JP2017528468A - ガラクトース操作型免疫グロブリン1抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体、該抗体の作製のための方法、およびそれらの使用に関する。

Description

発明の分野
本発明は、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型(galactoengineered)組換え抗体、該抗体の作製のための方法、およびそれらの使用に関する。
発明の背景
IgGは、最も豊富な抗体アイソタイプであり、IgG1抗体は、エフェクター機能の最も有意な程度およびアレイを示すサブクラスである。IgG1抗体は、ADCCおよびCDCがしばしば重要であると見なされる免疫治療において最も一般的に使用される抗体である。抗体の構造のうち、CH2ドメインおよびIgGヒンジ領域が、Fcによって媒介される抗体エフェクター機能において主要な役割を果たす。各CH2ドメインは、約297位(カバットのEUインデックスによるナンバリング)に位置するアスパラギン残基に、保存されたグリコシル化部位を含み、そこに、グリカンモエティが共有結合で結合する(Wright,A.and Morrison,S.L.,TIBTECH 15(1997)26-32(非特許文献1))。成熟IgG分子において、グリカンは、CH2ドメインの間に埋め込まれ、IgG分子の三次構造に影響を及ぼしている。抗体のFc領域に存在するN結合型グリカンは、抗体がADCCのようなエフェクター機能を媒介するのに不可欠であることが公知である(Lifely,M.R.et al.Glycobiology.1995 Dec;5(8):813-22(非特許文献2);Jefferis R.et al.Immunol Rev.1998 Jun;163:59-76(非特許文献3))。
一般に、高マンノース型構造(図1A)、複合型二分岐構造(図1C)、およびマンノース残基の枝と複合型の枝とを含むハイブリッド型構造(図1B)を含む、三つの主要な型のN結合型グリカンが公知である。抗体のFc領域のグリカンは、主に、図1Cに示されるような、高度に不均一な複合型二分岐構造である。保存されていないグリコシル化部位がさらに抗体のFab領域内に存在する場合もあるが、そのエフェクター機能に対する抗体グリコシル化の影響は、Fcグリコシル化に起因するとされている。N結合型グリカンの組成は、IgG分子のFc領域の構造に影響を与え、それによって、Fc受容体結合、ADCC活性、およびCDC活性のような抗体エフェクター機能を改変することが示されている(Presta,L.Curr Opin Struct Biol.2003 Aug;13(4):519-25(非特許文献4))。例えば、原核生物または真核生物の宿主細胞における発現によって、組換え発現系において発現されたIgG抗体において、N結合型グリカン構造は、個々の抗体分子の間で変動する。従って、組換え発現系において作製された抗体は、「抗体の集団」(本明細書においてさらに使用される用語)と見なされ得、抗体は、アミノ酸配列については同一であるが、Fc領域のN結合型グリカンパターンに関して不均一性を示す。
Fcグリカンの組成は、組換え抗体の発現のために使用される異なる宿主細胞種の間で変動することが公知である。抗体の組換え発現のために一般的に使用されている2種の宿主細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)およびマウス骨髄腫細胞(例えば、sp2/0、P3X63Ag8.653、NS0)である。CHO細胞は、末端シアル酸残基を実質的に欠く組換え抗体を発現し、グリカンパターンの主要な画分がフコシル化されている。対照的に、マウス骨髄腫細胞は、50%(相対頻度)ものシアル酸残基を有し、より少ないフコース残基を有する抗体集団を生じる。
グリカン構造の末端残基のいくつかは、IgGエフェクター機能に影響を及ぼすことが公知である。末端フコース残基の存在は、FcγRIIIa結合の低下およびADCCの低下に寄与することが公知である。従って、末端フコース残基を欠く抗体(「非フコシル化」抗体)は、抗体集団によって媒介されるADCCの増加に関連している。ADCC媒介の改善に対する非フコシル化の影響は、当技術分野において広く受容されているが、ADCC媒介におけるFcガラクトシル化の役割は、議論の余地があるものとして報告されている。いくつかの研究は、ガラクトシル化がADCCに対して効果を及ぼさないことを示しており(Boyd,P.N.et al.Mol Immunol.1995 Dec;32(17-18):1311-8(非特許文献5);Hodoniczky J.et al.Biotechnol Prog.2005 Nov-Dec;21(6):1644-52(非特許文献6);Raju T.S.Curr Opin Immunol.2008 Aug;20(4):471-8(非特許文献7));他の研究は、IgGのガラクトシル化がFcγRIIIa結合を増加させることを報告している(Houde D.et al.Mol Cell Proteomics.2010 Aug;9(8):1716-28(非特許文献8);Kumpel B.M.et al.Hum Antibodies Hybridomas.1995;6(3):82-8(非特許文献9))。
現在、抗体によって媒介されるADCCを改善するためのIgG分子の操作は、IgG分子のフコシル化の調節に焦点を当てている。組換え発現されたIgGの非フコシル化は、遺伝子操作された宿主細胞、例えば、タンパク質フコシル化が欠損しているLec13 CHO細胞、またはα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)遺伝子のノックアウトを有するCHO細胞のようなノックアウト細胞株において抗体を発現させることによって達成され得る。
しかしながら、現在の発現系、例えば、CHO細胞によって生成された抗体は、不均一なグリカンパターンを示し、生成された抗体の異なるバッチにおける明確なグリカン種の分布の変動をもたらす。
従って、特に、治療用抗体によって媒介されるADCCを改善する手段の提供のため、組換えIgG抗体のエフェクター機能を調整する必要性が未だに存在する。
Wright,A.and Morrison,S.L.,TIBTECH 15(1997)26-32 Lifely,M.R.et al.Glycobiology.1995 Dec;5(8):813-22 Jefferis R.et al.Immunol Rev.1998 Jun;163:59-76 Presta,L.Curr Opin Struct Biol.2003 Aug;13(4):519-25 Boyd,P.N.et al.Mol Immunol.1995 Dec;32(17-18):1311-8 Hodoniczky J.et al.Biotechnol Prog.2005 Nov-Dec;21(6):1644-52 Raju T.S.Curr Opin Immunol.2008 Aug;20(4):471-8 Houde D.et al.Mol Cell Proteomics.2010 Aug;9(8):1716-28 Kumpel B.M.et al.Hum Antibodies Hybridomas.1995;6(3):82-8
本発明は、少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団に関する。
本発明は、少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団にも関する。
本発明の一つの態様は、Fab断片にグリコシル化部位を含まない抗体の集団に関する。
本発明の一つの態様は、抗体の作用モードがADCCの誘導である抗体の集団に関する。
本発明の一つの態様は、抗体が、トラスツズマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、およびオビヌツズマブからなる群より選択される抗体の集団に関する。
本発明のもう一つの局面は、
(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプ抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞においてIgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、宿主細胞を遺伝子操作する工程
を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法である。
本発明のもう一つの局面は、
(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプ抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞においてIgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)組換え抗体の集団を単離する工程、
(c)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む抗体の集団を入手するため、抗体の集団をガラクトシルトランスフェラーゼによって酵素処理し、その後、抗体の集団を酵素から分離する工程
を含む、ガラクトース操作型抗体の集団の作製のための方法である。
本発明のもう一つの局面は、IgG1アイソタイプの組換え抗体の集団によって媒介されるADCCを改善するための方法の使用である。
本発明のもう一つの局面は、ADCCの媒介のための、本発明によるIgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団である。
本発明のもう一つの局面は、医薬として使用するための、本発明によるIgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団である。
本発明によると、IgG1分子のエフェクター機能、特に、ADCC媒介が、ガラクトース操作によって調整される。本発明は、生成されたIgG1抗体の異なるバッチの間で再現可能である、実質的に均一なグリカンパターンを提供するため、作製の後に組換えIgG1のグリカンプロファイルを調節する手段および方法を提供する。本発明は、糖操作(glycoengineering)によってある種のグリカンプロファイルを有するIgG1分子を提供することによって、IgG1分子によって媒介されるADCCの改善をさらに可能にする。
IgG分子のN結合型グリカンの模式図(図中で使用される記号の凡例:白四角−N-アセチルグルコサミン、黒丸−マンノース、黒三角−フコース、白丸−ガラクトース、黒菱形−シアル酸)。組換え発現されたIgG分子のシアル酸は、典型的には、5-N-アセチルノイラミン酸(NANA)または5-N-グリコリルノイラミン酸(NGNA)であり、ヒトIgG分子はNANAのみを含む。図1A:多くのマンノース残基と共に2個のN-アセチルグルコサミンを含む例示的な高マンノース型グリカン構造;図1B:マンノース残基の枝と複合型の枝とを含む例示的なハイブリッド型グリカン構造;図1C:例示的な複合型グリカン構造。バイセクティングN-アセチルグルコサミンを含む、付着している可能性のある糖残基が全て示されている。 IgG分子のN結合型グリカンの模式図(図中で使用される記号の凡例:白四角−N-アセチルグルコサミン、黒丸−マンノース、黒三角−フコース、白丸−ガラクトース、黒菱形−シアル酸)。組換え発現されたIgG分子のシアル酸は、典型的には、5-N-アセチルノイラミン酸(NANA)または5-N-グリコリルノイラミン酸(NGNA)であり、ヒトIgG分子はNANAのみを含む。図1D:フコシル化複合型二分岐構造および非フコシル化複合型二分岐構造ならびに本明細書において使用される対応する略語。 異なる作製バッチ(#1〜#4)からの酵素的に高ガラクトシル化された抗体のADCC。図2A:示されたそれぞれの作製バッチからの未処理のトラスツズマブ(黒丸、実線)および酵素的に高ガラクトシル化されたトラスツズマブ(白四角、破線)によって媒介された例示的な用量依存性のADCC;図2B:未処理対照(灰色バー)および酵素的に高ガラクトシル化された材料(白色バー)によって媒介されたADCCの比較。エラーバーは、個々の実験の間の標準偏差を表す(n≧3)。mAb1=トラスツズマブ;mAb2=リツキシマブ;mAb3=ペルツズマブ;mAb5=オビヌツズマブ;afu=非フコシル化。 実施例3において試料調製のために使用されたインビトロガラクトース操作過程の模式的なワークフロー。組換えIgG1を、CHO細胞において産生させ、精製した(未処理の組換えIgG1)。非ガラクトシル化(aGal)対照試料を調製するため、抗体をガラクトシダーゼによって処理した。高い相対頻度の2ガラクトシル化IgG1(biGal IgG1)を含む抗体の集団を調製するため、実施例3に記載される本発明による方法によって、未処理の抗体をガラクトシルトランスフェラーゼによって処理した。高い相対頻度の1シアリル化IgG1(biGal/monoSia IgG1)を含むIgG1の集団を提供するため、本発明による方法のため実施例3に記載されるように、2ガラクトシル化抗体をシアリルトランスフェラーゼによって処理した。高い相対頻度の2シアリル化IgG1(biGal/biSia)を含む抗体の集団を生成するため、実施例3に記載されるように、シアリル化抗体集団をもう一つのシアリルトランスフェラーゼ処理に供した。 表面プラズモン共鳴によって分析されたFcγR結合。(100%に設定された)未処理の抗体集団の結合と比べた、SPRによって分析された、(未処理対照試料および非ガラクトシル化比較試料を含む)実施例3の異なるIgG1抗体集団のFcγRIa、FcγRIIa、およびFcγRIIIaとの結合が示される。試料は全て三連で分析された。 アフィニティクロマトグラフィによって分析されたFcγR結合。アフィニティクロマトグラフィによって分析された、(未処理対照試料および非ガラクトシル化比較試料を含む)実施例3の異なるIgG1抗体集団のFcγRIIaおよびFcγRIIIaとの結合が示される。 異なるグリカン種のIgG1抗体のADCC。(未処理対照試料および非ガラクトシル化比較試料を含む)実施例3の異なるIgG1抗体集団についての、実施例2および7に記載される細胞ベースのADCCアッセイによって分析された相対ADCCが示される。未処理対照IgG1集団と共に、酵素処理された集団aGal(比較例)、biGal、biGal/monoSia、およびbiGal/biSiaが示される。 FcγRIIIa結合およびADCCに対する高ガラクトシル化の効果。参照材料と比べたFcγRIIIa結合およびADCC;未処理対照(灰色バー)、高ガラクトシル化材料(白色バー)。エラーバーは、独立の実験の間の標準偏差を表す(n≧3)。mAb2=リツキシマブ;mAb3=ペルツズマブ;afu=非フコシル化。
発明の詳細な説明
1.定義
「(a)」、「(an)」、および「(the)」という用語は、一般に、前後関係が明白にそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。
「抗体」という用語は、本明細書において最も広義に使用され、所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体断片を含むが、これらに限定されない、様々な抗体構造を包含する。
「全長抗体」、「未変化抗体」、および「完全抗体」という用語は、ネイティブの抗体構造に実質的に類似している構造を有するか、または本明細書において定義されるようなFc領域を含有している重鎖を有する抗体をさすために、本明細書において交換可能に使用される。
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書において使用されるように、実質的に均一な抗体の集団から入手される抗体をさす。即ち、例えば、天然に存在する変異を含有しているかまたはモノクローナル抗体調製物の作製中に発生する可能性のあるバリアント抗体を除き、集団を構成する個々の抗体が、同一でありかつ/または同一のエピトープに結合する。そのようなバリアントは、一般に、微量に存在する。典型的には、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。従って、「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な抗体の集団から入手されるという抗体の特徴を示すのであって、特定の方法による抗体の作製を必要とするものと解釈されてはならない。例えば、本発明によって使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部を含有しているトランスジェニック動物を利用する方法を含むが、これらに限定されない、多様な技術によって作成され得、モノクローナル抗体を作成するためのそのような方法およびその他の例示的な方法は、本明細書に記載される。
「単離された」抗体とは、その天然環境の成分から分離されたものである。いくつかの態様において、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)、またはクロマトグラフィ(例えば、イオン交換もしくは逆相HPLC)によって決定されるような、95%または99%を超える純度にまで精製される。抗体純度の査定の方法の概説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照すること。
抗体の「クラス」とは、重鎖が保有している定常ドメインまたは定常領域の型をさす。五つの主要な抗体のクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2へさらに分類され得る。免疫グロブリンの異なるクラスに相当する重鎖定常ドメインは、それぞれ、a、d、e、g、およびmと呼ばれる。本発明による抗体は、IgG1アイソタイプのものである。
「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部分を含有している免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するため、本明細書において使用される。この用語には、ネイティブ配列Fc領域およびバリアントFc領域が含まれる。一つの態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、重鎖のCys226またはPro230からカルボキシル末端にまで及ぶ。本明細書において他に特記されない限り、Fc領域または定常領域のアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されるような、EUインデックスと呼ばれるEUナンバリングシステムによる。
「エフェクター機能」とは、抗体アイソタイプによって変動する、抗体のFc領域に起因する生物学的活性をさす。抗体エフェクター機能の例には:C1q結合および補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞傷害(ADCC);貪食;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション;ならびにB細胞活性化が含まれる。
「抗体依存性細胞傷害」または「ADCC」とは、ある種の細胞傷害性細胞(例えば、NK細胞、好中球、およびマクロファージ)に存在するFc受容体(FcR)に結合した分泌された免疫グロブリン(Ig)が、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が、抗原を保持する標的細胞に特異的に結合し、その後、細胞毒によって標的細胞を死滅させることを可能にする、細胞傷害の型をさす。ADCCを媒介する主な細胞、NK細胞は、FcγRIIIのみを発現し、単球は、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457-92(1991)の464頁の表3に要約されている。関心対象の分子のADCC活性を査定するためには、米国特許第5,500,362号もしくは第5,821,337号または米国特許第6,737,056号(Presta)に記載されたものののようなインビトロADCCアッセイを実施することができる。そのようなアッセイのために有用なエフェクター細胞には、PBMCおよびNK細胞が含まれる。代替的にまたは付加的に、関心対象の分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al.PNAS(USA)95:652-656(1998)に開示されたもののような動物モデルにおいて査定され得る。
「補体依存性細胞傷害」または「CDC」とは、補体の存在下での標的細胞の溶解をさす。古典的補体経路の活性化は、補体系の第1成分(C1q)が、同族抗原に結合した(適切なサブクラスの)抗体と結合することによって開始される。補体活性化を査定するためには、例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されたような、CDCアッセイを実施することができる。改変されたFc領域アミノ酸配列を有するポリペプチドバリアント(バリアントFc領域を有するポリペプチド)およびC1q結合能の増加または減少は、例えば、米国特許第6,194,551 B1号およびWO1999/51642に記載されている。例えば、Idusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)も参照すること。
「Fc受容体」または「FcR」とは、抗体のFc領域に結合する受容体を表す。いくつかの態様において、FcRは、ネイティブヒトFcRである。いくつかの態様において、FcRは、IgG抗体に結合するもの(γ受容体)であり、FcγRIサブクラス、FcγRIIサブクラス、およびFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、それらの受容体の対立遺伝子バリアントおよびオルタナティブスプライシングを受けた型を含む。FcγRII受容体には、細胞質ドメインにおいて主に異なる、類似したアミノ酸配列を有する、FcγRIIA(「活性化型受容体」)およびFcγRIIB(「抑制型受容体」)が含まれる。活性化型受容体FcγRIIAは、免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を細胞質ドメインに含有している。抑制型受容体FcγRIIBは、免疫受容抑制性チロシンモチーフ(ITIM)を細胞質ドメインに含有している(例えば、Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234(1997)を参照すること)。FcRは、例えば、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457-92(1991);Capel et al.,Immunomethods 4:25-34(1994);およびde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.126:330-41(1995)に概説されている。今後同定されるものを含むその他のFcRも、本明細書において「FcR」という用語に包含される。
「活性化型Fc受容体」とは、抗体(またはイムノコンジュゲート)のFc領域との会合の後、エフェクター機能を実施するよう、受容体を保持する細胞を刺激するシグナリングイベントを誘発するFc受容体である。活性化型Fc受容体には、FcγRIIIa(CD16a)、FcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32)、およびFcαRI(CD89)が含まれる。
IgG1抗体の「作用モード」とは、生存生物の抗体への曝露に起因する、細胞レベルでの機能的または解剖学的な変化を表す。IgG1 Fc領域を含む抗体は、免疫系を効率的に活性化する。従って、IgG1の治療的適用は、腫瘍標的細胞の殺傷のため、異なる免疫細胞および免疫分子を活用する目的で実施される。IgG1アイソタイプの抗体は、CD16Aを通してNK細胞を活性化し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導する。従って、IgG1の一つの作用モードは、ADCCの誘導である。IgG1アイソタイプの抗体は、補体を活性化し、補体依存性細胞傷害(CDC)をもたらす。従って、IgG1のもう一つの作用モードはCDCの誘導である。
「組換え抗体」とは、組換え操作された宿主細胞によって産生された抗体である。それは、任意で、単離されるかまたは精製される。
「ヒト抗体」とは、ヒトもしくはヒト細胞によって産生された抗体、またはヒト抗体レパートリーもしくはその他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト起源に由来する抗体のものに相当するアミノ酸配列を保有するものである。非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体は、ヒト抗体のこの定義から特別に除外される。
「キメラ」抗体という用語は、重鎖および/または軽鎖の一部分が特定の起源または種に由来し、重鎖および/または軽鎖の残りが異なる起源または種に由来する抗体をさす。「ヒト化」抗体とは、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基とヒトフレームワーク(FR)由来のアミノ酸残基とを含むキメラ抗体をさす。ある種の態様において、ヒト化抗体は、HVR(例えば、CDR)の全部または実質的に全部が非ヒト抗体のものに相当し、FRの全部または実質的に全部がヒト抗体のものに相当する少なくとも1個、典型的には、2個の可変ドメインの実質的に全部を含むであろう。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含んでいてもよい。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化型」とは、ヒト化を受けた抗体をさす。
IgG抗体は、重鎖定常領域のCH2ドメインのAsn297に保存されたFcグリコシル化部位を含む糖タンパク質である。「グリコシル化部位」という用語は、グリカンが共有結合で連結される、抗体のアミノ酸配列内のアミノ酸をさす。N結合型グリカンは、典型的には、Asn-X-SerまたはAsn-X-Thr(Xはプロリン以外のアミノ酸であり、Serはセリンであり、Thrはトレオニンである)というコンセンサス配列の一部として存在するアスパラギン(Asn)側鎖の窒素原子に連結される。Fc領域の保存されたグリコシル化部位は、全ての野生型IgG抗体に存在し、さらなるグリコシル化部位が、抗体のFab領域内に存在する場合もある。
