JP6433786B2 - 高度ガラクトシル化抗体 - Google Patents

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Description

関連出願
本出願は、米国特許法第119条の定めにより、2011年8月10日に出願された米国仮特許出願第61/521,996号明細書、及び2011年12月6日に出願された同第61/567,364号明細書の利益を主張するものであり、各仮出願の内容の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、高度ガラクトシル化抗体、これらの産生の方法並びにこれらの使用の方法に関する。
治療的抗体は、癌を含める多くの疾患の治療に使用されている。しかしながら、改善された特性を有する治療的抗体への必要性が存在する。
一態様では、本開示は、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、抗体は、遺伝子導入で産生されたものである。いくつかの実施形態では、高度ガラクトシル化抗体はまた、高度にフコシル化されている。いくつかの実施形態では、高度ガラクトシル化抗体は、高い補体依存性細胞障害(CDC)活性及び高い抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)活性の双方を示す。一態様では、本開示は、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を産生するための方法を提供する。
一態様では、本開示は、抗体の集団を含む組成物を提供し、この抗体の集団は、高度にガラクトシル化されている。いくつかの実施形態では、集団中の抗体は、乳腺上皮細胞において遺伝子導入で産生される。いくつかの実施形態では、集団中の抗体は、同一の抗原エピトープに向けられる。いくつかの実施形態では、集団中の抗体は、同一の核酸配列によってコード化されている。いくつかの実施形態では、集団中の抗体のガラクトシル化のレベルは、少なくとも70%である。いくつかの実施形態では、抗体の集団は、モノ−ガラクトシル化N−グリカンを含む抗体を含む。
一態様では、本開示は、抗体の集団を含む組成物を提供し、ここでは、集団中の抗体のガラクトシル化のレベルは、少なくとも70%であり、抗体の集団は、モノ−ガラクトシル化N−グリカンを含む抗体を含み、集団中の抗体は、同一の核酸配列によってコード化されている。
本明細書で提供される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、集団中の抗体のガラクトシル化のレベルは、少なくとも80%である。本明細書で提供される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、集団中の抗体のガラクトシル化のレベルは、少なくとも90%である。本明細書で提供される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、集団中の抗体のフコシル化のレベルは、少なくとも80%である。本明細書で提供される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、集団中の抗体のフコシル化のレベルは、少なくとも90%である。
一態様では、本開示は、抗体の集団を含む組成物を提供し、ここでは、集団中の抗体のフコシル化のレベルに対する集団中の抗体のガラクトシル化のレベルの比は、0.8と1.2の間であり、抗体の集団は、モノ−ガラクトシル化N−グリカンを含む抗体を含み、集団中の抗体は、同一の核酸配列によってコード化されている。
本明細書で提供される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体の集団は、2ガラクトシル化N−グリカンを含む抗体を含む。本明細書で提供される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体の集団は、モノ−ガラクトシル化N−グリカン及び2ガラクトシル化N−グリカンの双方を含む抗体を含む。本明細書で提供される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、集団中の抗体の少なくとも35%は、2ガラクトシル化N−グリカンを含み、並びに集団中の抗体の少なくとも5%は、モノ−ガラクトシル化N−グリカンを含む。
本明細で提供される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、集団中の抗体は、乳腺上皮細胞中で、遺伝子導入で産生される。本明細で提供される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体を発現するよう操作された非ヒト哺乳動物の乳腺上皮細胞中で、遺伝子導入で産生される。いくつかの実施形態では、非ヒト哺乳動物は、ヤギ、ヒツジ、バイソン、ラクダ、ウシ、ブタ、ウサギ、バッファロー、ウマ、ラット、マウス又はラマである。いくつかの実施形態では、非ヒト哺乳動物はヤギである。
本明細で提供される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は乳汁を更に含む。
本明細で提供される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体の集団中の抗体は、乳腺上皮細胞中で産生されない抗体の集団と比較する場合、補体依存性細胞障害(CDC)活性の上昇レベルを有する。いくつかの実施形態では、乳腺上皮細胞中で産生されない抗体の集団の抗体は、細胞培養中で産生される。いくつかの実施形態では、乳腺上皮細胞中で産生されない抗体の集団の抗体は、低ガラクトース抗体である。いくつかの実施形態では、低ガラクトース抗体はリツキサン(Rituxan)である。
本明細で提供される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体の集団中の抗体は、乳腺上皮細胞中で産生されない抗体の集団と比較する場合、抗体依存性細胞媒介細胞障害(ADCC)活性の上昇レベルを有する。いくつかの実施形態では、乳腺上皮細胞中で産生されない抗体の集団の抗体は、細胞培養中で産生される。いくつかの実施形態では、乳腺上皮細胞中で産生されない抗体の集団の抗体は、低ガラクトース抗体である。いくつかの実施形態では、低ガラクトース抗体はリツキサンである。
本明細で提供される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、集団中の抗体は、キメラ、ヒト化又は完全ヒト抗体である。いくつかの実施形態では、集団中の抗体は、完全長抗体である。いくつかの実施形態では、集団中の抗体は、重鎖及び軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、集団中の抗体は、抗−CD20抗体である。いくつかの実施形態では、集団中の抗体の軽鎖及び重鎖は、配列番号1及び配列番号2に示されているような核酸配列によってコード化される。
本明細で提供される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容され得る担体を更に含む。
一態様では、本開示は、本明細書で提供される組成物のいずれかを、これを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は癌を有する。いくつかの実施形態では、癌はB−細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、対象は免疫障害を有する。
一態様では、本開示は、高度にガラクトシル化された抗体の集団を産生するための方法を提供し、方法は、高度にガラクトシル化された抗体の集団が産生されるように、乳腺上皮細胞内で抗体の集団を産生することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、産生された抗体の集団を採取することを更に含む。
一態様では、本開示は、高度にガラクトシル化された抗体の集団を産生するための方法を提供し、方法は、この抗体を発現するよう操作された乳腺上皮細胞中で産生された高度にグラクトシル化された抗体の集団を採取することを含む。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、抗体の集団のCDC活性を決定することを更に含む。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、抗体の集団のCDC活性を乳腺上皮細胞中で産生されない抗体の集団に対して比較することを更に含む。いくつかの実施形態では、乳腺上皮細胞中で産生されない抗体の集団の抗体は、細胞培養中で産生される。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、抗体の集団のADCC活性を決定することを更に含む。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、抗体の集団のADCC活性を乳腺上皮細胞中で産生されない抗体の集団に対して比較することを更に含む。いくつかの実施形態では、乳腺上皮細胞中で産生されない抗体の集団の抗体は、細胞培養中で産生される。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、抗体の集団のガラクトシル化のレベルを決定することを更に含む。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、乳腺上皮細胞は培養物中にあり、抗体をコード化する配列を含む核酸でトランスフェクトされる。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、乳腺上皮細胞は、その乳腺中で抗体をコード化する配列を含む核酸を発現するよう操作された非ヒト哺乳動物内にある。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、乳腺上皮細胞は、ヤギ、ヒツジ、バイソン、ラクダ、ウシ、ブタ、ウサギ、バッファロー、ウマ、ラット、マウス又はラマの乳腺上皮細胞である。いくつかの実施形態では、乳腺上皮細胞は、ヤギの乳腺上皮細胞である。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、集団中の抗体のガラクトシル化のレベルは、少なくとも70%である。いくつかの実施形態では、集団中の抗体のガラクトシル化のレベルは、少なくとも80%である。いくつかの実施形態では、集団中の抗体のガラクトシル化のレベルは、少なくとも90%である。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、集団中の抗体のフコシル化のレベルは、少なくとも80%である。いくつかの実施形態では、集団中の抗体のフコシル化のレベルは、少なくとも90%である。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、集団中の抗体のフコシル化のレベルに対する集団中の抗体のガラクトシル化のレベルの比は、0.8〜1.2の間である。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体の集団は、モノ−ガラクトシル化N−グリカンを含む抗体を含む。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体の集団は、2ガラクトシル化N−グリカンを含む抗体を含む。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体の集団は、モノ−ガラクトシル化N−グリカン及び2ガラクトシル化N−グリカンの双方を含む抗体を含む。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、集団中の抗体の少なくとも35%は、2ガラクトシル化N−グリカンを含み、集団中の抗体の少なくとも5%は、モノ−ガラクトシル化N−グリカンを含む。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、集団中の抗体のガラクトシル化のレベルが少なくとも70%であるように抗体の集団を精製することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、集団中の抗体のガラクトシル化のレベルが少なくとも80%であるように抗体の集団を精製することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、集団中の抗体のガラクトシル化のレベルが少なくとも90%であるように抗体の集団を精製することを更に含む。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、集団中の抗体のフコシル化のレベルが少なくとも80%であるように抗体の集団を精製することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、集団中の抗体のフコシル化のレベルが少なくとも90%であるように抗体の集団を精製することを更に含む。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、集団中の抗体のフコシル化のレベルに対する集団中の抗体のガラクトシル化のレベルの比が0.8〜1.2の間であるように、抗体の集団を精製することを更に含む。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体の集団は、モノ−ガラクトシル化N−グリカンを含む抗体を含む。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体の集団は、2ガラクトシル化N−グリカンを含む抗体を含む。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体の集団は、モノ−ガラクトシル化N−グリカン及び2ガラクトシル化N−グリカンの双方を含む抗体を含む。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、集団中の抗体の少なくとも35%は、2ガラクトシル化N−グリカンを含み、集団中の抗体の少なくとも5%は、モノ−ガラクトシル化N−グリカンを含む。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、集団中の抗体は、同一の抗原エピトープに向けられる。
本明細書で提供される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、集団中の抗体は、抗−CD20抗体である。いくつかの実施形態では、集団中の抗体の軽鎖及び重鎖は、配列番号1及び配列番号2で示される核酸配列によってコード化される。
一態様では、本開示は、本明細書で提供される抗体の集団のいずれかを発現する乳腺上皮細胞を提供する。
一態様では、本開示は、本明細書で提供される乳腺上皮細胞のいずれかを含む遺伝子導入非ヒト哺乳動物を提供する。
本発明の制限のそれぞれは、本発明の様々な実施形態を包含することができる。したがって、いずれか1つの要素又は要素の組み合わせに関係する本発明の制限のそれぞれは、本発明のそれぞれの態様に含まれ得ることが予測される。本発明は、その用途において、以下の説明で記載される又は図面で例示される構成の詳細及び構成成分の配置に限定されるものではない。本発明は、その他の実施形態も可能であり、様々な方法で実現され又は実行されることが可能である。更に、本明細書で使用される表現及び専門用語は説明のためのものであり、限定するものとしてみなされるべきではない。
図1Aは、Tg20の軽鎖の配列(配列番号1)を示す。 図1B−1は、Tg20の重鎖の配列(配列番号2)を示す。 図1B−2は、図1B−1の続きを示す。 図2は、遺伝子導入抗CD20抗体(TG20)を産生するための分子戦略を示す。 図3は、Tg20、低フコース参照抗体、及びMW標準(Std)の非還元及び還元条件下のSDS−PAGEを示す(クマジーブルー染色されたもの(左側パネル)及び銀染色されたもの(右側パネル)で、見かけ上の分子量はkDaで示す)。 図4は、Tg20からの2−AB標識付けPNGアーゼ Fで放出されたN−グリカンNP−HPLCプロファイルを示す。 図5は、Tg20のサイズ排除プロファイルを示す。 図6は、全血アッセイの実験条件を示す。 図7は、TG20を発現するヤギの作製のための方法を示す。 図8は、Tg20及びリツキサンの機能性の比較を示す。 図9は、Tg20及びリツキサン(RTX)に関するADCC/CD16アッセイの結果を示す。 図10は、Tg20及びRTXのカニクイザルにおける薬物動態プロファイルを示す。 図11は、Tg20及びRTXのカニクイザルにおける薬理活性を示す。 図12A及び図12Bは、血中の残留Bリンパ球(CD45+/CD3−/CD40+)のパーセンテージの個々の動態を示す。 図13は、全試験動物についての血中の残留Bリンパ球(CD45+/CD3−/CD40+)の平均パーセンテージの動態を示す。 図14は、回復動物のみについての、血中の残留Bリンパ球(CD45+/CD3−/CD40+)の平均パーセンテージの動態を示す。 図15は、リンパ節中のBリンパ球(CD45+/CD3−/CD40+)の相対的パーセンテージの個々の動態を示す。 図16は、全試験動物についての、リンパ節中のBリンパ球(CD45+/CD3−/CD40+)の平均相対的パーセンテージの動態を示す。 図17は、対照群平均と比較する場合の、リンパ節中のBリンパ球(CD45+/CD3−/CD40+)の残留パーセントの個々の動態を示す。 図18は、対照群平均と比較する場合の、全試験動物についての、リンパ節中のBリンパ球(CD45+/CD3−/CD40+)の平均残留パーセントの動態を示す。
一態様では、本開示は、高度にガラクトシル化されている抗体の集団の組成物を提供する。いくつかの実施形態では、抗体は遺伝子導入で産生されたものである。いくつかの実施形態では、高度ガラクトシル化抗体はまた、高度にフコシル化されている。いくつかの実施形態では、高度ガラクトシル化抗体はまた、高い補体依存性細胞障害(CDC)活性及び高い抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)活性の双方を示す。一態様では、本開示は、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を産生するための方法を提供する。
ガラクトシル化
一態様では、本開示は、高度にガラクトシル化されている抗体の集団の組成物を提供する。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団は、乳腺上皮細胞中で、遺伝子導入で産生される。いくつかの実施形態では、抗体の集団中の抗体は、同一の抗原エピトープに向けられる。いくつかの実施形態では、抗体の集団中の抗体は、同一の核酸配列によってコード化される。
一態様では、本開示は、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を含む組成物を提供し、この抗体の集団は、モノ−ガラクトシル化N−グリカンを含む。いくつかの実施形態では、抗体の集団は、遺伝子導入で産生される。いくつかの実施形態では、抗体の集団中の抗体は、同一の核酸配列によってコード化される。
