JP2017532231A - 転写フィルム及び転写フィルムを製造するための方法 - Google Patents

Abstract

本発明は、転写フィルム（１）、特に、ホットスタンピングフィルム、転写フィルム（１）の使用、フィルム、セキュリティドキュメント（２）、及び、転写フィルム（１）の製造方法に関する。転写フィルム（１）は、キャリア層（１０）に分離可能に配置された転写層（２０）を備える。転写層（２０）は、少なくとも１つの第１カラー層（３０）を有し、少なくとも１つの第１カラー層（３０）は、少なくとも１つのバインダーと、少なくとも第１顔料と、を備え、第１顔料の発色は観察角度に応じて変化する。

Description

本発明は、転写フィルム、特に、ホットスタンピングフィルム、転写フィルムの使用、フィルム、セキュリティドキュメント、及び、転写フィルムの製造方法に関する。

紙幣、パスポート、ＩＤカード、チェックカード、クレジットカード、査証、又は、証明書等のセキュリティドキュメントには、偽造防止のためのセキュリティエレメントが設けられている。このようなセキュリティエレメントは、セキュリティドキュメントの信頼性を確認するために使用され、偽造又は改ざんを認識可能にする。更に、セキュリティドキュメント上のセキュリティエレメントは不正コピーを防止する。このようなセキュリティエレメントは、特に商品又は商品パッケージの分野で使用され、その信頼性はセキュリティエレメントにより実証される。

セキュリティエレメントはホログラム等の光屈折回折構造を有する。セキュリティエレメントは、セキュリティドキュメントに塗布された後、偽造防止を目的としている。このようなセキュリティエレメントは観察者に顕著な光学可変効果を提供する。光回折効果に基づく上記セキュリティエレメントに加え、光学可変薄膜層エレメントが頻繁に用いられている。この光学可変薄膜層エレメントは、様々な観察角度で例えば様々な色彩印象を観察者に与える。このような光学可変薄膜層エレメントは干渉効果に基づいている。

例えば回折構造を備えたセキュリティエレメントは、転写方法により保護されるセキュリティドキュメントに頻繁に転写される。このため、転写層が、熱及び圧力等によりキャリアフィルムから対象基板に転写される。対象基板には接着層により転写層が付着する。

一方、セキュリティドキュメントの偽造を防止するための別のセキュリティ的特徴、例えば、光学可変効果カラー又は可溶性染料が対象基板に直接印刷される。このため、通常のスクリーン印刷方法が使用される。ここでは、特に、達成可能な輝度及びカラー効果の特徴は対象基板の性質に依存する。対象基板をシート又はロール形式とすることができる。

本発明の目的は、従来技術の欠点を解消する転写フィルムを提供することである。

この目的は、請求項１の特徴を備える転写フィルムと、請求項４８の転写フィルムの使用と、請求項４９のフィルムと、請求項５０のセキュリティドキュメントと、請求項５３の転写フィルムを製造するための方法と、により達成される。

このような転写フィルム、特に、ホットスタンピングフィルムは、キャリア層に分離可能に取り付けられた転写層を備える。転写層は少なくとも１つの第１カラー層を有し、少なくとも１つの第１カラー層は、少なくとも１つのバインダー及び少なくとも第１顔料を備える。第１顔料の発色は観察角度に応じて変化する。転写フィルムを製造するためのこのような方法によりキャリア層が設けられ、キャリア層は転写層を有し、少なくとも１つの第１カラー層は、キャリア層と反対側の転写層の面に塗布される。少なくとも１つの第１カラー層は、少なくとも１つのバインダー及び少なくとも１つの第１顔料を備える。第１顔料の発色は観察角度に応じて変化する。

スタンピングプロセスにより、少なくとも１つの第１カラー層を備える転写層をキャリア層から対象基板、例えば、セキュリティドキュメントへ転写することができる。ここでは、転写層をセキュリティドキュメントへ塗布するために、広く普及しているスタンピング技術、特に、ホットスタンピング又はコールドスタンピングを使用することができる。相応の印刷プロセスを必要とせずに観察角度に応じた発色を有する偽造困難な追加層が塗布されることから、セキュリティドキュメントの偽造を更に防止することができる。スタンピングフィルムの塗布のために、複雑な印刷技術の代わりにスタンピング技術を使用することができることから、このような追加層の塗布によりコストの削減が可能になる。スクリーン印刷と異なり、スタンピング技術はドライプロセスである。その結果、使用が各国毎の環境法及びインフラ欠如により制限される溶媒等による予想されるストレスが除外される。更に、転写フィルムの製造中に、特定可能な特徴が周知の材料、特に、キャリア層に印刷されることから、対象基板の表面の影響、例えば粗さは低下する。これにより顔料がより良く配向し、光学効果が向上する。対応の転写層の材料の適切な選択により、カラー層のエリアにおける中間層接着を向上させることができる。

ここでの「少なくとも１つの顔料、顔料の発色は観察角度に応じて変化する」は、観察角度に依存する干渉効果によるカラー効果をもたらす顔料を意図する。高い輝度を有するカラー変化効果をもたらすために、顔料は互いに同様の配向を有する必要がある。このような顔料は例えば光学可変顔料（ＯＶＰ）である。

ここでの「バインダー」は、様々な顔料を含み、印刷プロセスにより顔料と一緒に転写することのできる液体材料を意図する。このようなバインダー及び顔料の組み合わせは、例えば、光学可変インク（ＯＶＩ（登録商標））である。光学可変インクは、干渉効果により、特に、光学可変カラー印象を生み出す。高い輝度を有する認識可能なカラー変化効果をもたらすために、ＯＶＩを相当な層厚で印刷する必要がある。

ここでの「観察角度」は、転写フィルム又はセキュリティドキュメント上のカラー層が観察者により観察される角度と、転写フィルム又はセキュリティドキュメント上のカラー層が照明装置により照明される角度との両方を意図する。「観察角度」は、転写フィルム又はセキュリティドキュメントの面法線と、観察者の観察方向との間の角度を意図する。同様に、「観察角度」は、転写フィルム又はセキュリティドキュメントの面法線と、照明装置の照明方向との間の角度を意図する。従って、例えば、観察角度０°では、観察者は転写フィルム又はセキュリティドキュメントの表面を垂直に観察し、観察角度７０°では、観察者は転写フィルム又はセキュリティドキュメントを浅い角度で観察する。これにより、例えば、観察角度４５°では、照明装置は、転写フィルム又はセキュリティドキュメントの表面を鋭角で照明する。観察者の観察方向又は照明装置の照明方向を変えると、観察角度は結果として変化する。

本発明の有益な実施例を従属項に記載する。

本発明の好ましい実施例によると、第１顔料の直径は、１μｍ〜１００μｍ、好ましくは５μｍ〜５０μｍである。第１顔料の厚さは、０．１μｍ〜５μｍ、好ましくは０．３μｍ〜２．５μｍである。

更に、少なくとも１つの第１カラー層は、第２顔料、特に、フレーク、タガント、及び／又は、チャームを含むことができる。カラー層の模倣が困難になることから、転写層を備えるセキュリティドキュメントの偽造を防止することができる。

ここでの「フレーク」は、例えばグリーンからバイオレットへ視野角に応じた色変化をもたらす多層フレークを意図する。

ここでの「タガント」は、肉眼では認識できないが様々な判定方法により検出することのできるマーキング物質を意図する。これは、例えば、フォトクロミック、サーモクロミック、ルミネッセンス、及び、マグネティックマーキング物質である。従って、温度が変化すると、サーモクロミックマーキング物質は発色を変える。ここでの「タガント」は、例えば、スペクトル解析、生化学分析、又は、法医学分析方法により検出することのできる別のマーキング物質を意図する。

ここでの「チャーム」は、パターン、モチーフ、及び／又は、サインを示す顔料を意図する。

本発明の更に好ましい実施例によると、少なくとも１つの第１カラー層は第３顔料を含む。電磁放射による照射、特に、ＵＶ光又はＩＲ光（ＵＶ＝ｕｌｔｒａｖｉｏｌｅｔ、ＩＲ＝ｉｎｆｒａｒｅｄ）による照射の場合、第３顔料は、人の目で視認可能な波長域、特に４００ｎｍ〜８００ｎｍの波長域で発光する。これにより、カラー層の模倣が難しくなることから、転写層を備えるセキュリティドキュメントの偽造を防止することができる。

少なくとも１つの第１カラー層の少なくとも１つのバインダーにおける少なくとも第１顔料の割合は、５０％未満、好ましくは３０％未満、更に好ましくは１５％未満である。

少なくとも１つの第１カラー層は、少なくとも１つのバインダーにおいて可溶性染料を含むことができる。これにより、カラー層の色変化印象が影響を受ける。従って、例えば、少なくとも１つの第１カラー層における第１顔料によるグリーンからブラウンへの色変化は、少なくとも１つの第１カラー層が可溶性染料を含むという事実により影響を受ける。可溶性染料は層をグリーンに染色し、これにより、第１観察角度でグリーンの印象を強調し、第２観察角度でブラウンの印象を残す。