「Asn297」とは、本明細書において使用されるように、IgG1分子のFc領域の約297位に位置するアミノ酸アスパラギンを意味する。抗体の軽微な配列変動に基づき、Asn297は、297位の数アミノ酸(一般的には、多くても+3アミノ酸)上流または下流、即ち、294〜300位に位置する場合もある。
「N結合型グリカン」という用語は、抗体のアスパラギン残基の窒素原子に共有結合で連結されたオリゴ糖をさす。一般に、高マンノース型構造(図1A)、複合型二分岐構造(図1C)、およびマンノース残基の枝と複合型の枝とを含むハイブリッド構造(図1B)を含む、三つの主要な型のN結合型グリカンが公知である。CH2ドメインのAsn297のN結合型グリカンは、CH2ドメインの間に埋め込まれ、ポリペプチド骨格との広範囲の接触を形成している複合型二分岐オリゴ糖である。それらの存在は、抗体が抗体依存性細胞傷害(ADCC)のようなエフェクター機能を媒介するのに不可欠である(Lifely,M.,R.,et al.,Glycobiology 5(1995)813-822;Jefferis,R.,et al.,Immunol.Rev.163(1998)59-76;Wright,A.,and Morrison,S.L.,Trends Biotechnol.15(1997)26-32)。
「グリコシル化バリアント」とは、Fc領域に付着した炭水化物が改変されている抗体をさす。従って、本発明による抗体の集団は、宿主細胞によって組換え発現された抗体のグリコシル化バリアントを含む。
N結合型グリカンの異なる複合型二分岐構造が図1Dに示される。「ガラクトシル化」抗体という用語は、本明細書において使用されるように、抗体のN結合型グリカン(一つの態様において、抗体のAsn297にカップリングされたN結合型グリカン)が、少なくとも1個のガラクトース残基を含む(G1F構造、G1構造、G2F構造、G2構造、G1S1F構造、G1S1構造、G2S1F構造、G2S1構造、G2S2F構造、およびG2S2構造を含む)抗体をさす。「2ガラクトシル化」抗体という用語は、本明細書において使用されるように、抗体のN結合型グリカン(一つの態様において、抗体のAsn297にカップリングされたN結合型グリカン)が、正確に2個のガラクトース残基を含む複合型二分岐構造である(G2F構造、G2構造、G2S1F構造、G2S1構造、G2S2F構造、およびG2S2構造を含む)抗体をさす。「1ガラクトシル化」抗体という用語は、本明細書において使用されるように、抗体のN結合型グリカン(一つの態様において、抗体のAsn297にカップリングされたN結合型グリカン)が、正確に1個のガラクトース残基を含む複合型二分岐構造である(G1F構造、G1構造、G1S1F構造、およびG1S1構造を含む)抗体をさす。「非ガラクトシル化」抗体という用語は、本明細書において使用されるように、抗体のN結合型グリカン(一つの態様において、抗体のAsn297にカップリングされたN結合型グリカン)が、ガラクトース残基を欠く(G0構造、G0F構造、およびガラクトース残基を欠くさらなる構造を含む)抗体をさす。
「シアリル化」抗体という用語は、本明細書において使用されるように、抗体のN結合型グリカン(一つの態様において、抗体のAsn297にカップリングされたN結合型グリカン)が、少なくとも1個のシアル酸残基を含む(G1S1F構造、G1S1構造、G2S1F構造、G2S1構造、G2S2F構造、およびG2S2構造を含む)抗体をさす。「シアル酸」という用語は、本明細書において使用されるように、ノイラミン酸のN置換誘導体をさし、具体的には、5-N-アセチルノイラミン酸(NANA)または5-N-グリコリルノイラミン酸(NGNA)を含む。ヒトIgG分子は、NANAをシアル酸として含むシアリル化N結合型グリカンのみを含み、組換えによって(即ち、ヒト細胞以外の宿主細胞において)発現されたIgG分子は、NANAまたはNGNAの両方をシアル酸として含むシアリル化N結合型グリカンを含む。「2シアリル化」抗体という用語は、本明細書において使用されるように、抗体のN結合型グリカン(一つの態様において、抗体のAsn297にカップリングされたN結合型グリカン)が、正確に2個のシアル酸残基を含む複合型二分岐構造である(G2S2F構造およびG2S2構造を含む)抗体をさす。「1シアリル化」抗体という用語は、本明細書において使用されるように、抗体のN結合型グリカン(一つの態様において、抗体のAsn297にカップリングされたN結合型グリカン)が、正確に1個のシアル酸残基を含む複合型二分岐構造である(G1S1F構造、G1S1構造、G2S1F構造、およびG2S1構造を含む)抗体をさす。「非シアリル化」抗体という用語は、本明細書において使用されるように、抗体のN結合型グリカン(一つの態様において、抗体のAsn297にカップリングされたN結合型グリカン)が、シアル酸残基を欠く(G0構造、G0F構造、およびシアル酸残基を欠くさらなる構造を含む)抗体をさす。
「フコシル化」抗体という用語は、本明細書において使用されるように、抗体のN結合型グリカン(一つの態様において、抗体のAsn297にカップリングされたN結合型グリカン)が、フコース残基を含む(G1F構造、G2F構造、G1S1F構造、G2S1F構造、G2S2F構造、およびフコース残基を含むさらなる構造を含む)抗体をさす。「非フコシル化」抗体という用語は、本明細書において使用されるように、抗体のN結合型グリカン(一つの態様において、抗体のAsn297にカップリングされたN結合型グリカン)が、フコース残基を欠く(G1構造、G2構造、G1S1構造、G2S1構造、G2S2構造、およびフコース残基を欠くさらなる構造を含む)抗体をさす。「非フコシル化」という用語は、本明細書において「afu」とも略記される。
明確な糖残基「を欠く」という用語は、本明細書において使用されるように、抗体のCH2ドメインのいずれのグリカンパターンも、その明確な糖残基を含まないことを意味する。従って、「ガラクトースを欠く」とは、抗体のCH2ドメインのいずれのグリカンパターンも、ガラクトース残基を含まないことを意味する。従って、「フコースを欠く」とは、抗体のCH2ドメインのいずれのグリカンパターンも、フコース残基を含まないことを意味する。
明確な糖残基(例えば、ガラクトース、フコース、またはシアル酸)「を実質的に欠く」抗体に言及する時、本明細書において使用されるように、それは、当業者が、その明確な糖残基を含む抗体の画分には、抗体の生物学的特徴(例えば、抗体によって媒介されるADCC、FcR結合)に関連した生物学的意義がほとんどまたは全くないと見なすような、少ない相対頻度でのみ、その明確な糖残基を含む抗体を、抗体の集団が含むことを意味する。従って、「Fcガラクトース残基を実質的に欠く」抗体とは、当業者が、その明確な糖残基を含む抗体の画分には、抗体の生物学的特徴(例えば、抗体によって媒介されるADCC、FcR結合)に関連した生物学的意義がほとんどまたは全くないと見なすような、少ない相対頻度でのみ、ガラクトース残基を含む抗体を含む抗体の集団を意味する。明確な糖残基(例えば、ガラクトース、フコース、またはシアル酸)「を実質的に欠く」抗体は、2%以下、好ましくは、1%以下、好ましくは、0.5%以下の相対頻度で、抗体の集団の中に存在し得る。従って、明確な糖残基を実質的に欠く抗体の集団は、少なくとも98%、好ましくは、少なくとも99%、好ましくは、少なくとも99.5%の相対頻度で、明確な糖残基を欠く抗体を含む。
「抗体の集団」という用語は、不均一なグリカンパターンを含み得る、抗体、好ましくは、モノクローナル抗体の混合物を意味する。具体的には、抗体は、Fc領域のN結合型グリカンパターンに関して不均一性を示し得る。例えば、原核生物または真核生物の宿主細胞における発現によって、組換え発現系において発現されたIgG抗体は、個々の抗体分子の間で、そして生成された抗体の異なるバッチの間で変動し得る不均一なN結合型グリカン構造を含む。例えば、天然に存在する変異またはモノクローナル抗体調製物の作製中に発生する変異を含有している可能性のあるバリアント抗体を除き、抗体の集団の中の個々の抗体は、アミノ酸配列について実質的に同一であり、そのようなバリアントは一般に微量に存在する。
抗体の集団の「相対頻度」とは、本明細書において言及されるように、抗体の集団の中の全ての糖構造に対する、抗体の集団の中の明確なグリカンパターンの百分率を意味する。具体的には、抗体の集団の相対頻度とは、NP-UHPLCによって分析された、抗体の集団のPNGase Fによって処理された試料において同定された全ての糖構造に対する、抗体の集団の中の明確なグリカンパターンの百分率をさす。例えば、70%の相対頻度の2ガラクトシル化抗体を含む抗体の集団とは、本明細書において、抗体の集団の中の糖構造の70%が、正確に2個のガラクトース残基を含む複合型二分岐構造であり(G2F構造、G2構造、G2S1F構造、G2S1構造、G2S2F構造、およびG2S2構造を含み)、抗体の集団の中の全ての糖構造の残りの30%が、(i)正確に1個のガラクトース残基を含む複合型二分岐構造を含む(G1F構造、G1構造、G1S1F構造、およびG1S1構造を含む)糖構造、ならびに/または(ii)ガラクトース残基を欠く複合型二分岐糖構造を含む(G0構造、G0F構造、およびガラクトース残基を欠くさらなる構造を含む)糖構造であることを意味する。
「インビトロ糖操作」という用語は、本明細書において言及されるように、抗体が組換え発現系において発現させられ、好ましくは、精製された後に、インビトロで実施される、抗体のN結合型グリカン構造の改変を意味する。本発明に関するインビトロ糖操作は、常に、インビトロ糖操作の対象となった抗体の集団に含まれる抗体の少なくとも一画分のN結合型グリカン構造への少なくとも1個の糖残基の付加を包含する。任意で、インビトロ糖操作は、インビトロ糖操作の対象となった抗体の集団に含まれる抗体の少なくとも一画分のN結合型グリカン構造からの少なくとも1個の糖残基の切断を包含してもよい。本発明の範囲において、抗体のN結合型グリカン構造からのフコース残基の付加または切断は、「インビトロ糖操作」という用語に包含されない、即ち、特別に除外される。
本発明に関するインビトロ糖操作は、組換え発現系において発現されられ、好ましくは、精製された抗体の酵素処理の少なくとも一つの工程を含む。一つの態様において、酵素処理は、グリコシルトランスフェラーゼ、好ましくは、タンパク質のN結合型オリゴ糖構造に末端糖残基を付加することができるグリコシルトランスフェラーゼによる抗体の処理を含む。一つの態様において、酵素処理は、ガラクトシルトランスフェラーゼ、好ましくは、β-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の処理を含む。本発明に関するインビトロ糖操作は、タンパク質のN結合型オリゴ糖構造から末端糖残基を切断することができる酵素による酵素処理の少なくとも一つの工程をさらに含み得る。一つの態様において、酵素は、ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼより選択される。さらに、本発明に関するインビトロ糖操作は、シアリルトランスフェラーゼ、好ましくは、シアリルトランスフェラーゼ6(ST6、α-2,6-グリコシド結合の形成を触媒する)またはシアリルトランスフェラーゼ3(ST3、α-2,3-グリコシド結合の形成を触媒する)による酵素処理の少なくとも一つの工程をさらに含み得る。
例えば、タンパク質のN結合型オリゴ糖構造へ末端糖残基を付加するかまたはタンパク質のN結合型オリゴ糖構造から末端糖残基を切断することができる酵素を細胞株において過剰発現させることによって、インビボで糖操作を実施することもできる。さらに、例えば、タンパク質のN結合型オリゴ糖構造へ末端糖残基を付加するかまたはタンパク質のN結合型オリゴ糖構造から末端糖残基を切断することができる酵素の細胞株における発現の低下またはノックアウトによって、インビボで糖操作を実施することもできる。
「ガラクトース操作」という用語は、本明細書において言及されるように、ガラクトース残基のみに関係する抗体のN結合型グリカン構造の改変、即ち、抗体のN結合型グリカン構造内のガラクトース残基の数の改変を意味する。本発明に関するガラクトース操作は、常に、ガラクトース操作の対象となった抗体の集団に含まれる抗体の少なくとも一画分のN結合型グリカン構造への少なくとも1個のガラクトース残基の付加を包含する。任意で、ガラクトース操作は、ガラクトース操作の対象となった抗体の集団に含まれる抗体の少なくとも一画分のN結合型グリカン構造からの少なくとも1個のガラクトース残基の切断を包含し得る。ガラクトース操作は、インビトロで実施され得る。ガラクトース操作は、例えば、(i)タンパク質のN結合型オリゴ糖構造へ末端ガラクトース残基を付加するかもしくはタンパク質のN結合型オリゴ糖構造から末端ガラクトース残基を切断することができる酵素の細胞株における過剰発現、または(ii)タンパク質のN結合型オリゴ糖構造へ末端ガラクトース残基を付加するかもしくはタンパク質のN結合型オリゴ糖構造から末端ガラクトース残基を切断することができる酵素の細胞株における発現の低下もしくはノックアウトによって、インビボで実施されてもよい。本明細書において使用されるように、「ガラクトース操作」は「糖操作」の具体的な型であり、「ガラクトシル操作を受ける」は「糖操作を受ける」の具体的な型である。
本発明に関する「インビトロガラクトース操作」という用語は、組換え発現系において発現させられ、好ましくは、精製された抗体の酵素処理の少なくとも一つの工程を含む。一つの態様において、酵素処理は、ガラクトシルトランスフェラーゼ、好ましくは、タンパク質のN結合型オリゴ糖構造に末端ガラクトース残基を付加することができるガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の処理を含む。一つの態様において、酵素処理は、β-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の処理を含む。本発明に関するインビトロガラクトース操作は、タンパク質のN結合型オリゴ糖構造から末端ガラクトース残基を切断することができる酵素による酵素処理の少なくとも一つの工程をさらに含み得る。一つの態様において、酵素はガラクトシダーゼである。
本発明による抗体は、組換え手段によって作製される。抗体の組換え作製のための方法は、当技術分野において広く公知であり、原核細胞および真核細胞におけるタンパク質発現、その後の抗体の単離を含み、一般的には、薬学的に許容される純度への精製を含む。宿主細胞における前記の抗体の発現のため、それぞれの抗体の軽鎖および重鎖をコードする核酸が、標準的な方法によって発現ベクターへ挿入される。発現は、CHO細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、HEK293細胞、COS細胞、PER.C6細胞、酵母、または大腸菌(E.coli)細胞のような適切な原核生物または真核生物の宿主細胞において実施され、抗体が細胞(上清または溶解後の細胞)から回収される。抗体の組換え作製のための一般法は、当技術分野において周知であり、例えば、Makrides,S.C.,Protein Expr.Purif.17(1999)183-202;Geisse,S.,et al.,Protein Expr.Purif.8(1996)271-282;Kaufman,R.J.,Mol.Biotechnol.16(2000)151-161;Werner,R.G.,Drug Res.48(1998)870-880の概説論文に記載されている。
「ポリヌクレオチド」または「核酸」とは、交換可能に本明細書において使用されるように、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをさし、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらの類似体、またはDNAポリメラーゼもしくはRNAポリメラーゼによってもしくは合成反応によってポリマーへ組み入れられ得る任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化されたヌクレオチドおよびそれらの類似体のような修飾されたヌクレオチドを含んでいてもよい。ヌクレオチドの配列に、非ヌクレオチド成分が介在していてもよい。ポリヌクレオチドは、標識へのコンジュゲーションのような合成後になされた修飾を含んでいてもよい。修飾のその他の型には、例えば、「キャップ」、天然に存在する1個以上のヌクレオチドの類似体への置換、例えば、無電荷の連結(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメート等)および電荷を有する連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)によるもののようなヌクレオチド間修飾、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ply-L-リジン等)のようなペンダントモエティを含有しているもの、挿入剤(例えば、アクリジン、ソラレン等)によるもの、キレート化剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属等)を含有しているもの、アルキル化剤を含有しているもの、修飾された連結(例えば、αアノマー核酸等)によるもの、ならびにポリヌクレオチドの未修飾の型が含まれる。さらに、糖に通常存在するヒドロキシル基のいずれかが、例えば、ホスホネート基、リン酸基に交換されていてもよく、標準的な保護基によって保護されていてもよく、または付加的なヌクレオチドへの付加的な連結を調製するために活性化されていてもよく、または固形もしくは半固形の支持体にコンジュゲートされていてもよい。5'および3'の末端OHが、リン酸化されているか、またはアミンもしくは1〜20個の炭素原子の有機キャッピング基モエティによって置換されていてもよい。その他のヒドロキシルも、標準的な保護基へと誘導体化され得る。ポリヌクレオチドは、例えば、2'-O-メチル-リボース、2'-O-アリル-リボース、2'-フルオロ-リボース、または2'-アジド-リボース、炭素環式糖類似体、αアノマー糖、アラビノース、キシロース、またはリキソースのようなエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、およびメチルリボシドのような塩基性ヌクレオシド類似体を含む、当技術分野において一般に公知のリボース糖またはデオキシリボース糖の類似型を含有していてもよい。1個以上のホスホジエステル結合が、別の連結基に交換されていてもよい。これらの別の連結基には、リン酸が、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR'、CO、またはCH2(「ホルムアセタール(formacetal)」)に交換される態様が含まれるが、これらに限定されない。RまたはR'は、各々独立に、Hまたは置換型もしくは非置換型のアルキル(1〜20C)であり、任意で、エーテル(-O-)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはアラルジルを含有している。ポリヌクレオチド内の全ての連結が同一である必要はない。上記の説明は、RNAおよびDNAを含む、本明細書において言及された全てのポリヌクレオチドに当てはまる。
「単離された」核酸とは、その天然環境の成分から分離された核酸分子をさす。単離された核酸には、通常核酸分子を含有している細胞に含有されているが、染色体外またはその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する核酸分子が含まれる。
「抗体をコードする単離された核酸」とは、抗体の重鎖および軽鎖(またはそれらの断片)をコードする1種以上の核酸分子をさし、単一のベクターまたは別々のベクターに含まれるそのような核酸分子、および宿主細胞内の一つ以上の位置に存在するそのような核酸分子を含む。
「ベクター」という用語は、本明細書において使用されるように、連結されているもう一つの核酸を繁殖させることができる核酸分子をさす。この用語には、自己複製性の核酸構造としてのベクターが含まれ、導入された宿主細胞のゲノムへ組み入れられたベクターも含まれる。この用語には、細胞へのDNAまたはRNAの挿入(例えば、染色体組み込み)のために主に機能するベクター、DNAまたはRNAの複製のために主に機能する複製ベクター、ならびにDNAまたはRNAの転写および/または翻訳のために機能する発現ベクターが含まれる。記載された複数の機能を提供するベクターも含まれる。
「発現ベクター」とは、機能的に連結されている核酸の発現を指図することができるベクターである。発現ベクターが適切な宿主細胞へ導入される時、それは、転写され、ポリペプチドへ翻訳され得る。本発明による方法において宿主細胞を形質転換する時、「発現ベクター」が使用される;従って、本明細書に記載される宿主細胞の形質転換に関して、「ベクター」という用語は、「発現ベクター」を意味する。「発現系」とは、一般的に、所望の発現産物を与えるために機能することができる発現ベクターを含む適当な宿主細胞をさす。
本明細書において使用されるように、「発現」とは、核酸がmRNAへ転写される過程、および/または(転写物とも呼ばれる)転写されたmRNAが、その後、ペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質へ翻訳される過程をさす。転写物およびコードされたポリペプチドは、個々にまたは集合的に遺伝子産物と呼ばれる。核酸がゲノムDNAに由来する場合、真核細胞における発現は、対応するmRNAのスプライシングを含み得る。
「形質転換」という用語は、本明細書において使用されるように、ベクター/核酸の宿主細胞への移入の過程をさす。頑強な細胞壁関門を有しない細胞が宿主細胞として使用される場合、トランスフェクションは、例えば、Graham and Van der Eh,Virology 52(1978)546ffによって記載されたようなリン酸カルシウム沈殿法によって実施される。しかしながら、核注射またはプロトプラスト融合のような、DNAを細胞へ導入するその他の方法も使用され得る。原核細胞または強固な細胞壁構築を含有している細胞が使用される場合、例えば、トランスフェクションの一つの方法は、Cohen,F.N,et al.,PNAS 69(1972)7110 et seqによって記載されたような塩化カルシウムを使用したカルシウム処理である。
「宿主細胞」という用語は、本願において使用されるように、本発明による抗体を生成するために操作され得る任意の種類の細胞系を意味する。
本明細書において使用されるように、「細胞」、「細胞株」、および「細胞培養物」という表現は、交換可能に使用され、そのような表記は全て子孫を含む。従って、「形質転換体」および「形質転換細胞」という単語には、初代の主細胞、および継代数に関わらずそれに由来する培養物が含まれる。意図的なまたは偶発性の変異のため、全ての子孫がDNA内容物について正確に同一であるとは限らないことも理解される。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングされたのと同一の機能または生物学的活性を有するバリアント子孫も、含まれる。明確な表記が意図される場合、それは前後関係から明らかであろう。
NS0細胞における発現は、例えば、Barnes,L.M.,et al.,Cytotechnology 32(2000)109-123;Barnes,L.M.,et al.,Biotech.Bioeng.73(2001)261-270によって記載されている。一過性発現は、例えば、Durocher,Y.,et al.,Nucl.Acids.Res.30(2002)E9によって記載されている。可変ドメインのクローニングは、Orlandi,R.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86(1989)3833-3837;Carter,P.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89(1992)4285-4289;およびNorderhaug,L.,et al.,J.Immunol.Methods 204(1997)77-87によって記載されている。好ましい一過性発現系(HEK 293)は、Schlaeger,E.-J.,and Christensen,K.,in Cytotechnology 30(1999)71-83およびSchlaeger,E.-J.,J.Immunol.Methods 194(1996)191-199によって記載されている。
「精製された」という用語は、本明細書において使用されるように、天然環境もしくは組換え作製の起源から除去されているか、またはその他の方法で単離されているかもしくは分離されており、天然にそれに関連している他の成分、例えば、膜およびミクロソームが少なくとも60%、例えば、少なくとも80%除去されているポリペプチドをさす。(宿主細胞培養物から抗体を回収する)抗体の精製は、アルカリ/SDS処理、CsClバンディング、カラムクロマトグラフィ、アガロースゲル電気泳動、および当技術分野において周知のその他のものを含む標準的な技術によって、細胞の成分またはその他の混入物、例えば、他の細胞核酸もしくは細胞タンパク質を排除するため、実施される。Ausubel,F.,et al.,ed.Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley Interscience,New York(1987)を参照すること。微生物タンパク質によるアフィニティクロマトグラフィ(例えば、プロテインAアフィニティクロマトグラフィまたはプロテインGアフィニティクロマトグラフィ)、イオン交換クロマトグラフィ(例えば、陽イオン交換(カルボキシメチル樹脂)、陰イオン交換(アミノエチル樹脂)、および混合モード交換)、(例えば、βメルカプトエタノールおよびその他のSHリガンドによる)チオフィリック(thiophilic)吸着、(例えば、フェニルセファロース、アザアレノフィリック(aza-arenophilic)樹脂、またはm-アミノフェニルボロン酸による)疎水性相互作用クロマトグラフィまたは芳香族吸着クロマトグラフィ、(例えば、Ni(II)アフィニティ材料およびCu(II)アフィニティ材料による)金属キレートアフィニティクロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、ならびに(ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動のような)電気泳動法のような種々の方法が、十分に確立され、タンパク質精製のために広範囲に使用されている(Vijayalakshmi,M.A.,Appl.Biochem.Biotech.75(1998)93-102)。