抗体は、Fc−ガンマグリコシル化部位(Fc領域のAsn 297)でグリコシル化され得る。様々なグリコシル化パターンが、Fcガンマグリコシル化部位で観察されていて、この部位で見出されたオリゴ糖類として、ガラクトース、N−アセチルグルコサミン(GlcNac)、マンノース、シアル酸又はN−アセチルノイラミン酸(NeuAc)及びフコースが挙げられる。これら部位で見出されたオリゴ糖類(N−グリカン)は、全てが共通のコア構造を有し、コア構造は、アスパラギンに結合したN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)からなり、これに第2のGlcNAc及び3つのマンノースが結合する。このコアは、多数の異なるグリカンモチーフを保有することができる。血漿タンパク質のN−グリカンの最も一般的なタイプは、複合型である。このN−グリカンに至る生合成経路では、いくつかのGlcNAcトランスフェラーゼが、グリカンコアのマンノースにGlcNAc残基を結合させ、これがガラクトース、シアル酸及びフコース残基によって更に伸長され得る。N−グリカンの別のグループは、高マンノース糖タンパク質であり、これは、第2のGlcNAcに結合した多数の(5個又はそれ以上)のマンノースに特徴がある。その中で二分岐のアームの1つがマンノース置換され、一方その他のアームが複合型であるハイブリッド構造もまた見出されている。フコース残基は、一般的には、二分岐構造の「アーム」内で見出されず、N結合GlcNacに結合する。
N−グリカンの生合成は、タンパク質の場合のように、鋳型によって調節されず、主に細胞中の特定のグリコシルトランスフェラーゼの発現及び活性に依存する。したがって、抗体Fcドメインなどの糖タンパク質は、通常、同一のタンパク質骨格上に異なるグリカンを保有する糖型の異種集団として存在する。
ガラクトシル化パターンは、当該技術分野で既知の多くの方法によって決定され得る。例えば、タンパク質上の炭水化物を分析する方法が、米国特許出願公開第2006/0057638号明細書及び同第2006/0127950号明細書で記載されている。タンパク質上の炭水化物を分析するこの方法は、参照により本明細書に組み込まれる。
高度にガラクトシル化されている抗体の集団は、集団中の抗体のガラクトシル化のレベルが、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、100%までのガラクトシル化である抗体の集団である。高度にガラクトシル化されている抗体の集団のいくつかの実施形態では、集団中の抗体のガラクトシル化のレベルは、少なくとも70%である。
本明細書で使用されるガラクトシル化のレベルは、以下の式によって決定される:
式中、
nは、順相高速液体クロマトグラフィー(NP HPLC)スペクトルなどのクロマトグラム中の分析されるN−グリカンのピークの数を表し、
「Galの数」は、ピークに相当するグリカンの分岐上のガラクトースモチーフの数を表し、
「Aの数」は、ピークに相当するグリカン型のN−アセチルグルコサミン分岐の数に一致し、並びに
「相対面積%」は、相当するピーク下の面積の%に一致する。
したがって、集団中の抗体のガラクトシル化のレベルは、抗体からN−グリカンを放出させ、N−グリカンをクロマトグラム上で分解し、特定のピークに相当するN−グリカンを特定し、ピーク強度を決定し、データを上記で提供された式に適用することによって決定され得る(本明細書に提供される実験セクションも参照されたい)。
ガラクトシル化されている抗体は、少なくとも1つのガラクトース単糖類を有するあらゆる抗体を含む。このような抗体として、「アンテナ」の両アーム上に複合型グリカンモチーフを有する抗体及び複合型グリカンモチーフを伴う1本のアームのみを有する抗体の双方が挙げられる。少なくとも1つのガラクトース単糖類を含有する抗体としては、G1(1つのガラクトース)、G1F(1つのガラクトース、1つのフコース)、G2(2つのガラクトース)及びG2F(2つのガラクトース、1つのフコース)などのN−グリカンを有する抗体が挙げられる。加えて、少なくとも1つのガラクトース単糖類を含有するN−グリカンは、シアル酸付加されることもシアル酸付加されないこともある。
高度にガラクトシル化されている抗体の集団のいくつかの実施形態では、この集団は、シアル酸付加されてもされなくてもよく、A2G1F型に全体又は一部において一致するモノ−ガラクトシル化N−グリカンを含む抗体を含む。高度にガラクトシル化されている抗体の集団のいくつかの実施形態では、抗体N−グリカンの少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、100%までが、モノ−ガラクトシル化N−グリカンを含む。高度にガラクトシル化されている抗体の集団のいくつかの実施形態では、抗体の少なくとも5%が、モノ−ガラクトシル化N−グリカンを含む。
高度にガラクトシル化されている抗体の集団のいくつかの実施形態では、この集団は、シアル酸付加されてもされなくてもよく、A2G1F型に全体又は一部において一致するモノ−ガラクトシル化N−グリカンを含む抗体と、シアル酸付加されてもされなくてもよく、A2G2F型に全体又は一部において一致する、2ガラクトシル化N−グリカンを含む抗体とからなる。高度にガラクトシル化されている抗体の集団のいくつかの実施形態では、抗体N−グリカンの少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、99%までが、モノ−ガラクトシル化N−グリカンを含み、抗体N−グルカンの少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、99%までが、2ガラクトシル化N−グリカンを含む。高度にガラクトシル化されている抗体N−グリカンの集団のいくつかの実施形態では、抗体N−グリカンの少なくとも5%がモノ−ガラクトシル化N−グリカンを含み、抗体の少なくとも35%が2ガラクトシル化N−グリカンを含む。
高度にガラクトシル化されている抗体の集団のいくつかの実施形態では、集団は、高度にフコシル化されている抗体を含む。高度にフコシル化されている抗体の集団は、集団中の抗体N−グリカンのフコシル化のレベルが、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、100%までのフコシル化である抗体の集団である。高度にガラクトシル化されている抗体の集団のいくつかの実施形態では、抗体N−グリカンのフコシル化のレベルは、少なくとも80%である。
本明細書で使用されるようなフコシル化のレベルは、以下の式によって決定される。
式中、
nは、順相高速液体クロマトグラフィー(NP HPLC)スペクトルなどのクロマトグラム中の分析されるN−グリカンのピークの数を表し、
「フコースの数」は、ピークに相当するグリカン上のフコースモチーフの数を表し、並びに
「相対面積%」は、フコースモチーフを含有する対応するピーク下の面積の%に一致する。
フコシル化されている抗体としては、そのN−グリカン上に少なくとも1つのフコース単糖類を有する任意の抗体が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体の集団は、集団中の抗体N−グリカンのガラクトシル化のレベルが少なくとも50%であり、集団中の抗体のフコシル化のレベルが少なくとも50%である集団に関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体の集団は、集団中の抗体N−グリカンのガラクトシル化のレベルが少なくとも50%であり、集団中の抗体N−グリカンのフコシル化のレベルが少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%までである集団に関する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される抗体の集団は、集団中の抗体N−グリカンのガラクトシル化のレベルが少なくとも60%であり、集団中の抗体N−グリカンのフコシル化のレベルが少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%までである集団に関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体の集団は、集団中の抗体N−グリカンのガラクトシル化のレベルが少なくとも70%であり、集団中の抗体N−グリカンのフコシル化のレベルが少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%までである集団に関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体の集団は、集団中の抗体N−グリカンのガラクトシル化のレベルが少なくとも80%であり、集団中の抗体N−グリカンのフコシル化のレベルが少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%までである集団に関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体の集団は、集団中の抗体N−グリカンのガラクトシル化のレベルが少なくとも90%であり、集団中の抗体N−グリカンのフコシル化のレベルが少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%までである集団に関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体の集団は、集団中の抗体N−グリカンのガラクトシル化のレベルが100%までであり、集団中の抗体N−グリカンのフコシル化のレベルが少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%までである集団に関する。
一態様では、本開示は、Fc−ガンマ−グリコシル化部位でフコシル化されている集団中の抗体N−グリカンのパーセンテージに対するFc−ガンマ−グリコシル化部位でガラクトシル化されている集団中の抗体N−グリカンのパーセンテージの特定比を有する抗体の集団を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、本開示は、抗体の集団を含む組成物に関し、ここで、集団中の抗体N−グリカンのフコシル化のレベルに対する集団中の抗体N−グリカンのガラクトシル化のレベルの比は、特定比を有する。いくつかの実施形態では、抗体の集団は、シアル酸付加されてもされなくてもよく、A2G1F型に全体又は一部において一致するモノ−ガラクトシル化N−グリカンを含む抗体N−グリカンからなる。いくつかの実施形態では、抗体の集団中の抗体は、同一の抗原エピトープに向けられる。いくつかの実施形態では、抗体の集団中の抗体は、同一の核酸配列によってコード化される。いくつかの実施形態では、本開示は、抗体の集団を含む組成物に関し、ここで、集団中の抗体N−グリカンのフコシル化のレベルに対する集団中の抗体N−グリカンのガラクトシル化のレベルの比は、0.5と2の間、0.6と1.8の間、0.7と1.5の間、0.8と1.2の間、又は0.9と1.1の間である。いくつかの実施形態では、本開示は抗体の集団を含む組成物に関し、ここで、集団中の抗体N−グリカンのフコシル化のレベルに対する集団中の抗体N−グリカンのガラクトシル化のレベルの比は、0.8と1.2の間、例えば1である。
高度ガラクトシル化抗体の産生
一態様では、本開示は、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団は、遺伝子導入で産生される。いくつかの実施形態では、抗体の集団は、細胞培養中で産生される。いくつかの実施形態では、細胞培養は、例えば、細胞培養にガラクトシルトランスフェラーゼを添加することによって、又はガラクトシルトランスフェラーゼの産生の増加をもたらす遺伝物質を細胞に添加することによって、抗体ガラクトシル化の量を増加させるよう改変されている。いくつかの実施形態では、抗体の集団は、細胞培養中で産生され、その後(追加の)ガラクトースを結合させるためのインビトロ生化学反応によって改変される。
いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団は、遺伝子導入で産生される。いくつかの実施形態では、抗体の集団は、乳腺上皮細胞中で産生される。いくつかの実施形態では、抗体の集団は、抗体を発現するよう操作された非ヒト哺乳動物の乳腺上皮細胞中で産生される。いくつかの実施形態では、非ヒト哺乳動物は、ヤギ、ヒツジ、バイソン、ラクダ、ウシ、ブタ、ウサギ、バッファロー、ウマ、ラット、マウス又はラマである。いくつかの実施形態では、非ヒト哺乳動物はヤギである。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を含む組成物は、乳汁を更に含む。
本明細書で開示される方法により遺伝子導入で産生される抗体の集団は、高度にガラクトシル化されかつ高度にフコシル化されている。先行技術文献は、高マンノース抗体/低フコース抗体が遺伝子導入で産生されたことを提供している(例えば、国際公開第2007/048077号パンフレットを参照されたい)。
CDC活性
一態様では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を含む組成物は、高い補体依存性細胞障害(CDC)活性を有する。一態様では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を含む組成物は、高い抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)活性を有する。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を含む組成物は、高い補体依存性細胞障害(CDC)活性を有し、かつ高い抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)活性を有する。
いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団は、低ガラクトースである抗体の集団と比較する場合、上昇したレベルの補体依存性細胞障害(CDC)活性を有する。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団と低グルコースである抗体の集団とは、同一の抗原エピトープに向けられる。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団と低グルコースである抗体の集団とは、同一の核酸によってコード化される。
本明細書で使用するとき、低ガラクトースである抗体の集団とは、集団における抗体のガラクトシル化のレベルが、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、0%までである抗体の集団を指す。
いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団のCDC活性は、低ガラクトースである抗体の集団と比較する場合、少なくとも1.1倍高く、少なくとも1.2倍高く、少なくとも1.3倍高く、少なくとも1.4倍高く、少なくとも1.5倍高く、少なくとも1.6倍高く、少なくとも1.7倍高く、少なくとも1.8倍高く、少なくとも1.9倍高く、少なくとも2倍高く、少なくとも3倍高く、少なくとも5倍高く、少なくとも10倍高く、少なくとも100倍まで又はそれ以上高い。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団のCDC活性は、低ガラクトースである抗体の集団と比較する場合、少なくとも1.5倍高い。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団のCDC活性は、低ガラクトースである抗体の集団と比較する場合、少なくとも3倍高い。
いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団は、高度にフコシル化されている。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されかつ高度にフコシル化されている抗体の集団は、低ガラクトースかつ低フコースである抗体の集団と比較する場合、上昇したレベルの補体依存性細胞障害(CDC)活性を有する。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されかつ高度にフコシル化されている抗体の集団及び低ガラクトースかつ低フコースである抗体の集団は、同一の抗原エピトープに向けられる。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されかつ高度にフコシル化されている抗体の集団及び低ガラクトースかつ低フコースである抗体の集団は、同一の核酸によってコード化される。
本明細書で使用するとき、低フコースである抗体の集団とは、集団における抗体のフコシル化のレベルが、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、0%までである抗体の集団を指す。
いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されかつ高度にフコシル化されている抗体の集団のCDC活性は、低ガラクトースかつ低フコースである抗体の集団と比較する場合、少なくとも1.1倍高く、少なくとも1.2倍高く、少なくとも1.3倍高く、少なくとも1.4倍高く、少なくとも1.5倍高く、少なくとも1.6倍高く、少なくとも1.7倍高く、少なくとも1.8倍高く、少なくとも1.9倍高く、少なくとも2倍高く、少なくとも3倍高く、少なくとも5倍高く、少なくとも10倍高く、少なくとも100倍まで又はそれ以上高い。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されかつ高度にフコシル化されている抗体の集団のCDC活性は、低ガラクトースかつ低フコースである抗体の集団と比較する場合、少なくとも1.5倍高い。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されかつ高度にフコシル化されている抗体の集団のCDC活性は、低ガラクトースかつ低フコースである抗体の集団と比較する場合、少なくとも3倍高い。
いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されていて、かつ乳腺上皮細胞中で産生される抗体の集団は、乳腺上皮細胞中では産生されない抗体の集団と比較する場合、上昇したレベルの補体依存性細胞障害(CDC)活性を有する。いくつかの実施形態では、乳腺上皮細胞中では産生されない抗体の集団は、細胞培養中で産生されるものである。いくつかの実施形態では、細胞培養中で産生される抗体の集団はリツキサンである。いくつかの実施形態では、乳腺上皮細胞中で産生される高度にガラクトシル化されている抗体の集団と乳腺上皮細胞中では産生されない抗体の集団は、同一の核酸によってコード化され得る。
いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化され、かつ乳腺上皮細胞中で産生される抗体の集団のCDC活性は、乳腺上皮細胞中では産生されない抗体の集団と比較する場合、少なくとも1.1倍高く、少なくとも1.2倍高く、少なくとも1.3倍高く、少なくとも1.4倍高く、少なくとも1.5倍高く、少なくとも1.6倍高く、少なくとも1.7倍高く、少なくとも1.8倍高く、少なくとも1.9倍高く、少なくとも2倍高く、少なくとも3倍高く、少なくとも5倍高く、少なくとも10倍高く、少なくとも100倍まで又はそれ以上高い。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化され、かつ乳腺上皮細胞中で産生される抗体の集団のCDC活性は、乳腺上皮細胞中では産生されない抗体の集団と比較する場合、少なくとも1.5倍高い。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化され、かつ乳腺上皮細胞中で産生される抗体の集団のCDC活性は、乳腺上皮細胞中では産生されない抗体の集団と比較する場合、少なくとも3倍高い。