第１顔料はフレークとして形成され、転写層が架かる面による面法線に対して互いに略同じ配向を示すと更に有利である。これにより、高輝度の光学可変効果を達成する。

転写層が架かる面による面法線と、転写層が架かる座標とに対する第１顔料の配向が局所的に変化することが好ましい。これにより、魅力的且つ顕著な光学効果を達成することができ、転写層を備えるセキュリティドキュメントの偽造を防止することができる。このような配光の変化を、例えば、印刷プロセスのパラメータを変えることにより達成することができる。印刷プロセスの間、例えば、第１顔料の配向を行うことができ、印刷ローラは追加の巨視的表面レリーフを有する。巨視的表面レリーフは、印刷の間、印刷される材料及び／又は固定されていないバインダーにおける顔料を変形させる。このためには、例えば反応バインダーの使用が有益である。ここでは、反応バインダーは、電磁照射、特にＵＶ光による照射により固定される。これにより、第１顔料の配向が同様に固定される。第１顔料の配向を局所的に変えるための別の方法として、例えば、磁気顔料の使用が挙げられる。

第１顔料を磁性顔料とすることができ、及び／又は、第１顔料が１つ以上の金属層を有することができる。これにより、上記した通り、顔料を局所的に変えることができる。ここでは、顔料を有するカラー層を備える転写層が配置された、対応するように形成された磁界により、磁性顔料を配向させることができる。顔料の配向後、上記した通り、例えば、ＵＶ光によりバインダーを固定することができる。

本願の好ましい実施例によると、少なくとも１つの第１カラー層は、転写層の少なくとも１つの第１エリアに存在し、転写層の少なくとも１つの第２エリアに存在しない。これにより、例えば、少なくとも１つの第１カラー層を転写層のいくつかの第１エリアに存在させ、転写層の少なくとも１つの第２エリアに存在させないようにすることができる。これにより、例えば、少なくとも１つの第１カラー層が存在する複数の第１エリアを存在させることができる。第１エリアは第２エリアにより囲まれる。転写層の少なくとも１つの第２エリアが転写層の少なくとも１つの第１エリアを囲むことができる

第１エリアを互いに僅かな距離で塗布することができることから、転写フィルムの大きな表面エリアを少なくとも１つの第１カラー層により印刷することができる。第２エリアは、それに応じて転写フィルムの小さな表面エリアを占領する。これにより、転写フィルムの転写層の表面を１つの印刷工程で最適に用いることができる。これにより、特に、紙幣のような高セキュリティ分野において使用されるＯＶＩは高額であることから、コストの削減を達成することができる。少なくとも１つの第１カラー層を備える転写層は、対象基板へのスタンピングにより、セキュリティドキュメントの所望の位置へ後に転写されることから、少なくとも１つの第１カラー層の塗布の間、セキュリティドキュメントのレイアウトを考慮する必要はない。このため、セキュリティドキュメントへ印刷を行う必要がないことから、セキュリティドキュメントへの転写プロセスが簡略化される。更に、セキュリティドキュメントへの転写層の塗布の間、セキュリティドキュメントの単位表面積当たりの小さな印刷エリアを用いるスクリーン印刷プロセスをスタンピングプロセスと置き換えられることから、生産性を向上させることができる。複雑な印刷プロセスが回避される一方で、例えば、セキュリティドキュメントへの不良印刷による廃棄が減ることから、コストが削減される。更に、転写層がセキュリティドキュメントへ転写される前に、転写フィルムの検査中の初期段階において印刷エラーの可能性を検出し、除外することができる。これにより、紙幣の廃棄量及びコストを減らすことができる。セキュリティドキュメントへの転写層の塗布の間、転写フィルムが設けられた全フィルムロールを区別すること、又は、転写フィルムを有するロールの個別の不良転写フィルムを飛ばすことにより、検出された印刷エラーを除去することができる。

ここでの「エリア」は、転写フィルムの垂直観察、即ち、観察角度０°の場合、塗布層により占められる規定された表面エリアを意図する。従って、例えば、カラー層は、転写フィルムの垂直観察の場合、規定された表面エリアを占めるエリアを形成する。別の層を別のエリアに塗布することができる。別の層は、例えば、金属層、又は、微細なギロシェのような微細なラインセキュリティ印刷からなる別の印刷である。

少なくとも１つの第１カラー層はスクリーン印刷により塗布されることが好ましい。少なくとも１つの第１カラー層を別のプロセスにより塗布することができる。別のプロセスは、例えば、凹版印刷、フレキソ印刷、パッド印刷、又は、レリーフ印刷である。

少なくとも１つの第１エリアは、特に、パターン、モチーフ、又は、ロゴ形式の第１情報を示す。従って、少なくとも１つの第１エリアをパターン形成することができる。第１エリアが情報を形成することができる。このような情報を、例えば、文字から形成されたロゴとすることができる。これにより、例えばロゴは異なる観察角度で観察者に異なる色で見えることから、転写層が塗布されたセキュリティドキュメントの偽造を更に防止することができる。

転写層は、転写層の少なくとも１つの第１エリア及び転写層の少なくとも１つの第２エリアと重なる第１補償層を備えることが更に有益である。これにより、カラー層の厚さを少なくとも部分的に補償することができ、全体として転写層を安定化させることができる。カラー層の厚さは、転写フィルムの他の層、又は、回折構造を有する層と比べて厚い。回折構造は所望の光学可変効果の高輝度のために必要である。

第１補償層の厚さを、少なくとも１つの第１カラー層の厚さ未満、特に、第１補償層の厚さを、少なくとも１つの第１カラー層の厚さの１０％〜５０％の範囲とすることができる。

カラー層と比べて補償層の厚さが小さいにも関わらず、補償層は安定効果をもたらす。これにより、最も薄い転写層を達成することができる。転写層が転写されたセキュリティドキュメントの厚さが塗布された転写層により若干変化することから、このような厚さは特に有益である。更に、これにより、より薄い転写層をより良く切断することができることから、スタンピングプロセスを向上させることができる。

転写層の少なくとも１つの第２エリアにおける第１補償層の厚さは、少なくとも、転写層の少なくとも第１エリアにおける少なくとも１つの第１カラー層の厚さに相当する。これにより、例えば、カラー層が塗布されていないエリアが満たされる。これは転写層の更なる安定化に寄与する。

ここでの「転写層の安定化」、特に、「転写層の機械的安定化」は、転写層の硬さ及び強さが増大することを意図する。このため、例えば、ポリカーボネート層は変形に対する抵抗が低いことから、例えば、ポリカーボネート層が積層される上昇温度でのポリカーボネート層の安定化効果は低い。反対に、アクリレートの化学架橋層は、比較的高い強度を有することから、安定化効果をもたらす。

第１補償層は、少なくとも１つの第１エリアにおける少なくとも１つの第１カラー層の厚さを超える転写層の少なくとも１つの第２エリアにおける厚さを有することが更に有益である。第１補償層が少なくとも１つの第１エリアを完全に覆うことが更に有益である。これにより、補償層がカラー層を完全に覆い、転写層の安定性が更に向上する。しかしながら、上記した通り、転写層の安定性は、少なくとも１つの第１カラー層よりも明らかに薄い補償層の塗布により達成する。

対象基板への直接印刷と比較して、セキュリティドキュメントのような対象基板への転写後、異なる観察角度における異なる発色での光学可変効果が明らかになった。補償層等の別の層の転写により転写層の安定性が向上する。その結果、顔料の互いに配向が向上し、これにより色変化効果の輝度が向上する。この理由は、補償層が対象基板の表面の粗さを補償し、及び／又は、機械的安定性により、転写層上の表面の粗さの効果を低下させることによる。特に、転写層が塗布される対象基板、例えば、ポリカーボネートからなるプラスチック層が別のプラスチック層により積層される場合、対象基板への直接印刷と比較して、より良い色変化効果を達成する。積層は高温及び高圧で行われる。これにより、プラスチックは軟らかくなり、顔料が含まれたカラー層は変形する。これにより、カラー層内の顔料の配向は変化し、このため、カラー変化効果は低下する。補償層により、カラー層が安定化する。その結果、積層プロセス後、顔料は互いに同様に配向し、これにより、光学可変効果の輝度が最適化される。更に、少なくとも１つの第１カラー層の異なる厚さを、そのような補償層により補償することができる。これにより、カラー層の厚さの変動を、例えば補償することができる。その結果、転写層が架かる座標系に対して、平面が補償層により形成される。

更に、第１補償層及び／又は第２補償層が第４顔料を備える。第４顔料は、ＵＶ光又はＩＲ光による照射により人の目で視認可能な波長域から光を発する。

少なくとも１つの第２カラー層が転写層の少なくとも１つの第３エリアに存在し、転写層の少なくとも１つの第４エリアに存在しないことが更に有益である。転写層の少なくとも１つの第３エリアは転写層の少なくとも１つの第１エリアと重なる、又は、転写層の少なくとも１つの第３エリアは転写層の少なくとも１つの第１エリアに重ならない。これにより、例えば、転写層による２つの異なる色変化効果を有するカラー層を、単一のスタンピングプロセスにより転写することができる。これにより、偽造を更に防止することができ、スタンピング技術による処理利益が維持される。

