JP2017533236A - リグニンを含有する組成物からの価値のある芳香族生成物の抽出方法 - Google Patents

リグニンを含有する組成物からの価値のある芳香族生成物の抽出方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、少なくともpH10、特に少なくともpH11、とりわけ少なくともpH12のpHを有する、水性のアルカリリグニン含有組成物から芳香族化合物を抽出する方法であって、水性のアルカリリグニン含有組成物を活性炭で処理し、活性炭を水性のアルカリリグニン含有組成物から分離し、且つ、続いて活性炭を、芳香族化合物を抽出するための脱離工程に供し、ここで、脱離工程が、
(i)1つ以上の芳香族炭化水素から実質的になる有機溶媒、又は少なくとも1つの芳香族炭化水素と、少なくとも1つのC1-C4アルカノールとの混合物による、あるいは
(ii)水蒸気による
活性炭の処理を含み、ここで、芳香族化合物を含む溶出物が得られることを特徴とする、方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、水性のアルカリリグニン含有組成物から価値のある芳香族生成物を得る方法に関する。
再生可能な原材料の、特に芳香剤及び矯味剤として好適である価値のある化学物質への変換は、非常に重要である。リグニン化(木質化)の間に植物の細胞の細胞壁に組み込まれるバイオポリマーのリグニンは、リグニン化された植物の乾燥質量の20〜30%を構成する。したがって、木材から木材パルプへのプロセスにおいては、大量のリグニン及びリグニン含有物質、例えばアルカリリグニン、リグニンサルフェート、又はリグニンスルホネートが廃棄物又は副産物として発生する。リグニン含有物質の総生産量は、約200億トン/年と推定されている。木材プロセスで生じるリグニンの一部は、この時点でさらに使用される。例えば、紙製造で発生する黒液のアルカリ処理によって製造可能であるアルカリリグニンは、北米において、木材及びセルロースをベースとするプレスシートのための結合剤として、分散剤として、糖溶液の清澄化のために、アスファルトエマルジョンの安定化のために、さらには泡安定化のために使用される。しかしながら、圧倒的に大部分の廃棄リグニンは、例えばパルププロセスのために、エネルギー源として、燃焼により使用される。
バイオポリマーであるリグニンは、植物の細胞壁に存在し、p-クマリルアルコール、コニフェリルアルコール、及びシナピルアルコールなどの異なるフェノールモノマービルディングブロックから構成される一群の三次元巨大分子を含む。リグニンは、その組成のために、石油に加えて、自然の芳香族化合物の単独の重要な供給源である。したがって、リグニンは、価値のある再生可能な物質である。さらに、この再生可能な天然物(自然物)の利用は、食品としての使用と競合しない。
従来技術では、リグニン含有組成物から、個々の価値のある芳香族物質、例えば4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)などを得ることが知られている。
EP 2157184 A1及びDE 2928862 A1は、フェルラ酸からバニリンを抽出するための生体内変換を含む方法であって、生体内変換後に得られる、バニリン、フェルラ酸、バニリン酸、バニリルアルコール、及びグアイアコールを含む溶液を、バニリンを抽出することを目的として、活性炭又は合成樹脂で処理する、方法について記載する。次いで、活性炭又は合成樹脂に結合されたバニリンを、95%濃度のエタノールを用いて脱離させる。生体内変換後に得られる溶液のpHは、7〜9の範囲である。
EP 2157184 A1 DE 2928862 A1
DE 2928862 A1は、木材パルプが工業的に抽出されるときに生じる硫化物廃液を利用する方法であって、硫化物廃液をリン酸で満たし(admiss)、加熱して、ここで、二酸化硫黄に加えて他の揮発性生成物、特にギ酸、酢酸、並びに芳香族フルフラール及びシメンもまた、空気を導入することによって、硫化物廃液から排出される、方法について記載する。蒸気中に存在する二酸化硫黄、ギ酸、及び酢酸の大部分は、凝縮される。非凝縮ガス成分(オフガス)は、石灰乳、亜硫酸カルシウム溶液、又はCaCO3懸濁物に通され、残留SO2並びに特にフルフラール及びシメンを含む、非凝縮オフガスの残留残渣は、活性炭に取り込まれる。次いで、活性炭に取り込まれた成分は、例えば蒸気によって加熱することにより回収することができる。この方法は、多くのプロセス工程を含み、ガス抽出を含み、廃棄する必要のある多くの廃棄物質を生成するので、リグニン含有組成物から価値のある芳香族物質を抽出するためには、限界がある。さらに、多量の鉱酸が必要である。
M.Zabkovaら、Sep. Purif. Technol. 2007、55, 56-68は、アルカリ溶液の中和を伴う、陽イオン交換体によるアルカリリグニン溶液からの価値のある芳香族物質、特にバニリン又はバニレートの抽出について記載する。この場合、バニレートはH+型の陽イオン交換体を通過し、それによってプロトン化されてバニリンを形成する。この陽イオン交換体は、緩衝溶液の存在下において、中和状態へとカップリングされる(バニレート/バニリン)。この方法は、アルカリ性反応媒体の中和のために多量の酸を必要とする。酸性化によって、リグニンは溶液から沈殿し、濾別しなければならず、所望の価値のある芳香族物質の濾過に起因する損失を引き起こす可能性がある。
さらに、M.Zabkovaら、J. Membr. Sci. 2007、301 (1-2)、221-237は、管状セラミック膜を通す限外ろ過を用いて、クラフトリグニンの酸化で生じる水性アルカリ反応流から取り出すステップについて記載する。欠点は、限外ろ過とそれに関連する費用の比較的高い支出、及び低負荷容量である。したがって、バニリンの効率的な取り出しは、低い透過速度でのみ可能である。より高い透過速度を可能にする膜は、リグニン排出の増加につながり、その取出しにはさらなる分離工程が必要となる。さらに、酸化膜の構造は、腐食の影響を受けるので、アルカリ媒体への長時間の曝露に適さない。