一態様では、本明細書で開示される抗体の集団の組成物は、高い(補体依存性細胞障害)CDC活性を有する。抗体は種々のメカニズムを通して治療薬として作用し、このメカニズムの1つは、CDC活性を経るものである。標的細胞受容体(CD20など)に結合するいくつかの治療的抗体はまた、補体経路のタンパク質にも結合することができる。補体タンパク質の結合は、補体カスケードを結果として生じ(C1−複合体活性を通して)、これは治療的抗体が結合する細胞の細胞溶解及び細胞死を引き起こす「膜攻撃複合体」の形成を最終的にもたらす(例えば、Reff M.E.著、Blood、1994年、83:435を参照されたい)。少なくとも一部はCDC活性の誘導を通してその治療的効果を及ぼすと考えられる治療的抗体の一例は、リツキマブ(リツキサン)であり、これはCD20(これは特定のリンパ腫細胞で過発現される)に結合することができる。
いくつかの実施形態では、補体依存性細胞障害(CDC)活性の上昇したレベルを有する抗体の集団は、補体依存性細胞障害(CDC)活性の上昇したレベルを有さない抗体の集団と比較するとき、より大量の細胞溶解を引き起こす抗体の集団である。CDCのレベルを決定するための方法は、当該技術分野では既知であり、多くの場合、細胞溶解の量を決定することに基づく。CDC活性を決定するための市販のキットは、例えば、Genscript(ニュージャージー州、ピスカタウェイ)から購入することができる。
ADCC活性
一態様では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を含む組成物は、高い補体依存性細胞障害(CDC)活性を有する。一態様では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を含む組成物は、高い抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)活性を有する。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を含む組成物は、高い補体依存性細胞障害(CDC)活性を有し、かつ高い抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)活性を有する。
いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団は、低ガラクトースである抗体の集団と比較する場合、抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)の上昇したレベルを有する。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団のADCC活性は、低ガラクトースである抗体の集団と比較する場合、少なくとも1.1倍高く、少なくとも1.2倍高く、少なくとも1.3倍高く、少なくとも1.4倍高く、少なくとも1.5倍高く、少なくとも1.6倍高く、少なくとも1.7倍高く、少なくとも1.8倍高く、少なくとも1.9倍高く、少なくとも2倍高く、少なくとも3倍高く、少なくとも5倍高く、少なくとも10倍高く、少なくとも100倍まで又はそれ以上高い。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団のADCC活性は、低ガラクトースである抗体の集団と比較する場合、少なくとも2倍高い。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団のADCC活性は、低ガラクトースである抗体の集団と比較する場合、少なくとも5倍高い。
いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化され、かつ乳腺上皮細胞中で産生される抗体の集団は、乳腺上皮細胞中では産生されない抗体の集団と比較する場合、抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)の上昇したレベルを有する。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化され、かつ乳腺上皮細胞中で産生される抗体の集団のADCC活性は、低ガラクトースである抗体の集団と比較する場合、少なくとも1.1倍高く、少なくとも1.2倍高く、少なくとも1.3倍高く、少なくとも1.4倍高く、少なくとも1.5倍高く、少なくとも1.6倍高く、少なくとも1.7倍高く、少なくとも1.8倍高く、少なくとも1.9倍高く、少なくとも2倍高く、少なくとも3倍高く、少なくとも5倍高く、少なくとも10倍高く、少なくとも100倍まで又はそれ以上高い。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化され、かつ乳腺上皮細胞中で産生される抗体の集団のADCC活性は、乳腺上皮細胞中では産生されない抗体の集団と比較する場合、少なくとも2倍高い。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化され、かつ乳腺上皮細胞中で産生される抗体の集団のADCC活性は、乳腺上皮細胞中では産生されない抗体の集団と比較する場合、少なくとも5倍高い。
いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化され、かつ乳腺上皮細胞中で産生される抗体の集団は、乳腺上皮細胞中では産生されない抗体の集団と比較する場合、抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)の上昇したレベルを有する。いくつかの実施形態では、乳腺上皮細胞中では産生されない抗体の集団は、細胞培養中で産生される。いくつかの実施形態では、細胞培養中で産生される抗体の集団は、リツキサンである。
高度にガラクトシル化されている抗体の集団は、高度にフコシル化されている。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されかつ高度にフコシル化されている抗体の集団は、低ガラクトースかつ低フコースである抗体の集団の抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)活性の顕著なパーセンテージを有する。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されかつ高度にフコシル化されている抗体の集団のADCC活性は、低ガラクトースかつ低フコースである抗体の集団と比較する場合、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、100%まで又はそれ以上を有する。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されかつ高度にフコシル化されている抗体の集団のADCC活性は、低ガラクトースかつ低フコースである抗体の集団と比較する場合、少なくとも40%である。
いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されかつ乳腺上皮細胞中で産生される抗体の集団は、乳腺上皮細胞中では産生されない抗体の集団の抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)活性の顕著なパーセンテージを有する。いくつかの実施形態では、乳腺上皮細胞中で産生された高度にガラクトシル化されている抗体の集団と乳腺上皮細胞中では産生されない抗体の集団とは、同一の核酸によってコード化され得る。いくつかの実施形態では、乳腺上皮細胞中では産生されない抗体の集団は、細胞培養中で産生される。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されかつ乳腺上皮細胞中で産生される抗体の集団のADCC活性は、乳腺上皮細胞中では産生されない抗体の集団と比較する場合、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、100%まで又はそれ以上である。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されかつ乳腺上皮細胞中で産生される抗体の集団のADCC活性は、乳腺上皮細胞中では産生されない抗体の集団と比較する場合、少なくとも40%である。
一態様では、本明細書で開示される抗体の集団の組成物は、高いADCC活性を有する。抗体は、様々なメカニズムを通して治療薬として作用することができ、メカニズムの1つは、ADCC活性を通してのものである。標的細胞上の細胞受容体(CD20など)に結合し、Fcグリコシル化部位を含む治療的抗体はまた、Fc−受容体(CD16など)に結合することができ、Fc−受容体を発現する細胞の標的細胞への係留を結果として生じる。抗体のFc領域の結合の親和性は、一般的に、Fcグリコシル化部位のグリコシル化の性質に依存する。Fc受容体は、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、好中球、及びマスト細胞を含める多数の免疫細胞中で見出されている。Fc受容体への結合は、標的細胞を殺傷するためのサイトカイン(IL−2)及び細胞食作用を誘導する免疫細胞をもたらす。いくつかの実施形態では、抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)活性の上昇したレベルを有する抗体の集団は、抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)活性の上昇したレベルを有さない抗体の集団と比較するとき、CD16を発現する細胞への結合の増大を示す抗体の集団である。いくつかの実施形態では、抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)活性の上昇したレベルを有する抗体の集団は、抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)活性の上昇したレベルを有さない抗体の集団と比較するとき、IL−2産生(例えば、ナチュラルキラー細胞中で)の誘導の増大を示す抗体の集団である。ADCC活性を決定するための市販のキットは、例えば、Genscript(ニュージャージー州、ピスカタウェイ)及びPromega(ウィスコンシン州、マジソン)から購入され得る。
B−細胞枯渇
一態様では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を含む組成物は、高い補体依存性細胞障害(CDC)活性を有する。一態様では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を含む組成物は、高い抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)活性を有する。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を含む組成物は、高い補体依存性細胞障害(CDC)活性を有し、かつ高い抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)活性を有する。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を含む組成物は、B細胞枯渇を誘導する強力な能力を有する(例えば、血液サンプル中又は対象において)。いくつかの実施形態では、高度にガラクトシル化され、かつB細胞枯渇を誘導するための強力な能力を有する抗体の集団の抗体は、抗−CD20抗体である。
抗体
一態様では、本開示は、高度ガラクトシル化抗体の集団を提供する。いくつかの実施形態では、高度ガラクトシル化抗体の集団は、遺伝子導入で産生される。いくつかの実施形態では、集団中の抗体は、キメラ型、ヒト化又は完全ヒト抗体である。いくつかの実施形態では、集団中の抗体は、完全長抗体である。いくつかの実施形態では、集団中の抗体は、重鎖及び軽鎖を含む。
いくつかの実施形態では、抗体の集団の抗体は、抗−CD20抗体である。抗−CD20抗体は、当該技術分野で記載されていて、例えば、リツキシマブ(Genentech)、オファツムマブ(GSK)及びオクレリズマブ(Genentech)が挙げられる(例えば、Robakら著、Biodrugs、2011年、25:13〜25を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体の集団は、抗−CD20抗体の混合物である。
いくつかの実施形態では、抗体の集団の抗体は、集団中の抗体の軽鎖及び重鎖が配列番号1及び配列番号2で示される核酸配列によってコード化される抗体である。
本明細書で使用するとき、「抗体の集団」とは、同一の抗原に対して向けられる抗体(例えば、抗−CD20抗体)のバッチを指す。いくつかの実施形態では、抗体の集団の抗体は、同一の抗原エピトープに対して向けられる(例えば、CD20の特定のアミノ酸配列に結合する抗−CD20抗体)。同一のエピトープに対して向けられる抗体の集団は、同一のCDRを有するが、異なる非CDR領域を有する抗体の集団を含み、その中で抗体のいくつかが、抗体が向けられる抗原エピトープへの結合の性質を変更することがない1つ以上の変異を有する抗体の集団を含む。いくつかの実施形態では、抗体の集団の抗体は、同一の核酸によってコード化される。しかしながら、抗体の集団中の抗体が同一の核酸によってコード化される場合でも、これらは必ずしも同一ではないことが理解されるべきである。例えば、抗体は異なるグリコシル化パターンを有する場合がある。
いくつかの実施形態では、抗体の集団の抗体は、同様な方法で産生される。例えば、抗体の集団は、遺伝子導入で産生されてもよい。集団は、遺伝子導入で産生された抗体の1つの産物又は複数の産物より生じ得る。複数の産物は、同一の供給源、例えば、同一の遺伝子導入動物から得ることができ、又は異なる供給源、例えば、異なる遺伝子導入動物から組み合わされてもよい。
いくつかの実施形態では、抗体は、遺伝子導入で産生される抗体である。本明細書で使用するとき、用語「遺伝子導入で産生される抗体」とは、遺伝子組換導入動物、すなわち、そのゲノム中に産生される抗体をコード化する核酸配列を有する動物で産生される抗体を指す。いくつかの実施形態では、遺伝子導入抗体は、遺伝子導入動物の1つ以上の器官で発現される。いくつかの実施形態では、遺伝子導入抗体は、肝臓で発現される。いくつかの実施形態では、遺伝子導入抗体は、乳腺上皮細胞で発現される。
本明細書で使用するとき、「単離された抗体」とは、異なる抗原特異性を有するその他の抗体を実質的に含まない抗体を指す。しかしながら、抗原のエピトープ、イソ型又は変異体に特異的に結合する単離された抗体は、例えばその他の種からのその他の関連する抗原への交差反応性を有し得る。更に、単離された抗体は、その他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含み得ない。本明細書で使用するとき、「特異的結合」とは、予め決められた抗原に結合する抗体を指す。典型的には、この抗体は、予め決められた抗原又は緊密に関連する抗原以外の非特異的抗原への結合に関するその親和性を少なくとも2倍超える親和性で結合する。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗体は、標的抗原に特異的に結合する。
本明細書で使用するとき、用語「抗体」とは、ジスルフィド結合によって内部結合された少なくとも2つの重(H)鎖と2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質、すなわち、異なる遺伝子によってコード化される2本の同一のIg H鎖と2本の同一のL鎖からなる共有結合ヘテロ四量体を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVR又はVと略記される)と、重鎖定常領域とからなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン、C1、C2及びC3からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVR又はVとして略記される)と軽鎖定常領域とからなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。V及びV領域は、フレームワーク領域(FR)と名付けられた、より保存される領域で分散された、相補性決定領域(CDR)と名付けられた超可変性の領域に更に細分されることができる。各V及びVは、以下の順番で、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって配列された3つのCDRと4つのFRからなる:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的経路の補体系の第1成分(C1q)を含める宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介することができる。成熟機能性抗体分子の形成は、2つのタンパク質が化学量論的量で発現され、適切な配位で自己集合する場合に、達成され得る。
用語「抗体」はまた、その抗原結合断片も包含する。本明細書で使用するとき、抗体の「抗原結合断片」とは、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の部分を指し、Fcグリコシル化部位を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、イソ型IgG、IgA又はIgDである。他の実施形態では、抗体はIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgD、IgE、若しくは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgD又はIgEの免疫グロブリン定常ドメイン及び/又は可変ドメインを有するものからなる群から選択される。好ましい実施形態では、抗体は、IgG1型の抗体である。他の実施形態では、抗体は、二重特異性又は多重特異性抗体である。更に他の実施形態では、抗体は組換え抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体、若しくはこれらの混合物である。いくつかの実施形態では、キメラ抗体は、非ヒト(例えば、マウス、ラット又はウサギ)抗体の部分のヒト抗体の部分との遺伝子操作による融合である。キメラ抗体は、いくつかの実施形態では、約33%の非ヒトタンパク質と67%のヒトタンパク質とを含有することができる。特にマウスキメラ体に関しては、これらがネズミ抗体の特異性をヒト抗体の有効な免疫系相互作用と組み合わせることができるために、これらはネズミ抗体によって誘発されるHAMA反応を低減するために発生され得る。