転写層は第２補償層を有することができる。第２補償層は、転写層の少なくとも１つの第４エリアにおいて、転写層の少なくとも１つの第３エリアにおける少なくとも１つの第２カラー層の厚さに少なくとも相当する。

第１補償層及び／又は第２補償層の厚さは、３μｍ〜５０μｍ、好ましくは５μｍ〜２５μｍ、更に好ましくは７μｍ〜２０μｍである。これにより、所望の光学可変効果の高輝度に必要なカラー層の厚さを、補償層により補償することができる。

第１補償層及び／又は第２補償層の厚さは、０．５μｍ〜１５μｍ、好ましくは０．５μｍ〜７．５μｍ、更に好ましくは１．５μｍ〜５μｍである。このような層厚は、上記した通り、少なくとも１つの第１カラー層の厚さよりも小さいにもかかわらず安定化効果を達成する。

第１補償層及び／又は第２補償層が透明及び／又は無色であることが更に有益である。これにより、補償層を介してカラー層を観察することができ、及び／又は、補償層を介して対象基板を認識することができる。

第１補償層及び／又は第２補償層は、接合層、特に接着層として形成されることが好ましい。これにより、補償層は、対象基板の表面の粗さを補償するための機能及び／又は層厚、特に、カラー層に必要な厚さを補償するための機能に加え、接合層機能を得ることができる。転写層は接合層により対象基板へ塗布される。

本発明の好ましい実施例によると、転写層は、キャリア層と反対側の面に第１接合層を有する。

ここでの「接合層」は、間に接合層が配置される層を結合する層を意図する。従って
、接合層を接着層とすることができる。

接合層、特に、接着層は、例えば、アクリレート、ＰＶＣ、ポリウレタン、又は、ポリエステルからなることが更に有益である。

本発明の更に好ましい実施例によると、少なくとも１つの第１カラー層の厚さは、３μｍ〜３０μｍ、好ましくは５μｍ〜１５μｍである。これにより、カラー層の光学可変効果又は高輝度を達成する。

第２カラー層及び／又は第３カラー層のような別のカラー層の厚さは、３μｍ〜３０μｍ、好ましくは５μｍ〜１５μｍである。

本発明の更なる実施例によると、転写層は少なくとも１つの第１安定層を有し、第１安定層は機械的に転写層を安定化させる。これにより、対象基板への転写後、転写層が更に安定化し、色変化効果の輝度が更に向上する。更に、第１安定層を保護層、特に、溶媒又は機械的損傷に対する保護層として用いることができる。

少なくとも１つの安定層は、キャリア層と少なくとも１つの第１カラー層との間に配置されることが好ましい。

第２安定層を、少なくとも１つの第１安定層と反対側の少なくとも１つの第１カラー層の側に塗布することが好ましい。これにより、対象基板への転写後、転写層、特に、大きな表面エリアを備える転写層は更に安定化し、カラー変化効果の輝度は更に向上する。

少なくとも１つの第１安定層を、キャリア層と反対側の少なくとも１つの第１カラー層の側に塗布することが更に有益である。

少なくとも１つの第１安定層及び／又は第２安定層の厚さは、０．２μｍ〜７．５μｍ、好ましくは０．４μｍ〜５μｍ、更に好ましくは０．６μｍ〜４μｍである。このような層厚により、安定化効果を十分に達成し、その結果、カラー層の直接印刷に比べて転写層におけるカラー層の光学可変効果は向上する。

少なくとも１つの第１安定層及び／又は第２安定層を、特に、化学的及び／又はＵＶ光及び／又は電子ビームによる照射により架橋させることができる。例えば、アクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、又は、アルキド樹脂からなる層を、イソシアネートにより化学的に架橋させることができる。更に、ポリメチルアクリレート、ジペンタエリストリトールペンタアクリレート、又は、ポリシロキサン樹脂、及び、ＩＲＧＡＣＵＲＥ等の光開始剤からなる層は、例えばＵＶ光により架橋する。エポキシ層を化学的架橋層として使用することができる。

第１及び／又は第２安定層の厚さ、及び／又は、第１及び／又は第２安定層の材料、及び／又は、第１及び／又は第２安定層の割合を、転写層又は対象基板の別の層に応じて選択することが有益である。従って、転写層の別の層が軟らかく、サポートする場合、例えば特に硬い安定層が有益である。高硬度の対象基板の場合、特に滑らかな安定層を選択する。特に、ポリカーボネートからなる対象基板は１０μｍ〜２０μｍの範囲の硬さを有する。これにより、反対に、カラー層における顔料の光学的印象に影響を与える。硬度の影響は、それに応じて形成された安定層の使用により大幅に低下する。

少なくとも１つの第１安定層及び／又は第２安定層が電磁放射、特に、ＵＶ光による照射により硬化する層であることが更に有益である。

少なくとも１つの第１安定層及び／又は第２安定層が透明又は半透明であることが好ましい。

本発明の別の実施例によると転写層はプライマー層を有する。

少なくとも１つの第１カラー層がプライマー層に塗布されることが好ましい。これにより、カラー層間の接着を、目標の方法で行い、印刷されるＯＶＩへ最適化することにより向上させることができる。

プライマー層の厚さは、０．０１μｍ〜０．５μｍ、好ましくは０．０３μｍ〜０．２５μｍ、更に好ましくは０．０４μｍ〜０．０８μｍである。

本発明の別の実施例によると、キャリア層の厚さは、１２μｍ〜５０μｍ、好ましくは１５μｍ〜２５μｍである。キャリア層は、例えば、ＰＥＴ、ＰＥＮ、ＯＰＰ、ＢＯＰＰ、ＰＥ、又は、セルロースアセテートからなるキャリア層である。キャリア層は複数の副層を備える。

本発明の別の実施例によると、転写層は分離層を備える。分離層により転写層はキャリア層から分離する。分離層は、例えば、酪酸セルロース、アクリレート、ニトロセルロース、酢酸エチル、酢酸ブチル、又は、スチレン共重合体からなる分離層である。特に、対象基板への転写層の転写後、対象基板から始まり、分離層は最上層であり、別の機能を満たす又は提供する。別の機能は、例えば、別の層による重ね印刷機能である。別のフィルムによる対象基板の積層又は接着の場合、分離層は塗布された別の層を接合するための接合層としての役割を果たす。

分離層の厚さは、０．２μｍ〜４μｍ、好ましくは０．５μｍ〜２．５μｍ、更に好ましくは０．８μｍ〜２．０μｍである。

本発明の別の実施例によると、剥離層、特に、ワックス層、シリコーン層、及び／又は、ＵＶ光又は電子ビームにより硬化するニス層はキャリア層に塗布される。剥離層により転写層はキャリア層から剥離される。

本発明の別の実施例によると、少なくとも１つの第１カラー層は個別のマークを備える。レーザービームにより塗布されたカラー層をマークに応じて局所的に除去することにより、マークを作成することができる。このようなマークは、バーコード及び／又は英数字、例えば、シリアルナンバーを含む。トレーサビリティはこの個別のマークにより特に保証される。しかしながら、マークを印刷プロセス、例えばインクジェット印刷により作成することもできる。マークは、第１エリア及び別のエリアの両方に作成することができ、視認可能又はＵＶ照射により視認可能となる。分離層と少なくとも第１カラー層との間、又は、キャリアと反対側の少なくとも第１カラー層の側で印刷を行うことができる。

少なくとも１つの第１カラー層はラスター画像を形成することができる。

本発明の別の実施例によると、転写層は少なくとも１つの複製ニス層を有する。これにより、転写層の安定性が更に高まる。

表面構造を、転写層の少なくとも１つの第５エリアにおいて複製ニス層の表面に成形することができる。これにより、セキュリティエレメントの模倣が更に難しくなることから、転写層を備えるセキュリティドキュメントの偽造を更に防止することができる。

表面構造を、転写層の少なくとも１つの第１エリアにおいて複製ニス層の表面に成形しないことが好ましい。

転写層の少なくとも１つの第５エリアは、少なくとも１つの第１カラー層と重ならないことができる。従って、転写層の少なくとも１つの第５エリアにおける複製ニス層の表面における表面構造は、少なくとも１つの第１カラー層を有しない転写フィルムのエリアのみに存在する。

複製ニス層の屈折率がバインダーの屈折率と０．２未満、好ましくは０．１未満で異なることが更に有益である。これにより、複製ニス層の表面に成形された表面構造の光学可変効果を得ることができる。

表面構造は、回折面構造、特にキネグラム（登録商標）又はホログラム、０次回折構造、ブレーズド回折格子、特に線状又は交差正弦回折格子、線状又は交差単一又は多段矩形格子、非対称鋸歯レリーフ構造、光回折及び／又は光反射及び／又は光フォーカスマイクロ又はナノ構造、バイナリ又は連続フレネルレンズ、バイナリ又は連続フレネル自由面、回折又は反射マクロ構造、特にレンズ構造又はマイクロプリズム構造、ミラー表面及びマット構造、特に異方性又は等方性マット構造、又は、これらの構造の組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。