WO 2014/006108 A1は、例えば水性のアルカリリグニン含有溶液又は懸濁物の酸化において生じるような、水性のアルカリバニリン含有組成物からバニリンを得る方法であって、アルカリバニリン含有組成物を陰イオン交換樹脂で処理する、方法について記載する。陰イオン交換樹脂に結合されたバニリンは、メタノール中の希鉱酸を使用して、又は酢酸エチル中の酢酸によって、さらに結合された価値のある芳香族物質に加えて、脱離される。
また、この方法では、陰イオン交換樹脂に結合された価値のある芳香族物質、例えばバニリンの脱離のために、酸が必要とされる。イオン交換樹脂を用いて価値のある芳香族生成物を得ることの欠点は、これが化学的操作であり、それによって得られる生成物をもはや「天然物」として分類することができないことである。さらに、イオン交換体は、アルカリリグニン含有溶液中に存在する無機物質にも結合され、それによってイオン交換体の吸着能力の大部分が失われるので、芳香族化合物の吸着において、十分な選択性及び有効性を有さない。
本発明の目的は、水性のアルカリリグニン含有組成物から価値のある芳香族物質を得るための堅実で効率的な方法であって、多量の酸の使用を実質的に回避することができる、方法を提供することである。さらに、本方法は、可能な限り純粋な物理的プロセスに基づき、水性のアルカリリグニン含有組成物から良好な選択率で価値のある芳香族物質を得ることを可能にする。
これらの目的及び他の目的は、以下に記載する、少なくともpH 10、特に少なくともpH 11、とりわけ少なくともpH 12のpHを有する水性のアルカリリグニン含有組成物から芳香族化合物を得るための方法によって達成される。本方法は、水性のアルカリリグニン含有組成物を活性炭で処理するステップであって、水性のアルカリリグニン含有組成物中に存在する芳香族化合物が、活性炭の表面に物理的に吸着される、ステップを含む。1つ以上の芳香族炭化水素から実質的になる有機溶媒、又は少なくとも1つの芳香族炭化水素と、少なくとも1つのC1-C4アルカノールとの混合物である有機溶媒による、及び/あるいは蒸気によるその後の脱離によって、芳香族化合物を含む溶出物が得られる。
したがって、本発明は、少なくともpH10、特に少なくともpH11、とりわけ少なくともpH12のpHを有する水性のアルカリリグニン含有組成物から芳香族化合物を得る方法であって、方法が、水性のアルカリリグニン含有組成物を活性炭で処理するステップ、活性炭を水性のアルカリリグニン含有組成物から分離するステップ、及び、続いて活性炭を、芳香族化合物を得るための脱離工程に供するステップを含み、ここで、脱離工程が、活性炭を、
(i)1つ以上の芳香族炭化水素から実質的になる有機溶媒、又は少なくとも1つの芳香族炭化水素と、少なくとも1つのC1-C4アルカノールとの混合物である有機溶媒で、あるいは
(ii)蒸気で
処理するステップを含み、ここで、芳香族化合物を含む溶出物が得られる、方法に関する。
本発明による方法は、特に、水性のアルカリリグニン含有組成物から価値のある芳香族物質を得るために、酸の使用を実質的に避けることができるという点で区別される。活性炭から脱離された価値のある物質は、実質的に塩を含まず、したがって、後処理工程を経ずに、さらなる精製工程に供給することができる。
水性のアルカリリグニン含有組成物中に存在する価値のある芳香族物質は、本発明の方法において使用される活性炭上に吸着され、それにより良好な選択率でその取り出しが可能になる。さらに、活性炭に結合された価値のある物質は、容易に脱離することができ、その結果、それらを高収率で回収することができる。したがって、本方法は、リグニンの分解中に形成される価値のある芳香族物質の効率的かつ連続的な取り出しを可能にする。
本発明による方法は、単純で堅実であり、工業的規模で実施することもできる。
さらに、本方法は、純粋な物理的プロセスに基づく。したがって、本方法を使用して、アルカリリグニン含有組成物から得られ、リグニンの自然の酸化分解で形成される、価値のある生成物は、「天然物」として分類することができる。
本発明の詳細な説明
基本的には、本発明による方法では、アルカリ性のpHを有する任意の所望の水性のリグニン含有組成物を使用することができ、ここで、pHは、一般に少なくともpH10、特に少なくともpH11、とりわけ少なくともpH12であり、pH14であってもよい。
一般に、本発明による方法では、アルカリで、又は酸化的に、予め処理されている、水性のアルカリリグニン含有組成物を使用することもできる。この場合、本発明に関連して、これは、リグニン又はリグニン誘導体をアルカリ水溶液中に溶解することによって、及び/又は水性のアルカリリグニン含有組成物の、部分的な酸化によって、とりわけ電気分解によって得られた、水性のアルカリリグニン含有組成物である。
水性のアルカリリグニン含有組成物を製造するために使用されるリグニン又はリグニン誘導体は、例えば、黒液からのリグニン、クラフトリグニン(craft lignin)、リグノサルフェート、リグノスルホネート、アルカリリグニン、ソーダリグニン、オルガノソルブ(Organosolv)リグニン、あるいは工業的プロセス、例えば製紙原料、木材パルプ、又はセルロースの製造において生じる対応する残渣、例えば黒液からのリグニン、サルファイトプロセスからのリグニン、サルフェートプロセスからのリグニン、オルガノセル(Organocell)又はOrganosolvプロセスからのリグニン、ASAMプロセスからのリグニン、クラフトプロセスからのリグニン、又は自然のパルプ化プロセスからのリグニンの中から選択される。