「薬学的組成物」という用語は、そこに含有されている活性成分の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態にあり、組成物が投与されるであろう対象に対して許容されない程度に毒性である付加的な成分を含有していない調製物をさす。当技術分野において公知の多様な方法によって、本発明の薬学的組成物を投与することができる。当業者によって認識されるように、投与のルートおよび/またはモードは、所望の結果に依って変動するであろう。ある種の投与ルートによって本発明による抗体を投与するためには、不活化を防止する材料によって抗体をコーティングするか、または不活化を防止する材料と共に抗体を同時投与することが必要であり得る。例えば、抗体は、適切な担体、例えば、リポソームまたは希釈剤で対象へ投与され得る。薬学的に許容される希釈剤には、生理食塩水および水性緩衝溶液が含まれる。
薬学的組成物は、有効量の本発明による抗体を含む。薬剤、例えば、抗体の「有効量」とは、所望の治療的または予防的な結果を達成するため、必要な投薬量および期間で、有効な量をさす。具体的には、「有効量」とは、対象に投与された時、(i)特定の疾患、状態、もしくは障害を処置するかもしくは予防するか、(ii)特定の疾患、状態、もしくは障害の一つ以上の症状を弱めるか、寛解させるか、もしくは排除するか、または(iii)本明細書に記載された特定の疾患、状態、もしくは障害の一つ以上の症状の開始を防止するかもしくは遅延させる本発明の抗体の量を意味する。治療的に有効な量は、使用される抗体分子、処置される疾患状態、処置される疾患の重症度、対象の年齢および相対健康、投与のルートおよび型、担当する医学または獣医学の実務者の判断、ならびにその他の因子に依って変動するであろう。
「薬学的に許容される担体」とは、対象に対して無毒である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分をさす。薬学的に許容される担体には、生理学的に適合性である、全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤、抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤等が含まれる。一つの態様において、担体は、(例えば、注射または注入による)静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄、または表皮への投与のために適当である。
本発明による薬学的組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤のような佐剤も含有していてよい。微生物の存在の防止は、前記の殺菌手法によっても、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等の包含によっても、確実にされ得る。糖、塩化ナトリウム等のような等張剤を組成物に含めることも望ましい場合がある。さらに、注射可能な薬学的形態の吸収の長期化は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅延させる薬剤の包含によってもたらされ得る。
「非経口投与」および「非経口投与された」という語句は、本明細書において使用されるように、経腸投与および局所投与以外の投与モード、一般的には、注射によるものを意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、および胸骨内への注射および注入を含むが、これらに限定されない。
選択された投与のルートに関わらず、適当な水和型で使用され得る本発明の化合物、および/または本発明の薬学的組成物は、当業者に公知の従来の方法によって、薬学的に許容される剤形へ製剤化される。
本発明の薬学的組成物の中の活性成分の実際の投薬量レベルは、患者に対して毒性であることなく、特定の患者、組成物、および投与モードについて、所望の治療的応答を達成するのに有効な活性成分の量を入手するため、変動し得る。選択される投薬量レベルは、利用される本発明の特定の組成物の活性、投与のルート、投与の時間、利用される特定の化合物の排出の速度、処置の期間、利用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物、および/または材料、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全身健康状態、および過去の病歴等の医学分野において周知の因子を含む、多様な薬物動態学的因子に依って変動するであろう。
組成物は、無菌でなければならず、かつ組成物が注射器によって送達可能である程度に流動性でなければならない。水に加えて、一つの態様において、担体は、等張の緩衝生理食塩水溶液である。
適度の流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用、分散の場合に必要とされる粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用によって維持され得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖、マンニトールまたはソルビトールのような多価アルコール、および塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましい。
本明細書において使用されるように、「処置」(「処置する」または「処置すること」のような文法上の変動)とは、処置される個体の自然経過を改変する試みにおける臨床的介入をさし、予防のために実施されてもよいし、または臨床病理学の経過中に実施されてもよい。望ましい処置の効果には、疾患の発生または再発の防止、症状の緩和、疾患の直接または間接の病理学的結果の縮小、転移の防止、疾患進行の速度の減少、疾患状態の寛解または緩解、および軽快または予後の改善が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、本発明の抗体は、疾患の発症を遅延させるかまたは疾患の進行を遅くするために使用される。
「個体」または「対象」とは、哺乳動物である。哺乳動物には、飼育された動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、およびウマ)、霊長類(例えば、ヒト、およびサルのような非ヒト霊長類)、ウサギ、ならびに齧歯類(例えば、マウスおよびラット)が含まれるが、これらに限定されない。ある種の態様において、個体または対象は、ヒトである。
HER2は、ヒト上皮増殖因子受容体ファミリーのメンバーであり、細胞質ドメインにプロテインキナーゼ活性を保有する。HER2は、腫瘍細胞において過剰発現され、予後および生存の不良と相関している。従って、HER2は、乳癌治療の有益な標的である。HER2に対する抗体は、Takai,N.,et al.,Cancer 104(2005)2701-2708;Yeon,C.H.,et al.,Invest.New Drugs 23(2005)391-409;Wong,W.M.,et al.,Cancer Pract.7(1999)48-50;Albanell,J.,et al.,Drugs Today(Barc).35(1999)931-46から公知である。
CD20抗原は、末梢血またはリンパ器官に由来する90%を超えるB細胞の表面上に見出される、およそ35kDaの非グリコシル化リン酸化タンパク質である。CD20は、初期プレB細胞発達の間に発現され、形質細胞分化まで残存する。CD20は、正常B細胞および悪性B細胞の両方に存在する。文献におけるCD20の別名には「Bリンパ球限定抗原(B-lymphocyte-restricted antigen)」および「Bp35」が含まれる。CD20抗原は、例えば、Clark et al.PNAS(USA)82:1766(1985)に記載されている。
本明細書においてmAb1とも呼ばれるトラスツズマブ(INN)は、HER2過剰発現/HER2遺伝子増幅性の転移性乳癌の処置のために使用される組換えヒト化抗HER2モノクローナル抗体である。前臨床研究は、この抗体が、インビボおよびインビトロで抗腫瘍活性を有することを証明した。さらに、マウスモデルにおいて、様々な抗腫瘍剤と組み合わせられたトラスツズマブの抗腫瘍活性の相加的または相乗的な増強が観察された。臨床研究において、HER2過剰発現性の転移性乳癌患者において、生存期間の延長が観察された。トラスツズマブは、(参照によって本明細書に組み入れられる)WO 92/022653、WO 99/057134、WO 97/04801、米国特許第5,677,171号、および米国特許第5,821,337号に報告されている。
本明細書においてmAb2とも呼ばれるリツキシマブ(INN)は、CD20抗原に対する、遺伝子操作されたキメラマウス/ヒトモノクローナル抗体であり、参照によって明示的に本明細書に組み入れられる米国特許第5,736,137号において「C2B8」と名付けられている。この抗体は、マウスの軽鎖および重鎖の可変領域配列とヒト定常領域配列とを含有しているIgG1κ免疫グロブリンである。
本明細書においてmAb3とも呼ばれるペルツズマブ(INN)は、ヒトIgG1(κ)フレームワークに基づき生成された組換えヒト化モノクローナル抗体である。ペルツズマブは、他のHER受容体とのHER2の二量化を阻害し、それによって、リガンドによって駆動されるリン酸化および活性化、ならびに下流のRAS経路およびAKT経路の活性化を阻害するヒト化抗体として開発された。
本明細書においてmAb5とも呼ばれるオビヌツズマブ(INN、以前はアフツズマブとして公知であった)は、CD20抗原に対するヒト化IgG1抗体である。
「癌」および「癌の」という用語は、典型的には、制御されない細胞成長/増殖を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態をさすかまたは表す。癌の例には、癌、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫、ならびに白血病が含まれるが、これらに限定されない。そのような癌のより具体的な例には、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、神経膠腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、白血病、およびその他のリンパ増殖障害、ならびに様々な型の頭頸部癌が含まれるが、これらに限定されない。
「炎症性疾患」および「炎症性障害」という用語は、交換可能に使用され、哺乳動物の免疫系の成分が、哺乳動物における罹患率に寄与する炎症性応答を引き起こすか、媒介するか、またはその他の方法で寄与する疾患または障害を意味する。炎症応答の低下が疾患の進行に対して寛解効果を及ぼす疾患も含まれる。この用語には、自己免疫疾患を含む、免疫によって媒介される炎症性疾患が含まれる。
「自己免疫障害」とは、本明細書において、個体自身の組織もしくは器官から発生し、個体自身の組織もしくは器官に対して向けられる疾患もしくは障害、またはそれらの同時分離もしくは顕在化、またはそれらに起因する状態である。これらの自己免疫障害および炎症性障害の多くにおいて、高γグロブリン血症、高レベルの自己抗体、組織内の抗原抗体複合体沈着物、副腎皮質ステロイドまたは免疫抑制処置からの恩恵、および患部組織におけるリンパ細胞凝集物を含むが、これらに限定されない、多数の臨床マーカーおよび実験マーカーが存在し得る。B細胞によって媒介される自己免疫障害に関するいかなる理論にも制限されないが、B細胞は、自己抗体産生、免疫複合体形成、樹状細胞およびT細胞の活性化、サイトカイン合成、直接ケモカイン放出、ならびに異所性リンパ球新生のための病巣の提供を含む多数の機序経路を通して、ヒト自己免疫疾患において病原効果を示すと考えられている。これらの経路の各々は、自己免疫疾患の病理に異なる程度で関与する可能性がある。
「自己免疫疾患」は、器官特異的疾患(即ち、免疫応答が、内分泌系、細網内皮系、皮膚、心肺系、胃腸肝臓系、腎臓系、甲状腺、耳、神経筋系、中枢神経系等のような器官系に対して特異的に向けられる)または複数の器官系に影響を与えることができる全身性疾患(例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)、慢性関節リウマチ(RA)、多発性筋炎等)であり得る。好ましいそのような疾患には、(例えば、RA、シェーグレン症候群、硬皮症、SLEおよびループス腎炎のようなループス、多発性筋炎皮膚筋炎、クリオグロブリン血症、抗リン脂質抗体症候群、ならびに乾癬性関節炎のような)自己免疫性リウマチ学的障害、(例えば、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎およびクローン病)、自己免疫性の胃炎および悪性貧血、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、ならびにセリアック病のような)自己免疫性の胃腸および肝臓の障害、(例えば、チャーグ・ストラウス血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、および顕微鏡的多発血管炎を含む、ANCA陰性血管炎およびANCA関連血管炎のような)血管炎、(例えば、多発性硬化症、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群、重症筋無力症、視神経脊髄炎、パーキンソン病、アルツハイマー病、および自己免疫性多発ニューロパチーのような)自己免疫性神経障害、(例えば、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、およびベルジェ病のような)腎障害、(例えば、乾癬、蕁麻疹(urticaria)、蕁麻疹(hives)、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、および皮膚エリテマトーデスのような)自己免疫性皮膚障害、(例えば、血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病、輸血後紫斑病、および自己免疫性溶血性貧血のような)血液障害、アテローム性動脈硬化症、葡萄膜炎、(例えば、内耳疾患および難聴のような)自己免疫性聴覚疾患、ベーチェット病、レイノー症候群、臓器移植、ならびに(例えば、インスリン依存性糖尿病(IDDM)のような糖尿病関連自己免疫疾患、アジソン病、ならびに自己免疫性甲状腺疾患(例えば、グレーブス病および甲状腺炎)のような)自己免疫性内分泌障害が含まれる。より好ましいそのような疾患には、例えば、RA、潰瘍性大腸炎、ANCA関連血管炎、ループス、多発性硬化症、シェーグレン症候群、グレーブス病、IDDM、悪性貧血、甲状腺炎、および糸球体腎炎が含まれる。
2.発明の態様の詳細な説明
本発明は、多量の末端ガラクトース残基を含み、任意で、シアル酸残基を含み、それによって、ADCCを媒介する改善された能力を示すよう、酵素処理によって糖操作されている改変されたN結合型グリカンプロファイルを有する組換えIgG1抗体を提供する。さらに、本発明は、抗体を生成するための糖操作方法を提供する。糖操作によって、宿主細胞の個々の型の異なる発現バッチにおいて作製される抗体について再現可能に作出され得る、実質的に均一なグリカンパターンを有する集団を生成することができる。本発明によって、N結合型のガラクトシル化グリカン構造とフコシル化グリカン構造との間の明確な均衡を示すIgG1抗体が、改善されたADCC特性を示すことが証明された。抗体のADCC特性は、ガラクトース操作によって(末端)ガラクトース残基を付加することによって調節され得る。糖操作を介した末端シアル酸残基の付加は、ADCC特性を保存するが、さらに抗体の生物学的特性を改善することができる(例えば、血清半減期の増加)。
(a)抗体
一つの局面において、本発明は、少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団に関する。
一つの局面において、本発明は、少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団に関する。
本発明の一つの態様において、抗体の集団は、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。
従って、一つの態様において、本発明は、少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団に関する。もう一つの態様において、本発明は、少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのインビトロ糖操作組換え抗体の集団に関する。
本発明の一つの態様において、抗体の集団は、100%までの相対頻度の(1ガラクトシル化グリカン構造および2ガラクトシル化グリカン構造を含む)Fcガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、99.5%までの相対頻度のFcガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、95%までの相対頻度のFcガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、90%までの相対頻度のFcガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、80%〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体を含む。
本発明の一つの態様において、抗体の集団は、98%までの相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、95%までの相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、90%までの相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、70%から95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、80%から95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、80%から90%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む。
本発明の一つの態様において、抗体の集団は、16%までの相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。本発明の一つの態様において、抗体の集団は、少なくとも2%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、少なくとも5%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、少なくとも7%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、2〜20%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、5〜20%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、8〜12%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。
本発明の一つの態様において、抗体の集団は、非フコシル化を改善するための糖操作を受けていない。一つの態様において、抗体の集団は、同一の宿主細胞において発現された抗体におけるFc非フコシル化の相対頻度に相当する相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、CHO細胞において発現された抗体におけるFc非フコシル化の相対頻度に相当する相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。
本発明の一つの態様において、抗体の集団は、98%までの相対頻度の(1シアリル化グリカン構造および2シアリル化グリカン構造を含む)Fcシアリル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、97%までの相対頻度のFcシアリル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、95%までの相対頻度のFcシアリル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、90%までの相対頻度のFcシアリル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、50%から80%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む。
一つの態様において、シアリル化抗体は、NANAまたはNGNAをシアル酸として含む。一つの態様において、シアリル化抗体は、NANAをシアル酸として含む。一つの態様において、シアリル化抗体は、NANAをシアル酸として含み、NGNAを含まない。
一つの態様において、抗体の集団は、バイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を実質的に欠く。一つの態様において、明確な糖残基を実質的に欠く抗体の集団は、2%以下の相対頻度で、明確な糖残基を含む抗体を含む。一つの態様において、明確な糖残基を実質的に欠く抗体の集団は、1%以下の相対頻度で、明確な糖残基を含む抗体を含む。一つの態様において、明確な糖残基を実質的に欠く抗体の集団は、0.5%以下の相対頻度で、明確な糖残基を含む抗体を含む。
一つの態様において、抗体の集団は、バイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明の一つの態様において、抗体の集団は、80〜99.5%の相対頻度の(1ガラクトシル化グリカン構造および2ガラクトシル化グリカン構造を含む)Fcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、任意で、20〜98%の相対頻度の(1シアリル化グリカン構造および2シアリル化グリカン構造を含む)Fcシアリル化抗体を含む。本発明の一つの態様において、抗体の集団は、80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、任意で、20〜98%までの相対頻度のFcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明の一つの態様において、抗体の集団は、80〜99.5%の相対頻度の(1ガラクトシル化グリカン構造および2ガラクトシル化グリカン構造を含む)Fcガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、任意で、20〜90%の相対頻度の(1シアリル化グリカン構造および2シアリル化グリカン構造を含む)Fcシアリル化抗体を含む。本発明の一つの態様において、抗体の集団は、80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、任意で、20〜90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明の一つの態様において、抗体の集団は、80%から95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、任意で、20〜98%の相対頻度の(1シアリル化グリカン構造および2シアリル化グリカン構造を含む)Fcシアリル化抗体を含む。本発明の一つの態様において、抗体の集団は、80%から95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、任意で、20〜98%の相対頻度の(1シアリル化グリカン構造および2シアリル化グリカン構造を含む)Fcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
一つの態様において、抗体の集団は、80%から90%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、抗体の集団は、80%から90%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
一つの態様において、抗体は、重鎖のCH2ドメインの294〜300位(カバットのEUインデックスによるナンバリング)に位置するアスパラギン残基にグリコシル化部位を含む。一つの態様において、抗体は、重鎖のCH2ドメインの294〜300位(カバットのEUインデックスによるナンバリング)に位置するアスパラギン残基にグリコシル化部位を含み、かつさらなるグリコシル化部位を含まない。
本発明の一つの態様において、組換え抗体は、Fab領域にグリコシル化部位を含まない。一つの態様において、本発明による抗体は、Fab領域にN結合型グリカンのためのグリコシル化部位を含まない。一つの態様において、本発明による抗体のFab領域は、以下のアミノ酸配列を含まない:Asn-X-SerおよびAsn-X-Thr(Xはプロリン以外のアミノ酸であり、Serはセリンであり、Thrはトレオニンである)。
本発明の一つの態様において、抗体は、ヒトIgG1アイソタイプのものである。一つの態様において、抗体は、ヒト抗体である。一つの態様において、抗体は、ヒト化抗体である。一つの態様において、抗体は、キメラマウス/ヒト抗体である。
本発明の一つの態様において、抗体は、全長IgG1抗体である。一つの態様において、抗体は、モノクローナル抗体である。一つの態様において、抗体は、ヒトIgG1アイソタイプのモノクローナル全長抗体である。
本発明の一つの態様において、抗体は、変異L234AおよびL235A(カバットのEUインデックスによるナンバリング)を有するヒトIgG1アイソタイプのものである。本発明の一つの態様において、抗体は、変異L234A、L235A、およびP329G(カバットのEUインデックスによるナンバリング)を有するヒトIgG1アイソタイプのものである。
本発明の一つの態様において、組換えIgG1抗体の作用モードは、ADCCの誘導である。
本発明の一つの態様において、抗体は、単一特異性抗体である。
本発明の一つの態様において、抗体は、多重特異性抗体である。
本発明の一つの態様において、抗体は、二価または三価の抗体である。本発明の一つの態様において、抗体は、二価抗体である。