転写層の少なくとも１つの第５エリアは、パターン、モチーフ、又は、ロゴ形式の第２情報を示すことができる。これにより、少なくとも１つの第５エリアがモチーフ形式の第２情報を形成することから、転写層が塗布されたセキュリティエレメントの偽造を更に防止することができる。

複製ニス層は、熱可塑処理で変形可能、及び／又は、架橋、特にＵＶ光による照射による架橋することが好ましい。架橋により、転写層の安定性を更に高めることができる。

複製ニス層の厚さは、０．２μｍ〜４μｍ、好ましくは０．３μｍ〜２μｍ、更に好ましくは０．４μｍ〜１．５μｍである。

転写層は、転写層の少なくとも１つの第６エリアにおいて反射層を有することが好ましい。転写層の少なくとも１つの第６エリアの表面被覆率は、転写層の全表面積の３０％未満、好ましくは２０％未満である。反射層は、クロム、金、銅、銀、又は、これらの金属の合金からなる金属層であることが好ましい。金属層は真空で蒸着され、金属層の厚さは０．０１μｍ〜０．１５μｍである。このような部分金属を、例えば、金属ナノテキストとすることができる。表面被覆率により、少なくとも１つの第１エリア及び／又は少なくとも１つの第３エリアにおけるカラー層の色変化効果は、少なくとも１つの第６エリアにより影響を受けない。

反射層を、透明反射層、例えば、薄金属層又は微細構造金属層、又は、ＨＲＩ（ｈｉｇｈ ｒｅｆｒａｃｔｉｏｎ ｉｎｄｅｘ）又はＬＲＩ（ｌｏｗ ｒｅｆｒａｃｔｉｏｎ ｉｎｄｅｘ）層により形成することができる。このような誘電反射層は、金属酸化物、金属硫化物、酸化チタン等からなる蒸着層からなる。誘電反射層の厚さは１０ｎｍ〜１５０ｎｍである。

転写層の少なくとも１つの第６エリアにおける反射層を、キャリアフィルムと反対側の少なくとも１つの第１カラー層の側に塗布することができる。これにより、例えば第１エリアを金属化することができる。各スクリーン印刷でカラー層が厚くなることから、精密な印刷がより難しくなる。従って、正確に塗布されたカラー層を部分金属化することにより、転写層の第１エリアにおけるカラー層の輪郭を向上させることができる。

転写層の少なくとも１つの第６エリアはパターン、モチーフ、又は、ロゴ形式の情報を示すことが有益である。

転写層は、転写層の少なくとも１つの第７エリアにおける１少なくとも１つのマークを含むことが有益である。このマークは、転写層の少なくとも１つの第１エリア及び／又は転写層の少なくとも１つの第３エリア及び／又は転写層の少なくとも１つの第５エリア及び／又は少なくとも１つの第６エリア及び／又は転写層の少なくとも１つの第８エリアの相対的な場所又は位置を決定するためのものである。従って、これらのマークは、レジスターマーク又はレジストレーションマークを表す。「レジスター」若しくは「レジスター精度」、又は、「レジストレーション」若しくは「レジストレーション精度」は、互いに重なり又は並べて配置され、所望の位置公差を維持する層の正確な配置を意図する。

マークは、印刷材料、表面レリーフ、金属又は導電材料から形成されることが好ましい。従って、マークを、例えば、光学読取可能レジスターマークとすることができる。光学読取可能マークは、それらの明度、不透明度、又は、反射特性による背景と異なる。マークを、所定の角度範囲で入射光を偏向し、これらの特性により背景エリアと光学的に異なる巨視的又は回折レリーフ構造とすることができる。しかしながら、レジスターマークを、金属センサー又は導電率検出センサーにより検出可能なレジスターマークとすることもできる。マークは、例えば、光センサー、金属センサー、又は、機械センサー、容量センサー、又は、導電率検出センサーにより検出される。転写層の塗布はマークにより制御される。

レジスターマークが少なくとも１つのカラー層が塗布される操作と同じ操作で塗布されることが特に有益である。塗布は同じ操作及び同じ道具により行われ、その結果、モチーフとレジスターマークとの間のレジストレーション変動又はレジスター変動は最小化する。

本発明の別の実施例よると転写層はフォトポリマー層を有する。

フォトポリマー層は、転写層の少なくとも１つの第８エリアにおいて体積ホログラムを有することができる。これにより、更なる光学効果がもたらされることから、転写層を備えるセキュリティドキュメントの偽造防止効果を高めることができる。

転写層の少なくとも１つの第５エリアが転写層の少なくとも１つの第８エリアと部分的に重なる、又は、転写層の少なくとも１つの第５エリアが転写層の少なくとも１つの第８エリアと重ならないことが更に有益である。

本発明の別の実施例によると、転写層は、少なくとも１つの第１ゾーンに存在し、少なくとも１つの第２ゾーンに存在しない。転写層の少なくとも１つの第１ゾーンは、パターン形成される。

ここでは、転写層は、第１及び第２ゾーンにより形成された境界線に沿ってパンチングにより切断される。ここでは、転写層は、転写されず除去される第１ゾーン及び第２ゾーンの形状を形成するパンチにより切断される。パンチングは、パンチ工具による機械的な動作で行われ、又は、レーザー処理により行われる。光学的な外観に影響を与えるモチーフ端のほつれがほとんど生じないことから、ノンコンプレックスモチーフの場合、パンチングは特に有益である。このような場合、カラー層の表面エリアは切断されるモチーフよりも大きい。その結果、カラー層を備えるエリアは、少なくとも１つの第１ゾーンを完全に囲む。少なくとも１つの第１ゾーンはカラー層を備えるエリアを囲むことができる。その結果、モチーフはカラー層の形により決まる。ハイブリッド形状も有益である。その結果、１つの部分エリアでは、モチーフはパンチングにより決定し、別の部分エリアでは、モチーフはカラー層の形により決定する。

更に、モチーフをパンチングにより決定するだけでなく、レジスターマークが同時に同じ操作で切断されることが有益である。

転写層の少なくとも１つの第１ゾーンを規定し、転写層の少なくとも１つの第２ゾーンから少なくとも１つの第１ゾーンを分離させる境界線に沿ったパンチングにより、転写層は完全に切断される。

キャリア層は、５０％未満で切断されることが好ましい。これにより、キャリア層の除去中の引裂を防止することができる。

本発明の別の実施例によると、本発明に係る１つ以上の転写フィルムがフィルム、特に、第１表面及び第２表面への塗布に使用される。

更に、１つ以上の転写フィルムをフィルムの第１表面及び／又は第２表面に塗布することができる。例えば、転写フィルムの転写層の塗布をフルムの１側面又はフィルムの２つの対向側面で行うことができる。転写フィルムをフィルムの両側面に塗布することもできる。従って、複数の異なる構造の転写フィルムをフィルム一方又は両方の対向側面に設けることができる。例えば、反射層及び複製ニス層に成形された回折面構造を備える転写層を、フィルムの１側面に設けることができ、バインダー及び光学可変顔料を有するカラー層を備える転写層を、フィルムの対向側面に設けることができる。

フィルムの第１面に塗布された１つ以上の転写層の少なくとも１つの第１転写層は、フィルムの第２表面に塗布された１つ以上の転写層の少なくとも１つの第２転写層と重なる、又は、重ならない。

フィルムが１つ以上の塗布された転写フィルムと共にセキュリティドキュメントに塗布又は組み込まれることが有益である。ここでは、１つ以上の転写フィルムをフィルムから分離させない。

１つ以上の転写フィルムの１つ以上の転写層をフィルムに塗布することができる。フィルムはセキュリティ特徴を備える。セキュリティ特徴は、回折面構造、特にキネグラム（登録商標）又はホログラム、０次回折構造、ブレーズド回折格子、特に線状又は交差正弦回折格子、線状又は交差単一又は多段矩形格子、非対称鋸歯レリーフ構造、光回折及び／又は光反射及び／又は光フォーカスマイクロ又はナノ構造、バイナリ又は連続フレネルレンズ、バイナリ又は連続フレネル自由面、回折又は反射マクロ構造、レンズ構造、マイクロプリズム構造、ミラー表面及びマット構造、特に異方性又は等方性マット構造、又は、上記表面構造の組み合わせからなる群から選択される。これにより、印刷プロセスと比べて塗布方法としてスタンピング技術を用いることが有益である。一部分において別のセキュリティ特徴を備えるフィルムを、スタンピング技術又は積層によりセキュリティエレメントに塗布又は組み込むことができる。その結果、本発明の転写フィルムの転写層を塗布することにより、既存のセキュリティエレメントの寿命を延長し、偽造を更に防止することができる。

１つ以上の転写フィルムが１つ以上の転写フィルムの転写層と反対側のキャリア層の側でフィルムの第２表面に設けられ、第２接合層が１つ以上の転写フィルムとフィルムとの間に塗布されることが望ましい。第２接合層は、１つ以上の転写フィルムとフィルムとを接合する。第２接合層の接合力は、１つ以上の転写フィルムの１つ以上のキャリア層と１つ以上の転写層との間の接合力を超える、又は、超えない。