いくつかの実施形態では、抗体は、キメラ又はヒト化抗体である。本明細書で使用するとき、用語「キメラ抗体」とは、ネズミ可変領域又は超可変領域をヒト定常領域又は定常及び可変フレームワーク領域と組み合わせる抗体を指す。本明細書で使用するとき、用語「ヒト化抗体」とは、ヒトフレームワーク領域を伴って、親抗体からの抗原−結合CDRのみを保持する抗体を指す(Waldmann著、1991年、Science、252:1657を参照されたい)。ネズミ抗体の結合特異性を保持しているこのようなキメラ又はヒト化抗体は、本発明による診断的、予防的又は治療的用途のためにインビボで投与される場合、低減された免疫原性を有することが期待される。ヒト化(リシェーピング又はCDR−グラフティングとも呼ばれる)は、マウスなどの異種供給源から得たモノクローナル抗体の免疫原性を低減させるための確立された技術である。ヒト化抗体は、標準的分子生物学技術を通して作製することができる。いくつかの実施形態では、これは、齧歯動物の相補性決定領域(CDR)のヒトフレームワークへのグラフティングを含む。しかしながら、この技術は、大部分が反復プロセスであり、ヒト化抗体をデザインする場合、多数の要素:CDRの長さ、ヒトフレームワーク及び齧歯動物のmAbからの残基のヒトフレームワーク領域への置き換え(復帰突然変異)が関与する。
治療的マウスmAbは、HAMA(ヒト抗−マウス抗体)反応が抗体を無効化し、血液循環からそれを迅速に取り除き、最悪の場合は、重篤なアレルギー性過敏症を誘発するために、ヒトへの使用に理想的でない場合もある。ネズミIg配列のほとんどをヒト配列で置き換えて、効力を維持しつつ、より少ない副作用をもたらすためのいくつかの戦略が開発されている。ヒトの治療的mAbを開発するための1つの戦略は、結果として得るキメラ抗体が、非ヒトのままで留まる抗原結合領域を除いては、ヒトIgGタンパク質配列の大部分からなるように、ネズミ重鎖(H)及び軽鎖(L)定常領域(それぞれC及びC)、又は一般に非ヒト鎖を、ヒト領域で置き換えることである。この戦略は、リツキサン(登録商標)(リツキシマブ、抗−ヒトCD20、Genentech)の開発に使用され、これは非ホジキンリンパ腫の治療するために使用される、米国で承認された最初のモノクローナル抗体である。いくつかの試算によって、ヒトC及びC配列を有する治療的mAbを提供することが、ネズミ抗体タンパク質の免疫原性の約90%を排除するはずである。
特定の実施形態では、抗体はヒト抗体である。本明細書で使用するとき、用語「ヒト抗体」とは、ヒト生殖系免疫グロブリン配列から得た及び可変及び定常領域を有する抗体を含むことを意図している。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖系免疫グロブリン配列によってコード化されないアミノ酸残基を含んでもよい(例えば、インビトロのランダム又は部位特異的突然変異誘発によって、又はインビボの体細胞突然変異によって導入される突然変異)。しかしながら、本明細書で使用するとき、用語「ヒト抗体」とは、その中でマウスなどの別の哺乳動物種の生殖系から得たCDR配列がヒトフレームワーク配列上にグラフトされた抗体(本明細書では「ヒト化抗体」と呼ぶ)を含むよう意図していない。ヒト抗体は、マウスの免疫系よりはむしろヒト免疫系の部分を保有する遺伝子導入マウスを使用して作製される。
完全ヒトモノクローナル抗体もまた、ヒト免疫グロブリン重鎖及び軽鎖遺伝子座の大部分について遺伝子導入マウスを免疫化することによって形成され得る。例えば、米国特許第5,591,669号明細書、同第5,598,369号明細書、同第5,545,806号明細書、同第5,545,807号明細書、同第6,150,584号明細書、及びそこで引用された参照(これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。これら動物は、内因性の(例えば、ネズミの)抗体の産生において機能的欠失が存在するように、遺伝的に修飾されている。この動物は、これら動物の免疫化が目的の抗原に対する完全ヒト抗体の産生を結果として生じるように、ヒト生殖系免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部を含有するよう更に修飾される。これらマウス(例えば、XenoMouse(Abgenix)、HuMAbマウス(Medarex/GenPharm))の免疫化の後に、標準ハイブリドーマ技術に従って、モノクローナル抗体が調製される。これらモノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリンアミノ酸配列を有し、したがって、ヒトに投与される場合、ヒト抗−マウス抗体(HAMA)反応を誘発しないであろう。ヒト抗体は、本明細書で提供される抗体のいずれかと同様に、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体とポリクローナル抗体の混合物であり得る。
高度ガラクトシル化抗体の供給源
一態様では、本発明は、高度にガラクトシル化されている抗体の集団を提供する。いくつかの実施形態では、高度ガラクトシル化抗体の集団は、遺伝子導入で産生される。
いくつかの実施形態では、哺乳動物乳腺上皮細胞が、マウス又はヤギなどの遺伝子導入動物の乳汁中で抗体を発現するよう操作されている。この遺伝子発現は、例えば、ヤギβ−カゼイン調節要素の制御下にある。遺伝子導入動物は、H及びL鎖を含有する別個の構築物、又は双方の鎖を含有する1つの構築物をコトランスフェクトすることによって作製され得る。特定の実施形態では、遺伝子が子孫に一緒に送り届けられ、かつタンパク質発現が共に調節されるように、両導入遺伝子は同一の染色体部位に一体化する。いくつかの実施形態では、乳タンパク質を産生する個々の乳腺管上皮細胞に対して発現が最適化される。
遺伝子導入動物の作製のための構築物
いくつかの実施形態では、核移植によって遺伝子導入ヤギを産生する上で使用するために、構築物(例えば、抗−CD20抗体をコード化する)を含有する一次細胞系を産生するために、重鎖及び軽鎖構築物が、一次ヤギ皮膚上皮細胞にトランスフェクトされることができ、これがクローン増殖され、導入遺伝子のコピー数、導入遺伝子の構造的一体性及び染色体一体化部位を評価するために十分に特性化される。本明細書で使用するとき、「核移植」とは、そこでドナー細胞から得た核が除核卵母細胞に移植されるクローニングの方法を指す。
目的のタンパク質(例えば、抗体)に関するコード配列は、NCBI、Genbankなどの配列データベースから得られた、選択された動物(ウシ又はマウスなど)に由来のゲノム物質又は逆転写されたメッセンジャーRNAのライブラリをスクリーニングすることによって、若しくは抗体の配列を得ることによって等、取得することができる。配列は適切なプラスミドベクターにクローンされ、大腸菌(E.coli)のような好適な宿主生物中で増幅され得る。ベクターの増幅後、DNA構築物は切り出され、ベクターの残部から精製され、発現ベクター中に導入され、これが遺伝子導入動物を産生するために使用され得る。遺伝子導入動物は、それらのゲノム中に組み込まれた所望の遺伝子導入タンパク質を有するであろう。
ベクターの増幅後に、DNA構築物は、適切な5’及び3’制御配列で切り出されることができ、ベクターの残部から離れて精製され、所望の非グリコシル化に関連する遺伝子導入タンパク質をそれらのゲノム中に組み込んだ遺伝子導入動物を産生するために使用される。反対に、酵母人工染色体(YAC)などの一部のベクターについては、組み立てられた構築物をベクターから除去することは必ずしも必要ではなく、このような場合、増幅されたベクターは、遺伝子導入動物を作製するために直接使用され得る。コード配列は、制御配列に作動的に結合させることができ、制御配列が、遺伝子導入非ヒト動物の乳汁中でコード配列が発現されることを可能にする。
遺伝子導入動物の乳汁の産生に向かせるためのDNA配列は、天然由来の乳タンパク質から誘導される5’−プロモータ領域を保有することができる。このプロモータは、結果的にホルモン因子又は組織特異的因子の制御下にあり、乳汁分泌する乳腺組織において最も活性である。いくつかの実施形態では、プロモータはカプリンベータカゼインプロモータである。プロモータは、タンパク質リーダー配列の産生に向かうDNA配列に作動可能に結合させることができ、タンパク質リーダー配列が、遺伝子導入タンパク質の分泌を、乳腺上皮細胞を渡って乳汁へと向ける。いくつかの実施形態では、天然分泌型の乳タンパク質から誘導され得る3’−配列が、mRNAの安定性を改善するために添加される場合もある。
本明細書で使用するとき、「リーダー配列」又は「シグナル配列」とは、タンパク質分泌シグナルをコード化し、遺伝子導入タンパク質をコード化する下流核酸分子に作動可能に結合させる場合に分泌に向かせる核酸配列である。リーダー配列は、天然のヒトリーダー配列、人工的に誘導されたリーダー配列であってもよく、又は導入遺伝子コード配列の転写に向けるために使用されるプロモータとして同一の遺伝子から得られてもよく、若しくは哺乳動物乳腺上皮細胞などの細胞から通常分泌される別のタンパク質から得られてもよい。
いくつかの実施形態では、プロモータは乳汁特異的プロモータである。本明細書で使用するとき、「乳汁特異的プロモータ」とは、タンパク質を乳汁中に分泌する細胞(例えば、乳腺上皮細胞)中で遺伝子の発現に自然に向けるプロモータであり、例えば、カゼインプロモータ、例えば、α−カゼインプロモータ(例えば、アルファS−1カゼインプロモータ及びアルファS2−カゼインプロモータ)、β−カゼインプロモータ(例えば、ヤギベータカゼイン遺伝子プロモータ(DiTullio著、BIOTECHNOLOGY 10:74〜77、1992)、γ−カゼインプロモータ、κ−カゼインプロモータ、乳漿酸性タンパク質(WAP)プロモータ(Gordonら著、BIOTECHNOLOGY 5:1183〜1187、1987年)、β−ラクトグロブリンプロモータ(Clarkら著、BIOTECHNOLOGY 7:487〜492、1989年)及びα−ラクトアルブミンプロモータ(Soulierら著、FEBS LETTS.297:13、1992年)が挙げられる。この定義に更に含まれるものは、哺乳動物組織中で特異的に活性化されるプロモータであり、例えば、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)の長末端反復配列(LTR)プロモータである。
本明細書で使用するとき、コード配列及び調節配列は、これらが調節配列の影響又は制御下でコード配列の発現又は転写を配置するような方法で共有結合される場合、「作動可能に連結される」と言われる。コード配列が機能的タンパク質内に翻訳されるためには、コード配列は、調節配列に作動可能に連結される。5’調節配列中のプロモータの誘導がコード配列の転写をもたらすならば、並びに2つのDNA配列の間の結合の性質が、(1)フレーム−シフト突然変異をもたらさなければ、(2)プロモータ領域のコード配列の転写に向かう能力を妨害しなければ、又は(3)対応するRNA転写物がタンパク質中に翻訳される能力を妨害しなければ、2つのDNA配列は作動可能に連結されていると言われる。したがって、プロモータ領域が、得られる転写物が所望のタンパク質又はポリペプチド中に翻訳され得るように、そのDNA配列の転写に影響を与えることが可能であるとすれば、プロモータ領域は、コード領域に作動可能に連結されている。
本明細書で使用するとき、「ベクター」とは、異なる遺伝的環境間の輸送のために又は宿主細胞中の発現のために、制限又は連結によって所望の配列がその中に挿入され得る多数の核酸のいずれかであり得る。ベクターは、典型的には、DNAから構成されるが、RNAベクターもまた利用可能である。ベクターとしては、限定されないが、プラスミド及びファージミドが挙げられる。クローニングベクターは、宿主細胞中で複製することが可能であるベクターであり、これは、そこで判別可能な様式でベクターが切断され得、新しい組換えベクターが宿主細胞中で複製するためのその能力を保持するように、そこに所望のDNA配列が連結され得る1つ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位に特徴がある。プラスミドの場合、所望の配列の複製は、プラスミドが宿主細菌内でコピー数を増加するにつれて多数回起こってもよく、又は宿主が有糸分裂によって再生するに連れて宿主ごとに一回のみ起こってもよい。ファージの場合、複製は溶菌相の間では能動的に起こってもよく、又は溶原相の間は受動的に起こってもよい。発現ベクターは、DNA配列が調節配列に作動可能に連結され、RNA転写物として発現され得るように、制限又は連結によって所望のDNA配列がそこに挿入され得るベクターである。ベクターは、ベクターで形質転換された若しくはされていない又はトランスフェクトされた若しくはされていない細胞の同定における使用に好適な1つ以上のマーカー配列を更に含有することができる。マーカーとしては、例えば、抗生物質又はその他の化合物に抵抗性又は感受性のいずれかを増加又は減少させるタンパク質をコード化する遺伝子、その活性が当該技術分野で既知である標準的アッセイによって検出可能である酵素(例えば、β−ガラクトシダーゼ又はアルカリホスファターゼ)をコード化する遺伝子、並びに形質転換又はトランスフェクトされた細胞、宿主、コロニー又はプラークの表現型に明白に影響を及ぼす遺伝子が挙げられる。好ましいベクターは、これらが作動可能に連結されたDNAセグメント中に存在する構造遺伝子産物の自律複製及び発現を可能にするベクターである。
遺伝子導入動物
一態様では、本開示は、本明細書に提供される抗体の集団のいずれかを発現する乳腺上皮細胞を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に提供される抗体の集団のいずれかを発現する乳腺上皮細胞を含む、遺伝子導入非ヒト哺乳動物を提供する。
一態様では、本開示は、遺伝子導入抗体、並びにその変異体及び断片の産生のための方法を提供し、プロセスは、核酸構築物によってコード化される遺伝子導入非ヒト哺乳動物遺伝子導入抗体を乳汁中で発現させることを含む。いくつかの実施形態では、本発明の抗体を産生するための方法は、
(a)非ヒト哺乳動物細胞を、所望の遺伝子導入抗体をコード化する導入遺伝子DNA構築物でトランスフェクトすることと、
(b)前記導入遺伝子DNA構築物が細胞のゲノム中に挿入された細胞を選択することと、
(c)第1の核移植手順を実行し、所望の遺伝子導入抗体に対してヘテロ接合の非ヒト遺伝子導入哺乳動物で、遺伝子導入抗体を乳汁中で発現することができるものを作製することと、を含む。
一態様では、本開示は、
(a)抗体を発現するよう操作された非ヒト遺伝子導入哺乳動物を提供する方法と、
(b)この抗体を非ヒト遺伝子組換え哺乳動物の乳汁中で発現させる方法と、
(c)乳汁中で発現された抗体を単離する方法と、を提供する。
かかる方法は、乳汁分泌を誘発するための工程並びに取得された抗体のCDC活性及び/又はADCC活性を決定するための工程を更に含むことができる。かかる方法は、取得された抗体のガラクトシル化及び/又はフコシル化の量又はレベルを決定するための工程を更に含むことができる。方法はまた、追加の単離及び/又は精製工程を更に含むことができる。方法はまた、取得された抗体のCDC活性及び/又はADCC活性を乳腺上皮細胞中では産生されない(例えば、細胞培養中で産生される)抗体と比較するための工程を更に含むことができる。
組換え抗体発現が可能である遺伝子導入動物は、当該技術分野で既知の方法に従って発生させることができる(例えば、米国特許第5,945,577号明細書を参照されたい)。遺伝子導入発現に好適な動物としては、限定されないが、ヤギ、ヒツジ、バイソン、ラクダ、ウシ、ブタ、ウサギ、バッファロー、ウマ、ラット、マウス又はラマが挙げられる。好適な動物として、ウシ種、ヤギ種、ヒツジ種及びブタ種も含み、これらはそれぞれウシ、ヒツジ、ヤギ及びブタ(又はブタ(swine))の様々な種に関連するものである。好適な動物はまた、有蹄類も含む。本明細書で使用するとき、「有蹄類」とは、限定されないがヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ及びウマを含める蹄のある典型的には草食の四足獣哺乳動物の用語又はこれらに関連する用語である。一実施形態では、これら動物は、一次細胞を重鎖及び軽鎖を含有する別個の構築物でコトランスフェクトすることによって発生される。次いでこの細胞が核移植のために使用される。あるいは、遺伝子導入動物を発生させるためにマイクロインジェクションが使用される場合、構築物は注入されてもよい。
クローニングは、多数の遺伝子導入動物を結果として生じ、それぞれが目的の抗体又はその他の遺伝子構築物を産生することができる。産生方法は、クローン動物及びこれら動物の子孫の使用を含む。いくつかの実施形態では、クローン動物はヤギ種、ウシ種又はマウスである。クローニングはまた、胎児の核移植、核移植、組織及び器官移植並びにキメラ子孫の作成も包含する。
クローニングプロセスの1つの工程は、抗体をコード化する導入遺伝子を含有する細胞のゲノムを除核卵母細胞に導入することを含む。本明細書で使用するとき、「導入遺伝子」とは、戦略によって細胞に挿入される核酸分子の任意の部分、又はその原型を指し、導入遺伝子は、この細胞から発生する動物のゲノムの一部になる。かかる導入遺伝子は、遺伝子導入動物に対して部分的に又は完全に外因性(すなわち、外来性)である遺伝子を含んでもよく、又は動物の内因性遺伝子と同一性を呈する遺伝子を意味してもよい。
卵母細胞についての安定な哺乳動物供給源としては、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ブタ、ウサギ、モルモット、マウス、ハムスター、ウサギ、非ヒト霊長類等が挙げられる。好ましくは、卵母細胞は、有蹄類から得られ、最も好ましくはヤギ、ウシから得られる。卵母細胞の単離法は、当該技術分野で周知である。基本的には、プロセスは、哺乳動物、例えばヤギの卵巣又は生殖器系から卵母細胞を単離することを含む。有蹄類の卵母細胞の直ぐに利用できる供給源は、ホルモン誘導された雌動物から得られる。遺伝子操作、核移植及びクローニングなどの技術を満足に使用するために、卵母細胞は、これら細胞が核移植のためのレシピエント細胞として使用され得る前に、並びにこれらが精子細胞によって受精され胚に成長する前に、インビボで成熟され得ることが好ましい。インビボで成熟された、減数第二分裂中期卵母細胞は、核移植技術で成功裏に使用されている。基本的に、成熟減数第二分裂中期卵母細胞は、発情開始後又はヒト柔毛膜性ゴナドトロピン(hCG)又は類似のホルモンの注射後数時間の非過剰排卵又は過剰排卵動物のいずれかから外科的に採取される。
乳腺中で発現される組換えタンパク質の量及び品質を予想するために使用される1つの手段は、乳汁分泌の誘発を通してのものである(Ebert KM、1994年)。誘発された乳汁分泌は、少なくとも一年後である受胎から生じる最初の自然な乳汁分泌からよりはむしろ遺伝子導入産生の初期段階からのタンパク質の発現及び分析を可能にする。
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される高度ガラクトシル化抗体の組成物は、乳汁を更に含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、遺伝子導入動物の乳汁から抗体の集団を単離する工程を含む。遺伝子導入動物の乳汁から抗体を単離するための方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、Pollockら著、Journal of Immunological Methods、第231巻、1〜2版、1999年12月10日、147〜157頁で記載されている。
疾患の治療
一態様では、本開示は、本明細書に記載される組成物のいずれか1つを、疾患、外傷又は中毒に冒された対象などの、これを必要する対象に投与するための方法を提供する。
いくつかの実施形態では、対象は癌を有する。いくつかの実施形態では、癌はB−細胞リンパ腫である。