本発明の一つの態様において、抗体は、トラスツズマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、およびオビヌツズマブからなる群より選択される。
一つの態様において、抗体は、HER2に特異的に結合する。一つの態様において、抗体は、HER2に特異的に結合し、かつSEQ ID NO:1の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:2の軽鎖可変ドメインを含む。一つの態様において、抗体は、トラスツズマブである。
一つの態様において、抗体は、CD20に特異的に結合する。一つの態様において、抗体は、CD20に特異的に結合し、かつSEQ ID NO:3の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:4の軽鎖可変ドメインを含む。一つの態様において、抗体は、リツキシマブである。
一つの態様において、抗体は、HER2に特異的に結合する。一つの態様において、抗体は、HER2に特異的に結合し、かつSEQ ID NO:5の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:6の軽鎖可変ドメインを含む。一つの態様において、抗体は、ペルツズマブである。
一つの態様において、抗体は、CD20に特異的に結合する。一つの態様において、抗体は、CD20に特異的に結合し、かつSEQ ID NO:7の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:8の軽鎖可変ドメインを含む。一つの態様において、抗体はオビヌツズマブである。
本発明の一つの態様において、抗体は、インビトロガラクトース操作型抗体である。本発明の一つの態様において、抗体は、インビボガラクトース操作型抗体である。
(b)方法
本発明のもう一つの局面は、
(a)組換え抗体の集団を入手するため、抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞においてIgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、宿主細胞を遺伝子操作する工程
を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法である。
本発明のもう一つの局面は、
(a)組換え抗体の集団を入手するため、抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞においてIgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)少なくとも80%の相対頻度の(1ガラクトシル化グリカン構造および2ガラクトシル化グリカン構造を含む)Fc 2ガラクトシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、宿主細胞を遺伝子操作する工程
を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法である。
本発明のもう一つの局面は、
(a)組換え抗体の集団を入手するため、抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞においてIgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)組換え抗体の集団を単離する工程、
(c)少なくとも80%の相対頻度の(1ガラクトシル化グリカン構造および2ガラクトシル化グリカン構造を含む)Fcガラクトシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するため、ガラクトシルトランスフェラーゼによって抗体の集団を酵素処理し、その後、ガラクトース操作型組換え抗体の集団を酵素から分離する工程
を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法である。
本発明のもう一つの局面は、
(a)組換え抗体の集団を入手するため、抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞においてIgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)組換え抗体の集団を単離する工程、
(c)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するため、ガラクトシルトランスフェラーゼによって抗体の集団を酵素処理し、その後、ガラクトース操作型組換え抗体の集団を酵素から分離する工程
を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法である。
本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、抗体の集団は、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。
従って、一つの態様において、本発明は、少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、前記のガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法に関する。
もう一つの態様において、本発明は、少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、前記のガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法に関する。
上記の方法は、ガラクトシル化N結合型グリカン構造、具体的には、2ガラクトシル化N結合型グリカン構造を多量に含む抗体集団の生成のために適当である。本発明による方法によって、IgG1分子を含む抗体集団のADCCを媒介する能力が改善される。一つの態様において、IgG1分子の少なくとも1種の活性化型FcγRとの結合が改善される。一つの態様において、IgG1分子のFcγRIIIaとの結合が改善される。一つの態様において、IgG1分子のFcγRIIaとの結合が改善される。
一つの態様において、方法は、本発明による抗体の作製のためのものである。
本発明の一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、25%未満の相対頻度のFc非ガラクトシル化抗体を含む。本発明の一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、100%までのFcガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、99.5%までの相対頻度のFcガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、95%までの相対頻度のFcガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、90%までの相対頻度のFcガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80%から99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体を含む。
本発明の一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、98%までの相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、95%までの相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、90%までの相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、70%から95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80%から95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む。一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80%から90%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む。
本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、工程(a)において入手された組換え抗体の集団は、16%までの相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、工程(a)において入手された組換え抗体の集団は、少なくとも2%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、工程(a)において入手された組換え抗体の集団は、少なくとも5%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、工程(a)において入手された組換え抗体の集団は、少なくとも7%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、工程(a)において入手された組換え抗体の集団は、少なくとも8%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、工程(a)において入手された組換え抗体の集団は、16%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、工程(a)において入手された組換え抗体の集団は、2%から20%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、工程(a)において入手された組換え抗体の集団は、5%から20%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、工程(a)において入手された組換え抗体の集団は、7%から16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、工程(a)において入手された組換え抗体の集団は、8%から12%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。
本発明の一つの態様において、組換え抗体は、Fab領域にグリコシル化部位を含まない。一つの態様において、本発明による抗体は、Fab領域にN結合型グリカンのためのグリコシル化部位を含まない。一つの態様において、本発明による抗体のFab領域は、以下のアミノ酸配列を含まない:Asn-X-SerおよびAsn-X-Thr(Xはプロリン以外のアミノ酸であり、Serはセリンであり、Thrはトレオニンである)。
本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、タンパク質ガラクトシル化を改善するための宿主細胞の遺伝学的操作に関する工程は、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度を増加させることができる酵素を宿主細胞において過剰発現させることによって実施される。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度を増加させることができる酵素は、ガラクトシルトランスフェラーゼである。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度を増加させることができる酵素は、β-(1-4)-ガラクトシルトランスフェラーゼである。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、タンパク質ガラクトシル化を改善するための宿主細胞の遺伝学的操作に関する工程は、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度を増加させることができる酵素を宿主細胞において過剰発現させることによって実施される。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度を増加させることができる酵素は、ガラクトシルトランスフェラーゼである。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度を増加させることができる酵素は、β-(1-4)-ガラクトシルトランスフェラーゼである。
本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、タンパク質ガラクトシル化を改善するための宿主細胞の遺伝学的操作に関する工程は、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度を減少させることができる酵素の宿主細胞における発現の低下またはノックアウトによって実施される。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度を減少させることができる酵素は、ガラクトシダーゼである。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度を減少させることができる酵素は、β(1-4)-ガラクトシダーゼである。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、タンパク質ガラクトシル化を改善するための宿主細胞の遺伝学的操作に関する工程は、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度を減少させることができる酵素の宿主細胞における発現の低下またはノックアウトによって実施される。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度を減少させることができる酵素は、ガラクトシダーゼである。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度を減少させることができる酵素は、β(1-4)-ガラクトシダーゼである。
本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、タンパク質ガラクトシル化を改善するための宿主細胞の遺伝学的操作に関する工程は、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度を増加させることができる酵素を宿主細胞において過剰発現させることによって実施される。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度を増加させることができる酵素は、ガラクトシルトランスフェラーゼである。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度を増加させることができる酵素は、β-(1-4)-ガラクトシルトランスフェラーゼである。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、タンパク質ガラクトシル化を改善するための宿主細胞の遺伝学的操作に関する工程は、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度を増加させることができる酵素を宿主細胞において過剰発現させることによって実施される。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度を増加させることができる酵素は、ガラクトシルトランスフェラーゼである。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度を増加させることができる酵素は、β-(1-4)-ガラクトシルトランスフェラーゼである。
本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、タンパク質ガラクトシル化を改善するための宿主細胞の遺伝学的操作に関する工程は、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度を減少させることができる酵素の宿主細胞における発現の低下またはノックアウトによって実施される。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度を減少させることができる酵素は、ガラクトシダーゼである。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度を減少させることができる酵素は、β(1-4)-ガラクトシダーゼである。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、タンパク質ガラクトシル化を改善するための宿主細胞の遺伝学的操作に関する工程は、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度を減少させることができる酵素の宿主細胞における発現の低下またはノックアウトによって実施される。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度を減少させることができる酵素は、ガラクトシダーゼである。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度を減少させることができる酵素は、β(1-4)-ガラクトシダーゼである。
本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、タンパク質ガラクトシル化を改善するための宿主細胞の遺伝学的操作は、標準的な分子生物学技術によって実施される。一つの態様において、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度を減少させることができる酵素の宿主細胞における発現の低下またはノックアウトは、相同組換え、ジンクフィンガーヌクレアーゼの使用、RNA干渉(RNAi)、およびマイクロRNA(miRNA)からなる群より選択される方法によって実施され得る。一つの態様において、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度の増加は、作製過程開発によって実施され得る。一つの態様において、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度の増加は、細胞培養培地へのガラクトースの補足によって実施され得る。一つの態様において、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度の増加は、細胞培養培地へのグルタミン酸の補足によって実施され得る。一つの態様において、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度の増加は、細胞培養培地中のグルタミンのグルタミン酸への置換によって実施され得る。一つの態様において、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度の増加は、細胞培養培地へのマンガンの補足によって実施され得る。一つの態様において、Fc 2ガラクトシル化抗体の相対頻度を増加させることができる酵素の宿主細胞における過剰発現は、メトトレキサート選択圧を使用して、酵素を安定的に発現する細胞株を生成することによって実施され得る。
本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、タンパク質ガラクトシル化を改善するための宿主細胞の遺伝学的操作は、標準的な分子生物学技術によって実施される。一つの態様において、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度を減少させることができる酵素の宿主細胞における発現の低下またはノックアウトは、相同組換え、ジンクフィンガーヌクレアーゼの使用、RNA干渉(RNAi)、およびマイクロRNA(miRNA)からなる群より選択される方法によって実施され得る。一つの態様において、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度の増加は、作製過程開発によって実施され得る。一つの態様において、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度の増加は、細胞培養培地へのガラクトースの補足によって実施され得る。一つの態様において、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度の増加は、細胞培養培地へのグルタミン酸の補足によって実施され得る。一つの態様において、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度の増加は、細胞培養培地中のグルタミンのグルタミン酸への置換によって実施され得る。一つの態様において、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度の増加は、細胞培養培地へのマンガンの補足によって実施され得る。一つの態様において、Fcガラクトシル化抗体の相対頻度を増加させることができる酵素の宿主細胞における過剰発現は、メトトレキサート選択圧を使用して、酵素を安定的に発現する細胞株を生成することによって実施され得る。
本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、工程(c)の酵素処理は、30〜38℃で実施される。一つの態様において、工程(c)の酵素処理は、31〜38℃で実施される。一つの態様において、工程(c)の酵素処理は、31〜35℃で実施される。一つの態様において、工程(c)の酵素処理は、約32℃で実施される。
本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、工程(c)の酵素処理は、pH6〜7の溶液において実施される。一つの態様において、工程(c)の酵素処理は、pH6.3〜6.8の溶液において実施される。一つの態様において、工程(c)の酵素処理は、約pH6.5の溶液において実施される。
本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、工程(c)の酵素処理は、少なくとも150分間実施される。一つの態様において、工程(c)の酵素処理は、少なくとも2時間実施される。一つの態様において、工程(c)の酵素処理は、150時間まで実施される。一つの態様において、工程(c)の酵素処理は、少なくとも150分間実施される。
本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、工程(c)は、pH6〜7の溶液における30〜35℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含む。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、工程(c)は、pH6.3〜6.8の溶液における31〜34℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含む。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、工程(c)は、pH6.3〜6.8の溶液における31〜34℃での2〜150時間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含む。本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、工程(c)は、約pH6.5の溶液における約32℃での2〜150時間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含む。
一つの態様において、工程(c)は、ガラクトシルトランスフェラーゼおよびUDPガラクトース(ウリジン二リン酸ガラクトース)の存在下で実施される。一つの態様において、工程(c)は、ガラクトシルトランスフェラーゼ、UDPガラクトース、およびMnCl2の存在下で実施される。
一つの態様において、ガラクトシルトランスフェラーゼは、UDPガラクトースからオリゴ糖のN-アセチルグルコサミン残基へガラクトースを転移させることができるβ(1-4)-ガラクトシルトランスフェラーゼである。
本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、IgG1アイソタイプの抗体は、タンパク質フコシル化を改善するかまたは損なうために遺伝子操作されていない宿主細胞において組換え作製される。一つの態様において、抗体は、宿主細胞の遺伝学的改変に起因するフコーストランスフェラーゼの改変された発現(例えば、枯渇)を示さず、フコシル化タンパク質の少なくとも一画分を発現することができる宿主細胞において作製される。
本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、宿主細胞は真核細胞である。一つの態様において、宿主細胞は、CHO細胞またはマウス骨髄腫細胞である。一つの態様において、宿主細胞はCHO細胞である。一つの態様において、宿主細胞は、タンパク質フコシル化を改善するかまたは損なうために遺伝子操作されていないCHO細胞である。一つの態様において、宿主細胞は、CHO細胞の遺伝学的改変に起因するフコーストランスフェラーゼの改変された発現(例えば、枯渇)を示さず、フコシル化タンパク質の少なくとも一画分を発現することができるCHO細胞である。
一つの態様において、宿主細胞は、20%までの相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む抗体の集団を発現することができる。一つの態様において、宿主細胞は、16%までの相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む抗体の集団を発現することができる。一つの態様において、宿主細胞は、少なくとも2%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む抗体の集団を発現することができる。一つの態様において、宿主細胞は、少なくとも5%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む抗体の集団を発現することができる。一つの態様において、宿主細胞は、少なくとも7%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む抗体の集団を発現することができる。一つの態様において、宿主細胞は、少なくとも8%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む抗体の集団を発現することができる。一つの態様において、宿主細胞は、5%から20%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む抗体の集団を発現することができる。一つの態様において、宿主細胞は、7%から16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む抗体の集団を発現することができる。一つの態様において、宿主細胞は、8%から12%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む抗体の集団を発現することができる。