第２接合層の接合力が１つ以上の転写フィルムの１つ以上のキャリア層と１つ以上の転写層との間の結合力を超える場合、１つ以上の転写フィルムを対象基板に対象方法で塗布することができる。このため、転写フィルムは、フィルムと反対側の側面で対象基板に塗布される。その結果、フィルムの剥離後、転写層は対象基板に接合されたまま残る。これにより、例えば、作成済みの転写層を、写真又は他の個人データにより個人化されたセキュリティドキュメントの保護に使用することができる。

逆の場合では、第２接合層の接合力は、１つ以上の転写フィルムの１つ以上の転写層と１つ以上のキャリア層との間の接合力よりも小さい。この場合、自立エレメントとしてのキャリア層と共に、１つ以上の転写フィルムを対象方法で対象基板に塗布することができる。このため、キャリア層を備える転写層は、フィルムと反対側の側面で対象基板に塗布される。その結果、フィルムの剥離後、キャリア層を有する転写層は対象基板に接合されたままとなる。これにより、例えば作成済みの自立転写層を、写真又は個人データにより個人化されたセキュリティドキュメントの保護に使用することができる。

本発明の転写フィルムを、セキュリティドキュメント、特に、紙幣、ＩＤカード、チェックカード、査証、証明書、又は、ビネット、商業製品や製品パッケージに塗布することができる。

本発明の１つ以上の転写フィルムを有するセキュリティドキュメントを製造することができる。

本発明の１つ以上の転写フィルムの１つ以上の転写層を、紙又はプラスチックからなる第１キャリア基板の表面に配置することができる。プラスチックは、特に、ポリカーボネート、ＰＥＴ、ポリプロピレン、ポリエチレン、又は、テスリンである。

第１のキャリア基板の表面に配置された１つ以上の転写層を、プラスチック層、特に、ポリカーボネート層又はＰＥＴ層に接続、特に、積層、又は、接合することが好ましい。

本発明の実施例を図面を参照して以下に説明する。
図１は転写フィルムの概略断面図である。 図２ａ〜図２ｃは転写フィルムの使用例を示す概略図である。 図３ａ〜図３ｂは転写フィルムの概略断面図を示す。 図４ａ〜図４ｂは転写フィルムの概略断面図を示す。 図５ａ〜図５ｂは転写フィルムの概略断面図を示す。 図６ａ〜図６ｂは転写フィルムの概略断面図を示す。 図７ａ及び図７ｂは転写フィルムの使用例を示す概略図である。 図８ａ及び図８ｂは転写フィルムの概略断面図を示す。 図９ａ〜図９ｃは転写フィルムの概略上面図を示す。 図１０は転写フィルムの使用例を示すセキュリティドキュメントの概略断面図を示す。 図１１は転写フィルムの使用例を示すセキュリティドキュメントの概略断面図を示す。

図１は、キャリア層１０、ワックス層２２、転写層２０を備える転写フィルム１を示す。転写層２０は、分離層２４、カラー層３０、接合層９２を備える。

キャリア層１０は、ＰＥＴ、ＰＥＮ、ＯＰＰ、ＢＯＰＰ、ＰＥ、又は、セルロースアセテートフィルムであることが好ましい。キャリア層の厚さは、１２μｍ〜５０μｍであることが好ましい。図１に示されたキャリア層１０は、厚さ１９μｍのＰＥＴフィルムである。

ワックス層２２及び転写層２０は、別の層を塗布することにより連続してキャリア層１０に塗布される。ここでは、ワックス層２２の厚さは１０ｎｍである。ワックス層２２の通常の厚さは１ｎｍ〜１００ｎｍの範囲である。厚さ０．２μｍ〜２μｍの分離層２４は、ワックス層２２に塗布される。図１に示された分離層２４は、厚さ０．９５μｍの熱可塑性分離層２４である。ワックス層２２は分離層２４と共にキャリア層１０から分離する。特に、転写層２０の転写後、分離層２４は上面層を示す。従って、例えば、ホットスタンピング工程の間に生じる熱により、ワックス層が軟らかくなり、これにより、分離層２４がワックス層２２から確実に分離する。

カラー層３０は、厚さ３μｍ〜３０μｍのＯＶＩ層であることが好ましい。従って、カラー層３０はバインダー及び顔料を備える。発色は観察角度に応じて変化する。カラー層３０は色変化効果をもたらす。

カラー層３０の顔料は、１μｍ〜１００μｍの直径を有することが好ましい。人間の観察に対する顔料の色変化効果は、例えば、グリーンからブラウン又はグリーンからバイオレットである。そのような色変化効果をもたらすカラー層３０の顔料は、ここでは、転写層２０が架かる面による面法線に対して互いに略同じ配向である。しかしながら、顔料の互いの配向は局所的に変化することから、顔料は例えば磁性を有する。

カラー層３０は、フレーク、チャーム、タガント等の顔料、反射顔料、又は、フレークとして形成された回折構造を有する顔料を含むことができる。

カラー層３０は、電磁放射による照射、特に、ＵＶ光又はＩＲ光照射の場合、人の目で視認可能な波長域の光を発する顔料を含む。人の目で視認可能な波長域は、特に４００ｎｍ〜８００ｎｍのである。カラー層３０は、例えば可溶性染料を含む。可溶性染料は、例えば、添加された染料に応じてカラー層３０を染色する。図１に示されたカラー層３０の厚さは１０μｍ〜１２μｍである。カラー層３０を例えばスクリーン印刷手段により塗布することができる。

接合層９２は約２μｍ〜８μｍの厚さで塗布される。図１に示された接合層９２の厚さは４.５μｍである。接合層９２は、熱活性可能接着剤からなり、ドクターブレード等によりカラー層３０の全面に塗布されることが好ましい。カラー層３０の厚さが変化する場合、接合層は、カラー層３０の厚さに補償効果をもたらすことができる。接合層９２は、アクリレート、ＰＶＣ、ポリウレタン、又は、ポリエステルからなる層であることが好ましい。

転写層２０を、例えばホットスタンピングにより対象基板に転写することができる。転写層２０を低温転写により転写することもできる。ＵＶ硬化接着剤を、例えば、接合層として使用することができる。低温転写だけでなくホットスタンピングでは、接合層を転写層の一部、又は、選択的に又は追加的に対象基板に塗布することができる。カラー層がＵＶ光の十分な透過率を示すと、ＵＶ硬化接着剤はカラー層により硬化する、又は、対象基板が少なくとも部分的にＵＶ光を透過する場合、ＵＶ硬化接着剤は対象基板により硬化する。この時の対象基板は、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、又は、ポリプロピレン等のポリマー基板である。

印刷プロセス等により接合層９２を対象基板に塗布することができる。このプロセスは、低温転写による塗布に特に適している。しかしながら、接合層９２をホットスタンピングの場合の熱活性可能接着剤に用いることもできる。

図２ａ〜図２ｃは、本発明の別の実施例に係る転写フィルム１の使用例を示す。図２ａは、キャリア層１０、ワックス層２２、転写層２０を備える転写フィルム１を示す。転写層２０は、分離層２４、カラー層３０、補償層９０を備える。

図２ａの実施例では、転写層２０は、３つのエリア４０と、エリア４０を囲む４つのエリア４２を有する。エリア４０とエリア４２との数は、単純に図示の仕方により選択されたものである。例えば、転写層は、１つのエリア４０と、１つのエリア４２とを有することもでき、複数のエリア４０と、複数のエリア４２とを有することもできる。ここでは、エリア４０はカラー層３０を有する転写層２０の一部を示す。

補償層９０は、アクリレート、ＰＶＣ、ポリウレタン、又は、ポリエステルからなる層であることが好ましい。補償層９０の厚さは２μｍ〜５０μｍであることが好ましい。図２ａの補償層９０は図１に示された接合層である。補償層９０は、エリア４０に塗布されたカラー層３０に重なり、エリア４２を満たす。図２ａの補償層９０の厚さは２５μｍである。

しかしながら、補償層９０の厚さを小さくすることができ、特にカラー層３０の厚さよりも小さくすることができる。これにより、エリア４０及び４２は重なり合い、エリア４２のみが覆われるが満たされることはない。

補償層９０は、ポリメチルアクリレート、ジペタエリスリトールペンタアクリレート、又は、ＩＲＧＡＣＵＲＥ等の光開始剤を備えるポリシロキサン樹脂からなる層とすることができる。補償層９０はＵＶ光により架橋する。また、補償層を、アクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、又は、アルキド樹脂からなる層とすることができ、イソシアネートにより化学的に架橋させることができる。このような場合、転写層は更に接合層を備え、接合層は補償層９０に塗布される。このよう接合層の実施例に対して、図１の符号を使用する。

図２ｂは、図２ａの転写層１の上面図を示す。図２ｂに示されたように、カラー層３０は、文字「ＣＨ」の形でエリア４０にパターン塗布される。更に、マーク５０は３つのエリア４３に塗布される。マーク５０はエリア４０を決定する役割を果たす。マーク５０は、レジスターマーク又はレジストレーションマークを示し、互いに重なり合い又は並べて配置され、所望の位置交差を維持する層の正確な配置に使用される。