本明細書で使用するとき、「癌」とは、身体臓器又は系の正常な機能を妨害する細胞の制御不能な増殖を指す。それらの元の位置から転移し生体臓器に播種する癌は、最終的には冒された臓器の機能低下を経て対象の死に至らしめる。
本明細書で使用するとき、癌は以下のタイプの癌を含む:B−細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、菌状息肉腫/セザリー症候群、組織球症X、慢性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、クリオグロブリン血症、H鎖病、乳癌、胆管癌;膀胱癌;神経膠芽細胞腫及び髄芽細胞腫を含める脳癌;子宮頚部癌;絨毛癌;大腸癌;子宮内膜癌;食道癌;胃癌;白血病;急性リンパ性及び骨髄性白血病を含める血液腫瘍;T−細胞急性リンパ芽球白血病/リンパ腫;ヘアリーセル白血病;慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫;エイズ関連白血病及び成人T−細胞白血病リンパ腫;ボーエン病及びページェット病を含める上皮内腫瘍:肝臓癌;肺癌;ホジキン病及びリンパ球性リンパ腫を含めるリンパ腫;神経芽細胞腫;扁平上皮癌を含める口腔癌;上皮細胞、間質細胞、生殖細胞及び間葉細胞から起こる卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;直腸癌;平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、繊維肉腫、及び骨肉腫を含める肉腫;黒色腫、カポジ肉腫、基底細胞癌、及び扁平上皮癌を含める皮膚癌;精上皮腫、非精上皮腫(奇形腫、絨毛癌)、間質腫瘍、及び生殖細胞腫瘍などの生殖細胞の腫瘍を含める精巣癌;甲状腺の腺癌及び髄様癌を含める甲状腺癌;並びに腺癌及びウィルムス腫瘍を含める腎癌。その他の癌は当業者に既知であり、肥満細胞腫、胸腺腫、形質細胞腫及び神経膠腫が挙げられる。
治療の方法は、白血病などの造血細胞癌に向けられ、造血細胞癌は、対象の正常な造血性コンパートメントを圧倒することが可能であり、これによって、造血欠陥(貧血、血小板減少症及び好中球減少症の形で)につながり、最終的に死に至る。
治療の方法はまた、転移の抑制を目的とする。転移は、原発腫瘍から身体の他の部分への癌細胞の播種性転移から生じる、原発腫瘍位置からは明確に区別される癌細胞の領域である。原発腫瘍塊の診断の時点で、対象は転移の存在について監視され得る。転移は、特定の症状の監視に加えて、磁気共鳴撮影(MRI)検査、コンピュータ断層撮影(CT)検査、血球及び血小板算定法、肝機能試験、胸部X線及び骨スキャンの単独又は組み合わせ使用を通して、多くの場合検出される。
免疫障害の治療
一態様では、本開示は、本明細書に記載される組成物のいずれか1つを必要とする対象に投与するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は免疫障害を有する。
本発明の組成物はまた、免疫障害を治療するために有用であり、免疫障害としては、限定されないが、成人呼吸促迫症候群、動脈硬化症、喘息、アテローム性動脈硬化症、胆嚢炎、硬変症、クローン病、真性糖尿病、肺気腫、過好酸球増加症、炎症、過敏性大腸症候群、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋又は心膜炎症、骨関節炎、骨粗鬆症、膵炎、リウマチ性関節炎、皮膚硬化症、大腸炎、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、真性糖尿病、炎症性腸疾患、小児脂肪便症、自己免疫性甲状腺疾患、アディソン病、シューグレン症候群、シドナム舞踏病、高安動脈炎、ヴェグナー肉芽腫症、自己免疫性胃炎、自己免疫性肝炎、皮膚自己免疫性疾患、自己免疫性拡張型心筋症、多発性硬化症、心筋炎、重症筋無力症、悪性貧血、多発性筋痛、乾癬、急性進行性糸球体腎炎、リウマチ性関節炎、潰瘍性大腸炎、脈管炎、筋肉の自己免疫性疾患、精巣の自己免疫性疾患、卵巣の自己免疫性疾患及び目の自己免疫性疾患が挙げられる。
他の治療薬
一態様では、本明細書に提供される抗体組成物は、他の治療薬と共に投与される。抗体組成物及び他の治療薬は、同時に又は逐次的に投与される。他の治療薬が同時に投与される場合、これらは同一又は別個の製剤で投与され得るが、同じ時間で投与される。他の治療薬は抗体と一緒に互いに逐次的に投与される、この場合、他の治療薬と抗体の投与は、時間的に分けられる。これら化合物の投与の間の時間の間隔は、短時間であってもよく、又はより長い時間でもよい。
他の治療薬としては、例えば、限定されないが抗癌剤を含む。抗癌療法としては、癌薬剤、放射線及び外科的処置が挙げられる。本明細書で使用するとき、「癌薬剤」とは、癌を治療する目的で対象に投与される薬剤を指す。
本明細書で使用するとき、「癌を治療する」とは、癌の発症を予防し、癌の症状を低減し、及び/又は構築された癌の増殖を抑制することを含む。他の態様では、癌薬剤は、癌の発症のリスクを低減する目的で、癌を発症するリスクがある対象に投与される。癌の治療のための様々なタイプの薬剤が本明細書で記載される。本明細書の目的のために、癌薬剤は、化学治療剤、免疫治療剤、癌ワクチン、ホルモン療法及び生物学的応答改変剤として分類される。
化学治療剤は、メトトレキサート、ビンクリスチン、アドリアマイシン、シスプラチン、非糖含有クロロエチルニトロソウレア、5−フルオロウラシル、ミトマイシンC、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダカルバジン、タキソール、フラジリン、メグラミンGLA、バルルビシン、カルムスタイン及びポリフェルポサン、MMI270、BAY12−9566、RASファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、MMP、MTA/LY231514、LY264618/ロメテキソール、グラモレク、CI−994、TNP−470、Hycamtin/トポテカン、PKC412、Valspodar/PSC833、ノバントロン/ミトキサトロン、Metaret/スラミン、バチマスタット、E7070、BCH−4556、CS−682、9−AC、AG3340、AG3433、インセル/VX−710、VX−853、ZD0101、ISI641、ODN 698、TA 2516/マーミスタット、BB2516/マーミスタット、CDP 845、D2163、PD183805、DX8951f、レモナールDP 2202、FK 317、ピシバニール/OK−432、AD 32/バルルビシン、メタストロン/ストロンチウム誘導体、Temodal/テモゾロミド、Evacet/リポソームドキソルビシン、Yewtaxan/パクリタキセル、タキソール/パクリタキセル、Xeload/カペシタビン、Furtulon/ドキシフルリジン、シクロパックス/経口パクリタキセル、経口タキソイド、SPU−077/シスプラチン、HMR 1275/フラボピリドール、CP−358 (774)/EGFR、CP−609 (754)/RAS癌遺伝子阻害剤、BMS−182751/経口プラチナ、UFT(テガフール/ウラシル)、Ergamisol/レバミゾール、Eniluracil/776C85/5FUエンハンサー、Campto/レバミゾール、Camptosar/イリノテカン、Tumodex/ラリトレキセド、Leustatin/クラドリビン、Paxex/パクリタキセル、Doxil/リポソームドキソルビシン、Caelyx/リポソームドキソルビシン、Fludara/フルダラビン、Pharmarubicin/エピルビシン、DepoCyt、ZD1839、LU 79553/ビス−ナフタルイミド、LU 103793/ドラスタチン、Caetyx/リポソームドキソルビシン、Gemzar/ゲムシタビン、ZD 0473/アノーメド、YM 116、ヨウ素種、CDK4及びCDK2阻害剤、PARP阻害剤、D4809/デキシフォサミド、Ifes/Mesnex/イホスファミド、Vumon/テニポシド、Paraplatin/カルボプラチン、Plantinol/シスプラチン、Vepeside/エトポシド、ZD 9331、タキソテール/ドセタキセル、グアニンアラビノシドのプロドラッグ、タキサンのアナログ、ニトロソウレア、アルキル化剤(例えば、メルファラン及びシクロホスファミド)、アミノグルテチミド、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クロランブシル、シタラビンHCl、ダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl、エストラムスチンリン酸塩ナトリウム、エトポシド(VP16−213)、フロクスウリジン、フルオロウラシル(5−FU)、フルタミド、ヒドロキシウレア(ヒドロキシカルバミド)、イホスファミド、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、酢酸ロイプロリド(LHRH−放出因子アナログ)、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミンHCl(ナイトロジェンマスタード)、メルカプトプリン、メスナ、ミトタン(o.p’−DDD)、ミトキサントロンHCl、オクトレオチド、プリカマイシン、プロカルバジンHCl、ストレプトゾシン、クエン酸タモキシフェン、チオグアニン、チオテパ、硫酸ビンブラスチン、アムサクリン(m−AMSA)、アザシチジン、エリスロポエチン、ヘキサメチルメラミン(HMM)、インターロイキン2、ミトグアゾン(メチル−GAG;メチルグリオキサールビス−グアニルヒドラゾン;MGBG)、ペントスタチン(2’デオキシコフォマイシン)、セムスチン(メチル−CCNU)、テニポシド(VM−26)及び硫酸ビンデシンからなる群から選択され得るが、これらに限定されない。
癌ワクチンは、EGF、抗−イディオタイプ癌ワクチン、Gp75抗原、GMK黒色腫ワクチン、MGVガングリオシド複合ワクチン、Her2/neu、Ovarex、M−Vax、O−Vax、L−Vax、STn−KHLセラトープ、BLP25(MUC−1)、リポソームイディオタイプワクチン、メラシン、ペプチド抗原ワクチン、トキシン/抗原ワクチン、MVA系ワクチン、PACIS、BCGワクチン、TA−HPV、TA−CIN、DISC−ウイルス及びImmuCyst/TheraCysからなる群から選択され得るが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、他の治療薬は免疫治療薬剤である。免疫治療薬剤としては、限定されないが、リブタキシン、ハーセプチン、クオドラメット、パノレックス、IDEC−Y2B8、BEC2、C225、Oncolym、SMART M195、ATRAGEN、Ovarex、Bexxar、LDP−03、ior t6、MDX−210、MDX−11、MDX−22、OV103、3622W94、抗−VEGF、ゼナパックス、MDX−220、MDX−447、MELIMMUNE−2、MELIMMUNE−1、CEACIDE、Pretarget、NovoMab−G2、TNT、Gliomab−H、GNI−250、EMD−72000、LymphoCide、CMA 676、Monopharm−C、4B5、ior egf.r3、ior c5、BABS、抗−FLK−2、MDX−260、ANA Ab、SMART ID10 Ab、SMART ABL 364 Ab及びImmuRAIT−CEAが挙げられる。
医薬組成物及び治療の方法
一態様では、本開示は、本明細書に記載される高度ガラクトシル化抗体のいずれかと、薬学的に許容可能な担体とを含む組成物を提供する。
一態様では、本開示は、本明細書に記載される組成物のいずれか1つを、それを必要とする対象に投与するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は癌を有する。いくつかの実施形態では、癌はB−細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態対象は免疫障害を有する。
「対象」とは、ヒト若しくは、限定されないが、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、又は霊長類、例えばサルを含める脊椎哺乳動物を意味するであろう。
本明細書で提供される組成物は、有効量で有用である。用語有効量とは、所望の生物学的効果を実現するのに必要な又は十分な量を指す。本明細書で提供される教示と合わせて、様々な活性化合物の1つと、効力、相対的生物学的利用能、患者の体重、有害な副作用の重症度及び投与の好ましいモードなどの加重係数を選択することによって、実質的な毒性を引き起こさず、特定の対象を処置するために有効である、有効な予防又は治療処置療法が計画され得る。任意の特定の用途のための有効量は、処置される疾患又は状態、投与される特定の組成物、対象の寸法、又は疾患又は状態の重症度などの因子に応じて変化し得る。当業者であれば、不必要な実験を行うことなく、特定の組成物の有効量を経験的に決定することが可能である。最大用量、すなわち、堅実な医学的判断による最も高い安全な用量が使用されることが一般的に好ましい。一日当たり複数回投与は、化合物の適切な全身レベルを達成すると考えられ得る。適切な全身レベルは、例えば、薬剤の患者のピーク又は持続した血漿レベルの測定によって決定され得る。「用量、dose」及び「投与量、dosage」は、本明細書では互換的に使用される。
本明細書で使用するとき、用語「治療、treating」、「治療する、treat」又は「治療、treatment」は、防止的治療(例えば、予防的治療)及び緩和的治療を包含する。
治療的有効量を決定することは、薬剤の毒性及び有効性などの因子に特定的に依存する。毒性は、当該技術分野で周知の方法を使用して決定され得る。有効性は、同一のガイダンスを利用して決定され得る。したがって、薬学的な有効量は、毒性学的に容認可能であり、なお有効であると臨床医が考える量である。有効性は、例えば、標的化組織におけるT−リンパ球細胞障害性の誘導又は実質的誘導によって若しくは標的化組織の質量の減少によって測定され得る。好ましい実施形態によると、好適な投与量は、約1mg/kg〜10mg/kgであると予想される。
治療を必要とする対象に、本明細書で提供されるような抗体組成物の治療的有効量を投与することを伴う実施形態によると、「治療的有効量」とは、疾患状態を阻害又は逆転させる(例えば、癌増殖を低減又は阻害する)ために必要とされる組成物の量を示す。いくつかの方法は、既知の癌薬剤又は療法、例えば、化学療法(好ましくは、本明細書に列挙された種類の化合物を使用する)又は放射線との併用療法を企図する。患者はヒトであっても又は非ヒト動物であってもよい。患者は、典型的には、癌の維持又は増殖を促進する受容体の上昇したレベルに特徴がある癌に冒されている場合、治療の必要な状態にある。
一般的には、活性化合物の一日の経口投与量は、一日当たり約0.01ミリグラム/kg〜一日当たり1000ミリグラム/kgであるだろう。一日当たり1回から数回の投与を伴い、0.5〜50ミリグラム/kgの範囲の経口投与で、所望の結果が得られるであろうことが予想される。投与量は、投与のモードに依存して、局部的又は全身的に所望の薬剤レベルを達成するよう適切に調整され得る。例えば、静脈内投与は、1桁から数桁の大きさで一日の投与量よりも低いことが予想される。このような投与量において対象の応答が不十分な場合、更に高い投与量(又は異なる、より局部的な送達ルートによる有効なより高い投与量)が患者の耐容が許容される範囲まで採用されてもよい。一日当たり複数回投与が、いくつかの実施形態において、抗体の適切な全身レベルを達成するために考えられる。
いくつかの実施形態では、提供される組成物は、インビボでの用途に用いられる。インビボでの投与の意図されたモードに応じて、使用される組成物は、例えば、錠剤、ピル、粉剤、カプセル、ゲル剤、軟膏剤、液剤、懸濁液等などの、固形、半固形又は液体の投与形態であることができる。好ましくは、組成物は、正確な投与量の単回投与に適した単位投与形態で投与される。組成物はまた、所望される製剤に応じて、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を含むことができ、これらは動物又はヒトへの投与用の医薬組成物を製剤化するために通常使用される水性系ビヒクルとして定義される。希釈剤は、目的のヒト組換えタンパク質の生物学的活性に影響を及ぼすことがないように選択される。このような希釈剤の例は、蒸留水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、及びハンク溶液である。凍結乾燥された目的のヒト組換えタンパク質を再構成するために、同一の希釈剤が使用され得る。加えて、医薬組成物はまた、他の薬物、医薬製剤、担体、アジュバント、非毒性、非治療的、非免疫原性の安定化剤等を含むこともできる。このような希釈剤又は担体の有効量は、成分の溶解度、生物学的活性等に関して薬学的に許容可能な製剤を得るために有効である量である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物は無菌である。
本明細書の組成物は、抗黒色腫、抗リンパ腫、抗白血病及び抗乳癌治療のために、経口、非経口又は局所投与並びに別の全身投与剤形でヒトの患者に投与され得る。本発明の組成物はまた、リウマチ性関節炎、全身紅斑症、多発性硬化症等などの自己免疫性疾患の範囲に治療的に利用され得る。
インビボ治療の間の投与は、非経口及び経口を含めるいくつものルートであってもよいが、非経口が好ましい。投与の関節内、静脈内、髄腔内、及び腹腔内のルートが使用され得、一般的には静脈内が好ましい。当業者であれば、投与のルートが治療される疾病に応じて異なることを認識する。
療法で使用に関しては、組成物の有効量が、組成物を所望の表面に送達させる任意のモードによって対象に投与されることができる。本発明の医薬組成物を投与することは、当業者に既知である任意の手段によって達成され得る。投与の好ましいルートとしては、限定されないが、経口、非経口、筋肉内、鼻腔内、舌下、気管内、吸入、眼球内、膣内、及び経直腸が挙げられる。
組成物を全身に送達させることが望ましい場合、組成物は、注射、例えばボーラス注射又は連続輸注による非経口的投与用に製剤化され得る。注射用製剤は、単位投与形態で、例えば、添加された防腐剤を有するアンプル又は複数投与用容器で存在してもよい。組成物は、油性又は水性ビヒクル中で懸濁液、溶液又はエマルジョンなどの形態を取ってもよく、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの調合剤を含有してもよい。
非経口投与用の医薬製剤は、水溶性形態で、活性化合物の水溶液を含む。更に、活性成分の懸濁液は、適切な油性注射用懸濁液として調製され得る。好適な親油性溶媒又はビヒクルとしては、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル又はトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、若しくはリポソームが挙げられる。水性注射用懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含有することができる。必要に応じて、懸濁液はまた、化合物の溶解度を増加させて、高濃度溶液の調製を可能にする好適な安定化剤又は薬剤を含有してもよい。
あるいは、組成物は、好適なビヒクル、例えば滅菌発熱性物質除去蒸留水による構成のために、使用前に粉末形態であってもよい。