一つの態様において、本発明による方法は、抗体のN結合型グリカン構造からのフコース残基のインビトロ付加またはインビトロ切断を含まない。一つの態様において、宿主細胞は、タンパク質フコシル化を改善するかまたは損なうために遺伝子操作されておらず、本発明による方法は、抗体のN結合型グリカン構造からのフコース残基のインビトロ付加またはインビトロ切断を含まない。一つの態様において、宿主細胞は、タンパク質フコシル化を改善するかまたは損なうために遺伝子操作されていないCHO細胞であり、本発明による方法は、抗体のN結合型グリカン構造からのフコース残基のインビトロ付加またはインビトロ切断を含まない。
従って、本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80〜99.5%の相対頻度の(1ガラクトシル化グリカン構造および2ガラクトシル化グリカン構造を含む)Fcガラクトシル化抗体ならびに20%未満の相対頻度のFc非フコシル化フコシル化抗体を含む。一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明の一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明の一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80%から95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。本発明の一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80%から95%までの相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80%から90%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。一つの態様において、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80%から90%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80〜99.5%の相対頻度の(1ガラクトシル化グリカン構造および2ガラクトシル化グリカン構造を含む)Fcガラクトシル化抗体ならびに20%未満の相対頻度のFc非フコシル化フコシル化抗体を含む。本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80%から95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む。本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80%から95%までの相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、工程(c)は、pH6〜7の溶液における30〜38℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含み、それによって、工程(c)において入手される抗体集団は、80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、工程(c)は、pH6〜7の溶液における30〜38℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含み、それによって、工程(c)において入手される抗体集団は、80%から95%までの相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、工程(c)は、pH6.3〜6.8の溶液における31〜35℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含み、それによって、工程(c)において入手される抗体集団は、80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、工程(c)は、pH6.3〜6.8の溶液における31〜35℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含み、それによって、工程(c)において入手される抗体集団は、80%から95%までの相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法のうちの一つにおける一態様において、(N結合型グリカン構造が高ガラクトシル化されている)工程(c)において入手された抗体の集団は、98%までの相対頻度の(1シアリル化グリカン構造および2シアリル化グリカン構造を含む)Fcシアリル化抗体を含む抗体集団を入手するための工程(d)シアリルトランスフェラーゼによる酵素処理、およびその後のシアリル化抗体の集団のシアリルトランスフェラーゼからの分離に供される。
この工程(d)は、高い相対頻度のシアリル化IgG1分子を含む抗体の集団の生成のために有利である。活性化された糖としてCMP-NANA(シチジン-5'-モノホスホ-N-アセチルノイラミン酸)を使用することによって、NANA残基のみを含む均一な集団を有利に生成することができる。
一つの態様において、シアリルトランスフェラーゼによる酵素処理は、35〜40℃で実施される。一つの態様において、シアリルトランスフェラーゼによる処理は、36〜38℃で実施される。一つの態様において、シアリルトランスフェラーゼによる処理は、約37℃で実施される。
一つの態様において、シアリルトランスフェラーゼによる処理は、pH6〜9の溶液において実施される。一つの態様において、シアリルトランスフェラーゼによる処理は、pH6.5〜8.5の溶液において実施される。一つの態様において、シアリルトランスフェラーゼによる処理は、約pH7〜約pH8の溶液において実施される。
一つの態様において、シアリルトランスフェラーゼによる処理は、少なくとも150分間実施される。一つの態様において、シアリルトランスフェラーゼによる処理は、少なくとも2時間実施される。一つの態様において、シアリルトランスフェラーゼによる処理は、2〜120時間実施される。
一つの態様において、シアリルトランスフェラーゼによる酵素処理は、以下の条件で実施される:
(i)第1工程において、シアリルトランスフェラーゼと、本発明による方法のうちの一つの工程(c)において入手された抗体の集団とを、pH6〜8(一つの態様において、pH6.5〜7.5)の溶液において前記の温度で、少なくとも150分間(一つの態様において、2〜80時間)接触させる;
(ii)任意で、第2工程において、シアリルトランスフェラーゼと、工程(i)において入手された抗体の集団とを、溶液において前記の温度で、少なくとも150分(一つの態様において、2〜10時間)接触させる。
工程(i)を含むシアリルトランスフェラーゼによる処理によって、高い相対頻度の1シアリル化N結合型グリカン構造を含む抗体集団を入手することができる。従って、一つの態様において、シアリルトランスフェラーゼによる処理は、工程(i)を含む(からなる)。前記の工程(ii)を含むさらなる処理は、高い相対頻度の2シアリル化N結合型グリカン構造を含む抗体集団の生成をもたらす。従って、一つの態様において、シアリルトランスフェラーゼによる処理は、工程(i)および(ii)を含む。
一つの態様において、工程(i)または任意で(i)および(ii)において示されたシアリルトランスフェラーゼによる処理は、全部で120時間までの時間、実施される。
一つの態様において、工程(d)は、シアリルトランスフェラーゼおよびCMP-NANAの存在下で実施される。
一つの態様において、シアリルトランスフェラーゼは、CMP-NANAからオリゴ糖の末端ガラクトース残基へシアル酸(NANA)を転移させることができるα(2-6)-シアリルトランスフェラーゼである。一つの態様において、シアリルトランスフェラーゼは、CMP-NANAからオリゴ糖の末端ガラクトース残基へシアル酸(NANA)を転移させることができるα(2-3)-シアリルトランスフェラーゼである。
一つの態様において、工程(i)は、SEQ ID NO:10によるアミノ酸配列を含むα(2-6)-シアリルトランスフェラーゼを使用して実施される。一つの態様において、工程(ii)は、SEQ ID NO:9によるアミノ酸配列を含むα(2-6)-シアリルトランスフェラーゼを使用して実施される。一つの態様において、方法は、工程(i)および(ii)を含み、工程(i)は、SEQ ID NO:10によるアミノ酸配列を含むα(2-6)-シアリルトランスフェラーゼを使用して実施され、工程(ii)は、SEQ ID NO:9によるアミノ酸配列を含むα(2-6)-シアリルトランスフェラーゼを使用して実施される。
本発明の一つの態様において、工程(d)において入手される抗体の集団は、97%までの相対頻度のFcシアリル化抗体を含む。一つの態様において、工程(d)において入手される抗体の集団は、95%までの相対頻度のFcシアリル化抗体を含む。一つの態様において、工程(d)において入手される抗体の集団は、90%までの相対頻度のFcシアリル化抗体を含む。一つの態様において、工程(d)において入手される抗体の集団は、50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む。一つの態様において、工程(d)において入手される抗体の集団は、50%から80%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む。
一つの態様において、シアル酸は、5-N-アセチルノイラミン酸(NANA)または5-N-グリコリルノイラミン酸(NGNA)である。一つの態様において、シアル酸はNANAである。一つの態様において、シアル酸はNGNAである。
本発明による方法の一つの態様において、工程(d)において入手される抗体集団は、80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および70%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む。本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、工程(d)において入手される抗体集団は、80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法の一つの態様において、工程(d)において入手される抗体集団は、80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む。本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、工程(d)において入手される抗体集団は、80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法の一つの態様において、工程(d)において入手される抗体集団は、80%から95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む。本発明による方法の一つの態様において、工程(d)において入手される抗体集団は、80%から95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法の一つの態様において、工程(d)において入手される抗体集団は、80%から90%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む。本発明による方法の一つの態様において、工程(d)において入手される抗体集団は、80%から90%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80〜99.5%の相対頻度の(1ガラクトシル化グリカン構造および2ガラクトシル化グリカン構造を含む)Fcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化フコシル化抗体、ならびに50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む。本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80%から95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む。本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、ガラクトース操作型組換え抗体の集団は、80%から95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、工程(c)は、pH6〜7の溶液における30〜38℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含み、それによって、工程(c)において入手される抗体集団は、80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、工程(c)は、pH6〜7の溶液における30〜38℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含み、それによって、工程(c)において入手される抗体集団は、80%から95%までの相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、工程(c)は、pH6.3〜6.8の溶液における31〜35℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含み、それによって、工程(c)において入手される抗体集団は、80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、工程(c)は、pH6.3〜6.8の溶液における31〜35℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含み、それによって、工程(c)において入手される抗体集団は、80%から95%までの相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く。
本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、工程(c)は、pH6〜7の溶液における30〜38℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含み、シアリルトランスフェラーゼによる酵素処理は、以下の条件で実施される:
(i)シアリルトランスフェラーゼと、工程(c)において入手された抗体の集団とを、pH6〜8(一つの態様において、pH6.5〜7.5)の溶液において前記の温度で、少なくとも150分間(一つの態様において、2〜120時間)接触させる。
本発明による方法の一つの態様において、抗体は、CHO細胞において組換え作製され、工程(c)は、pH6.3〜6.8の溶液における31〜35℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含み、シアリルトランスフェラーゼによる酵素処理は、以下の条件で実施される:
(i)第1工程において、シアリルトランスフェラーゼと、工程(c)において入手された抗体の集団とを、pH6〜8(一つの態様において、pH6.5〜7.5)の溶液において前記の温度で、少なくとも150分間(一つの態様において、2〜120時間)接触させる;
(ii)第2工程において、シアリルトランスフェラーゼと、工程(i)において入手された抗体の集団とを、pH6〜8(一つの態様において、pH6.5〜7.5)の溶液において前記の温度で、さらに少なくとも150分間(一つの態様において、2〜10時間)接触させる。
一つの態様において、本発明による方法は、ガラクトース操作の対象となった抗体の集団に含まれる抗体の少なくとも一画分への少なくとも1個のガラクトース残基の付加を包含する。一つの態様において、本発明による方法は、Fcガラクトシル化抗体の少なくとも80%の相対頻度を達成するための、ガラクトース操作の対象となった抗体の集団に含まれる抗体の少なくとも一画分への少なくとも1個のガラクトース残基の付加を包含する。一つの態様において、本発明による方法は、Fc 2ガラクトシル化抗体の少なくとも70%の相対頻度を達成するための、ガラクトース操作の対象となった抗体の集団に含まれる抗体の少なくとも一画分への少なくとも1個のガラクトース残基の付加を包含する。
本発明による方法の一つの態様において、抗体は、トラスツズマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、およびオビヌツズマブからなる群より選択される。本発明のもう一つの局面は、本発明による方法によって入手可能なIgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団である。
(c)薬学的組成物、処置
本発明のもう一つの局面は、本発明によるIgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団を含む薬学的組成物である。本発明の一つの局面は、少なくとも一つの薬学的に許容される担体と組み合わせられた、本発明によるIgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団を含む薬学的組成物である。
本発明のもう一つの局面は、医薬として使用するための、本発明による薬学的組成物である。本発明のもう一つの局面は、癌の処置において使用するための、本発明による薬学的組成物である。本発明のもう一つの局面は、炎症性障害の処置において使用するための、本発明による薬学的組成物である。本発明のもう一つの局面は、自己免疫障害の処置において使用するための、本発明による薬学的組成物である。
本発明のもう一つの局面は、本発明によるIgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団をそのような処置を必要とする患者へ投与することによる、疾患に罹患している患者の処置の方法である。本発明のもう一つの局面は、本発明によるIgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団をそのような処置を必要とする患者へ投与することによる、癌疾患に罹患している患者の処置の方法である。本発明のもう一つの局面は、本発明によるIgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団をそのような処置を必要とする患者へ投与することによる、炎症性障害に罹患している患者の処置の方法である。本発明のもう一つの局面は、本発明によるIgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団をそのような処置を必要とする患者へ投与することによる、自己免疫障害に罹患している患者の処置の方法である。
本発明のもう一つの局面は、本発明による薬学的組成物をそのような処置を必要とする患者へ投与することによる、疾患に罹患している患者の処置の方法である。本発明のもう一つの局面は、本発明による薬学的組成物をそのような処置を必要とする患者へ投与することによる、癌に罹患している患者の処置の方法である。本発明のもう一つの局面は、本発明による薬学的組成物をそのような処置を必要とする患者へ投与することによる、炎症性障害に罹患している患者の処置の方法である。本発明のもう一つの局面は、本発明による薬学的組成物をそのような処置を必要とする患者へ投与することによる、自己免疫障害に罹患している患者の処置の方法である。
(d)本発明の抗体および方法の使用
本発明のもう一つの局面は、IgG1アイソタイプの組換え抗体の集団によって媒介されるADCCを改善するための、本発明による方法の使用である。
本発明のもう一つの局面は、組換え抗体とFcγRIIaおよびFcγRIIIaとの結合親和性を改善するための、本発明による方法の使用である。
本発明のもう一つの局面は、ADCCを媒介するための、本発明によるガラクトース操作型組換え抗体の集団の使用である。本発明のもう一つの局面は、ナチュラルキラー細胞を動員しかつ/または活性化するための、本発明によるガラクトース操作型組換え抗体の集団の使用である。本発明のもう一つの局面は、FcγRを含むエフェクター細胞の活性化のための、本発明によるガラクトース操作型組換え抗体の集団の使用である。
本発明のもう一つの局面は、医薬として使用するための、本発明によるガラクトース操作型組換え抗体の集団である。本発明のもう一つの局面は、癌の処置において使用するための、本発明によるガラクトース操作型組換え抗体の集団である。本発明のもう一つの局面は、炎症性障害の処置において使用するための、本発明によるガラクトース操作型組換え抗体の集団である。本発明のもう一つの局面は、自己免疫障害の処置において使用するための、本発明によるガラクトース操作型組換え抗体の集団である。
3.発明の具体的な態様
以下の項は、本開示の具体的な局面、および本明細書に提供される教示を実施するための具体的な態様をさらに提供する。
1.少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団。
2.80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様1による抗体の集団。
3.80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様1による抗体の集団。
4.80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様1による抗体の集団。
5.80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様1による抗体の集団。
6.バイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く、態様1〜5のいずれかによる抗体の集団。
7.抗体のFab領域が以下のアミノ酸配列:Asn-X-SerおよびAsn-X-Thr(Xはプロリン以外のアミノ酸であり、Serはセリンであり、Thrはトレオニンである)を含まない、態様1〜6のいずれかによる抗体の集団。
8.抗体がヒトIgG1アイソタイプのモノクローナル全長抗体である、態様1〜7のいずれかによる抗体の集団。
9.抗体がヒト化抗体である、態様1〜7のいずれかによる抗体の集団。
10.抗体が、トラスツズマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、およびオビヌツズマブからなる群より選択される、態様1〜7のいずれかによる抗体の集団。
11.抗体がインビトロガラクトース操作型組換え抗体である、態様1〜10のいずれかによる抗体の集団。
12.抗体がインビボガラクトース操作型組換え抗体である、態様1〜10のいずれかによる抗体の集団。
13.少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団。
14.80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様13による抗体の集団。
15.80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様13による抗体の集団。
16.80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様13による抗体の集団。
17.80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様13による抗体の集団。
18.バイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く、態様13〜17のいずれかによる抗体の集団。
19.抗体のFab領域が以下のアミノ酸配列:Asn-X-SerおよびAsn-X-Thr(Xはプロリン以外のアミノ酸であり、Serはセリンであり、Thrはトレオニンである)を含まない、態様13〜18のいずれかによる抗体の集団。
20.抗体がヒトIgG1アイソタイプのモノクローナル全長抗体である、態様13〜19のいずれかによる抗体の集団。
21.抗体がヒト化抗体である、態様13〜20のいずれかによる抗体の集団。
22.抗体が、トラスツズマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、およびオビヌツズマブからなる群より選択される、態様13〜21のいずれかによる抗体の集団。
23.抗体がインビトロガラクトース操作型組換え抗体である、態様13〜21のいずれかによる抗体の集団。
24.抗体がインビボガラクトース操作型組換え抗体である、態様13〜21のいずれかによる抗体の集団。
25.少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団であって、抗体がHER2に特異的に結合し、SEQ ID NO:1の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:2の軽鎖可変ドメインを含む、抗体の集団。
26.少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団であって、抗体がCD20に特異的に結合し、SEQ ID NO:3の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:4の軽鎖可変ドメインを含む、抗体の集団。
27.少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団であって、抗体がHER2に特異的に結合し、SEQ ID NO:5の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:6の軽鎖可変ドメインを含む、抗体の集団。