これに対応して、部分的な酸化に使用される水性のアルカリリグニン含有組成物は、工業的プロセス、例えば製紙原料、木材パルプ、又はセルロースの製造の副産物、例えば黒液、さらには、サルファイトプロセスからのリグニン含有廃水流、Organocell又はOrganosolvプロセスからのリグニン含有廃水流、ASAMプロセスからのリグニン含有廃水流、クラフトプロセスからのリグニン含有廃水流、又は自然のパルプ化プロセスからのリグニン含有廃水流として生じるアルカリ溶液又は懸濁物である。
場合により、アルカリで、又は酸化的に処理されている、水性のアルカリリグニン含有組成物は、一般に、少なくともpH10、しばしば少なくともpH11、特に少なくともpH12のpHを有する。
場合により、アルカリで、又は酸化的に処理されている、水性のリグニン含有組成物は、一般に、水性のリグニン含有組成物の総重量に基づいて、0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%、特に1〜10重量%のリグニンを含む。
本発明による方法の好ましい実施形態では、水性のアルカリリグニン含有組成物として、製紙原料、木材パルプ、又はセルロースの製造からの水性のリグニン含有廃水流が使用される。
本発明による方法の特に好ましい実施形態では、水性のアルカリリグニン含有組成物の製造のために、製紙産業、製紙原料製造、又はセルロース製造からの黒液が使用される。
水性のアルカリリグニン含有組成物を製造するためのアルカリ又は塩基として、あるいは、水性のアルカリリグニン含有組成物のpHを設定するために、主に、無機塩基、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えばNaOH又はKOH、アンモニウム塩、例えば水酸化アンモニウム、及びアルカリ金属炭酸塩、例えばソーダ(soda)の形態の炭酸ナトリウムなど、を使用することができる。アルカリ金属水酸化物、特にNaOH及びKOHが好ましい。水性のリグニン含有懸濁物又は溶液中の無機塩基の濃度は、5mol/l、特に4mol/lを超えるべきではなく、典型的には、0.01〜5mol/lの範囲、特に0.1〜4mol/lの範囲である。
本発明による方法の第1の工程では、水性のアルカリリグニン含有組成物を、活性炭で処理し、その後、活性炭を、水性のアルカリリグニン含有組成物から分離する。この場合、芳香族化合物は活性炭上に吸着される。この操作はまた、ローディング(装填)工程(loading step)とも称される。
本発明による方法では、一般に、全ての市販の活性炭を使用することができる。好適な活性炭は、主に、化学的に活性化される活性炭ではなく、あるいは、化学的に前処理、例えば塩基含浸又は洗浄することができる。
本発明による方法の好ましい実施形態では、活性化されている活性炭は、蒸気で活性化されている活性炭である。蒸気で活性化されている活性炭は、一般に市販されている活性炭、例えばChemviron Carbon製のCAL(登録商標)又はAquacarb(登録商標)207C、Norit製のNorit(登録商標)ROY 0.8及びNorit(登録商標)GAC 1240、又はEpibon(登録商標)A 8×30、又はDonau Carbon製のHydraffin(登録商標)30Nなどである。
塩基含浸活性炭は、上記で定義したように、塩基で前処理されている活性炭である。好ましくは、塩基含浸活性炭は、NaOHで前処理されている活性炭である。含浸のために、活性化されている活性炭は、一般に、塩基の水溶液で2回以上洗浄される。
一般に、本発明により使用される活性炭は、DIN ISO 9277:2003-05において規定されるBET法による窒素吸着によって測定された場合に、500〜1500m2/gの範囲、好ましくは700〜1300m2/gの範囲の比表面積を有する。
さらに、本発明により使用される活性炭は、通常、活性炭100g当たり少なくとも15gのメチレンブルー、好ましくは活性炭100g当たり少なくとも20gのメチレンブルーの吸着容量を有する。
本発明により使用される活性炭の粒度は、通常0.2〜5mmの範囲、好ましくは0.4〜3mmの範囲である。
水性のアルカリリグニン含有組成物は、一般に、10〜100℃の範囲、好ましくは10〜70℃の範囲、特に15〜50℃の範囲の温度において、活性炭で処理される。
水性のアルカリリグニン含有組成物は、一般に、周囲圧力において、活性炭で処理されるが、特に活性炭が、床又は固定床として、例えば、充填カラムの形態で存在する場合には、高圧下において処理することもできる。好ましくは、水性のアルカリリグニン含有組成物は、1〜50バールの範囲、好ましくは1〜30バールの範囲、特に好ましくは1〜10バールの範囲の圧力において、活性炭で処理される。
水性のアルカリリグニン含有組成物を活性炭で処理するために、前記活性炭を、例えば水性のアルカリリグニン含有組成物に添加することができる。一定の滞留時間の後、活性炭を水性のアルカリリグニン含有組成物から分離する。それは、通常の固液分離プロセスによって、例えばろ過、沈降、又は遠心分離によって、分離することができる。
好ましくは、活性炭に装填するために、水性のアルカリリグニン含有組成物は、例えば、1つ以上の、並列又は連続的に配列された活性炭を充填したカラム(活性炭充填カラム)(以下、吸着剤装置(absorbent arrangement)とも称される)を通して、少なくとも1つの活性炭の床、又は固定床の上に、1回、又は2回以上通される。
水性のアルカリリグニン含有組成物は、下方に向かってだけでなく上方に向かっても、吸着剤装置に通され得る。好ましくは、水性のアルカリリグニン含有組成物を、下方に向かって通過させる。比流速(比負荷速度)は、好ましくは0.2〜35床体積/時間(BV/h)の範囲、特に0.5〜10BV/hの範囲、とりわけ1〜5BV/hの範囲である。この通過は、0.1〜50m/hの範囲の線速度で進行することが好ましい。