経口投与については、医薬組成物は、例えば、薬学的に許容可能な賦形剤を使用する従来の方法で調製された錠剤又はカプセルの形態を取ることができ、薬学的に許容可能な賦形剤は、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、増量剤(例えば、乳糖、微結晶セルロース又はリン酸水素カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ)、崩壊剤(例えば、馬鈴薯デンプン又はデンプングリコール酸ナトリウム)、又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などである。錠剤は、当該技術分野で周知の方法でコーティングされてもよい。経口投与用の液体調製物は、例えば、溶液、シロップ又は懸濁液の形態を取ってもよく、若しくはこれらは、使用前に水又は他の好適なビヒクルで構成するための乾燥製品として存在してもよい。このような液体調製物は、薬学的に許容可能な添加剤で従来の方法により調製されることができ、薬学的に許容可能な添加剤は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は水素添加食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチン又はアラビアゴム)、非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール又は分画された植物性油脂)、及び防腐剤(例えば、メチル又はプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート又はソルビン酸)などである。調製物はまた、必要に応じて緩衝塩、香味剤、着色剤及び甘味剤を含んでもよい。
経口投与用の調製物は、活性化合物の制御放出をもたらすように適切に製剤化されてもよい。口腔内投与については、組成物は、従来の方法で調剤された錠剤又はトローチの形態を取ってもよい。
経口投与については、例えば、組成物は、活性抗体を当該技術分野で周知の薬学的に許容可能な担体と組み合わせることによって容易に製剤化され得る。このような担体は、処置される対象による経口摂取のために、本発明の化合物が錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル剤、シロップ、スラリー、懸濁液等として製剤化されることを可能にする。経口使用のための医薬調製物は、錠剤又は糖衣錠コアを得るために、必要に応じて得られる混合物を粉砕し、所望の場合、好適な助剤を添加した後に、顆粒の混合物を加工処理して、固形賦形剤として得ることができる。好適な賦形剤は、特に、乳糖、ショ糖、マンニトール、又はソルビトールを含める糖などの増量剤;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース調製物である。所望の場合、架橋結合ポリビニルピロリドン、寒天、若しくはアルギン酸又はアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの崩壊剤が添加されてもよい。必要に応じて、経口投与製剤は、生理食塩水又は緩衝液(例えば、内部酸性状態を中和するためのEDTA緩衝液)中で製剤化されてもよく、又はいずれの担体なしに投与されてもよい。
更に具体的に考えられるものは、組成物の経口投与形態である。成分又は組成物の成分は、抗体組成物の経口送達が有効であるように化学的に修飾されてもよい。一般的に、考えられる化学的修飾は、少なくとも1つの部分の抗体への取り付けであり、ここでは前記部分は、(a)タンパク質分解の阻害、及び(b)胃又は腸から血流への取込みを可能にする。更に望ましいことは、抗体の全体的な安定性における増加及び体内の循環時間での増加である。このような部分の例としては、ポリエチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリプロリンが挙げられる。Abuchowski及びDavis著、1981年、Enzymes as Drugsの「Soluble Polymer−Enzyme Adducts」、Hocenberg及びRoberts編集、Wiley−Interscience、ニューヨーク州、ニューヨーク、367〜383頁;Newmarkら著、1982年、J.Appl.Biochem.4:185〜189を参照されたい。使用され得るその他のポリマーは、ポリ−1,3−ジオキソラン及びポリ−1,3,6−チオキソカン(tioxocan)である。既に述べているように、医薬用途に好適なものは、ポリエチレングリコール部分である。
組成物について、放出の場所は、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、又は大腸であり得る。当業者であれば、胃で溶解しないが、十二指腸又は腸内のその他の場所で物質を放出する使用可能な製剤を有する。好ましくは、抗体の保護によって、又は生物学的活性物質の腸内などの胃環境を超えてからの放出によって、放出は胃環境の有害な影響を回避するであろう。
胃液耐性化を確立するために、少なくともpH5.0に対して不浸透性のコーティングが必須である。腸溶コーティングとして使用されるより一般的な不活性成分の例は、トリメト酸酢酸セルロース(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、HPMCP 50、HPMCP 55、ポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP)、オイドラギットL30D、Aquateric、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、オイドラギットL、オイドラギットS、及びShellacである。これらコーティングは、混合されたフィルムとして使用されてもよい。
コーティング又はコーティングの混合物はまた、錠剤上で使用されることができ、これは胃に対する保護を意図しないものである。これは、糖衣、又は錠剤をよりのみ込み易くさせるコーティングを含むことができる。乾燥治療薬、すなわち、粉末の送達のために、カプセルは硬質シェル(ゼラチンなどの)からなり、液体形態については、軟質ゼラチンシェルが使用され得る。カシュ剤のシェル材料は、濃厚なデンプン又はその他の食用紙であり得る。ピル、トローチ、成形錠剤又はすりこみ錠剤については、湿式マッシング技術が使用され得る。
組成物は、粒径が約1mmの顆粒又はペレットの形態中の微細なマルチ粒子として製剤中に含有され得る。カプセル投与のための物質の製剤はまた、粉末として、軽く圧縮されたプラグとして、又は錠剤としても存在することができる。治療薬は、圧縮によって調製され得る。
着色剤又は香味剤は、全てが含まれてもよい。例えば、組成物が製剤化され(例えば、リポソーム又はマイクロスフィアカプセル化など)、次いで、着色剤及び香味剤を含有する冷却された飲料などの食用製品内に更に封入され得る。
不活性材料で治療薬の体積を希釈する又は増加させてもよい。これら希釈剤としては、炭水化物、特にマンニトール、α−乳糖、無水乳糖、セルロース、ショ糖、修飾デキストラン及びデンプンが挙げられる。カルシウム三リン酸、炭酸マグネシウム及び塩化ナトリウムを含める特定の無機塩が増量剤として使用されてもよい。いくつかの市販の希釈剤は、Fast−Flo、Emdex、STA−Rx 1500、Emcompress及びアビセルである。
崩壊剤が、固形投与形態に組成物製剤中に含まれてもよい。崩壊剤として使用される材料としては、限定されないが、デンプンをベースにした市販の崩壊剤であるExplotabを含めるデンプンが挙げられる。デンプングリコール酸ナトリウム、アンバーライト、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジの皮、酸型カルボキシメチルセルロース、海綿及びベントナイトも全て使用され得る。崩壊剤の別の形態は、不溶性陽イオン交換樹脂である。粉末化ゴムが、崩壊剤としてかつ結合剤として使用されてもよく、これらは、寒天、カラヤゴム又はトラガカントゴムなどの粉末化ゴムを含むことができる。アルギン酸及びそのナトリウム塩も、崩壊剤として有用である。
結合剤は、組成物を一緒に保持し、硬質錠剤を形成するために使用されることができ、アラビアゴム、トラガカントゴム、デンプン及びゼラチンなどの天然物からの材料を含む。その他としては、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)が挙げられる。ポリビニルピロリドン(PVP)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の双方が、治療薬を顆粒化するためにアルコール溶液中で使用され得る。
製剤プロセス中の固着を防止するために、減摩剤が組成物の製剤中に含まれてもよい。滑沢剤は、治療薬とダイ壁との間の層として使用されることができ、これらとしては、限定されないが、そのマグネシウム塩及びカルシウム塩を含めるステアリン酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、液体パラフィン、植物油脂及びワックスが挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、様々な分子量のポリエチレングリコール、Carbowax 4000及び6000などの可溶性滑沢剤もまた使用されてもよい。
製剤化の間の薬剤の流動特性を改善し、圧縮中の再配列を助けることが可能な滑剤が添加されてもよい。滑剤としては、デンプン、タルク、焼成シリカ及び水和シリコアルミネートを挙げることができる。
水性環境への組成物の溶解を補助するために、界面活性剤が、湿潤剤として添加されてもよい。界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム及びスルホン酸ジオクチルナトリウムなどの陰イオン性洗浄剤を挙げることができる。陽イオン性洗浄剤が使用されてもよく、塩化ベンザルコニウム又は塩化ベンゼトニウムを含むことができる。界面活性剤として製剤中に含まれ得る強力な非イオン性洗浄剤のリストは、ラウロマクロゴール400、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン水添ヒマシ油10、50及び60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート40、60、65及び80、ショ糖脂肪酸エステル、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースである。これら界面活性剤は、単独で又は異なる比率の混合物としてのいずれかで製剤中に存在することができる。
経口で使用され得る医薬調製物は、ゼラチンから作られたプッシュフィット式カプセル、並びにゼラチン及びグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤で作られた軟封入カプセルを含む。プッシュフィット式カプセルは、乳糖などの増量剤と混合された活性成分、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク又はステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、必要に応じて、安定化剤を含有することができる。軟カプセルでは、組成物が、脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体中に溶解され又は懸濁され得る。これに加えて、安定化剤が添加されてもよい。経口投与用に製剤化されるマイクロスフィアもまた、使用されてもよい。このようなマイクロスフィアは、当該技術分野で十分に規定されている。経口投与のための全ての製剤は、このような投与に好適な投与量でなければならない。
口腔内投与については、組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤又はトローチの形態を取ることができる。
吸入による投与については、組成物は、好適な推進剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の好適なガスの使用を伴い、加圧パック又は噴霧器からのエアゾールスプレー式の形態で通常は送達され得る。加圧エアゾールの場合、投与量単位は、単位用量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。吸入器又は通気器に用いる例えばゼラチン製のカプセル及びカートリッジは、化合物と適当な粉末基剤、例えば乳糖又はデンプンとの混合粉末を含有する製剤化することができる。
本明細書で更に企図されることは、肺送達である。組成物は、吸入の間に哺乳動物の肺まで送達され得、肺上皮層を横切って血流まで届く。吸入された分子の他の報告としては、Adjeiら著、1990年、Pharmaceutical Research、7:565〜569;Adjeiら著、1990年、International Journal of Pharmaceutics、63:135〜144(酢酸リュープロリド);Braquetら著、1989年、Journal of Cardiovascular Pharmacology、13(suppl.5):143〜146(エンドセリン)、Hubbardら著、1989年、Annals of Internal Medicine、第III巻、206〜212頁(α1−アンチトリプシン)Smithら著、1989年、J.Clin.Invest.84:1145〜1146(α−1−プロテイナーゼ);Osweinら著、1990年、「Aerosolization of Proteins」、Proceedings of Symposium on Respiratory Drug Delivery II、コロラド州、キーストン、3月(組換えヒト成長ホルモン);Debsら著、1988年、J.Immunol.140:3482〜3488(インターフェロンγ及び腫瘍壊死因子α)及びPlatzら著、米国特許第5,284,656号明細書(顆粒球コロニー刺激因子)が挙げられる。全身効果のための薬剤の肺送達に関する方法及び組成物は、Wongらの1995年9月19日に掲載された米国特許第5,451,569号明細書に記載されている。
本発明の実施に使用することが考えられるものは、限定されないが、噴霧器、単位用量噴霧器、及び粉末吸入器を含める治療薬の肺送達用にデザインされた広範囲の機械装置であり、これらは、当業者の良く知るものである。
組成物の送達用に適した市販の装置のいくつかの特定の例は、ミズーリ州セントルイスのMallinckrodt,Inc.により製造されたUltravent噴霧器;コロラド州イーグルウッドのMarquest Medical Productsにより製造されたAcorn II噴霧器;ノースカロライナ州リサーチトライアングルパークのGlaxo Inc.により製造されたVentolin単位用量吸入器;及びマサチューセッツ州ベッドフォードのFisons Corp.により製造されたSpinhaler粉末吸入器である。
全てのこのような装置は、計量分配に適した製剤の使用が必要である。典型的には、各製剤は、用いられる装置のタイプに特有であり、療法に有用である通常の希釈剤、アジュバント及び/又は担体に加えて、適切な推進剤物質の使用を伴う場合がある。更に、リポソーム、マイクロカプセル又はマイクロスフィア、包接錯体、又は他のタイプの担体の使用も考えられる。化学的に修飾された抗体もまた、化学的修飾のタイプ又は用いられる装置のタイプに応じて、異なる処方で調製され得る。
ジェット式又は超音波式のいずれかの噴霧器で使用することに好適である製剤は、典型的には、溶液1mL当たり約0.1〜25mgの生物学的活性治療薬の濃度で、水中に溶解された治療薬を含む。製剤はまた、緩衝液及び簡単な糖を含むことができる(例えば、抗体の安定化及び浸透圧の調節のために)。噴霧器用製剤はまた、エアゾールの形成における溶液の霧化によって生じる治療薬の表面誘導凝集を低減又は防止するために、界面活性剤も含有することができる。
単位用量噴霧装置で使用するための製剤は、一般的には、界面活性剤の助けで、推進剤中に懸濁された治療薬を含有する微細紛末を含むであろう。推進剤は、この目的で用いられる任意の従来の物質であり得、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタン、又はこれらの組み合わせを含めるクロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、又は炭化水素などのこの目的で用いられる任意の従来の物質であり得る。好適な界面活性剤は、トリオレイン酸ソルビタン及び大豆レシチンを含む。オレイン酸はまた、界面活性剤としても有用である。
粉末噴霧器からの計量分配のための製剤は、治療薬を含有する微細粉砕された乾燥粉末を含み、装置からの粉末の分散を容易にする量、例えば製剤の50〜90重量%の量で乳糖、ソルビトール、ショ糖、又はマンニトールなどの増量剤を更に含むことができる。治療薬は、末端肺への最も有効な送達のために、10mm(又はミクロン)未満、最も好ましくは0.5〜5mmの平均粒径を有する粒子形態で調製され得る。
本発明の医薬組成物の鼻腔送達もまた考えられる。鼻腔送達は、肺内の治療薬の沈着の必要なく、治療薬の鼻腔への投与直後に本発明の医薬組成物の血流への経路を可能にする。鼻腔送達用の製剤は、デキストラン又はシクロデキストランを含有するものを含む。
鼻腔投与については、有用な装置は、計量投薬噴霧器が取り付けられた小型の硬質ボトルである。一実施形態では、計量投薬量は、本発明の医薬組成物の溶液を規定された容積のチャンバー内に引き込むことによって送達され、このチャンバーは、チャンバー内の液体が圧縮される場合、スプレーを形成することによって、エアゾール製剤をエアゾール化するために寸法設定された口径を有する。チャンバーが圧縮されて、本発明の医薬組成物を投与する。特定の実施形態では、チャンバーはピストン装置である。このような装置は、市販されている。
あるいは、圧搾される場合、スプレーを形成することによって、エアゾール製剤をエアゾール化するよう寸法設定された口径又は開口を有するプラスチック圧搾ボトルが使用される。開口は通常ボトルの頂部で見られ、エアゾール製剤の効果的な投与のために、頂部は、一般的に鼻腔経路に部分的に嵌合するようテーパ状である。好ましくは、鼻腔吸入器は、薬剤の計量された用量の投与のために、エアゾール製剤の計量された量を提供するであろう。
組成物は、例えば、ココアバター又はその他グリセリドなどの通常の坐剤基剤を含有する坐剤又は滞留浣腸などの直腸用又は膣用組成物でも製剤化され得る。
前に述べた製剤に加えて、組成物はまた、デポー製剤として製剤化されてもよい。このような長期作用製剤は、好適なポリマー材料又は疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)又はイオン交換樹脂で製剤化されてもよく、若しくは例えば難溶性塩として、難溶性誘導体として製剤化されてもよい。
医薬組成物はまた、好適な固相又はゲル相担体又は賦形剤を含むことができる。このような担体又は賦形剤の例としては、限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリエチレングリコールなどのポリマーが挙げられる。