28.少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団であって、抗体がCD20に特異的に結合し、SEQ ID NO:7の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:8の軽鎖可変ドメインを含む、抗体の集団。
29.80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様25〜28のいずれかによる抗体の集団。
30.80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様25〜28のいずれかによる抗体の集団。
31.80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様25〜28のいずれかによる抗体の集団。
32.80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様25〜28のいずれかによる抗体の集団。
33.バイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く、態様25〜32のいずれかによる抗体の集団。
34.抗体のFab領域が以下のアミノ酸配列:Asn-X-SerおよびAsn-X-Thr(Xはプロリン以外のアミノ酸であり、Serはセリンであり、Thrはトレオニンである)を含まない、態様25〜33のいずれかの集団。
35.抗体がヒトIgG1アイソタイプのモノクローナル全長抗体である、態様25〜34のいずれかによる抗体の集団。
36.抗体がヒト化抗体である、態様25〜35のいずれかによる抗体の集団。
37.抗体がインビトロガラクトース操作型組換え抗体である、態様25〜36のいずれかによる抗体の集団。
38.抗体がインビトボガラクトース操作型組換え抗体である、態様25〜36のいずれかによる抗体の集団。
39.少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団であって、抗体がHER2に特異的に結合し、SEQ ID NO:1の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:2の軽鎖可変ドメインを含む、抗体の集団。
40.少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団であって、抗体がCD20に特異的に結合し、SEQ ID NO:3の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:4の軽鎖可変ドメインを含む、抗体の集団。
41.少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団であって、抗体がHER2に特異的に結合し、SEQ ID NO:5の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:6の軽鎖可変ドメインを含む、抗体の集団。
42.少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団であって、抗体がCD20に特異的に結合し、SEQ ID NO:7の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:8の軽鎖可変ドメインを含む、抗体の集団。
43.80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様39〜42のいずれかによる抗体の集団。
44.80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様39〜42のいずれかによる抗体の集団。
45.80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様39〜42のいずれかによる抗体の集団。
46.80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様39〜42のいずれかによる抗体の集団。
47.バイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く、態様39〜46のいずれかによる抗体の集団。
48.抗体のFab領域が以下のアミノ酸配列:Asn-X-SerおよびAsn-X-Thr(Xはプロリン以外のアミノ酸であり、Serはセリンであり、Thrはトレオニンである)を含まない、態様39〜47のいずれかによる抗体の集団。
49.抗体がヒトIgG1アイソタイプのモノクローナル全長抗体である、態様39〜48のいずれかによる抗体の集団。
50.抗体がヒト化抗体である、態様39〜49のいずれかによる抗体の集団。
51.抗体がインビトロガラクトース操作型組換え抗体である、態様39〜50のいずれかによる抗体の集団。
52.抗体がインビトボガラクトース操作型組換え抗体である、態様39〜50のいずれかによる抗体の集団。
53.少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、ガラクトース操作型トラスツズマブの集団。
54.少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、ガラクトース操作型リツキシマブの集団。
55.少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、ガラクトース操作型ペルツズマブの集団。
56.少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、ガラクトース操作型オビヌツズマブの集団。
57.80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様53〜56のいずれかによる抗体の集団。
58.80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様53〜56のいずれかによる抗体の集団。
59.80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様53〜56のいずれかによる抗体の集団。
60.80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様53〜56のいずれかによる抗体の集団。
61.バイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く、態様53〜60のいずれかによる抗体の集団。
62.少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、ガラクトース操作型トラスツズマブの集団。
63.少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、ガラクトース操作リツキシマブの集団。
64.少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、ガラクトース操作型ペルツズマブの集団。
65.少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、ガラクトース操作型オビヌツズマブの集団。
66.80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様62〜65のいずれかによる抗体の集団。
67.80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様62〜65のいずれかによる抗体の集団。
68.80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様62〜65のいずれかによる抗体の集団。
69.80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様62〜65のいずれかによる抗体の集団。
70.バイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く、態様62〜69のいずれかによる抗体の集団。
71.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、前記宿主細胞を遺伝子操作する工程
を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
72.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様71による方法。
73.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様71による方法。
74.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様71による方法。
75.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様71による方法。
76.ガラクトース操作型組換え抗体の集団がバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く、態様71〜75のいずれかによる方法。
77.抗体のFab領域が以下のアミノ酸配列:Asn-X-SerおよびAsn-X-Thr(Xはプロリン以外のアミノ酸であり、Serはセリンであり、Thrはトレオニンである)を含まない、態様71〜76のいずれかによる方法。
78.抗体がヒトIgG1アイソタイプのモノクローナル全長抗体である、態様71〜77のいずれかによる方法。
79.抗体がヒト化抗体である、態様71〜78のいずれかによる方法。
80.抗体がインビボガラクトース操作型抗体である、態様71〜79のいずれかによる方法。
81.抗体が、トラスツズマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、およびオビヌツズマブからなる群より選択される、態様71〜80のいずれかによる方法。
82.宿主細胞が真核細胞である、態様71〜81のいずれかによる方法。
83.宿主細胞がCHO細胞である、態様71〜81のいずれかによる方法。
84.宿主細胞が、タンパク質フコシル化を改善するかまたは損なうために遺伝子操作されておらず、方法が、抗体のN結合型グリカン構造からのフコース残基のインビボの付加またはインビボの切断を含まない、態様71〜83のいずれかによる方法。
85.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、前記宿主細胞を遺伝子操作する工程
を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
86.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様85による方法。
87.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様85による方法。
88.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様85による方法。
89.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様85による方法。
90.ガラクトース操作型組換え抗体の集団がバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く、態様85〜89のいずれかによる方法。
91.抗体のFab領域が以下のアミノ酸配列:Asn-X-SerおよびAsn-X-Thr(Xはプロリン以外のアミノ酸であり、Serはセリンであり、Thrはトレオニンである)を含まない、態様85〜90のいずれかによる方法。
92.抗体がヒトIgG1アイソタイプのモノクローナル全長抗体である、態様85〜91のいずれかによる方法。
93.抗体がヒト化抗体である、態様85〜92のいずれかによる方法。
94.抗体がインビボガラクトース操作型抗体である、態様85〜93のいずれかによる方法。
95.抗体が、トラスツズマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、およびオビヌツズマブからなる群より選択される、態様85〜94のいずれかによる方法。
96.宿主細胞が真核細胞である、態様85〜95のいずれかによる方法。
97.宿主細胞がCHO細胞である、態様85〜96のいずれかによる方法。
98.宿主細胞が、タンパク質フコシル化を改善するかまたは損なうために遺伝子操作されておらず、方法が、抗体のN結合型グリカン構造からのフコース残基のインビボの付加またはインビボの切断を含まない、態様85〜97のいずれかによる方法。
99.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)前記組換え抗体の集団を単離する工程、
(c)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するため、前記組換え抗体の集団をガラクトシルトランスフェラーゼによって酵素処理し、その後、ガラクトース操作型組換え抗体の集団を該酵素から分離する工程
を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
100.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様99による方法。
101.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様99による方法。
102.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様99による方法。
103.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様99による方法。
104.ガラクトース操作型組換え抗体の集団がバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く、態様99〜103のいずれかによる方法。
105.抗体のFab領域が以下のアミノ酸配列:Asn-X-SerおよびAsn-X-Thr(Xはプロリン以外のアミノ酸であり、Serはセリンであり、Thrはトレオニンである)を含まない、態様99〜104のいずれかによる方法。
106.組換え抗体がヒトIgG1アイソタイプのモノクローナル全長抗体である、態様99〜105のいずれかによる方法。
107.組換え抗体がヒト化抗体である、態様99〜106のいずれかによる方法。
108.組換え抗体がインビトロガラクトース操作型抗体である、態様99〜107のいずれかによる方法。
109.抗体が、トラスツズマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、およびオビヌツズマブからなる群より選択される、態様99〜108のいずれかによる方法。
110.宿主細胞が真核細胞である、態様99〜109のいずれかによる方法。
111.宿主細胞がCHO細胞である、態様99〜110のいずれかによる方法。
112.宿主細胞が、タンパク質フコシル化を改善するかまたは損なうために遺伝子操作されておらず、方法が、抗体のN結合型グリカン構造からのフコース残基のインビボの付加またはインビボの切断を含まない、態様99〜111のいずれかによる方法。
113.工程(c)がpH6〜7の溶液における30〜35℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含む、態様99〜112のいずれかによる方法。
114.工程(c)がpH6.3〜6.8の溶液における31〜34℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含む、態様99〜113のいずれかによる方法。
115.工程(c)がガラクトシルトランスフェラーゼおよびUDPガラクトース(ウリジン二リン酸ガラクトース)の存在下で実施される、態様99〜114のいずれかによる方法。
116.工程(c)において入手された抗体の集団が(d)98%までの相対頻度の(1シアリル化グリカン構造および2シアリル化グリカン構造を含む)Fcシアリル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するためのシアリルトランスフェラーゼによる酵素処理、およびその後のシアリル化抗体の集団のシアリルトランスフェラーゼからの分離に供される、態様99〜115のいずれかによる方法。
117.シアリルトランスフェラーゼによる酵素処理が以下の条件で実施される、態様116による方法:
(i)シアリルトランスフェラーゼと、工程(c)において入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団とを、pH6〜8(一つの態様において、pH6.5〜7.5)の溶液において少なくとも150分間(一つの態様において、2〜120時間)接触させる。
118.シアリルトランスフェラーゼによる酵素処理が以下の条件で実施される、態様116による方法:
(i)第1工程において、シアリルトランスフェラーゼと、工程(c)において入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団とを、pH6〜8(一つの態様において、pH6.5〜7.5)の溶液において少なくとも150分間(一つの態様において、2〜120時間)接触させ;
(ii)第2工程において、シアリルトランスフェラーゼと、工程(i)において入手された抗体の集団とを、pH6〜8(一つの態様において、pH6.5〜7.5)の溶液においてさらに少なくとも150分間(一つの態様において、2〜10時間)接触させる。
119.工程(i)または任意で(i)〜(ii)において示されたシアリルトランスフェラーゼによる処理が全部で120時間までの時間、実施される、態様116〜118のいずれかによる方法。
120.工程(d)において入手される抗体集団が80%から95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く、態様116〜119のいずれかによる方法。
121.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)前記組換え抗体の集団を単離する工程、
(c)少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するため、前記組換え抗体の集団をガラクトシルトランスフェラーゼによって酵素処理し、その後、ガラクトース操作型組換え抗体の集団を該酵素から分離する工程
を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
工程(c)において入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜99.5%の相対頻度のFcを含むガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様85による方法。
122.工程(c)において入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様121による方法。
123.工程(c)において入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様121による方法。
124.工程(c)において入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様121による方法。
125.工程(c)において入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団がバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く、態様121〜124のいずれかによる方法。
126.抗体のFab領域が以下のアミノ酸配列:Asn-X-SerおよびAsn-X-Thr(Xはプロリン以外のアミノ酸であり、Serはセリンであり、Thrはトレオニンである)を含まない、態様121〜125のいずれかによる方法。
127.抗体がヒトIgG1アイソタイプのモノクローナル全長抗体である、態様121〜126のいずれかによる方法。
128.抗体がヒト化抗体である、態様121〜127のいずれかによる方法。
129.抗体がインビトロガラクトース操作型抗体である、態様121〜128のいずれかによる方法。
130.抗体が、トラスツズマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、およびオビヌツズマブからなる群より選択される、態様121〜129のいずれかによる方法。
131.宿主細胞が真核細胞である、態様121〜130のいずれかによる方法。
132.宿主細胞がCHO細胞である、態様121〜131のいずれかによる方法。
133.宿主細胞が、タンパク質フコシル化を改善するかまたは損なうために遺伝子操作されておらず、方法が、抗体のN結合型グリカン構造からのフコース残基のインビボの付加またはインビボの切断を含まない、態様121〜132のいずれかによる方法。
134.工程(c)がpH6〜7の溶液における30〜35℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含む、態様121〜133のいずれかによる方法。
135.工程(c)がpH6.3〜6.8の溶液における31〜34℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含む、態様121〜134のいずれかによる方法。
136.工程(c)がガラクトシルトランスフェラーゼおよびUDPガラクトース(ウリジン二リン酸ガラクトース)の存在下で実施される、態様121〜135のいずれかによる方法。
137.工程(c)において入手された抗体の集団が(d)98%までの相対頻度の(1シアリル化グリカン構造および2シアリル化グリカン構造を含む)Fcシアリル化抗体を含む抗体集団を入手するためのシアリルトランスフェラーゼによる酵素処理、およびその後のシアリル化抗体の集団のシアリルトランスフェラーゼからの分離に供される、態様121〜136のいずれかによる方法。
138.シアリルトランスフェラーゼによる酵素処理が以下の条件で実施される、態様137による方法:
(i)シアリルトランスフェラーゼと、工程(c)において入手された抗体の集団とを、pH6〜8(一つの態様において、pH6.5〜7.5)の溶液において少なくとも150分間(一つの態様において、2〜120時間)接触させる。
139.シアリルトランスフェラーゼによる酵素処理が以下の条件で実施される、態様137による方法:
(i)第1工程において、シアリルトランスフェラーゼと、工程(c)において入手された抗体の集団とを、pH6〜8(一つの態様において、pH6.5〜7.5)の溶液において少なくとも150分間(一つの態様において、2〜120時間)接触させ;
(ii)第2工程において、シアリルトランスフェラーゼと、工程(i)において入手された抗体の集団とを、pH6〜8(一つの態様において、pH6.5〜7.5)の溶液においてさらに少なくとも150分間(一つの態様において、2〜10時間)接触させる。
140.工程(i)または任意で(i)〜(ii)において示されたシアリルトランスフェラーゼによる処理が全部で120時間までの時間、実施される、態様137〜139のいずれかによる方法。
141.工程(d)において入手される抗体集団が80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く、態様137〜140のいずれかによる方法。
142.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、前記宿主細胞を遺伝子操作する工程
を含む、HER2に特異的に結合し、SEQ ID NO:1の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:2の軽鎖可変ドメインを含むガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
143.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、前記宿主細胞を遺伝子操作する工程
を含む、CD20に特異的に結合し、SEQ ID NO:3の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:4の軽鎖可変ドメインを含むガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
144.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、前記宿主細胞を遺伝子操作する工程
を含む、HER2に特異的に結合し、SEQ ID NO:5の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:6の軽鎖可変ドメインを含むガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
145.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、前記宿主細胞を遺伝子操作する工程
を含む、CD20に特異的に結合し、SEQ ID NO:7の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:8の軽鎖可変ドメインを含むガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
146.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)前記組換え抗体の集団を単離する工程、
(c)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するため、前記組換え抗体の集団をガラクトシルトランスフェラーゼによって酵素処理し、その後、ガラクトース操作型組換え抗体の集団を該酵素から分離する工程
を含む、HER2に特異的に結合し、SEQ ID NO:1の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:2の軽鎖可変ドメインを含むガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