キャリア層１０、ワックス層２２、分離層２４、及び、カラー層３０の実施例に対し、図１の符号を使用する。

図２ｃは、図２ａ及び図２ｂの転写層２０のエリア４５が塗布されたセキュリティドキュメント２の上面図を示す。セキュリティドキュメントは、ポリカーボネートからなるセキュリティドキュメントである。転写層２０のエリア４５は、１つのエリア４０と、エリア４２の一部のエリアとを備える。エリア４５は、ホットスタンピングによりセキュリティドキュメント２に転写される。エリア４５の形は、ホットスタンピングのスタンプの形により決まる。転写は、光センサーにより１つのマーク５０の光検出により行われる。光センサーは、エリア４２との不透明度の比較によりマーク５０を検出し、エンボススタンプによる転写層２０のエリア４５の塗布を制御する。図２ｃでは、転写層２０のエリア４５はセキュリティドキュメント２に塗布される。その結果、セキュリティドキュメント２は色変化効果を有する文字「ＣＨ」を有する。

図３ａ〜図６ｂは、本発明に係る転写フィルム１の異なる実施例を示す。図３ａ、図４ａ、図５ａ、図６ａは、転写層２０の分離前の転写フィルム１の異なる実施例を示す。図３ｂ、図４ｂ、図５ｂ、図６ｂは、転写層２０の分離後の異なる実施例を示す。

図３ａに示す実施例では、転写フィルム１は、キャリア層１０、ワックス層２２、転写層２０を備える。転写層２０は、分離層２４、安定層６０、複製ニス層７０、プライマー層８０、カラー層３０、補償層９０を備える。

安定層６０は、アクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、アルキド樹脂からなる層であることが好ましい。この層はイソシアネートにより化学的に架橋する。更に、ポリメチルアクリレート、ジペタンエリスリトールペンタアクリレート、又は、ポリシロキサン樹脂からなる層を用いることもできる。この層は、ＩＲＧＡＣＵＲＥ等の光開始剤を備える。このような安定層を光開始剤によりＵＶ光を用いた照射により架橋させることができる。安定層６０の厚さは０.２μｍ〜５μｍである。図３ａに示す安定層は、化学的架橋安定層であり、その厚さは約０．７μｍである。

複製ニス層７０は、表面構造が熱及び圧力、スタンピング工具により成形される熱可塑性ラッカーからなる。複製ニス層７０をＵＶ架橋ラッカーにより形成することができ、表面構造をＵＶ複製により複製ニス層６０に成形することができる。表面構造は、スタンピング工具の作用により硬化していない複製ニス層に成形され、複製ニス層はＵＶ光による照射による成形中又は後に直接硬化する。

複製ニス層７０の厚さは０．２μｍ〜２μｍである。図３ａの複製ニス層７０の厚さは０．５μｍであり、複製ニス層７０は少なくとも部分的に化学的に架橋した複製ニス層である。複製ニス層７０に成形された表面構造は、回折面構造、例えば、ホログラム、キネグラム（登録商標）、又は、他の光学活性回折格子構造である。このような表面構造は、通常、０．１μｍ〜４μｍの範囲で構造エレメントの間隔を有する。表面構造は、０次回折構造、ブレーズド回折格子、好ましくは線状又は交差正弦回折格子、線状又は交差単一又は多段矩形格子、非対称鋸歯レリーフ構造、光回折及び／又は光反射及び／又は光フォーカスマイクロ又はナノ構造、バイナリ又は連続フレネルレンズ、バイナリ又は連続フレネル自由面、回折又は反射マクロ構造、特にレンズ構造、マイクロプリズム構造、ミラー表面又はマット構造、特に異方性又は等方性マット構造、又は、上記表面構造の組み合わせである。複製ニス層７０に成形された表面構造は、図３ａに示すエリア４２により囲まれたエリア４４に成形される。エリア４４は、転写フィルムの垂直観察の場合、カラー層を備えるエリア４０の隣に存在する。

反射層を複製ニス層７０に塗布することができる。反射層は、クロム、金、銅、銀、又は、これら金属の合金からなる金属層であることが好ましい。金属層は、真空で厚さ０．０１μｍ〜０．１５μｍの範囲で蒸着する。反射層を透明反射層、例えば、薄膜、又は、精密に構造化された金属層、又は、ＨＲＩ（ｈｉｇｈ ｒｅｆｒａｃｔｉｏｎ ｉｎｄｅｘ）又はＬＲＩ（ｌｏｗ ｒｅｆｒａｃｔｉｏｎ ｉｎｄｅｘ）層により形成することができる。このような誘電反射層は、金属酸化物、金属硫化物、酸化チタン等からなる蒸着層からなり、その層厚は１０ｎｍ〜１５０ｎｍである。

プライマー層８０は、アクリレート、ＰＶＣ、ポリウレタン、又は、ポリエステルを備える層であることが好ましい、その層厚は０．０１μｍ〜０．５μｍである。図３ａのプライマー層の厚さは０．０６μｍである。

図３aに示す実施例に対し、上記実施例と同じ符号を使用する。

図４ａに示す実施例の転写フィルム１は、図３ａに示す実施例の転写フィルム１に相当する。これらの転写フィルム１の違いは、図４ａの転写フィルムが複製ニス層を有しないことである。

図５ａに示す実施例の転写フィルム１は、図４ａに示す実施例の転写フィルム１に相当する。これらの転写フィルム１の違いは、図５ａの補償層９０が安定層として形成され、図５ａの転写層２０が更に接合層９２を備えることである。このため、補償層９０は、上記した通り、安定層の材料から形成され、図４aに示すように、分離層２４とプライマー層８０との間の安定層６０は除去される。接合層９２の実施例に対し、上記実施例と同じ符号を使用する。

図６ａに示す実施例の転写フィルム１は、図４ａに示す実施例の転写フィルム１に相当する。これらの転写フィルム１の違いは、図６ａにおいて、ワックス層２２がニス層２３と交換されていることである。ニス層２３をＵＶ光又は電子ビームにより硬化することができる。

図７ａ及び図７ｂは、別のフィルム１２上の転写フィルム１の使用例を示す。図７ａはフィルム１２の上面図を示し、図７ｂはフィルム１２の断面図を示す。図７ｂに示すように、１つ以上の転写フィルム１がフィルム１２に塗布されている。１つ以上の転写フィルム１は、接合層によるフィルム１２によりキャリア層１０に接合されている。分離層２４、カラー層３０、及び、補償層９０を備える転写層２０は、１つ以上の転写フィルム１のキャリア層１０に塗布されている。図７ａに示すように、フィルム１２は、矩形、線、又は、ストライプとして形成されたマーク５０を有する。マーク５０は、フィルム１２を形成するフィルムウエブの長手方向に直交する。フィルム１２に塗布された１つ以上の転写フィルム１を対象基板に塗布することができる。フィルム１２が除去されると、転写層２０は、１つ以上の転写フィルム１のキャリア層１０から分離し、転写層はフィルム１０上での配置に対応して対象基板に転写される。１つ以上の転写フィルム１のキャリア層１０はフィルム１２に残る。

キャリア層１０とフィルム１２との間の接合層、並びに、キャリア層１０と転写層２０との間の分離層２４の配置を反対にすることもできる。いずれの場合でも、分離層をフィルム１２とキャリア層１０との間に配置し、キャリア層１０は結合層により転写層２０に結合される。これは、対象基板への塗布の間、フィルム１２のキャリア層が転写層２０と一緒に転写され、キャリア層１０が転写層２０の一部となるという効果を有する。従って、自立する小さなエリアはキャリア層１０により転写される。転写層２０の機械的安定性はキャリア層１０により高まる。

図８ａ及び図８ｂは、本発明の別の実施例に係る転写フィルムの断面図を示す。図８ａ及び図８ｂの転写フィルム１は、キャリア層１０及び転写層２０からなる。転写層２０は、分離層２４、カラー層３０、及び、補償層９０を備える。層の実施例に対して、上記した符号を使用する。図８aに示すように、転写フィルム１の転写層２０は、３つのゾーン４６と４つのゾーン４８とにより形成された境界線に沿って切断される。転写層２０は、パンチングにより切断されることが好ましい。パンチングは機械的工具又はレーザーにより行われる。図８ａに示すように、カラー層３０を備えるエリア４０は、３つのゾーン４６のそれぞれを囲む。パンチの形はゾーン４６の形を予め規定する。ゾーン４６及びゾーン４８の数は単純に図示の仕方により選択されたものである。１つのゾーン４６及び１つのゾーン４８のみが存在し、又は、複数のゾーン４６及びゾーン４８が存在するようにすることもできる。図８ｂに示すように、転写層２０をゾーン４８から除去することもできる。その結果、ゾーン４６の転写層２０のみがキャリア層１０に残る。キャリア層１０を、例えばスタンピングプロセスにより対象基板に転写することができる。

