5BV/時の速度で約10BVのDI水を用いて洗浄した。
有機成分の吸着のために、約12BVのろ過した黒液を、下方向に約2BV/時の速度でカラムに通過させた。カラムアウトフローを画分で回収した。画分を有機成分について分析した。達成された3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)の装填は、約0.04mol/Lであった。この後、活性炭を、下方向に約2BV/時の速度で5BVのDI水を用いて洗浄した。
洗浄ステップの後、酸洗浄を行って、吸着した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)をプロトン化した。このために、約1BVの5パーセント硫酸を、下方向に約2BV/時の速度でカラムに通過させた。この後、活性炭を、下方向に約2BV/時の速度で約5BVのDI水を用いて洗浄した。
活性炭粒子間及び細孔中に存在する水を除去するために、洗浄ステップの後に、上方向に約2BV/時の速度で約2BVの純粋なメタノールをカラムに通過させた。
吸着した3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの脱着のために、最初に、上方向に2BV/時の速度で約2BVの9:1の質量比のメタノールとトルエンの混合物をカラムに通過させた。次に、さらなる脱着のために、上方向に2BV/時の速度で約3BVの純粋なトルエンをカラムに通過させた。脱着ステップでは、カラムアウトフローを1つの画分で回収した。この画分を、その3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの含有量について分析した。3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの脱着レベルは、約3〜4%であった。
脱着ステップの後、上方向に約2BV/時の速度で約1BVの純粋なメタノールをカラムに通過させた。
メタノール洗浄の後、活性炭を、上方向に約5BV/時の速度で約10BVのDI水を用いて洗浄した。
実験の全てのステップは、室温で行った。
実施例II.2: Chemviron Carbon製のAquacarb(商標) 207C活性炭を用いた3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)の吸着及び脱着
使用した活性炭:
実験では、Chemviron Carbon製の活性炭Aquacarb(商標) 207Cを使用した。この活性炭は、蒸気で活性化させたココナッツ系粒状活性炭である。活性炭のかさ密度は、450g/Lである。活性炭の含水量は、最大10%である。
使用したリグニン含有組成物:
リグニン含有組成物として、セルロースパルプ生成物からの黒液(薄液)を使用した。実験のために、黒液を金属フィルター(フィルター孔径=90マイクロメートル)を用いてろ過した。ろ過した黒液のHPLC分析は、以下の濃度の有機成分を示した:バニリン457mg/kg、アセトバニロン349mg/kg、グアヤコール506mg/kg及び3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシ-スチルベン308mg/kg。
実験方法:
内径15mm及び高さ255mmのガラスカラムを設置し、約95%充填レベルまで活性炭Aquacarb(商標) 207Cで充填した。床体積(BV)は、約43mLであった。活性炭を最初に、下方向に約5BV/時の速度で約10BVのDI水を用いて洗浄した。
有機成分の吸着のために、約12BVのろ過した黒液を、下方向に約2BV/時の速度でカラムに通過させた。カラムアウトフローを画分で回収した。画分を有機成分について分析した。達成された活性炭上の個々の有機成分の装填は:バニリン0.02mol/L、アセトバニロン0.01mol/L、グアヤコール0.03mol/L及び3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン0.01mol/Lであった。この後、活性炭を、下方向に約2BV/時の速度で約5BVのDI水を用いて洗浄した。
洗浄ステップに続いて酸洗浄を行って、吸着した有機アニオンをプロトン化した。このために、約1BVの5パーセント硫酸を、下方向に約2BV/時の速度でカラムに通過させた。この後、活性炭を、下方向に約2BV/時の速度で約5BVのDI水を用いて洗浄した。
活性炭粒子間及び細孔中に存在する水を除去するために、洗浄ステップの後に上方向に約2BV/時の速度で約2BVの純粋なメタノールをカラムに通過させた。
吸着した有機成分の脱着のために、最初に、上方向に2BV/時の速度で約2BVの1:1の質量比のメタノールとトルエンの混合物をカラムに通過させた。次に、さらなる脱着のために、上方向に2BV/時の速度で約3BVの純粋なトルエンをカラムに通過させた。脱着ステップでは、カラムアウトフローを1つの画分で回収した。この画分を、有機成分の含有量について分析した。達成した個々の有機成分の脱着レベルは:バニリンで89%、アセトバニロンで95%、グアヤコールで89%及び3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンで8%であった。
脱着ステップの後、上方向に約2BV/時の速度で約1BVの純粋なメタノールをカラムに通過させた。
メタノール洗浄の後、活性炭を、上方向に約5BV/時の速度で約10BVのDI水を用いて洗浄した。
実験の全てのステップは、室温で行った。
実施例II.3からII.6: 種々のアニオン交換樹脂を用いた3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)の吸着及び脱着
使用したアニオン交換樹脂:
実験では、以下のアニオン交換樹脂を使用した:
Figure 2017538807
使用したリグニン含有組成物:
リグニン含有組成物として、セルロースパルプ製造からの黒液(薄液)を使用した。実験のために、黒液を金属フィルター(フィルター孔径=90マイクロメートル)を用いてろ過した。ろ過した黒液のHPLC分析は、以下の濃度の有機成分を示した:バニリン447mg/kg、アセトバニロン268mg/kg、グアヤコール460mg/kg及び3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシ-スチルベン490mg/kg。