リグニン含有懸濁物又は溶液と固体活性炭の相対量は、通常、水性のアルカリ組成物中に存在する価値のある芳香族物質の、少なくとも35%、特に少なくとも50%が、活性炭によって吸収されるように選択される。水性のアルカリ組成物の量は、床体積の、100倍量、特に2〜50倍量である。吸着の程度に応じて、吸着剤装置、例えば、吸着剤充填カラムの出口で生じる溶出物は、依然として価値のある芳香族物質を含み得るので、溶出物は、場合により、さらなる吸着剤装置、例えばさらなる活性炭充填カラムに通すことができる。
場合により、水性のアルカリリグニン含有組成物からの活性炭の吸着及び分離に続いて、洗浄工程を進行することができる。通常、芳香族化合物が装填された活性炭を洗浄するためには、水性液体を使用する。水性液体は、水、又は水と水混和性有機溶媒との混合物であって、水が混合物の主成分、特に混合物の90体積%を構成する混合物を意味する。水性液体のpHは、通常、中性範囲、すなわちpH6〜pH8の範囲である。洗浄工程は、一般に、活性炭の装填について上記で定義したような温度及び圧力で進行する。活性炭が吸着剤装置において装填される場合、水性液体、特に水は、上方に向かって又は下方に向かって吸着剤装置に通される。水性液体(以下、洗浄水ともいう)の量は、この段階で、通常床体積の1〜20倍、特に床体積の2〜10倍である。洗浄水の通過は、通常、0.5〜10BV/hの範囲、特に1〜8BV/hの範囲の比流速(比負荷)、又は0.1〜50m/hの範囲の線速度で進行する。この場合に生じる洗浄水は、少量の価値のある芳香族物質を含む可能性があり、その後、装填中に生じる溶出物と合わせることができる。
場合により、装填工程の後に、又は特に洗浄工程の後、脱離の前に、活性炭を、酸、特に鉱酸又は有機スルホン酸の水溶液で処理することができる。この場合、活性炭に結合された価値のある芳香族物質は、プロトン化又は中和される。続いて、1つ以上の芳香族炭化水素から実質的になる有機溶媒、又は少なくとも1つの芳香族炭化水素と、少なくとも1つのC1-C4アルカノールとの混合物である有機溶媒で、あるいは蒸気で、活性炭を処理することにより価値のある物質が脱離される。
好適な鉱酸は、塩酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、又は硫酸である。好適な有機スルホン酸は、主に、メタンスルホン酸である。特に好ましい鉱酸は、硫酸である。好ましくは、酸の水溶液は、0.01〜10molkg-1の範囲、好ましくは0.1〜5molkg-1の範囲、特に0.1〜2molkg-1の範囲の酸濃度を有する。
場合により、水性の希酸での処理の前及び/又は後に、活性炭を水で洗浄する。
活性炭が吸着剤装置において装填される場合、水性の希酸は、場合により洗浄工程の後に、上方に向かって又は下方に向かって吸着剤装置に通され、任意の結合された価値のある陰イオン性芳香族物質をプロトン化する。水性の希酸の量は、通常、床体積の0.1〜10倍、特に床体積の0.5〜5倍である。水性の希酸は、通常、0.5〜10BV/hの範囲、特に1〜8BV/hの範囲の比流速(比負荷速度)で通される。
水性の希酸による処理を実施する場合、この処理に続いて、水性液体、特に水によるさらなる洗浄工程を行うことができる。水性液体の量及び流速に関して、上記の洗浄工程に関連して記載されたことが適用される。
吸着、及び場合により続いて行われる洗浄工程に続いて、活性炭に結合された価値のある物質を遊離(脱離)させる。脱離のために、活性炭は、1つ以上の芳香族炭化水素から実質的になる有機溶媒、又は少なくとも1つの芳香族炭化水素と、少なくとも1つのC1-C4アルカノールとの混合物である有機溶媒で処理される(変法(i))か、あるいは蒸気で処理される(変法(ii))。
通常、第1の変法(i)による、活性炭上に結合された価値のある芳香族物質の脱離に使用することができる芳香族炭化水素として好適なものは、溶媒として通常使用される任意の芳香族炭化水素、及びそれらの混合物である。
第1の変法(i)による活性炭に結合された価値のある芳香族物質の脱離のための本発明による方法において使用される芳香族炭化水素は、例えば非ハロゲン化芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、又はキシレン、及びハロゲン化芳香族炭化水素、例えばクロロベンゼン又はジクロロベンゼン、並びにそれらの混合物である。好ましくは、芳香族炭化水素は、炭化水素、トルエン、又はキシレン、及びそれらの混合物である。
第1の変法(i)における脱離に使用される有機溶媒は、通常、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも95重量%、又はそれ以上、例えば最大97重量%の、1つ以上の上記の芳香族炭化水素、又は少なくとも1つの上記の芳香族炭化水素と、少なくとも1つのC1〜C4アルカノールとの混合物を含む。少なくとも1つのC1-C4アルカノールを有する、少なくとも1つの上記の芳香族炭化水素の混合物を使用する場合、混合物中の少なくとも1つの芳香族炭化水素の割合は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%、特に少なくとも90重量%である。
脱離工程の変法(i)の好ましい実施態様では、脱離に使用される有機溶媒は、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも95重量%、又はそれ以上、例えば最大97重量%の、トルエン若しくはキシレンから選択される1つ以上の芳香族炭化水素、又は少なくとも1つのこれらの芳香族炭化水素と、メタノール及び/若しくはエタノールとの混合物を含み、ここで、混合物中の少なくとも1つの芳香族炭化水素の割合は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%、特に少なくとも90重量%である。