図９ａ〜図９ｃは本発明の別の実施例に係る概略上面図を示す。

図９ａは３つのエリア４０にカラー層を有し、エリア４４にキネグラム（登録商標）を有する転写フィルム１を示す。図９ａに示すように、エリア４４はカラー層が塗布されていないエリア４２内に存在する。ここでは、カラー層は、転写層内でエリア４０において文字「ＣＨ」で塗布される。キネグラム（登録商標）エレメントは、エリア４４においてパターン形式で転写層の複製ニス層に印される。更に、マーク５０がエリア４３に塗布される。マーク５０はエリア４０及び４４の相対位置を決定する役割を果たす。図９ａからわかるように、各セキュリティ特徴は、文字「ＣＨ」を形成するエリア４０の形式で個別マーク５０、キネグラム（登録商標）エレメントを形成するエリア４４の形式で個別マーク５０を有する。これにより、第１セキュリティ特徴を形成する文字「ＣＨ」と、第２セキュリティ特徴を形成するキネグラム（登録商標）エレメトとを別々に検出し、これらを印すことができる。これは、例えば２つの異なるエンボススタンプにより行われる。

図９ｂの実施例の転写フィルム１は、図９ａの実施例の転写フィルム１に相当する。これらの転写フィルム１の違いは、文字「ＣＨ」を形成するエリア４０と、キネグラム（登録商標）エレメントを備えるエリア４４とが共通のマーク５０を備えることである。いずれの場合でも、カラー層を備えるエリア４０及びキネグラム（登録商標）を備えるエリア４４の１つが検出され、一緒に印がつけられる。これは、共通のエンボススタンプにより行われる。

図９ｃの実施例の転写フィルム１は図９ｂの実施例の転写フィルム１に相当する。これらの転写フィルム１の違いは、カラー層が塗布されていないエリア４２内で別のエリア４７及び４９が存在することである。エリア４７は、ロゴ「Ｓｗｉｓｓ」形式の金属化エリア４７である。更に、ロゴをナノテキストとして設計することができる。このため、ロゴを肉眼で視認することができる。更に、転写フィルムは、エリア４９に十字形式の第２カラー層を有する。このため、転写フィルム１は、エリア４０に第１カラー層を有し、エリア４９に第２カラー層を有する。第１カラー層の顔料と第２カラー層の顔料とは異なることが好ましい。その結果、第１エリア４０とエリア４９とで異なるカラー効果が得られる。

図１０は、本発明の転写フィルム１の転写層２０が塗布されたセキュリティドキュメント２の概略断面図を示す。転写層２０はキャリア基板１４に塗布されている。キャリア基板１４を、例えば紙のキャリア基板１４とすることができる。キャリア基板１４は、例えば、パスポート、査証、紙幣、又は、証明書である。キャリア基板１４を、ポリカーボネート、ＰＶＣ、ＰＥＴ、又は、ＰＥＴ−Ｇ等のプラスチック基板とすることができる。キャリア基板１４を、紙及びプラスッチック層からなるハイブリッド基板とすることもできる。
紙の層又はプラスチック層は、転写層２０が塗布される最上層を形成する。転写層２０は、分離層２４、安定層６０、複製ニス層７０、プライマー層８０、カラー層３０、及び、補償層９０を有する。層の実施例に対し、上記した符号を使用する。

図１１は、本発明の転写フィルム１の転写層２０が積層されたセキュリティドキュメント２の概略断面図を示す。転写層２０は、ポリカーボネートのようなプラスチックからなるキャリア基板１４に塗布される。キャリア基板１４は、１つ以上の別のプラスチック層１６により積層され、複合体を形成する。転写層２０は、分離層２４、カラー層３０、及び、補償層９０を有する。層の実施例に対し、上記符号を使用する。

１ 転写フィルム
２ セキュリティドキュメント
１０ キャリア層
１２ フィルム
１４ キャリア基板
１６ プラスチック層
２０ 転写層
２２ ワックス層
２４ 分離層
３０ カラー層
４０、４２、４３、４４、４５、４７、４９ エリア
４６、４８ ゾーン
５０ マーク
６０ 安定層
７０ 複製ニス層
８０ プライマー層
９０ 補償層
９２ 結合層

Claims (55)