実験方法:
内径15mm及び高さ255mmのガラスカラムを設置し、約90%充填レベルまでそれぞれのアニオン交換樹脂で充填した。床体積(BV)は、約40mLであった。アニオン交換樹脂をOH形態に転換するため、アニオン交換樹脂Dowex Monosphere 550A OHを除いて、これらを最初に4パーセントNaOH溶液で、次いで下方向に約5BV/時の速度で約10BVのDI水を用いて洗浄した。
有機成分の吸着のために、約6BVのろ過した黒液を、下方向に約2〜4BV/時の速度でカラムに通過させた。カラムアウトフローを画分で回収した。画分を有機成分について分析した。達成されたそれぞれのアニオン交換樹脂上の有機成分の装填は:
Dowex Monosphere 550A OH: 0.07mol/L樹脂
Amberlite IRA 410 Cl: 0.07mol/L樹脂
Lewatit Ionac SR7: 0.05mol/L樹脂
Lewatit Ionac SR6: 0.05mol/L樹脂
であった。この後、活性炭を、下方向に約2BV/時の速度で約5BVのDI水を用いて洗浄した。
吸着した有機成分の脱着のために、上方向に2〜4BV/時の速度で約5BVの5%硫酸、45%メタノール及び50%DI水の混合物をカラムに通過させた。脱着ステップでは、カラムアウトフローを1つの画分で回収した。この画分を、有機成分の含有量について分析した。達成した個々の有機成分の脱着レベルを以下に列挙する:
Figure 2017538807
脱着ステップの後、活性炭を、下方向に約2BV/時の速度で約10BVのDI水を用いて洗浄した。
アニオン交換樹脂の再生のために、上方向に約2〜4BV/時の速度で約5BVの4〜10パーセントNaOH溶液をカラムに通過させ、次いでそれを、下方向に約4BV/時の速度で約10BVのDI水を用いて洗浄した。
実験の全てのステップは、室温で行った。
III) スメリングストリップ(Smelling strip)試験:
3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシ-スチルベン又は(E)-3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの匂いの質及び強度を試験するために、スメリングストリップ試験を行った。
これらは、化合物(E)-3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンが、暗所で保存した後でも光に曝露した後でも、甘い(香気をつけた(aromatized))匂い印象、特に加糖乳を連想させる典型的なバニラ様の匂い印象を誘発することを示す。
この典型的なバニラ様の匂い印象は、(E)3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンが太陽光に曝露されると、著しく強くなる。バニラ様の匂い印象の増強は、匂い研究室で定量化できないが、誰にでも認知可能である。

Claims (15)

  1. 匂い物質としての化合物3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)
    Figure 2017538807
    の使用。
  2. 化合物(I)が、E異性体(I-E)として
    Figure 2017538807
    又は主にE異性体(I-E)を含有するE/Z異性体混合物として存在する、請求項1に記載の使用。
  3. 光の作用下でバニラの匂いを生じさせるための請求項1又は2に記載の化合物(I)の使用。
  4. 化合物(I)が、追加として担体を含有する組成物の成分である、請求項1から3の一項に記載の使用。
  5. 組成物が、粉末状洗剤、洗濯用柔軟剤、洗浄剤、芳香剤含有衛生用品、芳香剤ディスペンサー及び香水から選択される、請求項4に記載の使用。
  6. 化合物(I)が、粉末状洗剤及び/又は洗濯用柔軟剤の成分である、請求項4又は5に記載の使用。
  7. 請求項1又は2に記載の化合物(I)及び担体を含有する芳香組成物及び/又は臭気材料であって、芳香組成物及び/若しくは臭気材料に匂いを付与する、又は芳香組成物及び/若しくは臭気材料の匂いを変更する量で化合物(I)を含有する、上記芳香組成物及び/又は臭気材料。
  8. 組成物に匂いを付与する、又は変更する方法であって、請求項1から2に記載の化合物(I)を、組成物に匂いを付与する、又は組成物の匂いを変更する量で組成物に加える、上記方法。
  9. 水性アルカリ性リグニン含有組成物から3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)を得る方法であって、場合によってアルカリで又は酸化的に処理された水性塩基性リグニン含有組成物を固体吸着剤で処理し、吸着剤を水性アルカリ性リグニン含有組成物から分離し、次いで3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)を得るために吸着剤を溶離剤で処理し、それによって3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン含有溶出液を得ることを特徴とする、上記方法。
  10. 溶離剤が、有機溶媒から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 溶離剤が、C1〜C4アルカノール、芳香族炭化水素、及びその混合物から選択される、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン含有溶出液が、さらなる精製ステップにかけられる、請求項9から11の一項に記載の方法。
  13. 水性アルカリ性リグニン含有組成物が、製紙工業、セルロースパルプ又はセルロース製造からの黒液である、請求項9から12の一項に記載の方法。
  14. 固体吸着剤が、架橋塩基性又はカチオン性の有機ポリマー樹脂及び活性炭から選択される、請求項9から13の一項に記載の方法。
  15. 固体吸着剤が、活性炭から選択される、請求項9から14の一項に記載の方法。
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