好適な液体又は固体製剤形は、例えば、吸入用の水溶液又は生理食塩水溶液、マイクロカプセル化したもの、渦巻形化したもの、顕微鏡的金粒子上へコーティングしたもの、リポソーム内に封入したもの、霧状化したもの、エアゾール、皮膚への移植のためのペレット、又は皮膚を引掻く鋭利な物体上に乾燥させたものである。医薬組成物はまた、顆粒剤、粉剤、錠剤、コーティング錠剤、(マイクロ)カプセル、坐剤、シロップ、エマルジョン、懸濁液、クリーム、ドロップ又は活性化合物の持続性放出を備えた調製物を含み、この調製物中で、上述したように、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨潤剤、滑沢剤、香味剤、甘味剤又は安定化剤などの賦形剤及び添加剤及び/又は助剤が習慣的に使用される。医薬組成物は、多様な薬剤送達システムで使用するために好適である。薬剤送達に関する方法の簡単な要約については、参照により本明細書に組み込まれる、Langer著、Science 249:1527〜1533、1990年を参照されたい。
その他の治療薬は、それ自体で(ニートで)又は薬学的に許容可能な塩の形態で投与され得る。医薬品として使用される場合、塩は薬学的に許容可能でなければならないが、非薬学的許容可能塩が、薬学的に許容可能な塩を調製するために都合よく使用されてもよい。このような塩としては、限定されないが、以下の酸から調製されるものが挙げられる:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−硫酸、及びベンゼンスルホン酸。更に、このような塩は、カルボン酸基のナトリウム、カリウム又はカルシウム塩などのアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩として調製されることができる。
好適な緩衝剤としては、酢酸及び塩(1〜2% w/v);クエン酸及び塩(1〜3% w/v);ホウ酸及び塩(0.5〜2.5% w/v);並びにリン酸及び塩(0.8〜2% w/v)が挙げられる。好適な防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03% w/v);クロロブタノール(0.3〜0.9% w/v);パラベン(0.01〜0.25% w/v)及びチメロサール(0.004〜0.02% w/v)が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、有効量の抗体と、必要に応じて薬学的に許容可能な担体中に包含される治療薬とを含有する。用語薬学的に許容可能な担体とは、ヒト又はその他の脊椎動物への投与に好適である、1つ以上の適合性のある固体又は液体増量剤、希釈剤又はカプセル材料を意味する。用語担体とは、適用を容易にするために活性成分がそれと一緒に組み合わされる有機又は無機成分、天然又は合成成分を示す。医薬組成物の成分はまた、所望の製剤効果を実質的に弱める相互作用がないような方法で、互いに本発明の化合物と混ざり合うことが可能である。
限定されないが、特に抗体を含む組成物は、粒子で提供される場合がある。本明細書で使用するとき、粒子とは、抗体の全体又はその一部を構成することができるナノ粒子又はマイクロ粒子(又はいくつかの例ではこれよりも大きな粒子)を意味する。粒子は、限定されないが腸溶コーティングを含めるコーティングによって包囲されたコア中に治療薬を封入することができる。治療薬はまた、粒子全体にわたって分散されてもよい。治療薬は、粒子に吸着されてもよい。粒子は、0次放出、1次放出、2次放出、遅延放出、持続放出、即時放出、及びこれらの組み合わせ等を含める任意の次元の放出動態であり得る。粒子は、治療薬に加えて、限定されないが、浸食性、非浸食性、生体分解性、又は非生体分解性材料又はこれらの組み合わせを含める薬剤又は医薬品で日常的に使用されているこれら材料のいずれかを含んでもよい。粒子は、抗体を溶液状態で又は半固体状態で封入するマイクロカプセルであってもよい。粒子は、実質的に任意の形状であってもよい。
非生体分解性及び生体分解性ポリマー材料の双方が、治療薬を送達させるための粒子の製造で使用され得る。このようなポリマーは、天然ポリマーであっても又は合成ポリマーであってもよい。ポリマーは、放出が望まれる一定時間に基づいて選択される。特に目的とする生体接着性ポリマーとしては、その教示が本明細書に組み込まれる、Macromolecules(1993年)、26:581〜587にH.S.Sawhney、C.P.Pathak及びJ.A.Hubellによって記載された生体浸食性ヒドロゲルが挙げられる。これらは、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルチンポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)及びポリ(オクタデシルアクリレート)を含む。
組成物は、制御放出システム内に封入され得る。用語「制御放出」とは、その中で薬剤放出の方法及びプロファイルが制御されている任意の薬剤含有製剤を指すよう意図している。これは、即時放出製剤並びに非即時放出製剤を指し、この非即時放出製剤は、限定されないが、持続放出製剤及び遅延放出製剤を含める。用語「持続放出」(「徐放製剤」とも呼ばれる)は、従来の考えで、長期間にわたって薬剤を徐々に放出することをもたらす製剤、好ましくは、必ずしも必要ではないが、長期間にわたって薬剤の実質的に一定の血中レベルを結果として生じる製剤を指すよう使用される。用語「遅延放出」は、従来の考えで、その中で製剤の投与とそこからの薬剤の放出との間に時間遅延が存在する製剤を指すよう使用される。「遅延放出」は、長時間にわたる薬剤の段階的放出を伴っても伴わなくてもよく、したがって、「持続放出」であってもそうでなくともよい。
長期持続放出インプラントの使用は、慢性状態の治療に特に有用である。本明細書で使用するとき、「長期」放出とは、少なくとも7日間、好ましくは30〜60日間、活性成分の治療的レベルを送達するようインプラントが構成かつ配置されることを意味する。長期持続放出インプラントは、当業者には周知であり、上述された放出システムのいくつかを含む。
本明細書で更に提供されるものは、抗体組成物を含有するキットである。キットは、抗体組成物を含み、1つ以上のバイアル又は容器も含むことができる。キットはまた、成分を、癌などの上述した疾患を有する対象、又はこのような疾患の症状を有する対象に投与するための使用説明書も含むことができる。
いくつかの実施形態では、キットは、医薬調製物バイアルと、医薬調製物希釈剤バイアルと、抗体とを含む。医薬調製物のための希釈剤を含有するバイアルは任意である。希釈剤のバイアルは、抗体の濃縮溶液又は凍結乾燥粉末であり得るものを希釈するための生理食塩水などの希釈剤を封入する。使用説明書は、特定量の希釈剤を特定量の濃縮医薬調製物と混合するための説明を含むことができ、これによって、注射又は輸注のための最終製剤が調製される。使用説明書は、注射器又は他の投与装置における使用に関する説明を含んでもよい。使用説明書20は、有効量の抗体で患者を処置するための説明を含むことができる。調製物を含有する容器は、この容器がボトル、隔膜を備えるバイアル、隔膜を備えるアンプル、輸注バッグ等のいずれであろうと、調製物が高圧蒸気滅菌処理された又は別の方法で滅菌された場合、変色する通常のマークなどの印を含むことができることが理解される。
本発明は、以下の実施例によって更に説明されるが、この実施例は、更に限定するものと決して解釈されるべきではない。本出願の全体を通して引用された参照の全て(参考文献、発行された特許、公開された特許出願、及び係属中の特許出願)の全体の内容、特に上記で参照される教示については、参照により本明細書に明確に組み込まれる。しかしながら、いずれの参照の引用も、参照が従来技術であるという承認を意図するものではない。
1.高度ガラクトシル化抗体を発現する遺伝子導入ヤギの作製
CD20抗体構築物の作製
遺伝子導入CD20抗体(Tg20)に関するアミノ酸配列が、図1に提供されている:軽鎖は配列番号1であり、重鎖は配列番号2である。遺伝子導入CD20抗体に関するアミノ酸配列をコード化する核酸配列を使用して、遺伝子導入CD20抗体(Tg20)を発現する遺伝子導入ヤギを作製した。ヤギの乳腺中の核酸配列の発現を容易にするために、カゼインプロモータを遺伝子導入CD20抗体に関するアミノ酸配列をコード化する核酸配列に作動可能に結合させた。
抗−CD20抗体の軽鎖及び重鎖をコードする核酸配列を、以下の付加/変更で合成した:
1) 発現ベクターBc800へのサブクローニングを容易にするために隣接するXhoI部位を付加した。
2) Kozakコンセンサス配列(GCCACC)を、両構築物上のイニシエータATGのすぐ上流に付加した。
3) 可能なスプライス部位:G GGT AAA TGA(配列番号3)〜G GGA AAA TGA(配列番号4)を破壊するために、サイレント変異を重鎖の終止コドンの近くで導入した。
軽鎖配列及び重鎖配列の双方を、SuperCos骨格中にニワトリベータグロビンインシュレータ配列、6.2kbの5’ベータカゼインプロモータ配列、XhoIクローニング部位、7.1kbの3’ベータカゼイン下流配列、別のインシュレータ配列、G418耐性マーカー、及び最後のインシュレータ配列を含有する発現ベクターBc800のXhoIクローニング部位にサブクローンした(図2を参照)。プラスミドDNAを、塩化セシウム遠心分離によって調製した。SuperCos骨格を、隣接するNotI部位を使用してゆるめ、アガロースゲルを通しての電気泳動によって、導入遺伝子断片から分離した。次いで、得られた精製核酸断片を体細胞核移植に使用した。TG20の重鎖及び軽鎖をコード化するcDNA断片を、哺乳動物特異的発現ベクターに挿入し、2つの導入遺伝子を取得し、これを雌ヤギ胎児細胞(LipofectAMINE、Gibco)中にコトランスフェクトした。核移植を、以前に記載された通りに実行した(Melicanら著、2005年、Theriogenology、63:1549)。
皮膚繊維芽細胞系の産生
新鮮なヤギ皮膚生検サンプルから得た繊維芽細胞を、インビトロで初代培養で維持した。簡単に言うと、皮膚サンプルを、CA++フリー及びMG++フリーのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で細かく刻み、EDTA中の希釈トリプシンで採取し、単一細胞懸濁液を回収し、37℃で培養した。集密細胞をトリプシン処理し、継代培養した。細胞の一部を、今後の使用に備えて液体窒素中で凍結保存した。
トランスフェクトされた細胞系の分析
導入遺伝子コピー数を確立し、可能性のある再構成を特定するために、トランスフェクトされた細胞を、導入遺伝子に特異的なプローブを使用するサイザンブロット分析によって、特性評価した。各細胞系をまた、FISHによって分析し、単一挿入を確認し、染色体位置を決定した。細胞遺伝学的分析を実行し、細胞系の核型を確認した。PCR、サウザンブロット及びFISH分析は、Igの重鎖及び軽鎖導入遺伝子の双方の存在を確認した。
FISH
間期FISHについては、それぞれの増殖したコロニーから得た数百個の細胞をフィルター上に固定し、増幅させた導入遺伝子特異的ジゴキシゲニンで標識付けしたプローブにハイブリダイズした。中期FISHについては、細胞をLab Tek Chamberスライド(Nunc、ニューヨーク州、ロチェスター)上で培養し、5−ブロモ−2’デオキシウリジン(BrdU)を律動的に送り、複製バンディングを可能にした。プローブ結合をFITC接合抗−ジゴキシゲニンで検出し、染色体を4’6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)で対抗染色した。Zeiss Axioskop顕微鏡(Zeiss Imaging、ニューヨーク州、ソーンウッド)、Hamamatsuデジタルカメラ(Hamamatsu、ニュージャージー州、ブリッジウォーター)、及びImage Pro−Plusソフトウェア(Media Cybernetics、メリーランド州、シルバースプリングス)を使用して画像を取得した。
細胞遺伝学的分析
細胞遺伝学的分析を、トランスフェクトされた繊維芽細胞系のドナーで実行した。導入遺伝子プローブを、ニック翻訳によって、ジゴキシゲニン−dUTPで標識付けした。変性させた染色体に対するプローブ結合を、FITC接合抗−ジゴキシゲニン又はFITC接合チラミドに続いてのホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ接合抗−ジゴキシゲニンのいずれかで検出した。染色体バンディングパターンをDAPIによって可視化した。ヤギは60本の染色体を有し、それらの全ては末端動原体である(中央又は中央近辺よりはむしろ1つの末端部に動原体を有する)。中期スプレッドを、染色体消失、重複又は肉眼的再構成などの肉眼的異常所見について検査した。
CD20抗体を発現する遺伝子導入動物の作製
CD20抗体についての導入遺伝子構築物を使用して、遺伝子導入ヤギを作製した。成熟抗体を産生する遺伝子導入ヤギを、重鎖及び軽鎖構築物の1:1混合物を導入することによって作製した。
所定の遺伝的特質を有する遺伝子導入ヤギを、当該技術分野では日常的な操作である核移植技術を使用して作製した。上述の遺伝子導入構築物を、標準的トランスフェクションによって、皮膚繊維芽細胞系に導入した。組換え一次細胞系を、これらを遺伝子導入動物を産生するために使用する前に、導入遺伝子コピー数、完全性及び挿入部位についてインビトロでスクリーニングした。
ヤギは、USDAに登録されたFDA及びEMA監視施設内で維持した。子孫の導入遺伝子分析(FISH、PCR及びサウザンブロット)を、血液及び組織サンプルから単離したゲノムDNAを使用して行った。子孫の導入遺伝子分析(FISH、PCR及びサウザンブロット)を、血液及び組織サンプルから単離したゲノムDNAを使用して行った(図7を参照)。
抗体の精製
抗体を、遺伝子導入ヤギの乳汁から採取した。ヤギの乳汁は、遺伝子導入ヤギのホルモン誘発乳汁分泌から得た(例えば、Ebertら著、1994年、Biotech 12:699〜702を参照されたい)。遠心分離によって、カゼイン及び脂肪の大部分を除去することによって乳汁を清澄化した。次いで、タンパク質Aクロマトグラフィー、その後のQ Sepharose Fast Flow上の陰イオン交換クロマトグラフィーによって、抗体を精製した。最終産物を、クエン酸ナトリウム/塩化ナトリウム+ポリソルベート80中で製剤化した。
2.遺伝子導入で産生された抗体の分析
A.材料及び方法:
グリコシル化プロファイリング
抗体サンプルのN−脱グリコシル化を、Prozyme N−脱グリコシル化キット(San Leandro、カリフォルニア州、米国)を使用して、製造元の手順に従って実行した。簡単に言うと、300μgの乾燥抗体サンプルを10mMの水性Tris−HCl緩衝液(pH8.0)の135μL中に回収し、10%(v/v)のβ−メルカプトエタノール水溶液4.5μLを添加し、抗体のジスルフィド架橋を還元した。7.5mUのペプチジル−N−グリコシダーゼ(PNGアーゼ)Fを添加し、続いて37℃での一晩のインキュベーションによって、N−脱グリコシル化を実行した。
この段階で、還元グリカンにゆっくりと加水分解する前に、多くのN−グリカンがグリコシルアミンとして放出した。還元グリカンの完全再生を、PNGアーゼF消化抗体サンプルに氷酢酸を最終濃度5%(v/v)で添加し、その後室温で1時間インキュベートすることによって、実行した。新しく再生された還元N−グリカン混合物を、50mgのHypersep Hypercarb多孔質グラファイト化炭素(PGC)カラム(Thermofischer Scientic、ブレーメン、ドイツ)への固相抽出(SPE)によって精製した(Packerら、1998年)。PGC SPEカラムを、1mLのメタノール及び2×1mLの0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液で順次洗浄した。オリゴ糖類を0.1%(v/v)TFA水溶液200μL中で溶解し、これをカラムに加え、0.1%(v/v)TFA水溶液2×1mLで洗浄した。グリカンの溶出を、0.1%(v/v)TFAを含有する25%(v/v)アセトニトリル水溶液2×400μLを加えることで行い、溶出物を真空乾燥した。
PGCで精製したグリカンを、2−アミノベンズアミド(2−AB)で還元的にアミノ化し、これは、0.35Mの2−ABと1Mのシアノヒドリドホウ酸ナトリウムを含有するDMSO中の33%(v/v)酢酸の10μLにより乾燥グリカンを回収して、反応物を37℃で16時間にわたって維持することによって行った。2−AB標識付けN−グリカンを、親水性干渉クロマトグラフィー(HILIC)モードで使用する50mgのOasisポリマーHLB SPEカラム(Waters、マサチューセッツ州、ミルフォード、米国)上で精製した。HILIC SPEカラムを、順次、20%(v/v)アセトニトリル水溶液1mLで湿潤させ、2×1mLのアセトニトリルで平衡化させ、次いで、アセトニトリル中に溶解した2−AB誘導体をSPEカラム上に充填した。2×1mLのアセトニトリルでカラムを洗浄後に、次に2−AB誘導体の溶出を、20%(v/v)アセトニトリル水溶液2×500μLを加えることによって実行した。1mLの溶出物を50μLまで真空濃縮した。
精製した2−AB誘導体を、3μmの充填粒子を備える、150×4.6mmのID TSK−ゲルアミド−80 HILIC HPLCカラム(TOSHO Bioscience、ペンシルバニア州、キングオブプラシャ、米国)を使用して、順相高速液体クロマトグラフィー(NP−HPLC)によって、最終的にプロファイリングした(Guileら、1996年)。移動相は、pH4.4に調節した50mMのギ酸アンモニウム水溶液(A)とアセトニトリル(B)から構成された。作動流速及び温度は、それぞれ1mL/紛及び30℃であった。精製した2−AB誘導体の5μLを、80%(v/v)アセトニトリル水溶液を使用して40倍に希釈し、新たに振蕩した有機混合物50μLを、80%(v/v)のBで平衡化したHILICカラムに注入した。サンプルが一旦注入されたら、N−グリカンの分離を以下のように実行した:80%〜70%(v/v)のBで15分;70%〜55%(v/v)のBで150分;55%〜10%(v/v)のBで5分;10%(v/v)のBで10分間;10%〜80%(v/v)で1分;80%(v/v)のBで45分間(再平衡)。蛍光誘導体の検出を、330nmの励起波長及び420nmの発光波長で、蛍光検出(FD)によって実行した。
参考文献:Guile GR、Rudd PM、Wing DR、Prime SB、Dwek RA著、「A rapid high−resolution high−performance liquid chromatographic method for separating glycan mixtures and analyzing oligosaccharide prifiles」、Anal Biochem.1996年9月5日、240(2):210〜26;Packer NH、Lawson MA、Jardine DR、Redmond JW著、「A general approach to desalting oligosaccharides released from glycoproteins」、Glycoconj J、1998年8月、15(8):737〜47。
ヒトCD16aへの結合
ヒトCD16aへの結合を、Biocoreシステム(X100、GE Healthcare)上の表面プラズモン共鳴(SPR)技術を使用して実行した。このアッセイでは、2183RUのレベルにおけるアミン化学を使用して、CD16aをSPRチップ上に固定した。試験される抗体を、異なる濃度で(50、100及び200nM)PBS緩衝液中で希釈し、同一の緩衝液を使用して、固定化したCD16a上に順次注入した。チップ上では、非特異的相互作用によって生じるバックグラウンドを減じるために、1つのフローセルを対照として使用した。各注入の間に、チップの再生を、3.75nMのNaOH溶液で行った。
CD16アッセイ