1. 転写フィルム（１）、特に、ホットスタンピングフィルムであって、
   キャリア層（１０）に分離可能に配置された転写層（２０）を備え、
   前記転写層（２０）は、少なくとも１つの第１カラー層（３０）を有し、
   前記少なくとも１つの第１カラー層（３０）は、少なくとも１つのバインダーと、少なくとも第１顔料と、を備え、
   前記第１顔料の発色は観察角度に応じて変化することを特徴とする。
2. 請求項１に記載の転写フィルム（１）において、
   前記少なくとも１つの第１カラー層（３０）は、前記転写層（２０）の少なくとも１つの第１エリア（４０）に存在し、前記転写層（２０）の少なくとも１つの第２エリア（４２）に存在しないことを特徴とする。
3. 請求項２に記載の転写フィルム（１）において、
   前記少なくとも１つの第１エリア（４０）は、特に、パターン、モチーフ、又は、ロゴ形式の第１情報を示すことを特徴とする。
4. 請求項２又は３に記載の転写フィルムにおいて、
   前記転写層（２０）は、前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第１エリア（４０）と、前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第２エリア（４２）とに重なる第１補償層（９０）を有することを特徴とする。
5. 請求項４に記載の転写フィルムにおいて、
   前記第１補償層（９０）の厚さは、前記少なくとも１つの第１カラー層（３０）の厚さよりも小さく、特に、前記第１補償層（９０）の前記厚さは、前記少なくとも１つの第１カラー層（３０）の厚さの１０％〜５０％の範囲であることを特徴とする。
6. 請求項４に記載の転写フィルムにおいて、
   前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第２エリア（４２）における前記第１補償層（９０）の厚さは、前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第１エリア（４０）における前記少なくとも１つの第１カラー層（３０）の厚さに少なくとも相当することを特徴とする。
7. 請求項２〜６のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
   少なくとも１つの第２カラー層は、前記転写層（２０）の少なくとも１つの第３エリアに存在し、前記転写層（２０）の少なくとも１つの第４エリアに存在せず、
   前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第３エリアは、前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第１エリア（４０）と重なり、又は、前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第３エリアは、前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第２エリア（４２）と重ならないことを特徴とする。
8. 請求項７に記載の転写フィルム（１）において、
   前記転写層（２０）は第２補償層を有し、
   前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第４エリアにおける前記第２補償層は、前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第３エリアにおける前記少なくとも１つの第２カラー層の厚さに少なくとも相当することを特徴とする。
9. 請求項４〜８のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
   前記第１補償層（９０）及び／又は前記第２補償層の厚さは、３μmから５０μmであり、好ましくは５μmから２５μmであり、更に好ましくは７μmから２０μmであること特徴とする。
10. 請求項４〜９のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記第１補償層（９０）及び／又は前記第２補償層は、透明及び／又は無色であることを特徴とする。
11. 請求項４〜１０のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記第１補償層（６０）及び／又は前記第２補償層は、バインダー層、特に、接着剤層として形成されることを特徴とする。
12. 請求項１〜１１のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記少なくとも１つの第１カラー層（３０）の厚さは、３μmから３０μmであり、好ましくは５μmから１５μmであることを特徴とする。
13. 請求項１〜１２のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記転写層（２０）は、前記転写層（２０）を機械的に安定化させる少なくとも１つの第１安定層（６０）を有することを特徴とする。
14. 請求項１３に記載の転写フィルム（１）において、
    前記少なくとも１つの第１安定層（６０）は、前記キャリア層（１０）と前記少なくとも１つの第１カラー層（３０）との間に配置されていることを特徴とする。
15. 請求項１４に記載の転写フィルム（１）において、
    第２安定層は、前記第１安定層（６０）と反対側の前記少なくとも１つの第１カラー層（３０）の側に塗布されていることを特徴とする。
16. 請求項１３に記載の転写フィルム（１）において、
    前記少なくとも１つの第１安定層（６０）は、前記キャリア層（１０）と反対側の前記少なくとも１つのカラー層（３０）の側に塗布されていることを特徴とする。
17. 請求項１３〜１６のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記少なくとも１つの第１安定層（６０）及び／又は前記第２安定層の厚さは、０．２μｍ〜７．５μｍ、好ましくは０．４μｍ〜５μｍであり、更に好ましくは０．６μｍ〜４μｍであることを特徴とする。
18. 請求項１３〜１７のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記少なくとも１つの第１安定層（６０）及び／又は前記第２安定層は、特に、化学的及び／又はＵＶ光による照射及び／又は電子ビームによる照射により架橋することを特徴とする。
19. 請求項１３〜１８のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記少なくとも１つの第１安定層（６０）及び／又は前記第２安定層は、電磁照射、特にＵＶ光による照射により硬化する層であることを特徴とする。
20. 請求項１３〜１９のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記少なくとも１つの第１安定層（６０）及び／又は前記第２安定層は、透明又は半透明であること特徴とする。
21. 請求項１〜２０のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記キャリア層（１０）の厚さは、１２μｍ〜５０μｍ、好ましくは１５μｍ〜２５μｍであることを特徴とする。
22. 請求項１〜２１のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記転写層（２０）は、前記キャリア層（１０）から前記転写層（２０）を分離させる分離層（２４）を備えることを特徴とする。
23. 請求項２２に記載の転写フィルム（１）において、
    前記分離層（２４）の厚さは、０．２μｍ〜４μｍ、好ましくは０．５μｍ〜２．５μｍ、更に好ましくは０．８μｍ〜２．０μｍであることを特徴とする。
24. 請求項１〜２３のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記キャリア層（１０）は、剥離層、特に、ワックス層（２２）、シリコーン層及び／又はＵＶ光又は電子ビームにより硬化可能なニス層（２３）を備え、
    前記転写層（２０）は、前記剥離層により前記キャリア層（１０）から剥離されることを特徴とする。
25. 請求項１〜２４のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記転写層（２０）はプライマー層（８０）を有し、
    前記少なくとも１つの第１カラー層（３０）は、前記プライマー層（８０）に塗布されていることを特徴とする。
26. 請求項２５に記載の転写フィルム（１）において、
    前記プライマー層（８０）の厚さは、０．０１μｍ〜０．５μｍであり、好ましくは０．０３μｍ〜０．２５μｍであり、更に好ましくは０．０４μｍ〜０．０８μｍであることを特徴とする。
27. 請求項１〜２６のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記転写層（２０）は、少なくとも１つの複製ニス層（７０）を有することを特徴とする。
28. 請求項２７に記載の転写フィルム（１）において、
    表面構造が前記転写層（２０）の少なくとも１つの第５エリアにおいて前記複製ニス層（７０）の表面に成形されていることを特徴とする。
29. 請求項２〜２８のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記表面構造は、前記転写層の前記少なくとも１つの第１エリア（４０）において前記複製ニス層（７０）の前記表面に成形されていないことを特徴とする。
30. 請求項２８に記載の転写フィルム（１）において、
    前記複製ニス層（７０）の屈折率は、０．２未満、好ましくは０．１未満で前記バインダーの屈折率と異なることを特徴とする。
31. 請求項２８〜３０のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記表面構造は、回折表面構造、特にキネグラム又はホログラム、０次回折構造、ブレーズド回折格子、特に線状又は交差正弦回折格子、線状又は交差単一又は多段矩形回折格子、非対称鋸歯レリーフ構造、光回折及び／又は光反射及び／又は光フォーカスマイクロ又はナノ構造、バイナリ又は連続フレネルンレンズ、バイナリ又は連続フレネル自由表面、回折又は反射マクロ構造、特にレンズ構造又はマイクロプリズム構造、ミラー表面及びマット構造、特に等方性又は異方性マット構造、又は、これら構造の組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする。
32. 請求項２８〜３１のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第５エリアは、パターン、モチーフ、又は、ロゴ形式の第２情報を示すことを特徴とする。
33. 請求項２７〜３２のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記複製ニス層（７０）は、熱可塑変形可能及び／又は架橋、特に、ＵＶ光による照射により架橋することを特徴とする。
34. 請求項２７〜３３のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記複製ニス層（７０）の厚さは、０．２μｍ〜４μｍ、好ましくは０．３μｍ〜２μｍ、更に好ましくは０．４μｍ〜１．５μｍであることを特徴とする。
35. 請求項１〜３４のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記転写層（１）は、前記転写層（２０）の少なくとも１つの第６エリアにおいて反射層を有し、前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第６エリアの表面被覆率は、前記転写層（２０）の全面の３０％未満、好ましくは２０％未満であることを特徴とする。
36. 請求項３５に記載の転写フィルム（１）において、
    前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第６エリアにおける前記反射層は、前記キャリアフィルム（１０）と反対側の前記少なくとも１つの第１カラー層（３０）の側に塗布されていることを特徴とする。
37. 請求項３５又は３６に記載の転写フィルム（１）において、
    前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第６エリアは、パターン、モチーフ、又は、ロゴ形式の第３情報を示すことを特徴とする。
38. 請求項２〜３７のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記転写層（２０）は、前記転写層の少なくとも１つの第７エリア（４３）において少なくとも１つのマーク（５０）を含み、前記少なくとも１つのマーク（５０）は、前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第１エリア（４０）及び／又は前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第３リア（４２）及び／又は前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第５エリア及び／又は前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第６エリアを決定することを特徴とする。
39. 請求項１〜３８のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記第１顔料の直径は、１μｍ〜１００μｍ、好ましくは５μｍ〜５０μｍであり、前記第１顔料の厚さは、０．１μｍ〜５μｍ、好ましくは０．３μｍ〜２．５μｍであることを特徴とする。
40. 請求項１〜３９のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記少なくとも１つの第１カラー層（３０）は、第２顔料、特に、フレーク、タガント、及び／又は、チャームを含むことを特徴とする。
41. 請求項１〜４０のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記少なくとも１つの第１カラー層（３０）は、電磁放射による照射、特に、ＵＶ光又はＩＲ光による照射の場合、人の目で視認可能な波長域、特に、４００ｎｍ〜８００ｎｍの波長域で光を発することを特徴とする。
42. 請求項１〜４１のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記少なくとも１つの第１カラー層（３０）の前記少なくとも１つのバインダーにおける少なくとも第１顔料の割合は、５０％未満、好ましくは３０％未満、更に好ましくは１５％未満であることを特徴とする。
43. 請求項１〜４２のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記少なくとも１つの第１カラー層（３０）は、前記少なくとも１つのバインダーに可溶性染料を含むことを特徴とする。
44. 請求項１〜４３のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記第１顔料は、フレークとして形成され、前記転写層（２０）が架かる面による面法線に対して、互いに略同じ配向を示すことを特徴とする。
45. 請求項１〜４４のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記転写層（２０）が架かる面による面法線に対する前記第１顔料の前記配向と、前記転写層（２０）が架かる座標とが局所的に変化することを特徴とする。
46. 請求項１〜４５のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記第１顔料は、金属及び／又は１つ以上の金属層を有することを特徴とする。
47. 請求項１〜４６のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）において、
    前記転写層（２０）は、少なくとも１つの第１ゾーン（４６）に存在し、少なくとも１つの第２ゾーン（４８）には存在せず、
    前記転写層（２０）の前記第１ゾーン（４８）は、パターン形成されていることを特徴とする。
48. フィルムへの塗布のための請求項１〜４７のいずれか１項に記載の１つ以上の転写フィルム（１）の使用。
49. 第１表面及び第２表面を備えるフィルムであって、
    請求項１〜４７のいずれか１項に記載の１つ以上の転写フィルム（１）は、前記１つ以上の転写フィルム（１）の前記転写層（２０）と反対側の前記キャリア層（１０）の側で前記フィルムの前記第２表面に転写され、第２接合層は前記１つ以上の転写フィルム（１）と前記フィルムとの間で塗布され、前記第２接合層は前記１つ以上の転写フィルム（１）を接合し、前記第２接合層の前記接合力は、前記１つ以上の転写フィルム（１）の前記１つ以上の転写層（２０）と前記１つ以上のキャリア層（１０）との間の接合力を超える、又は、超えないことを特徴とする。
50. 請求項１〜４７のいずれか１項に記載の１つ以上の転写フィルム（１）により製造されるセキュリティドキュメント（２）は、特に、紙幣、身分証明、ＩＤカード、チェクカード、クレジットカード、査証、証明書、ビネットであることを特徴とする。
51. 請求項５０に記載のセキュリティドキュメント（２）において、
    前記１つ以上の転写フィルム（１）の転写層（２０）は、紙又はプラスチック、特に、ポリカーボネートからなる第１キャリア基板（１４）の表面に１つ以上配置されていることを特徴とする。
52. 請求項５１に記載のセキュリティドキュメント（２）において、
    前記第１キャリア基板（１４）の表面に配置された前記１つ以上の転写層（２０）は、プラスチック層（１６）、特に、ポリカーボネート層に接合、特に、積層、又は、接着されることを特徴とする。
53. 特に、請求項１〜４７のいずれか１項に記載の転写フィルム（１）の製造方法であって、
    転写層（２０）を有するキャリア層（１０）は前記方法により設けられ、
    少なくとも１つの第１カラー層（３０）は、前記キャリア層と反対側の前記転写層（２０）の側に塗布され、
    前記少なくとも１つの第１カラー層（３０）は、少なくとも１つのバインダー及び少なくとも１つの第１顔料を備え、前記第１顔料の発色は視認角度に応じて変化することを特徴とする。
54. 請求項５３に記載の方法であって、
    前記少なくとも１つの第１カラー層（３０）は、スクリーン印刷により塗布されることを特徴とする。
55. 請求項５３又は５４に記載の方法であって、
    前記転写層（２０）は、前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第１ゾーン（４６）を規定し、前記転写層（２０）の前記少なくとも１つの第２ゾーン（４８）から前記少なくとも１つの第１ゾーン（４６）を分離する境界線に沿って、パンチングにより完全に切断されることを特徴とする。

Images