脱離工程の変法(i)のさらに好ましい実施形態では、脱離に使用される有機溶媒は、少なくとも1つの芳香族炭化水素のみを含む。
好ましくは、脱離工程の変法(i)では、活性炭は、実際の脱離の前に、少なくとも1つの水混和性溶媒により、好ましくは少なくとも1つのC1-C4アルカノールにより、特にメタノール及び/又はエタノールにより最初に処理されて、活性炭粒子間の水とその中に存在する細孔中の水とを除去する(洗浄工程)。
それに続いて、実際の脱離を、少なくとも1つの上記で定義した芳香族炭化水素と、C1-C4アルカノール、特にメタノール及び/又はエタノールとの混合物を含む有機溶媒を使用して実施し、ここで、混合物中の少なくとも1つの芳香族炭化水素の割合は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%、特に少なくとも90重量%である。
脱離のための、代替物として、又は好ましくはそれに加えて、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、特に好ましくは95重量%、又はそれ以上、例えば最大97重量%の、1つ以上の上記で定義した芳香族炭化水素を含む有機溶媒を使用することができる。
同様に好ましくは、さらなる脱離のために、少なくとも1つの上記で定義した芳香族炭化水素のみを含む有機溶媒も使用することができる。
活性炭の装填が、装填、並びに場合により洗浄工程及び/又は水性の酸での処理の後に、吸着剤装置において進行する場合、上記で定義する、有機溶媒は、吸収剤装置に通され、ここで、結合され、場合により中和又はプロトン化された、価値のある物質は、脱離及び溶出し、同時に、活性炭は、再生される。有機溶媒の量は、床体積(BV)の、通常0.1〜20倍の量、特に0.5〜15倍の量、例えば1〜10倍の量である。有機溶媒(溶離剤)は、通常、0.5〜20BV/hの範囲、好ましくは0.5〜10BV/hの範囲、特に1〜8BV/hの範囲の比流速(比負荷速度)で通される。
脱離中の温度に関しては、装填について記載したことが適用される。溶出は上方に向かって又は下方に向かって行うことができる。溶出は、装填と同じ方向に、又はそれとは反対の方向に行うことができる。好ましくは、溶出は、装填とは反対の方向に行われる。
場合により、溶出工程の前に、細孔中及び吸着剤粒子間に存在する水、又は、水不溶性有機溶媒を溶出に使用した場合には、吸着剤粒子間に残存する水不溶性有機溶媒を、水溶性有機溶媒、例えばメタノール及び/又はエタノールで除去する。この目的のために、水混和性有機溶媒は、上方に向かって吸着剤装置に通される。水混和性有機溶媒の量は、通常、床体積の0.5〜10倍の量、特に床体積の1〜5倍の量である。水混和性有機溶媒は、好ましくは、0.5〜10、特に1〜8床体積/時間の範囲の比流速(比負荷速度)で通される。
溶出に続いて、さらなる洗浄工程を行い、場合により存在する汚染物質を除去することができる。
溶出で生じる溶出物は、通常の方法で後処理され、価値のある芳香族物質が得られる。溶出物が酸を含む場合、酸は、通常、例えば水性抽出後処理によって最初に除去されるか、又は塩基を添加することによって中和され、結果として形成される塩は、分離される。場合により、例えば通常のエバポレーター装置で溶媒を除去することによって、溶出物を予め濃縮することができる。この場合に生じる凝縮物は、例えば続く溶出において、再使用することができる。
吸着剤装置は、バッチ式に操作することができ、その上、1つ以上、例えば、2つ、3つ、又は4つの、直列に接続された、活性炭が充填されている静止固定床として操作することができる。吸着剤装置はまた、連続的に操作することもでき、その上、通常5〜50個、特に15〜40個の吸着剤床を有し、それは、例えば「実移動床(true moving bed)」装置(K. Tekeuchi J. Chem. Eng. Jpn.、1978、11 pp.216-220を参照)、「連続循環環状装置(Continuous Circulating Annular)」(J. P. Martin、Discuss. Farraday Soc. 1949、p. 7を参照)、又は例えばUS 2 985 589及びWO 01/72689、並びにG. J. Rossiterら、Proceedings of AIChE Conference、Los Angeles、CA、Nov. 1991、若しくはH. J. Van Walsemら、J. Biochtechnol. 1997、59、p. 127に記載される「擬似移動床(Simulated Moving Bed)」装置の構成要素であり得る。
変法(i)による脱離の後、価値のある芳香族物質は、通常、脱離に使用される有機溶媒中の富化(enriched)形態の溶出物として得られる。
脱離工程の変法(ii)では、活性炭に結合された価値のある芳香族物質は、蒸気により、価値のある芳香族物質が装填された活性炭を蒸気処理することによって、脱離される。好ましくは、蒸気が活性炭を通って流れるように手順が行われる。この目的のために、通常、蒸気は、吸収のために使用される活性炭の床、又は固定床、例えば活性炭充填カラムに導入される。あるいは、この目的のために、活性炭を蒸気流に導入することもできる。蒸気による脱離の場合、活性炭上に見出される価値のある芳香族物質は、容易に吸収可能な蒸気によって置換され、取り込まれる。この場合、活性炭は同時に再生される。
蒸気の凝縮後、価値のある芳香族物質は、水溶液又は懸濁物の形態で得られる。通常、水溶液又は懸濁物は、さらなる後処理工程に付され、脱離された価値のある芳香族物質を水相から分離する。