147.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)前記組換え抗体の集団を単離する工程、
(c)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するため、前記組換え抗体の集団をガラクトシルトランスフェラーゼによって酵素処理し、その後、ガラクトース操作型組換え抗体の集団を該酵素から分離する工程
を含む、CD20に特異的に結合し、SEQ ID NO:3の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:4の軽鎖可変ドメインを含むガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
148.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)前記組換え抗体の集団を単離する工程、
(c)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するため、前記組換え抗体の集団をガラクトシルトランスフェラーゼによって酵素処理し、その後、ガラクトース操作型組換え抗体の集団を該酵素から分離する工程
を含む、HER2に特異的に結合し、SEQ ID NO:5の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:6の軽鎖可変ドメインを含むガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
149.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)前記組換え抗体の集団を単離する工程、
(c)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するため、ガラクトシルトランスフェラーゼによって組換え抗体の集団を酵素処理し、その後、酵素からガラクトース操作型組換え抗体の集団を分離する工程
を含む、CD20に特異的に結合し、SEQ ID NO:7の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:8の軽鎖可変ドメインを含むガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
150.工程(c)において入手されるガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様142〜149のいずれかによる方法。
151.工程(c)において入手されるガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様142〜149のいずれかによる方法。
152.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様142〜149のいずれかによる方法。
153.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様142〜149のいずれかによる方法。
154.ガラクトース操作型組換え抗体の集団がバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く、態様142〜153のいずれかによる方法。
155.抗体のFab領域が以下のアミノ酸配列:Asn-X-SerおよびAsn-X-Thr(Xはプロリン以外のアミノ酸であり、Serはセリンであり、Thrはトレオニンである)を含まない、態様142〜154のいずれかによる方法。
156.抗体がヒトIgG1アイソタイプのモノクローナル全長抗体である、態様142〜155のいずれかによる方法。
157.抗体がヒト化抗体である、態様142〜156のいずれかによる方法。
158.抗体がインビトロガラクトース操作型抗体である、態様146〜157のいずれかによる方法。
159.抗体がインビボガラクトース操作型抗体である、態様142〜145および150〜158のいずれかによる方法。
160.宿主細胞が真核細胞である、態様142〜159のいずれかによる方法。
161.宿主細胞がCHO細胞である、態様142〜159のいずれかによる方法。
162.宿主細胞が、タンパク質フコシル化を改善するかまたは損なうために遺伝子操作されておらず、方法が、抗体のN結合型グリカン構造からのフコース残基のインビボの付加またはインビボの切断を含まない、態様142〜161のいずれかによる方法。
163.工程(c)がpH6〜7の溶液における30〜35℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる組換え抗体の集団の酵素処理を含む、態様146〜162のいずれかによる方法。
164.工程(c)がpH6.3〜6.8の溶液における31〜34℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる抗体の集団の酵素処理を含む、態様146〜163のいずれかによる方法。
165.工程(c)がガラクトシルトランスフェラーゼおよびUDPガラクトース(ウリジン二リン酸ガラクトース)の存在下で実施される、態様146〜164のいずれかによる方法。
166.工程(c)において入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団が(d)98%までの相対頻度の(1シアリル化グリカン構造および2シアリル化グリカン構造を含む)Fcシアリル化抗体を含む抗体集団を入手するためのシアリルトランスフェラーゼによる酵素処理、およびその後のシアリル化抗体の集団のシアリルトランスフェラーゼからの分離に供される、態様146〜165のいずれかによる方法。
167.シアリルトランスフェラーゼによる酵素処理が以下の条件で実施される、態様166による方法:
(i)シアリルトランスフェラーゼと、工程(c)において入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団とを、pH6〜8(一つの態様において、pH6.5〜7.5)の溶液において少なくとも150分間(一つの態様において、2〜120時間)接触させる。
168.シアリルトランスフェラーゼによる酵素処理が以下の条件で実施される、態様166による方法:
(i)第1工程において、シアリルトランスフェラーゼと、工程(c)において入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団とを、pH6〜8(一つの態様において、pH6.5〜7.5)の溶液において少なくとも150分間(一つの態様において、2〜120時間)接触させ;
(ii)第2工程において、シアリルトランスフェラーゼと、工程(i)において入手された抗体の集団とを、pH6〜8(一つの態様において、pH6.5〜7.5)の溶液においてさらに少なくとも150分間(一つの態様において、2〜10時間)接触させる。
169.工程(i)または任意で(i)〜(ii)において示されたシアリルトランスフェラーゼによる処理が全部で120時間までの時間、実施される、態様166〜168のいずれかによる方法。
170.工程(d)において入手される抗体集団が80%から95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く、態様166〜169のいずれかによる方法。
171.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、前記宿主細胞を遺伝子操作する工程
を含む、HER2に特異的に結合し、SEQ ID NO:1の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:2の軽鎖可変ドメインを含むガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
172.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、前記宿主細胞を遺伝子操作する工程
を含む、CD20に特異的に結合し、SEQ ID NO:3の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:4の軽鎖可変ドメインを含むガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
173.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、前記宿主細胞を遺伝子操作する工程
を含む、HER2に特異的に結合し、SEQ ID NO:5の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:6の軽鎖可変ドメインを含むガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
174.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、前記宿主細胞を遺伝子操作する工程
を含む、CD20に特異的に結合し、SEQ ID NO:7の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:8の軽鎖可変ドメインを含むガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
175.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)前記組換え抗体の集団を単離する工程、
(c)少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するため、前記組換え抗体の集団をガラクトシルトランスフェラーゼによって酵素処理し、その後、ガラクトース操作型組換え抗体の集団を該酵素から分離する工程
を含む、HER2に特異的に結合し、SEQ ID NO:1の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:2の軽鎖可変ドメインを含むガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
176.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)前記組換え抗体の集団を単離する工程、
(c)少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するため、前記組換え抗体の集団をガラクトシルトランスフェラーゼによって酵素処理し、その後、ガラクトース操作型組換え抗体の集団を該酵素から分離する工程
を含む、CD20に特異的に結合し、SEQ ID NO:3の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:4の軽鎖可変ドメインを含むガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
177.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)前記組換え抗体の集団を単離する工程、
(c)少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するため、前記組換え抗体の集団をガラクトシルトランスフェラーゼによって酵素処理し、その後、ガラクトース操作型組換え抗体の集団を該酵素から分離する工程
を含む、HER2に特異的に結合し、SEQ ID NO:5の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:6の軽鎖可変ドメインを含むガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
178.(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)前記組換え抗体の集団を単離する工程、
(c)少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するため、前記組換え抗体の集団をガラクトシルトランスフェラーゼによって酵素処理し、その後、ガラクトース操作型組換え抗体の集団を該酵素から分離する工程
を含む、CD20に特異的に結合し、SEQ ID NO:7の重鎖可変ドメインおよびSEQ ID NO:8の軽鎖可変ドメインを含むガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
179.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様171〜178のいずれかによる方法。
180.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、態様171〜179のいずれかによる方法。
181.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様171〜180のいずれかによる方法。
182.ガラクトース操作型組換え抗体の集団が80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含む、態様171〜181のいずれかによる方法。
183.ガラクトース操作型組換え抗体の集団がバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く、態様171〜182のいずれかによる方法。
184.抗体のFab領域が以下のアミノ酸配列:Asn-X-SerおよびAsn-X-Thr(Xはプロリン以外のアミノ酸であり、Serはセリンであり、Thrはトレオニンである)を含まない、態様171〜183のいずれかによる方法。
185.抗体がヒトIgG1アイソタイプのモノクローナル全長抗体である、態様171〜184のいずれかによる方法。
186.組換え抗体がヒト化抗体である、態様171〜185のいずれかによる方法。
187.組換え抗体がインビトロガラクトース操作型抗体である、態様175〜186のいずれかによる方法。
188.組換え抗体がインビボガラクトース操作型抗体である、態様171〜174および179〜186のいずれかによる方法。
189.宿主細胞が真核細胞である、態様171〜188のいずれかによる方法。
190.宿主細胞がCHO細胞である、態様171〜189のいずれかによる方法。
191.宿主細胞が、タンパク質フコシル化を改善するかまたは損なうために遺伝子操作されておらず、方法が、抗体のN結合型グリカン構造からのフコース残基のインビボの付加またはインビボの切断を含まない、態様171〜190のいずれかによる方法。
192.工程(c)がpH6〜7の溶液における30〜35℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる組換え抗体の集団の酵素処理を含む、態様175〜191のいずれかによる方法。
193.工程(c)がpH6.3〜6.8の溶液における31〜34℃での少なくとも150分間のガラクトシルトランスフェラーゼによる組換え抗体の集団の酵素処理を含む、態様175〜192のいずれかによる方法。
194.工程(c)がガラクトシルトランスフェラーゼおよびUDPガラクトース(ウリジン二リン酸ガラクトース)の存在下で実施される、態様175〜193のいずれかによる方法。
195.工程(c)において入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団が(d)98%までの相対頻度の(1シアリル化グリカン構造および2シアリル化グリカン構造を含む)Fcシアリル化抗体を含む抗体集団を入手するためのシアリルトランスフェラーゼによる酵素処理、およびその後のシアリル化抗体の集団のシアリルトランスフェラーゼからの分離に供される、態様175〜194のいずれかによる方法。
196.シアリルトランスフェラーゼによる酵素処理が以下の条件で実施される、態様195による方法:
(i)シアリルトランスフェラーゼと、工程(c)において入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団とを、pH6〜8(一つの態様において、pH6.5〜7.5)の溶液において少なくとも150分間(一つの態様において、2〜120時間)接触させる。
197.シアリルトランスフェラーゼによる酵素処理が以下の条件で実施される、態様195による方法:
(i)第1工程において、シアリルトランスフェラーゼと、工程(c)において入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団とを、pH6〜8(一つの態様において、pH6.5〜7.5)の溶液において少なくとも150分間(一つの態様において、2〜120時間)接触させ;
(ii)第2工程において、シアリルトランスフェラーゼと、工程(i)において入手された抗体の集団とを、pH6〜8(一つの態様において、pH6.5〜7.5)の溶液においてさらに少なくとも150分間(一つの態様において、2〜10時間)接触させる。
198.工程(i)または任意で(i)〜(ii)において示されたシアリルトランスフェラーゼによる処理が全部で120時間までの時間、実施される、態様195〜197のいずれかによる方法。
199.工程(d)において入手される抗体集団が80〜99.5%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体、および50%から90%の相対頻度のFcシアリル化抗体を含み、かつバイセクティングN-アセチルグルコサミン枝を含む抗体を欠く、態様195〜198のいずれかによる方法。
200.態様1〜70のいずれかによるIgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団を含む薬学的組成物。
201.態様71〜199のいずれかによる方法によって入手されたIgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団を含む薬学的組成物。
202.ガラクトース操作型抗体が少なくとも一つの薬学的に許容される担体と組み合わせて製剤化される、態様200または201による薬学的組成物。
203.態様1〜70のいずれかによるIgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団をそのような処置を必要とする患者へ投与することによる、疾患に罹患している患者の処置の方法。
204.態様71〜199のいずれかによる方法によって入手されたIgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団をそのような処置を必要とする患者へ投与することによる、疾患に罹患している患者の処置の方法。
205.疾患が癌、炎症性障害、および自己免疫障害からなる群より選択される、態様203または204のいずれかによる方法。
206.IgG1アイソタイプの組換え抗体の集団によって媒介されるADCCを改善するための、態様71〜199のいずれかによる方法。
207.組換え抗体とFcγRIIaおよびFcγRIIIaとの結合親和性を改善するための、態様65〜218のいずれかによる方法の使用。
208.ADCCを媒介するための、態様1〜70のいずれかによるまたは態様71〜199のいずれかによる方法によって入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団の使用。
209.ナチュラルキラー細胞を動員しかつ/または活性化するための、態様1〜70のいずれかによるまたは態様71〜199のいずれかによる方法によって入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団の使用。
210.FcγRを含むエフェクター細胞の活性化のための、態様1〜70のいずれかによるまたは態様71〜199のいずれかによる方法によって入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団の使用。
211.医薬として使用するための、態様1〜70のいずれかによるまたは態様71〜199のいずれかによる方法によって入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団。
212.癌、炎症性障害、および自己免疫障害からなる群より選択される疾患の処置において使用するための、態様1〜70のいずれかによるまたは態様71〜199のいずれかによる方法によって入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団。
213.態様71〜199のいずれかによる方法によって入手されたガラクトース操作型組換え抗体の集団。
アミノ酸配列の説明
Figure 2017528468
Figure 2017528468
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために提供されるものであり、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲において示される。本発明の本旨から逸脱することなく、示された手法に修飾を施し得ることが理解される。
実施例1:
インビトロ糖操作による高度にガラクトシル化されたIgG1抗体(トラスツズマブ)の調製および糖構造の同定
第1の実験において、4個の異なる作製バッチから入手されたトラスツズマブ(mAb1)を酵素的に高ガラクトシル化した。
そのような高度にガラクトシル化された(高ガラクトシル化)mAbトラスツズマブの生成のため、ウシβ-1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(Roche)を抗体へ添加した。反応緩衝液(20mM MnCl、10mM UDP-Gal、100mM MES緩衝液、pH6.5)およびH2Oを、3〜15mg mAb/mlの濃度を達成するために添加した。試料を32〜37℃の範囲の温度でインキュベートした。24時間のインキュベーション(22mU)または48時間のインキュベーション(44mU)の後、さらなる量の酵素を添加した。25mMクエン酸Naへの緩衝液交換によって反応を中止し、MabSelect SureプロテインAカラムを使用して、pHをpH5.5に調節した。最終mAb濃度は2〜15mg/mlの範囲であった。
糖構造の分析のため、150μg mAbをリン酸緩衝液(10mM、pH7.2)への緩衝液交換に供した。その後、45℃で1時間、2μl PNGase F(500000U/ml、BioLabs)と共にインキュベートし、65℃で2時間、2-ABで標識した(Signal 2-AB標識キット、Glyko、GKK404)。HILICカラム(Waters、BEH Glycan 1.7μm、2.1×150mm;45分勾配)でのNP-UHPLCを介して、分析を行った。
未処理の最初の材料およびガラクトシルトランスフェラーゼによって処理された集団の糖構造の比較を、表1に示す。
(表1)未処理のトラスツズマブおよびガラクトシルトランスフェラーゼによって処理されたトラスツズマブの糖構造(相対頻度が%で示される)
Figure 2017528468
実施例2:
高度にガラクトシル化されたIgG1抗体によって媒介されるADCCの査定
抗体によって媒介されるADCCを、NK細胞株ベースのインビトロADCCアッセイにおいて分析した。
この分析のため、以前に記載されたように(参照によって本明細書に含まれるSchnueriger,A.et al.Mol Immunol 48,1512-1517(2011))、ヒトFcγRIIIaを発現する組換えエフェクター細胞を生成し培養した。標的細胞株をAmerican Type Culture Collection(ATCC)から購入した。供給元によって与えられた推奨に従って、BATDAリガンド(Perkin Elmer)によって、様々な標的細胞株を標識した。エフェクター細胞および標識された標的細胞を増殖培地において混合し、96穴マイクロタイタープレートに分配した。抗体試料を増殖培地で希釈し、エフェクター-標的細胞ミックスに添加した。アッセイプレートを、37℃/5%CO2で、加湿インキュベータにおいてインキュベートした。インキュベーションの後、プレートを遠心分離し、各ウェルからの上清を白色96穴プレートに移した。200マイクロリットルのユーロピウム溶液(Perkin Elmer)を各ウェルに添加した後、プレートシェーカー上で短時間インキュベートした。自然放出および最大放出のための対照を、BATDAリガンドの供給元(Perkin Elmer)によって与えられた説明書に従って調製した。345nmにおける励起;615nmにおける放射を使用して、時間分解蛍光をRFU(相対蛍光単位)で測定した。Spectramax M5プレートリーダ(Molecular Devices)において読み取りを実施した。特異的毒性値を以下のように計算した:100%×(特異的放出−自然放出)/(最大放出−自然放出)。相対ADCCの計算のため、特異的毒性%を抗体濃度に対してプロットし、フルカーブパラレルライン(full curve parallel line)分析(Gottschalk,P.G.& Dunn,J.R.J Biopharm Stat 15,437-463(2005))によって相対ADCCを決定した。
修飾された試料を、参照材料、出発材料、およびモックによって処理された対照と並行して分析した。各試料を5回の独立した実験において分析した。修飾酵素の非存在下で,修飾された試料と平行して調製されたモックによって処理された対照(対照と呼ぶ)は、出発材料と比較して、ADCCの変化を示さなかった(示されないデータ)。
図2Aは、高ガラクトシル化トラスツズマブ(mAb1)試料(破線、白四角)および未処理の対照mAb試料(実線、黒丸)によって媒介された代表的な用量依存性のADCCを示す。飽和抗体濃度(およそ1000ng/ml)における最大標的細胞溶解は、試料処理に関係なく比較可能なレベルに達した。EC50値に関して、対照と高ガラクトシル化材料との間に差が観察され、高ガラクトシル化材料についてより低かった。従って、高ガラクトシル化トラスツズマブ試料は、一貫して、モックによって処理された対照と比べて増加したADCCを誘発した。