簡単に言うと、実験の高い再現性を可能にするために、NKエフェクター細胞を、固定した遺伝子導入細胞の細胞(ヒトCD16aを発現するJurkat細胞)によって置き換えた。Jurkat CD 16a細胞、WIL2−S細胞及びPMA(ホルボールミリステートアセテート)をそれぞれエフェクター細胞、標的細胞及び非特異的アクチベータとして使用し、試験される抗体の用量範囲でインキュベートした。インキュベーションの後に、Jurkat細胞活性は、特異的ELISAによって定量化されるIL−2サイトカイン放出を結果として生じた(Vivier Eら著、Int.Immunol、1992年、4(11):1313〜1323)。細胞培養の上清中のIL−2の量は、CD16aに結合しかつ活性化するための試験された免疫複合体であるWIL2−S/抗体の能力に直接相関する。
ADCCアッセイ
試験される抗体の薬理活性を試験するために使用されるADCC(抗体依存性細胞媒介性細胞障害性)は、乳酸デヒドロゲナーゼ放出アッセイによって実現した。エフェクター細胞として使用される健康なドナーから得たヒトNK細胞を、NK細胞単離キット及びAutoMacsオートマット(Miltenyi biotec)を伴う免疫磁気細胞選別法を使用して精製した。10%のFCSを含有するIMDM(PAA、細胞培養企業、Les mureaux、フランス)培地中で維持されたバーキットリンパ腫Raji細胞系(ATCC CCL86)を標的細胞として使用した。細胞を、マイクロプレート中の異なる濃度の抗体の存在下で、エフェクター/標的比R=10/1でコインキュベートし、5%のCOを含有する加湿雰囲気中、37℃で4時間インキュベートした。エフェクター細胞媒介標的細胞死に対して自発的エフェクター細胞死を識別することを可能にするために、標的細胞のみを含有するウェルとエフェクター細胞のみを含有する別のウェルである陰性対照のウェルを試験に含めた。標的細胞と抗体をコインキュベートすることによって調製された「抗体対照」ウェルもまた、エフェクター細胞の不在下で標的細胞に対する抗体の固有の細胞障害特性を試験するために行った。最後に、可能性のある抗体非依存性細胞媒介性細胞障害(AICC)活性を評価するために、抗体の不在下で標的及びエフェクター細胞の双方をコインキュベートすることによって、対照のウェルを調製した。遠心分離後、細胞障害性検出キット(Roche Applied Science、ドイツ)を使用して、上清をLDH放出について試験した。
解凍後に、PBMCを洗浄し、10%のFCSで補充したRPMI中で懸濁させた。MEC−1又はSUDHL−8細胞系を、20μg/mlのヒトmAbと共に、4℃にて30分間インキュベートした。洗浄後、細胞系をカルボキシフルオレセインジアセテートスクシニミジルエステル(CFSE)で10分間、標識付けした。標識付け標的細胞をRPMI 1640(+10%のFCS)中に懸濁させて、様々なエフェクター/標的(E/T)比で、PBMCと共に混合した。細胞を37℃で4時間インキュベートし、PIで染色した後に、FCによって分析した。ヒトB−CLL又はヒトBリンパ球を、Miltenyiから入手したキットを使用して、CLL患者又は健康なボランティアから得たPBMCから濃縮した。
各抗体濃度についてのADCC活性(%)を、式:[(抗体+標的+NK)−(抗体+標的)]/[100−(抗体+標的)]−[(NK+標的)−(抗体+標的)]/[100−(抗体+標的)]に従って計算した。実験値を、Prismソフトウェア(Graphpad Software Inc.カリフォルニア州、ラホヤ、米国)を使用して活用し、シグモイド型投与量反応曲線に当てはめた。Emax(最大細胞障害性)及びEC50(50%のEmaxを得るために必要な抗体濃度)を決定した。
CDCアッセイ
試験される抗体を、ヒト血清の存在下で、CD20抗原を発現するWIL2−S細胞と1つの濃度で混合した。それぞれの試験において、8つのサンプルを個々に調製した。ヒトのC1q除去血清中の細胞を、10μg/mLの濃度のヒトmAb及び様々な濃度のC1qで、37℃にて10分間スパイクした。DNA染料のヨウ化プロピジウム(PI)の層間侵入によって、蛍光で細胞死を決定した。蛍光レベルは、培養基中の生存細胞の数に比例する(O’Brien,Jら著(2000年)、Eur.J.Biochem.267、5421〜5426)。
カニクイザル薬物動態試験
カニクイザル(マカカ・ファシキュラリス、Macaca fascicularis)は、3.1〜4.4kgの体重の範囲であった。投薬開始前に、全ての動物を計量し、コンピュータを使った無作為抽出手順を使用して、処置群に振り分けた。投与製剤は、IVで投与した。血液サンプルを、2番目のサンプリングを投与前1〜4日の間に採取して、投与の開始前に2回にわたって採取し(予備動物を含める)、次いで1日目(投与後4時間)、並びに2〜8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78、85、及び92日目に採取した。動物は92日目に安楽死させた。血液サンプルを、認定された分析法を使用して分析した。リンパ球集団を定量化した(細胞表面マーカーに対する特異的抗体を使用する、フローサイトメトリーによって)。リンパ節(LN)を切除生検法によって採取し、リンパ球集団を、細胞表面マーカーに対する特異的抗体を使用して、フローサイトメトリーによって、CD45+リンパ球の相対的パーセンテージとして定量化した。薬物動態パラメータを、WinNonlin薬物動態ソフトウェア(Pharsight Corp.カリフォルニア州、マウンテンビュー)を使用して推定した。パラメータ推定には、非区画法アプローチを使用した(図10及び図11を参照)。
全血実験
この試験は、特に図6によるCDC及びADCCにおける全ての自然の免疫現象によって、ヒトドナーの全血中のBリンパ球の枯渇を誘発するTg20の能力を評価するために実行した。
B細胞枯渇(末梢血液及び一部のリンパ系器官における)での抗体の活性及び薬物動態プロファイルを、2種の異なる投与量で静脈内ルートにより投与される場合の、異なる抗―CD20抗体;カニクイザルのRTX、及びTG20について監視した。
試験デザインは以下の通りである:
投与量レベル:0.03mg/kg/日(低)及び0.3mg/kg/日(高)
抗体につき1投与量当たり3匹の動物。
血液表現型検査
血液サンプルを、投与前1〜4日目に採取された第2番目のサンプリングで、投与開始前に2回採取し(予備動物を含めて)、次いで1日目(投与後4時間)、並びに2〜8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78、85、及び92日目に採取した。血液サンプルは、2日〜92日の間、ほぼ同じ時間に採取した。リンパ球サブセットの分析用に、1mLの容量の血液を、大腿静脈から抗凝血剤としてKEDTAを含有するチューブに採取した。サンプルは、22日目以降、計画的な中止で、動物から採取されなかった。サンプルを軽く混合し、処理のための試験施設の免疫学研究所に移されるまで周辺条件で保持した。血液サンプルを、認定された分析法で分析した。以下の表に従って同定されたリンパ球集団を、細胞表面マーカーに対する特異的抗体を使用して、フローサイトメトリーによって定量化した(相対的パーセンテージ及び絶対計数)。サンプルを、22日目までは、以下の抗体パネルに従って処理した:CD45/CD3/CD8/CD4、CD45/CD3/CD8/CD16、及びCD45/CD3/CD20/CD40。次いで、29日目から92日目までは、Bリンパ球抗体パネルのみを評価した(CD45/CD3/CD20/CD40)。総リンパ球計数を、BD TruCountチューブを使用して、各抗体パネルについて決定し、各サンプルについての1μLの全血当たりのCD45+リンパ球の平均として報告した。イソタイプ対照を使用せず、DPBSチューブを陰性対照として使用した。
リンパ節免疫表現型検査
右鼠径リンパ節(NL)を、8日目に動物から切除生検により採取し、左鼠径リンパ節を、22日目に切除生検により採取した。右腋窩リンパ節を92日目に全摘(剖検で)によって採取した。計画された手術の前に、動物を一晩絶食状態にした。手術前少なくとも30分にカルプロフェン(4mg/kg)を各動物に皮下投与した。各動物は、手術前及び2日後に、Duplocillin(登録商標)(1mL)の筋肉内注射を受けた。手術前準備に先立って、十分な鎮静状態を作り出すために、各動物を、ケタミン、キシラジン、及びグリコピロレートの筋肉注射で予備麻酔した。動物に器官挿管を施し、その後、SOPの予備麻酔及び麻酔に従って、イソフルラン及び酸素を使用して麻酔状態を維持させた。パルス酸素濃度計を用いて、心拍数及び酸素飽和度を監視した。手術前に、刺激の少ない潤滑用目薬を各眼に投与した。一旦動物が十分に麻酔されたら、右又は左鼠径領域を剃毛し、SOPの手術部位準備に従って準備した。右又は左鼠径領域内で約2〜3cmの切開口を作った。右又は左鼠径リンパ節を可視化するために、周辺組織を注意深く切り離した。ハサミと鉗子を使用して、リンパ節を採取した。創口閉鎖前に、10mLの温生理食塩水の塩水フラッシュを与えた。採取後に、皮下組織及び皮膚を、吸収可能な縫合糸を使用して閉鎖した。リンパ節を約5mLのアッセイ培地(5%(v/v)のFBSを含有するRPMI−1640)中、周辺温度で維持し、処理/分析まで免疫学研究所に移した。上記テキストテーブルで同定された集団を、細胞表面マーカーに対して特異的抗体を使用して、フローサイトメトリーによって、CD45+リンパ球の相対的パーセンテージとして定量化した。サンプルを、以下の抗体パネルを使用して処理した:CD45/CD3/CD8/CD4、CD45/CD3/CD8/CD16及びCD45/CD3/CD20/CD40。イソタイプ対照を使用せず、DPBSチューブを陰性対照として使用した。
B:結果
SDS PAGE:
非還元条件下で実行し、クーマシーブルー染色後のSDS−PAGE分析(図3を参照)は、Tg20及び無傷の抗体に相当する低フコース参照抗体の双方について、168kDaにて主バンドを示す。高分子量(HMW)のバンドを参照抗体について検出し、一方これはTg20については検出されなかった。銀染色後に、このHMWバンドはTg20についても検出され、並びに数個のその他の副バンドが参照抗体について一般的に検出された。これら副バンドは、抗体の部分的還元型に一致することができる:147kDaはHC−HC−LC、110kDaはHC−HC及び71kDaはHC−LC。168kDaにおける主バンドは総タンパク質含量の95%と推定され、これに対し、産物関連の不純物のその他のバンドは5%を示すにすぎず、Tg20の低レベルの分解を示唆している。還元条件下で実行されたSDS−PAGE分析(図3を参照)は、54kDaと28kDaにおいて2つの主バンドを示し、これらはそれぞれ抗体の重鎖及び軽鎖に相当する。2つの抗体は、同一の見かけの分子量を呈する。
グリコシル化プロファイリング
図4は、PNGアーゼF処置によりTg20から放出した2−AB誘導N−グリカンの蛍光検出により取得されたNP−HPLCプロファイルを示している。47.49、59.35及び78.38分で検出された主ピークは、それぞれ、A2G1F、A2G2F及びA2G2FNeuGc1に相当する。数多くの低含量ピークも検出された。検出された型の相対的モル比を表1(以下を参照)に示している。
この実験では、シアル酸付加構造のレベルを43%と推定した。高マンノース−ハイブリッド構造のレベルは複合型構造が85%であるのに対し15%と推定した。全体のガラクトシル化レベルは、91%であり、フコシル化レベルを92%と推定した。
一次構造
タンパク質配列をタンパク質及びペプチドマッピングによって調査した。ペプチドマッピングにより93%の配列有効範囲を得て、タンパク質マッピング実験から推定された重鎖及び軽鎖の分子量は、理論的質量に適合する。重鎖及び軽鎖の双方を、それらのN−末端グルタミンでピログルタミン酸付加されたものとして同定した。重鎖及び軽鎖の双方のN−及びC−末端を確認した。
サイズ排除クロマトグラフィー
Tg20のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)プロファイルの試験は、産物のモノマー形態が、検出された形態の97.3%に当たることを示す(図5)。断片、ダイマー及びポリマーは、それぞれ0.9%、1.1%及び0.7%で、低含量で検出された。
ヒトCD16aへの結合
このアッセイは、ADCC活性に関連する、抗体がCD16aへ結合する能力に焦点を合わせるために開発されたものである。Tg20について得られた干渉曲線は、TG20が固定されたCD16aに結合するための能力を有することを示す。リツキサンは、同一の実験条件で、SPRでは検出不能なプロファイルを示した(図8及び図9を参照)。
モノクローナル抗体CD20アッセイによるCD16活性化
このアッセイは、FcγRIIIa受容体(C16aとも呼ばれる)をその細胞表面上で発現するエフェクター細胞を活性化するためにCD20標的細胞(WIL2−S細胞)上に結合したTg20の能力を評価するために開発されたものである。この結合は、エフェクター細胞の活性化及びIL−2の放出を惹起する。このアッセイは、ナチュラルキラー(NK)細胞によって媒介されるADCCを誘発するための抗−CD20抗体の効力を評価する。
放出されたIL−2サイトカインの量として表される結果は、Tg20の顕著な活性を示した。Tg20の活性は、リツキサンよりも著しく高かった(図8及び図9を参照)。
ADCC実験
この試験は、NK細胞を活性化しかつ標的細胞の細胞溶解を誘発するためのCD20+標的細胞(Raji細胞)上に結合したTg20の能力を評価する。抗―CD20抗体(Tg20及びリツキサン)によって媒介される細胞障害活性を、標的細胞の細胞溶解の%として表す。
これらアッセイの結果は、Tg20によって誘発される細胞障害活性が、リツキサンによって誘発される細胞障害活性よりも著しく高いことを示している(図8及び図9を参照)。
CDC活性
このアッセイは、IgGがその標的に結合する場合、補体系を活性化するための抗体の能力に基づいている。Tg20は、リツキサンよりも高いCDC活性を示した(図8を参照)。
全血実験
全血実験において、Tg20は、リツキサンと比べて、より高いB細胞枯渇レベルを誘発した。
以下のパラメータ及び評価項目が、本試験で評価された:臨床徴候、体重、体重変化、親和力、免疫表現型(血液及びリンパ節)、免疫原性、毒物動態パラメータ、及び肉眼剖検知見。
RTX、又はTG20の投与は、試験中のいずれの投与量においても、いかなる予定外の死亡、臨床所見、体重及び付属物に及ぼす影響、又は顕微鏡的変化ももたらさなかった。
免疫表現型検査の結果に基づいて、RTX及びTG20の単回注射は、血中のBリンパ球の投与量依存性枯渇を結果として生じた。低投与量では、投与前のレベルと比較する場合、Bリンパ球の枯渇は、TG20を投与された群(60%)と比べると、RTXを投与された群(70%)でわずかに顕著であった。高投与量では、Bリンパ球の枯渇は同程度であった。Bリンパ球集団は、TG20投与群(22日目;低投与量、78日目;高投与量)よりもRTX投与群(3日目;低投与量、50日目;高投与量)でより早く回復した。
高投与量レベルにおけるBリンパ球の完全枯渇(100細胞/血液μL未満)の発生は、TG20投与の場合(1/3の動物)よりもRTX投与の場合(3/3の動物)が大きかった。血中のBリンパ球枯渇の発生及びその回復は、8日目にリンパ節において観察されたBリンパ球の枯渇及び22日目と92日目の回復の動態に相関した。
血中では、被験物質に関連するNKリンパ球の減少が、22日までの回復を伴い、低投与量及び高投与量でRTX及びTG20で観察された。被験物質に関連するTリンパ球計数の減少は、RTXの高投与量で、1日目又は2日目に観察された。減少の大きさはわずかであり、殆どの動物で3日目に回復した。TG20を投与された動物のTリンパ球絶対計数については、減少に向かう明らかな傾向は観察されなかった。血中の前述の細胞サブセットについて観察された減少の結果として、総リンパ球計数の投与量依存性減少が、3つの化合物で観察された。低投与量では、ベースラインレベルに対する総リンパ球計数における減少は、RTX投与動物(1日目:51%)と比べて、TG20投与動物(1日目、57%)でより顕著であった。高投与量では、総リンパ球計数における減少は、TG20投与動物(1日目:60%)よりもRTX投与動物(1日目:70%)でより明白であった。回復は、3つの化合物で同様であった(22日目までに部分的から完全まで回復した)。リンパ節では、8日目及び22日目でT及びNKリンパ球サブセットで、被験物質に関連する変化が観察されなかった。
結論として、2種の異なる投与量、0.03と0.3mg/kg/日での単回静脈内ボーラス注射による異なる抗―CD抗体、RTX、及びTG20の投与は、両投与量レベルにおいて、サルで臨床的に良好に忍容された。被験物質に関連する血液及びリンパ節のBリンパ球の投与量依存性枯渇が両化合物で観察された。Bリンパ球枯渇の範囲及び発生並びに回復の迅速性に関して、僅かな差異が化合物間で観察された。低投与量では、リンパ球枯渇の範囲は、TG20でより低かった。高投与量では、完全Bリンパ球枯渇の発生はRTXで大きくTG20では低かった。全ての投与量において、回復は、T20よりもRTXで迅速であった。同様な被験物質に関連する血中NKリンパ球の減少は、22日までの回復で、両化合物において観察された。被験物質に関連する血中の総Tリンパ球の減少もまた、RTXで観察された(高投与量でのみ)が、TG20では観察されなかった。この減少はわずかな大きさであり、大部分の動物について3日目に急速に回復した(図12〜18を参照)。
等価物
前述された明細書は、当業者が本発明を実行することを可能にするのに十分であると考えられる。実施例が本発明の特定の態様及び実施形態の例示として意図されるものであるために、本発明は提供された実施例による範囲に限定されるものではない。他の機能的に等価な実施形態も本発明の範囲内にある。本明細書で示され説明されたものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかになるであろうし、これらは添付の請求項の範囲内にある。本発明の利点及び目的は、本発明の各実施形態によって必ずしも包含される必要はない。

Claims (7)

  1. 高度にガラクトシル化された抗体集団を作成する方法であって、
    高度にガラクトシル化された抗体集団が産生されるように、ヤギの乳腺上皮細胞において前記抗体集団を遺伝子導入で発現させることを含み、前記集団中の抗体のガラクトシル化のレベルが少なくとも70%であり、および前記集団中の抗体が抗CD20抗体である、方法。
  2. 産生された前記抗体集団を採取することを更に含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記抗体集団のCDC活性を決定することを更に含む、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記集団中の抗体のガラクトシル化のレベルが、少なくとも80%である、請求項1〜3いずれか1項記載の方法。
  5. 前記集団中の抗体のフコシル化のレベルが、少なくとも80%である、請求項1〜4いずれか1項に記載の方法。
  6. 前記集団中の抗体のフコシル化のレベルに対する前記集団中の抗体のガラクトシル化のレベルの比が、0.8〜1.2の間である、請求項1〜5いずれか1項記載の方法。
  7. 前記抗体集団が、モノ−ガラクトシル化N−グリカン、2ガラクトシル化N−グリカン、またはモノ−ガラクトシル化N−グリカン及び2ガラクトシル化N−グリカンの両方を含む抗体を含む、請求項1〜6いずれか1項記載の方法。
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