水とわずかにしか混合しない価値のある芳香族物質は、通常、自己分離(相分離)プロセスによって分離することができる。通常、この目的のために、生成物流は、相分離器(デカンター)に通され、ここで、前記生成物流は、機械的な沈降によって、2相(有機相及び水相)に分けられ、2相は、別々に分離することができる。
そうでなければ、水性-有機混合物を分離するための、当業者に一般に知られている公知の方法、例えば蒸留、液体抽出、又は液体クロマトグラフのプロセスによって、分離を行うことができる。
分離を実現することができない場合、又は自己分離(相分離)の経路では不完全にしか分離を実現することができない場合、分離は、好ましくは、上記で定義したような、水とわずかにしか混和しないか、又は全く混和しない溶媒を使用して、抽出することによって実施することもできる。
蒸気による脱離は、通常、周囲圧力又は高圧で進行する。好ましくは、蒸気による脱離は、1〜5バールの範囲、好ましくは1〜3バールの範囲の圧力で進行する。
蒸気による脱離の間、活性炭の温度は、通常、100〜150℃の範囲、好ましくは100〜130℃の範囲である。
通常、脱離に必要な蒸気の量と活性炭に吸着された価値のある芳香族物質の量との重量比は、1:1〜20:1の範囲、好ましくは2:1〜10:1の範囲、特に3:1〜6:1の範囲である。
本発明による方法のこの好ましい実施形態では、脱離工程は、装填操作の後に進行することができ、場合により、次の洗浄工程は、蒸気によって代わりに進行することができる。この目的のために、蒸気は、0.1〜0.3m/sの連続流速で、吸収剤装置に通され、その後凝縮される。その後、脱離物は、水を除去するために、上記のように抽出によって後処理される。
このようにして、価値のある芳香族物質を富化形態で含む粗生成物が得られる。
本発明による方法は、特に、リグニンの酸化的及び/又は酵素的な分解で形成される芳香族化合物、並びにリグニン含有組成物中に自然に存在する芳香族化合物を得るのに適している。
好ましくは、本方法によって得ることができる芳香族化合物は、一般式(I)及び(II)
Figure 2017533236
(式中、
Xは、H、-CHO、-(C=O)CH3、-COOH、-CH=CH-COOH、又は-CH=CH-CH2-OHであり、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、互いに独立して、H、-OH、-CH3、又は-OCH3である)
の化合物から選択される。
一般式(I)の芳香族化合物は、例えば、ベンズアルデヒド及びベンズアルデヒドの誘導体、例えばバニリン又はイソバニリン、アセトフェノン及びアセトフェノンの誘導体、例えばアセトバニロン、イソ-アセトバニロン、オルト-アセトバニロン、又は3,4,5-トリヒドロキシアセトフェノン、アニソール、ベンズカテキン及びメチルエーテル、したがって、例えばベラトロール又はグアイアコール、フェルラ酸及びフェルラ酸の誘導体、デヒドロコニフェリルアルコール、安息香酸及び安息香酸の誘導体、例えばバニリン酸、没食子酸及び没食子酸の誘導体、例えばシリング酸などである。
一般式(II)の芳香族化合物は、例えば、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン、レスベラトロール、ピノシルビン(3,5-スチルベンジオール)などである。
本発明による方法の好ましい実施形態では、溶出又は脱離の後に得られ、価値のある芳香族物質を富化形態で含む溶出物は、さらに分離される。分離は、例えば精密蒸留、結晶化、又は液体クロマトグラフィー分離を含む。価値のある芳香族物質の混合物の性質及び所望の純度に依存して、分離は複数の分離工程を含むことができる。
以下に記載する実施例を参照して、本発明をより詳細に説明する。この場合、実施例は本発明を限定するものではない。
以下の実施例では、以下の略語が使用される:
BVは、床体積である;
DI水は、脱イオン化(脱塩化)水である。
実施例
I)分析
使用した水性のリグニン含有組成物の、バニリン、アセトバニロン、グアイアコール、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン、及び他の有機成分の含有量を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。固定相として、Merck製のカラムChromolith(登録商標)High Resolution RP18e(長さ100mm、直径4.6mm)を使用した。分析温度は25℃であった。この場合、2つの移動相を使用した:移動相Aとして0.1重量%の70パーセント過塩素酸を含むHPLC水;移動相Bとしてアセトニトリル。
II)活性炭における価値のある芳香族物質の吸着及び脱離
実施例II.1:活性炭における価値のある芳香族物質、例えばバニリン、アセトバニロン、グアイアコール、及び3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの吸着及び脱離
使用した活性炭:
実験では、Norit Carbon製の活性炭Norit(登録商標)ROY0.8を使用した。この活性炭は、硬質石炭ベースの押出物であり、蒸気活性化の後、レイ(lye)(水性NaOH)で繰り返し洗浄される。活性炭の嵩密度は、400g/Lである。活性炭は、最大5%の水分量を有する。
使用したリグニン含有組成物:
使用したリグニン含有組成物は、木材パルプ製造からの黒液(薄い液体)であった。実験のために、黒液を金属フィルター(フィルター孔径=90マイクロメートル)を用いて濾過した。濾過した黒液のHPLC分析により、以下の有機成分の濃度が得られた:447mg/kgのバニリン、268mg/kgのアセトバニロン、460mg/kgのグアイアコール、及び490mg/kgの3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン。
実験手順:
内径15mm、高さ255mmのガラスカラムを組み立て、約95%の充填度で、活性炭Norit(登録商標)ROY0.8を充填した。床体積(BV)は約43mLであった。活性炭を、約10BVのDI水により、約5BV/hの速度で、下方に向かって洗浄した。
有機成分の吸収のために、約12BVの濾過した黒液を、約2BV/hの速度で、下方に向かってカラムに通した。カラム出口物を画分で集めた。画分を有機成分について分析した。3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)について得られた装填量は、0.04mol/Lであった。その後、活性炭を、約5BVのDI水で、約2BV/hの速度で、下方に向かって洗浄した。
洗浄工程後、吸収された3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン(I)をプロトン化するために酸洗浄を行った。この目的のために、約1BVの5パーセント硫酸を、約2BV/hの速度で、下方に向かってカラムに通した。その後、活性炭を、約5BVのDI水で、約2BV/hの速度で、下方に向かって洗浄した。
活性炭粒子間の水とその中に存在する細孔中の水とを除去するために、洗浄工程の後、約2BVの純メタノールを、約2BV/hの速度で、下方に向かってカラムに通した。
吸着された3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの脱離のために、第一に、約2BVの、メタノールとトルエンの9:1の質量比の混合物を、2BV/hの速度で、上方に向かってカラムに通した。その後、さらに脱離させるために、約3BVの純トルエンを、2BV/hの速度で、上方に向かってカラムに通した。脱離工程では、カラムの流出液を、画分で集めた。この画分を有機成分の含有量について分析した。個々の有機成分について達成された脱離の程度は、おおよそ、バニリンについては88%、アセトバニロンについては99%、グアイアコールについては83%、及び3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンについては3%であった。
脱離工程の後、約1BVの純メタノールを、約2BV/hの速度で、上方に向かってカラムに通した。
メタノールスクラビングの後、活性炭を、約10BVのDI水で、約5BV/hの速度で、上方に向かって洗浄した。
全てのプロセス工程は、室温で行った。
実施例II.2:活性炭における価値のある芳香族物質、例えばバニリン、アセトバニロン、グアイアコール、及び3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンの吸着及び脱離
使用した活性炭:
実験では、Chemviron Carbon製の活性炭Aquacarb(商標)207Cを使用した。この活性炭は、蒸気により活性化されたココナッツベースの粒状活性炭である。活性炭の嵩密度は、450g/Lである。活性炭は、最大5%の水分量を有する。
使用したリグニン含有組成物:
使用したリグニン含有組成物は、木材パルプ製造からの黒液(薄い液体)であった。実験のために、黒液を金属フィルター(フィルター孔径=90マイクロメートル)を用いて濾過した。濾過した黒液のHPLC分析により、以下の有機成分の濃度が得られた:457mg/kgのバニリン、349mg/kgのアセトバニロン、506mg/kgのグアイアコール、及び308mg/kgの3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベン。
実験手順:
内径15mm、高さ255mmのガラスカラムを組み立て、約95%の充填度で、活性炭Aquacarb(商標)207Cを充填した。床体積(BV)は約43mLであった。活性炭を、第一に、約10BVのDI水により、約5BV/hの速度で、下方に向かって洗浄した。
有機成分の吸着のために、約12BVの濾過した黒液を、約2BV/hの速度で、下方に向かってカラムに通した。カラム出口物を画分で集めた。画分を有機成分について分析した。活性炭における個々の有機成分について得られた装填量は、0.02mol/Lのバニリン、0.01mol/Lのアセトバニロン、0.03mol/Lのグアイアコール、及び0.01mol/Lの3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンであった。その後、活性炭を、約5BVのDI水で、約2BV/hの速度で、下方に向かって洗浄した。
洗浄工程後、吸着された有機陰イオンをプロトン化するために酸洗浄を行った。この目的のために、約1BVの5パーセント硫酸を、約2BV/hの速度で、下方に向かってカラムに通した。その後、活性炭を、約5BVのDI水で、約2BV/hの速度で、下方に向かって洗浄した。
活性炭粒子間の水とその中に存在する細孔中の水とを除去するために、洗浄工程の後、約2BVの純メタノールを、約2BV/hの速度で、下方に向かってカラムに通した。
吸着された有機成分の脱離のために、第一に、約2BVの、メタノールとトルエンの1:1の質量比の混合物を、2BV/hの速度で、上方に向かってカラムに通した。その後、さらに脱離させるために、約3BVの純トルエンを、2BV/hの速度で、上方に向かってカラムに通した。脱離工程では、カラムの流出液を、画分で集めた。この画分を有機成分の含有量について分析した。個々の有機成分について達成された脱離の程度は、バニリンについては89%、アセトバニロンについては95%、グアイアコールについては89%、及び3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジヒドロキシスチルベンについては8%であった。
脱離工程の後、約1BVの純メタノールを、約2BV/hの速度で、上方に向かってカラムに通した。