ADCC活性に対するガラクトースの影響がより一般的な現象であるか否かを決定するため、異なる標的に対する抗体のセットを使用して高ガラクトシル化試料を生成した。インビトロのNK細胞ベースのアッセイ系をこれらの異なる抗体に適用し、糖修飾された試料およびそれらの関連する対照のADCC活性を、3回の独立した実験において、各抗体のそれぞれの参照標準と比べて比較した。トラスツズマブによって観察された用量応答曲線に類似して、高ガラクトシル化試料は、それぞれの対照材料と比較して、より低いEC50値を示し、飽和濃度における最大ADCCは、全ての場合において不変のままであった(示されないデータ)。参照材料と比べたADCCで表された定量的な結果は、図2Bに例示される。高ガラクトシル化によって、リツキシマブ(mAb2)バッチ#1、2、および3の相対ADCCは、対照についての55%、96%、および111%(図2B、灰色バー)から、高ガラクトシル化試料についての85%、113%、および123%(図2B、白色バー)へ増加した。ペルツズマブ(mAb3)の場合、バッチ#1および2の相対ADCCは、対照試料についての64%および53%(図2B、灰色バー)から、高ガラクトシル化試料についての75%および71%(図2B、白色バー)へ増加した。mAb4バッチ#1、2、および3は、対照についての48%、97%、および90%(図2B、灰色バー)から、高ガラクトシル化試料についての58%、112%、および98%(図2B、白色バー)へのADCCの増加を示した。一般に、高ガラクトシル化のADCC活性を増強する傾向は、mAb1〜4について試験された12個の抗体バッチ全てで観察された。
ADCCに対する非フコースの優勢な影響のため、より高いガラクトースレベルが、高レベルの非フコシル化を含有しているmAbのADCCをモジュレートし得るか否かという疑問が生じる。これを解明するため、非フコシル化mAb4(mAb4 afu)および非フコシル化オビヌツズマブ(mAb5 afu)を酵素的にガラクトシル化し、それらに関連する対照と比較した(図2B)。対照材料および高ガラクトシル化材料の用量応答曲線は、概してオーバーラップしていた(示されないデータ)。定量的には、非フコシル化mAb4(100%)および非フコシル化オビヌツズマブ(107%)の対照材料(図2B、灰色バー)によって媒介された相対ADCCは、高ガラクトシル化材料のADCCと比較可能であった(非フコシル化mAb4および非フコシル化オビヌツズマブについて、それぞれ101%および108%、図2B、白色バーを参照すること)。従って、高ガラクトシル化によって、高度に非フコシル化された抗体のADCCは不変のままであった。
非フコシル化mAb4バリアント(mAb4 afu)は、FUT-8-/-CHO発現系を使用して作製され、トラスツズマブの非フコシル化バリアント(mAb1 afu)およびオビヌツズマブの非フコシル化バリアント(mAb5 afu)は、GnT-III(β-1,4-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII)を過剰発現する細胞から作製された。
実施例3:
インビトロ糖操作による異なるN結合型グリカン構造を有するIgG1抗体(トラスツズマブ)集団の調製
第2の実験において、変動するグリカンプロファイルを有する異なるトラスツズマブ集団を作製するため、標準的な作製バッチから入手されたトラスツズマブを、インビトロ糖操作に供した。インビトロ糖操作手法の模式的なワークフローは図3に図示される。
非ガラクトシル化グリカン種(「aGal」):
ガラクトシダーゼによってmAbを処理することによって、高い相対頻度の非ガラクトシル化グリカン構造(例えば、G0、G0F)を含むトラスツズマブmAbの集団を調製した。簡単に説明すると、非ガラクトシル化抗体の調製のため、5μlのβ(1-4)-ガラクトシダーゼ(Prozyme、GKX-5014)を、1mgのトラスツズマブへ添加し(10mU酵素/mg抗体)、37℃で24時間インキュベートした。その後、酵素処理されたmAb集団を、プロテインAクロマトグラフィを介して、遊離の酵素から精製した。
2ガラクトシル化グリカン種(「biGal」):
実施例1に記載された方法に従って、ガラクトシルトランスフェラーゼによってmAbを処理することによって、高い相対頻度の2ガラクトシル化グリカン構造(例えば、G2、G2、G2S1、およびG2S2、ならびに対応するフコシル化種)を含むトラスツズマブmAbの集団を調製した。簡単に説明すると、1gのトラスツズマブ(c=25mg/ml)を、157mlの反応緩衝液(10mM UDP-Gal、20mM MnCl2、100mM MES pH6.5)と混合した。Sigmaからのβ-(1-4)-ガラクトシルトランスフェラーゼ(G5507-25U)を、dH2Oによって10U/mlの濃度に希釈した。4.6mlのガラクトシルトランスフェラーゼをインキュベーション開始時に試料に添加し、さらに2.3mlを2日後および3日後に添加した。全インキュベーション時間は32℃で4日間であった。その後、酵素処理された試料を、プロテインAクロマトグラフィによって精製した。
2ガラクトシル化1シアリル化グリカン種(「biGal/monoSia」):
高い相対頻度の2ガラクトシル化1シアリル化グリカン構造(例えば、G2S1およびG2S1F)を含むトラスツズマブmAbの集団を調製するため、(上記のように調製された)入手された2ガラクトシル化グリカン種の集団を、シアリルトランスフェラーゼによる酵素処理に供した。簡単に説明すると、前記の500mgの2ガラクトシル化トラスツズマブ試料(c=8.1mg/ml)の1シアリル化を達成するため、50mgのST6および10mg/mlの濃度を有する25mlの水性CMP-NANA溶液を添加した。試料を37℃で24時間インキュベートした後、プロテインA精製によって精製した。
2ガラクトシル化2シアリル化グリカン種(「biGal/biSia」):
高い相対頻度の2ガラクトシル化2シアリル化グリカン構造(例えば、G2S2およびG2S2F)を含むトラスツズマブmAbの集団を調製するため、(上記のように調製された)入手された2ガラクトシル化1シアリル化グリカン種の集団を、シアリルトランスフェラーゼST6(Roche、SEQ ID NO:9によるアミノ酸配列)を使用したシアリルトランスフェラーゼによるもう一つの酵素処理に供した。簡単に説明すると、シアリル化の程度のさらなる増加のため、100mgの2ガラクトシル化1シアリル化トラスツズマブ試料を、3mlの水性CMP-NANA溶液および10mgのST6(Roche、製品番号07012250103)と混合した。試料を37℃で7時間インキュベートした後、プロテインA精製によって精製した。
実施例4:
異なるN結合型グリカン構造を有するIgG1抗体(トラスツズマブ)集団のグリカン分析
(実施例1に記載されたのと同一の方法による)実施例3の個々の糖操作型トラスツズマブ試料のグリカン構造の分析のため、150μgのそれぞれのmAbを、リン酸緩衝液(10mM、pH7.2)への緩衝液交換に供した後、45℃で1時間、2μlのPNGase F(500000U/ml、BioLabs)と共にインキュベートし、65℃で2時間、2-ABによって標識し、その後、精製した(Signal 2-AB標識キット、Glyko、GKK404)。標識されたグリカンを、親水性相互作用(BEHグリカンカラム、1.7μm、2.1×150mm、Waters)液体クロマトグラフィ(45分勾配)によって分離し、蛍光シグナルを420nmで検出した(330nmにおける励起波長)。
(表2)未処理のトラスツズマブ集団およびインビトロ糖操作型トラスツズマブ集団の糖構造(相対頻度が%で示される)
Figure 2017528468
n.d.−検出限界未満
表2から認められるように、未処理の試料と比較した時、それぞれのインビトロ糖操作は、所望のグリカン種の改善された割合をもたらした。ガラクトシダーゼ処理によって得られた非ガラクトシル化試料においては、85%を超えるグリカン種が非ガラクトシル化であった。高い頻度の2ガラクトシル化トラスツズマブ抗体を含むよう準備された試料においては、80%を超えるグリカン種が2ガラクトシル化であった。1シアリル化トラスツズマブ抗体の増加した量を含むよう準備された試料においては、45%を超えるグリカン種が、1シアリル化であり、約5%の割合の2シアリル化IgG1をさらに含んでいた。2シアリル化トラスツズマブ抗体の増加した量を含むよう準備された最後の試料においては、2シアリル化IgG1の画分がさらに約30%へ増加し、ほぼ同一の割合の1シアリル化抗体が試料中に存在していた。
明確な試料は極めて均一なグリカンプロファイルを含むと見なすことができるため、試料の各々を、FcγR結合およびADCCの媒介に対する影響に関して分析した。
実施例5:
IgG1抗体(トラスツズマブ)の異なるグリカン種によって媒介されるFcγR結合の査定−表面プラズモン共鳴
表面プラズモン共鳴(SPR)によるFcγR結合の分析のため、Biacore(登録商標)T100系(GE Healthcare)を使用した。FcγRとIgG1グリコバリアントとの相互作用分析のため、抗His捕捉抗体(GE Healthcare)を12,000レゾナンスユニット(RU)のレベルを達成するために注入した。pH4.5で、標準的なアミンカップリングキット(GE Healthcare)を使用して、CM5チップ上で捕捉抗体の固定化を実施した。FcγRIa、FcγRIIa、およびFcγRIIIaを、10μl/分の流速で、60秒のパルスで、200nMの濃度で捕獲した。その後、トラスツズマブグリコバリアントを、300nMの濃度および30μl/分の流速で60秒間アプライした。解離相を180秒間モニタリングした。30μl/分の流速での、10mMグリシンpH1.5による60秒の洗浄工程によって、表面を再生させた。全ての実験を、HBS-N緩衝液(10mM HEPES、pH7.4、150mM NaCl)において実施した。Biacore T100評価ソフトウェア2.0.3をデータ評価のために使用した。
結果は図4に示される。未処理の対照試料(従って、それぞれの受容体との100%結合へ標準化される)と比べた結合強度が示される(y軸)。データは、トラスツズマブの非ガラクトシル化が、FcγRIa、IIa、およびIIIaとの結合の減少(FcγRIIaおよびIIIaについては有意な減少)をもたらすことを証明している。高頻度の2ガラクトシル化グリカン種を含むトラスツズマブ試料は、FcγRIIaおよびFcγRIIIaとの改善された結合を示した。
実施例6:
IgG1抗体(トラスツズマブ)の異なるグリカン種によって媒介されるFcγR結合の査定−アフィニティクロマトグラフィ
アフィニティクロマトグラフィによるFcγR結合の分析のため、ビオチン化されたヒトFcγRIIaまたはFcγRIIIa_V158を、それぞれ、軽く振とうしながら、2時間、ストレプトアビジンセファロースと共にインキュベートした。それぞれのFcγ受容体によって誘導体化されたセファロースを、Tricorn 5/50 Columnハウジング(内径5mm×長さ50mm、GE Healthcare)に充填し、Akta explorerまたはDionex Summit系を使用して、0.5ml/分の流速で、20mMトリス、150mM NaCl pH8.0(FcγRIIa)または20mMクエン酸ナトリウム、150mM NaCl pH6.0(FcγRIIIa)によってアフィニティカラムを平衡化した。平衡化緩衝液中に50〜100μgを含有している抗体試料を、それぞれのカラムにアプライした。その後、5カラム体積の平衡化緩衝液によってカラムを洗浄した。それぞれ、20mMクエン酸、150mM NaCl pH4.0(FcγRIIa)またはpH3.0(FcγRIIIa)による15カラム体積の直線pH勾配によって試料を溶出させた。室温で実験を実施した。280nmにおける吸光度の連続測定によって溶出プロファイルを入手した。
結果は図5に示される。それぞれの試料の保持時間が示される。FcγRIIIa結合については、フコシル化グリカン種(アフィニティクロマトグラフィにおける初期溶出ピーク)および(部分)非フコシル化グリカン種(アフィニティクロマトグラフィにおける後期溶出ピーク)についての保持時間が示される。SPRデータと一致して、これらのデータは、非ガラクトシル化がFcγRIIaおよびIIIaとの結合を減少させ、2ガラクトシル化がトラスツズマブの受容体との結合を改善することを証明している。その効果は、フコシル化グリカン種についても非フコシル化グリカン種についても観察され得る(FcγRIIIa結合についてのデータを参照すること)。
実施例7:
IgG1抗体(トラスツズマブ)の異なるグリカン種によって媒介されるADCCの査定−アフィニティクロマトグラフィ
実施例3において生成された抗体集団によって媒介されるADCCを、実施例2に記載されたように実施されたNK細胞株ベースのインビトロADCCアッセイにおいて分析した。
結果は図6に示される。未処理のトラスツズマブ試料と比較した時の相対ADCCが示される。データは、非ガラクトシル化トラスツズマブ種が抗体によって媒介されるADCCを減少させ、IgG1の2ガラクトシル化がADCC媒介を改善することを証明している(シアリル化グリカン種についても非シアリル化グリカン種についても観察された)。
実施例8:
異なるIgG1抗体の高ガラクトシル化種によって媒介されるFcγR結合の査定
モノクローナル抗体試料のヒトFcγRIIIaとの結合を、ビーズベースの非放射性発光ホモジニアスプロキシミティ(homogeneous proximity)アッセイフォーマット(AlphaScreen(登録商標))を使用する競合結合アッセイにおいて査定した。このアッセイにおいて、ヒトグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)タグ付きFcγ受容体および抗体参照標準、対照、ならびに試料を、96穴プレートに添加した後、ビオチン化抗体ストレプトアビジンドナービーズおよびグルタチオンアクセプタービーズを添加した。競合抗体試料の非存在下で、ドナービーズに結合した抗体およびアクセプタービーズに結合したFcγ受容体は、相互作用して、発光シグナルを生じる。試料は、ドナービーズに結合した抗体/Fcγ受容体の相互作用を妨害し、発光シグナルを低下させる。発光の変化は、競合抗体の量に比例する。発光カウントで表された結果が、抗体濃度に対してプロットされ、4パラメータ曲線適合プログラムが、適切な参照標準と比べた試料の活性を決定するために使用される。
ADCCに対する高ガラクトシル化の効果が、修飾されたmAb FcとNK細胞上に発現されたFcγRIIIaとの間の相互作用の増加に起因したことを確認するため、リツキシマブ(mAb2)およびペルツズマブ(mAb3)のバッチのサブセットを、FcγRIIIa結合実験において分析した。結果(図7)は、抗体の高ガラクトシル化が、FcγRIIIa結合の顕著な増加を有することを証明している。対照および高ガラクトシル化mAb試料についてのFcγRIIIa結合活性は、リツキシマブ(mAb2)については62%から103%へ、ペルツズマブ(mAb3)については73%から138%へ、mAb4については77%から160%へ、非フコシル化mAb4(mAb4 afu)については100%から165%へそれぞれ増加した。FcγRIIIa結合に対する影響と比較して、ADCC活性に対する高ガラクトシル化の効果は顕著でなかった。図7に示されるように、対応するバッチのADCCは、それぞれ、対照および高ガラクトシル化mAb試料について、リツキシマブ(mAb2)については55%から85%へ、ペルツズマブ(mAb3)については64から75%へ、mAb4については90%から98%へ増加した。mAb4の非フコシル化バリアント(mAb4 afu)のADCCは不変のままであった(対照および高ガラクトシル化材料について、それぞれ、100%および101%)。
本発明によると、IgG1分子のエフェクター機能、特に、ADCC媒介が、ガラクトース操作によって調整される。本発明は、生成されたIgG1抗体の異なるバッチの間で再現可能である、実質的に均一なグリカンパターンを提供するため、作製の後に組換えIgG1のグリカンプロファイルを調節する手段および方法を提供する。本発明は、糖操作(glycoengineering)によってある種のグリカンプロファイルを有するIgG1分子を提供することによって、IgG1分子によって媒介されるADCCの改善をさらに可能にする。
[本発明1001]
少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型(galactoengineered)組換え抗体の集団。
[本発明1002]
20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、本発明1001の抗体の集団。
[本発明1003]
80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む、本発明1001の抗体の集団。
[本発明1004]
7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、本発明1001の抗体の集団。
[本発明1005]
抗体が、トラスツズマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、およびオビヌツズマブからなる群より選択される、本発明1001の抗体の集団。
[本発明1006]
抗体がインビトロガラクトース操作型抗体である、本発明1001の抗体の集団。
[本発明1007]
抗体がインビボガラクトース操作型抗体である、本発明1001の抗体の集団。
[本発明1008]
少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団。
[本発明1009]
抗体がインビトロガラクトース操作型抗体である、本発明1008の抗体の集団。
[本発明1010]
抗体がインビボガラクトース操作型抗体である、本発明1008の抗体の集団。
[本発明1011]
(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、前記宿主細胞を遺伝子操作する工程
を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
[本発明1012]
(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、前記宿主細胞を遺伝子操作する工程
を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
[本発明1013]
(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)前記組換え抗体の集団を単離する工程、
(c)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するため、前記組換え抗体の集団をガラクトシルトランスフェラーゼによって酵素処理し、その後、ガラクトース操作型組換え抗体の集団を該酵素から分離する工程
を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
[本発明1014]
(a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
(b)前記組換え抗体の集団を単離する工程、
(c)少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するため、前記組換え抗体の集団をガラクトシルトランスフェラーゼによって酵素処理し、その後、ガラクトース操作型組換え抗体の集団を該酵素から分離する工程
を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
[本発明1015]
ガラクトース操作型組換え抗体の集団が、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、本発明1011〜1014のいずれかの方法。
[本発明1016]
ガラクトース操作型組換え抗体の集団が、80%から90%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、本発明1011〜1014のいずれかの方法。
[本発明1017]
宿主細胞が真核細胞である、本発明1011〜1014のいずれかの方法。
[本発明1018]
真核細胞がCHO細胞である、本発明1017の方法。
[本発明1019]
宿主細胞が、タンパク質フコシル化を改善するかまたは損なうために遺伝子操作されておらず、本発明による方法が、抗体のN結合型グリカン構造からのフコース残基のインビトロ付加またはインビトロ切断を含まない、本発明1011〜1014のいずれかの方法。
[本発明1020]
抗体が、トラスツズマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、およびオビヌツズマブからなる群より選択される、本発明1011〜1014のいずれかの方法。
[本発明1021]
IgG1アイソタイプの組換え抗体の集団によって媒介されるADCCを改善するための、本発明1011〜1014のいずれかの方法の使用。
[本発明1022]
組換え抗体とFcγRIIaおよびFcγRIIIaとの結合親和性を改善するための、本発明1011〜1014のいずれかの方法の使用。
[本発明1023]
ADCCの媒介のための、本発明1001〜1008のいずれかの、または本発明1011〜1014のいずれかの方法によって入手される、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団。

Claims (23)

  1. 少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型(galactoengineered)組換え抗体の集団。
  2. 20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、請求項1記載の抗体の集団。
  3. 80〜95%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含む、請求項1記載の抗体の集団。
  4. 7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、請求項1記載の抗体の集団。
  5. 抗体が、トラスツズマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、およびオビヌツズマブからなる群より選択される、請求項1記載の抗体の集団。
  6. 抗体がインビトロガラクトース操作型抗体である、請求項1記載の抗体の集団。
  7. 抗体がインビボガラクトース操作型抗体である、請求項1記載の抗体の集団。
  8. 少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体を含む、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団。
  9. 抗体がインビトロガラクトース操作型抗体である、請求項8記載の抗体の集団。
  10. 抗体がインビボガラクトース操作型抗体である、請求項8記載の抗体の集団。
  11. (a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
    (b)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、前記宿主細胞を遺伝子操作する工程
    を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
  12. (a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
    (b)少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団が入手されるよう、タンパク質ガラクトシル化を改善するため、前記宿主細胞を遺伝子操作する工程
    を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
  13. (a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
    (b)前記組換え抗体の集団を単離する工程、
    (c)少なくとも70%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するため、前記組換え抗体の集団をガラクトシルトランスフェラーゼによって酵素処理し、その後、ガラクトース操作型組換え抗体の集団を該酵素から分離する工程
    を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
  14. (a)組換え抗体の集団を入手するため、IgG1アイソタイプの抗体をコードする核酸分子を含む宿主細胞において該IgG1アイソタイプの抗体を組換え作製する工程、
    (b)前記組換え抗体の集団を単離する工程、
    (c)少なくとも80%の相対頻度のFcガラクトシル化抗体を含むガラクトース操作型組換え抗体の集団を入手するため、前記組換え抗体の集団をガラクトシルトランスフェラーゼによって酵素処理し、その後、ガラクトース操作型組換え抗体の集団を該酵素から分離する工程
    を含む、ガラクトース操作型組換え抗体の集団の作製のための方法。
  15. ガラクトース操作型組換え抗体の集団が、20%未満の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、請求項11〜14のいずれか一項記載の方法。
  16. ガラクトース操作型組換え抗体の集団が、80%から90%の相対頻度のFc 2ガラクトシル化抗体および7〜16%の相対頻度のFc非フコシル化抗体を含む、請求項11〜14のいずれか一項記載の方法。
  17. 宿主細胞が真核細胞である、請求項11〜14のいずれか一項記載の方法。
  18. 真核細胞がCHO細胞である、請求項17記載の方法。
  19. 宿主細胞が、タンパク質フコシル化を改善するかまたは損なうために遺伝子操作されておらず、本発明による方法が、抗体のN結合型グリカン構造からのフコース残基のインビトロ付加またはインビトロ切断を含まない、請求項11〜14のいずれか一項記載の方法。
  20. 抗体が、トラスツズマブ、リツキシマブ、ペルツズマブ、およびオビヌツズマブからなる群より選択される、請求項11〜14のいずれか一項記載の方法。
  21. IgG1アイソタイプの組換え抗体の集団によって媒介されるADCCを改善するための、請求項11〜14のいずれか一項記載の方法の使用。
  22. 組換え抗体とFcγRIIaおよびFcγRIIIaとの結合親和性を改善するための、請求項11〜14のいずれか一項記載の方法の使用。
  23. ADCCの媒介のための、請求項1〜8のいずれか一項記載の、または請求項11〜14のいずれか一項記載の方法によって入手される、IgG1アイソタイプのガラクトース操作型組換え抗体の集団。
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