メタノールスクラビングの後、活性炭を、約10BVのDI水で、約5BV/hの速度で、上方に向かって洗浄した。
全てのプロセス工程は、室温で行った。
実施例II.3:活性炭におけるバニリンの吸着及び脱離
使用した活性炭:
実験では、Norit製の活性炭Norit(登録商標)ROY0.8を使用した。この活性炭は、硬質石炭ベースの押出物であり、蒸気活性化の後、レイ(lye)(水性NaOH)で繰り返し洗浄される。活性炭の嵩密度は、400g/Lである。活性炭は、約5%の水分量を有する。
使用した価値のある物質を含有する組成物:
価値のある物質を含有する組成物として、0.1M水酸化ナトリウム溶液及びバニリンの溶液を使用した。溶液のHPLC分析により、2834mg/kgのバニリン含有量が得られた。
実験手順:
内径30mm、高さ1000mmのガラスカラムを組み立て、約90%の充填度で、活性炭Norit(登録商標)ROY0.8を充填した。
床体積(BV)は約636mLであった。次に、活性炭を、約10BVのDI水により、約5BV/hの速度で、下方に向かって洗浄した。
バニリンの吸着のために、約20BVのバニリン含有溶液を、室温において、約4BV/hの速度で、下方に向かってカラムに通した。カラムの流出液を、画分で集めた。画分を有機成分について分析した。活性炭において得られたバニリンの装填量は、約0.32mol/Lであった。その後、活性炭を、室温において、約5BVのDI水で、約2BV/hの速度で、下方に向かって洗浄した。
洗浄工程後、吸着されたバニリン酸陰イオンをプロトン化するために酸洗浄を行った。この目的のために、約1BVの5パーセント硫酸を、室温において、約2BV/hの速度で、下方に向かってカラムに通した。その後、同様に、活性炭を、室温において、約5BVのDI水で、約2BV/hの速度で、下方に向かって洗浄した。
吸着したバニリンを蒸気により脱離させた。この場合、水を、約300〜500g/hの質量流速において、落下膜式蒸発器(約140〜150℃)により蒸発させ、連続的にカラムに通した。この手順では、カラム内の圧力は1.013バールであり、温度は約100〜120℃であった。その後、蒸気を凝縮させて、画分で集めた。バニリンはこの画分で検出可能であった。

Claims (13)

  1. 少なくともpH10のpHを有する水性のアルカリリグニン含有組成物から芳香族化合物を得る方法であって、方法が、水性のアルカリリグニン含有組成物を活性炭で処理するステップ、活性炭を水性のアルカリリグニン含有組成物から分離するステップ、及び、続いて活性炭を、芳香族化合物を得るための脱離工程に供するステップを含み、ここで、脱離工程が、活性炭を、
    (i)1つ以上の芳香族炭化水素から実質的になる有機溶媒、又は少なくとも1つの芳香族炭化水素と、少なくとも1つのC1-C4アルカノールとの混合物である有機溶媒で、あるいは
    (ii)蒸気で
    処理するステップを含み、ここで、芳香族化合物を含む溶出物が得られる、方法。
  2. 水性のアルカリリグニン含有組成物を分離した後に、活性炭を、最初に鉱酸水溶液で処理し、その後有機溶媒で処理する、請求項1に記載の方法。
  3. 有機溶媒が、少なくとも1つの芳香族炭化水素を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 芳香族炭化水素が、トルエン及びキシレンから選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 水性のアルカリリグニン含有組成物を、その処理のために活性炭の床に通す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 活性炭が、蒸気で活性化されている活性炭である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 活性炭が、DIN ISO 9277:2003-05において規定されるBET法による窒素吸着によって測定された場合に、500〜1500m2/gの範囲の比表面積を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 活性炭が、活性炭100g当たり少なくとも15gのメチレンブルーの吸着容量を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 活性炭が、0.2〜5mmの範囲の粒度を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 溶出物を、そこに存在する芳香族化合物の分離に供する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 水性のアルカリリグニン含有組成物が、黒液である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 芳香族化合物が、リグニンの酸化的及び/又は酵素的な分解で形成される芳香族化合物、並びにリグニン含有組成物中に自然に存在する芳香族化合物から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 芳香族化合物が、一般式(I)及び(II)
    Figure 2017533236
    (式中、
    Xは、H、-CHO、-(C=O)CH3、-COOH、-CH=CH-COOH、又は-CH=CH-CH2-OHであり、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、互いに独立して、H、-OH、-CH3、又は-OCH3である)
    の化合物から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
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